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田中(角)
委員 大臣にはむし返しになるかもわかりませんが、
大臣のこの前の御
答弁は少し飛躍的な感じがいたしますので、その間の
事情をよく知
つておられる人事院の職階部長に、私の意思見を申し上げて所信をただしたい、というよりも、私の
意見通りにや
つていただきたいということを率直に申し上げておきます。それは地方公務員法施行に関する職階制の問題でありますが、私たちの
考えでは、前段に建設
大臣に申し上げました
通り、
公共事業費に非常にウエートを置かれ
公共事業等に対しても一般の人たちが重大問題としてこれを見守
つておる。これを有効適切に使うためには、俗にいう技術官の運用ということを十分
考えなければならないという問題が
考えられるわけであります。私たちは
日本において今最も必要なことは技術陣をいかにうまく配置し、これを有効に使うかということと、
日本の遅れたいわゆる長い間の人力による工法をいかに高度の機械化されたものに転換するかという問題で、これによらなければ
日本の
公共事業の完成はできないと
考えておるれけであります。もちろん技術家といわれる人たちにもいろいろな欠点ありますし、特に私はいつもこの
委員会で技術屋にきらわれるようなことを言うのでありますが、技術屋は一にも二にも偏狭である、閥を組む、これはどこにもその例があるのでありまし私たちはこういう技術屋というものに対しては、技術人自身が改めなければならないと
考えております。そういう面があると同時に、しかもまた技術屋は手に職を持
つているために食いつぱずれがない。率直に言うとそういうことがありますので、いろいろな問題はあ
つたのでありますが、
日本の行政機構の中では、技術屋は閥を組み、手に職はあるのだし、しかも偏狭だから、端的に言
つてまあ出世を遅らせればいいのであるというくらいなことで、大体各官庁においても技術屋と事務屋は一まわり違
つております。だから
昭和十年卒の事務屋さんが局長さんでそろそろ出て来たにもかかれらず、
昭和元年卒の技術屋はまだ各省で課長をしている。この非常にいい例は、技術屋が課長のときに入
つて来た属官が十年間地方まわりをして来ると、十年目には自分の局長にな
つて来る、こういう事態があ
つたのであります。私はこれがいいとか悪いとか言うのではありませんが、現在の
日本は敗戦後の荒廃せる国土をいかにして復興するかということと、この狭い国土をいかに効率的に
利用するかという問題がある。五千万人しか住めない所に八千三百万人の人間が住んでおつ門戸開放されるまでに九千万、一億になるかもしれませんが、いやでもおうでもこの小さな
日本に住まなければならないという
状態でありますので、少くとも技術屋の悪い面は矯正してもら
つて、もう少しこれを高度に
利用しなければならないということを
考えております。もう一つは、率直に言
つて今次敗戦の原因は技術と科学と数字の裏づけのない政治的な観念論によるところが非常に多い。こういうことを
考えました結果、私は技術屋万能というのではなく、少くとも現在の技術陣の高度の
利用という面を
考えますときに、私たちの感覚には全然逆行するような、今でさえも技術屋をもつとふやさなければならないような面に対し
つても、一般の方々にも登用の道を開くということを職階制で
考えておられるようであります。私も技術屋でありますが、今は私は技術屋というよりもま
つたくの事務屋であります。事務屋であ
つても、今の河川局の伊藤次長のようにま
つたくの技術屋もあります。ありますが、やはり原則としては技術屋は工学出身者で、医者と事務やとは
同一にできないというふうに
考えられるわけであります。そういうことを
考え、先年も建設省の組織改善に対していろいろ一般職と土木職との問題がありましたときに、私は長年というのではないが、少くとも今
日本が必要としている再建の期間だけでも、私の
考えでは十年か十四、五年は、長い伝統を持
つて来ただけに、建設省の技術部門の長はまだどうしても土木系でなければいかぬだろう、こういうことを率直に申し上げたのです。人事院の方々もその道においでになるのですから、当時の
事情もおわかりだろうと思います。河川局長や道路局長、住宅局長はやはり建築屋か土木屋でなければうまくなかろう、こういうことを申した。建設省は従来
通りそうな
つているのですが、これと密接不可分の
関係にある各
地方公共団体の土木部長、建築部長に対して一般職の道を開くという。新潟県には今相原という監理課長がいるのですが、これは実際土木部長をや
つても十分やれます。君のような人が土木部長に
なつたらいいねということを私は端的に言
つているくらいで、これはりつぱな人ですが、一般的な通念からいうと、やはりもちはもち屋ということをいわれる。私はその
意味で
地方公共団体の土木部長及び建築部長は、本省になら
つて今まで
通り土木職及び建築職という工学者をも
つて充てることがいいのじやないか、こうも
考えております。この間は地方自治庁
関係から、地方公務員法施行に伴
つて各
地方公共団体に対してガリ版刷りを出すという話がありました。その話を聞いてみると、あなたがお
考えにな
つているようなことではないのです、土木屋は土木職でありますし、建築屋は建築職であるし、医者は医者職だ、
法律を学んだ人は
法律職です、一般職と言
つたのは次官とか何かの雑職、こういうものを一般職とや
つたのですということを言
つていたのですが、こんなことはどうも少しおかしいと思う。そういうこまかいことをわける必要はない。私の言うのは観念的かもしれませんが、土木部長は土木職、建築部長は建築職がよろしい。但し土木部の下に建築課があるときには、建築の工学名でも土木に造詣のある者は、お互いに習
つたのだから、建築屋でも土木部長はやれるのじやないかというくらいのことが山であ
つて、いわゆる一般職というのは非常に混淆を来すような今までの通念上の一般職ではなく雑職を一般職に
規定したのです。こういうと、これは立案者としては実にうまいことを
考えておられますが、これは実際に勧告せられる地方庁から見ると、今までの監理課長も土木部長になれる、
経済部長と土木部長ととりかえてもかまわない、土木部長が
経済部長にさえなれるのだから、
経済部長が土木部長になれないとは言えないだろう、こう言うのですが、少い金の中で高度の技術を
要求し、高度の機械化を
要求する現在の
日本においては、私は政治力はいらないと思う。政治力のある人が予算をとれるのではありません。建設
大臣でさえ二〇%しかとれなか
つた。政治的な力を必要とするのは
日本においては外交問題だけです。
日本の内政においては高度の技術を
要求することによ
つて今までのように権限の紛淆を来したり、観念的な混乱を巻き起さないような処置をと
つた方がいい、こうも私は
考えている。きようは特に職階制の責任者であられるあなたがおいでになりますので、人事院の今までの原案及び将来の
見通し、これに対する定義というものをお聞かせ願つで、でき得れば建設
大臣から今まで
通りがいいと思うという
答弁が願えれば幸甚だと
考えております。