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1952-04-23 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十三日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君    理事 山崎 岩男君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       關谷 勝利君    玉置 信一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       飯田 義茂君    熊本 虎三君       江崎 一治君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      泉 美之松君         運輸事務官         (大臣官房観光         部長)     間嶋大治郎君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         一等海上保安監         (海上保安庁海         事検査部長)  松平 直一君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君 四月二十三日  委員古島義英君辞任につき、その補欠として山  崎岩男君が議長の指名で委員に選任された。 同日  山崎岩男君が理事に補欠当選した。     ————————————— 四月二十二日  東北海運行政機構の存続に関する請願安部俊  吾君紹介)(第二二六八号)  甲府鉄道監理局設置に関する請願鈴木正文君  外一名紹介)(第二二七五号)  一般乗合旅客自動車運送事業新規免許反対の請  願(宮原幸三郎紹介)(第二二八三号)  桐生、熊谷間鉄道敷設請願松井豊吉君紹  介)(第二三二二号)  吉野生、江川崎間鉄道敷設請願高橋英吉君  紹介)(第二三二三号) の審査を本委員会に付託された。     —————————————   本日の会議に付した事件  理事の互選  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一六六号)  日本国との平和條約の効力発生及び日本国とア  メリカ合衆国との聞の安全保障條約第三條に基  く行政協定実施に伴う道路運送法等特例に  関する法律案内閣提出第一七三号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約  第三條に基く行政協定実施に伴う水先法の特  例に関する法律案内閣提出第一七四号)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 これより会議を開きます。  日本国との平和條約の効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う道路運送法等特例に関する法律案及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う水先法特例に関する法律案一括議題とし、質疑を続けます。
  3. 江崎一治

    江崎(一)委員 まず基本的な問題からお伺いしたいと思います。船舶入港料というのがありますが、これは接岸する場合とそれから防波堤の中に入る場合、また港外に碇泊する場合と、料金が違うと思いますが、現在日本実施しております料金はどういうことになつておりますか。
  4. 松平直一

    松平政府委員 今の御質問入港料と申します中の、岸壤につく場合と沖がかりの場合と料金が違うかということでございますが、料金は違います。料金幾らかということは、各港それぞれ違うわけでございますが、どこでは幾らという明確な数字は存じておりませんが、御必要ならば調べまして後ほど御報告いたします。
  5. 江崎一治

    江崎(一)委員 その入港料国庫收入なんですか、地方自治体の收入なんですか。
  6. 松平直一

    松平政府委員 もちろん港の所有者に帰するわけでございますから、国有の場合は国がとりましようし、県有の場合は県の收入となります。
  7. 江崎一治

    江崎(一)委員 今の入港料全国ではどれくらいの料金になるかということについては、後ほど資料を出していただきたいと思います。それからアメリカとか西欧諸国なんかの各港へ船が入ります場合に、やはり入港料というのはありますか。
  8. 松平直一

    松平政府委員 ございます。
  9. 江崎一治

    江崎(一)委員 どの程度入港料を拂つておりますか。日本と比較してどうなんですか。
  10. 松平直一

    松平政府委員 明確な数字は私承知しておりません。本省の港湾局の方で調べましたらよくわかると思いますので、その点ももし御必要ならば後ほど御報告いたします。
  11. 江崎一治

    江崎(一)委員 それも後ほど先ほどの資料と一緒にお出しを願いたいと思います。  それから入港料はやはり港湾設備修復その他に使われると思いますが、日本港湾終戰後非常に荒れておりますので、この修復費が非常な額に達しておると思いますが、それは修復のための費用のどれくらい、カバーするくらいに当りますかどうですか。
  12. 松平直一

    松平政府委員 御質問の点、非常に重大だと思うのでございますが、実は私の方の担当でないものでございますから、明確なお答えができないのでございますけれども、港湾局の年々の予算国庫補助として出す分、あるいはまた国営としてやる分、いろいろあげてございます。私の聞くところによれば、県有あるいは私有の港の場合、港の大きさによつて国庫補助はそれぞれ率が違つておるようでございます。
  13. 江崎一治

    江崎(一)委員 強制水先制度というのは戰前にあつたのでしようか。また諸外国の例はどうですか。
  14. 松平直一

    松平政府委員 日本におきましては戰前はございませんでした。諸外国はほとんど強制水先制度をとつております。
  15. 江崎一治

    江崎(一)委員 日本において強制水先制度をつくらなければならなかつたというのは、どこに原因しておりますか。立法当時の事情を御説明願いたいと思います。
  16. 松平直一

    松平政府委員 もちろん問題はいろいろございますが、要するに大きな原因といたしまして、戰後船も悪くなつたし、また船員の質の低下、それから占領下にあるいろいろの関係から、水先制度強制にいたしたのでございますが、従来から日本の港の中でも最も航行が複雑であり困難なところは、強制にすべきであるという検討は加えられて来ておつたのでございます。そういう理由強制水先制度をしいたのであります。
  17. 江崎一治

    江崎(一)委員 水先料金というのはどれくらいとつておるのですか。いろいろ港によつて違うのですか。
  18. 松平直一

    松平政府委員 水先料金は、戰後水先法を改正いたしまして——これは二十四年の法律第百二十一号で国会の承認を得て出しましたのですが、それによりまして料金を定めております。現行の水先料金は、大体それの施行規則に載つておるのですが、たとえば一番手近な横浜を例にとりますと、千トン以下吃水三メートル以下の基本料金は千三百円となつております。これに対しましてトン数が増すのと吃水が増すのとで割増しがつくようになつております。全国水先区は三十幾つかありますが、それぞれ少しづつ料金が違うのは、みんな施行規則の方に定めてあります。
  19. 江崎一治

    江崎(一)委員 先ほどの御説明では、日本では戰前強制水先制度がなかつたけれども、戰後強制水先制度ができたのは、占領下関係であるとか、港湾が非常に荒れ果てておるというようなことで必要だということであつたのですが、その後港湾も相当改良されており、講和が発効すれば強制水先は必要でなくなるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  20. 松平直一

    松平政府委員 保安庁としては、この強制水先制度は至るところ置くことはどうかと思われますが、船舶が非常に輻湊する港、あるいは潮流、風その他航海上多少困難を伴うところには置いた方がよろしいと考えております。
  21. 江崎一治

    江崎(一)委員 強制水先地区横浜横須賀、神戸、関門、佐世保というように指定されておりますが、潮流関係とか暗礁とかいうような危險の問題については、むしろこの指定された地区よりももつと危險なところがほかの地区にあるのではないですか。
  22. 松平直一

    松平政府委員 おもだつた港には実際水先人がみんなおります。それで船舶の出入がはげしいかはげしくないかの点の考慮も必要でありますが、事実といたしましては、そういう港では船長はみんな水先を招請しております。そういう港において強制を必ずしもしがなければならないかどうかという点は、十分検討を要すると考えております。
  23. 江崎一治

    江崎(一)委員 この水先法が制定されたのは、当時のGHQの指示によつてつくられたと聞いておりますが、その点はどうですか。
  24. 松平直一

    松平政府委員 二十四年水先法が改正になりましただけでありまして、明治三十三、四年ごろから水先法はすでにあつたわけであります。
  25. 江崎一治

    江崎(一)委員 私のお尋ねしたのは、強制水先の追加の件です。強制水先が規定されたのは、当時のGHQの強い指示によつてなされたものだと聞いておりますが、その間の事情はいかがでしようか。
  26. 松平直一

    松平政府委員 もちろんGHQの要請もございましたし、先ほど申しましたような理由もありまして、従来からこの問題は検討されておつたわけであります。ちようど両方意見が一致したようなかつこうになつておりまして、政府としてはかりにGHQ関係がなくなりましても、この強制制度を廃止するとは考えておりません。
  27. 江崎一治

    江崎(一)委員 今度の行政協定に規定されております強制水先免除ということにつきましては、これはかなり実際問題として問題があるんじやないかと思うのです。日本の港については、日本の船の船長航海士などが一番よく知つておると思うのです。アメリカの船が日本の港に入る場合にこそ水先人がぜひ必要であると思うのですが、それを免除するということは、実際問題を考えてみると、逆な結果になりはしないかというふうに考えるのですが、これはどういうふうに考えるのですか。これは行政協定に規定されているのですが、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
  28. 松平直一

    松平政府委員 今度の行政協定免除になりますのは、特殊な船舶だけであります。日本へ入つて来る一般外国船は、日本船と同様、全部強制されるわけです。その点は同じであります。どのくらいこういう特殊な公用船舶が参りますか、ちよつと見当はつきませんのですが、外国はもうほとんど強制が普通のような状態でございます。それで船長も港へ入るときに水先を招請することは、何と申しますか、習慣のようになつているわけでございます。それでこういうふうに、除きましても実際は水先を招請すると思います。その場合には、当然水先料を拂つてもらわなければならぬわけですが、その点で私の方としてはあまり御心配の点はないと思つております。
  29. 江崎一治

    江崎(一)委員 現在の水先人の組織ですね。これがこれからどんどんふえて行く船舶水先に十分なだけの陣容を持つているか、その点の現在の状況はいかがですか。
  30. 松平直一

    松平政府委員 最近船舶がふえて参りまして、水先人を必要に応じて非常にふやしております。従つて現在の人数において十分まかなうだけのものは持つております。また今後船舶がふえます場合は、どんどん適当にふやして行くつもりでございます。それで現在の水先人の全体の人数は百三名おります。たとえば大きいところでは関門では十七名、阪神十二名、それから横浜横須賀東京湾水先も入れまして、十五名おります。大きな点を見ましても、この程度で十分まかなつて行けると思つております。
  31. 江崎一治

    江崎(一)委員 水先人は十分であり、その設備は大体満足すべきものであるというような御回答であつたのですけれども、船主協会の側を見ますと、実はこの水先人が足りない、水先艇が不足しておるということで、港へ来ても水先人のいないために港へ入れない、そういうために船が港外で待たなければならない、従つて滞船が長くなつて非常に迷惑をしておるということを言つております。あなたの御説明とたいへん矛盾するようですが、その点はどちらがほんとうなんですか。
  32. 松平直一

    松平政府委員 水先制度は非常にうまく行つているとは言えないかもしれませんです。御説の点はときどき起ることでございますが、この点についてしよつちゆう改善努力をしまして、最初から比べますれば、かなり改善をされて来ておるわけです。船を整備いたしまして、水先人がいつでも行けるようにしたいということであります。たとえば非常に風が強かつたり波があつたりする場合に、今の水先艇が少し小さくて沖へ行かれないというような場合もなきにしもあらずでございまして、仰せのような場合もあることはあります。この点に対してはできるだけ改善をいたして行きたいと思つておりますが、何分にも水先料金にも関係いたします問題なので、船主側の、いわゆる負担者の側の面もございまして、急に改善が行かない、十分努力をいたすつもりでおります。
  33. 江崎一治

    江崎(一)委員 話が元へ戻りますけれども、外国の艦船その他から強制水先を排除して港へ入港する場合に、やはりかなり危險を伴うことがあるのです。そういう場合に対してどういうふうな別途方法考えておられますか。何か方法が、安全に航行させるための手段を何かお考えなのでしようか、どうでしようか。
  34. 松平直一

    松平政府委員 この点は先ほど申し上げました通り、実際問題としては水先なしで入つて来ることは、おそらく予想されないのでございます。ただ強制適用しないだけでして、現在でも事実上全部水先を招請しております。従つて心配の点はまずあるまいと私の方は予想しておるわけでございます。
  35. 江崎一治

    江崎(一)委員 そんならなぜわざわざ行政協定強制水先免除する、つまり強制水先の免責ということを規定したのか、その点がどうもふに落ちないと思うのですが、その点はどうなんです。専門的な観点からどう考えられますか。
  36. 松平直一

    松平政府委員 それは私実はよくわかりませんのですが、御質問お答えはできかねるのでございます。どういうことになりますか。ちよつとその点のお答えはできかねるわけなんです。
  37. 江崎一治

    江崎(一)委員 先ほどの御説明の中に、この強制水先の項が規定されたときには、占領下における諸関係のもとに、こういうものが制定されたんだというような御説明があつたのですが、その諸関係というのは一体具体的にはどういうことですか。
  38. 松平直一

    松平政府委員 要するに港に出入する場合、その港の状況あるいは気象、海象の状況等、いろいろなことに非常に詳しい嚮導者を乗せて、船舶航行の安全をはかるということはまことにけつこうなことです。先ほど申し上げた通り、ほとんど外国では主要国全部強制なつているようなわけです。別にそう深い理由考えられないのですが、そういうような点から、日本もそういうふうにした方が安全である、こういう意向だと私は解釈しております。
  39. 江崎一治

    江崎(一)委員 この前もお伺いしたのですが、海上保安庁で、日本海並びに瀬戸内海の安全宣言をされたのですが、その後機雷がぼこぼこあちこち見つかつて、非常に危險状態があつたのです。こういう問題とやはり水先の問題と関係があるのではないかと思いますが、どうでしようか。
  40. 松平直一

    松平政府委員 私あまり機雷が浮いているという話を聞かないのですが、流れて来る方は、これは直接安全宣言関係ございませんので、それの方の捜索なりあるいは処理については、非常に苦心をしてやつておるわけでございます。最近どのくらい処理して、どのくらい流れているか、明確なところわかりませんガ、それによつて損害も起つておりませんし、まず大丈夫だと思つております。
  41. 江崎一治

    江崎(一)委員 水先法の点につきましては、このくらいにしておきます。  次に車両法関係の御質問を申し上げたいと申います。昨日の委員会軍人軍属私有する車両は、どれくらいあるかということをお尋ね申し上げたときに、大体一万八千台余りだという御回答を得たのですが、これは四月十四日の調べだと言われますが、どうもこの数字は寡少に過ぎはせぬかと思いますが、いろいろあちらこちらで聞いた数字によりますと、もつとずつと多いように思いますが、そういう点はどうですか。正確ですか。
  42. 中村豊

    中村(豊)政府委員 正式に向うからもらつた書面によるものでございますから、正確と存じております。余談でございますが、私も少な過ぎるような感じがありましたので、大体この倍くらいあるのではないかということを考えておりましたが、それは向うと話をしているうちにわかつたのですが、伝えられるような倍近い数字は、つまり車ナンバープレート数字で、これは一つの車の前後に二つつけるから、ほんとうの車は伝えられるような数字の半分ぐらいだというので、なるほどと思つたのです。これが正しい数字だと信じております。
  43. 江崎一治

    江崎(一)委員 われわれはしろうとでよくわからないのですが、ナンバープレートを見ますと、黒地に白で書いてあるのが営業用で、白地に黒で浮きぼりになつたのがこれが自家用だ、そのほかにだいだい色ナンバープレートで、一としてその次にナンバー、こういうのがあります。また黄線を引いたナンバープレートがあります。いろいろありますが、軍人軍属私有自動車はどういうナンバープレートをつけておりますか。
  44. 中村豊

    中村(豊)政府委員 今お尋ねの現在軍人軍属の持つておる車は、ジヤポツクという字が初めにあつて、それから一何々とか二何々とかなつております。これはこの法律施行後は、日本ナンバープレートと同じような様式を、六箇月後には使うことになるわけであります。
  45. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと一何がし二何がしというのは、あれは軍の公用のものではなくて、軍人軍属の私用の車ですか。
  46. 中村豊

    中村(豊)政府委員 さようでございます。
  47. 江崎一治

    江崎(一)委員 そうしますと、軍の公用の車はどういうナンバ一・プレートをつけておるのですか。
  48. 中村豊

    中村(豊)政府委員 ただいまのところはナンバープレートをつけずに、車のボデーそのもの番号を書いてございます。今度の行政協定でも、第十條第二項に「公用車両は、それを容易に識別させる明確な番号標又は個別の記号を付けていなければならない。」ということで、何らか判定するものをつけるということになつておりますが、この様式は向うにまかせられておるわけであります。
  49. 江崎一治

    江崎(一)委員 自動車による事故の数が最近かなりふえておるということを聞いておりますが、戰前戰後を比べてどのくらいふえておるか、この点について年別にでも全部わかりましたらお知らせ願いたいと思います。
  50. 中村豊

    中村(豊)政府委員 戰前の数はただいま持ち合せておりませんので、次会にでも申し上げます。
  51. 江崎一治

    江崎(一)委員 資料にして……。
  52. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それで最近の状態は、これは事業用自動車の起した事故の数でございますが、昭和二十四年において四百八十二件、二十五年度に四百六十五件、二十六年度が六百三十一件とふえております。それを原因別に申しますと、二十四年のうち、整備不良によるものが百七件、運転手の不注意によるものが百九十件、その他の原因によるものが百八十五件でございます。二十五年は、同じような原因別に並べますと、七十九件の二百三件、百八十三件、二十六年度は九十五件、二百七十八件、二百五十八件、こういう状態でございます。
  53. 江崎一治

    江崎(一)委員 これはもちちろん軍人軍属私有の車を含みますが、この自動車によつて死亡したとか、それから家をぶちこわしたといつたような数字については、集計なさつておらないのですか。
  54. 中村豊

    中村(豊)政府委員 所管外でございましたから、ただいままでの数字は存じておりません。
  55. 江崎一治

    江崎(一)委員 所管外だから全然わからないとおつしやいますが、これは警視庁あたりでもしりの持つて行きどころがなくて困り切つているのです。こういう点について、やはり運輸行政を担当される方々は、よく知つていなければいかぬ。これはきわめて怠慢だと思います。さつそく調べて御報告願いたいと思いますが、報告してもらえますか。
  56. 中村豊

    中村(豊)政府委員 十分注意すべきことでございますが、今まではその手がかりがなかなかなかつたのでございますが、これからは完全に把握することができることになるわけであります。今までの数字につきましては、方法を盡してみまして、その数字がわかれば申し上げたいと思います。その点はよく研究したいと思います。
  57. 江崎一治

    江崎(一)委員 これをほんとうに調べる気になれば、これは確実にわかると思います。犠牲者はみんな警察に届け出ておりますから、これを集計さえすればいいのです。これは日本国民として非常にみんな困り抜いておることで、骨身に徹しておると思うのです。ひき逃げされて、その結果死んでも二千円か三千円か何か見舞金が来るだけです。家がこわされても、千円くらいの見舞金が来るだけです。こういうような状態でありましたために、日本国民はこの問題に非常に重大な関心を持つております。政府がさつぱりその数字がわからないということは、これは申訳ないと思います。どうぞ誠意をもつてひとつ調べて、当委員会に御報告願いたいと思います。  それから軍人軍属車両が今度新たに日本ナンバープレートをつけて、道路運送車両法適用を受けることになるのですが、これによつて大体どれくらい新しい技術員を必要とするか、これに対してどれくらい経費を必要とするか、おわかりになつたらお知らせを願いたい。
  58. 中村豊

    中村(豊)政府委員 これはただいま大蔵省と折衝して予算打合せ中でございますので、その打合せが完了すれば確定するわけなので、まだ折衝中のわれわれの要求案でございますが、全国で人間は三十三人でございます。予算は四千二百八十万円ばかりでございます。
  59. 江崎一治

    江崎(一)委員 もう一つ参考のためにお伺いしたいと思うのですが、いわゆる一何がしというナンバープレートを現在つけておる軍人軍属私有車です。これは結局講和後はこの道路運送車両法適用になると思うのですが、そういうナンバープレートをつけておる車の中にジープであるとか、いわばアメリカ軍の兵器、こういう種類のものを私有にしておる軍人軍属があるのです。こういうものもやはり成規車両検査をなさるのですか。
  60. 中村豊

    中村(豊)政府委員 武器に類するものを私有車両にしておるのはないと思いますが、もちろんそれは想像でございますから、実際当つてみてそういうものがあれば、私有車両という点で全部通用内になるわけでございます。ジープなんかは古いのを拂い下げて、それにボデーをつけてカバーをして走つているのをよく見かけますが、あれなんかはもちろん入るわけでございます。
  61. 坪内八郎

    坪内委員 この両案につきましては、安全保障條約に賛成いたしました私どもといたしましては、結論的には賛成でありますが、二、三お尋ねしてみたいと思います。  まずあとの方の水先法特例に関する法律案についてお尋ねをいたします。この行政協定の第五條の中にも「合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課せられないで日本国の港又は飛行場に出入する権利を與えられる。」こういうふうになつておりますが、この権利というのはいろいろな面において、合衆国のそれらの関係のものが優先するのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  62. 松平直一

    松平政府委員 ただいまの御質問ちよつと私の所管外でございますので、はつきりしたお答えはできないかと思いますが、要するに開港港則でいうところの、いわゆる開港場には外国船は入れるのでありますが、そうでない港も開港場並に入れるという意味じやないかと私は思います。これは明確ではございませんので……。
  63. 坪内八郎

    坪内委員 次にお尋ねいたしますが、行政協定によりますと、飛行場共有にするところもあるように伺つておりますが、港の場合にやはり共有という場合があるのでありますか。
  64. 松平直一

    松平政府委員 基地は別といたしまて、ない思います。
  65. 坪内八郎

    坪内委員 この法律案に基きまして、こういつた関係のものは入港料または着陸料をとらないということになつておりますが、これによつてもし港あるいは飛行場を破損した場合は、日本側しその予算をもつて破損を修理するのでありましようか。
  66. 松平直一

    松平政府委員 お尋ねの点はどうも私の方ではわかりかねますので、港湾局関係の者にお尋ねを願いたいのであります。
  67. 坪内八郎

    坪内委員 これは当然起り得る問題じやないかと思うのでありますが、飛行場とか港を使用した場合に、いろいろな事情で破損しあるいは破損されるということもありますので、それに対する処置をどうするか、連絡でもしていただいて次の機会にでも御答弁願いたい。
  68. 松平直一

    松平政府委員 承知いたしました。
  69. 坪内八郎

    坪内委員 合衆国の管理下に公の目的で運航されるということになりますと、これは軍関係か、それとも民間も含んだことなんでしようか。
  70. 松平直一

    松平政府委員 民間の船でも、合衆国が要請して動かしたりした場合は、この範疇に入るわけであります。
  71. 坪内八郎

    坪内委員 この法律によつて燐料を與えられない貨物とかあるいは旅客などについて、日本国の法令に基いて入国させるというような場合には、入港料あるいは着陸料をとるのでありますか。
  72. 松平直一

    松平政府委員 それは入港料は当然とると思います。
  73. 坪内八郎

    坪内委員 私先ほど権利の問題についてお尋ねしたのでありますが、日本の港に合衆国船舶日本船舶が同時に入港した場合に、水先人なんかについてはやはり合衆国関係のものが優先をするのでありますか。
  74. 松平直一

    松平政府委員 もしも免除をされておる船でありましても、水先を要請した場合は、普通の水先の取扱いで参ります。従つて同時にといつても、水先は入港する相当以前に通告を受けるわけでございますから、その順序に従いまして水先は出かけて参ります。
  75. 坪内八郎

    坪内委員 先般私どもがアメリカから日本に帰りますときに、同時に水先の要求がありまして、非常に困つた実例がありますが、そういうときに優先をどこに認めるかということになりますと、行政協定の基本的な精神は平等だということになつておるのですが、そういつた場合に合衆国を優先的に取扱うのかということを私はお聞きしたい。
  76. 松平直一

    松平政府委員 ただいまは主要港を管理されておりますので、おつしやるように、向うの公用船舶が優先されておることは事実でございます。しかし今後は向うの水先強制ははずしましたが、もしも水先を要請する場合はあたりまえの水先料金を拂つてもらうわけであります。その水先の運営にいたしましても、全部日本でいたすわけでありますから、向うを特に優先するという心配はございません。
  77. 坪内八郎

    坪内委員 それではもの一点お尋ねいたします。講和発効後、いろいろ国際情勢あるいは国内の状態がかわると思いますが、先ほど政府委員の御説明によりますと、水先人は百三名だということでございましたが、この百三名で将来とも十分運営ができるのかどうか、あるいは将来この水先はふえるのでありますか。
  78. 松平直一

    松平政府委員 今の船の動きから申し上げますと、これでちようどよろしいと思います。むしろ船の方は減るのではないかというくらいに考えておるわけでございますから、十分人数としては間に合います。
  79. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 両案に対する残余の質疑は、次会に讓ります。     —————————————
  80. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 次に国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。玉置信一君。
  81. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 観光ホテル整備法一部改正の中にあります第八條の改正点につきまして、泉政府委員にお伺いいたします。先般当委員会において、運輸省の政府委員お尋ねいたしましたところが、法人税及び所得税の課税標準に関する登録ホテル業用の固定資産の耐用年数について、大蔵省側と事務的に折衝をいたして決定したものである、かような答弁を得ておるわけであります。そこでこの耐用年数の点についてお伺いしたいのでありますが、その前提としてまず御所見をお伺いしてみたいことは、申し上げるまでもなく最近外客が日本に相当多数参つております。昭和二十六年度における来朝外客数は、御承知のように約五万六千、その推定消費額は一千五百万ドル、これを邦貨に換算してみますと、約五十三億という厖大な金が日本に流れ込んでおるわけであります。かようにいたしまして本年に入りますと、さらに講和発効ということから、日本交通公社を通じて、さらに約三倍の日本観光のあつせん申入れがあるというようなことでありまして、日本の観光事業というものは、相当躍進的に世界に認識されておるようでございます。こうした現状に対しまして、大蔵省側といたしましては、この観光事業の将来をどういうように見られるか、現段階をどういうように認識しておられますか。わが国としてこの観光事業を今後どういうように推進すべきか、かような点についてまず御所見をお伺いてみたいと思います。
  82. 泉美之松

    ○泉政府委員 お尋ねの点は、私どもの所管外のことでございまして、どうも適切な御返答を申し上げかねるかと思うのでございますが、私どもといたしましても、日本が外貨獲得をはかるという意味におきまして、できるだけ観光客を誘致いたしまして、それとともに国際親善の促進をはかるということが必要でありますことは十分認めておるのでありまして、その意味におきまして外客が来やすいように、ホテル等につきましても十分な施設を講ずる、あるいは道路の修繕とか新設というようなことも十分はからなければならないものと考えておるのでございます。
  83. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 これは大蔵省とか運輸省とかと区わけをすることでなくて、私は政府の施策としてお伺いするのでありますが、御承知のように運輸省はさきに六千五百万ほどの予算を計上し、本年度はその三千万余の金をもつて日本交通公社あるいは観光連盟等をして、外客誘致のために積極的な宣伝その他機関等を設けて、外客誘致に努められておるということ、これまた御承知の通りであります。かようにして外貨獲得の面に、またただいま御説明のごとく、日米親善の上において寄與するところが多いことは、申すまでもないことであります。かような見地からいたしまして、私どもは今回政府が提案されておりますところの国際観光ホテル整備法の改正も、当然のことと考えまして、これに協賛を與えるべく目下審議いたしておるわけであります。ところが御承知のように、ただ外客誘致と申しましても、内におきまして受入れ態勢を完全にいたさなければ、とうてい外人を迎えるということが困難であることも、これまた御承知の通りであります。そういう点からいたしまして、政府におかれましてもすでにこうした法案を出され、あるいはまたさらに観光あつせん業法というようなものが近く国会に出るやに承つておるのでありますが、その観光ホテル整備の点につきまして、ただいまの泉政府委員の御認識からすると、この固定資産の耐用年数の点におきまして、お考えと現われておるところの数字に矛盾があるのじやないかということを私は感ずるわけであります。ということは、ホテルの整備による耐用年数は、運輸省の原案によりますと四十年ということになつておるのであります。この点につきまして、運輸省側の政府委員に質疑いたしたのであります。われわれは少くとも三十年くらいに引下げるべきではないかという意見をもつて質疑をかわしたのでありますが、運輸省側といたしましても、やはり大蔵省側と話合いをいたしております関係上、これは私の方でどうにもできないというようなことでありましたので、きよう御臨席を煩わしたわけであります。御承知のごとくあの帝国ホテルは、まだ三十年になるかならぬ年月のものであるにかかわらず、あのホテルの一部におきましては、すでに二尺も沈下いたして使用に耐えない、危險であるがために閉鎖いたしておるという事実を、私ども聞き及んでおるわけであります。     〔委員長退席、黒澤委員長代理着席〕 かような点からいたしまして、しかも世界的に有名な設計であるといわれたあの帝国ホテルが、今日においてすでに二尺も沈下しておるという現状から考えますと、私はこの耐用年数四十年ということは少し長過ぎるのではないか、かように考えるのでありまして、この点に対していかようにお考えになるか、私はあなたの先ほどの御答弁の一環といたしまして、これは当然三十年くらいに引下げるべきである、かような信念を持つてお伺いするのでありますが、御意見をお伺いしたいのであります。
  84. 泉美之松

    ○泉政府委員 お尋ねの点につきましては、なるほど外客を誇致いたしまするがために、ホテルの整備あるいは道路交通網の整備ということをはかる必要は、もちろん認めておるのでございますが、それかといつて、それでは同じホテルにいたしましても、国際観光ホテルと、それからそうでないホテルとの間に、どの程度の差別をつけるべきかということになりますと、もちろん観光ホテルでさえあれば、どういうことをやつてもいいのだというわけには参らぬかと思うのであります。観光ホテル整備法によりまする別表の耐用年数につきましては、御承知の通りこの法律ができました当時におきましては、当時の法人税の耐用年数のおおむね五割程度の耐用年数にするということで、急速に国際観光ホテルにつきまして、償却ができ得るような措置を講じておつたのであります。その後従来のわが国の耐用年数は、諸外国に比べて長いというような批判もありましたので、いろいろ検討したのでありますが、実際におきましては米国あるいはイギリスの耐用年数に比べますと、わが国の耐用年数は長くはないのでありまして、むしろアメリカ等の耐用年数に比べますと、かなり短か目になつているくらいであつたのであります。しかしわが国の現在におきまする特殊事情からいたしまして、機械その他が戰争及びその後の酷使によりまして、相当陳腐化している面がある。また技術的にも立遅れしている面がございますので、そういつた点を再検討いたしまして、できるだけ短かくするという方針のもとに、昨年耐用年数の全般的改正を行つたのであります。そこでさきに国際観光ホテル整備法によりまして、元の耐用年数の五割程度を目途としましてきめました耐用年数よりも、法人税の方できめました新しい耐用年数の方が短かくなるというような事例が起きましたので、今回国際観光ホテル整備法の一部を改正されるにあたりまして、別表のうち、そういつた矛盾を生じたものを整理いたしまして、法人税の新しい耐用年数よりも不利にならないようにすると同時に、また一般のホテルと違つて、国際観光ホテルに限りましては、若干の施設につきまして、法人税の耐用年数よりも、また従来からありましたホテル整備法の耐用年数よりも短かくするという趣旨で、今回の改正案ができておるのでございまして、もともとの趣旨が、常に法人税の耐用年数によるものの半分の耐用年数にするという趣旨でできておるのではないのでございます。それでお尋ねの、たとえば鉄骨鉄筋コンクリートづくり、あるいは鉄筋コンクリートづくりのホテルにいたしますと、建物につきましては、元は法人税法におきましては八十年の耐用年数であつたのでありますが、それをホテル整備法によりましては四十年にいたしておつたのであります。これを法人税法の方では新しく六十五年に縮めることといたとたのでございますが、しかしその同じ割合で、国際観光ホテルの方までも短かくするというのは適当でないというふうに考えまして、四十年の方はそのままにすえ置きにいたしておるような次第でございます。お尋ねの帝国ホテルのような場合におきましては、なるほどその一部につきましては、使用に耐えないような状態を起しているところがあるかと思いますが、これは御承知のような震災などによります特殊な事情によりまして、ああいうふうになつておる点もございまして、一般のホテルの耐用年数六十五年というのに比べますれば、国際観光ホテルの四十年というのは、相当の優遇になつておると思うのでございます。これをそれでは三十年にした方がいいかどうかという問題になりますと、やはり一般のホテルが六十五年である場合に、国際観光ホテルだけに限つて、その半分以下の三十年にするということは、あまりにも一般とのつり合いがとれないのではないかというふうに考えるのであります。
  85. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私も常識的に考えますと、むろん御答弁のように、一般ホテルと観光ホテルとの差をそうつけるべきではないということは了承いたしておるのであります。しかしながら観光ホテルを通じまして外客から受くる影響というものを考えますと、すなわち換言して申しますと、ホテルの内容いかんが外客を誘致するしないに大きな役割を果す、それがポイントになるということを私はまず考える。それはどういうことかといいますと、すでに泉政府委員もお聞きでありましようが、外国から来たお客さんは、日本のホテルにとまつて、ホテルの料金が非常に高いことをみんな言われておる。一方ホテル側に言わせますと、資金その他の点におきまして、どうしてもその償却費その他を勘案すると、こうした料金にせざるを得ないという状況にある。そういうことから考えてみまして、一般ホテルは六十五年、観光ホテル四十年というのを、さらに半分に引下げるということは不当であるという御意見、これも一応先ほども申しましたように常識的にはごもつともでありますが、しかし観光事業によつて日本の受ける利益というものは、先ほどお話申し上げましたごとく外貨獲得の面のみならず、外客を通じまして、精神的な日米親善のほかに、経済協力の面から考えまとて、多くの方に日本国内全般の実情を見ていただいて、日本を認識してもらうということ、有形、無形のきわめて大きな利益であると私は考えるのであります。かような観点に立ちまして、ただ單に一般ホテルという、そうした常識的な判断のもとに、これを今お説のように耐用年数をきめられるということは、国家的に見てどうか。私はむしろ国の收入になる面、財政を補う面につきましては、思い切つた施策を立てるべきだ、かような見解からいたしまして、私はお説のようなことにとらわれずに、思い切つてこれを引下げる必要があると思うが、重ねて御所見をお伺いしたいのであります。
  86. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話でございますが、耐用年数を短かくいたしますと、それだけ短期間に償却をいたさなければなりませんので、その償却できるだけの收益がなければならないわけでございますが、その收益を得ようといたしますれば、先ほど日本のホテルは部屋賃が高いというようなお話がございましたが、むしろ耐用年数を短かくすればするだけ、それだけ部屋賃が高くなければ償却できないことになるのでございまして、そういう点からいたしましても、やはりあまり短くいたしまして、償却能力ということを考えずにやるわけには行かないのでございます。やはり償却能力とその施設の物理的な耐用年数と、この両方から考えまして、耐用年数を見て行くべきものと思うのでございます。その意味では現在提案されております耐用年数程度で、適当ではないかというふうに考えておるのでございます。
  87. 滿尾君亮

    滿尾委員 関連して……。耐用年数に関する御説を伺つたのでありますが、政府委員の御説明に、外国と比べて、日本の六十五年という一般建物の場合といえども、決してこれは長いわけではないというお話がありました。しかしまた同じ御説明の中で、帝国ホテルの一部使用に耐えない点に言及せられましたお言葉のうちには、大震災等の特別な経験を経た結果そうなつたのだというお話があつた。私はこの間、政府委員のお考えに矛盾している点があるように思うのである。アメリカであるとかイギリスの場合をとつて考えてみますと、アメリカの太平洋岸は、多少地震地帯に臨んでおりますから、一九〇九年でしたか桑港に地震がありまして、また今後も地理的に見まして、若干の地震の危險を蔵しておると思いますけれども、これを中部アメリカ及び東部アメリカというような国土にとりますと、ほとんど地震がない。英国におきましては火山というものが一つもない、従つて地震は絶対にない。従つて英国の建物を、近代につくつたものを知りませんけれども、古い建物は、ただれんがを積んだだけの建物でやつておるのであります。従つてわが国の地理的な特質というものを考えてみて、年々歳々非常に強烈な台風が来襲いたしますわが国、また地震というものも年がら年中来るところのわが国におきまして、外国のそういう事情にある建物との比較を機械的にお考えになることは、ここに一つの重大な見落しがあるのではないかと私は思うのです。私の察しまするところでは、わが国のこういう鉄筋コンクリートの建物は、その耐震力というものにつきまして、おそらく非常に大きな考慮を拂つておるに違いないと思う。また地盤の関係から申しましても、たとえば二ユーヨークのマンハツタンのごときは、非常な高層建築が櫛比しておりますけれども、これは地盤が非常に強固な岩盤の上に建つておる。ところがわが国の、特に東京都にある建築を考えてみると、下町に近いところほど地盤が非常に脆弱だと思う。わが国の平野というものは大きな川の河口にあつて、大体この土砂が堆積した上に都市ができておるのでありますから、基礎工事にあたりまして、日本の建築は外国の建築よりも非常な考慮を拂わねばならぬし、費用がかかつておると思うのです。従つてその單価等につきましても、同じような建築をするにしても、日本の方が非常に高くついておるのではないかと私は想像しておるのでございます。大蔵省はそれらの点について御研究になり、かつこの耐用年数をお出しになつたものであるかどうかをお伺いいたしたい。
  88. 泉美之松

    ○泉政府委員 法人税法及びホテル整備法にきめておりまする耐用年数と申しますのは、通常の状態を予想した耐用年数でございまして、お話のごとく地震等により地盤が隆起し、あるいは沈下いたしたような場合におきましては、この耐用年数によるということはもちろん困難でありまして、そういつた場合におきましては、法人税法におきまして著しく相違した耐用年数を使わなければなりませんが、それは国税庁長官の承認を受けて、そういつた場合には特別の耐用年数を使い得るということにいたしておるのでありまして、すべてのいろいろな特別の事態を予想して、別表の年数をきめるわけには参らぬかと思うのでございまして、やはりそういつた地震等の特別の事情の場合は、特別に考えなければならぬものと考えております。
  89. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府委員におかれましては、私の質問の要点を少しお取違えになつておると思うのであります。私は日本の気候、風土というものが全般的に、ごく普通に申しまして、そういう危險を現に蔵しておる。現に年々歳々小さな地震はしよつちゆう来るし、また台風も必ず来るのです。従つてそういう地理的な條件というものは、外と言える。だからその條件のもとにおいての耐用年数を御研究になるべきであつて外国のそういう自然條件のおとなしいところと御比較になるのは、御無理ではございませんかということをお伺いしておるのであつて、今具体的に災害が起つて、その災害が特定の建物の耐用年数にいかなる影響を及ぼしたかという問題ではなしに、日本におけるこういう建物の耐用年数全体を御決定になるときに、日本の気候、風土、地理的條件というものは、どの程度にお考えになりましたか、ということをお伺いしておるわけであります。
  90. 泉美之松

    ○泉政府委員 御質問の筋を取違えたような御説明をいたしまして恐縮でございましたが、もちろんわれわれが法人税の耐用年数を考慮いたす際におきましては、御説のごとく日本の国土が、ことに南北に相当長い距離にわたつておりますために、北の果てと南の果てとにおきましては、気候風土が著しく相違いたしております。また御説のごとく地震その他の災害が多いというような事情も考慮いたしまして、米国その他の耐用年数よりむしろ短か目に、今回の法人税の耐用年数はきめてあるのでございまして、そういつた点は考慮いたした上できめてあることを御了承願いたいのでございます。
  91. 滿尾君亮

    滿尾委員 日本の建築技術屋は、具体的にさような地理的環境の違うことを考慮に入れて建設しておると思う。従つて日本の一平方メートルというか、單位当りの建設費とにうものは、外国の同様類似の建物に比べて、非常に割高についているのではないかと考えておるのであります。もちろんそれにはもつと大きな背景として、労銀なり資材なり技術なりの面が入つて参りますけれども、とにかく常時襲つて来る天然災害による単価の値上りというものは相当あるのじやないか、その点について比較研究し、御考慮せられた上で御決定になりましたかという事実をお伺いしておるのであります。
  92. 泉美之松

    ○泉政府委員 耐用年数をきめるにあたりましては、先ほど申し上げましたように気候、風土の相違、その他災害の多いというような事情ももちろん考慮いたしておるのでございますが、具体的にそれでは單価がどういろふうに相違するかということになりますと、これはお話にもございまもしたように、賃銀、資材費その他いろいろ條件が違つておりまして、これを比較いたしましても、なかなかそれだけで結論を得ることは困難でございますので、單価の比較まではいたしておりません。お話のように日本の場合におきましては、建物をつくりますとき、地盤が脆弱であるというような点から、基礎工事にもちろん相当の金がかかることとは思うのでございますが、しかし労銀その他の点におきましては、日本の場合の方が比較的安いとか、そのほかいろいろの事情もございますので、單価の点をとつて、それで耐用年数を比較して行くというわけには参らぬかと思うのでございます。もちろんわが国の現在の物価の状況は御承知と思いますが、必ずしも物によつては三百六十円対一ドルということで基準をとつて考えにくいような事情もございますので、そういつた点を比較してまでは、なかなか検討することができなかつたということをおわびしなければならぬと思います。
  93. 滿尾君亮

    滿尾委員 わが国の特殊性というものはこの程度の論議にいたしますが、結局外国との比較において、日本の六十五年の耐用年数がジヤステイフアイされるのだという点については、私はあながちそうとは思わない。少くとも今までの政府委員の御説明では、それは明確にされなかつたと思うのでありますが、今度はその点をしばらくおきまして、耐用年数そのものは、そういう建物の物理的な寿命というものだけできめたものではないという御説明をいただいたわけでありますが、その点は非常にけつこうであつた。これが物理的な生命を表示するものであれば、八十年を六十五年に御改正になること自体がすでにおかしいのでありますが、これは物理的な壽命というものを根幹に置いて、さらにいろいろ政治的な御考慮をお加えになつて御改正になつた。しからばホテル整備法に対する耐用年数の問題でありますが、同僚玉置委員に対する数々の御答弁で、大体わかつたような気はいたすのでありますけれども、せつかく八十年のときに四十年の差をつけていただいた、ここに国家の観光事業に対する国策としての御意思がはつきり出ておつたわけでありますが、いろいろなお考えから、八十年の耐用年数が六十五年になつた。しかしホテル整備法による耐用年数は元のまますえ置きであるということになりますと、今までの四十年の差が二十五年に縮まつた、縮まつたということは、つまり国家の観光事業に対する熱意がそれだけ減つたのではないかということを私どもに思わせるものがある。その点ホテルの鉄筋コンクリートの建物の物理的な壽命から見て、四十年以下には切り込めないのだ、こういうお考えであつたのか、先ほどは償却能力というお話も出ましたが、どうもこの点にすつきりしないものがある。国の国際観光ホテルに対する力こぶの入れ方が、それだけふつと小さくなつたような気がする。それではせつかくのこの問題の焦点がぼけてしまう。でありますから、私は何も六十五年の半分にしろということは一概に申しませんけれども、せつかく全体の標準が少し動きますならば、ホテル整備法につきましても、五年でも十年でも短縮して、観光国策というものは確固不動のものであり、この改正を通じてもその気持を明らかにして行くのだという御政策をとつていただくことがけつこうでないか、また必要でないかと実は考えておるのでありますが、もう一度この点に対する御答弁をいただきたい。
  94. 泉美之松

    ○泉政府委員 なるほどお話のごとく、元の法人税法の耐用年数が八十年でありました当時に、ホテル整備法の方は四十年にいたしまして、その間四十年という開きがあつたのでございます。これはホテル整備法ができます当時におきましても、われわれ法人税の一般的な耐用年数について、いろいろ検討をいたしておつたのでありまして、これをできるだけ縮めるということを考慮しておつたのでございますが、何分耐用年数の一部だけ改正するということができがたいものでございますので、全般的な研究検討が終るまで引延ばしておつたわけでございまして、ホテル整備法の場合には、特定の資産だけが出て、それについての耐用年数をきめるということでございますので、その際急遽そういつた施設について検討いたしまして、将来この程度下げる見込みであるけれども、観光ホテルの場合におきましては、特別にさらに短かくしておこうということで、四十年ということをきめたのでございまして、当時の考え方におきまして、必ずしも法人税法の耐用年数が八十年であるから、その半分の四十年という意味できめたのではないのでございます。従いまして昨年一般の耐用年数を八十年から六十年に短かくいたしたのでありますが、その際におきましては、観光ホテルの方はそういつた事情を考慮して四十年ときめてありますので、これを特に引下げることはしないということを方針として参つたのであります。四十年の開きが二十五年になつたので、これだけ国の国際観光ホテルあるいは観光事業に対する熱意が少くなつたのであるというようなことは、全然ないのでございます。初めからむしろ耐用年数を将来短かくすることを考慮して、それよりさらに短かく観光ホテルの場合に特例を設けておつたという事情にあるのでございます。
  95. 滿尾君亮

    滿尾委員 この点はどうもなまず問答になつて、はなはだ困るのでありますが、今度は角度ををかえて、一体国として観光事業に対して、どういうような助成の方策があるか、さしあたり実行し得る面において、どんな有効な方策があるかというふうに別な角度から考えてみますと、第一には交通機関の改善の問題があります。しかしこれは、観光客というものが全利用者の九牛の一毛を占めておりますので、全体のレベルを上げて行くよりほかない。観光客のための施設として、汽車なり船なりを特別にいたすことは、ある程度なかなかむずかしい仕事である。その次に考えられることは道路の改善であります。これもひとり観光客のためのみならず、国民生活のレベルを上げるために絶対必要なことでありますが、さてこれを重点的にやろうといつても、なかなかむずかしい事情にある。結局するところ、外客専用のホテルの設備改善という点が、さしあたり国が観光事業に対して手を差延べ得る最もはつきりした一つの焦点だと私は思うのであります。さればといつて、ホテルに対して助成金をやるということは、いろいろな点から困難であります。してみると、まあ税金か何かでめんどうを見てやるということが、一番具体的で適切で、他にあまり弊害が及ばなくて、一番いい方法ではないかと実は考えられるのであります。ところが大蔵省のお考えというものは、どうもそこでわくを打破しないで、ある線で足踏みをしておられるように思うのであります。本日政府委員だけをお責めするようで非常に申訳ないのでありますが、このしりはいずれ大蔵大臣にでも持つて行かなければならぬことで、政府委員には非常にお気の毒に存ずるのでありますけれども、私ども観光のことを熱心に考えておりまする委員といたしまして、本日の御答弁では、いまだどうもすつきりしない点がある。観光事業というものに対する御認識がどこか皮をかぶつてつて、隔靴掻痒の感があるということを表明いたしまして、私の質問を終ります。
  96. 熊本虎三

    ○熊本委員 関連して質問いたします。先ほど来何回かこの問題については質疑があり、ただいまの滿尾委員からの御質問で、大体焦点が出て来たと思うのですが、私の聞きたいと思うことは、国策上、観光客招致の問題は非常に重大でありますので、この奨励についてはだれも異論はなかろうと思う。しかるにこの整備法によつて、助成方法によつて減税して、これを保護援助しようという建前が、そもそも明確でないと思う。そのために先ほどの質問を聞いておりますと、どうしても耐用年数が長いとか短かいとかいう議論になつておるのでございますが、耐用年数が長い短かいということは、ひとりホテルばかりに適用されるものではない。従つてホテルに関する耐用年数を論ずる場合においては、結局一般の建造物にも耐用年数というものが関連するわけだと私は思いますが、そこにいうところの観光客招致の補助の目的が多分に含まれて、耐用年数というような形のものに現われて来ておる。ここに実に不明確なものがあると思うわけでございます。     〔黒澤委員長代理退席、滿尾委員長代理着席〕 従つて私に率直に言わせますならば、国策のために必要なる観光客誘致、その設備対策といたしますならば、これに対する方法は名実ともに備わる方法をもつて積極的に援助する、たとえば金融措置についても、あるいはこれに対する補助、援助についても、明確なる方途を講じてこれをなし、少くとも耐用年数というがごときについて、一般のものとこれとを何か年数の争いをするというような論議を避けて、明確にして行くべきではないか、かように考えておるわけでありますが、当局者はそのことなしにいろいろの質問を受けておられるところに、答弁の明確さを欠き、あるいは答弁に苦労されると私は考えておる。従つてこれに対する観光客誘致奨励のためにする根本的な方策について、将来どういうふうにして行けばよろしいかということについて、政府側の意見を私は尋ねてみたいと思うのです。
  97. 間嶋大治郎

    ○間嶋政府委員 ただいまの御質問は外客誘致について、根本的な方策をどういうふうに考えて行くかというお尋ねのように拝聴いたすのでありますが、それでよろしゆうございますか。この問題は非常に広汎にわたるわけでございますが、まず最初に一言にして申しますならば、外は誘致宣伝を活発にやりますと同時に、内におきましてはこれに対する受入れ態勢を整備するということに盡きるわけであります。その受入れ態勢のうちで一番大きなものは、何と申しましても宿泊施設、それから交通機関、道路、これに盡きるのではないかと思うのであります。特に現在問題になつておりますのは、宿泊施設が従来非常に不備であり、しかも不足であるというような点が大きな問題になつておる。また先ほど玉置委員からもお話がありましたような、日本における旅行経費、特に宿泊施設における経費が非常に高いというような点が、大きな問題になつておるのであります。われわれといたしましてもそういうふうな点の打開に、従来もいろいろ努力はいたし参りまた。昨日も本委員会で申し上げたと思うのでありますが、宿泊施設の不足の打開策としましては、接收ホテルの解除に全力をあげております。また接收施設が返りましても、どうしても足りないものについては、ある程度新設、改良も必要でありますので、これが資金の供給にも及ばずながら努力もいたしております。また一面におきまして観光事業というものは、非常に国際的な競争裡にあるものでありまして、最小限度国際水準の施設も備えなければいけないわけでありますが、日本のホテルの実情から申しますと、戰争中及び戰後のブランクのために非常に設備が遅れておる、これの近代化をはからなければならないわけであります。欧州の主要観光国等におきましては、戰後三、四年の間に、ほとんどすべての施設を近代化してしまつたのでありまして、こういう点においては日本が非常に立ち遅れておる。また先ほどの旅行費用を軽減するというような点から申しますと、確かに日本のホテルは諸外国に比べまして非常に高い、ある意味におきましては一番高いということも言えるのでありますが、これにつきましては長期低利の資金の供給でありますとか、あるいはまた経営の合理化というふうな方策もありますが、一面におきまして税の圧迫が非常に大きいということも、これは確かに言えることであります。結局われわれが考えておりますのは、こういうふうな各方面の方策を、もちろん今お話の通り、一般のホテル、旅館あるいはその他普通の施設等との振合いをよく考えて、施設をしなければならないわけであります。しかし率直に申しまして、現在まで政府がとつております観光事業に対する助成策というものは、諸外国がとつておりますものと比べまして、必ずしも十分ではないということが言えるのであります。このホテル整備法にありますたとえば固定資産税の軽減につきましては、これは一応市町村税にきめられておりまして、市町村で実施することになつておりますが、これなんかにつきましてもすでに諸外国におきましては、法律で一定の率をきめて固定資産税の軽減をやつておるというふうなところもあります。結局観光事業をどの程度国策として取上げるかという力の入れ方で、国によつてやり方が違つておる、こういうことです。
  98. 滿尾君亮

    滿尾委員長代理 ちよつと皆さんにお諮りいたします。本日は午後から道路法に関する建設委員会との連合審査があり、もう時間も定刻を過ぎましたので、ホテル整備法に関する御質問は明日の委員会に繰越していただきたいと思います。一時からの連合審査はきよう一日だけにしてくれという注文がございますので、道路法は当委員会としても重要問題でございますから、ホテル整備法に関する本日の質疑はこの程度でお讓りを願いたいと思いますが、いかがでありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 滿尾君亮

    滿尾委員長代理 それではさようにとりはからいます。     —————————————
  100. 滿尾君亮

    滿尾委員長代理 昨日山崎岩男君が委員を辞任せられました結果、理事が欠けましたので、この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 滿尾君亮

    滿尾委員長代理 それではさようとりはからいます。それでは山崎君を理事に指名いたします。
  102. 江崎一治

    江崎(一)委員 水先法についていろいろ質疑をやつたのですが、かんじんのところへ行くとわけがわからないので、明日はぜひ運輸大臣に御出席を願いたいと思いますから、さようおとりはからいを願います。
  103. 滿尾君亮

    滿尾委員長代理 承知いたしました。  それではこれをもつて散会いたします。     午後零時三十分散会