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1952-04-22 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十二日(火曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 滿尾 君亮君 理事 淺沼稻次郎君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       關谷 勝利君    玉置 信一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       熊本 虎三君    山口シヅエ君       江崎 一治君    木村 俊夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房観光         部長)     間嶋大治郎君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運輸事務官         (自動車局整備         部長)     中村 俊夫君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 四月二十三日  委員山崎岩男君及び山本猛夫君辞任につき、そ  の補欠として古島義英君及び中野武雄君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月二十一日  日本国との平和条約効力発生及び日本国とア  メリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基  く行政協定実施に伴う道路運送法等特例に  関する法律案内閣提出第一七三号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う水先法の特  例に関する法律案内閣提出第一七四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一六六号)  日本国との平和条約効力発生及び日本国とア  メリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基  く行政協定実施に伴う道路運送法等特例に  関する法律案内閣提出第一七三号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う水先法の特  例に関する法律案内閣提出第一七四号)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより会議を開きます。  日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う道路運送法等特例に関する法律案及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う水先法特例に関する法律案一括議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。村上運輸大臣
  3. 村上義一

    村上国務大臣 日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う道路運送法等特例に関する法律案提出理由についてお聞き取りを願いたいと存じます。  この法律案は、日米安全保障条約によりわが国に駐留する合衆国軍隊に対する道路運送法及び道路運送車両法適用除外規定いたすものでありますとともに、従来これらの法律対象外でありました連合国占領軍軍人軍属等私有車両が、平和条約発効後は、これらの法律規制を受けることになることに伴いまして、経過措置規定しようとするものであります。その骨子について御説明申し上げたいと存じます。  第一に、合衆国軍隊公用車両には、道路運送法及び道路運送車両法に定めておりまする規制を加えることは、その性質上不適当でありますので、公用車両使用に直接関係のある規定適用を除外せんとするものであります。  第二には、現在の連合国占領軍軍人軍属等私有車両に対して、平和条約発効直後の取扱いについて特例を設けんとするものでありまして、これらの私有車両は、現在道路運送法及び道路運送車両法適用を受けることなく、連合国占領軍におきまして、別個の規制をいたしておるのでありますが、平和条約発効後は、当然これらの法律適用を受けることになるのであります。しかしながらこれらの車両につきまして、平和条約発効後ただちに登録検査等所定手続を行いますことは不可能でありますので、六箇月間の猶予期間を設けまして、その間に所定手続を完了しようとするものであります。  第三には、この六箇月間の猶予期間中に特別の事情、すなわち登録番号標が破損したり、所有者使用者がかわつた場合についてまで、六箇月の猶予期間を認めますことは、道路運送車両法の正常な運用に相当大なる悪影響がありますので、これらの場合には、すみやかに登録検査等を受けなければならないこととしたのであります。  以上がこの法律案骨子でありますが、その基本につきましては、安全保障条約に基く行政協定の第十条に明らかにされておるところでありまして、その後、合衆国側と折衝の結果意見が一致いたしましたので、この法律案提出いたしました次第であります。何とぞ十分御審議の上、なるべくすみやかに御可決賜わりますようお願いいたす次第であります。  次に日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う水先法特例に関する法律案について、その提案理由をお聞き取り願いたいと存じます。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の第五条第三項に、アメリカ合衆国によつてアメリカ合衆国のために、またはアメリカ合衆国の管理のもとに、公の目的で運航される船舶は、強制水先が免除される旨の規定があります。従いましてこの行政協定の条項を実施するため、かかる船舶の船長に対しては、水先法第十三条の強制水先に関する規定適用を除外する旨の特例法を制定する必要があるわけであります。  従いましてこの特例法案提出いたした次第であります。何とぞこの法案につきましても慎重御審議の上、御可決賜わりますようお願いいたします。
  4. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより両案を一括して質疑に入ります。質疑通告がありますので、これを許します。江崎君。
  5. 江崎一治

    江崎(一)委員 議事進行について発言したいと思います。当委員会では往往にして相当重要な法案であるにもかかわらず、法案提案理由説明をして、十分な審議をしないで即日これを採決してしまうという悪弊があると思うのです。これは法案粗製濫造ばかりではなく、政治にも非常に大きな禍根を残すことになると思いますので、爾後そういうことがないように十分御留意を願いたいと考えます。
  6. 坪内八郎

    坪内委員 議事進行についてちよつと発言したいと思います。私は江崎君の前に通告をしておつたのじやないかと思います。先ほど江崎君からお話がございましたが、この二法案につきましては、ただいま大臣より提案理由説明があつて、ただちに委員長より質疑に入るというようなお話でございますが、その間、この法律案提案につきましては、いろいろ事情もあつたであろうと想像はいたしますが、大体この二つ法律案につきましては、安全保障条約の第三条に基いて、さらにまた行政協定の第十条に基きまして、その基本的な要綱が定まつておる次第でございまして、こういつた法案はすみやかに当委員会提案をされまして、そうして慎重審議をするということが建前でないかと思うのであります。なおまた申すまでもなく今後講和条約発効前後におきましても、こういつた法律案審議をしなくちやならぬ事態にあることは御承知通りでございますので、その点につきましては委員長は十分ひとつ監督を願いたいということを委員長に要望申し上げますと同時に、どうしてこんな法律案がこういうふうにおそくなつて、即日説明即日質疑という経過に至つたか、その点について大臣からその二法律案提案が遅れたいきさつをこの際私は聞いておきたいと思うのであります。
  7. 村上義一

    村上国務大臣 行政協定の内容がきまつておりまして、それにもかかわらずこれに関連した特例法案提出が遅れた、不都合だというおしかりをこうむつておるのであります。実はこの交渉が非常に手間取りましたので、ようやく適当な点に妥結を見た次第でありまして、本日ようやく提案し得たような次第であります。遅れましたことについては、運輸省としても遺憾に思つておる次第でございます。あしからず御了承願いたいと思います。
  8. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま大臣から御説明がございましたが、この二法律案につきまては、結論的にはわれわれも賛成でありますが、この法律案説明の前に、他にも幾多の法律案付託——と申しましても、他に説明をして審議が済まないである法律案もございますので、そうした遅れたものはあとまわしにして、前にやつてつた提案理由の聞きつぱなしで質疑をしてない法律案を先に片づけられたらどうかと思いますが、この点について委員長の御所見を承りたい。
  9. 岡村利右衞門

    岡村委員長 この問題につきましては、実は本日江崎君より質問が用意されておるようなことでありましたので、江崎君の質問を聞いた後、あと質問次会に譲るつもりだつたのです。大体この行政協定関係にあるものは、二十八日ごろまでにやらなければならぬのでありますから、これは急ぐので、江崎君から質問があるからというので、それでは一人でもきように済まして、あと次会に譲る、こういう考えであります。
  10. 江崎一治

    江崎(一)委員 木船法を先にやつたらどうです。
  11. 岡村利右衞門

    岡村委員長 木船法は、提案者が今参議院に行つているのです。だからあなたの質問だけ済ましておいて、あと質問者次会にまわすということを考えているのです。江崎君。
  12. 江崎一治

    江崎(一)委員 前会の道路運送車両法の一部を改正する法律案質疑の際に、現在日本における普通自動車の数が二十万二千八百六十九台ということの報告を受けたのです。その中に三万台を含むという御説明であつたのですが、現在三万台はどれくらいありますか。
  13. 中村豊

    中村(豊)政府委員 約九千台でございます。
  14. 江崎一治

    江崎(一)委員 この前の委員会質問のときに、この三万台のほかに、大体一万八千台の軍用の自動車があるのだということの御説明でありましたが、この一万八千台というのは軍所属のものであるか、それとも軍人軍属私有に属するものであるか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  15. 中村豊

    中村(豊)政府委員 一万八千四百二十五台ありますのは、軍人軍属私有のものでございます。これは四月十四日現在になつております。
  16. 江崎一治

    江崎(一)委員 このほかに軍の公用自動車はどれくらいありますか。
  17. 中村豊

    中村(豊)政府委員 これは全然示されておりませんので、わかりません。
  18. 江崎一治

    江崎(一)委員 この連合国関係自動車事故が、全国的に見てかなりあると思いますが、私の知つている範囲でも相当数に上つておるのですが、これが一箇年累計しまして、どれくらいの数になつておりますか。
  19. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 いろいろの事故のあることは知つておりますが、直接傷害を伴いますような事故警察関係で調査いたしておりまて、われわれの方も非常に大きな事故については統計もとつておりますが、特に軍人がやりました事故については、われわれは報告を受けておりませんので、はつきりとはわからないのでございます。
  20. 江崎一治

    江崎(一)委員 今後この特例法によりまして、道路運送車両法適用外に置かれますところのこれらの車両について、あるいはブレーキの故障であるとか、あるいはまたクラツチの故障であるとか、こういつたようなことで日本国民に及ぼす影響というものは非常に大きなものがあると思いますが、こういう点についてどういうようにお考えでありましようか。今までの占領軍事故なんかをわれわれが直接いろいろ見たところによりますと、これはかなり問題があると思うのです。こういう点について政府はどういうようにお考えでしようか。
  21. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 アメリカの車は、軍にあります車でも、あるいは今まで個人が持つておりました車でも、半年に一回ずつの検査をいたしております。これは御承知日本道路運送車両法では、先ごろ御改正、御可決願いまする前まで、全部一年ということでございましたが、半年ごとに検査をしておりますし、また検査状態も私多少知つておりますが、かなり厳重に行われております。ただやはり事故は、酒を飲んだ兵隊さんなどが運転しておるものが多いので、車そのものについてはそう心配はありません。今後におきましても、やはり半年に一回ずつの検査を行うと申しております。
  22. 江崎一治

    江崎(一)委員 今軍公用自動車がどれくらいあるかわからぬというお話であつたのですが、これはかいもくわからぬということはないと思うのです。概算これくらいあるだろうというような点については、やはりわかつておらなければならぬと思うのですが、そういう点についてばどうですか。
  23. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 これはわからないと申し上げるほかしかたがないのであります。
  24. 坪内八郎

    坪内委員 この二法律案あとまわしにしてもらいたいというような要望を申し上げておつたのでありますが、質疑がありましたので、この際一言お尋ねしたいと思います。り  第一の法案提案理由説明の中にも「連合国占領軍軍人軍属等私有車両」というふうなものがあるのですが、この「軍人軍属等」という「等」の中にどんなものが含まれるのかお尋ねします。
  25. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 行政協定に書いてあります文句は、日本語にいたしますと、公用車両私有車両二つにわけてあるのです。これはちよつと明確を欠きますので、向うのGIとよく御相談しまして明確になつたのですが、公用車両というのは陸軍、海軍——海軍にはもちろん海兵隊を含みます。空軍の持つております車であります。残りが私有車両でありまして、これが現在アメリカの各地の憲兵司令部登録しておる車でございます。従いまして軍人軍属あるいはその他の政府機関のようなものが持つておる車でありましても、これは私有車両として扱う、こういうことなのであります。たとえば原子委員会かなんかも調査に来ておりますが、これは個人の車ではないように思いますが、やはりこれも私有車両として扱う、そういう意味で軍人軍属その他の機関の持つておる車も若干あるようであります。
  26. 坪内八郎

    坪内委員 ただいま御説明がありましたが、ちよつとまだ納得が行きません。法律家の話によると、「等」という文字法律の文章の中に入れるというのが、なかなか味のあるところだということをよく聞くのでありますが、そういうようなお話でありますと、この法律では連合国占領軍軍人軍属のみならず、それらの家族というものを含められて、結局日本に居住するたとえば米国人とかあるいは連合国全部というように解釈されるような点もあるのでありますが、その点はどうでございますか。
  27. 中村豊

    中村(豊)政府委員 提案理由説明ではなるべくわかりやすくということで今のような言葉使つたのですが、法律を見ていただきますとわかるように、第一条で、合衆国軍隊には道路運送法適用しない、また合衆国軍隊には道路運送車両法適用しないというふうにしまして、軍隊には適用しないという例外規定を置いただけで、軍隊以外のものはすべて適用されるわけであります。
  28. 坪内八郎

    坪内委員 そういうようなお話でございますれば、ことさらこの法律案につきましては各条文なんかも研究いたしまして、慎重に審議するのが当然じやないかと思いましたので、先ほど来そういうことを私申し上げたのであります。今の局長お話のように、法律条文にそういうことが規定してあるといたしますれば、提案理由の中に「等」という文字をことさらに入れる必要はないじやないかと思うのでありますが、どうでございましようか。
  29. 中村豊

    中村(豊)政府委員 提案理由説明の方は具体的にわかりやすく書こうとして、軍人軍属とまで書いたのでありますが、それだけでは全部がおおい切れませんので、「等」という言葉使つたのでありますが、その点があいまいであるということは御指摘の通りでございます。その点は日本法律自身の方ではきわめて明確に、先ほど申しましたように、合衆国軍隊にはこの二つ法律適用しないで、それ以外は全部適用する。第二条以下は、但しそれに適用するけれども、それについての経過措置を書いておるというわけでございまして、法律的には何ら疑いをいれないのであります。御了承願います。
  30. 坪内八郎

    坪内委員 こまかいことは次回の委員会質疑いたしたいと思いますが、もう一点お尋ねいたしたいと思います。この法律に基いていわゆる連合軍関係のものが優先的な取扱いを受けるように相なりまするが、もしそういつた関係の車が事故を起した、たとえば傷害事件を起したとかいつたような場合の裁判関係については、安全保障条約なりあるいは行政協定におきましても、いろいろと問題があつたところでありますが、そういつた裁判関係の点はどうなりますか。
  31. 中村豊

    中村(豊)政府委員 「軍人軍属等」という言葉は、便宜使わしていただきますが、軍隊以外の軍人軍属等私有車両は、すべて道路運送法及び道路運送車両法適用を受けまして、検査登録を厳重に日本の車と同様にされるわけであります。従つてその点については予算的措置も講ずるように今打合せ中でございますが「その後事故を起した場合にこれをどうするかの問題は、裁判権の管轄の問題と申しますか、そちらの方にゆだねますので、これは法務関係法律で明確にされるものと思つております。
  32. 坪内八郎

    坪内委員 そういつた事故を起した場合には、日本法律適用を受ける点もわかりますし、また日本司法権でいろいろ処罰する申しましようか、そういうこともわかりますが、かりにこういつた軍人軍属等の車によつて日本人がひき殺されたという場合に、民法に基く損害賠償とかあるいは慰藉料の請求をした場合には、当然受けられるというふうにお考えでございますか。
  33. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この法律では車両整備登録検査という主として車両保安の面、それから道路運送法の問題について触れておるのでございまして、その結果起した事故責任、それに対する賠償責任というような問題につきましては、これは法務関係法律で定められるわけでございまして、その点はそちらの法律について御審議願いたいと思います。これは運輸省所管の問題ではございませんので、御了承願いたいと思います。
  34. 玉置信一

    玉置(信)委員 関連して……。ただいまの局長の御答弁によりますと、向う法律適用してきめる、こういうふうに聞いたのですが、その点もう少し明確にお話願いたいと思います。
  35. 中村豊

    中村(豊)政府委員 賠償責任その他司法上の問題は、日本政府法務府で何らかの特例法律を定めると思いますので、その法律によつて規律されることになるのであります。この点は日本政府法務府の所管事項でございまして、日本政府運輸省所管事項ではないと申し上げたのです。
  36. 坪内八郎

    坪内委員 その点につきまして大分明確になつて来ましたが、いやしくも自動車行政に当る監督立場にある政府といたしまして、その整備検査車両、そういつた関係においてまずわれわれ日本人がひき殺された、そういつた場合の司法処分は大体どういうふうになるのだとか、あるいはそれに対する民法上の慰藉料とか損害賠償は、どういうふうになるんだというようなところは、監督立場上ある程度自動車局なりそういつた方面において知つておられるのが当然ではないかと思いますが、その点ももう少し明確にお話願いたい。
  37. 中村豊

    中村(豊)政府委員 もとより重大な関心を持ちまして、法務府と政府部内において折衝しておるのでございますけれども、政府としての意思表示といたしましては、その主管担当法務府の方から御説明いただくのが妥当と思つておるわけでございます。
  38. 江崎一治

    江崎(一)委員 この際ちよつと参考のためにお伺いしておきたいと思うのですが、警察予備隊などの車両につきましては、道路運送車両法はそのまま何ら特例を設けることなしに適用されるのですか、その点はどうですか。
  39. 中村豊

    中村(豊)政府委員 何ら例外なしに、全面適用でございます。
  40. 岡村利右衞門

    岡村委員長 両法案の爾余の質問次会に譲ります。     —————————————
  41. 岡村利右衞門

    岡村委員長 次に国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案議題といたし、質疑に入ります。質疑通告があります。これを許します。坪内八郎君。
  42. 坪内八郎

    坪内委員 この国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律には私は賛成でありますけれども、これにつきまして問いただしておかなくちやならぬ点がございますので、一、二質問を申し上げたいと思うのであります。もともとこの法律ができ上りました経過につきましては、われわれ十分承知いたしておるのです。従つて戦後外客を誘致いたしまして、そうして外貨を獲得しようというのが、この国際観光ホテル整備法のねらいであつたのですが、しかるにその後の状態をわれわれが見ておりますと、この法律に逆行するような行き方が現実に現われておる。たとえば先般世界各国を旅行して日本にも来た旅行者の話、あるいは新聞記事なんかでも御承知通りと思いますが、日本は世界一風光が明媚で、人情こまやかで、景色も世界一であつた。しかるにこのホテルの高いこと、これまた世界一だというような批評があつたことは御承知通りでございまして、われわれはそれらのことについてもつと関心を持たなくちやならぬと考えております。なお実例といたしまして、先般われわれは同僚議員の二、三とともにアメリカに行きまして、帰りにあちらのいわゆる数千名の外客日本に帰つて来たのでありますが、それらの人人がことごとく日本ホテルには紹介はしてくれるな、普通の日本式旅館でいいから、日本式旅館を紹介してほしいということを、みな口をそろえて申しておる現状でございます。従つてこういつた問題につきましては、景色日本はいいけれども、世界一高いホテルだというような認識を世界各国に与えるということは、何かこういつた監督立場にある観光部——現在では部でありますが、近く行政機構の改革によつて格下げになるそうでありますけれども、そういつた指導の立場にある点におきまして、大きな欠陥があるのではないかということが考えられますので、この点につきましてそういつた欠陥なり隘路、あるいはそういつたことになつたというのはどこに原因があるのかということを、われわれはこの際検討しなくてはならないと思うのであります。先般当委員会におきましてもこの観光局設置必要性にかんがみまして、決議をいたしたような状態でありますが、その決議につきましてもあとでいろいろな了解的な話がありまして、国際観光——国際という文字を入れようじやないかというお話もあつた通りでございまして、そういう点から考え合せまして、景色はいいが世界一高い、こういうことでは、私はこの整備法の一部を改正する法律案ということにつきましても、まつた目的をそれたやり方ではないかと考えますので、その点をひとつお伺いいたしまして、質問を続行したいと思います。
  43. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 ただいま日本ホテル料金が非常に高い、その結果外客ホテルよりもむしろ日本旅館の方がよいというようなお話がございました。この点につきましては現在ホテル料金が非常に高いということが、各方面から論議されておりますことは事実でございます。大体私どもの考えでは、現在の日本ホテル料金は、アメリカ一流ホテルの普通の料金くらいをとつておると思います。ところが実際の設備を比較してみますと、非常に劣つておるわけであります。大体日本一流ホテルと同じ程度の設備を持つヨーロツパのホテルと比べてみますと、三割ないし四割くらい向うの方が安いのじやないかというふうに思われるわけであります。この点につきまして、それでは何が原因であるかということでございますが、いろいろ原因はございますが、まず第一は何と申しましてもホテルの事業というものは、御承知のように当初に莫大な資本を投下いたしまして、しかもその回収に相当な年月を要するものであるにもかかわらず、長期低利の資金の供給をすることができませんで、非常に短期の、しかも非常に高い利子の金を借りて整備をしなければならぬというふうな実情になつておることは、御承知通りと思うのであります。この点を打開いたしますためには、いろいろの方策も考えてみたのでありますが、何分現在の日本の経済情勢から考えまして、長期に低利の資金を供給することが非常に困難な事情もございまして、今まで十分の成果を上げておらないのであります。これがまず第一の理由だと思うのであります。  それから第二は、税制の問題なのであります。これも御承知通り現在日本では、遊興飲食税という二〇%にも上る非常に高額の税金をホテルの中における宿泊飲食に課しておりますが、この点は坪内委員も御承知通り、外国におきましてもある程度滞在税のごときものを課しておるところはございますが、それもせいぜい三%とかあるいは二%というふうな低額のものであります。しかもこういうものを課しておる場合には、目的税——ヨーロツパ等では大体目的税になつておるのであります。日本では税率といたしましては二〇%、もちろん府県によりましては実際はこれよりも低い税率を課してはおりますが、全国を平均いたしまして大体一〇%以上のものをとつておるように思われるのであります。こういう点がやはりホテル料金をある程度高くしておるということにもなつておると思うのであります。  第三は、御承知通り日本におきます一流ホテルのほとんどすべてのものは、進駐軍に接収せられておつたわけであります。そのためにホテル施設、特に東京、こういうふうな場所におきますホテルは、絶対数が非常に不足しておつたわけであります。その結果、一部におきましては実際はもう少し安くできると思うのでありますが、高くしても幾らでもお客が来るというようなことで、需要と供給の関係である程度高くなつてつたというふうな部分もあるのではないかと私は思つておるのであります。最近相当数ホテルが返つて参りまして、そして古いホテルですでに償却も相当に済んでしまつておるようなホテルにおきましては、終戦後できましたホテルに比べまして、かなり安い料金でやつておる実情であります。とにかくこういつたホテル施設の絶対的な不足、こういうことがやはり従来ホテル料金を相当高くしておつた一つの原因ではないかと私は思うのであります。それではこれに対してどういうふうな方策をとるかということでありますが、結局一つ一つを片づけて行くよりしかたがないわけであります。まず第一の資金の問題についても、これは経済政策の全般といたしまして、もう少し長期低利の資金の供給ができなければならぬわけでありますが、その方は今後に譲るといたしましても、もう少し資金の供給が円滑に行くようにわれわれも努力しなければいけないと思うのであります。御承知のように昨年の秋から、設備資金の抑制というような大きな方針が出て参りまして、われわれも非常に困つてつたのでありますが、最近は少し行き過ぎておりまして、幾分緩和するというような方向に向つておりますので、従来やつておりましたような融資あつせんをさらに強化して行きたい、こういうふうに存じております。  それから次の税制の遊興飲食税を引下げるというような問題につきましては、国会方面でも地方税法の改正を御検討になつておるやに聞いておりますが、これはわれわれの立場からすればぜひお願いいたしたいと思うのであります。最近とりました一つの措置といたしましては、登録ホテルにおきます外客の宿泊と飲食に対します遊興飲食税を、一般の税率の五割減にするということを実施いたしました。これは地方財政委員会から各都道府県に通牒いたしまして、大体四月一日から各府県とも実施するようにいたしておるのであります。具体的にはたしてどういうふうな税率にするかということは、まだ実施早々で判明いたしておりませんが、現在実際に適用しておる税率の大体五割減、こういう趣旨で各都道府県に通牒を出しておるのであります。それから御承知通りホテル整備法によりまして、固定資産税の軽減が登録ホテルに対して適用し得ることになつておるのであります。ところが実際の実績を見ますと、現在までホテルの方で十五件、登録旅館の方で六件だけ、固定資産税の軽減を見ておるのであります。ほかのものは現在まだ折衝中であります。近く軽減を見る予定のところもありますし、非常に難航をきわめておるところもあるのでありますが、これにつきまして直接折衝でうまく行かないようなところは、われわれも乗り出しまして、都道府県と折衝して解決して行きたい、こういうふうに存じておる次第であります。それからまた今度の改正法案によりまして、さらに登録ホテル及び旅館に対します耐用年数を短縮するということを実施いたしますので、この面でも幾分ホテルの経営が楽になるのではないかと存じておる次第であります。  また先ほど申し上げました第三の、ホテル施設の絶対的な不足につきましては、最近四月までに十のホテルが接収解除を見ました。二、三日前にはさらに六つばかり接収を解除するという発表がありました。この点につきましては、現在外務省を通じてアメリカ側と折衝中でありまして、アメリカ軍がほんとうに必要とする最小限度のホテル施設を提供するというような考え方で、それ以外のものは原則として全部自由営業にいたしまして、一般観光客がとまれるようにするというふうな考え方で進んでおるのであります。向う事情が許します限り、逐次返還してもらうという方針で進んでおるのでございます。とりあえずそういうふうな方策を実施いたしまして、できるだけ早く宿泊料金を引下げて、そして一般外客から日本ホテル料金は世界一高いというふうな悪評を買うことのないようにいたしたいと存じておる次第でございます。
  44. 坪内八郎

    坪内委員 ただいまいろいろと御説明がございましたが、この国際観光ホテル整備法が制定されましても、予算の裏づけがない、財源の裏づけがないために、仏つくつて魂入れずというようなかつこうになつているということをわれわれはよく聞くのでございます。その辺の事情もわかるのであります。さらにまた部長お話になるように、いろいろな点があつてそういうような結果になつているということも知つておりますし、そういつた方面の努力をされていることもよくわかりますが、実際問題としてこのホテル整備法は、外客を誘致して外貨を獲得するということがねらいであつたにもかかわらず、むしろ外客が逃げて行くというふうな状態は何とか検討しなければならぬと考えまして、私は質問を申し上げている次第であります。先ほど部長から、ホテル設備費とか、あるいは増設費とか、あるいは銀行の利子が高いから、結局高い料金になつているのだというようなお話がございましたが、私はこの考え方は少しおかしいと思うのであります。そういつた設備なりあるいは銀行利子なり、そういう費用がかかつても、お客の宿料はそういうことと別個に調整、コントロールして行かなければならぬ、かように考えるわけであります。そこでお尋ねいたしたいのでありますが、そういつたものは何か標準的に宿泊料がきまつておりまして、それについて監督側にある観光部で、こういう価格にしろというような何か指示でもなさるのでありますか。その点をまずお尋ねいたしたいと思います。
  45. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 ホテル料金あるいは宿泊料金に対しましては、現在何も統制がございませんので、一応自由なのであります。しかし整備法によりまする登録を受けましたようなホテル等につきましては、登録によつてある程度恩典も受けておるわけでありますから、われわれとしましてはこのホテルがそういう恩典を受けておつて、はたしてどの程度の料金をとつておるかということについては、重大なる関心を持つておるわけであります。ですから、強制するわけには参りませんけれども、たとえば解除されましたホテルが開業するというふうなときには、大体幾らくらいの料金とするのかという問合せをしまして、その提示を実は求めているのであります。そうして結局話合いでこの程度にしたらどうかというふうなことでやつてもらつたものもありますし、ただ報告を受けまして、別にとりわけ高いということもないのでそのままにしてしまつたところもございますが、われわれとしましては重大な関心を持ちましてホテル料金を調べたのであります。ことに一流ホテルが最近解除になりましたが、これが結局それ以外のホテル料金の基準になるわけであります。たとえば帝国ホテルが先般解除になりますと、結局帝国ホテルが幾らだからほかが幾らということになつて来るわけでありまして、帝国ホテル等の料金につきましては、社長からもあらかじめ相談を受けまして、われわれの意見申し上げ、現在の段階においてはこの程度でまあやむを得ないじやないかというふうなところできまつておるわけであります。
  46. 坪内八郎

    坪内委員 宿泊料金につきましてお話がございまして、今まで高級なホテルが少かつたために、高くても客が来るというような関係から、業者は料を高くとつてつたというような点もあるたろうということでございますが、そういうことにつきまして監督側にある皆さんといたしましては、何かそれを押える手がないかどうか、その点をお尋ねいたします。
  47. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 今申し上げました通り料金そのものが高いからこれを下げよということにつきましては、別に法律の根拠も何もございませんので、言うことはできないわけであります。しかしホテル整備法等によりまして登録を受けましたホテルに対しましては、われわれとしましては経営の内容というものについても十分な関心を持つべきでありまして、またあの法律によりますと、経営の改善につきましても運輸大臣が勧告することができるというふうな条文がございますので、これに基く勧告——大臣の勧告にまで行かなくても、私どもから事実上の勧告をするというふうなことはできるわけであります。
  48. 坪内八郎

    坪内委員 そこでいろいろお話がございましたが、そういつた料金関係につきましては、別に法的な根拠もないというふうなことでございますが、少くともこういつた観光ホテル整備法に基いて登録を受け、見返り資金なり、その他政府機関において何らか助成を受けるようなホテル業者に対しては、もう少し私は監督を厳重にと申しましようか、あるいは話合いをして、外客が逃げ出さないようにする必要があると思うのであります。  そこでもう一点お尋ねをいたしますが、そういう状態にあつて現在の観光部としては、むしろ観光部を局に昇格させまして、そうしてそういつたものを合理的にやろうというねらいがあつたであろうと思いますし、当委員会といたしましてもそういつた決議もありますが、最近の行政機構改革によつて、観光部は課に切下げられ、何か観光監とか何とかいうものを置いて、さらにこの監督に当るということでございますが、今でさえこの法律の趣旨に逆行するような行き方がある現状において、むしろこういつた機構になると、さらにそういうことに拍車をかけて、監督行政という面がうまく行かないようになるのじやないかという不安も起つて来る次第でございますが、その点についてひとつ所見を承つておきたい。
  49. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 観光に関しまする指導、監督と、それから機構との関連についてのお尋ねのように存じますが、この点につきましては観光行政は、もちろん一部には法律によりまする監督行政もありますが、大部分は助長行政が非常に多いのでございます。助長行政になりますと、関係の官庁、あるいはその他の方面と十分連絡をとり、あるいは民間の方とも十分連絡をとつて、事実上の指導なりあるいは助成なりをやるというふうな仕事も非常に多い。ほかの純粋の監督行政とは、大分趣を異にする点が非常に多いと思うのであります。その関係でこの折衝方面も非常に広うございまするし、また従来私どもは率直に申し上げまして、はなはだ微力な点もございますが、観光部というふうな機構の中におりますと、事実上対外活動も必ずしも十分でないというふうな点もあつたように思うのであります。今度の行政機構改革につきまして、私どもはいい悪いの意見を申し上げる立場にはございませんが、非常に困りますことは、現在部という機構がございましたが、これがなくなりまして、現在三つの課がありますが、かりに三つの課を残すといたしますと、形式的には三つの課がそれぞれわかれて仕事をして行くというふうな形になりまして、観光監が横におりまして、これを統制して行くという、こういうような立場になるのであります。対外折衝あるいはまたその他の国際的な関係におきましても、現在世界各国の観光機関が寄りましてつくりました官設観光機関国際同盟というものに、運輸省の観光部が部として加入を認められました。二月の閣議でこれを受諾するということに決定いたしたのでありますが、こういう点もはたしてどうなるか。部として加入を認められましたので、またあらためて何か機関として入らなければいけないか。観光監というのは職名でありますので、これで入るわけには参りませんし、従来観光部として入りましたものが、三つの課にわかれました場合、はたしてどの課が入るかというような、そういう点もはなはだ不都合があると思うのであります。きまりました以上は、とにかく支障を生じないように何とかやつて行かなければならないと思うのであります。従来でもわれわれといたしまては、活動上ある程度の不便があつたということは、これは事実であります。
  50. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 私はこのホテル整備法の一部改正については賛成でございますが、また本日はホテル整備法の改正についての議案でありますから、あまり横へ触れたくないのでありますが、今伺つております間嶋観光部長の御説明、また坪内委員から説明があつたことに関連いたしまして、この際ちよつと前提として申し上げておきたいと思うことは、現在の観光というものは、未来の日本の経済確立の上においても重要な役割を果さなければならない段階に立ち至つているにもかかわらず、このたびの整備法によつて観光部を観光課にする。今お話によれば、行政改革によつて観光監というものを置いて、何だか統制のつかないような方法にするというふうな話でありますが、在来においても観光部というものが強力な力を持つていなかつた立場にあるがために、国際的観光問題、あるいは国内の観光問題につきましても、いつでも議論ばかり百出いたしまして、これが完全に遂行することができなかつたことは周知の通りであります。ことにこのたび考えていただかなければならないことは、いよいよ講話の批准が済んで、世界の仲間入りをしようという日本の国内でも、現在旅館の数は三万五千有余になんなんとしておりましよう。しかしここに見ますと、全国で観光ホテルとして指定されましたところが、在来のホテルとして五十軒、あるいは旅館整備法によつて観光旅館適用されるものが三十四軒、そのホテルのうち東京都内が八軒ということになつておりますが、こればかりの数で世界を相手に観光事業の看板をかけようということは、とうてい不可能な問題であります。観光部が在来いろいろ心配してくださり、またこれによつていろいろの方面からいろいろの御意見があつたようでありますが、これらも実施の成果を上げることはできなかつた。ことに最近伺えば、内閣に観光審議会ができておりましたが、これもつい先ごろ任期が来て、その後は観光審議会が継続されているのかいないのかもわからないような状態であります。一面外国へ行かれた方々の報告を伺えば、どうしても日本は観光面をもつと強くしなければいけないということは、これは一般の声であります。それにもかかわらず、しばらくたつと何だか立消えになつてしまつて、いつもこの目的を達成することができない。同時に外国の例を見てみますと、日本の現在の立場からすれば、観光庁はおろか、観光省ぐらいをつくつて、世界にこれを紹介しなければならないというような立場から考えまして、私はこの観光庁設置問題につきましては、もつと強く要望を申し上げる次第であります。  本日議題となつておりますところのホテル整備法の一部の改正につきまして、政府委員にお伺いしたいことは、現在の五十軒の観光ホテルに対しまして、収容人員は何人ありますかということ、それから東京都内に八軒のホテルがあるが、これが何人宿泊できるか、またホテル整備法によつて指定されました三十四軒の旅館に何人とまれるか、そのうち外人が何人くらい利用されているか、その成績のぐあいはどういう結果になつているかということを、まずお伺いしてみたいと思います。
  51. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 ただいまお尋ねのホテルの収容人員及びその実績につきましては、詳しい表を実は別途つくつておりますので、それを差上げますことで御了承願えましようか
  52. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 大体の標準を御発表願えれば参考になると思います。
  53. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 現在全国で五十軒登録いたしておりますが、これが大体ホテルの数におきましては約半数でございます。しかし収容人員におきましては全体の三分の二をやや越える程度の収容力を持つております。全体の収容力といたしましては約一万でございます。そのうちの六〇%をやや上まわる程度が、この五十軒の収容力であります。ですから六千人ないし七千人になると思います。それから旅館につきましては、登録をいたしました旅館は現在三十五軒ございます。この中で実は旅館の方は登録をいたしまする場合には、外客の宿泊に適する部分だけを登録するという建前をとつておりますので、この旅館の収容力全体が外客の収容力になるかというと、そうでもありません。しかしまた実際問題といたしまして登録した部分以外にはとまれないかというと、程度は落ちますけれども、とまれないわけでもないのであります。でありますので、正確にそれでは外客の収容力が幾らかということは、ちよつとはつきりは申し上げ得られませんが、大体室数にいたしまして、この三十五軒の登録いたしました部分の室数が、平均いたしますと十四、五室くらいになつております。正確なところはあとで表にして差上げますが、大体一旅館平均十四、五室の程度であります。その程度が登録した部分であります。登録した部分は大体その設備基準がホテル整備法の基準に合いまして、外客の宿泊に適するものという考え方でありますが、しかし先ほど申し上げましたように、程度は落ちてもほかの部分にもとまれないことはないわけであります。
  54. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 はつきりした数字が伺えなくてよくわかりませんけれども、私の伺うところは、全国で登録されたホテルに対して六、七千人の宿泊のあれがある。それから旅館登録いたしましたものに対して、一つの旅館で十四、五室の登録室がある。しかしこれに対する宿泊人員はどのくらいあるかということと、現在これはどのくらい利用されているかということもこまかく伺いたいのですが、あまり調査がはつきりしてないようでありますから、何らか表をもつて御指示を願えればけつこうだと思います。私は別にこの数字をどうこうという問題でなく、現在実際問題としてどういう成績が上つているか、どういう効果が上るかということを伺いたかつたのです。しかしそれに伴いまして私は二、三点お尋ねしてみたいことは、先ほど税率の問題につきましても、遊興飲食税を五割この整備法ホテルに対して軽減するという話でありますが、これらの問題も実際実行されておりましようか。これを実行する場合におきましては、どういう方法をとつているかということを、まずお伺いしてみたいと思います。
  55. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 先ほど申し上げました遊興飲食税の軽減は、登録ホテルにおきまする外人の宿泊及び飲食に関して、一般に適用しておる税率の五割減という措置をこの四月一日からとつたわけであります。これに対しましてそれではどういうふうに実際適用するかということでありますが、これは都道府県がそれぞれやりますので、まだ未確定のところが非常に多いのであります。しかし先日二、三の府県に問い合してみましたが、兵庫県のごときは現在法律では遊興飲食税は一般に二〇%になつておりますが、兵庫県は一応税率を一〇%にしておるのであります。そしてホテルでは、たとえばあそこのオリエンタル・ホテルのごときは、一〇%というものは宿泊料及び飲食とは別書きにして、別にはつきり出してとつておる、今度外客に対しましてこれが五割減ということになりましたので、外人に対してそのホテルにおいては五%ということでとる、こういう回答を得ておるのであります。こういうふうな方式をとるところもあると思いますが、しかし必ずしもこういうふうなやり方をやるとは限らない。東京都のごときは実はまだ未定でありまして、ホテル業者の方は、低い税率であれば全部そとに出してとりたい、税込みという建前はやめたいということを言つておるのであります。私もこの税率が合理的に低いものであれば、やはりそとに出してはつきりとつた方がいいのじやないか、税込みというような変な形でやるよりも、かえつていいのではないかと思うのでありますが、東京都の方はまだそういうふうな方式をとるというふうなことを決定しておらないようでありますし、また税率そのものも、法律に書いてあります税率と実際とつておる税率とが相当開きがありますので、この間の調整をどういうふうにやるか、府県によりましてはその税率をはつきり出すことを好まないところが大分あるのであります。そういうところになりますと、結局税込みというふうなことにせざるを得ないわけでありますが、外人だけに対して五割減ということになりますと、税込み料金と別にしなければいけないというふうなことも起るわけであります。この点につきまして実は今ホテルが各府県と折衝中でありますが、私どもは先ほど申し上げましたように、低い税率で別書きにすることが一番理想的でありますので、それができればそうする。それからもしできない場合には、一応税込みの料金をつくつておいて、割引くというような方法をとつたらどうか、こういうふうにも考えておる次第であります。
  56. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 どうもはつきりした数字が出ないことは、商売の性質といいましようか、いつもどうも要領を得ないような結果になつてしまうのですが、私どもはこれらにいささか関心を持つておりますので、はつきりした線を出したいと思つてあらゆる面をお伺いしておるのですが、この問題ばかりでなく、融資の問題におきましても、先ほど坪内委員からお尋ねがあつた通りでありますが、業者は外国人に満足するような施設をして、しかも安価な料金にして外貨の獲得をはかろうという気持には間違いないのでありますが、いかにもこの融資の面にいおきましても薄弱である。また銀行に行きましても、それはどうもぐあいが悪いといえば、それでおしまいです。またそう言われてしまえば、もう二度と観光部へお願いしても、また大蔵省へお願いしても、それは君、今それどころじやないよというようなぐあいで、一笑に付されてしまうような感が多いのであります。そういうような関係からいたしまして、この融資の問題が確立しておりませんために、せつかくできましたところの整備法を業者が完全にこれを遂行するととができない状態にある。先ほど申し上げましたように三万五千軒からある業者のうちで二十余軒、数にいたしましたらもうわずかなものです。国内で一県に一軒というようなぐあいで、はなはださびしい状態でありますが、まず今後この税率問題あるいは融資問題につきましていかなる確信があるかということと、これに対する大蔵省当局あるいは関係当局はどういうふうに現在認識されておりますかということを、いま一応お尋ねしておきたいと思います。
  57. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 ホテル旅館等に対する融資問題につきまして今お話がございましたが、率直に申し上げまして現在のところはことに大蔵当局等におきましては、あまり同情的でないということがお話できると思うのであります。この点実は私どもが非常に困り、大いに努力しているところでありますが、先般も一旦政府が閣議できめましたあるホテルに対する融資について、二十五年度にきまつておりましたものがいろいろな事情で延び延びになつておりまして、それをいよいよ計画を変更して出して来ましたところが、大蔵省では出したくないというふうな問題がありまして、まだ未決になつております。いろいろ折衝いたしましたが、大蔵省等の考え方としましては、必要なことはよくわかる、またやればいいということもわかるのだが、しかし何分今のところは時勢が非常に悪い。特にまたホテル等のごとく都市のまん中にある程度の大きなものができるというふうなものについては、賠償関係等もあり、どうもぐあいが悪い。ここしばらくは待つてもらいたいというふうな意見が非常に強い。これに対しまして私どもは、別にそんな遠慮をする必要はないのだ。もう講和条約発効になれば、従来あつたようないろいろな制限も解かれるし、客観情勢はよくなるのだから、この際大いに外貨獲得のために最小限度の施設の整備をしなければいけないということを、あらゆる機会に強調いたしておるのであります。また先般二十七年度の政府資金の運用方針を閣議できめましたが、この点につきましては、私どもも三つばかりのホテルにつきましては、どうしても新しいものをつくらなければならぬというふうな事情にありましたので、運用方針の中にはつきり入れるように十分努力をいたしたのであります。運輸大臣もこの点閣議で非常に発言をしていただきまして、一応政府資金の運用方針の中には事務当局案では入つていなかつたのでありますが、——政府資金の運用方針の中にいろいろの業種がございますが、特に開発銀行等で融資のめんどうを見る業種の中に、同じウエートで入れるというふうなところまでやつとこぎつけたような次第であります。仰せのごとく金融方面を担当しておる当局等におきましては、まだ必ずしも認識が十分でない。この点に対しましてわれわれはもつと大いに今後努力しなければならぬ、こういうふうに存じております。
  58. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 ただいま融資の面について大体了承いたしましたが、いつもはつきりできないことは、大蔵省がどうもよい返事をしてくれない、今度開発銀行がこの融資に対して承知をしてくれたというようにただいま伺いましたが、これはまだはつきりした線を私どもは伺つておりませんが、これは窓口で完全にこの問題を取上げてくれることになつたのでありましようかということ、もう一つは都内に八軒か何軒かふえるのでありましようが、これに対する宿泊人員がどのくらいであるのか、また現在これをどういうふうに利用されておるかという点、それからもう一つは最近できましたところの日活会館、あの日活会館がホテルの営業をしておる場合に、何人ぐらい宿泊できるようなふうになつておりましようか、この日活会館の宿泊料の最高額が厖大な額である。一日一万円も一万五千円もしている。それが三月も四月も予約済みになつているというようなことを聞いておりますが、これらの点に対しましても、どういうふうに承知されておるかということを一応承りたいと思います。
  59. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 先ほど申し上げました開発銀行の問題につきましては、私どもは東京、横浜、大阪等に具体的な計画があり、またある程度ホテルが解除された後においてもホテルの施設が必要だという考えで、最小限度の資金を要求しておつたのであります。この点につきまして、事務当局がつくりました案の中から一応落ちたのでありますが、閣議でいろいろ議論をせられました結果、経済安定本部では政府資金の運用方針の中に取上げた業種と同じウエートで扱うようにということを、一応開発銀行の方へ通牒をいたしまして、そうして今後できればその政府資金の一応外へ出しましたものでありますが、その中へ追加する、こういうふうに言つておるのであります。でありますのでこれがそのまま行けば、一応開発銀行ではほかの業種と同じように扱つてくれるのではないか。それから開発銀行が直接資金を出すという問題以外に、現在御承知のように融資規制を少し緩和するという問題がありますが、その融資規制を緩和する対象としては、政府資金の運用方針で取上げた業種についてやるというようなことが現在言われておるのであります。そういうふうに進んでおるようであります。でありますから、その業種の中にやはりホテル事業を入れておかなければ、一般の融資につきましても非常に不利になるから、そういう意味から申しましても、私どもは政府資金の運用方針の中に、ぜひ入れてもらいたいということを主張したのでありますが、これが大体そういうふうなことで経済安定本部は納得しまして、一応開発銀行の方にも話は通じておる、こういうことでございます。  それから日活会館のことについてお話がありましたが、日活会館は部屋数が百三十六と記憶いたしておりますが、最近できましたホテルとしてはかなり大きなものでありますが、しかし今仰せのごとく非常に高いということもいわれておりますが、これはなるほど高いことは高いのでありますが、しかしごらんになつたと思いますが、非常に設備もりつぱなものであるし、また完全に全館冷暖房の設備も持つております。そういうふうなことで、ある程度高いのはやむを得ないかと思いますが、しかし実際問題として、外客がはたしてみんなこの程度の、一部屋十五ドルというふうな料金を負担できるかと申しますと、そうは行かない。おそらくこの日活会館におきましても、もう少したてばある程度下げざるを得ないのではなかろうかというふうに私どもは見ております。現在はまだホテルの絶対数が不足しておりますので、当分の間はこれでやつて行けると思いますが、しかしこれから先はむしろほかのホテルとの競争で、ある程度下げなければならぬ、そうなつて来ますと、経営も相当困難ではなかろうかというふうに実は見ております。現在のところにおきましては、あの程度の料金をとらなければ、設備費等から見ましてやはりちよつと無理じやないかというふうに私どもは考えております。  それから都内のホテルの収容人員につきましては、全部のホテルのものを後刻調製して差上げます。それで御了承願います。
  60. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 私はもう一点伺つて打切りたいと思いますが、ただいま開発銀行の問題で説明がありましたが、はなはだ漠としていますが、全国三万五千の業者はこれに非常に関心を持つておる。これらの問題が正式に取上げられるようになつたならば、ホテル整備法という問題は即時に解決し、外客の誘致に対しましても、完全なる貢献ができるという見通しがついておりますが、融資問題がどこもここもあいまいで、業者はとりつくところがないために、完全な実施ができておりませんが、今後におきましてはぜひこの点を強調していただきまして、完全な指示を業者に与えていただくことを特に私はお願いしたいと思います。  最後にお伺いしたいことは、今日活会館の御回答もいただきましたが、都内でもまだ数十軒のホテルをつくりたい、つくらなければ間に合わないという現状にあることは御承知通りでありますが、日活会館の例を見てみますと、一階、二階、三階、四階までを貸事務所あるいは各会社に貸して、相当の資金を獲得いたしまして、その獲得した金その他によつて、五階、六階、七階のホテル整備したという立場にあります。どうしても今後のホテルを建設する場合においては、ホテル単独でもつて建てるということは、資金関係で不可能だということがはつきりして来るわけで、最近におきましても、私は二、三も十も聞いておりますけれども、やはり資金問題で、せつかく敷地を持ち、計画を立てながらにして、これを実行に移すことができないというのが現状であります。かような点もこの際ぜひ当局におきましても十分御配慮を願いたい。私はまだ申し上げたいこともありますが、一応私の質問はこれで打切りといたします。
  61. 玉置信一

    玉置(信)委員 私はホテル整備法のうちの固定資産に関する耐用年数の問題について私自身お聞きもいたしたいが、また前回の委員会滿尾委員からもこの点に触れて相当つつ込んだ御意見もあつたのですが、それに対して政府委員から、大蔵省側といろいろ事務的に打合せた結果の表であり、数字であるということでありましたので、結論から申しますと、大蔵省側の意見も一応お聞きしてみなければ、この問題の結論が出ないじやないか、かように思うわけであります。先ほど来坪内委員並びに畠山委員からいろいろ御指摘があつて質疑がかわされた多くの事柄につきましても、これまた大蔵当局の税担当者ないしは銀行局長あたりからの御意見を聞くことが、本議案審議の参考にもなると思いますので、私は幸いに明日委員会が続行されるようでありますから、その席に銀行局長あるいは税関係責任のある方を本委員会に招致されるよう、委員長においてとりはからわれんことをお願いいたします。
  62. 岡村利右衞門

    岡村委員長 わかりました。
  63. 滿尾君亮

    滿尾委員 登録ホテルに対する広い意味の監督権ということについて、ちよつとお伺いしたいのでありますが、第九条に認可に条件を付することができる、こう書いてある、この認可の条件というりものは、一体どういうことを考えておられるのか。私伺いたいと思いますのは、たとえば登録ホテルがいろいろ資金のあつせんや何かを受けて、国家の便益を相当享受して仕事ができるようになつた。それに対して将来のホテル経営上の基本的な問題である室料、料金というものに対して、国は何らかの発言権を持ち得るものかどうか、第九条の条件とは、さようなことをも意味するものであるかどうか、ちよつとお伺いいたしたい。
  64. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 この第九条の認可は、この法律によりますと、たとえば十三条の登録ホテル業の全部もしくは一部の譲渡、賃貸もしくはその経営の委任または登録ホテル業を営む会社の合併をする場合等について、主務大臣の認可を受けなかつたときは、登録の取消しがあることとする、こういうふうな条文があるので、この認可の条件というものが入つておるのでありますが、はたしてそれではどういう条件をつけるかということでありますが、実際問題としてこの条項を発動したことはまだございませんが、たとえば経営の委任を行うという場合に、認可を申請いたしました場合に、その委任の方法、内容等につきまして、あるいは条件を付するというふうな必要も起るのではないかと考えておるのであります。しかし大体におきまして、ここに書いてありますように、認可に特に条件を付さなければならぬというようなことは、そう起らないのじやないかというふうに私は思つております。
  65. 滿尾君亮

    滿尾委員 第九条の場合に当らぬということでありますが、しからば第十条の経営の改善の勧告というようなことで、料金に対する監督権をお持ちになるお考えであるかどうか。あるいは料金については今後発言権を持たないつもりでおられるのか、その点をお伺いしておきます。
  66. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 その点につきましては、先ほど御質問のありました際にもお答えいたしましたが、われわれといたしましては、この登録ホテル整備法によりまして、ある程度の恩典を登録ホテルなり登録旅館等が受けます以上は、やはり施設または経営の改善に関して、十分な関心を持つべきであります。特に料金の問題につきまして、恩典を受けます以上、この法律目的とするところは、ホテル整備し、またある程度ホテル料金というものを合理的に引下げるというようなところをねらつておりますので、この条項の精神にのつとつてホテル料金等につきましても、事実上で指導をして行きたい。まだはつきり十条を発動しまして、運輸大臣が勧告をしたということはございませんが、先ほども私がお断りいたしましたが、ホテルが新たに開業いたしまする場合に、私どもの方から料金の呈示を求めまして話合いをした、また向うの方から自発的にこの程度でよかろうかというふうに相談を受けたこともありますし、またこちらから呈示を求めまして、それをあらかじめ見まして、不合理なものであるかどうかということを検討いたしたこともございますが、今後もこの趣旨にのつとつて、そういつた点について十分関心を持つて指導して行きたいと考えております。
  67. 滿尾君亮

    滿尾委員 現在やつておられるところの監督は、今伺つてみると非常に漠としたもので、それでは私は今後のホテル整備ということにつきまして、非常に不十分なような感じを受けるのでありますが、国はこのホテル整備法におきまして、国際観光ホテルというものに対して相当な力こぶを入れる。私どもは御相談をこうして受けておりましても、今回の耐用年数の算出の仕方が非常に不徹底であり、足りないのだ。もつと徹底した施策をとつていただきたいということを実は申し上げたいと考えておるのでありますけれども、しかしながら半面におきまして、かようにして助成するところのホテル業というものに対して、国がはつきりした決意をもつて、一定の線まで指導するのだということが明確にならぬということは、これまた非常に片手落ちな感じがいたすのであります。そこで私は政府委員にお伺いしたいのでありますが、将来のわが国の観光事業というものを、一体どういうふうなところに重点を置こうとしておるのであるか。この間新聞で見ますというと、アメリカから百万ドル持つた百万長者の観光船が入つたというようなことが出るのでありますが、かような程度の高い、非常に富裕階級をわが国に観光せしめるのを、わが観光国策の重点とみなすのであるか、あるいはアメリカの勤労階級の人間をなるべくたくさん呼んで見せようとするのが重点であるのか、こう重点の置き方によつて、私はわが国の観光に関する施設というものの重点がおのずからはつきりして来ると思うのでありまするが、一体現在においていかなる方針をとつておられるか。これらの点について過去考えられたことがあるのか、ないのか。もしありとすれば、どういうふうな御決心をお持ちになつておるのか、お伺いしたい。
  68. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 観光事業の対象をどういうふうな階層に求めるかというふうな御質問でありますが、この点につきましては私どもの考え方といたしましては、今後日本の観光事業のわれわれの目標とするところは、戦前の二倍なり三倍なりのところに、ここ数年間のうちに持つて行きたいと考えておるのでありますが、そこまで持つて行くためには、結局現在あるいは戦前に来ておりました富裕階級よりも、さらに所得の少い中流階級をやはり相当対象に考えなければいけない。これはわれわれがそう考えておるだけでなしに、昨年パリでアメリカの旅行業者協会の総会がありましたが、このときに旅行業者協会の会長の申す言葉に、やはりもしヨーロツパがさらにホテル料金を引下げ、あるいはまた交通費を現在よりも二割ないし三割下げることができるならば、観光客というものは倍加する、結局低額所得者層をねらうことが、今後の観光事業を盛大ならしめるゆえんであるということを言つておるのであります。これは何もヨーロツパに限らず、やはり日本に対しても同じことが言えるのじやなかろうか。結局これまで来ておつた人たちの中にも、もちろんいろいろの種類はございまするが、これをさらに倍加するという場合には、結局中流階級あるいはそれ以下の勤労者というふうなものを相手に考える。勤労者と申しましても、労働者を意味するわけではありませんけれども、そういつた中流の所得階級の人々を対象にして考えて行かなければならない、こういうふうに思つておるのであります。ですから私どもはホテル施設等を指導いたしまする場合にも、ぜいたくな世界の水準から見まして、一流の施設を望んでおるのではない。外人のツーリストにとりまして必要な最少限度の施設というふうな点を実はねらいにして、指導して行きたいと考えております。
  69. 滿尾君亮

    滿尾委員 勤労階級層をねらうのだ、というお話は、非常にわが意を得たところでございまして、私も満腔の賛成の意を表したいのであります。外国の勤労階級は一年のうちに二週間なり三週間なりの休暇をはつきりとつて、それぞれ近くの外国に出る風習が非常にある。今日は飛行機が相当に発達いたしましたので、飛行機の運資の割引でもやれば、アメリカから勤労階級が日本に短時間に来遊することは、非常にやさしいことだと考えます。従つてわが国の観光国策がそれらの線に重点を置いてお考えをいただくことは、まことに当然のことと思うのであります。そうなつて参りますと、ここに一番の問題は、ホテルの部屋代の高いことにある。これをどうしても引下げるという強い決意を持つて当らねばならぬ。従来の日本旅館業者、ホテル業者というものは、サービスの観念が間違つておると私は思うのであります。日本旅館の業者は、客の手をとり足をとり、まるで殿様扱いをするような考えでものを考えておる。従つて人件費が非常にかさむ。またそれらのいろいろな取扱いにむだな費用をかけて、非常にコストが多額になると考えておるのでありますが、外国のホテルの例を引きますると、ほとんどお客様はかまわない。ホテルにとまつてもスリツパがない。スリツパはみんな自分で携帯しなければならないというふうな風習でやつておるようであります。従つて従来の日本旅館業者、ホテル業者の頭をここで切りかえて、もつとお客は自立自営、自分のことは自分でさつさとやるものだという建前において、部屋代をうんと下げて、そしてお客さんをうんと呼ぶくふうをしなければならない。そこで私はこの整備法の裏づけとなるべき、それらの部屋代等に対する広い意味の監督権というものが、はなはだあいまい模糊になつていることが非常に残念であると思うのであります。この点について何らか立法せられる意思はないのかどうか、お伺いいたしたい。
  70. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 現在のところは料金監督につきまして、今ただちにこれを法律で定めるというふうな気持は持つておりません。しかしホテル整備法につきましても、私どもは助成内容がさらに不備であろうとも考えております。今後機会を見ましてさらに助成内容をもつと効果的なものにして行きたい、こう考えておるのでありますが、そういうふうになりました場合には、やはりその一面、先ほど滿尾委員お話になりましたように、その目的が施設を整備し、そして料金を合理的に引下げるというふうなところにあるのでありまするからして、その効果が上るように、ある程度規制する、あるいは届出制度をとるようにしまして、不当に高いような場合には、これについて切下げの勧告ができるというふうな措置をすることも必要ではないかと考えるのでありますが、今ただちにこれをやるというふうなところまでは考えておりません。
  71. 滿尾君亮

    滿尾委員 わが国の観光国策と申しますか、観光に対するいろいろな施策があるのでありまするけれども、私の知つている範囲では、国際観光ホテル整備法くらいのことしかわからぬのでありまするが、たとえば列車の中の食堂というようなものが、観光客に及ぼす影響というものは非常に甚大な関係がある。これに対して一体運輸省の観光部は、何らかの発言権を持つておられるのであるか、どういうふうなお考えであるか、お伺いいたしたい。
  72. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 列車の食堂というふうなものが、観光事業に非常に関係があるということはもちろんでございます。しかしながら今のところはこれに対しまして、法律上は別に何も監督権はないのであります。もちろん国有鉄道が構内の営業としてやらしておることでありますから、運輸大臣は国有鉄道全般について広く一応包括的な監督権を持つておりますので、事実上の監督はできると思うのでありますが、しかし法律的にはそういうことにつきましてはつきりした監督権はありません。しかしこれにつきまして従来私どもは外客等から、列車内の食堂の提供する食事の内容が非常に貧弱であるというふうな指摘を受けたことがありまして、この点国鉄当局にも申入れをしました。当時におきましては、一方において価格統制がありましたために、業者側から言わせますと、価格をはずしてくれなければいいものが提供できない。ところがまた一方におきましては、当時はまだ全般的に価格統制が非常にきつい時代でございましたので、それをはずすわけにも行かないというふうなことで、GHQ等にも、関係方面にも参りまして懇談いたしたことがあります。まあわれわれといたしまして十分関心は持つておりますが、直接そういつた列車におきまする食堂営業につきまして監督する立場にありませんが、今後もそういう問題につきましては十分関心を持ち、事実上の勧告なりあつせんなりによつて解決して行きたい、こういうふうに考えます。
  73. 滿尾君亮

    滿尾委員 観光に関する諸般の方策というものを総合的に持つた一つの観光法というような総合法規を立案せらるる御用意はないかどうか、お伺いしたい。
  74. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 観光関係全般の問題を規律する観光法というような総合的な法律をつくる意思はないかというお話でありますが、実は終戦後、将来日本は観光業を大いに振興しなければいけないというふうな問題が大きく取上げられました際に、ことに国会におきましても観光法規の小委員会というふうなものが設けられまして、御研究に相なつたのであります。当時におきましても、そういう総合的な法規ができるかどうかというふうなことが、まず一応研究されたのでありまして私どもも役所の立場として一応研究いたしまして、試案のごときものをつくつたこともございます。しかし当時の結論といたしましては、当時まだ観光事業というものがそう具体的に動いておりませんし、また今後どういうふうになつて行くかということもわからない。それでそういつた将来のこともはつきりしない時代に、総合的な法規をつくつて行くというよりも、むしろ一つ一つ必要な問題から解決して行くということで、個々の法規をつくつてつたらどうかというふうな結論に一応到達し、そのときの観光法規の小委員会でも、そういうふうな大体の御意見であつたと私どもは承知いたしておるのであります。その後はそういう方針にのつとりまして、国際観光ホテル整備法、あるいは通訳案内業法、あるいは国際観光事業の助成に関する法律というようなものが逐次制定せられたのであります。しかしなお今後大きな問題として観光事業というものを大きく取上げて、そして広く観光事業の立場から一切の行政を見て、関係方面に勧告なり何なりできるというふうな行政機構というものができますならば、やはりそういつた総合的な法規の裏づけがあればいいのではないかというふうに私どもも考えております。
  75. 滿尾君亮

    滿尾委員 わが国の観光事業をますます盛大ならしめるために、ただいま民間側においていかなる団体があり、いかなる機関があるか。あるいはまた国の行政機関の中に、協議会と申しますか、審議会と申しますか、あるいは諮問機関等のものが現に存在しておりますかどうか。あるいは今後これを設置せられる希望があるかどうか、お伺いしたい。
  76. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 民間及び政府部内におきまする観光関係機関といたしましては、まず第一は、内閣に置かれてあります観光事業審議会であります。これは総理府設置法に基きましてできております審議会でありますが、三月の初めに委員の任期が切れまして、あと委員を選考中で、まだ任命せられておりません。しかしこの委員会は、御承知通り観光事業の基本的な方針なり計画なりを樹立しまして、政府の諮問に応じ、あるいは政府及び関係機関に建議するという役割を持つておるのであります。従来におきましても、ある程度の役割は果しておつたのでありますが、私どもは観光事業振興の見地からはもつと強力なものにし、またもつと足の地についた活動をしていただきたいという希望を持つておるのであります。民間団体といたしましては、まず国際観光事業の助成に関する法律によりまして、政令でこの助成を受ける団体を指定いたしておりますが、これが二つございます。その一つは財団法人の日本交通公社、この団体は、御承知と思いますが、旅行のあつせんを本来の業務といたしておりますが、あわせて海外観光宣伝をも担当いたしておるのであります。国といたしましては、この海外観光宣伝の面に対しまして補助金を交付いたしておるのであります。それからもう一つは社団法人の全日本観光連盟であります。これは全国の観光機関の総合団体でありまして、傘下の各都道府県の観光協会、あるいは主要な観光機関、観光関係の会社等をメンバーにいたしておりまして、現在メンバーは約二百四、五十あると存じておりますが、この団体はそういつた全国の観光機関の総合団体としての役割を果しておるのでありますが、その事業の一つとしては、国内の観光観念の普及というふうな精神運動、あるいはまた全国の美化運動、あるいは緑化運動というふうな運動もやつております。また民間団体として国内の受入れ態勢の整備というようなことにも努力いたしておるのであります。こういうふうな面を取上げまして、政令でやはり補助金を支出する団体に指定いたしているのであります。この二つがおもなものでありますが、これ以外にも、関係団体といたしましては、日本温泉協会、あるいは日本観光通訳協会というような団体がございます。またホテル旅館関係といたしましては、日本ホテル協会、それから国際観光旅館連盟というようなものがございます。また別の方面におきまして、最近できましたものでは、国際観光土産品協会というものがございまして、外客に対するみやげ品の販売の業者が集まりました団体ができております。それからもう一つごく最近、海外観光宣伝協議会というものが発足いたしました。これは先ほど申しました日本交通公社が、政府の補助金を受けて海外宣伝を担当いたしておりますが、それ以外に各都道府県がやはり自分の予算で直接海外宣伝をやつている。また海外の飛行機のエーゼントをやつているような会社、その他の会社でも、小規模ながら観光宣伝をやつているのでありますが、こういう団体の間にお互いに連絡協調をはかる必要もありますし、また最近海外の博覧会等におきまして観光の展示物を相当出しております。こういうような事業を、お互いに資金を出し合つて共同してやるというような目的のために、海外観光宣伝協議会というものが最近発足いたしました。なおその他二、三ございますが、おもなるものは大体今あげた程度でございます。
  77. 滿尾君亮

    滿尾委員 内閣の観光審議会というものは、われわれおか目八目で拝見いたしますと、いたずらに有名なお歴々だけが集まつて、一向動きが活発でないようであります。幸いにして委員の任期が満了になりまして、新しい委員を御任命になるならば、今度は人選の方針を改めて、もう少し生きのいい人を集められたらどうか。過去の閲歴、声望のみによらず、ほんとうに観光事業に直接興味を持ち、直接働き得るという角度から人選をせられんことを希望いたします。  民間の諸団体の活動の問題でございますが、交通公社とか日本観光連盟とかいうものは、われわれから見ますと、観光に関する単なる一単位である、ユニツトであると私は思うのであります。観光連盟のごときは、内部的に見れば総合機関であるかもしれませんけれども、その存在し、その活動するところを見れば、一単位でしかないと思う。従つて私は民間のいろいろな角度からする諸団体を、別に否認するものではありませんけれども、もう少し総合的な民間の団体を設立したらどうか。たとえば船会社とか、航空会社とか、あるいは国鉄、私鉄、旅館関係の人々、そういうものを総合した一つの団体をおつくりになつて、ほんとうに観光事業をいかにして振興するかということを、もう少しみんなの知恵を持ち寄つて、協力態勢のしつかりしたものをおつくりになつたらどうかということを希望して、私の質疑を終ります。
  78. 坪内八郎

    坪内委員 先ほどから各委員の御質問がございまして、いろいろお話がございましたが、私は結論的なことを間嶋観光部長にこの際お尋ねしておきたいと思うのであります。先ほど私は時間の関係上、他の委員諸君に御遠慮申し上げまして質問を中止いたしておつたのでありますが、結局ただいまのいろいろなお話によつて、いろいろと研究すべき点、あるいは将来考えなくてはならぬ点、いろいろ計画しなくちやならぬ点もあるように伺われますけれども、現実の問題としては、先ほど来私の質問申し上げ、また滿尾委員お話がありました通り日本の観光ホテル料金が高いというのが非常にがんなんであります。従つてこの観光ホテル整備法のねらいといたしましても、外客を誘致して外貨を獲得するということがねらいだけれども、現実の面においては宿泊料が高いというようなことで、広く世界各国に国際的にそういう不利な認識を抱かれておるということについては、相当これは考えなくちやならぬという現実の問題じやないかと思うのであります。先ほどお話を聞いておりますと、今後の外客については中産階級のものをねらいとするんだということであれば、なおさらこの宿泊料というものについて私は再検討を加えなくちやならぬと思います。そこで部長の先ほどのお話によつて現在高いという関係が、第一に設備費、あるいは銀行利子が高いという関係だ、さらに税金が高いということ、第三には接収されておるいろいろな家屋があつたために、業者が少くて高い料金をとつておるというようなことを理由にあげられましたが、結局今後はもう少し料金を安くして、日本景色がいい上に料金も適切な料金だというような啓蒙を相当考えて行かなければならない。先ほど私申し上げました通り日本景色がいいけれども世界一料金が高い、こういつた印象を与えてしまつておる現状においては、これを打破するよう、私は業者もあるいは監督に当る観光部におきましても、これは真剣に考えなくちやならぬ問題だろうと思うのであります。従つてその場合の宿泊料のことにつきましては、いろいろ事情もありましようけれども、何とか安くなるようにしなくちやならぬと思いますが、この点につきましていろいろ今後は接収家屋なんかも解除されることだし、またこの法律案によつて固定資産税の税金関係が緩和されるというようなお話であるが、実際将来の見通しとしては、現在高い料金が大体安くなるのか、あるいは現状のままであるのか、その点がただいまあたりの質疑応答を聞いておつても明確を欠いておるように思いますので、この際この点をお伺いしておきまして参考にしておきたいと思います。それが第一点、第二点として、本日審議いたしますこの改正法律によつて、こういつた宿泊料もやや安くするねらいのもとに、こうした改正法律をやつておるのだという、この点もお伺いしておきたいと思います。
  79. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 宿泊料金の最近の傾向でございまするが、大体日本の従来のホテル、大部分のホテルが接収されておりまして、いわゆるバイヤース・ホテルといわれるものにおきまする料金を見ますると、宿泊料だけをここにとりますと、七ドルないしハドルであつたのであります。これは先ほど申し上げました通りアメリカ一流ホテルの宿泊料金に匹敵しますが、またヨーりロツパに比べますれば三、四割は高いわけであります。最近におきましては、たとえば帝国ホテルが一人部屋でバス付の部屋を六ドルないし六ドル半というふうに実はきめておるのであります。ホテルの格から申しましても、また全体の設備からいいましても、現在までありますバイヤース・ホテルよりもはるかにすぐれておるその帝国ホテルにおきまして、ある程度引下げておるわけであります。こういうふうな影響を受けまして、ほかのホテルも逐次下げて行く傾向にはなつております。事実もう下げたところもございます。また帝国ホテル等におきましても、もう少し経営状態がどうなるかというふうなことが明らかになれば、私どもの見るところではさらにある程度下げ得るのではないが、こういうふうに考えておるのであります。特に東京都内におきましては、まだ都とホテル業者におきまする固定資産税の問題も解決いたしておりません。今度の税金の軽減も、はたしてどうなるかという問題もありますのでわかりませんが、そういう見通しがつけば、さらにある程度下げ得るのではないかというふうに実は考えているのであります。これは東京だけに限らず、ほかにおきましても、京都あるいは大阪等におきましても解除されましたホテル、昔建てたりつぱなホテルは償却も大体済んでおるというようなことで、現在ありまする終戦後に設備しましたものよりも割安にできるという傾向にありますので、その影響を受けまして、今まで開業しておりましたホテルが逐次下げて行く傾向には相なつております。
  80. 熊本虎三

    ○熊本委員 二、三点お伺いいたしておきたいと思います。第一には最近観光ホテルの認可を受けたいという希望者が非常に多いということでございますが、それについて申請のあつたものの数、それがわかつておればそれをお知らせ願いたい。それからその申請に対する査定許可等の処置は、どこでやつておられるかということを承りたい。
  81. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 ただいまの御質問は、このホテル整備法に基く国際観光ホテルあるいは国際観光旅館としての登録の申請のお話であろうと存じますが、これにつきましては現在までのところ手元におきましてまだ審査中のものはごく少数であります。ホテルにつきまして一件、旅館が全部で現在三件くらいであります。と申しますのは、このホテル整備法で施設基準がはつきりきめられておりますので、その基準に合わないものは出しても当然登録できないことになるわけであります。結局この施設基準にもうすでに該当しておるというふうな確信を持つているものだけが、申請書を実は出しているわけでありますから、数はそう多くないわけであります。出して来ましたものは大体申請の施設基準に合つておりますが、手続上不備なところ、あるいはごく一部が施設基準に合わないものはその旨を話しまして、手続をさらに追加する、あるいはまたごく一部の施設の改善をして、その上でまた出し直してもらうというような方法をとつております。
  82. 熊本虎三

    ○熊本委員 次にお尋ねいたしたいことは、先ほどからいわゆる観光客誘致の建前から、いろいろと熱心に質問が行われましたが、私は現在この法律によりまして受けている補助の程度、言いかえまするならば耐用年数が一般的なものより非常に減殺されているので、これが所得税に関する減価償却の面から行きまして、相当の減税になるだろうと思う。それから家屋税及びその附加税が二分の一になるとけつこうでございますし、さらに遊興飲食税が地方税ではありましても二分の一等に減税される。なお固定資産税がこれに即して減税されるといたしますれば、相当数の金額になろうかと思うのでございますが、これらの各種目別の総合的な、現在観光ホテルとして指定されている全体のものに対する総額がわかつておりますればお知らせ願いたいと思う。
  83. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 このホテル整備法によりまする諸税の具体的の内容でございますが、法人税の軽減につきましてはどういうことに相なりますか……。
  84. 熊本虎三

    ○熊本委員 もし何でしたら明日までにでも数字で……。
  85. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 わかつている部分もございますし、わからない部分もございますが、もし何でしたら数字で表示して差上げてもよろしゆうございます。
  86. 熊本虎三

    ○熊本委員 先ほど滿尾委員から御発言がありましたように、国が必要を感じてこれに何らかの方法をもつて補助、援助をするといたしますれば、当然これに対する、監督ということは行き過ぎかもしれませんが、やはり的確なる指導、あるいはこれに対します協力というような問題が起きて来なければならない。しかしそれも程度によることでございますので、先ほどお尋ねいたしました数字が表われて参りましてから、なおそのことについて意見を述べたいと存じます。聞くところによりますと、たとえば帝国ホテルの遊興飲食税が半減されたということのみでも、優に一箇月百万円を越える収益だということであります。現在全国民が非常な悩みの中から、日本再建のために血涙をしぼつて納税をしております際に、総合的な国家の将来のための必要性はあるといいましても、これにはおのずから限度がなくちやならない、かように存じますとともに、その程度のいかんによります国家の勧奨、指導というのはますます強化されまして、それに初志に沿うがごとき経営をさせなければならない、かように考えます。先ほど来の質問の要旨から行きますれば、税金をもつと軽減する、あるいは融資をもつと積極的にして——援助、保護の面だけが議論されておるようでございますが、かつてドツジ・プランによつて、それ以前に行われておりました日本の国家補償に基く企業に対する融資の面、あるいは生産補給金等の問題が一たび終止符を打ちまして、自立経営という名においてああした勧告のありましたことも、結局国家目的に基く国の補助が、あるいは援護がそのまま企業体に反映しておらないところに問題があつたと私は記憶いたします。従つてそういう点に関して運輸省といたしましても、十分なる監督、指導の面についてよりお考えを願いたいと考えております。その点について先ほどの滿尾さんの質問に対する答弁は、あまりにも積極性がないように考えますが、さらにそれらの点についてお答えを願つておきたいと思います。
  87. 間嶋大治郎

    間嶋政府委員 このホテル整備法によりまして、ある程度の助成措置が講ぜられるわけであります。この目的とするところは、先ほど申し上げました通り外客宿泊施設の整備をはかりまして、外客の接遇の充実に資する。結局ホテルの経営をしやすぐし、コストを下げることによつて多数の外客を誘致し、外貨をかせぐというところにあるのでありますが、助成を受けます以上は、もちろんこれに対しまして、政府としても十分な指導監督をしなければならぬつもりは持つておるのであります。先ほど申し上げました通り、必要な場合には経営の改善等について勧告まですることができる規定がございますので、場合によつてはこういうこともいたしたいと思いますが、ただ御承知置きを願いたいのは、この法律そのものの内容におきましては“料金統制とかそういうふうな統制的な内容を持つた規定があまりないのであります。この点はたしてどの程度まで監督すべきかということは、相当議論の対象に相なると思うのであります。私どもとして必要な監督なり指導なりは十分しなければいけませんが、しかし下必要に煩瑣な手続をきめ、また厳重な監督をするというふうなこともどうかと思われますが、この点は先ほども申し上げました通り、この助成措置による効果というふうなものともにらみ合せまして、必要があればさらに監督指導を強化するような条文を挿入することも研究いたしてみたいと考えております。
  88. 熊本虎三

    ○熊本委員 大体ただいまの答弁でよいと思いますが、なお数字を見てみたいと思いますからあまり多くは申し上げませんが、この整備法は援助の方面のみが書いてありまして、指導面はまつたく稀薄です。そういうことで従来は来られたろうと思いますが、しかし国の目的のためにだんだんとこれに対する補助、援助の方法が強化されるに従つて、何らかの方法をお考え願いたい。きようのところ希望を申し述べて私の質問を終りたいと思います。
  89. 岡村利右衞門

    岡村委員長 本案に対する残余の質疑次会に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十六分散会