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1952-06-20 第13回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十日(金曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 池見 茂隆君 理事 小西 英雄君    理事 高橋  等君 理事 若林 義孝君    理事 坂口 主税君       庄司 一郎君    玉置 信一君       中山 マサ君    福田 喜東君       松永 佛骨君    丸山 直友君       亘  四郎君    堤 ツルヨ君       苅田アサノ君    中野 四郎君  出席政府委員         外務政務次官  石原幹市郎君         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田邊 繁雄君  委員外出席者         厚生事務官   田島 俊康君     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  閉会審査に関する件  連合審査会開会要求に関する件  海外胞引揚に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたしたいと存じます。南方地域における残留胞引揚げにつきまして、本月十二日スマトラより引揚げて来られた方々より、スマトラ島における残留同胞実情等について聴取いたしたいと思いますが、一応今国会会期は本日で終了することになつておるのでありましてもし閉会になつた場合には、閉会審査案件の付託により審査を進めることとなりますので、院議により案件が付託された場合に行うこととして、六月十二日にスマトラから引揚げられた宮山滋夫川路進早川清の三君を、本委員会参考人として招致いたし、実情を聴取することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小平久雄

    小平委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。なお参考人招致日時手続等についで委員長に御一任願いたいと存じます。  なおお諮りいたします。外地戰犯抑留者に関しましては、本委員会におきましても、さきにフイリピンにて服役期間を終えられた黒田元中将より、服役状況等を聴取し、また先般政府当局より説明を聴取いたしたのでありますが、最近マヌス島において服役され、刑期満了して帰られた方がありますので、この際本委員会参考人として招致いたしたいと思いますが、元軍医大尉北村義廣君を参考人として招致することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小平久雄

    小平委員長 異議なきものと認め、さよう決定いたします。なお参考人招致日時手続等について前に決定した参考人と同様、委員長に御一任を願います。     —————————————
  5. 小平久雄

    小平委員長 この際閉会中の審査についてお諮りいたします。今国会も、はや会期終了の日を控えまして本委員会といたしましては、平和條約が発効し、独立を回復した今日、海外胞引揚げ促進の問題、留守家族及び引揚者の援護の問題、外地戰没同胞遺骨收容に関する問題並びに遺家族援護に関する問題等、早急に解決をはからなければならない種々の問題に対し、その調査を一日もゆるがせにできないものと考えるのであります、従つて国会閉会中も、引続き国会法第四十七條の二項によりまして継続して審査いたして行きたいと思うのであります。閉会審査を行いますには、その旨を議長に申出で、院議によつて付託されなければなりませんゆえ、閉会審査すべき案件として細別すれば種んの問題にわかれますが、海外胞引揚げに関する件並びに遺家族援護に関する件と大別し、閉会中の審査議長に申出でたいと思いますが、これについて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小平久雄

    小平委員長 御異議なきものと認め、さよう手続いたすことに決します。     —————————————
  7. 小平久雄

    小平委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  8. 小平久雄

    小平委員長 速記を始めてください。  先般スマトラより帰りました方々のうちから、本委員会参考人を招致することはただいま決定を見たのでありますが、終戰の際に行方不明などになりまして、まだ残留している同胞南方地域に幾ばくかあることと思うのでありまして、これらの残留同胞引揚げについては、早急に実現されるべきであると考えられるのであります。これに対する政府当局の対策並びに南方地域残留同胞につきましての状況を、政府当局よりこの際伺いたいと思うのであります。石原外務政務次官
  9. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 ただいまここで御審議があつたようでありまするが、去る十二月にこのスマトラのメダンより約二十名の邦人が神戸に引揚げて来たのであります。これらの人たちは、戰後インドネシア独立運動に参加しておつたという形のものが大部分のようでございます。これらの人々は、大体服装その他も今までよその地域から帰つて来た人よりさつぱりした服装等もしておりまして相当の様子であつたように感ぜられるのであります。それから、これから考えまして他の南方地域においてもなお残留しておる者が若干ある模様ではありまするが、これはここでもたびたび申し上げましたように、その多くは潜在しておりまして、実態を把握することがきわめて困難でありまして、その数も正確には、はつきりいたさないのであります。今までの帰還者情報によりますると、北スマトラには約百五十名くらいの者がおるのではないかと考えられます。それからインドシナに数十名の者がおるのじやないかと思いますが、詳細は不明であります。それからフィリピンルバング島に三名おるということは、これは今までもたびたび申し上げた通りであります。このスマトラ島に残つておりましたのは、大体は戰後独立運動に参加したところのものが大部分のようでありましてその他は孤立した小部隊であつて本隊との連絡が不十分のために、合流できないで残留を余儀なくされたということ、それからごく一部には女性関係であるとか、あるいはまた当時の戰犯関係動きその他等で残つた、こういう状況のようでございます。しかしこういう者も、内地帰還意思を持ちまして連絡をとつて来るようになりましたなら、これはもちろん帰還ができまするように努力をしておるわけでありまして、在外公館等を通じましてそこらのことは手落ちなくやつて行きたいと思つております。今度の二十名の帰還につきましても、ジャカルタの在外事務所の者が非常に動きまして、今回第一次といたしまして二十名の帰還を見たのであります。いずれ帰還した人を参考人として呼び出されました際には、在外事務所等もどういう働きをしておるかということが判明することと思います。大体以上であります。
  10. 小平久雄

    小平委員長 本件について、御質疑があればこれを許します。
  11. 池見茂隆

    池見委員 あげ足をとるわけではないのですが、今外務次官お話では、引揚げて来た者からいろいろと意見を聴取し、かつ在外事務所等がどういつた働きをしておるかということもわかるというお話ですが、在外事務所在外事務所として日本政府より設置されておる事務所であるから、そういうふうなことについては、在外事務所から常に本省の方にいろいろと連絡はないものですか。
  12. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これはもちろんひんぴんと連絡はあるのでありますが、今回引揚げて来ました者が、在外事務所の行動につきまして非常に感謝の意を持つておるといいますか、よくやつてくれたという気持をお持ちのようでありますから、そういうことがここで表明されたら、というつもりで先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
  13. 池見茂隆

    池見委員 それでは、この残留者に対しましては、その地域における在外事務所において常にいろいろと調査その他のことについて努力するように、こちらから指令してあることは間違いないと思いますが、そうですか。
  14. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 その通りでございましてことにあのフイリツピンのルバング残留者等が山に置手紙みたいなものをしているのによりますと、ここから出て行つても危害を加えないといいますか、ひどい仕打ちがなければ、おりて行くという意味手紙等もありましたので、そういうことは向う警察隊を通じて、その人々が出て来ても、別に特別のひどい取扱いをするのではなぐ、降伏者として扱うのだというようなことを周知できるようなこともやつております。現地在外事務所はあげて向う連絡をとりましてその潜在しておる所在のわからぬ者の選び出しと、それから今回スマトラ島から帰つて来たような、こういう人たち帰還のあつせんを極力今やつておる次第であります。
  15. 堤ツルヨ

    堤委員 ちよつと外務次官にお尋ねしたいと思いますが、今度お帰りになつた方々については行方不明と申しますか、生死不明ということで、留守家族方々は全然その健在を御存じなかつたのか、それともおおよその見当がついておつて、知つておられたのか、その辺のところはどういうふうになつておりますか。
  16. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 今回帰還しました者のうち、大部分人々は一定の場所に集結しておりましたので、十三名の者については、留守家族等に今まで十分連絡ができておりました。
  17. 堤ツルヨ

    堤委員 そうすると、今回お帰りになつた方にここへ来ていただいて御質問申し上げるとわかると思うのでありますが、大体今申された人数についての個人のお名前だとか何だとかいうものは、すでにあなたの方では大体おわかりになつておりますか。
  18. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 大体わかつております。
  19. 堤ツルヨ

    堤委員 それではそのわかつたことについてすでに政府としてはあちらの出先機関連絡をおとりになつて何らかの具体的な方法を考えておられるのかどうか。
  20. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これはもちろん向う在外事務所等連絡をしたり、いろいろなことをやつておるのおりますが、ここでこういうとを申し上げていいかどうかとも思うのでありますが、帰還意思のある者と、極端に言えば、その意思のない者等もありまして、向うにおちつきたいという者も若干はあるようであります。そういう人までも無理々々こつちへ全部帰してしまう必要もないのではないかというふうなこともありまするので、そこらはおまかせ願うといいますか、適宜な臨機応変の処置をして行きたいと思うのでありますが、中にはそういう人もあるようであります。
  21. 中山マサ

    中山委員 関連して……。そういう人たち行方不明者として知られておつたのでありましようか。外務省として、どういう区分けの中にその人たちは入れてあつたのでしようか。
  22. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは行方不明者というわけでもなく、今回帰つて来たような人は大体わかつてつたのでありますが、これは、南方帰還が零ということになつておりますのは、帰るべき形になつておる人は全部帰つたということで、終戰当時引揚げるべき人の中で、そのときは行方不明者と申しますか、判明しなかつた人でありして、終戰のときに帰るべき形になつてつた人々は一応全部帰つたが、その後潜在しておつた者がわかつて来たという形の者であります。
  23. 中山マサ

    中山委員 潜在しておつたのを探し出したのは、結局出先機関ということに了承してよろしゆうございますか。
  24. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 結局出先機関が発見したといつてもいいかと思いまするが、本人から出先機関の方へ連絡して来たとか、あるいは留守家族の方へ連絡があつてわかつた、こういう人たちと了解してよろしいかと思います。
  25. 中山マサ

    中山委員 別にそれは山の中にこもつてつたというものではなく、土民の間で何か生業でも営んでおつた人たちでしようか。
  26. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 今回帰つて来た人の大部分は、終戰後独立戰争に加担したといいますか、参加しておつたような人々でありまして、その後は土民の中に入つて商売をしておつた者もあるようでありますし、向うの部落の中に入り込んでおつた、こういう形の人でございます。
  27. 堤ツルヨ

    堤委員 次官ちよつとお尋ねいたしますが、これは援護庁の問題かと思いますが、そのお帰りになつた人留守家族の方は、未復員者給與法、あるいは特別未帰還者給與法対象になつておりましたか。
  28. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 この中にはわからなかつたような人は対象になつていなかつたのでありますが、向うに、自分意思ではなくて連れて行かれたような人は、未復員者給與法対象になつておる人もあるようでありまして、なお詳細は援護庁の方からお答えを願いたいと思います。
  29. 田島俊康

    田島説明員 終戰直後集結地から、先ほど政務次官からいろいろ申されましたように、独立運動等に伴いまして、やはり兵器等を持ち出してそちらの方に入られた方がある。そういうのもちろん指揮官等があとで捜索の手段等を講じたりいろいろいたしたのでございますが、そういう人が若干あります。あるいはまた、きよう御決定願いました御三人の中に入るだろうと思われる一人の人なんか、これは実を申し上げますと、自動車部隊の人で、本隊帰つて来ようと思う途中を中国人の群衆に襲われまして、足を片つ方はさまれたまま、だあつと自動車が走つて行つた、この人は多分戰死だろう、なくなられただろうということで、一応死亡処理をしておりますが、その後生きておられたということがわかりましたので、その死亡処理を取消しました。そういう方は、未復員者給與法対象になつておりません。しかし兵器等を持つて自分意思向うに投じて、その後連絡がついてもどうしても帰つて来ないという方々は、これは昭和二十四年の八月をもちまして一応現地で復員された、それまでは給與いたしておつたのでありますが、そのときその給與を打切りまして一応現地で復員された、こういう形になつております。帰つて来られます方のうちには、残られました動機に関しましてそういう二つの種類の区別があると思います。
  30. 堤ツルヨ

    堤委員 そうすると、今度要するにお帰りになりました二十人のうち、留守家族はその手当を受けておるのは何家族でございますか
  31. 田島俊康

    田島説明員 ちようど半分おつたそであります。
  32. 堤ツルヨ

    堤委員 そこで、日ごろ未復員者給與法、特別未帰還者給與法対象というもののわくの中に入らない人たちの問題を、やはりわれわれがやかまく論ずる必要がある。やはり行方不明であろうと生死不明であろうと、それはお気の毒な留守家族に対してなるベく対象にするように考えないと、今のような例も出て来るわけです。そこでもう一つお尋ねしたいのは、外務次官の御説明によりますと、今まだスマトラに百五十六名おいでになりまして、それからまだルハングに三名、それからいろいろ合せると二百人近い。これははつきりしておるわけでございますが、日本本人帰りたくない、これはいろいろな関係があるでしよう。たとえば向う女性と家庭を持つた、あるいは生業についておるとか、こちらに帰つてもしかたがないから向うでおちつこう、いろいろ原因があると思います。そういう人たち留守家族は、未復員者給與法、特別未帰還者給與法というものの対象となつておるのかどうか、本人は帰らないという意思を持つてつても、迷惑なのは留守家族であります。これは未復員者給與法適用を受けられない、本人が帰らないからと、簡単に当局では現地復員ということでお片づけになつてしまうと、実際留守家族の奥さんとか年寄り子供というものは、これはやはり社会問題としてわれわれ考えなければならぬと思う。これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  33. 田島俊康

    田島説明員 先ほど申し上げましたこと、ちよつと誤解があるようでありますが、行方不明になつたという方がございます。少数でございますが、そういう方の留守家族は、未復員者給與法適用を受けておられます。それからまた若干の方が、今申しましたように自分意思で帰るといううことになつてつて、そこから自分意思離隊をされて、そうしてどうしても奥へ行つて手がかりをつけられなくなつて、そのままわからなくなつた。その場合には二十四年八月をもちまして現地復員処理をいたしまして、その後は未復員者給與法適用をいたしておりません。その際には、よく留守家族等と相談を申し上げて、実はこういうことを申し上げてはいかがかと思いますが、留守宅納得を得た上で現地復員処置をいたしておるのであります。
  34. 堤ツルヨ

    堤委員 それは、あなたの方では留守宅とよく納得の上でといいますが、それは地方へ行つてみれば、こつちが押しつけられている。それから見まして、これを未復員者給與法、特別未帰還者給與法なるものでこの留守家族手当に代用させているということ自体が、われわれ委員会として考えなくちやならぬ。従つていわゆる留守家族援護法留守家族補償法というものを為政者が戰争遺家族補償と並行してなされなければならないという結論になるわけでありますが、ひとつ早急にたびたび留守家族から私たちに陳情のございます未復員者給與法並びに特別未帰還者給與法対象の内訳を、もう一度最近のあなた方のトータルをこの委員会に御提出を願いたいということをお願いしておきたい。  そこでもう一つ申し上げておきたいのは、できるだけ戰争犯罪人留守家族に対しても、私たちは当然人間として、私たちが社会の共同連帯責任において、この人たち留守家族をお互いに守らなければならぬというもう独立の時代に入つたのでありますから、従つてそうした行方不明の帰つて来ないむすこなり主人、父を持つところの留守家族というものに対しては、理由のいかんにかかわらず、当然政府援護補償をしなければならないという考えのもとに、なるべく漏れている人たちは拾つていただいて、あたたかい気持わくの中に入れていただきたい。私はかように特にお願いしておきたいと思う。
  35. 小平久雄

    小平委員長 本件に関しては、ほかに御質疑はありませんか。——本件に関しましてはこの程度にいたしますが、何かその他引揚について、この際外務政務次官に御質疑があれば許します。
  36. 堤ツルヨ

    堤委員 皆さん出席でありますから、ひとつ委員会としては、やはりずつと引揚げ促進並びに留守家族援護の問題について今までやつて来たのでありますから、この単独法を出すというふうにとりはからつていただきたいと思いますが、このことについて、皆さんにお諮りを願いたい。
  37. 小平久雄

    小平委員長 速記をやめて。     〔速記中止
  38. 小平久雄

    小平委員長 速記を始めて。
  39. 玉置信一

    玉置(信)委員 私は、先般各新聞報道されておりました、高良参議院議員が中国より社会党の松岡駒吉代議士あて電報を発せられた内容につきまして、この際政府としてその真否を明確にしていただきたいと思うがゆえに、一言所見をお伺いしてみたいと思うのであります。  新聞報道によつて、非公式には内容は大体私ども了承はできるのでありますが、とまれ高良参議院議員電報内容は、御承知通りソ連地区に抑留されている同胞十八万二千ばかりの人を、日本ソ連との講和條約を交換條件として返すというような内容報道であります。後日に至つて高良女史はこれを否定していることも報道されておりますが、しかしソ連地区に抑留されている同胞引揚げの問題につきましては、数年相当論議されて、留守家族方々はもちろん。国民全体が重大なる関心を持つて見守つていると同時に、また国民運動とし、また国会国会の独自の立場から、ソ連地区の抑留同胞引揚げの問題について、今日までいろいろ働いて来たことは政務次官承知通りであります。後ほど庄司委員からも、国際赤十字社の問題についての御質疑がありましようが、これも関連するところではありますが、この真偽政府はこの国会を通じて明らかにしていただかないと、なおいずれが真相なりやとの疑念を抱く者が相当あるようでございますので、以上政府所見をお伺いし、その真偽を明確にされんことを希望する次第であります。
  40. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 高良電報につきましては、この信憑その他について、どこからも何らの情報を正式には得てないのでございまするが、いろいろの報道するところによりまして、大体偽電である——偽電といいますか、信憑すべきものでないということは推察できるのでありまして、その内容その他等につきましては、正式なる情報も資料も持ち合せておりませんので、ここで何ら申し上げるべき何ものもないのであります。
  41. 玉置信一

    玉置(信)委員 あれだけ重大な問題でありますので、私は政府政府立場において、松岡氏なりその他新聞係方面を通じて高良女史等連絡されて、真否を確かめておるのであろうと想像いたしておつたのでありますが、そうした調査等は、政府としていたしておらないのでありますかどうでありますか、この点をお伺いいたしておきます。
  42. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 高良女史、あるいはその後の宮腰氏、あるいは帆足氏等のいろいろの動きにつきましては、これはいろいろ批判等もございまして、政府といたしまして正式に取上げるべき問題でないというような観点をもちまして、別段何らの措置をとつておりません。
  43. 玉置信一

    玉置(信)委員 私どもも常識的に考えれば、今の政務次官の御答弁は一応その通りであろうと思うのでありますが、しかしあの新聞報道の反響というものは、相当留守家族に影響を與えておるわけでありまして、そこで私は少くとも私的立場においてでも、松岡さんなり、その他にお聞きになつておくことが必要であつたのではないか、かように私考えておるわけであります。これは留守家族方々並びに国民気持を忖度して申し上げるのでありますが、公式にこの問題を論議することになれば、いろいろこれに関連するな問題も出て参りますので、本日はそうしたここを述べる機会でもないと思いますし、一応あれを一笑に付し、笑殺すべきものであろうとも思います。が、そうした国民的感情の面から私は御質疑申し上げておるのであります。政府は、一笑に付しておくべきであるとの信念を持たれておるならば、それでもよろしいのでありますが、もう一度政務次官信念のほどをお伺いしておきたいと思います。
  44. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 来ました電報等は、写しを上島氏等からもちろんもらつてはおります、それでこれでこの問題は、外務委員会等においてもいろいろ議論があつたのでありまするが、大体委員会全体の空気といたしましても、黙殺すべきものではないかというふうなことになりまして、政府側としても、この問題については積極的に何ものも申し上げるものはないという立場をとつております。
  45. 小平久雄

  46. 福田喜東

    福田(喜)委員 石原政務次官にお伺いいたしまするのは、この前の委員会でございましたフィリピン戰犯の刑の執行のことでございます。今後フィリピン戰犯に関しましては、外務省推測によりますると、その執行は停止せられるであろう、これ以上つまり執行考えられないということを言明されましたが、その後フィリピン外務当局並びに政府当局は、これに反対する打消しの声明をやつておるようであります。その点政務次官答弁と非常に食い違つておりますが、この間の事情と、その後いろいろな変化もございましたならばお聞かせ願いたい。
  47. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 あの問題につきまして、フィリピン当局から別にその後打消しの情報があるとかどうとかいうことは、全然ないと思います。ただいままでのところ、あの論議に対して何らの情報もございません。  それからあの翌日の当院の外務委員会におきましても、新聞には絶対ないとか何とかいう強い表現で出ておりましたが、速記をごらんになつてもおわかりと思いますが、私は絶対にないというようなことを申し上げたのではないのでございまして、いろいろの今までの情勢から見まして、おそらくないのではないだろうかというような意味を申し上げたのでありまして、外務委員会におきましても、大臣からも、自分も大体そう希望するし、そういうふうに思うというようなことを言つておられるのでありまして、もちろん正式に公文でどうごうという話があつたわけではございませんが、希望と同時にそういうふうに思われた、こういうことを申し上げた次第であります。
  48. 福田喜東

    福田(喜)委員 今の次官の御答弁によりますと、次官が当委員会の席上で言明されたことについては、フィリピン外務当局並びに政府当局から何ら否定がない。それで、それは絶対ないということは言わないけれども、ないだろうという推測——推測では私はなかつたと思いますが、そうしますと、結局新聞紙の報道するところはうそであつたフィリピン当局はこれを否定しておりまするし、新聞に書いてあつたことと次官の言われたことは非常に食い違いまして——新聞は知らぬといつたらそれまでですが、新聞の伝うるところと外務当局の見解とは非常に食い違つて新聞報道は信憑することができない、こういうことになるのでございますが、それでよろしゆうございましようか。
  49. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 速記を見なければわかりませんが、私はないのではないかと思うというような言い方をしたと思うのであります。ところがそれが新聞には、絶対にないというように私が言つたように一部の新聞に出たのでありまして、別段新聞に信憑性があるとかないとか、私が言つたことと違うとかいう問題でなしに、速記をお調べ願つたらよくわかると思うのであります。福田委員は、あのときにおいでになつたかどうか私はよく存じませんが、ないのではないかと思う、こういうふうに私は申し上げたように思います。
  50. 福田喜東

    福田(喜)委員 これははなはだ奇怪千万なことで、それは事実かどうかわからぬ、そういう推測をこの委員会でおつしやつたというのですが、国民に対して信頼と申しますか、安心感を與えた新聞に対して、ああいう報道をしたことに対して、外務省としてはしかるべく御調査をいただくなり措置をいただくのが適当だろうと思う。新聞に書いてあるのは知らぬ——新聞も大新聞がああいうことを伝えた以上、まんざら根も葉もないことを伝えるはずはないと思います。そこで外務次官として、あれだけのことを責任者として言われた以上は、それに対して相応する措置を講じていただくのが、私は国民の代表の府において論議される外務当局としての責任だろうと思いますが、この点はいかがですか。
  51. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 何かちよつと誤解されておるようでありまするが、フィリピンなりあるいは濠州の戰犯の一日も早く内地に帰還ができまするように、これは向うの大使等にも直接いろいろお願いする、あるいはまたこちらでもいろいろお願い申し上げておる。こういうことを申し上げまして、それから次は、死刑囚の死刑の執行がないように、これもいろいろな議会を通じましてお願い申し上げておるわけであります。もちろんないことをわれわれは希望し、念願し、今後もお願いを続けて行かなければなりませんが、話の節々等から見まして、ないのではないかと思われるということを私は申し上げたのでありまして、それが一部の新聞に、絶対ないと私が断言したように出たのでありまして、それは違つておるのじやないだろうかということを申し上げておるのであります。
  52. 福田喜東

    福田(喜)委員 はなはだ奇怪なことであります。私はあの委員会に出ておつたからお聞きするのであります。出ておつたか出ておらぬかわからぬというのは、はなはだ失礼な言葉だと思うのです。出ておつたから私はそれを聞いて、新聞紙の報道がこの事実と相違するからお尋ねしておるのであります。おそらくないのではないだろうかと言われたと私はお聞きしておるから申し上げるのです。新聞に絶対ないとあなたが言われたか、ないだろうと言われたか、そこは速記録を調べればはつきり出て来ることでございますが、絶対という言葉を使うか使わぬかということは問題ではございません。信用ある新聞紙の報道が事実であるかどうかということを、少くとも外務当局としてはお調べいただきたい。新聞社を調べるのじやなくて、フィリピン当局に対し、外交機関として何らかの措置を講じて、その情報真否を確めていただかなければ、国民はあれに対してはなはだ不安の念を抱いておるであろう、それでこういうことをあなたにお尋ねしておるわけです。
  53. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 私も、向う政府が否定したような記事が出たかどうかということは、ちよつとうかつでございましたが、承知しておりませんでした。それから今係の者等に聞きましても、ちよつと承知しておらないのでありますが、調べまして、そういう記事が出ておつたとすれば、さつそく調べるようにいたします。
  54. 堤ツルヨ

    堤委員 ただいまの福田委員の御質問に関連して、私は仏印関係について質問したいのです。六月五日の朝日新聞の夕刊に、あなたが引揚委員会で五日の午前中に御発言になつたことが載つている。それから同じ晩にラジオが放送しておるのです。NHKだと思いますが、フランス関係では四十二名の終身刑の者が、大統領の命令で、二名ほど除いて全員十五年以下に減刑されておるということをはつきり言われておるのです。私も聞きました。ところが巣鴨へ行つてみると、十五年以上がたくさんいるのです。それであなたの御答弁と合わないわけです。体のいいことを外務次官は言つておるけれども、ぼくたちには十五年以上が一ぱいおると言つて、数字をあげて私たちのところへ詰め寄つて来るのです。こういういいかげんなことをおつしやると、これもまた非常に困つたものでありまして、ただいまの福田委員の御発言と同じ性質のものであります。従つて、仏印関係についての六月五日の委員会におけるあなたの御答弁をもう一度御研究になつて、確かな御答弁をお願いいたします。  それからもう一つは、今戰犯千二百四十二名のうちに、九十六名台湾人と韓国人がおります。実は戰犯管理規定の中には、日本人だけということが書いてあるそうです。この人たちは、第三国人であるわれわれが、日本政府によつてなぜ巣鴨に拘禁されておらなければならぬのかと、非常に憤慨いたしております。これについて外務省、法務府からは適当な答弁がない。従つて法務府から適当な答弁があるまでは絶食をしておるのだ——吹いたら飛ぶようなものであるけれども、この一つの生命を何と考えるということで、非常に憤慨した青年が絶食して入院しているのに私会つて参りました。九十六人の第三国人は非常に憤慨いたしております。これは当時軍属として通訳に徴用された。それから刑務所の看守人に徴用されて、まつたく強制的に日本軍によつて働かされた人たちが、実は今日になつて巻添えを食つてこの中に入つておるのです。こういう問題に対しまして、日本政府の所信が明らかにされないと、これは非常に問題だと思うのであります。第三国人の基本的人権にまで及ぶ問題でありますが、これに対して外務省並びに法務府はどういう御見解をお持ちになつているか。私法務府に参りまして、これについての御見解を伺いたいと申しましたら、実は巣鴨の方へ御答弁を申し上げたということのお答えでありました。従つて巣鴨に出された写しを私のところにもくれと、十日ほど前申し上げておきましたが、その写しがまだ私のところに届いておりません。これも考えてみますと、戰犯に関する外務省並びに法務府のいろいろな答弁、でたらめであるという印象を、中にいる人たちにも、また一般の人たちにも與えているようでございまして、遺憾千万でございます。こういう点に対しまして、第三国人の戰犯としてつながれている人を外務省ではどういうふうにお考えになつているか、ひとつ外務政務次官の口から御答弁願いたい。
  55. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 フランス関係の刑期の問題でございますが、これはここに資料もありますので——この前申し上げたことは、つまり終身刑のもので、大統領の特別減刑令によりまして、二名を除いて終身刑の者がことごとく十五年以下の有期刑に減刑された。そこで有期刑の者よりかえつて刑期が短くなる結果を生じておるものもある。だから十八年なり二十年なり刑期の長い者はない。終身刑の者がこの減刑令で十五年以下になつてそこに非常な不合理が生じておるので、ここらについても注意を促しておる、こういうことを申し上げたのでありまして、長い人はあるのです。だから非常に気の毒なことになつているから、そこらはさらに注意しなければならぬ。これは決してでたらめではありません。  それからもう一つの問題は、これはただいま弁護士会でもいろいろ論議がある問題でありまして、また私がここでいろいろ申し上げて答弁に食い違いがあつては困ると思いますから、これは法務府の方からいずれ責任ある見解を表明してもらいたい、かように思います。
  56. 庄司一郎

    庄司委員 ぼくはフイリツピンの戰犯死刑囚の問題に関して関連意見を述べたかつたのであります。また現在もその心境にありますが、堤さんの方に委員長が私よりも早く指名をされました。私が最初より挙手をしておつたことは、委員長はよくおわかりだと思います。けれども委員長の独自の権限でただいまは堤君の方を優先にされたのであります。そのことを別に遺憾千万とも考えておりません。ただ話が非常に飛んだということであります。前にさかのぼつてフィリピンあるいは濠州の死刑囚の問題に関してもう一度政務次官の心境を確めておきたいと思うのであります。私も前回か前々回かの委員会において政務次官お話を承りましたが、その際のお言葉は、私の記憶によりまするならば、フィリピンの死刑囚は死刑の執行というものは絶対にないのであるというような意味のことを申されたのではないように私は聞いております。この後死刑囚に関しては非常に緩和されるであろう、あるいは刑一等を減ぜられるというような具体的のお言葉はなかつたけれども、見通しとしてはだんだん好転している、おそらく死刑の執行がないだろうと思うというような意味において、石原政務次官のお答えは多分にあなたの主観的な信念がある。また日本国民の一員としての石原君は、同胞愛に出発されての希望的な御意見もあなたの心理状態の中には動いたのじやなかつたかというようなことを、その際私は直観をいたしました。なぜというに、フィリピンの下院議員であるヴエラノ氏が昨年来朝をされ、われわれ引揚委員、また民間の引揚げ促進の総同盟あるいは議員連盟等々の役員になつておられる代表者諸君より、るる死刑囚に対するところの減刑をキリノ大統領に懇請してほしいというところの熱烈なる要望がなされました。ヴエラノ氏はこれを了とせられ、あの方の気高い人格と、またヒユーマニテイツクな信念より快諾をされまして、御帰郷の後においては、かなり熱心に、キリノ大統領以下各関係方面に、わが日本国民の少くとも言論を代表する国会の構成分子の人より懇請されたことを、熱烈に伝達なされたはずであります。これが一つ。第二は、抑留同胞即時帰還の総本部並びに議員連盟においては、当時の会長であるところの厚生大臣——今厚生大臣を辞されましたが、この方、並びに衆院議長である林会長等々が、ローマ法皇ピオ第十二世陛下に対し、ローマ法皇庁の麹町七番町にあるところの公館を通し、るる文書において口頭において懇請をいたしました。フィリピンにおけるわが同胞の死刑囚を、こいねがわくは死刑を許されて刑一等を減じてもらいたいという懇願は遂にローマ法皇の意思を動かされ、法皇みずから筆をとられて、麹町の公館を通して、願いの趣旨は了承した、フィリピン政府及びフィリピン国会等にでき得るだけ提唱する旨の御回答があられたのであります、その後フィリピンにおけるところの対日感情というものもやや緩和の傾向に好転して参つておるただいまの事実等にかんがみまして、五十二名でございますか、死刑の宣告を受けたわが同胞諸君の死刑の執行というものが意想外に延期されているということは、最終裁判あるいは特赦申請によつてなお一層慎重なる上に慎重なる調査をしようとするところのキリノ大統領以下の御同情あるお考えの結果であるやに、われわれは拝察しておるのであります。あれやこれやを想像するときに、一おそらく石原さんは、目下の情勢において急速に死刑の執行等はあり得ない情勢にあるという自己判断の上に立つているのだと思うが、またこれはあなた一箇の單なる主観ではなく、情勢の総合的な認識はだんだん好転されているやにわれわれも見ているのであります。前回か前々回かにおける政務次官の御答弁は、さような意味において、おそらく死刑の執行というものはあり得ないであろうという意味のお言葉であつたように私は記憶しております。なお、速記録等も必要があればあなたもごらんになり、委員長も公職の立場においてごらんを願いたいと思うのであるが、死刑の執行は絶対にないというようなことを、日本政府の一政務次官として断言するというようなことは、常識上あり得ないことであつて、死刑を許すも許さないも、死一等を減じて無期懲役にするもしないも、講和條約の第十一條の條章にのつとつて、当該裁判を下したるところの外国——あるいは国連の裁判であれば、国連に懇請して特別のオーケーをとらずんば減刑というものは不可能であります。外務大臣といえども、あるいは外務政務次官といえども、独断なるところの断言や放言というものはなさるべきものじやない。ただいま申し上げたように、おそらく、最近の諸般の情勢を総合せられた上におけるところの一つの判断の上より、また日本人として、死刑執行というものをぜひ免れしめなければならぬという——国内においては百二十八万人の方々が大赦、特赦あるいは減刑、仮釈放の恩典に浴したのであり、またフィリピンとも、講和條約がすでに批准オーケーとなつている今日において、願わくは死刑囚を一人だに出したくないというあなたの主観的な信念、あるいは希望的信念の上よりああいう御回答があつたのではないかと私は察知しておるのでございますが、講和発効の今日においては、裁判を下したるところの諸外国の要人諸君の御了解を得られて、一人だに死刑の執行がこの後はないように、またひとり死刑囚に限りませず、戰犯等も全部大赦、思赦に浴して長期刑の者が短期刑に減刑されますように、在外公館等を動員いたしまして、この上とも外務省は全力をあげて救済の措置を講じてもらいたいということを私は念願してやまないものであります。来るべき七月十日には国民大会を決行するというこの場合において、特に外務省は真剣に御奮闘を願いたい。私は、決して石原さんの助け舟のためにこのことを言うのではありません。あなたの心境をもう一度はつきりさして、あなたの政府機関としての立場の言明を得ておきたいと思うのであります。
  57. 小西英雄

    ○小西(英)委員 先ほどの玉置委員への答弁の際、外務政務次官は、高良電報あるいは帆足、宮越等の問題を公式に政府も取上げていないと言われた、その一端からわれわれ想像しまして、私たちがこの委員会を通して、われわれの同胞に中共あるいはソ連から帰つてもらう手段がないかどうかということを考慮いたしたのでありますが、旅券の問題、あるいは現在の政府のいろいろな総合した意見から見ますと、ドイツあるいはフランスへ行くと言つてソ連へ入つた場合、あるいは中共へ入つた場合に大した問題じやないように私たちは耳に受けるのであります。も劣れわれの同志あるいは議員の中に、インドへ行くとかドイツへ行くとか称して、その過程で、国際的に非常に価値のあるダイヤとかひすい、金等を自分の所持品として持つて行つて、そちらで売りさばいて、これは中共等からしばしば帰つて来た証人等の意見を聞きましても、ある程度金さえあれば、帰るということについてはそれほどむずかしくないというふうな意見をわれわれこの委員会で承つておるのでありますが、もし義人的な考えを持つて、ひとつ自分の装飾品として多く国内から募つて、そうして自分の所持品として持つて行つたものを現地零、ロシヤであろうと、あるいは中共であろうと売りさばいて、われわれの同胞救出のためにそこで現地処分して金をやつて来る。そういう場合には簡単に香港から帰るとか、あるいは朝鮮をくだつて帰るというようなことも可能なように考えるのでありますが、そういう点について、政務次官あたりはどういうふうに考えられるか。帰るということについてはあまり苦労がないというふうに私たちは印象を受けておるのですが、その点はどうですか。
  58. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 その前に、先ほどから庄司委員からいろいろお話があつたのでありまするが、ちようど私の気持を全部庄司委員が言つてくださいましたので、まつたくその通りでございます。ただやや私の主観的気分が入つてつたのではないかとそういうも考えられまするので、こういう問題につきまして、公式の委員会でああいうことを言うべきであつたかどうかということについては、若干反省いたしておる次第でありまするが、今後ともこの問題につきましては、全力をあげてやらなければならぬと思つております。ちようど戰犯者の減刑その他の問題につきましても、外務省と法務府との間に連絡協議会のようなものが近く設置されて、調書の提出その他を全力をあげて急いでやろう。それから在外に出まする大公使等を通じて、これらの問題にまでも働きかけてもらおうということを、外務省でも今やつておるような次第でございます。国民的に盛り上る気持と歩調を合せまして、特段の努力をいたしたいということをここに申し上げる次第であります。  それからその次のただいまの問題でありまするが、これはどうも金さえあれば簡単に帰れるのであれば、今まででももう少し帰れておつたのではないかと思われるのであります。現に中共のごときは、旅費も出そう、あるいは船も出そうと言つておるのでありますが、そんなふうにしてもその後はかばかしい帰還もないようでございまして、ただいまの御質問に対しては、ちよつと私から何とも申し上げかねると思います。
  59. 小西英雄

    ○小西(英)委員 現在旅券法に触れてちよつとも返答がないのでありますが、帆足君等は旅券を出さなかつたために、政府を相手どつて数百万円の損害賠償を訴えておるというふうな現況から見ますならば、これについて、帰つて来たつて何の処罰行為というものがないかどうか、その点をちよつとひとつ
  60. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 この問題は、帰つて来てからいずれその間の事情等をよく聴取いたしまして、問題を決定して行かなければならぬと思いますが、少くとも帆足君、あるいは宮腰君は、ソ連には行かないということをはつきり申して、旅券にも書き込んであつたのではないかと思いますが、そういうことになつておりますの皆、旅券法、たしか二十三條でありますか、旅券法を持つておりませんので、これは間違つたらいかぬと思いますが、旅券法の條章にもたしか触れる思うのでありまして、帰つてその間の事情をよく聞いて、その後の処置考えにやならぬと思つております。いずれにいたしましても、旅券法というものは、一つの法律としてできておるものでございます。旅券法で禁じてあることにつきましては、罰則があろうがなかろうが、それを犯すということは、国民の良識から考えまして、相当批判されるべきことではないかと私は考えております。
  61. 小西英雄

    ○小西(英)委員 今政務次官から、中共のごときは旅費も出そう、船も出そうというにかかわらず、あまり帰つてないというふうな答弁つたのですが、それは現地におる同胞が、全然帰りたくないという見解を外務省でとられておりますか、それをちよつと伺いたい。
  62. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 これは、ここでその問題が今までもいつも論議されているのでありまするが、ソ連とか中共というものは、抑留者を返してくれないということが一番大きな問題でございます。個人の意思にかかわらず、先方が返す措置をとつていないのじやないかと私は思つております。
  63. 福田喜東

    福田(喜)委員 庄司委員が退席されてはなはだ遺憾でございまするが、私どものさきの質問に対しまして、庄司委員は、政務次官に対して非常に掩護射撃をされたのでございまするが、まつたく的をはずれたものでありまして、私どもといえども、ローマ法王のあつせんとか、それによつてフィリピン国民感情がよくなるとか、これから戰犯に対する国民感情がよくなるということは、国民の一人として非常に喜ぶところであります。かつまた恩赦、特赦のことも言われましたが、これは国内における恩赦、特赦とはまつたく別個な観点でございまして、私はさつきの質問の意味がどういう意味を帯びているかわからないのであります。私が次官にお尋ねいたしたのは、絶対という言葉を使つたかどうか知りませんけれども戰犯の刑の執行で、死刑を中心とする重要なる刑の執行はない見込みだということで、私は答弁を承つてつたわけでございます。ところがその翌日か翌々日か朝日その他の大新聞は、こぞつてフィリピン政府当局外務省当局の言として、これを公式に否定しておるわけであります。そこで私は一体その間におけるところの外務省当局を代表する石原政務次官の言葉と、それから新聞紙の発表するところと違つておるのではないか。この点に関する御見解を承つてつたわけであります。私は石原政務次官といたしましては、これは戰犯につながる同胞各個人の問題であつて、われわれの隣人に関する問題である。従いまして、石原政務次官がああいうことをおつしやるのは、単なる推測とか、希望的な観測ということから、自分の感情を言われたものではありますまい。おそらく外務当局における何らかの的確な情報、それがあつての上の御確言だろうと私は想像して、それに基いて御質問を申し上げたような次第であります。それに対してはなはだ失敬な、お前は出ておつたかというふうなことを言われたのでありますが、これは私に対する非常な侮辱だと思います。私は同胞の一人として、次官に対して、しかも八千万同胞につながるところの問題であるからして、あなたにお尋ねしておるので、これに対してあなたは見当違いの御答弁をなされるし、見当違いの掩護射撃をなさるということは、私たちとしてははなはだ心得ぬ次第で、どういうわけでああいう失敬な答弁をされたか。私はそれに対するところの責任を追究したいと思います。
  64. 石原幹市郎

    石原(幹)政府委員 よくわかりました。それは私が、ちよつと最初あなたの御質問を聞き違えたのでありまして、この委員会での質疑応答の問題かと私は思つて、それに対して答えておつたのです。ところがよくわかつたのでありますが、その私の質疑応答に対して、先方でそれを関知しないとか、あるいは否定的な記事が出ておつたが、そのことに対してどう思うかという御質問だつたのでありますが、そのことを私はまるで取違えておりまして、前のここの質疑応答のことについての何かと思つてつて、まことにその点は取違えておつたことをおわびいたします。それで、その後の先方の記事のことにつきましては、実は私もうかつでございまして、正確にその記事をよく見ていなかつたのでございます。調べまして、その問題について先方でその後どういう動きがあるか、一応探つてみたいと思います。
  65. 小西英雄

    ○小西(英)委員 ただいまの石原政務次官答弁に関連して……。われわれも真剣にこの討議をしておる際に、福田君の質問に対して、係官までが新聞を見てなかつたり、正確に把握してないということは、いかに政府がこの戰犯者あるいは引揚げ問題について熱がないかということを表明しておるものでありまして、われわれ遺憾に思うものであります。こういう問題についての新聞報道する反響等は、一々担当局である外務省がはつきりといつもつかんでおつて、いつでもここで正確な答弁のできるように準備して来ることが、当然の政府の義務でありまして、委員会を軽視するということは、私は委員の一員としてまつたく遺憾の意を表する次第であります。
  66. 小平久雄

    小平委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  67. 小平久雄

    小平委員長 なお諮りいたします。現在大蔵委員会に予備付託になつております未復員者給與法等の一部を改正する法律案につきましては、当委員会としましても、外地戰犯抑留者の問題として密接な関連がありますので、本付託となり、会期延長となつた場合、大蔵委員会に連合審査会開会の要求を申し入れたいと存じますが、これについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 小平久雄

    小平委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。  なお連合審査会開会の日時等については、当該委員長と協議の上決定いたしたいと思いますので、委員長に御一任願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十二分散会