○目黒
政府委員 時間がかかりますが、少し経過を
説明した方がよいと思いますので、地図によ
つて御
説明することにします。
御
承知の
通りに利根川問題は、
昭和十年、十三年の大洪水から取上げられまして、この根本
改修をやらなければならぬということにな
つたのですが、その後十六年に大出水がありまして、小貝川
改修計画というものを一応立てたのであります。御
承知の
通りに利根川で一番弱いと思われるのは小貝川のところです。これが十六年のときには一万立方メートルというのが一万三千立方メートル、こうな
つたので、これではどうにもしようがないというので小貝川を取上げて
改修計画を立てたのですが、その
改修計画は、われわれの先輩の富永博士がつくりました富永案というのがあります。なぜこういうふうにつけかえ工事をしなければならぬかというのは、布佐と布川の間が非常に狭窄にな
つていますので、利根川の水がここでせきとめられまして、これが現在小貝の方に逆流して行きまして水位が上るわけです。そこで
昭和十年あるいは十三年、十六年、それから一昨年にこれが切れたわけです。十年に切れましたのはこの辺が切れまして、ここの数万町歩が全部水が出て大
災害を受けました。その次に切れましたのがこの付近であります。それから最近切れましたのは、こちらが幾らか丈夫にな
つて北相馬の方に新しい事件が起
つたのであります。そこでこの狭窄部があ
つたのではどうにもしかたがないというので、これを下流の方につけかえるという案を一応つく
つたのであります。これが十六年であります。ところが十六年にこれをつくりましたが、この付近が反対を起しましてそのままにな
つてお
つた。最近になりましてまた二十五年に切れましたので、われわれとしてもこんな危い小貝をほ
つておくわけに行かないというので、知事の方にこれの促進方を頼んだのであります。もちろん知事としてもこれは捨ておきがたいものでありますので、知事は二十四年の六月ころから小貝川
総合開発委員会というものをつく
つておりまして、地元の代議士の小野瀬さんがその
委員長となり、副
委員長は橋本代議士がこれに携わ
つてお
つたのですが、この
委員会を開催して、まずこの案を検討したわけであります。しかしなかなかこれが反対を受けましてどうにも方法がない。いろいろ比較検討して案をつくりましたが、いずれにしてもこの辺にかかる。どこに持
つて行こうとかか
つた者は大反対であります。そこで第三回だと思いますが、この案は白紙にもどして
建設省でひ
とつ技術的にりつぱなものをつく
つてくれ、おまかせするという注文が
委員会の方から出たわけです。そこでわれわれとしては、いろいろ検討してみた結果、結局これに堰割りをつく
つて、この赤の線のように持
つて行くという案を昨年の八月に発表したわけであります。ところがこれが愚案だというのが地元布川町長の話であります。というのは、こちらも反対し、ここにも相当な犠牲があるので布川町長が反対しているというのが現在までのいきさつであります。その間にいろいろな発表の道程におきまして、発表の言葉の問題あるいはその他の問題でいろいろトラブルがありまして、現在布川町長の反対しておりますのは、言葉の表現の仕方の問題をいろいろとらまえてや
つて来ております。しかしながら簡単に言いますと、この案は愚案でも何でもない、最喜の案である。ということは、これはわれわれが一方的にきめたわけではないのでありまして、われわれの大先輩の技術者がこれに関與してくだされ、もちろんこの案をつくられました富永博士も御關與されて、これならよいということに相
なつたからであります。もちろんこの案とこの案との時代的な
計画の変化はあります。利根川が栗橋の上流で切れた水害のあとに水量が今までより多くな
つて、一万七千立方メートルの水量を流すためには、上流においてダムで三千立方メートルを流さなければならぬから、布川の上流
方面から放水路をつく
つて千葉に流さなければならぬという案をつく
つたのであります。でありますから、この時代とこの時代とは多少時間的な数字的な変化があります。布川町長の山田さんは、この時代の数字をとらまえて
改修計画の数字の誤差を多少指摘しておられますが、これは技術的に何ら心配がなく、
説明できるものと考えております。以上簡単でありますが、こんな経過にな
つております。
そこで最近、これはもう非常に最近でありますが、こういうふうに遵延してお
つたのでは、本年度も一億円の
予算をつけ、これも多少繰越さなければならぬという
状態であります。来年もまたさらにこの
事業を推進しなければならぬ。利根川として一番弱い所を放任するわけには相ならぬので、三月十二日ですか、衆議院第二
議員会館に、
建設大臣の招請によ
つて、
関係地方出身の衆参両院
議員、茨城県知事、同県会議長、土木部長、
建設省から、政務次官、事務次官の両次官、技監、
河川局長、
河川局次長、治水課長というような
関係者が集まりましてこの行き方を相談したのでありますが、何しろいまだこの辺に立入りすることさえもできないので、さしあた
つて立入りして
調査をする段取りを進めて行きたい。そのためには
土地収用法の発動というようなことがあるが、その準備をしようではないかというところまで結論が行
つておるのであります。