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1952-04-19 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十九日(土曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 有田 喜一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       圖司 安正君    奈良 治二君       福田 喜東君    渕  通義君       笹山茂太郎君    林  百郎君  出席政府委員         経済安定政務次         官       福田 篤泰君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (外資委員会事         務局長)    賀屋 正雄君  委員外出席者         専  門  員 円地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 四月十九日  委員横田甚太郎君辞任につき、その補欠として  林百郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外資に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三一号)     —————————————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  外資に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。有田喜一君。
  3. 有田喜一

    有田(喜)委員 実は周東安本長官にお尋ねいたしたいと思つていたのですが、ちようど本日御旅行中のようでございます。幸い福田政務次官が見えておりますから、福田政務次官にお伺いしたい。福田政務次官はなかなか大政治家であり、大政務次官でありまして、特に吉田総理の側近でもあられるので、ひとつ政府の代表として明確なる御答弁をいただきたいと思うのであります。  まず第一にお伺いしたいことは、吉田総理がこの間の施政方針演説で、外資導入必要性を非常に力説され、わが国経済の急速なる復興と発展は、外資導入に待つにあらざればこれを望めないと、こう言われた。そうして本年の政治の目標は実に外資導入にあるというような印象を強く與えられた。続いて安本長官、あるいは大蔵大臣、また過日の予算委員会における吉田総理の御答弁なんかから伺いますと、外資に非常に大きな期待をかけられておる。またいわゆる政治借款が今にも成功するように言われておる。私もこの委員会で、周東安本長官に対して、電力外資見通しについて伺つたが、その結論として周東安本長官は、非常に見通しは明るいという御答弁があつた。ところが過般のマーカツト声明によりますると、政治借款の不可能は明らかとなつた。その後いろいろと政府にただしてみますと、どうも政府の御答弁があいまいなのであります。政府の御答弁は、外資導入に非常に期待がかけられておる間は、その必要性を大いに力説され、少し危うくなつて来ると、外資が入つて来ればいいがというような程度であつて、非常にその辺のところがあいまいである。そこで私はこの際伺いたいのですが、一体外資導入の問題に対して、政府はいかなる考えを持つておられるか。わが国経済自立のために、また日本経済発展のために、どうしてもいわゆる大量外資といいますか、まとまつた外資導入の必要があるということを考えられておるとは思うのだが、その点の考え方は依然としてかわつてないか、政府根本的の所見を承りたいと思います。
  4. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 お答えいたします。外資導入必要性につきましては、今次第三次吉田内閣ができまして以来、総理がしばしば言明された通りでありまして、有田委員の御指摘通りであります。そして御質問の第一の趣旨である、一体今後独立後の日本経済再建のために、大量の外資が必要であるかどうかという点につきましては、御質問通りでございまして、吉田総理以下関係の者も、この外資導入の必要を痛感いたしておる次第でございます。  第二の御質問趣旨である、しかし見込みはどうかという点でございますが、これにつきましては、総理また周東安本長官お答えいたしております通り政府といたしまして、見通しをもつて、時期並びに金額につきましては、まだ申し上げる時期ではないだろうと考えますが、その必要に基いて何とかしたい、また何とかするという考えであることは明らかであろうと思います。
  5. 有田喜一

    有田(喜)委員 この前の私の質問に対して周東安本長官は、電力外資の問題も、おそらく電源開発促進法案が出る前には、そのいずれかはつきりするであろうということを言われた。ところが御承知のように電源開発促進法案も出ておるが、一向外資の方は明るみに出ない。いずれそのうちとおつしやるが、いつまでたつても同じことを政府は繰返しておられる。もちろん相手のあることですから、何月何日とは私は言いませんが、いやしくも政府外資導入見通しが明るいとか、近くそれが実現するというならば、大体二月先とか、三月先には何とかなると言わないと、漠然と、いずれはいずれはというようなことを繰返されても、私は承服できない。ことに外資導入に対して各方面期待する向きは非常に期待しておる。見通しがないのならば、またそのように対策を立てなければならぬ。福田政務次官は近く何とかなるだろうとおつしやるが、それは何か根拠があつて言われておるのか、ただ漠然とそうなるという一つ期待なのでありますか、その辺をひとつもう少しはつきり伺いたい。
  6. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 各商社間におきまして、いわば政治借款にあらざる外資導入は、技術援助その他の形で活発に行われ、ふえておることは、有田委員のよく御承知通りであります。御質問のいわゆる政治借款的なまとまつた政府間の話合いというものにつきましては、一体根拠はどこにあるかという点になりますと、私どもといたしましてはまことに遺憾ながら、はつきり根拠を申し上げる資料もございませんし、また問題が大きいものでございますので、長官と、また総理ともよく御連絡して、統一したお答えをいたしたいと考えます。
  7. 有田喜一

    有田(喜)委員 政府を代表してというつもりで聞いたのですが、政務次官総理安本長官と相談した上でとおつしやる。それ以上無理に答弁しろとは申しませんが、しかし今まで政府外資の問題について折衝されておるその経過を見ると、これはどうも私は明らかに失敗であつたと思う。アメリカの方でも日本政府の今まで要請した計画というものは、日本側の非常に甘い考えであるということで嘲笑しておるようです。どうもその間を取次ぐ人は、だめだということがわかつてつても、できそうなことを言いたがるものである。従つてその報告なんかも、真にアメリカ考えを伝えておるかどうかということは、相当疑問視されておる。アメリカの方でいろいろ聞いてみますと、そんなことがあつたのかというようなことで、われわれが国内で聞いておることと非常に違つておることが非常にある。政府当局はこの外資に対して、その後いかなる手を打つておられるか。その手の打ち方を具体的に示せということは、あるいは困難かもしれませんが、ともかくもう少しわれわれの納得の行くような方法で御説明を願いたい。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 御承知通りにまだ占領下でございまして、司令部管理下にある現状にありますので、外資導入の問題も、あるいは司令部との関係もあり、あるいは本国と直接のルートもあるように拜見いたしておりますが、その後いかなる手を打つておるかという具体的な問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように問題が相当デリケートでありますし、ことにいわば経済再建に対する現内閣の大きな——有田委員のおつしやつたような一つの公約というと強くなりますが、抱負となつておりますので、その点ははなはだ遺憾でありますが、総理、少くとも安本長官と十分打合せて責任のある具体的なお話を聞いてお答えいたしたいと思います。
  9. 有田喜一

    有田(喜)委員 最後は総理安本長官と相談の上で御答弁ということで、実は私も質問に困るのですが、これは委員長にも言つておきます。それではこの外資法法律の通るまでに、これは福田政務次官からでけつこうでございますから、総理安本長官とよく打合わされて、責任ある御答弁を願いたいと思います。  それから次に進みますが、先ほど来申しますように、一口に外資導入と申しましても、いろいろな形がある。しかし現在何と申しても一番問題となつておるのは、外貨資金をある程度まとめて入れるいわゆる電源開発のための外資導入、あるいは最近また農業開発のための外資導入というようなことがいわれておるが、そういうまとまつた外資のことが一番問題になつておる。ところが電源開発にいたしましても、また農業開発にいたしましても、何ゆえに外資導入を必要とするのか、根本的の目的国民の間にあまり明らかにされておらない。でありますから、この際政府としまして、かくかくの次第で外資導入が必要なんだという政府根本的の考えを、ひとつはつきりと明示していただきたいと思います。それに対するお答えをいただきたいと思います。
  10. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 外資導入も御承知通り幸いにまとまりました場合には、重要な原材料でございますとか、あるいは重要な機械でありますとか、そういうような形で相当つて来ると予想されますので、たとえば電源開発の例をとりましても、まだ国際的の基盤のない日本通貨では、御承知通り力がないわけであります。その意味合いで、まとまつた額外資話合いをし、導入し得た場合には、電源開発についても非常に強力にかつ迅速にできるわけであります。これは單なる電源開発だけの話でございますが、その他の重要産業にいたしましても、日本金融制度を確立し、また為替市場におきましても、国際的なつながりを持つた円となるまで、またなりましても、力がつくまでは、ドルならドルポンドならポンドの国際的な力を持つた外資が、やはり日本経済再建を促進する上において絶対必要であるという考えを持つております。
  11. 有田喜一

    有田(喜)委員 どうも端的に表現されないものですから、はつきりつかめないですが、日本個々企業立場から見るなれば、ただ必要資金調達するために外資を入れようという場合があるだろうと思う。ところがその場合は、実は外資であろうが、国内資金であろうが、その個々企業とすればそれはかまわない。どちらでもいい。資金さえ調達できればいい。またある場合には、国内資金調達しようと思えばできないことはないが、金利負担を軽くするために外資を入れたいというような場合もあるでしよう。またさつきちよつと言われたように、機械とか原料とかの輸入資金調達のために外資導入を希望する場合もあるでしよう。ところが国民経済的に見るならば、外資導入国際收支不足を埋めるところに最大の目的があると私は考える。従つて国際收支黒字であるならば、個々企業立場からすれば外資を入れた方が有利であつても、国家としては外資導入を許さない場合もあるだろうし、またその逆に、国際收支赤字であるとか、あるいは外貨が足らないというような場合には、個々企業としては国内資金調達できても、国としては外資導入することを好む、外資導入をしなければならぬという場合があると私は思います。過去の外資導入の例から見ても、かつて電力会社が相当外債を募りましたが、あの場合も、もちろん多少外資の方が低金利であるということも考えられたが、その直接入れる資金は、決して機械とか器具とかいうようなものに充てられたのでなくて、国が国際收支赤字を埋めるために使つたのである。それが大きな目的である。ところが現在わが国は必ずしも国際收支赤字でない。また外貨手持ち不足していない。それにもかかわらず外資導入外資導入とやかましくいわれておるのは、政府外資導入に対する根本方針はつきりしていないところから来ておる場合が相当ある。何だか国民外資導入ということに非常に魅力を持つておるのだが、どうも政府の方の根本方針が明らかでないためにその辺がもやもやしており、へんな感じを與えておる面もある。またほかの面から言うならば、国内通貨金融政策混乱しておるから外資にまたなくちやならぬということを考えておる人もある。その辺のところを政府はもう少し明確に、国際收支はこうであるが、しかしかくかくの次第で外資導入がいるのだ。いらなければ入れないでいいが、いるならばかくかくの次第だということを、もつと明確に国民に知らしめる必要があると私は思う。ひとつ福田次官においてはこの際その点をもつと明確に意思表示をしていただきたい。
  12. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいまの御質問に対しまして福田政務次官から概括的にお答え申し上げました点を、多少補足いたしまして申し上げたいと思います。  外資導入の問題につきましては、ただいま有田委員からお述べになりましたような次第で、国際收支の上における外貨不足という点を補う場合、あるいはまた單に設備近代化であるとか、あるいは新技術輸入いたすとかいうような面から、いわゆる物的の必要性から外資導入をいたすような場合もあるわけであります。現在のところにおきましては、大体設備輸入であるとか、あるいは技術輸入であるとかいう点につきまして、外資導入が必要となつております。先ほど来から御質問のありましたような相当多額のまとまつた外資、こういう点になりますと、必ずしも物の輸入、あるいは技術輸入、あるいは設備輸入に関連のない、資金的な意味の外資導入が問題になつて来るわけであります。こういう点におきまして、現在日本ドルポンド等の、いわゆる外貨手持ちが累増しておる際に、そういう外資を受入れることが必要であるかどうか、こういう議論も当然出て来るわけであります。しかしながら現在の外貨手持ちの累増の原因を見てみますると、これは基本的には現在の国際情勢から発しておるわけでありまするが、直接的には、あるいは朝鮮動乱というような、それに直結した特需の受注というような、いわば臨時的な外貨收入というようなものによつて、現在外貨が累増しておるわけであります。現在ドル圏から、一年間に大体十二億ドル程度輸入を必要といたしますのに対しまして、通常のドル圏に対する輸出というようなものは、三億ドルから四億ドル程度でございます。従いまして、その残余の七、八億ドルというようなものが、臨時的な性格を持つ收入でまかなつておるわけであります。こういう面から見まして、できるだけ日本国際收支の状況、特にドル不足という面に対して安定した施策をとつて行く必要があるのではないか。それがためには、ただいま申し上げましたような特需、あるいはこれに類する外貨收入を安定化し、長期化して行くことは、もちろん必要でありまするが、それと同時にこの際外資を入れまして、それによつて電力でありますとか、あるいはその他の産業近代化あるいは拡充をはかりまして、将来にわたりまする日本国際競争力というものを強めて行くということが、必要ではなかろうかと思います。従いまして資金的にも、また設備なりあるいは技術なりという物的な面から見ましても、この際できるだけ外資導入をはかるということが、将来の日本にとつて必要ではないか、こういうふうに考えております。
  13. 有田喜一

    有田(喜)委員 もちろん現在の国際收支は、特需その他の臨時收入によつて黒字になつておる。これはわかります。国際收支、ことにドル收支について見ると、貿易面ではおつしやる通り大きな赤字になつておる。しかも現在の手持ち外貨も、今後の国際收支から考えると、まだまだこれは十分でないとも言えるでしよう。従つてここに外資を大々的に導入して、外貨手持ちをもつとふやして、そうして日本産業近代化合理化を促進する。それはよくわかります。しかしともかく現在十億ドルドル貨だけでもたしか六億五千万ドルですか、相当外貨を持つておることは、これまた事実なんです。それにもかかわらず、外資導入外資導入とこう叫ぶのは、国内で必要な資金調達できないから、そういうことを叫んでおる企業家相当私はあると思う。ことに農業開発などは、おそらく輸入原料といいますか、飼料といいますか、そういうものは、ほとんど必要とする部分がないと言つても過言でないと思います。それにもかかわらず、農業開発外資導入を非常に期待しておる面もあるのであります。それは結局国内資金供給が押えられているために、やむを得ず外資期待する結果となつておるのではなかろうかと私は推定する。われわれは決して外資導入に反対するものでもなく、むしろ外資導入を歓迎するものであるが、しかし国内資金調達を妨げて、必要以上に外資に頼るということを余儀なくされていることは納得できない。そこで外資導入外資導入といつてもなかなか具体的にはつきりしない面があるのであります。そこで国内資金供給の面ももつとしつかりやつて、そして日本経済発展、膨脹せしめる必要があるが、この際国際收支見通しとよくにらみ合せて、そして政府外資導入に対する根本方針を明らかにして、それに応じた国内金融政策を確立して行くことも、私は必要だと思います。それは相手のある関係もあるのだから、あまり無理も言えない面もあるのだけれども、あまり掛声ばかり多くて、一向外資導入の目鼻がつかない、そして一方そういうことにおかまいなく国内金融を締めて行く。そして国民といいますか、企業家といいますか、各方面で漫然と外資導入外資導入と非常に期待している面がある。そのために相当日本自立精神といいますか、日本経済発展の上において、阻害している面もあると思う。私はこの際政府外資導入に対する根本方針を明らかにされて、そして先ほど言いますように、国際收支見通しとにらみ合せて、それに応じた国内金融対策も立てて、そして日本産業発展を促進するということが必要だと思いますが、この際それらに関する政府の御意見があるならば、拜聴いたしたいと思います。また御意見がなかつたらそれでもけつこうですが、私の意見を述べるとともに、政府の御意見があれば承りたいと思います。
  14. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 有田委員の、先ほど来の一貫した外資導入に対する、いわば国民に対する啓発、啓蒙と申しますか、政府方針をもう少し具体的に方向づけて、はつきりさせろと言われる御趣旨につきましては、全然同感でありまして、相手方のあることで、いろいろむずかしい問題もありますが、少くとも原則的のものにつきましては、できるだけ早く、御指摘通り政府といたしましても、その外資必要性、それから導入後の内容につきましても、明確に国民の前に知らせるように努力いたしたいと思います。
  15. 有田喜一

    有田(喜)委員 それでは先ほど言いましたように、不日福田政務次官が、総理大臣並びに安本長官ともよく打合わされて、これらの問題を明らかにするということでありますから、その問題はこの程度にとどめまして、他日の発表を待ちます。他日といいましても、この外資法案が通る前の近い他日であります。  そこで今度問題は、少しこまかくなるがお伺いしたいのは、外資の入つて来ない原因です。それはわが国経済の安定がまだ十分でないからということが、一つの大きな根本だと思います。しかし今まであれだけ外資々々といわれたのだから、何かもつと期待できるものが具体的にあつたのだが、それがどういう事情で入らないかということがあるに違いない。その外資の入つて来ない原因をこの際お知らせ願いたいと思います。
  16. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいままでの外資導入実績経過を見ましても、最近技術援助その他あるいは株式投資、あるいは外貨貸付等にいたしましても、日本経済の立ち直り、あるいは外資導入受入れ態勢の整備に従つて、最近非常に累増して参つておるわけであります。結局投資家立場からいたしますれば、投資をしたこと自体が有利か不利か、あるいはその投資について、経済的なあるいは政治的不安があるかどうかというような点が、投資家のまず考えることであろうかと思います。それらの諸條件が逐次整備されて参りましたので、今後いわゆる外資、特に民間外資につきましては、相当な成績を上げるのではないかと期待しておるわけであります。要は終戰直後における経済的な混乱産業的な混乱というものが逐次改善されますと同時に、外資もふえて来ておる、こういうことでございますので、今後の日本経済の運営上の実績外資に反映して参る、かように考えております。
  17. 有田喜一

    有田(喜)委員 その民間外資の問題ですが、民間外資がだんだん入りつつあることは私も認めるのです。しかしその民間外資がもつとしつかりと入つて来るというのには、ここに提案されておるように外資法改正して、こういうように寛大な、外資を優遇するような措置を講ずると、どんどん入つて来る、というところに重点があるのか。私は日本経済がもつと立直つて企業が堅実になつて来れば、あまりこんな改正をせぬでも、もつと入つて来ると思うのだが、安本当局ではどちらに重きを置かれておるか。これは人の考えにもよるが、必ずしも外資法改正したからといつて外資が入つて来るとは思わぬ。私はむしろ日本経済が立直ることが先決だと思いますが、そこいらについては安本としてどう考えておられるか、御所見を承りたい。
  18. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 基本的には、日本経済が立直るということが必要であります。外資導入を容易ならしむる方法といたしましては、今回の外資法改正のようなこともやはり必要條件であり、外資を受けるその実態と方法とが、両方かね備わりました際に、大いに期待し得るのではないか、かように考えております。
  19. 有田喜一

    有田(喜)委員 今回の外資法改正は、外人投資認可制度を思い切つて緩和された、そして送金保証制度を大きく拡張しておられる。かような改正案は、相当外資を優遇しておると私は思うのですが、これほどまで外資を優遇した法律は、世界にあまり類例がないように思う。安本当局世界各国のこういう情勢はよく御調査になつておることと思うが、かようにまで優遇しておる国がはたしてあるのかどうか、その辺のところをお示し願いたい。
  20. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 今回の改正案を立案いたしますにつきまして、各国外資導入に対する施策ということも検討いたしまして、同時に今の日本経済実情からして、できるだけ外資導入を容易ならしめたいという点から立案したのであります。大体各国経済実情外資を必要とする事情、これによつて各国ともいろいろニユアンスがございます。大体におきまして、外資を必要とする国等における立法例等も参照して、今回の改正案を立案した次第であります。従つて大いに外資を歓迎する国の立法例と大体似たようなものである、かように考えております。
  21. 有田喜一

    有田(喜)委員 私の乏しき調査によると、ここまで外資を優遇しておる法律はあまり見当らないように思う。私はそういう事例についてとやかく言うものではないが、ただ私の懸念するのは、先ほどもちよつとお伺いしましたように、もちろんかように外資を優遇する法的措置を講じたり方が、いくらか外資が入りやすくなることは認めるが、それよりももつと日本経済が安定して行つて日本企業に対する信頼を受けることが根本だ、それさえできるならば、こんなにまで外資を優遇せぬでもいいように思う。あまり優遇し過ぎて、かえつてあとで困る場合があるのではないか。そこを私は懸念して質問しているのです。少し優遇の行き過ぎではないかと考えますが、政府はどういうお考えですか。
  22. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいままで入りました外資のいろいろな償還の額その他から考えまして、今回の改正案によつて相当民間外資がふえる、こう考えましても、それによつて将来の日本国際收支に悪影響を及ぼすというようには考えておりません。最近のような実績技術援助なりあるいは設備なり、あるいは外貨が入つて参りまして、アメリカ経済のすぐれた産業的な技術その他を入れて、日本産業近代化をはかるということが、むしろ将来の日本国際收支を改善して行く早道ではないかというふうに考えております。
  23. 有田喜一

    有田(喜)委員 外資法改正して、どんどん外資が入つて来れば、今、平井政府委員の言われたようなことになるかもしれないが、いくら外資法改正しても、しばしば申しますように日本産業企業の基盤がしつかりとできておらないと、なかなか入つて来ない。そこを私は御注意申し上げておるのですが、これは多少はいたちごつこになるでしよう。外資が入つて来てますます基盤が固まるということも言えるが、しかしややともすると、一般国民にしても、企業にしても、外資に甘え過ぎておるような感じを受ける。その点は政府もぬかりないであろうが、しつかり気をつけられて、国民に対しても、また企業家に対しても、今あなたの言われるように、真に外資導入の効果が上るように、企業合理化あるいは機械設備の改善ということをおやりになるように重ねて希望を申し上げます。  そこで次にお伺いしたいのは、今回の改正でいわゆる乘りかえ承認と申しますか、あるいは送金保証の拡大をされておりますが、日本経済がだんだん基盤が実るとともに、外人の投機活動も相当はげしくなるという面も考えられる。今すぐはどうかわからぬが、日本企業がだんだん発達して来ると、おそらく相当外人が投機活動にも乗り出して来るだろう。また株式などの投機のことを考えてみると、かえつて外資が入つたその元金より上まわる外貨を送金しなければならぬというようなはめに陥らぬとも限らない。かような問題が起きたときに、政府はいかような対策をもつて臨まんとされておるか、そのお考えを承りたい。
  24. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 御説の通り、今回の外資法改正におきましては、いわゆる乘りかえと申しますか、ある種類の投資から他の種類の投資に再投資いたす場合があり得るわけでありまして、これを認めることにいたしましたし、また株式等につきまして、元本の持帰りを認めたということはあるのでありますが、この点につきましては、制度の上にも今度の改正案に明らかになつておりますように、いろいろ配慮を加えまして、たとえば乘りかえの場合にも、必ずしも無條件に許すということではなくして、次の新投資につきまして、やはり政府の認可がいることになつておりますのみならず、その認可申請をいたす期間についても、一箇月という期限を設けまして、いたずらに市場の株価の変動を目当とするような投機的な活動は、できるだけ排除するという配慮を加えております。また元本の持帰りの点につきましても、一時に全部送らせない、五年間にわかつて二〇%ずつ送らせるというような措置をとつておりますので、この点は認可の制度を通じまして、また制度的にも十分投機活動を押えるという道が残されておるのであります。支障ないように運用して行くつもりであります。
  25. 有田喜一

    有田(喜)委員 なるほど認可にはなつておりますけれども、私のこの法律を読んだ気持といたしましては、認可基準にかなうもの、すなわちここに明記されているものは、おそらくそのまま承認されるのではなかろうかという気持でこれを読んでおります。おそらく乘りかえの場合に、お前は元本よりも、それを処分して手持ちの方が多くなつているから、これは送金ができないとか、そういうような認可によつて抑制することはできないじやないか。一つの例でいうならば、本州製紙なら本州製紙の株を、百円で何万株買う。それがだんだん上つて二百円になつた。そうすると、それを売却してその倍の資金を獲得する、それがドル資金として、もちろんある年限を刻んで売らなければならぬけれども、とにかくそれを送金することを抑制することはできないだろうし、それからまたその大きな金は、預金制度か何かであるのだから、とにかく初め外国から入つて来たときよりも、株の値上り等によつて、かえつて多く返さなければならぬ場合が出て来ると思う。はたして認可によつてそういうものが抑制できるかどうか、また抑制する考えでおられるかどうかということを明らかにしていただきたい。
  26. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいまの株式の乘りかえの問題でございますが、その認可の基準につきましても、日本経済に対して非常な悪影響を及ぼすというような場合につきましては、これを押える手も考えられまするが、基本的にいいまして、現在の状況、あるいはこの外資法改正いたしましてどの程度株式投資があるか、こういう問題になるわけであります。これによつて相当増加することを期待いたしましても、現在の日本の上場されております株式銘柄について考えましても、これが非常に大きな投機の対象になり、それによつて非常な損失を日本経済が受ける、こういう心配は、まず現在のところする必要がないじやないかというふうに考えておる次第でおります。要は、できるだけ多額の外資を早く導入したい、これがやはり日本経済の復興につきまして非常に望ましいことである、こういう前提に立つておるわけであります。そういう意味におきまして、今回の外資法改正によつて、株式につきまして投機が行われ、ひいては日本経済に非常に悪い影響をもたらす、こういうことは万々あるまいというふうに考えておる次第であります。
  27. 有田喜一

    有田(喜)委員 私の懸念するのは、今日のような日本経済の状態では、外資はなかなかそう簡單に入らない。さればこそ外資をこれほどまで優遇するところの外資法改正をしてまで外資導入をはかつておられるのだと私は思う。現在では今、平井政府委員のおつしやる通りなんだが、しかし先ほど指摘しておりますように、日本の今日の経済状態は、かような不安定な状態で行けない、もつともつと日本経済を早く復興、発展せしめなければならぬ。経済がだんだん安定し、復興して、企業が健全化すると、これは相当外資も入る。そのときに困りはせぬか。今指摘いたしましたように、乘りかえ承認というようなことをやつて、認可でうまく押えられればよいが、大体法律上容認しているものを、その認可によつてわが方に有利になるように、そんなに押えられるかどうかということは、私は非常に疑問だと思うので、くどいようだけれども、その点をひとつ、押えるなら押えるとはつきりしてほしい。
  28. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 先ほど申しましたように、現在のところ、この外資法によつて、外国投資家による株式に対する投機というものを通じて、日本経済の復興なり拡充に悪影響はない、かように考えている次第でありますが、この改正後の外資法におきましても、日本経済の復興に悪影響を及ぼすものと認める場合につきましては、認可をしないという点がはつきりいたしておりますので、制度的にもその点に対する保障をし得るものと考えております。
  29. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の、はつきり押えられるということは、何か法律の上でそうなつているのか、第何條にどうなつているかということをお示しを願いたい。
  30. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど平井政府委員からお答え申し上げましたように、認可基準というのが現行外資法の第八條に規定してございまして、第八條は一項、二項とわかれておりますが、一項は、いわば積極的な基準と申しますか、こういう場合に認可をするという規定でございます。第二項の方で、こういう場合に該当するときは認可をしてはならないという規定がございまして、その一つに、第三号として「日本経済の復興に悪影響を及ぼすものと認められる場合」という條文が明記してあるのであります。しかのみならず、少しさかのぼりまして、第五條に「負債超過又は支沸困難のおそれのある場合の措置」という見出しで、この点につきまして制度的にある方法をとつておるのでありまして、これは一項、二項、三項、四項とわかれておりますが、要するに、何らかの原因によりまして、日本国際收支のバランスが非常にあぶなくなつたというような場合におきましては、内閣においてこれに対処する方針を決定いたしますまでは、将来に対して外国に対して負債を負いますような外資導入について、認許可等の行政処分を一時ストツプする、そうして内閣において新しい方針がきまりました場合に、それに従つた処分をしなければならぬ、こういうような制度が第五條に明記してあるのでございます。その点は、日本経済に不利なことが起らないようにという点を十分に注意したことに基いてあるのであります。
  31. 有田喜一

    有田(喜)委員 大きく日本経済に悪影響を及ぼすという場合は、これはここに明記してあるから、私もわかつていたが、さつき指摘いたしましたように、たとえば百万ドルなら百万ドル外資が入つた、それが株の値上りなんかによつて、倍の二百万ドルなつた、そういう場合は、この規定によつて押えることはできないと思うのであるが、それはこれで押えられますか。
  32. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 お触れになりましたように、乘りかえによつて得た利益というようなものは、元本の償還あるいは利息の償還ということで償還されるわけであります。しかしそういう方法が認められてこそ、今日一番外資を必要とするときに、外資が入つて来るのではないかというように考える次第であります。そういうことが、現在外資を必要としている日本に対して適切な処置ではないだろうか。今後御説のように日本経済が安定し、あるいは非常に拡充されたあかつきにおきましては、その際としてまたとるべき措置はいろいろあるかと思われますが、ここ当分の間、できるだけ外資導入して行くという方策をとることが適切であろう、かように考えております。
  33. 有田喜一

    有田(喜)委員 今の御答弁を聞くと、先へ行つて日本経済が安定したらまたこの外資法改正してもいいようにとれたんだが、それを言つてしまうと味もそつけもなくなつて困るから、まあそれ以上は言いませんが、今私が申し上げましたようなことも相当懸念しておる向きもあるようです。それで外資を歓迎することも必要でありますから、この法案を悪いとは申しませんけれども、やはり運用上で私は注意しなくちやならぬ面が相当あると思う。さつき言いますように鶏と卵のようなもので、日本経済が安定してしまえば外資がいらぬということになるし、外資が来れば経済も安定するということになつて来るのですけれども、相当私はこの法案は外資を優遇し過ぎておるという懸念も抱いておるのですから、よほど将来の運用について御注意を賜わりたい。  もう一点聞きたいことは、外国の資本参加によつて国内産業が外国に牛耳られることはないか、これもまた懸念いたしております。もちろん今日株式の投資と申しますか、株式の保有について国内法におきましてもある程度限定されておるから、その懸念がないといえばないといえるかもしれぬ。しかしそれは、相当合法的の脱法行為ができる。うつかりすると外国資本によつて国内産業が牛耳られるということも考えられる。これに対する政府は何らかの方策を考えておられるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  34. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 外資導入という問題を個々企業から見ますれば、これは当該企業の自主的な運営にまつわけでありまして、各企業におきまして、あるいは政府による干渉をいやがるというような、企業としては企業の自主性を貫いて行くというのが、各企業を経営する責任者の考え方であろうと思うのでありますから、いたずらに外資ということで、会社の経営自体を全然外国の手にゆだねてしまうということが非常に広汎化して来る、こういうおそれはまずないんじやないかというように考えておるわけであります。
  35. 有田喜一

    有田(喜)委員 日本経済の規模が非常に小さくて、しかも資本蓄積が非常に貧弱な現状では、外国資本が少し入つて来るということでその企業を牛耳ることも割合簡單であります。ことに株式投資ということも相当認められる。それは国内法によつて株式の投資は、あれは百分の五でございましたか、それ以上は出ないということになつておりますが、それは合法的の脱法が相当できる。一旦入つたものはそれを乘りかえなんかも自由にできることになつておるために、いろいろと他人名義を使いながらうまくその会社を牛耳ることも私はできるように思うのであります。それは経済界においても相当懸念されておると思います。平井君はそんな心配はないと簡單に言われておるが、必ずしもそうじやない。ちつとそつとの会社を牛耳ることはわけなくできると私は思うが、もう少し御検討を願つてしつかりと御答弁を願いたい。
  36. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいま今回の外資法改正によつて非常に有利となると思われます一般の株式の取得という実績を見まして、ほとんど全部の例を調べても大部分一%以下の取得率でございます。これによつて会社の経営が左右されるというふうにはとうてい考えられないのであります。特殊な例として、現在までの調査で三%程度になつておりますものが一社あるのみであります。その他は大体〇・六、〇・三あるいはそれ以下のようなものが多いようであります。今回の改正によつて日本の株式構成に非常に大きな変化を来すというようには考えられないのであります。
  37. 有田喜一

    有田(喜)委員 今あげられた例は今までの実績なんでしよう。けさいただいた資料にもそれがありますけれども、外資が入りやすいように今度外資法律改正をされるので、今までの実績がこうだからといつて、そんなに会社を牛耳られるところまで簡單に行かないと思う。そういうことだつたら何も改正する必要はない。外資が入りやすいように相当株式の投資家を優遇している。だから外資が入る。しかし私の懸念するのは優遇し過ぎて日本企業が向うに牛耳られやしないか。そこに何かの押えがなければならぬと思うが、その押えがこの法律でしてあるかどうか。そこを私はお尋ねしている。またそこまでに外資の入つて来ることを期待されると同時に、また押える点もなければならぬと思うが、そこらの法律上のねらいがどこにしておられるかという点をお聞きしたい。
  38. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 この法律のねらいは、現在の外資導入を数層倍活発にいたしたいというのがねらいでございまして、おつしやるようにその弊害面が目立つて来るように外資が入つて参りますれば、これはある意味から行けば、日本経済が非常に速急に回復して来たこと、及び回復する力を示すことになるわけであります。そういうような兆候が非常に顯著になります場合には、先ほど賀屋局長から御説明申し上げましたような制度的な方法によりましてもチエツクすることができますし、またそのときの状況において、その後の外資の受入れにつきましてはまた別な検討ができて来るじやないか、かように考えております。
  39. 有田喜一

    有田(喜)委員 大分時間も来たからこれ以上申しませんが、今二、三指摘したような点は、相当方面で憂慮されておる面もあるのです。これは一にかかつて運用の面とそれから今後残された先の問題だらうと私は思います。政府は今日の場合、かようなお考えをお持ちになりますのは、これは私もある程度了解できるのでありますが、しかしあまり行き過ぎるということは、また一面において弊害が出て来るもととなりますから、十分今後の運用を御注意されまして、そうして万遺憾なきを期せられるように希望いたしまして私の今日の質問は終ります。
  40. 前田正男

    前田委員長 本日の会議はこの程度にとどめまして、次回は二十二日、午後一時より委員会、午前十時より建設委員会と連合審査会を開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午時三時散会