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1952-05-09 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月九日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       圖司 安正君    奈良 治二君       福井  勇君    福田 喜東君       渕  通義君    細田 榮藏君       土井 直作君    風早八十二君  出席政府委員         行政管理政務次         官       山口六郎次君         経済調査政務次         官       上原 正吉君  委員外出席者         経済安定事務官         (経済調査庁査         察部長)    吉田 龍雄君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 五月七日  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一八五  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方経済調整状況に関する件     —————————————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  地方経済調整状況に関する件を議題といたします。まず右に関連して現在政府地方経済状態調査しておる状況について政府説明を求めます。上原政務次官
  3. 上原正吉

    上原(正)政府委員 ただいま政府におきまして地方経済調査いたしまするには。まず中央経済調査庁におきまして調査すべき題目を取上げて、その案件を地方の八管区に流し、また管区から各府県ごとにある地方経済調査局に流しまして、地方経済調査局が実際の調査にあたるのであります。この調査は、たとえばただいま電力料金が改訂されましたら経済にどのように影響が及ぶかということを取上げましてあらゆる産業について電力料金の値上げが、その製品に何ほどの影響を及ぼすかということを調査するために、各地方経済調査局が親しく各工場、現場の帳簿について算出する、こういうような方法調査を続けておるわけでございます。
  4. 前田正男

    前田委員長 次に右に関連いたしまして、現在政府で検討中の経済調査庁に対する行政整理の案について政府説明を求めます、山口政務次官
  5. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 行政改革の問題につきましては、各方面より常にこれが改革の必要が力説されておりますことは御承知通りであります、ことに今日の行政機構は長い間占領下にありました関係上、従つて占領政策関連いたし、かつ占領政策を遂行いたしますような行政機構も少くないわけであり、また一方において戦争中の統制経済あるいは戦時体制、そうした関係によりまして、輓近きわめて複雑、厖大な行政機構にありますことは御承知通りであります、今日ますます国費節減いたしまして時代に即応いたしまする行政機構を打立てますために、政府といたしましては鋭意調査研究を遂げて参つたのでありまするが、ようやく一応の成案を得ましてこの国会に提案いたしまして御審議を願う段階になつておるのであります。もとより政府考えております徹底的なかつ国民の期待要望いたしますところの一大刷新目的とすることはもちろんであります。しかし行政改革はその及ぼす影響あるいはまた従来の関連等もありますので、できるだけ社会の摩擦を少くいたすという考えで、一応の目安を立てて今国会に出す段階なつたわけであります。ことに前国会におきまして定員整理も一応やつておりますので、今回の行政改革におきましては、定員関係においては影響関係が少いという目途のもとに打立てているわけであります。ただいま委員長より御指示のありました経済安定本部関係行政機構に関しましては、特に経済安定本部機構が、御承知のごとく一年々々と延長されておりますような関係もあり、かつ統制経済等関係よりできましたその機構の発祥にも思いをいたしまして、またこの安定本部によつて従来やつて参りました行政の上においては、できるだけ別個の形においてこれが機能を十分に発揮できますように考えまして、一応経済審議庁という成案のもとに閣議決定を見ておるのであります。しかしまだ多少修正を要するような点もありますので、最後修正をして近く国会に出すような予定になつております。
  6. 前田正男

    前田委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。志田義信君。
  7. 志田義信

    志田委員 ただいまのお話を承つただけでは、このたびの行革の定員法改正案内容については、まだ十分推察することもできないような状態であります。先ほど政務次官から経済調査庁事務調査に主眼があるというような御説明のようでありましたが、われわれはこの経済調査庁というものは、監察の面においても相当な機能を果して来たものであるというふうに認識している。上原政務次官はこれにお触れにならないが、監察の面においてはどうなのか。その点は今後における行政機構改革に照し合せましても重要なものであろうかと思いますので、ひとつその点をお尋ね申し上げておきます。
  8. 上原正吉

    上原(正)政府委員 お答えいたします。先ほどのお尋ねの趣が、どういう方法経済調査をやつているかということでしたからさようにお答えを申し上げたのですが、経済調査庁は、現在では行政監察ということも重要な仕事といたすように法律改正されておりまして、その面も経済調査と同じような順序と方法とで調査をいたしておるのでございます。ことに今度行政機構改革によりまして、行政監察仕事行政管理庁に移行するということに一応政府案がまとまつておりますので、これから後は、もつぱら従来の経済調査庁のおちつき先である行政管理庁において、行政監察ということを行わなければならないと考えている次第であります。
  9. 志田義信

    志田委員 戦争中はもちろんのことでありますが、戦後におきましても歴代内閣が非常に重要な施策として取上げておりながら、しかもその効果が期待できなかつたのは何であるかというと行政監察機構の十分な活動ができなかつた。これは意識するとしないとにかかわらず、重大な影響国家財政の上に與えておるにかかわらず、これに対する監査が十分でなかつた経済調査庁におきましても、かねて行政監察一つの重要な面として、これに重点を置かれたであろうことは、今お話になつた通りであると私も存じますが、しからば一体経済調査庁は、戰後六年八箇月の間にどういう行政監察の効能を現わしたか。国家財政のためにこれだけプラスになつたというものがあれば、大きなものだけでもこの機会に伺つておきたいと思う。
  10. 上原正吉

    上原(正)政府委員 お答え申し上げます。経済調査庁行政監察仕事とするようになりましたのは、昭和二十三年の八月一日からでありますが、その間行政監査によりまして国費節減に相当寄與しておると確信しております。従来の業績につきましては、事務当局から数字を上げてお答え申し上げます。
  11. 吉田龍雄

    吉田説明員 ただいまの御質問に対して私からお答えいたします。調査庁昭和二十三年の八月一日に発足いたしまして、機構といたしましては、その当時査察部監査部物資調査部の三部制になつておりまして、査察部は主として民間の法令の励行を担当する。また監査部行政機関経済施策を実施する面を監察して行く、あるいは監査して行くという仕事をやる建前になつておりまして、出発当初から監査仕事をやつて来たわけであります。その後統制が次第に縮減されて行くにつれまして、監査仕事は従来にも増して重要性を加えて参りましたので、二十五年の七月から法律改正をいたしまして監査の範囲を拡張いたしました。そして公団あるいはその他のものにつきましても監査することができるようにいたしました。その後におきましては調査の面に傾倒いたしまして今日に至つておるわけであります。現在におきましては、査察面仕事はほんの蓼々たるものでありまして、調査庁はほとんど全力をあげて行政機関監査を中心にして動いておると言つても過言ではないのであります。そうしてこの間におきまして過去四年間、大体概算いたしますと、調査庁監査をすることによつて国費節約という面だけにおきましても約二百三十億円に近いところの国費節減に寄與したと存ずるのでありまして、もし詳細に説明する必要がありますれば、あとでまた説明いたしたいと思います。国費節減の面におきましてもそれだけでありますが、單に国費節減ということだけでなくて、行政施策全般にわたりまして監査をして参りますので、行政施策事態にいろいろな不備欠陥があり、あるいは適当でないものがありまするときには、それぞれの関係機関に連絡いたしまして、その不備欠陥を是正して行くという仕事もいろいろやつて参りました。この面におきましても、主務官庁人員その他の不足しておるときで十分に調査することができず、実態を把握してない面につきまして、調査庁地方に分散しておりますところの機構を全面的に活躍させまして、その実態を実証的にとられて、これを各機関に反映し、その改善に資した点は、国費節減に寄與した以上に、国の行政施策推進面において寄與したと私どもは確信しておる次第でございます。
  12. 志田義信

    志田委員 行政施策の面につきまして、不備欠陥関係機関にそれぞれ指摘して、これが改善をしておる、しかもこれを実証的にやつておられるということは、少くともそれぞれ地方における手足があつたので、初めて実証的な調査監察ができたのであろうと私は思う。ことに経済調査庁の主力を、今承たつておれば、二十五年七月の法律改正以来今日までに、財政資金の中から出たものを、行政機関行つてからさらにこれを監査して、しかも約二百三十億の巨大な節約をしたということは並たいていならざる努力であると私は思います。これだけの国費節減をやつておるのでありますから、この委員会に、経済調査庁はこういうことをやつたということを、具体的に数字をあげて書類で提示していただくことができれば、これは行政監察の部が将来多多ますます必要であるということを思わせる重要な資料でありますから、その資料を、政務次官は至急下僚に命じて当委員会に提出していただくことができるかどうか、それをまず承りたい。
  13. 上原正吉

    上原(正)政府委員 承知いたしました。資料をつくりましてお手元に差上げます。
  14. 志田義信

    志田委員 それでは行政管理庁政務次官にお尋ね申し上げたいのでありまするが、今回の行政機構改革の面におきまして、今問題になつておる監察機構整備充実ということが考えられておるかどうか、それをひとつお尋ねいたしたい。考えられるとすれば、具体的にどういう方法とどういう機関を今後考えられておるか、これを承りたい。
  15. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 行政監察に関しましては、御承知のごとく行政全般監察機構といたしまして、従前行政管理庁監察部におきまして、機械ないし行政内容等につきましての監察が行われておつたわけであります。かつただいま経済調査庁における経済行政監察、そういうものもあり、また会計検査院における会計法上の監査があり、また大蔵省におきましては大蔵省の予算の使途に関しまする監査があり、そうした内部監査があるわけでありまするが、しかしながら今回の行政改革を行いまする以後における一つ全般的な行政監察といたしましては、すなわち行政管理庁行政全般行政機構行政事務行政運用等に関しまする監察及び従前経済調査庁において行つて参りました経済調査を兼ね合せて行つて参る、かように考えておる次第であります。
  16. 志田義信

    志田委員 今次官がおつしやられたように、各省それぞれに部内監査機関があり、会計検査院もある。さらに大蔵省には財務部もある。そういうものがあつたにかかわらず、これで十分な監査が行れていなかつたという事実は、ただいまの経済調査庁説明員からのお話によりますると、これらの行政機関監査をなして、なお不十分であつたという証拠に、約二百三十億円の国費節減されているのではないか。そうすると今までの行政機関部内監査、あるいは大蔵省財務部会計検査院行政監察部というものの行政監査が万全を期したといえども、なお万全を期し得なかつた実態がここに出て来ている。それに対してあなたはどう思うのでございますか。従来の行政機関監察機構をもつてして足れりというお考えを持つているか、今後ますます行政監察機能を整備強化して行かなければならぬというお考えを持つているか、それをひとつ承つておかなければ、話の筋に入つて行かないのであります。
  17. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 お答えいたします。本来行政運用に関しましては、監査の必要ないことをもつて好ましい姿だと考えるものであります。しかしながら現実の段階におきまして、ことに近ごろとかく官吏の汚職等の批判もあるのでございます。従いましてそれらに思いをいたしますれば、それらを事前に十分予知監察いたしましてそうしたあやまちなきを期することが、やはり行政運用妙味だろうと考えるのであります。かつ行政全般運用の面においても、はたして現在の行政事務運用の姿において全きものであるか正しいものであるか、よりよき方法がないか、かように考えますれば、その意味におきましても行政監察正当性を今後ますます強化いたしまして、行政運用妙味を発揮し、国民奉仕業としての行政の完璧を期したい、かように考えるわけであります。従いまして今次の行政改革についても、行政管理庁においてはかような意味において、従前よりも強化した姿において機構が構想される、かように御了承願いたいと思うのであります。
  18. 志田義信

    志田委員 ただいまの次官お話によりまして、行政機構改革方針としては、やはり監察機構を整備して行くのであるということが、私は次官説明で確認されたと思いますが、私はそれに対してはまことに御同慶にたえない。しかしその確認の内容についてはまだ十分聞いておりません。整備するつもりであるというようなお話でありますが、その内容を少しお聞きしたい。一体今お話になつておるのは第何次案によるものか。われわれのところにもすでに今まで行管において考えられた案というものは漏れておりまするが、その第何次案に基磯を置いてただいま御発言になつておるのか。そしてその第何次案の内容というものはどういうものであるか。一体最終案というのはどういうものであるか、それをここで御説明願いたいと思います。
  19. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたごとくただいま行政改革に対する各省設置法等につきましては、閣議において一応の決定を見まして、事務的に最終整備段階にあり、一部は国会に提案する運びに相なつておるのでありまするが、行政管理庁関係においては、ただいま急いで最終調整段階にありますので、国会の提案に並行して、きわめてすみやかな機会にとくと御相談申し上げたい、かように考えております。
  20. 志田義信

    志田委員 すみやかなる機会にとくと御相談申し上げたいというときには、もうすでにその話が終つているようなことになることが往々あるのです。われわれのところ第六次案というものはわかつておる。この第六次案によりまする、あなたの方ではやはり従来の経済調査庁監査もこの中に入れて、そうして中央機構監察部をつくる。そうして監察官を置く。監察官の中には参事官を置く。その下には主幹を置く。こういうような第六次案というものが私たちの方に来ておる。そういうような機構内容で、人員整理については、私たちの承るところによりますると、経済調査庁の四割を人員整理する、こういうお話のように私たちは承つておるのでありますが、さようなことに考えてよろしいかどうか、それをひとつお聞きいたしたい。
  21. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 その点につきましては、ただいま正確な資料手元に持つておりませんので、後刻お答えいたします。
  22. 志田義信

    志田委員 今政務次官はそうおつしやいますが、四割減にするとか、二割減にするとか、三割減にするとかいうことは、正確な資料を必要とすることではないと私は思う。そういう機構内容についてはとうに十分結了されておると聞いておる。従つてあなたはそんなことをこの委員会で隠す必要はないじやないか。あなたがあえて隠す必要があるのだとすれば、それは私も與党立場でありますが、何か理由があればそうだけれども、何もそういうことは理由がないと思う。四割減をやる目的のもとに、しかもこういう機構考えておるのではないか。別に資料をもつてお答え願わないでも、私のところに資料もございます。あなたの方でやつておる資料も私の方にある。しかし私の方から資料を申し上げることは当を得ないのでありまして、あなたの方から資料を出していただいて、私の方でやるのが常態なのであります。しかしそういうような状態にしてこの機構改革をおやりになるということは、私は非常に不満足です。国会にはただ報告すればいいというようなやり方で——国会審議権に対して政務次官はよく知つておられる。その重要性も十分認識しておられる。しかるにかかわらず、数字を出さなければわからない、後刻数字を取調べて出すというようなことでは、誠意のほどが疑われるのであります。政務次官はかねて誠意の人であつて誠意のことについては欠くるところなき人だということでわれわれは尊敬しておりますが、そういうことをここで言えない事情はどこにあるか。もし事情があるとすれば、その事情も了承いたしたい。
  23. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 お答えいたします。決して誠意をもつてお答えしないわけではないのでございます。実は私昨日埼玉県の方へ出張しておりまして、先ほど帰つて参りましたので、まつた資料を持つておりませんし、昨日の閣議内容等につきましてもまだ詳細の連絡を欠いておりまして、その点はまことに申訳ないのでありますが、かような意味以外の何ものでもないのでございます。
  24. 志田義信

    志田委員 山口六郎次政務次官は、六という字がついておりますからおそらく兄弟も多いことだろうと思います。おそらく六番目か何かであろうかと思うが、兄弟が多いだけに私は人情が深いと思うのですが、行政整理にあたりましても——昨日私のところに地方経済調査庁局長数人が来ております。われわれは廃庁になるのであるからやむを得ない。やむを得ないけれども、地方経済局にあつて、今日まで経済監査あるいは経済調査のために努力して来てくれて、戰後の経済秩序のために十分役立ち、加えて国家財政節約に対しても十分な努力をしたそれらの部下に対して、行きどころのないような状態を現出しておる。あなたはただいま埼玉に旅行中であつたから昨日の閣議内容もよく聞いておらな  いと言われておりますけれども、四割削減ということは、きのうの閣議決定をまつまでもなく、第五次案においてもうすでにそれが明らかになつておる。昨日のはすでに第六次案だということを私は承つておる。そうすると、四割減ということはどういうことでありますか。地方経済局全部がこの際なくなるというのか。しかもこのたびの行政機構改革にあたりましても、これらの経済局に職を奉じておる人たちは、ちつとも中央の話合いを聞いておらない。突如として地方局長らが招集されて、今度は廃庁になる、廃庁になるということはみんなが職を離れることであります。これはやむを得ないことであります。それぞれ帰つてそれぞれの部下に伝達してくれということを言つておる。もうすでに当該官庁地方局長を参集せしめて廃庁になるということを言つておる。そうして行政整理を行おうとするのにあたつて行政整理主務官庁の副大臣である山口政務次官埼玉県に出張した。たといアメリカに行こうが英国に行こうが、それで知らなかつたということは、当委員会において黙過すべからざることである。それに対してはどうお考えになるか、特にお尋ねいたします。
  25. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 まことにきつい御質問のようでありますが、もとより私はこうした行政改革に伴います定員変更ないしそうした改廃等については、努めてそうした犠牲ないし支障を受ける機会の少きことを念じてこの改革を完遂したい、かように考えて常に努力して参つておるものであります。たまたまただいま御質問経済調査庁関連におきまして、四割減ということがすでにお手元にありますならば、これはもう私は質問を受ける必要はないのじやないかと思いますが、私自身まつたく不用意で、時間的にそうした関係にありまして、従いまして後刻申し上げるということを申したのでありまして、決して他意はないのでありますから、とくとその点は御了解願いたいと思います。
  26. 志田義信

    志田委員 他意はないでありましよう。他意があるとすれば、自分の補佐しておる野田行政管理庁長官立場をして苦しめさせたくない、委員会においていらざることを言つたというようなおしかりを受けたくない、できるだけ隠密裡に首を切ろう、こういう考えだと私は思う。その点は他意がないと言われるが、首を切られる側から見れば重大なる他意である。この点はひとつお考えを願わなければならない。第一に四割も削減するというが、四割ということは半分に近いということです。私のところでひろつた数字内容を見ますれば、もうすでに今回の整理は第五次案ということになつておりますが、今回の整理で減員をされるものは七百四十七名、そうすると一千百九十四名ということになるのであります。あなたは今予防的な綱紀維持が必要である、そういうふうに監察内容は必要であるということを力説しておられる。ところが地方局を全廃するという考え方に同意せられるということは、あなたとしてはあなたの御所信に対して、勇敢に闘つておられるというふうには私には思えない。予防的な綱紀維持が必要であつて監査は十分に行わなければならないということになれば、地方にあるこれらの経済局が従来二百億以上の国費節約したという実例を今政務次官言つておるので、あなたといたしましても、全部一律に地方局を切つてしまうということに対しては反対せざるを得ない立場にあると思う。政務次官は今回に至るまでの間において、この問題について意見大臣に具申し、あるいはあなたの所属しておる自由党に御相談になつたことがあるかどうか、それをひとつ承りたいと思います。
  27. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 経済調査庁従前機構といたしまする八管区及び各都道府県にありまする局の機構に対しまして、こうした経済監察行政を、いかなる機構の姿において運営すべきかという点につきましては、それぞれ見解もあろうかと思うのであります。あるいはこの行政の性格よりいたしまして、管区重点を置いて、そして管区地域においてきわめて合理的な統一の体系で監察を行おうというあり方がよろしいという御意見もありましようし、また各府県にそれぞれの機構を設けて監察を行うべし、こうした御意見の相違もあろうと思うのでありますが、今回政府考えておりまする行政改革につきましても、できるだけ各機構を簡素にしたい、かような見解で今回の監察行政に対しまする管区方針考えておるわけであります。
  28. 志田義信

    志田委員 私の質問は二つあつたのですが、一つはきよう聞かなくてもよろしい、それは政務次官お答えをこれで十分であると了承してもよろしいのですが、そこで経済調査庁の従来の監査というものは、農林、通産両省経済行政部門に限られて、それで二百二十億からの国費節約した。ところが今度あなたの方で考えられておるのは、各省あるいは各庁の広範な行政事務にわたることになりまして、それだけ業務分量が多くなる。あなたは今管区のことで、大体ほんとうのことを言つてくださいましてありがとうございました。今まではうそばかり言つている。そこで管区を残してあと地方局を全部やめるということは業務量が減るというお考えであるのかどうなのですか。機構改革は何を対象にしてやるのか。最初は行政機構の問題は、人員整理を伴わないということで出発したはずです。しかるにいつの間にか行政機構改革をやる上において、人員整理をやらなければ意味をなさないということはわれわれも同感である。機構を簡素化して人員を減らすことは当然ではありますが、さきにはどういうものか政府行政機構改革はやるけれども、人員整理はやらないということを表看板にしてやすきを求めておつた。それが今日できなくなつた。経済調査庁に関する限りは、私は多年の間経済安定委員としてその実績を見て来ておりますので、今政務次官から言われるまでもなくわれわれは知つているのであります。農林、通産両省に限らず、各省間にわたる行政事務をやることになれば、業務量は非常に多くなることは言わずもがなであります。人間は大いに努力さえすればどんなことでもできるという説明では事足らない。人間の能力は限りがございますから、各省間でこれをやることになれば、飛躍的に増大するであろうところの業務量を十分勘案して、行政整理をおやりになるのかどうか、その点について十分お見通しを持つておられるか、それを承りたいと思います。
  29. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 御意見といたしまして十分尊重して、今後の参考に資したいと考えます。
  30. 志田義信

    志田委員 私は何もあなたに意見を参考にしてもらいたいと言つているのではありません。あなたが政務次官としてこういう監査方法をもつてつて行きたい、しかも予防的な綱紀維持をやりたい、発生したものでなく、組織的に、しかも計画的に行政の制度なり運用に伏在している不備欠陥を是正して行く、予防的な監査機構を整備して行きたいということ、綱紀の維持をはかりたいというのが、現内閣の主義、方針にも十分のつとつとることでありますし、われわれはそれに対して敬意を表する。しかるに経済調査庁は、農林通産両省以外の各省にわたるものも、あなたの方に移管になればやらなければならないのです。それをあなたの方では監察部というものを置いて、その第一部で全部やることができるのかできないのか。できると思つてそういう行政機構をやるのか、できないけれども、いい加減に行政機構改革だけをやつてしまうというのか。私は御意見を申し上げておるのではない、あなたの御意見を聞こうと思つておる。政府の御意見を聞きたいといつておるのです。
  31. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 お答え申し上げます。できると信じております。
  32. 志田義信

    志田委員 できると信じておる内容について御説明願いない。ただできると信ずるだけではいけません。いやしくも人の首を切るのです。行政機構改革でこれらの人々が今ちまたにほうり出されるのです。もしできなかつたときにはどうしますか。経済安定本部はまだ一人も就職しておりません。これらの地方にいる千人以上の人々は、山口政務次官が議会においてそう言つたということを知ります。その家族は路頭に迷います。それを山口政務次官はできると信じてやる以上は、確固たる対策がなければならぬと思う。その点についていかにお考えになりますか。
  33. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 私ができると信じますと申し上げましたのは、今回実施改革いたそうとしまする行政監察機構において、十分に監察ができ得るという意味で申し上げておるのでありまして、その人員整理等に関しましては、先ほども申し上げましたように、国会に提出いたしまして、あらためて説明申し上げました直後においてすべてを申し上げ、かつそうした問題に対しても率直に私どもの見解も申し上げたい、かように考えておる意味でございます。
  34. 志田義信

    志田委員 行政管理庁がこのたびの行政機構改革をやるにあたつて行政整理をやる。ことにこの行政整理の対象になる者のうちに私の身内もいる。私の友人もいる。しかし私はそういう個人的関係は別にいたしましてお尋ね申し上げておるのですが、あなたが今おつしやつた中に、そういうことをやり得るという自信が非常におありになるようです。あなたが政務次官になられてから今日まで、幾日ひにちを経過したかわかりませんけれども、少くとも調査監査行政事務に携わつておる人々はできないということを言つておる。行政分量が飛躍的に増大する、これは実証的な資料を、求めて調査収集することがきわめて必要である。偶発的な事件だけを取扱う者だけでは監査にはならないのだ、そういう実証的な生きた資料によつてやらなければならない。そしてそれに伏在する不備、欠陥を是正しなければならぬということを言つておる。これらの人々は、数年来この行政事務に携わつて来た人々である。今日人員が余つておるとは言つておりません、足らないと言つております。今まで二省に限つてつて来たのに、各省行政監察をやるにあたつてできるという根拠をあなたがここに提示されたのでありますから、できるという根拠を提示された以上においてはその内容があると思う。その内容をもう少しわれわれにお話願わなければ、私が納得しても、全国の経済安定局長以下整理の対象になつた方々は納得いかぬと思う。同じ政務次官でも隣りの政務次官は納得するかどうか。あなたは首を切る方、片方は首を切られる方だが、これが納得できるか、ひとつお伺いいたしたい。
  35. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 私のお答えが言葉が不足であつたかもしれませんが、私は定員削減ということにつきましては、冒頭申し上げましたように内容承知しておりませんので、その点に関する御質問についてはお答え方法がないのであります。ただしかし私は、行政機構改革に対しまして各方面の意見を承る機会が少くないのでありますが、現役の役人の方々などに伺いますと、どこの官庁でもどうも人が少い、もつと人がほしいという声を異句同音のように聞くのであります。ところが課長、局長次官、そうした諸君が今度民間に出て参りますと、役所においては半分でも十分仕事はできるのだ、三分の一でもできるのだということを言われるのであります。従いましてさつき申し上げたのは、さような意味においてできるのだという軽い意味でございます。
  36. 志田義信

    志田委員 そうすると地方は御承知通り四十九全部をやめてしまつて管区だけが残つて行くということになろうかと思うのでありますが、さような場合に管区人たちが、たとえば山形に例をとりますと、仙台に監察部の出店である管区がある。われわれが酒田から山形市の県庁に行くだけでも、一日とまらなければならないという状態です。仙台に出て行くには二日がかりで出て行つております。そうすると常時監査をして、的確に資料を収集して監査に誤りなきを期するようにすることが、今後の系統的なあるいは常時計画的な監査の生目的でありますれば、一々出張旅費をもらつて出かけなければならぬ。仙台から山形に行くのに往復だけで四日かかる。さらに調査のためには二日なり三日滞在しなければならぬ。そういう調査費用が旅費の支給規程の方法によつて行われるということになりますと、国の財政の上から行きましても、予算の上りから行きましても、相当考えなければならぬものがあるのであります。はなはだしきに至りましては、そういう予算がとれないものですから、ある省の監査のごときは、こういうわけで金がないから三百円でとめてくれといつて地元に来てねだつて監査に来たのか宿賃をねだりに来たのかわからぬような実体がたくさんある。監査をすべき役人が、地方に来れば寝とまりする金をねだつて、加えて主食の饗応でも受けなければならぬということになれば、監査監査にあらずして饗応を受けるだけにとどまるという結果になりますが、そういう点について具体的に、管区だけで監察が十分であるという根拠につきましては、私はなお了承するわけには行かない。政務次官地方事情には明るい方でありますから、私はその点あらためてお尋ね申し上げておきたい。
  37. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 地方における行政監察につきましては、管区を中心といたしまして、その管区内にそれぞれ出張いたしまして監察をするということによりましても、その目的は達成し得ると思います。しかし私自身もその研究の過程におきまして、こうした監察行政というものは、それぞれ各都道府県という行政地区があります以上、そうしたそれぞれの地区に実際に足をとどめて、そうした地方の実情に常に親しみ、調査それ自体も緊密な連絡のとれる姿においてやる方が、能率が上るのではないかというようなことも考えないでもないのであります。そうした点につきましては十分考慮を用いまして、今後に対処したいと考えております。
  38. 志田義信

    志田委員 能率が上るという考え方がどうして出るのか私にはどうしてもわからない。なぜ能率が上るのか、業務分量がふえて人間は遠隔の地に住んでいる。そして出張するにも二日も三日もかかる。こんな所は山形県だけではありません。各地方にたくさんあります。往復に四日もかかる。調査には旅費日当の関係で、一週間も十日も二十日もおそらく調査させないでしよう。そうすると能率を上げようにも上げようがない、飛行機でも飛ばして乗せて行つて飛行機で帰つて来るというわけにも行かないでしよう。これはできない。そういう実態を把握しておつて、なおかつそういう計画が立つということが能率的である、合理的である、ラシヨナリゼーシヨンであるという御説明は私はどうしても納得できない。そこでこういう規定をあなたの方で出されるそうでありますが、そういうものは組織規定の中に置くのですか、設置法の中に置くのですか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  39. 山口六郎次

    山口(六)政府委員  お答えいたします。先ほど来御質問に対しましてまことに御満足、御納得の行くお答えのできなかつたことにつきまして、さだめし御不満が少くないであろうと思いますが、重ねて申し上げましたように最後調整をいたしまして、その点につきましてもただいま十分調整中でありますので、いずれあらためてお答え申し上げたいと思います。
  40. 志田義信

    志田委員 この問題は、機構をどういうふうにつくられるかということを考えるときに、法律の示すものに基いてつくるのであるか。それとも單に組織を改める行政の組織規定の中で定めるのであるかということを、一番先に考えなければできないことであつて、何も最終的整備を要することじやないのであります。あなたがそういうことを言われると、つい私は多血性で胃腸が非常に丈夫なものですから興奮せざるを得なくなつて、おとなしい次官をいじめるようになつて相済まないと思いますが、そういうことになると法律できめるとか、組織規定の中に入れるとかいうことは、一番先に事務官僚が考えてやることなんで、それを最終的な整備をまたなければできないということはないと思うが、その点はもう少し了承のできるような御答弁をしていただきませんと、これは国会を通じてみんな国民が知ることなんでありますから、それではあまり與党政務次官のあなたがそういうことを言われると、かなえの軽重を問われるやの疑いをいだく。それであるならば、次官のごとき高潔にしてそのことをよく知つておられる方が、何かの事情でそういうことを言わなければならないのだというようなことも考えられるのでありまして、そういうことのないようにひとつ御説明を願いたい。これは第一段をつくるときにすでに出なければならぬ問題なんです。
  41. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 決定いたします際においては、法律による設置法によりまして処置いたすことになつております。
  42. 志田義信

    志田委員 そうしますと今のお答えによると、設置法の中に織り込むということでありますから、われわれとしては單に組織規定の中に入れろということでなくて、それを法律によつて設置法の中に入れるということに重大な関心を持たざるを得ない。われわれはこの問題につきましては地方安定局を全部生かしておくということができないならば、むしろそういう遠隔の地等を考慮いたしまして、やはりブランチを置く支局を置くというようなことも一応考えていいのではないか。そう何もかにも四割削減ということについては何ら基礎がない。してみれば政務次官においてその点も考慮してできるだけ将来の運営に支障を来さないような方向で——何も人を切るということが目的でないのでありますから、もしほんとうに必要な職責を全うさせるのであるならば、業務分量と対比して御研究すべきことなのであつて業務分量が少くなるにかかわらず人員が多くなるというときには、人員整理しなければならぬ。そうでない場合には、行政整理を必ずしも取上げてやるべきでない。巷間伝えられるところによると役人は遊んでいるということを言われますが、必ずしもそうではない。われわれの親戚縁者の中には、毎晩十一時、十一時半に帰つて来ている。私はときどき叱ることがある。酒を飲んで遊んで帰つて来るんだろう。そうじやないのです。目をまつ赤にしている。大蔵省なんかもそうです。建設省の企画課でもそうです。安定本部でもそうです。私の知つているそれらの人は、夜を徹しても深夜業までやはりやつている。その証拠には結核患者が多く出るのはどこにあるでしよう。日本の官庁事務者にあるのじやありませんか。栄養が不良である。給與は安い、そして結核予防の対策が何らとられておらない。こういうどころに一番結核患者が多い。日本の交通業者の中で、地下鉄の従業員と官庁に職を奉じておられる方が、結核患者になられる方は同率であることは、厚生省の数字を見ても明らかになつておる。満州事変以降日本に非常に官庁人員が多くなつたということ、多くなつたところも多いでしよう。農林省にしても通産省にしても多くなつた。いたずらに多くなつたところは大いに是正してチエツクして、行政機構改革もやつて再編成をしなければならぬことは当然でありますけれども、ただ一概に役人は数が多過ぎて遊んでいるという結論は出すべきじやない。その点十分政務次官はお考えになつておられると思う。人情の人でありますからもちろん十分お考えになつておられると思うが、そういう御発言に対しましては私たちは了承するわけには行かないわけです。そこで四割削減という根拠がどこにあるのが、これがちつとも明示されておらない。なぜ四割削減しなければならないでしようか。たとえば経済調査庁は、この前のときには五割削減ということを言つて来た。われわれが経済安定委員会その他を通じまして、政府その他に反省をもたらした結果、二割五分か何かでもつてとまつた事実がある。そのときもやはり政府を代表する人々というものは、必ず運営のよろしきを得さえすればやれるとか、あるいは業務分量が多くても、うんと努力さえすればやれるということだけ言つていた。ところがわれわれとの間の話合い、あるいは委員会を通じての質疑応答によりましても、そして最後には修正を余儀なくされて二割五分に修正されておる事実がある。閣議の問題にいたしましても、先には経済安定本部の問題におきましても、設置法の改廃の問題におきましても、閣議決定したということだけでもつて大上段に振りかぶられても、総理以下閣議も誤りということがある。そういう場合には、閣議決定したことといえども修正して一向さしつかえないということを総理自身が言われておる。こんなことは総理に聞くまでもなくあたりまえのことでありますから、政務次官もこのたびの四割の人員整理ということには、何ら根拠がないということをもう少し御検討になつてくださるわけには行かないものか、これは簡單な問頭ではないのでありまして、日本が今後いろいろな国内の争乱が起きるとすれば、御承知通り共産党の不法な活動ということになる。共産党の不法行為が起きるとすれば、これは経済面において起きろということは、政務次官もよく御承知通りであります。経済面において起きるとすれば、国家財政が不当に支出されているとか、あるいは紊乱その極に達しておるとかいうことを摘発されることが、今後の思惡対策におきましても、治安対策の上においても一番重大なことになるのである。しかるにそれらのことに鬪つて来た人たちを今日においては馘首して、そうして場合によつてはそれらの中から共産党の陣営、あるいは暴力革命を推進しようという段階にもし入る人があるとしましたならば、政治に志を持たれる方々としては、決してこれは安閑としてはおられないのであります。すでにそういう気配がないとは言えない。今日は経済調査庁の官吏であつても、明日は日本の暴力革命の先駆者になるというような人が出て来た場合には、これは政治のやり方が正しいかつたとは言えないのでありますから、行政整理はきわめて愼重に、きわめて理論的に、納得する立場においてやらない限りはなすべきものではない。これに手をつける以上は十分納得させて、その予防的措置においても、救済措置においても欠くるところがないように、少くともこれだけのことをやる以上は、地方経済局員に対して、それぞれの就職をあつせんするくらいやらなければならぬのに、一人もまだあつせんされていない。ただちにこの人たちはその場から困るのです。これは中央においてもその通り地方においてもその通り、しかも次官は御承知通り、その役所のある間に、履歴書を持つて地方のそれぞれのところに就職をしに行く場合におきましては、これは就職は可能なんです。ところが自分の城がなくなつたということになりますと、今まで相手にした民間の会社等においても、相手にしなくなるというのが人情の悲しむべき状態なんです。してみますと、政府はそういうことをひた隠しに隠して四割減をやるべきではなくて、十分納得させて、そうして地方人たちに自分の行き場所について安心させてもらいたい。わずか千人か二千人の人じやありませんか。今まで経済の査察に当つて努力してくださつて、効果も上げている人たちを、ここで涙もなく、ただ機構いじりだけでもつて切るということは、これはどうしても政府施策のよろしきを得たものとは思えないのであります。従いまして政府関係におきましても、この問題は相当考えていただきたい。人員整理の四割ということに根拠がないならば、もう少しその点はお考えくださつて、われわれといたしましてもまた数字をあげてその問題につきましては政務次官にお願いに行き、また十分お話合いをしたいと思うのであります。この際何も四割も切る必要はないということを特に申し上げると同時に、地方管区経済局の所在地以外の府県に、一つも支局を置かないというやり方をすることも意味をなさない。出先機関というものが悪いならば、大蔵省財務部その他の出先機関を全部やめたらいいではないか、抵抗力のきわめて強いところに対しては、これらのものは従来通り温存されておつて経済調査庁に限つて全部四割もやる、しかも地方経済調査局は全廃する、こういうことでは納得ができないのでありまして、これに対して政務次官はどういうふうにお考えになつておるのか、ひとつお尋ね申し上げたい。
  43. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 今仰せのごとく、官吏の現状について深い認識と同情を持つておられまするお尋ねに対してましては、私も深く敬意を払うものであります。私が先ほど申し上げましたのは、そういう説をなす者があると申しましたので、私自身がさような認識をしているという意味では毛頭ないのでありますから、その点は誤解のないように願いたいと思うのであります。お説の通り私自身も常日ごろ、いやしくも国家の官吏といたしまして、きのうまでその重大な行政事務を担当していただいた諸君を、今日ただちに用がないからといつたような考え方は非常にあやまちであるということは、午前中にもしばしば申し上げておるのであります。従いましてもし将来人員整等理の場合に当面いたしますれば、お説のごとく就職等についてはもちろん、退職に関します手当、また今回の行政改革に伴いまして、その結果やむを得ざる定員削減等の場合におきましては、私どもとしては従来においても十分その措置を講じておりますが、さらに一段の考慮を加えまして、万違算なきを期したいと考えておるのであります。
  44. 志田義信

    志田委員 政務次官誠意のある御答弁に対しては、私まことに感謝いたします。そこで従来予算人員——定員のほかに、定員外の者が相当にある。これはどこの省にもありますから、経済調査庁にもあると思いますが、これらの人々はどういうふうに御処置なさるお考えであるか、これは何ら保障のない立場にあると思いますが、この機構改革人員整理、削減をするにあたつて、そういう人たちがどういう方法でどういうふうに処置されるのかこれをひとつ伺つておきたいと思います。
  45. 上原正吉

    上原(正)政府委員 御質問の御趣旨は、この前の人員整理で残つておる者という意味でございましようか。
  46. 志田義信

    志田委員 そうです。
  47. 上原正吉

    上原(正)政府委員 それはまだ少し残つておりますが、予定の通り六月三十日までに、この前の整理は完了することになつております。
  48. 志田義信

    志田委員 それでは公共事業の監督で、安本関係の職員十四人、それから行管監察職員二十人、合計三十四人はどうするのですか。今度の機構の中に吸収するのですか。それとも整理の対象になるのですか。
  49. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 大体そのままにしておくという方針考えております。
  50. 志田義信

    志田委員 すると同じ監察事務に携わつている者の中で、安本に所属する者、あるいは行管に所属する人たちはきわめて安泰である。経済調査庁に所属するものは、一律一体に四割削減されるというのは、どこに理由があるのですか、それをひとつ伺いたい。
  51. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 その定員の削減に関しましては、先ほど申し上げましたように、後刻正確な資料を得ましてから御報告いたしたいと存じます。さよう御了承を願います、
  52. 志田義信

    志田委員 警察とか檢察庁の人員は、やはり必要に応じて増員をしなければならぬ。警察予備隊も必要によつては漸増する。経済調査庁も、このたびの行政機構改革にあたつて、必要によつては、四割というものをさなに低くして二割なり何なりにする。また必要によつては支局も存置させてもよいのだという考え方が少しでもあるのかどうか。これは盲打ちにして、どうしても切らなければならぬと思つておるのか。それをひとつこの際明らかにしていただけば、私の質問も大体終りますが、いかがでしようか。
  53. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 おそらく志田委員の御質問に対しまして、終始ほとんど御満足の行くお答えはなかつたと思うのでありますが、ただいまの御質問に対しましても、従つて後刻あらためてお答えすることにいたしたいと存じます。
  54. 志田義信

    志田委員 どうも次官自身が満足な答えはしていないのだと答えておられるのだから、これ以上質問しても満足な答えがないということはわかりましたので、私はやめますが、これはおそらく次官誠意の問題ではなくして、人の長になつてみて、その部下に対して、自分の手によつてその人の職を奪わなければならないという結果が出て来ることに対する、非常な良心的苛嘖のために、ほんとうのことも何も言えないということであろうと思います。私はそれでよくわかりますが、一つ政務次官にお願いしたいことは、これが悪い前例になることをおそれるのであります。少くとも検察庁の身分保障がなぜ行われておるかということをよくお考え願いたい。司法官の身分保障が行われておるのは、それぞれその人たちが、その期間に得た個人の秘密に関する事項に対して、これを悪用させないためで、そのためにはどうしても身分保障をしなければならぬのであります。他の脅迫にかからぬようにするために、身分保障をしてやらなければならぬという、これは法の大きな心からなつておると私は思う。こういう監察事務に携わる人たちは、場合によつては自分の生命、あるいは自分の家族の生命等に対しても、いつ不法な態度をとられるかもわかり得ない状態にあります。従来ともこの行政事務の運営の中におきまして、監察事務に携わる人たちはその点非常に心配が多い。しかるに突如として今度こういうふうに四割削減ということになりまして、今まで監察事務に携わつてつた人たち及びその家族が、街頭にほうり出されるということになりますと、そこに非常に大きな精神上の安定感を失いますると同時に、従来知り得た秘密その他に対しましても、これを円満に行政事項として解決して、従来警察や検察庁の違反の検挙取締りと別に、ただひつぱつて来て、ただ牢屋につなぐというやり方ではなく、中にはり反省を勧めてそれをやらせないという方法をとつたり、その他の予防的なことに大いに貢献されておつたことが、逆にこういうこともあつた、ああいうこともあつたということが世間に出て来るということもまた考えてみなければならぬ。そういう点からいつても、私は今回の経済調査庁監察部門を行政整理の対象にすることに対しては、よほどの確信がなければできないことであつて、できるだけこれらの人々をして従来通りその職について、安んじてやつて行けるようにすることが政治の目標でなければならぬと思つております。おそらく政務次官も同感なのではないかと思う。ずいぶん沈痛な顔をしておられるところを見れば、私はよくあなたの心事がわかる。従つて政務次官は今後におきまして、この問題に対しましては相当の決意をもつて、主務大臣である野田大臣とも話を進めてもらわなければならぬと私は思いますが、あなたはそういうお考えを持たれるかどうか。きまつたことだからしかたがない、自分は今まで知らなかつたのだからそうなつてもしかたがないという安易な考えでこの問題を処理されると、政務次官としての重責を全うしたものではない。曠職のそしりを免れないということを私は特に強く申し上げたいと思います。その点はいかがですか。
  55. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 志田委員と同様な見解に立ちました場合におきましては、お説のごとく決して曠職の非難を受けるようなことは断じてない私であることを信じております。
  56. 前田正男

    前田委員長 次に多田勇君。
  57. 多田勇

    ○多田委員 ただいま志田委員からいろいろ御質問がございましたが、今まで経済安定本部の問題経済調査庁の問題等についていろいろな御意見を聞き、あるいは政府行政機構改革をしようと考えておる点を聞いて参りますとどうも考え方が基本的に実情に沿わない点があるのではないかというような感じがいたすのでございます。と申しますのは、経済安定本部にしましても、経済調査庁にしましても、統制経済の遺物であるかのような考え方を持つて経済安定本部を廃止し、あるいは経済調査庁行政監査の面に振り向けようという考え方に立つて行政機構改革をいたされておるような感じがいたすのであります。この点につきましては、私ども野田長官の御出席を願いまして、いろいろ申し上げたこともあるのでありますが、ただいま経済調査会の問題についていろいろ論議されておりますように私は経済調査庁行政監査の面に振り向けられること自体に対して、非常な不演を持つておるのであります。敗戰以来日本経済を今日の状態に持つて来るために、経済調査庁の果した役割というものは非常に大きかつたと思うのであります。なるほど経済調査庁が、出発の当初におきましては、経済の検察的部面に力を入れるといいますか、非常に混乱した経済状態におきましては、どうしても検察的な部面に力を入れたような傾向もあつたことに対しましては、私ども、経済調査庁の行き方として、いろいろ批判を下したことがあつたのでありますが、その後におきましては、経済調査庁は検察的な面よりも予防的な面、さらに日本経済実態を把握する面に主力を注がれて参りました。先ほどお話がありましたような、国の経費の二百数十億を章減することができたという問題よりも、日本経済の発展の推進的な役割、日本経済の実力の把握のために盡した功績の方が非常に大きかつたと私どもは考えておるので彫りますが、こういう経済調査庁の今日まで果した役割、さらに独立国家として世界経済の本流に竿をさして行かなければならないところの、日本経済のパイロットの役割を果す機関がどうしても必要だということは、だれでも考えておる点でございます。このパイロツトの役割を——経済審議庁ですか、経済安定本部を中必にしまして推進いたしますためにも、その基礎になるところの調査あるいは日本経済の判定をする資料を集めるための機関がどうしても必要だということは、これも理論的にはだれでも反対する面はないと思うのでございます。現在日本経済が安定したと言いましても、まだ完全に安定するには至つておりませんし、これから日本経済が世界の経済の怒濤の中に竿をさして行かなければならない時期に際しまして、経済調査庁を廃止しあるいは経済安定本部を廃止しようという考え方自体が、日本の経済実態から相当遊離した考え方ではないか、かように考えるのであります。経済安定本部を廃し、あるいは経済調査庁行政監査の面に振り向け、そのために非常な人員整理、業務の圧縮をしようという考え方に立たれておるようでありますが、この考え方を再検討する余地がないかどうか。  それと、いま一つは、今まで経済調査庁関係政務次官はなかつた関係上、どうしても政府に対する抵抗力が弱かつたというようなところから、行政整理の都度、経済安定本部にしましても、あるいはことに経済調査庁は最もしわ寄せのはげしいところであつたのであります。幸いに政務次官ができましたけれども、これは経済調査庁の葬儀委員長になるのではなく、経済調査庁が日本の経済の推進的な役割を果すための政務次官として、経済調査庁の新しい機構について、いま一度考え直して再検討をする考えがないかどうか。この点ひとつ政務次官の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  58. 上原正吉

    上原(正)政府委員 お答えいたします。現在政府行政機構改革案は一応の結論に到達いたしておりまして、この結論は部内でいろいろと論議も重ね、かつ検討の結果の結論でございまして、その過程におきましては、お説のような議論もたくさんでございましたりするのですが、政府といたしまして、一応この結論に到達いたしました以上、この結論を実現させるということに努力しなければならぬというふうな考え方にただいまのところおちついております。
  59. 多田勇

    ○多田委員 政務次官がさような考え方でおられるのでは、私どももいまさら何をか言わんやであります。大体政府方針決定された、最後の結論に達したというお話でございますが、現状に沿わないような形において行政機構改革をすること自体は、再検討する余地があるだろうと思います。山口さんは、行政機構全体をにらみ合せておられる関係上、個々の行政機構実態を十分に把握されてない面も相当あるだろうと思います。これは野田さんにしましてもその通りでございますが、そういう面から考えまして、経済安定本部あるいは経済調査庁の今まで果して来た部面よりも、これから果さなければならないところの部面について、幸いに両政務次官とも同県のよしみでありますから、十分に経済調査庁の必要性を説かれ、再検討していただくことを私どもは希望するわけでございます。今の政務次官お話のように、もう再検討する余地がないということであれば、私ども国会立場においてこの問題を再検討するより以外に方法はないのでありますけれども、そういう意味で、單に経済調査庁を、行政監査の面だけでなしに、経済全般の問題についての実態把握の機関として、経済審議庁の中に包含するような形を、再検討でなくてもけつこうでございますから、ひとつ検討していただきたいということを御希望申し上げまして、私の質問を終ります。
  60. 志田義信

    志田委員 いろいろ今多田君からお話がありましたが、これについては、私たち考えていることと大分話が違うので、これ以上質問しても、政務次官としても何ら新しいお答えがなかろうと思います。この問題に対する質疑はまだ残つております。野党の方も残つておりまして、十分にこの問題をやりたいというような希望もあります。ついては、当委員会におきまして、意見をとりまとめまして、行政管理庁、主務大臣経済調査庁に対して申入れをすることを私は提案いたしたいと思いますが、委員長のこれに対するお考えを承りたいと思います。
  61. 前田正男

    前田委員長 ただいまの御発言に対しましては、実は先ほど来質疑応答の中において、山口政務次官から、近く政府方針決定次第当委員会に対していろいろと腹蔵のない説明をされるということでございますので、追つて委員会を開きまして、その席において、政府の腹蔵ない御発言に対して、野党の委員も與党の委員も質問が残つていると思いますので、御質問を願つて、その質問の結果によつて委員会としての態度を決定したいと思います。ちよつとお尋ねしたいことがありますが、いつごろ腹蔵ない御意味を発表願える予定ですか。
  62. 山口六郎次

    山口(六)政府委員 明日以後なら大体よろしゆうございます。
  63. 前田正男

    前田委員長 それからもう一つ上原政務次官にお尋ねしたいと思いますが、先ほどの資料は月曜日ごろまでに提出できますか。
  64. 上原正吉

    上原(正)政府委員 月曜日までにつくつて手元に差上げます。
  65. 前田正男

    前田委員長 それでは政府の腹蔵ない意見を承る日にちについては明日の委員会において相談してきめたいと思います。  本日の会議はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十一分散会