○泉
政府委員 お尋ねの点につきましては、なるほど外客を誇致いたしまするがために、ホテルの整備あるいは道路交通網の整備ということをはかる必要は、もちろん認めておるのでございますが、それかとい
つて、それでは同じホテルにいたしましても、国際観光ホテルと、それからそうでないホテルとの間に、どの
程度の差別をつけるべきかということになりますと、もちろん観光ホテルでさえあれば、どういうことをや
つてもいいのだというわけには参らぬかと思うのであります。観光ホテル整備法によりまする別表の耐用年数につきましては、御承知の
通りこの
法律ができました当時におきましては、当時の法人税の耐用年数のおおむね五割
程度の耐用年数にするということで、急速に国際観光ホテルにつきまして、償却ができ得るような措置を講じてお
つたのであります。その後従来のわが国の耐用年数は、諸
外国に比べて長いというような批判もありましたので、いろいろ
検討したのでありますが、実際におきましては米国あるいはイギリスの耐用年数に比べますと、わが国の耐用年数は長くはないのでありまして、むしろ
アメリカ等の耐用年数に比べますと、かなり短か目に
なつているくらいであ
つたのであります。しかしわが国の現在におきまする特殊
事情からいたしまして、機械その他が戰争及びその後の酷使によりまして、相当陳腐化している面がある。また技術的にも立遅れしている面がございますので、そういつた点を再
検討いたしまして、できるだけ短かくするという方針のもとに、昨年耐用年数の全般的改正を行
つたのであります。そこでさきに
国際観光ホテル整備法によりまして、元の耐用年数の五割
程度を目途としましてきめました耐用年数よりも、法人税の方できめました新しい耐用年数の方が短かくなるというような事例が起きましたので、今回
国際観光ホテル整備法の一部を改正されるにあたりまして、別表のうち、そういつた矛盾を生じたものを整理いたしまして、法人税の新しい耐用年数よりも不利にならないようにすると同時に、また一般のホテルと違
つて、国際観光ホテルに限りましては、若干の施設につきまして、法人税の耐用年数よりも、また従来からありましたホテル整備法の耐用年数よりも短かくするという趣旨で、今回の改正案ができておるのでございまして、もともとの趣旨が、常に法人税の耐用年数によるものの半分の耐用年数にするという趣旨でできておるのではないのでございます。それで
お尋ねの、たとえば鉄骨鉄筋コンクリートづくり、あるいは鉄筋コンクリートづくりのホテルにいたしますと、建物につきましては、元は法人税法におきましては八十年の耐用年数であ
つたのでありますが、それをホテル整備法によりましては四十年にいたしてお
つたのであります。これを法人税法の方では新しく六十五年に縮めることといたとたのでございますが、しかしその同じ割合で、国際観光ホテルの方までも短かくするというのは適当でないというふうに
考えまして、四十年の方はそのままにすえ置きにいたしておるような次第でございます。
お尋ねの帝国ホテルのような場合におきましては、なるほどその一部につきましては、使用に耐えないような
状態を起しているところがあるかと思いますが、これは御承知のような震災などによります特殊な
事情によりまして、ああいうふうに
なつておる点もございまして、一般のホテルの耐用年数六十五年というのに比べますれば、国際観光ホテルの四十年というのは、相当の優遇に
なつておると思うのでございます。これをそれでは三十年にした方がいいかどうかという問題になりますと、やはり一般のホテルが六十五年である場合に、国際観光ホテルだけに限
つて、その半分以下の三十年にするということは、あまりにも一般とのつり合いがとれないのではないかというふうに
考えるのであります。