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1952-02-06 第13回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月六日(水曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 中垣 國男君    理事 大上  司君 理事 三宅 則義君    理事 畠山 重勇君 理事 西村 榮一君       奧村又十郎君    高間 松吉君       田中 角榮君    船越  弘君       井之口政雄君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         検  査  官 下岡 忠一君         会計検査院事務         官         (事務総局次         長)      山名酒喜男君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道経         理局長     三木  正君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君 二月四日  委員高橋清治郎君辞任につき、その補欠として  金塚孝君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 中垣國男

    中垣委員長 これより決算委員会を開きます。  前会質疑のありました報告番号六五三に関しましては、会計検査院当局において詳細説明を準備いたされておりますので、この際その発言を求めたいと思います。会計検査院事務総局次長山名酒喜男君。
  3. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 前会のコード受信機外一点三百三十個の発注時期、納入時期並びにこれが売払いに至る日の経過並びに入札価格等について申し上げます。  契約——二十二年の十二月に、指令部の方から、中止してはという指令が出たのでありますが、二十三年の四月にこれが購入契約が締結されまして、五月の十日から七月の七日までに、現品が納入いたされております。そこで納入いたされましたが、結局使えないものでございますので、二十四年の十一月に至つて、これを売り払う意思を決定されまして、二十四年の十一月十八日に公売公告をされまして、二十四年の十二月七日に入札の人が三人おりまして、大体売払いの対象になりましたのは、ここにあげてございます三百三十個のほかに、さらに別に三百三十個でございました。この別の三百三十個は中止命令の出る以前に発注されましたものでありますので、検査院といたしましては、批難対象からその三百三十個の分は除きまして、六百六十個のうちの残りの三百三十個だけを、ここで十七万五千円で売り払つたということで批難いたしておりますが、入札になりましたものは六百六十個全部込めてのものでございます。大体入札予定価格は六百六十個で三十二万九千四百六十九円というのでございましたが、これを入れました札が、さつき申しましたように三人ありまして、そのうちの一番低いのが一万六千七百十円、二番目が六万六百七十五円、三番目にここにあります京三製作所が三十八万七千円という札が入りまして、予定価格以上でございましたので、この京三の三十八万七千円が落札価格に決定いたしました。そのうち三百三十個の勘定を、そのほかの小さな個数がございますので、この批難対象になりましたものだけを、割つて計算いたしてみますと、十七万五千円となる計算になるわけでございます。
  4. 奧村又十郎

    奧村委員 発注は二十三年の四月でありますか。
  5. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 さようでございます。
  6. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、中止命令が二十二年の十二月に出ておるのでありますから、中止命令が出てから五箇月間経過後に発注した、その間の事情をどういうふうにお調べになりましたか。それを詳細にひとつ……。
  7. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 先方の説明では、これは一応中止命令が正式に出ましたが、なお従来こういうことの必要があります場合に、多少中止に関する向うの意見についての変更を求める余地があるのではないかという望みを嘱して一意交渉中であつた、こういうことでございまして、ただ私の方といたしましては、交渉中ということでありますが、その間において中止命令変更というものに多大なる望みをかけることができる事態であるか、または望みをかけることができたとしても、この製作にそう非常な時間を所要するものではないので、うつかりすると、国鉄のこういう場所以外には使えぬものでありますから、発注は、それの見きわめがはつきりつくまで待つた方がよくはないか、こういう意見で案を提出したような次第であります。
  8. 奧村又十郎

    奧村委員 国鉄関係の方にお尋ねいたしますが、こういう品物発注は、最高責任者はどなたになるのですか。それでこれは中止命令が出て約五箇月間たつてから発注しておるとすれば、やはりこれは何と申しますか、国有鉄道最高幹部の方で、中止命令かあるにもかかわらず、これは必ずやるのだということが既定方針となつて、それをかえずにこの発注が出た。私ども調べたいのは、命令系統その他連絡が不備であつて発注する担当員の方の間違いで、発注したのか、あるいは国鉄当局最高幹部か、責任者発注したのか、そこらの事情調べてみたいのであります。
  9. 三木正

    三木説明員 物品購入契約をいたしますのは資材局長責任者でございます。その資材局長購入契約いたしますにつきましては、その物品を所要する仕事を管理しておりまする局長、この場合で申しますと、その当時の電気局長でありますが、電気局長からこの品物買つてもらいたい、こういうふうに購入要求をいたしますと、それに基きまして資材局長購入をするということになります。  それから中止命令が出ましてなおその後にそういう契約をしておることにつきましては、もちろんいけないものを買つてはいけないのでございますが、当時の事情として一応御参考に申し上げたいと思いますることは、いろいろな工事、いろいろ仕事につきましても、関係方面からいろいろ患告がございまして、その場合に、こういう仕事は、こちらのわれわれの意図しておる仕事に対して、設計変更であるとか、あるいはそうすいろいろなサゼスチョンなりというものがあつたのを、常といたしておつたのでありますが、当時といたしましては、国情り相違、技術の差というようなことによりまして、初め非常に両者の意見違つておるものも、十分説明することによつて了解ができて、工事に着手し得るような場合も非常に多かつたのでございます。この場合も以前からそういう手続で進んで来ておりましたし、特に終戦後非常にいろいろな事故もあつちこつちに起りまして、従事員教養の点にも欠くる点がありましたので、ぜひそれを実現したいというので、その実現を希望する余り、非常に楽観的といいますか、そういうようなものの見方をしたために、こういう不始末をしでかした、こういう結果であります。
  10. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは検査院の方へお尋ねしますが、入札京三製作所が三十八万円、その次が六万円ですか、その次が一万六千円、そういう入札価格というものは、これは正常と思われますか。三人の入札者があつて、これは正当の競争でもつて落札したのだから、これはこれ以上の処置はないと思われるのかもしれぬが、この入札価格、これはどうもいたずらとしか思えぬのですが、その点お調べになりましたか。
  11. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 私の方といたしましては、予定価格の立て方がいいかわるいかという検査と、それからまた落札価格予定価格を、売払いのときでございますから、越えて予定価格以上に売れるということが確保されればという観点でございまして、今の残りの二人が六万円、一万六千円という入札をしたことについて、そこにあるいは何かいろいろな連絡があつたのではないかというところまでは、私の方は、いささか検査院検査の職能が、多少個人のことに入つて参りますし、検査の限界もございますから、そこまでは入つておりませんが、一応予定価額が三十二万九千円——、これは資材別の単価を見積られ、トン数をかけたものでございますが、それで行つておりますので、一応御了承いただきたいと思います。
  12. 奧村又十郎

    奧村委員 そうすると、つまりそういう業者談合ということは、あらゆる入札には、どうも遺憾ながらたびたび行われるのですが、今の御答弁によると、業者談合などということは、会計検査院では突ぎとめる方法がない、こういうふうな印象を受けるのですが、書類上そういうふうに整つておれば、これはやむを得ぬ、こういうことなんですか。つまり会計検査院検査能力というものを、一ぺんわれわれは検査してみたいのであります。
  13. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 お答えいたしますが、職責の問題といたしましては、どうもあと個人関係に入つて参りますことでございますし、検査院検査をいたします対象としては、限定されておりますので、職責上そこまでは検査はできませんが、ただ、今おつしやいますように、明らかに談合ではないかというふうなことが、いろいろな資料からつかめられれば、私の方としても、国の利益を確保する上において、そういうことはない方が望ましいということで、いろいろな意味においての懇談とか、あるいは協議とか、そういう方向に押して行かなければならぬかと思つておりますが、職権上の調査の権能という点は、とうていむずかしいものだと思いますし、またその疑念があつた場合に、それを突きとめるというところまで、検査の時間的な余裕というものが、少しこまかく入りますので、しきれぬ部分がございます。但し、おつしやいますように、そういう点についての関心は相当持つておりまして、入札価格が、たとえば相当大きなもので、千円違いでずらつと並んでおるというような場合には、これは談合ではないだろうかといつたようなことや、いかにもはげしい競争があるときには、どうだろうかという懸念をし、当事者との懇談はいたしますが、これをとやかくの批難にまで持つて行きかねております実情でございまして、正式なそういうことはございませんが、当事者の経理を担当しておられます方々に、こういう点についての私の方の懸念というものは、十分いろいろな機会に申し上げている状況でございます。
  14. 奧村又十郎

    奧村委員 今の問題は、特にスクラツプとして公入札している。スクラツプである以上は、これはもう鉄なり銅なり素材としての価値の見積りでありますから、そうすれば大体スクラツプとして鉄が何貫目出る、銅が何貫目出る、これは素材として時価目方の何ぼというのだから、これは入札によつて三十数万円入れる人と、それから六万円しか入れぬ人と、あるいは一万六千円しか入れぬ入とある。こういう場合に、明らかにわれわれはもう談合しておると見るのは常識である。ところがこれを会計検査院としては、いかにも判断する能力がないと言われるような御答弁なら、会計検査院能力というものは、大体私の頭に入つたので、あらためてその点はお聞きしたいが、この問題については、これ以上ついても検査院の御答弁はなかろうと思いますからやめます。
  15. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 検査院としての能力というようなことになりますと、私もはなはだ困るのでありますが、検査に当る係官が、そういう疑いを持ち、そういう事項の回避すべき事態であることは、いろいろな機会において懇談いたしますが、これを職責をもつてとやかくというところまで、公の意思表示は、検査院職責上限界があるのじやないかということで、差控えなければならぬことだと思つておるのでありまして、職員の検査の際の所見ないし検査の場合の善後措置についての、相手方との是正方等懇談なり、そういう熱意は一応御了承願いたいと思います。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 簡単にちよつと伺つておきますが、これはただ国有鉄道のこの批難事項だけを申し上げるのではなく、私たち過去ずつとこの委員会委員としてやつておるのですが、この六五三も同種のものでありますし、それから特別会計逓信関係で、よくこういうのがあるのであります。現業庁でもつて大体問題になるのは、こういう種のものであります。それでそういうものを総括的に伺いたいのでありますが、これはそこにおいでになる三木さんではなく、資材部長おいでになれば一番いいのであつて資材部長に、こういう事件契機にして注意を喚起したいのです。実際こういうのはやはりおかしいのです。この前にもこういう問題があつたのですが、実際掘り下げて見なくても、こういうもの自体が非常におかしい。こういうことだけは、もうだれもが認めるわけであります。ただ会計検査院は、非合法性を指摘するだけであますから、こういう問題に対して突き詰めては研究されておらないようでありますが、当委員会としては、国費の予算執行に対して適正を期したい、こういう意味からいうと、やはり一つ、二つは掘り下げて考えなければいかぬ、こういうことを考えるわけであります。その意味で、むし返しになるかもわかりませんが、二、三の点を質問します。  まず第一番目に、コード受信器というものは、現在国鉄では全然お使いになつておらぬかどうか。もう一つは、コード受信器が現在国鉄以外のところ、すなわちこれを製作し、納入をした等の商店においては、商品価値として無価値のものであるかどうか、こういう問題をお聞きしたいと思います。
  17. 三木正

    三木説明員 これは制式としまして使用している部分国有鉄道にもございませんし、よそにもございません。ただその一部のコード部分であるとか、あるいはその他の部品が、そのまま全然つぶさなければならぬかどうかは、そうでない部分もあるだろう、かように思います。
  18. 田中角榮

    田中(角)委員 そうしますと、このコード受信器というものは、日本は、この種のものとしては全然経験のないものであり、新しいものでありますか。
  19. 三木正

    三木説明員 初めて設計し、それを使おうとしたものでございます。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 そうしますと、全然現在も将来も使いものにならない、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  21. 三木正

    三木説明員 その通りであります。
  22. 田中角榮

    田中(角)委員 そう言われると、これは現物を見ておりませんし、私専門家でもありませんので、わがらないのでありますが、そういうふうな状態でもつて予定価格を立てられる、こういうことになれば、もちろんその三十数万円というのが妥当であるかもわかりませんが、私たちもその事情はよくわかりませんので、ただこの批難書に掲記せられた数字で見ますと、一年半前に六百数十万円で購入したものが、一年半後に——当時の状況からいうと、普通物価は上昇しておつた当時でありますが、これを全然スクラツプでやる場合にはもちろん二十分の一にもなるのでありますが、その間の事情が不明でありますので、二十分の一の予定価格を立てなければならなかつたというような事情と、予定価格を非常に低い価格で立てた論拠を一つ説明願います。
  23. 三木正

    三木説明員 事案でも大体御了察願えると思いますが、これは戦争末期に非常に列車密度が高くなり、しかも運転従事員熟練程度相当下つて参りましたときに、従来の信号保安の設備をもつてしては十分でないので、列車の追突、衝突を避けるために信号機の現示を機関車に持つて参りまして、そして最初にアラ—ムを鳴らし、そしてそれによつて乗務員が適切な処置をいたしますれば、つまりブレーキをかけますれば、そのアラームは消えるけれども、もしそれを怠つた場合には、自動的にブレーキを操作させる、こういう作用を持たせるためにつくりましたものでございまして、そのために特殊の設計もし、研究もいたし、試験もいたしてつくりましたもので、そういう方式を使用いたしません限りには、他には使用の道がないものでございます。そしてこういう非常にたくさんのリレーを使つた精巧なものでありますので、製作には非常な経費を伴うのでありますが、一旦材料としてスクラツプ代金を見るときには、そう材料の多くない品物でございます。他に使用の道がありません。また一部分コードだとか電線であるとか、やはり転用できる部門もないではありませんけれども商品としては、それに使う以外には全然価値がないものでありますために、スクラツプとして予定価格を出したのでありますが、また京三製作所は、自分のところでつくつたものでもあり、あるいは一部分は転用がきくという見込みのもとに落札したのだろうと思います。
  24. 田中角榮

    田中(角)委員 そうすると、端的に申しますと、日本国有鉄道資材局でやつたものではなく、占領軍がまつた研究的につくらせ、一方的にこれを使用せしめなかつた、こういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  25. 三木正

    三木説明員 研究し、使用したいと思いましたのは国有鉄道側でございます。それで研究製作をさせたのでございますが、それではまだ不十分である。だからこういう制式を採用すべきでないと言われたのが、占領軍側意見であつたわけであります。もしそういうものを採用する場合には、もつと完全なと申しますか、程度の進んだものを——これでは危険である、日本設計はよろしくないから使つちやいかぬ、こういうことで使わせなかつたのであります。
  26. 田中角榮

    田中(角)委員 そうするといよいよ問題が本質的になつて来たわけでありますが、これが許可にならない、しかも許可にならないというものよりも、現在まで使用しておるものよりも、少くとも高度な目的が達せられるという観点で、国有鉄道研究をし、設計をし、試作をし、そうして発注したわけであります。これが国有鉄道のいわゆる赤字を少くし、独立採算制を確立して行く、こういうような状態でありながら、こういうものをつくり、しかも拒否させ、結果的には国有鉄道にマイナスをかけた技術関係方々に対しては、どういう処分をなされたか。そうでないと、こういうことをしよつちゆうやられるということになると、また研究をやられるということもあり得るのでありますが……。
  27. 三木正

    三木説明員 処分はいたしておりません。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 これは占領軍が中に入つておるのでありますし、こういうことは、占領六箇年の間にはいろいろありましたから、私たちもその点をつくわけではありませんが、これだけのものをつくつて、それで全然廃棄処分をしなければならないと言われた責任は、当然追究せらるべきだと思う。私たちは、ただ会計検査院違法性を指摘するというだけのものをわれわれの目の前に提示せられて、国会がこれを一応審議するというだけであつたならば、本委員会使命というものは、何ら達成せられないのでありまして、旧憲法下違つて、新憲法下は、御承知の通り議決議会でありますので、われわれが議決をした予算がいかに適正に執行せられておるか。しかも批難せられたものを根拠にして以後の予算執行に対して遺憾なからしめたいということで、本委員会はやつておるのでありましていわゆる会計検査院が指摘をせられたものを反芻することを目的としてはおりません。だから、われわれはただこういう字句の外に隠されたもの、そうしてこれから本質的に直して行かなければならぬものというものに対して、はつきりとした処分を求め、また御意見も聞きたい、こう考えておるのですが、ただいまの局長お話では全然処分されておらない、こういうふうなお話でありますので、これはまた別の機会国有鉄道総裁に本委員会に御出席願つて意見を聞くことにいたしたい、こう考えております。こういう問題は非常に大きな問題であつて特別会計に一貫してこういう事件があります。こういう問題を解決しない以上は、独立採算制りつぱに実をあげることはできないと私は考えております。それはなぜかというと、一方的には国鉄から払い下げられるもの、俗に公入札をやつておられるものの中で、一般価格よりも高いものがあります。国有鉄道一般会計から繰入れをやつてもらう、こういう状況にありながら、国有鉄道はある一部においては非常に高いもの、すなわちレールなどは、まつたく一体であるところの私鉄に対しても——国鉄は非常に交通機関が重要であるというので、赤字が出れば一般会計から入れてもらえる。そうしてなお一方においては完全な独立採算制を目標とはしながら、これが黒字になるまでは、現在のところでは地方税も全然免除されておる、こういう状況にあるときに、これが同じ関係にあるところの私鉄に対する払下げのものなどは、非常に高いものがあります。レールなどは、去年あたりスクラツプ値段でもつて二万円ないし二万二、三千円というのに、国鉄では三万三千円というふうな値段を提示されたようであります。その反面、資材局においては、一部安いもの、いわゆるこの種の払下げ方法がとられておる。私は当委員会で、あえてこれを掘り下げようとは思わないのであります。事件になつた国鉄資材局の問題、これを当委員会でも取上げるような話もあつたのでありますが、私どもは当然批難事項が出て参りますので、その時期にこれを掘り下げて検討すればいいじやないか、私は、あの種の問題が、会計検査院がお知りにならない部面にも相当ある。例を申し上げろといえば、申し上げてもけつこうであります。そういうことを考えた場合、こういう問題を取上げてだけ言うのではございませんが、やはりその責任所在は明確にして、こういう批難を再び繰返さないようにしていただきたいと私は心から思うわけであります。この六五三という前に六五二というのがありますが、これは同じものがあるのです。郵政関係にも、それから電通関係にも、国鉄関係にも、こういう同じものが何回となく出て来るのです。だから、批難をせられたというだけでもつてこの問題を解決するのではなく、こういう問題が起きたら、こういう責任者は徹底的に糾明せられなければ、本来の使命は達成せしめられない、こういうところに私らの観点があるのであります。まだ次の問題もありますので、私はこれでやめますが、同じ製作所から納入し、しかも同じ製作所に落札している、いわゆる公入札の定義、この関係が徹底しないのではないか。もう少し別に、少しでも高く公売せしめる手段があつたのではないかというようなことをいろいろお聞きすれば、限りがないのでありますが、あえて私はそこまで申し上げようとは思つておりません。しかし、こういう問題を契機として責任所在を明らかにする。しかも、ある意味において同じ環境にある交通機関が、国鉄と比べれば非常に今無理な経営を要求せられておる。同じように廃車はせしめない、安全運転は要求する。こういう非常に強い制約を受けておる機関と比べて、国鉄は優位な状況にあるのでありますから、私はそう心う意味では、ひとつこういう問題はうんと掘り下げていただいて、コーポレーシヨンになつただけに、はつきりした責任の線を出していただきたいということを希望しておきます。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 六五三項を見ますると、ちよつと解し得ないところがありますから質問いたしますが、六百二十四万円で買つておいて、そうしてこれを十七万円でたたき売つたという事件であります。しかるにこれはすでに使用停止のことに決定されていたものを購入したという注意書が、会計検査院によつて与えられております。一体これは研究として製作されたものであるのか。先ほどのお話によりますれば、このコード受信器外一点は、初めてつくつたものだというふうなことを言つておられましたが、こういうものは世界で初めてつくつたものであるのか。しかもこつちのあとの方を見れば、使用停止のことにもうすでに決定されていたのだ。使用停止に決定されていたものを、あらためて注文している。これは実に不可解な点であります。これとよく似た事件は、例の今参議院において問題になつております大橋国務大臣関係されておるところの二重煙突事件、この点もひとつお聞きしておきたいと思うのでありますが、あれもやはりすでに不必要だという通達を占領軍から受けていながら、なおこれを注文している。これもすでに使用停止のとことに決定しておつたの購入しているのでありますが、こういうふうな点、これはどういうわけで、そうした使用停止になつているものを買わなければならなかつたのか。これは、もし研究のためにやつた…とすれば、それはもう一千万円かかろうと、いたし方ありませんが、すでに使う必要がないと言われているものを購入して、これだけの金を支出したということになると、これはそこに何らかの作為上の点がなければならなかつたと判断するのでありますが、この京三製作所国鉄との間に、何か深い関係があるのか。また会計検査院が指摘した後にこれを売り払つたものなのか、その辺の事情ちよつと聞かせていただきとうございます。
  30. 三木正

    三木説明員 繰返して申し上げますけれども、これは終戦末期に、海運の陸運転移と申しますか、海送をしておりました貨物を鉄道で送るために、鉄道輸送量が非常にふえて参つたのであります。そうして線路容量といいますか、同一線路の上を通過する列車の回数が一つにはふえました。もう一つには、従事員が、せつかく養成しても、どんどん兵隊にとられて行く。戦前においては、機関士は、どんな優秀な者であつても、鉄道に入りまして四年八箇月かからなければ機関士になれなかつたのでありますが、当時においては、機関士に養成すると、だんだん兵隊にとられまして、遂に一年数箇月というような者まで機関士になつて、非常に訓練なり熟練の程度が落ちて参つたような情勢でございました。そうしてそれまでは、御承知の通り信号機による保安制度をとりまして、それで列車の運行をいたしておつたのでありますが、そういう情勢でありますので、それでは不確実で、現実にいろいろ列車事故も起るということで、電気的に信号機が直接機関車ブレーキに操作するようなものを設備しなければならないということで研究し、完全とは行かないかもしれませんが、それで所期の目的を達する確信ができましたので、これを注文したのであります。ところが、そのとりつけ工事にかかろうといたしました際に、それはよろしくない、そういうものをとりつけるのは、十分な安全を期する道ではない。もしそういう機械を使うならば、もつと精巧な外国製品——日本の製品では不十分であるから、外国製品を買つてつけるならばとにかく、この製品ではいけないからという注意を受けたわけであります。しかしそういう事例は、単にこの問題にとどまらず、いろいろの場合において、そういう占領軍の方からのサゼスチョンはありました。そういう場合にも、いけないということにつきましても、国内の事情説明し、アメリカと日本との国情の相違を説明することによつて了解を得られて、工事を遂行した例は、非常にたくさんあるのでございます。そういう事情にございましたので、せつかくここまでつくつたものだから、ぜひこれを実施したいというので、当然そのとき中止命令があれば、そのままやめるべきであつた。結果的には当然そのときにやめておれば、こういう損害を出すことなくして済んだのでございますけれども、いろいろな事例におきまして、すべての工事は五万円以上ですか、これは全部設計書を添えて向うの監査を受けるような方法をとつておりましたので、ひつかかるものもずいぶんございましたが、これはお話すればできるんじやないかというような考えを持つてつたために、そういう指令があつた後に注文したために、こういう不始末をしでかしたわけでございます。  それから京三製作所国有鉄道との関係は、たいへん古いのでございまして、御承知の通り、電気信号機につきまして、たくさんのパテントをアメリカの会社が持つておりますが、そういうものを戦前からそういう会社で出資なり、あるいはパテント使用権を得る契約をいたしておりますのは、日本信号と京三製作所の二社でございます。電気信号関係につきましては、この二社がアメリカのパテントの行使権を持つておりますし、技術的にも進んでおりますので、全然輸入のできなかつた戦争中等におきましてはもちろん、信号関係、さらにこういう新しい機械の設計研究というようなものは、その業者によるほかはなかつたので、これに命じてやらせておつた、こういうような関係でございます。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、この設計者は、これが必ず実用に立つという確信を当時持つていたということになるのですか。今でもこの製作された機械は実用に役立つものだという確信は当局においてあられるのですか。それを無理にこれの使用を停止されたというふうに理解していいですか。それとも、日本技術がそれほど低度のものであつて、どうしても実用に適しないので、こうした設備をすれば汽車の運行に危険を及ぼすようなおそれがあるのですか、どうですか。
  32. 三木正

    三木説明員 先ほど申しました通り国有鉄道におきましては、こういう設備をずつと使わないで、信号機だけで、乗務員の信号の注意義務というもので運営を続けて来ておつたわけであります。ただこういうものを考え出したというのは、今申し上げました通り、従事員の素質が非常に低下したということと、もう一つは異常な輸送をやつたということが、こういうものを採用しなければならなくなつた大きな原因でございますから、現在においてさらにそれを設備してやらねばならぬかどうかということは、当時とは非常に違つた事情にある、こういうふうに申し上げたいと思います。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 非常に理解しにくいのですが、鉄道輸送は滞貨が山積し、アメリカ軍の軍需品の輸送のために非常に大きな労力を払つている、今こそむしろ困難性が増しているようにも思う。こうした信号機なんかもより以上に必要であるように思うのですが、これが役に立つ自信が今でもあるか。この点については、先ほどからまだ返事を聞いていない。
  34. 三木正

    三木説明員 現在においても、もちろん相当輸送量はございますけれども昭和十八年当時の輸送量とは開きがございます。さらにまた従事員の訓練の程度、熟練の程度というものは、非常な差でございまして、現在におきましては、相当熟練をし、しかも勤労意欲に燃えた従事員が相当ございますので、ただちにこういうものを採用しなければ輸送の安全が確保できないかということと、当時の事情とは非常に違うと思います。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 これはどうもおかしい。機械というものは、また新しい機械を採用すれば、それを操作するために非常な熟練を必要とするということになる。新しい機械を発明したために、むしろ熟練度が要求せられるのであつて、また他面からいえば、なるほど新しい機械によつて多くの労力を節約して、これを合理化するということもあるのでありますが、もしあなたの言う結論を持つて来ると、かくも不当なるところの現象を生ぜしめたのは、当時の従業員の質が悪かつたからこんなことになつたと、まるでそこに罪を転嫁されておるように聞えるのである。これは明らかに不当なる結論ではなかろうかと思う。いかなる場合も、国鉄技術の練磨、あるいはその機械の操作ということに対しては、熱練をして行くべきものであるし、またむしろ熟練が不十分であるから、こういうものの発明が行われるのであつて、そこに罪を着せることはできないと思う。ただこの発明した製作品が、国鉄において責任を負うことのできないような劣等なものを発明されたとすれば、国鉄としては注文すべきでない、購入すべきでない。しかしそれが緊急であるならばしかたがない。だから、その点この機械に対して自信があつたにかかわらず、占領軍が干渉してこれの使用を禁止したのであるかどうか、ここが非常な重点になると思うのです。もし必要なものであるならば、いずれ占領は解除せられるものでありますし、またこれを他の方へまわすというふうなことも可能になるだろうと思うのですが、この機械はまつたく実際に役に立たないものなのかどうか、どう判断されますか。かつ、この注文された人々は相当の処罰を受けたのですか。
  36. 三木正

    三木説明員 保安の度は、高いに越したことはないのでございますけれども、乗務員の注意力による保安度というものも、わが国では相当長い間実力があつたわけであります。この機械自体が、相当の保安度を持つておるということは、事実でありますからこそ、注文し、これをつくろうとしたのでありますけれども、しかし、それが完全で、それさえあれば乗務員の注意義務がなくてもいいのかといえば、それほど完全なものでは決してございません。これはやはり徐行する場合もございましようし、信号機に直結しておつて、赤があつたらば制動がかかる、注意であれば半制動がかかるというような形で、運転の保安が確保されるものでは決してないのであります。でありますから、こういう大事な仕事をいたします以上、当然十分の熟練をしたりつぱな人を乗務させて、信号機の精度を完全にする。これは信号機と運動しているわけでありますから、もし信号機がまずければ、何にもならないのであります。そこで信号機の精度を高くし、乗務員の注意力と熟練の度を高くする。それで十分やつて来たのでありますから、それでやるべきだと思うのでありますけれども、戦争中、ことに末期におきましては、先ほど申しました通り、当然十分な熟練した従事員を使うべきではありますけれども、現実においては兵隊に参りますためにそれが得られなかつたのであります。四年八箇月——中学を出まして鉄道へ入りまして、それから相当の経験を経てから教習所に入り、そうして見習を済ませて機関助手になり、さらに相当の年月機関助手を勤めてから、試験の上教習所に入つて機関士の課程を終了して、それからまた一定の見習期間を置いて乗務員になる。しかも乗務員になつても、本線の優秀列車を運転するようなものは、相当古参な者でなければならぬので、最初の者は入れかえであるとか、比較的危険の度の少い作業に従事させるというふうにやつて来たのであります。ところがそれができなくなつて、最初は一年八箇月で機関士にしなければならぬ。それでなければ機関士が足りない。熟練の機関士がないからといつて、ほつておくというわけには参りません。決して従事員の罪というというわけではありませんけれども、現実において、当時の従事員というものは、そういうふうに非常に低下した技倆を持つてつたわけであります。その後終戦になりまして、たくさん帰つて参りましたけれども、そういう者にいたしましても、戦地にあつて業務を離れておつた者もありますし、それからいろいろな社会的な混乱、食糧事情その他によりまして、ほんとうに信頼し得る状態になかつたことは事実でございます。そういうときにおきましては、これさえあれば、あとは全然人がおらぬでも安全に走るのだという精度のある機械ではございませんけれども、当時そういう社会の事情によつて、衝突、追突事故が相当ある場合には、これも何かの足しになる、一つでも二つでも、列車の衝突、追突を防げるという場合には、当然設置すべきである、せつかくここまで来たのだし、というので、やろうとしたのでありますが、今申し上げたような事情でできなかつた。その中止があつたときに、さつとやめておれば、その後の契約なんかはせずに済んだのでありますが、これはまつたく間違いでございます。申訳ありません。ただほかの工事におきましても、最初はいけないと言われたものでも、できたものがたくさんあります。それは向うの実情とこちらの実情とが違いますので、その説明に時間を要して、長く説明することによつて向うの了解を得られた場合も、非常にたくさんの例がありますので、ついこういうことになつた次第でございます。
  37. 中垣國男

    中垣委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  38. 中垣國男

    中垣委員長 速記を始めて。
  39. 井之口政雄

    井之口委員 非常に類似した質問が前にあつたそうでありますが、相違する結論を得たいと私は思つておる次第でございます。実は今のお話を聞きますると、国鉄においては、相当この機械に自信があつた、こう理解されます。なるほど、完全なものではなかつたけれども、この機械に対して自信があつた。それで何とか交渉すればできるものと思つてつた。しかしその時分これが当然起つて来る。発明される動機というものは、国鉄の従業員の操作能力が非常に低下しておつたために、やむなくこういう機械も採用しなければならなかつたというふうに言つておられますが、しからばこれで停止になつて停止になつたからとて、国鉄従業員の熟練度が高まつたわけではない。これはそういうある程度の自信を持つた機械が、アメリカ軍から不合理に停止されて、そうしてこれを使わない。しかもその熟練度は不熟練のままで非常に危険まで冒す、いろいろな、機関夫でも何でも、十分な修業を積んでいないというふうな状態が、そのまま続いたかもしれない。それでそれよりはむしろある程度この機械を使えばよくなるのであるが、そういうふうな悪い状態で続けられたわけでありますかどうですか。あるいはまたアメリカからいよいよその機械を買つて来て——高い物だけれども、しかたがない。先ほどのお話によりますと、占領軍はアメリカのいい機械を買つて来いというようなことを言われたというんですが、そういうものを買つて来て、せつかく日本でできる、相当信頼の置けるような機械を使うことができなくなつたというふうな意味でありますか。その熟練の悪い従業員の状態を、どういうようにやつて克服されて行つたのでありますか。
  40. 三木正

    三木説明員 アメリカから機械は買つておりません。ただ従事員は、終戦後多数軍隊あるいは外地から帰つて参りまして、非常に熟練した多数の従事員を抱擁しまして、そうしてこれまで三級機関士であつた者は一級下つて機関助手、機関助手であつた者は庫内手になるというようなことで、熟練した者、長年経験を持つておる人を使い得るような状態になつたわけであります。
  41. 大上司

    ○大上委員 議事進行とともに、委員長に二、三お尋ねしたいと思います。六四八号の批難事項に対して、特に国鉄工事の請負等に対して資料をちようだいしたのです。私よく言うのですけれども国鉄にはあらゆる支所もあれば職員もおる。われわれ国会議員は、資料をちようだいしても、わずか一人や二人の祕書を使つて調査をし、これが裏づけには相当日数を要する。そこでこの部分については国鉄全体の結論がまだ出ておりませんので留保をしてもらいたい。この項については質問を続行したい。その次に、さいぜん申し述べました六五三号の件についても延ばしてもらいたい。  そこで次に入つて行くんですが、一言だけ天坊副総裁がお見えになつているからお聞きしたいと思うのであります。私、議席を持つて足かけ六年間決算委員会におるのですが、他の各省と比較して、これだけ審議を慎重にし、これだけ質問があり、これだけ日数と発言者の多かつたのは、今度が初めてです。そこでわれわれが、国会議員に託された権限によつて、本案件を承認せないとした場合に、どういう態度をおとりなさるのか。特にいろいろ言われております。田中委員からお話もあり、先般国鉄の長崎総裁もお見えになつたのですが、いずれ田中委員の発言通り、さらに来てもらうつもりでおりますが、この請負工事契約あるいは入札、あるいはこの制度がかわつた等においても、いろいろトラブルがあり、現在も起りつつあるようにわれわれは考える。そういうような問題もからみ合せてみて、いやしくも特別会計をしいて、独立採算制は認めてはおるけれども、もしも当委員会において、この二、三号においてこれを承認せないというような動議、あるいはこれが議決せられた場合、総裁あるいは副総裁の資格でもけつこうでありますが、どのような処置をおとりになるか、あらかじめ当委員会においてお聞きしておきたいと思います。
  42. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 いろいろと、鉄道の仕事のやり方に対しまして、不行届きの点がたくさんございまして、それぞれおしかりを受けまして、まことに申訳ないと思います。ただ国有鉄道が、御承知の公共企業体になりましてから、年数もまだそう長くもなつておりません。しかもこの問題になります終戦前後からずつと、先ほどもお話がありましたように、いろいろな点で能率が上らぬ、あるいは人心のすさみから能率の上る問題も、答えとしては思わしくないというような姿で、ずつと参つたわけでありますが、昨今の状態は、必ずしもその当時のことだけで御判断願うというよりも、私どもとしては、従事員全体の気持がよほどよくなつてつたというふうに存じておるのであります。公共企業体になりまして、予算の問題とは違いまして、特に私ども仕事の決算面について、いろいろと御審議を願うということは、私は当然だと思うのでありまして、私どもとしては、むしろ決算——ども仕事のやり方について、それぞれはつきりおしかりを受けることは、私ども当然のことと思うのであります。この点で責任を感ずるわけでありますが、ただ事例の一、二の問題につきまして、今お話がございましたように、どうしても承認がならぬというようなことになりますと——当時にさかのぼつていろいろな問題があると思うのでありますが、当時の状況を御了察いただきまして、できるだけ当時の実情をお察し願いたい。御説明は十分申し上げるつもりであります。なお総裁としては、また別にいろいろ申し上げる機会もあると思いますが、ちよつと一言申し上げておきます。
  43. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はあとで下岡さんに詳しく申し上げたいと思いますけれども、原則として、委員長にも申し上げ、全委員の方にも申し上げたいと思うのであります。決算委員会は国の最後の締りをつける委員会でありまして、予算の方は来年度のもくろみであり、決算は結末をつけるところでありまして、そこにはいやしくも作為あるいは誤りがあつてはならぬと考えるのであります。つきましては、幸い本日は下岡検査官もおいでになつておりますが、往々にいたしまして検査官がおいでにならぬときがありますので、これは私は委員長に申し上げておきますが、検査官のおいでにならぬときには——三人ありますから、院長か、他の検査官か、いずれか一人でも出席しないときには、本委員会を開会しないという原則を堅持されたい。それでなければどこまでも会計検査院の本旨が貫かない、かように私は考えます。この事柄は委員長にも申し上げておきます。会計検査院検査官の出席しない委員会には私は断然出席しない、こういう原則を私は貫きます。  次に、関連いたしまして——予算の方でありますと、修正意見もあるわけでありますが、決算の方には、修正ということはあり得ない。私どもは断然イエス、ノーをきめなければならぬということでありますから、不承認ということが起るのは、あるいは当然かと思うのであります。こういうものにつきましては、憲法問題もあることでありますから、一朝一夕に解決は困難と思います。政府並びに係官等も、十分腹をきめ直して、真に予算と決算と並び称せられる段階において、国家といたしましても重要な案件であるということをよく認識をして、しかる後にこの決算委員会に臨まれたい。この事柄を委員長並びに全員に申し上げておきます。
  44. 中垣國男

    中垣委員長 ちよつとお答えいたします。前回の委員会に、会計検査院長の御出席を三宅委員から求められておつたのでありますが、今日は司令部の方に特別の用があつて出席ができないという御返事がありました。それから今後の委員会の運営につきまして、検査官並びに院長に出席をしてもらいたいということは、ごもつともであります。このことは前回の委員会でも、たいへん問題になつたようでありますが、三宅委員の御希望に沿いますよう、努力したいと思います。     —————————————
  45. 中垣國男

    中垣委員長 それでは引続き決算報告書百九十八ページ、不正行為、報告番号六六五、職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの、及びその他の事項報告番号六六六ないし六七〇、車両局工場の経理当を得ないもの等、以上五件を便宜上一括して説明を願います。三木説明員
  46. 三木正

    三木説明員 六六五号は、北海道におきまして職員が証拠書類を不正につくりまして、公金を騙取した事件であります。そのうち十一万二千円は補填されましたが、残りの十九万四千円は、分割して納付させるようにいたしております。これは退職資金の例でございますが、その直接の例ではございませんけれども、給料につきましても、戦後非常に毎たび給与改正がございまして、ベース・アップであるとか、あるいは勤務地手当の改変であるとか、いろいろなものがございまして、もしそういう扱い者の粗漏のために、騙取をされるような事例が起きましては、本人に対しても非常に気の毒であるし、もちろん国有鉄道として、そういう不当な金を騙取されることがあつてはならぬことでございますので、昨年から各人別の給与額を台帳につくりまして——、戦前はそれをいたしておつたのでありますが、戦後給与改正がたびたびあるのと、従事員が非常にふえたというような関係で、やつておりませんでしたものを、整然と整備いたしまして、こういう事件が起きないようにと考えて、そういうふうにいたしました。  六六六号は、車両局工場の経理が当を得ないというおしかりでございます。その一は、まつたく正当な経理でないのでございまして、なぜこういうことをいたしたかと申しますと、予算偏重と申しますか、工事に対して予算が出してあります。それに対して、もしそれ以上いつたならば、当然決算はその予算の改定を求めて、成規に決算すべきであるにもかかわらず、その成規の手続をしないで、予算額にその工事を合せるために——車両工場は車両の修繕、改造等をやつておるわけでありますから、そういうふうにやつたのでございます。こういう予算にとらわれた決算の仕方ということは、どうしても古い官庁会計と申しますか、そういう点の残澤がありまして、非常によくないことでありますが、いまだにそういうものが残つておる証拠でございますが、こういうものをなくさなければならぬと思つております。予算が足りなければ、成規に予算増配の手続をとつてやるべきであつて予算内でやるということでは、形だけやつておるので、なつていないと思います。  その二つの成規の取扱いによらないで、所要物品と余つた物品との交換をいたしましたことは、これも非常に間違つたことでございますが、当時におきましては、非常に物品の入手が、戦後のことで順調に参りません、配給の機構も十分に動かないために、仕事がかわいいからというので、不要な物品と交換に所要の物品を取入れた、そのこと自体が悪いばかりでなく、物品の準備なり配給なり、そういう事務が円滑に行つていないということを証明することでありまして、こういう点については、一層研究とくふうを重ねまして、最小の貯蔵品で、そして適時に適当な品物が適当な数量入るというふうにやらなければいけないと思います。今年度の試みとしましては、第二貯蔵品というものをつくりまして、ウォーキング・ストックと申しますか、常に所要な品物をその工事をする場所に貯蔵させまして、それがある部数不足して来たら、第一貯蔵品から補填を受ける、こういうふうにしたらば、もう少しうまく品物がまわらないか、こういうような考えで、第二貯蔵品という制度をつくつたのも、そういう考えから出発いたしておるのでございますが、いまだに十分に適時に適品が適当する数配給されるというところまで参つておりません。特にオープン・ビッドを採用いたしましてから、報告の時間なり、あるいはビッド後のネゴシエーシヨン、そういうようなものに相当の日数がかかりますのと、もう一つは中央調達をいたしまして、納入箇所が非常にたくさんわかれるというような関係も、相当考慮しなければならぬのじやないかというふうに考えております。現在におきましても、うまく行けるというような実情でありますが、さらにくふうを重ねて、——もちろん形式的に物品をほしいままに交換するというようなことは、やつてはならないことでありますが、さらにその物品の配給ということについて、十分研究しなければならぬと思つております。  六六七号は、まつたくこれも非常に粗漏なことでありまして、価格が改訂になつておるのを、旧価格のままでやつてつたということでありまして関係者に対しては厳重に注意を喚起いたしました。  六六八号、これは御承知の通り、山田線が台風によつてこわれてしまいまして、そして不通になつたのでございますが、あそこには御承知の通り製鉄に非常に大事な鉱石が出るのでございまして、せめてそれだけでも出して、塩釜の港から船積みしてやらなければ、製鉄に非常に大きな支障を来すというので、急いでその復旧をやつたのであります。その急いでやつた際のはしけだの、輸送方法についてのおしかりでございます。当時はあそこに貨物定期船がございませんで、機帆船だけであつたわけであります。それで機帆船の単価で契約を結びましたが、高い単価であつたものでありますから、鋼船を船会社の方でまわして、そして積んで行つたのでございます。会計検査院で言われるように、もつと鋼船について、定期航路はありませんけれども、何かこういう途中で便宜寄港することができるかできないか、研究を怠つたことは、非常に申訳ないのでございますが、非常に急を要したのと、定期船がないので、なかなか鋼船を探すということもむずかしいというので、機帆船の単価で運賃を出しました。ところが現実には船会社の方へ鋼船で一時納めてやつたということでございます。こういう予定価格をつくる場合には、そういう点も注意しなければならぬと思います。  それから六六九号は、ドラムカンの借入料についてでありますが、報告書にも書きました通り、借料について公定価格がございませんので、昭和二十三年九月十四日の物価庁の告示によりまして、そういうものを参考といたしまして、一箇月の借料の基本を二百円としたのでございます。しかしそれには掃除代、修理代というようなものを引くべきであるというので、年間三百円、一箇月二十五円というのをそれに当るものと考え、それだけ差引いた百七十五円というので、契約いたした次第でございます。  六七〇号の海底ケーブルの引揚げ契約及び監督当を得ないもの——契約自体も、会計検査院では、海軍のものと電通省のものと、もつと契約内容をはつきりしておけばいいのに、非常に漠然たる、どちらも入るような契約のやり方で、契約の内容がよくないという御意見でございます。しかし、実際は海軍のものも電通省のものもあつたそうでございますが、ともかくも、それよりもむしろ引揚げ請負業者が引揚げたものの検収をするのに、検収が非常に——電通省のものと海軍のものでは、違うわけでありますから、当然そこには特段の検査技術者を配置して検査すべきにもかかわらず、そういう措置を講じないで、ただ気をつけろというくらいで十分な技術的の判断ができる人を特に配置するとか、そういうものに検収させるというような手段が講じてないのであります。しろうとにはなかなかこれは鑑別がむずかしいのでございますし、特に検収係というようなものの定員も非常に少いので、特にこの注意を喚起しない場合には、員数の検収ぐらいしかできないのであります。その性質なり性能なりの検収というものは、相当特に注意をいたさないと、粗漏になりがちなのでありますが、当時におきましては、特にそういう欠員も、そう熟練者もありませんでしたし、そういう事情で間違つて引揚げたものをそのまま納めさせて、あとで電気通信省から抗議を受けて気がついた、こういうはなはだ申訳ない実情でございます。
  47. 中垣國男

    中垣委員長 会計検査院側に、格別に意見がありますか。
  48. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 特に補足して御説明申し上げますが、六六九号の使用料の勘定の仕方であります。今国鉄でおつしやいましたように、マル公のドラムカンの使用料二百円等を基本にそれから修繕料、掃除料を差引いて出されたというお話でございまして、私の方は、御採用になりました使用料は、大体告示の趣旨がドラムカンのいわば回転をすみやかにするためで、一定期間以上使つている場合には少し高くなるから、早く回転させようという意欲を起させるように、少し高い使用料の勘定になつておる。その高い使用料のいわば延滞料でございますが、延滞料のような性質を持つておるものを基本でお出しになつた点に、難があるということで、六六九号は出しておる問題であります。金の額は、百十二円から二百二十五円までになつております。大体私の方では百円見当で使えるのではないだろうかという案でございまして、ただこれも相手方のあることでございますので、相手方がいやだと言えば——ドラムカンを持つておる者は、相当限定されておりますので、ここでいきなりの批難ということは、やはり困難でありますから、そこに相当まだ強気で折衝する余地がありはしないかという観点において、引下げる折衝の努力をさらに重ねてもらいたいという意味合いを持つておるものであります。
  49. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は下岡検査官がおいでになりましたから、検査官にまず第一に質問いたします。下岡検査官は、かつて日本銀行におられました明敏なる人格者といたしまして、われわれも信頼の度を高めておるわけでありまする会計検査院に入られまして、検査官として全国の各官庁の会計検査を担当せられる最高責任の地位にある人であると考えます。でありまするから、私は最高責任の地位にあります下岡検査官に申し上げるのであります。私の見解と検査官の御見解とは、相違があるかもしれませんが、ひとつよく御研究つて答弁願いたいと思うのでございます。と申しますのは、われわれは、ただいまお話になりました六六五のごとき、職員の不正行為によりまして、国に損害を与えたもの、これをただ懲戒免職、あるいは戒告ぐらいで片づけてしまつて、三十何万というものに対しまして、これをそのままにするという事柄は、あまりおもしろくないと思うのであります。こういうような事柄については、当然責任を追究いたしまして、損害賠償するという制度を考えたならば、ある程度まで、その職員が厳格な意味合いにおいて、責任を痛感すると思うのであります。しかるに国家でありますと、損は国家であつて、おれは知つたことじやない、こういう無責任な者があるわけでありますからして、この案はたびたび田中委員からも御説明になりました通り、ただ事後承認、あとで済んだことに判を押せというような事柄は、私どもおもしろくない。でありますから、やはりわれわれといたしましては、本委員会議決いたして、——議決せざるものは議決せざるものとして、そういう議決をするという意味合いにおいて、どこまでも本人を三箇年なら三箇年間追究いたしまして、この責任は負わしめる、こういうことが当然である。ところがこれはいけませんでしたというようなお座なりの答弁であり、あるいは解釈であつたならば、いつまでたつてもこれは解決できません。でありますから、私は少くとも三箇年間は、本人といたしまして、あるいは親戚知己等といたしましても、ある程度まで責任を負わしめる。保証人もあるはずだと思いますから、どういう寸法でもつてこれをやつたならば国民の信頼にこたえるような会計検査ができるか、これについて下岡会計検査官の率直なる御答弁をいただきたい。
  50. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 ただいまのことについてお答えを申し上げます。国鉄ばかりでなく、一般的の御質問と了解しておるのでございますが、不正行為について、本人が不正行為をして、刑事事件にひつかかつておる場合に、これはみな起訴されております。それから本人はむろん附帯私訴や何かで弁償を求められております。それから、それを監督する者に責任があれば、これは責任を追究しております。本件の場合は、私は詳しいことは存じませんが、まだ判決はないそうでございます。それに対する監督の責任者は、訓告されておるそうでございます。
  51. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 下岡検査官は大ざつぱな話でありますが、私の方も大ざつぱな質問であるかもしれません。今後どこまでも追究するということについては、交渉してもらいたいし、もちろんまだ裁判にかかつておるかもしれませんが、おそらくここにあることは、ほとんど半分ぐらいはそういうようなことが多いのです。いつも決算報告というものは事後承認ということで、まあ済んだからしかたがないといつてしまえばそれまででありますが、その損は全部国民の血税からなつております。国民は、私どもは選挙区へ帰りましても、地方に参りましても、どこへ行つても、税金が高い、安くしてもらいたいという請願、陳情を受けるわけであります。たまたまこれは一つの例でありますが、公団、営団等におきましても、かつては何十億円というような不正行為があつたわけです。ところがいつもお座なりになつてしまうわけでありますから、こういうことを勘案いたしまして、責任者については相当追究するということで、会計検査院も本腰を入れて御調査を願つて、われわれ議員の方にも報告してもらうし、裁判官あるいは最高検察庁の方にも報告していただいて、爾後こういうことをなくするということを堅持することこそ、会計検査院使命であると思うのです。ただ、こうでありましたといつて報告をするのみが、会計検査院の機能かもしれませんが、私は一歩進んで、国を愛し、国民を思い、国の前途を思いまするならば、そこまで行かなければならぬと思いますが、もう一ぺんあなたから、確固たる信念と今後の方策等について試案がありましたら承りたい。
  52. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 お答え申し上げます。これは小さな問題でございますが、今の不正事件については、五万円ばかり本人から弁償があつたそうであります。まだ残りは追究はしておるそうですけれども、本人薄給でございまして、なかなか入らないそうでございます。
  53. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 保証人はどうした。
  54. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 保証人もいるそうでございますが、何分にもこれは下の薄給の者でございまして、なかなかできないそうであります。  それから、一般的なことについて申し上げますが、ただいま三宅委員の仰せの通り、私どもはやはり不正行為については、徹底的に責任を追究しておるのでありまして、ここに載つておるのは、会計検査院の立場からは、こういう不正行為があつたということを、ただ並べておりますが、これに対する始末は、みなそれぞれ起訴さるべきものは検察庁に渡しておりまするし、それから私ども検査の中途で刑事事件になる疑いのあるものは、会計検査院法あるいは刑事訴訟法の何条かによりまして、やはり検察庁に通告せねばならぬものはみな通告しております。先ほど入札のときの談合やなんかのことについて、山名次長から、検査院はそこまで追究せぬということを御答弁申し上げたようですけれども、実は私どもの方の会議にまわつて来るああいう問題については、私どもの方の検査で、談合の事実があるらしいか、なさそうかということは、みな一々追究しておりまして——検査したものについてやるのでございますけれども、そういうものはやはり調べなければらぬ。いやしくも犯罪の疑いのあるものについては、これはすみやかに検察庁に——それにはいろいろ犯罪が伴うものがあるようでございますから、そういうものについて、経理職員の何か手落ちによつて国損というか、犯罪になるようなものに対しましては、会計検査院法によりまして——それでなくても刑事訴訟法によつて追究せねばならぬということで、追究はしておるのでありますが、先ほど次長からもお答え申し上げましたように、広範囲にわれつて検査しておりますので、一々について検察庁のように専門的に追究できませんので、遺憾ながらそこまで達しておらないというのが実情でございます。実は、私ども職責がないからそこまで追究せぬという責任のがれの御答弁を申し上げておるわけではございませんで、ただいまおつしやつたことは公然同感でございますから、ちよつと申し上げておきます。
  55. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は下岡検査官の率直な御意見に賛意を表しますが、どうかあなたの御意見ばかりでなく、これを検査官会議にかけて、国会にもこういうふうに直してもらいたいという意見がありましたならばどうか、お示し願いたい。  いま一つ申し上げたいことは、私が言うまでもなく、官庁におきましては、第四四半期——一番しまいの方の第四番目の四半期、結局一月から三月ないしは四月という月が、年度末ということに相なるわけでありまして、このときにおきましては、不要あるいは不急のいろいろなものに対しましても、買い入れたりあるいは予算を使い果したりというようなことを、よく言われるわけでありますが、今度の財政法等の改正によつて、そういうようなことも多少繰延べということも認められるわけでありまするからして、どうか一月から四月までの間は、特に検査官の方は、注意を促しまして、各官庁を督励してもらいたい。なぜならば、私が言うまでもなく、納まらぬものも納まつたことにして受取を書かせたり、品物納入したことにして、ほんとうを言うと偽造しておるわけです。それに判を押して小切手を書いて出している。ところが現物はまだよその方にあつて、ほんとうに納まつてないということが、往々あるわけでありましてこれは普通の民間会社等におきましては、決してありません。私はそういうことを断言する。どの官庁におきましても、そういう弊害が往々にあるということを私は信じております。しかし、これはぜひ一掃せしめるべく、検査官の方にも御一考を煩わすとともに、御列席の各官庁役員の人にも申し上げておきたい。そういうふうにふしだらにいたしまして、予算を早く使い果さなければ、来年度予算がとれぬということは、もつてのほかでありまして、われわれは国民の代表といたしまして、強くその猛反省を促したい。これに対して検査官の率直な御答弁をいただきたい。
  56. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 御答弁申し上げます。昨年も、ちようど今ごろ、各官庁に向つて、私どもの方から院長の名前、あるいは事務総長の名前でもつて、猛省を促したことがあるのでございます。数字ははつきり覚えておりませんが、年々こういう件は大分減つて来たようでございます。たとえば鉄道においても、年度末にたくさんいらない物を買い込むというような弊は、大分前にはあつたようでございますが、これはやはり独立採算制ということが皆さん職員の方にも徹底して来ておるようでございまして、そういうこともなるべくやらぬという御方針のようでございまして、大分減つて参りましたが、今年は一層、また帰りましたら皆と相談いたしまして、もう一ぺんまた各官庁へ猛省を促す必要があれば、そういう措置もとりたいと思います。
  57. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 必要がある。
  58. 大上司

    ○大上委員 公社にお尋ねいたします。六六五号、職員の不正行為に因り国に損害を云々、そうしてこの批難事項の報告書は簡単でございまして、これは二行半ですが、結局は昭和二十四年四月から五月までの間に、雇山崎某外が不正に書類を作成して退職手当をほしいままに領得されたものがある、その金額は三十万円。そこでお尋ねしたい点は、一体国鉄は、これは簡単ですが、裏をのぞくならば、どういう機構で、どのような方法でいわゆる現金の出納をなさつておられるのか。しかも幹部は、一体これは盲判を押して機械的にやつてしまうのか。まつたくもつて事は簡単のようですけれども、裏をひとつひつくり返したら、われわれ国民として唖然とせざるを得ない。しかも関係者は——私は国鉄それ自体を皮肉るわけではないのですが、昭和二十四年度日本国有鉄道歳入歳出決算検査報告に関する責任者処分調書という印刷物でちやんと刷つてある。これは各省からも出て参りました。この処分調書がほとんどこういうもので書いて来ておる。これはいい悪いは別ですけれども、また一面からこれをひつくり返し裏言葉で言うならば、これほどちやんと活字で刷らんならぬほどたくさん不正事件が存在するかということを疑わざるを得ない。経費が独立採算制において潤沢にあるのか、むだにこれをお使いなさつておるのじやないかという邪推まで出て来る。そこで今申し上げました六六五号に関係する人は、これだけの人が関係しておる。まず下から行けばいわゆる出納係員、主計係員、出納係長、決算係長、主計係長、それから札幌の経理課長さん、上へ持つて参りますと、札幌管理部長、札幌鉄道局長、これだけの決裁がなかつたならば通れぬような機構になつておるにもかかわらず、こういうふうな実例があるということはわれわれは唖然とする。そこで将来このような事犯、実例はおそらくないとは思いますが、これに対してもう少し込み入つたというか、深い詳細な御答弁を求めます。  これに関連いたしましてその次の六六六号の後段の二項に、「広島工場で、二十四年九月から二十五年五月までの間に、工場発生品である鋼及び」云々、この「よらないで簿外品として保有し、これを業者に引き渡し、その代償として人造と、石その他の必要物品納入させ、又は同工場の機器の修繕を行わせたものがある。」これらにおきましても、表向きを見ると非常に簡単なようですが、一体どのような組織でどういうような機構をもつて運営されておるのか、さらにもう一回これをお尋ねしたいと思うのであります。これは六六六号の当時のものはこう出ておりますか、現在あるいは将来どういうふうな機構でもつておやりになるか、これを特に天坊副総裁にお尋ねしたいと思います。
  59. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 今不正の問題に関連いたしまして、全体として大きな金を扱つている国鉄が、非常にむだなやり方をやつて、貴重な金の使い方に非常にむだがあるのではないかというおしかりを受けたわけであります。何しろ国鉄は非常に大きな世帯を持つておりまして、金の使途につきましても、非常に範囲の広いものでありますので、その中でこういう不正のものが種々出て参つて、はなはだ申訳ないと思つておりますが、立て方といたしましては、その点には十分考慮を払いまして、ことに金銭の問題につきましては、厳重にこの支出の系統というものをやかましく言つておるわけであります。その詳細につきましては、直接局長から説明していただきたいと思います。私どもとしては、機構上もう少し簡素化できるのじやないかというような点もあろうかと思いますが、この金銭の問題につきまして、できるだけ慎重という面も十分考えねばならぬというふうに考えておるわけであります。
  60. 三木正

    三木説明員 この山崎某は、ちようど年度末で非常に忙しかつたのを利用いたしまして、支払い関係の証拠書類——それは退職金を幾ら決済するという規定に基いて給するわけでありますが、それに基いて債権者である退職者に、その証拠書類に基いて支払い伝票が切られ、それが出納係長の認印を得て現金を払つて払い出されるわけでありますが、その支払い伝票を故意に増額して偽造したわけであります。増額して記入して実際受取る本人には正当な金額だけを払つて、数人の退職者から増額記入した分だけを自分が着服したわけであります。しかも役所の私どもが徴収します領収書の判は、自分で三文判を町で買いまして、そうして自分で押捺して現金を渡した、こういうやり方をしたのであります。それをその後五月二十八日に退職手当の整理後、原簿決済額等を照し合せたときに、その事案を発見して、そうしてその不正を発見したわけであります。それで本人は本人の兄に弁償の追求をいたしまして月賦で十一万数千円までは兄が払い込んでおりますが、その後兄が肺結核にかかりましてとうてい療養費だけでも十分でない、家族も相当おりますので、その後徴収できないような状況になつております。金銭の支払いにつきましては、先ほど副総裁が申しましたが、金銭の支払い、物品の購買につきましても、一番私ども注意しなければならぬと思つておりますことは、制度上の責任者と実際のその責任者が全部見ておるかどうかという点に、それを符合させなければいけないということを痛感しておるのであります。権限と申しますか、課長とか局長とか、それでなければいけないことになつておりながら現実にその局長が全部を見ることはできない、陰判を使つてやる、あるいは代決でやるというようなことをすることが、そもそもいろいろな不正をしでかす結果になる。いかに規定を整備し、書いておきましても、ほんとうの責任者責任を持つてやるということにしなければいけない、こういうふうに、これまでのいろいろな事例を見ますと、そこが一番かんじんのように思うのでございます。それで先般機構を改正いたしまして、経理事務所をつくりました際は、そういう点を特に強調いたしまして、会計長が全部支払い伝票を見るということにしておりましたが、特にその中で事務の多いときで、そういうことが現実にできない場合につきましては、それぞれの責任者、首席者、そういうものを指定いたしまして、その人間の認印によつて、その人間の決裁によつて仕事をして行くというふうにいたしております。今後におきましても、この点は十分に徹底的に行いまして、機構だけが煩雑で実際は責任者はそれを見ていないということのないように、実情に合つたような責任者を定めて行きたい、かように考えております。
  61. 大上司

    ○大上委員 運輸省の鉄道部長さんがお見えのようでありますから、一言二言お尋ねいたしたいと思います。さいぜん来より公社側の説明その他によりまして、部長は了承なさつたとは思うのでありますが、そこで本事案になつておりますところの昭和二十四年度決算報告書について、いわゆる監督局側としての何らか御意見はございませんか。あるいは国有鉄道の経理面においてこう改めるという、監督者の立場として、——またこれは職制がどうなつているか、制度がどうなつているかということは私は不勉強でありますが、いわゆる概念的に考えて、鉄道監督局当局が、公社に対して指示または経理上のいろいろなこういう検査事項につきまして指導なさつた点を、二、三お尋ねいたしたいと思います。  次に会計検査院検査官がお見えになつておられますので、お尋ねいたしたいのですが、昭和二十四年度のこの決算の報告書以外に、検査官会議にかかつて、これは批難事項として当然国会に報告すべきものであるか、あるいはこの程度ならば報告しないでもいいじやないかという案件が、相当あつたはずと思います。その全体の数字がわかつておりましたならばお願いしたい。  そこでもう一つ御無理なお願いかもしれませんが、これはお願いでございます。各省別といえば、非常に範囲が大きくなりますので、同じ独立採算制という機構上の編成からいたしまして、専売公社に対する案件とのパーセンテージが見たいので、公社は二つをお願いいたしたいと思います。
  62. 細田吉藏

    ○細田説明員 お答え申し上げます。鉄道監督局といたしましては、ここに上つておりまするような、会計検査院から御注意をいただいておりますような点につきましては、私どもといたしましても、まつたく同様の立場から、国有鉄道全般の問題について注意を喚起いたしておるような次第でございます。ただ私どもの方といたしましては、人員の関係その他もございますし、また国有鉄道は、全国にわたつて非常に大きな組織を持つております。私の方の国有鉄道部は、中央にだけ組織がございまして、事前に詳細にわたつて一一調べるということは、実際問題として不可能に相なつている。ただ各般の問題の底を流れております、先ほどからいろいろお話がございました、たとえば現金の取扱いというようなものについての制度がいいか悪いかというようなこと、あるいは請負のやり方がどうである、あるいは払下げの方法がどうであるというような一般的な問題、基本的な問題につきましては、その都度国有鉄道に対しまして、それが先ほど三木理局長からお話がございましたように、具体的に実情に即するように、私どもからいろいろ指示をいたしておるような次第でございます。  なお不正職員の処置の問題につきましても、運輸省といたしましては、できるだけ厳罰主義で臨んで、一罰百戒と申しますか、そういうふうにやつていただくように、国有鉄道の方へ話して参つております。
  63. 下岡忠一

    ○下岡会計検査院検査官 御答弁申し上げます。二十四年度中に検査をいたしまして、事務総局の方で問題になりそうだというので、各相手方に一応照会を出して意見を聞き、また実情を調べた件数が一万三千六百三十九件ございます。  その前に私どもの方の審議のやり方をちよつと申し上げますと、各局で、やはりこれは各主任官が持ち出しても、中にはずいぶん独善的な意見のものもございますし、それから事実をまるで間違えて、その基礎の上に判断をしているものもずいぶんございますので、それをふるい落すために、各局に委員会みたいなものをつくりまして、局長委員長になつて、そこで審議いたします。それで事実の不完全なものは再審議させるとか、るいは意見の相違あるものはどうするとか、いろいろ処理いたしまして、まず第一のふるいにかける。次に事務総局の官房に検査審議会調整委員会という名前のものがございまして、各局から持ち出して来たものを、またそこでふるいにかけて、あまりに金額が少くて、どうもよそとの権衡を失するようなものとか、それから全体的に見て報告を出すほどのこともなかろう、そういうものはもう一ぺんふるいにかけます。そうして検査委員会に持ち出すのでありますが、今の一万何千件のうち、一応検査報告に出す案に出たものが千六百十三件ございます。それが、ふるいにかけて七百何件になつたわけでございます。その中にはいろいろの事情で不問に付しておるものもあります。  それからただいまの鉄道とそれから専売との関係、これはパーセンテージは出ておりませんけれども、大蔵事業検査課というので専売公社と造幣庁と印刷庁とその三つを検査しておりますが、ここにあるのは多分専売公社が一番数が多いと思います。大部分が専売公社の案件と思いますが、それが二十九件、結局報告になつたのは十一件、それから鉄道は、初めに出たのは八十件、それに対して結局最後に報告になつたのが三十四件でございました。
  64. 大上司

    ○大上委員 そこでただいまの検査官の御説明は、私ならず、公社の方もお聞きになつた通りと思います。決してこれも皮肉るのではないのです。そこで今申しておられた大蔵といいますか、専売公社の方が二十九件で、批難事項として十一件、鉄道公社の方は大体八十件が三十四件になつた。もちろん作業庁といつても、これが業態というか、扱う客体というか、取扱う種目というか、仕事の内容によつて当然異なることは万々承知をしております。しかも企業スタッフの大きさにおいても、一応これは考えなければならぬ点ですが、いやしくもこれは——私はどこでもよく言うのですが、国民感覚、国民感情から受取つた場合には、そこまでは国民は見てくれない。結局何らかそこに技術的な、また制度上の、またはその他の運用面において欠陥があるのではなかろうかという疑義を抱くわけです。そこでもう一回これはしつこくなつて非常に申訳ないのですが、今度は三木理局長さんにお尋ねしたいのです。今のこの案件について反省なさつたか、あるいは制度上の問題を、公社の運営者というか、企業というか、この人たちにこういうふうな問題をはかられた事実があるか、ないか。こう直さなければならない、こういうことをしなければいけない、これでは国民に申訳ないというような、いわゆる改正に向われた事実があるやいなや、その点だけを承つておけば幸いだと思います。
  65. 三木正

    三木説明員 先ほどもいろいろ自分の考えたことを申し上げましたが、たとえば不正の案件につきましては、先ほども申しました通り、訓戒は明確にほんとうの責任者にやる。さらにまた、そういう場合には、必ず正規の債権者に直接手渡ししないで使つておるので、あくまでも正規の債権者に支払いをする。代理で受取るというようなことは絶対にしてはいかぬ。さらにそれを銀行の口座払込みというような制度もつくつております。それから物品につきましては、先ほども申しました通り、とにかく毎日生きて動いておる鉄道でありますから、それに食わせるだけのものを適時にやらなければいかぬ。それが予算なり、あるいは購入資金なり、運転資金なりに縛られて、十分行かない面もたくさんあるのでありますが、そういう点に対して、財政担当者として十分の努力を払うと同時に、制度も第二貯蔵品をつくるとか、あるいは今考えておりますことは、さらに指定工事につきましては、決算請求書で請求させて、第二貯蔵をくぐらないようなことにしたらどうかというようなことも考えております。さらにまた年度末において、先ほど三宅委員からのお話もございましたが、購入しないものを購入したとか、予算の消化というようなために第二貯蔵で誤るというような点も、もちろん反省しなければならぬのでございますが、私どもにおきましては、貯蔵品は別になつておりまして、とり方の制限だとか、そういうものが予算書には上つておりますけれども購入して早く金を払わなければ物が得られないということは、全然制約がございませんから、そういうことはないのでございます。ただ物品の調達が遅れたり、工事の進捗が思わしくなくて、予算が消化し切れないで利益金が出る。そういう利益金に対しては、正規にそれを利益金として考えるべきではない。形式上の利益金、当然修繕すべきものであるのに、入手なり工事が遅れたために当該年度に決算ができなかつたということは、架空の利益になるのでありまして、形式上はそれが正常であるかしれませんが、事業の運営としては正当な経費の使い方、決算の仕方でないようなものにつきましては、今度の修繕引当金というようなものをつくつて、それによつて決算をし、翌年度の引当金でくずすということによつて物品を決算して行く。これは主として物品納入が遅れたような場合に、そういう不利益があることがありますので、そういう方法も考えております。自分たちでも監査課に三十名余りの職員を持つておりますし、地方にも、先刻申し上げました通り、監査員を四、五名ないし十四、五名持つておりまして、事実そういう監査をするとともに、会計検査院には非常に優秀な、しかも相当多数の職員ばかりおられると思いますが、そういう方々にしよつちゆう現場に出ていただきまして、いろいろお整いただくことが多いのであります。それに対して真剣に考え、また教えてもいただきまして、こういう事情があるので、制度としてはこうなつておるので、こういうことになつたんだろうが、こういうふうにかえたらというようなことを、いろいろ教えていただいたりして、その都度改善に努めておるような実情でございます。
  66. 井之口政雄

    井之口委員 大体今日の審議は、予定の項目を終りましたので、最後に一つ会計検査院の下岡検査官にお尋ねいたします。先ほどから三宅委員も言われました通り、当決算委員会においていろいろ審議はいたしますが、悪かつたということで、あとはそれきりになつてしまつて、終局はどうなつたか、しり切れとんぼになる事件が多いのであります。とりわけその最も代表的なのは、ただいま参議院において徹底的に調査されております大橋国務大臣の二重煙突事件であります。これは当衆議院決算委員会においては、中心的な決算として残念ながら審議されていないのであります。しかるに参議院においては、このために特別の小委員会が持たれて審議が続行されておる。最近その決算委員会の報告書も出ているようであります。しかし結果がどうなつているか、その終結の点において非常に明瞭を欠いております。検察庁からも出て来て、やはり法律上の責任というふうなことも言われておりますが、しかし検察庁の取調べは、本人が宣誓をされてなすつたものではない、被疑者としてなされるものでありますから、これはたといそういう事実があるとしても、虚言をもつてすれば、のがれることもできるし、黙祕権も使うことができる。しかし決算委員会において証言をする場合は、これは宣誓なしてやるものでありますから、宣誓してやつた決算委員会の証言の方がより確実なものとして、両者の間における彼らが述べた証言の食い違い等が今審議され、偽証罪が成立するかどうかということが審議されておるようであります。この事件は、非常に重大でありまして、たとい犯罪が成立しないにしても、政治家としての責任並びに日本国民としての道徳上の責任からして、これをどう判断をするか、いかなる結末をつけるかということは、日本国民が声をひそあて今厳重に注目をしておるところであります。この事件の内容が、実にでたらめなものでありまして、必要でないところの一億円からの煙突を注文し、そうしてその注文を大橋国務大臣の知己の間にある足利板金に請負わせ……(「何だ、二重煙突事件をやるのか、まだ国有鉄道の関連の問題があるのだ」と呼ぶ者あり。)まあ、静かに聞いてください。もし大橋氏のこの問題がぼろが出て来るようだつたら、これは自由党の方でも弁護しなければならぬでしようが、もしそれが明白で、そうして何らのやましい点がないものだつたならば、これは何も私の発言を封ずる必要はないと思います。これが明らかになる方が、国民にとつては望ましい。先ほど三宅委員も、責任の追究は徹底的にされなければならぬ、かつそれが親戚なり関係者にまでも及んで、国家に対して与えた損害は追究すべきものだというようなことまで言つておるのでありますから、この二重煙突事件の結末がどうなつておるか。その結末が、大橋氏が仲に立つてつた例の和解になつて、そうして東武電鉄の五万株のうち三万五千株を持ち出し、自動車を持ち出して売つたり、実に国民全体としては、こんなべらぼうなことが一体あるかというような大きな疑惑を抱いておるのであります。この点について、会計検査院の今ほど言われるところによれば、これは犯罪が成立するものであれば、自分らも告発もする、あいるは徹底的にやるつもりだというようなことを言つておられたようでありますが、現にこの事件が最後においてどうなつておるか、この点が参議院の調書の中においても非常に不明確になつておりますから、総括した点がどうなつておるか、かつ会計検査院において、その後この問題に対してどういうことをなされたか、それらの点をまとめて話していただきたいと思います。
  67. 中垣國男

    中垣委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  68. 中垣國男

    中垣委員長 速記を始めてください。
  69. 大上司

    ○大上委員 ただいま井之口君の発言に対して、これは今田中委員もおつしやつたように、鉄道公社の問題だから、あらためて理事会等において審議の上、さらに議題を運ばすなら運ばす。そこで委員長の方は、今までの分は当決算委員会としては結論を出したと言つておるが、井之口君の言い分を聞いてみると、その後の発展ということを言つておるのですから、一応理事会に持ち込んで、この議題は次の委員会に運んで行けばいいという動議を出しますから、それで井之口君、どうです。
  70. 中垣國男

    中垣委員長 お諮りいたします。ただいま大上委員から、井之口委員の質問に対しましては、理事会においてこれを処置されるようにという動議がありましたが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中垣國男

    中垣委員長 御異議なしと認めます。さよういたします。
  72. 田中角榮

    田中(角)委員 もう最後だろうと思いますので、天坊さんにお聞きしてみたいと思うのですが、これは今のごたごたした問題ではありません、国有鉄道全般の問題であります。時代逆行論を申し上げるかもわかりませんが、一応私の簡単な意見をお聞き願つて国有鉄道関係方々が、どうお思いになつておるかということをひとつお聞きしたい。今私は会計決算の報告を見ておると、特別会計というものは一番でたらめです。そうはつきりきめつけてしまうと、あなた方は非常にお怒りになるかもわかりませんが一特別会計とか公団とか——公団は私たちもこの次からすぐやるのでありますが、公団はここに出ておるようなものではなく、もう少しさかのぼつてこれをむし返したいと思う。これは平和条約が締結せられて、日本が独立国家になるときには、こういう戦後六年間にわたつて非常にむずかしかつた、またわれわれ日本人がこなせなかつた行政組織というものは、再検討をする必要があると考えておるのですが、国鉄は御・知の通りコーポレーシヨンとして、独立採算制をとられており、また政府事業であるところの専売公社も同一であり、特に電信電話、郵政事務もこういう面に移りつつあるときでありますが、私は、日本がみずからやつた日本国有鉄道組織ではないのであつて日本国有鉄道というものも、もう一ぺん考え直さなければならぬじやないか、こう考えております。国有鉄道は、その意味においては各種公団とは比べものにならない、批難されることがあつても、さすがに公団のようなものではないことは、私たちも非常に喜んでおるのでありますが、国有鉄道そのものの経営形態を考えるときに、端的に申し上げまして、国有に逆行されるという場合と、今までのものをもつと発展して行つて、究極には民営にする、こういう二つの案がここにはつきり左、右にわかれるわけであります。もちろん天坊さんは今の副総裁ですから、それは国有鉄道の方がよろしいと、こうおつしやるかもしれませんが、国有鉄道と鉄道省でやつてつた当時との相当な開きがあると思います。特に新線建設等も、高い独立採算制を要求せられるために、ほとんどできないという問題があります。今度の行政機構改革案が、交通省として今の運輸省をちよつと幅を広くするような案もあるようでありますが、私は一面においては、鉄道だけの省をつくつてもいいのではないかという案を、一時考えたこともあります。こういう問題に対して、御意見があつたらひとつお聞かせを願いたい。しかも今大上君から、運輸省の方々にも会計の監査その他について御指令を出しておられますかというような話がありましたが、これは運輸省の国有鉄道部長さんを前に置いて、しかもおかわりになつたばかりの方に水をかけるようで申訳ありませんが、ざつくばらんにいつて、あまりにも国有鉄道の機構が大き過ぎる。私たちが運輸省に行つても、昔は監督官庁は大体いいところにおつたのですが、国有鉄道総裁室は三階でありますが、運輸大臣室は四階であります。建物も国有鉄道ビルであつて、運輸省ビルではありません。この間も、あなたの先任者は国有鉄道に栄転されて行つた。こういうのでは監督権は全然行われない、こういうことになると思います。だから、過渡的な現象として現在の日本国有鉄道が生れたのであるが、独立後の日本としては、この問題はやはりもつと真剣に考える必要があると考えております。現在の民営鉄道部及び国有鉄道部の状況を見ましても、運輸省自体の機構にも、われわれは相当異論があります。このような中途半端なものではなく、少くとも戦後まだ当分の間は、日本が生きて行くための大動脈である鉄道経営だけは、別個に考えなければならぬのではないか、こういうように考えます。今のままで行かれ、民営にだんだん移つて行く場合には、あのような歴史をもち、あのような大きな資産を民営に移して行くということになると、決算書に対しての今まで会計検査院がとつて来たような方式だけではなく、国会は国政調査権を発動して、こういう種類のものに対しては、もう少しつつ込んで研究を進めて行きたいと考えております。しかし現在のままで、新しい方向に進んで行くということであれば、大いに考えなければならぬと思うのであります。天坊さんも、そういうことは十分お考えになつておられるでありましようから、御意見でも御披瀝できたら、どうぞお聞かせ願いたい。特に鉄道部長さんもおいでになつておるから、ざつくばらんな御希望なり御意見があつたら、参考までにお述べになつていただいてけつこうであります。
  73. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま多方面に御経験の深い田中委員から、いろいろ示唆に富むお話を承りまして、非常に私参考になりましたので、厚く御礼申し上げます。  国有鉄道が、御承知のように公共企業体というかつこうでスタートいたしまして二年ばかりになるわけでありますが、そのなりました当時は、御承知の通りいろいろ準備の足らぬ点も非常に多かつたということも言えるのでありまして、国会等でも、公共企業体としてスタートするのに、特に経理方面の計画について、将来整備しなければいかぬというような御注文もあつたわけであります。その後若干ずつ修正された向きもございますが、やはり全体として、元の官庁経営であつたときと、そう大きな開きはないというような姿で、片方で当時の実情からいたしまして、鉄道の経営自体において、もつともつと企業性を要求されたことも事実であります。その面では、かけ声だけとは申しません、相当努力もいたして参りましたけれども、結局最後のところで手を縛られ足を縛られ、というところも事実残つておるのでありまして、今後これをどういうふうに考えて行くか。もう一ぺん鉄道省にもどすのがいいのか、あるいはもつと民営にするのがいいのかということを真剣に取組んで考えなければならぬと私どもつております。このことにつきましては、特に大事な国の鉄道でございますから、慎重な御審議等をいただかなければならぬと思つております。ただ、私どもといたしましては、せつかく公共企業体としてスタートしたのでありますから、これが手を縛り足を縛つたままで、もういかぬじやないか、これではやつて行けないというふうな結論を出すことも、もう少しやつてみる余地がないものかと考えておるわけであります。なかなか非常に重要な問題で、もつと慎重な研究を重ねた上でなければ、軽々に私見を申し上げることもどうかと存じます。簡単でございますが、一応これだけを申し上げておきます。
  74. 田中角榮

    田中(角)委員 私が期待しておりました通りの御答弁でありますが、最後に簡単に申し上げたいのは——共産党の諸君が言われているような表現では私考えておりませんが、戦後公共企業体として立ち上つた国有鉄道は、組織が非常にむずかしくなつた。これはアメリカのシステムと申しましようか、横割になつておりまして、私たちが知らないところがたくさんあります。そうかといつて鉄道の新線が倍になつたわけではありません。だから、ある意味において、高度の独立採算制を要求せられると同時に、いわゆる役人の営業感覚ではだめだから半官半民に、またできれば民営へという線で進められておるのはわかりますが、今までの二年間の過去を振り返つた場合に、プラスよりもマイナスの方が多いのではないか。日本の行政機構そのものでも、縦割りか横割りかということが、一番大きな問題になつておりますが、私は国有鉄道の二箇年の過去を見ますときに、どうも端的にいつて局長さんが多くなり過ぎたという論も一応成り立つと思うのであります。だから、国有鉄道ばかりではなく、これからの行政機構の改革においても、もうまつたく既定の事実のように電気通信もコーポレーシヨンにするというようにいわれておりますが、これは国有鉄道の実績を見てやらなければならない問題だと思います。世界のどこの官庁を考えても、郵政事業は大体損をしております。電気通信はどこでももうかつております。もうかるものだけを公共企業体にするのだつたら、何もする必要はありません。うんと赤字の出ておる郵政企業のようなものを、創意くふう努力によつて赤字を減殺できるか。こういう場合は考えられるのですが、今まではそうではない。国有鉄道も、もうからない鉄道は全部民営に払い下げて、もうかる幹線だけでもつてコーポレーシヨンをやるのでは、これは何もやつてもらわなくてもけつこうです。鉄道省でやつた方がよほどいい、そういう論も成り立つのであります。少くとも今までの占領治下にあつて非常に高度な要求もせられ、また高度の立場にあつた鉄道ではありますが、しかもこれからわれわれの手でもつて再建する、新しい方途をきめるという、鉄道が一番大きな問題であると思います。そういう問題で鉄道の組織形態は、ひとつ根本的に考え直さなければならない。そのときには、横割りでうまくなかつたものは簡素な縦割りに直していただいてはどうか。そうすることによつて、こういうふうな批難も必然的に少くなるのではないか。公団の経理で、もつてわからないのは、今の経理が非常にむずかしいというのではなく、全部組織が横割り形態になつておりますので、縦割り形態でもつて、学校を出られ訓練をせられた会計検査院方々でも、また監査官の方々でも、複雑多岐な新しい機構の中に飛び込んでいかれると、なかなかたいへんだ、こういうところに原因があるのでありまして、私はその意味において、またいずれの機会かで御意見ちようだいしたいと思うのですが、お帰りになつたら、ひとつ今行政機構の整備簡素化ということが叫ばれておるのでありますし、わが自由党でも、この点に取組んで、簡素化することによつて批難事項がふえるということであればたいへんなことでありますから、こういう問題も一箇月以内に結論を出したいと考えておるだけに、ひとつ御相談になつて、御資料ができましたら御提供願いたい。これだけ申し上げておきます。
  75. 中垣國男

    中垣委員長 先ほど大上委員からの強い御要望もありましたので、六四八、六五三の二項に対しましては、理事会で御処置させていただきたいと思います。特に過去二回の委員会の審査の経過にかんがみまして、国有鉄道公社側におきましては、特にこれらの不正問題もしくは違反問題等につきましては、慎重に今後戒めていただきたいと思います。特に注意を喚起しておきます。以上で日本国有鉄道関係の審査を終ります。  次会は二月八日金曜日の午後一時から開会いたしますが、価格調整、酒類配給、食糧配給三公団について審査をいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時一分散会