運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-04-24 第13回国会 衆議院 経済安定委員会建設委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十四日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員   経済安定委員会       渕  通義君   建設委員会    委員長 松本 一郎君    理事 田中 角榮君       淺利 三朗君    高田 弥市君       内藤  隆君    西村 英一君       池田 峯雄君  出席政府委員         建設事務官         (管理局長)  澁江 操一君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君  委員外出席者         経済安定委員会         専門員     圓池與四松君         経済安定委員会         専門員     菅田清治郎君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君         建設委員会専門         員       田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国土総合開発法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五六号)     —————————————
  2. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 これより経済安定委員会建設委員会連合委員会を開会いたします。  両委員長不在でありますので、私がかわつて暫時委員長の職務を行います。  国土総合開発法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。池田峯雄君。
  3. 池田峯雄

    池田(峯)委員 最初総括的にちよつと質問したいと思います。国土総合開発というようなことに政府が非常に力こぶを入れております。ダムをつくる、電力開発するというようなことが、やはり総合開発一つの大きな中心点になる。この電力開発することによつて雇用量を増大し、生産量を擴大して行くということでありますが、現在の世界経済の関連において、そういう雇用量を増大しあるいは生産量を擴大し、国民水準を向上させるというようなことは、われわれが考えるところによりますと、非常に可能の薄いような情勢にあるのではないか。たとえばアメリカなどにおいても相当企業操業短縮をやつているというような情勢である。こういう情勢を、政府の方ではどういうふうにつかんで、経済効果あるいは雇用量の擴大というようなものを達成できる見込みであるか。そういう点について御答弁願いたいと思います。
  4. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私どもの考え方といたしましては、今お話がありましたようにダム建設し、あるいはその他諸般国土総合開発計画を遂行することによりまして雇用量を増大することは、一応可能であるというふうに考えている次第であります。
  5. 池田峯雄

    池田(峯)委員 政府の方ではそういうふうに考えている。しかしわれわれとしては現実に、たとえば日本経済と不可分の関係にあるアメリカ経済が、むしろ企業操業短縮、あるいは失業者増大等になつて来ているのではないか。朝鮮戦争が非常に激化している條件のもとにおいては、アメリカ軍需産業というものが発達して、いわゆる景気がよくなつたという情勢が出たのであります。同時にそれが反映して、日本でも一時的な景気の上昇ということが見られたのでありますが、最近においては再び元に帰つている。昔よりさらにひどいような恐慌状態に投げ込まれているような気がするのでありますが、こういう点について実際の経済効果といいますか、そういうものはないのではないだろうか、こういうふうに考えるわけです、あなたの方でそれに対して、こういうわけで実は効果があるのだ、こういう点を説明していただければと思つて再度質問いたします。
  6. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お尋ね範囲が非常に広汎にわたりますので、短時間の間に適切な御返答はあるいはいたしかねるかと思いますが、総合開発一つ経済的な効果といたしましては、今までたとえば公共事業費にいたしましても、一般国費投資いたします際に、総合的な計画によりません場合には、むだな投資とはいわないまでも、より経済的な投資ができなかつたような傾向がなきにしもあらずというふうに見受けられたのであります。ところが一つ地域に、あるいは全国的に総合的な計画ができ上りまして、その計画に基きまして国家投資をいたします際には、少くともむだな投資、あるいは不経済国費の投入というようなことはなくなるのではなかろうか。少くともその限度におきましても国費経済的な、あるいは効果的な使用ということが可能になるのではなかろうか、総合開発一つのねらいもそういうところにあるのではなかろうかというふうに考えているわけであります。
  7. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういう点は了解できないことはないのですが、そういたしますととにかく国土総合開発という今の吉田内閣の大きな政策の、そのうちの中心ポイント電源開発だということは周知の事実だと思うのでありますが、しからば今度の特定地域指定の中で、水力発電というのが最も重要な目標になつている。只見川であるとか天龍であるとか、吉野、熊野といつたような地域、それからもう一つ利根川とか北上川という、むしろ治水とかあるいは災害防除とか、こういうところに重点が置かれるべきであるし、地域の人もそれを非常に強く要望している。この地域とそういうものに対する資金配分といつたようなものはどういう関係になつているか。場合によつて水力発電の方が重要だから、只見とか熊野とか、こういうところに重点的に資金配分が行われて、利根とか北上とかは、むしろあとまわしになるというような危険性がないものであるか。この点をお伺いいたしたい。
  8. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 電源開発も重要ではございますし、同時にまた治水対策災害防除もまつたく必要なことでありますので、一を優先し一をあとまわしにするということではいけないだろうと思いますが、一方国家財政にも限度がございますので、両方同時に理想的に行うということは、なかなか困難ではなかろうかと思うのであります。しかし政府といたしましては、国家財政の許します範囲内におきましては、できるだけ当面の国家目的に合うように、いずれをも重視して参りたいというふうに考えているわけであります。
  9. 池田峯雄

    池田(峯)委員 さしさわりのないことの答弁をというふうに苦心して答弁されているのがわかるのでありますか、しかしながら限られた国家財政であるからこそ、水力発電の方に重点を置くのか、それとも治水方面重点を置くのかということが非常に心配になつて来るわけであります。ここに建設省管理局企画課監修国土総合開発特定地域の栞」という本が出ております。ここにこういうことが言われております。「資源開発重点的に行うことはもとより必要なことである。しかしながらこの重点的施行ということは往々にして誤解される場合が多く、一歩誤ればばらく単独開発の弊を招きやすい。終戦後なされた重点施策あとを見ても、まず第一に終戰直後食糧不足対策として開墾事業重点的に行われたが、これは他の施策総合性を欠き期待する成果を攻め得なかつた。次にそのはね返りとして河川災害対策重点が指向されると、今後はその災害対策が総合的に十分な検討がなされずに施行され、災害対策に他の施策が便乗する弊害さえ現われるに至つた。われわれは今後水力発電重点が指向された場合、また同様の弊害を招来するのではないかということに危惧を禁じ得ない。」こういうことがあるのでありますが、やはり限られた資金水力発電重点が指向されるということになりますと、治山治水災害防除というようなことが非常に軽視されることになるのではなかろうか。これは地元の住民も非常に心配していることなんであります。たとえば利根川に例をとつてみましても「利根川上流ダムをつくるということが重点だということになりますと、地方の公共事業費中央公共事業費重点的にこのダム建設に集中して、その結果、たとえば利根川下流堤防の補強とか、あるいは新設であるとか、あるいは新たなる運河の開鑿であるとか、放水路開鑿であるとかいうようなことがおろそかにされる。おろそかにされないにしても工事の完成期限が延長する、こういうような結果になりはせぬか、これが非常に問題点でありますので、この点について御意見を承つておきたいと思います。
  10. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今お話のような懸念をなくするために、総合開発でやりたいというふうに考えておるわけであります。と申しますのは、先ほど私が申し上げましたのは、たとえば電源開発中心にいたしました只見地域と、治水対策最大目標にいたしました利根地域とで、いずれを優先して国が施策するかというような場合に対する私の答弁でありまして、たとえば地域利根地域と限定しました場合におきましては、上流におきますところのダム建設も必要でありますが、同時に下流におきますところの治水対策も並行的に行わなければならないことは申すまでもないことでありまして、それをやるのが総合計画であり、総合開発でありますので、地域を限定いたします場合には、上流ダムあるいは電源開発のみに重点を置きまして、下流対策はなくするというふうなことでは総合計画にはならないわけでありますので、そういうことは絶対にいたさないようにするつもりであります。
  11. 池田峯雄

    池田(峯)委員 たとえば利根川上流ダムをつくつてみたといたしましても、最高の洪水量から見ますと、わずか三千立米調節にしかならないのであります。これは建設省計画でそうであります。従つて一万五千立米も流れる利根洪水量として三千立米ダム調節でありますから、これはもちろん何らかの治水対策にはなるのでありますけれども、決定的な洪水防除にはならないのであります。しかし今度は資金関係から行きますと、このダム建設費というものは莫大な資金になるのであります。従つて利根川総合開発計画ということになつて資金が—現在相当各省がばらばらの予算を持つておりますから、これを総合的に運営するということは困難ではありましようけれども、ともかくごの法律によつて、これが曲りなりにも一本になつて施行されて来るというようなことになりました場合に、この投下される資金の比率というものは、やはり電源開発ダム建設という方が非常に重くなつて来るのであります。非常な部分を占めて来るわけであります。その結果としてやはり下流対策というものがおろそかになりはせぬか、こういうことがどうしても心配されるのであります。この点もう一ぺんお伺いしておきたい。
  12. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 さような御心配のないように、ひとつりつば計画をつくりたいと考えております。
  13. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私も心配ないようにしてもらいたいと思うのですが、しかしこれはソビエト同盟のようなあり余る資金を持つて、スターリン大自然計画というようなものをやつておる国柄ならばそういう心配はないのですけれども、一方において大砲をつくり、軍艦をつくり、兵隊を養うというような政策を持ち、しかも経済はどうであるかというと、アメリカ経済的な恐慌の余波を受けて企業が沈滞の一途をたどつておる、一方においては軍艦大砲をつくらなければならない、国民所得が窮迫して来る、こういう状態の中で立てられる資金計画というものは、あなたたちが考えるほどそうなまやさしいものではない。しかしその中で最も重点的なものは何かというと、水力発電だということになれば、これはどうしてもバターよりも大砲堤防をつくるよりもまず電源開発、こういうことにならざるを得ないのではないかと思うのですが、この点についてひとつ……。
  14. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 国家財政が乏しければ乏しいほど、ますます国家財政経済効果あらしむるように使つて参らなければならないことは申すまでもないことでありまして、総合開発計画のねらいもまさにそこにあるわけであります。たとえば今利根地域お話がありましたが、利根地域計画をいかにつくるべきかということは、これは政府単独でつくるのではないのでありまして、今後衆参両院の議員も御参加願いました審議会において、最終的にはその計画も練るわけであります。従いましてその場合において、もし上流ダムをつくるよりも下流治水対策を先にすべきであるという結論になりますれば、その計画に従いまして国家財政もそれに投入されるわけでありまして、何も政府が独断的に上流のみを重視するということにはならないわけでありますので、よりよき計画審議会中心としてつくつていただけば、御懸念のないようになろうかと思います。
  15. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この点は質問をこれで打切りまして、あと特定地域資金計画でありますが、昭和三十五年までの計画としてどれだけの資金を投入すれば所期の目的を達することができるのか、たとえば鉄工業生産昭和七年から昭和十一年の間を一〇〇といたしまして、昭和三十五年には大体二三○の指数にする、こういつた二・三倍に鉄工業生産を上昇せしめる、こういう経済効果をねらうためにどれだけの資金を投入する計画であるか。
  16. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点につきましては先般来御説明申し上げておりますように、政府はまだ特定地域指定を行いましただけでありまして、その地域内においていかなる開発目標を選び、いかなる開発計画をその目標について設定するかにつきましては、これからの問題でございます。従いまして投入すべき所要資金についてもまだ詳細な検討はいたしておらないのでございますが、先般もこの委員会で申し上げましたように、特定地域指定するに際しまして、当該地域に対します府県投資希望額は、総事業費として十年間に約一兆億という数字府県希望しておるわけであります。その中で公共事業費分といたしましては、半額の約五千億を、一応府県の方では希望額として出しております。
  17. 池田峯雄

    池田(峯)委員 一兆億の事業費、そのうち大体半分が公共事業費になると思うのでありますが、毎年々々各河川災害によつて堤防が決壊し、あるいは橋梁が流失し、あるいは田畑が流失、埋没するために、これは今後十年間にやはり一兆億以上に達するのではないか、在来の実績から見てもそうなるのでありますが、この点はいかがでございましようか。そういたしますと、結局災害でもつて流失、埋没、崩壊というような現象を来して継続資金が一兆億である、差引ゼロである、こういう結果になつて何ら前進しないということになると思うのでありまして、これに対しては少くとも治水関係という方面に、一挙に莫大な資金を投ずることが、絶対必要な條件ではなかろうかと考えるのでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  18. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 この一兆億は、先ほど申し上げましたようにまだ確定された数字ではなくて、府県要望額であります。この一兆億には災害対策あるいは災害復旧費の一部分は入つておりましようが、災害復旧に要する金はむろん一兆億の外でありまして、災害復旧の方は災害復旧として継続して参りまして、その他の建設と一部は重複しておりますが、建設事業に要する投資額として一応一兆億を見ておるわけであります。従いましてこの一兆億が、全部当該年度災害によつてマイナスになつて行くというふうには考えなくてもよいのではなかろうかと思います。
  19. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それはそうなんです。この資金計画わく外災害復旧費というものが支出されるであろうということは、これは当然のことだろうと思います。この資金を投入いたしましても、そういう災害復旧費というものは、これは旧状復活でありますから決して前進しない。従つてむしろ十年間におよそ見積られるであろう概算一兆億の災害復旧費、こういつたものが算定されるとすれば、これは一挙に二、三年の間に治水関係の中に投入するということをやらない限り、十年間に一兆億の資金を投入しても、災害の方で一兆億支出するということになつて、結局むだ金がそれだけよけいに支出されるということになるのではなかろうか。従つて日本河川ということを論ずる場合には、まず災害防除治水ということが最大眼目にならなければならないのだ、こういうふうに考えられるわけなのでありますが、その災害対策ということをどういうふうにお考えになつておられるか、この点を先に質問したい。     〔田中(角)委員長代理退席委員長着席
  20. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お話のように国土の保全、災害防除のためには、旧災害を速急に解決するということは当然やらなければならない点でありまして、政府部内においても過年災害をできるだけ早く解決したいという希望を持つておるのでありますが、遺憾ながら御承知のような財政状況でございまして、もし過年災害復旧国費の大部分投資いたしますと、当該年度におきますところの建設的な諸般事業はほとんど行えないという事情になりますので、その希望あるいはその計画はあるのでありますが、遺憾ながら過年災を一挙に解決することはなかなかできがたい今日の現状であります。
  21. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういつたような災害の問題が解決しない前に、まず資源開発だ、こういうことになりますと、目標が非常に多岐にわたり、茫漠とした目標になつて来る。かてて加えてアメリカ軍事計画の一環として、日本経済が、軍事産業に急速に移行ずるということが、外国筋からの日本に対する一つの強い要望になつて現われて来る。従つて電源開発をやらなければならない、こういうことになりますと、先ほどから私が言つておるように、資金計画というものがどうしても偏頗な結果にならざるを得ないのではないか。そのために資金効率投下といいますか、そういう点から見ても、電源開発などにどうしても資金重点的に投入される。その結果としてほかが犠牲になる。そういう結果にならざるを得ないのではないかと考えられるわけでありますが、この点も論争になるようでありますから、提出された資料を十分検討した上でまた意見を述べてみたいと思うのです。  それで本法案の第十一條のニでありますが、「総合開発計画を作成した都府県に対し、必要な勧告又は助言をしなければならない。」この必要な勧告または助言ということの内容でありますが、これが單に助言にとどまるならばいいのであります。けれどもたとえば都府県が作成した、治水とかあるいは農業利水とか、こういうものに重点が指向されてつくつた総合開発計画に対して、国がたとえばアメリカ戦時計画に協力するように、国策の上に立つてそういつた治水計画あるいは農業利水計画、あるいは干拓、開墾、こういつたものよりも、まず電源開発が必要なんだ、それをやれ、それをやらないと資金を出してやらないぞというような勧告ないし助言ということになるのかどうか、この点を質問したい。
  22. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 具体的な例によりませんと、どうも今御質問にありましたような点についで御返事いたしかねるのでありますが、十一條の二で予定してあります助言勧告は、根本的に府県考えておりますことを修正するというようなことは、あまりないのではないかというふうに運用上考えております。府県で作成いたしました総合開発計画について、中央審議会中心といたしまして審議し、その結果に基きまして、所要の訂正または修正をすべきものがありました場合には、その限度におきまして助言勧告をするのでありまして、国全体の認識が結局審議会によりまして表明されるわけでありますので、その内容がいかなるものになりますかは、その計画具体的内容によりませんと、今お示しのようなことが、ただちに起るか起らないかということは申し上げかねると思います。しかし、大体私の考えとしましては、根本的な大修正をやれというような、あるいは性格的にその計画を変更しろというふうな助言または勧告は、まず起り得ないものではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  23. 池田峯雄

    池田(峯)委員 所管外でありましようが、この際ちよつとお伺いしたいと思いますのは、たとえば今政府が道州制の問題を出しておるようであります。総合開発という建前からいつて、道州制というのが最も適当な行政区分になるものであるかどうか、これをひとつ経済安定本部としての立場からお答え願いたいと思う。
  24. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 道州制のお尋ねでございますが、問題を総合開発計画ということに限定して考えてみます場合におきましては、道州制を施行いたしました方が非常に好都合な場合もございますし、あるいは総合開発だけの見地から申し上げますと、道州制でなくてもいい場合もありますが、いずれにいたしましても、総合開発というものは、一応便宜的には地域というものを取上げますけれども、行政区画というふうなことは、総合開発計画を立てます場合におきまして決定的な要素にはなりません。かりに道州制をしきまして計画対象地域があまりにも広くなります場合には、それを限定しまして計画を立てるということも可能でありますし、あるいは現在のような府県單位になつておりましても、数地域をまとめまして地域計画を立てる技術的な方法も予定されておりますので、行政区画の問題は、総合開発におきましてはそれほど決定的な要素にはならないというふうに考えております。
  25. 池田峯雄

    池田(峯)委員 十三條に、「政府は、特定地域総合開発計画を実施するために要する経費については、必要な資金の確保を図り、且つ、毎年度、国の財政の許す範囲内において、これを予算に計上することに努めなければならない。」とあります。これは予算の編成上の問題として、従来の公共事業費建設省所管あるいは建設省河川局道路局住宅局、こういつたような所管予算あるいは農林省予算というものと、どういう関係になりますか。たとえば特定地域総合開発計画予算が別途に組まれるということになりますと、農林省予算あるいは建設省予算河川局予算というものが、その後調節されて削減されて来る、こういうことになるのでありますか。この点を伺いたい。
  26. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発計画遂行上の理想的な立場からいたしますれば、特定地域計画予算というものが別わくで立てられ、別わくでなされて行くということになりますれば理想的な状態であります。しかしながら現行の国家財政立場からいたしますと、おそらく別わく予算総合開発計画を進め参るということは、なかなか困難ではなかろうかと考えております。従いまして十三條で予定しておりますのは、さような意味におきましての別わく予算としての特定地域計画予算を作成してもらいたいというのではなしに、特定地域計画対象になつております事業に対する予算は、国はこれをなるべく計画通りに出さなければならない。その場合の予算つけ方は、別わくとしてではなしに、建設省予算で出されておりますものに対しましては建設省予算農林予算考えられておりますものに対しましては農林予算という形において、計画通りに出してもらいたいというふうなことに、さしあたりはなるのではなかろうかと考えております。
  27. 池田峯雄

    池田(峯)委員 最後にお尋ねしておきたいのは、ともかく国土総合開発計画にしても、あるいは電源開発にしても、非常に厖大な資金が必要である。電源開発にいたしましても、電源開発株式会社の中に相当外資を導入するというようなことが、新聞紙上等にもしばしば報道されているところでありますが、こういう特定地域開発する上に外資が絶対必要欠くべからざるものであるかどうか。この点を伺います。
  28. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発計画を進めて行く上におきまして、ただちに外資導入をやらなければこの計画はできないというふうなことまでは実は考えておりません。ただ総合開発計画によりまして個々の事業を遂行する場合において、外資導入が必要になるような場合も起ろうかと思います。しかしそれを前提として総合開発計画を作成するというふうなことは、現在のところ考えておりません。
  29. 池田峯雄

    池田(峯)委員 この前農林大臣でありましたか、あるいは農林省大臣でない人だつたか知りませんが、農林関係外資を導入する見通しがついたというような新聞報道があつたのであります。こういう点はこちらも総合して判断するのでありますが、電源開発場合も、安本長官は、外資導入は望ましいけれども別になければなくてやつて行く、しかしその場合には、他産業に非常に資金的圧迫をかけることになるというような発言をされておるのでありまして、やはり外資ということが相当大きな魅力をもつて関係方面考えられておることなのではないだろうかと思います。その場合に、たとえば、農業部面に外資を導入することは、結局どういうことであろうかということを考えてみたのですが、結局水というもののを、外国資本から金を出して日本の農民が買わなければならぬという—直接的にはそうでなくても、間接的にはそういう結果になるのではあるまいか、こういうふうに考えられるわけでありまして、外資導入などということはおよそ考えるべきではないと考えます。現在のこの総合開発計画としては、外資導入ということは考えていない。しかしながら外資が入つて来る可能性、外資を導入したいけれども導入できるやいなや、そういう可能性があるかないかという点についてお答えを願いたいと思います。
  30. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 あるいは御満足の行きかねる答弁になろうかと思いますが、先ほど申しましたように、個々の地域におけるところの計画の組合せは今後の問題でございまして、まだ国としてオーソライズした地域計画はできておらないような状況であります。これからつくり上げて行くわけなのであります。従いまして現在はまだ総合開発計画として外資導入を予定しておるものもありませんし、またそれを計画しておるものもないわけであります。お話のように、外資導入につきましてはいろいろ御意見もあろうかと思います。ものによりましては外資導入の望ましいものもありましようし、あるいは外資導入が不適当なものもあろうかと思いますが、そういう問題は個々の計画を進めて行く場合におきまして、十分考慮して検討いたしたいと思います。
  31. 松本一郎

    ○松本委員長 西村英一君。
  32. 西村英一

    ○西村(英)委員 他の委員諸君からいろいろ御質問がありましよから、私はごく簡単に今まで比較的出なかつたような問題についてお伺いをいたしたいのであります。国土総合開発法は、二十五年でしたか、政府から提案になつたその当時から、すでにあまり法律内容が漠然としておつて、これで開発ができるだろうかという疑義を持つておつた。同時に出ました北海道開発法は、やや具体的と申しますか、こじんまりとしておつて予算上からしても、特定の監督官庁もできるという点からしましても、これはともかくとして、全国的に非常に大きな網をかけた国土総合開発法は、実施の面でどうなるだろうかという疑義をひとしくみな持つておつたと思う。ところがはたせるかな、やつてみましたところが、それではどうにもならぬ、実施ができない、一歩も前進しないというようなことで、今回その実施に必要な若干の法律を追加するようになつたのであります。こういうような重要法律が、わずか二年足らずして非常な改正を見たということに対して、この法律の審議をいたす私たちとしては、非常に国民に対して責任があるわけであります。しかしながらこの実施に必要な若干の規定を追加いたしまして、これによつて実施の促進をやろうということに対しましては、私たちは全面的に賛成であります。しかしながら法案全体を見ましたときに、やはり何となしにまだ漠然としている。はたして国民が期待し、われわれの期待するような総合開発というものが、こういうような法律の体系で期待できるだろうかどうかということは、今でもやはり多大の疑問を持つているわけであります。そこで政府は、今回のこの改正法律案によつて国土総合開発に必要なるところの措置が、十分この法律に織り込まれておるのか、今後近いうちにまた実施法がいるとか、あるいはまた特定の法律がこの総合開発のためにいるとかいうふうなことになるのではないか、私はかように心配しておる者の一人でありますが、この法律でもう計画なり、実施なり、万全の措置を講じたのである、こうお思いになるかどうか。その辺につきましてまずお尋ねをいたしてみたいのであります。
  33. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まことに適切な御意見でありまして、実は率直に申し上げまして、総合開発計画を進めて参ります上におきまして、今次の改正によりましては、総合開発に関する法規が全部体系的に整つたというふうには私ども考えておりません。御承知のように、現行法は計画をつくりますまでの、いわば組織法であつたのでありまして、今回はそれを実施に移す、ことに行政手段に移すまでの規定を書いたのでございます。さらに理想的に申し上げますならば、でき上りました計画を具体的な実施の軌道に乗せる上におきまして、必要とする諸般の規定がまだ追加さるべきであることは、おそらくお考えになつておられることだろうと思うのでありますが、そのお話の通りでございまして、この計画を具体的に実施して参る場合におきましては、いろいろ障害になることも多かろうかと思います。たとえば既存の水利権をどうするとか、あるいは土地の使用権に対しまして、別な計画をこの計画でつくりました場合には、既存のさような権利との調整をどうするかというような、実施上のいろいろな問題が今後発生して参るかと思うのであります。それらの規定につきましても、今回の改正におきましては全部網羅的に規定いたしたいという当初の考えでございました。そういう考えで準備も進めて参つたのでありますが、何分にもかような総合開発計画を法制化することは最初の企てでもございまして、また起り得るいろいろな障害等も、にわかに全部網羅的に考えるということは困難な事情もございましたので、とりあえず今次の改正におきましては、作成いたされました計画を、具体的に行政の上に反映し、実施に移すのには、どういうふうにしたらいいかというところまでの規定を盛り込んだわけでございます。従いましてこの計画が具体的にでき上りまして、さらにこれを実施して参ります上におきましての隘路となるべき問題に対する法規的な手段は、もう一回この改正法を修正するごとによりまして、総合開発法としての体系を完備いたしたいというふうに考えておる次第であります。お話のように、これですべてではないのでございまして、政府におきましてももう一度改正が必要であろうというふうに考えておる次第であります。
  34. 西村英一

    ○西村(英)委員 そういたしますと、当然この実施が必要なのでありまして、政府の説明によりますと、総合開発というものは焦眉の急であるということも言つておりますし、またそうでなければならぬと思うのでありますが、もしこれ以外にまだいろいろこれに付随すべき法律をつくらなければ、実施ができぬというような御説明でありまするが、そうだとすれば、当然実施の方法、たとえば水利権の調整の問題というふうな小さな問題が起つて単独的に法律を出すということがあるかもしれませんが、全面的な実施に移すようなことに対して、別な法律を必要としているということになりますると、どうしてそれを同時にお出しにならないのでありますか。これだけ出しても非常に片手落ちじやないかと思うのです。また今後政府総合開発につきまして提案せんとする法律はどういうものであるか。その辺もう一ぺんお聞きしたいのでございます。
  35. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私が申し上げましたことで、追加を要すると思われます点は、たとえば事業を遂行する上におきましての共同費用の振りわけの問題でありますとか、あるいは計画を進めて参ります上におきまして、水あるいは土地の利用保全に関する作為、不作為義務の設定でありますとか、そういうような具体的な権利関係に関する設定を必要とする規定であります。これは形の上から申し上げますと、この総合開発法の中の一部の規定として取上げますか、あるいは他の事業法におきましてさような規定を設けることにいたしますか、まだそれらの研究の余地が残つておるわけであります。いずれにいたしましても先ほどのお尋ねのこれだけの法律体系で総合開発が全部遺憾なく遂行できるかということに対しましては、遺憾ながらまだ今申し上げましたような規定にしても欠けておりますので、その欠けておりまする部分を、この法律に対しまして追加をどうするか、他の事業関係におきましてさような規定を盛り込むかは、研究の余地があると考えますが、いずれにいたしましても、今申し上げますような規定がまだ抜けておるわけでありまして、その意味におきまして、私はこの法律だけでは総合開発に関する規定が全部まかなえるものではないということを申し上げたわけであります。  さような関係であるにかかわらず、なおさような規定をいたさないで、この法律を制定したのはどういうわけかということになりますと、この点につきましては、先般も御説明いたしましたように、現行法は単なる計画組織法でございまして、御承知のように計画がつくられましても、つくられつぱなしであつたということでございまして、つくられつぱなしではいけない。それを具体的に行政手段の上に反映するようにいたしたい。それがとにかく急速に解決を要する問題であるというわけで、それらの若干の補足的な規定が欠如しておることを覚悟の上で、今回これを提案することにいたしたわけであります。
  36. 西村英一

    ○西村(英)委員 私は総合開発、なかんずく重点を置いておりますのは、特定地域についての総合開発であろうと思うのでありますが、そういうような所を総合開発をするには、公共事業費をつぎ込むということが一つ、地元負担があるということが一つ。しかし総合開発でありますから、結局そこに産業が何らか起る。その産業を起すのには、これは政府みずから公共事業としてやるわけにも行かぬでしようし、どういう形でやりまするか。そこに産業を起す処置をしなければならぬと思うのであります。そういうようなことを考えますと、この開発につきましてはその地区に開発公社をつくつてやるんだ。そのために開発公社法を出すんだというようなことがあり得るのではないだろうか。またどういうようなことでその地域総合開発をするのかということを私は懸念するのですが、実は法律の用意ということよりも、開発公社その他のことについてお話があるのではないかというようなことも予期してお尋ねしたんですが、開発の形態というか、何か開発公社をつくるんだというふうなお考えがあるのじやありませんか。率直に申し述べてもらいたいのです。
  37. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 法案立案の過程におきましては、開発形態といたしまして、公社によります開発方法も一応考えたときもあつたのであります。またこの法案自体におきましても、決して公社方式によりますところの開発方法を否定は絶対にいたしておりません。法案の上に明白にそのことがうたつていないだけでありまして、公社によりますところの開発方式についても、むろん考えてやつたわけであります。ただ御承知のように電源開発公社との関係もございますので、今回の法案改正におきましては、具体的には公社問題を取り上げることをいたさなかつた次第であります。
  38. 西村英一

    ○西村(英)委員 どうもその辺すつきりしないところがありますが、問題を他に移します。  総合開発計画実施に対して、力を大いに推進いたしたいということは法律の改正の所々に出ておりますが、まずこの法律の第四條に、今までは総合開発計画の作成ということだけをうたつておつたのに、わざわざ総合開発計画の作成及びその実施に関して必要な事項ということを入れてあるのであります。「その実施に関し必要な事項」というのは、どういうことを言うのであるかお聞きしたいのであります。特定地域のところにも、「総合開発計画及びその実施に関し必要な事項」云々というようなことがあつたと思いますが、実施に必要な事項というのは一体どういうようなこと——いつ開発し、資金がどれだけいり、どういうような形態でやるというようなことをきめられるのであるか、それをお聞きしたいと思います。
  39. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 第四條関係は、御承知のように総合開発審議会の所掌事務に関する規定でございますが、従来は、総合開発計画の作成に関する調査審議だけが審議会の権限であつたわけであります。ところが今回は、御指摘のようにそのほかに、実施に関し必要な事項につきましても調査する審議権を新たに付與しまして、審議会の機能を擴張したわけでございますが、その内容といたしますところは、ただいまもお話がございましたように、計画予算化でありますとか、あるいは計画に必要な資金の確保でありますとか、そういう計画を具体化する上におきまして必要とする諸般の事項につきましても審議し、これを総理大臣に報告し、あるいは助言する、勧告する、そういうふうな実施上の問題に対する解決方策にも審議会は御活躍を願いたいという趣旨でありまして、内容とするところはただいま申し上げたように、一例を申しますならば資金面の確保、あるいは予算化の促進というようなことを考えておるわけであります。
  40. 西村英一

    ○西村(英)委員 さような実施に必要なる事項を考慮することはけつこうでありますが、なかなかうまくできておつて、これは非常に抜け道をつくつてあると私は見ております。と申しますのは、審議会全体がそういう実施に必要なる事項をきめるのもいいのですが、特定地域開発計画について閣議決定をやつて、そしてその行政に移すところの裏打ちをするということは、これは一つの進歩でありますが、その閣議決定のときに、特定地域総合開発計画のみを閣議決定して、その実施に必要なるところの事項をどうして閣議決定をしないのでありますか。第十條の二の閣議の決定をするのは、特定地域総合開発計画を閣議決定する以上、実施に必要な事項は別に閣議決定をするようになつておりませんが、これはどういうわけですか。
  41. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 実施に必要なる事項をなぜ閣議決定をしないかというお話でございますが、「実施に関し必要な事項」と申しますと、これはいろいろ問題があるのでありまして、たとえば予算の問題もさようでありますし、あるいは所要資金の問題もその問題になりましようし、あるいは計画を進めて参ります上におきましての、先ほど申し上げました諸般の使用権の解決の問題も起つて参りましようし、実施上の問題ということになりますと、非常に問題がたくさんあるのではなかろうかと思うのであります。それらの問題は、閣議決定で解決できるものもありましようし、また解決できないものもあるだろうと思います。ことに第十條の二におきまして閣議決定いたします計画は、相当長期の間にわたりまする計画でもありますから、その長期間におきまして実施すべき計画の実施上の問題を、すべて一回の閣議においまして決定することはなかなか困難であろうと思われますので、一応われわれといたしましては遂行すべき計画だけを閣議で決定いたしまして、その後におきまする実施上の問題は、その都度これを解決するというような体系をとつておるわけであります。
  42. 西村英一

    ○西村(英)委員 私はそこに、この特定地域総合開発政府が熱心であるか不熱心であるかという標準を置きたいのでありまして、実施に必要なる事項というのは、結局資金の確保です。あるいはそれをどういう形態によつてやるか、あるいはどこに順位をつけてやるかどうかという、実施に必要なる事項というのが重要なので、計画それ自身は、閣議決定をしてもそのままになるわけであります。実施に必要なる事項を閣議決定することによつて、それが実際の進行になるのであつて、われわれはそれによつて初めて政府の身の入れ方がわかるわけです。ところが今度の改正は、なるほど表面には計画のみならず、その実施に関し必要なる事項をもいろいろきめるのだと言つておいて、閣議決定をする場合は、計画のみを閣議決定をする。これは意識的にあなた方がお考えなつたのかどうか知りまとんが、あるいは抜けたのかもわかりませんが、実施に必要なる事項を閣議決定しなければ進まない。そうではありませんか。
  43. 澁江操一

    ○澁江政府委員 この実施問題の確保ということになつて参りますが、これはこの提案をいたしました安本並びに建設省の共同声明をした関係もありますので、その点につきましては私ども十分注意をいたしたつもりでありますが、閣議決定で計画したものを実施する、計画実施の権限を持つておる建設省あるいは農林省、通産省というものは、閣議決定の拘束によつて計画の決定でありましようとも、その決定に従つてこれを実施に移すということが当然のことであろうかと考えるのであります。しかし計画の決定が必ずその実施に移されるかどうかという点は、一場合によりまして計画と相反する実施が行われるということがなきにしもあらずでございまして、そういう点にかんがみまして、この一三條の二をごらんいただきますと、関係各行政機関の長これは実施官庁が相当その対象になると思いますが、「やむを得ない事情により、特定地域総合開発計画の円滑な実施に支障を及ぼす虚がある処分又は事業を行わなければならない場合においては、」というのは、これはさきに決定になりました総合開発計画への調整を要請することを條件といたしまして、その実施に移すという規定をこの際入れております。内閣総理大臣に対してその調整を求め、それの承認のもとに、この計画と反する処分あるいは事業の実施をするというような場合においての措置を、こういうふうな方法をとるごとによつて確保できるのではないかというふうにも考えておるのでございます。なおその点の御心配につきまして補足いたしますと、ただいま安本側から御説明がございましたように、各年度の実施計画につきましては、これは予算の編成とも関連いたしまして、その経費の計画につきましては、それぞれ各都道府県の場合におきましても、あるいは各行政機関の場合におきましても、翌年度事業計画をそれぞれ安本側に提出いたしまして、その上に立つて経費の計上をする、こういうようなことも第十二條に規定いたしておりますので、彼此合せまして特定地域開発計画の閣議決定というものを、実行部面で確保する措置がまずとり得るのではないか、かように考えておるのであります。
  44. 西村英一

    ○西村(英)委員 どうも実施に関して必要な事項ということを入れたのを、私は一大進歩と思いまして喜んでおつたのですが、私の実施に関して必要な事項というものの考え方と、政府考え方がちよつと違うように思います。第十三條の入れた部分を見るとちよつと違うのではないか。私はこれは計画をつくる、計画だけではいかぬから、実施に必要な事項といえば、もつと大きい資金の確保であるとか、あるいは企業形体をどういうふうにして、その特定地区を開発せしむるかというような大きい問題であつて、ただ建設省でやるからとか、農林省でやるからというような、そういう少さな実施に関して必要な事項ではなかろうと思います。従つて大きい計画を閣議できめるとともに、これだけの資金で何年でやろうじやないか、あるいはこういう形態でやろうじやないかという実施に必要な事項を閣議できめて、そうして実際早くなつたのじやないか。実際やるのはそれぞれの省に移そう、関係機関に移そうということで、それを実際にぶつかつて農林省の仕事であるとか、建設省の仕事であるとかいうような考えがごの第三條に入つたと思うのでありますが、私が考えると、あなた方が考えるところと大分センスが違うようでありますから、これ以上議論いたしません。  もう一つ私は、これは淺利さんも大分心配してお尋ねなつたことであろうと思うのでありますが、やはりみんなが心配しておるのは、総合開発ということが非常に流行的となり、総合開発ということがはやり言葉になつて、いろいろいわれておる割合にあまり仕事が進まない。こういうことで利根川及び北上川の法案も出るし、それがまたいろいろまわりまわつて重要河川開発というようなものが起つたのでありますが、それらを調節して今回の法律なつたと思うのであります。一応今まで出て来ましたいろいろな法案の目的、あるいは輿論の考えておることがどの程度この中に織り込まれておるか、これでみな満足するであろうか、こんなものでは満足しないで、また相かわらず同じような法律がどんどん出るのではないか、あるいは政府は出さなくても、この法律に期待できぬのではないかという感じがするのですが、どうですか。私の前の質問ともちよつと重複いたしますが、この前の利根川、北上川の河川総合開発の趣旨が、これで十分この法律に織り込まれてまた目的を達せられる、また当該地方におけるところの人々にも納得ができるということになるかどうか、その辺をちよつとお聞きいたしたいと思います。
  45. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 御承知のように重要河川開発法と総合開発法の改正案との調整につきましては、自由党の政調会を中心といたしまして、数回にわたりまして御調整願いましたので、一応私どもといたしましては重要河川総合開発法で、御意図になつておられます点は十分この法案でまかない得るというふうに確信を持つておる次第であります。御承知のように重要河川開発法でお考えになつておられますことは、計画予算化ということに最大重点があつたのではないかと思うのです。その点につきましてはこの法案でごらんのように、第十二條及び第十三條という規定を設けまして、十條で全体計画を閣議決定をいたします。そうして全体計画を閣議決定をするということだけでは足りませんので、さらにこれを年度計画に移しまして、年度計画で全体計画を具体的に各年次にわたつてきめまして、それに対して予算はできるだけつけなければならないというふうに、二重にも三重にも国の道義的責任を拘束してあるわけであります。従いまして予算化につきましても、法律の規定の上におきましては十分遺憾なき体制を整えてあるわけでありまして、あとは運用の問題になるわけであります。さらにまた重要河川開発法におきましても、同じく審議会の創設をお考えになつておつたわけでありますが、その審議会はこれまでつくりました計画の実施を促進するというところに、大きな機能があつたように見受けられたのであります。その点につきましても先ほど御指摘になりましたように、新たに総合開発法の審議会に、実施の促進に関する機能を付與するごとにいたしました。また審議会の機構それ自体についても、御承知のように特別委員会を設置し、特別委員を任命し、あるいはまた衆参両院議員の御参加も願うように各般の措置を講じましたので、少くとも法律上の体系におきましては、利根川重要河川開発法でお考えになつておられましたことは、すべて包含しておると考えているわけであります。
  46. 西村英一

    ○西村(英)委員 最後に一点簡単に伺いますが、第十三條の第二項に、国が負担すべき経費の割合を定めるのには別に法律をつくる、「別に法律の定めるところにより特例を設け、」とあるのですが、この「別に法律の定める」というところの別な法律というのは、いつお出しになるおつもりですか。これは旧法にもありましたのですが、二年たちましてもさつぱり特例の法律が出ないようですが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  47. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まだ具体的な問題といたしまして、かような法律を制定いたさなければならぬというような問題が起つておりませんので、いつどういう形で他の法例を用意するかというようなことは、ここではつきり申し上げかねると思います。
  48. 松本一郎

    ○松本委員長 淺利三朗君。
  49. 淺利三朗

    ○淺利委員 さきに私の一応の質問は打切つたのでありますが、本日池田委員なり、西村委員の御質問に対する説明を伺つてここに再び一、二質問を申し上げたいと思います。  池田君の質問に対して、総合開発に関する予算を別わくとして設けかどうかということについては、まことに不安心な御答弁であつたと思うのであります。われわれが作成いたしました重要河川開発法においては、その十條において、審議会から第六條第一項の報告または勧告があつたときは、内閣はこれを尊重して開発計画を樹立し、これに要する予算を特に計上してその実施に努めなければならぬ。この特に予算を計上するという趣旨は、総合開発に関する予算を別わくをもつて計上して、総合開発の促進を明らかにするという趣旨だつたのでありますが、それがなしに、一般の公共事業費なりあるいは各農林関係に分属して予算を計上せられるということになれば、その官庁によつて運用上あるいは他に転用したり、あるいは一般の計画と一緒にされるというおそれがあるのであります。そういうことであつては、せつかくのこの国土総合開発法の実施の上において、非常に支障を来すのではないかということを憂えるのであります。これについてもし政府がはたしてこの総合開発の促進について熱意があるならば、予算の上においてもこれを明確に計上するということでなければならぬと思うのでありますが、これに対して安本当局の御説明はまことにたよりない御答弁のように思います。将来においてこれの実施の中心となるところの安本御当局は、この特別の予算を計上するということについて特に強く主張される意思があるかどうか、その点をひとつ承つておきたいと思います。
  50. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 先ほど私の答弁のうちにも申し上げておきましたように、別わく予算をつけることが望ましいことでありまして、私どもといたしましては将来ともさようなふうにいたしたい。そのために最善の努力を盡すことは、ここにあらためてはつきり申し上げておきたいと思います。ただ御承知のように、ここで具体的な計画総合開発計画として、特に第十二條におきまして当該年度の実施計画として、計画がそれ自体はつきりするわけであります。それに対して予算がつくわけでありますので、その予算を他に流用するというふうな関係は、現在の規定のままでも絶対に起らないのであります。その点のお疑いは、まずさようなふうにはならないというふうに考えておるわけであります。いずれにいたしましてもわれわれといたしましては、総合開発に関しまする予算は、少しでも多くとりたいという熱意は絶対に欠けておりませんので、いかような形にいたしましても、より多き予算を獲得することについては、最善の努力を養したいと考えております。
  51. 淺利三朗

    ○淺利委員 それから全体計画の上において、あるいは五箇年計画、あるいは十箇年計画というものが総合的に計画されることになるでありましよう。しかしながらその点がここにはつきりしておらない。過日も私が質問した通り、すでに継続費の支出が認められる今日においては、むしろこの全体計画について五年計画なり、あるいは十年計画の毎年度の予想額というものをここに計上して、そのうちの一年度年度を毎年の予算に出す、こういうようなことにならなければならぬと思うのでありますが、この法案の上においてはそれがはつきりしておらない。何かこの点をもう少し明確に規定することができないのか、どこにその点が現われておるか。この法案の上においてはそれがはつきりしておらぬのでありますが、それに対しての御見解を伺いたい。
  52. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その点は第十條の二に、政令の定むるところにより、当該特定地域総合開発計画を決定するということに規定してございます。その政令の内容におきまして、当該地域計画は大体何年でやるというふうなことをはつきり明示いたしたい。すなわち政令による制定事項にいたしたいというふうに考えております。
  53. 淺利三朗

    ○淺利委員 それからもう一つ、先刻西村委員の御質問がありました通り、閣議の決定は計画だけであつて、その実施に関しては決定しない。これは私どもまことに不可解に思うのであります。この法律を改正して、單に計画だけではなく、審議会がその実施の方法まで決定するということであるならば、その審議会意見を尊重して、政府が同時にこれを閣議決定するということにしても何らさしつかえないはずである。ただ計画だけをきめて、あと実施の方はいろいろな事情があるからということで閣議決定をしないということになれば、いわゆる画龍点睛を欠くことになると思うのであります。その点をはつきりするために、ここをその特定地域総合開発計画及びその実施に関する云々というふうに訂正されたならば、どういう不都合が起るか。もし国会の修正としてそういうことをされた場合に、どういう不都合が起るか、その点について御意見を承つておきたい。
  54. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 政府側の立案の態度につきましては、先ほど管理局長から御説明があつた通りでありまして、計画を決定いたしますれば、それは政府の行政責任になるわけでありますので、計画通り実施すると、うことについては、行政官庁の側として、その実施は決定的に確保されるごとになろうかと思います。ただこの計画内容におきましては、政府以外のものが行う場合も多々予想されるのでございます。政府以外のものが行います実施上の問題につきましてまでも、閣議で具体的にに決定するということは、なかなか困難が伴うのではなかろうかと思われますので、さような点につきましては、行政上の責任といたしましてさような方針で行わなければならないということがきまつておるのでありますから、行政上の解決によりまして実施して参りたいというふうに考えておるわけであります。さらにまたその問題を進めて参ります上に、閣議決定が必要な状態が起つて参りますれば、そのつど閣議決定いたしましてもおそくはないのでありまして、計画決定と同時に起り得るすべての実施上の問題を、閣議決定しなければならぬという必要は、まずなかろうと考えておるわけであります。
  55. 淺利三朗

    ○淺利委員 事務当局としては閣議のことについて御懸念になることも当然でありましよう。しかしこれは政府が責任をもつて出した法案であります以上、今回の法律改正の精神から見ても、單に計画を決定するというだけでは、従来と何らかわりがない。そごに初めてこの実施ということについての改正條項が加えられたのでありますから、この法の精神を生かすという点から見れば、どうしてもこれは政府の責任として、閣議においてこの実施の方まで決定することにならなければ、この法律の精神は十分に生きないと思うのであります。それを決定しても何らの不都合がないとわれわれは信ずる。あるいは閣議に縛られるということもありましよう。しかしながらそれぐらいのことを政府が根本的に決定しなければ、これはやはり先刻申し上げた通り画龍点睛を欠くということになると思うのであります。でありますからそれをもし修正した場合においてどういう不都合が起るか。ただ閣議が困るというだけのことか。閣議においては、それだけの責任を持つのがあたりまえだ。その点についてこれを修正した場合にどういう不都合が起るか、その不都合な点が、今の御説明だけではまだ十分でないようであります。修正されたと仮定した場合には、あなた方はどういうふうにお考えになるか。單に閣議の方で困るだろうという事務当局のお考えなのか。理論上そういうことはあり得ないのか。その点をもつと明確にしていただきたい。
  56. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 問題を事務的に限定いたしましても、たとえば計画を決定いたしましてダム建設します場合に、ダム・サイトをかような地点にすべきである、あるいは従前は当該地域におきますところの事業計画は、こういうふうにかえなければならぬという個人の私有権に関する問題、あるいは個人の財産権に関する問題までも含む場合が起ろうかと思うのであります。それを閣議で決定する、そしてそこできめてしまうということが、手続関係としても妥当であろうかどうか。行政方針としてはそういうことになりますけれども、閣議決定以外の方法で解決するという方が適当な場合もあろうかと思うのでありまして、それらの行政上の決定を、すべて閣議でやつてしまうという行き方がはたして妥当であろうかどうか。その辺の点につきまして若干検討を要する点があろうかと思うのであります。
  57. 淺利三朗

    ○淺利委員 一応の説明はうなずけるのでありますが、実はこれ以上事務当局に質問しても効果はないと思う。今の説明のようにダムの方法はどうとか、あるいは私有権に関することとか、そういうことは実施のこまかい問題である。この総合開発審議会が、そういう細部の実行までを決定するものとは思わない。実施に対する大綱をきめるものと私どもは考えております。もしそこまで決定するならば、審議会というものは実施官庁になつてしまう。そういう点から考えれば、この審議会の決定した実施に関する要綱というようなものは、閣議決定をしてもさしつかえない程度であろうと思う。今の安本は、ただ各官庁の意見を調整するというだけの機能しか発揮していない。またこれを実施するについては、北海道の開発庁があるがごとく、内地全体、日本全体に対して総合開発の特殊の官庁を一本設けるという考え方も、当然起つて来なければならぬと思うのであります。ことに今回の機構改革においては、新聞によれば経済審議庁というものになる、審議庁というものの性格から見たならば、この実施についてはどの程度のものができるか。単純な行政機関に終りはせぬか。国策として総合開発を実施しようとするならば、局部の北海道に開発庁を設けるより以上に、国全体に対して何らかの考慮を拂うべきは当然だと思う。そういう点については事務当局の方に伺つてもあるいはお答えはできぬかもしれませんけれども、あなた方がこれを実施する上において、そういうことについて不便を感じないか。あるいは不十分であると感じないか。その点の御見解を明らかにしていただきたい。
  58. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私ども経済安定本部におりまして、総合開発計画の仕事に従事いたしておる者といたしましては、ただいまお話に出ましたような総合開発計画の業務を、責任を持つて遂行し得るような理想的な官庁形態を、ぜひ実現させていただくことが望ましいということを強く希望しておる次第であります。
  59. 松本一郎

    ○松本委員長 これをもつて連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後零時十六分散会