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1952-06-18 第13回国会 衆議院 外務委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十八日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 仲内 憲治君    理事 足立 篤郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 佐々木盛雄君 理事 並木 芳雄君    理事 戸叶 里子君       植原悦二郎君    菊池 義郎君       北澤 直吉君    飛嶋  繁君       中山 マサ君    守島 伍郎君       山本 利壽君    立花 敏男君       黒田 寿男君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁管理部         長)      長岡 伊八君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      中村 文彦君         検     事         (法務府検務局         長)      岡原 昌男君         外務政務次官  石原幹市郎君         外務事務官         (アジア局長) 倭島 英二君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (国際協力局         長)      伊関佑二郎君         参  事  官         (外務大臣官房         審議室勤務)  三宅喜二郎君  委員外出席者         專  門  員 佐藤 敏人君         專  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 六月十八日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として立花  敏男君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十七日  伊丹飛行場拡張に関する請願佐々木盛雄君紹  介)(第三八八一号) の審査を本委員会に付託された。 同日  爆撃演習地施設地域指定撤廃に関する陳情  書(第二五〇  六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会審査に関する件  委員派遣に関する件  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――   請 願  一 安全保障條締結に伴う駐留地域決定に    関する請願宮原幸三郎君外七名紹介)(    第六一五号)  二 同(大石ヨシエ紹介)(第一三一七号)  三 同(永井要造君外三名紹介)(第一四四五    号)  四 行政協定に伴う旧軍港施設の利用に関する    請願宮原幸三郎君外三名紹介)(第一二    一七号)  五 同(大石ヨシエ紹介)(第一三一八号)  六 同(宮原幸三郎君外三名紹介)(第一三四    七号)  七 同(大石ヨシエ紹介)(第一三四八号)  八 同(大石ヨシエ紹介)(第一三九四号)  九 同(宮原幸三郎君外三名紹介)(第一三九    五号) 一〇 行政協定に伴う基地供與地域及び施設の一    部除外に関する請願宮原幸三郎紹介)    (第三二七九号) 一一 佐世保市名切谷地区の接収土地返還に関す    る請願北村徳太郎紹介)(第三三〇三    号) 一二 小牧飛行場拡張に関する請願(多武良哲三    君紹介)(第三四二二号) 一三 海外胞引揚促進等に関する請願青柳一    郎君紹介)(第一一七四号) 一四 同(小澤佐重喜紹介)(第二三五三号) 一五 同(高間松吉君外二名紹介)(第三四九三    号) 一六 ルバング島残留同胞救出対策確立に関する    請願山口六郎次紹介)(第二四三〇    号) 一七 元小笠原諸島在住者帰郷促進に関する請    願(菊池義郎紹介)(第一八三九号)   日程追加  一 伊丹飛行場拡張に関する請願佐々木盛雄    君紹介)(第三八八一号)     ―――――――――――――   陳情書  一 在外同胞引揚完了に関する陳情書    (第一八    号)  二 在外同胞引揚完了に関する陳情書外一件    (第一二二号)  三 在外同胞引揚完了に関する陳情書    (第三〇三    号)  四 在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関    する陳情書    (第八三二号)  五 抑留同胞引揚促進及び留守家族厚生援護    の強化に関する陳情書    (第一一二六号)  六 在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関    する陳情書(    第一一九〇号)  七 在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関    する陳情書    (第一三〇九号)  八 同    (第一三一〇号)  九 未帰還同胞引揚促進並びに在外戰犯者の    減刑内地送還に関する陳情書    (第一五四一号) 一〇 在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関    する陳情書    (第一五四二号) 一一 未帰還者救出並びに戰犯者減刑等に関す    る陳情書    (第一八三六号) 一二 引揚問題根本的解決に関する陳情書    (第一八三七号) 一三 在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関    する陳情書    (第二三七八号) 一四 沖繩小笠原諸島日本行政行使陳情書    (第六    六五号) 一五 行政協定により駐留すべき米国軍部隊に関    する陳情書    (第一三一四号) 一六 大矢の原を演習地として接収反対に関する    陳情書(第二〇    一一号) 一七 久住高原を演習地として接収反対に関する    陳情書    (第二一    〇九号) 一八 同外二件    (第二一一〇号) 一九 行政協定に基く富士裾野演習場拡張反対の    陳情書(第    二三八〇号) 二〇 富士演習地拡張反対に関する陳情書    (第二三八一号) 二一 真珠貝採取事業に関し濠州政府漁業條約    早期締結に関する陳情書    (第一八三八号) 二二 小笠原島民帰郷促進に関する陳情書    (第二二二六号) 二三 国際労働條批准促進に関する陳情書    (第二三七七号) 二四 海外移住促進に関する陳情書    (第二三七九号)     ―――――――――――――
  2. 仲内憲治

    仲内委員長 ただいまより外務委員会を開会いたします。  まず閉会審査の件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、今会期の初めに国政調査承認を得まして、国際政治及び経済に関する事項国際情勢に関する事項の二項目につきまして、種々調査研究をいたして参りましたが、閉会中もなお継続して審議をいたしたいと存じます。それゆえただいまの二項目につきまして、閉会審査議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 仲内憲治

    仲内委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。ただいまの閉会審査の件が議院の議決で当委員会に付託されました場合には、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさようとりはからいます。  なお派遣委員期間派遣地人選等決定につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 仲内憲治

    仲内委員長 それではまず国際情勢等に関する件について質疑を行うことにいたします。質疑を許します。並木芳雄君。
  8. 並木芳雄

    並木委員 昨日からけさにかけてラジオ新聞をにぎわしております参議院政府答弁についてお尋ねをいたします。それは日本国中華民国との間の平和條約に関する問題でございます。第一條に「日本国中華民国との間の戰争状態は、この條約が効力を生ずる日に終了する。」となつております。この点はかつて外務委員会でも政府に対して、しばしば質問をしておつたのですけれども、そのときの答弁と昨日の参議院における答弁と食い違つているようでございますが、いつでも政府新聞が云々というようなことで逃げますから、まず昨日の答弁はどういう答弁をしたのか。それを確かめてから質問に入りたいと思います。
  9. 倭島英二

    ○倭島政府委員 不幸にして昨日ちようど参議院質問応答のありました十数分間を席にいませんでしたので、私自身は昨日の模様を直接聞いたということではありませんけれども、けさまた関係者からいろいろ聞いて参りましたので、その結果をあわせて御説明を申し上げたいと思います。  昨日の質問並びに答弁も、これまで衆議院の当委員会で御説明を申し上げておつたのと、趣旨においてはかわりないのでありますけれども、ただ言葉が少し足らなかつたようでございます。特に昨日は中華民国という言葉かわり中国という字が使われて、それでいろいろ何と申しますか誤解というか、余分な疑問なり答弁なりというものが行われたようでございます。それで何かさらに御疑問がございますれば補足をしたいと思いますけれども、この第一條に書いてあります通りに、この條約は中華民国との條約でございます。中国とは書いてございません、中華民国との條約でございます。それから第一條規定するところも「日本国中華民国との間の戰争状態は、この條約が効力を生ずる日に終了する。」、中華民国の関する限り、あるいはわが国中華民国との関する限り、この第一條規定通りというふうになるわけでございまして、そのように御了解願いたいと思います。中華民国かわり中国ということになりますと、中国という言葉そのもの、あるいは中国というのは古くから歴史的に使われている古い国名でございますけれども、この條約の第一條との関係でそれを引用いたしますと、多少観念の混同を来すことになるわけでございます。
  10. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、答弁に立つた政府委員は昨日の答弁を取消す意思がありますか。
  11. 倭島英二

    ○倭島政府委員 取消というよりも、今申し上げましたように、現在法律上あるいは條約上使われておるいわゆる中国国名そのものは、わが国の関する限りにおいては中華民国でございます。中国というのは、今もちよつと御説明いたしましたように、古くから使われておる国名でございまして、たとえば清も入れば、もつと古い古典的なときから中国という国名が使われております。これは歴史的な、包括的な、時からいつて期間が長く使われておりますし、それから地域からいいましても、ずいぶん広く使われておる国名とわれわれ承知しております。従つて時間的にも中華民国という国名よりは長く使われた言葉、それから地域的にも中華民国という国名よりはもつと一般的な、ルースな使い方をされておる国名を使いますと、この中華民国はつきり書いておりますことと、多少違つて来るわけでありまして、その点はむしろ包括的な言葉使つてきのう説明をし、それで特殊な事態を議論したところに、多少の誤解が起きたわけでありまして、きのうの説明を取消すということよりも、言葉が足らなかつたというように御了解願いたいと存じます。
  12. 並木芳雄

    並木委員 日本の関する限り、中国とは中華民国のことを意味する、こういう了解になるとのことならば、それはまた新しい解釈としてそれでもいいでしよう。今後そういうふうに了解するというならばそれでもけつこうだと思うのです。そうすると、中華民国、すなわち倭島さんのおつしやる中国支配の及ばない現在の中共政権のもとにある区域は、日本の関する限り、これからどういうふうにお呼びになりますか。
  13. 倭島英二

    ○倭島政府委員 さらに今御意見のありました点について、ちよつと補足さしていただきたいと思います。私が今申し上げたのは、この條約の締結にあたつて日本の関する限り、中国というものの中で交渉相手となり、締結相手となつたの中華民国であるということを申し上げたわけであります。中国と言えばいつでも中華民国ということを申し上げたわけではないのでありまして、ことに第一條関係において、「中華民国」と書いております。それからこの條約の中でもすでに御存じ通りに、第四條、第五條には中国という言葉使つております。これは実はサンフランシスコ條約でもすでに使われた言葉でもありますし、サンフランシスコ條約等ですでに事実として生じた事態を引用しておりますので、同一の言葉を使つた。それからさらに第四條の関係からいたしましても、中国という字を使つておりますけれども、これは中華民国だけではなくして、清国との間に結ばれた條約ということも入ります。先ほど申し上げましたように、中国という言葉中華民国以前から使われておりますので、それで第四條に引用しております中国との間で締結された條約ということは、中華民国並び清国というわけでございまして、従つてここに中国という字を使つておるわけであります。それが一点。もう一点は、現在この條約で規律しました事態の関する限りにおきまして、中華民国というのは、領域中国大陸、従来いわゆる中国大陸並びに付属島嶼ということを中華民国政府主張しておりますし、その主張に対してわが国もこれを了承して、この條約が結ばれたわけでございまして、法律上あるいは條約の規定におきましては、中華民国というものは、そういう意味範囲を包括するわけであります。
  14. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、また少しわからなくなつて来たのです。中共政権があることを政府は認めております。その支配下がかなり広きにわたつていることを認めておる。その区域中華民国と区別するために、今後政府はどういうふうにお呼びになりますか。政府の都合のよいように、ときによつてこの條約に関する限り中国とは中華民国意味するのだというふうに逃げられてしまえば、のらりくらりの押問答になると思うのです。従つてはつきり言つていただきたいのです。中共政権存在を認めている――認めているというのは承認というのではなく、存在があるということを認めている日本政府としては、今後中共政権下区域をどういうふうに呼ぶか、これを明言していただきたいと思います。
  15. 倭島英二

    ○倭島政府委員 何かそういうことで言わなければならないときには、たとえば中華民国政府支配のもとにない地域というような表現を使う場合もあるかもしれませんし、あるいは今お言葉のように、中共政権というものはわが国法律上の正式な関係はございませんが、何らかのかつこうでこれに言及しなければならぬときには、中共政権というものが中国大陸にある程度の支配を持つておるということは事実の問題でございますから、事実の問題に言及する際には、そういうような表現を使わなければならぬかと存じます。
  16. 並木芳雄

    並木委員 中共政権支配をしている、区域がある。そこには今の蒋介石政権支配が及ばない。そうすると、蒋介石政権すなわち中華民国との間の戰争状態は、この第一條終了いたします。しかし残る中共政権日本との状態はどういう状態でございますか。
  17. 倭島英二

    ○倭島政府委員 何ら現在関係はございません。
  18. 並木芳雄

    並木委員 そういうことになると、どうもしろうとのせいかわかりません。関係がないと言いますが、もう少し詳しく言つてもらいたい。つまり戰争から戰争終了――ソ連との関係では、この前休戰状態だというふうな説明がありましたが、休戰とか戰争終了状態とかいろいろ国際法上の状態があるわけです。その国際法上の状態においてどれに当るものであるか、もう少し詳しく言つていただきたい。
  19. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、中華民国政府領土は、中国大陸並びに付属島嶼という建前なつております。従つてこの條約におきまして、第一條のごとく、「中華民国との間の戰争状態は、この條約が効力を生ずる日に終了する。」ということを合意したわけでありますから、中華民国領土に関する限りにおいては、法律上あるいは條約上戰争状態終了するという建前になることもちろんであります。ただそこへ、御承知通り、現実の事態は普通の国家間にある事態はちよつと違つておる。つまり支配というものが及ばないという状況になつておりますからして、戰争状態の実際の効果といいますか、そういうものは交換公文の第一号にございますように、適用範囲というところにひつかかつて来るわけでありまして、この実際の効果というものは現われないという建前であります。
  20. 並木芳雄

    並木委員 中共政権との間に何も関係がないということは、ちよつとピンと来ないのです。どういう場合に関係が出て来ますか。今の中共政権支配している区域日本との関係が、どういう状態なつたらどういう関係が出て来るか。
  21. 倭島英二

    ○倭島政府委員 中共政権が現在支配している範囲地域の、たとえば物資だとか人だとかいう問題については、別に具体的な関係を生ずるかもしれませんが、御存じ通り中共政権というものは、従来日本は條約上も法律上も認めておりませんし、何ら関係がございませんから、中共政権というものを法律上あるいは條約上考える関係がないわけなのであります。
  22. 仲内憲治

  23. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私がかつてこの委員会におきまして、日華平和條約の審議に際して政府見解を求めたのに対して、当時政府側答弁しておりましたことと、ただいま政府委員から承ることとの間に、非常な差異が生じております。私は、中華民国支配する領域は、台湾澎湖島はもとよりのこと、中国本土をも含めておるという見解中華民国側主張しておるから、従つて日本も当然これを認めての今度の條約ではなかつたか、それを認めないことは国際信義にも反するのじやないかということを追究いたしたのであります。当時これに対して政府委員の方々は、まつたくあいまいな態度をおとりになつておつた。ただいま承りますと、明らかに中華民国領土は、台湾澎湖島のみならず、現に実際的には中共政権支配下に置かれておる大陸本土をも含めておるというような答弁でございました。従つて私はこの際もう一度はつきりと確認しておきますが、かつてあなたが当委員会において説明された当時と今日との間におきましては、政府見解がはたしてかわつて来たものかどうか、もう一度はつきりした見解を表明しておいてもらいたいと思います。
  24. 倭島英二

    ○倭島政府委員 言葉がへたですし、どうも説明が足りなかつた点がありますので、私の意思あるいは日本政府が現在考えておるところを伝えそこなつたかと思いますけれども、大体同じことを説明いたしおるとわれわれ考えております。この條約の前提ということで、中華民国領土はどこかという御質問がございましたのに対して、中華民国政府中国大陸並びに付属島嶼がその領土だという建前をとつておる、あるいは主張をとつておるということはこの前も御説明いたしました。それに対して、日本政府はそれを認めるのかという御質問もあつたと思いますが、その点は先ほどもちよつと申しましたが、向うがそういうことを言つておるのは承知しておりますし、了承しております。しかしながらこの條約そのものえ、たとえば中華民国領土はどこということを書く建前ではございません。中華民国領土はどこと規定するようなことを書く、あるいはそういうことを企図いたしますと、日本領土はどこどこであるというようなことを書かなければならぬ、そういうことはこの條約の直接の目的ではございません。それは領土自身規定するための條約を結ぶことがありまして、その際には同国の、あるいはどこの政府領域はどこだということを明記する場合があると思いますけれども、大体平和條約とかこの種の條約におきましては、相手の国の領土をどこかで明確に規定して、あなたの領土はここであるというような合意を書く例はほとんどないように承知をしております。言葉がこの前の説明では足らなかつたと存じますが、要するにこの條約においては、中華民国領土はつきりとここであるということを規定する建前のことはとつておらぬという意味でございまして、向う側がその領土についての主張を持ち、それをどう主張しておるかということを承知し、またそれを了承して、それについて問題を提起しないでこの條約を結んだというふうに御了解おきを願いたいと存じます。
  25. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 簡単に申しますが、この日華平和條約と関係なしにお考えを願いたい。日華平和條約と関係なくして、中華民国支配する領土はどこかという立場から考えますならば、中華民国政府側においては台湾澎湖島のみならず、中国本土をも含むと言つているのでありますから、従つてまた日本もこれを了承している、こういうような先ほどの御説明であつたと考えますが、そうでございますか。
  26. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今のお言葉の中に「支配する」という字が入りますので、ちよつとそこでまた私の意見を申し上げなければならぬと思いますが、中華民国自国領土であると主張しているのは中国大陸並びに付属島嶼であります。これは主張並びにそういう建前であります。ところが現在支配しているところはどこかということになりますと、台湾澎湖島ということになるわけであります。そこが、支配という観念が入りますとぐつと限られて来ると存じます。
  27. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 大体中華民国政府側においては、台湾澎湖島並びに中国本土をもつて自国領土としておる、日本政府もそれを認めておる、こういうふうな御趣旨のように承りました。そこで日本はよく台湾政府承認していないとかいうような論議もあるわけでありますが、あらためて日本台湾政府承認する必要もなく、すでに日本承認いたしておりますものは中華民国政府であると考えます。従いまして私は今日の中国を代表する政権といたしましては、中華民国政府代表政権として日本側は認めておるのである、そういう立場から今度の條約が結ばれたものであると考えますが、いかがですか。
  28. 倭島英二

    ○倭島政府委員 今のお言葉を多少返すようでありますが、台湾政府というのはちよつと困るのでありまして、この点は政府見解と大分違います。(「吉田首相は古湾政府と言つたよ」と呼ぶ者あり)それは何らかの言い間違いか、言葉が足らなかつたのだろうと存じます。それから中華民国といいますのは、従来から日本との間に交渉のある国であり、中華民国政府というのは、日本との間に交渉のある政府であります。一九四八年までは中華民国国民政府といいましたけれども、国民をとつてそれ以後は中華民国政府といつておるのでありますが、とにかく中華民国政府というのはわが国と従来から今渉のある政府でございますから、これをたとえば承認するとかしないとかいう問題は起きない。従つてわが国に関する限り、中国ということを條約上使われる言葉で申しますれば、中華民国というのが、従来から交渉し、現在も交渉の対象となつておる国であり、中華民国政府がその政府であります。
  29. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 従つて中華民国政府は、中国を代表する政権という見解政府はとつておるのでありますか。
  30. 倭島英二

    ○倭島政府委員 わが国に関する限りそうであります。
  31. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 しからば今度の平和條約の第一條にある戰争状態終了ということは、台湾澎湖島のみならず、中国全土との間にも、法律上は効力が生じて来るという昨日の参議院における下田條局長答弁は、私はただいまの論理から推して行つて、まことに正しい結論であると考えますが、政府のこれに対する見解をあらためて承つておきたいと思います。
  32. 倭島英二

    ○倭島政府委員 その通りであります。
  33. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 そういたしますと、きのう並びに本日の政府当局の考え方からして、戰争状態終了というものが、今度の日華平和條約によつて台湾澎湖島をも含めた中国全土との間に法律上の効力を発生する、その結果、将来中共との講和を法律上不可能に追い込んでしまうのだという説をなしておる向きもあるようでありますが、私はそういうことは法律上は考えられないと考えます。ただ実際上ある、いは政治上の問題といたしまして、そこにいろいろ複雑微妙な問題が生じておることは当然考えられるわけでありますが、私は法律上の立場から申しますと、中共との講和を不可能にするというような、二者澤一的なものではないと考えるわけでありますが、それらの点はいかがでありましようか。
  34. 倭島英二

    ○倭島政府委員 戰争だとか平和だとかいう問題は、私の了解するところによりますれば、国と国との関係だと存じます。従つて先ほどから申し上げておりますが、わが国に関する限り、現在の、いわゆる従来いわれておりました中国の條約上使用すべき国名は、中華民国と心得ております。従つて中華民国との間において、戰争状態はこの第一條によつて終了するという建前になること御存じ通りであります。ただしかしながら、この第一條につきましても、先ほどから繰返し申し上げておりますように、実際の事態というものが普通の二国間の状態と違つて来ております。つまり実際上支配下にない地域がありまして、その地域に関する限りにおいては、適用範囲と申しますか、その効果が発揮せられることができ得ない状態にあります。従つて一條効果が発すると言われるのは、多少われわれの見解と違いまして、そういう第一條建前になることは、先ほどから申し上げる通りでありますけれども、効果そのものは実際上発揮し得ない状況にあると存じます。
  35. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 先ほどからの御説から推して参りますと、今度の日華條約が締結された以上、少くとも法律的には中共政権日本との間に、今回の日華平和條約のようなものがまた締結されるというようなことは、考えることがきわめてむずかしいという結論に到達するわけでありますが、その点につきましての政府見解をお尋ねいたします。
  36. 倭島英二

    ○倭島政府委員 その点私ちよつと申し上げたと思いますが、政府政府との間の平和條約ということはちよつとおかしいわけでありまして、国と国との條約であります。従つて実際問題として中共政権が実力を持ち、一つの行政を行つておるということでありましても、それが国としての一つの建前をとつておる場合は別であります。まあそれは将来のことでありますから、この際私は見解を申し上げる限りでないと存じますが、條約は、ことに平和條約というようなものは、国と国との関係であります。従つて政府政権との関係ということは起り得ない。先ほどから申し上げておりますが、日本国中華民国との間の戰争状態は、第一條規定しておりますように、この條約が効力を生ずる日に終了するという建前なつておるわけであります。
  37. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 そうすると、戰争状態並びにそれの終了に関する限りにおきましては、中共日本との間には、今後とももはや問題を残す余地はないという考えですね。
  38. 倭島英二

    ○倭島政府委員 中共という言葉がまたはなはだあいまいな言葉であると存じます。これが一つの政府意味するものなら、ばないと思います。
  39. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 くどいようですが……。従つて戰争状態に関する限りは、俗称中国、正しく申しますならば中華民国との一切の関係、すなわち地域的に申しますれば台湾澎湖島並びに中国本土日本との関係は、今度の日華平和條約によつて終了してしまう、従つてもはや戰争状態に関する問題は、台湾においても中国本土においても、法律上は残るはずがないという見解でございますね。
  40. 倭島英二

    ○倭島政府委員 中華民国わが国との関係においてはさようであります。
  41. 黒田寿男

    ○黒田委員 関連して……。この問題は、大体先般議論は済んでおつたと思うのでありますが、昨日の参議院質問応答の中からまた問題が起つで来ましたので、簡單にもう一度お尋ね申し上げてみたいと思います。     〔発言する者あり〕
  42. 仲内憲治

    仲内委員長 静粛に願います。
  43. 黒田寿男

    ○黒田委員 一体、中国という国がどういう国でありましようとも、またそれを代表しております政府がどのような性質の政権でありましようとも、とにかくこの日華條約は、中華民国と称するものが現在支配をしておる地域に適用せられる條約にすぎないものと私どもは解釈しておつたのであります。そうなつて来ると、現在適用せられる範囲は、台湾及び澎湖島であつて、決して中国本土ではない。あるいは将来中国本土もそういうことになるかしれない、あるいはならないで終るかもしれない、将来のことはわかりませんが、現在はこの條約の適用範囲は、台湾及び澎湖島と解釈するよりほかないと思う。日華條約の第一條には、「日本国中華民国との間の戰争状態は、この條約が効力を生ずる日に終了する。」ということになつておりますが、参議院で問題になりましたのは、この戰争状態終了が、いわゆる中国本土に及ぶものかどうかというようなことであつたのではなかろうかと私は想像します。現実に質問応答を聞いておりませんでしたので、はつきりしたことは言えませんが、そこで私はこう考えます。戰争状態の終結ということをこの條約でうたつておりますけれども、この條約の適用範囲は、現在では中国本土には及ばないのでありますから、従つて事実上中国本土戰争状態終了するということが、この條約の効果として発生すべきものではない。なぜならば、繰返して言えば、中国本土にはこの條約は適用されないからであります。この條約が適用されないのであれば、第一條の條項も中国本土には適用されないと私は解釈せざるを得ない。だからやはり戰争状態の終結は、中国本土には及ばない條約であるし、中国本土まで含めて戦争状態の終結をするという約束をした條約ではない、こういうように私は解釈しておるのでありますが、これはどうでありましようか。
  44. 倭島英二

    ○倭島政府委員 そこで先ほどから御説明を申し上げておる点を、もう一回繰返さなければならぬ点があると思います。なぜかと申しますと、中国という言葉と、それの代表政権というような言葉と、中華民国というような言葉がいろいろ出て参りますので、もう一回先ほどから申し上げておる点を繰返して申し上げますと、日本の関する限り、従来中国といわれておる国の正式な国名は、中華民国であるとわれわれは了解しております。従つて、なおまた中華民国領土中国大陸並びにその付属島艇という主張を向うが持つており、それをこの條約の前提と申しますか、これに合意をしたわけではありませんけれども、そういう主張を持つておるととをよく承知の上で、この條約ができたということも申し上げておるわけであります。従つて中華民国というのは国名でありますが、その国の関する限りにおいては、この條約自身は、一つのひびが入つたり欠けたりしておる條約ではないのでありまして、中華民国そのものについては、まるい條約ができておるわけであります。一つの欠けがあるような條約ではない條約ができておるわけであります。その條約は、しかしながら先ほども申し上げましたが、現実の事態が、そのまるいままにどこにでも適用できるという状況にございません。従つて適用そのものは現実の事態に合せざるを得ないということであります。従つて先ほどから第一條効果の発生とか、効力とかいう御意見がございますけれども、われわれの解しおります範囲においては、この第一條中華民国の関する限り、日本はこういうような合意をやつたというわけでありまして、ただ実際上それがどういう効果を発揮するか、私はさつきから効果の発揮ということを申し上げておりますが、実際上効果を発揮し得ない地域があると存じます。効果を発揮し得ないかし得るか、あるいは適用されるかし得ないかという問題は、條約の適用の問題、実際の具体的の現われの問題であると解釈しております。
  45. 黒田寿男

    ○黒田委員 そういう御議論でありますから、要するにこの條約の効果の及ぶ地域は、国府政府が現実に支配しておる地域以外の地域ではない。従つて戰争終結ということも、この條約の効力の及ぶ範囲以外であるところの中国本土については、まだ効果を発揮していない、こういうように私どもは解釈せざるを得ない。こう考えることが私どもの解釈である。だからこの條約は事実上は、中国本土との條約なんかになり得べきものではない。実際に私どもが中国戰争状態を終結しようとするならば、中国本土効果が及ぶような条約を結ばなければならぬ。そうでなければ、中国本土と態争状態を終結する條約とは言えません。だからこそ私は、この條約はナンセンスだという議論をしたのであります。それは別問題として、とにかく今明らかになりましたように、戰争終結という、この條約でうたつてありますところのその状態効果が発生するのは、中国本土についてではない。こういうことをはつきりしておけば、私はそれでよろしいと思う。一体中国との戰争状態の終結は、どの地域効果が生ずるかというと、それは現実に支配しておりますところの台湾澎湖島において発生するというように考えなければならぬ。しかしこれは私はまつたくナンセンスだと思う。台湾及び澎湖島の住民と日本は戰争したのではありません。だから戰争終結の條項が、台湾及び澎湖島において発生するということを意味するとなれば、まつたくこれはナンセンスだ。戰争しなかつた住民と、私どもは戰争終結の効果について話し合う必要はない。だから私は、とにかくこの條約は、何べんも申し上げますけれども、私の頭ではどうしてもこれはナンセンスだ。まつたくこの條約をやつた政府の真意は、私どもには理解できないのであります。そこでこれに反対をしたのであります。しかし大体私の申し上げたところはおわかりくださつたと思います。  なおついでにちよつとお尋ねしておきますが、一体政府中華民国とはどういう国と考えておるかということにつきまして、ただいま倭島局長から一応の御説明がありましたが、私はこの点についてもう少し質問してみたいと思います。一体国家であるためには、領土がなければなりません。それから人民がなければなりません。それと同時にその人民によりまして自律的に、かつ永続的に、存続する状態として組織せられておりますところの統治組織がなければならないと思います。ところが一体中華民国というものは、この條件を備えておるかどうか。私は日本人としては常識をもつて物事を考えながら、外国に対処して行かなければならぬと思います。中華民国政府中華民国存在しておると言うから、日本存在しておると思う。そういうことでまじめな外交なんか私は行われるものではないと思う。中華民国というものは何か。なるほど中国本土及びその島嶼をもつで中華民国領土とすると、蒋介石政府は言つておるようであります。けれどもこれは事実上支配を今は失つておる地域である。将来あるいはその支配を回復するかわかりません。けれどもまた先ほど申しましたように、全然回復し得ないかもわからない。現在の国際情勢から申しますれば、むしろ回復の見込みはないと私どもは考えなければならぬ。そこで中華民国中国本土及びその付属島嶼領土としておるといいましても、それはまつた観念上のものにすぎない。現実に領土であると称することは非常識だ。日本の外交当局は、こういう架空の観念のもとに中国と條約を締結し、国交を結ぼうとしておる。私どもにはどうしても合点が行かない。しかし観念的なものにいたしましても、領土はかりにそういう観念上のものとしてあるとして、それでは一体人民はどうか。中国本土に生活しております人民は、現在、日本政府が好むと好まないにかかわらず、中華人民共和国を支持しております。その国家の人民となつておるのであります。彼らは決して中華民国というものを支持しておりません。一体中華民国の人民はどこにおるか、私どもにはわからないのであります。国家であるためには、人民がなければならぬ。中国本土の人民は中華民国の人民であるというふうには、私ども健全な常識をもつては解釈することはできない。そうすれば、中華民国には観念上の領土はあるかもわかりませんが、一体人民というものはないではないか。中華民国政府が、中華人民共和国を支持しておる人々を自国の人民だと言つてみても、そうであるためには、それが中華民国政府を支持していなければならないのでありますけれども、実際は支持していないのでありますから、私は中華民国には人民はないと思う。それでは一体何があるかというと、中華民国政府の代表者と称する蒋介石政府というものがあるにすぎない。私は中華民国というものは、こういうものだと思います。決して私どもの健全な常識をもつてしては、国家の体をなしておるような国では、中華民国というものはないと思う。日本国民はこう考えて対中国外交政策を打立てなければ、すべてのことがゆがんでしまうと思うのであります。こんなことをやらしておるのはだれか。アメリカが国際的に横車を押して、承認すべき中国本土政権を認めないで、台湾を軍事的に利用しようとする、そのアメリカの世界政策が、今はからになつてしまつておるところの中華民国というものを、それを存在の條件を備えた国家だというように国際上思わせて、自分もそういう態度をとり、国際連合でもそういう処置をとつている。けれども実はそれだけにすぎない。アメリカのやることは、国際慣例に反し、国際上の普通の行き方に反しておると私どもは思う。それを日本がまねると申しますか、そういうように解釈させられて、事を運ぼうとするから、こういう矛盾した條約の締結になると思う。ひとつ倭島局長から中華民国とは何ぞやということを、もう少し聞かしていただきたい。これはあまり議論しても何でありますから、これ以上に議論はいたしません。一応政府の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  46. 倭島英二

    ○倭島政府委員 大分いろいろな点についての御見解がございましたので、私の今記憶しておる範囲において、私の感じ方を申し上げたいと存じます。  第一は、この條約の適用範囲の点でございますが、條約第一條の関する限りにおいてそういう建前なつておる、しかしながら適用範囲の実際の事態がそうなつておらぬ、なおその実際の事態に適合せしめるために、適用範囲というものがあるというふうに御解釈になつておるならば、われわれの解釈と同一であります。  ただ第二の点のナンセンスであるという御見解については、全然見解を異にするものでありまして、われわれはナンセンスでないと思う。それには全然反対の見解を持つておりまして、けつこうな條約ができたと考えております。  それから第三の点は、領土、人民、政権ということでいろいろ御意見がございましたが、これは全然異なる観点からごらんになるので、われわれの見解とまた全然異なる結論が出たのではないか、こう存じます。その全然異なる見解と申し上げますのは、たとえばこれは少し例がどうかと思いますが、私が一戸の家を構えておりまして、その家の中に八疊の間と四疊半の間があるとします。その際に通常の事態なら、私は私の家として八疊の問と四疊半に完全に支配権を持つており、私の家としての効力を持つているわけでありますが、不幸にしてある人が実力をもつて八疊の間に入つて来て、私の家族は大部分その八疊の間において、その入つて来た実力を持つている人のもとにおいてごうしろああしろというこを心ならずも聞かざるを、得ない状態に置かれておる。私は四疊半のすみつこに一人おるというような状態があり得るわけであります。その際に先ほど御説がございましたが、領土とはどこか、私の考えておるのは、私の家は、たとい実力をもつて一時そのようなことになつておりましても、私自身は八疊の問も四疊中の間も私の家だと存じております。従つて中国の場合にこれを適用しまして、それを持つてつた従来の中華民国というものが、自分の領土だとする主張については私は了解できると思います。これは領土がない――こういう状態で家族が押し込められておる際に、私の家ではないという主張については、断固として私は承服できません。  それから人民がないではないかというお説については、私に家族がないではないかというのと同様でございまして、家族が――女房ほか子供が八疊の間で私の支配の及ばない状況にある。これは一時の状態あるいは現在の状態として考え得る場合があると思います。その際に全体の人民がないのだ、あるいは家族がないのだという御主張、御見解についても必ずしも承服できない。必ずしもというよりも全然見解を異にしております。  それから政権の問題でありますが、たとい四疊半に私が押し込められておりましても、戸主であり家族という建前を持つております以上は、ある程度そこに支配権を持つておる。それからまた隣近所も私がそこの世帯主であるということを認めておる。たとえば中国関係につきましても、現在の中華民国政府というものは、これは国際連合においても認められており、議席も持ち、投票権も持ち、従来から交渉を続けておる政府であります。従つてこの領土、人民、政権の点については先般も御意見があり、きようも御意見を拜聴したわけでありますが、結局出る結論は、今の黒田さんの結論と私は全然反対の結論を持つております。それは要するに現在の事態に対する認識と申しますか、それを別の立場からお考えになつておるのだと思います。     〔「四疊半は蒋介石のものになつていないよ」「四疊半は、台湾はいつ倭島さんの所有になつたのだ。」と呼ぶ者あり〕
  47. 仲内憲治

    仲内委員長 靜粛に願います。
  48. 黒田寿男

    ○黒田委員 倭島さんはアジア局長でアジアのことはよほどお詳しいと思いますけれども、大体中国というものが将来どういうふうに進んで行くか。アジアの諸民族がどう進んで行くか。その民主主義に対する認識、世界人類の進み方に対するセンスがまつたく私と違う。外務省のセンスは私どものセンスとは違います。ここに議論の生ずる原因があると思いますが、もうこの点議論いたしましてもはてしがないから、これ以上私の意見は申しません。ただ私が非常に残念に思いますのは、日本の外務省かそういうセンスで対中国あるいは対アジア、対世界の外交にお当りになつておつだのでは、私は必ず近い将来につまずくということだけ私の見方として申し上げます。もうこれ以上は申し上げません。
  49. 仲内憲治

  50. 菊池義郎

    菊池委員 日華條約を取結ぶ場合に、條文には書いてありませんが、台湾の方は日本領土をどういうふうに考えておるか、それから千島、樺太あたりは、向うの方では日本領土と考えておつたかあるいは考えないか、そういう点について條文の中には入つておりませんでしたが、外務省の御意見を承りたいと思います。
  51. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この領土の問題につきましては、ことにわが国領土はこのどれをもつて領土とするというような問題については、全然意見の交換が行われておりませんでした。大体われわれの了解しておつたところは、わが国領土というものについては、われわれが認識をしておることをそのまま向うも了承しておるのだろうと考えております。
  52. 菊池義郎

    菊池委員 アメリカは台湾政府日本みたいに防衛協定を結ぶ意思があることを、ある一部の人が情報として漏らしておりますが、日本台湾と米国とこの三国の防衛協定が成り立つといつたような場合において、日本はどういう態度をとるのでありましようか。そういつたような防衛協定にも入る意思がありましようか、どうでしようか。
  53. 倭島英二

    ○倭島政府委員  の件につきましても、このたびの條約交渉では、私の存じておる限り、話が出ませんでした。ただこの第六條の(a)にございますように、国際連合憲章第二條の原則を指針として行動しようということについては、合意は成立したわけであります。将来のことにつきましては、この際私から見解を申し述べることは差控えたいと思います。
  54. 菊池義郎

    菊池委員 最近の新聞に米国から艦艇を借り受けるということが出ておりましたが、この間の委員会に私欠席しましたので、そういうことは質疑があつたかもしれませんが、これは事実でございましようか、どうでしよう。
  55. 倭島英二

    ○倭島政府委員 私直接その件に関係をしておりませんので、ちよつと御回答申し上げられないのですが、いずれまたあとで担当の局長が来ました際に御回答申し上げます。
  56. 菊池義郎

    菊池委員 小笠原の島民は小笠原へ返しますことにつきまして、外務省では新木大使ですかによく頼んであるというような話でありましたが、新木大使からその後何かの報告はございましてしようか。
  57. 倭島英二

    ○倭島政府委員 実はまだ結論として報告が来ておりません。しかしながら今おつしやいましたように、この問題は沖繩の問題、それから小笠原の問題ということでわれわれの最も関心の深い点でございますし、新木大使からさらに米国政府交渉をされるものと思つて、その結果を心待ちしております。
  58. 菊池義郎

    菊池委員 今局長沖繩と小笠原を混同しておられますが、沖繩の方は全部住民を返しておるのですが、小笠原は全然返してない。米英系統に属する人々を百何十名しか返していない。まだ六千名ばかり内地に残つておるのです。沖繩と小笠原とそういうようにまつたく別扱いをしておるのであります。当然返すべきものを返さないのです。こういう点をお含みの上折衝を願いたいのでありますが、外務省の見通しはどうでごさいましよう。実際かわいそうでしようがないのです。
  59. 倭島英二

    ○倭島政府委員 一緒に申し上げましたのは、実はよくその問題が一緒になり、最近御存じ通り内閣でも、沖繩並びに小笠原の関係の事務をさらに有効に敏活に処理するために、特別の局ができるように計画をしておりまして、目下すでに議会でその関係の法案を御審議つておる次第であります。そういうわけで、われわれの頭には一緒にあつたものですから、一緒のような御返答をしたのでありますが、小笠原の問題につきましては、御指摘のように向うへ帰るという問題がございます。この点は沖繩と大分違うことは御指摘の通りでございますが、この点も目下政府は従来に増して交渉をしております。私が存じておりますところでは、従来は要するに返すのはある程度よろしい。たとえば現在内地におられる全部の方が帰るということはむずかしくても、ある程度帰るということはよい。しかしその帰るときに、経済上のある程度の條件を備えて帰らぬと、帰つたあとで困るというようなことを米国関係の人が申しておりました。その点につきましても、ある程度こういう意味で用意はできるというようにしたい。あるいは漸を追つてでもけつこうだから、とにかく返してもらいたいというような要求をしております。それについて見込みはどうかという御質問でございますが、実はそれについてごく楽観的な御返答を申し上げる材料はまだ持つておりません。しかしながらだんだん了解をして行きつつあることは確かだと思つておりますので、あるいは部分的に漸を追つて帰られるようになるのじやないかと思つて希望的に考えております。
  60. 菊池義郎

    菊池委員 沖繩の人たちはいつでも帰ることができるようになつておりまして、みんな帰つておりますが、生活の問題はまつたく心配なのです。すぐに帰る心要はない。ただ返すということにさえきまれば、ちりぢりばらばらに向うへ行つて生活ができる能力がある人から順を追つて帰るわけでありますから、一緒に帰る必要はない。その心配は毛頭ない。どうぞこれからも極力御盡力を願いたいと思うのであります。
  61. 三宅喜二郎

    ○三宅政府委員 ただいま菊池委員からお尋ねのアメリカから艦艇を借り受けるとかいうことにつきましては、外務省としては何らこの問題を取扱つておりませんので、遺憾ながら何ともお答え申しかねるのであります。
  62. 菊池義郎

    菊池委員 あれほど新聞にははつきりと、向うの方ではもう議会にまでかけておるという報道が出ておるのです。新聞はそれほどうそではないと思うのですが、どうでしよう。全然外務省には情報はないということはないでしよう。
  63. 三宅喜二郎

    ○三宅政府委員 その問題につきまして外務省は直接の、正式の取扱い官庁となつておらないのであります。そういう非公式な話があるということはうすうす聞いておりますが、こういう話が出ているということを公に責任を持つてお答えするということは、外務省の政府委員といたしましてはいたしかねるのでございます。
  64. 菊池義郎

    菊池委員 向うでもつて艦艇を貸してくれるのは、まことにけつこうなことでありまして、貸してくれるならば、日本政府としてはもちろんそれを借りる意思があると思いますが、いかがですか。
  65. 三宅喜二郎

    ○三宅政府委員 その問題もやはり責任官庁あるいは責任大臣、海上保安庁等の事務を主管しております方からお答えいたしたいと思います。
  66. 仲内憲治

    仲内委員長 山本利壽君。
  67. 山本利壽

    ○山本(利)委員 私も実は今の艦艇の問題について御質問申し上げたいと思つたのです。協力局長において御答弁ができると思うのでありますが、三宅さんからのお話ですと、海上保安庁その他でなければできないということですが、その点いかがでございましようか。それはいよいよこちらへ艦艇なんか来てから、それをいかに使用するかということは、海上保安庁その他でしようけれども、全然お答えになれないなら質問いたしましても意味がないのでありますが、両国間の協力の問題ですから、協力局長から御答弁が願える範囲でひとつお願いいたしたい。アメリカの下院の軍事委員長であるヴインソン氏が、十六日に、沿岸警備に用いるフリゲート艦十八隻、上陸用舟艇五十隻を向う五箇年間日本政府に貸興する法案を議会に提出したということは、新聞、ラジオ等でもすでに広く報道されておるところでございますけれども、こういうことは先ほど菊池委員からの御質問にもありましたように、日本から要請しないのに向うから貸すような法案が出るはずはないと思うのでありますから、もちろん日本からこういうことについては要請のあつた結果と思うのでありますが、まずその点について御答弁を承りたい。
  68. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 私の力の局は国際協力局なつておりますけれども、現在やつておりますことは、国際連合の関係行政協定関係でありまして、そういうふうな問題には触れておらぬわけであります。それで遺憾ながら私からははつきりした責任のあることは御返事できないのであります。
  69. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それでは私の質問は政務次官がお見えになつてからにします。     ―――――――――――――
  70. 仲内憲治

    仲内委員長 次に請願審査に移ります。審査の順序についてでありますが、請願日程第一の安全保障條締結に伴う駐留地域決定に関する請願より、日程第九の行政協定に伴う旧軍港施設の利用に関する請願までの九件の各請願は、去る四月十六日の委員会においてすでに審査をいたしまして、その質疑終了しておりますので、後にその他の請願と一括して採決を行うこととし、日程第一〇の請願より審査を進めることといたします。  それではまず日程第一〇、行政協定に伴う基地供與地域及び施設の一部除外に関する請願宮原幸三郎紹介、第三二七九号より、日程第一二、小牧飛行場拡張に関する請願、多武良哲三紹介、第三四二二号まで、及び日程追加伊丹飛行場拡張に関する請願佐々木盛雄紹介、第三八八一号を一括議題といたします。紹介議員の説明を求めます。佐々木盛雄君。
  71. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 私はただいま議題となりました行政協定に関連する請願の中で、伊丹飛行場の拡張に関する請願を行いたいと思います。同時に政府見解をこの際明らかにいたしておきたいと存じます。  最初に請願趣旨のきわめて概要を申しますと、伊丹飛行場は昭和十二年に創設されまして、爾後二回にわたつて拡張を行いましたために、伊丹市民は昭和十八年までの間に六十万坪の広大な農耕地の強制買上げを受けました。そのために多くの部落と農家の人人が転業あるいは失業のやむなきに至つたのであります。ところが今回またまた行政協定に基きまして、飛行場の拡張がうわさされておるわけでありまして、これに関しまして現地の農民は非常に憂慮いたしておる実情でございます。今回該当すると思われまする地域は約六万坪でありまして、そのうち農耕地は約五万坪、関係の戸数が百十戸、転業農家は八十七戸、立ちのき戸数が二戸、墓地が二百二十坪、及び灌漑水路の面積が五千三百八十七坪となつております。これらの人々が転業もしくは失業の危機にただいま直面をいたしておるわけであります。さらにまたこの地域内におきましては、兵庫見、大阪府にまたがつて三十余部落、五百町歩を灌漑する灌漑用水が貫通しておりますが、その灌漑用の水門が地域内に六箇所もありまして、昔からこれがいわゆる水争いの根源となつておつたところでありまして、水利の問題から考えましても、まことに事態は憂慮されるわけであります。しかもこの灌漑水に依存しております大阪府関係をも含めて約二千戸数、約一万名の農民の重大問題となつておるわけであります。さらにまた、この飛行場の南側を走つております道路は、兵庫県と大阪府との連絡路線でありまして、これが中断されるというときには、大阪への交通がきわめて不便となり、伊丹市の産業にも重大な支障を来します。  大体以上申しましたような事情によりまして、飛行場拡張に関しては十分の考慮を願いたいということが請願の要旨でございます。何とぞ本委員会におきましては、審議の上御採択あらんことをお願いする次第であります。  なおただいま申し述べました件に対して、政府委員の方から、政府側のこれに対する見解はどうか、今日までの事情はどうなつておるかということを御説明願いたいと存じます。
  72. 仲内憲治

    仲内委員長 続いてその他の請願趣旨を佐藤専門員から御説明を願います。
  73. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 行政協定に伴う基地供與地域及び施設の一部除外に関する請願、第三二七九号、本請願の要旨は、横須賀市武山地区に所在する旧海軍第二第三海兵団及び大楠工機学校跡の地域は、今回の行政協定に基く細目とりきめに際し、基地として供與されるよう予備作業班により調査が進められている由であるが、本市の更生対策の一環として、敷地の狭隘に悩んでいる警察予備隊を同地域に移転するようにしたいから、前記武山地区および施設の一部を基地供與から除外されたいというのであります。  それから佐世保市名切谷地区の接収土地返還に関する請願、第三三〇三号、本請願趣旨は、佐世保市名切谷一帯は市の中央で、また繁華の中心であつたが、戰災により家屋は焼失し、地主の多くは疎開先から帰つてみると土地は進駐軍に徴用され、講和後の今日に至るもその大部分の土地は返還されず、引続き徴用されている。この間何らの政治的考慮や経済的補償も講ぜられず、低廉な地代で甘んじていたのであるが、これは名目はいかにもあれ、私有財産を侵害したものであるから、すみやかに土地を返還するか、もしそれができない場合は妥当な補償を加えて買収されたいというのであります。  それから小牧飛行場拡張に関する請願、第三四二二号、本請願の要旨は、聞(ところによると政府は、今回愛知県の小牧飛行場を拡張するとのことであるが、もしこれが実現されるとすれば、農地は著しく狭隘となり、祖先伝来の耕地と家屋はともに移転しなければならなくなり、住民の生活を破滅することになる。ついては、かかる事情を考慮され、同飛行場を拡張しないようにされたいというのであります。
  74. 仲内憲治

    仲内委員長 請願に関連して質疑を許します。山本利壽君。
  75. 山本利壽

    ○山本(利)委員 前々回の委員会でありましたか、接収土地返還に関する問題について質問いたしまして、その困つておる例として佐世保市名切谷一帶の問題を申し上げたのでありますが、その際私は政府当局に向つて、特にこの佐世保市名切谷の問題について、政府の方へは詳しい請願書も出ておるようであるから、それをよく調べられた上で、この問題に対しての政府の大体の見解を書面なりまたは口頭をもつて、私の方に御連絡願いたいということを申し上げておいたのでありますが、今日までまだ何らの回答に接しないのであります。この機会に御答弁を承りたいと思います。
  76. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 最初に伊丹について申し上げますと、大分前から伊丹を拡張したい、伊丹の飛行場の滑走路を拡張したいという話は、うわさのように出ておりました。現地でも非常に動搖いたしております。それで私の方といたしましては、うわさ程度では困るので、米軍側のはつきりした計画を示してもらいたい、その上で十分協議しようということを申しておつたのでありますが、先方も予算の関係等がありまして、なかなかその具体的な計画ができませんで、遅れておりましたが、約二週間か三週間か前に、正式に向うから申し入れて参りました。それでただちに、伊丹だけでございません。そのときに小牧の飛行場もございます。ちよつと今大きな問題になりますのは、小牧と伊丹でありますが、先方の計画によりますと、田畑、主として田でありますが、おのおの約百町歩くらいあるのじやないか、そういう要求が参りました。さつそく飛行場に関する専門委員会というものをつくりまして、目下先方がぜひこの滑走路を拡張しなければならないという理由、それからもしそれをやるとすれば、どういうふうな現地に被害がある、どういう対策を講ずべきかという問題について、目下詳細に検討中であります。これが非常に現地に御迷惑をかけるということはわれわれも十分承知しております。しかしまた米軍の方といたしましては、飛行機がだんだん性能がかわつて参りまして、ことにジエツト機などになりますと、どうしても三千メートル程度ということが常識だそうでございます。それで各国とも今飛行場は三千メートル程度になりつつあるそうでございます。そういたしますと、伊丹にいたしましても、小牧にしましても、約二千尺程度の滑走路の延長がいるわけであります。この辺の軍事上の要請と現地の苦しい立場とをどう調整するかということで、目下検討中であります。  次に佐世保の問題につきましては、五月の初めでございますが、私は佐世保にアメリカ側の合同委員会の代表と参りまして、それから現場では市長さんと現地の陸海軍の司令官も出まして、全部佐世保は見て参りました。そのときに、この場所の話も出まして、これは市内の非常にいいところに終戰処理費で家族住宅を建てておる場所だと思いますが、その住宅を建てております場所よりも、少し広く接収になつておりまして、それでその住宅に必要なところだけに限りまして、周辺の不必要なところは全部削るように、現地で話をいたして来ました。それから住宅が建つております中の道路等は、従来でも自由に通行いたしておりますから、今後ともそれは日本人が自由に通行し得るように、そうして接収の地域は住宅の建つておる最小限度に限定するように、現場で地図の上に線を引いて参りましたので、これは解決しておるのではないかと考えております。
  77. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 関連して。大体伊丹の模様は御説明によつてわかりましたが、この際これは、私は伊丹ばかりでなくて、他の飛行場等におきましても同様のことが言えるだろうと思いますので、総括的に承つておきますが、ただいまの御説明によりますと、駐留軍の作戰上の見地等から考えまして、三千メートルの滑走路を必要とするということは、軍事的から見ますと、絶対的な要請かとも考えますが、不幸にして地元民の要求が入れられずして、土地が半ば強制的に買上げをされるということになりますと、その農地に対しては、どのような補償條件をお考えになつているか。たとえば坪当りどのような価格でもつてこれを買上げようとするか。あるいは農民の耕作権と申しますか、いわゆるその土地の上に発生しておりました権利、一切の過去伝統的な生活をその農地の上にたよつておりました農民の土地の上に生じたところの権利、そういうものに対してどの程度の補償をして、どういうことによつて転業させるというような補償対策の点につきましては、おそらくは農林省の農地局等とも折衝があることと思いますが、どのようなことをお考えになつておるか、これらの飛行場によつて犠牲を受けた人々に対する対策につきまして承りたい。
  78. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 調達庁の管理部長でございます。お答え申し上げます。合同委員会決定等によりまして、やむなく農地、山林その他を駐留軍に提供いたさなければならぬようになりました際には、先般本会議を通過いたしました土地等の使用等に関する特別措置法、結局はこれによつて措置することに相なるのであります。この法律規定の内容は、現行の土地収用法の規定を多分に取入れております。最後は収用委員会にかけて、その補償額なり権利の措置をいたすのでございます。その前にでき得る限り自由契約によりまして、従来と違いまして――従来の契約につきましては、何分にも駐留軍の要求に基くものでございますので、契約が不公平である、平等の立場に立つていないという非難も受けたのでございますが、今後は政府が所有者並びに他の権利者と平等の立場に立ちまして契約をいたしまして買い上げて行くことを原則とする。その際の補償につきましても、話合いをつけて行くつもりでございます。これにつきましては、補償に対する基準をきめなければなりません。結局ただいま申し上げました収用委員会でも、このような決定になるであろうという基準をきめて随意契約を行わなければなりませんので、目下関係庁と愼重に考究中でございます。この基準の設定が遅れておりますので、われわれも急いであるのでございますが、何分にも土地――土地と申しましても、これは山林、原野の関係もございます、耕地の問題、開拓地の問題、それから接収住宅の問題、海面使用の問題、これらがそれぞれ相関連いたしますので、公平妥当な基準を定めるということは非常な困難があります。ただいませつかく関係庁と審議中でございます。近く決定をいたしまして、新しい契約には、これによつて御納得の行くような契約をいたしたい、かように考えております。
  79. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 そうすると、契約は日本政府との間に行うものかどうか。そうしてそういう問題はいろいろ農林省その他の関係がありましようが、最後的にはそういう問題を取扱う主務官庁は、どこのどの部門においてやるかということをお尋ねしたいと思います。
  80. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 先ほど申し上げました通り、この基準をきめますのは、関係庁が寄つて協議してきめることになつておりまして、主管官庁は調達庁で、ただいまでは調達庁の管理部で取扱つております。地方局では管財部が扱つております。
  81. 仲内憲治

  82. 立花敏男

    立花委員 ちよつと見てもらいたいものがあるのです。そこへ持つて参りましたのは、横田某地周辺の井戸水ですが、その問題を御存じであるかどうか、それをひとつ承りたい。
  83. 仲内憲治

    仲内委員長 もう少し質問趣旨を明確に……。
  84. 立花敏男

    立花委員 立川の問題は重大問題になつておりまして、市民大会もやつておりますし、陳情もやつておりますし、市の方でも処置をいたしておりますので、御存じだろうと思うのですが、どの程度御存じか承りたいと思います。
  85. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 新聞で私は読みまして、このとき初めて知つたのでありまして、まだ立川市の方とか、あるいは関係方面からは、外務省には何も話はございません。ただあれを読みまして、これは何とか調べなければならぬと思つておりましたが、忙しいので、まだ今のところ調べておりません。
  86. 立花敏男

    立花委員 これは厚生省の方も問題だろうと思いますが、問題はやはり基地に関連いたしまして、基地がなければこういう問題は起つておりませんので、原因はやはり基地の問題だと思います。対策の問題も重要ですが、やはり根本的な問題を解決していただかないと、そういう井戸水を住民が使用しなければいかぬということは解決されませんので、ひとつ根本的に態度をお聞かせ願いたいと思うのです。今承りますと、まだよく御存じない、新聞で見ただけだということですが、実は現地へ参りますと、水が使えない。人間の生活に水が使えないとなると、これはまつたく文字通り生命に関する問題になつて参りますので、もつと愼重にお考え願いたいのですが、どういう対策をお考えになつておられるか、伺いたいと思います。
  87. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 ただいま根本的解決というお話がございました。その意味は、あそこに飛行場を置かないということかと思いますが、これはあそこに飛行場はずつと置くことになつております。ですから、何らかの意味で、別に水道をつくるとか、そういうふうな方法を講じなければならぬと思います。
  88. 立花敏男

    立花委員 もちろん共産党の根本的な考え方からいいますと、基地を置かないのが一番いいのですが、あなたたちはそういうことはおそらくなさらないだろうから、あなたたちとしての対策、とにかくそういう水が出ないようにするにはどうしたらいいかという対策、その問題はどうお考えですか。
  89. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これはやはり市当局で一つの具体策といいますか、対策等を考えてもらいまして、なお厚生当局あるいはその他の関係省におきまして、それらをもととして十分考えて行かなければならぬ問題であるかと思います。
  90. 立花敏男

    立花委員 そういう態度が間違つているのではないか。水道だけの問題じやないわけだ。あなたたちはなぜそういうものが出て来るのか、きわめないのですか。なぜそういうものが出て来るか、根本的にきわめなければ、水道の水を持つてつただけでは解決しないじやないか。なぜそういうものが出て来ておるか。
  91. 並木芳雄

    並木委員 関連して。それはぼくは非常に関連があるのです。立場が違いますから、共産党としては、これ幸い、駐留軍反対だという建前から、そういう質問も出ようかと思つて、私は二週間も前にこの問題を取上げております。外務委員会質問しようかと思つたのですが、現地の事情を調べてみると、一生懸命やつているのです。立川市の市役所も、東京都も、厚生省もやつている。原因を調べてというのですから、政府が一生懸命調べているのに、怠慢だというような質問はできませんので、その原因がわかり次第それに応じて対策を急いでもらいたい。こういうふうに段取りを運ぶつもりでおつたのです。従つてもしこの原因が、ほんとうに駐留軍の区域から出る油によつて生じたということがわかつたときは、それこそ外務省の管轄になる、あるいは特調関係になるかもしれませんから、駐留軍と折衝して、今までの損害に対して補償するとか、今後の対策を至急実現に移すとか、それはやつてもらいたい。そういう意味では立花委員の発言に対しては十分敬意を表します。
  92. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 この問題は、先ほど伊関政府委員からも答えましたように、外務省の方へはまだ正式の何の連絡もなかつたのでございまして、実はわれわれも新聞その他で読んではおりました。立川市並びに東京都その他でいろいろ調査されました結果等が出ました際には、そういうものをもとといたしまして、われわれの方といたしましても折衝すべきところは折衝し、今後の対策も立てねばならぬ、かように思います。
  93. 立花敏男

    立花委員 さいぜんからの政府答弁で、そういう問題が起つたときに処する政府の心構えにやはり抜けている点があるのではないか。新聞で知つているが、何も連絡がなかつたのでやらなかつた、このことも重大問題だと思いますが、そういう問題が起つた場合に、市から水を持つて行けばいいのだということを言つておられる。これも私は重大問題だと思う。そういう井戸水が出ないようにすることが問題なので、どこに原因があるか、その原因を突きとめて、その原因をなくすればそういう水が出なくなる。そういう態度でおられずに、そういう水が出て来たら水道さえ持つて行けばいいのだ、それでは根本的な解決はできない。一体ガソリン・タンクが破裂しているのか、あるいは地下に厖大な重油タンクがつくられて、それが漏れているのか、そういう原因を突きとめる態度をとらないで、そういう水が出れば、水道さえ持つて行けばよい。しかもそれは厚生省でやつているので、外務省は調査も何もやつていないということにはりますと問題なので、そういう態度保国民としては困る。特に行政協定の問題では、外務省の責任でこういう基地を置くことを認められたのであるから、これはやはり外務省が責任をもつて原因を究明しなければならぬ。ただ応急処置だけの、水道を持つてつたらいいというわけには参らないと思う。そういう外務省の態度自体問題がある。そういうところを私たちは問題にしているわけです。しかも水を持つて行けばいいと言われますが、市から持つてつております水は、一日にバケツ二はいです。しかもそのバケツ一ぱいの水を五円で売ろうというようなことも、市の方では言つているわけで、水を持つてつただけでは解決しないわけです。だからその点を外務省としても責任をもつて根本的な対策を立てる必要がある。私たち共産直が発言するのであるから、基地をなくしろというようなことだけを言つておるのではありませんので、そういう問題の解決の仕方に対する外務省の態度に、今までお聞きしたところでは、非常に大きな欠陷がある。そういう問題なので、どうお考えになつているか、承りたい。しかもこの問題が起つておりますのは、決して立川だけではありません。この汚水の処理の問題等は全国的に起つておりますし、不潔物の処理の問題も起つております。非常に重大な問題が所々方々に起つております。これは外務省が相当責任をもつて対処なさらなければならないと思うのですが、厚生省だけにまかしておいて、外務省は放置されるつもりか、これをひとつ承りたい。
  94. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 私が先ほど水道をつくればと申しましたのは、これは説明が簡單だつたわけであります。もちろん、タンクから油が漏れているとかいうことがわかりましたら、ただちに漏らないようにいたすことは当然のことでございます。ただあそこに飛行場がある。どうしても原因が不明で、自然に油が漏れたという場合には、何らか別途のとろから水をとることを考えなければならぬというように考えておるわけでありまして、原因がはつきりいたしまして、飛行場の中から漏つておる、それを防ぎ得るものならば、ただちに処置をいたします。
  95. 立花敏男

    立花委員 それでは解決いたしませんので、私が言つておりますのは、そういう水を持つてつたらいいというだけの態度しかおとりになつていない。原因がわかればと言つておられますが、わからすのがあなた方の責任だと思う。調べる意思があるのか。調べる意思があるのなら、どうして調べるのか、具体的に説明を願いたい。
  96. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 地元で相当調べているようでありますから、その調査の結果を待ちまして、われわれとさらに今後共同でこの対策を立てて行きたいと思います。     ―――――――――――――
  97. 仲内憲治

    仲内委員長 次に、日程第一三海外胞引揚促進等に関する請願青柳一郎君紹介、第一一七四号ないし日程第一五、同じく高間松吉君外二名紹介、第三四九三号、及び日程第一六、ルバング島残留同胞救出対策確立に関する請願山口六郎次紹介、第二四三〇号までを一括議題といたします。紹介議員の説明を求めます。――紹介議員がおりませんので、専門員より説明いたします。
  98. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 海外胞引揚促進等に関する請願、第一一七四号、本請願の要旨は、海外同胞引揚げ促進等につき、次の事項を実現されたいというのである。一、在外抑留同胞の救出につき、確実な対策を樹立し、自主的外交権によつてすみやかに解決すること、二、軍人、軍属、一般邦人等、元の身分による差別を撤廃すること、三、留守家族全部を対象とする援護対策を実施すること、四、現行未復員者給與法及び特別未帰還者給與法の給與金額を国民生活の実状に適合して改正すること、五、留守家族の子弟に育英資金を付與すること、六、抑留中死亡した者には、ひとしく遺族として取扱うこと。  それから請願第二二五三号、第三四九三号は同趣旨でありますから略します。  次にルバング島残留同胞救出対策確立に関する請願、第二四三〇号、本請願の要旨は、終戰後七年を経た今日、いまだフイリピン群島の一孤島ルバング島には、数名の日本兵が敗戦を信ぜず生存しているとのことであり、彼らの家族や近親者は、むなしく南の空を眺めて悲歎に暮れているが、これは個人ではどうすることもなし得ないから、一刻も早く何らかの方法で、同島の残留日本兵を救出されたいというのであります。
  99. 仲内憲治

    仲内委員長 政府側の御意見ありませんか。
  100. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 海外同胞といいますか、抑留者の引揚げの問題につきましては、引揚委員会並びに当委員会でたびたび申しておるので、別段つけ加えるものはないのでありますが、外交関係も各国との間にだんだん再開されておりますので、今後はこれらの在外公館を通じまして、さらに従来より一層積極的に抑留者の引揚げ問題に力をいたしたいと思つております。国連を通じ、あるいは国際赤十字等を通ずることももちろんであります。さらにまた最近留守家族の大会を東京に開きまして、その声を世界の輿論に訴えたいという計画も進められておるやに聞いておるのでございます。なお留守家族の援護につきましては、これは大体厚生省の所管するところでございますが、厚生省におきましてもそれぞれ計画が進められておるようでございます。  それからルバング島の残留者の引揚げにつきましては、これはフイリピン政府にもいろいろ連絡をとつおるのでありますが、ただいま判明しておる者といたしましては、小野田寛郎、島田庄一、小塚金七の三名が向うに敗残兵のような形で残つておるのであります。ときどき付近に出ましていろいろのことをやるのであります。それらの人間の手記等によつて、危害を加えないならばおりてもいいというようなことがわかつたのでありまして、そこで向うの警察隊も投降して来るなら必な保護を加える、こういう指示までしておるのでありますが、いまだ投降して来ないようでございます。今後ともこれらの引揚げにさらに力をいたしたいと思つております。こういう形のものが南方地域にまだ若干他にもあるのではないかと考えられますので、特にこういう残留者の引揚げにつきましても、一般の努力をいたしたいと考えております。
  101. 戸叶里子

    戸叶委員 ただいまの政府の御答弁で、その引揚げ促進に対しましては、さらに積極的な対策をおとりになるということでございました。ぜひこの重要な問題に対して積極的にしていただきたいということをお願いいたしますが、それと同時に留守実族の援護対策についての具体的なものがおありになりましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  102. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは厚生省の引揚援護庁で主管いたしておりますので、私の方から責任あるお答えはできないのでありますが、先ほどもちよつと申し上げましたように、留守家族に対しましても未復員者と同じような待遇を與えるとか、いろいろ厚生省の方においても検討を加えられておるようでございます。
  103. 立花敏男

    立花委員 ここに請願がたくさん出ておりますが、その紹介者の中に宮原さんの名前が大分あります。この間宮原代議士が呉で占領軍にホールド、アツプをやられて強盗にあつておるとか、二日ばかり前に呉の市長、助役が国会の某議員のところに泣きついて参りまして、ほとんど涙を流さんばかりにして訴えて参つておることがあるのであります。それは呉では娘さんのある家は夜は電燈をつけて眠れない、その統計の資料もちやんと呉市の署名でもつてつておりますが、これを見ますと、傷害、強盗、窃盗、強姦、器物毀棄、その他一月以来呉市の明白にされましたものだけで二百十件ある。しかも重大なことは二月、三月、四、五月としり上り的に犯罪件数が増加して参つておる。特に講和後におきましては、五月一日から五月十日の間にすでに二十九件の犯罪が起つておる。その内容を申しますと、この十日聞に傷害が二件、単純暴行が三件、強姦が二件、強盗が三件、窃盗が五件、器物毀棄が十三件というふうに、特に講和後においてふだんの場合の倍あるいは三倍の事件が起つておる。こうなつて参りますと、市長が泣いて訴えておりますように、まつたく呉市全体が暗黒の暴力の町になつておるといわざるを得ないと思うのであります。しかもこの呉市の出しました資料には、非常に詳細に罪名と場所、被害者、事件の概要、加害者まで明白に書いてあります。非常に信憑するに足る、地方自治団体が責任をもつて出した資料なので、私どもは重大だと思うのですが、こういう問題で外務省の方ではどういう見解をお持ちになつておるか。その呉におりますのは、アメリカ軍あるいはイギリスの濠州軍が多いわけですが、この問題、特にアメリカ軍との関連においてどういうふうにお考えになつておるか。大体この問題を御存じないのかどうか。代議士までこういうふうにホールド・アツプをやられておる状態は看過することはできないと思う。自治体の長自身が国会に訴えて参つておりますので、外務省の方でも対策はあろうかと思うのでありますが、どうお考えですか。
  104. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 その問題につきましては、私の方も詳細な報告を受取つております。大臣からも英濠軍の注意を喚起しております。私の方からも事務的にたびたび注意を喚起して善処方を要望しております。
  105. 立花敏男

    立花委員 その善処方の要望の仕方にもいろいろあると思うのです。こういうふうに、私が今指摘いたしましたようにずつと最近加速度的に犯罪がふえている。特に講和後ふえているという問題については、その原因についてどういうようにお考えになつているか。この問題の把握の仕方によつて対策も違つて来ると思うのですが、どういうふうにお考えになつているか。
  106. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 最近ふえているというお話でございますが、私が見ましたのでは発効まで必ずしもふえていなかつたのです。発効後は五月十日までの統計しか来ておりませんので、その後の統計を今取寄せております。ですから四月二十八日から五月十日までの分が来ているわけであります。ですからその前と比べてどんどん増えているかどうかということは、統計的にまだ私の方に来ておりません。
  107. 立花敏男

    立花委員 統計を読み上げます。二月には二十七件、三月には四十三件、四月には五十一件、ところが五月一日から十日までの十日間にはすでに二十九件あるのです。これを一箇月に直しますと――これは呉市の統計で、二月よりは三月、三月よりは四月、四月よりは五月とずつと上つております。特に四月二十八日以後、講和後には加速度的にふえているわけです。この原因をどうお考えになつているか承りたいと思います。
  108. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これはもう先ほどお答えしましたように、先方に対してもいろいろ申入れをしているのでございまして、数字のことをいろいろお話がございましたが、それはわれわれの方でよくわかりませんが、ときどき兵隊の交代等もありますので、そういう際に何かそういうことがあるのではないかと推察されます。
  109. 立花敏男

    立花委員 それから逮捕ですが、日本の官憲はほとんどこの問題を扱つていないようです。大体が逮捕しておりますが、現行犯であれば日本の警察官が逮捕できるはずだと思う。ところがほとんどやつていない。聞くところによりますと、その市長の訴えによりますと、白晝路傍で強姦をやりまして、そうして二、三人でその周囲を兵隊たちが取囲んでおりまして、市民あるいは警察官が参りますと、ピストルを乱射いたしまして近づけない。そういう事態が起つております。そういう事態に対しては、やはり警官は放置してあるという状態ですが、こういう状態を外務省では承認されるかどうか。警官の処置が悪いからこの問題がこういう加速度的に私は起つて来ていると思うのですが、その点どうか。ひとつ返答を承りたい。
  110. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 現行犯は逮捕できることになつております。
  111. 立花敏男

    立花委員 できることになつておりますのに、ほとんど呉市役所の調査によりましても日本の警官がやつていないという事実。しかもさき申しましたように、あなたたちは数字を御存じないと言われますが、加速度的にふえておりますので、警官が放置する結果、こういう加速度的な犯罪数の増加が現われているのではないか。この問題をどうお考えになつているのか。このままほうつておきますと、さらに加速度的にふえて来ざるを得ないと思う。すでに市長が言つておりますように、呉市では娘さんのあるところは夜電燈をつけて眠られないということを涙を流して訴えております。これは單に書面上で善処方を要求いたしましても、解決する問題じやないと思うのです。書面一本の善処方の要求で解決する問題なら、とつくに解決しているはずなので、この解決をどうつけようとなさつているのか承りたい。
  112. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは先方にもいろいろ連絡をしておりますし、呉市の自治警等にも話もしているのでございまして、ただいまのお話、少し誇大な点もあるのではないかと思いますが、警察官の動き等について、逆な先方からの申入れもあつたこともあるくらいでございまして、相当警察官も動いていることとわれわれは考えております。
  113. 立花敏男

    立花委員 誇大な点があると言われますが、私の主観は一点も入つておりませんで、この呉市役所の出しました一統計資料によつてつているわけです。それとさいぜんの白晝路傍の強姦の話は、これは向うから参りました市役所関係の者が申しておりますので、私は行つて見たわけでもございませんし、向うの信憑するに足る意見をそのまま言つているにすぎません。だから誇張されているというような考え方ではなしに、やはり実態がそうなので、呉の市長がそんなでたらめなことを言つて参るはずはありませんし、特に解決できている問題なら国会まで泣きついて来るはずはないと思う。市長と助役が参りまして涙を流して言つているのですから、この問題はもつと誠心誠意をもつて解決すべき問題だと思う。自由党の方では満州や朝鮮を見ろと言われておりますけれども、満州や朝鮮のように日本なつていいのか。その満州や朝鮮のように日本がならないために、われわれは努力しなければならないので、この点はもつと責任をもつて、偏見にとらわれないでこの実態を調査していただきたいと思いますが、直接調査に行かれる用意があるかどうか。ただ書類の一片の連絡だけでこの事態は治まらないと思いますが、外務省がみずからこの問題の調査に行かれる用意があるかどうか承りたい。
  114. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 すでに外務省かつもいろいろ行つおりますし、その他法務府等からも出かけたこともあるのでございまして、その他は先ほどお答え申し上げたところで御了承願います。
  115. 山本利壽

    ○山本(利)委員 ただいまの問題は、共産党の委員からの発言ではありますけれども、まことに重大だと考えるのであります。共産党が暴力革命的なことをやつて竹やりを持つて出るならばそれは鎭圧するがよろしい。同様に進駐軍その他によつて日本の婦女子が犯されるという場合には、われわれ国民は一団となつてこれを守らなければなりません。この点は十分に考えなければなりませんことで、軽々に放置すべきことではないと私は考える。だからこの点について先ほど来質疑応答がありましだけれども、日本の單に呉のみではありません、その他の警察、市当局その他からいろいろな報告があつた場合には、それを日本の外務省その他から連絡されまして、その結果について先方は報告する義務があるのかどうか。言いかえれば、こちらはその回答えを受取る権利があるのかどうか。ただ向うに向つて注意を喚起するだけにとどまらなければならないほど、わが国は情ない状態にあるのかどうか。今日までその回答はどういう程度においてなされているか。その点についてちよつと御回答を承りたいと思います。
  116. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 注意を喚起すると申しますことは、ただ一片の書類を向うに渡したということでは絶対にございません。常時折衝いたしております。それから英濠軍も約一箇月前には厳重な布告も出しております。しかし事態が一向に改まりませんので、こちらからは再三注意を喚起するりというのはただ書面を送るという意味ではございませんで、話合いをしております。ただその話合いの内容は今ここで詳しく申し上げられません。
  117. 山本利壽

    ○山本(利)委員 今のように詳しく御答弁になると質問者も納得されると思うのでありますが、次にそれではあげられた事実についてその犯人がどの程度向うにおいてはあげられ、あるいけいかように処罰されたかというその結果についても報告されるものでありましようか。どの程度に報告されておりますか、その点について承りたいと思います。
  118. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 向うで処罰いたしました場合には、どういう処罰をしたということの報告を当然受けるわでございます。ただ私のところへは個々の事例についてはまだ参つておりません。
  119. 山本利壽

    ○山本(利)委員 それではきようの質問を打切るために、先ほど立花委員から提示されましたその事実と数について、それがいかように処置されたか、逮捕済みのものが幾らか、逮捕されないものが幾らかということ、処罰がいかなる程度であつたかということの報告を御調査の上で、この次の外務委員会において承りたい。もう一つは、日本の警官が現行犯についてはそれを逮捕し得る権能があるにもかかわらず、それをなした例がどのくらいあるか、先ほどの質問では、なし得ないので残念だということでありましたから、実際において日本の警官によつて外人の暴行その他がいかに逮捕されているかという点についても御調査の上、間違いなくこの次の外務委員会に御報告をいただきたい、かように考えます。
  120. 並木芳雄

    並木委員 あとから一括して質問いたそうと思しましたけれども、伊関局長は急いでおるようですからお尋ねをいたします。  先ほど飛行場の問題が出ましたが、羽田飛行場が今度返還にきまつたとのことですがその通りですか。それからその他の飛行場で日本側に返還の予定の飛行場はどことどこでありますか。聞くところによりますと、調布の飛行場なども返還されるということでありますけれども、どうなつておりますか。それから新設される飛行場はどこですか。
  121. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 羽田の飛行場は七月一日から日本側の管理に移ります。それからその他の飛行場で日本側に返還になりますものは、場所ははつきり覚えておりませんが、十幾つあると思います。それから新設のものは今のところございません。
  122. 並木芳雄

    並木委員 演習地ですが、陸上、海上の演習地として本ぎまりになつた所はどことどこでありますか。
  123. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 海上の演習地は本ぎまりになりました。けれどもこれは閣議決定を経ておりません。要するに日米間で話合いがついた。そして政府といたしましては閣議決定を経て正式の決定になるわけであります。陸上につきましてはまだ一箇所も本ぎまりになつておりません。目下検討中であります。
  124. 並木芳雄

    並木委員 もう一つだけ。それでは国連軍との協力について、伊関局長の手元で何か先方と話合いがあるかどうか。今後国連軍が日本にいる場合の協定についてアメリカ軍当局から局長の方へ何か話があつたかどうか。
  125. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 国連軍の協定そのものにつきましては條約局が主管しております。ただ中身等につきましては、行政協定関係もありますので、私の方が相談を受けております。
  126. 並木芳雄

    並木委員 その相談を受けている内容を伺いたい。
  127. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 目下折衝中でありまして、非常に機微な点もございますので、ここでは少し申し上げにくいかと存じます。     ―――――――――――――
  128. 仲内憲治

    仲内委員長 次に日程第一七、元小笠原諸島在住者帰郷促進に関する請願菊池義郎紹介、第一八三九号を議題といたします。紹介議員の説明を求めます。――おられませんので佐藤専門員。
  129. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 本請願の要旨は、平和條約により小笠原諸島に対する残余主権が日本に認められたが、條約の発効を日前に控え、本諸島在住者の最も深い関心を持ち、期待していることは、いつ郷土へ帰還を許されるかということである。しかるに沖繩においても奄美大島においても、早くより島民の帰還が許されたにもかかわらず、小笠原諸島に限つて一般島民は一名も帰還を認められていない。ついては、すみやかに帰還し得るよう、政府関係方面と折衝されたいというのであります。
  130. 仲内憲治

    仲内委員長 政府側に御意見はありませんか。
  131. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これはアメリカ大使館に対しまして文書をもつて、あるいは口頭をもつて、たびたび今までお願いというか、連絡しているのでありますが、残念ながらまだ何ら具体的な指示がないのでございます。この問題は、帰島を熱願されております島の人々に対しまして、まことにお気の毒に存じておるのであります。今後ともさらに先方に折衝を続けまして、一日も早く帰島が相かないますように努力いたしたいと思います。
  132. 立花敏男

    立花委員 外務省の方にお聞きしておきますが、朝鮮人の学校の問題です。朝鮮人の国籍、処遇がまだはつきりしない場合に、学校だけ私立に移管するという形が東京都で出ておりますが、外務省としての方針は、やはり学校を全部私立に切りかえるという方針でありますか、これを承つておきたい。
  133. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 この問題は文部当局からお聞き願わぬと、ちよつとわれわれの方ではわかりかねます。
  134. 仲内憲治

    仲内委員長 ほかに御質疑がなければ、これにて各請願に関する質疑終了することといたします。  それでは請願日程第一より第一七まで、及び日程追加伊丹飛行場拡張に関する請願、第三八八一号の各請願を一括して採決いたします。ただいまの各請願はいずれもこれを採択の上、内閣に送付すべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。  なお、ただいま議決いたしました十八件の請願に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  137. 仲内憲治

    仲内委員長 次に陳情書審査に移ります。陳情書日程第一、在外同胞引揚完了に関する陳情書より、日程第一三在外胞引揚促進並びに留守家族援護に関する陳情書までを一括議題といたします。  ただいまの陳情書は、先ほど審査いたしました海外胞引揚促進等に関する請願と同趣旨のものでありますので、その審査を省略してこれを了承いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  139. 仲内憲治

    仲内委員長 次に日程第一四、沖繩小笠原諸島日本行政行使陳情書を議題といたします。専門員よりその趣旨説明を求めます。
  140. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 今日同諸島民あげての希望は、日本の残余主権保持地域たるこれらの諸島への、日本本土と同様の財政援助の伴う行政権の行使であつて、すなわち政府は地方施設補助をこれら諸島に及ぼし、戦禍甚大なこれら諸島の復興を促し、島民の担税力を涵養し、日本復帰とともに全国民と肩を比する力と勇気とを與えることである。これがため公共事業、文教及び厚生施設、農林漁業融通資金等に対する補助並びに平衡交付金交付について、財政的援助を許されたく、政府は積極的に米国側と折衝されたい。
  141. 仲内憲治

    仲内委員長 政府側に御意見ありませんか。
  142. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 この問題につきましても、政府といたしましてはできるだけ要望に沿つて実現したいと思つております。独自に処理できるものは逐次これを実現しておりますし、米国側と交渉を要するものについてはその了解を得た上で、要望に沿うよう努力しております。すでに渡航手続も、出入国管理令等の改正によりまして、日本へ来ることは自由になつております。国旗の掲揚もプライヴエートには許されることになつております。交易関係あるいは教育、文化の全面的交流、それから恩給法あるいは遺族援護法の適用等、属人的の法律は適用にはなりますが、その金の受取り方等につきましてただいまいろいろ折衝しております。全面的に御要望に沿いたいと努力している次第であります。
  143. 仲内憲治

    仲内委員長 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ本陳情書は、これを了承いたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議なければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  145. 仲内憲治

    仲内委員長 次に、日程第一五、行政協定により駐留すべき米国軍部隊に関する陳情書より、日程第二〇、富士演習地拡張反対に関する陳情書までカ一括議題といたします。  ただいまの各陳情書は、先ほど審査いたしました行政協定に伴う基地供與地域及び施設の一部除外に関する請願等と、その趣旨において大体同一でありますので、その審査を省略して、これを了承いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  147. 仲内憲治

    仲内委員長 次に、日程第二一真珠貝採取事業に関し濠州政府漁業條早期締結に関する陳情書を議題といたします。専門員よりその趣旨説明を求めます。
  148. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 アラフラ海における真珠貝漁撈は、六月より九月ごろまでを最盛期とするので、この期を逸すれば本年度の漁獲を逸することになり、業界においては出漁の決定を急いでいる。なお真珠貝漁撈について、日本業者抑制のため濠州政府の一方的行政措置がなされ、また濠州業者の日本人潜水夫雇入れも進渉した場合には、今後の日本業者の出漁はさらに重大な障害を受けること必定である。特にわれわれが今後の出漁を計画しているのは濠州北岸で、同漁場における戰前の操業実績並びに資料等、同事業については他のいずれの国よりも多大の発言権を有するものと考えている。ついては漁業協定を早期に締結し、また業者の意見を十分尊重するよう配慮されたい。
  149. 仲内憲治

    仲内委員長 政府側に何か御意見はありませんか。
  150. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 これは濠州の会社と日本の会社で、会社同士でいろいろ下交渉、打合せ等をやつておるようであります、われわれ正式には、これは濠州と漁業協定といいますか、漁業上の話ができるときにこれらの問題も解決される問題ではないかと思つております。
  151. 仲内憲治

    仲内委員長 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ、本陳情書はこれを了承することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  153. 仲内憲治

    仲内委員長 次に日程第二二、小笠原島民帰郷促進に関する陳情書を議題といたします。本陳情書は先ほど審査いたしました請願と同趣旨でありますので、審査を省略して了承いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  155. 仲内憲治

    仲内委員長 次に、日程第二三、国際労働條批准促進に関する陳情書を議題といたします。専門員よりその趣旨説明を求めます。
  156. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 わが国の国際信用を回復し、もつてわが国経済再建の基調たる貿易の発展を促進するとともに、健全なる労使関係の樹立によつて国民生活の安定をはかるには、国際労働條約の批准採択による、公正なる労働條件採用が不可欠の要件である。よつて国会並びに政府当局は、国際労働條約の批准に関し、迅速かつ有効なる措置をとられるようにされたい。
  157. 仲内憲治

    仲内委員長 政府側に御意見はありませんか。
  158. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 たしか本日の参議院の本会議においても、この決議案が上程されたことと思つておりますが、平和條約で義務づけられておるものも中にはあるかと思いますし、こういう問題はやはり順次加入して行くべき問題だろうと思つております。
  159. 仲内憲治

    仲内委員長 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ、本陳情書は了承いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。     ―――――――――――――
  161. 仲内憲治

    仲内委員長 最後に、日程第二四、海外移住促進に関する陳情書を議題といたします。専門員よりその趣旨説明を求めます。
  162. 佐藤敏人

    ○佐藤専門員 海外移住の推進が日本民族将来の命運を決し、かつ講和後のこの際、その施策いかんが、今後の海外移住の実行に重大な影響を及ぼすものであるから、次項を検討されてすみやかに実施されたい。一政府に、海外移住促進審議会または国際協力促進審議会を設置すること、二、移民募集、国際教養の訓育等に、海外移住協会本支部を活用する道を講ずること、三、海外移住希望者に対し、職業補導を行うこと、四、海外渡航費などの補助または貸與等のため、移民金融公庫を設立すること、五、在南米の日本資産を、凍結解除後南米移住費に転用する方策を講ずること等。
  163. 仲内憲治

    仲内委員長 これについて政府側に御意見はありませんか。
  164. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 海外移住の問題もできるだけ努力をしたいと思つております。神戸の移住斡旋所の整備もだんだんできて来ております。それから民間の移住関係の団体の統合等も大分進んで参つて来ておりまして、この問題は今後をも政府としても協力して参りたいと思います。
  165. 仲内憲治

    仲内委員長 御質疑はありませんか。――御質疑がなければ本陳情書は了承することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 仲内憲治

    仲内委員長 御異議がなければさように決定いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時六分散会