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1952-08-25 第13回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年八月二十五日(月曜日)     午後二時五十三分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 受田 新吉君       稻田 直道君    田中  元君       田中 萬逸君    田渕 光一君       苫米地英俊君    内藤  隆君       西村 久之君    野村專太郎君       平野 三郎君    村上  勇君       柳澤 義男君    山本 猛夫君       山本 久雄君    三宅 正一君  委員外出席者         引揚援護庁長官 木村忠二郎君     ————————————— 八月二十五日  委員逢澤寛君、池見茂隆君、小西英雄君、高橋  等君、若林義孝君、青柳一郎君、飯塚定輔君、  川端佳夫君、佐々木盛雄君、庄司一郎君、玉置  信一君、玉置實君、及び堤ツルヨ君辞任につき、  その補欠として山本久雄君、山本猛夫君、柳澤  義男君、村上勇君、平野三郎君、野村專太郎君、  西村久之君、内藤隆君、苫米地英俊君、田渕光  一君、田中萬逸君、田中元君及び三宅正一君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月三十一日  海外同胞引揚に関する件  遺家族援護に関する件 の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員報告聽取に関する件  閉会審査事件報告書に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  本日は、遺家族援護状況調査のため派遣せられました委員より、現地調査報告を聴取いたすことといたします。     〔委員長退席稻田委員長代理着席
  3. 稻田直道

  4. 小平久雄

    小平(久)委員 これより関東中部地方遺家族援護状況調査いたしました経過について、簡單ではありますが、その概要報告申し上げます。  今回の実地調査は主として各地における戰傷病者戰没者遺族等援護法実施状況調査いたしたのでありまして、関東中部班調査対象といたしました県は、長野県、新潟県、群馬県及び日程を追加して調査して参りました栃木県の四県であります。  御承知の通り戰傷病者戰沒者遺族等援護法は、本国会において成立し、法律第百二十七号として本年四月三十日より施行されたのでありますゆえ、いまだ施行期日も浅く、各地においては、事務上の準備もあり、受付開始の時期がおそかつたため、現在の実施状況は、おおむね受給申請受付の途上にあり、関係当局に対する進達件数はいまだ少いと言うべき状況にあるのでありますが、これもその後急激に事務が進捗している県もあるところより見て、今後急速に進捗するものと思われます。  以上のような各地状況下におきまして、調査項目各般にわたつて調査いたしましたため、調査に現われた結果は、数字的にも確定的なものでなく、かつ実施上の問題点及び要望事項も一部分的なものであると思いますが、概括的に把握いたしました状況並びに種々の問題点調査項目別に申し上げることといたします。  まず、各県における戰傷病者状況について申し上げますと、昨年十二月二十五日に、全国一齊に、身体障害者実態を把握するため実態調査が行われたのでありまして、各地においては、このときに戰傷病者実態を詳細に調査いたしておるのであります。長野県における戰傷病者の数は五千五百九十一名、新潟県は六千四百四十三名、群馬県は五千二十三名、栃木県は三千八百二十六名であり、おおむね各県とも軽易な農業、林業、工業及び事務販売等職業に従事している者が多く、重度の戰傷病者を除いては何とか生活を得て、生活保護法適用を受けている者は比較的少い状況であります。戰傷病者援護法に基く申請受付裁定及び通知給付状況につきましては、長野県は、障害年金請求書受付件数六十四件、進達数三十七件であり、裁定及び通知はいまだない状況でありますが、増加恩給より切りかえて裁定通知をしたものは千三十七件もあります。群馬県は、受付数六十一件、進達数三十件。栃木県は、従来の身体障害者福祉法に基いて提出されたものを援護法に基く手続に改めさせているため多少のずれがあり、現在では受付件数二十一件であります。  更生医療補装具支給国立保養所への収容に関しては、各県はあらゆる広報機関を通じて法の趣旨を県民に徹底させるよう努力しているのでありますが、いまだ施行期日も浅く、現在ではいまだ申請件数は少い状況にありまして、長野県では、昨年十二月の実態調査の結果によると、戰傷病者のうち更生医療を必要とする者は四百二十七名の多きを数えているので、これらの者に対して早急に医療を施すことができるよう、巡回診療相談実施するよう準備しており、補装具交付を必要とする者四百十八名については積極的にその手続をさせるよう方途を講じております。新潟県は、現在巡回更生相談を行い、それによつて申請増加すると見込み、年間おおむね百名の予算措置を講じておるが、補装具等支給についてはいまだ申込み皆無で、群馬県は、更生医療を必要とする者は四百七十三名もあるが、更生医療機関がいまだ指定されていないので、実施できない状況にあり、補装具支給状況は、七月末までに四十三件であります。栃木県においては、更生医療申請はなく、補装具支給並びに修理は現在までに二十九件でありまして、趣旨周知徹底伴つて逐次増加を見るものと思われます。  戰傷病者就職状況は、各県とも県当局関係機関と連絡の上職業あつせんに努力していますが、現下の社会的、経済的な制約を受けて、その就職率はいまだ十分な成果を発揮し得ない状況にあり、求職の任意登録とか、職業能力適応性等を勘案した職業補導、あつせんにより、その率を上げつつあるようであります。  戰傷病者に関しては以上のような現況にありますが、更生医療指定医療機関については、治療技術並びに施設に高度性が望まれるところでありますが、技術の面から言つても、まだ設備の面から言つても恵まれた條件にある国立医大学が、人員の拡充、医療單価等の点により、また学術研究機関であるという点より、文部省の拒否を受けて指定にならず、法運営上困つている群馬県、新潟県というようなところがあるのでありまして、この点については考慮さるべきものがあると思うのであります。また七項症以下の、法の対象とならないものは、現在約半数以上を占めておるのであるから、今後適用されるよう考慮してほしいという声が各地にあつたのでありまして、その他義歯を補装具更生医療対象とすること、戰傷病者強制雇用制度を設けること、二項症以上のものについては、労働が不可能であるから、特に現行以上の考慮をしてほしいとの要望を受けた次第であります。  次に、遺族関係状況について申し上げますと、長野県における戰沒者の数は約五万九千名、新潟県七万二千八百十五名、群馬県四万四千五百十名、栃木県四万三千九百五十二名であり、遺族生活状況は、新潟県においては、遺族六万三千六百七十世帶中、生活保護法適用を受けている世帯五千世帯、なお適用を要する世帶が一万五千世帯に及んでおり、群馬県は、遺族四万三千七百二十一世帯中、生活保護世帶千四百三十、要保護世帶一万七千九百十五、栃木県は、約二・五%が生活保護法適用を受けているのでありまして、遺族中には苦しい生活にありながらも生活保護を受けないでいる者が多数あり、その労苦が思いやられるのであります。  遺族年金及び弔慰金に関する申請受付及びその処理状況について見ますと、七月末現在で、長野県は、受付数二万百四十二件、進達数三千八百二十九件、裁定済み六百八十八件で、申請は約二割、新潟県は、受付数七千四百七十八件、進達数二百四十四件、裁定済み二十七件で、申請は一割に満たず、群馬県は、受付数二万百二十五件、進達数千四百七十二件で、申請は約三割弱、栃木県は、受付数一万千四百三十三件、進達数三千六十五件、裁定済み八百二十五件で、申請は約二割という状況でありまして、県によりまして、受付をしても、再調査を行う等、適用條件の完備を期して、まとめて進達をするようにしておるところもあり、県によつて進達数は異なつておるような次第であります。  以上のような処理状況下におきまして、各県とも援護法に伴う事務委託費は、実際の事務費予定額に比較してきわめて少く、年度内に大半の処理を行うことことはとうてい不可能であり、しかも全額国庫負担の建前から、県費の補助を要求することが困難な事情にあるため、これについての予算の増額をされたいとの声が強かつたのであります。  次に、遺族関係における要望事項として、遺族中、母の夫と養子縁組をした実子に対して年金及び弔慰金支給遺族年金については、父母祖父母等年齢制限及び直系血族有無制限撤廃父母祖父母の婚姻に関する制限の緩和、年金受給者に対して、これを生活保護法にいう収入と認めないこと、弔慰金については、適用を叔父、叔母等にも拡大し、現に戰没者葬祭実施している者に支給されない実例が少くないから、実際葬祭を行つている者にも支給範囲を拡張すること、終戰後公報発令した者には、昭和十六年十二月八日以前の事由の者に対しても支給し得るようにすること、生活困窮者、特殊事情ある遺族に対しては、国債換金化について至急考慮すること、その他戸籍の証明料を無料とすること、戰犯処刑者遺族に対しても適用すること、遺兒の就学についてさらに強力な措置を講ずること、軍人恩給法をすみやかに復活し、扶助料により遺族補償実施すること、なお長野県、群馬県における開拓団犠牲者遺族に対しても同様適用されるよう考慮すること、等の要望が強かつたのでありますが、これらの各問題点要望事項につきましては、特に今後において検討を要するとともに、考慮すべきものがあると思うのであります。  以上、調査項目各般について申し上げましたことは概括的でありますゆえ、詳細なる数字等については、持参いたしました資料等を参照願うことといたしまして、ここに調査報告を終ることといたします。     〔稻葉委員長代理退席小平委員長着席
  5. 小平久雄

  6. 受田新吉

    受田委員 中国地方派遣委員を代表いたしまして、私から簡単に実地調査報告をいたします。  初め派遣委員は三名の予定でありましたが、国会閉会中のことで、帰国中の地元出身委員の参加がありまして、五名の委員が、八月十一日から六日間、それぞれ分担して、岡山、福山、広島山口各地において、県市当局、各関係団体代表者の参集を求め、実情を聴取いたしますとともに、忌憚なく意見の交換を行い、かつ資料提出を求める等の方法によつて調査実施したのでありますが、各地とも援護法施行には力を注いでおりまして、調査にあたつては、きわめて熱心に説明及び意見の開陳がなされ、法そのものについて、またその他実際上の要望が多々あつたのであります。  調査の詳細につきましては、委員長の手先に資料提出しておきましたから、ここでは簡単に各県別概要を申し上げることにとどめたい、と存じます。  まず、岡山県の状況より申し上げますと、岡山県の遺族関係といたしましては、戰没者数は五万三千人、遺族数は十八万余名でありまして、その生活状況はおおむね中以下で、生活保護法適用を受けている者は、約四%の六千八百三十五名、二千五百三十世帯であります。年金及び弔慰金請求書受付状況につきましては、八月九日現在をもつて一万一千件程度でありますが、八月中には約半数程度提出があるものと予想せられております。その処理状況につきましては、進達手続の終つたものが三千五百件で、そのうち約半数書類不備のため返却されているという状況でありまして、裁定のあつたのはわずかに二十九件であるとのことであります。提出並びに処理遅延の理由につきましては、これは各地すべてに共通の問題と認められるのでありますが、県当局その他関係団体の熱心な法の普及徹底及び事務処理促進の努力にもかかわらず、何分ともに法の難解なこと、手続の煩瑣なこと、並びに山村僻地の高年齢の人々が法の基調をなす新民法の精神を十分に理解しがたいこと、その他県世話課の縮小による応急的臨時職員事務能力及び事務費不足等に基因して、なかなかに成果が期しがたいと思われる次第であります。  戰傷病者状況につきましては、恩給法所定の第二日症程度以上の者は、昨年末調べで四千三百四名で、これまた生活程度は概して低く、無職の者は約二三%の五百四十五名で、生活保護法適用を受けている者は約五%の二百四名であります。更生医療給付につきましては、調査当時、申請受理中で、給付決定のものはなかつたのでありますが、実施見込みは、本年度中約二百名とのことであります。補装具支給状況につきましては、七月末現在におきまして、給付決定のもの六十七件、約七十万円となつております。お国立保養所への入所希望の者は四名とのことであります。  次は、広島県について申し上げますが、広島県の遺族関係といたしましては、戰没者数は七万四千五十五名で、遺族年金弔慰金該当者見込数は六万八千七百名でありまして、請求書受付は、七月十一日第一回に受付けたもの二十七件を皮切りに、八月十一日現在で八千七十八件、進達件数は千三百四十二件、うち不備のため返却されたもの七百二十五件、裁定のあつたのは二十九件であります。広島県も処理が遅れておりますが、法の施行業務につきましては、県当局はその準備及び法の普及徹底広報活動に最善を盡しておりますが、受付開始遅延業務複雑化に伴う業務量増大等により、予定より約一箇月遅れており、これは県世話課の編成が定員の三割減となり、三十名の臨時職員をもつて補足しており、事務の慣熟につれて向上の余地はありますが、さらに法三十四條二項及び三項該当者審査をも開始することになれば、さらに十名程度の増員は必要とし、現在の人員予算をもつてしては年内に約半数程度しか処理できないこととなろうとのことであります。広島の特色は、申すまでもなく原爆関係でありまして、原爆関係戰沒者は、軍人七千五百人、その他二万人と言われておりますが、軍人にあつても、公的資料のないものが比較的多く、特に軍人関係以外の身分証明病歴書等資料の収集は非常に困難で、原爆関係犠牲者として、現在居住者対象として調査し、把握し得たものは、元軍人関係以外で総数一万一千二百八十八名で、内訳国民義勇隊三千七百十九名、動員学徒五千九百五十九名、徴用工七百二名、女子挺身隊五百八十三名、その他三百二十五名となつております。次に、遺族生活状況につきましては、中程度のもの六六%、下位のもの二七%、生活保護法適用を受けているもの七%となつております。また遺兒の数は約四千名で、育英資金貸付は二十七年度第一期の出願者四百八十名に対し、現在二百名に貸付を行つております。戰傷病者関係につきましては、総数は五千七百四十六名で、法の適用を受ける者の数は約三千八百人と目され、無職の者は約三割であります。生活程度は一般に中以下であります。更生医療につきましては、申請受理したものが十三件ありますが、医療機関指定がないため保留中で、この点早急に指定せられたいとの要望がありました。補装具支給につきましては、申請書受理件数は百四十件で、交付件数百十八件、金額百四十二万六千九百十円となつております。国立保養所への収容につきましては、希望者二名であります。その他県当局におきましては、援護法施行を記念して、その趣旨徹底をはかるとともに、申請者の便宜をおもんばかり、六、七両月にわたり、県下十三箇所において、更生医療補装具等支給巡回相談を行い、なお九月初旬、重ねて県下医療診査更生相談実施する計画を進めておるとのことであります。なお白衣募金の問題につきまして、県当局においては鋭意その更生指導に力を入れているが、国において統一した方針によつて取締るようせられたいとの要望がありました。  次に、山口県の状況について申し上げます。山口県の遺族関係につきましては、戰没者数は約四万五千人、遺族数は約四万名で、八月十三日現在におきまして、年金及び弔慰金申請受付件数は、他県より多く、二万二百四十七件、進達件数五千七百三十二件でありますが、返送されたもの二千五百九十五件、裁定のあつたのは十七件ということであります。この点につきまして、遺族は九月には年金を受給できるものと期待をしておるのでありますが、これが現在の県の人員予算をもつてして、とうてい不可能で、配付の委託費はほとんど使用済みで、国において火急に予備金より支出して、委託費とせず、国費をもりて交付せられたいとの要望がありました。遺族状況につきましては、昨年末に三万八千八百八十五世帯について調査したところによりますと、生活扶助を受けているものは約六%の三千四百六十七世帯、月収五千円以下のものは約四十九%の一万八千九百六十一世帯、五千円以上、一万円以下のものは約三十六%の一万三千五百七十四世帶無職のものは二万七千三百五十二人となつております。戰傷病者関係といたしましては、傷病恩給該当者数は約一万名で、六項症以上は推定約二千名、今後予想せられまする傷病恩給及び障害年金申請者数は約千五百名の見込みとのことでありますが、目下診断希望者多きも、国立病院医師の手不足のためこれに応ずることができない状態で、国立病院外科医の強化、経験ある開業医を動員するための経費について措置を講ぜられたいとの要望がありました。戰傷病者生活状況につきましては、生活保護適用者は五%の三百七十名、要保護者は一〇%の五百四十名であります。更生医療並びに補装具等支給につきましては、すでに下調査を終了し、近く県下十箇所で巡回相談を行う予定とのことであり、また国立保養所への入所希望者は二名であるとのことであります。  以上、各県別調査概要を御報告申し上げた次第でありますが、最後に、すでに申し上げましたものを除きまして、各地要望事項のおもなるものについてお伝えいたします。  岡山県当局におきましては、一、援護法国家補償と言い得ないから、恩給法に切替えること。これは山口県においても同様であります。二、遺兒の育英資金を増額すること、これも山口県においても同様であります。三、事実婚をしている妻に弔慰金支給するようになつているが、これは次の順位の者に支給できるようにすること。四、事務費国庫補助を一府県一千万円程度に増額すること。五、弔慰金として支給した国庫債券の国民金融公庫の融資を大幅に増額すること。これは広島山口両県においても同様であります。六、日本赤十字救護看護婦で戰沒した者は正規軍属として取扱うようにすること。  広島県当局におきましては、一、法三十四條二項該当者取扱細則をすみやかに決定すること。一、今回の援護法にも共済組合にも該当しない公務死亡軍属遺族の救済を考慮すること。三、更生医療適用範囲胸部疾患者にも該当するよう拡大すること。  山口県当局におきましては一、障害年金及び医療給付について、症状程度による制限を廃止すること。二、障害年金遺族年金及び弔慰金を増額すること。三、弔慰金は祭祀を行う者に受けさせること。四、年金について、子、父母、孫、祖父母については年齢以外の條件をつけないこと。五、実家に復帰した妻に従つて養子となつた子入夫婚の夫の養子となつた子が失権することは不合理ゆえ、この点改めること。六、結婚及び養子を解消せる妻子には年金支給すること。七、年金生活保護法及び所得税対象としないこと。八、担保禁止條項を緩和するとともに、資金化方途を大幅に講ずること。九、国費をもつてする靖国神社の大祭を復活し、遺族参拝旅費国庫支弁とすること。十、市町村への事務補助費を一柱当り百円程度に増額すること。十一、国立保養所をすみやかに設置すること。等であります。他にも遺族厚生連盟傷痍軍人会等よりも要望または陳情が多々ありましたが、その要点はおおむねすでに申し上げたところと重複するものもありますので、ここでは省略いたしまして、委員長提出した書類によつて御承知願いたいと存ずる次第であります。  以上をもつて中国地方実地調査の御報告といたします。
  7. 小平久雄

    小平委員長 以上の報告に関連いたしまして、援護庁長官より発言を求められております。これを許します。木村援護庁長官
  8. 木村忠二郎

    木村説明員 遺族援護並びに戰傷病者援護の問題につきましては、法の制定以後前国会の終りますまでの状況につきましては、この前に御説明申し上げた次第でありますが、この前申し上げました通りに、戰傷病者につきましては、従来の増加恩給裁定を受けておりました者につきましては、すべて一方的に当方より年金裁定をいたしまして、通知を全部終り、七月の支給期支給ができるようにいたしたのであります。次に、遺族年金並びに弔慰金につきましては、現在までに請求書書類受付けておりますものが、総数七万四千件ばかりでございます。そのうち裁定を終りましたものが、年金につきまして約二万五千件、弔慰金につきまして三万五千五百件、なおそのうちで、遺族年金について貯金局にすでに御通知をいたしましたものが一万一千件、弔慰金につきまして大蔵省の方へ国債請求を出しましたものが約一万件であります。年金受給遺族内訳を申しますと、配偶者が六千六百人、干が一万二千全、父母が二万五千人、祖父母が三人というような数字に相なつております。ただいま御報告にありましたような各地方におきまするところの事務状況でございまするが、法が施行されまして、当初一箇月ぐらいの間は、この法の趣旨徹底につきまして、中央から地方へ、地方からまた町村へというふうに、だんだんと下の方へ徹底するように努力いたして参りました。受付につきましては、その後にこれが始まつたということで、ようやく最近になつて請求書類が出て来るという状況に相なつておるわけであります。従いまして、今後一、二箇月の間に相当多数の書類受付けられるのではなかるりかというふうに考えるのであります。これに対しましては、現在までの事務費状況をもつていたしましては、きわめて不十分でありまして、これをもつて今年度中にこの業務を終るということは不可能であるというふうに考えますので、先般来これにつきましての基本的な調査実施いたしまして、先般大蔵省に、これに必要なる補正予算の追加を要求いたしております。ただいまその折衝中でありまして、ここ数日中にこれが決定を見ることに相なろうかと思つております。大体におきまして、われわれとしましては、最小限必要なる事務費はぜひとも出してもらうようにいたしたいと考えまして、大蔵省当局におきましても非常なる理解を持つてこれにつきましては御検討をいただいておるような次第でありまして、近く、満足とまでは行きませんでも、それでもつて何とかこの業務がやれるような予算はできることになるのではないかというふうに考えております。  なお、この業務の取扱い方につきましても、できるだけ業務そのものを簡素化する必要があると考えられますので、これにつきましては、その後中央地方におきまして、協力して検討いたしまして本日も地方民生部長の諸君と協議いたしまして、大体一応の見通しを立てたわけであります。これによりまして、われわれの期待することに、ここ数日中に措置ができますならば、本年度内に、特別にきわめてむずかしいものが若干残るかもしれませんけれども、大体において全面的にこの業務は遂行することができるようになるであろうというふうに期待いたしているのであります。われわれといたしましては、できるだけ早い機会にこの業務ができるようにいたしたいと考えておりますが、何を申しましても、新しい職員をもつてやらなければなりませんことと、しかもこの仕事が従来ない仕事でございまするので、職員訓練等についてきわめて困難いたしているのであります。ようやくにいたしまして、現在その仕事が軌道に乘つて来たということでございます。なお、今後の予算がきまりましたならば、すみやかに職員の訓練をいたしまして、できるだけ早い機会にその補償業務が完了するようにいたしたいと考えております。
  9. 受田新吉

    受田委員 今の長官のお話の中に、事務の簡素化をはかるという点と、この事務費を早急に何とか大蔵省と折衝して報いたいというお話があつたのでありますが、事務の簡素化については、これは中央が一々支配的な立場をとり過ぎると、一層手間取ると思います。たとえば、今日よく進達書類の中に、名前にふりがながつけてないというので、また返された例があるそうであります。このようなものは、ふりがなを適当に付することとしてそのままそれが効力を発生するような形にしてしまえばいい。それを送り返して、またふりがなを付するというだけで何回もやつておるところに、事務の澁滞を来す点があると思いますし、また府県の当局で、調査官が三人で審査すればいいところを五人で念を押すことは、審査徹底し、念は入るが、非常に手間取る。係が一つの書類を見るのに、何人ぐらいで見るかというところに、その幅が出て来ると思うのですが、こういう点は、はつきりと本人と確認した人物であれば、ざつと片づけて、非常に問題になる点だけが残るというふうにすれば、非常に事務が進捗すると思う。小さいところにこだわり過ぎてちよつと気をつければわかるようなことを一々指示して照合するような傾向がないように、事務の簡素化について一言御忠告申し上げておきます。  それと、今の経費の問題でありますが、これは県によつては、山口県などは非常に努力しておりまして、県費で何とかしようというので、さしあたり今月、来月は、臨時職員を県費で採用するというところまで来ておるようですが、それから先は続けられないというようなところもありますし、また県によつては、中央からの事務費が少いから、事務費のある程度しかやらぬという熱意のないところもある。こういう点から、全国不均一になつてはたいへんだと思うのでして、この点、全国が画一的にすみやかに措置ができるように予算措置を講ずることに御努力していただいていることを聞きまして、非常に喜んでおるのでありますが、それも、ほんのお涙程度というものでなくて、各県が要求しておる一県当り一千万円程度ぐらいのものは、十分基準として御考慮いただきたい。これはごくわずかな問題で、また都合によれば、厚生省関係国費をちよつと振りかえてでもできるというような熱望をした地方があるのでありますから、そのような実情に沿えるように、ひとつ早急に手を打つていただきたいと思うのであります。
  10. 木村忠二郎

    木村説明員 折衝の途中で数字を申しますと、財務当局の心証を害しますので、ごかんべん願いたいと思いますが、ただ私の方のやつておりますやり方を申しますと、大体中央においてきわめて愼重にやりました業務の運び方によりまして一枚の書類がどの程度の時間がかかるということを検討いたしまして、これによつて必要なる人員並びに各種の費用を計算いたします。これを地方において行います場合には、中央よりは能率が落ちるものと見て計算をいたしましてそうして中央地方との業務の区分をして、中央地方において必要なる総人員並びにこれに必要なる諸経費を計算して現在ありまする予算を差引いて計算している、こういうことになつております。     —————————————
  11. 小平久雄

    小平委員長 この際、閉会審査事件報告書に関する件についてお諮りいたします。さきに海外同胞引揚に関する件外一件が閉会審査事件として付託されておりまして遺家族援護に関する件については、委員各地に派遣して、実地に状況調査いたしましたので、これら委員会審査経過の簡単な概要報告書にして提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小平久雄

    小平委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成等については委員長に御一任を願います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時三十分散会