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1952-03-11 第13回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十一日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 松本 一郎君    理事 鈴木 仙八君 理事 田中 角榮君    理事 村瀬 宣親君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    上林山榮吉君       西村 英一君    増田 連也君       川島 金次君    池田 峯雄君       河口 陽一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田 卯一君  出席政府委員         建 設 技 官         (住宅局長)  大村巳代治君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    鬼丸 勝之君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 三月十一日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  川島金次君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十日  住宅緊急措置令等廃止に関する法律案内閣  提出第三四号)(参議院送付) 同月七日  連合軍による接收地損害補償に関する請願(  志田義信紹介)(第一二一六号)  観光都市建設に関する請願佐々木盛雄君紹  介)(第一二七三号)  江戸川改修工事促進請願竹尾弌君紹介)(  第一二七八号)  府県道筋生名古屋線改修工事施行請願(多武  良哲三君紹介)(第一二八〇号) 同月十日  県道日光溝口停車場線改修工事施行請願(門  脇勝太郎紹介)(第一三二七号)  琵琶湖総合開発に関する請願水谷長三郎君外  一名紹介)(第一三五六号)  名田村地内の防波防潮施設費国庫補助に関す  る請願田渕光一紹介(第一三五七号)  真人村地内信濃川砂防工事施行請願(猪俣  浩三君紹介)(第一三五八号)  河川の水利使用許可権国家移管反対に関する請  願(河原伊三郎紹介)(第一三九〇号)  中部日本横断道路を国道に編入等請願(三宅  則義君外四十三名紹介)(第一三九一号)  北農第一別館接收解除に関する請願小平忠君  外二名紹介)(第一三九二号)  追浜、長浦地区の再接收に関する請願小川半  次君紹介)(第一三九三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  住宅緊急措置令等廃止に関する法律案内閣  提出第三四号)(参議院送付)  十勝沖地震による災害状況に関する件     —————————————
  2. 松本一郎

    松本委員長 ただいまから建設委員会を開きます。  先般の十勝沖地震によるその後の被害状況並びに政府のこれに対してとつた処置の経過について、建設大臣から説明を聴取することといたします。野田建設大臣
  3. 野田卯一

    野田国務大臣 十勝沖地震によりまして、北海道釧路地区十勝地区及び日高地区の三地域を主といたしまして相当被害が生じました点につきましては、衷心より御同情申し上げておる次第であります。  私どもといたしましては、地震の起りました三月四日に北海道開発庁岡田次長及び当時上京中でありました北海道開発局池田局長をただちに北海道に向わせることにいたしまして、両人は三月五日の朝飛行機で向うに立つたのであります。私は、三月五日の棚になりまして総理から特命がありまして、北海道災害相当大きいようだからぜひ現地行つて実情調査し、また対策を講ずるようにというお話があり、ちようどリツジウエイ将軍から、もしそういう場合には進駐軍として輸送その他について最大の御援助を申し上げるという申入れもありましたので、司令部にお願いし、特別に軍用機を出していただきまして、私のほかに建設省の住宅局長都市局長道路建設課長、それから参議院の堀さん、衆議院の篠田さん、秘書官の七人が飛行機乘つて参つたのであります。三月五日の午後二時出発いたしまして北海道参つたのであります。三月五日、六日、七日、八日、九日、それだけ私は北海道におりまして、主として六日、七日、八日の三日間に被害現地を視察したのでありますが、今回の地震震源地等につきましてはまだ確定しておりません。襟裳岬の南方五十キロという説と、襟裳岬東方五十キロという説がわかれておりますが、今のところ一応襟裳岬東方海上五十キロの沖だということになつております。  地震被害につきましては、これを大別して二つにわかれるのでありまして、一つ地震自体による被害と、もう一つ地震に起因する津波被害であります。場所的に申しますと、釧路霧多布であるとかあるいは厚岸という方面は、津波被害を受けまして惨状を呈しております。十勝支庁管内東方池田という町がありますが、池田の町あるいは浦幌という町、あるいは豊頃、大津という二つの部落、一町三箇村は地震災害を極度にこうむつている地域であります。その他日高地区にも地震による被害がかなりありますが、全般的に申しまして、この地震がその震度において南海水災に匹敵し、福井震災の倍であるというのにもかかわらず、被害の点におきましては、これらの南海水災あるいは福井震災よりもはるかに少いということになつておるのであります。その理由の主たるものは、地震の起りましたのが午前十時二十三分二十四秒とかいうことで、朝飯を済まして晝飯の前であつた、しかもちようどみんなが活動しておるという一番いい時期である、それから天気がいい、また被害を受けた土地が雪が少い土地であるというような点、また海の関係におきましては、当時干潮でありまして水がすつかり引いておつたときである、こういう自然的な條件に恵まれておつたということと、それから北海道庁市町村、あるいは北海道支庁、あるいは警察関係国警、自警というような方面、あるいは消防団、こういつた指導的地位に立つておる人々の処置よろしきを得ましたのと、道民諸君の心がけが非常によかつたというようなことのために、例を一つとりますならば、火災が起つていない。釧路の町におきましては九箇所において火を発したのでありますが、これがすぐに消しとめられて、わずか二戸火災で燃えただけだということであります。その他の地域におきましても火災がほとんどない。こういうようなことでありまして、日本では地震に伴いがちな火災がほとんどなかつたということが、被害額を小ならしめている大きな原因だと私は考えます。  次に、しからばどの程度の被害にたつているかということでありますが、私が北海道を出発する直前に集まりました資料によりまして北海道庁がつくりましたものによりますと、被害総額は百五十四億七千四百万円ということになつております。その中で大きな被害は、鉄道が七億円、道路が十億二千三百万円、それから耕地関係が十億五千七百万円、学校関係が六億二千百万円、水産関係において九億八千百万円、それから住宅関係、これは一番大きいのでありますが、三十五億五千六百万円、それから罹災者各自の持つている財産に対する被害九億五千八百万円、こういうことになつておりまして、その他各種被害があるのでありますが、その総合計が百五十四億七千四百万円ということになつております。  これに対しまして復旧でありますが、復旧総額は約百四十億円ぐらい必要でありますが、そのうち応急対策としての経費が十一億円ぐらい、それから普通の本格的な復旧経費として百二十八億程度いるというのが一応の北海道庁の計算になつております。これにつきましては、まだ報告の内容は一々しさいに検討されておりません。従いましてずさんになるを免れませんし、なお報告が集まりつつあるということもあり、かつまた北海道では現在なお大地が雪におおわれておりまして、農地の災害あるいは地下埋設物等災害につきましてはまだ十分わからないものがあります。従つてだんだん雪が解けて参りますと、そういつたような被害が現われてはつきりつかめるようになるわけで、そういう点におきましては、この災害額がもつとふえる可能性もあります。調査が精密になるに従つて減る部分と、これから上るものと、両方あるというふうに考えられるのであります。  そこでこの被害に対しまして北海道現地でどういう対策をとつておるかという問題でありますが、北海道庁におきましては、いち早く立ち上りまして支庁を動員し、また道庁みずからも全職員を総動員いたしまして、これが対策に大わらわになつております。また被害を受けた各市町村当局も、たいへん熱心にこれに当つております。従いまして今日までのところ、人心はきわめて安定をいたしておりまして、流言飛語等もほとんど飛んでおりません。きわめて平静に推移をいたしている次第でありまして、第一次の応急援護である食糧の供給あるいは衣料品供給、あるいは住宅供給等につきましては——、食べ物の点については大体現地で調弁いたしまして措置されております。また着るもの、衣類というようなものにつきましては進駐軍からの援助もあり、また手持ちのものもある、あるいは買い集めるというような方法をもちまして極力これをかき集めまして、被害者供給するというようなことに相なつております。ただ問題の住宅、住居の点につきましては、私が現地に行きました当時はまだバラツクは建つておりません。知事の話では、このバラツクを至急建てたい、こういうことを考えておりまして、十日から道議会が開かれますので、それに予算を計上して一時道費をもつて町村に金を渡して、各罹災町村の長の責任において必要なバラツクを建てる計画を進めたいということを申しておりました。  その他の災害復旧状況は、交通、通信等でありますが、通信関係は六日、七日の間にほとんど全部復旧をいたしており、鉄道は十一日正午をもつてほとんど全線が一応開通するというふうに進んでおります。道路につきましては、かなりあちこちがいたんでおりますが、これについては御承知のように北海道では国直轄でやつている道路が多いのでありまして、北海道開発局現地機関が出動いたしまして、目下道路が雪なだれ、あるいは崩壊等によつて通れなくなつているのを警戒しておる。また橋梁につきましてはかなり破損が多いのでありまして、これに対しましては仮の橋をかけるというようなことに邁進をいたしております。これに呼応いたしまして、北海道庁におきましても各市町においても、それぞれの手当を進めつつある実情であります。港湾につきましては、これはある程度——特に釧路におきましては釧路の新埠頭がたいへんな被害を受けておりますが、この問題につきましては速急にというぐあいに行きませんので、この波止場の所有権そのものにも問題があつたりいたしまして、目下これが対策を研究しております。その他の小さい港湾被害はそれぞれ今手当がされつつある、こういうような実情なつております。  次に漁業関係被害でありますが、霧多布とか厚岸とか、私はそこへ行つたのでありますが、こういう方面漁業中心地でありまして、霧多布というような町におきましてはその大半が津波のために家が流されたり、あるいはこわされたりしているのであります。また漁船とか漁具とかいうような漁業関係施設が、ほとんど全部なぐなつてしまつておる。こういうような実情なつております。これにつきましては至急に適当な措置を講じまして、漁期の始まる前にこういうものの手当をしてやらなければならぬ、こういうような関係なつているのであります。  森林関係等につきましては、森林自体被害はあまりありませんが、木材が復旧のためにいる問題があるのであります。これにつきましては、営林署長の権限におきまして必要な資材を出せる準備が進められている、こういうような状況であります。  なおその他いろいろと詳しいことがございますが、省略をいたしまして、また必要があれば御質問に応じて答えたいと思います。  今回の地震は、全体的に見ましてその激しさにかかわらず、被害最小限度に食いとめられているということはまつたく不幸中の幸であり、かつ震災後における各種の復興、復旧措置が迅速に購ぜられているということも、また非常に力強く私ども感ずる次第であります。現地におきましてはその復旧対策本部をつくつて、盛んに活動いたしております。中央におきましても本日閣議において、北海道開発庁中心となりまして関係各省の係官をもつて十勝沖地震災害復旧対策協議会を設立いたしまして、現地と相呼応いたしまして、復旧対策各省歩調を合せて推進して行きたいというふうに決定に相なつた次第であります。簡単でありますが、これをもつて一応報告を終ります。
  4. 松本一郎

    松本委員長 ただいまの建設大臣報告に対し、御質疑がありましたら御発言を願いたいと思います。
  5. 田中角榮

    田中(角)委員 十勝沖地震災害に対して、現地を視察して参られた報告を今お聞きしたのでありますが、これが応急及び恒久的復旧費予算的措置及び方法に対してのお考えがあつたらお聞かせ願いたいと思います。
  6. 野田卯一

    野田国務大臣 応急復旧につきましては、北海道開発庁関係いたしております仕事道路港湾橋梁その他いろいろあるのでありますが、これにつきましては今手をつけております。その経費は、一応二十六年度予算で二十六年度中に使用できないでこれを二十七年度に繰越す予定のものが数千万円ございます。これをもつて対処したいと思つております。但しこれは手続的にいろいろと問題がありますので、目下大蔵省等と検討いたしておる次第であります。それから道庁みずからやるもの、あるいは市町村がやるものにつきましては、これは何らかの資金的な措置をしてやる必要があるのではないかと考えております。予算全体といたしましては、この復旧費というものは二十七年度予算災害復旧費から出したいと考えておる次第であります。しかし予算成立までの間も手を休めるわけに行きませんので、それにつきましてはつなぎ資金供給が必要ではないか、こういうふうに考えておるのであります。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 これが恒久及び応急復旧費に対しては、政府は万遺憾なき手をとられると思うのでありますが、十分なる処置をこの際とられることをお願いしたいと考えるわけであります。  もう一つは、ただいま審議中の二十七年度予算のうちの予備費の問題であります。この問題も前年通り八十億というようなものでありますが、この災害は非常に突発的なものであり、日本災害時期からはずれておりますが、このような災害に対しても政府は当然適切な措置を講じなければならぬと考えるわけでありまして、予算審議中でもあります関係上、二十七年度にかかる災害に対する予算的措置は十分講じなければならぬと思うわけであります。  次には治安上、現地を視察せられて、特別配慮しなければならないように事態があつたかなかつたかということをお伺いしたい。
  8. 野田卯一

    野田国務大臣 今回の地震災害に伴いまして、現地国警並びに自治警等、きわめて機宜の措置をとられました。従つて治安上はきわめて平静でありまして、流言飛語等もほとんど聞かれません。また災害に伴うどろぼうといつたようなもの、そういうものもあまり大したことはありません。特に私が感心いたしましたのは、釧路管内霧多布でありますが、これが一番被害の多かつたところであります。このあたり被害を受けてから今日まで盗難一つ起らない、そういう事実もなければ申出もない。こういう点きわめて秩序整然として行われておりまして、この治安関係ぴりつともしないという点は、特に私は深い感銘を受けた次第であります。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 北海道治安の問題に対しては非常に憂慮せられておる現在でありますが、ただいまの力強い、またそのようなおそれのない現地であることを聞いて安心しておるのでありますが、被害地のまん中に網走刑務所があるのでありますが、これらに対しては適切な措置をとられたのかという問題も、お知りだつたら聞いておきたいと思います。
  10. 野田卯一

    野田国務大臣 網走については、私今度災害視察のときにちようど汽車であの土地通つたのでありますが、あのあたり被害はきわめて軽少でありまして、従つて私は刑務所等にも非常に憂慮すべき事態は生じておらないというふうに考えております。
  11. 淺利三朗

    淺利委員 ただいまの大臣の御報告によりますと、百五十億とかあるいは応急措置をしてもなお百二十八億を要する。これで見ますると、二十七年度予算において、予備費としては八十億しかないはずでありますから、この全額を北海道使つてもなお足らぬ。こういうことでありますから、これは二十七年度補正予算でも出さるる御計画でありますか、まだそこまで行つておらぬかしらぬけれども、お見込みとしてはどうでありますか。
  12. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいま御紹介いたしました百五十四億円の災害総額及び災害復旧総額百四十億円というのでありますが、この中にはあらゆる損害が含まれておるわけであります。従つてその中には個人みずからが負担すべきものもありましようし、それから市町村でやる分、庁でやる分、国でやる分と、この負担の主体がいろいろあります。それからまたこれを財政的措置によつてやるものと、金融的措置によつてやるものといつたようなものが全部含まれておるわけであります。しかもこの中には、緊急を要するものと、必ずしもすぐにやらなくても、多少延ばしていいものと、いろいろなものが含まれておりますので、目下その中の仕訳をいたしまして、一体どのくらい二十六年度ないし二十七年度において財政的に措置する必要があるか、あるいは金融的に措置する必要があるかということを検討中であります。
  13. 淺利三朗

    淺利委員 今お話を承りますと、まだこれは正確なことはわからぬということでありますが、もちろん二十七年度予算が通過すれば、その予算のうちで、この地区における設置に要する費用も計上されておると思うのであります。たとえば道路費のごときは北海道は二十億を計上しておる、全国の四分の一を計上しておる、こういうのでありまするから、従つてこの地区において予定せられたところの道路費というものもまた相当にあるでありましようから、それらのものが予算が通過したならば、さつそくその地区においては二十七年度の予定された予算でやるということもできるだろうと思うのであります。しかしこれだけの大損害になりますると、結局はこの八十億の予備費使つてしまうと、あとの全国に起ることを予想さるる災害においては、応急措置ずるところの予備費がなくなるという憂いがあるのでありますから、その点については十分御考慮を願うことを特に要望いたしておきます。
  14. 松本一郎

  15. 河口陽一

    河口委員 十勝沖災害に対して、大臣は非常に公務多端の折、すみやかに現地調査に御出張になつたことに対して、深甚の謝意を表する次第でございます。先般もいろいろと申し上げておいたのですが、北海道は御承知のごとく今まで地震等災害を受けたことがないのでございまして、今回が私どもの記憶では当初と考えるのですが、いろいろお話を承ると、六十年目の震災だということであります。かようにまつた地震のない地帯が今回突如として地震の結果、御報告にありましたように、福井県の二倍に達する震災と聞いておりますが、まことに広汎な震災承知いたすのであります。御承知のごとく北海道北辺の地でありまして、中央との連絡も非常に困難と存じます。そういう点から道民のこれに対する苦痛も相当大きいと想像されるのであります。従つて当局においてもそれらの点を十分御配慮いただいて、不安の起きざるよう、ことに北辺の地であり、思想的にも動揺しやすい地帯でありますので、こういう点は特に政府において御配慮いただいて、物質的にはもちろん精神的にもひとつごめんどうを見ていただきたいと存ずるのでございます。まだ災害調査が十分でないから、具体的な問題についてはこれから立てられることと存じます。また先ほどの大臣の御報告によりましても、十分政府の意のあるところを了承いたしました。今後の進め方について御同情ある処置を希望いたしまして、私は終ります。
  16. 松本一郎

  17. 村瀬宣親

    村瀬委員 建設大臣にお伺いいたすのでありますが、時ならぬ災害、と申しまするのは、大体今まで予算を組んでおりまするときのおぼろげな概念としては、まず日本では二百十日前後に台風が起る、それが終ればやれやれだというようなことを前提として予算を組んでいると想像されるのであります。その意味から時ならぬ今度の災害が起つた。しかもその額は莫大である。ことに北海道という特別な地域に主として災害が起つたという点について、これは容易ならぬ問題でありますが、この災害について補正予算をお組みになる御意思があるかどうかお伺いしたいのであります。
  18. 野田卯一

    野田国務大臣 今のところ、補正予算を組む考えは持つておりません。
  19. 村瀬宣親

    村瀬委員 しからばお尋ねをいたしまするが、五百億円の二十七年度公共事業費予算は、四百二十億円を過年度災害に、当該年度いわゆる二十七年度に起ると予想される災害に対して八十億円の予備費を見ているのでありますが、今回の北海道災害は四百二十億円の方からお出しになるお考えでありますか。
  20. 野田卯一

    野田国務大臣 私の今の考え方といたしましては、八十億円の当年度災害の方から出す考えを持つております。
  21. 村瀬宣親

    村瀬委員 それは予算審議の根本にさかのぼつてはなはだ筋道が通らぬと思うのであります。ことに大蔵省畑でその敏腕を振われた野田大臣としてははなはだ受取りがたいのであります。北海道または三陸地方災害自体としては、四百二十億から出ようと、八十億から出ようと、あるいはその他から出ようと、ともかくも金額が多く復旧費に充てられればよいのでありまするから、その点をどうこう言うのではないのでありまするが、しかし当委員会としてはやはりこういう筋道は立てておきたい。そこであの五百億円を審議するにあたりましては、当然二十七年度に起る災害は八十億——、それでは足りまいと思いまするが、一応八十億ということのもとに衆議院は了承をいたしたのであります。さればこそ特に四百二十億という過年度災害に充てるべきもので、それで野田大臣の構想である発生年度に三割、翌年度に五割、三年度に二割、三年間をもつて日本災害を、ことに繰越し災害が千二百億になんなんとしておるこの災害亡国を、この三割、五割、二割の方法でなしくずしにして行こう、ここで初めて雪だるまのように繰越し災害が年々ふえておつたのが、ようやく野田大臣時代なつて少しでも減るのではないか、こうわれわれは期待した。その意味においては、四百二十億でさえ足らぬのではないかという点をいろいろ議論したのであります。そうして二十七年度に起る災害は一応八十億でまかなう、むろん多くの災害があれば補正予算を組まなければならぬ、これは天災のことであるからやむを得ぬ、こういう一貫した内閣並びにあなたの御説明であつた。ところが二十七年度で二十六年度に起つた北海道災害をその八十億から出すというのでは、これは全然筋道が通りません。単に筋道が通らぬだけではなしに、実際の仕事の上にいろいろな問題がまた起つて来ると思います。現にあの八十億に対してもいろいろあつたルース台風が遅れて起りまして、そのうち実はわずかに二十億しか使つていない。そうして行きつもどりつ、あちらへやろうこちらへやろうで、認証の問題もごたごたして、まつたく妙な形になつてしまつたのでありますが、まだ二十七年にならない今からすでにあの二十七年度に起るべきはずの災害復旧費に充てておる八十億を今から使おうというのでは、もはや予算の成立せぬうちから、こんがらがつてしまう、これに対して一つ筋道通つた御意見を承つておきたいと思います。
  22. 野田卯一

    野田国務大臣 私は最近の災害取扱いとしては、三月あたりに生じた災害については、二十七年度当年度災害としてやるということを聞いておるものですから、そういう答弁をしたのでありますが、この点もう一ぺん精査いたします。
  23. 村瀬宣親

    村瀬委員 精査をすると言われるのでありまするから、これは精査をしていただきたいのでありますが、いずれにいたしましてもそれじや三月からいわゆる翌年度に行くのか、二月二十九日に起つた災害はどうなるのか、どこか一本線を引きませんと、年度をきめた理由がなくなるのであります。二月ぐらいまでもどるというのでありますならば一月三十一日に起つた災害はどつちにつくかということになりますので、やはり年度をきめておる以上は、その年度に一応従うべきである、こう思うのであります。先例等をお調べになるのはけつこうであります。いずれにいたしましても私の申しまするのは、何とかかんとかりくつをつけて、少しでも金を出すのを、澁るのではないが遅らせたり、金額も十分に出せぬという方法をとつては相ならぬという観念がありまするから、実はこういうお尋ねをするのでありますが、元来から言いまするならば、ルース台風のときにすでに私は当然補正予算を組まねばならなかつたと思うのであります。それはまだ占領下にありまして、いろいろの事情があつたかもしれません。しかしこれはもうこのルース台風のときにあれまでに八十億の金は大体使つてつたのでありまするから、当然補正予算を組むべきであつて、今それにまた重なつて今度の災害が起つたといたしますれば、ここに補正予算を組んで、その罹災民に政府はどのくらいこの災害を重大視しておるのだ、新たに補正予算を組むのだということが、金額の高も非常に重大でありますが、より精神的な激励の意味にもなる。当然そういうことをすべきである。それほど重大な災害であるということを私は感じまするがゆえに、あえてこの質問をするわけであります。そうしてこの補正ということが困難であるとすれば、筋道を立てたはつきりとした窓口をつくつて、この災害に当るべきであつて、いいかげんなことで金さえ何とかして出せばいい、つなぎ資金を出せばいい、あるいは資金計画のやりくりでよいというようなことで放任のできる今度の災害ではないと思いますがゆえに、もう一度私は伺いたいのでありますが、今のところこの問題について補正予算を組む考えはないか。先ほど御答弁になりましたが、これは全体として考えましたときに、私たちはこういう問題がなくても、この間の八千五百億円の予算を通覧いたしますと、物価の値上り等で当然補正予算を組まなければならない時期が来るというかたい信念を持つておるのでありますが、いわんやこの予定せざる災害が起つたということになりますと、これと関連して二十七年度補正予算を当然組まねばまらぬ事態がますます顯著になつて来たと思うのであります。先ほどはこの北海道だけの補正予算をお組みになる御意思があるか、組むべきであるかと申し上げたところ、組む必要はないという御答弁でありました。さらにもう少し範囲を広げまして北海道震災一つのフアクターとして、全体として二十七年度補正予算を組まねばならない時期が来るとお考えになるかどうか伺いたいと思います。
  24. 野田卯一

    野田国務大臣 私は二十七年度予算、当年度災害復旧費八十億、これで今回の十勝沖地震に伴う災害に対処して行きたいと考えます。そうすると、八十億の中から時期的に早いのですから、優先的に扱うと、それだけ食い込まれて残りの金は少くなる。それに対して補正予算をすぐに出すかという問題が具体的に起ります。この問題につきましては、私は今のところ補正予算を出すという考えは持つておりません。これはいずれ七月、八月等におきまして災害がなければもちろんいいのでありますが、たとえばルース台風のようなものが起りますと、それでは残つた金が足りなくなることが当然起ります。その際は議会を召集して追加予算を組んで対処して行きたいというふうに考えております。昨年のルース台風の際も村瀬委員承知の通り、政府の方針といたしましては補正予算を組んでやる考えでありましたが、遺憾ながら占領下でありましたので、司令部の方針によつて認められなかつたということで、ああいう変態的なものになつたのであります。災害はいつあると予測できませんので、一応八十億組みましたが、これでは足りないときには補正予算でもつて対処するのが常道ではないかと考えます。
  25. 村瀬宣親

    村瀬委員 一応八十億を北海道震災のために使つておいて、さらに災害が発生すれば、八、九月ごろに議会を召集して補正予算を組むべきであるということは、一応筋の通つた御答弁であります。  そこで承つておきたいのでありますが、今までの政府の慣例によりますと、災害が起つた、それがために議会を召集するというようなことをなかなかおやりにならないが、これは当然やるべきであると思うのであります。昔ほどではなくとも、どうも国会というものをある程度敬遠なさる傾向がある。そこで伺つておきたいのでありますが、国会法によりますと、百五十日ということが通常国会になつておりまして、しかも会期の途中で任期の来ないというふうな方法も講じられておるわけであります。そういたしますと、われわれの任期は来年の一月二十二日でありますが、百五十日前にさかのぼりますと、八月の二十四、五日に通常国会を召集せねばならないことになるわけでありますが、そうやつて八月二十五日に通常国会を御召集になるのならば、いわゆる補正というものも、わざわざ臨時国会を召集する必要はありませんから、今のあなたの御答弁は、われわれに非常に力強く感じられる。そうでなくて一つ台風が起つたからといつてわざわざ国会を召集するということは、非常に期待が薄いのであります。そこで本年は八月二十五日に通常国会を御召集になる御方針であるかどうか、それを伺つておきたい。
  26. 野田卯一

    野田国務大臣 この問題は、政府当局においても研究中でございまして、私はまだ最後の結論を聞いておりません。従つていろいろな法律問題もありますので、答弁を差控えたいと思います。
  27. 村瀬宣親

    村瀬委員 もう一つ他の方面を伺つておきます。先ほど田中委員からもちよつとお触れになつたようでありますが、昔から天災地変というものが、とかく動乱の契機になるということは歴史の示すところであります。ところで日本は今別に動乱のきざしもありませず、安全であるとは思うのでありますが、そうかといつてあまり甘い気持でおることのできない国内情勢、国際情勢であると思います。そういう関係よりいたしまして、先ほども御答弁はあつたのではありまするが、特に今度の震災が、そうでなくてさえ白鳥事件を初めといたしまして、種々の治安上の盲点といわれておる北海道に起つたということは、これは為政者として、特別な配慮を要すると思うのでありますが、それに対して建設大臣または現内閣はどのような心構えと御方針を持つておられるのでありますか、根本的なものを伺つておきたいと思うのであります。
  28. 野田卯一

    野田国務大臣 地震等災害による罹災地の人々の人心の動揺ということは、通信機関の復旧が遅れる、あるいはけがをした者に対する医療の施設が遅れる、その他いろいろの緊急を要する施設が遅れる、あるいはいろいろな情報が伝わらないというところにあると思います。この点につきましては、今回の震災に際しましては、いち早く手が打たれておりまして、たとえば医療班のごときものは即日編成されて現地に派遣されておるわけであります。そうして腕を折つたとか、あるいは重傷したという人に対しては、ただちに治療にかかつておる。これは一つの例でありますが、その他万般の措置がよくとられておる。それから特に申し上げておきたいのは、無電の発達であります。北海道庁におきましては、無電の装置を持つておりまして、札幌にその本部がある。そうして各支庁に受信、発信ができる支部みたいなものが置いてあるわけであります。従いまして地震が起れば、すぐに中央から指令を出しまして、支庁から返事が来るということで、無線が非常に活躍しておる。この無線は東京にも支部があつて、東京都内から連絡ができる。北海道に対する連絡は、今ちよつと私が言えば、三、四分たてば返事が来る。こういうわけで、大分金がかかつたようでありますが、無電施設を完備したということで、情報が早く伝わつて、人心安定に寄與しておる。御承知のように、最近は国警におきましても、漸次移動無線の機械を整備しつつある。霧多布という所に私行つてみたのでありますが霧多布が、人心がきわめて安定して——今でも安定しておる。また状況等も早く伝わるというのは無線のおかげだ。根室の国警隊がすぐに現地に急行いたしまして、無電機をすえつけて活動した。それは災害のあつた三月四日の夜にはもう無線機が設備されて、夜ふけては無線連絡ができるという措置がとられたのであります。こういうことは珍しいと思います。北海道は御承知のように土地が非常に広い。そこでいろいろな、自動車であるとかそういうものでかけつけて行つて、あるいは徒歩で連絡して無線機の設備をしたというようなことを聞きまして、今後は無電装置を完備する必要がある——わかるということは人間の安定の一番もとなのです。わからぬから不安なのです。情勢がわかるということが一番かんじんであると思いまして、通信施設の完備がどうしても必要だと思います。それから今の困つておる人に対する手当を早くする、こういうことをいたすことによつて治安の維持、人心の安定が期せらる。今度はその点においては私は相当高い点をつけてもいいような成績が示されておるというように考えております。
  29. 村瀬宣親

    村瀬委員 通信機関の完備によつて人心に動揺がないということを聞いて安心をいたすのでありまするが、これに関連して大臣にお伺いをしておきたいと思いますのは、かつて水難予防関係等が当委員会で議題になりましたときに、われわれは、刻々奥地の増水の情勢等を適当な箇所に、たとえば最上川あるいは利根川等、連絡するのには、どうしても無電の完全な連絡を気象台その他建設省関係に使わせてもらわねば、目的が達せられないということを主張したのでありますが、当時、二、三年前でありますけれども日本方面の数箇所にだけこれを許す、そのほかには許さないというような、これは非公式なお話であつたかとも思いますが、説明を承つたことがある思います。そこで今、北海道の場合も無電設備が非常に早く完備したので人心がおちついておるということでありますが、これはまつたくその通りだろうと思うのであります。同様の意味において、たとえば、奥地の河川のどこの水位がどのくらい上つた、川下ではどういう手配をする必要があるというような点は、これは当然無電によるのほかないと思うのでありますが、将来の台風その他災害防除に対しまして、建設省としてはそういう方面にどういう計画を持つておられるか。またそれが必要なのはいまさら始まつたことではありませんが、これに対しては何らの制約なしに、レーダーに類するいわゆる無電設備を十分利用できる——むろん講和発効後は当然でありましようが、そういう内情についてはつきりしたことを伺つておけば、この際非常に都合がいいと思います。
  30. 野田卯一

    野田国務大臣 今お話が出ました水防の問題でありますが、水防に関連いたしまして私も現地を、利根川あるいはその他の地域も見て歩いて感じたことでありますが、山を治め、あるいはダムをつくつてやるといいましても、これはまだ相当の年月がいるのであります。今日のような荒廃した山野では、洪水の危険は当分避け得ないと思います。それに対しまして水防の必要なことはわれわれも痛感しておるわけであります。水防活動は、私は一種の実戰、戰争の原理みたいなものを適用しなけばならぬのではないか、それにはやはり一番根幹をなすのは通信だと思います。従いまして無電の通信を今後漸次強化いたしまして、時を移さず必要な措置をとる、こういうことはお話の通りだと思います。その方向に向つてできるだけの努力をして行きたいというふうに考えております。
  31. 松本一郎

    松本委員長 簡單にお願いいたします。
  32. 村瀬宣親

    村瀬委員 水防の点と無電機の点はまだお尋ねしたいことがありますが、委員長の御注意もありますから、それはまたの機会に讓ります。  そこで最後にもう一点伺つておきたいのでありますが、北海道の人心が動揺しないことは非常によいことであります。この原因はいわゆる通信機関が完備したことで、実情がみなによく徹底するからである。これもその通りでありましよう。ところがもう一歩進めて自分たちのこういう被害中央で知つてくれた、その安心はあります。知つてくれた以上は何とかしてくれそうなものだ。こういう気持が次に起るのであります。自分たちの事情を知つてもくれていないというのが一番不安なのでありますが、まず第一に知つてもらつた。また中央がこちらにどうしようということもわかつた、これが人心安定の第一歩でありますが、その次にはただ声を聞き、電波が通るだけではやはり物足りないのでありまして、罹災民の目に見えて、物がそこに降つて来ねば、ほんとうに安心できません。それについて、道がこわれ、鉄道が破壊されておるときに、何より大事なものは飛行機であります。これは別によそに侵略するとか何とかいう意味でなく、ほんとうに治安を確立し、人心を安定させるには、何といつて通信機の次には飛行機です。それによつてあるいは救援品を落すなり、その他の人間を運ぶなりできる。飛行機治安確保、人心安定に必要なことはむろん何人も異論のないことであります。そういうこと対しまして、たまたま震災を機会に政府として何らかの方法をおとりになつたか、これは単に行政協定ができたからといつてすぐに解決のつくものであるか、あるいはリツジウエイ司令官の処置でできるものであるか、あるいは対日理事会またはずつと先にさかのぼらなければならないものであるか、その点は今私すぐにはわかりませんが、一体こういう機会に日本飛行機を持たしてもらうという点にまでお考え及びになつたか、またその手を打たれたか伺いたいのであります。
  33. 野田卯一

    野田国務大臣 飛行機の問題が出ましたが、村瀬委員の言われることは確かに達識だと思います。私はまつたく同感であります。私は五日の朝、総理にお話いたしまして出向くということになつたので、これは地震が起きてから国務大臣が出張することにきまつた一番短かい例だろうと思います。それで行くにつきましても、汽車でとことこ行つているのではなかなか早く行けない。そこですぐリツジウエイ大将が飛行機を提供しようということで、特別仕立てで出してくれた。私は総理にいつでも立ちますと言つたので、すぐ司令部に連絡してくださいまして、それでは一時半に行こうということで行つたのです。三時間足らずで行つてしまいますから、非常に早かつた。帰りもまた特別な飛行機で送つていただいて帰つて皆さんに御報告できたわけです。それで現地におきましては、実は私も北海道知事も飛行機からしか現地を見ておらないのです。飛行機に乗りまして、さつそく五日に上をぐるつとまわつて歩いた。なるべく下の方に下りまして、できるだけ実情を見たのです。飛行機から見たのでは十分には見られませんが、とにかく全域を見たのです。そして上から、どういう状況なつておるか、どういう政策をとろうとしておるか、人心安定に役立つようなビラを数千枚配つたのです。同時にその飛行機に毛布を九百枚積んで持つてつて、一番災害のひどかつた霧多布の町の上に落した。飛行機で空中を七回まわりまして、アメリカの軍人さんが一生懸命になつて毛布を三十梱落した。それをみなもらつて自分の宿に持つてつて寝ているわけです。飛行機が現に輸送に使われており、またビラをまいたり、メツセージを與えたり、視察ということに具体的に使われておるわけです。でありますから、通信機関の整備ということと同時に、飛行機の整備、あるいは飛行場の整備ということが必要だと思います。私も帰りに現地進駐軍の方々に非常に御厄介になりましたので、そういう人々に会つていろいろ所感を述べて来たのでありますが、その一つに、やはり北海道に飛行場がないというのは非常に不便でしたということを申し上げておいた。釧路に飛行場を設けるのがいいのではないかということを私の意見として申し上げておいた。もし釧路に飛行場ができておれば、私は五日の日の午後五時に千歳に着いておる。あそこから釧路まで一時間で行くから、午後六時にはもう現場に着いておるわけです。ところがせつかく飛行機で三時間で東京から千歳まで行つたけれども、千歳から行く道がない。汽車に乘つて行くと、千歳から二十時間かかる。それで二十三時間かかつて釧路に着いた。これがその汽車で一番早かつたという状況であります。そういうような状況で、飛行機で行つたら一時間で行つておるのを、そういうように比較をしますと、どうしても今後は飛行場を整備して緊急事態に備えることが必要であるということを、身をもつて体験して参りました。今後この方向に皆さんとお話をしてできるだけ努力いたしたいと思います。
  34. 松本一郎

    松本委員長 それではただいまの北海道震災に関する建設大臣報告、並びにこれに対する質疑はこれをもつて一応終ることにいたします。     —————————————
  35. 松本一郎

    松本委員長 次に日程にもどりまして、住宅緊急措置令等廃止に関する法律案内閣提出第三四号を議題といたします。  本案は参議院において可決され、昨十日本院に送付せられました。本案に対する質疑の通告があります。これを許します。西村君。
  36. 西村英一

    ○西村(英)委員 私は先般の委員会におきまして、参考資料の訂正をお願いしておいたのでありますが、そのときに御訂正になりました数字から申しましてこの緊急措置令によりまして、昭和二十七年の一月までに收容された世帯数は千七百七十六戸で、このうち五百五十一戸は買收等の方法によつて解決が可能である、そうしますと、残りの千三百二十五戸は今後どうなるかということになりますが、住宅局長お話を聞きますと、この法律によりまして、二十八年の三月三十一日まで、緊急措置令の第二條によつていろいろなものの存続を許す、こういうことになつておるので、千二百二十五戸が一箇年で解決するのだ、もししなければこの二十八年の三月三十一日を、その時に及んでもつと延ばすのだ、こういうふうに他の諸君の質問からも想像されたのですが、そういうふうに承つていいのですかどうですか、その辺をもう一回御答弁願います。
  37. 大村巳代治

    ○大村政府委員 ただいまの御質問につきましては先般御答弁申し上げたわけでありますが、大体この措置令が実施されて現在残つておりますのが、東京、横浜の非常に中央に近い地域でありますので、できるだけ私ども地方公共団体に連絡し、督励して、二十八年三月末日までに解決してしまいたい。その点を目標にできるだけの努力をいたしたいという考えであります。但し御承知のように、私どもとしてはこの法律に書いてありますように、入居者を一定の時期をきめて建物から退去させるということは実質上には絶対したくないと思つております。入居者の行く先がきまらない以上、こういう処置はとりたくないと思つておりますので、実際の場合八割程度の目標でもつて公営住宅の用意をしておるわけでございますが、それでどうしても足らぬ、しかも入居させるべき公営住宅の建設がどうしても間に合わない、こういうような事情でやむを得ないときにはもう一年繰越しをお願いするかもしれぬということを申し上げたわけでございます。できるだけ二十八年の三月一ぱいにこの仕事は解決したい覚悟でおります。
  38. 西村英一

    ○西村(英)委員 ただいま局長のお話を聞きますとますます不安になつて来るのです。現在の入居者は、この法律案の施行によつて当然二十八年三月三十一日までに何とか解決しなければならない。今国民の一番困つておることは住宅なんです。これはもう局長も十分御承知のはずでしようが、政府考えておる住宅政策は、二十六年度においては公営住宅は二万八千五百四十戸を見ておつたと思います。ところが二十七年度は二万三千六百五十戸という計画予算ではなつておるのであります。一方においてこういう法律案によつてますます庶民住宅の問題を考えなければならないというときに、二十七年度住宅の数が去年よりもはるかに少いということが私には第一にわからない。  第二の点は、私先般も申し上げましたように、公営住宅法をつくつて住宅の三箇年建設計画を立てる、しかもその建設計画は前に私が御質問申し上げましたときにはあまりよくわかつておらないようなお話でありました。その後新聞にも出ておりましたが、もしかりに新聞に出ておつたようなことが答申案に述べられたとするならば、もちろん法律におきましては予算の許す範囲内というだめは押してありますが、この答申案に基いて建設省がきめようとする住宅計画の一箇年の要求数が、予算の上とは申しながらはなはだしく数が合わないのです。答申案よりもはなはだしく少く感ぜられるのであります。そういうような点につきまして、この緊急措置令によつて救われておる方々の受入れを考えるとともに、現在困つておる住宅を何とかしなければならぬというときにおいて政府住宅政策はあまりにも貧弱ではなかろうかということを私は数字の上で感ずるのであります。局長も住宅に困つておるということは十分知つておりながら、数字の上に現われた住宅の緩和策というものは一つも講ぜられておらない、こういうように私には受取れるのでありますが、この点につきましてどうあなたはお考えになりますか。
  39. 大村巳代治

    ○大村政府委員 三箇年計画につきましては、ただいまお話のございましたように数日前の閣議決定を経まして、近日中に国会の御承認を受けることになると思います。私ども二十七年度予算として当初八万戸の要求をいたしたわけであります。むろんこの八万戸はある程度の査定は受けるものと思つてつたのでありますが、この緊急措置廃止による收容もそのわくの中でめんどうを見るつもりであつたわけであります。それほど従来よりよけいに予算をとりたいという希望で努力した次第でございますが、結論といたしまして昨年の実施計画とほとんど同一の数字で押えられてしまつたわけでございますが、一方公営住宅の隘路として最近の現象といたしましては、起債のわくが非常に小さくなりました。一昨年からは住宅の特別のわくがなくなりまして、一般公共事業のわくでもつて各事業がとり合いのような形になり、そのために二十四年度は起債のわくでもつて地方公共団体が支弁したのが五割で、残りの五割は地方財政によつたわけであります。それが昨年度は六割に上つておりましたので安心していたのでございますが、二十六年度は三割に落ちてしまつた。しかも大都市ほど財政がきゆうくつでございまして、返す数字が多くなつた現状であります。その大都市にこれをやることは相当無理だという御意見は十分わかるのでございますが、東京、横浜といたしましては、起債のわくをふやしてさえくれればやれるという意見を申し述べております関係上、この起債のわくをふやす、特に東京、横浜の緊急措置関係のわくをふやすように今後大いに努力して行きたいと考えているわけでございます。
  40. 西村英一

    ○西村(英)委員 一応弁解的なお話は聞きましたが、ただいま議題になつておる緊急措置令によるところの方法をやめるということは、われわれも同感なのです。但し私は繰返して申し上げるようなわけで、あなたも十分おわかりのように、この法律案の理由にも書いてありますように、住宅は非常に緩和されたので、従つて廃止するのだ、緩和と申ましても決して満足すべき状況でなく、むろん終戰直後に比べての話です。現在国民生活の最も重要な衣食住の三つの点の中で、住宅が勤労者の一番の悩みなのです。また東京都あたりは多くの学生諸君などが入つて来て、住宅不足のために、わずかの間借りをするのにも相当多額の金を拂つて向学の精神をなくしてしまう人も相当ある。こういうようなことから考えてみると、この廃止法律案住宅が緩和されるようなことをあなた方はかりにも思つてはいけないと思うのであります。その証拠として、二十六年度の庶民住宅の数と二十七年度の庶民住宅の数とを見ると、はなはだしく二十七年度は受入れ態勢を考えているにかかわらず少いということはどうしても合点が行かない。重ねて御答弁はいりませんが、そういうことにつきましてもう少し政府住宅に対するところの認識を——おそらくあなた方はなれつこになつておるから、あまりぴんと来ないのではないかと私は思いますが、私たち毎日そういうことに接している者としては、これは非常に重大に考えているのでありますから、法律案それ自身についてとやかく申すわけではありませんが、その受入れは優先的に庶民住宅にあてがうのだという点につきまして、もう少し庶民住宅の数をふやすことを考える、なおせつかく三箇年の住宅総合計画をするということになつていれば、その三箇年の建設計画を生かさなければならぬ。予算の都合上、多少の増減はやむを得ないといたしましても、その計画とはなはだしく異なるような予算の組み方であるならば、建設計画もほんとうに紙の上の遊戯にすぎないことになりまするから、私は重ねてあなたに御要望いたしまして、一応私の質問は終ります。
  41. 松本一郎

  42. 川島金次

    川島委員 私は途中で本委員会に参りましたので、この問題に対する審議の経過の実情を知つておりませんから、あるいはすでに他の委員からお尋ね済みのことであろうかと思うのですが、参考のために、恐縮ですが二、三お尋ねをさせていただきたい。  まず第一にお尋ねしておきたいのは、この機会でありますから申し上げるのでありますが、今度の北海道震災に伴いまして、家なき状態に至つた者が相当あるのじやないかと私は想像しておるのですが、北海道における今度の震災によつて倒壞またはまつたく破壞されました住宅などの数はどのくらいですか、そうしてその住宅の復興に対しましては、政府はどういう措置を講じようという計画を持たれておるか、そのことをまず第一にお知らせ願いたい。
  43. 大村巳代治

    ○大村政府委員 北海道災害につきまして先ほど大臣からもお話がありましたように、住宅につきましては三十五億という被害額があるわけであります。全壞、流失並びに燒失の数字を合計してみますると、千五百数十戸という数でございます。これは災害救助法によりまして、北海道庁の方で一時收容施設バラツクを建てることになるわけであります。その地域は、ただいまのところ大体被害が二十戸以上になつておりまする、先ほど大臣の言われました霧多布のあります浜中村、それから厚岸町、十勝地区池田町、浦幌町、豊頃村、大津村、日高地区で浦河町、様似村、三石町、たしかこの九町村と記憶しております。それから復旧計画といたしましては、公営住宅の第一種、第二種を充てるわけになります。大体現地でもつて一応打合せをいたして参りました。至急申請をとるようにいたして参つた次第でございます。その申請が参り次第、私の方の処置ができるわけでございまするが、道庁といたしましては、まず適当な金融を考えて、つなぎ資金を出して、応急的に千三十九戸の計画を立てたい。その内容は、まだ各省の折衝がついていないわけでございまするが、引揚者の集団住宅の收容施設の疎開に伴う住宅をもらえるかというような、希望を持つておるようでございます。たしかもう本日は北海道の知事が上京して参つて中央対策本部と連絡いたして各般の折衝を開始することになるように聞いておりますが、順調にはかどるのではないかと思つております。
  44. 川島金次

    川島委員 住宅の復興に関連して、やはり北海道北海道庁なりのあまりゆたかでない財政というものを控えている。そういう場合に、この当面の緊急な住宅復興あるいは恒久的な復興をはかるために、やはり北海道北海道としての財政上の都合によつて、先ほどのお話に出た地方債の発行のわくの拡大、あるいはまた別な方面の協力の仕方として金融公庫のわくの拡大、そういつたようなものも当然考えられて来るだろうとは思いますが、そういうことについて、それぞれ具体的な話が進んでおるのかどうか、その点はどうですか。
  45. 大村巳代治

    ○大村政府委員 金融公庫のわくにつきましては、従来のルース台風でも約十億別わくで予定され、結局十億五千万円ばかり出しまして三千戸の割当をいたしたわけであります。当然この対策本部の計画中にそれも含まれて特別のわくが設定されるか、あるいは来年度計画の五万戸の中のわくを特に区切られるか、この点はちよつとまだわかりかねますが、当然北海道災害向けの分を優先的に考慮するということは、従来の例で見ても行われると思つております。
  46. 川島金次

    川島委員 当面の問題の処理に対しては、万遺憾なくしかも急速な積極的な立場で、いろいろの計画の実施を進めてもらいたいということを希望しておきます。  そこでこの案自体の問題ですが、これもすでに議論済みのことではないかと思います。たとえば第三條における立ちのき要求の予告期間は一箇月間ということになつている。民法上における借地法、借家法ですが、そういつた方面の法律におけるところの立ちのき要求の事前期間は六箇月くらいではなかつたか、それからまた一昨年でしたか、新しく法律となりました公務員の宿舎に関する法律の中にも、事前の立ちのき予告期間はたしか三箇月ではなかつたかと私は記憶いたしておるのであります。なるほどこの法律はこれから可決をしても、二十八年三月三十一日までは旧来の法律が存続することになりますから、一年間の余裕があるのではないかということは一応言えるのでございます。しかしながらさて立ちのきを要求される側に立つた場合に、この一箇月という予告期間が、常識的に見ても法律的に見ても、あるいはまたいろいろな実際的な問題の解決の仕方の上に立つて適当であるかどうかということは非常に疑問だと私は思うのです。疑問であるのみならず、要求される方の立場からいえば、非常に苛酷な予告期間ではないかと思うのであります。もちろん参議院で決定したことではございますが、衆議院委員会において修正する方法もないわけではないのですが、一箇月と定めた事情はどういうところにあつたのか、あるいはこれは万やむを得ないぎりぎりの線であつたのかどうか。そのいきさつについて伺わしてもらいたいと思うのであります。
  47. 大村巳代治

    ○大村政府委員 これは少し事情を申し上げて答弁した方がよろしいと思います。対象となつておるのは現在残つておる千七百戸余りが東京と横浜に集中しておるわけです。東京と横浜の事情を申し上げますと、住宅でないものを間仕切りをしましたりして無理に二、三坪ずつわけて一世帯ずつ入れてあるのです。それで家賃もあまり値上げができずに自然修繕もしておらぬというわけでもつて、非常に不良住宅化しておるのが多い現状なのであります。そして建物の所有者は明渡してくれといつておりますし、これをやつておる公益法人は、現在気息えんえんとしておるというものが非常に多くなつておる。それで自然地方庁への苦情も大分参つておりまして二十三年ごろからできるだけ明渡す方法でもつてすでに努力して参つております。この資料でもおわかりのように、一年間で約三割というわけで、地方公共団体の担当者は非常に努力しておるわけであります。それで今度の法律の第三條で一箇月としてございますのは、別の方にありますように、優先的に公営住宅に入れてあげるということでもつて——従来も解決できたわけでございますが、今度初めて優先入居を認めたことでもつて相当解決するのではないか。公営住宅にお入れするには一月以上ちよつと明けておけないという事情もございます。それでむろん職場の関係どもございますので、希望のところに入れられるか入れられないかというのが非常な問題になると考えておりますが、問題の起きないように、職場に近い適当な公営住宅に入居させるという考え方で、公営住宅が明いたような場合に順次入れて行くということも考えられますし、またその近所で適当な敷地を探して、そこへ公営住宅を建てて一齊に移つてもらうということも考えられるわけであります。それでございますから、追い出しでない関係から、六箇月間の余裕はいらぬじやないか。一箇月の方は公営住宅の入居関係から出た数字でございますので御了承願います。
  48. 川島金次

    川島委員 お話はその通りでよくわかるのですが、その原則だけで進めることが全部可能ならば何も問題はないと私は思うのですが、なかなかそうは行かない事情が起ることは予見し得る。そういう場合に処するのに、なおかつ一月前の予告期間で、その次には十日くらいで明渡しの要求をやろうと思えばできるわけです。こういう苛酷な法律をつくるということは、私は憲法違反とは言いませんが、憲法上に保障された生活権、居住権に対して相当考慮を要する問題だと、私は今見て直感したのであります。ことに第四條におきましても、今の一箇月前に予告して立ちのきをしない場合には、なるほど十日以上と書いてあるけれども、十日でもいいということであります。そういうことになりますと国民の当然の基本的な権利とも申すべき居住権が、自己の意思に反していたずらに脅かされる結果にもなりかねない事情が、実際問題として起つて来るのじやないかと思う。そこで私は起案者としての政府の側において、一箇月の問題あるいは第四條の十日の問題も、一般の社会通念の上に許された範囲、あるいはまた民法上からも常識的に考えられている期間に対する配慮を当然なすべきではなかつたかと思うのであります。政府としてはすでに原案としてこれを出したことですから、こういうことを申し上げることはまことにやぼなことでございますが、何かもう一ぺん考え直してみるという方策があるかどうか。実際のところを打明けてお聞かせ願いたい。
  49. 大村巳代治

    ○大村政府委員 第三條、第四條が、当事者については相当苛酷なように見えるという御意見、私どももある程度ごもつともと思えるわけでございます。ただ先ほども申しましたように、東京と横浜ですでに三年間これを実施して参つております。実を申しますと東京の入居者は大体生活のゆたかな方がおられるのでございまして、かわられるのは第一種の規模の大きい方にかわりたいという希望が多いそうでございます。いわゆる保護を要する階級はほとんどおられない。だから行く先だけ心配してあげれば解決がつくという意見と、横浜の方は約一割五分ぐらい要保護の方々がおられ、めんどうを見てあげないとなかなか困難じやないかというような意見も、地方の公共団体からあるわけであります。この点は特に連絡をとつて万全を期して行きたい。引越しなどにはできるだけ都や府県の車なども協力してお手伝いしてあげようというようなことを打合せておる次第でございます。ただそういたしましても、先ほど申し上げましたように、市の公営住宅の数字がなかなか問題でございまして、これが先ほどの西村委員の御意見のように、大都市の予算が非常にきゆうくつな関係から、予定数だけそちらへ向けられぬというようなことがあるいは起るという心配がございますので、それで万が一の場合には、もう一年延長して行つたらどうだろうかというように考えております。それなら初めから二年間にすればよろしいというようなことも言えるわけでございますが、一応努力目標として、来年の三月を予定しまして、なおそれで解決できぬ場合にはもう一年延長して、住宅の補給をはかつて行きたいと考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  50. 川島金次

    川島委員 時間がありませんから、最後に議事進行の形で委員長にひとつお伺いしたい。  この第三條、第四條の問題については、当然この委員会相当に議論があつたのではないかと私は想像いたしております。そこで私の直観的な立場で申し上げて恐縮なんですが、第三條の一箇月の問題にしても、第四條の十日と区切つた問題にいたしましても、非常に苛酷であり、かつややもすれば居住者にとつて危険を伴う問題ではないかというふうに心配をします。そこで委員長は與党の有力な方でもありますし、しかも本委員会の責任者でもありますので、委員長にお尋ねしておきたいのですが、第三條、第四條の問題について本委員会がこれを修正するということに委員長みずからが先頭に立つてあつせんをするという心構えがあるかどうか。これはまことに唐突で委員長には恐縮なお尋ねですが、委員長としてのお考えを聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  51. 松本一郎

    松本委員長 御承知のように、本案は参議院より可決されて昨日衆議院にまわつて参りました。なお委員会としても本案についての質疑はまだ残つております。従つて質疑も十分盡していただいて、しかして後当委員会委員の御態度を決していただきたい、こう考えておりますので、きようの御質疑はこの程度で御保留を願いたいと思います。  それでは本日はこの程度で散会いたしまして、次会はいずれ公報をもつてお案内いたします。     午後零時二十三分散会