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1952-02-14 第13回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十四日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 田中 角榮君    理事 鈴木 仙八君 理事 村瀬 宣親君    理事 前田榮之助君       淺利 三朗君    宇田  恒君       上林榮吉君    瀬戸山三男君       高田 弥市君    内藤  隆君       西村 英一君    中島 茂喜君       増田 連也君    池田 峯雄君       田中織之進君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府技官         (特別調達庁次         長)      堀井 啓治君         建設政務次官  塚原 俊郎君  委員外出席者         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     小林與三次君         建 設 技 官         (地理調査所         長)      武藤 勝彦君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 二月十一日  委員篠田弘作君辞任につき、その補欠として小  平久雄君が議長の指名で委員選任された。     ――――――――――――― 昭和二十六年十二月二十日  七島の台風ルースによる災害調査団派遣に関す  る請願上林榮吉紹介)(第二五号) 昭和二十七年三月九日  県道栃尾小千谷線改修工事促進請願田中角  榮君紹介)(第五八四号)  府県道杵東隅線中落合的野間改修工事施行  の請願山本利壽紹介)(第五八五号)  滑川改修工事施行請願圓谷光衞紹介)(  第五八七号)  県道宇目佐伯港線中重岡、木浦鉱山間改修工事  促進請願村上勇紹介)(第五八八号)  国道二号線改修工事施行請願山本久雄君紹  介)(第六一四号) 同月十三日  吉井、吉野両河川改修工事促進請願(逢澤寛  君紹介)(第六六五号)  常願寺川中流西大森、大場間に永久橋架設の請  願(内藤隆紹介)(第六六六号)  県道壬生井原停車場線改修工事促進請願(山  本久雄紹介)(第六六七号)  国道十一号線建設計画に関する請願内藤隆君  紹介)(第七〇五号)  吉井川上流改修工事促進請願大村清一君紹  介)(第七〇六号)  府県道秋山割野線改修工事施行請願塚田  十一郎紹介)(第七〇七号)  国道十一号線中直江津、市振間改修工事促進の  請願塚田十一郎紹介)(第七〇八号)  県道糸魚川松本線改修工事施行請願塚田十  一郎紹介)(第七〇九号)  関門海峡隧道工事促進請願坂本實君外一名  紹介)(第七四一号)  重要幹線街路事業費国庫補助請願前田正男  君外三名紹介)(第七四二号)  七郷村地内の利根川に架橋の請願北澤直吉君  外一名紹介)(第七四三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十二日  公共土木施設災害復旧事業促進等に関する陳  情書(第四六四号)  国道第十一号線、第十二号線の改修促進に関す  る陳情書(第四六  五号)  国道認定範囲拡大及び新設改修並びに管理費  全額国庫負担に関する陳情書  (第四六六号)  道路費予算の増額並びに道路補修費に対する起  債認可陳情書  (第四六七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  小委員及び小委員長選任  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く特別調達庁関係命令の廃止に関する  法律案内閣提出第九号)  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く建設省関係命令措置に関する法律案  (内閣提出第二六号)     ―――――――――――――
  2. 田中角榮

    田中委員長代理 これより建設委員会を開会いたします。  本日委員長が不在でありますので、私がかわつて暫時委員長の職務を行います。  本日の日程に入ります前に、小委員補欠選任についてお諮りをいたします。すなわち篠田弘作君が去る十一日委員を辞任せられ、その補欠として小平久雄君が本委員となられたのであります。従いまして河川に関する小委員が一名欠員となつておりますので、この補欠選任を行いたいと思います。この補欠選任につきましては、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中角榮

    田中委員長代理 異議なしと認めます。よつて河川に関する小委員小平久雄君を指名いたします。  この際お諮りいたします。耐火建築助成に関する調査のため小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中角榮

    田中委員長代理 異議なしと認めます。よつて耐火建築に関する小委員会を設置することに決定いたします。  次に小委員の数及び小委員並びに小委員長選任についてお諮りいたします。小委員の数は十五名とし、小委員及び小委員長はこれを委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中角榮

    田中委員長代理 御異議なしと認めます。それでは小委員に   淺利 三朗君  内海 安吉君   鈴木 仙八君  瀬戸山三男君   上林榮吉君  西村 英一君   松本 一郎君 藥師神岩太郎君   中島 茂喜君  増田 連也君   村瀬 宣親君  前田榮之助君   池田 峯雄君  田中織之進君    田中 角榮君を指名いたします。小委員長には鈴木仙八君を指名いたします。     —————————————
  6. 田中角榮

    田中委員長代理 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く建設省関係命令措置に関する法律案内閣提出第二六号を議題といたします。質疑の通告がありますので順次これを許します。本日は建設省側より塚原政務次官がお見えになつております。池田峯雄君。
  7. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この前の委員会議事進行について発言しておきましたが、連合軍から貸与される空中写真利用するという政令でありますが、講和日本独立国なつた場合に——実際の独立国といえるかどうかは知りませんが、ともかく独立するんだといわれております。ほんとうに独立するとなれば、外国飛行機日本上空を飛翔するということは許されないことでなければならぬのであります。従つて特定外国にわが国の上空を飛翔し、国土を撮影するという権利を与えるという国内法がない限り、空中写真利用するという法律をつくることはできないのではないかと考えるのでありますが、この点に関する政府所見を承りたいと思います。
  8. 武藤勝彦

    武藤説明員 ただいまの御質問お答え申し上げます。従来地理調査所におきましては、連合軍からの写真を借りまして、それを国土及び経済復興という面に利用するようにということで、そういう向きに貸し出しておるのであります。この写真は大部分終戦後とつておるのでありまして、現在では相当古くなつて来ております。たとえば鉄道が新しく敷けたとか、道路が新しくできたとか、森林が伐採されたとかいうことで、現在ではかなりその写真と現地の状況がかわつて来ておる部分がございますが、しかし大部分のものはまだ十分使い得るのでございます。空中写真をとるということは現在では非常に金のかかることでございまして、聞くところによりますと、現在とつておる写真が一枚当り約日本の金にして二万五千円くらいかかつております。これを約十万枚ほど借りておりますが、相当莫大な金になつております。  それからまた写真をとることはなかなか困難でございまして、雲がありますと、写真をとるわけに参りません。雲が入つておる写真地図をつくる場合に利用できませんので、一年間に写真をとる日数というものはきわめて少いのでございます。でございますから、現在ある写真は技術的に申しまして非常に貴重なものでございまして、私たちはこれをできるだけ利用したいと考えておる次第でございます。  それでこの政令法律にかえていただく目的は、現在まであります写真をできるだけ有効に使えるだけ使いたい、こういう趣旨でお願いしておる次第でございます。今後アメリカ飛行機日本写真をとるかとらないかということはわかりません。従つてそういうことについて考えることはできないのでございまして、現在ここでお願い申しておるのは、従来使つております写真を継続して今後も使わしていただきたい、こういう考えでございます。
  9. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうしますと、現在借りている空中写真を引続き利用するということであつて、今後は空中写真連合軍から借りるということになつてはいないのだ、こういうふうにとつてよいのですか。従つて今後何らかの形で総司令部飛行機上空から日本国土を撮影した、その写真は借りないのだ。今まで借りておる写真だけを利用するのだ、こういうわけですか。
  10. 武藤勝彦

    武藤説明員 現在のところでは先のことは、実は私たち考えることができないのでございます。従つてそれに対してはお答え申し上げることが私としてはできません。
  11. 池田峯雄

    池田(峯)委員 空中写真利用等に関する政令の第一條には「連合国最高司令官から日本政府貸与される空中写真複製利用保管処置等」、こういうことになつております。そして将来もこの通りに存続されるというのですから、将来も明らかに、この法律連合国最高司令官から貸与される空中写真を各官庁が利用するという法律である。法律をその通り常識的に理解すればそうならなければならないのであります。ところが空中写真を撮影してよろしいという国内法がない、国内法がないのにそういう法律をつくる必要があるのかというふうに私は言つておるのですが、この点に対してもつと明快な説明を求めたい。
  12. 小林與三次

    小林説明員 私よりお答え申し上げます。今おつしやいました通り、第一條には「連合国最高司令官から日本政府貸与される空中写真」と書いてございます。それで問題は、連合国最高司令官講和條約が発動いたしますと、そのうちにいなくなるだろうと思います。今後どういう形で日本外国の軍隊が駐留するか、これは行政協定によつてきまる問題であろうと思います。従つてそのあとどうなるかということは、もつぱら行政協定いかんの問題でございまして、われわれとしてここに考えておりますのは、従来借り受けておるものをそのまま扱うという考え方でありまして、それ以外のことは、今後の協定の中の問題によつてきまるものと考えております。
  13. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ただいまの答弁によりますと、連合国最高司令官というものは将来なくなる。そうするとなおさらこの政令を存続すること自体がおかしくなると思います。連合国最高司令官などというものを削つて、別な法律として提出すべきではないか。かつて日本占領下に置かれたときに、連合国最高司令官から貸与された空中写真をというふうに訂正して提出すべきではあるまいか。政令をそのまま存続すること自体がおかしい。
  14. 小林與三次

    小林説明員 これは現在あるものをとりあえずそのまま残しておく、現在貸与を受けているものは今後引続き貸与を受けて利用したいというので、それで行政協定の結果、今後どういう形になるかということによつてもおそらく表現をかえなければならない事態が来るかもしれません。そうなればそれに応じて改正する必要が生ずるかもしれない。それは考えております。しかしさしあたりのところは、従来のものをそのまま生かしておくということで、当面の目的を達し得るのじやないかという考えで出したわけでございます。
  15. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私は非常にけしからぬ措置だと思うのです。ポツダム政令というものを残すことが、みずから進んで外国植民地日本がなることだと思うのです。なぜ日本政府は独自な立場から独立国の誇りを持つて別な法律をつくらないのですか。ポツダム政令を存続するということでなくて、別な法律をつくつたらいいじやないか。これは解釈のしようによつては、いつでも空中撮影外国に許可するのだという前提條件のもとにこういう法律が存続されるというふうに理解されると思うのです。まず政府はそういつた自主性のない態度をやめて、今まで借りていた空中写真を引続き利用する、そういう立場から、誤解のないように明確な法文として提出されるように要求したいと思う。  第二に質問したいことは、この空中写真を何人も複製してはならない、あるいはこの空中写真保管する者がそれを紛失した場合、あるいは他に交付したり、貸与したり、讓渡したというような場合には、一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処するという法文になつている。こういうばかな話はない。日本の人が日本上空からとつ空中写真を自由に見たところで、またこれを複製したところで、何らさしつかえがない。何のために外国飛行機上空から撮影した空中写真複製してはならないのですか。複製すること大いにけつこうではございませんか。複製して万人にこれを利用せしめたらいいじやないか。これを利用してはならないということは、明らかにこの空中写真外国人たちにとつては軍事的な意味を持つている。従つてこれを他に広く頒布させると非常に軍事的にさしつかえが生ずる。従つてそれは政令の第十七條の一年以下の懲役、三万円以下の罰金、こういうことになつていると思う。もしほんとうに独立するならば、こういうばかなことはやめた方がいいと私は考えるのでありますが、御所見はいかがでしようか。
  16. 小林與三次

    小林説明員 空中写真はなるべく広く利用した方がよいことは、お話通りであります。それでわざわざこういう手続をとつて、あるものを自由に利用させてやりたい、こういう考え方から、この政令をそのまま効力を存続したいという法律を出したゆえんでもあるのでございます。ただこの複製をどうするかということでありますが、これは地理調査所において責任をもつて保管しておりますので、地理調査所におきましては必要に応じまして、需要に応じましてどれだけでも複製して皆さんの利用に供する。こういう建前をとつておるのでございまして、一般利用についてはいささかも支障がないようにやつておるつもりでございます。しかしながら保管責任上その保管はつきりするということは、これ  はやむを得ないところでございまして、この保管責任はつきりさせる最小限度の保障として、こうした制度を設けておる次第でございます。
  17. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ただいまの答弁は実際とは違うようでありまして、空中写真利用を許可された者は厳重な保管を要求されておるのでありまして、むしろあまりにも厳重過ぎるために利用が十分にできない、こういう実例を私は幾多知つております。あまりにもその保管が厳重でありますために、それをなくしちやたいへんだというので金庫の奥深くしまつておかなければならないので、実際には利用されない。それはこの法文にもちやんと書いてある。たとえば第十六條には「地理調査所の長は、空中写真汚損等のため利用に耐えなくなつたときは、これを焼却しなければならない。」何もこういう條文をつくる必要はないと思う。なぜ焼却しなければならないのか。これは他に漏れてはならないのだ、他の者に見せてはならないのだという、まるで秘密文書取扱いだ。こういつたようなことがはつきり條文に書いてある。これは明らかに極秘文書取扱いではありませんか。こういつたことをなぜ講和後も残しておかなければならないのか。そこをひとつ納得の行くよう御説明を願いたい。
  18. 小林與三次

    小林説明員 今極秘文書とおつしやいますけれども、極秘文書なら一般利用させることもないのでありまして、ここに書いてあるように自由に、戦災復興または経済再建等のために必要な場合においては、広く利用させておるのであります。しかしながらこの貸与を受けている限りは、その物品の保管を厳重にするのはこれまたしごく当然でございまして、実はただそういう保管とか、処分手続規定してあるだけでございます。
  19. 池田峯雄

    池田(峯)委員 一般利用させるというふうに言つておりますが、ちつともそういうふうにはなつていないじやないですか。たとえば第五條に「戦災復興又は経済再建事業のために必要がある場合においては、国若しくは地方公共団体機関又は測量法云々といつて、決して一般はこれを利用できないのです。一般がそういうものを携帯しているとたいへんなことになるという、いい実例がある。それはいわゆる日本共産党軍事スパイ事件だといつて飯田七三以下何名かが逮捕され、軍法会議にかかるという事件が起つております。この人たちが逮捕されたそのときに押収されたものが、これが地理調査所でつくつていたある種の地図であつた。日本地図であつた。一般にも市販されている地図である。そういう地図を持つていて会議をしていたというだけで、お前たち軍事スパイだといつて軍法会議にかけられ、何十日の間牢獄の中に入れられて面会も謝絶され、差入れも通信もさせられないで、CICの機関に取調べられていた。なぜそういうことがあり得るかといえば、やはりそれは日本地図というものが日本人のための地図ではなくて、これは外国のための地図なんである。今度の空中写真も明らかにそういうものであつて、こういう空中写真をほかの者が持つていたりなんかするとおとがめを受ける。こういう危険があるから、私は先ほどから何べんか質問しておるのであります。  では質問いたしますが、この空中写真は、われわれがいつでも利用したいと思うときにはあなたの所に行つて、貸してくださいと言えば貸してくれますか。そうして携帯していたり、これをいかなる目的に使用したとしても何らさしつかえないのでありますか、明確に御答弁を願います。
  20. 小林與三次

    小林説明員 ここに書いてある手続條件が備わつておれば、もちろん自由に御利用を願うことになると思います。但しこの手続はここに書いてございますから、これに従うことはやむを得ないと思います。
  21. 池田峯雄

    池田(峯)委員 「地理調査所の長又はその委任を受けた地理調査所の職員は、必要と認めるときは、利用者空中写真利用及び保管状況について調査を行うことができる。」あるいは「地理調査所の長は、利用者がこの政令又はこの政令に基く命令規定に違反したときは、直ちに、空中写真を返納させることができる。」、こういうように空中写真保管利用等について非常に煩雑な規定がいろいろ設けられておるのであります。しかしながら先ほどからの答弁によれば、空中写真は何人に対しても適当と認めるならば利用させる。利用させるというのに、なぜこういう煩雑な規定を設けなければならないのか、こういう私の質問に対しては、まだ納得の行くような答弁をいただいておりません。なぜそんな煩雑な手続をするのか、なぜ焼却をしなければならないのか、なぜそういう罰則を設けなければならないのか、そういうことをもう少し明快に御答弁を願いたいと思います。
  22. 小林與三次

    小林説明員 これは政令時代は、要するに他人から貸与されているものの保管貸与利用規定を設けたのでございまして、普通たとえば国内公共団体図書館で本を貸し出す手続をきめる、その場合にはそれぞれ條件も書けば、返却の処分もやり、使つている條件も調べる、こういう手続を書くことはきわめてありふれた問題だと思います。
  23. 池田峯雄

    池田(峯)委員 図書館罰則があるか。
  24. 小林與三次

    小林説明員 図書館には罰則はないけれども、返納したり、利用状況を調べたりすることはありふれたことであります。そこでそうした手続を中心に書いてあるだけでございますが、この空中写真他人から貸与されておるものでございまして、これは厳重に保管、管理するのはあたりまえのことだと思うのであります。その管理する手続を必ずしも特別にやかましくいつているわけでもないのでございまして、ただこの使用の目的複製責任を持つてやるという建前をとつておりますので、それ以外のものがみだりに複製をしたり、あるいはみだりにほかの用途に使うことは、これはやむを得ず禁止しているだけでございます。別に特別な他意というものがあつてのことではありません。
  25. 池田峯雄

    池田(峯)委員 最後にお聞きしておきますが、地理調査所地図であるとか、あるいは空中写真であるとか、そういうものをただ持つていただけでは、これは軍事スパイとか、そういうことにはなりませんね。その点をひとつ明確にお答えを願いたいと思う。
  26. 小林與三次

    小林説明員 ただいまのお言葉に対する答弁は、私からいたす限りではないと存じております。その問題はこれとはちつとも関係いたしておりません。
  27. 池田峯雄

    池田(峯)委員 関係があるから聞いているのです。地理調査所地図を持つていたら軍事スパイだといつて検挙されて、何十日もほうり込まれたという事件がただいま発生しているから、従つて今後もわれわれは地理調査所空中写真などというものをどこからか正当な手続で借りて来た。これを持つていた者が軍事スパイだ、アメリカ空中写真を持つていたから、これは軍の機密をうかがつていたのである、軍事スパイだといつて検挙されてはたまらない。そういう事件が現に起つていると私は聞いておる。だからそういうことはありませんか。正当な目的でこれを持つておる、あるいは地図を持つておるという場合には、軍事スパイではありませんね。日本地図だからこれはあたりまえなのだ。日本人だから罰する、そういうことはありませんねと聞いておるのだが、そういうお答えができないというのは、あなた少しどうかしておるのじやないですか。日本人の魂を失つておるのじやないですか。
  28. 塚原俊郎

    塚原政府委員 先ほどからの第一問、第二問について池田君は少し考え過ぎておるのじやないかと思いますが、主体性云々の問題については私も十分に考えております。ある時期が参りましたならば池田さんのおつしやるような主体性を持つたものにこれをかえる意思があります。なお今の御質問でありますが、正当な手続をふんでおる限りそういうことはないと考えております。いろいろとお話もありましたが、先ほども所長が申しましたように、これは非常な高価なものでありまして、保管について厳重な監督をし処置をしなければならないことは池田さんもよく御了解ができると思います。口を開けばただちに軍事的云々ということは少し思い過ぎではないかと考えております。それほど深く立ち入つて考えなくともよい問題ではないかというふうに私は考えております。
  29. 前田榮之助

    前田(榮)委員 私も池田君とは心持は違うわけでありますが、この罰則の問題について疑義を持つておりますのでお尋ねを申し上げるのであります。このポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く政令の、第三條、第四條の規定に違反したものには一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処するというこの規定が設けられておるのは、今政務次官が申されたように、日本政府の独自の立場で、航空写真による地図はきわめて貴重なものであるからそれを守るためにのみこの罰則が設けられたのか、あるいはまたこの政令を設ける際において司令部の方の御意思とつた材料であるから、これは貴重なものであるから駐留軍の方針に基いて指示されたから、日本ではそうは考えないけれども罰則を設けたというような意味を持つておるのかどうか、この点をまず第一に明確にしていただきたいと思います。
  30. 塚原俊郎

    塚原政府委員 決して向うから押しつけられてこういうふうになつたものではなくて、非常に重要なものであり大事なものでありますので、両者で話合いの上こういうことになつたものであります。
  31. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そうだとしますとこれは一応こういうことできめておいて、近くこれをもつと日本政府独自の立場でのものにしたいというような気持もあるようでありますが、そうでありますならば独自の立場でやつてもやはり貴重であることには間違いないので、貴重である限りは、この罰則がなくなればこの貴重なものは守られないというような行政官立場考えられたものと推測されるわけであります。日本には文化施設その他貴重なものはたくさんありますが、こういうような貴重なものにつきまして、ただちに懲役とか罰金とかいうような、ただ監獄にぶち込みさえすれば世の中が治まるというような古い観念でこれを守るというようなことでなしに——守ること自体行政官立場責任で守らせるようなことでなければならないと思うのでありますが、あなた方はこういう罰則がなければ守る自信がない、力がない、こうお考えになつておるかどうかこの点をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 塚原俊郎

    塚原政府委員 前田委員の御質問の趣旨は私にもよくわかります。先ほどある時期に到達いたしました場合に主体性を持つたものをつくるということを私は申し上げましたが、その節には御指摘の点は十分考慮に入れて研究してみたいと思つております。
  33. 前田榮之助

    前田(榮)委員 この罰則は適当でない点もあるからそれを考える、従つてそういうことにあまりこだわつてくれるなという意味にも聞えるのでありますが、そういうことに了承いたしてこの点の質問は打切りたいと思います。  次にこれは本法案と直接関連はないのでありますが、この法案提案の説明の中にありました、空中写真関係と住宅緊急措置命との、関係の二つの案の中で、住宅緊急措置令は近く法律案を提出して審議をお願いする予定だというように御説明になつておるわけでございますが、これはいつごろお出しになる見込みでありますか、またこれにつきましてはどういうような内容か、大ざつぱでよろしうございますからお示しを願いたいと思います。
  34. 小林與三次

    小林説明員 住宅緊急措置令廃止の法律案は、所要の手続が済みまして今週中に提案になるだろうと思つております。住宅緊急措置令と申しますのは、昭和二十年末に引揚者とか戦災者などがちまたにあふれて住宅に困つたので、空家その他罹災建物あるいは寄宿舎、工場等で空いているものを強制的に知事が使用権を設定いたしまして、そこへ住宅困窮者を入れた制度が住宅緊急措置令でございます。その当時は相当それを利用しておりましたが、その後住宅事情が安定するに従いまして、次第にそういう人が減つて来ているのでございますが、新しくそうした使用権を設定する事態は全然その後起つておりません。この緊急措置令は異常な措置でありますからこれをそのまま残すか残さぬかという問題でありますが、結局現在入つている者の状態をどうするかというのが今日における問題でございます。そこでその所有者である工場、事業場も再開してその返還をしきりに請求して来ているという事態もございますし、逐次入つている人たちも他に住居を得て移つて行つている状態でありますので、この際むしろ行き先を考え、これが手当を適当にすることにして、その制度を廃止するのが適当ではないかというので、一応住宅緊急措置令を廃止する、しかしながら現在いる人たちの行き先を考えなければならないので、そこで公営住宅に優先入居権を法律で認め、そこへ逐次入居してもらう、それから元の建物につきましては、これを原状に復して所有者に返さないと穏当でありませんので、原状回復をする手当について法律で必要な規定を入れて、国もそれについて費用の一部を負担するというふうな内容を規定した、きわめて簡単な法律でございます。
  35. 前田榮之助

    前田(榮)委員 今御説明になりました点で、現実に引揚者等の要求もありますけれども、余つた大きい邸宅等を持つておる者の使用等は、現実においては最近この緊急措置令を使つておらないように私は想像いたしておるわけであります。従つてただ現在入つておるものだけの跡始末をどうするか、こういうことのように思つておるわけです。それに間違いありませんか。
  36. 小林與三次

    小林説明員 ただいまおつしやつた通りでございます。
  37. 田中角榮

  38. 村瀬宣親

    村瀬委員 結局この問題は空中写真利用に関するポツダム政令を存続しようという点にあるわけでありますが、大体がポツダム政令でありますから非常に軍令的なにおいの濃いものであります。それを残しておこうというのがこの法案の趣旨であると思うのであります。これを虚心坦懐に考えてみたときに独立国としていろいろ考えさせられる点があるというのは、何人も一応感じられる点なのであります。ただ、今政務次官が適当な時期にこれは改めるのだという意味の御発言がありましたので、われわれは了とするに足るのでありますが、一体その適当な時期はいつごろとお考えになつておりますか。かりにこういう法案をやめてしまうといたしましても、平和條約の発効の日から九十日間は有効なものであると考えられるのでありますが、いずれこういうことでやられるのだから、一応これは法律の形にしておこうという程度の軽い意味ならば、内容が多少承服しがたいものであつても、どうせどつちも同じだからということで承認し得る余地もできるのでありますが、政府側においては、適当な時期にほんとう日本法律にし直すのだという意味の御発言がありましたが、その適当な時期はいつごろとお考えになりますか。
  39. 塚原俊郎

    塚原政府委員 村瀬君の御質問ですが、何月何日ということははつきり申し上げられないと思うのですが、完全な独立国家になりましたあかつきにおいて、その時期を研究したいと思つております。
  40. 村瀬宣親

    村瀬委員 むろん何月何日というところまで御答弁いただく必要はないのでありまするけれども、大体半年以内とか一年以内とかいうような目安がつかめますならば、われわれはこの法案審議に非常に安心が行くと思うのであります。  それからもう一点伺いたいことは、どうせ日本は土地台帳も不備でありまするし、その他農業政策、食糧政策を立てる上におきましても、空中写真による産業的利用というものが、当然将来に残された大きな施策であると思います。これは行政協定とも関連して参りますが、将来空中写真の産業的、文化的な利用という面に、政府の方ではどういう構想を持つておられるか、つまり将来日本飛行機が許されるかどうかという問題にも関連するでありましようし、またローカル線の飛行機会社が網の目のようにできるということも考えられる点から見合せまして、飛行機の自由な使用が許されるようになればなおさらでありますが、その時期が来ないうちにも、いろいろの航空機会社のローカル線を利用いたしまして所要の空中写真をとつて、それを農業政策あるいは河川総合開発等に利用し得る道を、一日も早く開かねばならぬと思うのでありますが、それらに対してどういう構想を持つておられましようか。
  41. 塚原俊郎

    塚原政府委員 室中写真のみを利用してつくつたものではありませんけれども、もちろんそれを加味いたしまして、今日までも地理調査所では土地利用、それから今おつしやいました国土の再建に関するようなもの、これは私が見ましても一目瞭然わかるようなものがたくさんできております。委員の方も御視察になつた方はおわかりだと思いますが、そういうものができておりますから御利用願いたいと思います。  なお今村瀬委員のおつしやいました線に沿いまして、われわれは何もこれを軍事的に使うという目的じやないのですから、そういつた産業の開発の役に立つようなものを、今後もどんどんつくつて行きたいと考えております。  なお詳しいことは所長さんがよく御承知ですから答弁していただきます。
  42. 武藤勝彦

    武藤説明員 空中写真地図とか調査に使うことは、近ごろどこの国でも活発にやつておるところであります。しかしながら現在わが国では飛行機をまだ持つておりませんので、それを自由に利用することができないのは私どもとしては非常に遺憾に考えておる次第でございます。今後日本の航空が自由になりましたならば、一日も早く日本の手で、自分の好む、利用しやすい縮尺で空中写真をとつて、十分活用したいと考えております。
  43. 村瀬宣親

    村瀬委員 私のお尋ねしたい点は、空中写真を現に可能な範囲で利用なさつておる実情はよく承知しておりまするし、非常にうまく行つておるということも知つておるのでありますが、現在以上に、さらに必要な拡大をした写真とか、あるいは特殊な写真をとり得るような協定といいますか、申合せといいますか、そういう方法がどこかで進んでおりはしないか。そういう点はまだ全然見通しが立たぬというのでありますか、あるいはそれがほんとうに平和的な国土の再建に役立つような場合には許されるといつても、独立国なら許すも許さぬもないわけでありますが、その点もう少しはつきり伺いたい。  それから私の申しまするのは、飛行機を自由に日本がつくり得るようになるとかなんとかいうことは行政協定の重要な部分で、簡単には発表できないかもしれませんが、少くとも航空会社のローカル線が将来は網の目のように日本の上に当然発達しなければならぬ。これは案外早いのじやないかということも感じられる。そういうことになりますと、ことさらに日本が独特の軍用機でなしに、ローカル線の輸送機によつてもある程度とり得るのではないか。そういう場合に対する計画と、また海上保安庁において飛行機が早く利用されるということは想像のつくことでありまして、これは二十七年度から必ず実施可能と思います。そういう可能の範囲において空中写真というものに対する計画はどうなつておるかという点を伺いたいのであります。
  44. 塚原俊郎

    塚原政府委員 具体的にそういう協定はまだやつておりませんが、この問題は非常に大事な問題でありますから、こちらはこういうことをしたいということを前提として向うと話し合えば御趣旨に沿つたようなことは十分できると私は考えております。
  45. 村瀬宣親

    村瀬委員 次にもう一つ伺つておきたいのでありますが、先ほど説明員からお話のありました複製は現在も自由にやつているということでありますが、そういたしますと、借りておるものによつて、金をかけてりつぱなものに複製をして、それを十分利用し、また別に負担をする、むろんこの政令にはいろいろな罰則その他むずかしい條章はあるようでありますが、それに触れないようにして同じものを二、三部つくるということは可能であり、またそういう計画があるのでありますか。
  46. 小林與三次

    小林説明員 私が複製は自由にできると申しましたのは、必要があれば地理調査所においてできるだけ複製をして皆さんの要請に応ずるようにしたい、複製には相当技術も要しますし、複製によつて精度がかわつたりしてはいけませんから、専門の地理調査所において精度のきちつとしたものをつくりまして、その手続によつて必要とされる方に自由にお貸しする、こういうことを申し上げたのであります。
  47. 村瀬宣親

    村瀬委員 技術、経費等の関係もあるのでありましようが、複製が自由にでき、また現にやつておるというのでありますれば、全部それを三部なり五部なり複製をして、そうして罰則複製の分にも及ぶかもしれませんが、そういうものは一応金庫にしまつておいて、ともかく借りて来たものは五部なり八部なり複製して自由に使える、のびのびと朗らかに日本国民はいつでもそれを見られる、その複製がたまに汚損してもどうしても、これならいいのであります。そういう御計画があるのか、また現にそういうことをやつておるのか、それがはつきりしますと、罰則の点もわれわれは国民に非常に安心が行くと思うのでありますが、その実情と将来の計画をもう少し詳しく伺つておきたいと思います。
  48. 武藤勝彦

    武藤説明員 現在では複製をほかでやることは許可しておりません。それはほかでやるといたしますと、配つておるのが陽画でございますから、それからまたネガをつくつて、フイルムをつくつて、さらに焼きつけるというような手数をかけなければならぬ。これは非常に金のかかる仕事であります。ですから実際問題としては私の方へ直接おつしやつていただいた方が、経費の点から申しましてもはるかに安く参ります。そういう点もありますし、また複製すると狂いができますから、これを慎重にやつていただかないと、せつかくできたものが実際には役に立たない。御承知のように広い地域をわずかな写真の面に写しておるのでございますから、少しの狂いでも今度実際に大きくしますと相当な誤差になつて参ります。そういう点も考えまして、できるだけ正確なものを使う必要があるという見地からも、なるべく私の方へ直接お願いしていただいた方が実はお互いにいいのではないかと考えておる次第でございます。
  49. 村瀬宣親

    村瀬委員 そうすると、いろいろな罰則は借りて来た原本にのみ及ぶというものなのですか。それから地理調査所にお願いして三部なり五部なり、費用はかかりましようが実費を出して複製していただく、その複製した分の汚損、また文化的、産業的な利用による汚損その他にはむろん罰則は適用されるものではないと思いますが、現在そうなつておりますか、その点お聞きいたします。
  50. 小林與三次

    小林説明員 この罰則規定だけの解釈から申しますと、一応空中写真にはその複製された写真を含むという建前になつておりまして、複製されたものも空中写真ということになつておるのであります。それで現在は地理調査所以外の者がかつて複製してはならぬということになつておりまして、複製は許しておらぬのでございますから、かつて複製をすると違反である、こういう解釈にならざるを得ぬと思つております。
  51. 田中角榮

  52. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 簡単に二点だけお伺いしておきます。第一はこの第一條規定でありますが、これは現在のところ占領下でありますので、連合国最高司令官から借りておる。今度のポツダム政令の廃止に伴う法律は、いわゆる講和條約の発効と同時に効力を生ずるということになつておるのですが、これは将来連合国最高司令官がなくなるときに当然に改正されることを予定されておるのでしようか。
  53. 小林與三次

    小林説明員 ただいまおつしやつた通りでございます。なくなればそれに応ずるように改正しなければならぬと思つております。
  54. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もう一つは第十條に関してでありますが、先ほどいわゆる原本といいますか、それから複製という問題がありましたが、第十條では地理調査所の長の承認を受ければこの空中写真利用して地図を調製することができることになつております。この規定複製を含んだ空中写真を中心に書いてあるのでありますが、地理調査所の長としては、地図は必要によつて自由に調製し得るようにしてございますか。
  55. 武藤勝彦

    武藤説明員 必要に応じまして自由につくつていただいております。
  56. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そうすると、この複製という言葉の定義が私技術者でありませんからよくわかりませんが、私の考えではやはり写真をネガテイブにして、さらにそれを写真にとるということの意味だと思います。地図写真によつて写真と同じような地図ができると思うのですが、この地図に対しては何らの規定がない。その地図は自由に利用し、他人に頒布し、讓渡することはある程度できるように思いますが、その通り解釈しよろしいのですか。
  57. 小林與三次

    小林説明員 ただいまお尋ねの通りでありまして、複製そのものはいかぬけれども、それを基礎にしていろいろな地図を調製して、これを利用されることは、地理調査所の承認さえ得れば自由であり、それを元にして地図をつくつて、これを頒布するのも自由にできる、こういうわけであります。
  58. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 空中写真を私ども見たことがありますが、交付を受けたことはありません。その点は安心をしてください。これは非常に貴重なものであります。だからこれに対しては相当むずかしい手続罰則もいることだと思います。特によそから借りている品物でありますから、当然だと思います。しかし空中写真利用して地図をつくることは、必要に応じて、第五條の規定に従えば、これを許さなければならぬ。たくさんの空中写真とほとんど違わない地図をつくり得ると思いますが、それは何らの取締りもなく、自由に利用することも、讓渡することもできるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  59. 小林與三次

    小林説明員 その通りでございます。
  60. 田中織之進

    田中(織)委員 第一條関係ですが、連合国最高司令官から借りておる空中写真ということになつておるのですが、これは複製できれば、原本は向うに返してよいのではないか、そういう手続はどうなつておりましようか。連合国最高司令官という、占領中の軍当局から借りたものを講和條約発効以後も、国内法にいつまでもそういう占領時代の形が残るようなことは適当ではないと思いますが、現在司令部から借りた写真による複製がどの程度まで進んでおつて、それはいつごろ返せるのか、その点を承つておきたい。
  61. 武藤勝彦

    武藤説明員 向うから借りておる場合というのは、向うでとりましたそのものをこちらで借りておるのではないのであります。向うに一部しかございませんので、それのコピーをとりまして、それがこちらにあるわけでございます。
  62. 田中織之進

    田中(織)委員 そうすると現在政令でありますけれども、第一條はちよつとぼくらに理解ができないのです。最高司令官から日本政府貸与される空中写真ということで、一つしかないものは、原本というのではなくて、こつちが借りているのはコピーだという意味ですか。
  63. 武藤勝彦

    武藤説明員 さようでございます。
  64. 田中織之進

    田中(織)委員 そうしますと、そのコピーをこちらで複製して、そのコピーを向うへお返しすることが適当じやないかと思いますが、そういうことは現在までにやられていないのですか。
  65. 武藤勝彦

    武藤説明員 そのコピーは全部こちらでとつておるのでございます。向うのとりましたものをこちらでコピーをとつております。こういうふうになつておるわけでございます。
  66. 田中織之進

    田中(織)委員 私は今後講和後の国内法にこういう占領時代の貸与関係というものが残ることは、体裁の上から見ても適当ではないという趣旨からはつきりさせた方がよいという考え方ですが、これは占領軍の立場における軍事上の必要その他からこのままの形で、いわばひもをつけて残して行こうというのが立法の趣旨ですか。
  67. 小林與三次

    小林説明員 そういう趣旨はさらさらございません。ですから、完全にこちらのものになつてしまえば問題は一つもないわけです。そういう関係で、なるべく早くひもを断ち切つてしまいまして、利用状況を完全に日本政府のものにしてしまえば、事は一番簡単に済むと思いまして、そういう方向にわれわれとして一日も早くなりたいというふうに考えております。
  68. 田中織之進

    田中(織)委員 それでややはつきりして来たのですが、現在締結され、すでに批准まで済んでいる講和條約の関係から見て、効力が発生したら、そういうものは完全に日本のものに——向うから貸してもらつたコピーで複製したものが日本側にあるというのですが、今度の講和條約では帰属は日本側にならないのか、それとも講和條約でそういうことにならないとすれば、そういう方向へ講和條約の発効と同時に持つて行く、これは政府として当然やるべき折衝の段階に属すべき問題だと思うのですが、そういう具体的な努力はどういうふうにやつておられるか。
  69. 塚原俊郎

    塚原政府委員 その方向に沿つて努力しております。
  70. 田中角榮

    田中委員長代理 これにて本案に関する質疑を終了いたします。     —————————————
  71. 田中角榮

    田中委員長代理 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く特別調達庁関係命令の廃止に関する法律案内閣提出第九号を議題といたします。前会に引続き質疑を続行いたします。なお申し上げますが、本件に関し特別調達庁所管岡野国務大臣、特別調達庁次長堀井啓治君、同財務部長川田三郎君、以上三君が説明のため出席されております。村瀬者。
  72. 村瀬宣親

    村瀬委員 岡野大臣にお尋ねいたしたい。ただいま議題になつております。法律案は、第一は要求物資使用収用令、第二は土地工作物使用令、これを一応廃止するというのでありまして、国民として非常に喜ばしいことであります。もつとも法律施行の日から後九十日を限り、引続き同令の規定により使用することができるということにはなつておりますが、ともかくもこれを廃止するというのであります。そういたしますと、今後こういうふうな方法によつて駐留軍関係に物資の使用や土地工作物の使用を余儀なくされるということは起らないと考えてよろしゆうございますか。
  73. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 今後駐留軍に対しても、やはり特別調達庁が行つておつたような仕事が出て来ることは事実でございます。しかしながら御承知の通りに、特別調達庁と申しますものは、被占領国が占領国すなわち連合軍命令によつてこういうことをしろということになつてできた次第でありますから、この性格はすつかりかわつて来るのです。ですから今後行政協定の進行いかんによりまして、この問題は当然大事な仕事として協定の中に入るわけででございますが、まだその協定の途中ございますので、はつきりしたことがきまつておりません。しかし今後特別調達庁のしておつたような仕事を、駐留軍に対して日本がいかにしてするかということにつきましては、今までのいきさつから行きますと、民間の大きな会社にやらしたらいいじやないか、もしくは政府機関がやはりやるべきじやないかというようなことが、いろいろ議論があつたのであります。しかしながらこれは国防ということにもまた国内の治安とかいうことにも非常に重大なことでございますから、やはり政府関係しておつた方がいいということから、今の方法といたしましては、政府機関でもつて今まで調達庁がやつておつた駐留軍の仕事をやつて行こうというこの方針だけはきまつておるわけであります。しかしながらそのこまかいことに至りましては、まだ何らの協定に入つておりませんし、ただいままだ申し上げます段階に至つておりませんから、そういう情勢であるということだけを御了承願いたいと思います。
  74. 村瀬宣親

    村瀬委員 実は当委員会へ岡野国務大臣にお忙しいのに来ていただきましたのは、新聞で伝えるところによりますと、二月の中旬には大体行政協定も大綱が決定になり、発表になるのではないかということが伝えられておるのであります。そこで行政協定にも関係部面において御関係になつておりまする岡野大臣にこの建設委員会に来ていただきまして、その間の経過とにらみ合せまして、本法律案の審議を進めて行きたいというのがおいで願つたわけなのでありますが、一体行政協定の進行の状態は巷間伝えられるような状態ではないのでありまするか。もう大半決定を見つつあるのではないかとわれわれは推測するのでありますが、どういうふうになつておりますか。
  75. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは新聞に出ておることを私も読んでおりますけれども、岡崎国務大臣からときどき経過報告を伺つておりますこととは大分違つておりまして、まだはつきりしたものがどんどんきまつて行つておるというわけではございません。下打合せ程度のものと思います。しかしその内容は、私もちつとも知りません。ただこういうような情勢になりつつあるということだけでございますから、その点でございますれば、岡崎国務大臣においでを願つてお問合せになるのが適当だと思います。
  76. 村瀬宣親

    村瀬委員 全般としては岡崎国務大臣が御担当であるかもしれませんが、こういう特別調達庁の関係の仕事をして行く部面になりますと、岡崎国務大臣の直接の責任になると思いますので、自然御連絡があるはずだと思うのであります。そこで行政協定の方の進行状態は巷間伝わるごときものとは大分かわつておるというようなお話があつたわけでありますが、そういたしますと、今後特別調達庁の関係の仕事をして行く上には、独立国なつた以上はこうやつたらいいという方針はあると思うのです。今御説明になりました民間にやらすか政府がやるか。やはり今まで通り政府がやつた方がいいだろうという点は、われわれも同感であります。しかしたまたまここ問題になつております要求物資使用収用令、土地工作物使用令というような、いわゆる占領された国のやむを得ない方法によつて今まで特別調達庁が仕事をされておつたわけでありますが、今度独立国になるわけであります。そういたしますると、現在の行政協定の進行状態はいかようにもあれ、それは別問題といたしまして、ともかくもこれからは民間でなしに政府でやるというその御方針はいいですが、やる上において土地工作物使用令のようなやり方ではもう一切これからはやらぬのだというふうな御方針があるのかどうか、その点をひとつ……。
  77. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。その点は行政協定を担当しておりますところの岡崎国務大臣がおそら叩くその話をしつつあることと思いますけれども、われわれ政府の方針といたしましては、被占領下においてやつたような状態はすつかり払拭してしまいまして、ほんとう独立国家として、いわゆる私的の契約でやつて行きます。それでございますから、両方とも立場は同じもので、向うが貸してくれという、それでは私の方でいわゆる自由意思によつてこれを貸そう、こういうようなことになつて行きまして、この廃止になりました法律のようなことはむろんもう絶対に織り込まぬことになるだろう、こう私は考えております。方針といたしましては、普通の独立国家が、また独立の二つの法人格か何かでございましようが、それが対等の契約をして、そうして土地を借りたり、また建物を借りたり、そういうことになる、そうならせる方針で進めて行つておるわけであります。
  78. 村瀬宣親

    村瀬委員 非常に頼もしい御答弁を伺いまして私は非常に満足であります。ぜひその方向で進んで行つていただきたいと思うのでありますが、なお一部心配な点もありますのでもう一度お聞きしておくのでありますが、むろん国内には土地収用法等をつくつておりまして、いろいろな方法も講じられておるわけでありますが、少くとも土地収用法の程度以上に無理をして、特別調達庁の方の仕事がいわゆる駐留軍のために日本国民に圧迫が加わるということはないと確信をしてよろしゆうございますか。もう一度お尋ねをしておきたいと思います。
  79. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私は御説の通り考えくださつてけつこうだと思います。そういう方針で協定の交渉に入つておりますから……。
  80. 池田峯雄

    池田(峯)委員 最初お聞きしておきたいと思うのですが、この前の委員会で調達庁の方からの答弁によりますと、土地工作物使用令あるいは要求物資使用収用令、この政令を実際に適用したことは今までになかつたのだ、こういう御答弁でありました。そうしますると、今連合軍の建物あるいは連合軍の使用する土地、こういうものはいかなる手続で、いかなる形で接収されたものなのか、これをお伺いしたいと思います。
  81. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 軍の現在の使用状況は、軍の調達要求に基きまして、政府と民間との間に自由契約を結びまして、それによつて不動産を提供しておるという実情でございます。
  82. 池田峯雄

    池田(峯)委員 自由契約を結んだという御答弁でありますが、そういたしますと建物を収用された者あるいは土地を接収された者、こういう利害関係者が現在ただちにその契約を破棄するということは自由であると考えますが、いかがでございましようか。
  83. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 一応契約をいたしまする場合には、年間契約をいたしまして、なお契約條項の中に協議によつて延長するという條項を含んでおります。
  84. 池田峯雄

    池田(峯)委員 たとえば横浜などでも接収建物の返還について相当強い要求があります。あるいは港についてもその通り、あるいは飛行場敷地についてもその通りでありますが、その年限が満了になる場合あるいは協議が成立した場合には、これは返還を要求することができる、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  85. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 理論上はその通りでございます。
  86. 池田峯雄

    池田(峯)委員 理論上はその通りであるが、実際にはどういうふうになつておりますか。
  87. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 日米協力の線に協調していただきまして従来契約を結んでおるのでありますが、もしどうしても応じていただけない、また軍の作戦上と申しますか軍の必要上どうしても必要だという場合には、廃止しようとする政令を使わなければならなかつたかと思うのであります。
  88. 池田峯雄

    池田(峯)委員 今までは使用収用令あるいは工作物使用令を適用せずに、  一応自由契約という形式をとつて来た、こういう答弁でありますが、今後駐留軍日本に引続きおります、その施設は、先ほど答弁によりますと日本政府がこれをやる、こういう話でありますが、一説によりますと駐留軍の施設を引受けると同時に、特別調達庁は警察予備隊の施設も引受ける、こういう話がありますが、この点はいかがでありますか。
  89. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 その点は警察予備隊の新年度におきます建設量が非常に厖大であり、これが建設の応援につきまして、そういうことが可能であるかどうかというような点についての折衝が行われておりますことは事案でございます。
  90. 池田峯雄

    池田(峯)委員 その点についてもう少し詳しく岡野さんから伺いたいと存じます。
  91. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私もあまり詳しいことは存じません。ただ今後特別調達庁に駐留軍に対するものを調達してやつたり、また建物を建ててやつたりする仕事をやらせたいという考えで進んでおりまして、もしそれができますと、同じような仕事が予備隊にもありますし、それをもこの機関にやらせたらどうかというような考えもあつたのであります。しかしまだ具体的に何も進行をしておりませんで、ただ考え方としてそういう考え方があるということだけは私聞いております。
  92. 池田峯雄

    池田(峯)委員 当の責任者である岡野さんはどういうふうにお考えになつておりますか。
  93. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 今まで特別調達庁というものは連合軍命令のもとにまつたく上と下との関係のような形で使われておつたものでございます。しかしながら独立して、そうしてこれを民間でやらせてもおもしろくない点もありますから政府の手でやろう、政府機関ということになると日本政府の一つの機関でありますから、日本政府機関駐留軍の仕事もするし、また国内の仕事を引受けても一向さしつかえない、こう考えますので、もしそういうことができますならばよいことじやないかと考えております。しかしながらこれはそこまで具体的に話が進んだことでもございませんし、ただ考え方としてそういうことがあつたというだけのことでございます。
  94. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この法律案とは面接関係はないかもしれませんけれども、予備隊の施設と駐留軍の施設が大体似ておる、似ておるから一緒にやつた方がよいというようなことの片鱗を申されたように今聞いておるのでありますが、どうして駐留軍と警察予備隊とが似ておるのですか、伺います。
  95. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 似ておるのではないが、国家としてやろうとする大きな施設になりますから、大きな施設を引受ける一つの駐留軍に対する機関があるならば、これは今までのような特別調達庁の性格ではちよつとおもしろくないかもしれないから、日本国の一つの建設機関としての特別調達庁の実質のものが独立できるということになれば、あるいは大蔵省の管財局の仕事を引受けてもよろしゆうございますし、また建設省の仕事もやはりその方で引受けてやつてもよい。これは概括的に予備隊であるから駐留軍の仕事と一緒にして引受ける、こういう考えではございません。ただ大きな機関としてりつぱな組織ができる、その組織ができるならばできるだけ事務の簡素化もできましようから、ひとつ一手に引受けた方が能率的、効果的ではないかというような考え方からそういうことを考えつつあるわけであります。
  96. 田中角榮

    田中委員長代理 ちよつと申し上げますが、特別調達庁及び日米行政協定の問題は非常に重要でありますので、他日本委員会で十分御質問願うことにして、なるべく提出法律案に集約して御質問願います。
  97. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それでは最後に質問いたしますが、この土地工作物使用令あるいは要求物資使用収用令のポツダけ政令がなくなりまして、今後駐留軍の施設を日本政府が引受けて行う場合に、自由契約の形をとつて行くものか、それとも土地工作物使用令あるいは要求物資使用収用令のごとき強制権を伴つた法律を立法する用意を持つているかどうか、この点をお伺いいたします。
  98. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 自由契約によつてする方針でやつて行くつもりでございます。もし収用令とかなんとかいうものが必要なことが出て来ますならば、日本国内の収用令と同じようなものでございまして、駐留軍のために立法しようという考えは持つておりません。
  99. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうしますとたとえば現在行われております土地収用令のごときものを改正いたしまして、それを適用する考えでございますか。
  100. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 そこまでまだ考えを持つておりません。われわれとしては根本方針としてまつたく自由契約で仕事をして行くつもりでおります。もしその後におきましてそんなことが必要であるならば、考えなければならぬときには、私の考えとしては日本の内地の国民に対して行つていると同じようなことでやつて行きたいと思つております。
  101. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この政令が廃止されますのは、講和條約が効力を発生してから九十日を経てからであります。九十日を経るまでにこれにかわるべき強制法令がない場合には自由契約でありますから、明らかに駐留軍の施設のための土地収用に対してこれを拒否することもできるはずであります。そういうふうに解釈してさしつかえありませんか。
  102. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 理論上私はその通りだと思います。
  103. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうするとその期間を埋め合せるために、政府としてはできるだけ早くこれにかわるべき法令を制定しなければならないという考えは現在のところ持つておらないわけですか。
  104. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 現在のところ持つておりません。
  105. 池田峯雄

    池田(峯)委員 本国会の会期中にこれにかわる法律案を出す意思がありますかどうですか。
  106. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 これは行政協定の進行いかんによるのでございまして、私は行政協定の内容並びに進行状態が詳しくわかりませんし、また向うの意思がどこにあるか岡崎さんに聞かなければわからないのであります。私の考えとしてははつきりせぬとかするとかいうことをただいま申し上げるわけに参りません。
  107. 田中織之進

    田中(織)委員 先ほどから村瀬君なり池田君に対する御答弁通りだとするとけつこうだと思いますが、その意味から見て、この法律には大体賛成をいたしたいのであります。ところが講和條約発効後九十日の経過期間を経て占領軍が日本にいなくなる。そのときに間髪を入れず駐留軍に性格がかわつて来るのでありますが、その関係から見ますと、今最後にお答えになりました関係で、どうもあいまいになつて来たわけであります。昨日も予算委員会において岡崎国務大臣から行政協定の内容についてかなり話があつたわけなんですが、行政協定の内容いかんによると、今ここで廃止する法律と似たようなものが出て来る可能性があるというふうにわれわれは解釈しなければならぬのですが、その点いかがですか。
  108. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私一向そういう点に触れて話を聞いてもおりませんし、実は私としてはまつたくわからないと、こう申し上げるより方法はございません。
  109. 田中織之進

    田中(織)委員 そうしますと、行政協定の内容は、たとえばアメリカとフイリピンとの間の安保條約等の関係から見ても、また岡崎君の議会における答弁から見てもそういうことは考えられることでありますし、具体的に安保條約がいつ効力を発生するかという時間の問題にもなつて来ておるわけでありますが、裁判権その他についても、軍身体治外法権を持つわけであり、その意味駐留軍として直接物資の徴発等を行う場合があり得るのは、駐留軍の性格からも当然のことだと思うのでありますが、その点はこの法律を廃止いたしましてもさしつかえはないことになりますかどうか。
  110. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私よくわかりませんから、次長から申し上げます。
  111. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 在来のような向うから要求する物資につきましては、ただいま御想像のような場合はあり得ないのではないかというふうに考えております。と申しますのは、物資については大体市場にあるわけでありますので、ある物資を特定に徴発するというような事態は、われわれはただいまのところ想像しておりません。
  112. 田中織之進

    田中(織)委員 ところが伝えられる行政協定の内容いかんによりますと、駐留軍が直接そういう物資の徴発をやる場合がちらほら出て参つておるので——この法案について先ほど委員長とも打合せたのでありますが、審議をお急ぎになつておるようであります。しかしこれは担当の岡崎国務大臣に来てもらわないと、審議にもさしつかえることになりはせぬかと思うのであります。  そこで私角度をかえてお伺いをいたします。これも新聞紙の報道でありますからわかりませんが、今後の物資調達との関係において考えられるのであります。それは国際物資の再統制について、司令部からメモランダムが出ておるということをいわれておるわけであります。その意味先ほど駐留軍との自由契約によつてやるということでありますけれども、それは特別調達庁というような、駐留軍関係の物資の調達その他の関係を一手に引受ける機関がそのまま存続しまして、いわば日本政府駐留軍との間の自由契約によるという意味なのですか、それとも民間業者と駐留軍との間の自由契約によつて、今後の必要なる物資なりあるいは土地なり、工作物なりが向うに提供されるという形になるのでありますか。
  113. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 その内容は行政協定の内容に重大な関係を持つておりまして、日本の予算として物を出すということであれば、もちろん日本政府が自由契約によつて買つたものを提供する、その形体がどういう形体で、どういう方式がとられますか、まだ私たちは関知しておらぬわけであります。
  114. 田中織之進

    田中(織)委員 その点は、先ほど岡野国務大臣の御答弁の中にありました、こういうものは民間の会社等にまかせることではなくて、政府がタツチした方がいいということで、特別調達庁が、現在よりも相当厖大なものになるであろうと思いますけれども、そういうものが残る。現に岡野さんなども関係されて閣議で練つておる案の中にも、特別調達庁は存続するのだということが、閣議の経過としてすでに新聞紙上にも発表されておるのです。そういう点から見まして、私はこの点はお答え願えると思うのでありますが、駐留軍日本政府との間の契約関係で、自由意思によつてつて行くという意味でありますか、それとも日本政府、特別調達庁を介在しないで、駐留軍日本民間業者との間の自由契約、こういう形になるわけでありますか。
  115. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 もし駐留軍の調達を行います場合には、おそらく調達庁がその事務を行うのであろうという予測のもとに、特別調達庁予算も組まれておりますけれども、私どもとしては必ず特調の仕事としてするのだという確定的な段階には来ておらぬわけであります。それではどういう方式でやるかといういろいろ方法がある思うのであります。極端な場合には、予算を向うに渡しまして、向うがいわば予算権を持つて、その仕事を何か日本機関に委託するという形式も考えられましようし、向うが直接行うという場合も考えられましよう。また逆に日本政府が向うのドルの分担金を委託されて、そうして日本政府において処理するという場合も考えられるので、いろいろな方式がございまして、その点が明瞭でございませんので、はつきりしたお答えができないわけであります。
  116. 田中織之進

    田中(織)委員 私がその点をしつこくお伺いをするのは、安保條約の発効、駐留軍の駐留ということから来る物資、その他土地、工作物等に対しまする新たなる需要というものは、相当広範囲に予想されるわけです。そのことがやはり日本の国民経済の上に大きな影響を持つということは当然の帰結なのです。そういう点から見まして、国民経済に対して圧迫を加えないための調整ということは、政府として当然考えなけばならぬ。そういう意味において、日本が負担する防衛費の範囲内から、物資その他の物件で向うに提供するものはもちろんのこと、向う側が負担する部分の中でも日本国内において調達せられるものについては、やはり国民経済の総合的な調整ということの責任を持つている政府がタツチすることは、私は当然のことだと思う。その意味から私は岡野さんの考え方については賛成をいたしたいのでありますが、そういう観点から考える場合には、これたまたま国内法関係においては土地収用法であるとかそれに類する行政運用の形で行い得るわけでありますから、私は直接的に軍関係云々というようなこの法律がなくなることにはその意味で理解もできるし、賛成いたしたいのでありますが、この法律がなくなつたあとは、先ほど岡野さんもお答えなつたように特別調達庁が国内法として土地収用法であるとかその他の行政的な運用の面において必要に要求を満たして行く、こういうことに今後の筋書としては進むのではないだろうかということを、われわれは一応国民の前に明らかにしておく必要があると思うのですが、その点はいかがでしようか。
  117. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 私はお説の通りだと思います。これもはつきりした行政協定の方向がわかりませんから申し上げられませんけれども、私自身の考えを申し上げますれば、御承知の通り外国の例を見ましても、家を借りる家賃とか輸送する運送費は全額被駐留国が負担しておる。日本もその意味におきまして、あの予算のうち百億くらいは向うが内地において必要とする家賃と運送費として全部負担する。しかしあとの電気とか水道とかガスとかいうものは、外国の例もありまして半々ということになつております。六百五十億の中で百億がそういうもの、あとの五百五十億は、向うも半分持ち、こちらも半分持つ。そういうふうになりますから、種類が三つになります。ドルで持つて来て日本のものを買つたりする、それから日本政府の金で半分買つてやる、また日本が全額持つてやる、この三つの方法がありますから、種類がいろいろたくさんございますが、いずれにいたせ政府機関がありまして、その政府機関がこれを仲介する立場になりますから、時によつては特別調達庁のごときものが契約の相手方になるようなことも出て来ぬとも限りませんし、また仲介してこれを駐留軍日本の個人との間の契約にしてやつて行くとか、いろいろな方式が考えられることと思いますが、これは一に小さい行政手続の問題でございますから、今どういうふうにきまつて行くか、私は行政協定の成立いかんによつて決すべきことだと思つております。いずれにいたしましても、今までのような特別調達庁の性格はすつかり払拭してしまいまして、日本政府が仲介になるか、もしくは日本政府日本国民または日本の財産権を持つている者との間に契約して向うへ提供するか、もしくは向うが要求するものに対して特別調達庁が仲介になつてつて行くか、その辺のところはこまかいことでございまして、まだよく考えてはおりませんし、また考えればすぐ出て来るような方式だろうと思います。
  118. 田中織之進

    田中(織)委員 それではあと一、二点岡野さんにお伺いしておきますが、この法律の経過規定で、條約の六條の関係から、発効後九十日の間はこの法律できめたものの関係は持続することになるわけですが、九十日を経過したあとに、場合によつてはその間に占領軍は駐留軍に性格がかわつたものとして、引続きたとえば土地、工作物等を駐留軍の方で必要とするという場合に、法律上の空白は起らないのでしようか。その点についての配慮はされておるのですか。それとも、行政協定は條約と同じものだと僕らは考えるのですが、行政協定の持つ効力によつて法律にかわつて権利義務の関係を存続せしめることになるのでありますか。その点について重ねてお伺いいたします。
  119. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 その空白状態をいかにして埋めるか、また向うの要求が空白の時期に出て来るか出て来ないかというようなことも、今行政協定の交渉最中でありますから、今私から何とも申し上げられません。
  120. 田中織之進

    田中(織)委員 最後に、占領軍の関係で使用している部分、たとえば呉の軍港のように直接使用しているものもあるわけです。これは行政協定関係から参りますと、海軍の基地提供という條項で行政協定の内容になつて来ると思いますが、そういう関係から見て、行政協定に関連のない賠償関係で、現に占領軍が管理しているものが私はあると思う。大体賠償関係のものについては、今月末くらいに解除の問題がはつきりされる——賠償交渉等の関係もあると思いますけれども、講和條約に従つて賠償協定が個々になされるのは別として、占領軍の管理下からは一応はずされるものだというように理解してよろしいのか。現在政府の方で進めておる賠償関係の軍管理を解除してもらうという交渉はどこまで進んでいるのか。けさのたしか朝日新聞だつたかと思いますが、相当明細な物件をあげておりますが、その関係はどういうふうになつておりますか。
  121. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 その点については私はよく存じません。しかしながら大きな根本の考え方といたしましては、今回平和條約が成立しますれば、連合軍はまつたく性格をかえてしまいますから、おそらく賠償の管理権なんかも全部なくなるのではないかと思います。しかしこれは私の想像であります。同時に賠償関係については私専門の方をやつておりませんからよく御答弁ができません。
  122. 田中角榮

    田中委員長代理 これにて通告のありました質疑は全部終了いたしました。お諮りいたします。本案に関する質疑はこの程度にて打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 田中角榮

    田中委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本案に関する質疑はこれをもつて終了いたしました。  次に岡野国務大臣に一言委員長から申し上げておきます。日米安全保障條約に基く駐留軍のための調達に必要な経費は二十七年度予算に計上して、防衛費と合せると実に厖大なる額に上るものでありまして、日本経済に及ぼす影響は甚大であり、日米経済協力の基盤をなすものであり、行政協定の進行は、日本経済界注視の焦点であります。この種の例としては北大西洋條約による関係国間に駐留する駐屯軍の地位に関する協定もありますので、日米行政協定は外交専門家だけに委任することなく、現在まで六箇年に近い経験を持つ専門家の意見を十分参酌、万遺憾なきを期せられたいと存ずるのであります。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後零時四十一分散会