○庄司
委員 きわめて簡單に
外務大臣にお伺いしたい。
最初の一点は、約一月ほど前でありますが、本
委員会において、本員はあなたの補佐者である石原政務次官に対して
——当時
ちようど読売新聞にたいへん大きく、五段抜きくらいの表題で、インドのネール首相のお妹さんが、
中共、毛澤東のところに大使として近日派遣される。その際、これはインドの
現地において読売新聞の特派員が、相当
中共政府地域内に抑留されておる
同胞が多いのであるが、これを早く
日本に
帰還せしめたい、こういう
話合いから、だんだん話が進んで、ネール女史におかれては、非常な御同情の言葉があ
つた。すなわちできるだけそういう問題については毛澤東氏と懇談をして、
日本人が抑留を解放されて帰ることができるように語
つてあげましよう、こういう意味の新聞記事でありました。そこで私は石原さんに、かような問題をすぐ利用して、できるだけの手を打
つてほしいということを申し上げましたけれ
ども、それを了承された。その後約二、三日後の当
委員会において、政務次官より私に、自発的に御
答弁があ
つたのであります。それは、今朝偶然にインドに出発する
外務省の者があ
つたので、関係書類等を携行させ、ネール女史に懇請をする、そういう段取りをとりましたと、かような御
答弁でありましたので、本
委員会の一員としての私の発言並びに献策が、ただちに
外務省において取上げられて、
抑留者救出のために、ネール女史の手を通して何らかの手が進められるならば、たいへんうれしいことである、かように
考えたのでありますが、その後これらの問題について、
外務省に入
つて来た何らかの経過、あるいは結果的の
情報がございませんでしようか。またなければないで余儀ないことでありますが、何らかの
情報がありまするならばお伝えを願いたいと思います。これが第一点。
第二点は、ただいま
池見委員の述べられました最後の要請的、希望的な問題、なすわち
抑留同胞救出
国民大会というような民間団体の輿論喚発のために、また反面においては、
留守家族の精神的な慰安並びに将来に対して希望と光を与え得る、さような大会を持ちたいというような御発言に対する
外務大臣のただいまのお答えを、私は了承いたしました。けれ
ども、この大会行事の主催者は
同胞救出議員連盟、この会長は歴代の厚生
大臣であります。もう
一つの共催者団体である
海外抑留同胞救出
国民運動総本部の会長は歴代の衆議院の議長である、しかして、ある特定政党を除く以外の各党各派の者がこの会員とな
つており、あるいは役員が出ておりまして、この二つの団体とも、ただいま
政府に協力しながら、強く
抑留同胞即時
帰還の
運動の
第一線に立
つておる団体なのであります。
従つてこの二つの団体が
国民の輿論を喚起し、あるいは
世界万国の社会正義、ヒユーマニテイに訴えるために催したいというこれらに対しては、
政府としても相当の御援助があ
つてしかるべきものであると
考えておるのであります。過般の当
委員会において、石原政務次官から、この問題に関する限り、次官
会議においても満場一致、でき得るだけの援助を惜しみなく与えるようにと、かような了解に相な
つたからという朗報を、われわれお伝えをいただいたのであります。しかるにただいま
外務大臣は、あなたのお
考えの御趣旨はよくわかるのでありますが、
政府が経費の一部なんかを援助すると、官製的な
国民大会のような誤解をおそれると言う。それはごもつともであり、その
通りであります。けれ
どもこれは
政府が当面出し得べき
範囲内においての宣伝であるとか、あるいは
留守家族を慰安するとかいうことであ
つて、何も私は歌舞伎を見せてやれとか、あるいは帝国劇場に招待せよとか言うのではありませんが、ともかくも何らかの形で、
政府は
留守家族を慰安し、激励するという義務を持
つておると
考えるのであります。でありますから、御
答弁の御趣旨はよくわかるのであるが、木で鼻をくく
つたようなあいさつではなく、すでに次官
会議において多少なりとも物心両面より応援するということが決定済みでありますから、上官であるあなたにも、石原政務次官よりお伝えがあ
つたと私は
考えるのであります。どうかひ
とつ次官
会議においてきめられたことを、
大臣もやはり尊重していただいて、いささかもじやまなどをしていただいては迷惑千万でありますので、どうかそれはそれとして、むしろ
大臣は知らぬ顔で、でき得るだけの物心両面の御援助があ
つてしかるべきものではないか、かように私は
考えるのであります。これはかえ
つてあなたの御
答弁を
ちようだいしておかない方がいいかもわかりません。しかるべく万事オーケーにお願い申し上げたい、こういうのであります。
第三の問題は、ただいま
池見委員よりも懇請的な要望的な御発言があり、それはすでに御
答弁があ
つたので、蛇足を加えるようでありますが、
戰犯者の問題であります。
講和発効を記念として、刑余者、その他まだ刑の未確定な者に至るまで百二十八万人の、過去において誤ま
つた、あるいは罪とがのあ
つた多くの諸君を、恩赦法によ
つて許されたのであります。
戰犯者はある意味においては、明治時代の用語でいえば国事犯である、国事犯は一番に恩赦を受ける
資格が昔はあ
つたのでございますが、これは国際的な関係であり、外国の
裁判の関係であるから、もとより
国内法によ
つてか
つてなことはできますまいけれ
ども、
世界各国とも恩赦法があり、監獄法あるいは刑事訴訟法その他の法律が具備されて、処刑の三分の一を越えた者は仮
釈放、あるいは
減刑されるような法律がありますがゆえに、ただいま
国内の巣鴨あたりに移管されております約三千名近い受刑者も、またわれわれの
同胞でありますので、過去において外地でどういう罪とががあ
つたかわかりませんけれ
ども、すみやかに
講和発効の喜ばしい記念として、その罪の刑期の一部を許していただかなければならぬ。その意味において、事務的のことがなかなかはかばかしくいかぬという
大臣のお言葉であるが、全力をあげて、フル・スピードで
調査していただいて、そうして
連合国側によくあなたから御懇請を賜わりまして、
平和條約を記念して、終戰後初めての恩赦法の施行に際し、やはりこの受刑者も遅ればせながら
減刑あるいは仮
釈放等の恩典に浴し得るよう、御奮闘を願いたいと思うのであります。実は私は、恩赦法制定の場合の特別
委員長でありました。そういう意味において特にこの恩赦法の施行に万遺憾なきを期したいと念願しておる一人でありますので、事務的の
調査関係は法務府などとよく御協力なさ
つて、全力をあげてすみやかに
戰犯受刑者諸君を、やはり今回の恩赦法のわく内において、
世界列国の
国際連合関係の御了解を得られることに、あなたの勇敢な御奮闘をお願いしたいと思うのであります。これらの点について、再び御所見が承れれば、まことに幸甚だと思います。