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塚原政府委員 十勝沖震災状況について御
説明いたします。三月四日午前十時三十四分ごろ突如
北海道太平洋岸一帯を
襲つた大
地震は、
十勝沖地震と名づけられ、
開道以来六十年来の激震でありまして、そのはげしさは大正十二年の関東大震災の二分の一、また
昭和二十三年
福井大震災の二倍に達して、全道十四
支庁の各地に
相当の
被害を與えたものと思われます。
現在までに各
地域別に判明したところによれば次の
通りであります。
被害甚大と思われる
地域、すなわち
強震地域は
釧路、
十勝、
日高支庁管内で、
被害の
相当あるものと思われる
地域、すなわち
中震地域は根室、空知、石狩、胆振、渡島各
支庁管内でありましで、若干の
被害があると思われる
地域、すなわち
弱震地域は網走、上川、後志、檜山各
支庁管内とな
つております。
震源地は
襟裳岬南東方七十キロの北緯四十三度、東経百四十四度と発表されております。最大の
被害をこうむつた
釧路、浦河では第一回、これは午前十時二十二分ごろですが、それから百四十五回にわた
つて余震を記録しており、また札幌におきましても実に四十三回を記録しておる次第でございます。
その
被害の
状況を申し上げますならば、
罹災者総数は二万九千五百名、人の
被害、死者二十二名、
行方不明四書、
重軽傷者五百七十二名、合計五百九十八名にな
つております。
家屋の
被害につきましては
全壊が七百十三戸、
半壊が五千九百八十戸、流失三百五十一戸、
床上浸水二百七十六戸、
倒壊小破二千六百七十戸、計九千九百五十戸にな
つております。なお非
住家の
被害も
相当ある
模様ですが、
通信機関杜絶のため詳細は不明であります。また
公共建物、特に
学校の
被害中、現在判明いたしたものは次の
通りであります。
道立高等学校につきまして申し上げるならば、
全壊が一校、
倒壊破損二十一校、小
学校は
全壊半壊等相当の
被害がある
模様であります。
以上は六日午後六時までに判明したものでありますが、被災各地とも鉄道を初めとし、各種の通信施設や交通機関が杜絶し、わずかに札幌の道庁用無線通信による情報があるのみで、現地では徒歩連絡による所が
相当多く、人、
建物の
被害も今後さらに増加するものと思われる次第であります。
次に土木施設の
被害状況について申し上げますならば、
河川、
道路、橋梁等の各土木施設を通じ、
被害状況の把握は前に述べました
通り、通信機関の杜絶に基因して、非常な困難をきわめており、またその上に積雪等のために、
調査不能な
状態の所も多く、現在まで判明したものは次の
通りであります。
河川四十三箇所五千七百万円、
道路二百七十八箇所二億六千五十万円、橋梁百三十七箇所三億七千百五十万円、合計四百五十八箇所六億八千九百万円。
その内訳を地区別に申し上げますならば、日高地区におきまして
河川九箇所九百五十万円、
道路三十五箇所一千九百万円、橋梁二十九箇所四千六百万円、合計七十三箇所七千四百五十万円であります。
十勝地区におきましては、
河川十箇所一千三百万円、
道路八十箇所一億一千八百万円、橋梁二十二箇所四千八百五十万円、計百十二箇所一億七千九百五十万円であります。
次に
釧路地区におきましては、
河川十九箇所二千六百五十万円、
道路百三十六箇所一億一百万円、橋梁五十七箇所二億九百五十万円、合計二百十二箇所三億三千七百万円であります。
そのほか網走、根室、胆振等におきましては、
河川五箇所八百万円、
道路二十七箇所三千二百五十万円、橋梁二十九箇所六千七百五十万円、合計六十一箇所九千八百万円であります。
以上は速報による概数でありまして、これらに対しましては、今後
調査の進捗と同時に、
相当増加するものと
考えられます。
なお岩手、福島、宮城各県におきましては、それぞれ
被害があるものと予想されますが、目下判明しておるものは次の
通りであります。岩手県管内では、
道路三十三箇所千五百五十万四千円、海岸一箇所二十万円、合計三十四箇所千五百七十万四千円。福島県管内では橋梁一箇所四百万円。宮城県管内では海岸一箇所七十万円。右
被害につきましては津波による海岸線の土木工作物が大部を占めておるようであります。
以上に対しまする
建設省の対策といたしましては、ただちに係官を現地に派遣いたしまして、
被害状況を
調査いたしておりますが、とりあえず
道路橋梁等の
被害につきましては、応急復旧をいたしまして、交通の確保をはかり、さらに恒久的対策は慎重に検討を加えまして、適切な設計を樹立いたしたいと存じます。また
河川につきましては、
被害地域は融雪時期を控えております関係上、この出水に対処いたしまして、
被害の増大を防止するために、緊急に重要箇所の復旧をいたしたいと
考えておる次第であります。
なおこれら災害復旧に対しまする資金につきましては、国庫負担金は本年度すでに全額支出済みで、残余がありませんので、とりあえず所要の資金は融通の
方法を講じまして、来年度
予算成立後は両
予算に計上してありまする
昭和二十七年発生災害に対する経費八十億円の中から支出する予定であります。
以上であります。