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1952-05-12 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十二日(月曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    關谷 勝利君       玉置 信一君    坪内 八郎君       前田  郁君    川島 金次君       山口シヅエ君    石野 久男君       木村 俊夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         航空庁長官   大庭 哲夫君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 五月十日  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇九号)  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  燈台管理部設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出、承認第五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  航空法案内閣提出第一七九号)  船舶安全法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇九号)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより会議を開きます。  船舶安全法の一部を改正する法律案議題とし、まず政府よりその提案理由説明を求めます。村上運輸大臣
  3. 村上義一

    村上国務大臣 ただいま提案されましれ船舶安全法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  現行船舶安全法昭和八年に制定せられたものでありまして、その後必要に応じて一部の改正が加えられておりますが、この船舶安全法と、これに基いて制定せられているところの関係法令には、さきにわが国が加入しております一九二九年海上における人命の安全のための国際條約及び一九三〇年国際満載吃水線條約の両規定において要求せられている事項が完全に包含せられております。右の條約のうち、一九二九年海上における人命の安全のための国際條約は一九四八年に至り改訂せられまして、これが実施は、條約に定められている所要定数海運国の承諾が寄託されました結果、本年十一月十九日となつております。  わが国は、現在この新條約に加入しておりませんが、これに加入することは、わが国国際海運に参加して今後の発展を期する上において、当然必要なことであるばかりでなしに、昨年締結されました、日本国との平和條約に関する日本政府の宣言においても、実行可能な最短期間内に、かつ平和條約の最初効力発生後一年以内に、正式に加入する意思を持つている旨を表明しているのであります。従つてこの新條約の規定に基いて国内法、すなわち船舶安全法及び関係法令改正することが必要となつたものであります。  新條約によつて改訂されました点は、相当広範囲にわたつておりますか、その要点を申し上げますと、第一は、本條約の適用範囲は、航海の安全に関する事項がすべての航海する船舶適用される以外は、原則として国際湖海に従事する旅客船及び総トン数五百トン以上の貨物船に擴大されたことであります。  第二は、構造関係につきまして、旅客船に対し損傷状態における船舶復原性に関する新しい規定が追加されるほか、電気設備防火構造について新たな規定が設けられたことと、復原性試験の強制及び消防設備規定適用貨物船にも擴大されたことであります。第三は、救命設備に関する要求が強化されたことと、その適用範囲擴大及び無線設備を施設することが必要である船舶範囲が擴大されたことであります。第四は、無線方位測定機備えつけを要する船舶範囲の擴大と、救命信号及び穀類、危険物の運送に関して新しく規定が設けられたことであります。  大体以上の通りでありますが、このうち現行船舶安全法の体系におきましては、法律改正を必要とするものは、無線設備に関する事項のみでありまして、その他は技術問題として省令をもつて規定されている事項でありますので、この法律改正終了後、別途これらの省令改正をしなければならないこととなるわけであります。  次に改正法律案要点を申し上げますと、新しく無線電信を施設することを要する船舶として、国際航海に従事する総トン数五百トン以上千六百トン未満の貨物船を加え、これらの船舶につきましては、無線電信にかえて無線電話を施設することもできるという規定を加えたことと、船舶検査に関しまして條約中に「各国政府船舶検査を、この目的のために指名した検査員に委任することができる。」しかして「関係政府検査の完全及び有効なここを十分に保障する。」と規定されております趣旨に従つて国際的義務の履行を確保するための責任態勢を強化する意味におきまして、従来内部的な職務指定によつてつて来ましたところり検査官の地位を明確にして、これを法律中に規定することといたした次第心あります。  以上がこの改正法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わりまするようお願いいたします。
  4. 岡村利右衞門

    岡村委員長 次に航空法案議題とし、質疑を続けます。岡田君。
  5. 岡田五郎

    岡田(五)委員 最近行政機構改革に伴う各省設置法の一部改正法案が提出されるように承つておるのであります。そのうち運輸省関係におきまして、あるいは違つておるかもしれませんが、現在の外局である航空庁内局になつて航空局になるということを私たち新聞で拝見いたしておるのでありますが、事実さような案をもつて運輸省設置法改正手続をとられておるのであるかどうか、まずこれを承つておきたいのであります。
  6. 大庭哲夫

    大庭政府委員 事実その通りであります。
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もし運輸省設置法改正によりまして、航空庁航空局というようなことになりますならば、このたび提出されました航空法案の「航空庁長官」という文字は、全部「運輸大臣」ということにかえられなければならないのではないかというように私は考えるのでありますが、その辺のところはどういうようにお考えになりますか。
  8. 大庭哲夫

    大庭政府委員 大部分運輸大臣ということに書きかえることになつております。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今大部分というお話がありましたが、大体今までの法案立法内容を拝見いたしておりますと、各省内局長が直接行政行為の主体となる場合はほとんどないようであります。私は大部分というよりも、全部「運輸大臣」と書きかえられるべきではないか、かように考えるのでありますが、その点御確認を申し上げたいと思います。
  10. 大庭哲夫

    大庭政府委員 ただいま大部分と申したのは間違いでありまして、「航空庁長官」とあるのは全部「運輸大臣」と書きかえることになるわけであります。
  11. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そういたしますると、この点時期的ににらみ合せが非常にむずかしいと思うのでありますが、各省行政機構改革案、すなわち各省設置法改正案は今国会に提出せられまして、おそらく七月一日実施ということに相なると考えるのであります。またこの航空法案そのものも、慎重審議すべき箇所が非常に多いのであります。おそらく衆議院におきましても十分論議を盡されるとともに、参議院におきましても十分に討論され、また審議を重ねられると思います。この法案の通過は、かような見通しをつけるのはもつてのほかでございますが、おそらく本国会終了まぎわになると考えられるのであります。そういたしますと設置法航空庁内局となり、片方この法案では外局としての航空庁長官という法文で進んでおる。しかも一箇月そこそこの差で両方案が通過する、こういうようになります。しかも航空法国会休会中においても公布と同時に効力を発するというように、立法手続相当齟齬といいますか、ずれが来るのではないかということを非常に懸念いたしておるのであります。私は各省設置法は当然通るものと考えるのでありまして、かよう各省設置法改正案に基いて「航空庁長官」を「運輸大臣」と現在において書きかえられることの方がむしろ適当ではないか、かように実は考えるのでありますが、この辺につきましての航空庁長官の御意見を承つておきたいのであります。
  12. 大庭哲夫

    大庭政府委員 大臣ともよく打合せまして、御回答したいと思います。
  13. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それではこの点は御研究なさるそうでございますから、質問はこの程度にとどめます。  次に航空機所管関係で、航空機監督行政がいかにあるべきかということにつきましての質疑応答は、すでに尾崎委員より運輸大臣との間に十二分に重ねられたのでありますが、この点につきまして私たちは非常に疑念を持つておるのであります。しかも私たち疑念を起すような二元監督にされたということにつきましては、おそらく各省所管業務、いわゆる分限調整という意味におきまして、行政管理庁書がとにかくいろいろと調整された結果において、かような私たちが非常に疑念を持ち、非常に不安に思うような、はなはだ奇々怪々航空法が提出されたのであろうと考えるのであります。この辺はいかなる原因で、いかなる理念のもとに、いかなる方針のもとにかよう奇々怪々航空法ができましたか。このことにつきして行政管理庁長官に十二分に究明いたし、十二分に釈明していただきまして、私たちは今後航空安全性につきまして、不安と懸念とを一抹も持ち得ない信念をもちまして、この法案が通過するように十二分に審議いたしたい、かように考えるのであります。従いましてこの機会にぜひ委員長にお願い申し上げたいのでありますが、行政管理庁長官国務大臣野田さんに、十二分に時間をさいて当委員会に御出席いただきまして、われわれをして十二分に納得するように御説明をいただく機会を、最近の機会航空法案審議の順序といたしましても、ぜひ持つていただきたいということをここにあわせてお願いを申し上げる次第であります。  なおいろいろと御質問申し上げたい事項があるのでありますが、何分にも行政管理庁長官からこの所管関係につきましての一貫した理念と、統一されたはつきりした御回答に接しなければ、私たち質疑を重ねられない條項が多々ありますので、かようなことにつきましては次会に讓ることにいたしまして、もう一つだけこの機会に伺つておきたいことは、大体航空機監督行政につきまして、先進国、すなわち英国なり米国あるいはフランスなりカナダという諸外国においては、どういう監督行政を続けられておるかということをお知らせ願いたいのであります。それによりまして現在提出された日本航空法案に盛られたような、また航空機製造事業法案に盛られたような二元的な監督が、客観的に妥当性ありやいなやということを私たちが判断いたしまする好資料に相なると考えるのでありますので、世界の実例をこの機会にお知らせ願いたいと思うのであります。
  14. 大庭哲夫

    大庭政府委員 アメリカの方におきましては商務省民間航空局CAAと申しておりますが、CAAで一元的に運航行政並びに製造行政取扱つておるわけであります。アメリカ民間航空行政について一元的にやつておることは事実であります。次にイギリスの例をとりますと、イギリス製造だけは供給省、いわゆるサプライ・デパートメントというのがありまして、その方で発注をすることになつていますけれども、それらの検査民間航空省においてそれを実行しておるのが現実であります。運航行政その他につきましては、すべて民間航空省でそれを取扱つている。従つて製造部分だけが供給省、いわゆるサプライ・デパートメントの方へ移つておるということであります。カナダ運輸省の中に航空局がありまして、航空局長アメリカと同様に運航行政あるいは製造行政、すべての航空行政を一元的に取扱つている。次にフランスの例を申し上げますと、フランス民間運輸建設省というものがありまして、その下に民間航空局がありまして、民間航空局において運航行政、いわゆる保安行政から運航行政まで取扱つていますが、それらの民間航空機耐空証明は、特に商船省所管になつておるわけであります。これはまだ詳細のデータが来ていないものですから、一応現在わかつておる範囲において御説明申し上げたわけであります。
  15. 岡田五郎

    岡田(五)委員 後日また行政管理庁長官に御質問申し上げる準備行為として、はなはだ言葉が悪いのでありますが、一応お尋ね申し上げておきたいことが二、三ある。それは第十條の耐空証明でございますが、これは運輸大臣航空庁長官が申請に基いて雨空証明をお出しになると書いてございますので、耐空証明につきましては当然運輸大臣責任をお持ちになると解釈いたしているのでありますが、かよう解釈していいかどうかお伺いいたします。
  16. 大庭哲夫

    大庭政府委員 御承知よう耐空証明を最終的に出す過程といたしましては、耐空検査というものが実施されたあかつきにおいて、それが合格した場合に初めて耐空証明を出すごとになつているわけでありますが、耐空検査というものには航空機ができ上るまでの過程、でき上つた後の航空機検査して初めて耐空証明というものが出せるわけでありますが、このたびのとりきめによりますと、途中の航空機性能検査というものにつきましては、昨日も御説明申し上げましたよう安全性検査という部面だけ、しかもそれは通産省工場検査官に依頼して安全検査をやるというとりきめになつているわけでありまして、その点前法案とは少々違つて来た部分であります。
  17. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そこでお尋ね申し上げたいのでありますが、第十條の第四項に、航空庁長官は、安全性を確保するための技術上の基準に適合するかどうかを検査云々と書いてありますが、との技術上の基準に適合するかどうかを検査する部分は、当該飛行機強度構造及び性能運輸省令で定める安全性を確保する云々に該当すると私は思うのであります。そこでお尋ね申し上げたいのは、当該航空機強度構造及び性能とありますが、御承知よう航空機総合工業でありまして、発動機プロペラその他計器類重要部品が数千種類のものが集まつて当該航空機というものに相なると考えるのであります。それら総合工業の結晶である航空機強度あるいは構造、その他の性能安全性を確保しているかどうかという検査をされることは、要するに飛行機のボデーのみならず、発動機プロペラ、その他重要部品についての検査をされなければ、運輸省令に定められるいわゆる安全性確保の認定ができないのだと私は考えますが、さよう解釈していいかどうか御答弁願いたいのであります。
  18. 大庭哲夫

    大庭政府委員 今の御説明はごもつともでございます。さように御解釈願いたいと思います。
  19. 岡田五郎

    岡田(五)委員 そういたしますとこの第十條の第四項の末項を見ますと、特に型式証明を受けた型式飛行機の場合には、一部設計及び生産過程についての検査を行わないことができる。かよう解釈いたしているのでありますが、この規定解釈の半面からいたしますと、型式証明を受けてない飛行機は全部、前段に基きまして航空庁長官設計または生産過程においても検査する、かよう條文が読まれるのでありますが、さように読んでしかるべきかどうか御答弁願いたいのであります。
  20. 大庭哲夫

    大庭政府委員 さように御解釈なさつてけつこうだと思いますけれども、ただ先ほども申しましたようにその製造過程におきまして、検査は一部通産省検査官がやるということを御承知の上で御解釈願いたいと思います。
  21. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それからはなはだこまかいようでございますが、念のためにお尋ね申し上げます。第十條の第六項に、第四項の検査のうち、製造過程については云々と書いてあるのであります。ところが今までずつと見ておりますと、生産過程についてはその他というようなことが出ておりまするが、この條項以後から製造過程についてという文字が使われているのであります。生産過程と言つてみたり、また製造過程と言つてみたり、この法案を見ますと言葉がはなはだ変化を来しているのであります。この辺の内容について何らか変化があるのかどうか、この点もひとつ承つておきたいのであります。
  22. 大庭哲夫

    大庭政府委員 まことに申訳ないのですが、製造過程の方が正しいのでありまして、生産過程ということを全部訂正いたす所存であつたのを漏らしたようなわけであります。
  23. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それからなお念のために聞いておきまするが、今の十條の六項でございますが、生産過程製造過程かどつちかわかりませんが同じといたしまして、とにかく航空庁長官が定めた政令に基く資格を備えたその工場従事員が、お役所にかわつて検査ができる、こういう一項が前段に入つておるのであります。一方通産大臣監督しておりまする通産省職員もまた検査をする、こういうことになつておるのであります。民間工場職員がやる場合には、運輸省政令に基いた工場従事員がやつて、そして通産省がやる場合には通産大臣がやる。私はこれはむしろどつちかに一本にされまして、通産大臣の定める資格に基いて、その資格合つた工場従事員検査をする。工場従事員では物足りないというところは通産省のお役人がやる、こういうのならばいいが、同じ検査をやるのに、片一方では、工場従事員の場合には運輸大臣がきめる政令検査させておいて、一方通産省のお役人通産大臣命令に基いて検査をする、こういうことになつておるのでありますが、はなはだもつて不可解しごくで、私理解に苦しむのであります。この辺の意図はいずこにあるのかひとつお尋ね申し上げたいのであります。
  24. 大庭哲夫

    大庭政府委員 このたびの所管問題におきましていろいろ示されたものによりますと、「(A)当該工場従業員運輸通産両省共同にて行う検査員試験に合格したる者)及び(B)通産省職員(その任命については運輸大臣に協議することを要する。)に委託して行わしめる。検査は(A)が主としてこれに当り、(B)は極く少数とし極めて緊要なる検査のみをなすこと。」というふうにきめられているわけでありまして、そのきめられた範囲内において法案をつくつたわけであります。
  25. 岡田五郎

    岡田(五)委員 航空庁長官の御説明ではなはだ物足りないのです。本日は航空庁長官をどこまでも究明しようという目的ではございません。かよう分限調整をなさいました行政管理庁長官に後日御質問申し上げるために念のために運輸省政府委員確めておりますので、さよう承知を願います。ざつくばらんに運輸省所管を率直に申し述べていただきたいと思うのであります。  それからもう一つお尋ね申し上げたいことは、この條文でありますが、航空庁長官通産省職員使つて検査をすることができるということになつておるのでありますが、私は各省設置法官吏服務紀律、こういうようなものに基きますと、運輸通産両省のお役人は、いかなる命令でも他省のお役人命令には従う必要はない。これが官吏服務紀律であると考えるのでありますが、この法律に基きまして、通産省役人といえども航空庁長官命令従つて検査することを命ぜられると思うのでありまするが、万々が一通産省職員の過失、過誤が、直接通産大臣なり通産次官に及ばないで、航空庁長官に及ぶような結果に相なるものでありましようかどうか、この点もあらためてお伺い申し上げておきたいのであります。
  26. 大庭哲夫

    大庭政府委員 結果は航空庁長官に全責任が及んで来るというふうに考えております。
  27. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 一昨日運輸大臣に対しまして、この航空法案に関する総括質問を一応終つたのでありまして、あらためて行政管理庁長官並びに通産大臣質問する用意をしておるのでありますが、ちようど岡田委員から法案第十條の耐空証明についての質問が出ましたので、これに関連しまして二、三郷質問申し上げておきたいと思うのであります。  まずこれを結論から申しますと、第十條の耐空証明に関する規定は、国際民間航空條約に定めてあるところの規定とぴつたり一致してないのじやないか、こういう気持をお持ちにならないかどうか。ということは、岡田委員から詳細に質問がありましたように、第十條の規定は、いわゆる航空に関しては最も大事な、最も重要な耐空証明という航空の安全に関する規定であるにもかかわらず、その責任の所在が運輸大臣にあるのか通産大臣にあるのかわからないような、まことにめんどうな規定がつくつてあるのでありますが、これは国際民間航空條約の第十一條による耐空性という趣意と、同付属書の第八にこういう規定がはつきり示されておるようでありますから、念のために読み上げておきます。第八付属書航空機耐空性」のうちの第三章の「当該耐空性要件に合致していることの立証」という條項に三・一「耐空証明書は、その航空機当該耐空性要件に合致しているという十分な証拠に基いて、その航空機承認する締約国またはその国の権限ある代表者が発給しなければならない。耐空証明書が三・二によつて発給される場合以外は、その国またはその国の権限ある代表者は三・一・一、三・一・二及び三・一・三に規定された方法でその証拠を入手しなければならない。」という嚴重な規定がまずある。その次に三・一・一「その航空機当該耐空性要件に合致していることを示すに必要な図面、仕様書報告書及び書類上の証拠より成る承認済み設計がなければならない。記録類は、その航空機をその航空機承認済み設計で識別するために、保存されなければならない。」と厳重に規定してあります。その次の三・一・二の條項に、「航空機がすべての重要な点で承認済み設計に合致しており、またその製造及び組立てが良好であることを決定するためには、その国が承認した検査制度従つて製造工種中に航空機検査しなければならない。」こういうような厳重な規定がここにちやんと書かれておる。こういうよう国際民間航空條約のまことに至れり盡せりの、しかも厳重な規定があるにもかかわらず、この法案の第十條による耐空証明に関する規定は、岡田委員が言われるようにまことにあやふやな点が多いのでありまして、従つてさつき申しましたように、国際民間航空條約の精神とこの十條の規定とはぴつたり一致していない、こういう感じを持つのであります。一体こういう点については、さつきお話になりましたように、閣議におきましていわゆる申合せによつてこういうものができたということは一応わかるのでありますが、航空なんという危険な問題につきましては、百年の後に悔いを残さないようなしつかりした規定をつくることが必要であります。私が今申し述べました国際民間航空條約の中に規定するところの精神と、この第十條の耐空証明とはぴつたり一致していないという点については、航空庁長官はどういうふうに考えておられるか、これは前もつてつておきたいのであります。
  28. 大庭哲夫

    大庭政府委員 御指摘の点は多々あるわけで、まことに遺憾に存じておる次第であります。先ほども申しました通りに、ある線できめられたわけでありまして、そのきめられた範囲内におきまして最善を盡すというのが、私の仕事であります。従つてその線に沿いまして、最初につくつた航空法案を一部訂正をいたしまして、現状の航空法案がつくり出されたわけであります。これによつてはたして航空機の安全を航空長官が、あるいは運輸大臣が背負つて行けるかどうかということにつきましては、一昨日申し上げました通りに、このきめられた線につきまして最善努力を盡す。はたしてその結果がいかになるかは、今のところまだ研究中でありまして、御回答できないのをまことに残念に存ずる次第であります。
  29. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 あと一問で置きますが、ただいまの御答弁によると、こういう規定従つて最善努力を盡したい、こういう十分にお察しのできる熱情を吐露してりおられるのでありますが、最善を盡したいと言つてみても、その根本に欠陷があつたならば、最善を盡し得ない、こういう結果が出て来るのは当然でありますので、これらの問題につきましては航空庁長官におかれましても、なおひとつ最善を盡す。この法案従つて最善を盡すというそのこと以外に、いわゆる本来の真骨頂に従つて最善を盡す、こういう点については御研究置き願いたいと思います。さつき申しましたように、行政管理庁長官並びに相手方の主管大臣通産大臣に対しまして、あらためてこの問題は質問することにいたしますが、一応長官の御意向を承つておいた次第であります。関連質問を終ります。
  30. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今尾崎委員の御質問に対しまして航空庁長官は、航空機安全性確保につきまして、現在の航空法規定によれば、なお自信が十分でないように承つたのであります。これは先日来の運輸大臣また運輸省関係政府委員の御答弁と、大体同一のように心得るのであります。私は航空機安全性なくして何の航空なりやと言いたい。むしろかよう安全性に自信のない法規、いかなる政府においても、いかなる時においても、私はとるべからざるものであると思うのであります。と申しますのは、とうとき人命を危険なる空中に運びまして、万々が一事故が起つたならば、政府責任、お役人責任という抽象論では私は終らないと思うのであります。かよう意味におきまして、事人命に関する問題でありますから、私は相当の信念と自信をもつて航空安全性に取組まれなければならないと思うのであります。この航空の安全について自信ない法案を、客観的諸事情に基くとはいいながら、これを提出せられる政府の所信をはなはだ疑うのであります。この点につきましては十二分に国会は、航空機安全性確保のために自主的な態度をもつて、これが修正または改正につきましての努力はわれわれの義務としていたしまするが、せいぜい運輸省関係の方々におきましても、なおもつと確固たる信念をもちまして、あらゆる障害とあらゆる議論と闘わるべきことを希望いたす次第であります。かようなことはまた行政管理庁長官が来られましたら、十分に御意見も拝聴いたすことにいたしまして、関連いたしましてちよつと私の要望を申し上げたのであります。  次にお尋ね申し上げたいのでありますが、型式証明運輸大臣が発行せられる場合に、あらかじめ通産大臣の意見を徴さなければならない、こういうようにこの條文ができておりますが、何ゆえにこの型式証明を出す場合に、通産大臣の意見を聞かなければならないのか、この点につきまして航空庁長官にこの規定の趣旨、理由を簡単に御説明つておきたいのであります。
  31. 大庭哲夫

    大庭政府委員 趣旨といたしましては、型式証明について通産大臣の意見を聞く必要はないと私は存ずるわけでありますが、ただ航空機生産事業というものに関連して型式承知し、あるいは航空機製造事業というものを発達さして行く上において、また航空機製造する前提において、型式設計図面を承知する必要があるというのが先方の意見であります。そういうように一部必要なものにつきましては、通産大臣の意見を聞くということに法文をつくつたわけであります。
  32. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それではお尋ね申し上げたいのでありますが、この型式証明を出す場合に通産大臣の意見を聞いておきながら、飛行機設計の変更をする場合には、全然通産大臣の意見も聞かなければ、通産大臣の方に通知もされない。設計変更をすればほとんど違つた形の飛行機が出て来るのじやないか、こういうように考えるのであります。その場合は全然相談されない。最初型式証明を出す場合には通産大臣の意見を聞かれることになつておるのでありますが、こういうことを航空庁長官にお尋ね申し上げるのもどうかと思うのでありますが、どうも通産大臣はまだ統制経済時代の物資の割当、生産監督、あるいはその他をやつておるような考え方で、通産大臣が現在の自由企業下における産業にまだ向つておられるような感じがするのであります。どういう型式飛行機をつくるかつくらぬか、要するに航空機会社が飛行機を利用する方の便宜、あるいは航空機操縦上優秀性と安全性ということから新しい飛行機を使うというようなこと、あるいは世界の航空機の発達の事情に基いて、新しい飛行機航空機会社が使つたりなどするのであつて、こういうことまで通産大臣の意見を徴するというようなことを通産大臣が求められるというところに、まだ統制経済時代の通産省のお役人的頭が残つておるかのように私は考えるのであります。通産省はどこまでも企業助長の府であつて、統制経済の府であるべからずと私は考えまするが、かようなことにつきましては航空庁長官も私と同じような意見でありまするので、その点は航空庁長官を追究することをやめまして、またこの問題は明日に譲ることにいたしまして、何がゆえに変更の場合に通産大臣に報告するとか、あるいは意見を求めるとかいうようなことをされなかつたのか、もし御存じでございましたら御説明を願いたいと思うのであります。
  33. 大庭哲夫

    大庭政府委員 ただいまの御質問によりますと、第十三條の第三項の「前條第四項の規定は、航空庁長官が前項の承認をしようとする場合に準用する。」とあつて、変更のときにも一応意見を聞くことになつております。
  34. 岡田五郎

    岡田(五)委員 今の質問は私の方が誤つておりしたまので、よくわかりました。  それから航空従事員の養成ということにつきましては、どういうようにお考えになつておりますか。一昨日の尾崎委員の御質問に対しまして運輸大臣から、航空機関係の専門家を十数名あるいは数十名アメリカに見学にやろうとしているということで、予算やら人数やら、いろいろ御説明を伺つたのでありますが、航空機従事員の再教育、あるいは航空機従事員の教育機関ということについては、どういうようにお考えになつておりますか、この機会にお漏らし願いたいと思うのであります。
  35. 大庭哲夫

    大庭政府委員 航空機従事者の教育につきましては御承知ようにパイロツト、機関士、あるいは整備士の再教育があるわけでありますが、実は二十七年度の予算に航空機乗務員訓練所を設置する計画でありましたが、国家財政上の見地から一応落されたわけでありまして、そのかわりといたしまして二十七年度の予算では、二十名の民間パイロツトをアメリカへ派遣をしまして、教育をするための予算を三千万とつているわけであります。しかしながら御承知ように民間航空会社というものは、講和発効とともにある程度の会社が設立されようとしているわけでありまして、それらに使用される乗務員あるいは整備士、機関士等につきましては、これらではとうていまかないきれないのでありまして、実は現在極東空軍ともいろいろ打合せを進めている次第であります。それらの協力によりましてできる限り航空事業に支障のないように、乗員の訓練を進めて行きたい所存でいるわけでありますが、計画がまだ具体的にきまつていませんので、今日ここで御発表できないことを遺憾に存じます。
  36. 岡田五郎

    岡田(五)委員 最近新聞でときどき拝見いたすのでありますが、日本が国際民間航空に参加したり、また講和條約発効後の現在におきまして、いろいろと外国との航空機の地位について相互協約というものが結ばれまして、現在諸外国の航空機会社が日本へ出入りするという状態になつておるのであります。日本航空機会社の飛行機もまたアメリカその他の諸外国に日本を基地として出入りするという情勢が今後相当出て来るのではないか、かような情勢からして新聞にいろいろと国際航空会社の設立が云々されておるのであります。そこで日本航空会社の世界の航空会社に対する競争力の主たる源はいずこにありやと考えると、要するに航空従事員の経費が非常に安く済むということによつて、高い外国の航空機を買う、あるいは借りてやつても、諸外国の航空会社と競争できるのではないか、こういう点から言いますと、日本の国際航空会社の宝は、一にかかつて日本航空従事員にありと考えるのであります。そう考えますと、日本人の航空関係従事員の需要というものが、世界的にまた日本的に相当喚起されて来る、かように考えるのであります。かよう日本人の航空従事員の需要という面をもつと楽観的に、もつと広く考えまするならば、単なる日本国内の航空のみを考えないで、国際航空における日本航空従事員の供給、こういう面をも考えまして、もつともつと積極的に航空従事員の再教育または教育機関というものを思い切つて整備せられ、日本人の海外へのこれらによる職業進出をあわせ考えることも私は無意義ではない、むしろ有意義である、かように考えるのであります。かような見地から実は航空従事員の養成または再教育ということについて御質問を申し上げたのでありまするが、これらの見通しというようなことについて、人によつては異なるかもしれませんが、航空庁長官のお考えをお漏らし願いたいと思うのであります。
  37. 大庭哲夫

    大庭政府委員 見通しという問題はなかなかむずかしい問題でありますが、実は日本航空の操縦士が、今二名ばかりアメリカの方に訓練に出ております。私の方の職員も四名ばかり、現在アメリカの方へ訓練に同時に出ているわけであります。それらは六月末には帰朝する予定になつています。それらが帰朝いたしましたあかつきには、それらが操縦士については再訓練を始めまして、それによつて次の新しい再訓練された操縦士が生み出されて来ることになるわけでありますが、国際航空を始めるという段階に至りましても、航空機の入手あるいは今のような乗務員の訓練という点から申しまして、日本人の飛行機日本人が乗つて操縦するということは、ここ一年間くらいはむずかしいのではないかと考えておるわけであります。ただ日本飛行機で、乗務員をチヤーターする場合には、これが一部可能になるということが現在の計画であります。ただこの間、乗務員の再訓練ということをもう少し徹底的にやるということにつきましては、予算の関係もありまして、政府のいわゆる財政状態というものをにらみ合せまして、できる限り今のような御趣旨に沿うべく努力したいと考えておる次第であります。
  38. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つ簡単にお尋ね申し上げたいのですが、一昨日の大臣尾崎委員の御質問に対する御答弁によりますと、講和條約が発効したが、日本の国内航空その他の航空に関する基本的な法律である航空法が通らなかつた、その間隙においてどういう不都合があつたかという尾崎委員の御質問に対しまして、要するに日本人が飛行機を持つことができないというような御答弁がたしかあつたと思うのであります。そのときに私関連質問をしようと思つたのでありますが、新聞紙で見ておりますと、読売その他報道機関が飛行機を持ちまして、方々へ最近飛んでおるようであります。かように新聞その他の報道機関が飛行機を持ち、この飛行機日本各地にいろいろ宣伝その他の行事に出発しておるようでありますが、これはいかなる法規に基いてこれが飛行をやつておるのか、この点ひとつ簡單でよろしゆうございますから、御答弁願いたいのであります。
  39. 大庭哲夫

    大庭政府委員 それは昨年出ました国内航空運送事業会というものに従いまして、要するに契約面ならば日本航空会社、あるいは運航面ならばノースウエスト会社というものが、日本の国内飛行ができ得る唯一の会社でありますが、最近新聞社その他がやつている形式は、日本航空会社あるいはノースウエストがやれない部分をその許可を受けて、どこまでも名目は日本航空会社ができないという名目のもとに、その許可を受けて毎日新聞、読売新聞その他がノースウエスト、またノースウエストができない場合にはノースウエストの承認のもとに他のCATその他と契約をしまして、いわゆるチヤーターの形式で飛行しているわけであります。決して各新聞社が自分の飛行機を持つて、自分が飛行しているわけではないのであります。
  40. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それから航空法の関連から多少はずれますが、最近の新聞によりますと、日本全国の学生が全国学生航空連盟というものをこしらえまして、日本人間における、また学生間における航空知識の普及、また間接には航空機の発達ということに寄與すると思いますが、かような学生運動といいますか、国民運動といいますか、そういうことが講和條約発効後勃然として起つてつたのであります。また私は非常に好ましい傾向であると考えるのでありますが、かような国民運動、かような学生運動、かよう航空思想普及の運動に対しまして、政府はどういうようにお考えになり、またこういう面について政府はどういう積極的政策といいますか、政策を講ぜられるおつもりでいらつしやるか。むしろ運輸大臣にお尋ね申し上げる問題であるかもしれませんが、航空庁長官の私見でもけつこうでございますから、お心持をこの機会お話願いたいと思うのであります。
  41. 大庭哲夫

    大庭政府委員 まことに今のお説の通りでありまして、その点につきましは航空庁としても十分計画的に進めておるわけでありまして、実はその中心を航空協会——もと飛行協会というものがありましたが、航空協会というものを新しく設立いたしまして、それをして各民間団体というものの指導、教育の任に当らせる。それらの任に当らせる中心を航空協会というもので持つて行きたいというわけでありまして、最近航空協会の設立をいたすべく準備を進めている次第であります。政府といたしましては、多面的な各団体に一々それらの援助指導をして行くのは容易なことでないのでありまして、政府航空協会に一部の援助をいたしまして、航空協会からそれらの諸団体を指導援助して行くというような一つの方針をとつて行きたいというふうに考えているわけであります。
  42. 岡村利右衞門

    岡村委員長 坪内君。
  43. 坪内八郎

    ○坪内委員 二、三お尋ねいたしたいと思います。ただいま議題となつておりまする航空法並びにもう一つの法律案につきましては、これは大体日本の講和條約の発效前に成立されるべき性質のものであるにもかかわらず、かくのごとく遅延したということについてはどこにその原因があるのかということを、価の同僚議員よりも何か御質問があつたと思いますけれども、私忙しくて遅れて恐縮ですが、その辺のいきさつをお尋ねして、さらに質問をいたしたいと思います。
  44. 大庭哲夫

    大庭政府委員 その問題につきましては、航空法に関しては、運輸省としまして三月末には全部上程すべく準備を整えていたのでありますが、御承知ように生産事業、生産検査あるいは航空機の生産という問題につきまして、所管問題が出て来たわけでありまして、その所管問題の解決する期間、御承知ように今日まで停滞いたした次第であります。最近政府におきまして一つのボーダー・ラインを引いたわけでありまして、それに従つて航空法の一部を訂正いたしまして、本国会に提出した次第であります。
  45. 坪内八郎

    ○坪内委員 私がお尋ねいたしますのは、その点は私も十分承知いたしておるのでございまして、私ども当委員会におきましてもあるいは小委員会におきましても、ただいま大庭長官のお話にあつたような点その他も大いに憂慮いたしまして、なるべくこれは航空法を提案する前に、通産省などと争いをかもしておつた生産と運航の面を一本にして、すつきりした姿で法案を出そうということにつきまして、われわれも努力をしたわけでありますけれども、その点について航空庁長官として通産省との折衝にあたつて、そういつたいきさつがあるけれども、何かそこに割切れぬものがあつて、かくのごとく遅延したということになつたと思います。またただいまのお話以外に、どうもこういう点に役所としては十分考えねばならぬ点があるにもかかわらず、何らかの障害に突き当つて、意のごとくならなかつたというふうな点があるのではないかと思いますが、その点発表することができれば一応この際承つておきたいと思います。
  46. 大庭哲夫

    大庭政府委員 遅延いたしました原因につきましては、すでに御承知通りと存ずる次第であります。詳細の原因につきましては、実はまだこの席上では申し上げかねる次第であります。何分運輸省といたしましては、航空の安全という見地から、航空行政の一元化という問題で進んだわけでありますが、一方生産の一元化という面から、これに所管問題が起きて来たわけであります。その間理論的な闘争であれば、理論を盡せばわかる、またわかつたわけでありますが、今度の問題は理論的な問題から少々逸脱して、そこに何かむずかしいものがあつたのではないかと存ずるわけであります。遅れた原因につきましてはさよう承知願いたいと思います。
  47. 坪内八郎

    ○坪内委員 この問題は 考えるとなかなか慎重に取扱わなければならぬ点ではないかと思いますが、理論的にはあるいは筋の通つた話は運輸省側にあるのだけれども、いろいろな関係でこれが意のごとくならなかつた。その点が非常に重大な点でありまして、今後いろいろな面において支障を来すことになると思います。私が申すまでもなくこの法案は、條約の発効前後を通じていろいろ研究された法案でありますが、條約の発効前には占領軍の関係があつて、その面についても働き方と申しましようか、連絡と申しましようか、そういう点もありましようし、また日本が完全に独立したあかつきには、いよいよ終戦以来初めて政党政治という形をもつて日本の国政が運営されるという段階にありますので、航空庁、あるいは所管しておるところの運輸省通産省よりも何か政治力がなかつたのではないか。あるいは政党に連絡というような点で、何か手落ちがあつたのではないかという点を非常に憂慮するのであります。大庭長官はこの航空法案提出につきまして、いろいろ苦労なさつた点もよく存じておりますが、そういつた今後の国政の運営、あるいは国会の運営というものは、日本が完全に独立して自主的になされて行くことになりましたので、将来ともそういつた政党政治ということですべてのことが運営されることを十分認識されなければならぬと考えるわけでありますが、その点についてどのような御所見を持つておるか、参考までに承つておきたいと思います。
  48. 大庭哲夫

    大庭政府委員 まことにお説の通りでありまして、私個人といたしましてもまことに浅学でありまして、またあまりに政党に縁故者がなく、今度の問題につきましてはそういう点において不備な点があつたとも存じますが、私誠心誠意この問題につきましては闘つて来たつもりであります。今後もこの問題につきましては誠心誠意努めて行く所存であります。お説の通り御協力をお願いしたいと存ずる次第であります。
  49. 坪内八郎

    ○坪内委員 願わくはそういつたお気持で、将来はひとつ十分あらゆる面に気をお配りくださいまして、強力にそれぞれの立場で御努力なさるよう強く要望いたしておきます。  そこでこの二法案はそういつたいきさつがなければ、講和発効前に完全成立をしておかなければならぬ、こういうふうに考えておるものでありまして、結論的にはこの二法律案に対しましては賛成であります。この二法案は衆議院を通過いたしまして、さらに参議院でも相当の期間慎重審議をされるものであろうと思うのでありますが、そこで講和の効力発効前に通過しておらなくちやならない法律が、そういう関係から遅れたということになると、その間空白があるわけでありますが、その空白によつていかなる支障が生じて来るのかというような点について、ちよつとお伺いしたいと思うのであります。
  50. 大庭哲夫

    大庭政府委員 現在国内航空運送事業会というものと航空機の出入国等に関する政令と——これは一部改正いたしましたが、それを九十日間延長をしてあるわけでありまして、これによりまして一部の実施はできると思いますけれども、日本人が飛行機を持ち、日本人が乗るということ、また操縦するということはこの航空法が、発効になるまでは不可能なわけであります。ただ先ほども申しましたように、チャーターの形式によりまして飛行することが一応でき得るのみであります。
  51. 坪内八郎

    ○坪内委員 この法律案国会通過までに、空白期間が生じて参りまして、その間そういつた支障があるというふうなお話でございますが、そういつた支障が起きた場合の責任はいずれにありましようか。
  52. 大庭哲夫

    大庭政府委員 責任は全部政府にあると存じます。  なお先ほどの御回答のうち一部訂正するものがあります。実は航空機の出入国等に関する政令等の一部改正という問題の中に、航空機等に関する措置に関する件といたしまして一部を訂正したわけでありまして、その中の二條及び三條を改め、航空機の買入れ、使用というものと、研究、実験というものを削除いたしたわけでありまして、航空機の使用は一部できることになつていますけれども、法案通り規定というものはないわけでありまして、詳細の規定なしに一部の使用はできる、ここに一つの何と申しますか、もやつとしたもので一応間に合わせておるということであります。
  53. 坪内八郎

    ○坪内委員 私が申すまでもなく航空法案につきましては、これは講和條約発効前に国会通過をしておつたことが望ましかつたのであるけれども、こういう状態で今審議中であります。さらにもう一案につきましては、いわゆる日米安全保障條約第三條に基く行政協定に立脚しての法律案でありますが、私が申し上げるまでもなく、この安全保障條約並びに行政協定についても、すでに事務的に相当進行いたしまして、事実そうした活動をやつておる際に、かくのごとき法律案が遅れるということについては、この行政協定なりあるいは安全保障條約についても、何か責任をお感じにならなくちやならぬというようなことも考えますが、その点はまつたく責任はございませんか。
  54. 大庭哲夫

    大庭政府委員 安全保障條約あるいは行政協定のものに対しては、この法案が遅れたからといつて別に支障はないのではないかと考えております。
  55. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点は了承いたしました。  そこで最後にもう一点お尋ねいたしますが、すでに御承知通り通産省所管航空機製造法案というのが国会に提案されて、これが非常に急ピッチで審議されるというような段階であるということを聞くのでありますが、航空法案航空機製造法案との関連について、先日もこの点について同僚委員から質問があつたと思いますが、航空法案よりも航空機製造法案の方が先に国会を通過するというようなことになたつときに、どういう関連になるのか、参考までに伺つておきたいと思います。
  56. 大庭哲夫

    大庭政府委員 航空法案航空機製造法案との違いと申すところは、たとえば航空法案におきましては御承知よう検査という面をできる限り削減をして行く、工場の設備あるいは検査官技術が向上をすれば一部検査を省こうというような方針に基いて、民間側をできるだけ取締つて行くというような面はなるべく削除をして行くものでありますが、その削除をした間を通産省が法的に規制をして行く、かつまたその方は使用制限あるいは譲渡制限というようなものをつけ加えまして、両省の法案をつき合せたときには、最初に問題になつていました検査という面が重なることによつて、業者に迷惑を及ぼすというようなことからこの問題が派生して来たわけでありますが、両法案をつつつき合せますと、結局最初に私たちが考えていた法案よりもより以上に、業者をがんじがらめにするというよう法案ができ上るのではないかというふうに想像されるのであります。この点がまことに憂慮にたえない点だと思うのであります。
  57. 坪内八郎

    ○坪内委員 そこで私どもの政治的感覚から行きますと、航空法案の中に生産と運航という面が種々な関係ですつきりしなかつたということは、いろいろな複雑な点があつたことも了承いたしておりますが、われわれの見るところによると、この航空機製造法案というものは、願わくは航空法案の中に盛り込んでやつてもいいようにも思われるのでありますが、私どもはしろうとでありますからその点ははつきりしないのであります。大庭長官はどうお考えになりますか、参考までにお聞きしたいと思うのであります。
  58. 大庭哲夫

    大庭政府委員 航空法案最初に創定いたしましたときには、航空庁航空事業あるいはその中には航空機生産あるいは運航の面は、一元的に航空庁で行政をとつて行く考えであつたために、別に法に盛らなくても全体から想定いたしまして、そういう面までも及んで行くという考えであつたし、またそういう面が法として不足であれば、いつでもそれを改変をして行くという前提でつくつていましたから、先ほどから重々申しますような問題が起きたために、ここに航空行政の二元化という大きな問題が出て来たわけでありまして、私どもといたしましても、先ほどから申し上げた通りいささか疑義を感じておるわけであります。
  59. 坪内八郎

    ○坪内委員 私どもは今のお話通り航空法案の中に航空機製造の面も織り込んで理想的な法案にするなり、あるいは航空機製造については、航空法案に基いて省令なり、その他の細則によつて、理想的に航空法の運営をはかると同時に、航空の安全を期することがいいのではないかと考えておる次第であります。この点につきましては十分国会としても監視をして、航空の安全を期さなくてはならぬと思います。そこで航空法案なり航空機製造法案なり、いずれが先に国会を通過しても支障はないものであるかどうか、その点お尋ねいたします。
  60. 大庭哲夫

    大庭政府委員 当然航空法案が先に通過して、製造法案があとになれば好都合なのでありますが、政府としてお願い申し上げたいことは、航空機製造法案につきましては、運輸、通産両委員会において連合審査をしていただけれど、まことに幸いだと思う次第であります。     —————————————
  61. 岡村利右衞門

    岡村委員長 この際お諮りいたします。通産委員会に付託になりました航空機製造法案と密接なる関係がありますので、連合審査を申し入れたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 岡村利右衞門

    岡村委員長 御異議なければさよう決定いたします。  期日については通産委員長と協議いたしまして公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時四十九分散会