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1952-06-19 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十九日(木曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 山崎 岩男君 理事 淺沼稻次郎君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    黒澤富次郎君       關谷 勝利君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       川島 金次君    山口シヅエ君       江崎 一治君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    国安 誠一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         事         (運輸局保安課         長)      林  武次君         日本国有鉄道参         事         (施設局計画課         長)      中路 誠三君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 六月十九日  委員滿尾君亮君辞任につき、その補欠として森  曉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森曉辞任につき、その補欠として滿尾君  亮君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日暮里駅の事故に関する説明聴取  請願  一 安下庄港に防災工事施行請願佐藤榮作    君紹介)(第二三号)  二 田子浦修築工事施行請願宮幡靖君紹    介)(第五九号)  三 塩竈港を特定重要港湾指定請願、角田    幸吉君紹介)(第一〇四号)  四 網走港修築工事促進請願林好次君紹    介)(第一四七号)  五 八木港修築工事促進請願鈴木善幸君紹    介)(第一八一号)  六 長崎港を特定重要港湾指定請願、田口    長治郎君紹介)(第三一七号)  七 深浦避難修築に関する請願山崎岩男君    紹介)(第三二四号)  八 八戸修築促進に関する請願山崎岩男君    外三名紹介)(第三二五号)  九 尻屋港を避難港に指定及び修築請願(山    崎岩男紹介)(第四九七号) 一〇 久慈港修築工事促進請願山本猛夫君紹  介)(第五〇一号) 一一 佐賀港修築工事促進等に関する請願長野    長廣紹介)(第七九一号) 一二 八代港を重要港湾指定等請願坂田道    太君紹介)(第八六二号) 一三 柴山港を避難港に指定請願佐々木盛雄    君紹介)(第一〇二八号) 一四 八戸修築促進に関する請願小笠原八十    美君紹介)(第一〇四五号) 一五 枝幸港拡張請願林好次紹介)(第一    〇七四号) 一六 根占港修築に関する請願前田郁紹介)    (第一一一二号) 一七 垂水港埋立工事促進に関する請願前田郁    君紹介)(第一一六号) 一八 岩尾に船入ま築設の請願玉置信一君紹    介)(第一六三五号) 一九 甲浦港修築に関する請願長野長廣君紹    介)(第一六三六号) 二〇 八丈島に避難港築設の請願菊池義郎君紹    介)(第一九一六号) 二一 香深修築工事促進に関する請願玉置信    一君紹介)(第二〇六七号) 二二 下田港施設着工促進に関する請願畠山    鶴吉紹介)(第二一七九号) 二三 宇野港の国鉄代替施設工事促進請願(逢    澤寛君外六名紹介)(第二五六二号) 二四 江差港修築に関する請願冨永格五郎君紹    介)(第二六四九号) 二五 塩釜港を特定重要港湾指定請願安部    俊吾紹介)(第三三一二号) 二六 北海道滞貨処理のため青森港を荷揚港とし    て指定に関する請願山崎岩男紹介)(    第三三三〇号) 二七 香深修築工事促進に関する請願玉置信    一君紹介)(第三四二九号) 二八 舞鶴港修築整備等に関する請願大石ヨシ    エ君紹介)(第三五〇五号) 二九 岩城港修築に関する請願越智茂紹介)    (第三五六四号) 三〇 野間崎避難港築設の請願川本末治君紹    介一)(第三五六九号) 三一 塩釜港を特定重要港湾指定請願安部    俊吾紹介)(第三六六七号) 三二 松帆港築設の請願塩田賀四郎紹介)(    第三七二〇号) 三三 野間崎避難港築設の請願川本末治君紹    介)(第三七七四号) 三四 佐喜浜港拡張に関する請願長野長廣君紹    介)(第三八〇〇号) 三五 大島港整備に関する請願西村久之君紹    介)(第三九三〇号) 三六 国庫補助による定期命令航路設定請願(    苫米地英俊紹介)(第二二号) 三七 木船事業育成振興に関する請願玉置實    君紹介)(第一六一二号) 三八 同(上林山榮吉君紹介)(第一九五八号) 三九 小松島市に海運局支局設置請願岡田勢    一君紹介)(第一六九九号) 四〇 新潟県に日本海海運局設置に関する請願(    渡邊良夫紹介)(第一八二六号) 四一 同(小林進紹介)(第二二三四号) 四二 東北海運行政機構の存続に関する請願(安    部俊吾紹介)(第二二六八号) 四三 同(圖司安正君外二名紹介)(第二四九二    号) 四四 第八次造船の受注に関する請願岡西明貞    君紹介)(第三五六〇号)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより会議を開きます。  昨朝日暮里構内において発生した事故につき国鉄総裁つより発言を求められておりますので、これを許します。長崎国鉄総裁
  3. 長崎惣之助

    長崎説明員 すでにラジオあるいは新聞等によりまして皆様御承知でございましようが、昨日朝の七時四十五分ごろ日暮里駅の上野の方の南の跨線橋日暮里駅には跨線橋二つございますが、南側の跨線橋山手線側の突当りのはめ板の下がはがれましてそこに口を開き、その口からお客さんが十数名言線路に墜落いたしました。しかるにこの瞬間に東神奈川発大宮行の電車が進入して参りましたために、不幸にして乘客の数名が即死され、そのほか重傷を負われたのでございます。死者に対しましてはただちに処置をいたしましてまた負傷者はそれぞれ東京大学、下谷病院淡路病院、各病院に収容申し上げたのでございます。  この日実は未明に上野駅の地平にありまするポイントを扱います信号所にぼやがございまして、機械の操作ができなくなりました。そのために列車の運行が乱れまして東北高崎線通勤列車上野駅にとるわけに参りませんで、日暮里駅に臨時停車させたのでございます。そのためにさなきだにラツシユ・アワーでありますために、乘客が平生よりも非常に多かつたものでございまして、跨線橋付近がはなはだしく混雑いたしたのでございます。駅長はみずから跨線橋の上に立つて旅客誘導に当りましたが、何分にもたいへんな人波でございましたので、なかなかその誘導がうまく参らぬでおりましたところへ、今度は山手線電車ちようどつて参りましたので、その乘客方々がその電車に一刻を争つて乘車しようとされたのではないかと思いますが、そのために突当りにありましたはめ板が、先ほど申し上げましたように異常な圧力が加わりまして、下の方が開いてお客さんが落ちたという模様でございます。即死されました方は三名、入院後なくなられました方が四名、重傷が五名、軽傷で入院いたしておりまする方が一名ございます。  なおこの跨線橋構造はどういうようになつておるかと申しますと、できました年は昭和三一年の七月ごろでございます。構造主要部分鉄骨鉄筋コンクリートでございまして、側の部分鉄骨木造はめ板になつております。床は鉄筋コンクリートでございます。国鉄といたしましては、その事故原因のいかんを問わず、貴重なる人命をそこないました点につきましては、深甚なる弔意を表し、でき得る限りのお手当を申し上げ、今後におきましても十分なるお手当を申し上げて行きたいと存じております。なおこの事故にかんがみまして、こういうことがないようにいろいろ対案練つてる次第でございます。  以上簡単でありますが、御報告を申し上げて皆様を通じて、私は国民に深くおわびを申し上げる次第であります。
  4. 岡村利右衞門

    岡村委員長 ただいまの総裁説明に対し質疑の通告がありますので、これを許します。山口君。
  5. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 総裁質疑を申し上げたいと存じます。桜木町の火だるま電車事故が起きまして以来、国鉄安全性に対しまして大衆は非常に注目をいたしておるのでございます。ところが二、三日前の新聞によりますと、火だるま電車事故原因でありましたところのトロリー、このトロリーが切れた場合に変電区ですぐ自動的に電流を断ち切ることができるという安全装置が、近々のうちに実現されるという記事を読んだのでございます。これを読みまして、私は国鉄研究並びにその御苦心に非常に感銘いたしたのでございますが、そう思いましたのもつかの間、またまたこのような大きな事件が勃発いたしたのでございます。さつそくに私も現状を調査いたしたのでございますが、あの日暮里駅の建物はただいま御説明にもございましたように、昭和三年につくつた駅だそうでございます。またその後非常に老朽、腐敗をしておりますために、再三その改修の申請をいたしておつたそうでございます。私もたびたびあの駅を使うのでございまして、常にあのはめ板危険性感じていた際でございました。ところが本日の新聞総裁お話にございますところの、橋は老朽していない、はめ板は、古いレールと角材の柱を九ミリのボルトでつないだ上に、七十五ミリの横桟に六分板を張つておるというようなお話新聞に載つているのでございます。ところが本日私が現状を見ましたところが、確かにこれらの設備もございますが、事故の起きました部分におきましては、これらの補強装置はなされていなかつたのでございます。その上あの日暮里駅は非常に混雑いたしまして、日に十七万人の人間が乘りおりするということでございます。あのような状態をそのままにしておいたということに対して、私はまことに申しかねるのでございますが、国鉄責任を追究申し上げる次第なのでございます。その点につきまして、まず総裁から御答弁を願いたいと考えております次第でございます。
  6. 長崎惣之助

    長崎説明員 構造上のいろいろな細部にわたつての御質問でありますから、計画課長が参つておりますので、計画課長から説明いたします。
  7. 中路誠三

    中路説明員 お許しを得まして、施設局計画課長でございますが、お答え申し上げます。国鉄現状につきましては、昨年桜木事件以来、国鉄といたしまして戰時中の補修、不足の復元というようなものを、特に旅客の安全、貨物の完全輸送というような面につきまして予算を編成して参つたのでございますが、大体二十七年度の予算全般から申し上げますと、大蔵省に要求しましたのは六百七十億ほどの予算を要求したわけでございます。そのうち認められましたのは四百十五億でございます。そしてただいま御指摘のございました最も古くてあぶないものをかえるという金が、その中にどれだけ入つておるかと申しますと、実は六百七十億の予算のときには約三百八十億入つておりました。それから四百十五億に削減いたされましたときには、今日の朝鮮事変以来の非常な増送その他がございまするが、しかし安全なる運転をしなければ国鉄の使命を達成できないという点におきまして、非常な圧縮を受けたにかかわらず二百八十億の取替をやつております。そのうち施設関係は百五十億ほどでございますが、あと車両その他百三十億ほどだと思います。そういうところで、あるいは御指摘事故の起りました——非常に残念な事故でございまするが、これらにつきましては、極力取替を努めておるわけでございますが、何せ日本全国跨線橋が八百六十箇所くらいございます。そういう点におきまして、耐用年数跨線橋というものは大体四十年  というのが原則になつております。従つて昭和三年、まことに古い時期でございまするが、全国的に見ますと、耐用年数を越したものは百五十くらいございます。そういうのを昨年以来取替重点ということにおきまして、毎年、二十六年度、二十七年度、三十箇所ばかりとりかえております。そのとりかえるのも、実は橋梁部分といいますか、力学的にいいますと、非常にお客さんの重さがかかる主要部分につきましての取替を重点にやつておるわけでございます。そういうわけで、近くにおきましては品川、あるいは鶴見、あるいは川崎、あるいは東京駅というようなところにおきましては、相当大きな工事をやつておるわけでございますが、いかんせん昨日の非常なるお客さんの混雑によりまして、これがちようどかどの突当りのはめ板でございます。従つて普通の水の流れだとしますと、それが次第に下の方に流れて行くわけでございますが、何しろうしろからどんどん押されて突き当り、その力が平素と非常に違いまして、あのようなさんたんたる事故なつたわけでございます。私の見ました点におきましては、やはり主要部分橋梁部分というものにただいま重点を尽しておりまするが、その突当りの部分、昨日の非常な混乱に基きまして、お客さんが非常に多くて、これが突き当つて、そこにどんどんうしろから押される力によりまして、横棧はめ板が実ははずれて、いろいろな方が転落されたというような事件が起つております。そういうように取替、補填は心がけておるのでございますが、今のような稀有な現象によりまして、第二次的な力のかかります場所が、このような事故を発生したわけでございます。従つてわれわれとしては、技術的に見まして那辺にこれがあるかということを調査研究しておりまして、ただいま国鉄安全委員会あるいは国鉄技術者陣営におきまして、これをいかにするかというような対策を研究中でございます。
  8. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 まことに当局側にお言葉を返すようでございますが、私はただいまの説明は納得できないのでございます。なぜならば、人命を預かる仕事でもございます。国鉄におきまして、鉄橋鉄骨コンクリートにおける設備は完全であつた。しかしはめ板は、その時の事情によつてはずれたものであるということは、私は納得できないのでございまして、おそらくこの日本国内にございます各駅々は、国力の小さかつた時代にできたもので、その後数十年を経過したものもございましよう。でございまするから、今日のような乘客の増加することをおそらく予想しないでできているものも多々あると考えるのでございます。しかし今日日暮里駅のごとく、上野駅が非常に込むので、日暮里駅で乘りかえる、あるいは日暮里駅におりるというような客の増しております当駅のような状態は、少くとも国鉄側といたしましては、これらの態勢にありましたときの受入れ態勢と申しましようか、その設備に応じまして人命保護の点にお力を尽さなければならないのではないかと私は考えるのでございます。ただいまの御説明は、まつたくその現状を御調査なさつていない御答弁ではないかと存じます。いかに歩く面のコンクリート部分が強堅でありましようとも、そのまわりのわくが不完全ならば、その乘客の数に応じてはめ板がはずれるということは、当然なのでございまして、この鉄橋は全面的に完全でなければいけないと思うのが、私の考えなのでございますが、またただいま当局の方の御答弁の中に、安全委員会というようなことが漏らされておりましたが、この安全委員会というものは、どのような方々によつて構成され、またどのような運営をなされておるものか、これについても簡単に御説明をいただきたいと考えておる次第でございます。その二点に対してもう一度御答弁を願いたいと存じます。
  9. 長崎惣之助

    長崎説明員 私から今の山口委員の御質問に対してお答えいたします。きわめて概括的でございますが……。仰せの通り日本国有鉄道におきましては、まつたく十数年前あるいは二十年前の趨勢、その後十年なり二十年なりの傾向を押して設備をいたしております。しかしながら今日の東京、特に帝都あるいは大阪というような大都会等におきましては、住宅の欠乏その他によりまして、通勤旅客等傾向が、非常にかわつて来ておりますのみならず、最近においては、高層建築が至るところにできるというようなことで、旅客の波の寄せ方が非常に違つて来ております。従いましてお説の通り、今後も現在の傾向に照しまして、改良工事をどんどんやつて参らなければならぬのであります。これはお説の通りでございまして、さような方向にだんだん持つてつております。ただかわり方が非常に急激なものですから、これに追随ができないということはございます。これもしかし国鉄といたしまして、できるだけそういう方向に持つて参りたいと存じます。  第二点の人命の問題でございますが、これは輸送の安全ということは、われわれ国鉄といたしまして第一義に守らなければならない問題でございます。従いましてこの安全の点につきましては、これまたお説の通り、あらゆる方策を考え、あらゆる場合を予想して、われわれは仕事をして参りたいと存じております。安全委員会というものも、これは総裁室にございますが、私みずから主宰いたしまして、そうして衆知を集めて安全の点において遺憾なきよういろいろの対案練るためにつくつてあるものであります。
  10. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 ただいまの総裁の御丁寧なる御答弁によりまして、了といたします。  もう一点、安全委員会はどういう方によつて構成されておりますか。また運営方法はどういうことでございますか、お伺いいたしたいと存じます。ついでに、駅の修理その他の順位などをこの安全委員会によつて決定するのじやございませんですか。
  11. 長崎惣之助

    長崎説明員 安全委員会運営細部等につきましては、ここに輸送局促安課長が参つておりますから、そちらから答弁いたさせます。
  12. 林武次

    林説明員 私国鉄輸送局保安課長でございます。ただいまの安全委員会のことにつきまして、簡単に御説明申し上げます。安全委員会は、昨年の桜木町の事故あとにできまして、構成メンバーは、安全を担当する各部門の人々が、全部集まつております。たとえば土木関係の方もおりますし、あるいは電気関係の方もおります。あるいは車両関係の方もおります。あるいはいわゆる駅の関係の方の仕事の方もおります。そういう方から構成しておりまして、技師長委員長になつております。それで主として安全に関する監査という観点から、各主管局を督励し、安全の確保に努めるという運営をやつております。簡単でございますが……。
  13. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 駅等施設の面は、この安全委員会では扱わないのでございますか。
  14. 林武次

    林説明員 扱つております。
  15. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 わかりました。このたびの惨事に対しての犠牲者、これらの方々に対する慰藉料の点は、御当局はどのようにお考えになつておりましようか。その点についてお伺いいたしたいと存じます。
  16. 長崎惣之助

    長崎説明員 とりあえず病院の治療とか、あるいはお見舞というようなことは、もうすでに手を尽してございますが、いわゆる慰藉料というような問題につきまして、私はまだ人命失つて、悲しみの涙もかわかないうちに、そういうことを考えるべきものでないと思つておりますが、先ほども申し上げましたように、でき得る限りの慰藉を申し上げたい、私はかように考えております。
  17. 山口シヅエ

    山口(シ)委員 私はこの犠牲者に対して、ただいまの総裁のお言葉もわからないではないのでございますが、国鉄といたしましては、でき得るだけの犠牲者、遺家族に対してのお慰めの取扱いをなさることを希望いたす次第でございます。さて私個人の考えますところによりますと、この数名の犠牲者に対する慰藉料は、私自身の考えでは、厖大な金額になるものと想像いたしておるのでございます。そこで常にこのような事件が起きますと、予算が十分でないから、安全性を保つことが非常に困難で、極力努力はするがというお言葉をたびたび聞くのでございますが、私は一たびこのような大事件が起きますならば、たちまちのうちに厖大費用を要するのではないかと考えておるのでございます。そこでまず防止策といたしまして、これらの費用をこのような事件が起きます前に、各設備に大いに力を入れていただきたい、こう考えるものでございます。日暮里の駅にいたしましても、総裁はすでに御存じでしようが、まん中の二つホームが使われておりません。これは昔の計画によつてできたものでございまして、やむを得ず両側の二つホームを使用いたしておるというような状態でございます。もう一本思い切つてホームを設けたならば、今日のような惨事も起らなかつたのではないかと、今日私は現状を視察いたしました結果、強く感じたのでございます。これは希望意見といたしまして申し述べておきたいと考えている次第でございます。私の質問はこれで終らせていただきます。
  18. 川島金次

    川島委員 この機会に同僚の山口君がお尋ねをいたしましたこと以外について、当局に伺つておきたいと思います。  まずこの日暮里事件は、先般の桜木町における国鉄曽有の大惨事に続いて、あの当時の国鉄は、上は総裁から監理局長並びに現場におきまするそれぞれ有能な士が身をもつて責任をとり、さらに一面におきましては、犠牲者に対する、不満ではございましようが、国鉄当局としては最大、最善の弔慰の方法を講ずる等、かなりはた目で見ておりましても涙ぐましいまでの苦労を続けたということは、私も今も記憶に新たなところであります。しかもこの事件を契機として、国鉄が今後運転安全性について総力をあげ、身をもつてこれに当り、かくのごとき惨事は、もはや国鉄に関する限りにおいては再び繰返さないという確信のある言葉が全国民に向つて発せられたのも、おそらく総裁はその当時の事情を見て御存じのことと思う。しかるにかかわらず、昨日はからずもわれわれの期待と信頼に反して、あの事態が発生いたしましたということは、私は国鉄当局は、国民に対しまして重大な責任を感ずべきでなかろうかとさえ信ずるものであります。  そこでお尋ねをいたしたいのは、先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、何か調子のはずれておるような感じを持つて私は承つてつたのであります。事いやしくも国鉄の不可抗力であろうとなかろうと、その責任において構内に発生いたしましたあの事態は、国鉄として深刻な立場心境をもつてこれに対処し、またこの事柄に対して、十分国民をして納得せしめるような答弁がされなければならぬと私は思うのであります。まず第一に、何か答弁を承つておりますと、国鉄責任はあるが、不可抗力的なものであるかのごとき口吻を今の答弁には感じた。しかもその上に予算の問題をここで引合いに出して、こういう予算の状況であつたから、あの事件もあるいは当然に起つたのではないかというような——そういう気持はないのでしようが、何か直接の責任予算にあるのではないかというふうに聞えるようなお答えをしておる。これは私は非常に当局としては卑怯な答弁だと思う。あの悲惨な事件を起し、しかも直接の犠牲者の家族の心境を思いやるならば、もつと率直大胆に私は国民にこうべをたれて謝するという、厳粛な深刻な立場でものを言われ、われわれの質問に対して答えるという真剣さがむしろなければならぬのではないかと私は思う。しかるにそういう感じがただいまのところではいたさないことを、私は非常に遺憾に思うわけであります。一体この事件が、先ほど来のお話では、責任の所在というものが非常にあいまいであります。総裁は、まだ調査中でありますからこれに対する明確な答えはできないと思うので、私は無理なお尋ねをいたしたいと思うのではございませんが、あの事件が一体不可抗力的なものであつたと認定されておるのか。そうでなくして、どこかに国鉄当局としての手落ちがあつたということになつておるのか。もはや昨日の事件発生以来すでに一日以上の時間が経過されておりますので、かなり十分な調査をされて来たのではないかと思いますので、その辺について、まず総裁からの御見解をひとつお尋ねしておきたいと思う。
  19. 長崎惣之助

    長崎説明員 私の先ほど来の答弁が、いかにも何と申しますか、真剣味を欠いておつて、何か責任のなすり合いでもやつて、ごまかしておくというふうにもし聞えたといたしますれば、私の言葉がまつたく足りなかつたと思います。私はそういう心持は持つておりません。なおこの事件が不可抗力であつたか、あるいはそうでなかつたかというような点につきましては、もつと慎重に調査もしなくちやなりませんし、かつ今日は検察当局においても調査いたしておりますから、それらの結果をまたなければ、まだはつきりしないと思います。けだしこれが不可抗力であろうとなかろうと、先ほど来私繰返して申しましたが、いやしくも国有鉄道として貴重な人命をお預かりしている以上、このことなきを期さなければなりませんことは言うをまちません。またそれに従いまとて、なくなられた方あるいは重傷された方、そういう方々の霊前あるいは遺家族の方々に対して、私は十分なるお見舞とお慰めを申さなくちやならぬということは、これまた言うをまたないのでありまして、その点については十分の努力をして参りたいと思います。またかかる事故を起しましたことにつきましては、国有鉄道は国民の鉄道であり、国民各位から私らが信託されております鉄道でありますから、かかる間違いを起したことについては、国民の前にほんとうにこうべを垂れて私はあやまりたいと存じます。
  20. 川島金次

    川島委員 私は、質問に対してのつけから、係の人から予算問題などを持ち出されたことに対して、若干私の見解がありましたので申し上げたのであります。  そこでさらに続いて、これは現場のことについて詳しい当局の方にお尋ねをしておきたいのですが、あの陸橋の問題について、新聞紙の報道するところによりますれば、渡辺という駅長が、もうすでにあの陸橋の事故発生の箇所であるはめ板の問題については危険を感じ、これが修理を監理局長にあてて申請をしてあつたという新聞報道がありますが、それは事実でありましたか。
  21. 中路誠三

    中路説明員 御承知のように、あそこの跨線橋は池袋寄りと上野寄りとございまして、おのおの同じ時期につくつたものでございます。従つて今日の駅長さんが要求したかどうか、はつきりいたしませんが、駅長さんが要求したと新聞には報道してございますが、昨日私現場に行つて見ましたところ、池袋側の方は、はめ板が相当腐つておりました関係か、これを鉄板に直してございます。そして上野側の方を見ますと、なるほど窓わくもございませんし、そういう点におきまして、お客様がお通りになるのに対しまして、これが不便を与えるという点におきまして、あるいは要求したのではないか。そこで監理局の方に昨日聞いてみましたところ、池袋側の方は二十七年度の初めにやりまして、二十七年度の後には、こちらの方のいわゆるはめ板部分、その突き当つたところというのは明確ではございませんけれども、長い通路がございますその横のはめ板をかえようということを、現場としては考えておつたようでございます。その程度の情報は得ております。
  22. 川島金次

    川島委員 現場の責任者たる駅長が腐朽の箇所について危険を感じ、早急にこれが補修をしなければならぬという申告があつたに対して、これを放置して来たというその責任は一体どこにあることになりますか。たとえば建築区長に責任があるのか、あるいは監理局長にその責任があるのか、これは非常に重大な問題にもなると思いますから、率直には当局はこういう席上では答えられない部分もあろうかということは私もよくわかりますが、そういう問題について一体だれが責任を持つて処理をするかということは、今後のこういつた事件を未然に防止する意味合いにおいても非常に大切なかんどころであろうと思いますので、抽象的でもけつこうでありますから、そういつた事柄についての責任の所在というものがどうなるかということについてお答えを願いたいと思います。
  23. 長崎惣之助

    長崎説明員 その責任の問題等につきましても、これは時期の問題、程度の問題、いろいろございましようから、ここでだれの責任だということをはつきり申し上げかねます。但しそれが明確になればこれはもうはつきり出さなければならぬと私は考えております。
  24. 川島金次

    川島委員 私はあの事故が起きたことに対する責任の問題について、いたずらに追究をしようという気持でお尋ねをしておるのでは毛頭ないのですから、その点はひとつ了解の上でお答えを願いたいと思いますが、たとえば新聞の報道するところによりますれば、あのはめ板はもうすでに危険の状態にあつた、しかもその上にラッシュ・アワーの時刻でありますから、あの陸橋に乘容が殺到した、その圧力ではめ板がはずれて悲惨な事故を起したことになつております。しかも一方においては今申し上げましたように、現場の責任者たる駅長があらかじめもうすでに補修の要がありとして申達をしてあり、こういう事態であるということが若干はつきりしておる。今の係の人からもそのことが明らかにされております。そういつた場合に一体どういう形で、だれが責任をとつてそういう問題を国鉄というものは処理して行くのかという事柄でございます。だれだれが責任者だという意味でのお尋ねではなくして、そういう事柄に対してどういうような立場の者がどういうふうな責任において処理して行くかということについて、私も微力でわかりませんので、この機会に尋ねておきたいと思うのであります。
  25. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは最終的には私が責任を負わなければなりません。ただしかし予算の執行その他についてはおのおのの分担がございます。これらの人たちもあるいは責任を負わなければならぬことになるかもしれません。最終的には何と申しましても私がその責任者でございます。
  26. 川島金次

    川島委員 最終的には総裁が道義的にも政治的にも責任者であるというその御心境は私も了といたしますが、一番最前線に立つておられるところの現場の問題をめぐつての処理の仕方を私は尋ねておるのです。たとえばはめ板が腐朽しておる、少し人数が殺到すればあぶない、こういつたことに対して常時責任をもつて検査をする責任者は駅長であるのか、それとも建築に関係のある建築区長といいますか、そういつた者がそういうことについて常時責任を持つて検査をすべき立場にあるのか、あるいは監理局長というような立場にある者が一定の時期に一定の指示を与えて、これこれの関する事柄はすでにに何年が経ておる、耐用年限はこれこれになつておるから、こういう検査をする必要があるのではないかという指示をもつて検査をして改修するのか、そういつたことからそういつた問題に対して補修すべきであると判断をいたしましたときには、そういう問題に対する処理はだれが責任を持つてやるのか、こういう事柄であります。まことにくどいようでありますが、もう一ぺん伺いたい。
  27. 長崎惣之助

    長崎説明員 私今の制度のこまかなことは、実はあまりはつきり存じませんが、川島さんのおつしやるようにやはり半年検査であるとか、あるいは三年検査ということは私はやつておるものと思つております。従いましてその検査の結果欠陥があれば予算をもつて補修すべきものというふうに認定するのは——補修の問題については監理局長がやつております。
  28. 川島金次

    川島委員 これ以上こまかいことを進めて行くことはどうかと思うのですが、従来日常私のいろいろ聞いておりますところによると、駅長あるいはその所管の責任者である建築区長あるいは建築施設以外の施設に対する責任者である保線区長、こういつた現場の当面の責任者である者が、これはもう耐用年数を過ぎているいないにかかわらず、急速に補修を要するのだ、     〔委員長退席、山崎(岩)委員長代理着席〕 この補修をしなければ事故が発生するおそれあり、こういう認定をいたして監理局長等を経て申達をいたしますが、その問題に対して急速果敢な処理がされておらない、こういうことが国鉄の現場における現状ではないか、そういうことが桜木事件となり、今度のような事件とさえなつたと言つても私は過言ではないと思う。国民が接触しておりますところのそういう現場における施設に対しては、平素から最も重大な関心を持ち、綿密な検査を続け、その現場におけるところの正当な判断に対しては、急速果敢にその問題の処理をするということが、私は本来の立場でなければならないと思う。にもかかわらず今度の日暮里事件は、そうしたたががどこかでゆるんでおつたということに帰着するのではないかという判断を、実は僭越でありますが、せざるを得ない状況であるように新聞紙で見れば思われてならないのです。  そこで私はこの際希望を申し上げておきますが、国鉄の、ことに国民が日常直接に接触する路線あるいはホームあるいはその他の施設等に対しましては、今後国鉄当局はその現場における長、あるいはその現場の長と相関連の形にあるところの施設の長、この責任者に大きな責任を負担させるだけでなく、その責任を負担させたならば、その申達を受けた場合にはそれを急速に——予算の問題と言つてしまえばそれまでであります。予算がないから人命に危害を与えてよい、そういう責任のないことはないと思う。絶対にそういうことは許されません。そこでそういう事柄についてはただちに適当の処理ができるような態勢国鉄内部につくり上げることが、非常に大切ではないかと私は思う。こう思うのでございますが、その点についての総裁の見解を明らかにしておきたい。
  29. 長崎惣之助

    長崎説明員 川島委員のただいまの御意見、私はまつたく同感でございます。現業の第一線、これが一番大事な点でございます。もちろん背後にあつていろいろな大きな計画あるいは前途の遠い計画というものについても、これまた綿密なる計画を立てなければなりませんけれども、しかしながら当面の事実として、しかも企業としてわれわれが仕事運営いたしておりますから、第一線の意見、第一線の処理ということは、私はお説のように、きわめて迅速に行われなければならぬ、さように考えます。今日までにおきましてもできるだけそういうふうに指導して参つたつもりでありますが、今後においても十分にこの方面に留意いたしたいと思います。
  30. 川島金次

    川島委員 今朝の読売新聞でございますが、「肌凍る老朽ぶり」という見出しで、日暮里以上のものが十六箇所もある、こう明らかに報道しておる、その中ではたとえば線路の問題、まくら木の問題、あるいは隧道の問題、橋梁あるいは駅舎、跨線橋、こういつた問題で、しかもその内容を通覧いたしますと、最も少いのでも二割、多きは四割五分ももはや老朽耐えざるものである。従つてこの耐えざるままに押して行きますならば、いついかなる場合と場所にこれ以上の惨事が起りかねないぞという警告的な記事が出ておるのであります。一体今の国鉄現状というものは、こういう新聞に報道されるような姿で放置されておるのかどうか、これも重大なことでありますので、ついでにお尋ねをしておきたいと思います。
  31. 長崎惣之助

    長崎説明員 新聞に報道されております全部がその通りであるとは申しませんが、かねて私にもいろいろの機会に申し上げておるのでありますが、何分にも戰争中並びに戰後の十年間、この間におきましては、川島委員も御承知の通り取替、補修その他に非常に手が抜けておるのであります。これらの危険をいかにして早く直すかということが、ただいま当面の問題でございます。それが非常な多額に上るのでありますから、私はいま一々の点について個別的にこれを検査させまして、できるだけ少い費用でできるだけ早い時間にこの欠陥を是正して行きたい。そうして危険のないように、危険などということは絶対にあつてはならぬことでございますから、そういう方面に向つて努力をいたしております。
  32. 川島金次

    川島委員 そこでそれに続いてお尋ねしておきたいのですが、国鉄は復興が主体で今後進むのか、あるいは補修あるいは改築といつた現状を復興せしめることを主体として進んで行こうとするのか、この点は今後の国鉄運営の上において非常に重大な問題であろうと私は思いますので、総裁はどういう姿で今後国鉄運営して行きたいか、その点の見解をひとつ明らかにしておきたい。
  33. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま申し上げましたように、いわゆる復興と申しますか、現在の施設の取替、強化ということは、まずやらなければならぬ第一の仕事であると思います。しかしながら国有鉄道である以上、公共の福祉の増進あるいは産業の開発、電源の開発という面にも私は協力して参らなければならぬと思います。ただこれらの資金の調達とか、いういろいろな技術的の面においてはまだいろいろ御議論もあると思いますが、やはり一方だけに偏して行くわけには参らない。それが国有鉄道を公共企業体にしたゆえんでもあるまいか、かように考えております。
  34. 川島金次

    川島委員 これは重大な話です。そういうことになつて建設もやる、あるいは拡充計画も実施するのだ。が、しかし一面において腐朽をきわめた当面のいわゆる復旧もやる、そういつた両面の政策を遂行して行つて、なおかつ国鉄の今後にこうした惨事が繰返されないりという保障がつくような政策が一体あるのですか。その点はどういうことになりましようか。
  35. 長崎惣之助

    長崎説明員 そういう二つ考え方と事故が起るか起らぬか、事故を起すか起さぬかという問題とは、必ずしも密接不可分の関係にあるのではなくて、絶えず強化して参ればいいのでありますから、国鉄としてはただそれだけをやつて、地方の開発であるとか、あるいは日本の開発という面に全然寄与しないのだということは、私は今の国有鉄道法の趣旨にも反するのではないかと思います。公共の福祉を増進して事業を発展させるということがたしか書いてあるように思います。
  36. 川島金次

    川島委員 言葉にからむわけではないのですが、今の総裁言葉を聞いておりますと、こういうことになるようなおそれがありそうです。国鉄現状というものは、もはや使うことに耐えない場所が全国的にたくさんある。そうして日暮里のような事件を起すおそれのあるような箇所がかなりあるということを恐れられておる。そういうことの方面にも力は尽すが、国民全体の経済のために建設も大いにやらなければならぬ。建設を大いにやるということになれば、腐朽した方面の復旧は若干ずれて行くことだけはいなめない事実だと私は思う。そういうずれがあつても、そうしてそのずれから起る多少の犠牲があつても、日本経済全体の発展と国鉄自身の拡充強化のためにはやむを得ないのだというふうに私は今の言葉が聞きとれたのですが、そういうところの見解はどういうふうになりましようか。
  37. 長崎惣之助

    長崎説明員 その点になりますと川島委員と私と少し見解を異にするのでありまして、その調和をとることが私の仕事であり、また国会の皆さんにおかれましても私どもの予算その他の御審議をなさる場合に、その調和がとれているかいないかという点に十分御留意になるのじやないかと私は思うのであります。
  38. 川島金次

    川島委員 その調和がとれておらないという証拠が日暮里事件なのです。日暮里の駅舎はすでに局長が、あの係の方も認めておるように、危険だということを申達しておるという事実がある。一刻も早く補修してほしいと上司に対して申請しておるのに、それが行われておらなかつた。そういうことはいわゆるもろもろの点に対する配慮が何らかの犠牲においてできなかつたということの証拠になつて来たのではないか。私はそういうことでは、今後の鉄道においても危険千万の事態が繰返されて行くのではないかという懸念を持つ一人であります。くどいようですがそういうことについて総裁はどういうふうに御解釈でおいでになりますか。
  39. 長崎惣之助

    長崎説明員 御承知の通り駅長は任意出頭か何かで呼ばれておるようでありまして、私は実はまだ駅長がどう言つたかという正確な点は確かめておりません。私の聞き及んだところでは、片方の跨線橋はずいぶんきれいになつ、ているそうであります。片方はまだ窓ガラスが破れて雨が吹き込むとかいろいろな点があるので、こつちの方もきれいにしてもらえぬかということを言つてつたということは聞いておりますが、危険だから云々ということは実はまだ聞いておりまりせん。もしそういう場合になれば、また急速にやらなければならぬときがあると思いますけれども、実はまだ正確な情報を持つておりません。
  40. 川島金次

    川島委員 その問題についての最後的なお尋ねをしておきますが、今後総裁は、現状国鉄施設全体に対する復旧ということにまず関心を持つ。すなわち比較の問題になりますが、復旧が主で建設が従だ、こういう政策に切りかえて、少くともこの国鉄に対する国民の不安感というものを払拭する熱意と積極的な政策を国民の前に明らかにして、しかもそれを実行する必要があるのではないか、こういうふうに存じます。もちろん復旧が主で建設が従だからといつて、復旧が八割で建設が三割でよろしいという、そういつたやぼなことを私は言つておるのではございませんが、そういう心組みで今後の国鉄の復興と発展に向つて進めるという御方針にならないかどうか、その点はいかがですか。
  41. 長崎惣之助

    長崎説明員 昔から建主改従とか改主建従とかいう議論はずいぶん言い古されたのでありますが、せんじ詰めれば同じようなものではなかつたかと私は思うのであります。それでそういう議論をここで繰返す必要もないので、私はむろん現在の施設を急速に直したいという念願は持つております。ですからこれに向つてはでき得るだけの力を尽しますが、といつてそれでは仰せの通り改良とかあるいは建設とかいうふうなことをなおざりにしては、先ほど来の御質問にもありましたが、国力の伸展に応じたサービスと申しますか、輸送をやることができなくなる。そこでそこらの調和をはかりつつ、しかも一方においては危険の防止、安全の確保ということをやつて行くということが、私の責任でありまして、その点について私はずいぶん苦労はいたしておりますが、何とかしてこれをできるだけ近い時期に完成して参りたい、こういうふうに考えて、実ははなはだ力足らなくて御不満ではあろうと存じますが、努力だけはいたしておるつもりであります。
  42. 川島金次

    川島委員 そこで最後的に今度は政治上の問題についてちよつと申し上げ、総裁の見解などを明らかにしていただきたいと思います。それは国有鉄道の公共企業体という姿であります。私の気のせいかどうかわかりませんが、昭和二十四年の何月かちよつと忘れましたが、日本国有鉄道が発足して以来、ややもすれば目立つて国有鉄道の歴史的にもあまりなかつたような事件が続発しておる感があります。何も国家が直接鉄道を管理経営いたしておりまするときはなくて、国有鉄道になつて急にそういう問題が数多くできたということを私は即断するものではございませんが、二十四年の国有鉄道の発足以来、ともすればこの種の事件が続発して来ておるような感じが私はいたすのであります。この感じから私は類推いたしまして、何か今日の日本国有鉄道のあり方、姿に、どこか根本的な、本質的な欠陥がある。そういう源を尋ねるような欠陥をつかずして、末梢的な実際の問題を解決することができないのではないかという気分を、私は最近特に感じておるわけであります。たとえば日本国有鉄道が発足した。そうしてこれは日本国有鉄道の自主的な性格というものを大きく確立したのだという触れ込みであつたのですけれども、事実上はこれにまつたく反して、一個の運輸大臣、あるいは管掌外の大蔵大臣の手に国鉄運営管理というものが、むしろ終局的には掌握されておる。ことに国有鉄道以前のときには、政府が直接経営しておつたのですから、運輸大臣と大蔵大臣で話がついた。ところがこういう公共企業体になつては、まず総裁がやる。総裁が運輸大臣と協議する。また運輸大臣は大蔵大臣と協議する。そうして最終的な大きな根本的な問題はきまるというような形になつて、監督的に見れば、国有鉄道は今日のところ実際的には二重監督を受けておる、こういうような姿になつておる点われわれは痛感しておる。こういうような形のままに置いて、はたして国鉄というものの自主性、また五十万の国鉄従業員の人たちがほんとうに昔の言葉でいえば国鉄の大家族主義、民主的な新しい意味においての国鉄大家族主義のもとに立つて国鉄の明朗化、国鉄の民主的な運営と発展とを期するということに、非常にこういう事柄が障害になつているのではないか、こういうふうに私はまずその点は感じておるのですが、その点について総裁はいろいろ事情もありまして、端的には申しかねるところもあろうと思いますけれども、この際私はそういう事故の問題と関連して、根本的な本質的な問題であろうと思いますので、これに関する総裁の見解はいかがでございますか、それをお聞きしたい。
  43. 長崎惣之助

    長崎説明員 公共企業体の現在の姿という点につきましては、これまたいろいろの機会に公にあるいは個人的にお話をしておるわけでありますが、これは私こういう感じがいたしております。川島委員御存じ通り、私は旧鉄道省時代にいわゆる鉄道省のごやつかいになつた一人であります。当時の国有鉄道、いわゆる省線でございますが、あの運営の当時と、今日のいわゆる国鉄線の姿と比べて見ますと、単なる今の財政面あるいは予算の面とか、あるいは監督の面とかという点から見ましても、どうも自由になつたのではなくて、きゆうくつになつたのではないかという感じを持つております。しかしさればといつて、これを一体どう改善するかということになりますと、政治的な面もございまするし、いろいろな面がございまするから、こういう問題についてこそ、これは大急ぎでやらなければならぬ問題であるかもしれぬが、一方においてはそう急にやつてみても無理が来ちやいかぬから、よく考えてやる。また衆知を集めていろいろお考えつて、ひとついい方向へ、もう少し自由に動けるように、手を縛り、足を縛つじやなくて、まあ同じ縛つてつても、もつとゆるやかに縛つてあるという程度くらいまでは、何とか持つて行きたいものだという感じを私は持つております。
  44. 川島金次

    川島委員 たとえば総裁もよく御存じで、毎日苦い経験をされておると思いますが、日本国有鉄道になつて、非常に大幅に何か自主性を与えられたようになつておりますけれども、かりに財政資金的に見れば、四半期ごとの資金計画に対し、大蔵大臣は修正を命ずることができる。これがまず第一、第二には借入れ債券を発行するには運輸大臣が大蔵大臣と協議して行う認可を受ける。これがすなわち二重監督みたいな形、第三番目に、運輸大臣は監督上必要な命令をなすことができる。たとえばこの三つだけの例を私はあげるのですが、これだけをもつていたしましても、いかに日本の国有鉄道が名前は公共企業体だ。そうしてあげて五十万の国鉄労組並びに当局におまかせしたこれは事業だ。その責任において大いにやつてくれ、そうして日本の国鉄の再建と、日本の経済再建のために大いに働けと命じながら企業体をつくつておいて、その実態は一皮むけばこのようにがんじがらめというありさまだ。このがんじがらめのありさまが、一番最初にたまたま問わず語りの中に出て来たのは予算上の問題である、こうなつて来ると私は思う。私は一番冒頭に予算上の問題を聞きたくなかつたあとで聞きたかつた。こういうことでありまするから、国有鉄道はいかに働いて、いかに自主性を保ちながら、ぼろぼろのところにいかに経費をかけて復旧させて、かりそめにも人命に危害を加えるような椿事は二度と再び繰返すまいというような心がけがあつても、財政的にはがんじがらめに縛られておる。ここに大きな国有鉄道の今日の企業体のあり方に、欠陥が伏在しておるというふうに私は痛感いたします。そういう点においては、総裁も就任以来苦い経験を今日なめられておりまして、痛切な言葉がありましたから、私も了解するのですが、こういうところに私はまずあると思う。しかもその上に一方においては国有鉄道法によつて総裁御存じ通り、政府は必要に応じて国鉄の損失に見合う交付金を支給することができるという法律ができております。ところがこの法律はあつてなきがごとしという有名無実です。いかに国鉄が働いてその結果損をしても、いまだかつて政府は一文の交付金をくれたことがない。こういう形であるから、損をしながらも改修はしなければならぬ、改築はしなければならぬ、一方また建設はしなければならぬ。しかもその改修と補修と改築と建設をしなければならぬが、資金、財政等がこの通りがんじがらめに縛られておるという、この公共企業体の姿である。ここに重大な国有鉄道の今後の運営のあり方に欠陥と障害がある。そういうところがまわりまわつて現場におけるところのいろいろの配慮の届かない点が起きたり、あるいは労働者に対する待遇等が満足に行かなくて、検査すべきところが抜けたり、あるいは検査してもそれを報告することを忘れてしまつたり、報告を受けてもまたその報告に対処することを忘れてしまつたり、こういうことが起つて来るのではないかという基本的の源がここにある。これだけが全部ではありません。全部ではないが、そういう企業体としてのあり方というものにいろいろな欠陥がある。その欠陥がめぐりめぐつて、血管が足のつま先までまわりかねて、こういう事態を引き起した。そして一瞬にして無事の国民の命を奪うような大惨事を引起すというようなことになつておるのではないかという感じを非常にいたすものであります。そういう事柄について、最終的にはこういう問題から片づけて解決して行かなければ、私は今後の国有鉄道というものを、安心して国民がこれを利用し、そして安全な気持でいつも身を国鉄に託することができるという姿には、容易にならないのではないかというふうにさえ思いますので、そういうことについて最終的でありますが、総裁の大きな立場に立つての政治的な見解を、ひとつ今後の国有鉄道の運営のあり方という、基本的な方針についてのあなたの御見解を、最後に承つておきたいと思います。
  45. 長崎惣之助

    長崎説明員 私先ほども申しましたように、これはかつてのいわゆる官僚的臭味の非常に強かつた国有鉄道時代のそれよりも束縛が大きくなつているということ、これはもうその一言で私が何を考えておるか、またどう感じておるかということは、川島委員よくおわかりと思います。それにつきまして、この束縛なり弱点なりあるいは盲点なりなりというものを、だんだんと解きほぐして行かなくちやならぬというふうに考えております。従いまして今後におきましても、ことに運輸委員皆様にはいろいろなお知恵拝借しなくちやならぬという場合があるかと思います。幸いにして私の時代になつてからかと思いますが、国会にさえも今までは容易に来られなかつたというような、不自由なことがあつたそうでございますが、今日は幸いにしてときどきお許しを願い、こちらの方からお願いたしますればお目にかかれるということになりましたことも、私は非常にけつこうだと思います。政府委員であろうがなかろうが、そんなことは関係がないので、国民の選良である皆さんの御意見を何も聞くことができない、つんぼさじきにあげられて、そして国民の鉄道を運営しろということ自体が、一つの矛盾じやないかと思います。そういうふうなぐあいに法律改正の問題は、いろいろ今後考えて参りたいと思いますが、それ以外にも、たとえば今申し上げたような窮即通と申しますか、便法をもつて適当にまたやられる面があるだろうかと思います。かたがた私の考えておる感じておることは、これで了解が行つたんじやないかと思います。
  46. 川島金次

    川島委員 最後に一つ取忘れておりましたので、一言お伺いしておきたい。それは一番最初にも山口委員から申されたのですが、この事件によつて受けました犠牲者に対する、あるいは家族に対する手当、あるいは弔慰の方法、あるいは救済の方法、いろいろ出て来ると思います。これは先般、変な話でありますが、桜木事件にかんがみまして、国鉄から格段の、できるだけのことをしたのではないかと思いますが、その例もありますので、桜木事件犠牲者に対しては、私は金額などは忘れておりますけれども、その金額をもちろん下ることはないと思います。それからいろいろな物価その他も違いますので、桜木事件当時における犠牲者以上の、最善の弔慰の意を表し、あるいは負傷者に対してはこれまたその当時以上の手厚い方法考えるべきではないか、こうついうふうに私は考えられますけれども、総裁先ほどまだそのことは発表する時期ではないかのごとくに言われましたが、私はもうそういうことを言われても別にさしつかえないのじやないかと思われますので、何か当局にも前例もあることだし、腹案もあろうと思いますが、どの程度のことならばしたいと考えられているか、できますればこの際ひとつざつくばらんにわれわれに聞かしておいていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  47. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほども申し上げましたように、まだきのうの事件でございまするので、そういう点までこまかくは考えておりませんが、先ほども申しましたように前例もございまするし、いういろいろありますので、できるだけの弔慰の方法を講じて参りたいと考えておる次第でございます。
  48. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 滿尾君。
  49. 滿尾君亮

    滿尾委員 私もこの事件につきまして、若干のお尋ね国鉄総裁に申し上げたいと思います。  まず第一に私の思いますることは、こういう遺憾な事件が発生しましたときに、国会がその事件の直後にこの問題を取上げる態度でありまするが、私はかような事件は別に起そうと思つて起るものではない。これはまことにやむを得ずいろいろな事情があつて、起つて来た。原因がすつかりわからぬうちに国会で責任者を呼び出して是々非非の論を闘わしますことは、これはまだ少し適切でないように思う。これは政府当局に申し上げることではない。われわれ自身としてその点は反省したい。もう少し時間を置いて、感情の静まつたときに、ほんとうに原因の調査がよくできて、こういうところに真因があつたということが明確になつたときに、国会は科学的に冷静に、当時の風潮に惑わされることなく、ジャーナリズムにおどることなくして、知性を持つて原因を探究し、その対策を論ずるのが適当だと思うのでありまするが、先般来もく星号の事件といい、その他等々の嘆かわしい事件の直後に、いつもこの論議が闘わされる。そうすると議論の調子がどうも少し高くなると申しますか、根底に感情がまじるおそれがあるのであります。でありまするから、この点はお互いにぜひ反省して行きたい一面だと思うのでございます。そこでこの問題につきましても、私どもはあくまでもこの問題を冷静に取上げて行きたい。と申しますのは、決して私は人命を軽んずるという意味ではない。なくなられた方々に対する弔慰の気持は、人様に劣らぬつもりであります。十分そういう慰藉の面は尽していただかねばならぬと思いますけれども、われわれが国家の一つのできごとといたしまして、大きな見地から本問題に直面いたしますときの態度は、また別にあるんじやないか。とかくこういう事件によつて、国有鉄道の総裁がもし必要以上の刺激を受けられて、本来の使命達成のコースの上において、若干とも狂いが来るようなことがあれば、これは非常に残念なことだ。先ほどのいろいろな同僚費の御質問の中にも、一体補修をどう思つているか、あるいは建設とのバランスはどうかというような、いろいろな意見が出て参る。これは非常に大きな問題であつて、偶発的な一々の事件によつてそのコースに影響があるようなことがあつては、これはたいへんなことだと思う。なるほど今回の事件はたいへんなことである。なるほど結果は非常に大きかつた。貴重な人命が、数名も失われた。しかしその内容を考えてみると、そこに非常に偶然の要素も入つて来る。もし電車が入つて来なかつたら、事故の結果が大きくなかつただろう。たまたま電車が入つて来たために、結果が非常に重大である。そこには偶発性の要素が多分に、私は結果を大きくした面におきまして大きな役割を演じたと思う。ここらの点は、よほどわれわれがこの問題の軽重を考えますときに、考えて行かなければならぬ要素であろうと思うのであります。従つてこういう事件によつて巻き起されましたところの一つの感情なり雰囲気というものは、国有鉄道の将来の国策に対して大きな刺激を与え、影響を与えるということは、これは私は非常に残念なことではないかと思う。もちろん国鉄現状というものは、いろいろの資料によつて国鉄からお示しになつております通り、非常に老朽した面がたくさんある。従つてその補修をしなければならぬことは明々白々の事実でありまするが、戰後七年かかつてそれが十分に行かないのは、もちろん局に当られる国鉄当局の直接の責任もあるが、われわれ国会もしくは国民全体、日本の国力全体が負うべき一つの運命なのでありますから、必ずしもそう急速に行かない、こういうことに気をとられて、本来の輸送力の拡充に少しでも手をゆるめられるようなことがあれば、私はその方が大問題だと思う。事故というものは、設備の悪いことによつても起ります。しかし設備の要素が強いか、従業員の志気の弛緩なりあるいは注意力の欠如という要素が多いかといえば、私は鉄道のような動的な仕事をしている面におきましては、むしろ物的施設、それは程度問題でありますけれども、物的施設の要素よりも人的要素の方がもつともつと重大事故に対する大きな原因を胚胎しておるものだと考えるのであります。従つて国鉄総裁として、将来事故の根絶ということについて御努力を願うとするならば、第一段になすべきことは、従業員の訓練である、志気の高揚である、私はかように考える次第であります。物的設備以上に、問題は従業員の訓練にある。私どもが拝見しております国鉄の従業員は、遺憾ながらこのごろ方角が少し違つておるのではないか。つまりサービスということをいろいろ言われておるが、過剰のサービスに努力して、本来の仕事に努力が行つていないようなきらいがある。でありますから、たとえば国鉄輸送設備というものは、一面におきまして、非常にぜいたくと申しますか、過剰といつては言い過ぎかもしれませんが、ぜいたくな面が相当ある。もつと本質的な輸送力の拡充、安全性の絶対限度の確保というようなことに、従業員の努力を向けられる必要がありはせぬかということを、私はしみじみ感ずるのでありますが、これらの点に対する総裁の御所見を伺いたい。
  50. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 滿尾委員に先に私からお答え申し上げます。実は本委員会としまして、今度の事件につきまして、長崎総裁をお呼び申し上げたわけではないのであります。日程に伴いまして、本日は請願を主としてこの委員会を設けたものでございましたが、長崎総裁事件の重大性にかんがみられまして、たいへん恐縮されて、この機会にぜひ委員会を通じて国民に陳謝しなければならない、こういうお考えから、今日御出席になつたのでありますから、御了解のほどをお願いいたします。
  51. 長崎惣之助

    長崎説明員 私からも、そのことを申し上げます。実は当委員会の開かれることを聞きましたので、非常に重大な事件でもございますので、私まかり出まして御報告を申し上げ、皆さんを通じて国民の各位に謝意を表したい、かようなことを申し出ましたところ、委員長におかれても、それはもつともだから来いということで、私は参つたのでございまして、決して委員会からお呼出しを受けたわけではありません。その点私冒頭に申し上げるのを忘れましたが、非常に恐縮もし、また感謝もいたしておる次第でございます。  ただいまのお尋ね、まことにごもつともでありまして、物的施設も重大だが、人間の方が、より重大じやないかという御説でございます。むろんいかなる精巧な機械、いかなる精密な機械を使いましても、あるいはオートマテイツク・マシーンというような自動的に働く機械を使いましても、やはりそれを使うのは人間なのでありまして、その人の訓練、人の心構えというものが重大な要素をなすことは論ずるまでもないのでございまして、その面におきまして、従業員諸君の訓練、日常の訓練にいろいろと心を砕いて実やつておる次第でございます。  なお過剰のサービスをしておるのではないかというようなお話も、一応うなずかれます。公共企業体になつたから、いわゆる商売人になつたのだというような考えから、言わなくてもいいようなことを言うとか、やらなくてもそうさしつかえない行き過ぎのサービスをするというような面も、私はなきにしもあらずだと思います。それらのことを全部またとめてしまうということもいけないので、それらはよほど考えた上に、徐々に是正して、適当なところに治めて行かなければならない。現に先日も、つばめですか何かで大阪から東京まで来る間に、七回タオルを持つて来たというので、どうもあれは少し過剰ではないかと言つて笑われたのでありますが、多少行き過ぎがあるように思います。
  52. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は国鉄従業員の知性の向上ということについて、総裁が格段の御注意を払われんことを望むのであります。実は前回桜木町の事件がございました。それにつきましては、いろいろ御心配になり、いろいろ御手配があつた、それは非常によかつたのでございます。私は新聞で伝わつたのを読んだだけでございますけれども、そのあとで従業員の方々が醵金をされまして、霊魂を慰めるための仏様か何か現場につくるという記事を読んだ。これを読んだときは、私はそれを慰めようという御心情には感激したのでありますけれども、その純粋な気持を表現される方法が、国鉄全体の従業員がこぞつてそういう方向におもむかれるということを考えまして、実はびつくりぎようてんしたのであります。二、三その方面で特に篤志家の人たちの集まりでそういうことが起るのは、これは世の中のことでございますから何とも思いませんが、国鉄の従業員全体がそういう方向に動き、そういう表現方法をもつてお気持を表明されるということは、私はむしろ世界の鉄道に対しましても、少しはずかしいような感じがする。今回はそういうことはございませんでしようが、純粋な気持は非常に多としますが、これが発現せられる方向につきましては、やはりもう少し考える余地があるように思うのであります。これはどうしても国鉄従業員の知性のレベルを一段上げるということが、私は必要だと思うのであります。そういう方向について何らかのお考えはございますか。
  53. 長崎惣之助

    長崎説明員 どうも滿尾委員に恐縮でございますが、私どもの知性のレベルが一段低いから、もう少し上げろという仰せでございますので、できるだけ知性のレベルを上げるように努力いたします。
  54. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 江崎委員
  55. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 同僚委員から大体この事故の問題について質問され、意を尽したように思いますが、二、三の点について長崎総裁にお伺いしたいと思います。  ちようどこの日暮里事件の起ります一年二箇月前の同じ日に、桜木事件が起つておるのであります。そのとき、平素はこの委員会においても非常に傲慢な態度を示しておられた加賀山総裁が、ここへ来て涙を流して国民に陳謝された。そうしてこの桜木事件の全責任を一身に帯びて辞職せられたのであります。今後こういうような事故は絶対に国鉄では起さぬという覚悟をきめ、その手配をして、総裁のバトンをあなた長崎さんに渡して去られたのであります。ところがここで流された涙はそら涙か、鬼の目に涙か知らぬけれども、ちようど十四箇月日の同じ日に、この日暮里において惨事を起しておるのであります。やはり国鉄はたががゆるんでおるという感じ国民は受けたと思う。この問題を先ほど同僚委員から追究すると、それは予算の問題であるとか、それは何だというようなお話がある。なるほどその問題もあるでありましよう。しかしながらこういう問題を絶対に起さぬという立場から、一年二箇月前に再出発された国鉄で、再びこういうような事故を起したということについて、長崎総裁責任ある御答弁を願いたいと思います。
  56. 長崎惣之助

    長崎説明員 前総裁の加賀山さんが桜木事件責任を一身に負つてやめられて以来、実は事故が激減いたしまして、私どもはやはり非常に大きな意義があつたとういうふうに考えまして、喜んでおつたのでございますが、今回不幸にしてこういう事故が突発したということは、私はまことに遺憾でございます。しかし前事故以来、ゆるんでおつたたがが大分締りまして、ああいう事故がなくなつた。ことに東京鉄道局管内であるとか名古屋の管内であるとかいう大鉄道局の管内においては、相当こまかい事故などもありまして、長期にわたつて事故がないということは珍しかつたりのであります。ところが名古屋におきましても、三百万列車キロの間一つの事故もない、東京においても最近三百万無事故というものを完成しておるような次第でありまして、私は国鉄の従業員諸君の非常な緊張ぶりには実に感謝しておつたのでありましたが、昨日こういう事故を起しまして、まことに残念なことだと考えております。同時に、それに対する対策を十分に練りまして、そうしていわゆる無事故というものを続けて行かなければならぬ。ことに人命に関する事故ということは最もついけないことでございますから、人命に関する事故については万全を期して、これをなくさせなければならぬと思つております。
  57. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 先ほども同僚委員からの追究もあつたようでありますが、この日暮里事件に対して、長崎総裁以下国鉄の首脳者は、この陸橋があまり古くないというように主張しております。ところが現場りの駅長を初め実務に携つておる労働者の言葉を聞きますと、これはかなり古くて、非常に危険な状態であつたと言つております。その主張はまさに正反対である。これは一体どつちがほんとうなのか、責任のある御答弁を願いたいと思います。おそらく総裁ともあろうものなら、現場においでになつて、逐一ごらんになつたと思うのですが、この点はどうなんですか。
  58. 長崎惣之助

    長崎説明員 あそこにありましたはめ板とかそういうものは、全部検察当局が持つてつておりますので、現在ではわかりません。
  59. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 先ほどからの御答弁によると、予算の問題等に縛られて、思うにまかせないのだという御答弁でありますが、しかしながら詳細に検討してみると、国有鉄道内における予算並びに国として考慮すべき予算、これが国鉄の新設あるいは国鉄の改修に使われるのじやなくて、われわれ日国民とまつた関係もないところのアメリカの軍事基地をつくるために引込線をつくつたとか、また緊急輸送のためにいろいろ設備をつくつたり、国民としてはいらない車両を新造したり、こういうのところに莫大な金が使われておるのであります。これをすつかりやめてしまつて、日本の国民のための国鉄に使うなれば、こういう事故は一掃できると思うのだが、国鉄総裁はどう考えますか。
  60. 長崎惣之助

    長崎説明員 向うで必要とする設備につきましては、国有鉄道のふところでまがなつておりません。
  61. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 ひとつ具体的な問題についてお伺い申し上げたいと思います。今年の三月三十一日までは、占領軍関係の物資の輸送その他は、終戰処理費をもつて支弁されたのであります。その後四月一日以降は、行政協定のとりきめによつて、特別な会計から支出される予定になつてつた。ところが講和発効が四月二十八日に延び、一日から二十八日までブランクになつてしまつた。これに要する経費は、聞くところによると八億円ばかりいつておるという。この駐留軍関係に使つたところの費用は一体どうするのか。
  62. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは最初から、講和発効が延びるかもしれぬということを予期して両方の間に協定ができておりまして、やはり現在と同じように、四月一日から運賃も頂戴しておりますし、向うの特殊な建物とかその他の保守費もいただいております。
  63. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 行政協定に従つて、この四月一日に役務協定を結ばれたそうである。役務協定というのは、長崎総裁とアメリカ軍の代表者との間に結ばれた協約であるそうだが、こういうような協定は今まででも必ず国会に承認を求めたものと考えておる。ところが今度は運輸委員会にも何のごあいさつもない。一体どういう協定を結んだのか、はつきりしてもらいたい。
  64. 長崎惣之助

    長崎説明員 当時その内容の大要をここで御説明申し上げたと私記憶しておりますが……。
  65. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 江崎君、何とぞひとつ議題外にわたる質問をしないようにお願いいたします。
  66. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 今の長崎総裁言葉に従えば、詳しく説明したと言われるが、いつ説明されたのですか。
  67. 長崎惣之助

    長崎説明員 調査してからお答えいたします。
  68. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 こんな重大なことをいつ説明したかわからぬというようなことでは、これは了解に苦しむ。(「一体いつ聞いたかわからぬというべらぼうなことがあるかい。」「委員会に出て来ないからだめなんだ、もつと勉強せい。」と呼び、その他発言する者あり)そうじやない、やつてないんだよ。こんな重大なことを明らかにせぬでどうする
  69. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 江崎君に申し上げます。ただいま総裁の方で、調査の上で報告すると言うのでありますから……。
  70. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 全国にわたつて毎日レールが十数本ずつ折損しておる。あなたがそこですわつておる間にも、全国の国鉄がレールの折損によつて転覆して、数百名の集団殺人を与えようとしておるのだ。こういう問題をあなたはどうする。今日暮里事件が問題の爼上にのぼつておるけれども、これと同じ種類の原因で、集団殺人を犯す危険はたくさんあるのですよ。あなたはどう思う。
  71. 長崎惣之助

    長崎説明員 強力な動力を使つて仕事をしている場合におきましては、危険ということはしよつちゆう伴うのであります。従つてこの防止ということについて、注意を怠らずにやらなければならぬと私は考えております。従いまして決して私は安心はいたしておりません。もう時々刻々事故のなからんことをこれ願つておるわけでありまして、その点は十分なる注意を払つておる次第でございます。
  72. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 国会というところはおしやべりするところじやないと思う。(笑声、「じようだん言うなよ、おしやべりするところだよ。」と呼ぶ者あり)こういう重大な問題が現にあるのだ。こういう具体的な指摘に対しては、具体的な答弁をしてもらわなくちや話にならぬ。(「それは仮定じやないか。」と呼ぶ者あり)仮定じやない、事実だ。君たちは知らないのだ。この国鉄の荒廃状態については、共産党の国鉄の従業員がたくさんおつて、こういう人たちは口をきわめてこの問題を宣伝し、当局に注意を促して闘つてつた。ところがこういう人たちをみな首にしたじやないか。こういう問題が明るみに出るということをおそれて首にしたじやないか。こういうことをやつて国民に何と言訳しますか、ひとつ御見解を承りたい。
  73. 長崎惣之助

    長崎説明員 それはどういうことを意味しておるのでありますか、私はよくわかりません。これは前総裁時代でありまして、その当時の事情を私よく聞いておりません。
  74. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 江崎君に申し上げます。あなたのいろいろな質疑を聞いておりますと、架空のことを基礎に置いて質疑をしておるようである。そういうことはひとつ御注意を願いたいと思います。
  75. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 委員長にお答え申し上げますが、私は架空な事実のことを言つたことはありません。私はエンジニアでありますので、公式でも証明しなければ信じない。事実を事実としてここで話すのであります。それに対して回答を回避したり、議題外であると言つてみたり、こういうことは許されぬことだと思います。国会というところは、真実を究明するためにあるのであります。鉄道の老朽状態はこの陸橋だけじやなく、橋梁、トンネル、それからレール、まくりら木の腐蝕、その他枚挙にいとまがない。こういうような状態でのんべんだらりと放置するならば、日本の国民はいつこういう惨害によつて命を落すかもしれぬという状態であります。これについてあなたは予算がないならば、自分の職をなげうつてでも、国会に掛け合うという、そういう意思はないのか、あなたの態度はその点きわめて遺憾だと思う。そういう態度でいるなら、国民に対して当然日暮里事件の責めを負つて辞職すべきだと思うがどうですか。
  76. 長崎惣之助

    長崎説明員 私の努力が足らなかつたという御見解であれば、これは見解の相違であります。私としましては最善を尽して努力をし、できるだけ予算を盛つたつもりでございます。
  77. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 今の御返答はきわめて不満であります。これ以上何をか言わんやという気持がいたします。
  78. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 坪内委員
  79. 坪内八郎

    ○坪内委員 この機会に一、二お尋ねしておきたいと思います。日暮里駅の事故によつて生じた罹災者に対しては、私どもも心より哀悼の意を表をするものでございますが、この事故について今日村上運輸大臣から、本会議におきましてもその報告を聞いたのでありますが、はつきりした原因については、まだ別に発表はなかつたのであります。そこでいろいろ情報を聞きますと、はめ板の腐敗によるものであるとか、あるいは人の混雑の圧力によつて事故を生じたというようなことがいろいろ言われております。先ほどこれについても長崎総裁からちよつとお話があつたようでありますけれども、はつきりしたお話はなかつたのであります。大体これははめ板の腐敗によるものであるか、あるいは人の混雑したその圧力によつて事故が生じたのか、そのいずれかということをちよつとお尋ねいたしたいと思います。
  80. 長崎惣之助

    長崎説明員 事故原因ということでありますが、今板の部分、ことに重要な古レールの柱があるのですが、それに取付けておつた添木、それからボルト、それらのもの全部を検察庁が持つてつてしまつたのです。それでそれらをよく研究してみないと、それであつたのか、あるいは圧力であつたのか、これはちよつとわからぬと思います。
  81. 坪内八郎

    ○坪内委員 そこで私どもが考えまするに、新聞とかあるいはラジオとか、そういつたいろいろ報道機関を通じて想像するに、はめ板が多少腐敗しておつたこともあるかのように思います。同時に当日、ちようど上野駅が火災を生じておつたというので、多数の人か日暮里駅に殺到したために、いわゆる人の混雑の圧力によつて事故を生じたということもあわせて考えられるわけであります。それらの原因を十分調査いりたしまして、その責任を明らかにされるだろうと思いますけれども、結局はめ板の腐敗による場合においても、あるいは人の混雑によつて生じた場合におきましても、その責任は相当追究されなくてはならぬと思います。昨日来いういろいろな報道を聞いておりますと、はめ板が多少腐敗しておるところに人の混雑の圧力が加わつたということが出ておるようである。そこで私がお尋ねいたしたいことは、そういう人の混雑の場合に、その日暮里駅の駅長以下職員が、そういう人の混雑を未然に防止するために何らかの方法誘導するような処置といいますか、そういう行動をとらなかつたというところに、私は相当考えなくてはならぬ点があるじやないかということを考えるのであります。このことにつきましては、長崎総裁は当時総裁でなかつたのでありますけれども、そういつたり指導的な点において欠けたために、いろいろ事故を生じたことがある。たとえば昨年の九月に四国の例の大栃線におきましては、二十名近くの死傷者を出した。これは運転手が酒を飲んで道路が悪いのに注意を怠つた。あるいは京都駅が火災で燃えた場合にも、一給仕がアイロンを置いてそのままにしておいたという不注意、あるいは鳥取市を廃墟とした火災におきましても、その原因は目下調査中でありますが、われわれが聞くところによると、国鉄従業員が風上の方で火を燃やして、その火が何かに延火したのではないかということが有力になつておる。桜木町駅の事故におきましても、ドアをあけるのが間に合わなかつたということ、いろいろ考えますと、国鉄部内のいろいろなこともありましようけれども、先ほど滿尾君からも話がありましたが、指導面において大きな欠陥があるのじやなろうかということを、われわれ国民考えるわけであります。従つてこういうことについて、もし人が足りなければ人の要求もしなくてはならぬでしようし、いろいろ考えなければならぬじやないかと思います。当日の日暮里駅の事故につきましては、多数の人がその陸橋のはめ板の腐つたようなところに殺到をしたような場合に、その当時の状態において、そう混雑しているのを整理する人員がなかつたのかどうか、あるいはおつてもできない態勢にあつたのかどうか、その辺の模様を一応この際聞いておきたいと思う。
  82. 長崎惣之助

    長崎説明員 今日まで私の手元に参つておりまする報告によりますと、当日混雑して来ましたから、駅長自身が跨線橋まで出向いて、部下を率いて指導をいたしましたけれども、非常な人で、平常は三万人くらいだそうですが、その上になお四万人くらいふえたのではないかということであります。それのためにこれが完全に行かなかつたようであります。
  83. 坪内八郎

    ○坪内委員 そういう人の混雑については、駅長以下整理に当つてつたような話でありますが、そういつた現場の指導というか、監督面は、まつたく駅長に一任してあるのかどうかということをお尋ねしたいことと、それからそういうことについて国鉄の最高首脳部では、どういうふうに訓練しておるのかどうか、この際お尋ねいたしたいと思います。
  84. 長崎惣之助

    長崎説明員 現場の第一線の指揮は駅側にありますので、駅長が一切の責任を持つております。それから駅長あるいは助役というような比較的現場の上の方の指導、監督につきましては、特別な訓令を出すなり、時々講習会を開くとか、いろいろな方法をとり、今アメリカでやつておりますシステムもございますが、ああいうシステムをとるなりして、せつかく努力いたしております。何分にも長い間の統制の時代、あるいは戰後の混乱の時代、そういう時代を経ておりますので、なかなか思うように参らぬので、いろいろ苦慮いたしております。
  85. 坪内八郎

    ○坪内委員 現場のいろいろな指導といいますか、そういつた直接の教育といいますか、そういつたものは現場の駅長におまかせしておる。従つてその責任者である駅長などはいろいろな機会に講習をするというようなことでありますが、そういうのは東京に全国の駅長でも集めて講習するのかどうか。それには相当講習費とかいうような予算もかかると思いますが、そういう点に遺憾がないのでございますか。
  86. 長崎惣之助

    長崎説明員 東京でもいたしておりますし、地方でも要所々々に教習所がございまして、その費用は教習所費として頂戴しております。
  87. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 私も二、三お尋ねしたいのです。現在の国鉄説明員は、前と違つてわれわれ委員会と非常になごやかにすべてが進まれておりますことは、私ども委員として非常に喜ぶ次第であります。しかし鉄道は、前からの習慣と申しましようか、前からのしきたりと申しましようか、そういうような点で、今までは委員会等とうまく行つていないことは明らかでありまして、このたびのこの問題にしても、かような古い習慣が残つているために、新しい説明員の方でせつかくいろいろ御配慮願つても、下の方へうまく連絡ができていないのじやないかということが痛感されます。現在におきまして、空のレールのない飛行機が国民に非常に不安を与えているやさきに、地上のレールのある国有鉄道が、かような事件を突発さして国民に不安を与えたということは、空も不安、地上も不安だという結果になりますので、これらの問題については、今後重大問題が国民に与えられるのではないかということを考えます。  私はこの点につきまして、まずこの事件の起つた原因からちよつとお尋ねしてみたいことは、木造建築とかあるいは鉄筋コンクリートの建築というものは、おのずから年限が定められております。このたびの事件のような場合において、年限等についての問題はどういうことであつたか。またこの年限に対するところの予算問題はどういうふうに取扱つているかということを、まずお尋ねしてみたいと思います。
  88. 長崎惣之助

    長崎説明員 すべての施設物に寿命があるということはお説の通りであります。寿命のないのは土地くらいのものでありまして、築堤でありましても、トンネルでありましても、あるいは橋でありましても、すべて寿命のあることはお説の通りであります。従いまして一定の命数というものをきめまして、その命数に従つて順にとりかえて行くという方針で進んでおる次第であります。
  89. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 この年限に対しますところの予算の計上問題について、お尋ねしてみたいと思います。
  90. 長崎惣之助

    長崎説明員 その予算の点でございますが、これはいろいろなやり方がございまして、帳簿価格でやる場合もありますし、あるいは復成原価、あるいは新品の価格でやる場合もありますが、国鉄といたしますれば、ほかの企業体とはいささか異なりますので、現在の力と申しますか、その勢力を維持するということが大事なのであつて、資本と申しましても日本国の所有の資本金ですから、利益があつても別にほかに配当するというようなこともありません。従いまして現有勢力を維持するということになりますと、新品をつくる、新製するという価格で年限から割出した取替費用を見るのがほんとうではないかと思います。そういたしますと、ただいま計算上出ておりまするものは五百数十億でありますが、それに対して復成の取替その他が約三百数十億ということで、すでに二百億の下足分があります。そこらは複成価格によるか、あるいは新品価格によるかという議論の点になりますので、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。
  91. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 ちよつとそこに食い違いがあるように思われます。私のお尋ねすることは、この補修費の予算というものは、一般の予算と申しましようか、その予算のうちに含まれておりますか。それだけの予算は計上してあるかどうかという点についてお伺いしたい。
  92. 長崎惣之助

    長崎説明員 原形を保つて行くというものについては補修費でとつております。それから補修によらずしてとりかえなければならぬものもございますから、それは取替費用によつてとりかえます。
  93. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 今度の事件のような場合には、取替の予算に計上されておつたものであるか、補修程度になつておるかという点、それから官庁方面の年限について大きな問題のありますことは、民間でありますならば、すみずみまで掃除をよくして、腐つたか腐らないか、惡くなつたかならないかということが一目してわかる状態にする。つまり掃除等が行き届いておりますか、官庁の場合には、表面掃除をしているような場合が多くて、すみずみにはほこりが一ぱい山積して、そこへたまたま水をひつかけたりなんかするのか中へしみ込んでおりますために、表面はいいか悪いかわからないが、実際そのごみを掘つてみると中が腐つていたという例が多いと思う。そこでこういう点からこの問題を注意してもらわなければ、今後至るところにこういう問題を惹起するのではないかという憂いが多分にあるということは、私ども実際の自分の経験からしても考えられます。しかし個人とは違つて役所のことでありますから、とうてい個人のような行き届いたことはできませんが、これ一つにしても、もし注意が行き届いていたならば、今後危険を未然に防ぐような場合があるのではないか。そこで実際的問題について考えますと同時に、今私がお尋ねすることは、補修費とか取替費とかいうものがあらかうめ予算に計上されておりましたならば、その年限が来た場合にどんどんこれを補修するなり、とりかえるなりして行くはずでありますが、それがしていないために、かような結果が起るのではないかということを憂えると同時に、予算面がどうなつているかということをお尋ねするわけです。この点がはつきりいたしませんので、大体の筋道をはつきり願いたいと思います。
  94. 長崎惣之助

    長崎説明員 検査をしておるか、調べておるかというお尋ねが第一にあつたようでございますが、建物その他については一定の期間ごとに検査をいたしております。従つてそれによつて、今度のあのはめ板のごときものは、補修費、修繕費でやれる問題であると思います。それから取替、補修の問題ですが、これはいずれも予算に計上はいたしております。ただ取替の問題については、施設の画には修繕費でやる部分ととりかえねばならぬ部分二つございます。取替の方もやはり収益から一定の額を取除いて工事をして行くわけでありますが、その取替の経費が——予算の話をすると、けしからぬじやないかと言われますから、申したくないのですが、実際は戰争中の五年、戰後の五年、この十年間のほこりがたまりまして、大分弱つて来ておるが、その金の額が相当に多額なものでありますからして、なかなか予算の獲得ができないという点はあるのであります。これは資金の面でいろいろの制肘を受けます結果、十分な取替の経費が生み出せないという憂いはあると心配するのでありますが、しかしながらもつと明細によく調べて、できるだけ小範囲で、老朽してまさに危険に瀕せんとしているものを早く片づけたいということで、今鋭意一歩具体的に当つて、一体どれから先にすべきかというような順位等も考えまして、予算の許す範囲において急速にこの取替を実行して参りたい、かように思つておるところであります。
  95. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 畠山委員、はなはだ申訳ありませんが、御相談ですが、実は参議院におきまして総裁がおいでになるのを待つて休憩中だそうでございます。たいへん恐縮ですが、どうかひとつ簡単にお願い申し上げます。
  96. 畠山鶴吉

    畠山(鶴)委員 わかつたようなわからないような点があります。よく納得できませんが、私は鉄道の現在の収入問題もお伺いしたいのですが、時間がないということですからその点には触れられません。りつぱにお客様があつて、りつぱな収入があつて、しかもその上税金も払わないで営業している国鉄が、補修費、改修費という問題で予算があるとかないとかいうことは、実際問題として少しふに落ちないのです。補修費や改修費は十分あると思つています。しかるにそれがないということであつたならば、大きな問題だとも考えますが、しかし現在補修とかあるいはつくろいとかいう場合のところを見てみますと、つくろい等のごときはほとんどあれは破壊のつくろいであつて、実際の補給つくろいでないということが実際に見受けられるのであります。つまり鉄道の工員かその部署の人が補修したところの跡を行つてみますれば、要するにこれはもうだめだ、破壊するのだという一つの前提をつくるような補修政策が見受けられますので、これらの点につきましても、先ほど駅長様がという話がありましたが、駅長様が進言してもなかなかやつてくれないという話も私はしばしば聞くのです。実際小さなこまかいところの注意が足りないところにも、今度のような大きな事件原因が生ずるのではないかと痛切に感じるものであります。これが一個人の会社なり営業でありましたならば、夏のぼたもちではありませんが、三日と経済が持たないという結果になる。ここに鉄道経営体において何らかそこに改良すべきところがある。現政府委員あるいは当局におかれましては、十分にこれらを注意されていると思うのでありますけれども、昔の長い伝統的習慣が、まだその悪弊が多分に残つているために、これらの改善ができないということははなはだ遺憾とするところであります。私はいろいろの点についてお伺いしたいのでありますが、委員長から御注意がありましたので、一応これで打切りますが、これらの点について十分に御注意を願えるならば幸いだと存じます。私も委員の一人といたしまして、至るところでこれらの点を聞かれるたびに、多少責任が関連いたしておる立場からお伺いする次第でありますが、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  97. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 大澤委員畠山委員同様ですから、どうかひとつ簡単に願います。
  98. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先ほど代議士会や本会議があつたので、私こちらの委員会へ参るのが非常に遅れて申し訳ありませんが、実はこのたびの日暮里の駅の事件について、総裁も大分お忙しいようでありますが、ひとつお伺いしておきたいと思います。  先ほど来いろいろ総裁の答要り説明なりを伺つておりますと、どうもまだ要領を得ない。われわれが国民に対して、こういうわけだという真相をほんとうに話す程度になつていないようであります。これも先ほどお話を伺えば、現地へ行つてみたところが、警察の方へ証拠品を持つて行かれたために、真相はわからないというようなお話でありますが、いずれにいたしましても、駅にそういうような予想もしなかつた事故が起るということは、大体この駅ならばどのくらいの人間が乘車できるか、この陸橋はどのくらいの人間を乘せてもさしつかえないか、あるいは危険であるかということがわかつていないからではないかと思う。そしてこれは大体わからなくてはならぬ問題であると思う。ことに毎日やつている仕事の範囲の中でありますので、突発的にできた事故がなくても、また人に言われなくても、少くとも五十年も七十年もの歴史のある国鉄として、その程度のことは自発的にわかつているべき問題であると思う。しかるにこのたびこういう問題が起きたということは、監督というか指導というか、そういう面に欠陥があるのではないかと考えられます。技術的に見て、この陸橋は何年たつているから何人しか通れないというような、数字的なことをしいて伺つてみたところでしかたがありませんが、いずれにいたしましても、常識からいたしましても、この陸橋ならば何人くらいの人間が乘つてもさしつかえないとか、あるいは乘つては危険だということは、当然わからなくてはならないと思う。切符の販売こしても、大体この程度しか切符は売れないとか、改札にしましても、改札口でその整理ができなければならない問題じやないかと思います。そういう点からいたしまして、少くとも四万人か五万人いたとかいいますが、そういう無制限な無秩序な話はないと私は思います。従いまして、駅長の責任だとか何とかいいましても、もちろん国鉄の指導あるいは監督が徹底していなかつたということは明らかであると思います。ことに国鉄東京監理局のごときにおきましては、書類を渡しましても、その書類に対して許可とも不許可とも何らの返答もなく、現に一年以上たつても何らの処理もしないというがごときを見ても、少したががゆるんでいるということは明らかである。私も国鉄関係しており、公文書も国鉄へ申請してありますが、——昨年の十月か十一月かの前回の運賃値上げのときでありますが、そのときの国会開会中の際にもわれわれ強くこの点を責めたのであります。ところが副総裁あるいはその他の営業局長等から、その点はわれわれ帰れば帰つた日にすぐ処理させますという答弁があつた。あるいは文書課長にしましても、われわれが帰つてすぐこの書類は処理するとかいうことをはつきり言われておる。しかしすぐ処理するということを言つただけで、いまだにその点の処理がついていない。こういう点から見ましても、国鉄は書類の処理の点において、あるいはすべての点においてなつておらぬということが言えると思うのです。こういう点を根本的に改めてもらわなければ、こういう事故はなくすることはできないのではないかと考えますが、総裁のはつきりした所信をこの機会に伺つておきたい。
  99. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど国鉄の事務のやり方、あるいは人間の訓練のやり方の問題等、いろいろ御質疑がございましたが、これらについてもできる限り早い機会に、りつぱなものにして参りたいと努力しておりますが、不敏にしてまだ十分に進行していない。実行がまだできないというただいまのおしかりでございますが、何といつても今後そういう点は慎重に力を入れて、御指摘の点を直して参るということで、いろいろ努力を払い、かかる事故の再びないようにして参りたいと思います。
  100. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 今の御答弁は、あまり声が小さいので、また議場があまりやかましいので、私には聞き取れませんでしたが、いずれにいたしましても、そういう点から改善する必要があるのではないか、かように考えるわけであります。なお今度国鉄の人員の配置の点、あるいは機構の改善の点等に対しては、何らかの改善をするということは、総裁は常に考えておられるようでありますが、こういう機会に十分そういう点を織り込んで改善するなり、あるいはゆるんでいるたがは締めるなり、根本的にやつていただかなければ、国民の不安は絶えない、かように考えられますので、この機会に総裁なり、これを監督する運輸省の鉄道監督局なりに強く要望いたします。
  101. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの大澤議員のお説は、機会あるごとに十分参酌しまして、御注意の点は十分取入れたいと思います。     —————————————
  102. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 これより請願の審査に入ります。  日程第二〇、八丈島に避難港築設の請願を議題とし、紹介議員の説明を求めます。     〔山崎(岩)委員長代理退席、黒澤   委員長代理着席〕
  103. 坪内八郎

    ○坪内委員 この八丈島の避難港築設の請願については、紹介議員の菊池義郎君が本会議とかち合つておりますために、本人が出て親しくこの趣旨の説明をするのであるけれども、どうしても出られないので、ぜひかわつてつてくれと、気にかげながら私に依頼したのでございまして、私からその内容について簡単に御説明申し上げたいと思います。  すでに委員各位が御承知の通り、八丈島の避難港の必要性は、その立地条件からいたしましても、十分必要であろうと思います。請願の趣旨については、お手元に差上げました資料その他によつて十分であろうと思います。ぜひとも御採択の上は、これが実現に御努力くださいますようお願い申し上げます。
  104. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 本件に関し、政府委員の意見を求めます。黒田政府委員
  105. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 東京都八丈島の周辺は優秀な漁区を持つておりますし、全国各地から漁船が来ておりまして、ときどき沈没、行方不明等の事故もあるのでございます。避難港につきましては、政府といたしましても全国的にその立地条件等をしばしば検討いたしまして、第一回に十九港、第二回に十港を避難港として指定しておりまして、現在二十九港の避難港を指定しているわけであります。そのうち現在仕事をやつておりますのは、八つの港について工事を進めておるような次第でございます。八丈島の末吉村に避難港設置の問題につきましては、目下いろいろと立地条件その他につきまして、技術的あるいは海難事故等の方面から慎重検討中でございますが、十分今後善処いたしたい、かように考えておる次第であります。
  106. 坪内八郎

    ○坪内委員 八丈島の避難港につきまして、いろいろ御説明いただきまして、了承いたしました。この機会に簡単にお尋ねをいたしますが、実は私の郷里の長崎県西彼杵郡脇岬村に避難港ができておるのであります。これは私の出身村でございまして、政府当局の非常な御熱意によつて着々と進んで参つておるのでありますが、予定の期間内にこれが竣工を見ないような現状のように思います。大体この二十七年度ぐらいでこれが完成するのであるかどうか。この機会に御参考までにお伺いしたいと思います。
  107. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 脇岬避難港は第一回に指定いたしました十九港のうちに入つておりまして、最初に着工にかかりました四港のうちの一つでございまして、昭和二十七年度におきましておおむね当初の目的を達成する予定でおります。     —————————————
  108. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 次に日程第七、深浦避難修築に関する請願、第八、八戸修築促進に関する請願、第九、尻屋港を避難港に指定及び修築請願、第二六、北海道滞貨処理のため青森港を荷揚港として指定に関する請願を議題とし、紹介議員の説明を求めます。山崎岩男君。
  109. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 深浦避難修築に関する請願、第三二四号、請願者青森県西津軽郡深浦町長工藤和一郎外一名、本請願の要旨は、青森県深浦港付近は、海難きわめて多く、昭和二十一年から昭和二十四年までの四箇年間に財貨一億二千万円、人体三十四名の損害があり、昭和二十五年はさらに上昇して一箇年の損害財貨一億五千六百余円、人命一箇月平均三・五名ずつ死亡している。深浦港は避難港として指定され、今回さらに運輸省直轄によつて調査が完了したが、深浦避難港の完備は、莫大な財貨の損害ととうとい人命の災害を防止し、海運と漁業の躍進をはかることができる。ついては深浦港を避難港として修築のため、すみやかに施工を開始されたいというのであります。  次に八戸修築促進に関する請願、第三二五号、請願八戸市長村井倉松外三名、本請願の要旨は、八戸港を港勢進展に即応するためと、三沢空軍基地及び高館部隊の連結港並びに外国貿易港として利用される現状にかんがみ、その修築を促進し、緊急整備されたいというのであります。  次に尻屋港を避難港に指定及び修築請願、第四九七号、請願者青森県下北郡東通村長竹川松蔵外一名、本請願の要旨は、青森県下北郡東通村にある尻屋港は、下北半島の北端尻屋岬燈台に近接し、沖合い一帯は魚族豊富で、北海道航路としても重要な地点にあるが、太平洋と津軽海峡との交叉区域にあるため、航行船舶、出漁船の遭難は多数に上つている。ついては付近航行船舶の安全を期するとともに、避難を容易にするため、同港を避難港として修築工事を施行されたいというのであります。  次に北海道滞貨処理のため青森港を荷揚港として指定に関する請願、第三三三〇号、請願者青森市長横山案外一名、本請願の要旨は、青森港は表日本並びに裏日本に直通する幹線輸送施設を持ち、海陸連帯計画輸送に対し、配車が順調であり、また同港では港頭滞貨の憂いがないから、荷扱い業者に対しても、迅速かつ安全に滞貨を処理させることができるため、昭和二十六年度における北海道滞貨処理には青森、函館間に機帆船二十隻を使用し、同年十月より十二月までの三箇月間に三万トンの実績を上げている実情である。ついては昭和二十七年度における北海道滞貨処理につき、その具体策を樹立したから、青森港を定期船の荷揚港に指定されたいというのであります。
  110. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 本件に関し政府委員の意見を求めます。
  111. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 初めに深浦避難修築に関する請願でございますが、本港は先ほど紹介議員の山崎先生からお話がありましたように、青森県の北西岸における避難港でございまして、二十六年の一月十九日に政令で避難港に指定されております。避難港として必要な防波堤その他の設備整備をはかる必要性は十分認めておるのでございますが、その技術的な点等慎重な検討を要する点がございますので、昭和二十七年度すなわち今年度において調査費を計上いたしまして、模型実験を行う予定でおります。本港の整備につきましては、今後国家財政の許す範囲ですみやかに着手いたしたいと考えている次第でございます。次に八戸修築促進に関する請願でございますが、本港におきましてはここ数年来の増勢のための防波堤の築造あるいは接岸の施設その他の設備をいたしておるのでございまして、引続き今年度以降においてもこれが整備の促進をはかりたいと考えている次第でございます。  次に尻屋港を避難港に指定及び修築請願でございますが、本港につきましてはすでに昭和二十六年の一月に避難港の指定を受けております。また昭和二十六年度において調査を終えまして、昭和二十七年度より直轄工事として避難港に必要な防波堤の工事の着工を見ている次第でございます。これも国の財政の許す範囲においてできるだけこれを早く進めたいと考えております。
  112. 国安誠一

    ○国安政府委員 青森港を荷揚港として指定に関する請願でございますが、この問題は、毎年季節的ではありますが北海道から内地向けの滞貨が相当大量にある、これを全般的にいかに処理するかという問題の一環として、目下運輸省といたしましても考究をいたしておるのでございますが、これに関連いたしまして、北海道の各港から内地向けの貨物定期船を再開して、これにある程度の補助金を与え、よつて陸上輸送と海上輸送との差を縮めて滞貨を海に落して行くというような意見が持ち上つておりますので、この問題とあわせて一括考究いたしまして、本件を解決いたしたいと考えております。
  113. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 深浦港の問題につきましては、今年度は三百五十万円かの多額な調査費をいただきましたことは、まことに感謝にたえません。どうかお説にございました通りに、本調査費によつていかにすればあの深浦港を生かすことができるかという点を御検討くださいまして、少くとも来年度においては本港を避難港として築造することができるように、御配慮のほどをお願い申し上げたいと存じます。  次に八戸港の問題でございますが、港湾局長さんにおかれましては、その重要性にかんがみ、今日まで陰に陽に御援助くださいまして、港の体裁を今日のようにりつぱに整えていただきましたことつきましては、われわれ地方民といたしましてまことに感謝感激にたえない次第でございます。何とぞ今後とも本港の工事達成のために御配慮のほどをお願いしたいのであります。つきましては、この八戸港には今日まで進駐軍当局が使つておりました部分がありましてそれは港の最も重要な部分を使つていることは御承知の通りであります。行政協定の面につきましても、その部分は今後継続して使われるものであるというふうに私ども考えておりますが、それは港の死命を制するほどの重大な箇所でありますので、これをこのままにしておきますと、八戸港の使命の半分以上が減殺されてしまうわけでございます。ついては行政協定の面にマッチいたしまして、平和処理費か何かの関係で、これにかわるべき箇所をひとつ設けていただきたい、それによつて八戸港の使命を達成することができるものと、私ども地方民は考えているようなわけであります。ついてはその御構想はどういうものでありますか、この機会に伺うことができれば幸甚であります。  それからさらに尻屋港の問題でございますが、これは御配慮によりまして一千万円のお金を頂戴しまして、今年度から工事にかかるわけでありまするが、地方民はまことに感謝いたしております。しかもここに眠つております二十億トンの石灰石が、この港の工事達成によつて北海道との連絡がつけば、非常に活発にこれを利用することができる見込みがつきましたことは、地方のためにも国家のためにも御同慶にたえない次第でございます。この機会に尻屋港のためにいろいろごあぜんくださいましたことに対して厚く御礼申し上げます。
  114. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 八戸港の修築の促進に関してお答えいたしたいと思います。八戸港は三沢の飛行場に近接した唯一の近代的の港湾でありまして、その飛行場のあるために、港の重要な土地の一部が現在接収になつておりますが、この接収された土地は、おそらく行政協定による提供施設になるのではないかと考えられますので、かわるべき施設を何とか早き機会につくりたいと考えまして、目下いかなる予算の方式で、いかなる方法で持つて行くかということを、関係方面と折衝中でありまして、いずれの費目から出るにいたしましても、できるだけ早い機会にかわるべき施設整備して参りたいと考えておるような次第であります。
  115. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 港湾局長さんからまことに御丁寧な御答弁をいただきまして感謝にたえません。何とぞこの港に生命をぶち込むというお考えをもつて、今後とも御援助のほどをお願い申し上げるものでございます。  次に、これは請願日程の中には載つておりませんが、大間港と大畑鉄道促進に関する請願として一括して今日まで上程されておりましたので、おそらくこれは大畑鉄道関係請願として取扱いを受けたものであると考えるのでございますが、この機会に港湾局長さんにお願い申し上げたいのであります。大間港の問題につきましては、北海道の函館と機帆船にして一時間半くらいでの近距離にあるのでありまして、現に昨日国鉄当局におかれましては、札幌の運輸支配人さんが青函監理局長さん方とともに大間港に渡られまして、詳細について御検討を重ねておられるように私は聞いて参つたのであります。この港ができ上るということは、北海道と本州とのつながりの点におきまして速度を非常に早めるという点、あるいはまたお客さん方の安全性という点、いろいろな点にわたりまして有益なるものがあるのでございますから、どうかひとつこの港を生かすことにつきましても、格段の御配慮のほどをお願い申し上げたいのでございます。本年度までは実は浚渫の仕事をやつていただいているのでございまして、相当のトン数を持つているところの機帆船が入港することができるように相なつておりますので、これはまことに感謝にたえませんが、来年はひとつこの機会にがんばられまして、百メートル程度の防波堤をつくつていただきますならば、去年と今年度において浚渫されたところの港湾に、およそ五百トン程度の船ならば入港せしめて、かつ接岸せしめることができると、私どもはかように考えているわけなんでございます。この点につきましては、幾たびも御当局に対しまして陳情を重ねているようなわけでございますが、昨年、本年において浚渫されました箇所を生かされるという点からいたしまして、どうしてもこの防波堤の問題を取上げていただかなければならない、かように考えるのでございますが、当局はこの点につきましてどのようにお考えになつておりますか、この機会に承りたいと存じます。なお青森県当局におきましても、この港の修築の問題につきましては非常に関心を払われまして、青森県の方からも強く港湾局長さんの方に御要望があるように私ども承つている次第でございます。
  116. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 大間港の修築につきましては、ただいま山崎委員からお話のありましたように、ここ数年来港内の浚渫をいたしておるのでございますが、さらにこの水面を有効にするための防波堤の築造ということにつきましては、すでにたびたび現場各方からその必要性を伺つておるのでありまして、私どもといたしましては将来の港勢の発展なり、あるいは鉄道敷設に伴うその一環としての港湾整備ということを考えておりますし、また防波堤築造による経済効果という点等からもよく研究をいたさねばならないかと考えておる次第でございまして、国の財政、港湾改良費の点等ともにらみ合せまして、できるだけ御希望に沿うように努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
  117. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 大間港の問題につきましては何分にもよろしくお願いします。
  118. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 次に日程第一ないし第六、日程第一〇ないし第一九、第二一ないし第二五、第二七ないし第三五は港湾関係でありますので一括議題とし、次に日程第三六ないし第四四は海運関係でありますので一括議題とし、政府より書面をもつて報告を求めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十六分散会