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1952-04-17 第13回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 田中 角榮君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       上林榮吉君    高田 弥市君       篠田 弘作君    西村 英一君       河口 陽一君    中島 茂喜君       増田 連也君    池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         建設事務官         (管理局長)  澁江 操一君         建 設 技 官         (道路局長)  菊池  明君  委員外出席者         建設事務官         (道路局庶務課         長)      浅村  廉君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 四月十六日  道路舖装新設費国庫補助増額等に関する陳情  書(第一三一五  号)  接收工場等の解除に関する陳情書  (第一三八二号)  河川の水利使用許可権の国に移管反対に関する  陳情書(第一三八  三号)  同(第一三八四  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  建設行政に関する件  道路法案田中角榮君外二名提出衆法第二七  号)  道路法施行法案田中角榮君外二名提出衆法  第二八号)  公共工事の前拂金保証事業に関する法律案(内  閣提出第一五〇号)     ―――――――――――――
  2. 松本一郎

    松本委員長 これより建設委員会を開きます。  第一議題道路法案田中角榮君外二名提出衆法第二七号、道路法施行法案田中角榮君外二名提出衆法第二八号を一括して議題といたします。まず提出者より提案理由説明を聴取いたすことといたします。田中角榮君。     —————————————
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま議題となりました道路法案につきまして、提案理由並びにその趣旨簡單に御説明申し上げます。  現行道路法は大正八年に制定されたまま現在に至るまで約三十年間、ほとんど改正らしい改正を加えられずにわが国道路管理基本法として続いて来たのでありますが、近代的な法律形態として不適当な幾多の点が明らかになりましたので、今回その全面的改正の要に迫られた次第でありまして、そのおもな点は次の通りであります。  第一点といたしましては、わが国の現段階におきましては、国の幹線道路網中最も重要な部分を緊急に整備しなければならないので、現行法改正し、これらの最重要道路一級国道または二級国道として、国が積極的にその整備推進する必要を生じたのであります。  第二点として、道路整備を促進する手段として、国と地方公共団体責任分野を明らかにし、おのおのその責任と能力を十分に発揮することとするために、現行法の基盤をなしている、道路は国の営造物という観念を改めまして、一級国道及び二級国道は国の営造物、その他の道路地方公共団体営造物という観念に改める必要を生じたのであります。第三点として、前述の考え方に基き、現行法において各地方公共団体の長を道路管理者としているのを改めまして、一級国道及び二級国道については都道府県知事管理者となし、都道府県道都道府県を、市町村道については市町村管理者とする必要を生じたのであります。第四点として、一級国道新設または改築に要する費用についての国の負担率を一定の場合において高めることとして、その整備を促進する必要を生じたのであります。第五点として、近代交通の要請に応じ、道路の機能を十二分に発揮させるために、道路を占用しようとする者または道路上に車両を運行させる者に対する規定整備いたしまして、道路とこれらの者との利益の調整についての現行法の不備を改正する必要が生じたのであります。第六点として、現行法における損傷負担金制度が、その全国的な基準がないことと、その負担金地方公共団体一般財源に繰入れられて、負担者の利用する道路に直接還元するものでないということによる不合理を是正いたしまして、これを特別負担金という新たな制度に改める必要を生じたのであります。第七点として、現行法道路新設または改築に関する損失補償制度がなく、一般民衆はもとより、管理者側においても不都合を生じて来ましたので、土地收用法で認める程度の損失補償を行い得る制度規定する必要が生じたのであります。第八点として、道路行政の完璧を期するために、新たに建設大臣諮問機関として、学識経験者関係行政機関及び地方公共団体の職員で建設大臣の任命した者を委員とする道路審議会を設ける必要が生じたのであります。以上が道路法案改正の要点でありますが、この法律を施行するための経過措置並びに関係法令の一部改正道路法施行法案として規定いたしました。以上で道路法案提案理由説明を終りますが、道路網整備をはかり、もつて交通発達に寄與し、公共の福祉を増進いたしますのには、ぜひこの法案が必要でありますので、何とぞ十分なる御審議の上、すみやかに御可決されんことをお願いいたす次第であります。次に道路法施行法案について簡單に申し上げます。改正道路法を施行するための経過措置及び関係法令の一部改正規定したものであつて経過措置としましては、現在の国道でその上に改正法規定により一級国道、二級国道都道府県道、または市町村道のいずれかの路線指定または認定が行われないものは、新法施行の日に廃道となつたものと見なすこととし、現在府県道、市道または市町村道等でその上に改正法規定により一級国道、二級国道都道府県道または市町村道のいずれかの路線指定または認定が行われないものは、新法施行の日において、それぞれ新法規定により、路線認定された都道府県道または市町村道と見なすこととして混乱を避けたのであります。しかしながら新法規定する基準に合致しない都道府県道がいつまでも存在することは不適当でありますので、これらについては都道府県において善処すべきであり、必要がある場合には建設大臣が勧告を行うことも考えられるわけであります。以上をもつて法案に対する提案趣旨を御説明いたしました。
  4. 松本一郎

    松本委員長 この際お諮りいたします。すなわち道路法案並びに道路法施行法案につきまして、運輸委員会より連合審査会開会申込みがありましたが、本法案につきまして運輸委員会連合審査会開会するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松本一郎

    松本委員長 御異議なしと認め、さように決します。なお開会日時等につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  6. 松本一郎

    松本委員長 この際お諮りいたします。建設行政一般に関し、建設大臣質疑申込みがあります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松本一郎

    松本委員長 御異議なしと認めさよういたします。上林榮吉君。
  8. 上林山榮吉

    上林委員 私はこの際建設行政一般について所管大臣である野田建設大臣に所見をただしてみたいのであります。まず第一点は、建設大臣は健全な意味における政党政治推進して行く考えを持つておられるのか、それともこれとは違つた意味における政治推進して行こうとしておられるのか。奇妙な質問をするようでありますけれども、いろいろ誤解も生まれておりますので、私はこの点をまず伺つてみたいと思います。
  9. 野田卯一

    野田国務大臣 私は健全なる政党政治を確立するように推進して行きたいと思つております。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 そこでまずお伺いいたしたいことは、政府提案として建設大臣から出されておる法案が当委員会に相当あるようでありますが、この案に対してわれわれ委員会が正式に聞くのは、もちろんただいますが初めてでありまするが、健全な意味における政党政治を確立する、こういう観点に立つならば、與党の各機関了解事前に得ることはもちろんのこと、当委員会のあらかじめの意見、特に私は與党委員了解というか、與党委員との連絡というか、法案の概要をあらかじめ説明するとか、あるいはまたただいま申し上げた方面意見をあらかじめ聞いて、政府責任において調整をとつた上で、各法案を出されるのがいいのではないか。これが円満なる、しかも健全な意味におけるところのやり方ではないか、こういうふうに思うのでありますが、どうもただいま出ておる数法案については、当委員会としても、與党委員としても、全然知らないものがある。これは最終的責任は、政府提出法案に関する限り、政府にあるわけであるといえば、それまででありますけれども、先ほど申し上げた趣旨において考えるときに、われわれはそういう態度は遺憾である、こういうふうに考えるのでありますが、これに対しましてどういうお考えを持つておられるか、この際伺つておきたいのであります。
  11. 野田卯一

    野田国務大臣 政府提出法案につきましても、大体自由党政調会連絡をとつてつておると私は思つております。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 答弁があまり簡單であるようでありまするが、不幸にしてわれわれは政務調査会に全部かかつたということを承知しておりません。政務調査会にもかけず、あるいは総務会にもかけず、あるいは與党の当委員会委員にも連絡せずに出された問題が多いのであります。具体的に申し上げてもいいのでありますが、大臣は全部そういう方針で、そういう思想連絡を密にしておられるという自信を持つての御答弁であるか。あるいはこういう法案連絡が十分にとれたが、とれない法案もあつたということを率直に認めて、これが善後措置について何らかの考えを持つているのかどうか、この点を私は伺つておきたい。たとえば公共工事前渡金保証事業に関する法律案、あるいは住宅金融公庫法の一部を改正する法律案、その他一、二あるようでありますが、こういう法案は、政務調査会その他の與党機関事前にお諮りになつたのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  13. 野田卯一

    野田国務大臣 私の記憶では、公共工事の問題につきましては、私から愛知君に連絡しまして、それから愛知君のところが、あるいはほかの方かもわかりませんが、政調会の方へ私の方の係官が出向いて説明をして、御連絡は申し上げたと私は了解しております。
  14. 上林山榮吉

    上林委員 われわれには、政務調査会、あるいは総務会その他の正式の党の機関から連絡がありません。また私どもの調べたところでは、政務調査会すらにもかけなかつた問題もある、こういうふうに聞いております。私はこれをもう少しお互い調べなければわかりませんが、もしそういうふうな思想をあなたが持つておられるという二とになれば、健全なる政党政治推進ということはとうていできないと考えております。あくまでも官僚の延長であるところの政治的な考え、ないしは行政府立法府に優先するのだというような錯覚に陥つているのではないか、こういうような考えを持たざるを得ないのであります。大臣は、国会議員は一年生でありますから、そういう点には心を用いておらるるかもわかりませんけれども、どうも誤解を受けるところを見ると、不十分ではないのかというつふうに考えられる。そういうふうであれば、私どもとしては大臣の前途のためにも惜しむものであると同時に、立法府という責任において、しかも與党という自覚において、まことに遺憾千万である、こういうふうに考えざるを得ないのであります。この点をもう少しお伺いしておきたいと思います。さらに続いて、ただいまあなたは建設省機構改革にも手を触れておられるようでありまするが、公にこれを発表する以前に、設置法との関係もあるのでありますから、さつき私が申し上げました趣旨がら、できるだけ健全、率直ななる輿論を聞いてみる、こういうような態度を持たねばならぬと思うのでありまするが、不幸にしてわれわれは、自分たち所管である建設省機構改革に対する連絡ないしは構想というものを承つたことがないのだが、こういうことに対してどういうお考えを持つておるか。閣議さえきめれば、委員会も、あるいは本会議も、與党も全部満足に行く、こういうふうに考えておられるのかどうか、私は個人的には野田建設大臣に敬意を表しておりますけれども、当委員会の他の諸君も、その他の機関諸君も、今日までの態度に対していろいろの意見を持つておられるようでありましたので、私総合してと言うとおかしいけれども、ここに率直な意見を申し上げたのでありますが、これに対しましてどういうお考えを持つておるか、この点を伺つておきたい。
  15. 野田卯一

    野田国務大臣 法案につきましては政調会連絡をとつてやるという方針でずつと進んで来ておりますし、私も実は参議院の政調会長をしておりまして、議員立法その他を推進した一人であります。ですから……。     〔「どこの政調会だ、自由党代議士会でやつてくれ」「違うよ君」「違いやせぬ」と呼ぶ者あり〕
  16. 松本一郎

    松本委員長 まずお静かに、私語を禁じます。
  17. 野田卯一

    野田国務大臣 次の問題で十分連絡をとつて——もちろん私も連絡をとるのでありますが、主として事務的に連絡をとるのはそれぞれの部局でやつておりまして、私はできだけ完全にということを念願しておりま。いろいろな事柄のために不十分であつた点があつたかもしれぬと存じます。それから設置法の問題につきましては、自由党との間におきましては、これは内部の関係で恐れ入るわけでありますが、内閣自由党との関係連絡をとつてつておりまして、設置法の案につきましても自由党に示しまして、自由党意見によつて政府の一番初めの案——政府と申しますか、担当閣僚がつくりました案が相当な修正を受けたということは御承知通りであります。党の意見を十分に尊重して案がつくられているという点を御了承願いたいと思います。
  18. 上林山榮吉

    上林委員 設置法の問題についてももちろん委員会としてもさらに審議愼重にしなければなりませんが、われわれといたしましてはこれに対して相当の意見を持つておるわけであります。大臣においてもこの点に留意して、設置法の万全を期するようにそれぞれ連絡をして行かなければならぬのではなかろうかと思うのでありますが、設置法改正伴つて人事についてのうわさをいろいろと聞くのでありますが、まだ設置法議会を正式に通つていない、それにもかかわらず、設置法設置前提とした人事異動がすでに行われておる、こういうふうに仄聞するのであるがはたしてその人事が適正に行われているかどうか、われわれはわかりませんが、そういうような考え人事異動をやつておるかどうか、決して私は事務官僚の意を迎えんがために申し上げておるのではありません。このために行政事務が遅れる、能率が阻害される、安定を欠く点から来るところの国民への影響というものは非常に重大であると考えますので、私はこの問題に対する大臣基本方針、あるいはまた現在行われておる異動の性質、この点を伺つておきたいのであります。
  19. 野田卯一

    野田国務大臣 設置法はまだ議会にも提案されておらないのであります。まだ内閣において審議中なのであります。人事問題——あえて人事ばかりではありませんが、そのときどきの最も適正であるというところに従つて処理すべきものであると思つております。特に私は人事につきましては、適材適所ということを念頭に置きまして、建設行政推進ををはかつて行きたい、こういうふうに考えます。
  20. 上林山榮吉

    上林委員 ただいまの人事異動の性格は、はつきりしなかつたようでありますが、どういう意味でやつておるのでありますか、設置法改正するということを前提として行われておる、こういうふうにも聞いておるのでありますが、その辺が少し漠然としておつたようでありますので、この点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  21. 野田卯一

    野田国務大臣 設置法はまだできておりませんし、それがまだ審議にもかかつておらないのであります。現在の人事は、現在の実情に即して適材適所で行う、こういうことが私の根本方針であります。
  22. 上林山榮吉

    上林委員 人事をあなたがどうやろうとあなたの権限に属することでありますから、われわれは批評はいたしますけれども最後責任はあなたにあるわけでありますので、ただ願わくは人事異動をやるについては設置法がきまつてからやつた方が非常にわかりやすいのじやないか、誤解を受けないで済むのじやないかというような気持がすると同時に、機構改革を近くやるということで、省内においては相当の動揺も見られておる。それでは行政能率が上らぬために国民に迷惑も行く、こういう意味で私はお尋ねしておるのでありますが、人事の問題については、さらに別途の機会に私質問も申し上げたいし、意見も申し上げたいと思いますので、この際これ以上は申し上げませんが、最後に、これは本会議において野党諸君からも質問大臣は受けたわけでありますが、これはおそらくは誤解であつたであろうと私ども考えるのでありますけれども、本会議答弁を聞いてみて、もう少しはつきりとした答弁をしてくれたならばなおよかつたであろうという意味において、なお釈然としないものがありますが、言うまでもなく憲法では国会最高機関ということになつておるし、しかも政府法案を出そうと議員法案を出そうと、最後意思決定立法府にあることは御承知通りであります。これに対しまして予算を伴うものは議員立法でやつては困る、こういうような趣旨答弁であつたかのごとく思いますので、この点をもう少し明瞭にしておきたいと考えます。私は五年前に当国会において憲法改正が行われるときに、特別委員となつた者の一人でありますが、そのときの金森博士と私との問答の中に、国会立法府であるから、法制局は全部国会に所属せしむべきものである。政府法制局を持つておるということは、これはいけない、だからぜひとも法制局国会にのみ置くべきものであるという質疑をしたこともありますが、これに対して金森博士は何と答えたかといいますと、確かに理論的にも実際的にもあなたの言われる通りである。だから国会法制局を拡充強化してやつて行くということが理想的である。近い将来必ずそういうふうにせしむべきものであると思う。やむを得ず現在においては政府にも法制局を置くが、当面の問題としては国会法制局をうんと強化する、こういうことを答弁されております。私は今ここで憲法論を理論的に体系づけて質問しようとするのではありません。およそ釈迦に説法であるかもわかりませんが、これは單なる談話の中であつたにしろ、そういう誤解を受けるということは、政党政治の健全な発達という意味から、政党内閣制の健全なる発達という意味から考えて、あるいはまた立法府は、三権分立の関係から、さらに新憲法においては、それと同時に国の最高機関であるという地位を與えられておる点から考えて、一部誤解があるということは、まことに残念であると思いますので、公開の席上で議員であるという立場から以上の点についての大臣の見解を伺つておきたい。その上で政府提案法案に対して、われわれは愼重の上にも慎重を重ねて審議をやつて行きたいと思いますので、お尋ねをしておるわけであります。
  23. 野田卯一

    野田国務大臣 上林委員承知通りに、私はやはりあなたと同様に、りつぱな民主政治りつぱな立憲政治りつぱな政党政治を打立てなければならぬという信念を持つておるわけであります。私は現在はたまたま大臣になつておりますけれども、それがために選挙に出て議員となつて出て来たのであります。その点については、全然あなた方と同じ地位にあるのですから、誤解のないようにしていただきたいと思います。  それから新聞のあれですが、非常に私も迷惑しております。新聞社の方にも申し入れてありますが、この間も代議士会で、予算編成大権というようなことはけしからぬではないかということをおつしやつた。私は別に予算編成大権ということを言つた覚えもないし、新聞の記事の中にも、中を見ますとそういうことは書いてないのです。整理係がああいう名前をつけたのです。私は何も議員予算立法を制限するということを言つた覚えはない。それもやはり整理係が大きく見出しをつけた。だから、議員予算立法権の制限、野田建設相強調予算大権影響というようなでかでかとした数段抜きの見出しが、皆さんの非常な御注意を引くに至つたと思うのであります。あれは内容的に見ましても、私の言つたこととはまつた趣旨が違うのであります。これはほかの新聞記者諸君もそこにおられたのでありますが、これはいわゆる車中談ではなく、話が終つたあとで、茶飲み話にいろいろ雑談しておつたときに出た話で、言葉もごく短かい一、二分の間であります。従つて理論的にどうだということではない。深く研究してどうだということではないのです。そのときの話は私は議場でも答弁しておいたのでありますが、たとえば昭和二十八年度に何々のために何千億円出せといろ——これは想定話合いですが、そういうものが出たら一体どうなるのかというような話だつたのであります。そういうときにつきまして、もしそういうものがあとからあとから出るということになると、政府財政当局も困るだろう、予算編成権並び提出権政府に専属しておるというような建前からいつても、これは何か問題があるように思うということを言つたのでありまして、それにいろいろつけ加えられて書かれたのでありまして、私はよくわからない。まだよく研究しておらないのであります。ただそういうことを言つただけなんであります。それにいろいろ前文をつけたり後文をつけたり、しかも大きな見出しをつけて出されたために、皆さん誤解を非常に起しておると感ずるのでありますが、私はこの問題はまだ十分研究しておりませんので、よく研究してみたいと申し上げております。議員立法につきましては私は御承知のように非常に推進しておる一人であります。今の建設委員会道路法というようなものにつきましても、道路法政府提出案として出してはどうかということをいろいろな方面から強調されました。しかしながら私は、道路法は前々から皆さんからお世話になつている法律であるし、かつまた議員提出としてもらつた方がいいのではないかと思つておりますので、これはいろいろと反対がありましたが、お願いいたしましてやつていただいたような状況になつております。その他の点でも、松本委員長承知通り議員立法にするかどうかということでずいぶん問題があつたのでありますが、常に私は、できるだけ議員立法をふやして行く、そして立法をなるべく議員提出にするというように持つて行く方がいいのではないかということで、いろいろ委員長とお話合いをしておるような実情であります。この点はよく了承していただきたいと思うのであります。私は議員立法でりつぱなものができることを念願いたしておりまして、今後もその方向に行きたいという考えであります。
  24. 上林山榮吉

    上林委員 私はあなたの思想を少し疑うのでありますが、憲法理論的解釈について論争をしようとは思いません。しかしながらただいまのお話の中に、何千万円か、あるいは何億円か金を出すという議員立法があると困る、こういうお話でありますが、こういう立法立法府がなし得ると憲法上お考えになつておるかどうか。この事業をやるのに何十億円の金を出すべしといろ法律をわれわれがつくることが憲法上できるのか。それを御心配になつているようでありますが、はたしてできるかどうか。どういうようにお考えになりますか。
  25. 野田卯一

    野田国務大臣 さつき申しましたごとく、ある費目に昭和二十八年度において何千億円という設例の方は、というようなものがあとからから出たときにという想定の場合であります。それについて申したのであります。今の上林委員の新しい問題でありますが、それにつきましては私はまだ十分研究していない。従つて政府の者としてこれに対してはつきりした意見を述べることはしないで、差控えております。これは必要があれば、私は法律の解釈その他のことに携わつておられる法務総裁その他の所管大臣なら大臣からお伺いしたい。私はまだ研究未熟であります。
  26. 上林山榮吉

    上林委員 この問題は国会としても超党派的に大事な問題であると思うのです。ただいま何十億円か、何千億円か金を出さなければならないというような想定に基く法案がたび重なるといけないのであつて、研究してみなければわからぬが、そういうことは困る、こういう話のようにも聞えますが、御承知通り予算編成権は政府にある、法律をつくるのは国会にある。しかし予算の修正権も国会が持つておる。こういうことはだれも知つておることではありますが、この前提はもちろん御承認になると思うがどうかということが一点、それから万が一将来、想定に基く予算を出さなければならないような法案が出た場合、そしてそれが通過した場合、政府はこれに対して立法府の立場を尊重して予算編成に努力するということは当然のことであります。予算を強制的に法案に盛るべしといろ立法は、憲法上絶対できないわけであります。その辺の区別はわかつておられるはずなのに、誤解を生ずるというのは一体どうい点にあるのか。予算編成権は政府にあるのだから、法案で何十億円出すべしという立法はもちろんできない。想定に基くものであつても、財政の都合でできることとできないことと出て来るので、それを尊重して政府が努力して行くというだけにすぎぬ。予算編成権が政府にある以上はその程度にとどまる。ただ努力をする、尊重して、できるだけ最善を盡すという政治責任があるだけである、こういうように考えるのに、ああいう言葉をお使いになり、また誤解を生むような御答弁をされるので、いろいろと誤解を生ずるようになるのでありますが、この点は法務総裁に聞くまでもなく、国務大臣として、あるいは参議院議員としてあなたは十分にお  かつておる点だと考える。だからこの点をもう少し明瞭にお答え願つて質問を終りたいと思います。私が申し上げた点は、言うまでもなく、健全な意味政党政治推進して行きたい。しかも政党内閣制責任を健全に遂行して行きたい。第三点は、立法府と行政府が紛淆を来さないように事前連絡をよくとつて、しかも権限を相侵さざる立場をとつて国政を運営して行かなければならぬ、こういう趣旨質問をしておるわけでありまして、個人的恩怨は微塵だもないわけでありますから、この点は御了解を願つた上で御答弁を願いたいと思います。
  27. 野田卯一

    野田国務大臣 お話の点もやはり憲法の解釈の問題に触れて来ると思います。私は、この際憲法の解釈について意見を申し上げることを差控えたいと思います。
  28. 松本一郎

    松本委員長 関連質問の通告があります。これを許します。田中角榮君。
  29. 田中角榮

    田中(角)委員 私は、建設行政のうち、二、三日前に発令された建設省人事の問題について建設大臣に私の気持を申し上げ、所信をただしておきたいと思うわけであります。もちろん人事所管大臣の権限でありまして、人事の問題に対して立法府が発言するということはいろいろ誤解を招くおそれがあります。なお與党委員からそういう発言がありますと、特に間違われやすいので、私としては十分戒心をし、しかも人事権に容喙をしたり、行政権に容喙をするような立場に立つて質問申し上げるのではないということを前提として御了解になつていただきたい、こう考えるわけであります。  建設省人事に関しては、岩沢君が立候補当時本委員会で問題になつたことが一回あります。場合によつては懲戒免官という激論まで出ました。與党議員からこのような問題が出たことは、歴史をひもといて見てもない、こう私は思つております。建設委員会というのは、御承知通りもう五、六年も與党、野党を問わず、同じ人がずつと本委員会委員として専念しております。その意味建設省とは非常に深いつながりもありますし、またお互いが非常によく了解し合つているわけであります。私は、岩沢君当時の問題のような根拠や感じでこの問題を申し上げるわけではありません。住宅局長の依願免官の問題、及び八嶋都市局長の住宅金融公庫への転出の問題に対しては、私たち関係局に関係のある立法を急いでおります立場から御意見を伺うというのではなく、爾後の処置もしていただかなければならないという意味から簡單に申し上げておきたいと思います。  いろいろなことを申されておりますが、ざつくばらんに言うと、都市局長八嶋君はやり過ぎる、住宅局長大村君はやりたがらない、こういうふうなことも一部に仄聞するのでありますが、こういうことを私は考えておりません。しかし過去四箇年にわたつていろいろな問題がありました。建設省の住宅局関係のうち公営住宅法、建築基準法、建築士法その他二十年、三十年にわたつて懸案であつた法律案を本委員会の手でずつと片づけて参りまして、最後に公営住宅法が残つているだけであります。この公営住宅法だけ早く通して、われわれ自身も建設省機構の改草に対して、住宅局は建設局に改むべきものだ、しかも住宅局などという名称を掲げておりますので厚生省との権限紛淆問題が起るのだ。私たちも、建設行政の一元化をやらなければ行政機構の改革はできない、こういう観点等いろいろな角度から検討して来ておつたのでありますが、すでに議員立案として何とか提案の運びになつたというときに、住宅局長の更迭があつたわけであります。それと同時に、都市局長の住宅金融公庫転出は、もうすつかり法案ができ上つた住宅局と違いまして、今厚生省との間に水道法、公園法等いろいろな問題があり、私たち議員立法するといつて建設省関係局課から長い間いろいろの資料提供を求めたり、緊密な連絡をとつて来たのであります。やつと今の段階では、水道法も公園法も何とか話をつけなければならない。いろいろな問題はあつて行政整理を行い、行政の簡素化を行い、建設行政の一元化をやるという大目的のためには、各省のセクシヨナリズムに左右されずに何とかまとめて行きたいという最後のどたんばにおいて、後任局長もおきめにならないうちに八嶋君を転出せられた。私は八嶋君からも、大村君からも、その後の事情を何も聞いておりませんが、新聞を見て、建設大臣やるわいと実は思つたのです。建設省でなく、通産省では、大臣が半年間も事をわけて話をしても辞表を出さない。出さないでおいて、蛭川君のように、自由党内閣でありながら、まつた反対の声明を行う、こういうことで遂に懲戒免官までやらなければならぬ。これをやらない大臣行政機構の改革などできるものかということをわれわれ自体も考え、また国民もそう考えているときに、建設大臣はすぱつと思い切つて整理をせられておりますので、それに対しては私たち全面的に賛成もし、また応援もいたしたい、こう考えておるのであります。いろいろな機構改革立法になりますと、暗躍し、自分たちの部局を残し拡充するために、いろいろな議員に対して渡りをつけてまでも権限縮小という問題には徹底的に反対する。自分が現在持つておる部局が他の省に統合せられることは大きな国家目的に沿つてつて反対をするというのでありまして、しかもそういう官僚の希望に沿つて事をする議員もしありとすれば、これはたいへんな問題とさえ考えておるときに、思い切つておやりになつた建設大臣の行為は、自由党行政整理を担当せられておる大臣として、まず自分の省からということでお手並は非常にりつぱだと思つております。ただ先ほど申し上げましたようにわれわれが四、五年間もかかつてようやくにしてまとめ上げて来た水道法や公園法や耐火建築助成法が今、日の目を見んとするときに、厚生省のいろいろな関係もあり、やり過ぎるから飛ばさなければならないというように、実情を知らない第三者がこういう観点でうわさをしておるように考えて来ると、次官会議や閣議ではまとまらないというものは、議員立法で行わなければ行政機構の改革はできないという信念を持つております。こういうときに、そういう議員がお考えになつておる大目的に沿うと首を切られるから、お世話はできません、御連絡もできませんということになるとたいへんです。これは特に私がそう申し上げなくても八嶋君は建設大臣の御親類であるので、まず御親類からすぱつと切つたのでありますから、私はそんなことは考えてはおりませんが、われわれが立法の途中にあるだけに、こういうものに対しては立法をやつておる私たちに御相談ではなく、内意を漏らしていただけなかつたかということを考えておるわけでありますが、人事は秘密でありますので、漏らさない方が一番いいのであります。漏らせば反対があつてできなくなるのでおやりになつたのであつて、私たちから当然このくらいな質問意見が出ることは御承知でおやりになつたのであることは私も推察をするのにかたくはないのでありますが、とにかくわれわれに直接関係があります人事異動でありましたので、特に都市局長の後任は早急におきめになつていただいて、私たちの立法に支障を来さないようにしていただきたい、こう考えておるわけであります。先ほど申し上げました通り立法府が、特に與党政治的な立場と感覚から人事権に容喙し、行政権に干渉するというような立場からではなく、委員会の現在までのいきさつと事情によつて希望を申し述べたのでありまして、これが跡始末に対しては万遺憾なきを期していただきたい、こう希望を申し上げます。
  30. 野田卯一

    野田国務大臣 御趣旨よくわかりました。実はあの異動は、即日手続をして後任の発令をしまして、その間少しのすき間もないようにいたしております。監察官の石破君が——これは非常に有能な人でありますが、すぐにかわりました。なお人がかわつたためにいろいろ御審議に支障を来すとか、行政運用上まずく行くということのないように最善の努力をいたします。
  31. 松本一郎

    松本委員長 この際お諮りいたします。すなわち、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案内閣提出第一六四号、本案につきまして、法務委員会より連合審査会の申入れがありました。当委員会といたしましては、独立を間近に控えた日本にとつて非常に重大な法案でありますので愼重審議する必要があると思いますので、法務委員会連合審査会開会申込みに対しまして、これに応ずるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 松本一郎

    松本委員長 御異議なしと認め、さように決します。開会日時等につきましては委員長におまかせを願いとう存じます。     —————————————
  33. 松本一郎

    松本委員長 次に、本日の議題であります公共工事の前拂金保証事業に関する法律案内閣提出第一五〇号を議題といたします。質疑の通告があります。順次これを許します。逢澤君。
  34. 逢澤寛

    ○逢澤委員 公共工事拂金保証事業に関する法律につきましては、この御説明の中にありまするよりに、公共事業をできるだけ迅速に、しかもその目的を国家的に遂行したい、こういうことのためにおやりになることについては私は全幅の賛成をするものであります。そこで、この盛られておりまする内容の二、三について私わかりにくいところがございまするので、その点を二、三お伺いいたしておきたいと思います。  第一條に、「公共工事に関する前金拂の適正且つ円滑な実施を確保するため」とありまするが、これは大きい意味合いでいういうようなことをお考えになつたのでありまするか、局部的にそういうことになつているのかということについてまずお尋ねいたしておきたいと思います。
  35. 澁江操一

    ○澁江政府委員 ただいまの御質問の御趣意、ちよつと私わかりかねる点がございますが、これではお答えになるかどうかわかりませんけれども、この第一條の目的に掲げております前金拂いは、国の会計で申しますれば、予算決算会計臨時特例の規定に基きまして行われる前金拂い、さらに地方公共団体の場合におきましては、地方自治法施行令の規定に基きまして行われる前金拂いを想定いたしております。民間の資源開発の重要な工事等につきましては、大体国、公共団体の前金拂いに準ずべき支拂金を予定いたしておるわけでございますが、この予決令なりあるいは地方自治法の施行令の規定に基きます前金洗いは、工事費の入札請負契約に伴いまして、工事金の三割以内において発注者が請負業者に支拂われる金額、これが前金拂いということになつておるわけでございます。
  36. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私がお尋ねいたしたいのは、適正かつこれを迅速に行うといいますことは、全面的にそうなるか。あらゆる工業全体に対しておやりになるかどうか。逆にいいますると、第一條の目的によつてこれをやるということになりますると、この前拂金を受領するものには国家が承認した、あるいはこの法律が承認した資格が必要だということになつて来る。そうするとこの資格を持たないものは信用がないということに陥る危険がありはしないかと考えますが、この法案の中に何かそういうことを考慮した條項があるかないかということをお尋ねいたします。
  37. 澁江操一

    ○澁江政府委員 お尋ねの点に触れまして、どういう方法においてこの前金拂いの適正な円滑な実施の確保が期せられるかということを敷衍して申し上げてみたいと思います。  この法律で予定いたしております前金拂いの保証に関しましては、二條の第二項に定義が掲げてございます。すなわち第一條の條件としては、公共工事に関しその発注者が前金拂いをする場合においてということになつております。しかしてこの公共工事の範囲につきましては、その第一項におきまして、国、国有鉄道、専売公社ないしは地方公共団体の発注する土木建築に関する工事あるいはそれ以外の民間の発注機関でございましても、資源の開発等について重要な土木建築に関する工事をする場合、こういうふうに公共工事の対象を一応しぼつております。従つてお尋ねの趣旨公共工事の範囲ということでありますれば、これによつておわかり願えると思うのでございます。  次に條件といたしまして取扱う請負業者、この問題に関連して参りますと、これは、この規定からは実は割出しておりません。と申しますことは、請負業者の信用保証をするということがこの法律のねらいでございます。従いましてこの法律で登録を受け、あるいは監督を受ける前拂金の保証会社が、どの業者を選択するかということになりますれば、これはこの会社の運営によつて信用のある業者、こういうことになるわけであります。すなわち保証事業会社は前拂金を支拂いました発注者の迷惑、危険を除去するために保証いたすわけでございますから、そういう関係において不安のない業者を選択するということになつて参ります。またそれが一つの條件となつて前拂金が出されるという関係になつて参るのでありまして、そういう方向において選択せられるであろうと考えられます。それかといつていたずらに信用の確実性という点のみを重視しておりますと、あるいは一部の大業者に偏することになつて参りますので、その辺につきましては、この規定としては保証会社のいたします事業方法書あるいは運営の実際の上において、一部の業者に偏するおそれがあり、またそういう事実があつた場合においては、これを救済するという監督方法を規定いたしまして、適切な堅実な業者の選択に遺憾のないようにする措置を用意いたしておるわけでございます。
  38. 逢澤寛

    ○逢澤委員 ただいまの御説明によりますると、保証会社が信用のある堅実な業者を選定して、これに対して事業を保証するんだ、こういうお話なんでありまするが、その逆を考を考えますると、保証会社が見て堅実ならざるものにはむしろ悪影響を及ぼすということは想像できないでありましようか。民間事業でありまするならば、これは別問題だと思います。しかしながら国を中心とする公共事業を中心として事業遂行をやる上からいいますると、建設業法が定めておりますいろいろの規定からいいましても、小さい業者は小さい業者の分野において、それぞれその使命を達しておる。ところがその小さい業者は放任して、信用の確実な業者にのみこうした措置を利用させる機関をつくるということは、私は不公平じやないかと思います。  そこで私がお尋ねいたしたいのは、たとえば金額の点で一個の請負金額の点においては、どのくらい以上のものを利用さすお考えであるか。こういうことによつて全面的に——私は全面的ということは困難だと思う。事業はかりに一万円のものもありましようし、一箇所五十億、百億というようなものもあるから、全面的ということには行かぬでしよう。およそそこに十万とか五十万とか、建設業法においてもすでにその段階を定めておる。さらにそこに限度を置いて、これ以上のものに対してはこういうような措置をとるんだ、こういうことをお定めになつているかなつていないか、この点をお尋ねいたしてみたいと思います。
  39. 澁江操一

    ○澁江政府委員 この点につきましては、実はこの法律によりまして登録、工事監督を受ける保証会社の運営によるわけでございますが、登録をいたします際に事業方法書というものをとりまして、その事業方法書において、ただいま御指摘のありましたような保証すべき工事の金額、種類、そういう取扱いの対象をどういうふうに運営して行くか、制限するかということを登録の際に検討いたすわけでございます。私どもといたしましては、これは根本的に申しますと、保証会社が運営を続けられるだけの能力があれば、相当取扱う対象を広くとつて、それがためにある程度の危険率が出ても、なおそれを保証して行くという能力がありますれば、もちろんそれを拒む必要はない。できるだけそういうことにして対象となる工事なり業者の範囲を広めて行くという理想に近づける、こういうことは考えられてしかるべきだと思つております。しかしながら何と申しましても、今回初めてこれによつて会社の設定が企図されておりますし、建設業者の立場から考えましても、この会社の設立を早くはかり、これが信用ある状況に達し得るということがもう最大目的でございますので、そういう観点に立ちまして、ただいま考えておりますところは、五十万円以下の工事については、おおむね現在の業者の資本においてもおそらく解決できる問題じやないか、従つてそれ以上の金額に達するものについては、少くともこの保証額が保証の対象になるというふうな運営をしたならばどうかと考えておるわけでございます。
  40. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私どももそのくらいの程度ならこれは大体全面的に利用し、その趣旨にいつておるこの公共事業の迅速かつ完全なる遂行を期することに貢献し得ると思います。そこでしからばこの保証事業会社というものの性格は、この中にも資本金は三千万円以上でなくてはいかぬというようなことが書いてあつたように見たのですが、それは一体全国で何箇所くらい想定できておりますか、もしそれの何か考え方がありましたら、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  41. 澁江操一

    ○澁江政府委員 今御指摘になりました問題につきましても、これは非常に重要な問題でございまして、私どもいろいろ検討をいたしておつたわけでございますが、これは全国一社という考え方も成り立ち得ると存じますし、また全国数社の考え方も成り立ち得るわけでございますが、一つの問題はやはり全国一社にした場合を想定いたしますと、全国にわたる業者を一つの会社が責任をもつて信用状況その他を調査して行くということは、会社運営上どうかという気がいたします。そこでむしろ私ども考えておりますことは、この際全国二社くらいの構想を持たれて、ある程度の受持ちと申しますか、業者の選択や信用調査等に潰漏のないようにされる方法を考えたならばどうかと考えております。業界側におかれましても、この会社の訓戒立地寸をいろいろお考えになつておるわけでございますが、やはりこの方面におきましても私ども聞いておりますところでは、全国二社の構想を持つておられるように承知いたしておるのでございます。そういう方法において設立が企図され運営されるならば、この法案の一社による弊害は除かれるのではないかというふうに考えております。
  42. 逢澤寛

    ○逢澤委員 大体趣旨はわかつたのでありますが、私は最後建設大臣にもひとつ注意を喚起しておきたいと思いますのは、これは私どもから考えると非常にいい考え方だと思います。しかしながらこの運営のいかんによりますると、大業者——比較的健全業者といいますか、健全業者を擁護する、こういうことになりがちになつて来るのです。企業会社はその金を貸すということになるのだから、信用度の厚いものに金を貸す、これに流れやすくなる。そこでそうなりますると、建設業法のいつておるつまり小さい業者はそれぞれその特技を持つておる、小さい仕事をやるのにはやはり小さい業者がそこになくてはいかぬ、ところが大業者に対してはこうした金融措置の上においても保護が加えられる。しかも信用度というものが、金を貸すことによつてそこに肯定づけられるということになつて来ます。これにはずれるものは信用度が低いのだということに陥りやすい、そこに若干危険が考えられるのであります。従いましてこの運営と、この保証会社を監督する上につきまして、そうしたことに陥らないようにひとつ——今の説明で大体わかつたのでありまするが、今後の取扱いとこの監督の上におきまして、弱小業者を圧迫といいますか、大業者を保護するために、小業者が圧迫されないような構想と監督を嚴重にしていただく、こういうことを注意しておきたいと思いますので、そのつもりでひとつ措置をお願いいたしたいと存じます。
  43. 松本一郎

    松本委員長 本案に関する質疑は次会に続行することといたします。  本日はこの程度にして、次会は追つて公報で御案内いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十六分散会