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1952-03-11 第13回国会 衆議院 建設委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年三月十一日(火曜日) 午前十時五十二分
開議
出席委員
委員長
松本
一郎君
理事
鈴木 仙八君
理事
田中
角榮
君
理事
村瀬
宣親
君 逢澤 寛君 淺利 三朗君 宇田 恒君 上林山榮吉君 西村 英一君 増田
連也君
川島
金次
君
池田
峯雄君
河口
陽一
君
出席国務大臣
建 設 大 臣
野田
卯一君
出席政府委員
建 設 技 官 (
住宅局長
)
大村巳代治
君
委員外
の
出席者
建設事務官
(
住宅局住宅企
画課長
) 鬼丸 勝之君 專 門 員 西畑 正倫君 專 門 員
田中
義一君
—————————————
三月十一日
委員前田榮
之助君辞任につき、その補欠として
川島金次
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
三月十日
住宅緊急措置令等
の
廃止
に関する
法律案
(
内閣
提出
第三四号)(
参議院送付
) 同月七日
連合軍
による
接收地
の
損害補償
に関する
請願
(
志田義信
君
紹介
)(第一二一六号)
観光都市建設
に関する
請願
(
佐々木盛雄
君紹 介)(第一二七三号)
江戸川改修工事促進
の
請願
(
竹尾弌君紹介
)( 第一二七八号)
府県道筋生名古屋線改修工事施行
の
請願
(多武 良哲三君
紹介
)(第一二八〇号) 同月十日
県道日光溝口停車場線改修工事施行
の
請願
(門
脇勝太郎
君
紹介
)(第一三二七号)
琵琶湖総合開発
に関する
請願
(
水谷長三郎
君外 一名
紹介
)(第一三五六号)
名田村地
内の
防波
、
防潮施設費国庫補助
に関す る
請願
(
田渕光一
君
紹介
(第一三五七号) 真人村
地内信濃川
に
砂防工事施行
の
請願
(猪俣 浩三君
紹介
)(第一三五八号) 河川の
水利使用許可権国家移管反対
に関する請 願(
河原伊三郎
君
紹介
)(第一三九〇号)
中部日本横断道路
を国道に
編入等
の
請願
(三宅
則義
君外四十三名
紹介
)(第一三九一号) 北農第一
別館接收解除
に関する
請願
(
小平忠
君 外二名
紹介
)(第一三九二号) 追浜、
長浦地区
の再
接收
に関する
請願
(
小川半
次君
紹介
)(第一三九三号) の審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
住宅緊急措置令等
の
廃止
に関する
法律案
(
内閣
提出
第三四号)(
参議院送付
)
十勝沖地震
による
災害状況
に関する件
—————————————
松本一郎
1
○
松本委員長
ただいまから
建設委員会
を開きます。 先般の
十勝沖地震
によるその後の
被害状況
並びに
政府
のこれに対してと
つた
処置
の経過について、
建設大臣
から
説明
を聴取することといたします。
野田建設大臣
。
野田卯一
2
○
野田国務大臣
十勝沖地震
によりまして、
北海道
の
釧路地区
、
十勝地区
及び
日高地区
の三
地域
を主といたしまして
相当
な
被害
が生じました点につきましては、衷心より御同情申し上げておる次第であります。 私
ども
といたしましては、
地震
の起りました三月四日に
北海道開発庁
の
岡田次長
及び当時上京中でありました
北海道開発局
の
池田局長
をただちに
北海道
に向わせることにいたしまして、両人は三月五日の朝
飛行機
で向うに立
つたの
であります。私は、三月五日の棚になりまして総理から特命がありまして、
北海道
の
災害
は
相当
大きいようだからぜひ
現地
に
行つて実情
を
調査
し、また
対策
を講ずるようにという
お話
があり、
ちようどリツジウエイ将軍
から、もしそういう場合には
進駐軍
として輸送その他について最大の御
援助
を申し上げるという申入れもありましたので、
司令部
にお願いし、特別に
軍用機
を出していただきまして、私のほかに建設省の
住宅局長
、
都市局長
、
道路建設課長
、それから
参議院
の堀さん、
衆議院
の篠田さん、秘書官の七人が
飛行機
に
乘つて参つたの
であります。三月五日の午後二時出発いたしまして
北海道
に
参つたの
であります。三月五日、六日、七日、八日、九日、それだけ私は
北海道
におりまして、主として六日、七日、八日の三日間に
被害現地
を視察したのでありますが、今回の
地震
の
震源地等
につきましてはまだ確定しておりません。
襟裳岬
の南方五十キロという説と、
襟裳岬
の
東方
五十キロという説がわかれておりますが、今のところ一応
襟裳岬東方海上
五十キロの沖だということに
なつ
ております。
地震
の
被害
につきましては、これを大別して
二つ
にわかれるのでありまして、
一つ
は
地震自体
による
被害
と、もう
一つ
は
地震
に起因する
津波
の
被害
であります。場所的に申しますと、
釧路
の
霧多布
であるとかあるいは
厚岸
という
方面
は、
津波
の
被害
を受けまして惨状を呈しております。
十勝支庁管内
の
東方
に
池田
という町がありますが、
池田
の町あるいは浦幌という町、あるいは豊頃、大津という
二つ
の部落、一町三箇村は
地震
の
災害
を極度にこうむ
つて
いる
地域
であります。その他
日高地区
にも
地震
による
被害
がかなりありますが、全般的に申しまして、この
地震
がその震度において
南海水災
に匹敵し、
福井震災
の倍であるというのにもかかわらず、
被害
の点におきましては、これらの
南海水災
あるいは
福井震災
よりもはるかに少いということに
なつ
ておるのであります。その理由の主たるものは、
地震
の起りましたのが午前十時二十三分二十四秒とかいうことで、朝飯を済まして晝飯の前であ
つた
、しか
もちよう
どみんなが活動しておるという一番いい時期である、それから天気がいい、また
被害
を受けた
土地
が雪が少い
土地
であるというような点、また海の
関係
におきましては、当時干潮でありまして水がすつかり引いてお
つた
ときである、こういう自然的な
條件
に恵まれてお
つた
ということと、それから
北海道庁
各
市町村
、あるいは
北海道
の
支庁
、あるいは
警察関係
の
国警
、自警というような
方面
、あるいは
消防団
、こうい
つた
指導的地位
に立
つて
おる人々の
処置
よろしきを得ましたのと、
道民諸君
の心がけが非常によか
つた
というようなことのために、例を
一つ
とりますならば、
火災
が起
つて
いない。
釧路
の町におきましては九箇所において火を発したのでありますが、これがすぐに消しとめられて、わずか二戸
火災
で燃えただけだということであります。その他の
地域
におきましても
火災
がほとんどない。こういうようなことでありまして、
日本
では
地震
に伴いがちな
火災
がほとんどなか
つた
ということが、
被害額
を小ならしめている大きな原因だと私は
考え
ます。 次に、しからばどの程度の
被害
にた
つて
いるかということでありますが、私が
北海道
を出発する直前に集まりました資料によりまして
北海道庁
がつくりましたものによりますと、
被害
の
総額
は百五十四億七千四百万円ということに
なつ
ております。その中で大きな
被害
は、
鉄道
が七億円、
道路
が十億二千三百万円、それから
耕地関係
が十億五千七百万円、
学校関係
が六億二千百万円、
水産関係
において九億八千百万円、それから
住宅関係
、これは一番大きいのでありますが、三十五億五千六百万円、それから
罹災者
各自の持
つて
いる財産に対する
被害
九億五千八百万円、こういうことに
なつ
ておりまして、その他
各種
の
被害
があるのでありますが、その
総合計
が百五十四億七千四百万円ということに
なつ
ております。 これに対しまして
復旧
でありますが、
復旧総額
は約百四十億円ぐらい必要でありますが、そのうち
応急対策
としての
経費
が十一億円ぐらい、それから普通の本格的な
復旧経費
として百二十八億程度いるというのが一応の
北海道庁
の計算に
なつ
ております。これにつきましては、まだ
報告
の内容は一々しさいに検討されておりません。従いましてずさんになるを免れませんし、なお
報告
が集まりつつあるということもあり、かつまた
北海道
では現在なお大地が雪におおわれておりまして、農地の
災害
あるいは
地下埋設物等
の
災害
につきましてはまだ十分わからないものがあります。
従つて
だんだん雪が解けて参りますと、そうい
つた
ような
被害
が現われてはつきりつかめるようになるわけで、そういう点におきましては、この
災害額
がもつとふえる
可能性
もあります。
調査
が精密になるに
従つて
減る部分と、これから上るものと、両方あるというふうに
考え
られるのであります。 そこでこの
被害
に対しまして
北海道現地
でどういう
対策
をと
つて
おるかという問題でありますが、
北海道庁
におきましては、いち早く立ち上りまして
支庁
を動員し、また
道庁
みずからも全職員を総動員いたしまして、これが
対策
に大わらわに
なつ
ております。また
被害
を受けた各
市町村
の
当局
も、たいへん熱心にこれに当
つて
おります。従いまして今日までのところ、人心はきわめて安定をいたしておりまして、
流言飛語等
もほとんど飛んでおりません。きわめて平静に推移をいたしている次第でありまして、第一次の
応急援護
である食糧の
供給
あるいは
衣料品
の
供給
、あるいは
住宅
の
供給等
につきましては
——、食べ物
の点については大体
現地
で調弁いたしまして
措置
されております。また着るもの、衣類というようなものにつきましては
進駐軍
からの
援助
もあり、また手持ちのものもある、あるいは買い集めるというような
方法
をもちまして極力これをかき集めまして、
被害者
に
供給
するというようなことに相
なつ
ております。ただ問題の
住宅
、住居の点につきましては、私が
現地
に行きました当時はまだ
バラツク
は建
つて
おりません。知事の話では、この
バラツク
を至急建てたい、こういうことを
考え
ておりまして、十日から
道議会
が開かれますので、それに
予算
を計上して一時
道費
をも
つて
各
町村
に金を渡して、各
罹災町村
の長の責任において必要な
バラツク
を建てる
計画
を進めたいということを申しておりました。 その他の
災害
の
復旧状況
は、交通、
通信等
でありますが、
通信
の
関係
は六日、七日の間にほとんど全部
復旧
をいたしており、
鉄道
は十一日正午をも
つて
ほとんど全線が一応開通するというふうに進んでおります。
道路
につきましては、かなりあちこちがいたんでおりますが、これについては御
承知
のように
北海道
では
国直轄
でや
つて
いる
道路
が多いのでありまして、
北海道開発局
の
現地機関
が出動いたしまして、
目下道路
が雪なだれ、あるいは
崩壊等
によ
つて
通れなく
なつ
ているのを警戒しておる。また
橋梁
につきましてはかなり破損が多いのでありまして、これに対しましては仮の橋をかけるというようなことに邁進をいたしております。これに呼応いたしまして、
北海道庁
におきましても各市町においても、それぞれの
手当
を進めつつある
実情
であります。
港湾
につきましては、これはある程度——特に
釧路
におきましては
釧路
の新埠頭がたいへんな
被害
を受けておりますが、この問題につきましては速急にというぐあいに行きませんので、この波止場の
所有権そのもの
にも問題があ
つた
りいたしまして、目下これが
対策
を研究しております。その他の小さい
港湾
の
被害
はそれぞれ今
手当
がされつつある、こういうような
実情
に
なつ
ております。 次に
漁業関係
の
被害
でありますが、
霧多布
とか
厚岸
とか、私はそこへ
行つたの
でありますが、こういう
方面
は
漁業
の
中心地
でありまして、
霧多布
というような町におきましてはその大半が
津波
のために家が流されたり、あるいはこわされたりしているのであります。また漁船とか漁具とかいうような
漁業関係
の
施設
が、ほとんど全部なぐ
なつ
てしま
つて
おる。こういうような
実情
に
なつ
ております。これにつきましては至急に適当な
措置
を講じまして、漁期の始まる前にこういうものの
手当
をしてやらなければならぬ、こういうような
関係
に
なつ
ているのであります。
森林関係等
につきましては、
森林自体
の
被害
はあまりありませんが、木材が
復旧
のためにいる問題があるのであります。これにつきましては、
営林署長
の権限におきまして必要な資材を出せる準備が進められている、こういうような
状況
であります。 なおその他いろいろと詳しいことがございますが、省略をいたしまして、また必要があれば御質問に応じて答えたいと思います。 今回の
地震
は、全体的に見ましてその激しさにかかわらず、
被害
が
最小限度
に食いとめられているということはま
つた
く不幸中の幸であり、かつ
震災
後における
各種
の復興、
復旧
の
措置
が迅速に購ぜられているということも、また非常に力強く私
ども
感ずる次第であります。
現地
におきましてはその
復旧対策本部
をつく
つて
、盛んに活動いたしております。
中央
におきましても本日閣議において、
北海道開発庁
が
中心
となりまして
関係各省
の係官をも
つて
十勝沖地震災害復旧対策協議会
を設立いたしまして、
現地
と相呼応いたしまして、
復旧対策
を
各省歩調
を合せて推進して行きたいというふうに決定に相
なつ
た次第であります。簡単でありますが、これをも
つて
一応
報告
を終ります。
松本一郎
3
○
松本委員長
ただいまの
建設大臣
の
報告
に対し、御質疑がありましたら御発言を願いたいと思います。
田中角榮
4
○
田中
(角)
委員
十勝沖
の
地震災害
に対して、
現地
を視察して参られた
報告
を今お聞きしたのでありますが、これが
応急
及び
恒久的復旧費
の
予算的措置
及び
方法
に対してのお
考え
があ
つた
らお聞かせ願いたいと思います。
野田卯一
5
○
野田国務大臣
応急復旧
につきましては、
北海道開発庁
が
関係
いたしております
仕事
は
道路
、
港湾
、
橋梁
その他いろいろあるのでありますが、これにつきましては今手をつけております。その
経費
は、一応二十六
年度
予算
で二十六
年度
中に使用できないでこれを二十七
年度
に繰越す予定のものが数千万円ございます。これをも
つて
対処したいと思
つて
おります。但しこれは手続的にいろいろと問題がありますので、目下
大蔵省等
と検討いたしておる次第であります。それから
道庁
みずからやるもの、あるいは
市町村
がやるものにつきましては、これは何らかの資金的な
措置
をしてやる必要があるのではないかと
考え
ております。
予算
全体といたしましては、この
復旧費
というものは二十七
年度
予算
の
災害復旧費
から出したいと
考え
ておる次第であります。しかし
予算成立
までの間も手を休めるわけに行きませんので、それにつきましては
つなぎ資金
の
供給
が必要ではないか、こういうふうに
考え
ておるのであります。
田中角榮
6
○
田中
(角)
委員
これが
恒久
及び
応急
の
復旧費
に対しては、
政府
は万遺憾なき手をとられると思うのでありますが、十分なる
処置
をこの際とられることをお願いしたいと
考え
るわけであります。 もう
一つ
は、ただいま
審議
中の二十七
年度
予算
のうちの
予備費
の問題であります。この問題も前年通り八十億というようなものでありますが、この
災害
は非常に突発的なものであり、
日本
の
災害
時期からはずれておりますが、このような
災害
に対しても
政府
は当然適切な
措置
を講じなければならぬと
考え
るわけでありまして、
予算
が
審議
中でもあります
関係
上、二十七
年度
にかかる
災害
に対する
予算的措置
は十分講じなければならぬと思うわけであります。 次には
治安
上、
現地
を視察せられて、特別配慮しなければならないように
事態
があ
つた
かなか
つた
かということをお伺いしたい。
野田卯一
7
○
野田国務大臣
今回の
地震災害
に伴いまして、
現地
の
国警並びに自治警等
、きわめて機宜の
措置
をとられました。
従つて治安
上はきわめて平静でありまして、
流言飛語等
もほとんど聞かれません。また
災害
に伴うど
ろぼう
とい
つた
ようなもの、そういうものもあまり大したことはありません。特に私が感心いたしましたのは、
釧路管内
の
霧多布
でありますが、これが一番
被害
の多か
つた
ところであります。この
あたり
は
被害
を受けてから今日まで盗難
一つ
起らない、そういう事実もなければ申出もない。こういう点きわめて
秩序整然
として行われておりまして、この
治安
の
関係
が
ぴりつともしないという点
は、特に私は深い感銘を受けた次第であります。
田中角榮
8
○
田中
(角)
委員
北海道
の
治安
の問題に対しては非常に憂慮せられておる現在でありますが、ただいまの力強い、またそのようなおそれのない
現地
であることを聞いて安心しておるのでありますが、
被害地
のまん中に
網走
の
刑務所
があるのでありますが、これらに対しては適切な
措置
をとられたのかという問題も、お知りだ
つた
ら聞いておきたいと思います。
野田卯一
9
○
野田国務大臣
網走
については、私今度
災害視察
のときに
ちようど汽車
であの
土地
を
通つたの
でありますが、あの
あたり
は
被害
はきわめて軽少でありまして、
従つて
私は
刑務所等
にも非常に憂慮すべき
事態
は生じておらないというふうに
考え
ております。
淺利三朗
10
○
淺利委員
ただいまの
大臣
の御
報告
によりますと、百五十億とかあるいは
応急措置
をしてもなお百二十八億を要する。これで見ますると、二十七
年度
の
予算
において、
予備費
としては八十億しかないはずでありますから、この全額を
北海道
に
使つて
もなお足らぬ。こういうことでありますから、これは二十七
年度
の
補正予算
でも出さるる御
計画
でありますか、まだそこまで行
つて
おらぬかしらぬけれ
ども
、お見込みとしてはどうでありますか。
野田卯一
11
○
野田国務大臣
ただいま御
紹介
いたしました百五十四億円の
災害総額
及び
災害復旧総額
百四十億円というのでありますが、この中にはあらゆる
損害
が含まれておるわけであります。
従つて
その中には個人みずからが負担すべきものもありましようし、それから
市町村
でやる分、庁でやる分、国でやる分と、この負担の主体がいろいろあります。それからまたこれを財政的
措置
によ
つて
やるものと、金融的
措置
によ
つて
やるものとい
つた
ようなものが全部含まれておるわけであります。しかもこの中には、緊急を要するものと、必ずしもすぐにやらなくても、多少延ばしていいものと、いろいろなものが含まれておりますので、目下その中の仕訳をいたしまして、一体どのくらい二十六
年度
ないし二十七
年度
において財政的に
措置
する必要があるか、あるいは金融的に
措置
する必要があるかということを検討中であります。
淺利三朗
12
○
淺利委員
今
お話
を承りますと、まだこれは正確なことはわからぬということでありますが、もちろん二十七
年度
の
予算
が通過すれば、その
予算
のうちで、この
地区
における設置に要する費用も計上されておると思うのであります。たとえば
道路費
のごときは
北海道
は二十億を計上しておる、
全国
の四分の一を計上しておる、こういうのでありまするから、
従つて
この
地区
において予定せられたところの
道路費
というものもまた
相当
にあるでありましようから、それらのものが
予算
が通過したならば、さつそくその
地区
においては二十七
年度
の予定された
予算
でやるということもできるだろうと思うのであります。しかしこれだけの大
損害
になりますると、結局はこの八十億の
予備費
を
使つて
しまうと、あとの
全国
に起ることを予想さるる
災害
においては、
応急
に
措置
ずるところの
予備費
がなくなるという憂いがあるのでありますから、その点については十分御考慮を願うことを特に要望いたしておきます。
松本一郎
13
○
松本委員長
河口陽一
君。
河口陽一
14
○
河口委員
十勝沖
の
災害
に対して、
大臣
は非常に
公務多端
の折、すみやかに
現地
御
調査
に御出張に
なつ
たことに対して、深甚の謝意を表する次第でございます。先般もいろいろと申し上げておいたのですが、
北海道
は御
承知
のごとく今まで
地震等
の
災害
を受けたことがないのでございまして、今回が私
ども
の記憶では当初と
考え
るのですが、いろいろ
お話
を承ると、六十年目の
震災
だということであります。かようにま
つた
く
地震
のない
地帯
が今回突如として
地震
の結果、御
報告
にありましたように、
福井
県の二倍に達する
震災
と聞いておりますが、まことに広汎な
震災
と
承知
いたすのであります。御
承知
のごとく
北海道
は
北辺
の地でありまして、
中央
との連絡も非常に困難と存じます。そういう点から
道民
のこれに対する苦痛も
相当
大きいと想像されるのであります。
従つて当局
においてもそれらの点を十分御配慮いただいて、不安の起きざるよう、ことに
北辺
の地であり、思想的にも動揺しやすい
地帯
でありますので、こういう点は特に
政府
において御配慮いただいて、物質的にはもちろん精神的にもひ
とつ
ごめんどうを見ていただきたいと存ずるのでございます。まだ
災害
の
調査
が十分でないから、具体的な問題についてはこれから立てられることと存じます。また先ほどの
大臣
の御
報告
によりましても、
十分政府
の意のあるところを了承いたしました。今後の進め方について御同情ある
処置
を希望いたしまして、私は終ります。
松本一郎
15
○
松本委員長
村瀬宣親
君。
村瀬宣親
16
○
村瀬委員
建設大臣
にお伺いいたすのでありますが、時ならぬ
災害
、と申しまするのは、大体今まで
予算
を組んでおりまするときの
おぼろげ
な概念としては、まず
日本
では二百十日前後に
台風
が起る、それが終ればやれやれだというようなことを前提として
予算
を組んでいると想像されるのであります。その
意味
から時ならぬ今度の
災害
が起
つた
。しかもその額は莫大である。ことに
北海道
という特別な
地域
に主として
災害
が起
つた
という点について、これは容易ならぬ問題でありますが、この
災害
について
補正予算
をお組みになる御意思があるかどうかお伺いしたいのであります。
野田卯一
17
○
野田国務大臣
今のところ、
補正予算
を組む
考え
は持
つて
おりません。
村瀬宣親
18
○
村瀬委員
しからばお尋ねをいたしまするが、五百億円の二十七
年度
公共事業費
の
予算
は、四百二十億円を
過年度災害
に、
当該年度
いわゆる二十七
年度
に起ると予想される
災害
に対して八十億円の
予備費
を見ているのでありますが、今回の
北海道
の
災害
は四百二十億円の方からお出しになるお
考え
でありますか。
野田卯一
19
○
野田国務大臣
私の今の
考え
方といたしましては、八十億円の
当年度災害
の方から出す
考え
を持
つて
おります。
村瀬宣親
20
○
村瀬委員
それは
予算審議
の根本にさかのぼ
つて
はなはだ
筋道
が通らぬと思うのであります。ことに
大蔵省畑
でその敏腕を振われた
野田大臣
としてははなはだ受取りがたいのであります。
北海道
または
三陸地方
の
災害自体
としては、四百二十億から出ようと、八十億から出ようと、あるいはその他から出ようと、ともかくも金額が多く
復旧費
に充てられればよいのでありまするから、その点をどうこう言うのではないのでありまするが、しかし当
委員会
としてはやはりこういう
筋道
は立てておきたい。そこであの五百億円を
審議
するに
あたり
ましては、当然二十七
年度
に起る
災害
は八十億
——、
それでは足りまいと思いまするが、一応八十億ということのもとに
衆議院
は了承をいたしたのであります。さればこそ特に四百二十億という
過年度災害
に充てるべきもので、それで
野田大臣
の構想である
発生年度
に三割、翌
年度
に五割、三
年度
に二割、三年間をも
つて
日本
の
災害
を、ことに繰越し
災害
が千二百億になんなんとしておるこの
災害亡国
を、この三割、五割、二割の
方法
でなしくずしにして行こう、ここで初めて雪だるまのように繰越し
災害
が年々ふえてお
つたの
が、ようやく
野田大臣時代
に
なつ
て少しでも減るのではないか、こうわれわれは期待した。その
意味
においては、四百二十億でさえ足らぬのではないかという点をいろいろ議論したのであります。そうして二十七
年度
に起る
災害
は一応八十億でまかなう、むろん多くの
災害
があれば
補正予算
を組まなければならぬ、これは天災のことであるからやむを得ぬ、こういう一貫した
内閣
並びにあなたの御
説明
であ
つた
。ところが二十七
年度
で二十六
年度
に起
つた
北海道
の
災害
をその八十億から出すというのでは、これは全然
筋道
が通りません。単に
筋道
が通らぬだけではなしに、実際の
仕事
の上にいろいろな問題がまた起
つて
来ると思います。現にあの八十億に対してもいろいろあ
つた
。
ルース台風
が遅れて起りまして、そのうち実はわずかに二十億しか
使つて
いない。そうして行きつもどりつ、あちらへやろうこちらへやろうで、認証の問題もごたごたして、ま
つた
く妙な形にな
つてしまつたの
でありますが、まだ二十七年にならない今からすでにあの二十七
年度
に起るべきはずの
災害復旧費
に充てておる八十億を今から使おうというのでは、もはや
予算
の成立せぬうちから、こんがらが
つて
しまう、これに対して
一つ
の
筋道
の
通つた
御意見を承
つて
おきたいと思います。
野田卯一
21
○
野田国務大臣
私は最近の
災害取扱い
としては、三月
あたり
に生じた
災害
については、二十七
年度
の
当年度災害
としてやるということを聞いておるものですから、そういう答弁をしたのでありますが、この点もう一ぺん精査いたします。
村瀬宣親
22
○
村瀬委員
精査をすると言われるのでありまするから、これは精査をしていただきたいのでありますが、いずれにいたしましてもそれじや三月からいわゆる翌
年度
に行くのか、二月二十九日に起
つた
災害
はどうなるのか、どこか一本線を引きませんと、
年度
をきめた理由がなくなるのであります。二月ぐらいまでもどるというのでありますならば一月三十一日に起
つた
災害
はどつちにつくかということになりますので、やはり
年度
をきめておる以上は、その
年度
に一応従うべきである、こう思うのであります。先例等をお調べになるのはけつこうであります。いずれにいたしましても私の申しまするのは、何とかかんとかりくつをつけて、少しでも金を出すのを、澁るのではないが遅らせたり、金額も十分に出せぬという
方法
をと
つて
は相ならぬという観念がありまするから、実はこういうお尋ねをするのでありますが、元来から言いまするならば、
ルース台風
のときにすでに私は当然
補正予算
を組まねばならなか
つた
と思うのであります。それはまだ占領下にありまして、いろいろの事情があ
つた
かもしれません。しかしこれはもうこの
ルース台風
のときにあれまでに八十億の金は大体
使つて
お
つたの
でありまするから、当然
補正予算
を組むべきであ
つて
、今それにまた重
なつ
て今度の
災害
が起
つた
といたしますれば、ここに
補正予算
を組んで、その罹災民に
政府
はどのくらいこの
災害
を重大視しておるのだ、新たに
補正予算
を組むのだということが、金額の高も非常に重大でありますが、より精神的な激励の
意味
にもなる。当然そういうことをすべきである。それほど重大な
災害
であるということを私は感じまするがゆえに、あえてこの質問をするわけであります。そうしてこの補正ということが困難であるとすれば、
筋道
を立てたはつきりとした窓口をつく
つて
、この
災害
に当るべきであ
つて
、いいかげんなことで金さえ何とかして出せばいい、
つなぎ資金
を出せばいい、あるいは資金
計画
のやりくりでよいというようなことで放任のできる今度の
災害
ではないと思いますがゆえに、もう一度私は伺いたいのでありますが、今のところこの問題について
補正予算
を組む
考え
はないか。先ほど御答弁になりましたが、これは全体として
考え
ましたときに、私たちはこういう問題がなくても、この間の八千五百億円の
予算
を通覧いたしますと、物価の値上り等で当然
補正予算
を組まなければならない時期が来るというかたい信念を持
つて
おるのでありますが、いわんやこの予定せざる
災害
が起
つた
ということになりますと、これと関連して二十七
年度
の
補正予算
を当然組まねばまらぬ
事態
がますます顯著に
なつ
て来たと思うのであります。先ほどはこの
北海道
だけの
補正予算
をお組みになる御意思があるか、組むべきであるかと申し上げたところ、組む必要はないという御答弁でありました。さらにもう少し範囲を広げまして
北海道
の
震災
を
一つ
のフアクターとして、全体として二十七
年度
の
補正予算
を組まねばならない時期が来るとお
考え
になるかどうか伺いたいと思います。
野田卯一
23
○
野田国務大臣
私は二十七
年度
の
予算
、当
年度
災害復旧費
八十億、これで今回の
十勝沖地震
に伴う
災害
に対処して行きたいと
考え
ます。そうすると、八十億の中から時期的に早いのですから、優先的に扱うと、それだけ食い込まれて残りの金は少くなる。それに対して
補正予算
をすぐに出すかという問題が具体的に起ります。この問題につきましては、私は今のところ
補正予算
を出すという
考え
は持
つて
おりません。これはいずれ七月、八月等におきまして
災害
がなければもちろんいいのでありますが、たとえば
ルース台風
のようなものが起りますと、それでは残
つた
金が足りなくなることが当然起ります。その際は議会を召集して追加
予算
を組んで対処して行きたいというふうに
考え
ております。昨年の
ルース台風
の際も
村瀬委員
御
承知
の通り、
政府
の方針といたしましては
補正予算
を組んでやる
考え
でありましたが、遺憾ながら占領下でありましたので、
司令部
の方針によ
つて
認められなか
つた
ということで、ああいう変態的なものにな
つたの
であります。
災害
はいつあると予測できませんので、一応八十億組みましたが、これでは足りないときには
補正予算
でも
つて
対処するのが常道ではないかと
考え
ます。
村瀬宣親
24
○
村瀬委員
一応八十億を
北海道
の
震災
のために
使つて
おいて、さらに
災害
が発生すれば、八、九月ごろに議会を召集して
補正予算
を組むべきであるということは、一応筋の
通つた
御答弁であります。 そこで承
つて
おきたいのでありますが、今までの
政府
の慣例によりますと、
災害
が起
つた
、それがために議会を召集するというようなことをなかなかおやりにならないが、これは当然やるべきであると思うのであります。昔ほどではなくとも、どうも国会というものをある程度敬遠なさる傾向がある。そこで伺
つて
おきたいのでありますが、国会法によりますと、百五十日ということが通常国会に
なつ
ておりまして、しかも会期の途中で任期の来ないというふうな
方法
も講じられておるわけであります。そういたしますと、われわれの任期は来年の一月二十二日でありますが、百五十日前にさかのぼりますと、八月の二十四、五日に通常国会を召集せねばならないことになるわけでありますが、そうや
つて
八月二十五日に通常国会を御召集になるのならば、いわゆる補正というものも、わざわざ臨時国会を召集する必要はありませんから、今のあなたの御答弁は、われわれに非常に力強く感じられる。そうでなくて
一つ
の
台風
が起
つた
からとい
つて
わざわざ国会を召集するということは、非常に期待が薄いのであります。そこで本年は八月二十五日に通常国会を御召集になる御方針であるかどうか、それを伺
つて
おきたい。
野田卯一
25
○
野田国務大臣
この問題は、
政府
当局
においても研究中でございまして、私はまだ最後の結論を聞いておりません。
従つて
いろいろな法律問題もありますので、答弁を差控えたいと思います。
村瀬宣親
26
○
村瀬委員
もう
一つ
他の
方面
を伺
つて
おきます。先ほど
田中
委員
からもちよつとお触れに
なつ
たようでありますが、昔から天災地変というものが、とかく動乱の契機になるということは歴史の示すところであります。ところで
日本
は今別に動乱のきざしもありませず、安全であるとは思うのでありますが、そうかとい
つて
あまり甘い気持でおることのできない国内情勢、国際情勢であると思います。そういう
関係
よりいたしまして、先ほ
ども
御答弁はあ
つたの
ではありまするが、特に今度の
震災
が、そうでなくてさえ白鳥事件を初めといたしまして、種々の
治安
上の盲点といわれておる
北海道
に起
つた
ということは、これは為政者として、特別な配慮を要すると思うのでありますが、それに対して
建設大臣
または現
内閣
はどのような心構えと御方針を持
つて
おられるのでありますか、根本的なものを伺
つて
おきたいと思うのであります。
野田卯一
27
○
野田国務大臣
地震等
の
災害
による罹災地の人々の人心の動揺ということは、
通信
機関の
復旧
が遅れる、あるいはけがをした者に対する医療の
施設
が遅れる、その他いろいろの緊急を要する
施設
が遅れる、あるいはいろいろな情報が伝わらないというところにあると思います。この点につきましては、今回の
震災
に際しましては、いち早く手が打たれておりまして、たとえば医療班のごときものは即日編成されて
現地
に派遣されておるわけであります。そうして腕を折
つた
とか、あるいは重傷したという人に対しては、ただちに治療にかか
つて
おる。これは
一つ
の例でありますが、その他万般の
措置
がよくとられておる。それから特に申し上げておきたいのは、無電の発達であります。
北海道庁
におきましては、無電の装置を持
つて
おりまして、札幌にその本部がある。そうして各
支庁
に受信、発信ができる支部みたいなものが置いてあるわけであります。従いまして
地震
が起れば、すぐに
中央
から指令を出しまして、
支庁
から返事が来るということで、無線が非常に活躍しておる。この無線は東京にも支部があ
つて
、東京都内から連絡ができる。
北海道
に対する連絡は、今ちよつと私が言えば、三、四分たてば返事が来る。こういうわけで、大分金がかか
つた
ようでありますが、無電
施設
を完備したということで、情報が早く伝わ
つて
、人心安定に寄與しておる。御
承知
のように、最近は
国警
におきましても、漸次移動無線の機械を整備しつつある。
霧多布
という所に私行
つて
みたのでありますが
霧多布
が、人心がきわめて安定して——今でも安定しておる。また
状況
等も早く伝わるというのは無線のおかげだ。根室の
国警
隊がすぐに
現地
に急行いたしまして、無電機をすえつけて活動した。それは
災害
のあ
つた
三月四日の夜にはもう無線機が設備されて、夜ふけては無線連絡ができるという
措置
がとられたのであります。こういうことは珍しいと思います。
北海道
は御
承知
のように
土地
が非常に広い。そこでいろいろな、自動車であるとかそういうものでかけつけて行
つて
、あるいは徒歩で連絡して無線機の設備をしたというようなことを聞きまして、今後は無電装置を完備する必要がある——わかるということは人間の安定の一番もとなのです。わからぬから不安なのです。情勢がわかるということが一番かんじんであると思いまして、
通信
施設
の完備がどうしても必要だと思います。それから今の困
つて
おる人に対する
手当
を早くする、こういうことをいたすことによ
つて
治安
の維持、人心の安定が期せらる。今度はその点においては私は
相当
高い点をつけてもいいような成績が示されておるというように
考え
ております。
村瀬宣親
28
○
村瀬委員
通信
機関の完備によ
つて
人心に動揺がないということを聞いて安心をいたすのでありまするが、これに関連して
大臣
にお伺いをしておきたいと思いますのは、か
つて
水難予防
関係
等が当
委員会
で議題になりましたときに、われわれは、刻々奥地の増水の情勢等を適当な箇所に、たとえば最上川あるいは利根川等、連絡するのには、どうしても無電の完全な連絡を気象台その他建設省
関係
に使わせてもらわねば、目的が達せられないということを主張したのでありますが、当時、二、三年前でありますけれ
ども
、
日本
海
方面
の数箇所にだけこれを許す、そのほかには許さないというような、これは非公式な
お話
であ
つた
かとも思いますが、
説明
を承
つた
ことがある思います。そこで今、
北海道
の場合も無電設備が非常に早く完備したので人心がおちついておるということでありますが、これはま
つた
くその通りだろうと思うのであります。同様の
意味
において、たとえば、奥地の河川のどこの水位がどのくらい上
つた
、川下ではどういう手配をする必要があるというような点は、これは当然無電によるのほかないと思うのでありますが、将来の
台風
その他
災害
防除に対しまして、建設省としてはそういう
方面
にどういう
計画
を持
つて
おられるか。またそれが必要なのはいまさら始ま
つた
ことではありませんが、これに対しては何らの制約なしに、レーダーに類するいわゆる無電設備を十分利用できる——むろん講和発効後は当然でありましようが、そういう内情についてはつきりしたことを伺
つて
おけば、この際非常に都合がいいと思います。
野田卯一
29
○
野田国務大臣
今
お話
が出ました水防の問題でありますが、水防に関連いたしまして私も
現地
を、利根川あるいはその他の
地域
も見て歩いて感じたことでありますが、山を治め、あるいはダムをつく
つて
やるといいましても、これはまだ
相当
の年月がいるのであります。今日のような荒廃した山野では、洪水の危険は当分避け得ないと思います。それに対しまして水防の必要なことはわれわれも痛感しておるわけであります。水防活動は、私は一種の実戰、戰争の原理みたいなものを適用しなけばならぬのではないか、それにはやはり一番根幹をなすのは
通信
だと思います。従いまして無電の
通信
を今後漸次強化いたしまして、時を移さず必要な
措置
をとる、こういうことは
お話
の通りだと思います。その方向に向
つて
できるだけの努力をして行きたいというふうに
考え
ております。
松本一郎
30
○
松本委員長
簡單にお願いいたします。
村瀬宣親
31
○
村瀬委員
水防の点と無電機の点はまだお尋ねしたいことがありますが、
委員長
の御注意もありますから、それはまたの機会に讓ります。 そこで最後にもう一点伺
つて
おきたいのでありますが、
北海道
の人心が動揺しないことは非常によいことであります。この原因はいわゆる
通信
機関が完備したことで、
実情
がみなによく徹底するからである。これもその通りでありましよう。ところがもう一歩進めて自分たちのこういう
被害
は
中央
で知
つて
くれた、その安心はあります。知
つて
くれた以上は何とかしてくれそうなものだ。こういう気持が次に起るのであります。自分たちの事情を知
つて
もくれていないというのが一番不安なのでありますが、まず第一に知
つて
もら
つた
。また
中央
がこちらにどうしようということもわか
つた
、これが人心安定の第一歩でありますが、その次にはただ声を聞き、電波が通るだけではやはり物足りないのでありまして、罹災民の目に見えて、物がそこに降
つて
来ねば、ほんとうに安心できません。それについて、道がこわれ、
鉄道
が破壊されておるときに、何より大事なものは
飛行機
であります。これは別によそに侵略するとか何とかいう
意味
でなく、ほんとうに
治安
を確立し、人心を安定させるには、何とい
つて
も
通信
機の次には
飛行機
です。それによ
つて
あるいは救援品を落すなり、その他の人間を運ぶなりできる。
飛行機
が
治安
確保、人心安定に必要なことはむろん何人も異論のないことであります。そういうこと対しまして、たまたま
震災
を機会に
政府
として何らかの
方法
をおとりに
なつ
たか、これは単に行政協定ができたからとい
つて
すぐに解決のつくものであるか、あるいはリツジウエイ司令官の
処置
でできるものであるか、あるいは対日
理事
会またはずつと先にさかのぼらなければならないものであるか、その点は今私すぐにはわかりませんが、一体こういう機会に
日本
に
飛行機
を持たしてもらうという点にまでお
考え
及びに
なつ
たか、またその手を打たれたか伺いたいのであります。
野田卯一
32
○
野田国務大臣
飛行機
の問題が出ましたが、
村瀬委員
の言われることは確かに達識だと思います。私はま
つた
く同感であります。私は五日の朝、総理に
お話
いたしまして出向くということにな
つたの
で、これは
地震
が起きてから国務
大臣
が出張することにきま
つた
一番短かい例だろうと思います。それで行くにつきましても、汽車でとことこ行
つて
いるのではなかなか早く行けない。そこですぐリツジウエイ大将が
飛行機
を提供しようということで、特別仕立てで出してくれた。私は総理にいつでも立ちますと言
つたの
で、すぐ
司令部
に連絡してくださいまして、それでは一時半に行こうということで
行つたの
です。三時間足らずで行
つて
しまいますから、非常に早か
つた
。帰りもまた特別な
飛行機
で送
つて
いただいて帰
つて
皆さんに御
報告
できたわけです。それで
現地
におきましては、実は私も
北海道
知事も
飛行機
からしか
現地
を見ておらないのです。
飛行機
に乗りまして、さつそく五日に上をぐるつとまわ
つて
歩いた。なるべく下の方に下りまして、できるだけ
実情
を見たのです。
飛行機
から見たのでは十分には見られませんが、とにかく全域を見たのです。そして上から、どういう
状況
に
なつ
ておるか、どういう政策をとろうとしておるか、人心安定に役立つようなビラを数千枚配
つたの
です。同時にその
飛行機
に毛布を九百枚積んで持
つて
行
つて
、一番
災害
のひどか
つた
霧多布
の町の上に落した。
飛行機
で空中を七回まわりまして、アメリカの軍人さんが一生懸命に
なつ
て毛布を三十梱落した。それをみなもら
つて
自分の宿に持
つて
帰
つて
寝ているわけです。
飛行機
が現に輸送に使われており、またビラをまいたり、メツセージを與えたり、視察ということに具体的に使われておるわけです。でありますから、
通信
機関の整備ということと同時に、
飛行機
の整備、あるいは飛行場の整備ということが必要だと思います。私も帰りに
現地
の
進駐軍
の方々に非常に御厄介になりましたので、そういう人々に会
つて
いろいろ所感を述べて来たのでありますが、その
一つ
に、やはり
北海道
に飛行場がないというのは非常に不便でしたということを申し上げておいた。
釧路
に飛行場を設けるのがいいのではないかということを私の意見として申し上げておいた。もし
釧路
に飛行場ができておれば、私は五日の日の午後五時に千歳に着いておる。あそこから
釧路
まで一時間で行くから、午後六時にはもう現場に着いておるわけです。ところがせつかく
飛行機
で三時間で東京から千歳まで行
つた
けれ
ども
、千歳から行く道がない。汽車に乘
つて
行くと、千歳から二十時間かかる。それで二十三時間かか
つて
釧路
に着いた。これがその汽車で一番早か
つた
という
状況
であります。そういうような
状況
で、
飛行機
で行
つた
ら一時間で行
つて
おるのを、そういうように比較をしますと、どうしても今後は飛行場を整備して緊急
事態
に備えることが必要であるということを、身をも
つて
体験して参りました。今後この方向に皆さんと
お話
をしてできるだけ努力いたしたいと思います。
松本一郎
33
○
松本委員長
それではただいまの
北海道
の
震災
に関する
建設大臣
の
報告
、並びにこれに対する質疑はこれをも
つて
一応終ることにいたします。
—————————————
松本一郎
34
○
松本委員長
次に日程にもどりまして、
住宅緊急措置令等
の
廃止
に関する
法律案
、
内閣
提出
第三四号を議題といたします。 本案は
参議院
において可決され、昨十
日本
院に送付せられました。本案に対する質疑の通告があります。これを許します。西村君。
西村英一
35
○西村(英)
委員
私は先般の
委員会
におきまして、参考資料の訂正をお願いしておいたのでありますが、そのときに御訂正になりました数字から申しましてこの緊急
措置
令によりまして、昭和二十七年の一月までに收容された世帯数は千七百七十六戸で、このうち五百五十一戸は買收等の
方法
によ
つて
解決が可能である、そうしますと、残りの千三百二十五戸は今後どうなるかということになりますが、
住宅局長
の
お話
を聞きますと、この法律によりまして、二十八年の三月三十一日まで、緊急
措置
令の第二條によ
つて
いろいろなものの存続を許す、こういうことに
なつ
ておるので、千二百二十五戸が一箇年で解決するのだ、もししなければこの二十八年の三月三十一日を、その時に及んでもつと延ばすのだ、こういうふうに他の諸君の質問からも想像されたのですが、そういうふうに承
つて
いいのですかどうですか、その辺をもう一回御答弁願います。
大村巳代治
36
○大村
政府
委員
ただいまの御質問につきましては先般御答弁申し上げたわけでありますが、大体この
措置
令が実施されて現在残
つて
おりますのが、東京、横浜の非常に
中央
に近い
地域
でありますので、できるだけ私
ども
地方公共団体に連絡し、督励して、二十八年三月末日までに解決してしまいたい。その点を目標にできるだけの努力をいたしたいという
考え
であります。但し御
承知
のように、私
ども
としてはこの法律に書いてありますように、入居者を一定の時期をきめて建物から退去させるということは実質上には絶対したくないと思
つて
おります。入居者の行く先がきまらない以上、こういう
処置
はとりたくないと思
つて
おりますので、実際の場合八割程度の目標でも
つて
公営
住宅
の用意をしておるわけでございますが、それでどうしても足らぬ、しかも入居させるべき公営
住宅
の建設がどうしても間に合わない、こういうような事情でやむを得ないときにはもう一年繰越しをお願いするかもしれぬということを申し上げたわけでございます。できるだけ二十八年の三月一ぱいにこの
仕事
は解決したい覚悟でおります。
西村英一
37
○西村(英)
委員
ただいま局長の
お話
を聞きますとますます不安に
なつ
て来るのです。現在の入居者は、この
法律案
の施行によ
つて
当然二十八年三月三十一日までに何とか解決しなければならない。今国民の一番困
つて
おることは
住宅
なんです。これはもう局長も十分御
承知
のはずでしようが、
政府
の
考え
ておる
住宅
政策は、二十六
年度
においては公営
住宅
は二万八千五百四十戸を見てお
つた
と思います。ところが二十七
年度
は二万三千六百五十戸という
計画
に
予算
では
なつ
ておるのであります。一方においてこういう
法律案
によ
つて
ますます庶民
住宅
の問題を
考え
なければならないというときに、二十七
年度
の
住宅
の数が去年よりもはるかに少いということが私には第一にわからない。 第二の点は、私先般も申し上げましたように、公営
住宅
法をつく
つて
住宅
の三箇年建設
計画
を立てる、しかもその建設
計画
は前に私が御質問申し上げましたときにはあまりよくわか
つて
おらないような
お話
でありました。その後新聞にも出ておりましたが、もしかりに新聞に出てお
つた
ようなことが答申案に述べられたとするならば、もちろん法律におきましては
予算
の許す範囲内というだめは押してありますが、この答申案に基いて建設省がきめようとする
住宅
計画
の一箇年の要求数が、
予算
の上とは申しながらはなはだしく数が合わないのです。答申案よりもはなはだしく少く感ぜられるのであります。そういうような点につきまして、この緊急
措置
令によ
つて
救われておる方々の受入れを
考え
るとともに、現在困
つて
おる
住宅
を何とかしなければならぬというときにおいて
政府
の
住宅
政策はあまりにも貧弱ではなかろうかということを私は数字の上で感ずるのであります。局長も
住宅
に困
つて
おるということは十分知
つて
おりながら、数字の上に現われた
住宅
の緩和策というものは
一つ
も講ぜられておらない、こういうように私には受取れるのでありますが、この点につきましてどうあなたはお
考え
になりますか。
大村巳代治
38
○大村
政府
委員
三箇年
計画
につきましては、ただいま
お話
のございましたように数日前の閣議決定を経まして、近日中に国会の御承認を受けることになると思います。私
ども
二十七
年度
の
予算
として当初八万戸の要求をいたしたわけであります。むろんこの八万戸はある程度の査定は受けるものと思
つて
お
つたの
でありますが、この緊急
措置
令
廃止
による收容もそのわくの中でめんどうを見るつもりであ
つた
わけであります。それほど従来よりよけいに
予算
をとりたいという希望で努力した次第でございますが、結論といたしまして昨年の実施
計画
とほとんど同一の数字で押えられてしま
つた
わけでございますが、一方公営
住宅
の隘路として最近の現象といたしましては、起債のわくが非常に小さくなりました。一昨年からは
住宅
の特別のわくがなくなりまして、一般公共事業のわくでも
つて
各事業がとり合いのような形になり、そのために二十四
年度
は起債のわくでも
つて
地方公共団体が支弁したのが五割で、残りの五割は地方財政によ
つた
わけであります。それが昨
年度
は六割に上
つて
おりましたので安心していたのでございますが、二十六
年度
は三割に落ちてしま
つた
。しかも大都市ほど財政がきゆうくつでございまして、返す数字が多く
なつ
た現状であります。その大都市にこれをやることは
相当
無理だという御意見は十分わかるのでございますが、東京、横浜といたしましては、起債のわくをふやしてさえくれればやれるという意見を申し述べております
関係
上、この起債のわくをふやす、特に東京、横浜の緊急
措置
令
関係
のわくをふやすように今後大いに努力して行きたいと
考え
ているわけでございます。
西村英一
39
○西村(英)
委員
一応弁解的な
お話
は聞きましたが、ただいま議題に
なつ
ておる緊急
措置
令によるところの
方法
をやめるということは、われわれも同感なのです。但し私は繰返して申し上げるようなわけで、あなたも十分おわかりのように、この
法律案
の理由にも書いてありますように、
住宅
は非常に緩和されたので、
従つて
廃止
するのだ、緩和と申ましても決して満足すべき
状況
でなく、むろん終戰直後に比べての話です。現在国民生活の最も重要な衣食住の三つの点の中で、
住宅
が勤労者の一番の悩みなのです。また東京都
あたり
は多くの学生諸君などが入
つて
来て、
住宅
不足のために、わずかの間借りをするのにも
相当
多額の金を拂
つて
向学の精神をなくしてしまう人も
相当
ある。こういうようなことから
考え
てみると、この
廃止
の
法律案
で
住宅
が緩和されるようなことをあなた方はかりにも思
つて
はいけないと思うのであります。その証拠として、二十六
年度
の庶民
住宅
の数と二十七
年度
の庶民
住宅
の数とを見ると、はなはだしく二十七
年度
は受入れ態勢を
考え
ているにかかわらず少いということはどうしても合点が行かない。重ねて御答弁はいりませんが、そういうことにつきましてもう少し
政府
の
住宅
に対するところの認識を——おそらくあなた方はなれつこに
なつ
ておるから、あまりぴんと来ないのではないかと私は思いますが、私たち毎日そういうことに接している者としては、これは非常に重大に
考え
ているのでありますから、
法律案
それ自身についてとやかく申すわけではありませんが、その受入れは優先的に庶民
住宅
にあてがうのだという点につきまして、もう少し庶民
住宅
の数をふやすことを
考え
る、なおせつかく三箇年の
住宅
の
総合計
画をするということに
なつ
ていれば、その三箇年の建設
計画
を生かさなければならぬ。
予算
の都合上、多少の増減はやむを得ないといたしましても、その
計画
とはなはだしく異なるような
予算
の組み方であるならば、建設
計画
もほんとうに紙の上の遊戯にすぎないことになりまするから、私は重ねてあなたに御要望いたしまして、一応私の質問は終ります。
松本一郎
40
○
松本委員長
川島金次
君。
川島金次
41
○
川島
委員
私は途中で本
委員会
に参りましたので、この問題に対する
審議
の経過の
実情
を知
つて
おりませんから、あるいはすでに他の
委員
からお尋ね済みのことであろうかと思うのですが、参考のために、恐縮ですが二、三お尋ねをさせていただきたい。 まず第一にお尋ねしておきたいのは、この機会でありますから申し上げるのでありますが、今度の
北海道
の
震災
に伴いまして、家なき状態に至
つた
者が
相当
あるのじやないかと私は想像しておるのですが、
北海道
における今度の
震災
によ
つて
倒壞またはま
つた
く破壞されました
住宅
などの数はどのくらいですか、そうしてその
住宅
の復興に対しましては、
政府
はどういう
措置
を講じようという
計画
を持たれておるか、そのことをまず第一にお知らせ願いたい。
大村巳代治
42
○大村
政府
委員
北海道
の
災害
につきまして先ほど
大臣
からも
お話
がありましたように、
住宅
につきましては三十五億という
被害額
があるわけであります。全壞、流失並びに燒失の数字を合計してみますると、千五百数十戸という数でございます。これは
災害
救助法によりまして、
北海道庁
の方で一時收容
施設
、
バラツク
を建てることになるわけであります。その
地域
は、ただいまのところ大体
被害
が二十戸以上に
なつ
ておりまする、先ほど
大臣
の言われました
霧多布
のあります浜中村、それから
厚岸
町、
十勝地区
で
池田
町、浦幌町、豊頃村、大津村、
日高地区
で浦河町、様似村、三石町、たしかこの九
町村
と記憶しております。それから
復旧
計画
といたしましては、公営
住宅
の第一種、第二種を充てるわけになります。大体
現地
でも
つて
一応打合せをいたして参りました。至急申請をとるようにいたして参
つた
次第でございます。その申請が参り次第、私の方の
処置
ができるわけでございまするが、
道庁
といたしましては、まず適当な金融を
考え
て、
つなぎ資金
を出して、
応急
的に千三十九戸の
計画
を立てたい。その内容は、まだ各省の折衝がついていないわけでございまするが、引揚者の集団
住宅
の收容
施設
の疎開に伴う
住宅
をもらえるかというような、希望を持
つて
おるようでございます。たしかもう本日は
北海道
の知事が上京して参
つて
、
中央
の
対策
本部と連絡いたして各般の折衝を開始することになるように聞いておりますが、順調にはかどるのではないかと思
つて
おります。
川島金次
43
○
川島
委員
住宅
の復興に関連して、やはり
北海道
は
北海道庁
なりのあまりゆたかでない財政というものを控えている。そういう場合に、この当面の緊急な
住宅
復興あるいは
恒久
的な復興をはかるために、やはり
北海道
は
北海道
としての財政上の都合によ
つて
、先ほどの
お話
に出た地方債の発行のわくの拡大、あるいはまた別な
方面
の協力の仕方として金融公庫のわくの拡大、そうい
つた
ようなものも当然
考え
られて来るだろうとは思いますが、そういうことについて、それぞれ具体的な話が進んでおるのかどうか、その点はどうですか。
大村巳代治
44
○大村
政府
委員
金融公庫のわくにつきましては、従来の
ルース台風
でも約十億別わくで予定され、結局十億五千万円ばかり出しまして三千戸の割当をいたしたわけであります。当然この
対策
本部の
計画
中にそれも含まれて特別のわくが設定されるか、あるいは来
年度
の
計画
の五万戸の中のわくを特に区切られるか、この点はちよつとまだわかりかねますが、当然
北海道
の
災害
向けの分を優先的に考慮するということは、従来の例で見ても行われると思
つて
おります。
川島金次
45
○
川島
委員
当面の問題の処理に対しては、万遺憾なくしかも急速な積極的な立場で、いろいろの
計画
の実施を進めてもらいたいということを希望しておきます。 そこでこの案自体の問題ですが、これもすでに議論済みのことではないかと思います。たとえば第三條における立ちのき要求の予告期間は一箇月間ということに
なつ
ている。民法上における借地法、借家法ですが、そうい
つた
方面
の法律におけるところの立ちのき要求の事前期間は六箇月くらいではなか
つた
か、それからまた一昨年でしたか、新しく法律となりました公務員の宿舎に関する法律の中にも、事前の立ちのき予告期間はたしか三箇月ではなか
つた
かと私は記憶いたしておるのであります。なるほどこの法律はこれから可決をしても、二十八年三月三十一日までは旧来の法律が存続することになりますから、一年間の余裕があるのではないかということは一応言えるのでございます。しかしながらさて立ちのきを要求される側に立
つた
場合に、この一箇月という予告期間が、常識的に見ても法律的に見ても、あるいはまたいろいろな実際的な問題の解決の仕方の上に立
つて
適当であるかどうかということは非常に疑問だと私は思うのです。疑問であるのみならず、要求される方の立場からいえば、非常に苛酷な予告期間ではないかと思うのであります。もちろん
参議院
で決定したことではございますが、
衆議院
の
委員会
において修正する
方法
もないわけではないのですが、一箇月と定めた事情はどういうところにあ
つたの
か、あるいはこれは万やむを得ないぎりぎりの線であ
つたの
かどうか。そのいきさつについて伺わしてもらいたいと思うのであります。
大村巳代治
46
○大村
政府
委員
これは少し事情を申し上げて答弁した方がよろしいと思います。対象と
なつ
ておるのは現在残
つて
おる千七百戸余りが東京と横浜に集中しておるわけです。東京と横浜の事情を申し上げますと、
住宅
でないものを間仕切りをしましたりして無理に二、三坪ずつわけて一世帯ずつ入れてあるのです。それで家賃もあまり値上げができずに自然修繕もしておらぬというわけでも
つて
、非常に不良
住宅
化しておるのが多い現状なのであります。そして建物の所有者は明渡してくれとい
つて
おりますし、これをや
つて
おる公益法人は、現在気息えんえんとしておるというものが非常に多く
なつ
ておる。それで自然地方庁への苦情も大分参
つて
おりまして二十三年ごろからできるだけ明渡す
方法
でも
つて
すでに努力して参
つて
おります。この資料でもおわかりのように、一年間で約三割というわけで、地方公共団体の担当者は非常に努力しておるわけであります。それで今度の法律の第三條で一箇月としてございますのは、別の方にありますように、優先的に公営
住宅
に入れてあげるということでも
つて
——従来も解決できたわけでございますが、今度初めて優先入居を認めたことでも
つて
相当
解決するのではないか。公営
住宅
にお入れするには一月以上ちよつと明けておけないという事情もございます。それでむろん職場の
関係
な
ども
ございますので、希望のところに入れられるか入れられないかというのが非常な問題になると
考え
ておりますが、問題の起きないように、職場に近い適当な公営
住宅
に入居させるという
考え
方で、公営
住宅
が明いたような場合に順次入れて行くということも
考え
られますし、またその近所で適当な敷地を探して、そこへ公営
住宅
を建てて一齊に移
つて
もらうということも
考え
られるわけであります。それでございますから、追い出しでない
関係
から、六箇月間の余裕はいらぬじやないか。一箇月の方は公営
住宅
の入居
関係
から出た数字でございますので御了承願います。
川島金次
47
○
川島
委員
お話
はその通りでよくわかるのですが、その原則だけで進めることが全部可能ならば何も問題はないと私は思うのですが、なかなかそうは行かない事情が起ることは予見し得る。そういう場合に処するのに、なおかつ一月前の予告期間で、その次には十日くらいで明渡しの要求をやろうと思えばできるわけです。こういう苛酷な法律をつくるということは、私は憲法違反とは言いませんが、憲法上に保障された生活権、居住権に対して
相当
考慮を要する問題だと、私は今見て直感したのであります。ことに第四條におきましても、今の一箇月前に予告して立ちのきをしない場合には、なるほど十日以上と書いてあるけれ
ども
、十日でもいいということであります。そういうことになりますと国民の当然の基本的な権利とも申すべき居住権が、自己の意思に反していたずらに脅かされる結果にもなりかねない事情が、実際問題として起
つて
来るのじやないかと思う。そこで私は起案者としての
政府
の側において、一箇月の問題あるいは第四條の十日の問題も、一般の社会通念の上に許された範囲、あるいはまた民法上からも常識的に
考え
られている期間に対する配慮を当然なすべきではなか
つた
かと思うのであります。
政府
としてはすでに原案としてこれを出したことですから、こういうことを申し上げることはまことにやぼなことでございますが、何かもう一ぺん
考え
直してみるという方策があるかどうか。実際のところを打明けてお聞かせ願いたい。
大村巳代治
48
○大村
政府
委員
第三條、第四條が、当事者については
相当
苛酷なように見えるという御意見、私
ども
もある程度ごもつともと思えるわけでございます。ただ先ほ
ども
申しましたように、東京と横浜ですでに三年間これを実施して参
つて
おります。実を申しますと東京の入居者は大体生活のゆたかな方がおられるのでございまして、かわられるのは第一種の規模の大きい方にかわりたいという希望が多いそうでございます。いわゆる保護を要する階級はほとんどおられない。だから行く先だけ心配してあげれば解決がつくという意見と、横浜の方は約一割五分ぐらい要保護の方々がおられ、めんどうを見てあげないとなかなか困難じやないかというような意見も、地方の公共団体からあるわけであります。この点は特に連絡をと
つて
万全を期して行きたい。引越しなどにはできるだけ都や府県の車な
ども
協力してお手伝いしてあげようというようなことを打合せておる次第でございます。ただそういたしましても、先ほど申し上げましたように、市の公営
住宅
の数字がなかなか問題でございまして、これが先ほどの西村
委員
の御意見のように、大都市の
予算
が非常にきゆうくつな
関係
から、予定数だけそちらへ向けられぬというようなことがあるいは起るという心配がございますので、それで万が一の場合には、もう一年延長して行
つた
らどうだろうかというように
考え
ております。それなら初めから二年間にすればよろしいというようなことも言えるわけでございますが、一応努力目標として、来年の三月を予定しまして、なおそれで解決できぬ場合にはもう一年延長して、
住宅
の補給をはか
つて
行きたいと
考え
ておりますので、御了承を願いたいと思います。
川島金次
49
○
川島
委員
時間がありませんから、最後に議事進行の形で
委員長
にひ
とつ
お伺いしたい。 この第三條、第四條の問題については、当然この
委員会
で
相当
に議論があ
つたの
ではないかと私は想像いたしております。そこで私の直観的な立場で申し上げて恐縮なんですが、第三條の一箇月の問題にしても、第四條の十日と区切
つた
問題にいたしましても、非常に苛酷であり、かつややもすれば居住者にと
つて
危険を伴う問題ではないかというふうに心配をします。そこで
委員長
は與党の有力な方でもありますし、しかも本
委員会
の責任者でもありますので、
委員長
にお尋ねしておきたいのですが、第三條、第四條の問題について本
委員会
がこれを修正するということに
委員長
みずからが先頭に立
つて
あつせんをするという心構えがあるかどうか。これはまことに唐突で
委員長
には恐縮なお尋ねですが、
委員長
としてのお
考え
を聞かしてもらいたい、こう思うのです。
松本一郎
50
○
松本委員長
御
承知
のように、本案は
参議院
より可決されて昨日
衆議院
にまわ
つて
参りました。なお
委員会
としても本案についての質疑はまだ残
つて
おります。
従つて
質疑も十分盡していただいて、しかして後当
委員会
の
委員
の御態度を決していただきたい、こう
考え
ておりますので、きようの御質疑はこの程度で御保留を願いたいと思います。 それでは本日はこの程度で散会いたしまして、次会はいずれ公報をも
つて
お案内いたします。 午後零時二十三分散会