○
玉置(信)
委員 私はこの
死刑宣告をされた
方々を初め、
国内、
国外に抑留されております同胞の
釈放につきましては、
政府のみにこの対策を要求いたして、責めを負わせるというような
考えは持
つておりません。申すまでもなく、これは国の
犠牲に
なつたことてございまして、思わざる
敗戰の結果がこうした
犠牲を出しておるのであります。この前
岡崎国務大臣にも申し上げた
通り、
政府並びに
国会、あるいは
国民全体がこの運動を展開すべきであるという
考えを持
つておるのでありますが、しかし何と申しましても、
相手国との間に
法律上のとりきめがあります以上、その
法律に基いての打つ手は、
政府に強力に打
つていただかなければ相ならぬことは、申すまでもないのであります。それ以外のことにつきましては、
輿論の喚起により、
関係国に実情を認識していただくということについては、われわれ
国会、ある注
国民一あげてこの手を打たなければならぬということも、これまた当然のことであります。何と申しましても、
戰犯にとらわれておる
方々の
家族の
気持等を
考えますと1私は先だ
つて巣鴨刑務所に
行つて、二十数名の方と約三時間にわた
つて懇談をいたして参りましたが、この
方々の訴えられるところによりますと、われわれ実際に覚えのない事実無根の罪に問われておるにもかかわらず、今日こうして
戰犯といううき目を見ておるために、
家族の者が病気にな
つて、はなはだしいのは
家族が死んで、その
葬式を出す際に、
隣近所の者は、あれは
戰犯であるというような眼で見て、
白眼視をいたして、
葬式に心から
手伝つてくれる人すらない、われわれは実にあわれな存在であるということを訴えられて、私は涙したわけです。かような状況を私
どもは目のあたりに見、聞かされる場合においては、これはもう一刻も猶予してはならず、また放置しておけない現状にありますので、
お互いに心の中では
政府当局もわれわれもか
つておりますが、しかしどうしたならば一日も早く
抑留者の安心の行くような
釈放の手が打たれるかということが、当面の
お互いの研究しなければならぬことであろうと思います。
そこで私は皆さんのお許しを得て、もう一、二点でありますから、幸い
援護庁の
長官もおられますので、
戰犯者の
援護の問題について触れます。ただいま申しましたような実情でありまして、
葬式さえも近所の人が
白眼視してか、遠慮してか、立ち会
つてくれない、世話もしてくれないという状況でありますし、また
法律上の見地から見ましても、未復員者給与法がこれに適用されていない。こうした気の毒な方方に対しては——繰返して申しますが、国の
犠牲であります。ひとしく国の
犠牲である以上は、未復員者給与法を改正いたしまして、これらの
方々に給与といいますか、保護の手を差延べるべきではないか。御
承知のように給与を受けております者は、本人一千円、妻六百円、あるいは子供四百円でありますか、こうした給与を受けておるのでありますが、同じような立場にあ
つて、しかもより気の毒なと申していいこれらの
方々には、何らこうした恩恵がないのであります。近き将来に未復員者給与法を改正して、これらの
方々をささいな金でも給与をいたして、救済をすべきであると思いますが、そういうような御意思があるかないか、これをまずお伺いしておきたい。