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1952-03-26 第13回国会 衆議院 外務委員会法務委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十六日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員  外務委員会    委員長 仲内 憲治君    理事 近藤 鶴代君 理事 佐々木盛雄君    理事 並木 芳雄君 理事 戸叶 里子君       植原悦二郎君    大村 清一君       菊池 義郎君    飛嶋  繁君       中山 マサ君    守島 伍郎君       小川 半次君    林  百郎君       黒田 寿男君   法務委員会    理事 北川 定務君 理事 田嶋 好文君       鍛冶 良作君    松木  弘君       大矢 省三君    加藤  充君       成田 知巳君  出席政府委員         外務政務次官  石原幹市郎君         入国管理庁長官 鈴木  一君         外務事務官         (入国管理庁審         判調査部長)  鈴木 政勝君  委員外出席者         外務委員会專門         員       佐藤 敏人君         外務委員会專門         員       村瀬 忠夫君         法務委員会專門         員       村  教三君     ————————————— 本日の会議に付した事件  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する  件に基く外務省関係命令措置に関する法律  案(内閣提出第八八号)     —————————————
  2. 仲内憲治

    仲内委員長 ただいまより外務委員会法務委員会連合審査会を開会いたします。慣例によつて私が委員長を勤めますから、さよう御了承願います。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係命令措置に関する法律案を議題といたします。
  3. 仲内憲治

    仲内委員長 本案について質疑を許します。北川定務君。
  4. 北川定務

    北川委員 出入国管理令改正案につきまして質疑をいたしたいと思います。本令が施行せられまして以来、今日まで法務委員会並びに法務委員に対しまして、全国からたくさんの抗議書あるいは陳情書が殺到して参りましてまた一面におきましては朝鮮人団体の方が法務委員会に見えまして、いろいろ陳情なり、抗議なりをいたしておつたのでありますが、その大体の趣旨は、国籍に関する問題と、強制送還の問題に集約することができると思うのであります。私はこの二つを中心として質疑を行いたいと思うのでありますが、まず第一に伺いたいことは、出入国管理令改正範囲について概要の説明が願いたいのであります。
  5. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまお尋ねになりましたのは、出入国管理令がどの程度改正されるかという御趣旨と承りましたが、出入国管理令は御承知のように昨年の十一月一日から実施されましたポツダム政令で、ございまして施行後なお時日が非常に浅いのでございまして、われわれといたしましてもいろいろ実地の経験から、日本として新しい制度でございますので、改正すべき点もぼつぼつ見受けておるのでございますが、今回は最小限度改正という意味合いにおきまして、ごくわずかな一、二箇條の改正だけをお願いをいたしております。いわゆる占領軍関係事項に関する字句をとりましたこと、それからあと在留資格の取得という一項を設けたこと、この二つがおもなねらいでございまして、根本的にはほとんど改正なつておらないということを申し上げてよろしいと思います。
  6. 北川定務

    北川委員 次に強制送還の点についてお伺いいたします。強制送還につきましては、憲法の基本的人権の問題あるいは世界人権宣言に関する事項、これらの点と密接な関係があると思うのでありますが、これらの点と強制送還との関係をいかようにお考えであるかを伺いたいと思うのであります。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 強制送還の問題は、出入国管理令一つの重要な事項でございますが、出入国管理令自体は新しい立法例であり、特に国際慣例を尊重して、外国人扱いを民主的にすべしという総司令部側の覚書に基きましてできましたものでございますので、諸国立法例によりまして、国際慣例に基いた規定を設けておるのでございます。従いまして、強制送還の問題につきましても、特にわが国だけがこういうような厳格な規定をしておるというのではなくして、むしろ諸国の例をとりまして最も妥当な規定をいたしておるわけであります。人権宣言その他人権を尊重する面からいつて、いわれなくして強制去表させられるということがもしございますれば、これはゆゆしい問題でございますので、この立法の精神から申しましても、人権宣言に反するというようなことは毛頭考えてない。この法案をすなおにおとりいただきますれば、人権宣言に違反するような点は一つもないのであります。
  8. 北川定務

    北川委員 出入国管理令第二十四條の規定に、貧困理由として退去せしめることができるごとになつておるのでありますが、現在生活保護法によりまして生活扶助を受けている、約六万人くらいあるといわれております、これらの朝鮮人台湾人は、この貧困者すなわち強制退去を受ける者に該当するのでありますか。
  9. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 出入国管理令第二十四條の四号のホという所に、本邦から強制退去させることができるという事由一つに「貧困者放浪者身体障害者等生活上国又は地方公共団体の負担になつているもの」という事項がございまして、ただいま御指摘のような御質問が出て参つたわけでございますが、お話のように、生活保護法扶助を受けております者は、まさにこれに該当いたします。しかし該当いたしますからただちに強制退去させるというところには、すぐは参らないのでございまして、これを書きました立法の当初におきましても、この強制退去と申しますのは、外国人日本社会に何らかの面で害毒になる人には、本人の国の責任において帰つてもらうというところがねらいでございますので、貧困だからただちに返すということには、必ずしもならないのでございます。この点運用の面におきましてどの程度扱われるかということが、朝鮮台湾人たち、特に終戦前からこちらにおられた六十万の人たちが非常に不安を持つておられる問題の一つでございます。日本政府といたしましては、人道に反する扱いはしないという建前でございますが、実際の運用面ではたしてどうなるかということで、現在進行しております日韓会談におきましても、やはり韓国代表の方から、その点について、ただ運用だけで人道的に扱うのだということでは困るという、ごもつともなお話もありまして、この点につきましては、両国で協議をしまして返す者を定めるというようなことになる見込みでございます。まだ日韓会談内容につきまして発表する時期になつておりませんので、ただその方向だけを申し上げたわけでございますが、われわれがこれを立案いたしました当時も、たとえば貧困者でありましても、あるいは生活扶助を受けておる者でありましても、ただそれだけでは送り返すことはしない。善良に生活をしておられるということで、あれば、さしつかえない。ただ浮浪人のように、社会秩序を乱し、あるいは収容しようと思いましても、収容所の内部で乱暴を働いて始末に困るというような、いわゆる社会害毒を及ぼすという人たちを返すということが建前でございます。
  10. 北川定務

    北川委員 日本不法入国をいたしました者や、あるいは日本社会秩序を乱す人たち強制送還しますことは、もとより当然だと思うのでありますが、当局見込みでは、大体これらの人がどのくらいあるか、その数字がわかりましたら、お答えを願いたいと思います。
  11. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいま、送還をいたします大体の人数はどのくらいかというお話がございましたが、これはこの法を実施してみなければわからないのでございます。少くとも生活保護法対象なつておりますのは、ただいまお話がございましたように、六万ございますが、六万人を全部この対象として強制送還するという考えは、もちろんございません。具体的に個々の例によりまして、先ほど申し上げましたような害毒を積極的に流しておるという個々の例を拾いまして、取扱いをきめて参るわけでございますので、現在どの程度であるか、そうたくさんの人数ではないと存じます。なお御参考に申し上げますが、この一箇年間に、不法入国いたしました者いわゆる密入国者は、原則として返すという建前でございますが、密入国者として入つて参り、それを調べた上で強制退去させた大体の数字は一年間に三千数百名に上つております。
  12. 北川定務

    北川委員 強制退去をなします手続として、裁判所が退表の事由を認定し退去を命ずるという考え方と、行政庁措置による考え方二つあるのではないかと思われるのであります。ところが管理令によりますと、行政的措置で事実の認定もなくまた退去手続もなすことになつておるようでありますが、この二つについて当局は何ゆえに裁判手続によるようにせられなかつたか、その事由を伺いたいと思います。
  13. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、根本問題といたしましては、外国人扱いというものにつきまして、国外に出てもらうということは刑罰ではないという考え方が、やはり国際慣例なつております。従いまして刑罰対象として外国人退去させるということでなくして、いわゆる国際慣例を承知した相当訓練を受けました特別の行政官によりまして、その者の強制退去をするかどうかということを決定する方が最も国際慣例にも合い、また外国人の地位を特別に尊重するという意味におきまして適当な方法である、かように考えておりまして、司法手続とは別個行政措置を設けてある次第でございます。
  14. 北川定務

    北川委員 日本に数十年間在留しております朝鮮人台湾人、ことに内台等の共婚法によりまして、内地人と結婚をしておる者などにつきましては、日本帰化を望んでおる者が相当あるように聞いておるのであります。帰化に関するこれらのものに対しまして、御当局態度を伺いたいと思うのであります。
  15. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 帰化の問題につきましては、現在わが国にあります国籍法によりまして、国籍法條件に合いますれば、どなたでも帰化ができるのでございまして、特に長い間日本におられましたそういう人たちは、おそらく十分條件が備わつておられると思いますので、そういう方の帰化国籍法によりまして手続をふまれますならばできることになつております。
  16. 北川定務

    北川委員 出入国管理令第二十四條に規定されたる事由を発見して、これを当局申告した一般人に対し、五万円以下の報償金を出すことに相なつておるようであります。退去事由を発見するには、非常に便利であるとは思うのでありますが、これにはかなり弊害が伴うのではないかと思われるのであります。われわれの知つておる範囲では、税関の関税を浦脱した密輸入者申告とか、あるいは隠退蔵物資について申告をした者に報償金を出すというような制度があつたと思うのでありますが、この規定を設けられました理由と、それからほかにかような規定をしておる外国立法などがあるかどうか、伺いたいと思います。
  17. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまの御質問出入国管理令第六十六條にございます規定でございますが、これはお話のようにわれわれといたしましても、このやり方につきまして全幅的にこれがよいのだというほど確信を持つているわけではないのでございますが、少い人数で効果をあげます方法といたしましては、これによる以外に方法はないのでございまして報償金制度につきましては、わが国におきましても前例もございますし、またおあげになりましたように、財産税関係法律には例もございまして、これを入れたわけでございます。なお外国立法例といたしましても、アメリカの移民法にやはりこの規定もあるわけであります。
  18. 北川定務

    北川委員 講和の発効によりまして台湾人朝鮮人が従来日本に長く住んでおつた場合、あるいは日本の婦人と結婚しておる者につきましては、永住権を與えられるようでありますが、この永住権とか在留とかいう意味を説明していただきたいと思います。
  19. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 永住と申します。と何かその国に永久におりましてあたかもその国の人になつたかの、ごとき感を與えるのでございますが、これは字句の問題になりますが、われわれの方といたしましては、外国人わが国におりますのには、在留資格というものがございまして、在留資格には、出入国管理令第四條にございますように、一から十六まで項目をあげまして、在留資格を定めております。たとえば外交官であるとか、あるいは観光客であるとか、あるいは本邦で労働に従事したいというような人、あるいはただいまお話が、ございました本邦永住しようとする者というようなことで、十六の在留資格というものがあるのでございます。そのうちの一つが、永住許可を受けまして日本に無期限に在留することができるということになるわけでございますが、これは外国人であるごとにおいてはかわりはないのでございまして、外国人である以上は、出入国管理令の全面的な適用を受けるわけであります。従いまして先ほど申し上げました第二十四條のいろいろな條項に当てはまるような態度を示されるというような人たちには、退去規定がありまして、たとい永住許可でありましても、適用することができるわけであります。
  20. 北川定務

    北川委員 日本国籍を離れました朝鮮人が、大韓民国国籍を取得することを好まないで、北鮮人民共和国国籍を取得することを希望している向きが非常に多いようでありますが、これに対しまする当局考え方態度を伺いたいと思います。
  21. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 日本国籍を離れます韓国人が、どこの国籍になるかということは、日本が今折衝相手としておりまする大韓民国国内法で決する問題でございまして、日本政府といたしましてこれをどうこう関知するところでない問題だろうと思います。
  22. 北川定務

    北川委員 本令の施行は、朝鮮人台湾人、ことに日本永住しておつた人々に非常に大きな影響を與えるものでありまして、私はこれらの人々になるべく寛大な帰化方法をお許しくださるよう希望いたしまして私の質問を終りたいと思います。
  23. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 ただいま北川委員からお話の点まことにごもつともでございまして、今回提案いたしております。法律案につきましても、引続き在留資格を有することができるのでありましてさらにまたただいま日韓会談でいろいろの交渉が行われておりますが、この日韓会談の定めるところによりまして、善良なる在留入に対しましては、できるだけ寛大にしかもまた既得権等を侵さないように、諸般の措置が講ぜられるようになると私は思つております。
  24. 仲内憲治

  25. 大矢省三

    大矢委員 さきに出入国管理令ポ政令で発表されまするや、従来日本領土であつた朝鮮並び台湾の方々は非常なる関心と一つの脅威を感じておるのであります。私はあとから岡崎国務大臣が見えるそうでありますから、そのときにお聞きをしたいと思いますが、今度の改正法を出すにあたつて、かつて日本領土であつたところのこの人々に対する特別な処置をとる御意思があるのか、あるいは一般の外人として扱おうとする考えのもとに、この法案が立案されておるかどうかという根本方針を伺いたい。と申しますのはこの第二條に、日本国との平和條約の効力が発生した後において日本国籍を離脱する者で、昭和二十年すなわち終戦前から引続いておられた者に対しては、またその間に出生した子供をも含んで、いわゆる第二十二條第一項の規定にかかわらず——第二十二條第一項の規定というのは永住権手続でありますが、永住権手続にかかわらず、別な法律で定めるところにより、その者の在留資格及び在留期間を決定する、その間引続き在留資格を有する者とする、こういうふうな規定がある。この別個法律を出すということ、この意味は、すなわちこれらの人々に特別な扱いをする意味で出すというのか、あるいはそれは日韓並び日台との交渉が今開催中であるから、その妥結をまつて国籍の問題だけをしようとするのか、他の問題は一切この法律の前に出たポ政令に出た取締り送還国籍、そういうものをあわせてやろうとするのかどうか、その意図が私どもにはちよつとわかりかねますから、別個に扱うのかどうかということと、この第二條の六項の規定にある別に法律で出すということとの関連性をお聞きしたいと思います。
  26. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは先ほどちよつと申し上げたのでありますが、ただいま日韓会談によりまして従来日本に引続きおられました人の措置等につきましても、いろいろのこと相談になるわけでございまして、ここにありますように、別に法律で定めるところにより云々というのは、日韓会談妥結の結果、あらためてまた法律をつくりまして、これらの人々特別緩和措置といいますか、特別の処遇措置を講ずる意味で、こういう規定ができたわけであります。
  27. 大矢省三

    大矢委員 それからこの要綱の中にしばしば出て参りますが、朝鮮人並びに台湾人とありますし、せんだつて日本の結びました平和條約の中に、第二章に朝鮮並び台湾はこれを放棄するということも書いてありますが、この朝鮮台湾という言葉は、いわゆる北鮮南鮮ということを一括して言つておるのか、あるいはまた今の答弁によりますと、日韓会談妥結した後においてこしらえるというのですが、それでは日韓会談というものは、朝鮮全体を代表してやつておられるのか。それと同じような意味で、国民政府との今日折衝の中にも、いわゆる同じ台湾人としても大陸方面の華僑の人、すなわち中国の人と、それから政府資料の中にもありますように、台湾人中国人と区別してありますが、こういう交渉内容がその大陸の人も入つておるのか、もし入つていないとすれば、それでは交渉していない人々を扱うのにどういうふうに扱うのか、今申しましたように北鮮の方をどういうふうに扱うのか、こういう実際問題についてただ期間が非常に短かくつけてあつて、その間に手続をしなければならぬとかなんとか、たくさん書いてありますが、そういうことのために手続をどうするかという実際問題が起きて来る。私は今答弁にありましたように、特別の取扱いをしない、第六項は、ただ両政府間に妥結を見るまでの国籍の問題で、そのほかはこの法律をそのまま適用するのだというふうに解釈するのですが、それでさしつかえないのか。
  28. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 第一点の対朝鮮関係でございますが、それは昨日もちよつとここで申し上げたのでありますが、わが方といたしましては、いわゆる大韓民国交渉相手といたしまして朝鮮一体としてただいま交渉をしておるわけであります。これは朝鮮ということで交渉をいたしております。  それから台湾の問題についてでございますが、大陸にいる台湾人云々というお話もございましたが、これはもともと中国の人間でございますから、どういう意味の御質問かちよつとはかりかねたのでありますが、問題はないのではないかと思います。
  29. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 この法案の第二條の六項にございます御指摘になりました「別に法律で定める」というその「法律」は、国籍だけを定めて、管理令をすぐ適用することになるかというお尋ねのように拝しましたが、在留資格というような点につきまして、今まで長らくおられた人たちに対しまして、特別に例外的に定めるという趣旨が入つております。
  30. 大矢省三

    大矢委員 今の答弁によりますと、日韓会談朝鮮全体を対象として交渉しておるのだ、こういうことになりますと、結局今度国籍を選ぶ場合にいわゆる朝鮮という言葉を使えば韓国にも通じ、韓国という言葉を言えば北鮮の方にも通ずるということに相なるわけですか。これは国籍を決定する上に重大な影響がありますからお聞きしたい。  それからいま一つは、六項は、特別の考慮沸つてこれを設けた。その特別の考慮というのは、單に国籍というだけでないというから、この管理令にたくさん出ている送還手続規定その他永住権の権利の問題、そういうことについて特別の考慮を拂うというのはどういう内容を持つておるか。  それからこの機会にお尋ねしておきますが、今の答弁速記に載ることは政府全体の責任として聞いておいていいのかどうか。いつも法律を審議する場合に決定がなされる。その速記録に載つていることと、実際に法律なつて現われた適用の面とがたいへん違うのです。その点は責任を持つて——もし自分で責任が持てない場合には先ほど言つたように、あとから大臣が出るということでありますから、大臣から答弁を願うこととして、その場の思いつきの答弁がないように、はなはだ失礼な言い分でありますが、しばしば政府答弁法律の実際適用を受けるところの現われた後における問題と食い違いがある。また本庁であなたたちが思われていることと、出先の者の考え方は非常に違うのであります。私ははなはだ遺憾でありますから、失礼な言葉でありますが、そういうことをお尋ねしたのであります。どうかその意味責任を持つて、ここで言つたことは、ただちに当局地方出先機関あるいは取締りといいますか、これに関係している人人との間に同一の意見であるということを徹底するように、特に私はこの際申し添えておきます。それで今のお尋ねの点を御答弁願います。
  31. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは、私は政府委員としてここに出ておるのでありまして、一応政府責任においてお答えしておる次第であります。  それから国籍の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、折衝相手方といたしております大韓民国国内法の決定するところでございまして、先ほども申し上げましたように、この問題についてわが方であれこれということはできない。先方の決定する問題であろうと思つております。  それから緩和規定の問題につきましては、鈴木長官からお答えしたいと思います。
  32. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 緩和規定内容につきまして、詳しくは日韓会談によりましてきまるわけでございますが、こういう程度ははつきり申し上げられると思うのでございます。永住許可を、終戦前からおられた人たちには大体與えられる。その際にこの管理令によります永住許可というものは非常な條件がついておりますが、その條件を無視して、とにかく戦前からいた人は大体永住許可を與えられる。それも非常な緩和規定であると思います。この法律管理令に関しまする法律でございますので、処遇君その他につきましての法律というようなものは、必要があります場合には、たとえば既得権を認める法律というようなものは別途の法律で定めることが可能でございます。ここに書いてございます法律は、管理令上の法律と御解釈願いたいと思います。
  33. 大矢省三

    大矢委員 この点が非常に重要であります。向う国内法だということでありますが、私は永住権と申しますのは、参考資料としていただくことができなかつたのでありますが、この手続規定の中に外務省令による手続をしなければならない、その外務省令というのは、もし永住権を申請する場合にいわゆる国籍証明というものをつけなければならない。国籍証明をつけなくてそれで永住権の申請をすることができるなら別でありますが、かりに中共地区大陸中国におる人、あるいは北鮮の人が永住権をここに申請する場合に、その国の国籍証明書を添付すべしということになりますと——いや、そういうものはつけなくてもよい、ただ長らく日本におつた人であるからただちに届け出ればよいのだというならば簡単でありますが、必ず証明書がいる場合にどうしてとれるか。とれなかつたらどうするか。これは手続向うがきめることだ。こちらの関知したことではないというのであれば、朝鮮は半分の韓国政府交渉し、また中国中国台湾政府とのみ交渉しておるので、この問題には両方にまたがつて手続規定というものはないのでありますから、これは非常な混乱を来す。その点はどういうことになりますか。
  34. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまのお尋ねは、今後出て参ります法律内容お尋ねと存じますが、これらは日韓会談によりまして、まだ確定的の段階に至つておらないようでございまして、別途法律を出しますときに御審議をいただきたいと思います。
  35. 並木芳雄

    ○並木委員 議事進行について。さつきの石原次官の答弁を聞いておりますと、日韓会談相手たる大韓民国、これは全朝鮮を包含するものとしてわが方としては交渉を進めておるとはつきり言われた。私どもはこの法案を審議する上において、それを前提として参りますならば、ただいままで研究して来たところを、また少し観点をかえて行かなければならない。法案の審議の関係上非常に重要な答弁と思いますので、その点をもう一度、聞きそこないであると困りますから、確かめたいと思います。
  36. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 日本平和條約によりまして朝鮮の独立を承認し、朝鮮国が成立するわけでありますが、それに基きまして、ただいま日韓会談でいろいろな準備交渉が行われておるわけでありまして、独立する朝鮮を代表するものとして大韓民国をわが方の相手として折衝しておるわけでございます。
  37. 大矢省三

    大矢委員 講和條約の効力の発生と同時に、日本国籍を離脱するということは、離脱する人は一体台湾人並びに朝鮮の人だけか。あるいはその数において幾らあるか。この資料によりますと、朝鮮の方々は四十六万四千となつております。中国の人が二万四千、台湾の人が一万九千、これは本年一月現在の登録といいますか調査によつておりますが、私どもはこれよりかはるかに越えた人数があると考えておるが、効力発生と同時に国籍を離脱するという人は、かつて日本の籍があり、かつて日本領土にあつたものだけを言うのか。あるいはまた、それにしても朝鮮人々の数がいかに少いかということで、もしそれよりか余つた人はどうするか。
  38. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまおあげになりました数字は、おそらく現在日本におられる朝鮮籍の方、台湾籍の方の数字であろうと思いますが、日本国籍平和條約発効と同時に離脱される方は、朝鮮の全土におられる人、台湾の全土におられる人ももちろん全部含むわけでございますから、非常な大きな数になつております。
  39. 大矢省三

    大矢委員 終戦後相当年月を経、さらにその間北鮮南鮮とのいろいろ紛争がありまして、そのために日本国籍にといいますか、在留する届出がない人が相当あるのではないか。と申しますのは、六、七十万と称しておるにかかわらず、四十六万四千となつておるのは登録してない人がいるからである。これは密入国者として扱うのか。朝鮮の内乱といいますか、こういう問題のために、いずれかの籍を消すことなくして届けなかつたという特殊事情があると思いますから、單に無籍者として扱うということは、今後大きな問題が残されると思いますが、そういう人たちに対しても特殊な扱いをするかどうか、その扱いを一体どういうふうに具体的にやるか、お尋ねいたします。
  40. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいま表によりましてお尋ねがございまして、「朝鮮」という欄で四十六万四千という人数をおあげになりましたが、その次のページの第一段に「韓国」という欄がございまして、そこに九万七千、合せましていわゆる朝鮮人たちは五十六万以上になるのでございます。「朝鮮」と「韓国」と二つに欄がわかれまとたのはどういうわけかと申しますと、これは必ずしも「朝鮮」は北鮮をさし、「韓国」は南鮮をさすという意味ではないのでございまして、手続関係からかような分類ができたのでございます、と申しますのは、外国人登録令によりまして外国人の登録をいたしますときに、わが方といたしましては従来から「朝鮮」という文字を使つてつたのでございますが、昭和二十五年に切りかえをいたしますときに、たまたま大韓民国の代表部も日本に設けられました関係がありまして、ぜひ「朝鮮」という字は使わないでくれ、「韓国」という字を使つてくれというお申出があつたわけでございます。わが方としましては「朝鮮」一本でよろしいということでおつたのでございますが、司令部を通じましてそれでは「韓国」という字をとりたい人は「韓国」という登録にしたらいいじやないかという、非常に煮え切らない処置にならざるを得なかつたのでございます。従いまして最初に「朝鮮」で登録された方が多く、あとから「韓国」に登録された方が少いというわけでございまして、「朝鮮」、「韓国」の二つの欄が、現在のいわゆる北鮮側と南鮮側の勢力の分野を示しておる数字ではないのでございます。  なお、合せまして五十六万の朝鮮人たちが国内におられる、しかしながら、それ以上にもつとおるのではないかというお尋ねでございますが、われわれもやはりもう少しこの数字に載つていない人たちがあるのではないかと思います。その数字がどのくらいであるか、われわれとしましても数字をつかみますのに苦心をしておりますが、実際わからないのであります。と申しますのは、朝鮮日本とは対馬海峡を隔てまして非常に近いのでありまして、いわゆる不法に入国して来られる方が相当ございます。現在日に十人ずつくらいはわれわれの手に扱われおる状況でございますが、われわれの方の手に入らないで、なおいわゆる密航して、そのままわからないでいるという人数も相当あるのではないか。それがまあ全体の一割以上はあるのではないだろうかというふうに推測をいたしております。われわれの方といたしましては、不法に入つて来られた密入国者に対しましては、原則として返すということになつております。
  41. 大矢省三

    大矢委員 私が尋ねたのは、あとから手続上のことで、君たちは黙つてつて来た、今まで手続してなかつたから送還するということになつたら、たいへんだということであります。と申しますのは今朝鮮では南鮮北鮮とが戰つておる。そういうことのために躊躇して届出をしなかつた人も相当にあると思う。そこで第二條第一項第三号には、終戦日本に入国した人の国籍証明書のことがありますが、この国籍証明書はつけなくてもいいのかどうか、また第二項には三箇月以内に申請をしなければならないとありますが、もしこれを怠れば一体送還されることになるのかどうか、三箇月以内にしなければならないということになると、実際は非常に困難が伴うと思うのですが、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  42. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 終戦後に入つて来られた人たちに対しましては、ただいまお話のような手続になりまして、正規に入つて来られた人たち人数ははつきりしておりますから、その澁滞を来すようなことはないと存じております。それから国籍証明書はいります。
  43. 大矢省三

    大矢委員 そうなりますと、国籍をいずれかにしなければならないということになりますが、最近このポ政令が出ますと同時に、管理庁から各出先、市町村長に向つて韓国に席を置くようにということの指令を出したそうですが、そういう事実があるかどうか。
  44. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 そういう事実はございません。
  45. 大矢省三

    大矢委員 御承知のように今北鮮南鮮の休職交渉は、新聞の報ずるところによりますと、妥結しそうであります。あるいはしないかもしれませんが、しかし国連も平和を望み、何とか平和的に処理し、ドイツを初め、北鮮南鮮を統一した一つの国にしようとすることのために、努力されておることは御承知の通りであります。そういうやさき二つの政権があつて、いずれかの政権に国籍を置かなければならないということ、新聞紙の報ずるところによると、そういうことについて韓国政府交渉しつつあるやに聞くのでありますが、そういうことを出先の人が不用意か意識的か知らぬが、言つている。統一するために国連軍がその休職を折衝の最中にあつていずれかの政府につくということを強要するということは、かえつて統一を妨げ、さらにまたいわゆる政権が二つつて、それの争奪の問題があるときに、日本が強制するということは、一つの内政干渉にもなるのではないか。そういうことは別としてされる本人からいたしますと、統一を望み、平和を望んで、その一日もすみやかならんことを望んであるにかかわらず、それを一方的に押しつけられるということは、はなはだ苦痛なことではないかと私は思う。つまり戦争に無理に押しやられる、従つて朝鮮の方々も、韓国の方々も、どつちにも籍を置くことを好まない人も相当ある。というのは今申しました平和統一の後においていずれかを決定したい、こういうのでありますから、強制することをするのかしないのか。     〔委員長退席、佐々木(盛)委員長代理着席〕 今、日韓会談をしているから、できれば韓国の籍に置いてもらいたいという希望はあるかもしれませんが、希望するということは、時間がたつと同時にそれは強制になる。それを強制するということは、私は人道上できないと思う。また思想的でなくして、現に韓国に籍を置くことを拒む人、あるいは朝鮮に籍を置くことを拒む人は、いずれの政権がいいからといつて拒むのではない。これが統一した後においてきめようという時間的な猶予を要求している人が非常に多いと私は聞いておるのですが、そういうことからいつて、統一されるまで、長らく日本領土におつた特殊な人々に対する取扱い方を考慮する必要があるのではないか。これは重大な問題でありましてすなわち国籍強要——国籍は当人にとつてはきわめて重大な問題でありますから、この機会にこれに対する政府の方針なり考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  46. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 この大韓民国は御案内と思うのでありますが、国連自身が朝鮮の独立のためにつくつた政権でございまして今回朝鮮の独立とともにわが方といたしましては、大韓民国折衝相手として、ただいま日韓会談が行われていることは御承知の通りであろうと思います。そこで平和発効とともに、日本国籍を離脱いたします韓国人々の問題につきましては、これは相手方の国内法の決するところでございまして、それをあれこれと言うのは、むしろ日本が先方に対していろいろ干渉することのなると思うのであります。これはまつた相手方の国内法の決する問題であろうとわれわれは確信をいたしております。
  47. 大矢省三

    大矢委員 国内法と言うが、朝鮮が統一されているならそれでいいのです。統一されている場合ならば干渉してどつちにつけと言う必要はないのですが、向うにおいては二つあるのですから、二つある場合に、日本におる人々がいずれの国を選ぶのも自由であるのか、向う国内法二つなつている。あなたの意見は——北鮮南鮮とあるのですから、そういう場合にいわゆる国籍の選択を自由に認めるのか、あるいは日本対象として折衝しているところの韓国をさしてどうしてもこれに統一しなければならないという強制をするのか。このことは向うが統一していれば問題ないのです。向う政府の意図を尊重してやれば間違いないのでありますが、二つの政権がある。これは朝鮮のみならず、台湾の場合も、いわゆる大陸の場合もそうでありますが、そういうふうでありますから、これをただ向うの憲法だから、向うの意思を云々することはいけないということだけでは、実際問題として問題の解決がつかないのです。
  48. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 わが方といたしましては、先ほども申し上げましたように、二十九箇国も承認いたしております大韓民国を、独立後の朝鮮の正統政府といたしまして、いろいろ折衝をしておるわけであります。そこで大韓民国国内法の決するところによつて国籍問題を解決してもらわねばならぬと思つておるのでございます。蛇足でありますが、別にわが方としてただちにいろいろな人を退書すとかどうとかいうことは何らないのでありましてこの法律にありますように、引続き在留資格は持つておるのであります。別段そこにただちに不都合な処置が起るとかどうとかということは、問題はないと考えております。
  49. 並木芳雄

    ○並木委員 私は議事進行ですが、次官に対するいやがらせでも何でもない。私はあなたの答弁を書いておいたのです。ところがさつきの答弁に、大韓民国は国連が朝鮮独立のためにつくつた政府というふうに言われたのです。これはどういう意味なんですか。これはこの法案審議上、非常に大事なので、はつきりしていただきたいと思います。
  50. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 先ほどつくつた政府というように言つたとすれば、これは若干言葉の言い方がわるかつたと思います。国連が認めておると申しますか、そういうふうにいたしておきます。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行……。
  52. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員長代理 林百郎君の関連質問があるようでありますが、本日はかなりたくさんの方が通告されておりますので、関連と言えばことごとく関連でありますから、通告順に質問を許します。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 議事進行だよ。
  54. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員長代理 林君。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 今の問題ですが、非常に重要なことですから私も次官にお聞きしたいのです。大韓民国政府というのは朝鮮全体を統治の対象にしている、それは国連も認めていると言うのですが、国連がいつ、大韓民国北鮮をも含めて朝鮮全体の政権であるということを認めたか、その根拠を私は示してもらいたい。現に国連軍としては金日成将軍を相手にいろいろ交渉しているということになると、それは金日成という人は一体どういう資格なのか。(「暴徒だ」と呼ぶ者あり)やじに暴徒というのがありましたが、ここで自由党が言つております。それは記録にとつておいてもらいたい、国際的にどういう反響があるか。それから政府のつくつた表の中にも、「韓国」と「朝鮮」とは、大韓民国北鮮人民共和国との区別を表わすものではないと言つて政府自体が大韓民国北鮮共和国を区別しているのですから、それを乱暴に大韓民国朝鮮全部の代表だなんという根拠がどこにありますか。国連がいつそれを認めたか、根拠があるか、示してもらいたい、重大な問題です。首の問題ですよ。
  56. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 先ほどからたびたび申しておりますように、わが方といたしましては、新たに独立する朝鮮の正統政府といたしまして大韓民国相手として折衝しておる。しかもこれは二十九箇国もこれを承認しており、国連も私は正統政府として認めているものと思つております。さような意味で申し上げているのであります。
  57. 成田知巳

    ○成田委員 関連して……。
  58. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員長代理 成田君。簡單にお願いします。
  59. 成田知巳

    ○成田委員 今政府のお答弁によりますと、国籍の問題は大韓民国ですか、この国内法によるのだ、こういうことを言われた、しかしながら長く日本におられた朝鮮人の方を国内からただちに退去してもらうというようなことは考えていない、こういう御答弁であつたのですが、そういたしますと、登録法の関係で、政府大韓民国国籍を取得するように登録法で強制されることはないかどうか、もし登録法の関係で大韓国民の国籍を登録しなければいけないということになりましたら、登録法違反という関係強制送還の問題が起きて来ると思うのですが、その関係をひとつはつきりしていただきたい。
  60. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまのところは、別にそういう点について不都合が起るということを予想しておりません。
  61. 成田知巳

    ○成田委員 不都合が起きることを予想していないというのですが、登録法によりますと、登録法の罰則ではもし登録義務に違反した者は、一年以下の懲役云々という規定があるのです。それから出入国管理令から行きますと、第五條に日本国の法令に違反して一年以上の懲役になつた場合は強制送還できる。一年以下と一年以上と非常にきわどいのですが、一年という問題があるのです。日本にいる朝鮮人大韓民国国籍をとりたくない、こういう人が大部分だろうと思うので、やはり登録法違反の問題が起きて来る。これは政府だけの問題ではなくて司法権の問題になつて来ます。そういう不都合が起ることは当然予想しなければならない。しかも外務次官は、長らくおられた方は今ただちに強制送還考えていないということを言われるのですが、法律適用からいいましてそういう問題が当然起きて来るのですが、これについて明確に御答弁願いたい。
  62. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 登録法に国籍欄がございまして、そこに何と書くかということだと思うのでありますが、それを何と書くかということはまだはつきりきまつているわけじやないのです。不都合のないようにやる方法考えたいと思います。
  63. 成田知巳

    ○成田委員 どうもはつきりしないのですが、登録法の第三條には何かぎようぎようしく書いてある。要点は外国人日本へ来て六十日以内に登録義務があるということになつております。そうしますと、今政務次官の言われたように、大韓民国国籍を取得するということになつた場合に、当然登録義務ができると思うのですが、登録を拒否した場合は、自分たちは李承晩政権は政権として認めないというので、その国籍を拒否した場合に、当然日本法律からいえば、第三條一項の違反なんです。これに違反した場合は罰則で一年以下の懲役ということになつております。一方出入国管理令は、国内法に違反して一年以上の懲役になつた者は強制送還することになつております。現実の問題としてすぐ起きて来ると思う。こういう法律ができましたら裁判所はやはりこの問題を取上げると思うのです。一方政務次官は急に返すようなことは考えていないというのですが、その間の調整をはつきりしていただきたいと思います。
  64. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは先方の国内法によりまして認めた通りの登録をやつて行けばいいのじやないかと思うのであります。
  65. 成田知巳

    ○成田委員 答弁が要領を得ないから、もうしばらく御容赦願います。先方の国内法で認められた通りにやるというのですが、先ほど政務次官も答弁されたように、大韓民国国内法によつて国籍の問題というものは一応決定する、こういうことを言われたのです。そうしますと、日本法律でこの登録法の関係で当然国籍を届けなければいかぬ。ところが自分たち韓国国籍を取得したくないということになりますれば、当然登録法違反という問題が起きて来るのです。それに関連して強制送還の問題は当然起きて来るのです。その点明確にひとつ御答弁願いたい。
  66. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 先方の国籍法によりまして、つまり韓国籍ということになれば、韓国籍を登録すればいいのでありましてかりに韓国籍を登録することがいやな人があるとすれば、それは登録をみずからが拒否しておるということになると私は考えます。
  67. 大矢省三

    大矢委員 この永住許可の申請をし上うとするときは、国籍証明書を添付するということがある、しかも外務省令手続に従つてということがある。その国籍証明をとる場合に、一体北鮮の人あるいは台湾人のいわゆる中国の人が証明をとるにもとれない。そうすると申請ができないということになる。できなかつた人は今申しましたようにそういうことで手続上どうも自分は強制されるのがいやだ、先ほど私が言つたように統一されるまで待つてもらいたいということでしなかつた場合は全部返すのですか。あまり詳しいことを言わずに、簡単に……。
  68. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは各国ともお互いに無国籍人の生ずることは防がなければならないのでありまして、無国籍人の出ないように努力しなければならないのであります。韓国の代表部が登録を願い出て来た場合に、それを代表部の方で拒否するとかどうするとかいう問題はないと私は思います。本人みずからが棄権するというか、登録を拒否するということはあり得るといたしましても、代表部の方でそれを受付けない、拒否するということは私はあり得ないのではないかと思います。
  69. 大矢省三

    大矢委員 それでは具体的に尋ねますが、たとえば華僑の人が北京政府に向つて申請してその証明をもらつて来る、北鮮は金日成の北鮮政権に向つてこれを要求しておる、それから証明をもらつて添付して届けるのか、それはどうなります。実際そういうことができますか、実際上できないものを、やるだろうとかそうあるべきだとか、本人がかつてにそうするんだということを言いますが、実際上できないのではないかと思います。どうなんですか。
  70. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 われわれはわれわれの認めまする正統政府対象として、諸般の問題を処理して行かぬばならぬと思うのでありますから、その線ですべての問題は解決されると思つております。
  71. 大矢省三

    大矢委員 それでは今申し上げましたように、実際問題の取扱いはどうなるのですか。実際はみな返すというのですか、はつきりしてもらいたい。どうなるのですか。それであるならばおそらく台湾以外の人あるいは韓国以外の人は全部返す、何十万と一ぺんに返すことになるのかどうですか。簡単でよいのです。つまり北鮮南鮮が統一されるまで猶予するのかしないのか、それをしない場合には返すのかどうか、簡単でよろしゆうございます。
  72. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 わが国といたしましては、正統政府が出しているもの、あるいはそれを代表する在外公館の取扱うものにつ書しては、いろいろの手続をとつて行くわけでありますが、それらの手続をとらないものにつきましては、遺憾ながら登録を本人自体が拒否といいますか、棄権しているものと認めざるを得ない場合が生じて来るのではないかと思います。
  73. 大矢省三

    大矢委員 それでは私が尋ねるから、イエスかノーか言つてもらいたい。今交渉している台湾、それから韓国、それに国籍を置くことを拒んだ者はいわゆる登録令違反ですか、あるいは手続きをしないものとして、これに準じた法律によつて、ただちに返還するということにするというふうに解釈してよいのですか、たいへんな問題ですよ。
  74. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 今中国人といたしまして、国府政府並びに国民政府の在外公館のいわゆる証明といいますか、証明する手続をとりましたならば、それでよいのではないかと思います。
  75. 大矢省三

    大矢委員 それはわかつていますよ、ただつまり今問題が両方に起きているから、しばらく猶予してもらいたいという人はどう扱うのですか、結局日本の認めた国民政府韓国政府以外のものについては、手続をしなかつたからすぐ送還するというのですか、何ぺんも尋ねているのですが、はつきりしないのです。
  76. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 韓国の問題につきましては、別段大した問題はないと思いますが、台湾の問題につきましては、華僑その他いわゆる亡命政権と申しますか、いわゆる正統政府が承認しないというような人たちの問題があると思います。そういう問題につきましては、個々のケースによりまして在留を許可すべき者であれば在留を許可するという方法はあると思います。
  77. 大矢省三

    大矢委員 中国の駐日代表部で、先ほど私が尋ねた大陸華僑の人に対しては証明の発行を禁止している。私はそれを心配するのです。従つて韓国代表部がこつちにおりましても、韓国国籍を拒む者に対しては証明を出さない。出さないからそれに対しては手続ができない。先ほどあなたたちが言つていたように、韓国籍人たちはほとんどわずかであつて、大半八割までが朝鮮の籍を有しておる。それをみんな返すというのですか。こうあつてほしいということと現実とは違うのですから、だからしてこういう例が出た場合にどう扱うかということです。返すなら返す。いやそれは向う中国並びに北鮮の代表部に日本交渉する、そして証明をもらつて上げるなら上げるかとか、現に拒んでいるのですから……。
  78. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまのお話は非常に、ごもつともな点があると思います。朝鮮に関しましては、先ほど石原政務次官からはつきり御答弁が、ございましたように、向う側の国内問題として国籍というものがはつきりきまることになりますので、いずれ全部韓国籍になるというようなことにおそらくなるのだろうと思うのでありまして、その点について問題はないように存じます。(「問題ないものか、重大問題だぞ」と呼ぶ者あり)中国の問題につきましては、お話のように向う側の政府で承認しない人たちも相当あろうかと思われます。そういう者に対しまして、先ほど申しましたように全部返してしまうということは、一概に申し上げることはできないのでありまして、在留してさしつかえない方は、在留する方法をとるつもりでおります。
  79. 大矢省三

    大矢委員 多分韓国籍になるだろうということですが、これは政府資料にもありますように、現に韓国並びに朝鮮国籍を有する人がこれだけの数違つたのがあるのですから、だろうじやない。すでにこれは現実に必ず起きて来る問題なんです。そこでこれは韓国との交渉の結果云々でなしに、現実にこの法律を審議して、この法律をこしらえるにあたつて、こういう人はどうするかという方針がなくしてこの法律を出すはずがない。どうしてもいけなければ返すとか、あるいは何らかの形で、先ほど私が言つたように、統一するまでは——私はこういう言葉を使う。元朝鮮——朝鮮というのは元韓国でもよろしい。それは一つつた。元朝鮮韓国に統一されるまでは、一時日本に籍のあつた者はそのまま永住権を認めるとか、既得権を認めるとかなんとかということにすれば問題ない。今度の韓国との交渉によつてただちになるだろうと言うが、ならなかつたらどうするか。それは考えておらぬということじや、先ほど言つたように、いわゆる手続関係しまして、ことごとくが送還対象となるということになります。これは重大な問題ですよ。だからしてそこに何らか方法がなければならぬ。これをこしらえてしまつた法律になるのですから、どんどん問題が起きて来たら一体どうするつもりですか、確固たる方針があるのかないのか。
  80. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 たびたび申し上げ、同じことでありますが、日本といたしましては、相手としてわが国の方の認める正統政府のいろいろの手続による者、それからこちらといたしましてはこの出入国管理令並びに外国人登録法の法律規定に基きまして諸般の手続をして行かなければならない。抽象的に申し上げましたならば、かような筋で今後処理されることと存じます。
  81. 大矢省三

    大矢委員 私だけ質問を独占しているわけにも行きませんから、最後にいわゆる強制送還の問題について申しますが、先ほどの質問にもありましたように、日本の婦人が朝鮮人たちと結婚している数が約十二万と称せられております。これに子供、孫まで入れますと、たいへんな数になると思いますが、もし送還する場合に、この人たち永住を希望しているにもかかわらず、この第二十四條の條項を見ますと、ほとんどひつかからない者はないほどに一方的認定によつてやるとか、本人の意思を何らそんたくすることなく強制送還をするということになるのですが、これは重大な人道問題です。こういう人の取扱いを一体どうされるつもりですか。
  82. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 われわれといたしましては、実際問題として強制送還対象になる人は、そうないのじやないかというふうに考えます。第二十四條をごらんになりますと、いろいろいかめしい規定が書いてございますが、こういう人たち退去を強制することができるということでありまして、これにかかるから全部返すということは全然考えてないのでございます。先ほど来申し上げておりますように、貧困者にいたしましても、ただ貧困者だから返すというようなことは少しも考えておりません。終戦前からおられた朝鮮人台湾人人たちは、おそらく大体においてそのまま日本におられる、そういう方針は申し上げられると思います。
  83. 大矢省三

    大矢委員 終戦前から長くおられた人は、こういう規定はあるけれどもこれにはひつかからない、大体おられるというふうな答弁でありますが、この強制退去條項の第二十四條にずつとあります。先ほども言いましたように生活保護法適用を受けておる人が六万とか七万とかいわれておりますが、こういう人はちやんとこの條項にひつかかるのです。ことに一方的な外務大臣の認定によつてこれを強制送還するということがある。こういう規定をそのまま適用すれば、私が先ほど言つたようにひつかかるが、しかし古くからおられた人、かつて日本領土であつたところの人は、特別にそういうふうに扱うのだとい、りような具体的な法的措置か、あるいは省令でもあればそうなるが、この法律をそのまま適用するということになると、私は全部送還対象になるのではないかということを憂慮するのですが、その点は、いやこれにはそうあるけれども、古い人には特別な扱いをして、強制送還ということは考えていないし、またしないのだ、こう言われるならば、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  84. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 この強制送還の中で問題になります貧困者の問題であるとか、あるいは癩予防関係の者であるとか、こういうような者につきましては、日韓会談によりまして両国がいろいろ協議をいたしまして、葦といいますか、長年日本におられた人で、しかも日本に対して何ら不都合のない人に対しましては、緩和措置といいますかが講ぜられることと思つております。それに基きまして別な法律が予定されておる次第であります。
  85. 大矢省三

    大矢委員 それからこれは子供の教育に重大な関係があるのですが、今朝鮮の七十万に近い人たちの子供の教育は、日本の学校で同じように教育を受けておるのです。朝鮮人たちが独立して私財を持ち寄つて別個に学校を持つたのを、閉鎖命令を出してまた日本の学校に収容した。これは今交渉されておるようですが、高等学校、大学の生徒は別として、国民学校の生徒についてはどういう取扱いをされておるか、これをこの機会にお聞きしておきたいと思います。     〔佐々木(盛)委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 義務教育という、いわゆる教育を受けねばならぬという義務はないわけでありますが、引続きおりたいとか、行きたいとかいう者に対しましては、これは引続きそういう取扱いをする、こういうことになつておるわけであります。
  87. 大矢省三

    大矢委員 私はこれで最後にします。今韓国政府のもとの籍を快しとしない人の署名捺印が約三、四十万集まつているようですが、そういうことをもし政府が知り、事実であるとするならば、先ほど言つた望ましいとか、また折衝の結果そうあるであろうというような、一方的希望でなくして、こういう現実の問題についてどう扱うかということについて、先ほどから聞いても答弁が納得し得ませんし、あいまいなようでありますから、あとから各同僚から聞くことにしますが、それまでに、きようできなければよく打合せをして、拒んだ者を返すのかどうか、そのことをはつきりしていただきたいと思います。そのことを最後にお願いして私の質問を打切ります。
  88. 仲内憲治

    仲内委員長 加藤充君。
  89. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私は朝鮮人あるいは中国人で日本におる者を、この出入国管理令のこのような内容措置する対策を持つということは、これは人事ならずと考えるものであります。日米行政協定に基きまして、日本人が日本に居候をするような状態になつて、治外法権を広汎に認めさせられた日本人といたしましては、この日本におる朝鮮人あるいは中国人の問題は、決して他人事ではないのであります。こういう立場とこういう意味合いで以下簡単に——時間を制限されておりますので、質疑をいたしたいと存じます。  一九五一年の十月四日に、日本政府出入国管理令というものを出しました。そうしてこのたびの改正令によりまして国内法的な体裁を整えようとしておるために、私どもは出入国管理令というのでありますから、これから日本に出入りする人たちの問題だと思つておりましたところが、中身を見ると、半ば永久的に、数十年来日本に来て生活しており、居住権あるいは生活のための企業権というものを自分の既得権としている者に対して、また同時に日本が過去の戦争のときに、気違いじみた無謀な強制によつて無理やり日本に連れて来た者に対して、これを何かよからざる者、好ましからざる者と見て、そでにして行くというものなのであります。しかも、私はこの條文を一々あげませんけれども、この運営適用によりますれば、すべてのそれらの人々にこれが適用される。すべての人がやり方によつて強制送還されてしまうというような法文の内容なつておりますが、懸念の第一はその点であります。しかも私どもは今こういうような悪法令の適用あるいは改正措置によりまして、日本におります今申し上げたような人々が、生活に対する極度の脅威と、それから生命、身体、財産に対する不安を感じております。そのためにいろいろ問題が起きておりますが、これはそういうふうな不安と脅威を與えた政治をやつている、そういう方針にのつとつて政局を担当しております政府責任ではないか、こう思いますので、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  90. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 ただいまお尋ねがありましたが、この出入国管理令は、昨年の十一月一日から施行になりましたが、この管理令朝鮮人台湾人には現在まで適用なつておらないのでありまして、今後平和條約が発効になりますと同時に、台湾人朝鮮人外国人になりますから、それからこの出入国管理令適用されるわけでございます。しかしその間いきなり外国人になるというので、先ほど来のお話のように、朝鮮台湾人たちが不測 の損害を受けないようにという意味合いで、さらに日韓会談によりまして、特に朝鮮関係におきましては緩和措置が具体的にきまりますので、それを別途法律によりまして遺憾のないようにやつて参りたいと思つております。
  91. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それではお尋ねしますが、なぜ適用にならなかつたのか。このことをお尋ねするのは、ほかでもありませんが、日本ポ政令第九号によつて、売淫の取締りをやらなければならなくなつておりますが、これのごときに至つては、政令第九号はあるけれども、赤線地区だとかいろいろな問題があつて、同じように政令があつて適用されないというような問題があります。これは名誉なことではありませんし、なぜ適用にならなかつたのか、適用にならないものをなぜ出したのか、その点を承りたい。
  92. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 昨年の十一月一日に出入国管理令施行されましたときには、朝鮮台湾人たちはまだ管理令適用するのには、外国人としての資格を持つておらないという意味で、外国人資格がはつきりしたら、この管理令適用するという司令部側の方の話合いもございまして、朝鮮台湾の人には管理令適用にならないしことになつておつたのであります。
  93. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは一々答弁をもらわなくてもいいのですが、それでは朝鮮人がはつきり外国人としての身分地位を獲得していないということで適用ができなかつたというならば、なぜ外国人登録令というようなものをはつきりしていない者に適用するのか。しかも適用するばかりでなく、それに違反す者をどんどん処罰したりしていた不当は、今の答弁では合理化されないと思うのです。それではお尋ねしますが、去年の十月にこのポ政令日本で出される直前において、あなたの正統政府だと認められております大韓民国李承晩政権は、十九歳から二十九歳の青年に対して強制徴兵の命令を出した。そうしてそれに引続いて日本では韓国民籍に強制的に国籍を持たせ、国内手続において強制送還するか、大韓民国の主権のもとにかつてにその適用の実施を受けなければならない立場に追い込んだ、あなたは、今まで適用を実際上実施していなかつたのは、大韓民国との交渉、並びにその発展あるいは妥結との関連が重要な問題であるからだと言われたのです。ひがむじやないのですが、それだつたら結局去年の十月の初めに強制徴兵令を施行した大韓民国の李承晩の処置、日本ではこれに対応してすべての朝鮮人を李承晩政権のところに送りつける。そうして若い者は兵隊あるいはその他の戦時目的のために動員される。幸いにというか、不幸にというか、批評は自由でありますけれども、在日することを許された財産を持つた者は、大韓民国の李承晩政権の戦争政策の遂行のために、これが動員され、組み入れられるということになると思うのであります。こういうような意図が結局において——今まだ発表されておりませんけれども、あなた方が前から主張しておる大韓民国との交渉、この交渉の中に了解されているのではないか。このことは冒頭に申し上げましたように、日米行政協定の第二十四條の運営と相まつて日本の国民のこの戦争への動員、とりわけ青年の徴兵令あるいは予備隊の出動問題と関連があつて、明らかにしていただかなければ聞き捨てるわけには参らない重要な問題であります。御答弁を願います。
  94. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これはここで私たびたび申し上げておりますように、向うがいろいろどういう法制を施行しているかどうかというようなことは、先方の国内問題でありまして、わが国といたしましては、正統政府として大韓民国といろいろな折衝しておるのでありますから、相手の国内問題に対しまして、日本の方でとやかく言うことは差控えたいと思うのであります。
  95. 加藤充

    ○加藤(充)委員 相手方の国内問題であり、当方の関せざるところだというようなことを言いますが、行政協定にいたしましても、先ほど申し上げましたような意味合いで、このたびの出入国管理令改正の問題にいたしましても、日本の国家国民に影響するところが甚大なのであります。そういう問題について何もわからないでおる国民に、政府がわかつてつた考えたりしているところを知らさずにおいて、今のような御答弁責任と負担とだけをぶつかける、犠牲だけを押しつけるという考え方は許されないと思うのであります。相手方の出方、考え方がわからないで、あなたは條約あるいは協定等に判を押すのですか。盲判を押して国民と民族の将来に莫大な損害を與えるという官僚の責任は断じて許されないと思う。
  96. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 なおこちらにおります人々処遇といいますか、そういう問題については日韓会談においていろいろ問題が討議されているわけであります。これはただいま折衝のさ中でありますので、ここでその経過等をいろいろ申し上げることは、これまた差控えておきたいと思います。
  97. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そういう態度は、日本人にして日本の国民を裏切り、欺き、日本の国民の信託によつて政治を担当している政府並びに官僚の、みずからの責任を顧みざるところの無責任な暴言と言わざるを得ないと私は思うのです。しかし、これ以上押問答してもいたし方がありませんから、次の質疑に移りますが、大体、国家がその国に在住している人々——その国民、並びに外国人も同じでありますが——をいかに処置するか、これはその国の主権の行使の範囲でありましよう。しかし、そうかといつて今問題になつておる法令の内容を合理化するわけには行かないのでありますが、大体において連合国は、国際連合憲章で基本的人権という問題をきわめて愼重に重要に取扱つております。一々御紹介するまでもありませんが、国連憲章の前文には明らかでありますし、第一條の三にも明らかである。第十二條の一の口、第五十五條のハ、その他第六十二條や第六十八條や、第七十六條等々にそのことが明記されております。また世界人権宣言におきましても、その点を拾い読みいたしましただけでも、たいへん重要な問題とし、しかもそれを国連の組織原理とし、世界秩序の形成原理とすらも重く取扱つております。この問題と関連のあるところだけを摘示しましても、前文の末尾には、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この宣言を布告する。」第一條には——前略しますが、「同胞の精神をもつて互に行動しなければならない。」第二條の一には、「何人も、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上若しくは他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地又は他の地位というようないかなる種類の差別も受けることなしに、この宣言に掲げられているすべての権利と自由とを享有する権利を有する。」2には、「なお、個人の属する国又は地域が独立地域であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、その他の何らかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基くいかなる差別も設けてはならない。」第三條は強制送還手続内容と重要な関連を持つと思いますが、「何人も、生存、自由及び身体の安全を享有する権利を有する。」戦争の終結せざるところの朝鮮強制送還される対象になつた人々は、たいへんな生命、身体、財産の危惧を感ずると思うのです。また同じような意味合いで第八條を見れば、「何人も、憲法又は法律によつて與えられた基本的権利を侵害する行為に対して、権限ある国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。」これがこのたびここに審議されている法令では、まるつきり保障されておりません。奪われております。第九條には「何人も、ほしいままに逮捕され、拘禁され、又は追放されることはない。」こういうようなことはこの法令のどこに明確にうたわれているのか。第十三條は「何人も、各国の境界内において移転及び居住の自由を享有する権利を有する。」「何人も、自国を含むいずれの国をも去り及び自国に帰る権利を有する。」第十五條「何人も、国籍を有する権利を有する。」「何人も、ほしいままに、その国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。」第十六條は「成年の男女は、人種、国籍又は宗教に因るいかなる制限をも受けないで、婚姻し、且つ、家庭を設ける権利を有する。」云々日本人と婚姻した数十万の朝鮮人中国人は、第十六條の保護をこの法令の適用によつてどうして保障されることができるでありましよう。第二十五條には「何人も、衣食住、医療及び必要な社会的施設を含む自己及び家族の健康及び福利のために十分な生活水準を享有する権利並びに失業、疾病、能力喪失、配偶者の喪失、老齢、又は不可抗力に基く他の生活不能の場合に保障を受ける権利を有する。」等、今拾い上げてみただけでも、生木を引きちぎられるように強制送還をさせられて、あとに残つた者は、いろいろなよからざる政治の結果、日本国籍を持ち、日本に残されたその妻女子弟というようなものは、今の実態では、この第二十五條に規定されている何らの保障もないことは、まことに明瞭なのであります。私は今読みました一九四八年の人権宣言は、基本的人権国内法上の保障たるにとどめずして国際法上の保障たらしめるというところに意義があると思いますし、かくてすべての人はその国一国の国民たると同時に、世界人たるの地位を有し、いわゆるこの内外人の平等主義が国際法上も、また同時に国内法上も強い要請をもつて確立され、裏づけせられたものであるということによつて、この世界人権宣言は重要だと思うのであります。さすればここでお尋ねするのですが、これに反するような法令を設けること——国連憲章、人権宣言日本国憲法から見て明らかにこの内容は不当不法である。恥知らずと言わざるを得ないほど、まことに不名誉きわまるものではないか、またこういうようなものを制定する権利は、日本国政府といえども持つておらないものではないか、この点を承りたい。
  98. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 ただいま入国管理令であるとか、あるいは登録法その他のものが、いかにも人権宣言を無規し、不法不当きわまりないものであるというようなお話があつたのでございますが、われわれは決してさように思つておりません。この入管のような規定にいたしましても、登録法のような規定にいたしましても、これは一般文明国も慣例によつてつておるのであります。国連憲章の主要国である民主主義各国も、いずれもこういう法制をやつておるのでありまして、われわれといたしましては、最も民主主義にのつとつた諸般の法制をやつておるつもりでございます。いろいろお話がございましたけれども、国籍の問題にしても、ほしいままにということが前提になつておるのでございます。また各種の人権にいたしましても、自由権にいたしましても、公共の福祉に反しない限りということを大前提といたしておりますことは、御承知の通りであろうと思うのであります。かような意味においていろいろ御意見もございましたが、御意見は御意見として承り、われわれは決してこの法令が不法不当の、非文明的なものであるとは断じて考えていないということをここに申し上げておきます。
  99. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私は国連憲章ができました当時の成文を引用して、今政府の所見をただしたいのであります。しかしなおここで指摘して政府の蒙を開かなければならない、そういうような野蛮な政府を攻撃しなければならないと思います。というのは、一九五二年、つまり今年の二月の五日に国連本会議は人権宣言協定の中に、すべての人は自決権を持つ旨の規定を含めよというソ同盟の提案がありまして、それに対して、今まで英、米、フランス等、国際資本家の御用機関といわれた国連総会の表決の結果はどうなつたかというと、賛成三十六、反対十一、棄権十二で、これが圧倒的な多数をもつて可決されたというのであります。あなた方が、今かりに良心的に野蛮なものではない、非文明なものではない、歴史の進化にさからうものではないという考え方を持つてつても、世界がこのような情勢で発展して行く歴史的な歩みというものに眼をそむけたならば、あなたはやがて、善意であつてもその責任を問われ、その不明を攻撃され、指摘される立場に立つものであるということを銘記してほしいと思います。なお一九四七年二月十日に調印された連合国とイタリアとの講和條約の第十五條を見れば、イタリアは人権の享有及び言論、印刷、出版、宗教的礼拝、政治的意見と公然の集会の自由を含む基本的自由の享有を、人種、性、言語または宗教の区別なしに、イタリアの管轄権のもとにある一切の者に対し確保するため必要な一切の措置をとらなければならない、という明文が規定されているのであります。同様の規定がハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドとの講和條約にもうたわれております。しかるに日本において、講和條約が締結され、批准され、その発効を控えました直前におきまして、このような性格を持ち、このような内容を持つた法令が審議されなければならない、またそれをむりやりに押し通そうという政府の意図というものは、これはもつてのほかだと思うのであります。りくつではありませんで、どうして日本だけこんな講和條約の締結あるいは発効の直前にこういう法令を制定しなければならなかつたか、その詳しい理由、事情を明確にしてほしいと思います。
  100. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 先ほど申し上げましたように、出入国の管理に関する法律でありますとか、外国人の登録に関する法令というものは、これはどこの文明国におきましても、慣例によつてみなできている法制でございまして、私どもは決して、先ほど申し上げましたように、非文明的のものとは断じて思つていないのであります。
  101. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今私が指摘しましたイタリアとの講和條約の第十五條との関連です。これが野蛮であつて日本の方が文明だというのか。このとりきめと比べて、日本の今問題になつている法令の内容というものは、劣らざるものであるという自覚に立つて、あなた方は説明しているのか、その点を聞きたい。
  102. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 日本平和條約の前文におきまして、「安定及び福祉の條件日本国内に創造するために努力し、」云々、こういうことを日本みずから宣言いたしておるのであります。これらに基きまして今後諸般の処置が講ぜられて行くことになつておるのであります。
  103. 加藤充

    ○加藤(充)委員 時間がないから、もつととつちめたりすることができないのはまことに残念ですが、次の問題に移ります。  私は今まで国連憲章や人権宣言やあるいは日本国憲法等の観点から、この内容法律上まことに不法不当なものであり、それを強行しようというのは恥知らずのものではないかという点を、法律の條文を引用しながら、前例を指摘しながらお尋ねしたのでありますが、次に私は日本人とそれから朝鮮人、あるいは日本人と中国人、とりわけ台湾——今まで中国人じやなかつた台湾人として取扱いをされていた人々との歴史的な関係言葉をかえて言うならば、日本が長い間朝鮮を植民地として領有し、あるいは台湾を植民地として収奪し、圧迫を加えておつた、こういう点から見て、私は歴史的な、民族的な情誼の立場から見ても、このような内容処遇を今それからの人々に対してやるべきではないという、少くとも歴史的、道義的な立場に立つものではないか、こういう点をお尋ねいたしたいと思うのであります。そういう立場に立つならば、こんな——事実上迫害です。事実上死刑の執行にもひとしいような非人道ぎわまるものであります。戰争だ、平和だという問題に関連しなくても、この人間の男女の結合、結婚あるいはその中に生まれた子供、こういうような点から見ましても、まことに残忍きわまるといつていいほど非人情的なものであります。明らかに迫害であります。こういうものを、迫害にかわつてむしろ積極的に保護を與えて行く、できるだけの援護を加えて行くという義務を、大きな意味日本人は持つておるのではないかと考えます。この質問理由つけるために、私は拾い見的に今までの歴史的な関係を取上げましても、一九一〇年、朝鮮合併で完全な植民地になりまして、そうしていろいろな朝鮮に対する施策の結果、一夜の間に東洋拓殖とか不二農場とか、その他日本人の有する大農場が、たくさんの朝鮮人の土地の取上げとともに発生し、でき上りました、しかもそうしてあの人々には米を食わせずして、南鮮を中心にした莫大な米の生産額を日本に持ち去ることができました。一九一九年の三月一日には、この圧制に耐えかねて、万歳事件が起きたのですが、これに対しては歴史上世界的に悪名高き残虐な弾圧が加えられて、一九二三年の関東大震災のときのあの恥智ずを、われわれははずかしく思うくらいであります。また満州侵略戦争が始まつて以来は、まことにばかげた皇民化運動というものがあつて、いろいろなときに日本臣民たるの自覚を朝鮮人に強制した、いわゆる皇国臣民誓詞というような愚挙が敢行された。名前を日本人名前にしろという規定改正が行われて、服装、言語、習慣を朝鮮人から抹殺してしまう残虐な、非文明的な、野蛮な措置が続けられた。一九四一年だつたか、真珠湾攻撃が始まる前後より、言語に絶する強奪的徴用、徴集によりまして、約二百万人ほどの朝鮮の青年が日本に引連れられて参りました。どういう状態で働いたか、私が言うまでもありません。人一倍働いて日本人の半額にも達しないような賃金、それも報国貯金で強制的に積み立てられ、送金の道は許されておつたが、それが送金しても、国元においては愛国貯金として、妻子には渡されなかつた、一九四五年八月十五日、やつとこのような苦しい弾圧の歴史から解放されることができたけれども、そのときに何が行われたか。徴用の無責任な解除であり、解雇であり、賃金の不拂いであり、貯金の不拂い、帰国旅費さえ無支拂いというような形で、お前たちはかつてにせいということで、今のような朝鮮人がたくさん日本の国内に投げ出されたのであります。やみによらざるを得ないのである。営業資金はだれも親切には貸してくれないし、民生安定のためにせめて土木事業にでも働かしてくれと言えば、そういうものはまるきり無策であるし、朝鮮人は至るところから締め出されて行つたのであります。しかも一方今言つたように、外国人であるということがはつきりしないというように、外国人としての待遇を受けるのではなくして、都合のいいところだけは日本人並にして、納税その他の義務を押しつけて、選挙権その他の市民権は一つもこれを與えようとしなかつた、こういうような状態であるのでありましてこれで今日本におる朝鮮人が健康を害した、あるいは生活能力を失つたり、かたわになつたりして、路傍にうろついておる人があつたとしても、それは朝鮮人責任ではないのでありまして、これこそ過去の帝国主義的な朝鮮支配の日本の姿そのものであります。こういうものをあつかましく、じやまだから出て行けというのは、まつたく人情知らずの人でなしの処置であると思います。こういう点から、第二点にお尋ねした点の御答弁をお願いしたいと思います。
  104. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 いろいろお話があつたのでありますが、あなたにかかるともう今回のこの法令は、すべて……(「あなたにかかるととは何だ、無責任なことを言うな」と呼ぶ者あり)しかしあなたの方では野蛮な政府であるとか、いろいろな……(「根拠があるから言つておる」と呼ぶ者あり)決して今の政府は野蛮なものではありません。  それから今回のことは、朝鮮の独立というようなことがありまして、もろもろの変化が起つて来るのでありまして、国籍の変更とか、こういう問題も、そういうことから関係して生じて来ている問題であります。それで今度のいろいろな法律におきましても、国籍がかわる人々にとりまして、急激な不利、不便、不都合のないように、一応の経過規定もつくられておるのでありますが、さらにたびたび申し上げておりますように、日韓会談におきまして、善良な人々が過度な不利、不便をこうむらないように、この会談の結果に基きまして、さらにいろいろな護を重て行きたいという二とになつておるのであります。たたそういういろいろ保護なり処遇考えております点を、本人みずからがこれを拒否するといいますか、これを受付けないというような人々に対しましては、これは遺憾ながら適当な措置が講ぜられないのじやないかと思いますが、その他の人々に対しましては、これは十分不利、不都合、不便のないように、諸般の処置を講じて行きたいというのが、政府考えております措置でありまして、これはもう何人が考えてもそういうふうにして行かねばならぬ問題であると思つております。
  105. 加藤充

    ○加藤(充)委員 もう一点。私はあなたと論争するつもりはないが、あなたが善良な朝鮮人に対しては、あるいは中国人に対してはと言うのはきわめて危険であります。善良と認定するのは一体だれです。時の政府生活を圧迫され、人権が蹂躙され、世界人権宣言や国連憲章にもとるような処置、日本国憲法にもとるような処置をされておるときに、それを抗議し、それを批判するようなことは、朝鮮人中国人にも、日本にいる限り許されてよいことだと私は思う。この点で善良なというのは、まことしやかなことを言つているが、羊の皮をかぶつたおおかみの親切だと思いますので、私は一点質問をつけ加えておきますが、私は日本がこれから必要とするものは、決して新しい戦争の道、戦争を予想し、戦争に身構えするというようなことからは出て来ないのであつて、他国との平和協力の道の上に、自由な海外貿易の発展の道の上にこそ、日本は自由にしておおらかな生成発展の道を、歴史をたどることができるのだと思うのです。これ二そが経済の交流と文化の繁栄をなし遂げる唯一絶対の民族的な血路であり、一線であると私は思うのです。ところが今審議されておりますような内容を持ちました入国管理令というようなものが出て参りますれば、これはアジアの孤児になり、今申し上げました大原則、私どもは唯一の血路だと思いますが、それにそぐわないことはなはだしきものがあると思うのであります。かかる方針、かかる態度は、いわゆる国家百年の大計を誤るものだと私は指摘し、断言してはばかりませんが、日本の自主独立をほんとうに考えますときには、その自主独立の道を断固としてこういうような法案の撤回から始めるべきである。みずから破滅の道を選ぶようなことをしては、後世の日本人に対して顔向けがならぬと思うが、あなた方は政府の一官僚とし、あるいはまた直接、間接に国家の政権を担当する内閣の重責をになう一人として、その責任に対しての見解をはつきりとこの際承つておく必要があるから、御明確な答弁を、簡単でもよろしいから承つて私の質疑は終ります。
  106. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 今回のこの法案を撤回するという考えは全然ございません。
  107. 仲内憲治

    仲内委員長 成田知巳君。
  108. 成田知巳

    ○成田委員 時間が、ございませんので、二、三簡単に質問したいと思います。  先ほど政府強制送還の数はまだはつきりわからない、また法令の規定は非常にやかましいが、これを真正面から適用する数は少いから、大した数は予想されない、こういう答弁があつたのですが、わからないと言つておきながら、今度の予算案を見ますと、予算説明書に、入国管理庁関係の費用として、護送牧容費を一億六千万円組んでおりますが、その内訳は不法入国者を強制送還するに必要な経費だと存ずるのであります。予定人員として一万三千人をすでに明記しておられます。政府はわからないとか、大した数ではない、こう言つておられますが、予算説明書にはつきり一万三千人という数字をあげておりますが、この数字は間違いないですかどうか、御答弁を願いたい。
  109. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 予算の提出にはいろいろ基礎棄しますので、基礎を積み上げました数字はただいまお話のようなところでございますが、これは過去の実績からそういう数字が出て参つたのであります。
  110. 成田知巳

    ○成田委員 どうもはつきりした答弁がないのですが、予算というものは国民の税金で拂つているのですからして大切なものです。それに一万三千人を算数の基礎としてあげられたということは、やはり一万三千人送還の予定である、こう了承しなければならぬと思いますが、それでよろしいですか。
  111. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 一万三千人きつちりと送らなければならぬという責任はないわけであります。
  112. 成田知巳

    ○成田委員 そんなことを聞いているのではない。わざわざ国民の血税でまかなつた財源で、一億六千万円の金を強制送還の費用として組んでおられる、その算数の基礎として一万三千人を強制送還するのだということを、はつきり予算説明書に書いてあるのですから、一万三千人が一万三千一人になろうが、一万二千九百九十九人になろうが、それは問題ではないのですが、やはり一万三千人見当を強制送還するという予定のもとに予算を組まれた、こう考えていいと思いますが、これはどうですか。
  113. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 予算と申しますのは、先ほども言いましたように、一応基礎を積み上げるわけでありますが、その基礎がそういうふうになりましたので、算数的に計算しますれば、そういうことになります。しかし現実の運用といたしまして、はたしてそれだけ帰りますかどうか、今申し上げるわけには行かないと思います。
  114. 成田知巳

    ○成田委員 一万三千人という数字は、そんなだらしのない数字なんですか。やはり予算に計上した以上、相当な確固たる根拠があつて、この一億六千万円という金を組まれたと思うのです。その基礎が一万三千人だ。やはり政府としては一万三千人は強制送還するという大体の方針のもとに、予算を出されたと思いますが、それはどうなんですか。
  115. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 非常にたくさん送り返さなければならぬ場合もありますし、また場合によりましては、そういう事実のない場合もあるわけでございますからして、年間としまして一応予算をとつておきませんと、もしそういうことになりました場合に困るわけでありますから、算数の基礎はそういうふうになつておりますが、実際問題としてはそれほどの数にはなるまいと思います。
  116. 成田知巳

    ○成田委員 それでは政府の御答弁によると、もしそういうことになることをおそれて、一万三千人の基礎に基いた一億六千万円という金を組まれたので、もしというので、事実上返す可能性はほとんどない、こう考えていいですね。
  117. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 可能性が全然ないということを申しますれば、予算はいらぬということになるわけであります。
  118. 成田知巳

    ○成田委員 ではもし必要ならという言葉はおかしいじやないですか。
  119. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 予算の編成上、そういう数字が出て参るというわけで、実際の問題といたしましては、本年度どういうふうになりますか、一万三千人必ず返すということは申し上げられない。
  120. 成田知巳

    ○成田委員 同じことを私は言うようでございますが、一万三千人必ずとは私は言わないのですよ。ただ予算として一億六千万円計上していらつしやる。その基礎の数字として、一万三千人強制送還するのだということを、はつきり予算説明書に書いてある。今の鈴木さんの御答弁を聞いておりますと、何か架空の数字に基いて予算を編成したことになると思いますが、こうなるとたいへんだと思う。もし必要があればという、もしというのは、ほとんどないという場合です、返さないと解釈していいのですか。
  121. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 架空の数字と申しましても、基礎はあるわけでございまして、かつて不法に密入国をして来た過去の実績が数あるわけであります。そういう中に、たとえば昭和二十一年のときは、一万七千人も密入国をしております。だんだん減つてはおりますが、そのくらい年間にはあるだろうと推定しました数字を、一応われわれとしては基礎に考えておるわけであります。
  122. 成田知巳

    ○成田委員 どうやらやはり一万三千人返す御方針のようですが、今密入国と言われましたが、これは私予算の分科会で政府に御質問して、この内訳を聞きましたら、内訳は現行犯が三千六百三十人、それから登録令違反が二千三百人、臨時措置令違反が八十人、結核患者三百人、貧困者が五千三百五十人、麻薬関係が四十人、暴力団関係が千三百人これで計一万三千になるのです。密入国は一つも入つていないのです。しかもこの予算説明書によりますと、不法入国者等の送還不法入国した人は一人もない。内訳は密入国はない。そして結核患者になつたから返すとか、貧困者だから返すとかなつている。この関係はどうなつているのですか、御説明願いたい。
  123. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 その数字は私が直接申した数字参では、ございませんが、その数字の中に密入国がないというのはおかしいと思います。何かの間違いではないかと思います。密入国に当る事項が……。
  124. 成田知巳

    ○成田委員 これは二月二十一日の予算委員会の第二分科会です。答弁されたのは大江官房長です、速記録に載つているから読んでみましよう。「政府のお出しになつている予算の説明書に一万三千人と書いてありますが、その一万三千人の内訳はどうか。」こう聞いたのです。そうすると大江政府委員答弁は「送還の内訳を申し上げますと、現行犯が三千六百三十人、登録令違反が二千三百人、臨時措置令違反が八十人、それから結核による退去者が三百人、貧困者退去が五千三百五十名、麻薬によつて逮捕せられた者が四十人、暴力団体として指定せられた者が千三百人、これが内訳であります。」こうなつております。そういたしますと密入国者関係はどこに入りますか。
  125. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 密入国者のは必ずそこに入つておるわけでございます。なお調べましてお答えいたします。     〔「現行犯の中に入つている」と呼ぶ者あり〕
  126. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると、今現行犯という助け舟が與党席から出ましたが、現行犯関係が三千六百二十人、このうち密入国者は現行犯という政府の御答弁つたのですが、三千六百三十人のうち密入国者関係の現行犯、それから犯罪を犯した現行犯がおるでしようからその内訳をひとつ御明示願いたいのです。
  127. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 現行犯は全部密入国のことをあげておるものと思います。
  128. 成田知巳

    ○成田委員 三千六百三十人の現行犯というのは全部密入国ですか、間違いないですね。
  129. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 まず過去の実績から申しまして、三千人ぐらいは密入国をしておりますので、その数字をあげておるわけであります。
  130. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、不法入国者というのは三千六百三十人が密入国であると一応仮定しましても、一万三千人のうち三千六百三十人、ところが政府はわざわざ予算に不法入国岩窟制送還の費用として一億六千万円計上している。一万三千人というのは全部が密入国であるというような印象を国民に與えようとしている。数字はまことにでたらめだと思う。インチキであると思うのです。どうお考えになりますか。
  131. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 不法入国者等ということで全体を表現しておりますが、主として出入国管理令対象になりますのが不法入国者である、密入国者であるという意味で代表的な項目をとつたわけでありまして、内容的に数字をごらんになると、密入国者より多い数字がほかにあるのは、いけないじやないかというお話は一応ごもつともな点もありますが、一応の表題といたしましては、われわれの方の護がそこにあるということを明示する意味で書いておるわけであります。
  132. 成田知巳

    ○成田委員 出入国管理令の目的とするものは不法入国者の取締りだ、こう言いながらその割合というものは一万三千人のうち——政府の言うことが全部正しいとしても、たつた三千六百三十人なんです。その他は不法入国でも何でもない。そうしますとその不法入国という言葉はいかにもインチキである。国民にあの朝鮮人はすべて不法入国しているのだ、それを返すというような印象をこの予算で示しているのです。まつたく不穏当な言葉だと思うのです。点もあるというのでは私ども納得できないと思うのですが、どうですか。
  133. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 この予算は出入国管理令が実施になりまして最初に組んだ予算でございますので、過去の実績から推定した数字でございまして、実際に管理令の第二十四にいろいろ項目がございますが、それに当てはめてこうなろうかという推定の数字であつて、われわれとしましてはいかような数字をあげるべきかいろいろ苦心をしたわ分でございますが、やはり出入国管理令の眼目は、不法な入国者というものを対象といたしておりますことにはかわりはないのでございまして、そのためにわれわれの方の、たとえば入国者収容所というようなものを大村に設けて、重点的に予算が支出されておるということは間違いないのでございます。
  134. 成田知巳

    ○成田委員 それでは結核患者を返すというのはどういうお考えなんですか。
  135. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 それは何か間違いであろうかと思います。結核患者であるからただちに返すということはないと思います。その点は調べまして御報告いたします。
  136. 成田知巳

    ○成田委員 それから朝鮮人関係生活保護を受けている者は六万人、しかも生活保護を受けているからすぐ返すということは考えていない、こういうことを政府は御答弁なつているのです。この予算委員会における政府答弁を見ましても、貧困者関係五千三百五十名となつておる。そうしますと、相当量の者は貧困であるがゆえに返される、こうなると思うのです。この数字もやはり間違いでありますか。
  137. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 たびたび申し上げておりますように、貧困者であるからすぐ返すということはない。そのうちでいろいろと個々のケースに当りまして、公共の福祉に反する——積極的に害毒を流すような人たちを返すという建前でございますので、その数字の積算盗くむずかしいのでございます。一応そういう数字をあげておりますが、実際問題としてはどういうことになりますか、個々のケースに当つてみないとわかりません。
  138. 成田知巳

    ○成田委員 結核患者の三百名は間違いだというのですが、貧困者の五千三百五十名は間違いとお認めにならないのですか。全部一度調査されたらどうですか。
  139. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 予算の推定でございますので、それは間違いであるかどうかという点については、間違いであるとは申し上げられません。
  140. 成田知巳

    ○成田委員 そうではないのです。この五千三百五十名は、現実に返されるかどうかということを、私聞いているのではない。五千三百五十名の数字そのものが間違小かどうかということを聞いておる。そんなでたらめな答弁政府がされているなら、この五千三百五十名というのは、今の政府が言われるように、貧困者であるがゆえに返すということはほとんどない。よほどの場合でないと返さないと言つているのですから、結核患者の三百人が間違いということですから、五千三百五十へというのも間違いじやないですか、どうですか。
  141. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 おそらく六万人に対しまして十人に一人はそういう人がありはしないかという考えではないかと思いますが、これはあとで調査いたしまして申し上げます。
  142. 成田知巳

    ○成田委員 どうも数字そのものが怪しくなつて来た。登録令違反二千三百名となつておりますが、先ほど政府答弁大韓民国国内法がきまつた場合に、国籍の問題、登録令違反の問題がまた起きて来るのですが、この二千三百名はすでにそういう者を予想した数字でありますか、予想しない数字なのですか、どちらですか。もう一度申しますと、韓国国内法国籍の問題がきまる、その関係日本の登録法の問題が起つて来る、そして登録法違反だ。その新しい二千三百名というのは、そういうケースも考えた二千三百名でございますか、それともその者は入つていないのですか。
  143. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 それは新しい管理令ができた、あるいは登録法ができたということを前提にして計算したものと思います。
  144. 成田知巳

    ○成田委員 日本の登録法ができたというのではなしに、大韓民国国内法国籍の問題が決定される、そうすると日本の登録法の関係が起きて来るのですが、それを予想した二千三百名と考えていいのですね。
  145. 鈴木一

    鈴木(一)政府委員 さように考えます。
  146. 成田知巳

    ○成田委員 どうも答弁があいまいですが、これ以上数字の問題については伺いません。
  147. 守島伍郎

    ○守島委員 議事進行について。政府答弁は、もう少し御調査をなさつて、そうしてはつきりしたことを答えていただきたい。そのために、もう一ぺん再調査して報告するということを言明していただきたいと思います。
  148. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 たしか予算委員会分科会のときの答弁は、大江官房長と会計課の人々が来ておつたときのことであつたと思うのであります。その当時、出入国管理庁の人はだれも来ておらなかつたと思うのでありまして何かその間にいろいろ行き違い等があつたのかもわかりませんから、これはいずれ調査いたしまして、次の機会にあらためて数字を申し上げて御説明をいたすようにしたいと思います。
  149. 成田知巳

    ○成田委員 十分御調査願いたいと思います。ただ数字としては実によく合つている。一万三千にちやんとなるのですから、根拠がある数字だと思います。  それから次にお伺いいたしたいのは、先ほど政務次官は、終戦前から長く日本内地にいた朝鮮人の方は、特別の理由がない限りは強制送還考えていない、これは別の法律で定めるのだ、こういう答弁がありました。この別の法律というのは、どういう具体的な内容も持つものであるか、今国会にお出しになるのか、その内容は、たとえば登録令違反があつた場合についても、こういう長く日本にいた朝鮮人の方は、たとい登録令違反があつて強制送還をしない、こういう例外規定を設ける御意思であるかどうか、それを一はつきりしていただきたい。
  150. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これはただいま目撃襲いろいろやつておりますので、その会談の結末がいつになるかということによりまして、その結果、出します法律案の提出の時期というようなことはきまつて来ることになると思いますので、今ここで私はつきりしたことを申し上げることはできないと思います。  それから先ほども申し上げておりますように、やはり登録法とかいろいろの法令は一応それを遵守して行くという建前に前提としてはなるのではないかと思うのでありますが、そこらの関係も、まだ日韓の交渉におきましていろいろ討議論議されることと思いますので、これまたここではつきりしたことを申し上げる段階でないと私は思つております。
  151. 成田知巳

    ○成田委員 提出の時期は、日韓会談がきまらなければ、それはできないと思いますが、政務次官の御答弁では、終戦前から長く日本にいた朝鮮人の方は、何といつて日本にいてもらいたいのだ、強制送還すべきじやないのだ、こういう特別な立場で特例を設ける法律をお考えなつておるのですから、これは日韓会談の結果いかんにかかわらず、趣旨からいつて、当然そういう意味内容法律ができなければいかぬ。もし登録令違反の関係はそういう場合に該当しないということになりましたら、事実上長く日本にいた朝鮮人の方も、登録令の関係でその恩典に浴せないということになる。従つてもしほんとうに長く日本にいた朝鮮人の方に対して強制送還をやらないという御趣旨ならば、登録令関係についても例外を認める、こうならなければ趣旨は徹底しないと思うのですが、どうですか。
  152. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 先ほど申し上げましたのは、言葉についてはいろいろ批判はあるかもしれませんが、終戰前から日本在留しておりますいわゆる善良なる朝鮮人々に対しまして、過度に不利や不便のないように措置したい、こういう問題について、日韓の間で今交渉が行われ、何らかそこに過渡的な法制ができるのではないかということを申し上げておるのでありまして、それ以上のことをここで申し上げることは、これまたはばかつておきたいと思います。
  153. 成田知巳

    ○成田委員 先ほどの答弁と今の御答弁と食い違つておりますが、先ほどは、長く日本におられたような方は、特別の事情がない限り強制送還対象にしないと言われた。ところが今は「善良」ということで逃げられているのですが、どちらがほんとうですか。
  154. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 たしか先ほども「善良なる」という言葉は申し上げたと思うのであります。「善良なるとは何だ」というようなことをそちらの方の席から発言があつたようにも覚えておりますので、たしか「善良」ということは私は申し上げておると思います。
  155. 成田知巳

    ○成田委員 善良ということは当然なんでしようけれども、日本内地に長くおられたということも、あなたは言われたと思うのです。今まで日本内地に長くいて、日本の税金も拂つて来て、日本人と一度に生活して来た、こういう人は当然善良ということになると思うのです。その一つの具体的な例として、長く日本にいた人は強制送還しない、こういうふうに御説明になつたのではないですか。
  156. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 先ほどの話のときも最後に私は、本人みずからがいろいろのそういうことを拒否するといいますか、そういうあれを受けないという人々に対しては、どうも遺憾ながら適当の措置がないのではないか、ということを最後に申し上げているわけでありまして、会談の結果によつてどうなるかわかりませんが、おそらく常識として考えましても、一応法律建前を尊重し、それに基いて行く、こういうことに大前提としてはなるのではないかと思つております。
  157. 成田知巳

    ○成田委員 拒否すると言われたのですが、それはたとえば登録法関係なんかで、登録を拒否する、こういう場合をさしていらつしやるのですか。
  158. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 だんだんとお尋ねでありますが、たとえば韓国ミッシヨンを通じて登録申請をするというような場合に、自分はそこを通じないとか、その証明は自分はもらわぬとか、そういうことなども、あるいは拒否するというような事例に該当するのではないかとも考えられます。
  159. 成田知巳

    ○成田委員 その問題で、先ほど政府の御答弁によると、朝鮮の場合は問題はない、しかし中国の場合にはいろいろケースを考えなければいかぬ、こう言われたのですが、なぜ中国朝鮮を区別されるか、その理由をはつきりお示し願います。
  160. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 朝鮮は今回ここに平和條約発効によりまして朝鮮という一つの独立国が生じまして、それに伴いまして、いろいろの国籍の離脱、変更というようなことが起きて来るわけであります。台湾関係の方は、国民政府というものは従前からあるのでございまして、台湾及び澎湖島に関するそこらの人々取扱いの問題がどうなるかということがこれから生じて来るのでありましてそごに相違はあると思います。
  161. 成田知巳

    ○成田委員 中国の場合でございますが、たとえば毛沢東政権の支持者ですね、その人々日本内地に来ていてその登録の問題が起きた場合に、蒋介石政権は認めないから、自分たちは蒋介石政権の登録は受けない、こうなつた場合はどうお取扱いになりますか。
  162. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 私からお答えいたしますが、中国人の場合につきましては、私は二通りあると思うので、わけて御説明しないと、なかなか御了解が得られないのではないかと思います。一つは従来の台湾人の場合と、もう一つ本来の中国人と申しますか、いわゆる本土人と申しますか、そういう場合と二通りあるのではないかと私は思うのであります。  まず第一の台湾人、つまり台湾に本籍を有する方々につきましては、先ほど来御説明のように、平和條約発効と同時に日本国籍を離脱するということで、平和條約発効後は、日本管理令、登録令によつて外国人として扱われることになる。従いましてその台湾人がどういう国籍を取得するかということは、また今後の問題であります。  もう一つの本来の中国人の場合は、ただいま提出になつております法律案の第二條の第一項第二号に「昭和二十年九月二日以前から引き続き外国人として本邦在留する者」とありまして、従来日本に長く中国人として住んでおられた方は、新しくこの第二條第二項の規定によつて管理令による在留資格を申請しなければいかぬ、かようになつておるわけであります。その場合にどういう国籍かという点は、この管理令では、従来の中国ということで、あえて国民政府かどうかという点は問わない、こういうふうに考えております。ただ、まぎらわしいから、もう一度つけ加えますが、台湾の場合は、ただいま日華会談とかそういうことで、いろいろと内容が今後はつきりいたして来ると思いますので、それがはつきりしたところに従つてわれれわの方もそれによつて措置する、かように考えております。
  163. 成田知巳

    ○成田委員 中国人の場合は、台湾政府かあるいは毛沢東政府かは問わない、こういう御趣旨だと思います。なぜ朝鮮の場合、大韓民国だけを認めまして、どちらでもいい、いずれかは問わないというお取扱いをしなかつたのですか、そこを私は聞いておきたいのです。
  164. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 それは先ほど来、るる御説明がありましたように、根本的な問題として日本大韓民国朝鮮の統一政権として交渉するかどうかという問題によつてきまる問題であつて、これ以上御説明いたしましても、いたし方ないと思います。
  165. 成田知巳

    ○成田委員 やはり韓民国政府朝鮮の統一政権と考えられておるわけですか。
  166. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 それは先ほど来たびたび申し上げております通り、その通りでございます。
  167. 仲内憲治

    仲内委員長 連台審査会はこれにて散会いたします。     午後一時十五分散会