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1952-02-07 第13回国会 衆議院 経済安定委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月七日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 志田 義信君 理事 有田 喜一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       圖司 安正君    奈良 治二君       福井  勇君    細田 榮藏君       宮原幸三郎君    河野 金昇君       笹山茂太郎君    横田甚太郎君  出席政府委員         建設事務官         (管理局長)  渋江 操一君         経済安定政務次         官       福田 篤泰君         経済安定事務官         (総裁官房長) 平井富三郎君         経済安定事務官         (総裁官房会計         課長)     小笠原喜郎君         経済安定事務官         (総裁官房経済         計画室長)   佐々木義武君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)     今井田研二郎君         経済安定事務         官         (物価庁第一部         長)      渡辺 逸亀君         経済安定技官         (建設交通局         長)      小沢久太郎君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局建設部         かんがい排水課         長)      小川  孝君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 堀  直治君         経済安定事務官         (物価庁第一部         総務課長)   高橋 時男君         専  門  員 圓地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度経済安定本部関係予算に関する  件  公共事業に関する件     —————————————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  それでは昭和二十七年度経済安定本部関係予算に関する件についてその調査を進めます。まず政府当局よりその説明を聴取いたしたいと存じます。官房長政務次官が近く来るはずでありますが、先に小笠原政府委員より説明を求めて質疑に入りたいと存じます。
  3. 小笠原喜郎

    小笠原政府委員 経済安定本部所管昭和二十七年度予算につきまして御説明申し上げます。  まず歳入につきまして見ますると、総額六百七十万二千円でありまして、これを前年度の六百三十一万四千円に比較いたしますと、三十八万八千円の増額なつております。この増額なつたおもなるものは、公務員給与ース引上げによる恩給法納付金であります。  次にあとで資料をお配りいたしますが、歳出につきまして御説明申し上げます。  歳出要求総額は三百六十億八千五百三十八万五千円でありまして、前年度三百十四億一千九百六十一万八千円に比較いたしますと、四十六億六千五百七十六万七千円の増額なつております。この増額なつたおもなる科目について申し上げますと、物価庁価格調整費二百七十億円で、前年度二百二十五億円に比較いたしますと、四十五億円、公共事業災害復旧費八十億円、これは前年度七十五億三千五百万円に比較いたしますと、四億六千五百万円の増額なつております。  さらに経済安定本部所管の内局及び外局別に御説明を申し上げます。経済安定本部では、要求総額三億一千五百四十九万一千円でありまして、前年度の四億一千四百七十七万五千円に比較いたしますと九千九百二十八万四千円の減額なつております。この要求経費のおもなる内訳を申し上げますと、人件費とそれに伴う事務費その他でありますが、自立経済審議会に必要な経費三百五十一万五千円、土地調査に必要な経費八千八百一万一千円、国土開発電源開発に必要な経費一千百万円、公共事業監査に必要な経費二百五万九千円等が含まれております。  物価庁要求額四千五百十六万九千円でありまして、前年度五千二百七十四万七千円に比較いたしますと、七百五十七万八千円の減額なつております。この経費内訳を申し上げますと、人件費及びそれに伴う事務費でありますが、そのほか米価審議会等に必要な経費三百七万四千円、地代家賃実態調査に必要な経費百三十八万円が包含されておりまして、物価行政運営のため遺憾のないよう努力しておる次第であります。  次に経済調査庁は、要求額六千三百八万三千円でありまして、前年度九千一百十四万一千円に比較いたしますと、二千八百五万八千円の減額なつております。この経費のおもなる内訳を申し上げますれば、人件費及びこれに伴う事務費でありまして、行政機関の行う各種経済施策不備欠陥を改善するための調査等に必要な経費であります。  次に外局外資委員会は同じく人件費事務費でありまして、要求額五百十二万二千円となつております。前年度要求額四百五十八万八千円に比較いたしますと、五十三万四千円の増額なつております。この経費外国資本の導入、資本国外逃避を防止するために必要な経費であります。  最後に当本部支分部局として札幌外七箇所にあります管区経済局と、都道府県にあります地方経済調査局について申し上げますと、いずれもその運営に必要な人件費とこれに伴う一般事務費でありまして、要求額は六億五千六百五十二万円、前年度の八億二千一百三十六万七千円に比較いたしますと一億六千四百八十四万七千円の減額なつております。  以上はいずれも自立国家として日本経済の発展と向上を目ざし、国民生活の安定に寄与する施策に遺憾なきを期するものであります。御審議を願います。
  4. 前田正男

    前田委員長 これにて本件に関する説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。志田義信君。
  5. 志田義信

    志田委員 どうも御説明が非常に簡單でよくわからないのですけれども、私がこれを見てわかつた点、それからふしぎに思う点、それからさつぱりわからぬ点、そういう点をひとつ簡單にお尋ねしてみたいと思います。今お話の中に、経済調査庁予算が計上されておりまするが、これは人件費及び事務費でありまして、日本自立経済達成のためにあるいは経済復興のために、諸種の不合理あるいは不備欠陥調査する費用としても考えられておる、こういうお話でありましたが、この二十七年度予算に要求せられておる金額でそれらのことが行えると思つておられるかどうか、その点をひとつお尋ね申し上げたい。
  6. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいま主として経済調査庁人員縮小等によりまして、現在経済調査庁が行つております監査あるいは調査等が支障なく行えるかどうか、こういう御趣旨の御質問と承つておりますが、この調査庁人員につきましては、先般政府職員全般的な縮小という問題が、昨年末定員法改正によつて各省とも、できるだけ仕事能率化をはかつて人員縮小して参る、こういう方向で、安定本部関係につきましても審議を行いまして、その結果定員法改正なつて現われたのであります。調査庁人員につきましては、二割五分の縮減になつております。経済調査庁は御承知のように統制エンホースメントを主たる任務といたしまして発足いたしたのでありますが、その後統制解除せられるに従いまして、逐次人員としては縮小して参つたのであります。経済調査庁関係で申し上げまして、昭和二十四年の当初におきましては約五千三百人の人員でありましたのが、毎年逐次これを統制解除に伴いまして減して参りまして、最近きまりました定員におきましては約千九百名強の数字なつておるのであります。統制解除状況につきましては、すでに御承知通りでありまして、大部分の物資の統制がはずれて参りました。従いまして経済調査庁任務もいわゆる統制エンホースメントということではなしに、逐次経済情勢の変化に即応いたしまして、いわゆる監査、たとえば公団経理監査であるとか、あるいは調達庁経理監査であるとか、あるいは各省調査のできにくいような査察的な監査、こういう方面に重点を置いて参つたのであります。しかしながら機構自体におきましては、やはり発足当時の機構の形でございますので、その面におきまして人員縮小も可能ではないか、こういうことが審議の対象になつたわけであります。現在の状況におきまして、この人員をもちまして現在行つております業務については、十分やつて行けるものと考えておる次第であります。
  7. 志田義信

    志田委員 人員を少くして能率を上げさせるということに対しましては、われわれもまつた同感であります。ぜひ人員は少くして能率を上げていただきたいと思います。しかし統制解除後の日本自立経済を達成するために、なおかつ経済全般並びに公団その他経理監査をやらなければならない、つまり査察的な目的を持つた調査重点を置かれておるという話でありますれば、相当経費を見込まなければ、経済調査庁の査察的な任務を完遂することは困難ではないか、かように思いまして、ひとり人員縮小だけで、予算の額が小さくなつたということで国家的に喜ぶべきことであるかどうか、その点についてお話を願いたいと思います。  それから加えて、今まで経済調査庁が、統制解除日本自立経済達成のために、経済全般あるいは公団等経理監査をやつたそのおもなる事項について、特に政府のために相当プラスなつたということがありましたならば、その特に大きなものを二、三あげていただきたい。
  8. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 経済調査庁で行つております監査につきまして、たとえば公団監査あるいは食糧配給費等監査等を行いまして、それぞれ相当額の節減を可能ならしめておるわけであります。公団その他先般行いました監査による国費節約額あるいは将来に向つて節約し得る額を概算いたしますと、相当金額に上つております。正確な数字は現在記憶しておりませんが、おそらく百億円から二百億円程度国費節約に役立つておるというふうに考えております。
  9. 志田義信

    志田委員 国費節約額が百億から二百億にまで上るようなプラスになる面をやつておる。それが公団及び食糧配給費等監査、査察によつて行われておる。私たちの聞いておるところによりますと、一つの例として申し上げておきますが、鉄鋼補給金につきましても重要な国費節約が、経済調査庁において指摘せられておる、こういうことを聞いておるのでありますが、それについては何かございますか。
  10. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 鉄鋼補給金につきまして、補給金計算の基礎、できました銑鉄を外に売ります分については、これは簡單数字が出るのでありますが、これを一貫作業で処理いたすにつきましての計算の仕方、たとえばくずで返つて来るものを再び製錬するというような計算方法、これも相当節約額を示しでおります。金額ははつきり記憶しておりませんが、たしか十億か十五億程度節約額だと思つております。
  11. 志田義信

    志田委員 ほかの経理監査査察によつて得るところのものも相当大きいだろうと思いますが、特に国民の税金でまかなつておるそうしたものに対する監査というものは、従来ややもすると各省行政機関を通じて、それぞれの部内監査にとどまつておる状況でありまして、必ずしもわれわれの満足するような監査が行われておらないのではないか、これはかねて国会におきましても危惧され、また質疑が繰返されておつたところであろうと思うのであります。今聞きますと、そういう鉄鋼補給金のようなものに対して、十億ないしそれ以上の金が不当に支出されておることが発見された、その発見された場合におきまして、政府はそれに対してどういう処置をとられておりますか、その点をお尋ねいたします。
  12. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 これは計算誤りでございますので、計算方式を確立いたしまして補給金の額をそれぞれきめたいと思います。
  13. 志田義信

    志田委員 それは計算誤りだけでありましようか。單に計算誤りならば数字を訂正するだけで事足りると思います。ところが鉄鋼補給金に関する限りはかなり意識的なものがあるのではないか、かように思うのであります。あえてどこの会社であるということは申し上げませんけれども、少くとも日本鉄鋼メーカーとして日本を代表するに足るそれらの会社が、あるいは補給金が打切りになるのではないかということを前もつて知つて、そうして多量の補給金をとる工作をした疑いも経済調査庁において指摘されておるのではないかと思います。またいま一つは、計算方法と申しますか、いわゆる鉄鋼をつくるまでに至る過程におきまして、それが会社をして不当に利益せしめておるという結果を指摘せられておることがあるのではないかと思いますが、單なる計数上の誤算によるものとお考えなつておるか、それによつて政府すなわち国は相当損害を受けたものという認定に立たれておるか、その点を伺います。
  14. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 補給金の支給にあたりまして嚴格計算方式を確立いたしまして、しかも支給いたしました実績につきまして、あとから経済調査庁等をして調査せしめておりますのは、国費の適正な使用嚴格使用ということを第一義に考えているからでございまして、予算使用の適正を期したいということを第一義的に考えている次第であります。鉄鋼補給金につきましてもそういう意味から監査を実施いたしまして、複雑な社内使用分についての計算につきまして誤りを正したわけでありまして、この点につきましては製鉄会社には厳重に戒告を発した次第でございます。幸い補給金につきましても事後の補給分相当ございまして、これから補正をいたしまして処置いたす次第でございます。製鉄業者の側から見ましても、今御指摘のような補給金が近く打切られるために、この際よけいに補給金をとつておこうというような意思はなかつたように承知しております。むしろ当時の情勢からいたしますれば、補給金を廃止し、同時に統制解除してもらいたいというのが製鉄業者の意向でございます。少くとも銑鉄メーカーとしては、銑鉄につきましては統制解除ということを強く希望しておつたのであります。補給金を長く存続せしめる意図もなかつたように承知しております。
  15. 志田義信

    志田委員 まことに善意な御解釈でありまして、私もそういう仏様のような考え方同感であります。しかし事実は必ずしもそうでないのではないか。事実を調査した経済調査庁のあなたの方に対する報告文書には、さようになつておるのでありましようか、それをお伺いいたします。
  16. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 経済調査庁調査に基きまして、経済安定本部物価庁といたしまして、製鉄業者にも厳重に戒告をいたしたわけであります。当面問題になつ会社が、悪意を持つて補給金早目に多額にとろうという積極的な意思を持つて会社自体として運動したということではなく、一番大きな原因は会社自体の内部の監査といいますか、あるいは幹部の指導といいますか、そういうものに非常に不徹底があつたのではないかと、私どもとしは解釈している次第であります。
  17. 志田義信

    志田委員 この点につきましてはなお私も調べますが、違うと思う点がある。たとえば鉄鋼を生産する過程において、Aの方式からBの方式に移る過程において、二重に補給金がかかつてつたり、あるいは二重にかからないにしても、補給金のかかつた鉄鋼が、なべの底に残つてつたりするような事態が計算されていないというような問題があつて、事実において国家が十億かの損害をしたのではないかという報告ではないかと私は思いますが、これは私の記憶違いがあるといけませんからよく調べまして、さらに御質問申し上げたいと思いますので、この点は留保しておきたいと思います。そういう場合における十億の国庫の損失に対しまして、あなたの方では会社に対して厳重な戒告行つたというお話でありましたが、戒告をすると同時に、その十億円は次の補給金において操作したというお話でありますが、元本は操作いたしましても利子はいかがになさいますか、その点についてお伺いいたします。
  18. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 この点につきましては物価庁において当時処置いたしましたので、後刻よく調べまして御返事を申し上げます。
  19. 志田義信

    志田委員 私は二十七年度経済安定本部予算の概要をただいま官房から配付された書類によつて拝見いたしましたが、いずれも前年度予算額より少くなつている。これは従来ややもすると統制経済から自由経済移つたのであるから、もう経済安定本部はいらない。三月になると皆は元の各省へ帰られるか、あるいはその他の方向をとらなければならぬようなことになつておるということが巷間伝わつておる。政務次官がおいでになつておりますから、特にこの点は政務次官にお尋ねいたしますが、経済安定本部は近い将来において、たとえば本年の三月くらいの近い将来においてなくなるものであるか、もしなくなるとすれば二十七年度予算をここに組んでおることは意味ないと思いますが、その点をひとつお尋ねしたい。
  20. 福田篤泰

    福田政府委員 近い将来において経済安定本部がなくなるのではないか、そういう仮定のもとに予算を見なければならぬというお尋ねでございますが、私どもの信念といたしまして今考えておりますことは、経済安定本部国家的な任務というものは、これからますます非常に大きくなるというふうに考えておるのであります。御承知通り、対外的にも日米経済協力あるいは東南アジア開発という問題もございますし、国内的には電源開発あるいはその他各般の経済建設が、独立を機といたしまして軌道に乗るわけでございますので、その場合に各省それぞればらばらにやるようなことになりますれば、そこに一貫した計画性総合性も欠くおそれが多分にあるわけでございます。こういう場合には、どうしても経済建設につきまして、対内、対外ともに筋を通しました総合的な一貫性あるいは計画性というものがぜひとも必要ではないか。そのためには経済安定本部が多年苦心して当つて参りましたいろいろな面から、十分力を入れましてやつて行きたい、こう考えておりますので、目下行政機構改革に伴いまして、とかくのうわさは流れておるようでありますが、私どもといたしましては、むしろこれを強化し、十分活用しなければ、日本経済建設に非常に困るのではないかという考えでおります。その点各位の今後の御協力をお願いしたいと存ずる次第であります。
  21. 志田義信

    志田委員 たいへん力強い御発言をいただきまして、経済計画等は多々ますます必要である、それは統制ではない、調整をするのだという建前で、安本が今後さらに必要であるというお話であります。日米経済協力の点から行きましても、あるいは東南アジアの今後の輸出計画からいたしましても、さらにまた今次官がおつしやられた電源開発の点から行きましても、当然経済安定本部主務官庁なつてやらなければならぬということでありますけれども、それではやはり竹やり戰術になるのではないかと思います。二十七年度予算は、前年度に比べて非常に削減されております。人員縮小をやつて、さらに調査費その他におきましても、相当無理なことをやらなければならぬような予算つけ方をしておつて、これで経済安定本部が大きくなつて、十分国のためになる仕事をするのだとは受取れないのでありますけれども予算の面から見て、これで十分なりとし、そういう御抱負を実現し得る予算であるとお考えなつておるのかどうか、お伺いしたい。
  22. 福田篤泰

    福田政府委員 ただいま志田委員の御質疑になりました予算の問題でございますが、私ども直接責任を負う立場に立ちましても、実はこの予算に対しまして決して満足しておりません。ただ現在の財政状態、いろいろな点から大蔵省との折衝におきまして、関係者も苦心いたしまして熱心に努力いたしたのでありますが、実はこの程度予算しか獲得できなかつたことを、まことに残念に思つております。今後もいろんな機会をとらえまして、われわれの仕事を完全に遂行するための予算は主張し、獲得するよう努力いたしたいと思います。
  23. 志田義信

    志田委員 今後努力するということになると、補正予算ということになるのでありますが、大蔵大臣は、当分補正予算考えてないと言つておる。それで今後大いに努力するというのは、木によつて魚を求める結果にならないとも限らない。いずれにしましても安本の各主要の局の予算が全部マイナスになつておる。外資委員会と、その他には貿易局が多少ふえておりますが、貿易局はもちろん当然のことでありますけれども外資委員会増額なつておるのは、どういう含みで、どういうところに使うお考えでありますか。
  24. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 予算各局別の配分でございますが、減りましたところは、ここに増減内容に示してありますように、主として人件費の減に基因するものでございます。産業局民生局等においての統制解除に伴う人員縮小というような面も考慮いたしまして、この予算の配置になつておるのであります。外資委員会のみがふえておるということにつきましては、外資委員会は現在十五名の人員仕事をいたしております。外資関係処理件数は、当初これができましたとき、外資法が出ました当時に比べまして、おそらく二倍、三倍という処理件数増加をいたしておりますので、外資委員会につきましては、人員の減もほとんど見ませんで、必要な事務費等について、事務の激増ということに応じて処置いたしておるのであります。安本予算は、御承知のように、主として人件費でございます。建設交通局公共事業費を除きました各局予算は、主として人件費でございまして、国土調査その他の予算も、やはり各省予算が移しかえになるのでございます。人員の二割減により、それに伴う事務費も若干減つておるのであります。人員減に伴う当然の経費減、こういうふうに考えておる次第でございます。なお今後機構改革がございますし、今後の日米経済協力東南アジア開発その他の仕事に関連いたしまして、この予算運営について適当なる調整をはかつて参りたい、かように考えておるわけであります。今後機構改革を控えております関係上、一応従来の局別人員減を当てはめたものであります。さよう御了承願います。
  25. 志田義信

    志田委員 各局予算内容は、大体それでわかりましたが、ひとつ内容についてお尋ねいたします。今お話のありました国土開発調査費、これが昨年より減額なつておる。そればかりでなく、二十七年度のあなた方の要求額においても、必ずしも多いと思われるものじやないのでありますが、これについて御説明をいただきたい。
  26. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 土地調査費につきましては、これは長期にわたつて経費が継続する性格を持つております。特に二十七年度につきまして、前年度に比較いたしまして相当減額を見ておるのでありますが、本年度予算編成にあたりまして、あるいは公共事業費増加その他講和関係費等関係もございまして、できるだけ節減した予算をもつて行うという考え方から、基準点測量につきましての考え方を、二十七年度においては、一当初の計画を変更いたしまして、国土総合開発のうち、緊急に必要とする地点を選考して調査を完了したい。こういう計画に組みかえまして、調査地点を縮減いたしましたことに基いておるのであります。この減が土地調査費の減になつておるのであります。全般財政状況とにらみ合せ、しかも土地調査仕事長期に継続して行われること、及びそういう状況においてできるだけ効果を早くあげる地点に、重点的にしぼつて行きたい、こういう点が主でございます。
  27. 志田義信

    志田委員 国土開発調査費、さらにそれに加えて特定地域調査費も入つておるのでありますか。
  28. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 土地調査費には国土開発関係に関する、たとえば特定地域調査費は入つておりません。これは純粋に土地調査の観点から必要とする経費のみでございます。電源開発、あるいは河川総合開発、あるいはただいまの国土開発関係いたしました経費といたしまして、本年度は千百万円を計上しております。その千百万円の内訳は、電源開発につきまして二百万円、河川総合開発につきまして四百万円、国土開発、これは特定地域等に当るものでございますが、一応五百万円の内訳で計上しておるわけでございます。電源開発河川総合開発国土開発等、それぞれ業務上は相当密接な関連を持つておりますので、千百万円というものを全体的に調整して使つて参りたい、かように考えております。
  29. 志田義信

    志田委員 電源開発の二百万円、これではどうも非常に少いような気がするのです。また国土開発の五百万円、これも特定地域のほかの調査地域もあるようですから、これも加えて五百万円、それから河川の四百万円、こういうような御説明であります。われわれとしてもこれではとうていだめだ。こんなことでは何もできない。たとえば電源開発につきましては、公益事業委員会は、これの五倍に値するくらいの調査費を持つておる。それから国土総合開発特定地域調査にいたしましても五百万円で、これを幾つに割るつもりかわかりませんが、特定地域だけで十九もあるし、それに調査地を加えれば、三十にもなる。五百万円を三十で割るということになると、これもたいへん僅少な調査費ではないかと思います。そこで安本としては関係各省の要望を入れて、この調査費を何らかの形で二十七年度の総予算の中から、ということができないならば、予備費その他において、政府をして考究せしめる対策をとつておられるかどうか。大蔵大臣に対してその間の折衝をしておられるかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  30. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいま申し上げました経費は、安定本部自体の調査費でございます。御承知のように、安定本部電源開発の実施の計画を行うわけではございません。それにつきましては建設省所管のものにつきましては、建設省自体に別途に予算が組まれておるわけでございます。ただいま申し上げましたのは、安定本部において各省のこれらの仕事調整に関しまする経費のみでございます。従いまして公益委員会におきまする電源の具体的な開発計画というものは、公益委員会に計上されておりまするし、また特定地域その他の調査に要する経費は、建設関係に計上されておりまするし、農林省関係国土開発に必要な経費というものは、いろいろな形において農林省関係に計上されておるのであります。その点を御了承を願いたいと思います。  それから今後電源開発なりあるいは国土調査等の国土開発計画予算につきまして、具体的な計画が進展することに即応いたしまして、必要な経費は予備費その他から支弁いたすように努力いたしたい、かように考えております。
  31. 志田義信

    志田委員 私はこれは私見を申し上げておくにとどめるのでありますが、持論としましては、こういう調査費は一本にした方がいいのではないかという気がする。電源開発なんかの適地調査というような調査費は、公益事業委員会に一億も行つておるということも聞いておるのでありますけれども安本は二百万円でどういう程度電源開発調査をやるか。事務処理費にも足りないじやないかと思います。こういうようなみみつちい予算でほんとうの調査ができるかどうかということが私は非常に心配なんでありまして、安本自身が調査できないもんだから、自然にそういうような調査費がそれぞれ各省から要求せられて来る。そうしてそこで調査されれば、安本よりおれの方が調査が十分できておるんだということになつたりして、安本がかなえの軽重を問われるのが、この調査費から発するのじやないかと私たちは考えるのであります。たとえば特定地域、各府県の立案計画にしましても、全国の開発計画とのいろいろな調整の問題にしましても、ちつとも調整がとれない、いつまでたつて調整がとれないという実情がございますが、そういう点も、十分な予算をとつての十分な調査が行き届いておるという確信が安本にないために起ることが、非常に多いのではないかと思いますが、その点につきましての安本自身のお考えはいかがでありましようか。
  32. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 各種の調査費を一本にまとめて、これを総合的に運用して行つたらどうか、こういう御趣旨に拝承いたしましたが、これも一つの行き方ではないかと私ども考えております。ただ現在の安定本部の設置法できめられておりまする安定本部の職能というものは、そういう電源開発計一画、具体的な実施計画あるいは建設省で所管しております事業に関する調査自体というものは、これは各省が行つて、その上での計画についての調整というような問題を処理するための費用として計上されておるのであります。調査費を一本にまとめまして、安本自体が調査いたす、あるいは予算をまとめたにいたしましても、さらにそれを各省に移しかえをいたしまして、各省調査を行う、こういうような方法もあるかと思います。国土調査等につきましては一部そういう考え方を入れまして、各省予算の中から配付して行く、こういう考え方をしておるのであります。たとえば御指摘のような特定地域あるいは各都道府県の計画等に関しましては、建設省としても重大な関心を持ち、建設省自体の行政に密着した問題でもございますので、安定本部といたしましては各省仕事調整して参る、こういう設置法できめられた線で現在仕事を進めておるのであります。この問題につきましては各省に分属しておるために、調査費がダブつて使われる、あるいは調査費の使い方に総合性を欠くとか、こういうような問題もあり得るかと思います。また別の観点から申しまして、現在の安定本部仕事自体のやり方が、各省の機能をなるべく発揮させて行くという建前をとつておりますので、その面から機構的にダブつて人員を置き、仕事をして行くという弊害もまた考えられるわけであります。慎重に検討しなければならぬ問題だと考えるのであります。
  33. 志田義信

    志田委員 そういう問題で、今私お話を聞いて感じたのですが、国土総合開発調査費、この下に河川総合開発経費が出ております。あなたは今、調整をするのが安本の役目だから、それぞれに調査させていいプランができれば、それによつて調整させてやるのだ、実施面においても計画面においても、国の中では各省との間の調整をとるのだ。こういうことを言つておりますが、それが事実において調整がとれないような状態が非常に多いのであります。これは私が申し上げるまでもないと思うのでありますが、たとえば国土開発法によつて今実施法を要望されております全国の国土開発に関連ある府県からは、早く国土開発法の裏づけである予算化の見られる実施法を出してくれ、こういう要望が出ております。聞くところによると安本におきましてこの実施法を考えられているのであります。これに対しまして建設省及び関係の農林省におきましてもいろいろな考え方がある。ことに建設省を中心とする河川総合開発というものが、今法案として議員の間に準備が進められている。一体こうした河川総合開発というものと、国土総合開発の実施法というものとの調整は、これこそ安本がとらなければならぬものではないかと思うのでありますが、これはとられているでありましようか。それをひとつお尋ねいたしたい。
  34. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 安本におきまして国土総合開発法の実施法ともいうべき一つの法案を、ただいま準備いたしております。これと並行いたしまして議員提案の形におきまして、河川総合開発促進法といいますか、そういうような名称の法案が審議されているのも事実であります。この点につきまして現在党の政調会ともお打合せを進めております。国会に提案されます際には一本にまとまつた形に調整する、こういうふうに考えております。
  35. 志田義信

    志田委員 これは御参考までに申し上げていいのではないかと思うのでありますが、あなたの方ではそういうふうに調整して一本で出そうというふうになつて非常に努力されている。皆さん顔見知りの方々を見るとそれに努力されている方々が非常にたくさんおられるのであります。ところがこれは二、三日前から私が知り得たことによりますと、建設省が実施法も河川総合開発法もやめて、そうして河川法の改正で行こうということが省内の主流においてまとまりつつある、こういう話が私たちの耳にも最近入つて来ております。そうしますとあなたが今おつしやつたような各省調整をやろうとして努力しているときに、もうすでに裏からくずれて行くということもあるし、大体調整をとるのに少し時間がかかりはしないか、調整というものはそんなに時間がかかつていいかどうか、計画調整にあまり時間をかけてはいかぬと思いますが、やはり熱している間に調整しなければいかぬのでありまして、少し時間がかかり過ぎると思いますが、これはいろいろな観点で遅れたとしてやむを得ないといたしましても、もう調整をとろうとして考えておられるあなた方の意図とはまた反対に、両方の案を引上げさせて、そうして河川法の改正でとめよう、その河川法の改正でとまらぬ場合においては、国土総合開発法の改正法でとめよう、こういうふうに二案をつくつて建設省が今やつているというふうに私たちは聞いているのでありますが、その点安本は御承知なつ調整をとつておられるかどうか、それをひとつお伺いいたしたい。
  36. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 建設省におきまして河川法の改正を検討中であることは私ども承知いたしております。建設省から正式にといいますか、あるいは公式にといいますか、案の提示を受ける段階にまだなつておりません。河川法につきましても、河川法自体非常に古い法律でございますし、これを根本的に改正する必要は私どもとしても認めておりますし、むしろ河川法を新しい法体系に、いろいろな点において改正を加えて行くということは望ましいと考えておりますが、これに関連いたしまして、総合開発法自体をどうするかという問題については、また別の観点から論ずべき問題でありまして、河川法の水に関します権利に関する法律の整備ということと、その整備に当つての基本的な考え方として、国土総合開発を容易ならしめる、こういう点も当然配慮さるべきであると思いますが、いわゆる総合開発を実施して参る実施法自体につきましては、これは切り離して考えるべきだと考えております。
  37. 志田義信

    志田委員 その点は一つ調整の問題が生じておりまして、現にいろいろ調整しなければならぬところでありますから、多少の日時は要しましても、早く調整を終らせていただくように政府においてお考えを願いたいと思います。  最後に、一体重要河川開発法というものが国土開発の実施法として出て、しかも重要河川開発法というものが必要なのかどうか。安本ではほんとうのところどう考えておられるかそれをひとつお尋ねしたい。
  38. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 国土総合開発法は、いわゆる計画を設定するに至る段階をきめておるのであります。もちろん国土総合開発法によりまして特定地域が設定され、あるいは都道府県の計画が設定され、それが全般的な、全国的な総合開発、あるいは公共事業計画というものの、科学的な基礎のある計画がそこから生れて来るわけであります。この法律自体として、やはり国の予算の編成なり、あるいは執行なりにつきまして、基礎的な一つ計画を設定するにつきまして重要なる法案である、かように考える次第であります。特定地域が設定されまして、それを具体的に総合開発を行つて行きますにつきましては、どういう機関がその開発を行つて行くか、それに対して具体的に国がどういう援助を与えて行くか、こういうような問題につきましては、総合開発法は触れていないわけでありまして、その点を一貫して参りたいという考え方であります。従いまして別に実施法をつくるか、あるいは総合開発法自体の中に盛り込んで行くか、これは法律技術的な問題であります。その点についての実施に関しまする段階に必要な法制を整備して参りたい、かように考えております。
  39. 志田義信

    志田委員 私その点はよくわかるのであります。重要河川開発法の内容は御承知だろうと思いますが、それと皆さんが考えておられる国土総合開発法の実施法との対照にあたつて、一体重要河川開発法というものが実施法以上に必要であるかどうか、その点をひとつ伺います。
  40. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 河川総合開発法の内容も、実施法の内容も、おそらく具体的な点においてそう考え方に違つた点はあるまいと思います。ただ河川総合開発法においても、やはり去年でありましたか、その前の国会でありましたか、利根開発法として議員提案で準備せられた案があつたわけであります。あの案につきましては計画自体を設定する機関、こういうことで現在国土総合開発法でねらつております程度計画であれば、川別に一つ計画機関をつくる必要はない、かように考えておるのであります。その特定地域の開発計画の基礎になる開発計画に基く実質的な計画をつくる、こういうような面につきましてはやはり一つの法制が必要ではないか。従いまして同じような内容を持つようなものになりはしないかと考えております。
  41. 志田義信

    志田委員 どうもそうなりますと聞かざるを得ないのですが、なぜ同じものに調整をする必要があるのですか、どういう調整をとるのですか。
  42. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ですから、今申し上げましたように、国土総合開発法で立てた計画程度のものを立てる案を、河川総合開発法でお考えなつておりますれば、これは不要である。私ども考えておりまするように、国土総合開発法に基く計画を、実施の段階に移す計画を設定して参る、あるいはそれを実施するについての援助を与えるという建前でありますならば、具体的には一致するわけであります。私ども考えておりますところを率直に申しますれば、河川総合開発法においては、ややもすると国土総合開発法に移る段階に重点が行つているのではないか。そういう点が解決されまするならば、河川総合開発法及び実施法の相違は、名称の問題であると思います。
  43. 志田義信

    志田委員 名称の問題であればどこか一つでいいという話なんでありますか、私はさように解釈しますがどうですか。それならこういう予算は組まない方がいいと思います。国土総合調査費だとか、河川総合開発費だとか、こういう予算安本が組みますと、これは総合開発の経費でございますから、組んでもさしつかえないのでありますけれども、おおむね河川総合開発法というものを絶対の法であるとして信じておる者もあるのであります。一つ覚え——ばかとは申し上げないが、一つ覚えにしておる人がある。そうすると河川総合開発法に基いて、予算安本がつけているじやないか。国土総合開発にもついているが、河川総合開発にもついておる。これは必要であるからつけるのであるという議論になりまして、必要なものは法律をつくつたつていいじやないか、たとえば総合開発は、流域に関する国土の保全開発というようなものをやる。重要河川については、必ずしも特定地域に入らぬところもあるのであります。従つてその河川に対する法律はできたつていいじやないか、こういう意見もなされるのでありまして、重要河川開発法を支持する議員の方々は、重要河川開発法というものがなければならぬということを主張するために、この法律では国土開発法の実施法がたとえ出るようなことがあつても、それは特定地域にとどまるものであるというふうに考えられやすいのでありますが、その点についてはいかがでありますか。
  44. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 国土総合開発一つのねらいといたしまして、特定地域の設定ということを大きな一つ内容にいたしておることは事実でありますが、單に特定地域のみの計画ということに、建前上も実際上も限定いたしておりません。従いまして国土総合開発のこの経費に伴つて、従来審議会が個々に設けられておつたわけであります。これも国土総合審議会の中に吸収をいたしまして、そこで一元的にやるという計画を設定しておるわけであります。そういう点につきまして、あるいは河川総合開発法というもので、誤解を招くおそれなきにしもあらずと考えております。実際上の運用及び考え方といたしましては、国土総合開発法一本に運用されておる次第であります。
  45. 志田義信

    志田委員 重要河川開発法と国土開発実施法の問題につきましては、さらに公共事業の問題を当委員会で扱うそうでありますから、この問題は公共事業費配分の問題とも関連すると思いますので、そのときにさらに御質疑申し上げたいと思います。  最後に、最後々々と二度にもなつて恐縮でありますが、電源開発経費でお教えをいただきたいと思います。のは、第四項に多目的施設の費用分担関係ということがありまするが、これを調査する経費というわけでございますか、それも入つておるわけでございますか。もし調査するとすれば、これはどういう方法調査なさるお考えでしようか。
  46. 佐々木義武

    ○佐々木(義)政府委員 この電源開発促進に関する経済の問題は、電源開発調整審議会というものが、今度の新しい電源開発促進法の中にうたつてございますので、その審議会で取上げる経費を盛つたのでありまして、その審議会の内容いかんによりましては、後日法案として出しました際に審議願うことになると思いますけれども、主として関係各省から電源の開発に関しまして、いろいろの問題の処理に関して、申出があつた際に、安定本部の総裁がそれを受けて審議会で処理するというような建前になつてございます。従いまして多目的施設の費用の分担計画につきましても、そういうふうに各省から申出がありました際に、その申出に限りまして、一つのダムをつくつた際に、公共事業費で幾ら分担する、あるいは電源施設等に関して電気の開発担当者がどれほど負担する、あるいは水利組合等がどれほど負担するといつたような、費用の振りわけを審議会できめることになるわけでございますが、これにつきましては、政令でもつて事前に費用の振りわけの内容を規定しておきまして、その基準を基礎といたしまして、その問題を処理いたしたい、こういうふうに考えてこの予算を計上した次第でございます。
  47. 志田義信

    志田委員 水というものは上から下に流れるのでありまして、上の方では利益を受けないけれども、下の方では利益を受けるということがあるのであります。同時に上の方では何も被害がないけれども、下の方では水が被害を与えるということがあります。これは多目的施設といいますから、どうせ多目的ダムであろうと思います。その費用の分担関係におきましては、被害を受けた場合には、その被害高を分担するということまで協議してやる。そういうことまでいろいろ調査なさるのですか。
  48. 佐々木義武

    ○佐々木(義)政府委員 費用の分担関係におきましては非常に複雑な関係がございまして、米国等も大分進歩しているようでございますけれども、まだ国際的にこれで十分だというような研究はできておらぬように考えられます。たとえて申しますと、洪水の起つた際に、それで人が損害を受けたといつたようなときに、そういう損害まで考慮してやるとか、それをまた金で換算してどうするといつたような問題まで深く入つて来るかと思います。そういう点もいろいろ考慮いたしまして、事前に政令で基準を定めまして——基準を定めるということは、今申し上げましたように困難かもしれませんが、それにいたしましても、ある基準を政令で立てまして、その基準にのつとつて、具体的にはその基準を元としまして、その基準に合うように費用の点を解決したいと考えます。
  49. 志田義信

    志田委員 これは先ほど官房長お話のありました国土総合開発計画を実施するという場面になりますが、水利法制の整備がまだ日本ではすつかり確立していない問題が出て来ると思うのであります。聞くところによると、建設省では、河川の利用調整法案というものが用意されているやに聞いておるのであります。同時にまた農林省でも同様に、農業水利権の保護という建前から、農業水利法案というものが研究されて、もう成案ができておるやに聞いているのでありますが、こういうものと、国土総合開発計画の実施にあたりまして、ことに電源開発にあたりましては調整をとらなければならぬものがあるのでありますが、何か安本として水利法制について、一元的なものを考える段階に来ているのではないかと思いますけれども、いかがでしようか。
  50. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 電源開発に関連しまして水利権の処理、あるいは他の利益に対する調整という問題が起つて参るわけであります。これは根本的には河川法の体系でこの調整が容易になるような、一つの隘路というものが、河川法自体に考えられる点があるわけであります。現在建設省として河川法の全面的な改正について、従来から検討を行つておりますし、安定本部におきましても、河川法の行き方というものにつきましては研究を行いつつある段階であります。この電源開発にからみまして、各省大臣を委員にいたします連絡会議を設けまして、ここでやはり河川法等の問題も取上げて参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。農林大臣も建設大臣も安本長官も、それらの構成員の一人であります。建設省なり農林省なりの意見というものが、その会議に具体的に、正式に、省の意見として大体まとまつた時期においては提案されるのであります。その際調整を行いたいというふうに考えておる次第であります。さしあたりの電源開発の実施につきましても、今後電源開発推進法というような形におきまして、水利の問題を調整して参る、水利と申しますか開発担当者を決定する、いわゆる水利権自体を対象とするのではございませんが、だれが開発担当者として適当かという点、及びどういう事業計画でやつて行くか、他の総合開発計画との関連におきましての事業計画を、どう調整して参るかというような案件を処理する機関を、一つ設置するという考え方で進んでおる次第であります。
  51. 志田義信

    志田委員 今日電源開発が、日本経済復興の最初にやらなければならぬ、しかも一番大きい問題であるということになつて、そういう事業が行われる、電源開発促進がなされるということになりますれば、やはり水利開発の問題は、国土総合開発計画が出されておる今日の段階といたしましては一番大きな問題であつて、今ここで解決しておかなければ、累を百年の久しきに残すものではないかと私は思う。さらに先ほどの多目的ダムの費用分担の関係などを申しましても、これは事業の主体がどこになるかわかりませんので、費用の負担であるとか、補償であるとか、あるいは供与の問題もありましようし、あるいは公益施設の新しい水処理の問題なんかも、やはり一番重大な問題になろうかと思うのでありまして、この国会に今お話のような電源開発促進法という法律を出される用意があるといたしますれば、各省の水利に関する法案を一まとめにして、また今やつておるような国土総合開発法実施法、あるいは重要河川開発法、河川法の一部改正法案、そういうようなごたごたした問題が起らない前に、早く安本あたりが調整する前提として、その調査立案を急いでおく必要がある。それをやつておかなければ対立した場合の調整などということは非常にむずかしくなる。それをやはり早くなされる必要があると思いますが、それにしても費用が少い、こういう結論になるのであります。しかし費用の点は財政上の問題がありまして、国の財政とのにらみ合せもありますから、あまりここでそれを問題にすることはできませんけれども、とにかく少い。前年度がたとえゼロであつたからといつても、今年度この程度のものでは非常に少いということを、特にこの際主張しておきたいと思うのであります。私の質問をこれで終ります。
  52. 前田正男

    前田委員長 本件に関する質疑希望の委員があるようでありますが、午前の会議はこの程度にとどめまして、午後一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  53. 前田正男

    前田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昭和二十七年度経済安定本部関係予算に関する件の質疑を継続いたします。横田君。
  54. 横田甚太郎

    ○横田委員 午前中に昭和二十七年度予算の概要の、非常に薄情な説明を承りましたが、わかりにくいのと、内容についてはあきれているのです。そこでまず第一に承りたいのは、今まで経済安定本部が中心になつて、日本経済ついていろいろの計画を立てられた。その計画の中で、私たちの考えによりますと、うまく行つておらない。ところが自由党の政権のもとにおいては、これはうまく行つておるとほら吹く大臣が多い。そこで伺いたいのですが、経済安定本部としては、やはりうまく行つておるという答弁をしなくちやならないのだろうと思うのですが、どういう点がうまく行つてつて、どういう点がうまく行つておらないのか。それともうまく行つておらない点なんかはないという御見解なのか、その点をまず第一に承りたいのです。
  55. 佐々木義武

    ○佐々木(義)政府委員 安定本部で従来立てました計画の中で、政府といたしまして一応はつきり意思表示をしまして実施したいとしてとりましたものは、自立経済審議会の答申案が、最近の一番大きなものでございます。自立経済審議会計画の第一年度、すなわち二十六年度計画と実績の比較検討をしてみますと、大体生産は計画よりもはるかに伸びておりまして、ほぼ目的以上に達成しているようであります。貿易も非常に伸びておりまして、ただ物価等の値上り等から換算いたしますと、実質的にはそれほどの差はないようでございますが、それにいたしましても、計画量をはるかに上まわつた数字なつておるようでございます。それから国民所得等にいたしましても同様でございまして、大体計画よりははるかに上まわつた実績になつておりますが、この主たる原因は、計画そのものの実施に対する手段、政策の問題ももちろんでありましようが、非常に有効需要がふえまして、その結果予想以上に伸びたと考えた方が妥当じやなかろうかと考えておるわけであります。ごく大きく申しますと、自立経済審議会の答申に関する実績検討に関しましては、大体以上の通りでございます。
  56. 横田甚太郎

    ○横田委員 つまり満足に行つておると言われるのですね。そういたしますと、私たちが世界の経済を眺めますときに、どこも野放しの自由経済を主張して実施しているところはないと思うのです。ところが日本には、一つ妙な政党がありまして、その政党が数が非常に多い。これが自由経済を主張しておる。自由経済をやるということで、選挙をごまかして多数になつたのであります。その政権のもとに公務員として働いておられるところの安本のいわゆる優秀なる公務員諸君が、どうして自分の主人であるところの政府の要求する自由経済にそのまま移行できないのですか。移行できない原因が日本経済のどこにあるかということを承りたい。
  57. 佐々木義武

    ○佐々木(義)政府委員 計画でございまするので、全然政策なしに計画を実施するというわけに参らぬわけでございますから、自由経済と申しましても、政府である程度統制をきかし得る範囲のもの、言いかえますと為替の問題でありますとか、財政面とか、あるいは一部金融の面等を通じまして、計画を達成するように、できる限り操作をして目標に近づけるというかつこうになつておるのであります。
  58. 前田正男

    前田委員長 横田君に申し上げますが、政務次官もすぐ出て来ることになつておりますので、政策的な問題は政務次官にお尋ねください。
  59. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、小さい問題を探しまして、価格調整費の問題を承りたい。価格調整費は、ことしはふえておる。しかもこれは食糧だけである。そのふえておる内容として、御丁寧な数字があげられて、読んだらわかるようになつておるのですが、これをしさいに読みますと、一たび足を各官庁に踏み入れましても、あるいは官庁自身が好まれないところの、日本においていろいろ自由に意見を表明するところの雑誌、新聞を見ましても、物笑いの種にしかならない数字が基礎になつておる。一例をあげますと、外国から米を買います場合に、ここに出ております米は一番高い。たしかトン当り百七十二ドルで入つて来るようになつておる。ところが、これは私が政府筋からもらつた資料ですが、最近入つておりますところのアメリカからの米は、たしかトン当りCIFで百八十二ドル七十八セントとなつておる。これを日本の金に直しますと六万四千八百円八十銭、非常に価格が違う。それから特に吉田政府の好きな台湾から米を買いますと、ここは戰前においては五百万トンの米が来ておつたそうでありますが、今六十万トンくらいしか来ない。しかもその米はアメリカより近い船旅であるにかかわらず、たしかトン当り百九十ドルで入つておるということは、通産省の発表によつても明らかである。これを日本の金に直しますと、六万八千四百円でありますから、一石に直しまして一万三百六十三円になります。こういうふうに実際と違つたところの数字を並べて計画を立てられる。そうして去年よりも多くの外国食糧をお買いになるような計画というものは、みすみす破綻を見越しての計画なんでしようか。こういう意味において価格調整費の組まれたよりどころが非常にわからなくなつて来るが、この価格調整費に対する考え、役割、こういうようなものをひつくるめて御答弁を願いたい。
  60. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 輸入食糧の外米の輸入数、価格の見込みにつきましては、百七十二ドルというのは平均でございまして、高いのも安いのも入れまして、その平均がそのくらいに落ちつくだろうという見込みで計上しておる次第でございます。食糧全般につきましては、なるほど外国から外米その他を買いますと高い次第でございますが、日本国内で国民の消費するもの全部を満たすことができない現状にございますので、高くてもそれを買わざるを得ない。そのかわりに国民に対しては国内産のものと同じ価格で配給するために、食糧補給金を計上いたしておる次第でございます。
  61. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは百七十二ドルで大体ことし買う米の平均値が出ると言われるのですね。その場合には、アメリカからも相当米も入つているし、おそらく台湾からはバナナだけではぐあいが悪いので、米を押しつけられるだろうと思うのです。そうしますと、あとから買うのはビルマあるいは東南アジアからですが、そこの米は非常に腐れが多いのです。そういう腐つたものを含めてなお百七十二ドル、これで輸入の平均米価が出ると言われるのですか。その点は非常にあいまいだと思うのですが、どうでしようか。
  62. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 私どもの見込んでおります予定のCIF価格は、シヤム、ビルマから大体百六十ドルくらいで参りますし、台湾とか、加州とか、ブラジル、そういうところは大体百八十ドル前後になるのではないかという見込みを立てておるわけであります。
  63. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると、質問が飛ぶようですが、台湾と加州を百八十ドル見当に組んでおられる。台湾からお買いになる米は一体どのくらいの値段で生産者である農民が手離すのですか。その点はもちろん関係委員会全部で聞きますが、なお参考のためにこの際伺つておきたい。それから同時に、私が今あげましたところの台湾の米は、近いにもかかわらず、アメリカのいわゆる日本に対する押しつけ輸入であつて、これが百九十ドルであるというのは、間違いあるのかないのかということもあわせて承つておきたいのです。
  64. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 台湾の米が現地で幾らで買いつけているかということは、物価庁としては資料を持つておらない次第であります。到着するのが百八十ドルか、場合によつては百九十ドルということも起るかもしれませんが、現地の買付値段と船運賃というようなものが、必ずしも日本側できめた通りに動きませんので、若干価格の移動はあるかと存じます。
  65. 横田甚太郎

    ○横田委員 物価庁ではこの台湾米が台湾国内においてどのくらいに行つておるかということはわからない。こういうことについては、大体これくらいだろうと思つて組んでおられるのですから、どこかよりどころがあろうと思いますが、日本の官庁で物価庁が信頼されるような資料を出す官庁は一体どこなんですか。
  66. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 物価庁では輸入した食糧が内地に到着いたしまして食糧庁が引取つたときに、内地産の食糧との価格の開きの差を補給金として出す役目を持つておるのでございまして、買付その他につきましては食糧庁の方で実施いたしておる次第であります。
  67. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、こういう形において外国から入つて来ました米が、ここにも例があるのですが、アメリカの場合を例にとりましても、さつきの台湾の場合を例にとりましても、台湾の場合は一石が一万三百六十三円で買われた米を、日本の国内においては九千三百円で多分売るのでしよう。そういたしますとこれは一石売るたびに千六十三円の損になる。アメリカから来ました米はたしか一石九千九百六十九円になるのですから、これは九千三百円の五分引で配給しておると私はにらんでおる。そういたしますとこれは八千三百二十五円ですから、一石売るたびごとに一千六百四十四円ずつの損になるのです。あなたが言われましたような日本の現状では、日本人の食うところの米が自給できない。こういう形を何回も繰返して行くような金の操作になるのではないかと私は思うのです。その点に対するいわゆる価格調整費の役割について、どういうふうなお考えを持つておられるかということを承りたいのです。
  68. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 台湾米、加州米などは、内地米と同価格で配給しております。それからビルマ米、シヤム米のように品質の劣つておるものは、内地米の九〇%相当額で、一割引で配給しておる次第であります。それからCIF価格が高いために補給金を出さなければならぬのは、日本の損ではないかという御質問でございますが、これは必ずしも損というのではなくて、元来外国から入れた価格で消費者に売るのが普通の取引と申しますか、経済運営でございますが、それでは国民生活あるいは食糧政策の全般から不適当であるので、輸入したものを消費者に安く売る。だからその出した金は結局消費者の利益になつておるというふうにお考えなつてよろしいかと思います。  それからそういう高いものを買う、これについての補給金を出すということの意味につきましては、これは外国から輸入します食糧の価格が、内地産の価格と同価格ということになれば、すなわち内地の食糧価格が非常に上る、あるいは外国の食糧価格が下るとか、あるいは海上運賃が下るとかいうようなことでさや寄せすれば、価格調整費は出す必要はないというわけであります。
  69. 横田甚太郎

    ○横田委員 今の答弁の中に、つまり高く買つて安く売れば損ではないか、こういうことだろうということを言われておりますが、私はそういう極端なことを質問した覚えはないのであつて、やはり農業問題に関してはこちらの方が専門でありますから、そこまで言いたいのですが、言えない事情があるから言わなかつたのです。私の言いたいのは、価格調整費というものが去年もことしも、しかもことしの方がよけい組まれておる。日本の農村においては金がたくさんいる。金がたくさんいる農村であるならば、日本の農産物が順調に売れなければならぬ。順調に売れないところの原因は一体どこにあるか。これは政策面で、ここから先は次官に対する答弁を要求するのですが、こういう形で見てみますと、日本の農村というものは、米をつくれというて今の政府におだてられてつくります。豚を飼えといつて豚を飼います。牛を飼えといつて牛を飼つて乳をふやします。ふやせば必ず物が売れるのです。この形は非常に困つた農業の問題であつて、これはいつかの機会に譲るといたしまして、それとはまた別の形において困つておる問題が補給金の問題です。たとえば日本経済を再建するためには、あなたが言われるように、どうしても消費者のふところを考えまして、消費者が耐えられるところの米価にしなくてはならぬ。その消費者が、しかも一人前の給料をもらつておるのではないのであつて、労働組合は民同でへなへなで、そうしてストライキさえも禁止せられておるところの公務員諸君がたくさんおつて、元気がないことおびただしいのですから、一人前の米価を農民に払えない。そうしますとこの労働者に対して十分なる金を払えない。払えないけれども、この労働者は物を食わなければならぬ。この労働者が物を食うための金は、大体アメリカの余つた原料を日本に持つて来て、そうして加工貿易をやらされておるのだから、仕事をさせている者が十分出さなければならない。ところがアメリカはそうしないで、盲貿易をやらせ、あるいはめちくちやな海外との商取引をやらせておるから、いつまでたつて日本農業が相当とする生産費を償う米価の問題が解決つかない。従つて日本の産業を再建するためには、日本の農民がむちやに安く米を町の人に供給しなければならない。農民が安く米を供給して、町の人に働いてもらつて日本経済が再建され、日本の産業が立ち直り、そうして東南アジアに工業製品を持つて行く。その見返りとして補給金のいる、悪くて高い米とか、そんなものを輸入されて来ては、日本の国は困る。そういう形においてこの価格調整費というものは組まれる。だから非常に困つた問題が循環的に繰返されておるのであつて、この価格調整費の問題なんかは、日本経済に永久にあるものかないものか、自由党政府としてこれをどういうふうにお考えになるかということを一応次官に承りたいと思うのです。
  70. 前田正男

    前田委員長 その問題は物価庁の方にしてください。
  71. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、ここに砕米というものが書いてありますね。これは一体どんなものですか。
  72. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 非常に砕けて粉になつた米でありまして、家庭配給用ではなくして主としてみそ、ああいうような工業方面に使うものでございます。
  73. 横田甚太郎

    ○横田委員 その砕米にしたところが、ずいぶん高いですね。どういうわけで高いのですか。日本が欲しがるから高いのですか。
  74. 渡辺逸亀

    ○渡辺政府委員 それは日本だけが買うわけではなくて、世界的な市場相場で買つているのであります。
  75. 前田正男

    前田委員長 横田君、政務次官がお急ぎでありますので、政務次官に対して御質問をお願いいたします。
  76. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと先の問題に移りまして、自由党は、簡單に言いますと、自由経済というわけのわからぬものがすきなんでしよう。私の見解によりますと、世界で野放しの自由経済なんかを言うている政党は、日本の自由党だけだと思つている。ところが日本におきましては、自由というものを唱えたがために非常に自由党がふえたというのです。それで今日の政権ができて、吉田が議会で三年間ふんぞり返つている。その自由党では、天下に対する公約として、どうしても自由経済をやらなければならぬ。ところが自由経済で行かない部分があるのではなかろうか。たとえば自由党の論客であるところの志田君の意見を先ほどから聞いておりましても、自由経済といつても全部が自由でなくて、何か計画経済が残るような自由である。そこで吉田内閣がすきな自由経済に行かないところの経済的な条件というものが、日本のどこにあるかということを承りたいのです。
  77. 福田篤泰

    福田政府委員 横田委員にお答えいたします。自由党の自由経済という問題についてお尋ねですが、御承知通りに野放しの自由経済という意味ではありませんので、われわれは無用な統制はあくまでこれを排除して行く。根本的には、いわば無用な統制を排除した自由経済であります。それにはおのずから計画性を持たなければならない、こういう意味と御承知を願います。
  78. 横田甚太郎

    ○横田委員 無用な統制なんかは、共産党も欲していないのです。無用な統制とは一体どんなものですか。たとえば米の問題を例にとりますと、自由党に言わせると米の統制は無用しごく、ところが自由党がすきな御主人であるアメリカのドツジ、トルーマンは、どうしても無用ではないのです。だから無用というものは一体どういうことを例にとられたのであつて、しかも世界で言うところの無用の通念というものは、一体どこにあるというように自由党政府は認識しておられるか、自由党政府から出られた次官に私はお伺いする。
  79. 福田篤泰

    福田政府委員 無用の意味でありますが、これは各ケースごとに検討して行きたいと思います。必要ならざるという意味ではありません。
  80. 横田甚太郎

    ○横田委員 その一例を具体的に示していただきたい。何分あなたと私どもとでは政党のイデオロギーが違うので、違うやつが論議することですから、具体的な例を示してもらいますと、いらないところの治安費を増額してもらわないで私はいいのではないかと思います。
  81. 福田篤泰

    福田政府委員 たとえば石油の統制を撤廃しようという議論が出ておりますが、これは一つの具体的な例です。
  82. 横田甚太郎

    ○横田委員 米はどうなんです。
  83. 福田篤泰

    福田政府委員 これは農林委員会でゆつくり検討していただきたいと思います。米につきましてまだ決定的な結論は出ておりませんので、慎重に検討して行きたいと思います。
  84. 横田甚太郎

    ○横田委員 しかしあなたの上にいるところの大臣は、古い言葉ですが、むちやなことを言いますよ。あなたはそんな薄情な答弁はできないはずでしよう。米が足りないから、また米の統制がとれたときに米食率が少くなるのではないですか。この前おかみさんたちが来たときに、あなたのところの親分は何と言つたか。いらぬところには口を出すが、こういう委員会では言わない。私たちにたたきつけるくらいの自信はないのですか。この点については後ほどゆつくり追究します。とにかく自信のないことは言わないようにしていただきたい。  それから計画経済統制経済、特にこれは午前中の自由党の質問を聞いておりましても一番疑問になつた点ですが、自由党の言うところの——辞書で行く計画経済経済辞典で行く統制経済ではない、自由党の言われるところの日本経済計画を残すという点は、一体どんな点であつて、無用の統制はもう済んだのですから、その点はあつさりでいいのですが、簡單に言いまして、計画経済統制経済の違いをはつきり示していただきたい。
  85. 福田篤泰

    福田政府委員 これは横田委員の方が具体的に御存じと思いますが、先ほど原則的にお答えしましたように、統制をする必要がないものは統制をはずす、またどうしても必要な、たとえば稀少物資のようなものについては統制をする場合もある。また一般的にも計画性を持たせるべきものは計画性を持たせる、こういうことであります。
  86. 横田甚太郎

    ○横田委員 だからそのうちの計画性を持たせるところのもの、あるいはその事業というものは一体どんなものですか。
  87. 福田篤泰

    福田政府委員 日本の、たとえばわれわれ安本といたしまして一生懸命にやつております電源開発の問題につきましても、計画性を持たせる。これは常識の問題であります。
  88. 横田甚太郎

    ○横田委員 この点では大分にお困りのようですから、またあなたのところの、にくたらしい答弁をする大臣が来たらゆつくりやります。  それからここにありますところの国民所得のことについてちよつと承つておきたい。国民所得が非常にふえていますね。国民所得のふえたということは自由党の誇りなんですが、私はこれは、日本が戰後において歩んではいけない道を歩んだ結果ふえた国民所得でなかろうかと思う。もつと極端に言うならば、ふえたのじやないですよ。ふえたように数字を並べた国民所得なんです。そう言いますと論議にならないので一歩譲つてふえたものとするのですが、ここに出ておりますところの国民所得は、二十五年におきましては三兆五千八百五十一億円、それから二十六年には四兆六千五百八十億円、二十七年には五兆二百七十億円、そういたしますと二十五年と二十六年との差額は一兆七百二十九億円、二十六年と二十七年との国民所得の増は三千六百九十億円、それから二十五年と二十七年との差を比べてみますと、この増は非常にひどいのでありまして、一兆四千四百十九億円です。日本という国は、私はこう解釈しておつた。大体日本は戰争によつて膨脹した国である。戰争が非常に僥幸であつた。そして台湾をとり、朝鮮をとり、樺太をとり、あらゆるところをとつた。それを日本が領土として不当にとつた。今度の戰争で返さなくてはならなくなつて来た。それで日本の敗戰を見たところの国際的な環境は、カイロとか、ヤルタあるいはポツダム等、いろいろな話合いによつて現われておるところの困難な道を歩まねばならない。それは戰争によつてもうかるような日本の国を、戰争によつてはもうからないものだというような国の歩み方にしなくてはならないのだろうと思うのです。そういうふうに向うは言つて来たのです。そして向うは、アメリカの軍人であるところのマッカーサーが来た。マッカーサーは一昨年あたりにおきましても、日本はかえつて軍備を持つてはならないのだ、軍備を持つことそれ自体が、日本に対して侵略をしようとする国を、日本に対して侵略を思いとどませることではなくて、かえつて侵略を誘うような結果になるものである。それはちようど日本を取囲む現在の国際情勢がそうなつておる。現在の日本の、アメリカの傭兵のための警察予備隊が名前をかえて、たとえば防衛隊になろうとも、保安隊になろうとも、これは大きくなればなるほどアジアから憎まれるものであつて、世界のやつかいものになると思う。私はこう思う。こういうような経済過程、いわゆる戰争によつてもうかるものだという歩み方に移行したところに、国民所得の増があると思う。だから日本は、明らかにアメリカの指導によつて、もうからない平和日本として再建されなければならない経済的な条件をほうつてしまつて、ほうつた条件として中共貿易を無視し、対ソ貿易を無視し、あるいは世界経済会議への列席をも拒否して、有利なるソビエトからの貿易をも回避して、ひたすら戰争の道具、人殺しの道具、人の家を焼くところの道具というものをこしらえる過程においてかせいでいる国民所得の増だと思います。こういう点について次官としてはまだお考えなつていないかもしれませんが、私はあげ足をとらず、單に一片の質問として終りますから、考えておられる程度でけつこうですからお答え願いたい。戰争の過程によりもうかる国がアメリカであり、そのアメリカのおすそわけをしてもらう国が日本である、そうして日本国民生活を圧迫する道へ直進しているのではなかろうか、こういう点に対する御見解を聞きたい。
  89. 福田篤泰

    福田政府委員 国民所得が増加いたしましたことは、わが国の経済力の復興発展を意味するものと考えております。統計の数字につきましては、専門家があらゆる角度から正確な数字を割り出して来るものと考えます。
  90. 横田甚太郎

    ○横田委員 アメリカは非常に金を持つている国だ、こういうふうに自由党は日本国民に宣伝煽動しておる。その一つの現われは外資導入だ。とにかくアメリカにさえ行けば金が借りられるのだ、こういう考え方が強い。だから今度の総理の施政方針演説の中においても、またそれに続いた安本長官のいろいろな演説においても、アメリカからの外資導入政権を樹立するという考え方が強く流れていると思います。世界のどこの国でも、貧乏しようと思つて働いている国はない。個人も国も一緒である。ところがイギリスでも、フランスでも、イタリヤでもみな困つている。共産圏は別である。こうした状況の中にあつて、どうしてアメリカだけに金がたまつておるのか。このアメリカの金をもうけた正体は一体どこにあるのか、それを聞きたい。
  91. 福田篤泰

    福田政府委員 わが党といたしましては、十分成算の立つという見込みがつくならば、外国、ことにアメリカからの外資は可能なりと考えております。
  92. 横田甚太郎

    ○横田委員 そんなことを聞いておるのじやない。どこの国でも金を借りたくない。みな金持ちになりたい、こうして働いているにもかかわらず、一生懸命に働いた八千四百万の日本人が貧乏しておる。また戰勝国の英国まで貧乏しているが、アメリカだけは何か条件をつければ金が借りられる、そういうアメリカのもうけというものに対する自由党政権の御感想はどうですかということを聞いておるのです。
  93. 福田篤泰

    福田政府委員 外資導入は御承知通りに個人も国家も同じでありまして、日本がアメリカから金を借りれば借りるほど、日本経済は復興するわけであります。外資の性質、いわゆるもうけということでありますが、それについては、私は論じたくないと思います。
  94. 横田甚太郎

    ○横田委員 外資の導入によるもうけというものを、国内におけるもうけと解釈しておられますか。私の言うのは、外資として出せるアメリカのもうけの性格を聞いておるのです。
  95. 福田篤泰

    福田政府委員 外資として出せるようなアメリカの金の性格をお聞きになりましたが、御承知通りにこれは政府の資金もありましようし、アメリカの民間の資金もありましようし、私どもはあなたの質問の要点自体がちよつとわかりかねます。
  96. 横田甚太郎

    ○横田委員 アメリカ資本に民間資本のあるのはあたりまえです。アメリカ資本と総称されるところの金の性格は一体どういうものか、またどういうふうにしてもうけたのかということを聞いておるのです。そうしてそのもうけた金を借りるためにサンフランシスコに行つて日本の国を売るような、妙な講和条約を結んだ。ここまで行くと御答弁しにくいでしようが、要はアメリカから金を借りる、いわゆる高利貸しのアメリカのもうけた金は、一体どういう事業によつてもうけたのかということを聞いているのです。
  97. 福田篤泰

    福田政府委員 それはアメリカ資本の分析と申しますか、そういう御質問だろうと思います。これについては、いろいろな立場から見方があろうと思いますが、アメリカはやはり経済活動の結果蓄積した資本であると考えております。
  98. 横田甚太郎

    ○横田委員 そのアメリカの経済活動が平和のためにやられているか、戰争のためにやられているかということを私は聞いている。私は私としての資料を十分集めているのですが、政府の見解はどうかということを承つているのです。
  99. 福田篤泰

    福田政府委員 アメリカの資本がいわゆる平和に向けられるか、戰争に向けられるかという御質問のようでありますが、私はトルーマン大統領以下のアメリカの首脳部の言明を信用いたします。すなわち世界の自由と発展のための資本に使われるものと思います。
  100. 横田甚太郎

    ○横田委員 それは世界の自由と発展ということを言いますよ。日本にもう一ぺん原子爆弾を落して人間を殺す、この道を歩けといつても、だれが一生懸命に働きますか。自由と平和というのは口実であつて、自由と平和を闘いとるためには一体どういうことが問題になるかということを言つているのです。自由と平和のためにと言いながら戰争を準備する、その過程においてもうけるアメリカ資本からはあまり金を借りてもらいたくないと私は思うのです。だからそういう点に対するあなた方のお考えはどうでしようかといつて聞いているのです。これに対しては答弁を要求しません。お急ぎのようですからお帰りを願いたい。またゆつくりやります。  次に事務的なことについて伺いたい。ここではつきり承つておきたいのは、安本ではどういう調査をされているのか知りません、あるいは自立経済審議会報告によつても明らかだと言われたらしまいなんですが、その報告によつてもきわめて疑問を持つのであります。大体日本におきますところの開墾可能地、これは価格調整費の答弁に対してからまつて来る問題ですが、一説によりますと、日本においては六百万町歩まではなお開墾可能であるという説もあるし、四百万町歩が妥当だという説もあるし、あるいは二百万町歩であるとこの間野原農林政務次官は答弁している。この一事だけを聞いておきたい。
  101. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 開墾可能地あるいは現在開墾されております田畑の面積につきまして、いろいろな議論のあることは事実であります。こういうような関係もございますし、今後の日本の食糧政策その他を決定して行く基礎的な問題について、たとえば六百万町歩以上あるとかないとかいう問題があるわけであります。従つてこういう点から見ましても、一つの国土の調査という点をはつきりして参りたい。これは田畑だけでなく、森林についても同様の問題があるのじやないかということで、今日午前中にお話に出ました、いわゆる国土調査という点を急いでいるわけであります。しかしこの仕事は非常な大事業でございまして、簡單に結論が出る、調査が完了するというものではございません。英国等においても十年程度を要しているほどであります。わが国ではこの国土調査仕事を昨年から実施いたし、本年度も実施いたすわけであります。これらの調査の仕方等がはつきりして参りますれば、科学的な面積が具体的につかめるのじやなかろうかと考えております。
  102. 横田甚太郎

    ○横田委員 この土地の問題は重要な問題ですから、できるだけ早く発表願いたい。なぜかと申しますと、共産党自体の性格のかわつたのもそこから来ている。占領者であるところのアメリカ軍は、日本の国は土地が狭くて資源が少い、しかるに人口が多い、だからどこかとりに行かなければならない、こういう主張でしよう。その端的な現われが小さい寒い樺太とか千島をとりに行け。そのために日本人は熱い血をよけいしぼつて損する。これがこの間のヤルタ協定に対する向うの出方である。今年のスターリンのメッセージというものは、日本農民に対して土地を持たない農民、土地をわずかに持てる農民ということをはつきり分析して、そうして日本においてはアメリカが煽動するからで、日本の国の耕作可能地は少くないのだ。これに対しての力の入れ方が少い。一例を申し上げれば、ソビエトのトルクメン共和国は、その領土の八割までが沙漠地であつた。そうであつたにもかかわらず、これが大トルクメン運河が完成して、しかも千一百キロの長さであつたにもかかわらず、これは七年間で完成した。そうしてここには実に厖大なところの開墾地ができた。これは日本のエコノミストにも出ている。こういうような意味合いから、共産党の性格がかわつて日本においても土地がもつとあるんじやなかろうか、ところが金の入れ方が少いんじやなかろうか。この点を追究して行きますと、政府におきましても二百万町歩だ、四百万町歩だ、六百万町歩だ、こう言うのです。しかもアメリカの人たちは、もう一回言いますが、日本は土地が少いから外に出ると言う。もちろん日本は千島とか、あるいは樺太とかいうようなところは、ないよりはある方がましなんでしよう。しかしこれは日本人の人民政権ができたときに簡單に解決がつくことであつて、ちようど中国が、蒋介石政権のもとにおいては満州は中国でなかつたが、毛澤東が率いているところの人民政権のもとにおいては、これは中国人民のものとなつた。私はそうなると思う。だから結論としてお願いしておきたいのですが、要するに安本というようなところで正確な資料をおとりになつて、日本の国におけるところの遊休地を数字上に現わして、はつきりと日本国民に発表してもらいたい、このことを希望しておきます。これで私の質問を終ります。
  103. 前田正男

    前田委員長 次に先ほど質疑を保留しておられました志田君に発言を許します。志田君。
  104. 志田義信

    志田委員 午前中質疑申し上げました鉄鋼価格補給金経済調査庁監査、その監査の結果、われわれが聞き及んでいる程度と、先ほど安本当局の御説明との間に差異があるように思いましたが、この点について質問を留保しておつたのでありますが、私の手元にも資料が参りましたし、さらに当該関係の方も見えたそうでございまするから、一応それについて御説明を聞きまして、私の質問に移りたい、かように思います。
  105. 高橋時男

    ○高橋説明員 鉄鋼補給金の取上げの結果を申し上げたいと思います。鉄鋼補給金は、金額におきまして相当大きい額が出ておる。たとえば昭和二十五年度をとつみますと、当初の予算におきまして、約二百八十億ほどとつてございます。ところが、昭和二十五年度は、御承知ごとくだんだん経済が常態に復して来る過程にございまして、補給金も当初の予算ほど、一トン当りの單価をたくさんやらなくても鉄鋼業も成り立つし、需要家も少し高くなつた鉄を使つても、輸出も何とかやつて行ける。あるいは物価全般のレベルにもそう悪影響がない、こういう諸般の情勢をにらみ合せて、徐々に補給金の單価を減らして行つたわけであります。ちようどその補給金の單価が、たとえばトン当り一万円なら一万円出ておるというときに、来月の一日からこの補給金單価はトン当り五千円になる。こういう切りかえの場合におきまして、三十一日に出荷したものならば一万円の出荷の補給金がもらえるが、翌月の一日に出荷しますと、五千円に減らされてしまうというような、非常に不自然な事態が、やむを得ず生じたわけであります。その間におきまして、メーカーとしてはなるべく出荷を急ぐ、それから需要家、問屋などはなるべく引取りを急ぐ、こういう事態が生じましたので、やや取引関係の書類その他の形式不備のままでたくさん出荷をした。こういう報告調整公団の方へ出して相当余分に補給金が流れる。こういう情勢が出ましたので、私の方で大体標準をつくりまして、通産省、大蔵省というような関係方面とも連絡いたしまして、大体公正妥当と思われる標準を設けまして、取上げるものは取上げる。そういうふうにいたしましたけれども、個々の業者について当時補給金をもらつている鉄鋼メーカーは約三百件ございましたので、これを全部物価庁が調べるというわけにも参りませんので、経済調査庁は全国的に調査網を持つておりますので、調査庁に十分調査方針を連絡いたしまして、調べてもらつたのでありますが、その結果三億四千九百万円あまりありまして、大体そのくらいの額が違反である、あるいは取上ぐべきであるという結果になつたのであります。そのほか調整公団におきまして公団へ提出させた書類を調べる、あるいは鉄鋼メーカーが自発的にこの前申し上げておりました請求分は、今度示された標準に従いますと、実はこれこれの数字に訂正していただきたい、こういう申出もございます。そういう公団調査及び自己の発意に基く訂正申請というものが約五千二百万円、合計いたしまして四億百万円というものが大体取上げることになりまして、約九十何パーセントという程度は、全部皆済になつておりますが、小さなメーカーにおきまして取上げ額がまだ現金が払えないというのが若干ございますが、ほとんど大部分は取上げております。午前中御質問がありまして、申訳ないことですけれども私ちよつとおりませんでしたが、何か悪意があつてつたのかどうかという御質問もあつたようであります。これは三百件の多数に上りますので、中にはこの際補給金をちよろまかしてやろうとかいうようなものも絶対ないとは申せません。そういうものも一、二件はございまして、検察庁の方で調べておりまして、現在裁判を継続中のものが三件ございます。一件は判決が下りましたし、あとの二件はあるいは有罪ではないのではないかというような見通しをわれわれ持つております。あとの大部分は形式の不備その他でいろいろ言い分があるかと思いますけれども、大体常識的に見て取上ぐべきだという額を取上げたものであろうと思います。  以上大体の経過を御説明申し上げましたが、なお御質問等があればお答えいたしたいと思います。
  106. 志田義信

    志田委員 午前中私が安本当局に御質問申し上げたときには、悪意のあるものはない。いずれも計算の違いからだものであつて、善意のものであるという御答弁があつた。私は必ずしもそうではないのではないかということで、質問を留保して再質問の機会を得たのでありますが、今承りますと、やはり悪意も一、二件ある。しかもその中には検察庁にすでに送られたものが三件あつて、その一つは判決が下つていて、有罪である。二件は白であるという話であります。そう言つているうちに、なおあなたの方ではこの三百件ほどのうちにまつたく悪意のあるものとして見なければならぬものが相当にあるということを言われたが、どういうのか、なお明らかにしていない。私は鉄鋼補給金が休止になつている今日、このことを事あげしてどうこうしようというのではございませんが、少くとも八幡製鉄その他有力メーカーにつきましてはすでに調査を了しておるのであります。というのは、一両日前八幡製鉄の社長及びその他の有力メーカーの代表者は、一万田日銀総裁を訪ねて、鉄鋼に対しては何らかの資金的操作をしてくれということを、また願い出ている。つまり予算総会におきましても、同僚小峯委員から補給金をまた考えるようなことがあるかどうかという質問をしておりまするが、補給金がいいか悪いかということを今日論ずるのではないのであつて補給金を必要とするような、あるいはそれにかわるべき資金を日銀総裁をして考えさせなければならぬという段階に今日あるということを考えまするとき、過去においての補給金の問題は相当大きな問題でなければならぬと思つておるのであります。一体経済調査庁が今日の経済調査能力をもつて各般の状況調査監査しておる。その中でもこの鉄鉱の補給金の問題は、つまりきわめてドラステイツクな補給金の單価変更の処置を契機といたしまして、補給金の不当過大受領事件があるということを明らかに指摘しておる。安本当局は先ほどそういう悪意のものはないと言われましたけれども、私の手元にただいま入りました公団監査重要所見速報の第十六号の中に明かにこれを言つておるのであります。不当受領事件である。しかもその例として架空出荷がある、こういうことを明らかにしております。架空の出荷がある。それにもいろいろ形がある。A型がある。B型がある。C型がある。こういうことを言つております。こういうような事態が明らかになつておりまして、これはもう善意であるとはだれも考えられない悪意の状態が明らかにあります。さらに計数面におきましても、悪意のもとにおける計数のやり方、善意にあらざる計数の立て方というものはあるのであります。そういう例も明らかにここにございますが、特にこの問題につきまして、政府は、今までのこの悪意の補給金の請求に対しまして、單に厳重戒告したというお答えだけだつた。事後の処置についてどういう処置をとつたということを言つてない。これをこの際明らかにしておくことは、天下万民のために必要であると私は思いますから、特に御質問申し上げます。
  107. 高橋時男

    ○高橋説明員 御指摘のように悪意のものも若干あります。何にいたしましても、三百件という非常に件数が多うございまして、その中には八幡、富士、日本鋼管のごとき非常に大きな会社もございますが、小さいものにいたしますと、職工数名を擁しておるという、いわば鍛冶屋さんという程度のものも中にはございまして、帳簿組織も完備していなかつたという例も若干あるのでございまして、この点はわれわれとしても非常に困つておりますが、その中におきまして刑事事件となりまして裁判に出たものが三件でございます。あとは大いに爾後を戒告いたしまして、過払いになつておる分に利子を付して取上げる、こういう措置をいたしたわけでございます。
  108. 志田義信

    志田委員 先ほどお伺いしました三百件の中のもので三億四千万円、それに五千二百万円加わつた四億百万円と百いうような話がありましたが、この数字は間違いがございませんでしようか。
  109. 高橋時男

    ○高橋説明員 間違いございません。これは大蔵省の決算の方にも出してございますので間違いございません。
  110. 志田義信

    志田委員 それは何年の何月の何日の調査でございますか。
  111. 高橋時男

    ○高橋説明員 二十五年度歳出でございますので、もう締め切つてございます。何年何月と申されましたが、あとでまた会計の方の書類を見て申し上げますけれども、二十五年度の会計でございますから、当然もう締め切りまして大著で予算を幾ら幾らちようだいしたうち、幾ら幾ら支出し、幾ら幾ら取上げ、その結果差引幾ら幾らの超過になつて、予算は幾ら残りました、こういう決算を決了いたしまして大蔵省の方へ引渡し済みでございます。
  112. 志田義信

    志田委員 経済調査庁昭和二十五年六月三日の調査報告書に基きますと、この金は五億七千八百万円になつている。五億七千八百万円では大分これは違うのであります。あなたの方は合計して四億百万円と言つておりますから二億近く違うのでありますが……。
  113. 高橋時男

    ○高橋説明員 経済調査庁数字は、一応疑わしきものはすべて各経済調査庁の出先において調べ上げまして、それを調査庁の本庁においてとりまとめた、そういう数字が約五億何がしかと思いますが、その後大蔵省、物価庁経済調査庁あるいは通産省等集まりまして、当時の実際の取扱いの情状、実情等によりまして、あまり嚴格に形式的にラインを引き過ぎるというようなことでも実情にそぐわないのではないかというようなことから、最も常識的に、公正であろうかと思われるラインを出しました。そのために、経済調査庁が一応形式的に全部わくにはまるということで拾い上げた数字より、若干内輪になつたのでございまして、そのほかに他意はございません。
  114. 志田義信

    志田委員 先ほどあなたは小さいものがいろいろとあつて、そういうものが意識的にやつたと言いましたが、大きいもので意識的にやつたものはございませんか。
  115. 高橋時男

    ○高橋説明員 大きいもので意識的にやつたものはないと記憶しております。
  116. 志田義信

    志田委員 鉄鋼半製品の場合も含めまして、あの当時平均二七%の相当ドラステイックな引下げが行われております。そのために昭和二十五年の十二月の補給金交付対象出荷報告量というものは、従来の分よりも実に六十二万五千トン多くなつておる。こういう事実が経済調査庁によつて摘発されておるのであります。しかも経済調査庁はこの鉄鋼補給金の対象となりました出荷報告量というものを、どの数字を基準にして調べたかということをこの書類によつて見ますと、やはり鉄鋼の、大蔵省当局が見ておる数字と同一な数字によつてやられておるのでありますが、その点はいかがでございましようか。
  117. 高橋時男

    ○高橋説明員 御質問の趣旨は、出荷量がまちまちの数字があるということでございますか。
  118. 志田義信

    志田委員 出荷量の対象は何ですか。
  119. 高橋時男

    ○高橋説明員 出荷につきましては、技術的にいろいろむずかしい扱いがございまして、たとえば出荷しまして汽車へ乗せたというような例もございますし、汽車へ乗せるべくその会社の倉庫の専用側線のところまで持つて来ておつたが、その会社の連中はもう整理になつておる、あるいは出荷するために岸壁へ置いておいたのだが、船がしけのために数日待たねばならぬ、そうしたら翌月になつてしまつたとか、いろいろ個々のケースに非常に判定の困難のものがございますので、われわれとしては関係各省集まりまして、最も常識的でかつ公正であるということを毎件調査いたしたのであります。あとでまたこのトン数、このトン数というふうに御指摘をいただきますれば調査いたしますが、方針といたしましてはそういうようにいたしております。
  120. 志田義信

    志田委員 小さいものにあつて大きいものに悪意がない、そういうことを再三にわたつてお述べになつておりますが、それは直実をつかんでおつしやつておられるかどうか。その点私は小さいものよりも大きいものを対象にしなければならぬと思いますので申し上げます。八幡製鉄所の一億円以上に上る問題が、補給金の二重請求という形になつて現われておりますが、これも悪意ではない、善意の過失というふうにお認めになつて処置なされたのかどうか、それをお尋ねします。
  121. 高橋時男

    ○高橋説明員 三億五千万円ほど経済調査庁でお調べになりましたうち、一億円前後というものが八幡製鉄所の案件でございます。これにつきましてはその大部分が、われわれの間でなべ底銑と呼ばれるケースでございまして、これは熔鉱炉から銑鉄のどろどろの熱い湯が出て参りますが、これを御承知のごとく大きななべに受けまして、機関車で平炉の所に持つて参ります。平炉の所で混銑炉に入れるわけでありますが、入れる際に熔鉱炉から出た熱い銑鉄が、平炉の所で何トン出したということによりまして、銑鉄補給金計算されるわけであります。たとえば一万円銑鉄補給金が出ておるとしますれば、大体高炉は千トン炉五百トン炉ございますが、千トン炉が二基ございますれば、一日に大体二千トンの銑鉄の生産がございますから、トン当り一万円見ますれば二千トンに対して二千万円の補給金ということになるのであります。あける際にどうしてもなべの底へ銑鉄がつくわけでございまして、そうしますと熔鉱炉から出したときと、平炉へ入れるべく混銑炉にあけたとき、若干その数量の差異を生ずる、八幡の場合には銑鉄を熔鉱炉から出したときに何トン出したかということでやつておりますが、実際に平炉へ入るときにはなべの底へ若干つきますので、少くしか入らない。そこで運ぶ銑鉄の、おなべは使つておりますうちに、だんだん下へ熱い銑鉄の湯が少しずつさめては固まりさめては固まりして、おしるこのおわんのようなぐあいで、下の方におりが固まるわけであります。ある時期になりますと、この銑鉄をはがしまして、それを使うわけですが、そのなべ底につく銑鉄が帳簿上二重の計算になるわけでございまして、これは八幡としても当時経済調査庁の担当官が調べに行かれたとき、そういえばそういうことになつたかということで、実は非常に驚いたということでございますが、毎日相当のトン数ができますので、なべ底にひつつくだけの銑鉄でございますから大した額ではないのですが、相当長期間過去にさかのぼりまして調べましたために、まあ帳簿上の整理のシステムが、嚴格にいうと経済調査庁の結論が正しいということで、八幡の方も理論的に反駁する余地がないのでそれはしかたがないと、こういうことになつたのでありまして、この点は当時のいきさつから照しましても、決して悪意はなかつたと私ども考えております。
  122. 志田義信

    志田委員 あなたはおしるこのよどんだのがなべの底についたのと同じだというような考え方をしておりますが、おしるこの底によどんだものにしては、国の金としては少し高額過ぎはしませんか。一億円ですよ。従つてそういう考えで国の金を操作されることは、私は非常にいけないのではないか。また非常に反省を求めなければならぬ。一億円の金を一社が不当に利得しておる。それがおしるこの底についたよどみである。このごろよく公団の何億円をつまみ食いをしたという表現しておりまして、国民をして非常に道義観念の頽廃を憂いさしております。官庁の役人であるあなたが、一億円の金を一社がさように不当にとつた。それが作意的かどうかということは議論の余地がありましよう。それにしてもおしるこの底によどんたものと同じというような表現をされることに対しては、公務員としてのあなたの金の扱い方に対する非常な義憤を感ずるのですが、その点はいかがですか。
  123. 高橋時男

    ○高橋説明員 おしるこのおりと申しまして、何か私が考えました感じと非常に違つた感じを与えたようで残念でございますが、これはなべの底にたまるということを、ただわかりやすく申し上げたいという意味で申し上げましたので、金額の高がおしるこのおりだ、こういう意味ではございませんので、もしもさような意味にとられますれば、私としては本意ではございませんので取消します。  それから一億円という額は非常に大きい額でござまして、われわれとしても非常に残念だと思つております。経済調査庁が非常に嚴格に、補給金のついた当時からずつと、約三箇年でございましたかを調べ上げましたので、非常に大きい額になりましたが、われわれとしては、もしも経済調査庁がお調べにならなかつたならば、あるいは見逃したかもしれないと思いますので、自分らとしてももう少し嚴格な支払い規定を設けるべきだつたと思つたことでございます。それにしてもこういう間違いが未然に発見されたことに対して、経済調査庁に非常に感謝しておる次第であります。
  124. 志田義信

    志田委員 経済調査庁に非常に感謝しておることはよくわかりました。またその心がけも私はけつこうだと思います。しかしどういうわけか悪意でない、悪意でないと非常にかばうような形がある。かばつて決して悪いとは言いませんが、それが犯罪であるか犯罪でないかということで、検察当局に持つてつて調べたものの中で、すでに判決が下つたものが一件あり、まだ判決がそのままになつておるものが二件あるというお話で、そういう場合に、あなたが今そこで検察当局の今後の取調べに影響を与えるような発言をすることは、国会における発言として私は慎しまなければならぬと思う。これは十分注意を要することではないでしようか。
  125. 高橋時男

    ○高橋説明員 犯意の有無ということでございますが、これは私どもとしては所管外でございますので、深く立入つてどうこう申し上げることはかえつて不穏当であると思いますが、私どもとしましては、当時の取扱いとしましては、とにかく補給金がむだに出なかつた、一銭々々が正確に出たのだということを期するために取上げる措置をやつたわけであります。
  126. 志田義信

    志田委員 そうしますと、公団側の出荷確認に際しまして、認証の定め方やあるいは事務処理等、粗漏な点があつたことを当局としてはお認めになるかどうか、あるいは需要者のクーポン発券官庁としてクーポン配給の慎重さを欠いた責任があると思つておるかどうか、それをお尋ね申し上げます。
  127. 高橋時男

    ○高橋説明員 クーポン発券につきましては私どもの所管外でございまして、通産省その他がクーポン発券の所管庁でございますので、とやかく申し上げる筋合いではございません。支給規定につきましては慎重を期してつくつたつもりでございますけれども、取引の実態は千様万態にわたりまして、われわれどもが事前にこうもあろうか、ああもあろうかと想定して規定をつくりましても、なかなかそ規定では分類しきれないような形体の面がございまして、だんだんと調査して来てわれわれの知識がふえる、従いまして詳細な規定をつくりかえて万全を期して行つたような次第でございます。
  128. 志田義信

    志田委員 出荷確認に際していろいろ事務処理の面においても落度があつたことは、これはもう論ずるまでもないことと思う。あなたがそれをお認めになるかどうか聞きたいのでありますが、そこまで追究いたしますと私は与党でなく野党になるおそれがありますからそれまでは追究いたしません。しかし良心的の立場に立つて、これは明らかに当局の監督上の手落ちであるということをお認めにならなければならないのじやないか、かように思うのであります。そこで不当に出荷報告されたり、あるいは今の一億円に上るような八幡製鉄所の問題もそうでありますが、あなたの方に言わせるならば合計して四億百万円、公団に言わせますと五億七千八百万円、数字は差異があるといたしましても、これだけの金を長期にわたつて片方は利得しておつたわけであります。これはどれくらいの期間利得しておりましたか。
  129. 高橋時男

    ○高橋説明員 私どもとしては補給金の單価を切り下げる際に、われわれの予定していたよりも少し大目に請求が出て参りましたので、これはおかしいということですぐ調査にかかりましたが、大部分のものにおきましては数箇月間であろうかと思います。ただ八幡製鉄のごとく帳簿整理のプリンシプルの見解の相違から、なべ底銑が二重に補給金をもらつてつたというような見方があつて、それではずつと補給金がついたときからそういうふうに二重計算なつておるのじやないかというようなことで、過去二、三年にわたつて調べ上げました中の事例といたしましては、その発生のときからその分だけは一億円ということでございませんで、毎日々々少しずつたつて最後に一億円になつたわけでありますが、そのだんだん積り積る過程におきまして、二、三のところに不当に金がもらい過ぎになつておる、こういうようなことになつております。
  130. 志田義信

    志田委員 私は今ここで形式的の責任を追究しようという考えは毛頭ございません。実質的に国家が損しないことを考えなければならないという立場で、国を思う至情から私は申し上げるのでありますが、そういうような金が回収になつたとしても、その金利についてはどういう御処置をとつておりますか。
  131. 高橋時男

    ○高橋説明員 金利につきましては、不当に受領していた月から起算してそれぞれ所定の金利を加算して、今後支給すべきときにおきまして支給すべき補給金から差引きましてやりたいと思います。
  132. 志田義信

    志田委員 これはこういう事実が、事前というよりも事後において発見されたのでありますが、そういう場合に監査関係機関に対して報告しておるかどうか、たとえば会計検査院等に対してはどういう処置をしたか、また回収された金は国庫に入つておるか、それとも單に報告をしておるだけなのか、その点をお尋ねいたします。
  133. 高橋時男

    ○高橋説明員 この監査の結果につきましては、逐一会計検査院にも詳細に報告してあります。それから取上げました金は、大体当時におきまして補給金制度もまだ継続しておりましたので、今後において支給すべき金額から差引いておりますので、新たに政府から支払うべき額はそれだけ節約なつておると思います。ですから実質的には国庫に入つにおるということになります。
  134. 志田義信

    志田委員 それは私はたいへん問題があるのではないかと思いますが、そういう金を回収した場合には一応は国庫に納める、そして補給金予算化された補給金の中から出すべきものである、これは財政法上の背反になりはしませんか。
  135. 高橋時男

    ○高橋説明員 取上げるべき額は取上げ、出すべき額は出す、歳入歳出を混同してはいけないということは財政法上の建前でございます。年度がかわつた場合にはそういうわけに参りませんが、これは会計検査院とも十分に打合せたのであります。それは一つには価格差補給金でございますが、他の面から見ればマル公を強制している、実際にはたとえば三万円なら三万円で売らなければ会社の採算に合わないものを二万円に売らす、一万円どうしても損をする、そういうようなことでございまして、一種の事業助成金というような性格も持つておるわけでございます。価格調整公団の買取り売もどしという操作においてやつておりますので、もし物価庁が一々の会社に対しまして、お前のところは補給金をやるぞよ、この間のはやり過ぎであつたから、今度は差引いてやるというようなことであつたならば問題があると思いますが、価格調整公団の買取り売もどし取引ということで処理いたしておりますので、形式的にも御指摘のような点は、もし一〇〇%嚴格にやられれば、おつしやるような議論もあるいはできるかと思いますが、それほどまで嚴格にせぬでもいいのではないかということで、検査院の了解を得て差引き措置を講じた次第であります。
  136. 志田義信

    志田委員 あなたはそういうことで自由裁量を公団側に認めているような口吻をしておりますが、そういうことを認めて、そしてやらせて、価格差補給金は事業助成金のようなものだから、自由裁量で処理してもよろしいということをここで今はつきりおつしやいましたが、それは速記録にも残るのでありまして、あなたのお考えいかんによつては、予算委員会でも私はまた質問しなければなりません。一〇〇%はいけないことであるけれども、九九%まではいいのだというようなことをあなたは今申されましたが、法治国の国会で、そういうことを陳述してよろしゆうございますか。
  137. 高橋時男

    ○高橋説明員 この点につきましては事柄も少し前になりますので、会計的な見解につきましては、当時の書類を詳細に検討いたしましてから御報告申し上げます。ただいま申し上げました件は、若干私の記憶の聞違いもあるかと思いますので、なお後ほど詳細に当時の書類を調べまして記憶を新たにしたいと思います。
  138. 志田義信

    志田委員 そういうお話にかえていただきますれば、私もたいへんありがたいことで、ぜひひとつ書類を見せていただきたい。あなたは先ほど年度が同じだからということを言いましたけれども、たとい年度が同じであるからどいつても、自由裁量が認められるということにはなりません。それはあなたお帰りになりまして財政法をお読みになつて、その点をお答えくださいますようお願い申し上げます。それは二年にわたつている補給金でありますから、年度は同じではございません。今言つたことに対しましては、重大な結果が付随いたしますから、よく考えられて、さらに詳細な御答弁を、文書でけつこうでございますからお願い申し上げたいと思います。  最後に経済安定本部官房長が見えておりますから——先ほど経済調査庁人員整理に伴う結果として予算が削減されている、その削減された予算でもつて監査は十分であるというお答えがございましたが、かように重大な監査を引受けて、国のために、一例を申し上げただけでも、四億から五億の監査をなしておる経済調査庁の今後の監査機構というものは、きわめて活発に行われなければならない。ことに今後日米経済協力の建前におきまして、日本がアジアにおいて占めるところの事業というものは、ひとり電源用開発にとどまらず、いろいろ面で大きくなつて来る時期でありまするから、私は特にこういう監査機構というものが十分行われなければならないと思います。ついては、経済調査庁というものは、予算的にはきわめて微々たるものに縮小されている形でありまするけれども、将来こういう全国的にブランチを持つておる調査機能をして十分活動せしむるために、政府でこれらの調査機能を生かすように、何か方法を御研究になつておるかどうか、それをひとつお尋ねしたい。
  139. 平井富三郎

    平井(富)政府委員 ただいま行つておりま調査庁監査もいろいろございます。また監査の機関といたしましては、他の省にもそれぞれ監査の機関がございます。また行政管理庁にも一つの監察部門がございます。従つて査察あるいは監査、あるいは調査というような問題を、今後どうやつて能率的に行つて行くか、こういう問題が、今後の行政機構改革にあたつて、やはり一つの重要な点になるのではないかと思います。監査を厳重にやらなければならぬということは申すまでもございません。しかしまた監査が無計画的にばらばらに来るということは、受ける方から言いますと、非常に能率を阻害されるという点もございますし、ダブつた監査をやるというような点もあります。今後行政機構改革にあたりまして、これらの監査機構をどうまとめて行くか。無理に一つにすることも、かえつて支障が起る場合もありましようし、どういう監査機構に持つて行くかということについて、この際根本的に考えるべきじやないか。單に経済調査庁をどうするかという問題でなく、国全体の監査機構、査察機構というものをどう持つて行くか、こういう点から検討して参りたいというふうに考えております。
  140. 前田正男

    前田委員長 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もないようでありますので、本件に関する調査は一応やめます。     —————————————
  141. 前田正男

    前田委員長 次に公共事業に関する件につきまして、その調査を進めます。まず政府当局よりその説明を聴取いたしたいと存じます。小沢政府委員
  142. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 公共事業の二十七年度予算につきまして御説明申し上げます。  まず公共事業予算計上の形式が二十七年度からかわりましたので、それにつきまして御説明申し上げます。公共事業予算は、これまで一括して安定本部の方に計上されていたのでございます。もつとも北海道開発関係につきましては、北海道開発庁に計上してあつたのでございます。これを認証いたしまして、各省に移替の上、工事を進めるということでございます。二十七年度かりは、北海道開発に関し、北海道開発庁に予算を計上してやることは従来とかわらないわけでございますが、経済安定本部の方に計上したものは、これを各省の方に直接に計上するというふうにいたしたのであります。ただこの場合細目については経済安定本部の方で決定し、それとかわる方法で施行する場合には、経済安定本部の方の承認を要するようにするというふうになつたのでございます。但し災害の当年につきましては、経済安定本部につけ、災害の発生によつてこれを各省に移管するというふうにいたしておるのでございます。  それから公共事業費総額でございますが、二十七年度は千三百億でございます。そこヘプリントを二部差上げましたが、これはいずれも昭和二十七年度一般会計予算でございます。配りましたあの中に書いてあることでございますけれども各省に計上されておりますので、ちよつと見にくいと思い、集計して差上げた次第でございます。そのプリントを今ごらん願えればわかるわけでございますけれども建設省所管としては六百二十一億八千九百八十三万三千円というふうに書いてございます。農林省関係としては四百十三億七千五百六十五万三千円、運輸省関係としては七十二億九千九百二十万八千円、厚生省関係としては四億九千五百十万円、経済安定本部には八十億円、これは災害の経費であります。計千百九十三億五千九百七十九万四千円というものが内地の予算であります。北海道関係は百六億四千二十万六千円、以上全部で千三百億になる次第でございます。これを二十六年度予算と比較いたしますと、昨年度は千四億四千五百万円でございまして、二百九十五億五千五百万円の増ということになつている次第であります。  ただいまは所管別に申し上げましたが、これを事業別に申し上げますと、一般公共事業費としては八百億、そのうち内地が六百九十三億五千九百七十九万四千円、北海道が百六億四千二十万六千円というふうになつております。災害復旧公共事業費としては五百億を計上してございますが、そのうち過年災としては四百二十億、当年災の予備費としては八十億を見てございまして、それで計千三百億ということになるわけでございます。  その千三百億の配分の方針でございますけれども、過年災四百二十億に対しましては残事業費が約二千二百億ございまして、そのうち国費が約手五百四十七億あるわけでございますけれども、それに対して四百一十億、大体三〇%ということを見ている次第でございます。当年災に対しましては、昨年度と同額の八十億というふうにしたわけでございます。それから一般公共事業費の配分方針でございますけれども、これは災害の頻発にがんがみまして、治山治水の事業に重点を注いだと言いうことでございます。河川につきましては洪水調節のためにダムをつくることを考えたわけでありますが、それと同時にその洪水調節のダムが電源開発にも利用できるわけでありまして、上流にダムをつくりまして、電源開発と洪水調節を兼ねるような、多目的ダムをつくるというふうに考えたわけでございます。  それから食糧問題につきましても、食糧自給度を高めるために、食糧関係予算重点的につけるということでございます。それから北海道と内地との比率でございますけれども、これは北海道の資源を開発するという意味で、昨年度より増してつけたということでございます。大体こういう配分の方法で千三百億を計上したわけでございます。簡單でございますが、一応概論的に申し上げまして、あとは御質問によつて申し上げたいと思います。
  143. 前田正男

    前田委員長 これにて本件に関する説明は終りました。この際質疑があればこれを許します。
  144. 志田義信

    志田委員 ただいま御説明をいただきまして拝見いたしておるのでありますが、先ほど来二十七年度予算科目上公共事業費という区分がなくなつた、それに関連して経本の認証制度を廃止することになつた、二十七年度予算では事業の施行にあたる分を各省に計上されておる、こういうふうな御説明のようであつたのでありますが、この経済安定本部の八十億はどういう性質のものでございますか。
  145. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 それは先ほど申し上げましたが、災害の当年度の予備費でございます。
  146. 志田義信

    志田委員 予算を拝見していろいろ考えさせられることは、災害復旧の増が見込まれてありますが、この中には国土保全あるいは災害防除というような予算も含まれていると考えてよいかどうか。
  147. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 災害防除的なものは一般公共事業の方に入つております。
  148. 志田義信

    志田委員 たとえば風水害であるとか、土壌の浸蝕であるとか、地盤の沈下または高潮というような特殊災害の被害、こういうものは、災害の発生することが予想されておる場合におきましては、それらの対策として予備費から出しますか、それとも一般の公共事業費から出しますか。
  149. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 それは一般の公共事業費の中に含んであるわけでございます。
  150. 志田義信

    志田委員 そうすると国土総合開発という観点から行きます場合には、こういう総合的な防災施設というものを必要とするところの費用は、どこから生み出すことになりますか。
  151. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 それは総合開発的に考えました計画を一般公共事業費の中に含んであるということでございます。
  152. 志田義信

    志田委員 それでは一般公共事業費重点的なものを、開発事業費との関連においてお話願いたい。
  153. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 先ほど重点的なことは一応申し上げたと思うのでございますけれども、開発事業に関係いたしましては、たとえば電源開発というようなものは、上流にダムをつくつて電源開発をやることが、洪水調節と一緒になりまして、多目的ダムとしてお互いに経済効果を高める、そういうものを重点的に取上げたということであります。
  154. 志田義信

    志田委員 そうすると生産部門におけるものあるいは民生部門、交通部門、電力部門におけるものというように考えた場合に、どんなパーセンテージで予算の配分が行われるのでしようか。
  155. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 最初からパーセンテージによつて計算するよりも、その経済効果と申しますか、一つ一つをやつてきめましたので、実はまだ何パーセントになるかということは計算してございません。
  156. 志田義信

    志田委員 そうすると、民生施設が優先するのか、それとも電源開発が優先するのか、その順位をつけておるのか伺いたい。
  157. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 先ほどもちよつと申し上げたと思いますが、災害が頻発いたしますので、災害復旧費もふやしまして、過年度災害を早く直すということと、治山治水を取上げまして、上流にダムをつくり、災害を防除するとともに電源の開発を促進するということ、それから生産部門といたしましては、食糧の自給度を高めるために、農業の予算を増すといつうこと、また交通にいたしましても、最近非常に船もふえまして、荷役設備も足らなくなりましたので、横浜とか神戸そういうところの拡充ということ、それから道路にいたしましても、たとえば最近自動車の数が非常にふえ、また重量も重くなりましたので、それに従つて道路も改良すること、補修もこれまでもやつておりましたが、だんだんと補修から改良、鋪装に移行するというような考え方をしておる次第でございます。
  158. 志田義信

    志田委員 災害復旧費で、国土保全という建前で災害防除地域を処置するというような予算を含ませるということは、当初から考えなかつたのでしようか。
  159. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 実は災害に対する防除は非常に重要なものでございまして、たとえば治山治水として河川を改修するということは、災害防除の根本問題なのでございます。堤防をつくるということもあります。また昔は堤防だけでありましたのを、最近はそれにかわつて上流にダムをつくりまして洪水を調節する、しかもそれが電源開発と結びつくので、経済的効果が非常に大きいので、だんだんとそういう方向に移行して来る。それから砂防などもみな洪水防禦の根本対策ということで、それに見合うように考えておる次第でありますが、同時にまた起きました災害を早く復旧するということも、これまた必要でございまして、予算の立て方といたしましては、災害を復旧すること、根本対策をすることの二つにわけて、災害を復旧する方は災害費でやる、根本問題の方は一般公共事業費でやる、そういうふうなわけ方をしておる次第であります。
  160. 志田義信

    志田委員 そういたしますと、災害復旧事業につきましては、二十七年度におきましては大体過年度の治山事業、二千二百億円というものを考えておるようでありますが、この中の国費の負担分はどのくらいでありますか。
  161. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 二千二百億の国費の分担分が千五百四十七億ぐらいになります。
  162. 志田義信

    志田委員 そうすると災害復旧事業費は増額なつておるのでありますが、災害に対する予備としては、八十億が予備費だというお話が先ほどございましたが、その通りでございますか。
  163. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 その通りでございます。
  164. 志田義信

    志田委員 そういたしますと八十億は昨年と同様なのでありますが、昨年以上の災害は来ないという考え方でございますか。
  165. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 実はどのぐらいの災害が来るかということはなかなか予想できませんので、これをたくさんとりますと結局過年度災害の方が遅れますので、一応去年度と同じにとりまして、なるべく早く災害を復旧するという過年度の方にまわしたいということであります。
  166. 志田義信

    志田委員 もちろん災害がどれぐらいのものが来るか、その問題はわからないのでありますから、そういう立場からも予算要求にあたりましては、国土保全という立場で、災害防除地域の予算をとることが必要だと思うのでありますが、いかがでありますか。
  167. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 災害防除地域の予算をとることは、結局先ほど申しました災害の根本対策として、河川あるいは治山治水などの対策をすることになるのでありますが、それはどこをやるかということにつきましては、やはり災害の大きいところのプライオリテイーをつけまして、それによつて箇所をきめておるわけでありまして、お説の通りにそういうところは、根本対策といたしまして一般公共事業費でやつて行くという考え方をいたしておるわけであります。
  168. 志田義信

    志田委員 今局長の御説明では、防災施設等ももちろん災害復旧で考えておるが、総合的な防災施設は考えていないということになりますが、いかがなものでありますか。
  169. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 もちろん計画としては総合的に考えておりますが、それを予算として計上いたしますときは、やはりばらばらに出して計上しておる次第であります。考えとしてはもちろん総合的に考えておることはお説の通りであります。
  170. 志田義信

    志田委員 この経本の認証制度が廃止になりまして、事業の施行は各省でやり、その予算各省に計上されるのでありますが、最近全国建設技術者協議会から私のところに、公共事業の隘路打開に関する請願がありました。それは当委員会に出されておりますが、こういうふうになりました場合に、安本としてこれら公共事業の隘路を打開する何か適切な方法考えておられるのか、それをひとつ承りたいと思います。
  171. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 認証制度を廃止いたしまして、各省に直接予算を計上するにつきましても、各省が單独にやるときには、各省間においていろいろの調整を必要とすることができなくなりまして、その事業の上においてアンバテンスが起るというようなことがあるのであります。もちろんわれわれとしてはそういうことは絶対に避けなければいけませんので、認証制度は廃止いたしましたが、各細目にわたりましては、やはり各省の総合調整をいたしまして細目を決定いたしましてやつてつております。ただかわつておりますところは、細目を決定いたしましたものに対しても、二十六年度は認証をとつたのでございますけれども、もうそういうふうにきまつたものに対しては認証する必要はない。ただ変更する場合のみ変更手続をとつていただくというふうにいたしまして、事務の簡素化をはかる。しかしそれによりましても総合調整をするという点においては、やはりかわりないということでございます。
  172. 志田義信

    志田委員 先の国会におきまして安本政務次官は、私のこの質問と同様の質問に対しまして、ただいま事務当局をして公共事業法を立案せしめておる、こういう答弁があつたように私は記憶しておりますが、それの進捗状況がございましたらひとつお伺いいしたい。
  173. 小沢久太郎

    ○小沢(久)政府委員 公共事業法としてわれわれも一応考えたのでございますが、その及ぶところが非常に広範囲でございますのと、その後いろいろの情勢の変化がありまして、今のところは、われわれの最初考えましたような公共事業法とかわりまして、国土総合開発法の実施法を考えつつございます。それによりまして国土総合計画をやつて行きたいと考えております。
  174. 志田義信

    志田委員 今国土総合開発実施法の問題が出ましたので関連してお尋ね申し上げます。これは私午前中にも官房長にお尋ね申し上げたのですが、官房長国土開発法の実施法と、ただいま議会で議員提出になるかもしれないといわれておる重要河川開発法とは、おもむくところその内容は同じである、こういう説明であつたのでありますが、事務当局としてやはりさように考えておるかどうか、それをお尋ねしたい。
  175. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 議員提出をお考えなつておられる重要河川開発法案につきましては、実は先般ちよつと拝見したばかりでありまして、内容につきましてはまだ十分承知いたしておりませんけれども、お考えなつておられますことは、国土総合開発法において考えておりますこと大体同じようなことを、河川單位でお考えなつておるというふうに考えております。
  176. 志田義信

    志田委員 そうしますと、建設省の監理局長が見えておられますからお尋ね申し上げますが、監理局長はどういうふうにお考えなつておられますか。
  177. 渋江操一

    ○澁江政府委員 実は国土総合開発法の実施法案の問題につきましては、安本御当局においてもう検討せられておりましたし、また国土総合開発の一部分を受持つておりますわれわれの方にもいろいろ御相談がございました。私の考えといたしましては、現在の総合開発法の不備という点については、十分補正をいたさなければいかぬのじやないかと根本的には考えております。しからばどういう点について不備があるかという問題でございますが、この点は実施法案等、現在安定本部でお考えなつておられる法案の規定の一部にもその問題は出ておるかと考えておりますけれども、根本的な考え方といたしましては、実施法案で取上ぐべき問題にいたしましても、現在の総合開発法の修正案の形にいたしましても、いずれにいたしましても現在御承知のように十九特定地域の指定が、政府の方針としては一応立てられておるわけでございますから、これの具体的な計画をできるだけ早く進めて行く方法重点が行かなければいけませんし、またそれの足がかりとなるような法体系を考えるのが最も適当ではないかというふうに考えて、実は検討いたしておるわけでございます。
  178. 志田義信

    志田委員 国土開発法の修正案の骨子となるものは何でございますか。
  179. 渋江操一

    ○澁江政府委員 これはまだ未定稿の問題でありまして、安本それからそれぞれ総合開発計画に関連ある各省との協議も要することでございますし、そういう意味でまだわれわれのほんの試案ということで考えておる程度でございますが、考え方の要点といたしましては、要するに現在の総合開発計画と、各実施部門を持つております各省との事業計画との調整ということが、どうしても必要でありますし、これが総合開発法というものができたゆえんでもございますので、それの上に現在の法律で不備な点を補正して行く、こういう考え方でございます。例を一、二申し上げて私ども考えを申し上げますと、特定地域内における事業計画各省にまたがつておりますし、建設省所管の中においても、河川、さらに今回問題になつております電源開発といつたような事業計画が、それぞれ特定地域の中にも出て参りますが、こういう事業計画と総合計画とは、いかに調整せられるべきかという問題が当然出て参ると思います。その際に総合開発の完全な計画が成り立たなければ、個々の事業の実施、開発というものはストップすべきであるという考え方に立ちますと、これは非常に問題を提起するわけでございます。でき得べくんば特定地域のそれぞれの根幹となる事業計画については、すみやかに作成して、経済安定本部なり内閣におかれまして、その最終的な決定を早くいたすように、つまり個々の事業計画の実施のテンポと計画作成のテンポの調整を、できるだけすみやかにはかつて行くような方法をとることが必要である。そういう意味における規定の整備は考えられていいのじやないかというのが一つ。それからかりにそういう根幹事業なり、緊急開発事業なりに附帯すべき総合的な計画が決定されました後に聞ける個々の事業の実施が、それと相矛盾するいうような場合においては、これに対する調整を加え、必要な勧告をするということも必要なことではないか、こういう点について現在の規定は、必ずしも十分とは言えないので、その修正を考えるべきではないか、さらにそれに一歩進めましてこの特別予算、つまり特定地域の特別措置と、いう問題がございまして、現在の開発法の十条に、特定地域の事業計画については、予算的なりあるいは負担関係においてなり、特別の処置ができる建前をとつておりますが、これの具体的な内容は実は明らかにされておりません。そこでこれの特別措置の具体的な内容をある程度明らかにしつつ、しかも国土総合開発審議会という現在の審議機関がございますから、それの審議を煩わして、その結果よろしいということであつたならば、それによる法案の体系なり、必要措置を講じ得る道を開くということも一つの点ではないかというふうに考えております。さらに総合計画に関連ございます個々の事業の調査方法でございますが、これも各省にそれぞれわかれておるわけでありまして、調査様式、調査すべき主体、それらの調査の対象、こういつたものについては、あるいは二重調査になり、あるいはその調査方法が区々ばらばらになるために、能率的な調査にならない。従つてそれが総合計画を樹立する上に非常な支障を来すということであれば、これについての規定の不備を補うというのもその一点ではないかというふうに考え、おおむねそういつたことを骨子として修正を考えるべきではないかと考えておるのでございます。
  180. 志田義信

    志田委員 国土開発法の修正に対してもるる御意見を拝聴いたしましたが、それではその御意見によりまして、重要河川開発法案とはどういう関係に立つか、ひとつ建設省の監理局長のお答えをいただければ仕合せだと思います。
  181. 渋江操一

    ○澁江政府委員 実は重要河川開発法は、議員提出の形で出されておるのではないかというふうに推測いたしておるわけであります。そこで私どもといたしましては、総合開発計画と申しましても、その内容の重要部分を占めるのはやはり河川ではないか、電源開発も含めて、水自体に対する総合計画というものが重要部門を占めるということは当然のことでございまして、従つて総合開発計画を離れて、別の重要河川開発計画というものが成り立つわけはない。そういう意味からいたしまして、私ども考えとしては、現在の総合開発法の不備が補われることになつた場合においては、重要河川開発法というものはその必要がないのではないかというふうに考えておるのでございます。
  182. 志田義信

    志田委員 よくわかりました。ところで今いろいろお話を承つた中に、特定地域の総合開発に総合開発法の十条を御指摘になつたようでありまして、特定地域については国が負担しなければならぬものがある。経費の割合に特例を設けようということなどがあつて、これは必要なんだというお話がありました。しかしそれをどうすれば予算化されるかということの明文がない、そこで実施法が必要である、こういうお話がありましたが、それは社会政策的な意味で、後進地域の問題であるから、民生施設として大いに考えてやらなければならないのだ、社会福祉の立場から考えてやらなければならないのだというふうにとるべきであるかどうか、その点をひとつお伺いします。
  183. 渋江操一

    ○澁江政府委員 十条の特別措置の対象をどういうふうに考えるかということは、これは私どもだけの問題でなくて、経済安定本部においてもいろいろお考えがあると存ずるのでございますが、私どもといたしましては、画一的な特別措置ということは、実際問題としてどうであろうかというふうに考えております。すなわちかりに現在の十九の特定地域自体を考えてみましても、これは後進性の強い場合もございますし、それから相当既開発地域でございます北九州のような地域もございます。そこで私どもの立場としては、でき得べくんば、これは原則論になりますけれども、特別措置が加えられる地域をできるだけ少くして行くという考え方が、総合計画全体を進めて行く上においては、現在のような切り詰められた財政状態では必要なことではないかというふうに考えるのでありまして、要するに個々の地域の事業計画が、先ほど安本建設局長からもお話がありましたように、経済効果なりその他の上で、十分この開発投資といたしまして採算がとれるものであれば、その範囲内において特別措置は——これはむしろとらないでも、現在の事業法の負担区分なり、補助方法によつて解決して行く。しかしそれではその地方の事業の後進性、そういうようなことからどうしても解決できないという問題の場合においては、これは今の十条の特別措置の規定を発動させるような方向に持つて行つたらいいのではないか。要するに個々の地域のそれぞれ資金といいますか、経済的な条件というものを考えつつ検討するのが適当なのではないか。さらにその地域の個々の事業の経済効果なりを判定しつつ考えて行くのがいいのではないかというふうに、漠然と考えているのであります。
  184. 志田義信

    志田委員 特定地域がきわめて後進性がある、これは国の責任であるということは、われわれ以前から機会あるごとに申しているのでありますが、そういう意味から行きましても、やはり社会保障的な社会福祉の向上という点からひとつ考え予算化しなければならぬというので、特定地域というものが指定されたのである。かように考えているのであります。ぜひともそういうふうな方向で行つてもらいたいと思うのでありますが、どうも今年度予算を見ますと、この特定地域調査費というものは二階から目薬というようなものできわめて少い。調査費だけで見てもわずかに千百億しかない、昨年度よりも少い、こういうことではせつかく今おつしやつております社会福祉法的な立場で、それらの地域の後進性をとりもどしてやるという考え方が、事実においては経済効果だけをねらつてやられる。つまり開発事業のようなものが主になつて行つて、民生施設の方があとになるというようなことになつてはならないと思うのであります。従いまして私はぜひともこういう地域に関する限りは、国の責任において十分な調査費もとらなければならぬし、予算化もしなければならぬ。こういうように思つているのであります。そういう点につきましては大体建設省の事業を実地に行われる担当官としての局長から、そういう話を承つたことは私はまことに出喜びにたえない。  そこであまり人の書いたものをあげてはいかぬかと思いますが、経済月報の国土総合開発の問題を取上げましたのが、今日われわれの手元に参つております。「特定地域指定の意義」という論文が載つてりおります。この中に「利根川の防災対策は、この河川の災害の規模が大きく農業生産力にも大きく影響し且つ首都を控えているというような事情によつて国家的見地からみて重要であるといえるとしても、例えば最上川、太田川、大淀川といつたような河川における災害が、国家的に見て重要でないとはにわかに判定できないであろう。」こういうことを言つておりまして、最上川もその他の重要河川も、きわめて重要であるということを私はこの「特定地域指定の意義」において認めておられるように思うのであります。そういう場合に重要河川の開発ということがきわめて重要である。流れる水の災害のみにとどまらず、その流域に及ぼす影響、ことに農業生産力に与える影響等につきましてきわめて重大であつて、ことにわれわれ最上川を流域に農業生産を営んでおる農民の立場から申しますと、最上川が一度決潰されるということになりましては、百万石の農地が潰滅するということになるのでありますが、これらの点から考えまして、農林省の農地局の立場におきましては、一体重要河川開発法というものを、今考えておる国土開発実施法というもの、こういう建前で調整安本がとろうとする場合に、どういう考え方でこの調整に応ぜられようとしておるのか。その点をひとつお伺い申し上げたいと思います。
  185. 堀直治

    ○堀説明員 農林省の農地局では、最上川の流域の総合開発は相当以前から調査を進めておりまして、あの沿岸は豪雨がありますと氾濫をして災害を起すと同時に、夏には干魃を起しまして用水の不足のために不作に陥ることがしばしばございます。それらの関係をただいまのところでは個々の地域々々にあたりまして調査いたしまして、実施に移すべきものは実施をしておるわけでございます。たとえば最上川の支流の何川でありましたかちよつと今名前を忘れましたが、防災ため池といたしましてため地を四、五箇所つくりまして、これによつて下流に対する災害を局部的に救うというようなことも、もう現在実施に移しておりますし、また一部には旭川にダムをつくりまして、これを高台地を囲繞して水源として干魃を防ぐ、あるいは開田を行うところは開田をするというようなことも——これはまだ実施には入つておりませんが進めておるわけでございます。また同時に最上川の流域には相当多くの未開発地がございまして、これの開墾計画も、二十一年以来着手しておるような次第でございます。今度の国土総合開発法その他が実施されまし、特定地域として取上げられ、またこれが総合調整をされるようになりますと、今私どもがやつております仕事、また将来最上川についてやらなければならない仕事を全部検討いたしまして、これを河川の方の改修計画、あるいは発電の方の開発計画というようなものと総合調整をいたしまして、事業に齟齬のないように、最もよく最上川流域が開発されるように実施をはかつて行きたい、このように考えております。
  186. 志田義信

    志田委員 ありがとうございました。私は自分の選挙区のことですから詳細にお話をいただいたのはありがたいのですが、私の申し上げましたのは、食糧増産が期待されておる最上川、あるいはその他先ほども申し上げました多くの直轄河川でございますが、重要河川というものを今後維持して行きまするために、重要河川開発法に対して農林省はどういうふうに考えておるか、国土開発実施法に対してどういうふうに考えておるか、そういう点をお尋ね申し上げたいのでございます。
  187. 堀直治

    ○堀説明員 先ほど建設省の監理局長の方からお話がございました通り、農林省におきましても国土総合開発法については目下検討中でございます。これについて農林省あるいは農地局といたりしましても、多少今の原案について異なつた意見も持つておりますが、こういうような制度が実施せられまして、他産業と関連して仕事が進められるということについては、大いに賛意を表し、これに協力する態勢でおります。  それから重要河川法につきましては、まだよく承知はいたしておりませんけれども国土総合開発法が完全に実施されるようになれば、当然その中に含まれた仕事の一環としてやつてつてさしつかえないのじやないか、つまりどちらかが頭に出て来さえすれば、それで事が足りるのじやないかという考え方をしております。
  188. 志田義信

    志田委員 食糧増産対策の建前から、この重要河川開発にしましても、国土総合開発にしましても、きわめて重大であるという御発言がございまして、国土開発実施法に対して、多少安本その他の意見と異なる点がありますが、本質におりては賛成であるというお話でありますけれども、その異なる点をいうのはどういう点でありますか、お伺いいたしたい。
  189. 堀直治

    ○堀説明員 この点はまだ協議中でございまして、農地局としましては、ある程度話合いを進めておりますが、農林省として、まだ安本当局その他の方に申入れをする段階になつておらないと思いますので、返答は保留さしていただきたいと思います。
  190. 志田義信

    志田委員 食糧増産対策費は、御承知通り本二十七年度におきましても相当大幅な増加を見ております。しかもこれは従来公共事業費に含まれていた農地の改良あるいは拡張というようなもの、あるいは減産を防止するとか、農家経営の安定をはかるとかいうものが、このたびは別にして、逆に畜産とか水産とかいうものの振興助成をはかることが主眼に置かれているようであります。こういう点から考えますと、畜産の振興にいたしましても、水産の振興にいたしましても、目的は食生活の改善というところに置かなければならぬと思いますが、その点はいかがでございましよう。——きようは災害復旧課長かんがい排水課長だけのようでありますから、この点は後日に質問を譲ることにいたしまして、かんがい排水課長の小川さんにお尋ね申し上げたいのですが、灌漑排水その他土地改良によつて、ほんとうに日本の食糧事情を好転させるという見通しは、どういう根拠に立つてなされておられるか、それを伺いたい。
  191. 小川孝

    ○小川説明員 現在改良を要します地域が、実面積といたしまして約百九十万町歩ほどございます。これは排水が悪い、あるいは用水が不足する、これを暗渠排水とか客土、こういうようなもので改良することによつて増産ができる、こういうのが今の百九十万町歩でございますが、これを改良し、かつ若干の開墾をいたしまして、ちよつとはつきり数字は覚えませんが、三千数百万石の増産ができる。こういう計画を農地局としては立てておるわけであります。
  192. 志田義信

    志田委員 開墾開拓も入れてさようだということはわかるのでありますが、それをして三千数百万石の増収ができるというお話であります。それには相当の金が見積られなければならぬと思いますけれども、どのくらい見積つておりますか。
  193. 小川孝

    ○小川説明員 約三千六百億と思つております。
  194. 志田義信

    志田委員 三千六百億は、何年間でおやりになるのですか。
  195. 小川孝

    ○小川説明員 農地局の考え方といたしましては、これを十年間で完成をしたいと思つているわけであります。
  196. 志田義信

    志田委員 そうしますと、二十七年度の食糧増産対策によつて大幅になつたとはいえ、この程度予算では何年かかるのですか。
  197. 小川孝

    ○小川説明員 約十六、七年間かかることになるかと思います。
  198. 志田義信

    志田委員 私は、土地改良はぜひやらなければならぬというふうに考えておりますが、たとえば今度の積寒法その他によりまして、いろいろ土地改良の点も考えられておるのでありますけれども、すでに耕地整理、土地改良はできておるが、農道が非常に狭くて、リヤカーも入らぬというような耕地整理の行われておるところがある。われわれの方にもそういう実例は非常にあるのでありますが、そういうものに対して、積寒法その他あるいは食糧対策費の土地改良の中から、団体営の小規模灌漑排水あるいは耕地整理等に対して、どの程度助成されることになりますか。それによつて十五年間に一体どれくらい食糧増産が期待されるものか。そういうことがわかつておりましたらお知らせ願たい。
  199. 小川孝

    ○小川説明員 積寒法によりまして、団体営の灌漑排水並びに土地改良、これは経費で十八億でございます。これに対します増産量は今持合せておりません。
  200. 志田義信

    志田委員 増産も非常にやらなければならぬことはもちろんで、さらに御努力をいただかねばならぬのでありますが、積寒法によりますと、何か非常に面積の制限をしておるようでございますが、それだと網の目から落ちる土地改良が非常にあると思います。その点ついては、何かこれを救う具体策を考えておられるか。それを伺いたい。
  201. 小川孝

    ○小川説明員 ただいまのお話は、農地局といたしまして、一定限度の面積以上のものを国から助成をする。その残つたものについてはどうするか、こういうお話でございますが、残つたものにつきましては、現在の段階といたしましては、従来県でこういう方面に助成金を出していた県がかなりございますので、県がお出しになつていた助成金を、この方に振り向けていただくことと、なお農地局といたしましては、助成金のほかに融資で仕事をやる、こういう手をもつておりまするので、これを使つてつていただきたい。こういうふうに考えております。ただ面積の制限はもつと小さくいたしたいという希望は、農地局といたしましても持つておるわけであります。
  202. 志田義信

    志田委員 どの程度まで小さくするお考えがあるかどうか、それをお尋ねします。  それからもう一つ、さきに団体営の補助の対象となれなかつた土地改良事業に対しまして、今度は積寒法その他が出て、前に金融措置をしていただいて農林金融その他からお金を借りてやつていた団体営の土地改良が、積寒法によつて、それに切りかえたいというようなことは、不可能だというふうに地方では考えておるのでありますが、この切りかえを、金融から補助の対象になり得るようにお考えなつているかどうか、それともそれをさせない方針であるか、その点を御質問いたします。
  203. 小川孝

    ○小川説明員 最初の問題でありますが、どこまで切り下げるかという点については、まだ具体的な考えは持つておりません。  第二段の前に融資でやつてつたものを、今度積寒の補助金が出たために切りかえる、その限度でございますが、融資の約束をいたしまして現実に資金を地区に流しましたその金は、融資できる。その残りと申しますか、その該当しない部分については、補助事業として切りかえて行く。ただ補助をいたします面積の制限とか、事業効果の制限とかがございますことはもちろんであります。
  204. 志田義信

    志田委員 たいへんよくわかりました。土地改良のことにつきまして一番問題になりますのは、国営の土地改良も、県営の土地改良も同様でありますけれども、それ以上に緊急の問題となつているのは、やはり団体営の土地改良であると思う。それで民間の方では今度そういう土地改良事業を推進して行く上において、あまり規則にとらわれて、そうして現実に食糧増産の結果を妨げるようなことになることは、結論として非常に困ると思いますので、その点はどうかお考えくださいまして、日本の食糧需給という大きな立場から見ていただいて、ぜひともこれらの問題を処理していただきたい。これをあらためてお願い申し上げまして、私の質問を終了いたしたいと思います。
  205. 前田正男

    前田委員長 本件に対する質問希望者も別にあるようでありますが、これは次の機会に譲ることにいたしまして、本日はこの程度でやめます。  次会は明八日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十一分散会