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1952-03-18 第13回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十八日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 鈴木 仙八君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    宇田  恒君       上林榮吉君    小平 久雄君       瀬戸山三男君    西村 英一君       三池  信君    増田 連也君       池田 峯雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         厚生事務官         (薬局局長)  慶松 一郎君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  大村巳代治君  委員外出席者         建 設 技 官         (住宅局建築防         災課長)    村井  進君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 三月十八日  委員川島金次君辞任につき、その補欠として前  田榮之助君が議長の指名で委員に選任された。 同日  前田榮之助君が理事補欠当選した。     ————————————— 三月十四日  特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法  案(瀬戸山三男君外四十二名提出衆法第五  号) 同日  道路法改正に関する請願滿尾君亮君紹介)(  第一四五七号)  海岸堤防国家管理に関する請願藤田義光君紹  介)(第一四六四号)  追浜、長浦地区の再接収に関する請願猪俣浩  三君紹介)(第一五〇七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事互選  小委員補欠選任  住宅緊急措置令等廃止に関する法律案内閣  提出第三四号)(参議院送付)  屋外広告物法の一部を改正する法律案内閣提  出第五八号)  特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法  案(瀬戸山三男君外四十二名提出衆法第五  号)  公営住宅法第六條の規定に基き、承認を求める  の件(内閣提出承認第三号)  建設行政に関する件     —————————————
  2. 松本一郎

    松本委員長 ただいまから建設委員会を開きます。  本日の日程に入ります前に理事補欠選任つてお諮りいたします。すなわち前田榮之助君が去る三月十一日委員を辞任され、本日再び本委員となられたのでありまするが、同君理事でありましたので、これが補欠選任を行わなければなりません。理事補欠選任につきましては、前例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本一郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。それでは理事前田榮之助君を指名いたします。  次に小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち前田榮之助君は去る十一日に委員を辞任され、本日再び本委員となられたのでありますが、同君道路河川水道宅地建物取引業及び耐火建築助成に関する各小委員でありましたので、これら小委員補欠選任を行わねばなりません。小委員会補欠選任につきましては、前例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松本一郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。それでは道路河川水道宅地建物取引業耐火建築助成に関する各小委員前田榮之助君を指名いたします。     —————————————
  5. 松本一郎

    松本委員長 次に特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法案上林榮吉君、瀬戸山三男君外四十一名提出衆法第五号を議題といたします。この際まず提案理由説明を求めます。上林榮吉君。     —————————————
  6. 上林山榮吉

    ○上林山委員 ただいま議題となりました特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案について、最初から世話して来たものとして、かつまた提案者を代表いたしまして提案理由説明をいたしたいと思います。  御承知通り、本法案の概要についてはすでに当委員会において非公式に説明を申し上げ、委員各位の建設的な御援助を得て、この法案の結論を得たわけでございまするが、それぞれ困難な所定の手続を経て本日ここに本法案提出する機会を得たことは、われわれ関係者といたしましてまず深甚の敬意を表し、これが通過に対しましてさらに一層の御協力を得たいと思うものであります。  次にこの法案内容を簡単に説明いたし、提案理由を御説明申し上げますならば、特殊土壌と称する地帯が特に南九州を初め全国的にも相当散見されるわけでありましてこの特殊地帯内容を分析してみますと、ここに見本を持つて来ておりますように、特殊火山噴出物によるシラスボラコラアカホヤ、あるいは花崗岩の風化土、あるいは特に侵蝕を受けやすい性状土壌が、ともに全国的にあるわけであります。そのためにこの地帯においては、年々災害が他の地方よりも極度に多く、しかもこの地帯の農作物の生産高は普通の土地に比べてこれまた非常に收獲が少いのであるが、これが対策を普通の程度に放置しておくとすれば、国家的にも、地方的にも非常なる損害を加えることになりますので、経済再建の上からいつて極度に障害になることでありますので、これを国家助成を得て除去して行きたいというのがその根本趣旨でございます。  そこで法案内容を簡単に申し上げますと、第一條にこの法案目的を書いてありますが、特殊土壌地帶に対しまして、先ほど申し上げた理由によつて適切な災害防除及び農地改良対策を樹立し、これに基く事業実施することによつて特殊土壌地帶の保全と農業生産力の向上とをはかることがその根本目的であります。  第二條は、ここに明記してある通り特殊土壤地帶の指定をいたそうとするものでありまして「内閣総理大臣は、特殊土じよう地帶対策審議会意見をきいて、しばしば台風の来襲を受け、雨量がきわめて多く、且つ特殊土じよう(シラスボラコラアカホヤ等特殊な火山噴出物及び花こう岩風化土その他特に侵しよくを受けやすい性状の士じようをいう。以下同じ。)でおおわれ地形上年年災害が生じ、又は特殊土じようでおおわれているために農業生産力が著しく劣つている都道府県の区域の全部又は一部を特殊土じよう地帶として指定する。」というのであります。そして第三條に示す通り内閣総理大臣特殊土壤地帶対策審議会意見を聞いて、先ほど第一條説明申し上げた通り、その目的を達成するために必要な特殊土壤地帶における災害防除及び農地改良に関する事業計画を定めるのであります。  そこで第四條に基いて事業実施をやるわけでありますが、「前條第一項の事業計画に基く事業は、この法律に定めるものの外、当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。」ということにいたしまして、事業実施をなすのであります。  さらに適正を期するため特殊土壌地帯審議会設置をいたすのでありますが、審議会権限その他について、第五條に、「この法律規定によりその権限に属せしめられた事項その他特殊土じよう地帶における災害防除及び農地改良に関する重要事項調査審議するために、総理府特殊土じよう地帶対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。」とあるように、これらの設置権限を明らかにし、そして審議会特殊土壤地帶における災害防除及び農地改良に関する重要事項について、関係のある行政機関の長または地方公共団体に対し、意見を申し出ることができるようにしたのであります。なお審議会の組織といたしましては、第六條にある通り審議会内閣総理大臣が任命する委員十九名をもつて組織いたしまするが、ここに列挙してありまするように、地方自治庁の次長、大蔵事務次官農林事務次官運輸事務武官建設事務次官経済安定本部副長官、都道府県知事都道府県議会議長市町村長市町村議会議長学校教育法または旧大学令による大学の教授、農業者団体を代表する者、こういうことになつておりまして、その任期は二年となつているのであります。なお審議会の構成については、ここに示してある通り会長を置くとか、あるいは委員互選であるとか、会長が会務を総理するとか、專門の事項調査審議するために審議会專門委員を置くとか、それぞれ規定をいたしておるのであります。  さらに第七條について説明を申し上げますならば、「審議会は、第五條第一項に規定する事項調査審議に関し必要があるときは、関係のある行政機関地方公共団体その他の者に対し、資料の提出を求め、又は報告をさせることができる。」と規定しまして、審議会の運営について支障のないように、効果のあるように規定をいたしたのであります。  さらに関係地方公共団体等意見の申し出ができるように規定をいたしました。それは第八條にある通り、「関係地方公共団体その他の者は、第三條第一項の事業計画に関し、審議会に対して意見を申し出ることができる。」というのがそれであります。  さらに第九條は、国の予算への経費計上をここに規定をいたしました。それは「政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第三條第一項の事業計画実施するために必要な経費予算計上しなければならない。」と規定をいたしたのであります。この趣旨立法例は、御承知通り先般国会を通過いたしました単作地帯法案等にもその例があるのであります。  次に特別な助成の方法を講ずるために、第十條に「国は、第三條第一項の事業計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、地方財政法第十六條の規定に基く補助金を交付し、必要な資金を融通し、又はあつ旋し、その他必要と認める措置を議することができる。」と規定したのでありまするが、本條もまた、これに類した立法例は多数あるわけであります。なお「国は、国有財産法第二十二條又は第二十八條規定にかかわらず、第三條第一項の事業計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、その事業の用に必要な普通財産を無償で貸し付け、又は讓渡することができる。」と規定したのでありまするが、これはあくまでも国の財政の許される範囲内においての規定でありまして、立法例もまた多数あるわけであります。  次に附則として、「この法律は、公布の日から施行する。」ということになつておりまするが、大体臨時措置法性質にかんがみまして、「昭和三十二年三月三十一日限りその効力を失う。」と、一応ここに基準を規定したのであります。なお総理府設置法の一部を次のよりに改正する必要がありますので、改正いたしたのであります。すなわち「第十五條第一項の表中積雪寒冷單作地帶振興対策審議会の項の次に次の一項を加える。」ということにいたしまして、「特殊土じよう地帶対策審議会」という項を入れたのであります。  さらにこれに付随いたしまして、「特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法昭和二十七年法律第  号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。」といたしたのであります。  私は、本法案のできるまでの沿革ないしは立法理由ないしは法案内容について概略を御説明申し上げたのでありまするが、本法案予算的な措置政府においてすでに若干計上をいたしてあるのでございまして、この法案の成立によつて、すべての予算に重大な変更がないということを御了解を得るために附加いたしておきたいと思います。先ほど劈頭に申し上げた通り、本法案建設委員会各位の建設的な理解ある御援助によりましてこの成果を得たのでありまするから、一日も早く本法案が無事通過するように委員各位の積極的な御援助を願いたいと思います。  簡單でありまするが、提案理由を終りたいと思います。
  7. 松本一郎

    松本委員長 ただいま説明いたされた特殊土じよう法案につきましての質疑次会に讓りたいと思いますから、さよう御了承を願います。     —————————————
  8. 松本一郎

    松本委員長 次に屋外広告物法の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)を議題といたし、質疑に入ります。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 「第七條に次の一項を加える。」というその項でありますが、「都道府県知事は、前項の規定による措置を命じようとする場合において、当該広告物を表示し、若しくは当該広告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者を過失がなくて確知することができないときは、これらの措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。」かようになつております。現行の場合においては、広告者氏名等がありますれば、それに処置を命ずることができるのでありますけれども、そういうものがなく、広告物が多数に頒布されるというような場合の規定をここに設けたのであります。私がお伺いいたしたいのは、その中の「これらの措置を自ら行い、」これは知事がみずから行うわけでありますが、またはその命じた者に行わせるとあるのは、だれに命じて、だれに行わせるかという点を一点だけお伺いしておきたい。
  10. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 改正法の第二項でございますが、「自ら行い、」というのは、大体知事がみずから行うという意味であります。「その命じた者」というのは、用語例といたしましては、大体その部下に対して措置を命ずるという場合でありますし、委任するというのは、第三者に対して委任するという意味と私どもは解繹いたしまして、実は出したわけであります。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま知事部下に命じてやらせるという意味だとの御説明でございます。大体そうかもしれないと思うのですが、知事がみずから行うという場合は、私はほとんどないと思います。県庁職員諸君がやることは、知事のやることを常にやつているのでありまして、県庁職員広告物の撤去その他について命令するということはちよつとおかしいと思います。地方公共団体の仕事は市長にいたしましても、知事にいたしましても、すべてみずから責任をもつてやるのでありますが、みずからやるのと、部下に命じてやるのと、法律で区別する必要があるのかないのかということをお尋ねしているわけであります。
  12. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 お話の点はよくわかるのでありますが、用語例といたしましては、大体みずから行う場合と命ずる場合となつているのでありますが、非常に遠隔の地で、出張所あたりでやらせるような場合も私は考えられると思うのでありまして、そういうような場合におきましては、大体命じたという方がはつきりするのじやないかと思うわけであります。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 知事の職権を代行することは部下の職務であると思いますが、これ以上は追究いたしません。そういう趣旨立法されているということを了解いたしておきます。
  14. 松本一郎

    松本委員長 ただいまの法案につきましては、質疑を一応ここで打切ります。     —————————————
  15. 松本一郎

    松本委員長 次に住宅緊急措置令等廃止に関する法律案内閣提出第三四号を議題といたします。本案につきましては前会において質疑を終了いたしております。  これより討論に入ります。通告順にこれを許します。田中角榮君。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 私は自由党を代表し、本法案施行に際し、立ちのき等に対し、政府において適切なる処置をとらるることを希望し、政府原案賛成いたします。
  17. 松本一郎

  18. 村瀬宣親

    村瀬委員 私は改進党を代表いたしまして、本法案実施運用に関し、嚴重なる要望を付して本案賛成せんとするものであります。  本法案提案理由として政府の述べられましたところによりますると、最近のわが国の住宅事情終戰直後に比すればかなり緩和したという観点にお立ちになつておるようでありまするが、私たちもの見方をもつていたしまするならば、まだまだ住宅事情は容易に民生の安定に資しておらないという実情を認めずにおれないのであります。本法案の一番大事なことは、現在緊急措置令等にによつて住宅に転用いたしておりまするその利用者たちを、立ちのき先を定めて、具体的に申しまするならば、公営住宅優先居住を認めるということを前提として、この法案実施しようとなさつておるのでありまするが、あるいは第三條の立ちのき期間の一箇月の予告とか、あるいは第四條の十日間以上の期間を定めて。建物明渡しを命ずるというようなことは、この條文それ自体としてはきわめて苛酷なものでありまして、その運用につきましては、当委員会建設大臣初め、各係官が御答弁になりました通り実情に即した温情ある処置をとられることを嚴重に要望いたしまして、本法案賛成をいたすものであります。
  19. 松本一郎

    松本委員長 前田榮之助君。
  20. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に対しまして條件を付して賛成するものであります。  まず第一に、現在の入居者に対して公営住宅優先に提供して住宅確保をはかるという説明であつたのでありますが、この点につきましては、万全を期してやつてもらいたいということと、あわせてこの入居者が現在の住宅を立ちのかなければならない場合におけるところの、いわゆる新しい住宅にかわる場合においては、必ず家賃値上りによる負担が増大することは当然の帰結として起るものだと思います。こういう点につきましては、できるだけ家賃値上りにならないような公営住宅についての措置をとる必要があり、あわせてこれの引越しについても現在の所有者またはこれに関連する都道府県の方において適当なる処置を講ずる必要を認めるわけであります。  次にもう一点、われわれの希望を申し上げておきたいのは、この緊急措置令によるところの公営住宅を提供しなければならぬ都道府県に対しましては、公営住宅割当等による増設について、現在の地方財政逼迫の際におけるところの地方庁の非常な財政負担の増大になるおそれがあるので、地方財政平衡交付金及び預金部資金融資等についても、特別のわく等を考えられて、これらの都道府県財政の圧迫にならないように、政府はただちに処置をすべきものであると考えるわけで、こういう点について十分なる処置を講ぜられることの希望を付して本案賛成するものであります。
  21. 松本一郎

    松本委員長 これにて通告のありました討論は全部終了いたしました。  ただいまより住宅緊急措置令等廃止に関する法律案内閣提出第三四号、参議院送付につきまして採決いたします。本案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  22. 松本一郎

    松本委員長 起立総員、よつて本案は原案通り可決すべきものと決します。  この際お諮りいたします。本案に関しまする委員会報告書等の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 松本一郎

    松本委員長 異議なきものと認め、さよう決します。     —————————————
  24. 松本一郎

    松本委員長 本日の議題の中で屋外広告物法の一部を改正する法律案に対する質疑が保留になつておりましたが、今政府委員厚生省薬務局長慶松氏が出席いたしましたので、通告順によりまして村瀬宣親君の御質疑を願いたいと存じます。
  25. 村瀬宣親

    村瀬委員 厚生大臣にお尋ねいたしたいと思つてつたのでありますが、薬務局長がお見えになつたそうでありますから、ただいま議題になつておりまする屋外広告物法の一部を改正する法律案に関しまして、厚生省の御意見を伺つておきたいのであります。  これは表題の通り屋外広告物でありますから、印刷その他による、あるいはラヂオ等による広告とはおのずから性質を異にしておるということは当然であるのでありますが、最近伝えられるところによりますと、ある有名薬品全国的広告厚生省から掲載中止戒告を受けた。その理由一つは、米国品を脅威するということであり、他の理由一つはあまりに誇大であると認められたということでありますが、そういう事実があつたかどうか。それからそういうことになりますと、誇大の広告屋外広告でも、印刷物ラヂオと同様にすることがあり得ると思うのであります。そういう場合には厚生省がその全国的広告に対し中止戒告をなし得るものであるか、またなす御方針であるか、するとすればその法的根拠はどこにあるのか、それをお伺いいたしたいのであります。
  26. 慶松一郎

    慶松政府委員 ただいまの御質問でございますが、薬事法に基きまして広告取締りをやつておりますのは、薬事法法律に基きまして製造されますところの薬、あるいは医療用、あるいは化粧品につきまして、ことにその効能とかあるいは効果について、誇大な広告あるいは虚偽広告について禁止事項薬事法の三十四條にあるからでございます。ただいま御質問の具体的な問題といたしまして、全国的にそういう広告中止方をせしめたという記憶は、実は私はただいまございません。もちろんこの薬事法によりまして広告の制限をやりますのは、印刷物ラジオあるいは新聞紙その他に及ぶわけでございまして、従いまして当然屋外広告物にも及ぶ次第でございます。なおただいま御指摘のございましたアメリカ品に脅威を與えるがゆえに、その広告を禁止するというようなことは、私どもといたしましては考えてもおりませんし、またいたしたこともございません、ただあくまで私ども広告の規制あるいは監督をやつておりますのは、虚偽または誇大な広告ないしは猥褻にわたる、あるいは堕胎を暗示するというようなこと以外につきましては、取締りはいたしておらないのでございます。
  27. 村瀬宣親

    村瀬委員 「新聞・ラジオ広告」という二月二十二日発行のものにそういうことが出ておるのであります。そういう記憶がないということでありますが、そうしますと、この記事が間違つておるのか、なおお調べを願いたいと思うのでありますが、それにはこういうことも書いてある。「国内に宣伝しただけで、米国品を脅威するとあつては、広告威力もその薬品も大したものであるが、それが被占領法規に触れるというわけではあるまい」云々ということも書いてあります。記憶になければ仕合せでありまするが、日本独立国となるのでありますから、広告くらいは伸び伸びとしたいというのがせつかく独立を迎えるわれわれの気持であります。さらに今虚偽または誇大のときは、薬事法の何條によつて禁止するという答辨でありますが、虚偽はもちろんこれは場合によれば犯罪にもなるでありましようが、誇大というのはどういう限度をお用いになるのでありますか、係官が単なる頭のひらめきで御決定になるのでありますか、その御方針を承りたい。
  28. 慶松一郎

    慶松政府委員 虚偽はおわかりの通りでございますが、誇大の点につきましては、大体薬事法におきましては、薬にいたしましてもあるいは医療用具にいたしましても、これは登録ないしは許可なのでありまして、その際に、たとえば薬につきましては、その効果についても許可を得る次第でございます。従いましてその許可を得ましたより以上の意味における効果広告というようなことは、当然誇大というふうに見るわけでございますし、また一面化粧品のごときにつきましては、化粧品が薬に類似したような広告をするということは禁止されておる次第でございます。大体その程度でございます。
  29. 村瀬宣親

    村瀬委員 この点実際の運用上についてもう少しはつきりしておきたいと思うのでありますが、目の薬が耳まできくというなら、これは誇大というか虚偽というか、わかり切つております。しかし目には絶対にきく。これならば何もかも目は全部直るというのはどの程度を誇大というのでありますか。
  30. 慶松一郎

    慶松政府委員 もちろんその点は非常にむずかしい点がございますが、たとえて申しますと、この薬さえあればいい、たとえば胃病の薬につきましても、この薬さえあればすべて胃病の薬はいらぬというような意味広告、こういう具体的な問題につきまして一つ一つ検討するのでございまして、もちろんすべてこういう点につきましてはものさしをもつてはかるようには参らないのでございますが、その点良識をもつてつておるという程度に御了解を願いたいと思います。たとえばごく普通の胃の薬が胃潰瘍にきくというような言い方をいたしますことは、ある点におきましてはそれは単なる胃散も胃潰瘍の予防になるかもしれませんが、しかし、それをもつてただちに胃潰瘍にきくというような書き方をすること、これをもつてどもといたしましては誇大広告であるというふうに考えておる次第でございます。
  31. 村瀬宣親

    村瀬委員 今度はこの法案の実際の運用の点に及ぶのでありますが、先ほど私がお尋ねいたしましたのについては記憶がないとおつしやいますけれども全国的広告掲載中止戒告を受けたとあるのでありますが、そういう場合に、実際この法律案では都道府県知事に大体権限があるわけでございますが、都道府県知事はそれが虚偽であるか誇大であるかはむろんわかりません。主として美観風致の点から、それぞれの規定によつて都道府県知事は取締るわけなのでありますが、その連絡はどういうふうになさるのでありますか。つまりそういう意味からここに全国的掲載中止戒告を受けたというようなことが生れて来るのではないかと思うのでありますが、ただかつてに誇大の屋外広告を出しておる——都道府県知事がむろん薬事法第三十何條までも吟味してその広告を一々見るわけではありますまい。そういう場合の実際の運用はどういう経緯を経て目的を達せられておるか、伺つておきたいのであります。
  32. 慶松一郎

    慶松政府委員 薬事法の普及につきましては、この法律の中にもございますが、薬事監視員なるものを各府県庁に置いてございまして、その薬事監視員はもちろん薬その他の品質についても監視をいたしますが、同時に広告につきましても監視をする次第でございます。そういうわけでございまして、実際問題といたしましては、この問題に関しての経験者が扱つておる次第でございます。なおこの統一をはかりますために、大体におきまして非常にはつきりしておるような薬、たとえばかぜの薬を結核にきくというようなことにつきましては、これは問題ございませんが、しかしその点であいまいな点につきましては、厚生省に照会をいたして参るように私どもの方では指導いたしておるのでございます。なおただいまの、先ほどからお話になつております点につきましては、私ただいま係の課長を連れて参つておりますが、それに聞きましても、全国的にそういう広告を禁止したということはないと言つておるのでございます。それから、もちろん行政処分によつて広告の取消し等をいたさしめますには、法律に基いて聽聞を行いまして、その行政処分をいたしておるのでございます。従いまして、その点につきましては十分公正を期し得るものと私どもは考えておる次第でございます。
  33. 村瀬宣親

    村瀬委員 厚生省関係のはこれで私は質問を終ります。  それで、これをお聞きでありました建設大臣になお私は一点伺つておきたいのであります。屋外広告といいますると、広告のうちのごく限られた一部、看板に類するものではありますけれども、しかしやはり広告全体が屋外広告となつて現われて来るのでございまするが、ことにまたこれからの自由経済がいよいよ自由奔放に行われるとなりますと、広告宣伝というものが営業の大半を占め、また人心を左右するまでに立ち至ると思うのであります。こういう観点からいたしまして、都市計画法の改正が前々から問題になつておつたと思うのでありまするが、これは必ずしも屋外広告関係したもののみではありませんけれども、一体都市計画法は現在のまま改正の御意思はないのであるか、われわれはあると聞いておるのでありまするが、どこまで進んでおられるか、またどういう方面の計画を持つておられるか、この際建設大臣にお伺いしたいと思います。
  34. 八嶋三郎

    八嶋政府委員 大きな問題はまた大臣からお話があるだろうと思いますが、私から今までの経過等につきまして一応お話を申し上げることにいたします。  村瀬委員からのお話の、都市計画法の改正という問題について考えておるかということでありますが、この点につきましては、私ども都市計画法の全面的改正をいたすべく実は準備をいたしておるのであります。建設省内における都市局といたしましては、実は一応の改正案をつくつたのであります。本年はいろいろと建設省から出す改正法案が多い関係上、なお政府提案という立場に持つて行くにつきましては、各方面との折衝もいたしましたが、その面は十分に遂げられておりませんので、実は今国会には出しかねるような形になつたのであります。しからばどういう点を都市計画として考えておるかというお話でございまするが、第一番には、やはりできるだけ現在の中央集権的な考え方を地方に落して参ろうということが一つの要点でございまするが、それにいたしましても、やはり各方面との関連というものが、中央方面の施設などという点において、中央方面において管理しておりまするもの等との関連が非常に多うございまするので、ある程度やはり中央においてもいろいろと調整の任に当らなければならぬということも考えておるのでございます。大きな筋といたしましては、大体地方に落して参ろうという考え方を実は持つておるのでございます。なお都市計画の内容といたしましては、やはりもつと総合的な内容事項というものをはつきりと書こうじやないかということを実は考えておるのでございます。土地の利用計画あるいはいろいろな住居地域であるとか、あるいは工業地域であるとかいうような事柄は、現在建築基準法の中にうたわれておるのでございまして、都市計画法の中には、都市計画の施設として地域制度を考えるという程度にしか考えておらないのでありますが、こうした問題は都市計画の大きな内容でありまするので、そうしたような点等は、はつきりと都市計画法の中に書こうじやないか、そうしてあとは、いろいろ建築上の許可取締りといつたような面は、ひとつ建築基準法によつて参ろうということで、まずこの都市計画というものにつきまして、もつと詳細なる規定を置こうじやないかというような点が第一番でございます。そのほか交通網であるとか、あるいは重要な施設の配置計画といつたようなもの、また上下水道の施設といつたようなもの等は、重要なる都市計画の施設として、まずそれを織り込まなければならぬということも考えておかなければならぬと思うのであります。  それから都市計画をつくりました以上は、その都市計画にマツチをしてすべての施設は行われて参らなければならぬ。都市計画はつくられたけれども、それが実施という点について、その効果が非常に薄くなるようでは、せつかく地方におろし、地方が全知全能をしぼつてつくつたものが、あらゆる面においてめちやめちやにされるということでは、都市計画の効果は上りません。そういう意味におきまして、都市計画をつくつた以上は、できるだけその都市計画によつてやり、一つの拘束力というものを法律的には與えて参らなければならぬのではないかという点等も、今度の改正においては持に考えておるのであります。そのほかいろいろな施設というようなものにつきましても、地方に都市計画の委員会設置いたしまして、都市計画に載つていなくても、都市計画に非常に支障のある問題等については、必ずそこの意見を徴しなければできないというような意味における拘束を與えて行くとか、いわゆる効果面におきましてある程度強化をして参りたいという点等を実は考えているような情勢であります。そのほか数件ございますが、要は、そういうような筋に従つて都市計画法の改正をやつて行きたいというようなことである程度立案いたしたのでありますが、関係方面との折衝が十分に参りませんので、現在のような状態になつている次第であります。
  35. 村瀬宣親

    村瀬委員 大臣はいかがですか。
  36. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいま局長の答弁した通りであります。
  37. 村瀬宣親

    村瀬委員 大臣の答弁はきわめて簡単でありますから、もう一点伺つておきます。屋外広告物法と都市計画法とは何ら関連がないと思つてか、大臣の御答弁は二、三語に盡きたのでありますが、私のお尋ねしたいと思いますのは、屋外広告物法の第二條に、「常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、」とうたつてあるが、これからいわゆる占領軍司令部の解消によりまして、いろいろな社会情勢、いろいろな事態が考えられると思うのでありまして、張紙、張札はこれから跳梁跋扈するに違いないと思うのであります。これは一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものとあるのでありますが、それは警察の仕事だとか、特審局の仕事だとか、いたずらにセクシヨナリズムによつて自分のなわ張りにひつぱり込もうとか、なわ張りから追い出そうというような気持では、こういう治安その他の問題の解決はできるものではないのでありまして、あらゆる観点から、治安その他人心の動揺は防いで行かなければならぬが、それらに対し、建設大臣はどういう方針を持つておられるか。これは都市において特にそういう点が想像されますので、私は都市計画法の点をちよつとお聞きしたのであります。むろんこれは警察その他の主管事項になるかもしれませんが、この観点からもまた研究をしておく必要があると思いますので、建設大臣の御意見を伺つておく次第であります。
  38. 野田卯一

    ○野田国務大臣 屋外広告がきわめて濫に流れて、それがために社会に悪い影響を及ぼすというようなことは避けなければならぬと考えております。今回の法律案も、そういう大きな考え方の現われの一環として出ているというように御了解を願いたいと思います。
  39. 田中角榮

    田中(角)委員 動議を提出いたします。屋外広告物法の一部を改正する法律案につきましては、質疑を終了し、討論を省略し、採決に入られんことを望みます。
  40. 松本一郎

    松本委員長 田中君より屋外広告物法の一部を改正する法律案については、質疑を終了し、討論を省略して採決せられたいという動議が提出されました。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 松本一郎

    松本委員長 御異議ないと認めます。  それではただいまの屋外広告物法の一部を改正する法律案を採決いたします。本案に御賛成の方の御起立を願います。     〔総員起立
  42. 松本一郎

    松本委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決することに決しました。  この際お諮りいたします。本案に関する委員会報告書作成等に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松本一郎

    松本委員長 御異議なきものと認め、さようにとりはからうことにいたします。     —————————————
  44. 松本一郎

    松本委員長 次に公営住宅法第六條の規定に基き、承認を求めるの件、内閣提出承認第三号を議題といたします。  質疑通告があります。これを許します。西村英一君。
  45. 西村英一

    ○西村(英)委員 公営住宅の建設につきましては、本日可決いたしました住宅緊急措置令等廃止に関する法律案におきましても多少触れたのでありますが、今回正式に国会に提出されたこの計画を見ますと、一言に申しますと、どうもわれわれの心配なことは、ペーパー・プランに終るんじやないかという感じがするのであります。と申しますのは、すでに大臣も御承知通り、過去の公営住宅の建設戸数の実績、また国家財政公営住宅に支出いたしましたところの財源の限度があるにかかわらず、第一期公営住宅の建設三箇年計画として提出されたものは、これらの実績よりもはるかに上まわつておるのであります。もちろん住宅不足の緩和の点からはまことにけつこうでありまして、私たちはこれに不賛成を唱えるものではございませんが、実績から比べれば、はなはだしく多いということにつきまして、どういうような建設計画の解釈をしておられるのか、その点を私は聞きたいのであります。と申しまするのは、これは第一期三箇年計画ということになつておるから、二十七年、二十八年、二十九年の三箇年で、ただいま提出になりました十八万戸をつくるという年度計画を持たない三箇年でやるということであるかどうか。これは普通の年度割で行きますれば、三箇年と申せば、年平均六万戸になるわけです。ところが二十七年度の住宅は、もうすでに約二万五千戸にきまつておるのでありますから、あとの残額を二箇年でこなそうとする計画であるのか、どうなのか。あるいは住宅が不足するからペーパー・プランで出したらこれだけの数になるからというような、こく安易な気持で出されたのであるかどうかという点につきまして、大臣の真実のお話を聞きたいのであります。
  46. 野田卯一

    ○野田国務大臣 住宅建設計画でありますが、ただいまこれはペーパ・プランではないか、注意しろということでありまして、きわめて適切な御警告だと思います。私も審議会でいろいろ審議されました話を経過的にも聞いておつたのでありますが、現在の状況から見まして、二十七年度予算に盛られておる程度ではこの計画が実行できないということになるのであります。従いまして今後補正予算等の機会がありますれば、できるだけ努力いたしまして、建設戸数の増加をはかりたいと思います。三箇年計画となつておりますが、それを三箇年平均割で行くか、あるいは後年度においてふくらして行くかという問題がありますが、私としてはなるべく平均的に行きたいと思います。しかし実際の問題は、二十七年度につきましてはすでに予算が出ておるのであります。補正予算が出る機会になるべく平均的な点に持つて行きたいと考えておりますけれども、これは財政全局の状況から、確言は申し上げかねますが、なるべく早く三箇年計画をやつて行きたいという熱意を持つております。
  47. 西村英一

    ○西村(英)委員 大臣の御答弁はまことに心強い御答弁でありまして、ペーパー・プランではないのだ、これを実行するんだというお話でありまするから、もしそれが真実であれば、私はもうこれ以後の質問を申し上げる必要はないのです。しかし非常に実績と異なつておるし、ことにまたそういう心持があれば、二十七年度の建設戸数にそれが反映しないはずはないと思う。二十七年度は住宅緊急措置令廃止することによりましても、例年よりはやはり多くの公営住宅がいることになるのであります。ことにまた昨年あるいは今年の災害等を受けまして、住宅の不足も例年よりは非常に多いのであります。にもかかわらず、公営住宅の建設戸数は従来よりは私は多くはなつておらないと思うのであります。それで今後の一箇年計画を立てるのに、大臣のおつしやるがごとく、三箇年でもつて十八万戸をこなそうというくらいの決心があれば、二十七年度はもう少し私は身を入れてもいいのではなかつたかと思われるのでありまして、その点から考えれば、私は財政的に見まして、どうもそういうような気がいたすのであります。しかしこれはペーパー・プランではないのだ、住宅不足からかような結論が出るのだということを大臣はおつしやるのでありまするから、私はこの場合あなたのお言葉を信用して行くよりほかにしようがないのでありますが、もしかりにただいま提出されたものが国会を通過いたしますると、これは地方公共団体その他に通知しなければならぬわけでありまして、この計画とはなはだしく今後の実際の戸数とが異なつた場合は、これは非常に羊頭狗肉でありまして、はなはだ政府の威信を失墜するものであろうと私は思うのでありまするが、その辺ははたして十分な実施の見通しがつくのであるかどうか、もう一回大臣からお話願いたいと思うのであります。
  48. 野田卯一

    ○野田国務大臣 この計画の性質でありますけれども、私はこれを必ずやるとかいうことを確約申し上げるものではないのでありまして、計画の性質から行きまして、財政の許す限り極力この線に近づけようという性質になつておる。その点は十分御了承願いたいと思います。これは財政全局の問題でありまして、建前が財政の許す範囲で極力進めて行く、努力目標という、言葉はぼやけておりますが、極力そこへ近つけて行きたい計画である、こういうことを御了解願いたい。二十七年度につきましては、もう予算が編成終つて、これが答申になつておるような実情でありまして、従いましてこの審議会の答申の線と予算の線とが少し食い違つているといいますか、瞬間的に食い違つているという点もあります。従つて今後補正予算等が出ました場合には、極力この線に近づけるように努力するということが私の務めである。こういうふうに考えておりますから御了承願いたいと思います。
  49. 上林山榮吉

    ○上林山委員 住宅問題について建設大臣の責任のある答弁を要求したいと思います。御承知通り政府住宅金融公庫、公営住宅等に対して財政の許す範囲内において、相当に努力をして来たことをわれわれも認めるのでありますが、さらに三百数十万戸の住宅不足をば解消するために、政府住宅金融公庫の予算の増額、あるいは第一種、第二種公営住宅予算の増加、さらには健全な民間団体の育成等による根本的な住宅解決策をとられようとする態度についてはわれわれも了とし、さらに積極的に協力をしたいと思うが、こういう観点から私は二、三質疑をするのであります。  まず第一点は、本承認事項質問に入る前に、住宅促進法はどういうわけで今回議会に提案されないようになつたのであるか、われわれは先ほど申し上げた意味住宅の総合的解決のために、政府がわれわれの意向をいれて住宅建設促進法を出されようとしたその努力に対して、敬意を表しておつたのであるが、これが突如として提案をしないということになつた。しかも所管が大蔵省に移されて、わずかにこのうちの減免措置だけが大蔵省所管として改正されるやに聞いているのでありますが、これでは建設大臣として、あるいは建設当局として住宅政策に対する熱意を疑わしめるものではないか、私はこういうふうに心配しておりますので、まず大きな問題についての所見を伺つてから二、三次の問題に移つてみたいと思います。
  50. 野田卯一

    ○野田国務大臣 住宅の問題は最近の日本にとりましてはきわめて重要な問題でありますので、われわれといたしましても極力努力をいたしていることは御承知通りでありますが、住宅建設促進法ともいうべき法案提出につきましては、私どもの方としても十分に研究をいたしまして、その内容につきまして最近まで得ましたところは、大体租税の減免措置と、もう一つ住宅組合の助成、大体こういう一点であつたのであります。ところがいろいろと交渉しております過程におきまして、租税の減免措置については、われわれの要求するほどのところまでは参りませんでしたが、ある程度大蔵省の方におきましてもこれを容認いたしまして、それから地方税につきましても、地方財政委員会との交渉の結果、相当程度認めてくれたのでありますが、これを法律化する点におきまして、従来大蔵省としてはそういうものは租税の特別措置法の方で取扱う慣例になつているから、ぜひそうさせてもらいたいということであり、また地方財政委員今の方でも、地方財政委員会のこの種の問題のうちの取扱いの例がありますから、それによりたいということであつたのであります。われわれとしても、なるべく一本にまとめたいという希望を持つてつたのであります。そういう実際の内容については、われわれとしてはもちろん不十分でありますが、意見の一致したものの表現の形の問題になりますので、名を捨てて実をとると申しますか、向うがそういうふうにぜひしたい。従来もそうしておつたというならば、それをしいてほかの法律でやるという必要もないだろう、実質をとればいいじやないかという議論もありまして、大蔵省の租税特別措置法の方でそれを処置することといたし、また地方財政委員会の方の措置にまかせたのであります。残りました住宅組合の助成という問題につきましては、まだ十分にそれだけで単行法にして出すということには、住宅建設促進法の内容としては少し貧弱であると思いまして、これは一応内容的にも検討したい向きもありますので、これを今後の問題として一応留保いたした次第でありまして、私どもといたしましては、住宅問題につきまして今後たゆまざる努力を熱心に継続して行きたいと考えておる次第であります。
  51. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大臣が名を捨てて実をとるために、住宅建設促進法をひつこめて、そしてただいま答弁された通り、大蔵省所管、あるいは地財の所管というようにしたのである、こういうお話でありますが、内容を承つてみて、確かに一歩前進した点を認めるのにやぶさかではないが、住宅建設促進法というような総合的建設法案に比べて確かに一歩退却である。また住宅政策は部分的な問題は別としても、基本的な問題については建設省が一元的にこれをやつて行くところに、初めてその能率を上げることができるのであります。私どもは閣内の事情がどうであつたかはよく知らないが、所管大臣としては、その建設促進法が貧弱であつたならば、さらにそれを練り直して、内容の充実したものにして、何がゆえにこれを提案されなかつたか。それだけの政治力を実は私は期待しておつたのであります。そういうふうになぜされないのであるか。私は大臣の住宅政策に対する熱意はわかるけれども、具体的な処置がもう一歩足らぬ、こういう気がしてならないのであります。これに対する考え方を伺いたいのであります。
  52. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいまのお話の住宅建設促進法の内容の問題でありますが、税金を引下げる、あるいは減免するということを促進法の内容にうたいました場合と、それからそれを租税特別措置法にうたいました場合と別にかわるわけではないのでありまして、その法律によつて税務署が具体的に税金をかける場合に、それによつて税を減免するということだけでありまして、私たちの出す住宅建設促進法にうたいましても、結局税務署で基準にしてあるということでありまして、その点実質的に差はないと思つております。なお税の減免につきましては、今後もいろいろと研究をいたして行きたい。税の減免を力強く主張したのは私今度初めてでありましたが、大蔵省並びに地財は初めびつくりしておつたわけであります。しかし初めは全然受付けないような空気であつたのでありますが、折衝に折衝を重ねてまず半分といいますか、半分方向うを納得させたというようなことになつておるのであります。今後もさらに努力を続けて参りたいというふうに考えております。
  53. 上林山榮吉

    ○上林山委員 減免処置については最初の案より一歩退脚だと思うけれども、これが実現したことは努力の結果であつたということを私どもも認めるにやぶさかではありませんが、住宅建設促進法という観点から見ると、単に所管という問題だけではなしに、内容的に一歩退脚である。ことに盛られていた住宅組合等に対する処置等も未解決である。また住宅建設促進法が大臣の答弁の中にあつた通り、未熟のものであつたとしたならば、これをさらに検討して内容を充実して、少しぐらい遅れて提案しても私は住宅解決の方法としては、その方が総体的であり根本的だ、こう思うものでありまするが、過去のことについては、促進法の問題についてはこれ以上申し上げないが、もう少し内容をあらためて研究の上でこの法案を出す用意があるのかどうか、この点を伺つて次の質問に移りたいと思います。
  54. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は税金の問題は最後に申し上げましたように、大蔵省の方針といたしまして、租税の臨時措置法の方で取扱うという方針をぜひ認めてくれという限りにおきましては、それをしいてこちらの者が、——内容についての話合いがきまりますれば、形は必ずしもこちらへ持つて来るということを主張し続ける必要もないのじやないかと考えております。地方税についても同様に考えております。なお住宅組合の育成とか助成というような問題につきましては、実はその論議の最中に、やはり資金的な問題が一番大きな問題であるから、資金面を解決することに一番大きな力を注ぐべきであるというようなことが中心になつて来ておるのでありまして、この点につきまして、さらに私たちも努力を重ねたいと思つておりますが、これは渡米された上林山委員も御承知通りに、外国でも住宅についてもいろいろな法制も制度もあることでありますから、そういう点も十分研究して行きたい。その結果、今後どういうふうな形に法案として持つて行くかということについては、まだこの段階では申し上げかねるのであります。大いに今後研究いたしまして、どういう形で国会なら国会に持ち出すかということを研究いたしたいと思つております。
  55. 上林山榮吉

    ○上林山委員 住宅政策についていろいろ考えている、しかも外国の例等も参考にして、住宅組合に限らず、民間のまじめな団体等も動員して、住宅政策を立てて行きたい、そういう意味において住宅建設促進法の検討をしておるのだ、成案を得たならばさらに国会にこれを提案するつもりであるという意味趣旨了解していいかどうか。  そこでさらに続けて質問いたしたいことは、国家財政には限度がある。住宅金融公庫の予算をわれわれが増額したいと思つて政府に協力をしておるが、この予算の増額にしても、現在の二倍、三倍というような予算をとることは事実上むずかしい。ひいて第一種公営住宅、特に第二種の公営住宅等についてもわれわれは予算の増額を要望して来ておるのであるが、これとても現在の財政状態からすれば三倍とか四倍とかいうふうに増額して行くことはとうてい不可能である。これは良心的に、しかも責任のある考えという立場から見まして、とうていここ二、三年は不可能である、こういうふうにわれわれは大局的見地から考えておるのであります。そこでお示しになつた第一期公営住宅建設三箇年計画の内容を見てみますと、西村委員もお尋ねになつておつた通り、私どもは理想案としてはこれに何ら異議はございません。しかし実施案ということになりますとむずかしい。またこれが単に大蔵省とのかけ合い、その他の事務とのかけ合いという意味でこの目標額を示されたのであるならば、私はその方法としてもまずいと思う。少くとも日本財政状態から考えて五割増しとかあるいは二倍くらいにするとかいう程度のことならば、かえつて大蔵省その他の関係方面の諸君を納得せしめることができるのではないか、こういう点から考えて、十八万戸を三箇年計画でやるという公営住宅のこの案は画餅にひとしいと思う。だから画餅にひとしい案を示すよりも、先ほど申し上げた通り実行可能な、しかも増強案というようなものをお組みになることがいいのではないか、こういうふうに私どもは考えておりますが、この点はどうか。  さらに続けて申し上げますが、最後に予算の立場から言えば、住宅金融公庫にしても公営住宅法案にしても、予算を増額し得る限度というものはおよそ見当がつく、増額できるにしても見当がつく。してみれば三百数十万戸の住宅を解決するためには、この二つの方法だけではいけないということがわかる。どうしても民間の有力な団体政府が育成し、これが住宅建設に対して一役を買わせるというような行き方をしないと、政府だけで住宅の解決をやろうとすることは、二十年や三十年たつてもこれが解決はできないのでありますから、こういう民間の健全なる団体等に対してこれから研究を進め、これを大いに育成して行くという、大きく言うと、国際的な基準方法というか、あるいは日本実情に沿うためにというかわからないが、そういうお考えはないかどうか、この点を伺つておきたいと思います。
  56. 野田卯一

    ○野田国務大臣 最後の点から申し上げますが、政府だけでこの住宅不足の問題を解決することはとうてい至難であると思います。従いまして民間の各方面の力を結集して行かなければならないというわけで、御承知のように先般も日本住宅協会というものが設立されまして、藤山愛一郎氏が会長に就任して活動を開始いたしております。こういう団体とも密接な連絡をいたしまして、相協力いたしましてこの問題を力強く推し進めて行きたい。官とそれから一般民間の方々の力を結集して邁進して行きたい、こういうふうに考えております。  それから金庫の計画の問題でありますが、三箇年間に十八万戸というのは、いわゆる画餅である。多過ぎるというお話でありますが……(上林山委員「多過ぎると画餅とは違う」と呼ぶ)画餅であるというお話でありますが、財政状況の今日の実情から見て、できないおそれがあるのではないかという御心配があると思います。私も同様の心配をいたしております。問題はこの案の性質が御承知のようにできるだけの目標を掲げ、努力目標といたしまして財政状況の許す限りこれに近づけるという案の性質でありますので、その点から考えておるのでありまして、私の聞いておるところでは、審議会においてもいろいろと議論があつて、これで少な過ぎるという人もあれば、多過ぎるという方もあり、むしろ少な過ぎるという案の方が多かつたのではないかと思います。と申しますのは、上林山委員も御承知通りに、こういう計画を立てる委員会になりますと、これあたりはどちらかというと、コンサヴアテイヴな、内輪の案になるおそれが多いのでありまして、こういうものが他からも出て来るのであります。内輪な話ではなはだ率直に申し上げますが、住宅計画だけではなくて、こういう計画は他にもあると思います。他の行政部門におきましても、予算の許す限り最大限ここまでは行きたいということを表明しろということがあるのではないかと考えます。そういう場合も考えまして、やはり審議会意見等も十分参照いたしまして、努力目標としてこういう数字を出しておるのであります。私はこれが必ずできるということを申し上げるわけではなく、今日の財政状況の苦しいこともよく知つておりますけれども、このくらいの数字は皆さんのお気持を体して、努力目標として、今日の財政状況あるいは予算折衝の状況、あるいはその他のいろいろなこういう審議会等の計画の状況、各般の状況を勘案いたしまして、苦心の結果できたものであるという点を御了承願いたいと思うのであります。これはもちろん政府だけのことではありませんので、建設委員会の方々も一緒になつて、ひとつできるだけ努力して行きたいと特にお願いしておきます。  それからもう一つ法律の問題は、どういう法律にするかということは、まだはつきり申し上げ得る段階に至つておらないということを申し上げます。
  57. 上林山榮吉

    ○上林山委員 努力の目標であるのだから了解せよということでありますから、そういう趣旨においては了解いたしたいと思いますが、しかしわれわれ建設委員会としては、実行可能なる、しかも前進した意味での実行可能なるところの案を承認することが、責任あるもののとる態度でなければならぬ、こう思いますので、こういう案を示すことは画餅にひとしいのだと申しておるのであります。それよりも実行可能なる二倍の案程度にされることが、実際必要になつて来るのだと私は思います。それが第一点。それから第二点は、民間団体等を動員し、あるいは日本住宅協会等を創設して、これが指導、育成、計画等にいろいろタツチさせるとか、政府と協力して住宅の解決をはかつて行くつもりであるという点に対しては、私どもも賛意を表して来たのでありますが、そうした単なる精神団体だけではなしに、事業団体、たとえて言いますと、生命保険会社とか、あるいは火災保険会社の資金を動員するというような考え、あるいは殖産住宅というような健全な会社があり、日本電建というような会社がありますが、ああいうまじめなりつぱな団体等を育成して、たとえば資金の融通をはかるとか、その他の便宜を與えるとかいう方向に持つて行くことが、かえつて政府のなし得ざる方面をなすという意味においてよいのではないか。また外国でもそうなつておる。だからこういう方面の実際的な団体を活用する意思はないかということも含んでおりますが、その点に対しての御答弁を願いたいと思います。
  58. 野田卯一

    ○野田国務大臣 民間団体あるいは民間機関の活用ということにつきましては、まつたく上林山委員の言われる通りに私は考えております。極力活用さしていただきたいと思います。  それから公営住宅案は、実行可能な二倍増しとか三倍増しがよいのではないか。これは二万五千戸で大体二倍になつております。(「二倍ではない。公営住宅は二万三千戸です。」と呼ぶ者あり)それからもう一つこういうこともお考え願いたいのは、数え方において、二万五千のほかに、御承知のようにルース台風その他の災害でなくなるものに対する災害住宅が建つわけです。これを数の中に入れるかどうかということもあつて、数え方の問題なのです。(「大蔵大臣の説明では二万三千戸だよ。」と呼ぶ者あり)それは北海道が拔けておりますので、予算説明では二万五千戸ということを申し上げております。
  59. 松本一郎

    松本委員長 私語はなるべく禁じます。
  60. 野田卯一

    ○野田国務大臣 もう一つ林山委員は御熱心でちようどいい機会だから申し上げておくのですが、公営住宅というものを考える際に、同時に融資住宅というものをここに入れなければならない。この十八万戸というのは、三年で割つてみますと、年六万戸平均になるわけであります。しからば融資住宅は一体どう考えておるか、融資住宅財政資金によつてまかなわれる住宅で、一種の公営住宅の変形みたいなものであります。そうすると、融資住宅公営住宅のプラスしたもので考えて行くという考え方があるわけであります。従つてもし公営住宅の方で、たとえば六万戸認められない、あるいは三万戸、二万戸しか認められない、何とか融資住宅で考えてくれないか、こういうことも予算折衝全体を考えて行くときには考えて行かなければならない。ところがこれは申し上げていいかどうかわかりませんが、これと並行しておる融資住宅の数はそう多くないと思います。融資住宅を現在五万戸つくつておる。おそらく審議会の考え方は六万ではないかと思います。公営が六万、融資住宅が六万で十二万になるわけであります。現行は融資住宅が五万、公営が二万五千に災害住宅が入れば三万になり、合計八万になります。そうしますと、その数は非常に接近して来る。その辺のところは予算折衝におきましては十分腹の上で全体的に考えてしておるという含みも十分御了承願いたいと思います。
  61. 上林山榮吉

    ○上林山委員 どうも大臣は神出鬼没というか、答弁術になれておるようであります。その上達ぶりは私も敬意を表するけれども、しかし先ほどは単なる努力目標であつて、とうていこれは実行不可能であるということをお認めになつておつた。ところがだんだん私が追究して参りますと、これは実行可能なる案であるということにかわつて来たのであります。私はどうもその辺の大臣の認識が不可解でならないのでありますけれども、融資住宅は二十七年度の予算では御承知通り五万戸、公営住宅は大蔵大臣の説明では二万二千戸となつておりますが、建設大臣説明では公営は二万五千戸となつたので、ここで訂正されたものとしてわれわれも認めますが、その二万五千戸を基準にして考えてみたところで、この計画を見ますと、三箇年で十八万戸だから三年で割つてみると六万戸、こういうことになるので、これも二倍としたときが五万戸で、これにしても大臣が池田大蔵大臣その他にしつかり認識せしめて予算をとるだけの腹芸をやつてもらわなければむずかしい。しかもこれを上まわつた案であるというから、われわれは画餅ではないのかと、半ば皮肉を交ぜて申し上げたわけでありますけれども、私はどうも大臣の答弁を聞いておつて趣旨が一貫していないところにいわゆる野田流があるのかもしれないけれども、しかし私としてはもう少し実行可能な案をお考えになる方が賢明だ、それであつたらわれわれは建設省に協力して、一文も大蔵大臣がひかぬようにした実行案を完成せしめるだけの熱意は持てるのだ。これはわれわれが協力せぬでもあなた一人で予算がとれるかもしれないが、あながち世の中はそう行かぬ場合がある。だからわれわれを納得せしめる案をお出しになつておつた方がいいのではないかというのが私の見解である。これに対して何か答弁があるならば承りたい。
  62. 野田卯一

    ○野田国務大臣 先ほど申し上げたことはおわかり願えたことと思いますが、公営住宅というものを土台にして現在の予算の二倍になつております。この二万五千戸というものについては、もつとふやした方がいいじやないかという御要求もございますが、もちろん補正予算等の機会がありましたならば、できるだけこれを増加したいという考えを持つておることは申し上げておつた通りであります。そういたしまして、今一応の案としては二倍半になつておりますが、そのままの形で実現が可能かということになりますと、かなり困難であることは先ほど申し上げた通りであります。住宅金融公庫の考え方については、年間今五万でやつておりますが、それに対して審議会で六万を予定しておるわけであります。この一万超過しておるということですが、私は政府住宅政策としては公営住宅の方と融資住宅の方をいつも関連さして考えておるということを参考までに申し上げておきたいと思います。いつもどういう財政資金でどれだけやつておるかということをお尋ねになるときは、両方合計して申し上げておることがありますので、御参考までに申し上げておきます。
  63. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私はこの問題についてはもう何も言わないつもりでありましたか、今大臣のお話を聞いておりますと、ちよつと了解に苦しむ点があります。それは融資住宅、個人の建設その他会社の建設全部を合して、三百何十万戸というものを二十箇年で完成しようという計画を出されておる。そのうち公営住宅を三箇年計画で十八万戸、ところが今だんだんお話を聞いておりますと、常識的に考えれば現在のような住宅政策では十八万戸はむずかしいという議論が出て来るのは当然であります。そこで今だんだんお話を聞いておりますと、これは審議会で決定いたした案であるということですが、私の聞いておるところによると、これは閣議によつて決定された案であると聞いております。そこで閣議で決定されたことについては、私どもは自由党の政党員でありますから、自由党内閣を絶対信任して今日強力に支援しております。かように種々検討され、案を立てて、しかも閣議によつて決定したものを大蔵大臣がどうのこうの、これから予算折衝してどうであるとか、含みをもつて融資住宅公営住宅の兼ね合いであるとかいうお話をされるのでありますが、この閣議決定には大蔵大臣がお立会いにならなかつたのか、お立会いになつたとするならば、建てないつもりでこういう案を閣議の決定にされたのかどうか承つておきます。
  64. 野田卯一

    ○野田国務大臣 これは御承知通りに閣議を経ておるのであります。その閣議を経るときは、御承知通り財政の許す範囲でこの計画を極力やるという趣旨の案でありますから、その点は初めにお断りしておいた通りでございます。
  65. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私が事務当局から聞いたところによると、これは二十年間で日本住宅を安定させる計画であると聞いております。国民もこれに相当の期待を持つておる。また一番深刻な国民生活の問題が今住宅問題にかかつておるのであります。こういうものを閣議で決定して、しかも国権の最高機関である国会で承認して、さて来年は建つかと思つたら建たないということになると、重大な責任であると思いますが、どういうお考えを持つておられますか。
  66. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいま申しました通り財政の許す範囲で極力その目標に近づけるようにいたしたい、こういう趣旨であります。
  67. 松本一郎

    松本委員長 本案はわが国が当面せる重要案件でありますから、質疑次会も続行することといたし、本日はこの程度でとどめたいと思います。     —————————————
  68. 松本一郎

    松本委員長 つきましてはこの際日程を追加いたしまして、建設行政に関して調査を進める件を御審議願いたいと思います。通告がありますのでこれを許します。池田峯雄君。
  69. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 この際大臣に、今非常に大きな問題になつております小貝川の合流点つけかえの問題について所信を承りたいと思います。この問題は、益谷建設大臣時代からの問題でありまして、小貝川の利根川に対する合流点をつけかえる案は、何べんか変更されまして、今度小貝川の並流背割堤案というものが建設省案となりまして今日に至つたのであります。これに対して地元民は非常な反対をしております。この反対意見に対して、県庁でもまた建設省でも地元の人たちを納得させるような説明をこれまで何らやつておらないのであります。そして最近に至りまして、土地收用令を発動して、強権によつてくい打ちをやつておるやに聞いておるのであります。そのために地元では興奮いたしまして、もし建設省の役人がやつて来るならば、一齊に半鐘をたたき、消防団は全部出動する、そして役人は一歩も寄せつけない。もしも来たならばわれわれの血の一滴が残つておる限り最後まで戰おうという気構えでやつておるのであります、一体こういうようなやり方をさせている建設省のやり方はいいものか悪いものか、この点について大臣はどういう考えを持つておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  70. 野田卯一

    ○野田国務大臣 この問題はかなり前からの問題で、懸案事項でありますことは今お話の通りであります。問題が複雑しておりますので、今案行方法について愼重に考究をいたしておるのであります。
  71. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 この間河川局長にちよつと会いましたときに、河川局長は、土地收用令による発動はやる、こういうふうに言明しておりました。いつやるのか、こういうことについては言明を避けましたけれども、おそらくこの点については大臣も御承知のはずだろうと思うのです。従つて土地収用令による強制収用は本年度内にやるのか。それとも三月中にはやらないのか、四月になつてからやるのか、あるいは地元と十分納得の行くまで交渉した結果、万やむを得ざる最後の手段として来年度、四月か五月ごろやるのか、この点をもつと詳しく御説明を願いたい。
  72. 野田卯一

    ○野田国務大臣 今慎重に考究中でありまして、まだ申し上げる段階になつておりません。
  73. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 どこからうわさが出ておるか知りませんけれども、土地收用令でやると河川局長も言明をしておりますし、そういう話が出ておりますから、従つて土地を取上げられ、家屋を立ちのかされなければならない布川町民並びにその附近の農民諸君が非常な気構えを持つているのでありまして、慎重に考慮しているのだから、それまでやらないのなら、何もむやみにそのように半鐘をたたいて役人と血の一滴になるまで戰うのだというような無用な挑発をする必要はないじやありませんか。だから慎重に考慮しているというその具体的な内容をここで公にしてもらいたい。それをここで発表してくれますならば、私は布川町民がそのことによつて非常に安心するだろうと思う。そして何もこの忙しいのに、半鐘を打つたならば、消防団はただちに集まつて防衛態勢をつくるというような無用なことはやらなくても済むのであります。国会議員の前にそういつた政府の慎重な措置内容を具体的に発表できないのでしようか。とするとこれは何かやるのではないか。満を持して、連中がゆだんしているすきをねらつてぱつとやるのが建設省のねらいだから、われわれとしては防衛態勢をゆるめてはいかぬということになつて来るのです。ですからもう少しその内容を具体的にわれわれ国会議員の前に明らかにしていただきたいと思う。
  74. 野田卯一

    ○野田国務大臣 ただいま申し上げた通りでありまして、さらにつけ加えることもございません。御了承を願います。
  75. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういうばかばかしい話はないと思う。一体なぜそれは発表できないのですか。では建設大臣は地元にそういつた興奮をさせることを望むのですか。そしてもし暴動的なことで役人を一人でもなぐるようなことがあつたら、それは共産党がやつたのだということで、共産党弾圧の口実にするつもりか。なぜ建設大臣は地元の人たちを刺激させないような措置をとらないのですか。これは益谷大臣のときから、増田大臣、野田大臣と三大臣に至る大きな問題でありまして、そのたびごとにいろいろな問題が起つている。益谷大臣はあるいはやらないと言つてみたり、やると言つてみたり、また別な所を通すのだと言つてみたり、今度は並流、つまり背割堤式をとるのだとかいろいろ言つておりまして、建設省の態度が益谷建設大臣の時代から実際に首尾一貫しておらない。こつちをやるのだ、いやこつちをやるのだと言つて、もう三回もかわつている。こういう状態で、最後に布川町が川底にもぐるようなことになつているのでありまして、少しも首尾一貫しておらない。そこへもつて来て強権発動をやるんだと言つてみたり、おどかしか何か知りませんが、慎重に考慮すると言つてみたり、河川局長の言つていることと建設大臣の言つていることが一致してない。そういうことで地元民を迷わすのが建設行政ならば、私は布川町民を煽動しているのじやないのですが、こんなばかな建設省のやり方ならば断固としてわれわれは弾劾する、排撃する。答えなければ答えなくてもいいです。
  76. 松本一郎

    松本委員長 池田君、お約束の時間が来ましたから簡単にお願いします。
  77. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 もう一つは、建設省場の労働組合の幹部を最近首切つたそうであります。御承知のように、レツド・パージによりまして建設省から共産党員は追放したはずでありまして、そのあとにはもう一人も共産党員はいないはずであります。それなのに労働組合の幹部を二月二十九日付で処分したというのは一体どういうことでありますか。要するに建設省内では労働組合運動の自由というものが全然ないのか、自分たちの生活改善のために大臣や局長と団体交渉をする自由というものは建設省内ではなくなつているのかどうか、旧内務省時代と同じようになつているのかどうか、この点を大臣にお伺いしたいと思う。
  78. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は労働組合につきましては、労働組合が健全に発達しまして、その賦課された職能を十分果すということを期待しておるわけであります。
  79. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 たとえば通産省あるいはその他の省内でも労働組合が年末手当の問題で団体交渉をやりましたし、あるいは賜暇戦術といつて、一齊に休暇をとつて、事実上のストライキと同じような効果を相手に與えて行くことによつて、自分たちの要求を通そうというようなことは行われていたのであります。にもかかわらず各省では労働組合の幹部を首にしたということは聞かないで、ひとり建設省だけが労働組合の幹部を首にするということが行われているのであります。だから野田建設大臣のやり方というものは、閣内で一番フアツシヨ的であり、ヒトラー、ムソリーニ顔負けの右翼的なフアツシヨ的なやり方をやつているということが如実にこれによつて証明されております。こういうことはわれわれとしてはやはり建設大臣を彈劾する一つの材料として今後大いに鬪わなければならないと思う。なぜ他省ではやらないのに、建設省ではやつたのか、これを納得の行くまで説明してもらいたい。
  80. 野田卯一

    ○野田国務大臣 私は労働組合運動を弾圧するという気持は別に持つておりません。
  81. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それでは何で首を切つたのか。
  82. 野田卯一

    ○野田国務大臣 行政整理は行政整理の方式に従いまして実行しておりまして、それとこれとは完全に別な問題だと思います。
  83. 松本一郎

    松本委員長 本日はこの程度で散会いたします。追つて次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十七分散会