○林(百)
委員 私の方は、
国会法の第百十六條の
解釈から
言つても、
議員に対して
発言の
取消しを命ずる
権限はあるけれ
ども、その
取消しに応じない
議員の
発言を
速記録から
削除させる
権限というのは、
議長にはないと
考えております。もしそういうことが許されることになれば、
国会の中における
議員の発育の自由は、まつたく失われるというように思います。それからまた
議長の
職権で
議員の
発言を
速記録から
削除を命ずるというような
権限も、私は
国会法、
衆議院規則のいずれを見てもないと思います。ただ
慣例上、か
つての帝国議会時代にはあつたと言われますが、それは帝国議会時代の
慣例であ
つて、国権の最高機関としての新しい
国会の規則として許さるべきことではないと思うのであります。そのときに、内部的な問題として、
異議がある場合には、この議運によ
つて決定されるということですが、しかし議運は明らかに多数党が決定権を持
つておるのでありますから、そうすると、将来少数党あるいは野党側の
発言で、
自由党並びに与党の気にいらない
部分は、多数決によ
つて速記録からいつも
削除することができる。こうなると、まつたく
国会の機能を破壊することになる。少くとも野党としては自由に
発言をし、それを
速記録に載せ、それを
国民に伝えて、
国民の批判にまつということが、
国会における野党、少数党の任務である。それをしも
削除して、われわれが
国民に伝えるために
速記録に載せることすら、
国会の多数党の決議によ
つて許されないということになれば、これはまつたく
国会の破壊であると思います。これは明らかに、
プレス・
コードが廃止されたと口では
言つているにかかわらず、実質的には占領時代の
プレス・
コードをそのまま続けることになると思う。国権の最高機関たる
国会がそういうことをするなれば、やがては一般の
出版の自由にも影響する重要問題だと思います。このようなことは
国会の権威のためにも許すべきことではないと思います。
委員長自身の名誉のためにも、このような提案はぜひ撤回すべきであると思います。
なお念のために申し上げますが、
土井君も言われるように、この問題は重要であ
つて、徹底的に検討すべきであると思いますから、少くともきようこれに対する決定をすることは留保して、次の機会、あるいはもしそれで不十分1ならば、その次の機会でもけつこうですが、もう少し
国会としてこの問題を練るべきだと思います。
従つて私は、最大譲歩をしても、本日これに対して決定を与えることに反対であります。