○林(百)
委員 私はこの両
協定に反対するものであります。反対の理由は、御承知の
通りに、ブレトン・ウッズ
協定は、一九四四年の七月、
アメリカのニュー・ハンプシヤ州ブレトン・ウツズ市において、
連合国四十四箇国間に、
国際通貨基金設置草案、並びに
国際復興開発銀行草案が
承認されたのでありますが、しかしその後約八年の間の世界情勢は、非常に目まぐるしい発展をしまして、一方では社会主義あるいは人民民主主義諸国の平和的な経済の躍進、一方は米国を中心とする資本主義的な諸国が、
戰争政策によ
つて自己の経済を維持しなければならないというような、鋭い
二つの対立を示して来たのであります。それでこの
国際通貨基金協定の中にうた
つてあるところの、経済政策の第一義的目標たる全加盟国の高水準の雇用、及び実質賃金あるいは所得の促進というようなことがあるけれ
ども、実際はこのような雇用の増大、実質所得の増進と一いうことが、ま
つたく逆の方向へ向
つておるということは、明らかだと思います。これのみではなく、昨年の秋の総会における、トルーマン大統領の演説におきましても、この両機関が、大体
アメリカの世界支配の政策に協力するものにこれを貸し出すというようなことで、この
国際通貨基金、
国際復興開発銀行の実質的な運用が、
アメリカの支配政策、あるいはソ同盟、中国その他の社会主義、人民民主主義諸国に対する
侵略的な政策、これに裏づけをされた金融政策であるということは、トルーマン大統領の昨年秋の総会における演説においても明らかだと思うのであります、それでこれを見ますと、名前は
国際通貨基金、
国際開発銀行というけれ
ども、実際は
アメリカの金融支配下に入るということになると思うのであります。第二の理由は、しかもこの両機関とも現在は実際何ら活動をしておらないのである。昨年秋の基金総会における年次報告によりますと、
国際通貨基金の運営には、運営だけで毎年三百二十万ドルかか
つているけれ
ども、基金がこの一年間にした仕事は一千万ドルをブラジルに供給したことだけであるというのでありまして、実際的な運営はむしろ何ら活動しておらないという
状態であります。そこで
政府に対する
質疑を通じて明瞭にな
つて来たことは、
政府自体もこの両
協定へ加盟することによ
つて金が入るということは考えておらない。ただ
国際的な信用を高めるということだけであることは、大体池田大蔵
大臣並びに
岡崎外務大臣の
答弁によ
つても明確に
なつたと思うのであります。ところが
国際的な信用を高めて、しからばどういうことをするかというと、おそらくそれによ
つてアメリカからの外貨導入を促進するという、この
吉田内閣の一枚看板である外貨導入の
二つの呼び水としてこれに加盟するのではないかというようにわれわれは推測し得るのであります。ところがわれわれの税金からこの二百億も金を出して両
協定へ加盟して外貨導入を仰ごうとしても、この外貨導入がどういう
状態にな
つているかということは、自由党の諸君もよく御存じだろうと思うのであります。電源開発に対する外貨導入、ちるいはマーケット声明におきましても、ま
つたく無残な結果とな
つておる。率直にいうと、
アメリカ側の金融資本家にと
つては、
日本は準戰場にもひとしい地域であり、ここへどうして大事な長期の投資ができるかということが、彼らの率直な考えだ思うのであります。いかにわれわれが二百億の金を投じてこの両
協定へ入
つたところで、
朝鮮戦争はまだ海のものとも山のものともわからぬ。それから極東の一般的な政治情勢は非常に危險だ。
日本は明らかに軍事基地に
なつたけれ
ども、ここから飛行機が飛び立
つているということになれば、ここへ長期の資金を導入するということはあり得ないのであります。こういうことから見ましても、これに二百億もの金を出して加盟することは、基金からの金の借入れができないと同時に、それを呼び水として呼ぼうとしてお
つたところの外資導入ができないことも明瞭だと思うのであります。
このほかさらにこの基金に入ることによ
つて為替
管理の制限を受ける、あるいは為替相場の変更もできないというようなことで、
日本は重大な制限を受けることになるのであります。
日本側が為替
管理あるいは為替相場の変更の
義務を負いながら、一方英米の側では、強力な資本力にものを言わせて、自由に関税あるいは為替を左右しておるというのが実情だと思うのであります。われわれはあのような
協定に対して二百数十億もの金を出すことについては絶対に賛成できないのでありまして、この立場からわれわれは反対を表明するものであります。