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1952-06-06 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月六日(金曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 前田 政男君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君       有田 二郎君    岩川 與助君      小野瀬忠兵衞君    圖司 安正君       奈良 治二君    福田 喜東君       渕  通義君    村上 清治君       笹山茂太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局総務部         長)      古内 広雄君         公益事業委員会         委員      宮原  清君         総理府事務官         (公益事業委員         会事務総長)  松田 太郎君  委員外出席者         專  門  員 円地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一八五  号)     —————————————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。福田喜東君。
  3. 福田喜東

    福田(喜)委員 独占禁止法につきまして、政府当局にお伺い申し上げたいと思いまするが、まず第一に独占禁止法に関しましては、政府当局はどういう御意見でございましようか。これを改正する御意思がございましようか。この点をお伺いしたいと思います。
  4. 横田正俊

    横田(正)政府委員 独占禁止法に関しましては、今回の事業者団体法改正と歩調をそろえましてずつと検討して参つたわけでございます。ただ御承知のように、独占禁止法に関しましては、すでに制定後間もなく相当改正を加えましたので、事業者団体法のような大きな改正ということが、割合にむずかしいのではないかということでずつと来ておつたのでございます。御承知のように、昨年のリツジウエイ声明後、これらの法令を全般的に取上げて再検討するということになりました結果、政令諮問委員会あるいは政府におきましても、ある程度改正案を考えまして、当時の司令部と折衝して参つたのでございますが、当時の司令部は、事業者団体法についてはある程度の理解を示しておつたのでありますが、独占禁止法については、もはやほとんど改正する余地はないというような態度割合はつきりいたしましたので、遂に事業者団体法につきましては、今回司令部の了解のもとに政府は提案いたすことができたのでありまして、独占禁止法につきましては問題を将来に残して、今回は提案をいたさなかつた次第でございます。しかしながらこの法律につきましても、いよいよ日本が独立いたしました今日、さらに再検討を加えることはもちろんけつこうなことでありまして、ことに第四章のいろいろな予防規定のうちには、かなり行き過ぎたものもなお若干存しておるように見えますので、それらの点はもちろん今後検討いたす必要があると存じます。ただその他のいわゆる独占禁止根本原則に触れまする面につきましては、われわれといたしましては、大体その根本原則はなおこれをはつきり残しながら、必要のある場合に、これを適当に緩和をして行くという線で行きたいということで、御承知の今回の国会に提案されました輸出取引法のごとき、貿易という特殊の面におきましては、やはり私的独占禁止法あるいは事業者団体法をある範囲において適用除外する、こういうようなやり方を今後いたして行つたらよいのではないかと考えております。
  5. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは逐次私は大綱から細目に亘りましてお伺いを申し上げたいと思いまするが、質問要点をよく御記憶いただきまして、私はその御答弁をキヤツチいたしますから、その答弁をかえないようにしていただきたいと思います。  第一点は、自由競争原理を基調とする経済活動を、正常な姿で維持するために、私的独占と不当な取引制限の弊害を取除くことが必要であることは言うまでもないことでございますが、現行独禁法の諸規定は、わが国の現状に必ずしも適合しているとは私は思われないのであります。本法がまた必要な場合に守られて、民間経済発展に貢献しているかどうかも非常に疑わしいところがあるわけでありまして、つまりわが国経済活動を必要以上に萎靡せしめ、正常な発展を阻害せしめている点が多々あるのではないかと思われるのが第一点であります。平和條約も発効したこの際、政府独禁法の嚴格なる規定は再検討を加えて、これを是正改正していただきたいと思うのでございますが、この点につきましては、まず事業者団体法を廃止して、それを独禁法の中に取入れるというふうな考え方についてはどういう御意見でございましようか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  6. 横田正俊

    横田(正)政府委員 事業者団体法を廃止いたしまして、その必要あるものを独占禁止法の中に盛り込むということは、実はわれわれも今度の改正の際に大分検討をいたしたのでございます。ただいろいろな技術的な面、その他の関係からいたしまして、今回はそういう形で提案することができなかつたのでございますが、しかしこれは今後大いに検討をいたしたいと考えております。なおどの範囲のものをこちらに盛り込むかということにつきましても、今回の改正とにらみ合せまして、十分に検討いたしたいと考えております。
  7. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは改正余地が全然ないというわけではないわけでございますね。第四章のみならず、全般的に改正余地は将来にわたつて残されておるということはお認め願えるのですか、どうですか。
  8. 横田正俊

    横田(正)政府委員 独占禁止法自体につきましても、特に第四章等につきましては、改正すべきものがもちろんあると思います。実はこの中には、ことに司令部の側におきましても、この点は改正してよろしいと言つてつたような部分もあるくらいでございまして、この点はぜひ最近の機会によく検討いたして改正いたしたいと考えております。
  9. 福田喜東

    福田(喜)委員 それから独占禁止法改正ということにつきまして、私はこの中に盛り込まれておるところの根本精神は、日本経済発展のためにいい面もたくさんあると思うのでありますが、しかし今までのこの法律適用という点を考えてみますと、新聞紙上の報道によりますと、八十余件の適用を受けておる。ごく最近においても、石油の問題とか、また東宝の映画会社事件等が、今まだペンデイングになつておるということを私どもは承つておるのでありますが、われわれが日本経済発展という点から見て、政府部内においてはたしてこの独禁法精神というものを守られておるか、非常に疑問に思う点があるのであります。一例を申し上げますと、たとえばこれは先日多田委員からも質問があつたそうでありますが、操短の問題あるいは拂い下げの問題、あるいは割当配給問題等、これはある意味において、独占禁止法違反ではないかと思う点があるわけでございます。さらにわれわれが一番今日この独禁法適用について問題にしておるのは、運輸省当局でございまして、いわゆる路線許可等におきましては、まつた民間利益を蹂躪して、独占企業を助長するような方針をとつておる。この点について政府当局は、運輸省当局、特に鉄道監督局等と話をなさつたことがあるかどうか。これは鉄道監督局なるものは、現在の交通会社独占を助長しておるということであつて民間利益と申しますか、民間交通性を蹂躪してしまつておる。省営バス乗り入れと新たに競争路線を許可する場合においては、まつたくこの独禁法正面から蹂躪するようなことをやつておる。その点について公正取引委員会は、監督の目を光らせておるかどうか。責任ある御答弁を願いたい。実例を申し上げれば幾らもあります。     〔委員長退席永井(英)委員長代   理着席
  10. 横田正俊

    横田(正)政府委員 ただいまの政府自体独占禁止法を無視するようなことをしておるのじやないか、これに対して公取はどういう態度をとつておるかという御質問でございますが、これについては私たちも、ある意味におきましてまことに御同感でございます。政府行為の結果が独占禁止法に反しまするような事業者行為が助長せられる、あるいはいろいろな行政庁免許その他の権限を不当に行使しまする結果、そこに結果的に、独占禁止法が守ろうとしておりまする利益が害されるというような結果が出て参りますことにつきましては、われわれも非常にこれを監視しておるわけでございます。もちろん政府自体がやりまするその行為そのものは、独占禁止法対象にはなり得ないのでございますが、しかしそれがひいて事業者の自由な、あるいは公正な事業活動を拘束するという結果を来しておりますので、この点につきましては、政府に対しましても、きわめておもしろくないものに関しましては、その都度公正取引委員会の方から適当にその是正方を申出をしておりますし、今後またそういう事態がございますれば、政府の方にいろいろ申出をいたすつもりでおります。
  11. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは実例一つ申し上げます。これは私の出身県大分のことでございますが、あそこに大分交通が経営しております豊州鉄道というのがございます。バス路線もやつておるのであります。これらに対して国鉄当局は、省営バスの乗入れということについて非常に考えておるのであります。運輸省監督局当局は、これに対して阻止しておる実情がある。同じく南薩鉄道というのが鹿兒島にございますが、同じような問題を起しておる。これは運輸省態度交通会社独占というものを全力をあげて擁護しておる。この法規精神とするところに、少くともまつ正面から衝突しておるやり方をしておりますが、この点については運輸当局お話をいただきたいのでありますが、ただいまの横田委員長答弁に対しまして、われわれは満腹の信を置きまして、将来の政治力に非常に期待するものであります。あなたがさつき政府当局、ことに運輸省等に対して勧告をなさり、申入れをなすつたということでありますが、どういう具体的な処置をなさつたか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  12. 横田正俊

    横田(正)政府委員 実はあまりこまかなこと、正確なことを申し上げる資料をここに持つておりませんが、たとえば農業協同組合自家輸送をしますことにつきまして、政府当局がその免許を澁つておりますのに対しまして、われわれの方で申入れをしたこともあります。その他詳細は、実はここに資料を持つておりませんので、お答えできません。
  13. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは次会までにそういう資料の御提出をいただきたいのでございまして、独占禁止法精神を貫かんがために、今日政府当局並びに民間企業体に対しまして、本法を実効あらしめるためにおとりになつ措置を、委員会資料として御提出願いたい。これが第一点。次にこの精神とするところをどこまでも貫いていただきまして、運輸省に対して申入れをしていただきたい、これを委員会を代表してお願い申し上げます。  それから次に、細目の点に入りますが、独禁法改正あたりまして問題となつている点は、大体各方面意見商工会議所あたりから出ておりまして、一致していると思います。それらの点につきまして、一応政府当局の御見解をただしておきたいと思うのであります。第一点は、第四條の特定共同行為禁止條項では、全般的に共同行為禁止しておつて、わずか第二項で、影響が問題とする程度に至らないものは適用しないことになつておるのであります。これは競争関係にあるものだけについて、特定共同行為禁止するのが妥当ではないかと思います。言いまするならば、同業競争関係にある場合その他類似の場合だけについて適用をする方がいいのではないかと思いますが、この点についての御見解を承りたい。
  14. 横田正俊

    横田(正)政府委員 第四條のただいまの御質問趣旨は、私たちも、この法律のねらつておりますところは、大体そういうところにあるとは考えておるのでございまして、ただ私たち言つておりますいわゆる縦の関係協定というようなものにつきましては、なお今後いろいろ解釈上検討余地がございますが、しかし現在までの適用におきましては、大体お示しのような気持でこの法律適用しておるつもりであります。
  15. 福田喜東

    福田(喜)委員 路線の問題に関しましては、こういうような、官庁の方で独禁法精神と真正面から衝突しておるものが、私の場合だけでなくて、その他いろいろあるようでありまして、同僚委員からも関連質問要求が出ておりますので、多田委員関連の御質問を願いたいと思います。
  16. 多田勇

    多田委員 ただいま福田委員質問されましたのは、要するに、国が特定私企業を擁護するために不当な圧迫を加えるという場合の問題のようでありますが、委員長はこれに対して勧告したような場合もあるというようなお話であります。委員長のお考えと、福田委員質問の内容が、相当隔たりがあるのではないかという気がいたしますので、これをはつきりさせておくことが必要だと思いますので、私から関連して質問申し上げたいと存じます。  先ほど一つの例があがりましたように、たとえば国鉄バス一定の地域に引きたいというような場合に、国鉄バスを引くために、それに関係のある民間輸送業者があるいは不利益をこうむるというような見地から、同じ監督官庁である陸運関係監督者が、国営バスの開通に対して反対をするといつたような場合、すなわち国が特定私企業を擁護して、その私企業独占支配を強化させようというような場合には、独占禁止法対象になるか、ならないか、この問題だろうと思うのでありますが、こういつた場合に対する公正取引委員会としての考え方を、この際はつきりさせておいていただきたいと思います。
  17. 横田正俊

    横田(正)政府委員 先ほどの御質問趣旨を多少誤解しておりましたふしもあるようでございますから、あらためてはつきり申し上げます。政府自体が、事業者働きかけによりまして、ある処分をしたり、しなかつたりした結果、その働きかけたものと競争関係にある他の事業者事業活動が拘束せられたという場合に、これは独占禁止法等対象にならないかというようなお問いのようであります。私は先ほど、政府に対して公取はいかなることをやつたかというような面だけを申し上げたわけでありますが、御承知のように、独占禁止法は、実は事業者のみを対象にいたしておりますので、政府をいわゆる不信任して処理をするということはもちろんできないわけでありまして、その面におきましては、政府に向つて正しい行政をするように、われわれの方で好意的に勧告をするという道しかないわけであります。しかし他の事業者政府を動かして、その結果、その自分競争関係にある事業者事業活動を拘束するという場合には、これは場合々々によつて非常に違うかとも思いますが、政府をいわゆる道具に使いましてそういうことをしたということがはつきりいたしますれば、これはやはり独占禁止法対象になり得る場合があるだろうと思います。そういう場合につきましては、もちろんいろいろな処置がとられることと思うのでございます。例をとりますれば、今般の例の操短問題につきましても、もしあの操短が、事業者がちやんと話をつけておりまして、單に政府働きかけることによりまして政府勧告というような形をかりまして、そうして実質上に自分達競争制限するということをやつているという、そういうものの見方ができますれば、あるいはただちに独占禁止法違反というふうに考えられるのではないかとも思うのでございます。それと同じような問題が、やはり政府に対していろいろな働きかけをしますことによつて、他の事業者事業活動を拘束するという場合にあり得るかと存じます。この点は各具体的場合についてよく検討いたしまして、今後善処いたしたいと思つております。そういう種類の事件が、実に私どもも非常にたくさん痛感してもおりますし、なお私どもの目の届きません部分につきましてたくさんあるではないかと思います。われわれの知りますのは、関係業者が、まことに不当であると言つてわれわれの方へ求訴いたして参りますものに基きまして知りますとか、あるいは新聞紙上に出ましたものにつきまして知るのでございますが、なおたくさんありはしないかと思いますので、この点は、はなはだ貧弱である機構ではございますが、その機構を十分に動員いたしまして、御承知のような問題につきましては、法律範囲内において許す限りの措置をいたしたいと考えております。
  18. 多田勇

    多田委員 ただいま話題になつておりまする運輸関係については、相当方々において問題があるように聞いております。ことに陸運当局が、たとえばバス路線認可するというような場合、あるいは営業を認可するというような場合に、公聴会を開いておりますが、この公聴会そのものが、非常に特定利益を代表するものの集まりになるというような関係で、公正な公聴会といえないような場合が相当多いようでございます。従つてその公聽会の意向が陸運当局相当支配して、むしろ陸運当局公聽会に支配されるというような傾き、従つて特定企業者特定なものを擁護するような形においてこれが処理されておるということが相当いわれておるわけでございます。こういつた場合に、公正取引委員会としてどのような措置を今までとつたことがあるか。九州大分県かどこかで、バス路線に対して公正取引委員会が取上げたというような問題も聞いておりますが、これは全国各地にある問題でありまして、ことに交通関係につきましては、一般の住民が非常に希望しているというような、公共利益を度外視してまで不当な措置をされたというようなことも聞いておりますが、こういう場合に、当然その所管官庁に対して公正取引委員会勧告をするなり、あるいは公聽会の背後をいま少し見きわめてその措置をすることが、公共利益になることだろうと思いますが、今までそういつた措置とつ実例がありましたら、ひとつ示し願います。
  19. 横田正俊

    横田(正)政府委員 九州バスにつきましては、お示し通り委員会でもつて取上げまして、その結果、事業者団体がはなはだ不当な活動をしておることがわかりましたので、これはたしか審判開始をいたしまして、解散を命じたと覚えております。なおその他私の記憶いたしております範囲内で、たしか静岡県あたりの新しい路線免許問題につきまして、やはり同業事業者団体働きかけをいたしまして、その新しい事業者の出るのを妨げようとした問題につきましては、これもやはり審査部で取上げましていろいろ検討いたしましたが、この方はそれほど積極的な、特にその業者を排斥するというような趣旨はつきり認められませんので、そのままにいたしたかと思つております。なおこれは運輸関係ではございませんが、また問題がはなはだ離れまして、とつぴでございまするが、たとえばおふろ屋さんの問題等につきましても、これはやはり関係当局の方へ同業者の人が働きかけまして、新規事業者の出ないように、いろいろな工作をするというような問題が至るところにあるようでありまして、これらにつきましては、そのはなはだしいものに——たしか九州方面でそういうはなはだしいのがあつたかと思いますが、これは事業者団体法のいろいろ事業者の数の制限というような規定をひつさげまして調べました結果、これはたしか開始決定をするまでに至りませんでしたが、事実上強くこれを戒めまして、始末書をとつて済ましたというような事例もございます。ただいま思いつきましたものを二、三申し上げましたけれども、このほかにもいろいろあつたと思いますが、御要求によりまして資料は適当なときに提出いたしたいと考えます。
  20. 多田勇

    多田委員 民間がそういつた行動をした場合に対する措置お話通りでありますが、今一番問題になつている点は、関係行政官庁がそういつた指導的立場に立ち、あるいは今お話のように、国営バスを引くことが住民にとつて利益であるにもかかわらず、そのバスを引くことが特定私企業を圧迫する、私企業不利益を與えるといいますか、私企業を擁護するために、行政官庁がそれに対して反対的な態度をとるというようなことが問題の要点になつておるようであります。     〔永井(英)委員長代理退席委員長着席〕 たとえば電気料金をきめます場合に、各電力会社料金算定をして、公益事業委員会申請をする。しかもその料金算定というものは、各電力会社相互間で打合せの上で、一定基準率をきめて申請をされたという形跡が、十分はつきりしておるように私どもは聞いております、ことに火力電力につきまして、個人の企業者の持つておりまする火力発電の実際のコストと、電力会社火力電力発電に要する経費との間には、相当差があるように私ども実例をもつて聞いておりますが、そういつた場合に、それらの電力会社料金協定をして、これこれこの程度に値上げをしたいということを公益事業委員会申請をするというような場合、あるいはまたそれまで申していいかどうかわかりませんが、一つの例としてわかりやすく申し上げるために名前を出しますので、その点はひとつ御了承願いたいと思いますが、たとえば一つ官庁——かりに公益事業委員会が、いろいろな観点から電気料金を値上げしたいという実情に迫られまして、各電力会社に一応の指導をするといつたような場合、あるいはまた一つ交通機関認可するために、行政官庁としての一つ考え方のもとにいろいろな面を顧慮するといつたような場合、それがひいて私企業独占を助長するというような傾向のあつた場合に、それらの行政官庁に対して、公正取引委員会として、正常な民間企業活動を育成するために何らかの措置をとることが、現行法では不可能かどうか。不可能だとすれば、それに対して現在どのような考え方を持つているか、その点をこの際はつきりお示し願いたいと思います。
  21. 横田正俊

    横田(正)政府委員 それらの問題につきましては、先ほど来申しておりますように、政府働きかけます公取権限というものは、たしか独占禁止法第四十二條等にそういう気持が現われておりまして、独占禁止法律の施行上必要と認めた事項を公表するとか、あるいは国会に対していろいろなこの法律事項に対していろいろ意見が述べられるとか、そういうような規定にかんがみまして、やはり同僚行政庁に対しても、独占禁止法的な観点からみましておもしろくないような行政執行あたりまして、いろいろ忠言をする権限があるというふうにわれわれは解しまして、いろいろ申入れをしているのでございますが、しかし正確な法律的な根拠は実ははつきりはしないわけでございます。なおその一つ前の問題といたしまして、それらの行政庁があるいは認可その他の処分をいたしまするのは、いずれも法律その他これに準ずるものによつてやるわけでございますので、その認可基準その他認可手続等につきましては、なるたけ独占禁止法趣旨が守られますような認可基準なり、あるいは手続というものをつくつてもらいますために、それらの法律の制定なり、あるいはその改正なりにつきましては、われわれの方で非常に積極的な働きかけをしておるのであります。これはむしろ、公取は何でそんなところまでよけいな口を出すかと言われるまでに——実はわれわれの方の調査部法令調整に関することを仕事にしておる課がございまして、独占禁止法精神を、なるたけそういう行政規定法規の中に盛り込むことを鋭意やつておるようでございます。しかしこれも行政庁の方で、さようなしつかりした認識を持つていただかなければならぬことでありますし、ことに法律につきましては、問題は国会にかかるわけでございますので、まず第一段にはそこに一つの問題がございますのと、それからその法律の具体的な執行につきまして、やはりわれわれはできるだけの忠言をいたして行きたいと思つております。しかし独占禁止法の上ではその点は必ずしも明白ではなく、ときにはさかねじ的に、公取は何をよけいなことを言うかということを言つて参りました場合に、第何條に行政庁に対してこういうことが言えることになつておるというようなことは、実は表向き言えないことが普通になつておるわけでありまして、はなはだしいものは、事業者を先ほど申しましたような観点からとらえて、それをわれわれの審判の対象とすることによりまして、間接に行政庁の反省を求めるというような場合もあるのでございます。たとえば、たしかしようちゆうが非常にふえまして、何とかこれを操短と申しますか、倉荷を倉から出す、倉出しを制限するというようなことを業者が考えまして、しかし協定でやつたのではどうも違反になるということで、大蔵省に働きかけまして、税法上のある規定に根拠を持つて、大蔵省にやつてもらおうと思つたらしいのでありますが、大蔵省はそれに基きましてある命令を出しました。しかしこれは何も行政庁法律によつたものでないという建前でございますので、われわれはそれを取上げまして事件にいたし、これは審決して片づいたのであります。今の場合は業者側から持ちかけたのでございますが、行政庁自体がいろいろなことをいたしまして、もしそれが何らかの観点において独禁法に触れるという問題が出て参りますれば、われわれはそれを通じまして是正策を講じたいと考えます。しかし何分根本は公取権限につきましても、もう少し明確な規定がほしいということが、われわれ全部の感じておる点でございます。
  22. 多田勇

    多田委員 法の欠陥といいますか、現在の法ではなかなか行政庁に対して措置することが困難だということはよくわかるのでありますが、行政官庁という一つの権力を持つておる立場にある者のいろいろな動きによつて迷惑をこうむるのは、今お話のように民間企業体でございます。たとえば操短の問題にしましても、あるいはまたしようゆの価格協定の問題にいたしましても、その他いろいろ実例があるようでありますが、これらの問題は、すべて行政官庁から指示なり勧告なりが出て、その結果民間企業者が政府勧告なり指示なりに協力する、その結果が独占禁止法なりあるいは団体法なりの違反として取上げられたというのが今までの傾向でありまして、これに対して何らかの措置をしなければ困るのではないかというようなことが考えられるのでありますが、こういつた点について、独禁法はもちろんのこと、他の行政官庁関係のある法令に対して、どの辺に欠陥があるかというような点について調査検討された事実があるかどうか。もしあるとすればその内容を承りたいということと、いま一つ独禁法そのものについて、根本的に再検討しなければならない時期になつておるように感ぜられるのであります。すなわち輸出組合法ができ、あるいは中小企業に対する安定の臨時措置ができ、あるいはまた操短については先般委員長からお話がありましたように、近く必要とすれば立法的な措置を講じたいということになりますと、独禁法そのものの性格と申しますか、これを根本的に再検討しなければならない時期ではないか。それはすなわち日本の底の浅い弱い経済を強化するためにも、独禁法検討はどうしても必要だと思うのでありますが、それに対する公取側の御見解をお伺いしたいのであります。
  23. 横田正俊

    横田(正)政府委員 ただいまの行政庁のそういうような機構なり、あるいは行政やり方に関する法令やり方につきまして、公取が何か検討を加えたことがあるかという点に関しましては、これは折に触れまして先ほど申しました法令調整の係において、運輸あるいは通産関係、その他、常に検討いたしておるわけでございまして、たとえば今度の操短の問題についても、ああいう勧告をすることの法律上の根拠というようなものについての検討をいたしておるわけでございます。しかし何分これは非常に範囲の広いものでございまして、わずかに五年間のこの短期間におきましては、まだ申し上げるほどのはつきりした結論は出ておりません。なおそれらの問題と関連いたしまして、独禁法そのもののあり方につきましては、これはわれわれの最も重大なる関心を持つておる問題でありまして、この点は先ほどきわめて簡単に、われわれの根本的な態度を申し上げたのでございますが、御承知のようにこの日本独占禁止法は、疑いもなくアメリカの反トラストの線でできておりまして、いわゆる協定その他事業活動制限、カルテルそのものを悪と一応みなしまして、例外的に必要なものはこれを除いて行くという根本の考え方に基いております。それに対しましていわゆるカルテルはいいものもある、悪いものもある。悪いものを取締るという、いわゆるカルテル取締り的な法制が、これと対立して考えられるわけでございます。日本といたしまして、はたしてアメリカ流のこういう徹底しました反トラストの線をとるのがよろしいのか、あるいはカルテルを取締るという程度の法制の方が日本の国情に合うのであるか、この根本の問題は非常に重要なことでございますし、それこそ徹底的に検討いたさなければならぬことでございますし、国会方面におきましてもこの点は十分に御研究のことと思いますが、これは今後の問題といたしまして、至急に検討しなければならぬと思います。しかしながらわずかに五年の経験でございまして、いろいろ司令部相当強い監督下に仕事をとつて参りましたような関係もございますので、私たちの希望を申し述べさせていただきますれば、一応反トラストの線が日本の国情に合うか合わぬかについて、いま少しの期日をかしていただきまして、その結果いよいよいかぬものでございますれば潔く法律改正していただいてもいいのではないかというふうに考えておるのであります。この点は前からも申し上げておりますように、実は外国に対する関係相当考慮しなければなりませんので、そう簡単にはきめられない問題かもしれないと思いますけれども、われわれの今考えておりますることを率直に申し上げますと、大体そういうようなことでございます。
  24. 福田喜東

    福田(喜)委員 多田委員質問に続きまして、私質問を続行いたしまするが、わが国現行の独占禁止法の諸規定というのは、あまりに嚴格過ぎているため、本法制定以来の実情に照しまして、日本経済活動を無用に萎微せしめている点もありましようが、これを嚴格に適用せざるがために、自由経済の活溌なる運行を阻害しているところが非常に多いと思うのであります。この点は、われわれは全委員会をあげまして、われわれ同僚委員とともに、この点の活動公取に御援助申し上げるのでありまするから、ぜひとも本法趣旨を嚴重に適用していただきたい。これは自由経済の建前上私は当然だろうと思います。つきましては、まず第一点にお伺い申し上げたいのでありまするが、一体本法適用というのは公企業体に対しましてはどういうふうなお考えでありましようか。
  25. 横田正俊

    横田(正)政府委員 大体今までのわれわれの考え方を申し上げますと、国その他の公企業体の事業につきましては、一応適用がないという建前で実は来ておるのでありますが、しかし、これはたとえば国自身があるいは公社が鉄道事業というようなものをやりまする場合に、それが公企業体がやるがゆえに当然に事業者ではないというふうになりますかどうかにつきましては、実はいろいろな考え方があるのでございまして、その点につきましてのわれわれの態度がもう少しはつきりいたしますると、われわれの取上げる事件範囲がある程度広まりまして、先ほど来申されておりますような不都合な問題の幾分は、独占禁止法の視野の中に入つて参りまして、これを問題として取上げることができるということになろうかと思います。この点は、まるで問題は違いますが、たとえば商法等におきましては、国なりその他の公企業体が事業をやります場合に、もちろん商法の適用がある——特別法でその例外を認めません限りは、商法の適用があるのでございまして、問題は全然違つた独占禁止法の問題ではございまするが、そういうような考え方がやはり独占禁止法の問題としましてももつと検討しなければならぬものと考えております。この点はもう少しわれわれの方で愼重に考えてみたいと思つております。
  26. 福田喜東

    福田(喜)委員 公企業体に対する適用につきましては、委員長の御答弁でございまするが、これは私は独占禁止法法律趣旨からいいまして、かりにそういうものが適用がないとしますと、私企業に対してはこれを適用して、国家と申しまするか、国家の、行政方面経済活動の現われについては、こういうものが適用にならない。かりにそういう考え方であるならば、これはまつた独占禁止法を助長するので、めちやくちやだ。これは将来の改正の場合等においても、十分御考慮いただきたいと同時に、現在の独占禁止法趣旨からいつて、この点は厳重に委員会としては実施さしていただきたいと思うのでございます。私はこれは行政官庁として認可権、許可権を持つているところから、この独占禁止法違反を続々として犯しておるというのが今日の現状であろうと思います。この点についてもう少し活溌なる委員会活動を希望する次第であります。たとえて申しまするならば、交通業におきまして、日通というものがいかなる暴威をふるつているか、これはさつき多田委員も申されましたが、公聴会を開くというような場合においても、大体そういう連中が集つて来て、そうして競争関係の者が、民生の安定、地方の経済活動のためにそういうようなものを許可してもらいたいといつた地元民の意向がもりもりと盛り上つておるような場合にも、これを阻止している、これが実態であります。私は国鉄当局には、さつき申し上げましたわれわれの地元の豊州鉄道の問題につきましても、はなはだ御同情ある態度をとつていただきまして、国営バスをいつでも乗り出してやる——けれども運輸省監督局の当局、それから地方の陸運局というものは、地方の交通会社なり日通なりの擁護機関である。独占禁止法というものは、国家が制定しておきながら、一方においては行政官庁独占を助長して、経済を破壊しておる、自由経済原則をぶちこわしておるといつてもこれはさしつかえないだろうと思う。この点について十分御調査をいただきまして、先ほど勧告はできるということでありまするが、これはわれわれ委員会をあげて公取活動というものを御援助申し上げる次第でありますから、十分なる御調査と御勧告をいただきたいのであります。
  27. 前田正男

    前田委員長 多田勇君。
  28. 多田勇

    多田委員 公益事業委員会にお尋ねいたしたいのですが、これは公正取引委員会との関係がございます先般問題になりました東京電力の問題でございます。東京電力の株主総会に、旧日発側が株主権を行使したということが問題になつておるわけでありますが、先般の本会議におきまして、松本委員長は、旧日発が株主権を行使したことは不当であるというような見解を述べられておるようであります。公取側としましては、合法的に当然旧日発が株主権を行使することが至当であつたという見解のようでございますが、公益事業委員会側の、旧日発の株主権の行使が不当であるという御見解の根拠をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  29. 宮原清

    ○宮原政府委員 あいにくあまり私は法律に詳しくないので、十分な御返事ができないのでございますが、私の了解しておるところでは、要するに清算事務に移つた会社が、当然すでに処理されるべき株式をそれぞれ交換と申しますか、交付した後であれば、それらの株式が相当に株主の意思を株主総会に反映する。しかるにそういう事柄が不幸にして途中でありますために、それがしつかり反映するような方法が進んでおらないという間の処理としては、その株主権の行使をする立場におる者は、日発の総裁という清算人ということでもちろんさしつかえないのであります。ただ松本委員長が本会議で御答弁になりました事柄を、そのまま敷衍いたしまして申せば、いわゆるそういう場合における清算人の行使する範囲事項であるかどうかということに疑問があるし、いささかそれは権利の濫用である。一々それらの人の意見を聞くことなしに、一個の清算人として自分の意思表示をすることによつて、それだけで多数の株主の意向の集結なりということは、いささか度を越えておるということで、いわゆる権利の行使の部分としての範囲が少し広汎にわたり過ぎておる。つまり一人だけの判断でそうするということは間違いだということにあると思います。要するに権利の濫用だということにあつたと思うのであります。従つて私の了解しておる程度はそれだけでありますが、松田さんからかわつた意見でもあれば御説明願います。
  30. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 ただいま宮原政府委員からお述べになつたので盡きておると思うのでありますが、先日の衆議院の本会議、あるいは参議院の本会議、また昨日は通商産業委員会で、委員長答弁しておりますので、速記録をごらんいただけばなお詳しくわかると思うのであります。委員長の申し上げましたことは、簡單に申しまして、第一点といたしましては、本来経済力集中排除法に基きまして、それぞれの排除が行われたわけであります。その場合に、一般の場合には大体株式の処分等も、排除が行われてから一年間くらいは行われる。そうしてそれによつて本来の株主と申しますかが、半年以内ぐらいには株主権を行使し得る場合が普通なのであるけれども、何分にも日本発送電のような大きな規模の電力会社を、集中排除法によつて排除した場合に、今の株主権の株式の調整と申しますか、株式を本来の株主に還元するというような手続には相当時間もかかることであろう。従つて一般の例とは異つて、一年の期限を置くようにしたのだ、一年たてば株式につきましても本来の株主に還元されておるだろうし、従つてその際正しいと申しますか、本来の株主が株主権を行使し得るんじやないか。そういう意味からいたしまして、最も重要な電力会社の運営に当るような意味での役員の選任の問題について、当初は委員会の方できめたのでありますが、そういう本来の姿でない形できめてあるので、従つて一年間を限つて当初の役員の任期はきめたんだ、ところがどういう理由か、結果において日本発送電に関しては、一年間たつてもなお本来の株主に対する株式の還元が終つておらなかつた、そういう場合に、たとい法律上は旧日発清算人が株主権を行使し得るということになつてつても、実際株主権を行使するについては、相当制限があつてしかるべきじやないか、それはまた一方から申しますれば、商法の規定から申しても、清算会社の権限というものは、要するに清算事務を早く完了するというところにその職責があるのであつて従つて新しい会社に対する役員等について、株主権を行使するということをかりに認められても、その株主権の行使については、おのずから執行の限度があると解してしかるべきではないか。こういう意味で、それを越えたような株主権の行使であれば、それは権利の濫用というような範疇に入るべきではないか、こう申されたように存じております。なお詳細につきましては、先ほど申しましたように、速記録をごらんになりますならばたいへん仕合せと思います。
  31. 多田勇

    多田委員 今のお話で、確かにその考え方一つ考え方として拝聴しましたが、そういたしますと法的にもいろいろ問題があるし、実際の面でも今言われましたように、一年後に役員の再選考を行うという趣旨に基きまして、旧日発側の株主権の行使ということは非常に大きな問題になつて来たわけでございます。ところが公益事業委員会は、この株主権の行使の問題、これが單に東京電力だけでなしに、各電力会社の役員の再選考に相当大きな影響があるにもかかわらず、それに対する措置が、公益事業委員会側として、はたして適当な措置がとられたかどうかということが、疑問になつておるわけでございます。私どもの聞く範囲では、株主権の行使の問題については、その責任官庁ある公正取引委員会に対して、何らの申出なりあるいは折衝なりされたというような事実を聞いてないのでありますが、この点について公益事業委員会としてどのような措置をとり、どのような折衝をされ、その結論がどのように生れたのであるか、その間の事情をひとつ御説明願いたいと思います。
  32. 宮原清

    ○宮原政府委員 これは実は速記録などによつて私は承知した程度でありますから、その辺についてはなおいろいろ速記録に対する私の見方の違いがないとは保証できませんが、確か五月の十六日に、書面をもつて公取の方へ委員会のこの点に関する最小限度の希望を申し上げてありますが、その点は何らの処置をとらなかつたという意味ではないと思います。もちろん役員の選任は昨年の五月一日からの役員をきめましたときで、公益事業委員会の方の職責は済んでおるわけでありまして、それ以上かれこれ干渉がましいことを言うことは必ずしも当然の権利ではないと思います。もちろん会社の運営等について、適当に行わなければならぬという個々の問題についての折衝はいたしますけれども、選任そのもののことについては、かれこれ申す限りではないという程度に私ども承知しております。しかし結局再編成後の短期間についての仕事の経緯から見ますると、簡單に今までの一応の陣容を持つた個々の会社のバランスのとれた統制を、人を置きかえることによつてにわかにかえる。但し現在において最も窮迫しておる電力の増強をするという仕事の運営上、混雑をきわめまして得るところはなはだ少い。願わくは今の特別な仕事の上の間違いがあつたとか、あるいははなはだ混雑しておる。不適当であるとかいうことでない限りは、それらの人を大幅にかえるようなことはもちろん必要でない。変更をある程度の所在の意見によつてかえたくないということは考えておつたのでありますから、それらの点についての希望を申し述べたのでありまして、従つて公益事業委員会としても無関心ではありませんで、正当な事柄に対するとりはからいは、ことごとく公正取引委員会の方に権限もあり、義務もおありだと、こう考えております。なおかつ株式をすみやかに交付したか、しないかということについても、実は絶えずこちらから言うことではございませんでしたが、もう少し早く行われるべきはずであつたかのように考えておりまして、いよいよまだそれが交付がないのだということを聞きました時分には、それは困つたことだというくらいなことをわれわれは考えておつたような次第であります。従つてただいま御質問のどういう経緯であつたかと申しますと、しいて申せば非常に接触を密にして、かれこれ言うことはいささか干渉に属するというようにも考えておりました。しかしながら最終的にもそういう巻間伝えるようなことがあつてはならぬということについての気づきは、委員長からじきじきに公取委員長に書面を差上げておるのでありまして、従つてそれに関するいろいろのお打合せも、松田事務総長あたりが始終御折衝申し上げて、事務的なことについてのお打合せは一応したはずであります。この程度に考えております。
  33. 多田勇

    多田委員 五月十六日に書面をもつて公取に対して申出をされたということでございますが、ただいま問題になつておりまする日発の株主権の行使の問題については、その書面では申入れをしてなかつたように聞いておるわけでありますが、あとでその内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。しかも私どもの聞いている範囲では、公取に対して五月十六日に申入れをした内容の重点は、現在の役員を絶対に変更しないようにしてほしいという申入れをしているようでありますが、先ほど来宮原さんが言われました東京電力の人事には、公益事業委員会としてあまり関與しないというお話とは、大分かけ離れているようであります。しかしながら現在の役員を変更しないでほしいという申入れ、現在の役員を変更しないためには、どうしても旧日発側の株主権の行使ということが大きな問題になつて来るはずであります。しかも集排法に基いて旧日発の集配が行われて、しかも大体予定されました一年以内に株式の分配が行われないという事実は、東京電力の株主総会の前、すなわち五月十六日に公取に対して申入れをした際にも、それははつきりわかつてつただろうと思うのであります。ところが役員の変更に対しては、反対の申入れをしておきながら、株主権の行使の問題に対して、何らの申入れをしなかつたということが、どうも私どもには納得が行かないのであります。表面現われた事実からしますれば、これは東京電力のあのような紛擾を起したという直接の原因が、公取側が旧日発の株主権の行使を認めた点、あるいはまた新たに役員候補者を十三名承認した点にあるように一般には受取れるようでありますけれども、この問題直接の監督者である公益事業委員会が、株主権の行使の問題について具体的に措置をしなかつたのではないか、こういうように思うのでありますが、何ゆえに役員の選任について、重大な影響のある株主権の行使の問題について、正式な措置をせずに、役員の変更に対して反対の申入れをしたのか、その間の事情を簡單でけつこうですから、わかりやすくひとつ御説明願いたいと思います。
  34. 宮原清

    ○宮原政府委員 ただいまの御質疑はごもつともであります。私ども一応そういう疑問をお持ちだろうと思いますが、先刻私の申し上げました干渉にわたらないように、という事柄の考え方程度によつての言葉のあやに属するようであつて、あるいは御納得が行きにくいかもしれませんが、一応お考えいただきますれば、多少の説明になるかと思います。と申しますのは、つまり希望は述べましたが、そうしてくれなければいけないのだという強い事柄を申し上げる権限はこちらに全然ないのでありまして、つまりそういう事柄についての推移をあらかじめ公取から承つておらないのでありますから、公取からかくかくということを申されておれば、すなわち株主権の行使、株式がちやんと還元されておらないかどうかということが説明を添えて、それについて公益委員会意見はどうだということをお尋ねをいただいたことではないように承知しております。しかしこれは松田さんに聞かないとそのお話の実際はわかりませんが、私はさように承知しております。従つて委員会が書面をもつて申入れたことは、最小限度においてどの程度のことを御考慮いただく用意を——またもつと碎いた内輪話を申し上げれば、そういう立場において、株主権の行使の中で、人事の問題にまで入れるような大きな権限が今の日発総裁にあろうとは考えておりませんけれども、すなわちそれがいわゆる権利の濫用なりという論理が介在しているところでありまして、そういう事柄でありまして、ある意味からいつて絶対的にそういうことを緊密に処理することの用意に欠けておつたということは、これは相互にあることでありまして、その間別に不用意にこの方をネグレクトしておいて、そうして一方で、やかましく言つたというほど強いことを申し上げたのではありませんが、かくては権利の濫用になるという意味合いを含めて、公取の方でもそのことについて十分御注意をいただけることと存じて、その建前において委員長から申入れたことの解釈を敷衍して御説明申し上げた、かように承知いたしております。なお私が事実の認定を間違えておるかもしれませんから、重ねて松田総長からそれについて補足をしていただきたいと思います。
  35. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 それでは第一点の、こちらから五月の十六日に申し入れました点を、簡單に要旨を申し上げますと、二点を申し入れたのであります。第一点につきましては、たとえば今回の電気料金の改訂の際におきましての衆参両院のそれぞれの委員会において、電気料金の改訂の前提としては、どこまでも各社の企業の合理化が必要である。特に役員の問題については、非常に多いように見受けられるので、何とか役員の数についても考えてもらわぬと困るという御意見が非常に強かつたのであります。私どもの方の松永委員長代理も、それに対しては十分御趣旨に沿うように指導したいという答弁もいたしておるような次第でございます。そういう実質上の問題からいたしまして、この際役員の増加というふうなことについては、特別の事情のない限りは、そういうことが行われないように十分お願いをしたいという意味のことが第一点であります。第二点としましては、現在の電力会社の役員としましても、それぞれ和衷協同して熱心に電源開発その他の点について努力をしておるとわれわれとしては思うので、従つて、たしかそのときに使いました字句は、いささかの役員の変更せられることすらどうかと思うというような用語を使つたと思いますが、つまりよほどの理由のない限りは、そういう役員の変更ということも、この際は、特に日発の株式等についても、先ほど申しましたように本来の株主に還元されておらない今日なのであるから、そういう点も十分ひとつ御考慮願いたいという二点を申し入れておいたのであります。それからなお、それだけでは片手落ちではないか、もつと株主権の行使等についてなぜ公取の方に申入れをしなかつたかということでありますが、それにつきましては、実は口頭ではそういう点につきましても、委員会の率直な考え方は申しておいたのであります。なお、実は書面で申入れをいたしましようかと思つたのでありますが、その点について、公取の方の一部の方にも御相談をいたしたのでありますが、趣旨はよくわかつておることであるから、そこまでする必要もないだろうというような御親切な言葉もありましたものですから、かえつてこちらからいかにも公正取引委員会に対して何か圧力を加えるといつては語弊があるかもしれませんが、そういうような干渉がましいことをあまりすべきではないと思いまして、書面につきましては今申しました五月の十六日付の書面を提出いたしておきました。なお法律上のそういうような問題につきましては、権利の濫用論まではもとより持ち出しておりませんでしたが、今申しました株主権の議決の行使については、必要に応じては現在法律上とられる措置を、公正取引委員会の方でもお考え願いたいという意味のことは、申入れはいたしておいたのであります。
  36. 多田勇

    多田委員 お話はよくわかるのです。公取に対して圧迫を加えるようなことのないようにという気持はわかるのですが、役員の定員の問題、あるいは現在の役員に対してもいささかの変更をしないようにというような、相当きつい申入れをしておるにかかわらず、一番大きな問題である旧日発の株主権の行使については、何らの措置も、また申入れについては何ら触れていなかつたということは、私どもとしてはどうも納得が行かないのでございます。もちろんその間にいろいろ事務当局として折衝されたことだろうと思うのでありますが、少くとも一年後には役員の再検討をするということであれば、東京電力は株主総会において当然現在の役員以外の者を加えた中から役員を選任するということが、集排法の建前だと考えておるのでありますが、それにもかかわらず現在の役員にいささかも変更を加えないでほしいという申入れをしたこと、さらにまた先般の本会議質問されました質問者のいろいろな説明の中に、東京電力の株主総会で公益事業側の委員なり、あるいは事務総長が別室においていろいろ指導的な役割をとつた、これはもちろん指導的な役割をとつたと私どもは考えておりませんけれども、それほど東京電力の株主総会に対して重大な関心を持つてつたにかかわらず、こういつた手落ちといいますか、あるいは故意にそういつた措置をしなければならないような事情があつたのかどうか、そういつた点一般には非常に疑惑をもつて見られておりますので、そういつた措置をとらざるを得ない、たとえば旧日発の株主権行使について、はつきり申入れなり、話合いなりすることが困難だつたというような事情があつたのかどうか、いま一つは旧日発側の株主権の行使について、その行使を阻止するような法的措置がとれる余地があつたのかどうか、その点について双方の委員会からの御説明を願いたいと思います。
  37. 宮原清

    ○宮原政府委員 松田事務総長から御答弁させていただきます。
  38. 松田太郎

    ○松田(太)政府委員 お話のように私の方で書面をはつきりお出しすべきであつたという点につきましては、先ほど申しましたような経緯でございますが、その点はそれで御了承を願いたいと思います。  それから第二点のただいまのお話につきましては、率直に申し上げますが、私どもの方といたしましては、公正取引委員会の方から今の株主総会の前日であります。たしか五月二十八日かと記憶いたしておりますが、その日に、けさほど日本発送電の方から新たに三人の方を追加するという話があつた。それぞれのお名前もそのとき承りました。それについて先ほど東京電力の方にも話をしておいたが、公益事業委員会としてそれに対してどう考えておるか、言いかえれば何か妥協をするような道がないか、その点について公益事業委員会としての考えを聞かしてもらいたいというお話がございました。実はそのとき私が伺つたのでありますが、帰りましてちようど委員五人おそろいでありましたが、全部おはからいをしたのであります。ちようどそのときに東京電力の社長が参りまして、それは実は公正取引委員会の方に、東京電力としてその話を承つた結果に基いて相談の結果、やはり現状で行きたいという返事をせられた。その足で実は私どもにも参られました。実はこういうことでお話をして参つたからという固い決意をいたしておりました。従つて公益事業委員会としても、その際これ以上どうすることもいかがかということで、その点については公益事業委員会としてもさらに勧奨して、妥協の道を開くということも非常にむずかしいから、そういうことはこの際しないつもりであるということを、実は公正取引委員会の方には御報告をしておいたのであります。その夕刻になりまして、公正取引委員会の方からさらに御連絡がありまして、実は東電の方の役員は十四名という原案になつているが、それに三名目発の方から申入れがあつたので、計十七名になつたが、その十七名のうちで十五名以内を限度として、この役員の選任の議案については承認をしたというお話があつたのであります。従つて文字通り申しますならば、十五名のうちにおいては、どなたをお入れになり、あるいはどなたを退けられるかということも、それは自由なわけでありますが、われわれと申しますか、委員長あたりとせられましては、まさか現在の社長あるいは常務等を取除いて、申入れのあつた三名をそのまま追加せられるというようなことはあるまいというぐあいに考えておつたのであります。ところが翌日の朝、いよいよ株主総会の日になりまして、今申しましたような案で臨まれるというようなことがありましたものですから、それで委員長もたいへん驚かれたわけであります。その場合に委員長は、昨日の委員会でも申しておりましたが、法律家でもありますものですから、そういう場合には、かりにそういう決議があつても、決議の内容という意味から決議無効の訴訟ができるのではないかというようなことはおつしやつておりました。それに対して、それ以上私からどういうような法律上の措置が講じ得ますものか、法律の専門家でございませんのでわかりませんが、そういうような話は、実はあつたのでございます。
  39. 横田正俊

    横田(正)政府委員 公正取引委員会の方からの問題を申し上げます。この問題には今いろいろ不幸な点があるのでございまして、先ほどの、五月十六日に公益事業委員会から相当きつい御意見の申し出がございました。その際に実はこの問題の非常にむずかしいことを痛感したわけでございます。ところがその後日発側から株主権の行使の申請をして参りましたのが、本来ならば総会前原則として七日ということになつておりましたが、これが多少遅れまして、と申しますのはやはり両方の意見の対立の結果、その間いろいろ折衝しておつたらしくて、日発の方もなかなか腹がきまらぬというような関係がございましたものですから、申請が遅れました上に、その申請書に新任の人を入れたいという希望だけございまして、その内容が実ははつきりしていないというような点もございました。いよいよぎりぎりになりまて、はつきり三人ということがわかつてつて、それからわれわれのほんとうの活動が始まつたわけでございます。その後の経過は、先ほど松田総長から申し上げた通りでございまして、結局公益事業委員会公取ときわめて密接な連絡を保ち、十分の意見の交換をする期間があり、また両方がその音頭をとつてつたならば、これほどまでの結果にはならなかつたであろうと思うのでありますが、そこに時間的にも、またいろいろな関係からいたしまして、その折衝の道がある意味においてとざされておつたということは、非常に残念に思つておる次第でございます。幸いにその後関係者がだんだん冷静に立ち返られたようでございますし、また間に立つて仲裁をしてくださるりつぱな方もおられるようでございますから、われわれといたしましては、積極的にこの問題に関與することはどうかと思いまするが、幸いにそういう妥結に向つて参りました場合に、われわれとして職務の範囲内においてできますることをやりまして、この不幸な事件の円満なる解決に資したいと考えておる次第でございます。
  40. 多田勇

    多田委員 よく事情はわかりました。最後に公益事業委員会側にお聞きしたいのでありますが、東京電力の紛争の善後処置といいますか、跡始末の見通しといいますか、どのようにいろいろ御心配せられておるのか、あるいはその見通し等を伺いたいと思います。
  41. 宮原清

    ○宮原政府委員 そう具体的なこと等について、ただいま皆さんの御満足の行くような材料は持ちませんが、こういう事業会社の運営に関する首脳部の異動ということは、実は非常に何でもないようであつて、簡單に参らない事柄でありますので、勢い今のように一応のことが整つて進んでおる際の人事異動については、今お話のあつたような委員会の立場であつたのであります。今回のように、ある種の人をかえなければならないというようなことになりますと、勢いここにどうしても何がしかの動きがなければならぬかのような情勢にあるかのように思いますが、しかし相互に思い違いとかあるいは少し行き過ぎたというような反省ができますれば、東電側としても何らか考えをいたすでございましようし、日発側の方でも、それらについての事情をよく了承せられるということに行くべきではないか。そうして一日も早くこの経営の主体である所在が、画然と仕事の上に立つて、指揮命令が徹底しなければ、事業自体の運営まことに憂うべきものがあると思うのでありまして、委員会といたしましても、一日も早くもしそういう話合いができるならば、それを援助し、もしくは力を添えるということを考えておるのであります。実は新聞紙上にも出ておりましたように、石川一郎さんは御承知のように経団連の関係と、また東電の役員の一人でもありますので、そういう東電の役員というような立場ではなしに、自分の信ずるところを双方に説くというような話で、これは承るところでは、東電ではすでに決議をして、石川さんに一任し、石川さんはみずからすべてを采配するには自分の力が足りないということで、たしか新聞の報ずるところによれば、加藤さんを煩わして、さらに御相談をした上で善処したい、こういうことになつておるようであります。しかし加藤さんという方は、たいへんりつぱな方だと存じますが、なかなか愼重に万事を考慮せられる方でありますから、さつそくにお引受けになるということ等については、まだ相当熟考して、自分一人でそれを引受けるにはやや荷が重いというふうに考えられておるように推察する向きもありますので、即座にとんとんということには参らないと思いますが、しかしこれらの方は、ともにこの事柄の成行きを憂えて、まことに遺憾だというておられるのであり、御依頼を受けられた以上は、何とかこれをまとめるということには十分に盡力することだと信じております。ただいまのところでは表面にも、また私の内部的に聞き知つた範囲においてもそれを一歩も多く出ておらないと思います。そういうことでありますが、できるだけ近い機会にそのお話合いが、先刻横田委員長もおつしやつた通り、冷静な立場において電気の仕事の将来を憂えるという立場に立てば、おのずからそこに一致した妥結点と申しますか、解決点があるはずだと信じております。どうかひとつ何かと外からも御支援をいただいて、円満にすみやかに解決するように、委員会の一員としても望んでおります。
  42. 前田正男

  43. 福田喜東

    福田(喜)委員 公取横田委員長にちよつとお尋ねいたしますが、この日発の清算問題は、これは代表清算人の清算株の株主権行使の問題だと思いますが、これはどうでございますか、名義書かえを一年以内に完了すべきのに、それが遅れていてかくのごとき事態になつたのですが、この場合の商法上の効力と、それから小坂さんが電力会社の人事について申入れたところの、つまり株主権の効力、旧自発株の株主権の効力でございますが、商法第四百九十八條第一項第十八号によつて、今後一般役員の選任の総会をもう一回開くということになるだろうと思いますが、その場合の株主権の行使者は一体だれか。清算が完了するに従つて小坂さんの株主権行使の範囲というものは非常に狭くなつて来ますが、そういう点についての法律上の見解はどうなりますか、承りたいと思います。
  44. 横田正俊

    横田(正)政府委員 清算が意外に遅れまして、結局日発がまだ株主であるという状態で総会に入りました以上は、やはり商法の観点から申しましても、自発が株主であり、株主として議決権を当然に行使し得るものと考えます。なおその株主権はこれを無制限に行使し得るかどうか、先ほどのいわゆる権利濫用の問題に関連して参るわけでございますが、この点はたびたび私からも申し上げましたように、もしこの株主権をまつたく自由な立場で行使するということになりますると、普通の株主はそういうことができるわけでございますが、この場合、そういうことがもし許されるとなると、非常におもしろくない結果も、場合によつては出ますので、この点は公正取引委員会の承認を得て初めて株主権は行使できる、こういうような承認制にかかわらせてあるわけでありまして、従いましてこのわれわれが諸般の事情から考えて承認をいたしましたその範囲内において、日発が株主権を行使いたしました場合は、一応これは効力があるものと、こういうふうに私どもは考えております。  なお四百何條というのは、これは少数株主でございましたか……。
  45. 福田喜東

    福田(喜)委員 役員選任の総会をもう一度やらなければならぬ……。
  46. 横田正俊

    横田(正)政府委員 この点は、残念ながら定時総会においてあのままの状態でございますので、これは会社の側の責任といたしましても、総会を当然遅滞なく開く義務がございまするし、またそれを怠りますれば、少数株主による議決権の行使というような場面も出て参るわけでございまして、この点この次の総会が、いつ、だれによつて招集されるかという点はまだはつきりいたしませんが、その場合にだれが株主として、日発が持つてつた株式の議決権を行使するかということは、これは五月二十二日に日発の株主に通知が出ておりまして、総会の翌日の五月三十日から六月の三十日までに株主の方から日発側に対して申出をすることになつております。その申出に従つてたしか株券引換証のごときものを各株主に引渡す、日発側ではたしかその時期に株主権が移るというように考えておるようでございますが、これはそういうふうに私は聞きましたですが、しかしこの点は、いわゆる株主名簿——総会は御承知のように株主名簿で招集状を発送いたすということになりますが、株主名簿との関係がどうなりますか。それによつてこの次の総会で議決権を行使する人の範囲が決定することと思います。
  47. 福田喜東

    福田(喜)委員 今度の総会とその次の、つまり役員選任の総会をもう一度開かねばならぬ。その場合なら株主権の行使者は同一でなければならぬのでありますが、その点、問題なんでございますが、かわつてもいいのですか。
  48. 横田正俊

    横田(正)政府委員 私はそうではないのではないかと考えます。これはその点をゆつくり考えたことはございませんが、どうも先日新聞に何か御意見を、どなたか弁護士の方が述べられておつたように思いますが、その点は私は非常に疑問があると思います。
  49. 福田喜東

    福田(喜)委員 公益事業委員会の方も、公取の御意見と同じでございますか。
  50. 宮原清

    ○宮原政府委員 ただいまの委員長お話なつたことは、少し專門に属する、解釈上の論議の余地のあるように、委員長の御答弁でも考えますが、私もそういう点についてしろうとでありますから、よく研究いたしませんと、軽々しく返事はできないと思います。しかし私としては、そういうことは法律論としての研究事項であることのほか、この問題に関する限りは、できるだけそういうめんどうなことのないように、十分事前によく研究し、結論を得て、すみやかにそういうことによつて争うことのないようにらちを明けたいというふうに考えております。今のは御返事になりませんが、ただいますぐ御返事できないという意味と御了承ください。
  51. 福田喜東

    福田(喜)委員 私はこの問題は独禁法としては初めてのテストケースであろうと存じまして、非常に問題を包蔵しておるのでございますから、愼重に御研究いただきたいのでございまするが、四百九十八條第一項第十八号によつて、もう一度役目の選任の総会を開かなければならぬ。その場合においては、少数株主権の建前上、前の場合に株主権の行使者は同一人としなければならぬのが原則であろうと思います。その場合におきまして、今度は小坂さんの方におきましては株主権の清算が進行するにつれまして、株主権の内容が非常に変更して来る。この点について十分な御研究をやつていただきたいと思うのでございます。この点についての私の質問はこれで終ります。
  52. 前田正男

    前田委員長 それでは電気の関係の問題はこれで一応終ることといたします。  それでは独禁法の問題に帰ります。福田君。
  53. 福田喜東

    福田(喜)委員 それでは独禁法の先刻の質問を続行いたします。  第四條でございまするが、第四條と同じ意味で、第六條の国際的協定または貿易協定の條項についても、競争関係にある事業者間の協定に限定して取締るべきであると思いまするが、この第六條に関する改正意見について、公取の御意見を承りたい。
  54. 横田正俊

    横田(正)政府委員 第六條につきましても、先ほど第四條について申し上げましたのと同じでありまして、われわれといたしましては、大体おつしやつたような線で仕事をしておるつもりでありますが、ただ先ほどちよつと申しましたように、いわゆる縦の協定というような一種の考え方もありまするので、この点はなお今後よく検討をいたしたいと思います。この点はむしろ法律改正というよりも解釈問題で、われわれの頭の切りかえがあるいは必要なのではないかというふうに考えます。なおこの四條、六條につきましては、先般のリツジウエイ声明後に出ました改正の主眼点でございまして、ここに何か国民経済上必要があると認めて、公正取引委員会認可した場合に、四條の場合も六條の場合も、例外的に適用を除外するというような、きわめて一般條項的な形において四條、六條を改正してはどうかという点は、今後非常に検討されなければならぬことでございまして、この点は司令部のあります間は、非常に向うが強硬に反対をして参りましたことでもございまするし、また、これは反トラスト法の根本問題にも解れますし、司令部といわず、実は同様の制度を持つておりますアメリカがきわめて深い関心を持つておる問題でございますので、その点等もあわせ考えまして、ただいま検討中であります。
  55. 福田喜東

    福田(喜)委員 今縦とか横とかおつしやいましたが、その意味はどういう意味でございましようか、明らかにしていただきたいと思うのであります。この規定は将来の通商航海條約とか、経済関係に関する国際協定とりきめ等につきまして、いろいろ含みのある規定だろうと思います。そういう点と、国内の自由経済の建前からして、どういう態度をとつて臨んで行こうとせられるか、つまりこの規定というものはどこまでも存続して行かなければ国際関係上おもしろくない、こういうふうな御意向でありましようか。
  56. 横田正俊

    横田(正)政府委員 この四條、六條に盛られておりますることは、実は第三條のいわゆる取引制限という中にあるわけでございますが、それをある意味において形式的にとらえて問題にするというような観点からいたしまして、特に四條、六條にそれを抜き出しまして、ややその要件も軽くして取締りに便宜を與えるというような観点から、四條、六條ができておるように感ずるのであります。従つて取締りの方の便宜と申しますか、そういう観点を離れまして、実質的に第三條、つまり取引制限というその一本で取締つて行くという問題も一つ考え方としてあるわけでございまして、この点が四條、六條を残すか残さぬかという一つの問題になるのでございます。  それから縦の関係と申しましたのは、実は普通は同業者が話し合いまして、対価を決定するとか、あるいは販売の数言を決定するとか、販路を決定するとかいうようなことが、このテイピカルな例なのでございますが、卸売業者が小売業者と縦の関係において共同しまして、たとえば小売の値段を卸売業者と小売業者が話し合つて、そこでフイツクスする、小売業者が拘束せられる、そういうような面も、実は現在では四條、六條の問題として取上げておらないわけではないのでありまして、この点は解釈上の問題として、今後もう少し検討してみたいと考えておるわけでございます。
  57. 福田喜東

    福田(喜)委員 今おつしやる通りでございますと、たとえばデパートで問屋に売れ残りを返品したり、問屋の店員に手助けさせたり、生産業者と結んで展示会を開き何割引きで売るとかいつた行為、あるいはお得意先を呼んで安値で売るとか、産地と直結してデパートで即売会をやる、こういつたようなことが今日ひんぴんとして起つております。こういう問題については、おそらく公取として御処置を講じておられることと思いますが、いかがでございますか。
  58. 横田正俊

    横田(正)政府委員 ただいまの問題は、実はわれわれも非常に注意しておることでございまして、百貨店問題につきましては、前回の委員会でも御質疑があつたのでございますが、われわれとしては、あの種の問題はいわゆる不正な競争——独占禁止法は自由な競争を促進する一面、競争といいましても、そのやり方が不公正では困るということから、不公正なる競争も取締りの一つ対象にしておるわけでございます。デパートの問題等は実はその不公正競争方法の面で取上げて、いろいろ実態を調べ、かつある程度の警告をいたし、もしなおデパートの方が自粛をしないということでありますれば、進んで法律規定によりまして、不公正競争方法事件といたし、あるいは公正競争方法を公正取引委員会が指定をいたしまして、その指定に反したものを審判にかけるというようなこともできることになつておりますので、それらの手続に入つて行こうと考えておるわけでございます。なおこのデパートの問題のみならず、実は最近ではしようゆのおかしな売り方とか、各方面競争の不公正な面が出て参りましたので、われわれの活動相当部分が、その不公正競争方法の取締りという方面にだんだん向いて参つておる状態でございまして、この分野におきまして、われわれは独占禁止法精神を大いに生かして行きたいと考えておる次第でございます。
  59. 福田喜東

    福田(喜)委員 たとえば私の県はしいたけの生産地であります。そうすると産地直結でもつてデパートでしいたけの直売をやるのでございます。そうした場合に危險負担は一切その産地に負わしてしまう。これは問屋と生産者の場合においても同じようなことが起るのです。デパートの場合は売れ残りを返品したり、金融のしわ寄せを問屋にさせる、あるいは生産業者にさせる、こういう仕組みでございますが、委員長はその内容をいろいろのケースについて御承知のことと思います。こういうふうなやり方に対して、公取としては独禁法の建前から、どういう態度をもつて臨んでおられるのでありましようか、お伺いいたします。
  60. 横田正俊

    横田(正)政府委員 実はデパートの返品の問題と申しますか、また今お示しの、しいたけの危險負担の問題でありますが、デパートの側に言わせますと、実は契約でそういうようになつてつて、当事者が納得ずくでやつておることだから、それをとやかく言うのはおかしいというような態度示しかねないのでございますが、なるほど、ある意味において、契約でそういうことがきまりますれば、もちろん一応民法上効力があるということにはなるのかもしれません。しかしその実際の扱いがきわめて強圧的でありまして、結果的にはなはだ不当なものがあります。これは單に私法上の問題としてこれをそのまま放置してはならないのであります。この種の問題は、実は独占禁止法の現在の規定でただちに違法になるかといいますと、その点は非常に疑問なのであります。従つてこれを違反とするためには、先ほど申しました公正取引委員会に與えられました不公正競争方法の指定というような方法を用いてこれを指定いたしまして、その指定されたことに反するものを取締る。やや二段の手続になるかと思いますが、そういう方向に行くべき筋のものではないかと考えております。
  61. 福田喜東

    福田(喜)委員 当事者間に契約があるからして、これでもつて独占禁止法規定を排除するということは、独禁法の建前からいつたならば、私はまつたく邪説だろうと思うのです。独禁法の建前というものは、契約があろうがなかろうが、いわゆる勢力のひとしからざるものに対して、独禁法によつて自由競争を援助してやる。つまりアンチ・インフルエンスで、経済上の優位者が経済力について暴威をふるうことを排除するというのが目的だろうと思う。二段構えの戰法ということを承りまして、われわれも心強く存ずるのでありますが、法律趣旨はそういうところにない、契約があるから独禁法規定を排除するということは、独禁法規定をまつたく無視したものであると思いますが、この点に関する委員長見解はいかがですか。
  62. 横田正俊

    横田(正)政府委員 契約があるから適法という主張の当らないことは、まことにおつしやる通りでありまして、先ほど来の四十六條と申し、いずれも契約で当事者が納得ずくでやることでございますが、しかしそれは独占禁止法上けしからぬということで追究いたすわけでありまして、その点はまつたくお説の通りであります。ただ独占禁止法もすべてのものを取締れるようにはできておりませんので、その面で、はなはだけしからぬと思いながらも、どの規定にもぴたりと来ないというものもございますので、先ほどの不公正競争法の指定などは、まさにそういうギヤツプをある程度埋めて、われわれの正義感の満足の行くような解決に持つて行くために設けられているものだと思います。この制度の活用には今後十分に注意を拂つて参りたいと考えております。
  63. 福田喜東

    福田(喜)委員 よくわかりまして、まことにありがとうございました。そういう委員長の御説明を信頼して、われわれはよく関係者に申したいと思います。  次に第八條の不当な事業能力の較差の排除規定でございますが、これは持株会社の禁止、合併の制限などの規定で、独占の発生を十分に予防されているのでございます。これは集中排除措置等によつて、本條の対象となる條件は取込んでいるのでございますから、これはある意味では削除していいと思いますが、この点について御意見を承りたいと思います。
  64. 横田正俊

    横田(正)政府委員 おつしやる通り、合併その他、事業がだんだん大きくなつて参りますことについて、これを予防的に取締る規定があちこちに散在しておるわけでございます。しかし必ずしもその関係のみでなく、種々の関係で企業がだんだん大きくなり、それが不当に他の小さな企業を圧迫して行くという場合があり得るのでございまして、この八條はやはりこれを置いておく必要があるように考えます。往々にしてこの八條というものは、何か大きさそのものが悪であるというような考えに基いてできているかのごとく誤解をされておるのでございますが、しかしこの規定は、よくごらんになりますとおわかりになりますように、大きくなるについても、そこに事業能力が優秀というようなしかるべき理由があります場合には、もちろんこれは違法となることがないのでございまして、その辺の解釈を慎重に、適切にやりますれば、この八條というものは決して日本の産業の復興、あるいは盛大なる事業を起すことについての支障になることはないと考えますので、私どもとしましては、やはりこの八條は置いておいていただきたいと考えます。
  65. 福田喜東

    福田(喜)委員 よくわかりました。次に第九條の持株会社の禁止のことでありまするが、第九條の持株会社の禁止規定の中の第四項の規定は、他の会社の株式や社債を所持して独占を生ずる場合の予防的な規定は別にあるのでありますから、他の会社の事業活動を支配することを目的としない限り、これを禁止する必要がないと思いますが、この点についての御見解はどうでありましようか。
  66. 横田正俊

    横田(正)政府委員 その点は私たちも大体お説のように考えておりまして、持株会社が他の会社を支配する目的という、いわゆる主観的な関係を実際問題として証拠によつてとらえますことが、ある意味で困難な面がありますので、第四項のごとき規定を設けまして、その事態をもつて目的の存在にかえるというような気持なのでございます。しかしこの規定を文字通り解しますと、少し行き過ぎて不当なような面もございますので、この点につきましては、もし将来独占禁止法の問題を検討いたします場合には、適当な修正をいたしたいと私たち自体も考えております。
  67. 福田喜東

    福田(喜)委員 これはつまり持株会社、ホルデイング・カンパニイになつて、株を持つて支配を意図しない場合には、委員長の御答弁のようにぜひ将来考えていただきたいと思います。それからこの規定の條文に関しまして、投資信託の場合にはどういうことになるのでございましようか。今日投資信託の設定で、何億というものが各会社の場合に行われておりますが、その規定がどういうように行われて行くか、この点についての御意見を承りたいと思います。
  68. 横田正俊

    横田(正)政府委員 投資信託につきましては、なるほど株はたくさん持ちまするが、大体投資信託会社の趣旨からいたしまして、会社の事業支配ということの目的ではまずないわけでございます。ただある種の株をあまりたくさん持つということはおもしろくないことでありますから、これは適当に株の所有という面から、ある程度の制約を考え得るわけでございまして、それを持株会社というふうに見ることは至当ではないと思いますので、これは第九條には抵触しないように考えます。
  69. 福田喜東

    福田(喜)委員 これはいわゆる市場の通念における持株会社ではないでしようけれども、投資信託は、信託を受けた会社が株を持つておるから、支配しようと思えばできるし、証券業界、金融業界のみならず、あるいは生産業界に対しても支配ができるのですが、これはある意味において法の欠陥であり、投信の設定ということを意識的に市場操作に利用しようとすれば支配が行われ得るのですが、この点はどうですか。
  70. 横田正俊

    横田(正)政府委員 市場の支配というような点は——その市場というのは競争意味ですか。
  71. 福田喜東

    福田(喜)委員 そうです。
  72. 横田正俊

    横田(正)政府委員 そういう特殊な目的でつくつたというようなことも考えられないことではないのでございます。しかし大体投資信託につきましてはいろいろ法律もございまして、そういうおかしなことを目的に仕事はおそらくできないようになつておると思いますので、この点は第九條に抵触するものではないというふうに考えております。
  73. 福田喜東

    福田(喜)委員 そうしますと、この独禁法の建前上、たとえば独占禁止法ではひつかかるものでも、中小企業の協同組合など別に法律をつくつておるものは、この法律で取締らないことになつておる。しかしこういうふうな特別の規定のないものはこれによつて判定を下すというのが独禁法の建前なんですが、あなたの今の説明によると、投資信託の場合には、この独禁法を排除するという規定はどこにもないのです。ですからこいつは適用がないものだ、こういうふうな御解釈ですが、それでよろしゆうございますか。
  74. 横田正俊

    横田(正)政府委員 投資信託が持株会社になることはない、適用がないと申しますか、なるべき性質のものでないというふうな観点から、第九條の適用はなかろう、こう申したのでございます。なお投資信託につきましては、証券投資信託法の二十五條で、独占禁止法の十一條一項、二項の規定だけは適用除外になつております。もし必要ならば第九條があるわけでございますが、私の今申しましたような観点から、第九條をわざわざ適用除外にする必要はないというふうに考えてこの二十五條ができておるものと思います。
  75. 福田喜東

    福田(喜)委員 これは会社の場合ですが、個人の場合は一体どうなりましようか。
  76. 横田正俊

    横田(正)政府委員 個人につきましては十四條に規定がございまして、十四條に触れません範囲内で、適法に株式を持てるわけであります。
  77. 福田喜東

    福田(喜)委員 次に第十條の事業会社の株式または社債保有の制限條項については、単なる会社間の競争を減殺する場合にも、他の会社の株式、社債の保有を禁じておるわけでございますが、一定の取引分野における競争に影響のない場合をも禁止することになりまして、多少行き過ぎと思いますので、この点に関する御見解を承りたい。平たく言うならば、業種を異にし、影響のない場合においてはいいではないか、こういう意味でございますか、いかがでございますか。
  78. 横田正俊

    横田(正)政府委員 十條の規定につきましては、まだ多少行き過ぎの面があるのではないかというので、われわれといたしましても、もちろんこれを検討対象にいたしたいと考えておるわけでございますが、ただこの規定をあまりに狭くいたしますと、結局この規定自体が不要になつて来るのではないか。たとえば今お示し競争の減殺というようなところを、あまりにゆるめてしまいますと、あと残りますものは、結局一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合というようなところに行つてしまいまして、予防規定の価値はほとんどなくなつてしまうので、今お示し部分、あるいは第二項の競争会社の株は一株も持てぬというふうに、きわめて嚴格になつている部分については検討いたしまして、この規定全体について適当な案を立ててみたいと考えております。
  79. 前田正男

    前田委員長 笹山君。
  80. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 私は、簡單にお尋ね申し上げたいと思います。独禁法改正については、ただいま委員長からお話がありましたように、当初の扱い方とはやや趣を異にしまして、漸次日本の経済の実情に合うような方向に進んでおいでになるということを承りましたが、当初の独禁法精神から考えて好ましくないというような理由のもとに、司令部からの勧告に基きまして解体された経済団体の復興については、どういうふうにお考えになつておられますか。たとえば営団というものは独禁法精神から好ましくないというので公団になり、あるいはまた国営になつた。こういう問題があるのでございますが、最近やはり公団あるいは国営ということが好ましくない、昔のような特殊な法人経営の方がよいというような場面も各方面相当あるようであります。そういつた場合においては、やはり当初の司令部の方針通り、あくまでも独禁法精神だから国営でなければいかぬ、こういつた方針を堅持されるのか、あるいは多少それを緩和した方向をとられるのか、その点について承りたいと思います。
  81. 横田正俊

    横田(正)政府委員 実は企業体をそういう営利的なものにするか、公団あるいは国営というような公営的なものにするかという問題自体は、実は独占禁止法とは直接には関係がないように思われます。むしろどちらかと申しますれば、独占禁止法は自由私企業体制の上に立つた一つの制度でございますので、あるいは営利団体をして自由にその企業をやらせるということが、むしろ独占禁止法精神ではないかとも思われます。しかしある事業を国営あるいは公営にするか、あるいは私企業にまかせるかということは、もう一つ上の問題のようにも考えられますので、この点は、結局その事業の性質その他いろいろ勘案しまして、必ずしも独占禁止法にあまり拘泥することなく、大所高所から決定していいことではないかと考えます。もつともこの独占禁止法ができます際にも、たしか議会で、なるたけ公営や何かをやめて、あるいは民間等についてもそういうことをやめて、自由な私企業に問題をまかせるべきであるというような趣旨の附帶決議がなされたかと思いますが、まあ筋から申しますれば一応そういうことであろうかと思います。
  82. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 よくわかりました。  次には、さつき委員長の方から、行政権の発動に関する問題について、いろいろ独占禁止法との関係についての御意見の御開陳があつたようでございまするが、それによりますると、将来やはり行政権の発動による認可あるいは許可によるところの独占形態の発生についても、独禁法精神から考えて、公取は積極的な活動に出るようなお話がありましたが、かようなことは公正取引委員会の現在の職務権限外にあるような気がするのでございます。もしそういつた方向に公取委員会活動するということでありまするならば、もつと法律を整備しなければならぬと思いますが、そうした法律を整備した上でさような方向に進むとおつしやるのか、あるいは現在でも——さつき四十二條の話がありましたが、四十二條はそういつたことは書いておりませんで、單に国会に報告を提出するとか、簡單な事務的な規定にすぎないのでありまして、職務権限の中にそういつたことまでひとつ乗り出してやるということになりますと、どうしても法律改正というものは必要になつて来ると思う。そういう方向に将来公取委員会というものは持つて行くのか、その点についてはつきりした御見解を承りたいと思います。
  83. 横田正俊

    横田(正)政府委員 その点は、先ほど私の言葉が多少足りなかつたと思いますが、現行法のもとにおきましては、先ほどあげましたような規定しか実はないのでございまして、正々堂々と行政庁に向つていろいろのことを申し出るという権限は、現行独禁法の上ではちつともはつきりいたしておらぬわけであります。先ほどから申し上げておりますのは、できますればそこにもう少し法律的な根拠を持つて、われわれ日本経済の正しい姿のために、何かものをやらしていただいたらということで、結局つき詰めますれば、ある程度法律改正をしていただいたらと、こういうことでございます。
  84. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 この点についでは、あるいは見解の相違になるかと思いますが、どうも行政権による認可あるいは許可の結果生ずる独占形態といいますか、この自由裁量そのものが結局独占を生みやすいところのものでございますからして、そこに触れないで、ただ現れた結果がそうであるからというふうなことになりますと、行政権の発動とあなた方の方の御見解とは、始終摩擦を生ずるのではないかと思います。従つて、先ほど多田委員からお話がありましたように、操短に関する問題については通産省の方の勧告その他の問題がありましたが、現在その他の省におきましても、ある設備が非常に過剰である、過剰であるから自発的に業者の間において整理しなければならぬ。その整理をするために一つの奨励制度をとつておる。こういつたことは操短の問題と同じような趣旨から見ますると、独禁法精神に照して違法であるような考えが浮ぶのですが、やはりこういうことも独禁法精神上いかぬという御見解でありますか。
  85. 横田正俊

    横田(正)政府委員 私どもは何でもかんでも独禁法精神に照して、いかぬと申し、また必要以上に行政活動に干渉するというほどの気持はないのでございまして、結局その線をどこに引くかということは非常にむずかしいことのように思います。今お示し認可の問題につきましては、実はだんだん認可制度というものも自由でなく、一定独禁法的な感覚をも取入れた一つ基準によつて認可も行われて行く、その認可を不当に拒否した場合には、さらに不服申立の道が法律上開かれるというような方向に持つて行きたいということで、われわれはその立法問題につきましては、非常に神経質に、その立案の際には、一々いろいろなことを申し上げておるわけでございます。そのわれわれのくちばしを入れまする範囲に、相当の限定があらねばならぬということも十分に了承しておりますが、しかしいま少しくわれわれに何らかの発言権を與えてほしいというのが、われわれ一同の共通の念願でございます。
  86. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 その考え方については、私はとやかく申し上げるわけではございませんが、とにかく公正取引委員会という一つ官庁と他の官庁との間において、相当見解が違つた場合において、一体だれがこれをさばくのかといつたような問題について考えますと、そこらの立法化の問題については、相当研究を要する問題があろうと思います。従つて、今の行政権の自由裁量に移すいろいろな問題、あるいはそれは公企業体にもあることでありましようが、こういつた問題について、公正取引委員会がやはりどこまでもタッチしないと——行政所管大臣にまかしておくわけに行かぬ、こういう強い決意を持つておいでになるのであるか、あるいは重なる横からのアドヴアイザーであつて、責任はあくまでも所管大臣がとる、こういうような態度で行くのか、その点についての見解を伺いたい。
  87. 横田正俊

    横田(正)政府委員 原則として所管大臣というものがあります以上は、その責任においてすべてが運ばれるべきであり、公取がもしそこに何か発言権を持つとしましても、それは独占禁止法自体を、たとえば適用を除外する、それをそのまま放つておけば独占禁止法の根本に触れるというような問題については、公正取引委員会に強い発言力を認めていただきたいのでありますが、そうでなく、單に独占禁止法趣旨とか精神とか、そういうものに沿つて行政が行われてほしいという観点から物を申し上げる場合は、これはもちろん一つのアドヴアイズであつて、われわれは十分それでけつこうだと思つております。
  88. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 次に事業者団体法について、これは関連した問題でもありますが、第四條の規定を今まで限定的に列挙しておつたのを、技術的な規定に改めたことは非常にけつこうでありますが、むしろこれを一歩進んで、全部削除されたらどうか、そういう点については、何か、削除してはいけないところの事由でもおありでしようか。
  89. 横田正俊

    横田(正)政府委員 まつたくお説の通りでありまして、これを削除いたしましても一向さしつかえないのではございますが、しかし、しいてりくつを申しますと、第五條の今度残りました部分の一号から八号というものも、非常にはつきりわかつたようなわからないような規定でございまして、ことに今度の委員会の御修正で、「不当に」というようなことが入りますると、その範囲はいろいろ問題があるのではないかと思うのであります。そういう事柄について、少くとも四條に掲げてございますようなものは、違反というような問題が起ることなく、安心してやれるというふうな、一種の線が多少出ておりますので、そういうような観点からいたしまして、危險のない行為が一応あそこに並べてあつて、その他というようなことで、結局は削除したと同じことになりまするが、多少の存在理由もあるのではないかというので、われわれもそれを存置することにいたした次第であります。
  90. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 最後に一点。これは見方に関する問題かもしれませんが、いわゆる集中排除法その他独占禁止法趣旨から、旧財閥の解体等が行われましたが、最近になりまして、それらの会社が漸次集中するような傾向、会社を合併するような傾向があるのでありまして、これらは法律にいわれるところの、「不当な事業能力の較差」を生ずるものというふうにはあるいは見られないかもしれませんが、漸次こうした傾向をたどつておる。この一つの方向なり風潮に対しまして、委員会としましては、どういうふうな点を考えておられるのか、あるいはまた注意しておられるか、その点をひとつ参考までに伺いたいと思います。
  91. 横田正俊

    横田(正)政府委員 ただいまの問題につきましては、委員会といたしまして、非常に深甚な関心を持つて事態をながめておる次第でございます。大体合併、営業の讓受けその他種々の方法によつて、だんだんに旧財閥のような形式が出て来るということに対しましては、独占禁止法は多少の予告規定がございますので、その面で届出が出て参ります際には、十分に内容を検討いたして行きたいと思つております。但し現在までにいろいろ出て参つておりますもの、たとえば三菱商事系の会社が四社か集まつて合同して行くという傾向がございます。あるいはそれがさらに合同するということも考えられるわけでございますが、現在までのものにつきましては、当面問題はないのでございますが、今後の問題につきましては、十分に注意をして参りたいと思います。なおこれは集中排除法の問題になりまするが、独占禁止法のいわば欠点と申すこともできるかと思いますが、これは一つの事業についての一定の取引分野における競争制限ということに、非常に重点を置いております結果、いわゆるいろいろな業種が集まつてコンツエルンをつくるというようなものに対する取締りがきわめて不徹底で、たとえば第九條の持株会社の規定などが、ややそれに近いものでございます。それを除いてほとんどその面の取締り規定がないのでございます。この点は過度経済力集中排除法はまさにそこをねらつて解体したわけでございますが、それを将来にその面で物を見て行くという完全な法律がないわけでございます。われわれといたしましては、現在の独禁法をできる限り活用いたしまして、そういう妙な形ができないようにいたすよりほかいたし方がないのでございますが、しかし、この点はもちろん十分に監視して参りたいと思います。なお優秀なるものが正当に大きくなつて行きますことは、先ほど第八條について申し上げました通り、われわれとしても、これを阻止する意思はもちろんございませんし、その辺は日本の国情に沿つたような処理をいたして行きたいと考えております。
  92. 前田正男

    前田委員長 それでは本日の質疑はこの程度にとどめ、次会は来る九日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十五分散会