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1952-05-07 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月七日(水曜日)     午後二時三十五分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 有田 喜一君       岩川 與助君    圖司 安正君       福井  勇君    福田 喜東君       渕  通義君    村上 清治君       笹山茂太郎君    土井 直作君       風早八十二君  出席政府委員         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君  委員外出席者         議     員 小淵 光平君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 四月七日  委員横田甚太郎君辞任につき、その補欠として  風早八十二君が議長の指名で委員選任された。     ――――――――――――― 五月一日  仙塩地区国土総合開発法に基く特定地域とし  て指定等の請願(内海安吉君紹介)(第二四六  二号) の審査を本委員会に付託された。 四月二十八日  特定地域総合開発事業の促進に関する陳情書  (第一六〇六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国土総合開発法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五六号)     ―――――――――――――
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  国土総合開発法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  議員小淵光平君より委員外発言を求められておりますので、この際これを許したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正男

    前田委員長 御異議なければ、小淵光平君に発言を許します。
  4. 小淵光平

    小淵光平君 国土総合開発に関する問題は、おそらくあらゆるものにわたつて開発するということは言うまでもないのでありますが、なかんずく地下資源であるとか、あるいは水力資源、あるいは林産資源観光資源等開発がなされることになると思います。これらの開発される目標とも申すべきものは、それぞれ各省にまたがつているということも、これまた当然考えられる点でありまして、おおよそ開発さるべきその目標となるものは、たとえば建設省関係、あるいは農林省関係、その他厚生省関係とか、いろいろありますが、そういうものが統計的にどのくらいのウエートがどの省にはかかつているということが、何かでおわかりになつているものでしようか、これをお伺いいたしたいと思います。
  5. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 御承知のように、総合開発計画におきまする開発対象は何にすべきかということは、実は大部分は今後決定する問題でございます。たとえば特定地域につきましては、今回の法律改正案におきましても当該地域におきまする開発目標は、新たに総理大臣がこれを指示するのだということに規定してございまして、当該特定地域におきまして、いかなる事業を主目標にして開発するかということは、今後決定して参るべき問題になつておるわけであります。特定地域以外の地域におきまする開発対象は、御承知のように、特定地域外地域は、地方におきまして自主的に開発計画中央に持つて参りまして、中央がこれを審議するということになつておりますので開発目標はおのずから地方の方で御決定になりまして、中央に御提出になるということになるわけであります。従いまして、国としていかなる事業あるいは対象に、開発重点を置いて行くかというお尋ねにつきましては、これからそのウエートをきめて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  6. 小淵光平

    小淵光平君 もちろん私も、統計的に建設省関係がどれだけ、あるいは農林省関係がどれだけという数学的のことは、なかなか簡單には出ないと思いますけれども、たとえば建設省に関する河川道路の問題が、全体から見ると比較的多いとか、あるいは地下資源関係のもの、通産関係のものが多いとか、あるいはまた農林関係の林野とか畑地とかいうものが比較的多いとか、全部にわたるとは言いますけれども、そのうちに比較的ウエートがかかるものがあるのではないかと思いますので、私はその点をお伺いいたしたいと考えておるわけです。
  7. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今回指定いたしました十九地域の、たとえば資源賦存状況を調べてみますと、御承知のように十九地域を指定いたします際には、国の国民経済から見まして、最も重要と思われますところを特定地域といたしまして、全国に十九指定いたしたわけであります。従いまして当該地域に存在しますところの資源状況というものが、この特定地域決定の重要な要素になつておるわけでありますが、しからば当該地域におきましてどういう資源が存在しておるかと申しますと、森林関係、これは当該地域全国の四〇%程度のものが存在するということになつております。また土地改良あるいは水田、そういうものが大体三一%開拓可能地全国の三三%、そういうふうなものが特定地域の中に入つておりまして、少くとも今回特定地域として指定いたしました地域に対しますところの農林関係あるいは食糧増産関係重点の置き方は、相当大きなものになつておると存じます。
  8. 小淵光平

    小淵光平君 私も大体その想像をいたしておつたわけでありますけれども林野庁関係あるいは農地に関する問題、あるいはこれも農地には関係がありますが、開拓地等に関する問題が相当大きなウエートを占めるというお話であります。法の第六条の二項が改められまして、開発審議会委員が今度それぞれ選任されることがここに明示されておるわけであります。こういう委員選任をするような場合に、この中に衆参議員が九人の六人というふうに出ておりますが、この委員選任等にあたつては、これらの部面に関係のある委員等相当考慮に置いて選任をされるということがこの法の中に考えられておるかどうか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 衆参両院議員の方々を十五名、今回新たに審議会委員として任命することに、改正法案におきまして規定しておるわけでありますが、この議員選任方法につきましては、ただいま御指摘のありましたように、それぞれの専門的な知識を持つておられる方をお選びすることはもちろんであります。それとともにまた地域的な利害関係といつたような各般事情考慮いたしまして、愼重決定いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  10. 小淵光平

    小淵光平君 各般事情をしんしやくして愼重考慮するということであるが、前段の御説明のように、専門的な知識を持つておる衆参議員の中から選ぶということを前提として、適当な考慮によつて選任するというふうに了解をいたしておきたいと思います。  それから第六条の二に関係する問題でありますけれども、ここに特別な事項を調査審議させるために特別委員会設置規定されております。その特別委員会において審議する問題はどういう問題であるかということをお尋ねをいたしたいと思うのであります。私どもの常識で判断しておりますことは、たとえば特別委員会というのは、電力の問題であるとか、あるいは河川あるいは地下資源というような特別な問題に限つて、この特別委員選任をしてやるのだというふうに了解をいたしておるのでありますが、これが間違つておるかおらないか、この点をお伺いをいたしておきたいと思います。
  11. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 第六条の二に「国土総合開発審議会は、特に重要と認める河川を含む特定地域又はその他の特定地域に関する特定地域総合開発計画及びその実施に関し必要な事項について、特別に調査審議する必要があると認める場合においては、特別委員会を置くことができる。」というふうに書いてあるわけでございます。従いましてただいま御質問に相なりましたように、ある特定の問題につきまして審議する場合もありますが、法律におきましては、大体ある特定地域につきまして、その地域全体の総合開発計画につきまして、特別委員会審議をしていただくということを考慮しておるわけであります。
  12. 小淵光平

    小淵光平君 この特別委員の選考というようなものについても、これは先ほどお尋ねしましたように、その部門部門あるいは目標とさるべきものにふさわしい委員が当然選任をされると私ども了解をいたすのでありますけれども、もしこれが農林部門であるといたしますと、もちろんその部門から全部出したのでは一方に片寄りますから適当ではないかもしれませんけれども、やはりこれらに関係のある方面からこの特別委員というものを選任されるという考え方が流れておるかどうか、この点もお伺いをしておきたいと思います。
  13. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいま御質問通りに、それぞれ各専門の知識、経験をお持ちになりました方の中から選任をいたしたい、こういうふうに考えております。
  14. 小淵光平

    小淵光平君 六条の三の関係でありますが、「国土総合開発審議会事務をつかさどる機関」に関してはという字句がありますけれども、この「事務をつかさどる機関」に関してはということは、何をしてこういう機関というような考え方をするのであるか、この点がはなはだ了解しにくいのであります。ある目標があつて事務をつかさどる機関に関して、というようなことをお考えになつておるのだと思うのでありますけれども、この点を御説明願いたいのであります。
  15. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 これは総合開発審議会事務局意味でございまして、現在経済安定本部の中に国土総合開発事務所というものがございます。これが総合開発審議会事務局的な機能を働かせておるのであります。大体考えておりますことば事務局意味であります。
  16. 小淵光平

    小淵光平君 次に七条の関係でございますが、この七条の中に、全国総合開発計画は経済的な計画がなされるのであるか、あるいはまた目標計画目標を立てるということが流れておるのであるかということについて御説明を願いたいと思います。
  17. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 どちらであるかというお尋ねに対しましては、目標計画であるというふうにお答えできるであろうと思います。この第七条の二項におきまして、全国総合開発計画は、地方計画あるいは特定地域計画その他の計画基本とするということに、はつきり全国計画性格規定してあるわけでありますが、これらの点から考えまして、この計画はいわば一種の目標計画であるとはつきりお答えできろと思います。
  18. 小淵光平

    小淵光平君 この二に、全国総合開発計画は、都府県総合開発計画地方総合開発計画基本とするというふうに書いてありますが、全国総合開発計画というものは、都府県総合開発計画、あるいは地方総合開発計画というようなものを拘束するものであるかどうかということについて、お尋ねをいたしたいと思います。
  19. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 拘束すると申してはいささか語弊があるかとも思うのでありますが、第二項にございますように、全国計画ができました際には、これを基本として地方計画都府県計画地域計画は作成されなければならぬということになるわけでありますから、この全国計画と著しく背馳するような計画中央にお出しになりましても、審議会といたしましては、おそらく全国計画のラインに従いまして審議をいたすことに相なろうかと思うのであります。その限度におきましては、あるいは拘束ということに相なろうかと思うのであります。
  20. 小淵光平

    小淵光平君 やはり七条の二の二項の関係であります。都府県総合開発計画は、建設大臣を通じて内閣総理大臣に報告されるということになつておるのでありますが、建設大臣だけを通じて内閣総理大臣に報告をされるということでありますと、何だか建設省だけが所管をしておるような感じが強く持たれて参るわけであります。たとえばこの調整安本が全部するのでありますから、これはよろしいとしても、建設省関係のあるものは建設省を通じて出ることも可能でありましよう。しかし先ほど総合国土開発をする場合のウエートの概要を初めにお伺いしたところによつて農林関係のものが相当分野を占めておるということになりますと、やはり農林省の方からも、この計画について内閣総理大臣に報告するというように、一つ経由機関はやはり農林省ということにしなければ、どうやら一つの省が総括した、それが最高の省であるというような感じを深く持たせるようなきらいがあると思うのであります。どうしてこれを建設省だけに全部持つて行くか。たとえば第十条の一項を見ましても、特定地域の要請は経済安定本部総務長官及び建設大臣が、その協議によつて特に必要と認められるような云々となつておりますが、これの底を流れておる考え方というものは、建設省がすべてのものをやつて行くのだ、しかも調整機関としての安本は、すでに今度の行政改革によつて相当縮小されて、経済審議庁というようなことになつてしまうということになれば、総合開発の面では全部総括して建設省一本で行くのだという感じが、どうしても私どもには深く持たれてならないのであります。先ほどウエートの問題をお伺いしないのであれば、河川あるいは道路に関しては建設関係のものが大体の分野を占めるから、これで行くのが便利である、またお話のような技術者その他もあるから便利であるということであるならば、これはわかりますけれども先ほどからお伺したところによつてもわかりますように、これ以上のものが他にもあるにもかかわらず、建設省というもの一本に持つて行つたというところがどうも了解に苦しむので、これをわかりやすいようにひとつ御説明をお願い申し上げたいと思います。
  21. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まことにごもつともな御質問でございますが、この場合の建設大臣というのは、建設関係事業職能大臣としての意味ではなく、地方窓口としての建設大臣という意味とわれわれは了解しているのであります。従前でございますと内務省というものがございまして、内務大臣が一応地方窓口になるということになつてつたわけであります。ところが内務省がなくなりましたので、一応地方窓口というものはないと言つて語弊がありますけれどもはつきりいたしませんので、そこで従来からの沿革に基きまして、大体建設省地方窓口になるという関係で、第七条の二のようなものにつきましての内容指導は行わないのであります。ただ直接総理大臣に出すのも、いろいろ技術的な方法その他で問題がありました場合に紛乱が起りますので、地方計画をつくりました際に、その計画のつくり方、内容指導ではありませんで、計画のつくり方の様式の指導等は、地方窓口たる建設大臣にやつていただいて、それを総理大臣建設大臣を通じて出してもらうというふうにすることが便利であろうという関係から、建設大臣を通ずるというふうに第七条の二では規定してあるわけであります。同じような意味におきまして、第十条の方で特定地域を指定するにあたりまして、安本長官建設大臣協議するということになつておりますのは、十条の場合におきましては、安本長官中央行政機関代弁者としての安本長官であり、建設大臣はこの場合におきましては、地方の各自治体の代弁者としての建設大臣である。その両者が協議をいたしまして、いわば中央地方との意思を両大臣を通じて協議をしまして、そこで特定地域をきめるというふうにするのである。従つてこの場合の建設大臣は、河川あるいは道路所管するところの建設大臣意味ではない。第十条の二項に「経済安定本部総務長官は、関係行政機関の長の意見を聞き」ということがございますが、この関係行政機関の中には、道路または河川所管する建設大臣意味建設大臣も入つておるわけであります。従つて建設大臣職能は、この場合におきましてははつきりわかれておるという法律解釈で進んでおるわけであります。
  22. 小淵光平

    小淵光平君 それは都合のいい解釈だけであつて経由機関窓口だけであるならば、やはり安本の出先というふうなものを利用してもいいのじやないか。これは一体不離の関係が生じて参りまして、ただの窓口というような簡單なものには行かない結果になりはしないかということをおそれるわけです。どうしてそれでは安本でやらないで、建設大臣を通じてというような言葉を使い、また建設大臣安本長官協議するというような言葉を使い、建設大臣関係都道府県の同意を得るというようなことをいつて建設大臣だけをここへ出しておかなくてはならない理由がどこにあるか、いま少しすつきりした——安本なら安本という、行政機構改革によつて小さくなればなつても、まだ総括機関としての性格はつきりしておるわけでありまして、こうした方がよほどいいと思うのだが、いま少しくわかりやすいように、ただ二軍人格のために、一方はこういう窓口取扱いをする、一方は意思をその中に織り込むのだというような、こんなことはただ都合のいいことだけであつて、実際の運営上は、そういうぐあいには行かないのではないかと存ずるわけであります。それをいま少しくどういうわけでこういうふうにしなくちやならなかつたか、またこういうことにしたことによつて、さらにこういう考えでやつているのではないかということも推測されるおそれもないわけではないのでありまして、少し突つ込んで御説明をいただければ幸いと考えておるわけであります。
  23. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 この建設大臣と書きましたのは、二十五年の五月に、この法律が公布されました当初に、そういうふうになつておるのでありまして、今回はその二十五年の法律改正法案でありまして、従いまして、今回新たに建設大臣というふうに書いたのでないことは御承知通りであります。他方、現在の建設省設置法には、地方計画に関する事項建設省が担当するというふうに、建設省設置法の中に明白に書いてあるわけであります。他の省の設置法には、地方計画というようなものを取上げるというふうな規定がないわけであります。従いまして、その設置法の面からいたしましても、建設省を通じて、窓口としまして、地方計画提出せしめるということも一応考えられることと思います。農林省あるいは通産省、あるいは運輸省の設置法の中には、地方計画というふうな字句が入つておりません。どこか中央各省窓口にするということにいたしますと、設置法でそういうふうに規定しております建設省を通ずるというのが、一応の建前になりますものでありますから、かように規定したのではないかと存ずる次第であります。
  24. 小淵光平

    小淵光平君 その地方計画建設省だけが取上げてやつて行けるのだということを最初にきめて来たところにも、問題はさかのぼつて行くわけなんです。私ども考えておるのは、たとえば建設省がいろいろ起案をいたしまする道路法にいたしましても河川法にいたしましても、これは農林省関係の農道にまで関係が及んで来る面がたくさんあるし、河川関係にしても、灌漑用水まで及んで来る面が相当ある。これらのことまでも全部建設省所管をするというようなことが、今回現れた道路問題であり、河川法の問題であるわけなのであります。こういうことがどこを流れておるかと言えば、これはだんだん突き詰めて行くと、安本は小さくなる、そうすると、残つた問題は建設省窓口と称して、全部のものを掌握してやつて行くということになる——形をかえて、もし違う名前のものになつて来たようなことがかりにありとすれば、これは全部のものを掌握して行くというにおいがこの中に織り込まれていやしないかということが、私どもが一番心配をするわけなんです。それよりもむしろ、そんなまぎらわしいことをしないで、安本なら安本機構を伸ばして行つて、そこでやつたら、そういうような猜疑心を持たれないで、各省がみな納得ができてやつて行けるのではないかと思うわけなんです。だからどうしても初めの経緯が大体間違つておると言えると私は思う。しかし今は法を改正するときなんです。一部改正するときに際会しておるのである。このときに、しいて建設大臣を通じて云々とか、建設大臣が特に協議するとか、建設大臣だけが意見をたたくなんということを、何でもかんでもこの中に織り込んで、それらのものを一番総括すべきはずの安本をないがしろにするような精神をこの中に織り込んで行くということは、どうも納得が行かないと思うのです。これは多少討論にわたると思いますので、これ以上はどうかと思いますが、もう少しずつきりした、総合機関であり、経緯機関であり、窓口であるとしたならば、なおさら安本一本でやつたらばいいと考えますので、もしこれ以上、何か御説明納得の行けるようにできますれば、この機会にお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  25. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 まことにごもつともな御意見でございまして、実は今回の改正法案政府部内において審議いたします際にも、しばしばそういう意見は出たのでございます。しかしながらいろいろな事情によりまして、遺憾ながら今回は改正する機運には至らなかつたのでございます。しかし第十条といい、第七条といい、いずれも手続的な部分についてだけでございまして、具体的な計画決定し、あるいは開発目標決定し、あるいはこれに対しまして必要な予算措置を講ずるというような場合におきましては、すべてこれは各省平等のウエートをもちまして、経済安定本部がこれを調整するというような関係になつておるのであります。総合開発計画を実体的に決定いたします際に、建設省が決して指導的な役割を演じないというふうなぐあいに、今回の改正におきましてもはつきり規定してございますので、御心配のように建設省が事実上総合開発をリードするというふうなことには、全体を通じましては絶対になつておらぬので、七条といい、十条といい、それぞれ手続的な関係におきましてのみ建設省地方を代弁するというふうなことになつております。繰返して申しますように、決して建設省地方開発指導的な役割を演ずるというような意味には、法案の仕組みはなつておりません。その点を御了承を願います。
  26. 小淵光平

    小淵光平君 どうも納得がしかねるのでありますが、どうしても建設省窓口を通して行かなければならない、これがきめ手であるというようなことについては、どうも納得をしかねるのであります。むしろ私は、先ほど幾度も申しましたけれども、こういう国土総合開発というような重要な、戦後の一大事業をやろうということであるならば、国民がこぞつて喜んでやつて行けるように、各省も喜んでその計画の樹立をまつたからしめるようにやつて行かなくてはならぬと思うので、今の説明だけではどうも私ども納得ができないのであります。さらに窓口だけの問題とするなれば、農林水産業に関する総合計画連絡調整というようなことについても、すでに農林省設置法改正では閣議決定をされておるのでありまして、これはやはり先ほどお話だけをまともに受入れるということには、私どもさらに納得ができないのであります。各省がいま少し平等の立場で発言もし、それぞれ所管関係しておることについては、そこを突き上げて行けるようなことにして——具体的に何とか協議決定をして、安本でまとめてもらおうというような、具体的な機関はこの中にどういうふうに織り込んでありますか、その点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  27. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 たとえば特定地域総合開発計画決定ということが第十条の二にございますが、これは総合開発の今回最も重点を置いておりますところの、特定地域総合開発計画決定方式でありますが、この場合におきましても、関係各省協議をいたしまして、閣議決定をいたしまして、最終的な特定地域総合開発をきめるというふうな規定になつております。この点では決してただいま御心配になりましたように、建設省がこの計画決定指導的な役割をするのではない、関係各省閣議におきまして平等に意見を主張いたしまして、決定するということになつております。こういうふうな点からみましても、平等に各省それぞれの意見を述べるということになつておるわけであります。
  28. 小淵光平

    小淵光平君 一応そういうことになつておりますことは文面にありますが、建設省のみ発言の機会を重複発言できるような法律の流れに対しては、別の機会に適当な方法意見の開陳をできることを求めたいと思うのであります。私が考えております点、あるいは納得のできないことについては、あらためて後ほど適当な手続によつて進めることにいたしたいと思います。質問をこれで打切ることにいたします。
  29. 前田正男

    前田委員長 次に風早八十二君。
  30. 風早八十二

    風早委員 一、二点政府にお尋ねいたしたいのであります。この法律改正案は、直接はいろいろ審議会その他機構上の問題、それから計画を作成する手続上の問題が主になつておりますが、これらの改正が起つて来たその原因は、やはり総合開発というものの持つ性格、方向というようなものが、今までやられて来たその過程で、だんだんと明確になつて来て、また明確にせざるを得ない、こういうふうな点があるのではないかと思うわけです。その意味におきまして、一、二質問をいたしたいと思うのです。  その一つは、道州制の問題との関連であります。道州制の問題自身が、まだ政府の見解として明確に打合わせておるとは思いません。従つて政府としても、内容的にはまだはつきりしておらないという点もあるかもしれませんが、しかし総合開発というものは、当然地方問題であり、道州制ということが考えられておるとすれば、それと十分に関連があると思うのでありまして、そういう意味で、道州制というものがこれから出て来るということと関連して、一体これはどう道州制と関連があるのか、これは少し問題が一般的になるかもしれませんが、できるだけ簡單でけつこうですから、その概観をちよつと御答弁願いたいと思います。
  31. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今回法案改正いたします契機は、ただいまお話がございました通り相当早く業務を進めて参ります上に、手続関係なり、ことにその性格なりをはつきりする必要がありましたことはただいまお話通りであります。道州制の関係につきましては、実は総合開発と道州制とは、これまた御指摘のように、直接のいわばつながりというものはあまり深く私ども考えておらないのでございます。たとえば特定地域総合開発する、これは先ほども申し上げました通り、当分日本の総合開発は、まず特定地域総合開発から進めて行きたいというふうに考えておりますほど、最も重点を置いておるのでありますが、これらの地域決定にあたりましては、当該地域の持つておりまするポテンシャルを重視いたしまして、そのポテンシャルを包蔵しておりまする地域を、現在行政区画から離れまして、特別にある地域を指定いたしまして、当該地域開発するというふうな精神を持つております。従いまして総合開発におきましては、行政区画の問題は直接的にはあまり深く関係はないというふうにわれわれは考えておる次第であります。都府県計画等につきましても、その計画の組まれます地域が広くなりましても、あるいはまた狭くなりましても、計画の制度なりあるいは技術的な方法なりにつきまして、それほど支障は及ぼさないものと考えておる次第でございます。
  32. 風早八十二

    風早委員 私は相互に支障があるという形でこの問題をお聞きしているわけではないのでありますが、道州制というものは、そうやたらに道、州がよけいできるわけではないでしようがやはりそれを推進する場合に、この特定地域、特に現在取上げられた十九特定地域、こういうふうなものは、確かにもつと総合的な見地から取上げられたものだと思うのです。しかし今もお話があつたように、その地域が特に選ばれたのは、やはりその地域に潜在してもる人的物的その他の自然の条件と、あるいは社会的経済的な条件と、こういうものが中心に考慮されている、こういうことでありまして、非常にこれは重要な基礎になつて来ると思うのです。こういうものが今度道州制の区画におきまして、一つの基礎になるということであるが、そういつたような点についてすでに成案があればそれを示しでいただきたいし、また成案がないにしてもやはりこれがむしろ道州制の場合に、それを推進する、あるいはそれを規定をして行く一つの基礎になるのだ、こういうふうな関係にあるのか、その辺のところを伺いたい。
  33. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発の立場から道州制につきまして検討いたしましたことは、実は今日まではまだないのでございます。ただお示しのように総合開発的な立場によりましてこれを検討する必要は、私どもも大いに痛感いたしておる次第であります。
  34. 風早八十二

    風早委員 そうしますと、われわれしろうととして、しかし一応抽象的に考えてみますると、当然両方は密接に関連しており、同じ性格を持つて来るものである、そうでなければおかしいというふうに考え得るわけですが、そういう意味でもう少し道州制というものと関連しておるものだ、こう一応考えでお聞きしておるわけですが、もう少し具体的にその関連はつけられないものか、ついておればその辺のところをもう少し具体的に説明願えないでしようか。それとも道州制はまだまつたく未知である、あるいはまた直接計画としては、一方は機構改革の問題であり、他方は開発そのものの問題ですから違いますが、しかし安本としてはその両方を総合的にキヤツチしておられると思う。そういう点でまずこの法案の最後的な判断の前提資料として、もう少し具体的に説明してもらいたいと考えます。
  35. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私ども総合開発業務を進めて参ります上におきまして、現在の行政区画が若干支障になる場合もなきにしもあらずであります。たとえばある地域におきますところの潜在力を総合的に開発して行きます上におきまして、行政区画が数県にまたがつておるような地域につきまして計画を立てます際には、それぞれの県の了解なり、県の議会の議決を経るなりいたしまして、いわゆる中央計画という考えで参りませんと、当該地域計画ができないという場合も起つて来るのであります。そういう場合にはあるいは道州制等によりまして、当該地域の経済的なつながりがあります地域は、広い地域としまして一つである場合の方が計画が立てやすいということも感ずるのであります。しかしながら先ほども申し上げましたように、まだ総合開発の建前から道州制はかくあるべしというような結論なり検討なりは、私どもとしては十分遂げておりませんので、遺憾ながらお尋ねに該当するようなお答えは私からはできかねる次第であります。
  36. 風早八十二

    風早委員 それではまだそこまで十分なる御検討がないものと考えまして、また次の機会に譲ります。  次にこの改正案そのものというよりも、大体開発そのものをちよつとお伺いしてみたいのですが、これと今までの利根開発法とか、北上開発法とか、いろいろこれは各地方的な利害関係をむしろ中心にして、いろいろなものが出て来ようとしておるわけです。そういうものをこの法案の実施によつて全部総合してしまうのか、それはそれとしてまた別にそういつたような地方地方開発法というものは、やはり予定せられておるのか、並行しておるのか、あるいはみんなこの法案に総合的に解決して行かれるのか、この点非常に抽象的な問題の出し方ですが、その辺はどうなつておりますか。
  37. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 昨年来問題になつておりました利根開発法、及び北上開発法は、今回の改正にあたりまして、その趣旨を全部この法案の中に取入れまして、この法案によりまして利根の開発及び北上の開発行つていくということに決定いたしましたので、今回の改正によりまして二本建ということにはならないわけであります。
  38. 風早八十二

    風早委員 そういたしますと、その場合に、地方の利害とはいいながら、相当広汎にまたがつた、たとえば利根開発法にしても——北上開発法についてもそうでありますが、まあ、利根の方は非常に広汎であり、数県にまたがつた地域の共通の問題を総合的にここで解決して行こうということでありまして、相当これもそれ自身重要だと思うのです。ですからこれが問題なく、しかもほかの地域の要求と矛盾なく、総合的にここで取上げられて行くということになれば、それに越したことはないと思います。しかしながら実際においてはやはり一本にこれがまとめられたとたんに、各地域々々でこれがやはり重点だというので、特に望みかつ緊急を要しておるというような問題が、知らないままに、二次的に扱われることになつて、元も子もなくなるというようなことがないかということをおそれるわけです。一例を利根の場合にとりますと、何といつても利根水系の水の問題だと思うのです。またその水域の広汎な農地の問題だと思うのです。そういう問題が必ず利根開発の場合には、その地方的な重大問題になつて来ると思うのです。そういうものが、一本化されることによつて、非常にないがしろにされる——利根も十九地域のうちに取上げておるけれども、実際にその地域でほんとうに問題にしてもらいたいということが下に置かれてしまつて、そこでやるのは、せいぜい電源の開発であるというふうに、非常に本来のその地方の要求というものが、結局抹消されてしまいはせぬかという点は、実際問題としてどうですか。
  39. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 今回の法案改正におきまして、それぞれの特定地域に対しましては、総理大臣開発目標を指示することになつております。従いまして、たとえば利根地域について申し上げますければ、ただいまお話がありましたように利根川の治水、農地改良が当該地域の最大の指導目標になつております。そういうことを総理大臣が指示いたしますので、またその指示をいたします際には、むろん関係各省意見を聞きまして総理大臣が指示されるわけでありますから、ただいま御心配になりましたように、その地域におきまして、最も重要であることが計画から落ちるというようなことはまずなかろうというように考えております。
  40. 風早八十二

    風早委員 それは目標も立てられて、かつ特定地域として指定もせられておりますが、しかし実際に予算の裏づけとかいうようか問題になりますと、これが限られた予算の中でどういう立場に置かれるか、たまたま自分の地域にポテンシャルな、開発さるべき非常に重点があつた場合には非常にけつこうであります。主としてそういうものを取上げられたのだと思いますけれども、それにもかかわらず実際の予算の計画における配分、地方的な、地域的な配分というものに関しては、これはやはり非常に問題になると思うのです。ですから今の利根の場合に予算の裏づけはあるのかどうか、私は今までのずつと長い審議過程に参加しておりませんから、それらの点についてすでに御説明があつたならば、何月何日の委員会で、だれの答弁にあるというふうに言つてもらえばけつこうですが、そういう点で、どうも私の聞いているところでは、利根地域あたりには予算の裏づけがないように聞いておるのですが、そういう点は今のお話とは少し食い違いやしないか、こう考えるのですがどうです。
  41. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お示しのように、総合開発のなるかならないかは、実にこれに対しますところの予算の裏づけがあるかないかということによつてきまるわけであります。従いまして私どもも、ただ單に計画の立てつぱなしということではむろん満足できないのでありまして、これに必要なる予算はできるだけ獲得いたしたい、かような精神でおるわけであります。今回の法案改正の最大のねらいもそこにあるわけでございまして、この法案の十条、それから十二条、十三条という一連の関係をお読みくださればおわかりになりますように、十条におきましては、特定地域総合開発計画閣議決定いたすことになつております。閣議決定いたしますれば、その計画を実施するということは政府の道義的な責任になりますので、これは予算が多くても少くても、当然政府がやらなければならないということになるわけであります。さらにまた十二条におきまして、この閣議決定いたされました全体計画を各年度計画にいたしまして、その当該年度におきますところの計画関係各省がつくつて参りまして、それを安本長官調整いたしまして、当該年度におきますところの年度計画決定いたす。十三条におきまして、それに対しまして、国は財政の許す範囲内に、おいて、予算をつけなければならないというふうに規定しておるわけであります。ただいま申し上げましたように、全体計画閣議決定され、しかも当該年度の予算の根拠になるべき年度計画安本長官がこれを決定し、そうしてそれに対して、国はできるだけ予算をつけなければならないというふうな、一連の行政的な措置によりまして、できるだけ計画に対しまして財政の裏づけができますように構成されて来ておるわけでおります。昨年来問題になつておりました利根開発法におきましても、大体の規定の構成は、今回この開発法の改正によりましてねらつておりましたこととほぼ同じでございまして、特に今回の総合開発法の改正におきましては、年度計画を具体的に毎年々々安本長官調整して決定する。この年度計画に対しまして、予算をつけなければならないという道義的責任を政府に與えたという点におきましては、むしろ従前の利根開発法よりも進歩ではなかろうかというふうに、われわれは考えておる次第であります。いずれにいたしましても、予算の裏づけが必ずあるかないかということは、これはそのときの国の財政力にもよる次第であります。またこの財政力の許す範囲内におきまして、できるだけ予算をたくさんとるようにしていただきたいという意味からいたしまして、今回審議会機構改正いたしまして、衆参両院委員十五名に、審議会委員として御参加を願うことにいたしまして、衆参両院の諸先生方の政治力によつても、この予算の獲得に努めていただくという配慮をもしておるわけでありまして、計画がただ單に計画に終らないということにいたしたいというのが、今回の法案改正の最大のねらいでありますので、その点はわれわれとしても十分配意を行つておるつもりであります。
  42. 風早八十二

    風早委員 手続の形式から見ますと、今お話のように、毎年々々これをさらに検討して決定するというふうに、非常に整備したというふうに見えるかもしれませんが、今は非常に情勢の変化がはげしい段階でありますから、やはり毎年々々もう一度さらに検討して整備してやるということは、いかにも時宜に適しているように見えるのでありますが、しかしそのことは、他面から言いますと、ことに閣議決定にまつというふうな点は、これはやはり閣議にもよりけりでありまして、時の政府の政治的な観点というものが、非常にきいて来るわけです。ほとんどそれで左右せられる、こういう面がありまして、今現内閣のもとでこれが立案せられ、大体現内閣がずつとこれから永続することを前提として考えておられるかもしれませんが、これはいろいろかわるわけです。そういう点では、毎年々々決定ということは、非常にこの計画自体が、本来あやふやなものじやないかもしれないけれども、それが非常に動揺し、まるつきり別な方向へやられるというような危険をここにちやんと——そういう政治的な決定というものにゆだねておるという、そういう法案として、ことに計画案としては非常に固定性のないものになつておるというふうに他面からは考えられるわけです。それが一つとそれからそういうふうにやはり情勢の変化で流されて、毎年々々決定が行われるということの中に、そういうことでありますれば、やはりどういうふうな方向へこれが今ずつと流されて行くかという見通しも持たなければならぬと思います。流されるというだけではないかもしれませんが……。そこで最後に問題にしたいのは、総合計画の中で大事なことは、何といつても電源開発とか、治水とか、災害の防除とか、こういうふうなことと思うのです。その中でも特に永久の問題——これは解決すれば永久の問題でなくなりますが、当面どんなことがあつたつて、絶対的な問題だという問題は、われわれから見れば、やはり水の問題であり、それから農地の問題である。大ざつぱにいつてそう考えるわけです。しかるに現在の日米経済協定、こういうふうな線で大体行きますと、やはり電源開発が中心である、おそらく私はその点はそうだろうと思うのです。これは非常によく解釈して、それを総合的に解決されようというところにねらいが少くもあるべきはずだと思うのです。実際にあるというところまでは行かないと思うのですが、あるはずだと思うのです。最近の他の、これと並行して今通過し、修正せられて来ている河川法を見ましても、土地収用法を見ましても、また今度新しく出て来ました電源開発促進法案、これらを見ましても、明らかに電源開発というものを中心として、それに水の問題も、土地の問題も完全に従属しておる、こういうものがもうすでに通つておるわけです。そういうものとこれは矛盾するものではおそらくあり得ないのだろうと思います。そうしますと総合の名において、実際にはやはり電源開発中心になる、こういうふうになつて来ているのじやないか、しかるにこの水の問題、土地の問題というのは、これは今日本でまつたく解決しておらないし、まだ非常に焦眉の急を告げている問題である。これはどの地域でも大体言えますが、特にこの利根の問題をとつてみますと、私どもは明瞭だと思うのです。そういう点は、一体総合開発計画の中ではやはり私どもの申す通りであるか、それと違うと言われるならば、その点を御答弁願いたいと思います。
  43. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 お尋ねの第一点の、計画に固定性がないというお話でございますが、先ほどの私の説明であるいは落ちておつたかもしれませんけれども閣議決定いたします当該特定地域総合開発計画というものは、内容といたしまして、その計画を何年で実施するのであるかというふうなことも包含することになつておるのであります。法案の文面には入つておりませんがこれは従来の審議中の経緯にかんがみまして、「政令の定めるところ」という字句がございますが、その政令によりまして、政令の中でそれを規定いたしまして、当該計画は何年で完成するということを、はつきり政府の責任にいたすようなふうに規定いたすことになつております。従いましてこの計画が非常に流動的であつて固定性がないというお尋ねに対しましては、そういう措置を講ずることによりまして、財政の許す範囲内におきまして、当初計画いたした年次内に問題を解決いたすという措置を講じてやるつもりでございます。  それから第二は、電源開発が、総合開発においては中心になるのではないかというふうなお尋ねではなかろうかと思うのでありますが、総合開発は御承知のように水と土地とを総合的に開発することでございまして、電源開発のみがその対象になつておるのではないと申せると思うのであります。電源に水を使います際にも、電源のみに水を使うことが、日本の水を使うのに最も経済的、効果的であるかどうかということを判定するのが総合開発の建前でありまして、電源の開発のみを完全に行うために、他を犠牲にしても電源開発を優先すべきであるという建前から総合開発を行うのではないことは申すまでもないことであります。われわれといたしましては、日本の経済なり産業なりが望みます開発が、最も合理的に、公平に行われることを意図しまして、総合開発計画を立てたいというふうに考えておる次第であります。
  44. 風早八十二

    風早委員 御趣旨は一応わかりますが、実際にそうなつているかどうか、また実際客観的にそうなり得るかということ、それを私どもは問題にすることなくしては可否は論ぜられないと思うのです。御趣旨は確かに——総合開発をうたう以上は、水と土地の問題を解決して行き、そこから電源を生み出すということで、まことにけつこうなのですが、実際問題として、先ほど申したように、諸法案がこれと並行してもうできてしまつておるわけです。電源開発促進法案はまだ審議中でありますけれども、そういうものがこの間の本委員会と通産委員会との合同審査でも明らかになつておるわけです。あの法案によりますと、私のいうようなことになつておるわけです。それは法案の中でもそうなつておるわけです。これは土地の場合でも、電源開発の必要とあらば、いつ何どきでも収用し得るし、その場合にはすぐ農民との土地の関係が起つて来るわけです。それはどんな場合でも、電源開発をすれば、そこに必要な土地を収用されることはやむを得ないかもしれませんけれども、しかし実際問題がそこにあるのです。これはあとで私も二、三例をあげてみたい。さらに水の問題ですが実際問題として、ダムの電源用の水と治水の水とは、そう簡單にこれが調和するものではないのであつて、これはきわめて矛盾する場合が多いのです。そのやり方を十分にやればむろん矛盾しないと思いますけれども、はした金でやる、しかも当面の目標重点が電源にあるという場合においては、明らかにかまつてはおれないわけです。そこでどうしても水の方にしわ寄せが来る、農民は非常に怒るということになつて、至るとこで問題も起つているわけです  なお実際私のお尋ねする点、私の申す点を裏づける事実は幾多あると思うのですが、現在電源開発が中心だということは、私がただかつてに共産党流に独断で言つておるわけではないので、事実がそうであり、これはアメリカの対日政策としても一番重点にあるわけです。またそれを政府は受取つてつておるわけですから、何といつたつで、はつきりそう言われたつて一向ふしぎではないわけです。しかもその電源なるものが、もう目的が非常にはつきりしておる。あまりにはつきりしておる。それがまたしばしば実例ではつきりしておる。私はすべての電源、すべてのダムについてすべて知つておるわけではありませんが、われわれが聞いたやつはみなそうなんですね。この利根の場合でも、箱島発電所の電力というものは、二十二万ボルトで、これはまつすぐ千葉県の川崎製鉄へ今送電線が設置されつつある。それから日光の第三発電所ですか、あれもまたやはりまつすぐ日光の住友の製錬所へ行く。天龍川の高丘ダムですか、あそこもまた中日本重工の名古屋工場へ行く。そういうふうに非常にはつきりしておる。この小河内ダムなんかでもやはりそうです。それはそれでいいのですが、そのとばつちりがたいへんあるわけです。日光の場合でも、そのために水温が三度も低下するので、農民は非常に騒いでおる。小河内ダムでもやはり土地の取上げや水の問題で騒ぎが起つておる。おそらくまたこの箱島発電所の川崎の問題でも、利根沿岸でいろいろ問題が起るだろうと思うのですが、そういうふうないろいろな実例は相当枚挙にいとまないほどあるのですが、そういうふうな実情を見た場合に、総合ということを、なかなか容易に文字通りただ抽象的に受取るわけにはいかない、こう考えるわけです。そういう点で実際責任をもつて開発せられるこの総合開発を、総合性をどこまで実現せられ、その裏づけが、法案その他政令にいたしましても、あるかという点を最後に聞いておきたい。
  45. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 法案の中にどこまで総合性を裏づけするかということを、ここで、あるというふうに具体的にはお示しできないと思うのでありますが、電源開発促進法とこの法案との関係につきましては、両者ひとしく経済安定本部で原案を作成いたしました関係上、両者の関係につきましては十分検討いたしたのであります。ただいまはつきりいたしておりますことは、総合開発計画におきまして、組み立てられた計画のわく内において、電源の開発を促進するようにする。従いましてこの法律の方が電源開発促進法よりも先行するものであるということは、経済安定本部としまして、はつきりきまつたことであります。その意味におきましても、この法律は電源のみを重視し、電源開発に有利ならしめるために考えたのではないのでありまして、水を使います場合に、灌漑にどの程度使い、農業用水にどの程度使い、あるいは工業用水にどれだけ使い、電源にどれだけ使うかということを、合理的に、科学的にきめて参ろうというのがこの建前でありまして、しかもそれをはつきり行うように、ただいま申しましたようなふうに、電源開発促進法との関係考えておるわけでありますので、私どもといたしましてはできるだけある一つ事業に片寄らないで、たびたび申し上げますように、抽象的で恐縮でありますが、日本の国土と水を総合的に、最も合理的に、経済効果的に、使つて行くように開発計画を立てたいと考えておる次第であります。
  46. 風早八十二

    風早委員 安本事務当局としてはおそらくそういうことを考えられると思います。それは私どもも了とするのです。しかし実際問題としてこの法案でそのことが保証せられておるかという点を今お聞きしておるわけです。法案を見ますと、先ほども言われましたように、閣議決定とか毎年決定し直すとかいう点があつて、あまりにその都度の政治的な勢力によつてこれが左右せられるというすきが與えられておるじやないか、こういう点を私どもはかえつて逆にとるのです。それで実際私どもが経験したところですが、利根の水系の総合開発というようなことについては、わが党も数百名からに上る専門家に相当御協力を願つて、金がありませんから政府のような大がかりなことはできませんが、実際にやつてみようじやないかということで、気象学者まで呼んで実地に行つてもらつたのですが、やはりこの総会開発という問題は科学的な問題だと思うのです。科学的に計画案というものが成り立てば、その都度動かされるということはない。予算の裏づけというようなことは一番大事な問題になりますが、そのときの都合により、あるいはその地域の勢力が、たまたま内閣の勢力と非常に密接であるという場合に、その地域の要求がまずその年に取上げられる。あるいはその地域のどこへ主として金を流すかという場合に、やはり軍需工場中心になる。それに流して余裕がなくなれば、あとはしかたがない。こういうことになる危険は、最初から多分にあるじやないかということをおそれるわけであります。事務当局としての御趣旨はわかりますが、実際問題としてそうなつていない、またそのことが保証されておらない、こういうふうに考えるのです、同じことを言つておるようですが、あなた方としては一体これで満足されるのか、安本の役人さんだから何とも言われないかもしれないけれども、率直にその見解を吐露してもらいたいと思います。
  47. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 私が先ほど申し上げましたことがはつきり御了解願えなかつたのか、あるいは私の説明が不足しておつたのかもしれませんが、ただいまのお話によりますと、年度計画は非常に流動的なものであつて、当初立てられた計画が随時、時の政治勢力によつて変更されるものであるというふうなことであつたのでありますが、十二条は決してさようなことを規定してあるのではないのでおります。十条によりまして決定されました特定地域総合開発計画の進度を、そのときの経済力によりまして、あるいは社会的な事情によりまして決定して参ろうというだけのことでありまして、当初きめました計画を変更する、内容を変更するということは十二条の精神では絶対にないのであります。ただ当該年度にどれだけの部分を行うか、あるいはどれを優先するかということを十二条において決定するのでありまして、全体計画の当初の閣議決定においてきめられた線は決してかえられない、決して流動的なものでなしに固定的なものであるということを重ねて申し上げる次第であります。
  48. 風早八十二

    風早委員 その点は私は別に誤解したとは思わないのです。この案文並びにあなたの御答弁を総合して言つておるわけです。やはり毎年、翌年の事業計画というものを立てるわけですから、最初に総合開発計画というものが大きくありましても、事業計画内容には幅があるのだという前提で行つておるわけです。ことに予算の配分は、最初からきつちり五箇年の間決定しておるわけではない。そういう意味で何いつても非常に動かされる。今までもせつかくダムなり土地開発をするということがきまりましても、次の年になるとそこは捨てられるというようなことがあつたが、これが絶対ないという保証がないように私は思うのです。そういう点が、どうも法文を見れば見るほどかえつてあやしくなる。私も今日はこれ以上具体的な実例をもつて申し上げる段階ではないものですから、話が先に進まないと思いますのでこの程度にしておきますが、結局われわれとして一番問題にしたいのは、もう当然のこととして政府が採用している日米経済協力、それが産業の面ではやはり電源開発に中心が行つておる。その電源開発性格は、先ほどは土地あるいはまた災害防止施設、そういうふうなものと矛盾するという関係質問いたしましたが、それだけでなくして、やはり軍需生産の、アルミとか硫安とかいう特定のところへまわすことを最初から目標としておる。たとえば千葉県の川鉄を第一級の軍需工場にしなければならない、ここで軍艦をつくらなければならない、戦車をつくらなければならない、そうなると電気がいる、その電気はどこからとるんだというので電源開発が問題になり、どこを開発するかということが問題になる、こう言つても過言でないくらいに、きわめてその目標はつきりしておる。そのためにほかの平和産業なりあるいは民間の電力も、非常に不平等に配分されるということになつて、日本の経済全体の復興の建前からいいますと、必ずしもこれは有益とは考えられない。こういう点が今の政府の施策の前提になつておるということを私は最も問題にしたいわけです。すべてのそういう計画の一環として名は総合開発であつても、一環としてできておるわけですから、そういう点では最初から非常に疑問を持つておるわけですが、実際の事務当局としてはもう少しはつきりした、あなた方自身の要望なり何なりが聞かれると思つたわけです。まあそういう点が根本に政府によつて採用せられておる限りは、われわれとしてはこの総合開発と名前は張り出しておるけれども、これに大きな期待を持つことは相当むずかしいんじやないかということを私は考えるわけですが、今日の質問はこのくらいにして終りたいと思います。
  49. 前田正男

    前田委員長 本日の会議はこの程度にとめ、明後日は午前十時から委員会を開会することといたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時一分散会      ————◇—————