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1952-05-16 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 黒澤富次郎君    理事 原   彪君 理事 淺沼稻次郎君       稻田 直道君    大澤嘉平治君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       關谷 勝利君    玉置 信一君       川島 金次君    江崎 一治君       石野 久男君    木村 俊夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         航空庁長官   大庭 哲夫君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  航空法案内閣提出第一七九号)  運輸省設置法の一部改正に関し説明聴取の件     —————————————
  2. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 これより会議を開きます。  委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。運輸省設置法の一部改正に関し政府より説明を求めます。村上運輸大臣
  3. 村上義一

    村上国務大臣 過日運輸省設置法の一部改正をするという法律案国会に提案いたしまして、ただいま内閣委員会で御審議願つておるのでありまするが、最も関係深き当委員会におきましても、ぜひ御了承を願つておきたいと思つて、この法律案の理由なり、またその内容の大要をお聞き取り願いたいと思うのであります。  御承知通り政府におきましては、かねてから国力にふさわしい簡素なかつ能率的な行政機構を樹立しようとして努力を続けて参つたのでありますが、今回その方策を決定いたしましたので、この決定の線に沿うて運輸省設置法の一部を改正するという案を提出したような次第であります。  提出しました法律案改正の要領は、運輸省としましては、局の問題については大なる変化がないのでありますが、一般に共通した方針としまして外局をできる限り廃止してこれを内局に取入れるということ、そうして現在ある部を全廃するということが、共通の方針になつておるのであります。それでまず改正内容を申しますと、その第一点は、運輸省外局であります航空庁内局として、その名称を航空局に改める、こういうこと、それから大臣官房に現在あります観光部、それから海運局にあります海運調整部、それから鉄道監督局国有鉄道部民営鉄道部、さらに自動車局業務部並び整備部、この六つの部を廃止するということに相なつたのであります。さらに公共船員職業安定所海運局に統合するということにいたしたのであります。  それから第二点は、大臣官房観光監というものを置きまして、観光に関する事務を掌理させることに相なりました。第一点とにらみ合せて申し上げるならば、観光部観光監になつた、こういうことであるのであります。また鉄道監督局自動車局、それから航空局、この三局にはそれぞれ次長一名を置く、そうして局長を補佐させることにいたしておるのであります。さらに御承知通り経済安定本部が廃止せられました。これに伴つて運輸省に移管される運賃、料金等事務につきまして、規定を追加するというような措曲直を講じたのであります。  それからさらに次の点は、海上保安機構改革に伴う所要の整理であるのであります。現在運輸省外局である海上保安庁を廃止して、その本流と申しますか、大体は総理庁にできます保安庁の方に移ることに相なりましたのであります。しかしながら海上保安庁海事検査部所掌事務、これは運輸省の各局に、それぞれ船員局でありますとか、あるいは船舶局等に分属させることに相なりました。それから海上保安審議会及び水先審議会、これらは運輸省に移すことに相なつたのであります。それからさらに海上保安庁水路部燈台部、これは運輸省付属機関とすることに改めました。それから海難審判理事所は、海難審判庁付属機関としてその関係事務を掌理することに相なりました。それからさらに警備救難部所掌事務のうちで、海上交通保安に関するものを海運局に移すということに相なつた次第であります。  以上が改正内容であるのであります。この改正に伴いまして必要な関係法律整備をもあわせて行うことに相なつておる次第であります。なお施行期日は七月一日ということに相なつておる次第であります。  以上きわめて簡單ですが、設置法の一部改正法律案内容の概要を申し上げた次第であります。何か御質問があれば、応じてお答えいたしたいと思います。
  4. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 ただいまの説明に対し質疑の通告がありますので、これを許します。玉置信一君。
  5. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいま大臣から運輸省設置法の一部改正に関する法律案内容を拝聴いたしたのでありますが、あらかじめ前々委員会におきましても、大臣並びに政府委員にお伺いしておつたものではありますが、本日正式にこの改正法案提案理由を拝聴いたしましたので、あらためてお伺いしてみたいと思うのであります。  御説明によりますと、観光部というものを廃止して観光監を置くということになつておるのでありますが、そうしますと、大臣先刻御承知通りに、昨年の十月に世界四十数箇国の主要観光機関を会員とする官設族行機関国際同盟、略称してIUOTOという、この正会員としてわが国運輸省観光部加入が認められましてこの四月からその地域別委員会一つであるアジア極東振行委員会の第二回会議が東京で開催されるということに当時なつておりました。しかもこのほか太平洋に臨む諸邦の観光交通ホテル等の諸機関、業者を構成員とする太平洋地域旋行協会の第二回会議、その他国際的な観光会議が相次いで開催される機運にありまして、わが国は今後これらの国際会議をリードして行くべき重責をになつておるわけであります。そこで多くを申しませんが、当面この機構改革支障を来すと思われる点は、観光部としてこのIUOTO正会員として入つて曲るものを、観光監という名前において入れるものであるかどうか、まずこれを先にお伺いしておきたいと思います
  6. 村上義一

    村上国務大臣 御指摘のごとく、今後実際活動において今お話のような実情にあるのであります。こういう場合に観光監という名前で入れるかというお尋ねでありますが、これは今まで届け出ておる名前変更する必要もないだろう、またしたくないと考えておるのであります。つまり現在の観光部長観光監ということに相なるのでおります。そして観光部の下に計画を立てる課、また業務運営の課、さらにホテルその他整備方面を掌理する課の三課が現在あるのでありますが、今後改正のあかつきは、観光監のもとにこの三課がある、こういうことになるのでありまして、国際諸団体に加入する名前としては従来の名前をしいて変更する必要がない、したくないと実は考えておる次第であります。
  7. 玉置信一

    玉置(信)委員 大臣のお困りになつておられることを私はよく了解できるのですが、ただいまの御説明のように、観光部として加入を認められておる関係上、そのまま置いて行つた方がいいというお考えですが、なるほどこれも一応国内的にはそうやつて支障はないように思うのです。しかし対外的に、いやしくも独立国家としてこれだけの大きな使命を預けてもらつている日本国として、いかにもカモフラージユした形で将来国際的に観光方面に飛躍し、事業をする上にはたして支障ないかと申しますと、そこには相当精神的に妙な考えを持たれるのではないか、信用を傷つけるようなことはありませぬが、私はかように考えるのであります。観光部というものは職制でありますが、観光監というのは職制には違いないでしようが、どうも読んで字のごとくで、監という意味から行きますと、観光局観光監といつた職制上の肩書にひとしいように思うのですが、その点はいかがなものでありますか。
  8. 村上義一

    村上国務大臣 お説の通り観光監ということになりますれば、これは観光部長というような官名に相なるのであります。つまり観光部というものがなくなる。それはもちろん計画課業務課整備課というものは必要だと思います。これが観光一つの課として並列されている。この課長はもちろんありますが、その三課長の上に観光監という官名を持つた役人がいる、こういうことに相なる外第であります。ただいま御読の中に、今後観光事業が発展して行く上において、精神的にも非常にまずいじやないかというお話であります。この点は運輸大臣としても深く考えている次第であります。今経済自立をはかつて行かなければならぬわが国の当面している段階におきまして、観光事業というものは、国際的の国際決済におきましてきわめて重要なる部門の一つであると思うのであります。平和になり、またわが国自主独立国となりまして、これからいよいよ観光事業を発展せしめなければならぬという時期に、今直面いたしている次第であります。一面従来から観光関係仕事につきましては、厚生省に国立公園部があり、また一方内閣観光審議会というものがありまして、鼎立して仕事を分担しておるという現状であるのであります。もちろん観光審議会といい、国立公園部といい、また観光部といい、その中心はそれぞれ異なつた趣旨を持つておるのでありますが、きわめて密接な関通性を持つておりまして相寄り、総合して初めて観光事業の発展、育成ができるのだと思うのであります。そういう趣旨から申しまして、三者を合併して観光局運輸省内に設けることは、私として前々から希望を持つてつたところであります。しかしながら先刻ちよつとお断り申し上げました通りただ部を廃止する、外局内局に取入れるという通則通りに、今回は実行せざるを得ないことに相なつた次第であります。次の機会を待たざるを得ないという情勢に相なつた次第であります。この点率直に申し上げておく次第であります。
  9. 玉置信一

    玉置(信)委員 先ほども申し上げましたように、大臣のお気持はまつたく私ども委員気持と相通ずるものがあり、また一致しているだろうと思いますし、その上に重ねてこういうことを申し上げることはまことに忍びないものがあるのではありますが、しかし何といたしましても、このたびの行政改革俘つて運輸省観光部を廃止することは、時あたかも国際的に観光事業を伸ばして行こう、しかも二十七年度予算の上におきましても、予算説明の際に大臣の申されたごとくに、昨年度よりはさらに予算の面においても増額いたし、あらゆる観光事業振興のために力を注いでおられるわけであります。そういうときにあたりまして政府——これは大臣一人の責任じやありませんで、むしろ他の大臣諸公と申しますか、閣議における行政機構改革基本方針に基いてやられたことでありまするから、あえて大臣をお責めするわけではないのですが、私はこの機構改革行政簡素化、あるいは国家財政緊縮というようなことから考えるならば、どうしてもこれは当てはまらないと思うわけです。御承知のように昭和五年の五月でありましたか、あの浜口内閣時代、しかも浜口内閣緊縮政策をとつて、当時非常に輿論の上でもいろいろな批判が出た行政整理も断行いたしました。あの浜口内閣緊縮政策行政整理を断行しつつも、一面において外貨獲得重要行政機関一つであるとして、当時外局国際観光局というものを設けて、堂々と国際間の観光事業の面に政府は力を注いだという、かような歴史を考えますときに今日私ども與党政府にして納得できない点が実はあるわけなんです。一面において国際的な外交の面におきましても、経済中心としてというようなことを総理はしばしば言つておるようでありますが、経済中心とした外交政策を樹立しようとするならば、この外貨獲得観光事業こそ、まさに私は総理大臣方針にかなうべき施策の一つであろうと思うのであります。昨年度のごときもすでに五十三億円という外貨を獲得しておる。この国際環境からいたしまして、大臣がここで一骨折つて観光局を設けまして力を入れることになりますれば、国家的に大きな外貨獲得の役割を果すことができるのじやないか、かような観点から、私は重ねて大臣にひとつ考え直してもらつて閣議でこれを提唱していただく御意思がないかどうか。  さらに第二点は、先般当委員会に実は野田行政管理庁長官をお招きいたしまして質疑をいたしたのでありまするが、そのときの野田大臣お話によりますと、前段においては、総理も非常に観光事業に関心を持つてつたと申しながら、第二段に下りましては、單に行政整理という建前から、数年来の懸案として部を廃止することになつてつたから廃止したのだ。局ということは各省間の振合いもあるのでこうしたのだという、形式論一点張りでありました。さらに私がつつ込んで重ねて質問いたしたのに対し、野田大臣は、実は運輸大臣閣議において観光局はいらないのだ、かように申されておつたと言われますので、私は実に三の矢をついで質問することを避けた。大臣ははたしてそういうことを言われているかどうかということもわかりませんので、遠慮いたしたのでありますが、もし大臣がそう申されたとしたならば、あるいは運輸省設置法一部改正全般にわたる立場から、遠慮して申されたかもしれませんが、しかしそれにしても大臣としてそういうことを申されようはずがないというように私は実は解しておるのでありますが、この二点について大臣の忌憚のない御所見をお伺いしたいのであります。
  10. 村上義一

    村上国務大臣 ただいま野田行政管理庁長官から、閣議内部における模様についてお話があつたようであります。特に運輸大臣から観光局を設ける必要がないというふうに聞いたというお話でありますが、これは何かの聞違いだと思うのであります。先刻も申し述べました通り観光局を設置するのは年来の私の主張であります。運輸大臣としての主張じやなしに、その以前からの主張であるのでありまして、あらゆる機会に今まででもこの主張を繰返して参つておるのであります。さらに先刻も申します通り国立公園、また観光審議会をも統合したい、そして本格的な活動をしたい、自立経済に寄與したい、そして独立後の国策としてぜひ取上げなければならぬ問題であるということまで、私は閣議で申し述べておつたような次第であります。今の野田大臣お話は、何かの行き違いだろうと思うのであります。なお他の関係を考慮して遠慮したのじやないかというお話でありまするが、他についてもずいぶん——ここで申し上げますが、海運関係の三局を三局にするというような意見も出まして、その非なることを力説いたしたのであります。それで現状を認めるということに相なりました。他面において省によりましては、戰時中ずいぶん水ぶくれと申すますか、戰時なるがゆえに拡大された省もあるのでありまして、平和日本としては必要ないと考えられるために、相当数局の減少した省もあるのであります。そういう方面との振合いという話は当時ありました。とにかく観光局にせずに、部のまましんぼうしてもらいたいという各方面からの意見が出ました。そうしてしかる後に部は一切廃止する、こういうことに相なつたのでありまして、そのために観光部長がなくなつて観光監になつた、こういういきさつなのでありまして、今閣議内容についてのお話がありましたので、一応申し述べておく次第であります。
  11. 玉置信一

    玉置(信)委員 実は先般観光事業振興に関しまして、日本交通公社あるいは日本観光連盟観光事業研究会国際観光旅館連盟日本通訳協会、こうしたような各方面民間機関学識経験者方々のおいでを願つて参考人という立場において実は観光小委員会で、前段申し上げた観光事業振興に関する意見を聴取いたしたのでありましたが、その詳細は速記録に載つておりますから省略いたしまするが、結論といたしまして、要するにこれらの万般の観光事業を促進し、振興せしめるということには、何といつても強力なる行政機関が必要である。聞くところによりますと、観光部が廃止されるということを聞いておるが、これでは実に現下の時代に逆行するものであるから、ぜひ観光部を復活するなり、あるいは進んで国際観光事業建前から、観光局を設置するように、政府並びに国会の御勢力を願いたいという意見の開陳もあつたのであります。こういうようにいたしまして、私のごときしろうとが申し上げるまでもなく、大臣初め運輸省関係当局者、あるいはこうした民間関係機関方々が、口をそろえて力説いたしておる実情からいたしまして、当然観光局にこれはすべきであると私は考えるわけでございます。しかも人員はちつとも減らない、予算の面においても何らの影響を與えないということになりますと、政府ただ部を廃止するという従来の行きがかりにのみとらわれまして、そういう局をふやすと、他の各省との振合いが均衡がとれなくなるという、この形式一点ばり主張であることは、これは明々白々たる事実であります。かような観点からいたしまして、私は重ねて大臣にこの点をひとつお伺いして、まことに大臣にはお気の毒な質問でありますが、わかつておることを無理を言つてだだをこねるようにお聞きになるかもしれませんが、何といたしましても今日のこの観光事業というものは、もつともつと政府が国家的に力を入れなければならぬ。そうすればこの千載一遇の機構改革の時期をのがしては、次の機会といつても、おそらく当分実現不可能であろうという見通しがありますので、ここで大臣の確固たるひとつ御方針をあらためてお伺いしたいのであります。
  12. 村上義一

    村上国務大臣 私の主張と申しますか、意見は、先刻も申し上げた通りでありまして、将来一日も早く機会をとらえて、観光局をつくることにしたいということは強く考えておる次第であります。ただ一方におきまして、今回の法律改正案閣議におきましても——これはこういう内容を申し上げることはいかがかと思うのでありますけれども閣議決定案と申しましても、ちようど国会の決議と同じく、そこに少数意見が別にあるということは事理の当然だと思うのです。それがもし主管大臣でありましても、少数である場合には、真にやむを得ないということになつて閣議決定書にもサインもするということに慣例上相つておるのであります。またそうせなければ、内閣としての活動はできないと思うのであります。その辺の事情は御想像におまかせいたしますが、とにかく私はこれが年来の主張であるということは、先刻申し上げた通りであります。ただ今御指摘のように、今ただちに閣議においでもう一回運輸大臣は、観光局を設置することを主張する勇気はないかというようなお尋ねと拝承いたしたのでありますが、これはただいま申す通り、一日も早く機会をつかまえて実現したいということは強く念願いたしておりますが、一旦決定しましたものが、いまだ国会審議中におきまして、再び内閣がみずからその案を変更するということは、これはまずいことだと思うのであります。とにかく今の改正法律案が実現しました後において、一日も早くその機会をとらえたい、今こういう気持でおるような次第であります。
  13. 黒澤富次郎

  14. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 私は運輸省機構改革の問題に関して、簡単に三つお伺いいたしたいと思います。第一は、観光のことに関連してでありますが、観光監というものは、御答弁によつて伺いますと、従来の観光部長がやつたと同じことをやる、こういうことでありますか。
  15. 村上義一

    村上国務大臣 まつたく同じことになると思うのであります。ただ観光部長という官名が、観光監という名にかわつたというにすぎないのでありまして、実質から言えば何らかわらぬ。しからば何が機構改革か、こういうお説が出るかもしれませんが、お尋ね従つてそうお答えするよりしかたがないのであります。
  16. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますと、観光部長または観光監のもとにある課または係その他の方にも何らの変更はない。それから観光監というものと観光部長というものとの処遇、待遇はどういうことになつておりますか。
  17. 村上義一

    村上国務大臣 待遇もかわからないはずであります。それから内部所掌の権能また責務、これもかわらないはずであります。従来観光部というものが別にありまして、その観光部の中に先刻申し上げましたように計画課業務課整備課という三課があつたのであります。これは官房におきまして文書課とか人事課とか、その他の諸般の係があります。それと頭を並べてこの三課がやはりそのまま存置されるわけであります。従つて意味をなしませんから、観光計画課観光業務課観光整備課、こういう名前にとにかくかえなければならぬだろうと考えております。
  18. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 あともう二つ質問申し上げておいて、あとで総括的の御所見を承りたいと思います。  次に、この航空庁でありますが、航空庁内局航空局、こういうことに変更せられる、こういうのでありますが、航空庁仕事は、今までの航空庁よりも、この後内局にかわるはずの局の中に生じて来る仕事の方が、事業量からいつて責任の重大な点からいつても、はるかに大きなものとなると思われるのでありますが、大体そういうふうに了承してよろしゆうございましようか。
  19. 村上義一

    村上国務大臣 御指摘のごとく、航空事業が全面的に活動し得る態勢にたりましたために、その航空庁所掌します分量におきましても、また種類におきましても、増加するはずだと考えております。
  20. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますとさきの観光部の問題にいたしましても、ただいまの航空庁内局とする問題におきましても、今回の行政機構改革のその目的に十分に沿つていない——というと上品でありますが、著しく沿つていない点がある。今回の行政機構改革の全体をさして言うのでなくして、少くともこの運輸省に関するこれらの問題につきましては、著しくこの方針に沿つていないということは——先般航空法審議に関しまして、行政機構改革責任に当られた野田行政管理庁長官に対して私が質問をいたしましたときの速記録を今読んで見ますと、こういうことになつておるのであります。「今回の行政機構改革にあたつて行政管理庁長官が非常な御努力をなさつた御苦労に対しましては、衷心敬意を表しておるものでありますが、その機構改革にあたりまして、今回の機構改革の本質を貫いたところのものは、私ども考え方では、行政事務複雑多岐なのを簡素化して、責任の所在を明瞭にした上で能率をあげるという一点と、行政事務簡素化によつて人員を縮小し、その経費の節約をはかる、こういうところに今回の改革眼目が置かれたのであると思つておるのであります。前にはこういうこととは違つた趣意行政機構改革のあつた時代もあるのでありますが、今回は今申しましたこの二つ眼目としておやりになつたことと思うのでありますが、あらためてそうであつたかどうかをお聞かせ願いたいと思います。これは私の問いであります。野田行政管理庁長官答弁には「今回の行政機構改革にあたりましては、お話のように、終戰後特にいろいろと新しい役所ができたり、あるいは機構変更がありまして、たいへん複雑厖大になつておりますのを、極力これを簡素化し、また責任関係を明確にする、行政責任の系統を明らかにするという方向に向いまして、立案されたものでございます。」こういうふうにはつきり答弁をいたしておられるのでありますが、この趣意から考えてみましても、この観光部を廃して、観光部長をやめて、観光監というものに持つてつたその内容をただいまお伺いしてみましても、あるいはまた航空庁内局といたしたそのやり方等は、まつたく今回の行政機構改革のその趣旨目的に沿わないものと、こういうふうに思われますので、さつき大臣が強い御所信をお述べになりましたように、どうぞひとつこれはごく近い機会に、今回の行政機構改革趣意に合うように、いわゆる取扱う仕事の量がふえ、責任が重大となつて参つたこの航空局のごときは、むろん航空庁となり、また観光監仕事観光局となる、こういうような方向に御努力くださる御意思があるかどうか。特にまたこの航空庁につきましては、われわれ與党における政務調査会等においての調査の過程におきましても、いわゆる航空機等の生産から修理から運航、すべての行政を一元化して航空庁内に置くべきだ、これはもとより将来航空省等も遠からずできなければならない事態にあるのだから、そういう面から考えてみても、また最も重大な責任という上から考えてみても、航空庁というものは存在いたすべきものだ、こういうのが與党政務調査会においても圧倒的の意見であつたのでありますから、これらのことも特にお含みを願いまして、さつき申しましたごとく最近の機会に、こういう趣旨目的に沿うように御盡力願えるかどうか、あらためて大臣の御所信を伺つておきたいのであります。
  21. 村上義一

    村上国務大臣 ただいま航空事業について、またその事業所掌します航空関係の官庁につきまして、力強き御意見を拜承いたしまして、まことに欣快に思うのであります。まつたく私も同意見であるのであります。とにかく終戰後七年間まつたく空白状態にあつたわが航空の交通界であつたのであります。この航空事業の遅れを取返し、そして世界最高の水準に持つて行くというのにつきましては、並々ならぬ努力を今後要すると思うのであります。従つてその研究また一般の指導監督は、きわめて大事なことだと思つておるのであります。自然、今後この航空関係の官署につきましては、ますます充実をして行く必要があることを、私も痛感いたしておる次第であります。ただ先刻申し述べましたように、外局をみな内局にできる限り取入れるということが、強き一般の通則であつたということ、それから海陸空の交通を総合的に行政することが必要であるというりくつも、一面立つのであります。これはもちろん相当発達した後に言い得ることだと思うのでありますが、とにもかくにも海陸空にわたつて総合的な交通行政を掌理することが必要であるということは、レベルに立つて考えれば主張し得ることであると思うのであります。こういつたような意見のもとに、最も強い理由は一般的の通則に従つて内局ということになつた、こういう次第であることはもちろんであるのであります。御想像の通りであります。運輸大臣といたしましては、ただいま申し述べましたような必要性は痛感いたしておる次第であります。観光関係の監督行政官庁と同じく、航空についての行政官署としましては、大いに充実する必要があると強く感じておるような次第であります。     —————————————
  22. 玉置信一

    玉置(信)委員 この際動議を提出いたします。独立後における国際観光事業の重要性にかんがみ、四月十九日、本委員会は、満場一致の決議に上り国際観光局設置に関し政府に対し申入れをしたことは、すでに御承知通りであります。また観光小委員会においては去る十三日、参考人として日本交通公社理事入沢文明、全日本観光連盟専務理事武部英治、観光事業研究会会長井上萬壽藏、日本ホテル協会会長犬丸徹三、国際観光旅館連盟会專務理事吉田團輔、日本通訳協会々長高久甚之助の諸氏を招致いたしまして、国際観光事業振興対策等について意見を聽取し、小委員会における審議の参考にいたしたのでありますが、その際各参考人はいずれも、事業の円滑なる遂行並びに発展を期するためには、強力なる観光行政機関の設置を必要とする旨を力説し、かつ要望いたしたのでありまして、学識経験者意見もまた、本委員会の決議の趣旨と全く同一であります。しかるに今回政府より提出せられた運輸省設置法の一部を改正する法律案によれば、観光部は廃止せられ、観光監を置いて観光事務を掌理せしめようとしているのでありまして、われわれの申入れはほとんど考慮せられていないのはまことに遺憾であります。政府の意図している行政機構改革が、機構の縮小または簡素化にあることは了とするのでありますが、その半面、独立日本の将来のため必要とする機関は、この際進んでこれを設置する方策をとつてこそ、真に行政機構改革目的は達成することができると確信するのでありまして、観光行政機関のごときは、国際親善の面において、また国際收支改善の面において、必要欠くべからざるものと認めるのであります。しかも国際観光局を設置することにより、定員及び予算の増加を来すことは全然ないのであります。また一方、観光部は昨年十月、世界四十数箇国の主要観光機関を会員とする官設族行機関国際同盟正会員として加入が認められておるのでありますが、これは観光部わが国観光機関を代表するという前提のもとに認められたのでありまして、今観光部を廃止することは、国際間にも悪影響があると考えざるを得ないのであります。よつて私はこの際、本委員会の決議の趣旨に基き、運輸省国際観光局を設置するため、運輸省設置法の一部を改正する法律案に対し、次のような修正意見を、本委員会の名において内閣委員会に申し入れる等、必要な措置をとられんことを希望いたすのであります。修正案を朗読いたします。   運輸省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   目次の改正規定中「第二節内部部局(第十九条—第二十八条の二)を「第二節内部部局(第十九条—第二十八条の三)」に改める。   第十九条第一項の改正規定中「七局」を「八局」に、「自動車局航空局」を「自動車局航空局国際観光局」に改める。   第二十一条の改正規定を削る。   第二十二条第一項の改正規定を次のように改める。   第二十二条第一項中第二十一号から第二十四号までを削り、第二十五号を第二十一号とする。   第二十八条の二の追加規定中「一条」を「二条」に改め、同追加規定に次のように加える。   (国際観光局)   第二十八条の三国際観光局においては、左の事務をつかさどる。  一 運輸に関連する観光地及び観光施設を調査し、及び改善すること。  二 ホテル及び旅館の登録に関すこと。  三 観光宣伝に関すること。  四 外客接遇の改善に関すること。  五 通訳案内業の試験の施行に関すること。  六 運輸に関連する観光事業の財務に関すること。  七 前各号に掲げるものの外、運輸に関連する観光事業の発達、改善及び調整に関すること。  以上であります。あとは運輸委員長におかれて、先ほど申しましたようなとりはからいをされるよう、重ねて希望いたして動議とする次第であります。
  23. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 玉置君の動議を決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 御異議がなければさよう決します。     —————————————
  25. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 次に航空法案を議題とし、質疑を続けます。玉置信一君。
  26. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はごく簡単に二、三の点だけをお伺いいたしますが、その法案の質疑に入る前に、前提として、これもこの前お伺いしたように記憶いたしておりますが、現在の日本航空株式会社以外に同様な航空会社の申請があります場合には、これに対して許可される御方針でありますかどうか、またそうした申請が現在ありますかどうか、まずこれをお伺いいたしておきます。
  27. 大庭哲夫

    ○大庭政府委員 ただいま申請の正式の受理は、航空法が発令されるまでできない状態にあるためにいたしていないのでありますが、ただ申請を希望するものは相当数に上つているわけであります。これを許可するかしないかという問題につきましては、それの計画、それの収支のバランスあるいは需要関係等をにらみ合しまして、十分愼重に討議の上、これを決定したいと考えているわけでありますし、かつまたこれは大衆的影響があるために、運輸審議会にかけまして、あるいはまた公聽会にかけまして、大臣は諮問をいたすことになつているわけでありまして、その点愼重に取扱いたいと考えているわけであります。ただそれがいい計画であれば許可をする方針には何らかわりはないわけであります。
  28. 玉置信一

    玉置(信)委員 法案の第三十七条で、航空庁長官は、航空機の航行にあたつては空中の通路を航空路として指定するということになつておりますが、今日その航空路指定の準備調査等をいたしておるのでありますかどうか。次は現在事業をやつております日航のいわゆる航空路は、アメリカ側が選定し指定したものでありますか、あるいは当時これが航空路の選定あるいは指定にあたりまして、運輸大臣に御相談等があつたでありましようか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  29. 村上義一

    村上国務大臣 新しい計画につきまして、ただこういう計画を持つておるという報告は二、三受けておりますが、今長官が申し述べましたごとく、正式に申請書を受理する段階にまだ達して飾りません。正式な受付はしておりません、実例を申しますと航空事業——運送会社にあらずして、事業会社の方であります。また航空運送会社の方面でもあり、あるいはまた国際間の航空運送会社というような計画についてもあることを承知いたしております。
  30. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はまだ実は各条について御質問申し上げたいことがありますが、大臣が非常に急いでおられるそうでありまして、大臣に対する委員側からの質問もまだあるようでありますから、私は大臣でなくて長官でけつこうですから、今の場合質疑を一応留保して、次の方に大臣に対する質問を譲ります。
  31. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 石野久男君。
  32. 石野久男

    ○石野委員 大臣に二、三総括的な問題でお尋ねいたしたいと思います。すでに同僚の議員の中から総括的な質問がなされておると思いますが、私やはり一応大臣からこの法律を制定するにあたつての大きな観点からする問題で、二、三お尋ねしたいと思います。  第一条の法律の目的は、航空の発達をはかることを目的としているということになつておりますが、航空の発達につきましてはいろいろな見方があると思います。この際大臣にこの法の目的とすることと、それから航空の発達という客観的な見方との関連性について聞きたいと思うのでございます。航空の発達の問題は、常に航空機が軍備と関連性を持つて発達しているというふうに、大体世界的に考えられるのであります。日本では軍備を持たないし、従つてまたそれに関連するような航空技術の研究等をなし得る可能性も非常に少いと思います。そういうような建前からいたしますと、この法律が目的とする航空の発達というものは、世界的に見て、いつでも他の軍備を持つ国々等の航空よりも下位にあり、いつでもあとからついて行かなくちやならぬように思われるのでございます。この法律をおつくりになるにあたつて政府は、先ほど大臣言つておりましたように、世界の最高水準を行くところまで航空を発達させたい、こういう希望が申し述べられておりましたけれども、この法律ではたしてその目的が達せられるという御所存でありましようか。またどういうふうにそれに対する御見解を持つておられるか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  33. 村上義一

    村上国務大臣 第一条の示す通り、この法律の規制するところは、国際民間航空条約の規定なり、その付属書に定められたるところを盛り込んでいる次第であります。また法律の規制せんしとするところは、民間航空の事業であります。運送事業もありますし、その他の事業もありますが、とにかく民間航空事業を律せんとする、またその発達をはからんとするものであります。世界の最高標準をということを先刻も申しました。戦争前におきまして、わが国民間航空、これは広い意味において生産事業も含めてでありますが、とにかく最高水準とまでは言えないかもしれませんけれども、かなり接近したところまで進んでおつたように聞き及んでいるのであります。爾来十箇年間の空白がもたらされまして、その間に各国の航空事業の発達はすばらしいものがあるのであります。結局今日この空白のために頓挫をして非常に遅れていることは、遺憾ながらいなめない事実だと思います。すみやかに研究を遂げて、そして世界の最高水準に追つつくことを念願いたしている次第であります。しかしてその念願している水準なるものは、飛行技術においてもそうでありますし、整備においてもまたそうであり、また生産技術においてもそうであります。但しこれを通じて、その安全性の確保ということに最も重点を置いて進めなければならぬと思うのであります。そういう趣旨において、この法律で希望するところをぜひなし遂げたいと念願しておる次第であります。しかしながら御承知通り航空の仕事は、その生産と運航とに観念的にはわけることができると思うのであります。しかしただいまも申します通り、最も重大な点は、その安全性の確保という点、またその観点から技術の向上も必要になつて来るのであります。自然その面から申しますると、運航といい、また生産といい、非常に区別が立てにくいということは争われない事実だと思うのであります。先般の委員会でも申し述べたと記憶いたしまするが、生産は一般的に申して通産省の所管であり、かつこの航空機の生産については、稀少物資を資材として使う点も少くないというような趣旨から、通産省の所管ということに相なりまして、運航を主とした面が運輸省の所管に相なつた次第であります。本法におきましても、密接不可分だと実際面では言い得ることを二つにわけて、両省の所管にしておる。ここに将来の進歩、発達にはたして遺憾の点がないかどうかということは、運輸大臣として多分な心配を持つておるような次第であります。しかしながら両省の当事者の緊密な協力によつて、これを克服して行きたいと考えておるような次第であります。
  34. 石野久男

    ○石野委員 航空の発達につきまして、運航と生産との関連性が緊密不可分なものである。それが本法制定にあたつては、その不可分性が可分になつ、てしまつたという事実は、大臣自身としても非常に危惧を持つておるという御意見でございます。航空の発達については、二つの面から問題があるように思われます。ただいま大臣からの御答弁がありました生産と運航の問題に関連する航空発達の観点、それからいま一つ民間航空とそれから軍事用の飛行機との関連性における航空の発達という問題と、二通りの見方があると思います。私は後者の問題は今おきまして、大臣の御答辯になられました生産と運航との問題が、いろいろな事情のために分離されなければならなかつたということは、将来の発達に対して非常に危惧を持たれる、こういう大臣の御所見がありましたことを、非常に重要に取上げなくちやならぬように思います。この法を制定するにあたつて政府といたしましては、所管大臣において持たれるそういう危慎を含みつつ、しかもそういう問題の解決をしないで、なぜここにこの法案を提出しなければならなかつたかという事情等を、もしはつきりここで委員会に示していただけるならば、ひとつ大臣から聞かしていただきたい。
  35. 村上義一

    村上国務大臣 先刻申し述べましたように、生産は一般的に申して通産省の所管であるということ、また航空機がその資材を稀少物資に多く求めなければならぬというような点等が考慮されたことが一点であります。そのほか諸般の事情によりまして、不満足ではありまするが、この法案を提出せざるを得ない事情になつた次第であります。
  36. 石野久男

    ○石野委員 稀少物資が通産省の所管内にあり、また生産のいろいろな所管事項が通産省にあるという意味で、通産省の意見がそこに入つて来た、これは一応理解せられないでもないのであります。しかし運航と生産との関係が緊密不可分なものであつて運輸省としてはその問題に関する限り、どうしてもやはり生産を通産省に持たせなければ、運輸省としてそれは自信がないということになるのでございましようか。あとの不満足な点はまた別といたしまして、まず前段のその問題についての運輸省側の所見をお聞かせ願いたいと思います。
  37. 村上義一

    村上国務大臣 先刻も申します通り、航空行政中心は航空機の運航の安全性を確保するという点にあるとかたく信じているのであります。先刻も申した通り、こういう見地に立ちまして、将来民間航空事業の発達という時代を実現せしめる上において、若干の危惧の念を持つていることを率直に申し述べましたが、この結果をどうしても得られないということは申せないと思うのであります。ただそれには通産、運輸両省の関係当事者が、緊密な協力をすることが必要であり、またこれがあればただいま申しました究極の目的を達成し得ると思つております。
  38. 石野久男

    ○石野委員 緊密な連携があれば終局の目的が達せられるということは、それを裏を返して言えば、運輸省がその所管を持つても、通産省のやつている仕事を十分緊密な連携を持ちつつやつて行けるというふうに理解できるのですか。
  39. 村上義一

    村上国務大臣 ぜひそうしたいと考えております。
  40. 石野久男

    ○石野委員 そういたしますと問題点は、稀少物資とか、あるいは生産の過程がどうだとかいう問題でなくして、非常に不満足ながら了承しなければならなかつたような事態も中にあるようでございます。そのことがこの法案を貫いて、航空の発達をはかり得る一つの大きな障害に将来なつて来るだろうという危惧を感ずるのであります。また立法の衝に当る者といたしましては、すでに立法の当初においてそういう危惧を持つ法案をこのまま審議することは、われわれとしても自信を持つてそういう審議ができないという事態に追い込まれるわけであります。そういう観点をもし運輸省当局自体がすでに持つているといたしましたならば、この法案は政府部内においてもつと練られて、そういう不満足な事態を満足な事態に調整した上で出すことの方が、より忠実にこの法案を日本航空産業あるいは事業の上に効果あらしめることになるのじやなかろうかと思いますが、大臣所見はどうでございましようか。
  41. 村上義一

    村上国務大臣 運輸省としましては、当初三月末ごろにこの法律案を書き上げておつたのであります。爾来諸般の情勢のために、関係各省の間の協議がまとまらなかつたのでありましてその事情についてはおそらくお聞き及びのことと拝察するのでありますが、一面において、かくしておいおい時日を経過いたし、講和発効と同時にこの法律は有効に実施されるべき性質のものであるにかかわらず、講和発効してもなお国会に提案することができないというようなことで、辛うじて本国会の正常な期限の最終日に提案し得たというような次第であるのであります。紆余曲折を経てここに至つたと申し上げるよりほかに方法がないのであります。
  42. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの大臣の御答弁は、われわれにとつては非常に重大な問題でございます。当局、特に所管の当局が最善を盡そうという努力があつたにもかかわらず、それがなかなか容易になされなかつたということ、それからまた講和発効と同時にこれが実施されることの方が——講和の問題についてはいろいろわれわれの見解もありますけれども、とにかく実施されることがより有効になつたであろうのに今まで延びておつたという事情、そういう諸般の事情というものについては、これはわれわれ立法府としては、それをつまびらかにする必要があると思うのでございます。大臣からは先ほど、その事情は御存じであろうが、こういうお話でございましたが、私不幸にして十分それを承知していません。もし大臣の都合でここでその諸般の事情が十分鮮明されていただけますならば、それをしていただきたい。こういう公開の席上でよくなければ、秘密会なら秘密会でその事情をとくとわれわれに納得の行くように、御説明を願うのが、われわれといたしましてもこれわ審議するにあたつて忠実な立場であろう、こういうふうに思うのであります。そういうことについての御事情を大臣から御説明願いたい。
  43. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  44. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 それでは速記を継続してください。
  45. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの質問につきましては、あとで報告または説明を承ることにいたしまして、第一条の航空機の発達をはかる目的のためにつくられた法律案、が必然的に航空発達の全般の問題に関連すると思います。先ほども申しましたように、運航及び技術の一貫性の問題とは別個に、民間航空を発達させるために、世界各国がいずれもなしておるように、民間航空それ自体としての航空技術なり、あるいは航空の発達というものは、今日の近代文化のもとでは非常に困難であろうと思うのでございます。おそらく航空技術なり航空全体としての発達は、軍備という問題との関連性において発達して行くのだというふうに私は把握するわけであります。おそらく大臣もそのような所見であろうと思うのでございますが、その点については大臣いかがでございますか。
  46. 村上義一

    村上国務大臣 軍備を持つ国におきましては、民間航空と両々相まつて航空面の発達ということは、結果から見て事実のあることだと思うのであります。しかしながらわが国では軍備はいまだ憲法上許されておらないのであります。またかりに憲法が改正せられて軍備を持つということになりましても、なかなか航空部隊を完備するというようなことは、わが国経済力ではよほど前途遼遠じやないかということも考えられる。一方におきまして、軍備上の飛行機というものは、用途がおのずから異なるものがございまして、発達の共通したものもあるでありましようが、また軍備については私はよく存じませんが、異なるものも相当分量あると思うのであります。われわれは民間航空についてのみ発達を念願いたしておる次第であります。
  47. 石野久男

    ○石野委員 大臣といたしましては、現在軍備を持つていない日本の航空を発達させるために、民間航空の発達のみを期待しておる、こういうふうにおつしやられますが、事実はやはりそういうことだけでは、この法律の目的が達成されないと思うのです。ことに、せつかく法律をつくつてわが国の航空の発達をはかろうとしておるのに、事実は各国における航空は、軍用航空と並行しつつ発達しておるという、そういう現実の中にあつて、日本だけがただ民間航空の発達だけで、そこの水準まで上げるということは困難だと思います。そこでどうしてもその達し得られないような予見のもとにおいて、われわれがやはり航空の発達を世界的の水準にまで持つて行こうとするのには、何らかの補足する手段方法というものがなければならないのじやなかろうかと思うのでございます。これは後ほど航空機生産に関する法律案というものが出ておるようでございますが、私はまだその航空機生産の内容をしつかり見ておりませんが、この法律をつくるにあたつて、あらかじめそういうようなことに対する考え方が、当然用意されてあるべきだろうと思うのでございます。大臣の方で所管の立場から、どういうふうにその点補備して行こうという御所見であられますか。政府所見を伺いたい。
  48. 村上義一

    村上国務大臣 軍用の飛行機と民間飛行機と、航空事業との間において両々相まつて発達を遂げておるというのは、現に多くの国において結果からいうてそういうことになつていると思うのであります。しかし今ここでこの法律の目的とするところは、前刻来申し上げます通り民間航空事業についてのみであります。もしわが国が文化の鎖国主義をとりまして、ただ日本人の現状においてのみクリエートして、技術その他を研究して、ただ日本人のみだけに上つて、日本内地だけにおいて研究をし、発達をはかつて行くというのでは、これはもう前途遼遠であり、今進歩しておる国に追いつくなどということはしよせんできないと思うのでありますが、しかしながら技術の交流と申しますか、当分こちらに輸入がもつぱらでありましようが、外国の進歩した技術を導入することは易々たるものだと考えておるのでありまして、わが国民間航空事業のみをもつてその発達を期するとしましても、外国技術の導入ということがそう困難な問題ではないと思いまするがゆえに、目的は達し得ると考えておる次第であります。
  49. 石野久男

    ○石野委員 大臣の御所見では、大体外国技術は、その外国の航空機等を輸入し得る可能性を残しておるから、そこから入つて来るということに受取れたわけです。大体そういう道より、軍備を持たないで行く場合は、ほかになかろうかとも思います。ただその場合にこういうことについては、どういうようなお考えでこの法律案に対しての準備をなされたかどうかということを聞きたいのですが、それは航空機の技術的な発展にしても、運航にしましても、先ほど来述べておるように、軍備との並行の姿を日本が持てないために出て来るであろう遅れというものが、必然的に日本の航空機生産に現われて来るだろうと思うのであります。その結果として、航空機はその実体において、技能的に他国と比較してある程度の遅れがなされ、それからコストは高くなつて行くというような状態が、どうしてもいなめない事実になつて来るだろうと思います。そういうことを考えてみますると、航空運送事業を営む原価というものに、どうしてもコスト高というものが出て来るのじやなかろうか。こういうふうに私予想するのであります。それでなくてさえも世界の各国の航空事業というものは、なかなか国の補助なくして、黒字で運営することは困難であるということは、先日航空庁長官から御答弁もございました。そういうように考えて参りますると、この法案をただこれだけの形で、しかも今のような大臣所見から推して行きますると、日本におけるところの航空事業というものの採算点というものは、非常に困難な事態の中で行われて行くのじやなかろうかというふうに予想されるのでございまするが、大臣はそういう問題についての見通しをどういうふうにお考えになつておられましようか。
  50. 村上義一

    村上国務大臣 まず航空運送事業について、それを中心として考えてみますると、先般長官がお答え申したごとく、今世界各国で政府の直接もしくは間接の援助なしに、良好な独立採算性をあげておるというところはないというてはばからないと思うのであります。わが国におきましても、先般も御採択願いましたように、消費ガソリンの免税であるとか、その他現に間接の援助はあるのであります。なお航空郵便物の逓送料の計算におきましても、まだこれは確定いたしておりませんが、アメリカのごとく非常に航空事業の発達した国におきましても、郵便逓送料のごときは相当援助という意味合いが含まれて計算されておる次第であります。わが国においてもそれにならつて、相当の料金をきめることにしたいということを郵政大臣とも話し合つているような次第であります。とにかく航空事業独立して良好な営業成績を上げるということは、ほとんど不可能といつてもいいのじやないかと思うのであります。さらに飛行機の生産事業あるいはまた整備事業という問題を中心として考えてみますと、生産の方はよほどなお困難性がある、御指摘通りだと思うのであります。今日航空機を購入して来るよりもなお優秀な飛行機を値安く供給するというような生産事業は、当分至難じやないかと考えるわけであります。しかしながら戦前に航空機生産に携わつてつた各会社は、ぜひ政府のとりはからいで米国、英国その他発達した諸国の工業を視察したいというような申出もあり、おそらく遠からず実現することと思うのでありますいろいろその間に努力は払われておるのでありますが、本格的に航空機を生産するという事業がいつ起るか、よほどまだ時期があることと考えておるのであります。
  51. 石野久男

    ○石野委員 大臣の時間が非常に追つておるようですが、あと一問だけ許させていただきますが、ただいまも大臣からお話がありましたように、法案ができるけれども、事実上は採算点を持つた航空運送事業というものの困難性が予見されるというような現実の姿だろうと思うのであります。それにもかかわらず、やはり日本の航空事業は発達させなければならないという事態に置かれておるわけであります。そういう問題を含めて、国の立場から、それならばやはり積極的に援助する態勢を政府としては特に考えておるのであるかどうか。あるいはまた別途そういうことを補備するような方法を何か別に考えているのかどうか、そういう点をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  52. 村上義一

    村上国務大臣 ただいまもちよつと触れたごとく、消費ガソリン等の税を免除するとか、あるいはまだ確定はいたしておりませんが、航空機の輸入税を免除するとか、また先刻も申し述べましたごとく、郵便逓送料においても援助的の料金を世界各国にならつて実施する、その他できる限りの援助をしております。この国会において御承認を得ましたごとく、日本航空会社におきましても、現在オペレーシヨンはすべてノースウエストと契約して、ノースウエストの責任において実行しておるのであります。しかしその契約の期限も本年の十月半ばに満了するのであります。その場合に備えて、みずからオペレートするというためには、操縦者その他種々の技術家が必要なのであります。これらの養成のために政府は、少額ではありますが、補助金を出して、今米国に研究のために派遣しておるというようなこともいたしておるのであります。今後はおそらく——おそらくではありません。ぜひとも航空技術家の養成学校を政府みずから経営するということにして行きたいと考えておるのであります。二十七年度の留学生の補助金をきめるときにも、これが航空学校の一つの萠芽であるという考えで提案とたのであるということも申し上げておる次第であります。いろいろの施策は今後必要だと考えております。
  53. 石野久男

    ○石野委員 大臣にまだ質問申し上げたいことはありますけれども、今日は時間がないそうでありますから、あとの質問は保留しておきます。
  54. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 大臣は時間がないそうでありますから、航空法に関する質問は次回に譲りまして、今日はただ一問だけ、目下非常に重大な問題でありますので、お尋ね申し上げたいと思うのです。  新聞で見ますと、政府はソビエトに対して、スエーデンを通じて外交問題について交渉を始めたということでありますが、そのうちにこの運輸関係の協定について何か問題を提起しておられますかどうか。たとえば海運協定といつたようなものについてかけ合いをしておられるかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  55. 村上義一

    村上国務大臣 まだ何ら運輸大臣としては関係しておりません。
  56. 黒澤富次郎

    黒澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十五分散会