○周東国務大臣 いろいろ御意見を述べられたのでございまするが、私どもは今の中崎さんの御意見と大部分において意見を異にすることを遺憾とする次第であります。
経済というものはあなたの方のお
考えによりますると、計画
経済、
統制経済を実行して行くということを、原則といたしまして金科玉條、鉄則に
考えておられるようであります。これは私、是非の議論は別といたしまして、立場の相違でありますが、私どもは現在
日本の
経済の
復興の跡を見て、これは国としては大きく貿易なんかも管理されておるときでありますし、外貨予算によ
つて外国からいろいろなものを買う場合においてのある種の
制限を受けるために、その中で何を国としては優先的に増加させて行くか。たとえば鉄鋼、セメント、綿糸、食糧というものを、どういう計画のもとに増産し、
輸入して行くかということは、これは国家的に綜合的に計画を立てることは賛成であります。そういう
意味においての計画
経済といわれるならば、それは私もまた同じであります。しかし入れて来た原材料を使
つて現実に生産し、または生産されたる商品を配分して行く場合において、過去のような
統制を行い、切符を
割当てて行くということがいいのか。また生産について一々国家がこれを管理して、生産を勧奨して行くということがいいのかということについては、おのずから今日まで、過去二、三年の最近における実例を見て、私はそれは各個人個人の企業、創意くふうを尊重しつつ行く自由主義的な
経済の方がいい、こう私は
考えてと
つて来た次第であります。しこうしてその結果、中崎さんの
お話のように、そんなことをやつたところが、ちつとも生産が増加せず、国民生活に非常に悪影響があるというなら別でありますが、少くとも今日のところ、非常に
物資がふえ、生活必需
物資等についての生産は増強されて来ておるのであります。この点は私は意見の相違であろうと思います。中崎さんが非常に御心配にな
つて御指摘に
なつた、去年の五、六月ごろにおける油脂、ゴム、皮革等における
輸入の
状態について
考えてみましても、手離しの思惑
輸入を許したからだという御指摘でありますが、
——私は親しい中だから、か
つてなことを言いますが、当時は、
輸入計画をあまりしばりつけて困るじやないか、とにかくどこの国から、何を、どのくらいの金額の
範囲だけ許すというような、か
つての行き方は
輸入を伸ばさない、これはいかぬじやないか、むしろ四半期ごとの
輸出による受取勘定の
範囲だけしか許さなかつた
輸入計画、しかもその
輸入は、どこの国から、何を、どれだけの金額の
範囲内でというような、しばられた管理のもとに進めて行つたということはいけないというあなた方の御意見も尊重しつつ、今から言えば一昨年でありますが、自動承認制なり、あるいは先物契約を認め、また四半期ごとの
輸出による受取勘定の
範囲内を越して、将来における受取勘定を見つつ相当大幅な
輸入の許可をし、外貨予算を組みましたことは、一に
国内における物の
輸入確保をはかることが先決である、国民生活の安定、インフレを防止する上において、物がなくちやならぬという立場から、私どもはそういう政策に賛成し、それをとつたのであ
つて、その結果、個々の業者においては、
お話の
通り、油脂にいたしましても、ゴム、皮革においても、よけい入り過ぎて値が下
つて来て困つたということでありますが、私は
国民経済の上から言えば、物が入り過ぎて物が安くなればむしろけつこうだと思います。しかしそれを扱つた業態が、非常に計画が狂
つて倒産に及ぶということがあるから、これはできるだけ救うことがよろしいと思います。そのそれぞれの処置は
政府もとつたのであるが、ただあまりにも思惑のひどいようなことを個々の商社がやつたものについて、不健全な商社に対しては、これはそこまで手が及ばないのですけれども、堅実な商社に対しての保護育成ということについては、特に意を用いて今後の処置をとるつもりでおります。ことに今御指摘の綿糸紡績の問題についてでありますが、今中崎さんそうおつしやいますけれども、戰前に千二百万錘も出た紡績の機械が、終戰後は二百万余錘であります。
日本の
国民経済を将来まかな
つて行く上においても、衣料
原料たる綿糸、綿布の問題、さらに御承知の
通り、戰前において確保いたしました東南アジア地区における市場というものを確保する上においても、せめてこれを六百万錘くらいに上げなければならぬというあなた方の主張であり、われわれもこれにまつたく賛成してこれを
考えたのです。御指摘のように、朝鮮事変によるブームによ
つてもうかつたものをあまり使わないで、設備の増加に充てろという要求は、われわれはその
通りだと思
つてやつた。その結果が今日六百四十何万錘にな
つて来た。たまたま国際的ないろいろな影響等から、
品物はあるけれども外に出にくいというようなかつこうで、困
つて操短するということにはな
つておりますけれども、私は大きな目から見たら、決して悲観すべき
日本の
状態ではない。ここまで伸びて来た、これによ
つて将来における東南アジア市場に対する繊維品の
輸出に関しては、私はある
一つの準備はできたと思う。しからば今
お話のように、倒れるような大きな商社があればどうするかという問題でありますが、これについては目下紡績会社、あるいは金融機関が中心にな
つて——新三品、いわゆるゴム、皮革、油脂等の
関係においての商社に関する整理計画を、業者と銀行が一緒にな
つて立てつつあ
つて、堅実なものを建て直してやろうということに向
つて処置をしておるのであります。これはひとつ長い目で見ていただきたい。一年の間において、上半期においては全然違つた立場から批判を受け、また今度は下半期になると、また反対の立場から批判されるのでは困るのでありますが、しかしこれというのも、何と申しましても、少し
輸入がふえれば価格が下落し、少し減ると価格が上るという、今の
日本の底の浅い
経済のやむを得ない
事情ではありますけれども、われわれは結論といたしましては、先ほど申しましたように、とにかく進んで来たこの
状態というものは、やはり自由
経済の結果であると思います。この点については意見の相違であります。しからば今の具体的な問題につきましての
統制の問題でありますが、私どもといえども、自由
経済が原則であります。けれども今日
国際経済に参画して、
経済一体とな
つて、世界的に不足する
物資等については、その
割当を
日本としても受けるのであります。
従つてそういう面についての有効需要を確保して、へんなところへ流れないようにするために、これを
統制し、
使用制限するということが起ることは、また
考えなければならぬ。そういう部面については、具体的にこれを処置して行こう、私どもこういう
考え方であります。全面的に、何もかも
統制経済が原則であるという行き方にはわれわれは反対であります。
〔
委員長退席、
多田委員長代理着席〕