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1952-04-16 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十六日(水曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君    理事 山崎 岩男君 理事 淺沼稻次郎君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       關谷 勝利君    玉置 信一君       坪内 八郎君    木下  榮君       熊本 虎三君    江崎 一治君  出席政府委員         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運輸事務官         (自動車局整備         部長)     中村 俊夫君         中央気象台長  和達 清夫君         運輸事務官         (中央気象台総         務部長)    北村 純一君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 四月十五日  木船運送法案關谷勝利君外三十名提出衆法  第二九号) 同日  観光局設置に関する請願畠山鶴吉紹介)(  第二一六六号)  三島、函南両駅を東京鉄道管理局管内に編入の  請願畠山鶴吉紹介)(第二一七八号)  下田港施設着工促進に関する請願畠山鶴吉  君紹介)(第二一七九号)  一宮、多治見間鉄道敷設請願江崎真澄君紹  介)(第二二〇八号)  新潟県に日本海海運局設置に関する請願(小林  進君紹介)(第二二三四号)  姫路駅改修に関する請願堀川恭平紹介)(  第二二三五号)  飯田、名古屋間及び飯田、中津川間に国営自動  車運輸開始請願今村忠助紹介)(第二二  三六号)  長崎、壱岐間及び長崎対馬間連絡航路国営  実施に関する請願北村徳太郎紹介)(第二  二三七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  木船運送法案關谷勝利君外三十名提出衆法  第二九号)  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一八号)  気象業務法案内閣提出第一四六号)(予)     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより会議を開きます。  木船運送法案議題とし、まず提案者より提案理由説明を求めます。關谷君。     —————————————
  3. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま議題となりました木船運送法案提出理由を御説明申し上げます。  木船通常機帆船と称せられ、焼玉機関を装備する木造貨物船でありまして、現在一万九千五百隻、七十一万総トン、百三十万積トンの船腹を保有し、月間三百六十万トン輸送実績をあげ、国鉄及び汽船と並んでわが国内輸送にきわめて重要な役割を果しているのであります。しかしながらその経営形態はきわめて原始的でありまして、木船運航業者は大部分船主船長といわれる一ぱい船主であり、集荷の面についてはあげて問屋的性格を持つ回漕業者に依存し、両者相まつて木般運送事業を終営しているのでありますが、これらはともに中小企業典型的存在でありまして、木船運送事業経済的基盤はきわめて薄弱な現状であります。現状のまま推移すれば、安定した木船運送は望みがたく、その前途がきわめて憂慮される次第であります。  従つて全体として木船運送事業経済的地位を向上し、その安定をはかるとともに、特に木船運航業者経済的立場強化することは急務といわなければなりません。木船運送法案木船運送事業改善施策の第一歩であり、かつ基本となるものでありまして、その骨子とするところは、木船運送事業登録制とし、木船回漕業については登録に際して営業保証金を供託せしめ、また標準運賃制度及び標準回漕料制度を実施することであります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 岡村利右衞門

    岡村委員長 本案の質疑次会に譲ります。
  5. 岡村利右衞門

    岡村委員長 次に気象業務法案議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。坪内君。
  6. 坪内八郎

    坪内委員 二、三お尋ねいたします。気象業務法提案理由説明に、観測施設及び予報業務強化拡充して気象業務を円滑に運営できるようにするということも、この法案提案理由の重要な点というようになつておりますが、これについては何か予算措置というか、予算計上して施設強化拡大するとか、そういうことが考えられておるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  7. 北村純一

    北村政府委員 お答え申し上げます。この法案は直接予算には関係のあるような立て方をいたしておりませんので、将来観測施設強化あるいは予報施設強化のために予算を要するような場合も、この法案から当然考えられるわけでございますが、二十七年度におきましては格別の予算というものは計上しておりません。
  8. 坪内八郎

    坪内委員 この法律目的を遂行するためには、そういつた観測施設、あるいは予報業務強化拡充ということになりますと、予算が伴わないと実際の目的を達することにならないと思うのでありますが、政府当局の方におきましては将来この法律によつてもし追加予算あるいは補正予算が行われる場合には、そういう予算計上を要求することを考えているのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  9. 北村純一

    北村政府委員 この法案提出いたしました理由にさかのぼつて簡単に申し上げますが、現在気象関係におきましては法的に空白状態と申しますか、昭和二十二年の末にかつてありました気象事業会が失効いたしましてから、気象業務規制するところのものが何もなくなつてしまいました。そういう関係で現在ではいろいろな事情、特に敗戰後の国の事情によりまして、八千万の人口を二分の一に減りました国土の中で養つて行なければならぬ、そういうふうな事情もありまして、気象というものが一般行政の上に再認識されるようになりました。この再認識に基きましていろいろな法案、たとえば災害救助法とか、消防法とか、水防法とか、国土総合開発法とか、国土調査法とか、積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法とか、そういつた法案が次々とできて参つておるのでありますが、それによりまして自然の現象によりますところの災害を防除するとか、あるいは自然を最高度利用するというふうな方策が講ぜられておりますけれども、一面これらの法案ばらばらにありますために、またそれぞれ固有の特色を持つたところの目的を持つておりますために、非常にたくさんの施設あるいは予算が使用されるにかかわりませず、それから得られます観測成果というふうなものが、ばらばら技術的基準によりまして観測され、あとでこれを総合的に、有機的に利用するということが、非常に困難になつておるというような事情もございまして、そういつた点の不利益をすみやかに救済いたしまして、国の観測施設あるいは公共団体その他によりますところの観測施設から得られますところの成果というものを、有効に利用したいということが非常に緊急と思えますので、そういつた措置を講ずるためにこの業務法案をつくりまして、この空白状態を埋めて行きたい、こういうふうに考えた次第でございます。それでさしあたり二十七年度の予算は編成されておりますので、これに直接の計上をするという方法もないわけでございますが、将来この法案ができまして、この整備のために要するような経費というようなものを要求する機会がありますれば、その機会にはできるだけ折衝して行きたい、こう考えております。
  10. 坪内八郎

    坪内委員 ただいまの御説明で大体了承いたしましたが、予算を伴わなくては法律の完全なる目的を達することのできないような内容のものであれば、私は予算と並行してこれはなさるべきことも一つの方法じやないかと思いますので、その点はさらに検討をしていただきたいと思います。  次にこの法律が国会を通過したあかつきには、これはただちに実施することになるのでありましようか、その点をお尋ねいたします。
  11. 北村純一

    北村政府委員 この法案に盛られておりますところの内容は、現在気象台予算で実行しておりますところの事項が大部分でございますので、予算が伴わないから全然無意味であるということにはならないと存じますが、そのために将来この目的の線に沿いまして、気象台業務はさらに強化されなくてはならないような意味合いでは、将来の予算機会がありますときに要求したいと考えておる次第でございます。  それからこの法案はもし成立いたしますれば、公布されましてからあと六箇月日から施行されることになつております。これは附則の中に書いてありますが、この法案内容をごらんになればよくおわかりになると思うのでありますが、非常に技術的にも準備を要する面がたくさんございますし、また各省庁関連する面が非常に多いために、六箇月間の猶予期間をいただいて、その日から実施いたしたい、こういうふうに考えております。そういう六箇月間の猶予期間というふうなものを考えてみましても、二十七年度予算に直接響く面は割合に少いのではないか、こんなふうにも考えております。
  12. 坪内八郎

    坪内委員 そういたしますと、この観測網確立ということになると、この観測に当るところの特殊な技師と申しましようか、エンジニアと申しましようか、そういう人方は現在の気象台機関では手不足になるのじやないかと思いますが、この法律施行と同時にそういつた特殊な機能を有する方々を採用して、こういつた観測網確立を期するものであるかどうかということをお尋ねいたしたいことが第一点で、そういうことになりますと、われわれ自由党が考えておるところの行政機構改革とか、あるいは人員の整理とかいうことにも関連して参りますし、われわれが唱えておるところの行政機構改革ということは、必ずしもそういつた簡素化のみを考えておるわけでもないのであつて、また人員の縮小ということのみを考えておるのではないのでありますけれども、こういつたわが党の考えておる行政機構簡素化ということに逆行するような感じがしますが、その辺の関係はどういうふうになるのでありましようか。
  13. 北村純一

    北村政府委員 この法案の第六條に書いておりますところの観測施設規則の点につきましては、必ずしも政府機関といたしましての観測施設をにわかに拡充しなければならない、こういうふうな意味合いではございませんので、現在ありますところの政府機関あるいは地方公共団体その他の施設によりますところの観測施設、そういつたものの技術的の基準が統一されないために、それから得られますところの成果が有効に利用できないような現状になつております。もしこのままで推し進めて行きますと、気象というものを利用する行政面が非常に拡大されますにつれまして、気象台が直接手を下して施設強化して行くという必要が非常に強くなつて参りますので、そういつた面はただいまおつしやいましたような行政機構拡大強化ということと直接結びつくと思います。そういうふうなことが予算の面その他に財政的に非常に無理な負担をかけるのではないかということをおそれまして、現在ありますところの各省庁施設あるいは国の中にありますところの施設、そういつたものを基準化していただくことによりまして、それから得られます成果が、気象台の持つておりますところの既存の設備から得られる成果とあわせて、有効に利用できるような制度をここに編み出したい。こういうわけでございますので、ただいまおつしやいましたようなこの法案が成立することによつて、直接予算が膨脹するというふうな結果にはならないと存ずるのであります。
  14. 坪内八郎

    坪内委員 ごもつともな御説明でございましたが、現在の機関なりあるいは政府それぞれの機関におきましては、いろいろな関係からそこに働く人々が十分に実力を発揮し得ない状態にあるというようなお話でございますが、私どもが想像するには、現在の段階におきましても手一ぱい仕事をしているのじやないかと思うのであります。従つてこの法律施行に伴いまして、そういつたいろいろな関係の不十分な点が補われて、円満な業務の運営ができるというふうなお話でありますが、それでは現在こういうふうなことになつておるが、法の欠陥その他の事情によつてこういうことに支障があるのだというような点がありましたら、具体的に御説明願いたいと思います。
  15. 北村純一

    北村政府委員 先ほどから観測の例が出ておりますので、例をその方面にとりたいと存じますが、現在日本の国におきまして気象台が直接持つておりますところの観測施設は、全国で約千五百箇所でございます。気象台以外の施設が約六千ございます。それらの六千の施設は、あるいは農業関係、あるいは建設関係といつたそれぞれの目的を持ちまして、気象観測に当つておるわけでございます。そこでたとえば治水とか利水とかいう方面でございますが、そういう方面では雨量観測を非常に必要といたします。そういう雨量観測をやられまして、その治水利水利用されておるわけでございますが、もし他の方面に新しい需要が起ります場合に、利水のための数値のはかり方と、気象台の持つております数値の求め方の共準が、必ずしも一致しておりませんために、そういつたデータを一緒に集めまして、総合して、たとえば発電とかいうふうな施設をこしらえる場合に、簡単には利用できないというふうな問題があると思います。その問題につきましては、すでに安定本部の中にあります資源調査会におきましても、こういつた各庁、各省が持つております施設が有機的に活用されないような状況にあるということを考えられまして、昭和二十六年の九月には資源調査会長から総理大臣にあてまして報告をされております。治水利水計画の基礎になる雨量、流量、蒸発量あるいは浸透量といつたふうなものの数値が不正確である。しばしば欠如しておるものがある点にかんがみて、雨量観測の指導と管理とを徹底させることが非常に必要である。でき得るならば、将来気象台がこれらの施設管理をすることが適当だと思うけれども、現段階では観測関係機関間の調整をはかることが非常に重要であるというふうな意見を申し述べられておりますが、こういう意見によりましても、たくさんあります施設が必ずしも有効に利用されないような状況になつておるということを御推測願いたいと思うのであります。
  16. 坪内八郎

    坪内委員 最後にもう一点お尋ねいたしますが、この気象関係につきましては、アメリカ軍日本に駐屯いたしております間は、アメリカ軍といたしましてもいろいろ関心持つであろうと思うのであります。そういつた関係から、行政協定気象業務法案と何か関連がありますかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  17. 和達清夫

    和達政府委員 行政協定は、御承知のように第八條が気象のことになつておりまして、四項目あります。第一の項目観測に関すること、第二の項目資料に関すること、第三は気象通信に関すること、第四が地震津波等に関すること、それらにつきまして細目の協定予備作業班でやつておりますが、今日あらまし双方了解がついておる状態であります。詳しく申し上げる時間もございませんけれども、これらは今まで気象台連合軍にいたしておりました仕事を越えてはおりません。そのうちの一部分が残つておるわけであります。
  18. 坪内八郎

    坪内委員 もう少し詳しくわかりませんか。
  19. 和達清夫

    和達政府委員 第一項から言いますと、定められたる測候所から定められた観測を一日何回送れというようなことが規定されている。気象台の当然やつている仕事向うの指示によつて知らせる。それからちよつと補足しますが、気象台のやつている仕事の一部を向うに知らせる。その次には、この観則の中に海上に船を出してあるきまつた点で観測をしているのがただいま二点ございます。その二つの点における観測をいたしまして、それを通知するのであります。第二に資料の方は、気象台における気象資料統計したものを提供する。場合によつては單に統計でなく、それを総合したようなものも、できているものは依頼によつて提供する。それから日本におきます気象もしくは気象関係の深い論文、著書のようなものの表をつくつてそれを提供する。これは気象台に集まつたものだけでよろしいということになつております。それからそれらの観測資料をいろいろ見たいときには、それを見て利用する便宜を供與する。あるいはその資料自分の方の統計に使うため、若干自分の方で雇つた人が働くために気象台便宜を與えてもらいたい。気象台に備えつけた統計の機械は、気象台仕事のじやまにならぬ範囲においてそれを自分の方の統計にも使わしてくれ、こういうのが第二の資料に関する項目であります。第三の通信の方は、気象台観測を集めてそれを放送しております。またこれを必要方面専用線で知らせておる。そういう気象台に集まつておるもの、あるいは気象台のつくつた天気の解析とか、予報とか、警報の中の一部を米軍にも知らせる。それから気象台でとりました外国資料、そのうち一部向うの欲するものをあらかじめ定めておいて知らせるというようなこと、これが第三の項目であります。第四の地震とか津波については、日本の近所の大きな地震でありますとか、あるいは津波のおそれがあるような場合には、アメリカ地震津波の判定の中枢へ速報するというような国際的な地震業務、ただいまのところの行政協定はそれだけであります。
  20. 坪内八郎

    坪内委員 御説明内容了解いたしました。この気象関係行政協定に基きましてアメリカ軍とも関連があることは、ただいまの御説明通りでありますが、もし気象台気象観測誤りによつて、将来関係諸国、いわゆるアメリカ軍機関に何か事故が起きた場合の責任の所在はどこにあるか。それからそういつたことの裁判権あるいは損害賠償というような点はどういうことになりましようか。
  21. 北村純一

    北村政府委員 行政協定によりまして米軍に提供する業務に限らず、一般気象台の提供いたしますところの予報警報あるいは資料というものの中にも、数ある中には誤りの絶対ないということは言えないものがあるかもしれませんが、こういつた資料を提供されました場合に、この資料をいかに利用するかということは、利用者の側において判断されるということになつておりまして、利用を強制するというふうな建前にもなつておりませんから、おそらくそういつた損害賠償的なものを要求されるということはないと思います。また現在の規定には、そういうことについて明言してあるものは何もないように存じます。
  22. 坪内八郎

    坪内委員 私がお尋ねするのは、気象観測で、米軍あたりの飛行機なりその他の軍艦とか、そういつたものがもし事故を起した場合に、わが国における気象業務法によつて日本側責任を持たなくてはならぬようなことになるのであろうかどうかという点をお尋ねしたいのであります。
  23. 北村純一

    北村政府委員 気象台観測の結果に誤りがあるというふうな場合に、米軍に対して損害を與える。その損害との間にどういう因果関係があるか存じませんが、現在の気象法ではそういつた場合の損害賠償につきましては全然考えておりませんし、また行政協定でも、気象の通報を受けたから、その誤りがあつたならば、損害を賠償しなければならぬということも考えておらないようでございます。現に米軍におきましても、自分自身観測施設を持ち、自分の判断をするということは自主的にやつているようでございますから、ただ参考にこちらの材料を使つている、このように考えております。
  24. 岡村利右衞門

    岡村委員長 他に質疑はありませんか、熊本君。
  25. 熊本虎三

    熊本委員 二、三御質問申し上げてみたいと存じます。従来は單に規則とか條例とかで運用されておつたものを、今回單独法をもつてこれを拡充されようということでございますが、提案理由参考資料にもありまするまうに、これは幾多の他の機関、各法令関係が深いわけでございます。ただいま提案されました法案作成にあたりまして、冬関係法令はもちろんでございましようが、何か機関との御連絡了解の上、原案を作成されたかどうか、その点についてまずお尋ねしてみたいと思います。
  26. 北村純一

    北村政府委員 お話通り気象という仕事が、他の行政なり業務なりの面に非常に密接な関係を持つておりまして、農業とか建設その他の方面におきましても、その仕事を遂行する上にどうしても気象利用しなければならないという面も多々ありますので、この法案作成するにあたりましては、関係の各省庁とそれぞれ折衝をいたしまして、この法案の中にも気象業務の定義をいたしました上に、各條章におきまして、その省庁仕事に直接さしつかえを来さないようなくふうをしております。たとえば第六條のように、研究機関であるとか教育機関のような仕事になりますと、こういう法案によつて規制をすることが妥当でないというふうな場合もございますし、それから農業気象のような、場合によりますと小さい畝の間のいわゆる微気象といいますか、そういう気象観測がございまして、気象台の得ました数字としまして、われわれが普通に利用するものと一緒に統合して利用する価値のないような特殊のものがございますので、そういうものはこの気象業務法規制範囲外というようなことにいたしまして、各関係機関で御不便のないようにくふうをいたしまして、大体円満に各省庁了解を得ました上でこの法案提出いたしました。
  27. 熊本虎三

    熊本委員 ただいまの御説明でその面は了解いたしましたが、あと運用上の問題だろうと思いますので、運用にあたつてもさらに御留意を願うようにお願いをいたしておきたいと存じます。  次に、先ほど御質問の最初にありましたように、ただいまは單に法案作成にのみ意を注がれまして、ここに御提案になつているとの御説明がございましたが、先ほど質疑あるいは御説明によりまして、これが日本産業経済にいかに重大な影響があるかということが、あらためて認識されたわけでございます。いろいろな積極的な開発面は言うまでもございませんが、その反面に、観測の不完備のために起つて参ります経済的な方面影響がまた甚大であるとともに、人命にまで影響する重大問題でございます。従いまして、この事業成果に対しまする輿論の影響とともに、本事業はますます重大な意義があり、また関係を生ずるのでございますから、これが完備には何としても最大の努力をしなければならないということを私は痛感するわけでございます。特に先ほどの御説明の中で、設備についての不備、あるいは人員の配備の不足についての問題、あるいは待遇上の問題等について御説明があつたのでございまするが、こういう問題に関しましてはやはり積極的に立案せられて提案され、その完全を期して行くようにしていただきたいと思います。それらについて先ほど答弁がありましたが、重ねて台長の御真意を承つておきたいと思います。
  28. 和達清夫

    和達政府委員 ただいまのお話まことに気象事業をしております者にとつてはありがたい、理解の深いお言葉で感謝いたします。この日本という国は天災の多い国でありますし、また気象学的にも非常に複雑な国であります。従つて災害を受けることも多い、また一方気象というものを利用すれば、それだけの利益のある国であることも御承知通りでございます。それでございますから外国に比べまして、気象事業は国力から考えますと、私は非常に進んでおると信じております。こういう意味におきましてわれわれのいたしております気象事案を、ますます現在の日本に役立てたいというために、しかつめらしいようでありますが、こういう気象業務法というものをつくりまして、はつきりとしたわくの中におき、整つた形態において仕事をしたいというのが趣旨で、このたびつくりました次第であります。ただいまいろいろ気象台におきまして、まだ完全でないところ、戰後におきまして回復をしていない、あるいは近代の進歩に遅れておるところに対してのお話はまことにごもつともでありまして、私どもも何とかそれを外国にも遅れないりつぱなものにいたしたいと思つております。しかしながらこの法案は、この法案自体といたしましては、予算というものがこれによつて別によけいいるわけでもないようにできております。
  29. 熊本虎三

    熊本委員 ただいまの御説明のように、これは運用上の不備を完全ならしめようとするための法案の上程でございますから、従つてこれにただちに予算が伴うべき筋合いのものではないと私も了承いたします。しかしながら先ほど見せていただきまして、いろいろ御説明を承りました私どもといたしましては、えてこういう仕事がじみでありますために、経済上にも政治上にも反映するところが非常に稀薄でございます。至つて重大な捨てておけざる問題が捨てられておることが多分にあるわけでございまして、先ほど受けました私どもの考えからいたしますれば、相当従来のそういうような考え方を拂拭いたしまして、積極的にみずから責任をもつて最大の効果あらしめるような、その運用施設を私ども希望してやまないわけでございますから、六箇月後にこれが施行実施されますといたしますれば、それらの機会と相並行して、十分なる積極面についての運用についても、ひとつ御考慮を願いたいことを私希望しておきたいと存じます。
  30. 江崎一治

    江崎(一)委員 少しばかりお伺いをしたいと思いますが、この法案要綱の第四番目に「政令で定める技術上の基準によつて観測しなければならない」とありますが、この「政令で定める技術士の基準」というのは何をさしているのですか。
  31. 北村純一

    北村政府委員 お答えを申し上げます。法案では第六條になつておりますが、「政令で定める技術上の基準従つてこれをしなければならない。」こういうふうになつております。この技術上の基準と申しますのは、気象測器の設置場所とか、気象測器を設置する方法であるとか、あるいは気象測器の使用方法であるとか、あるいは観測方法であるとか、そういつたものをさすのでありまして、たとえば気温を観測する場合には、輻射による気温の変化を避けるようにしなければならない、そういつたことをきめたいと存じます。
  32. 江崎一治

    江崎(一)委員 同じく法案要綱の第二十番目に、「運輸大臣は、観測を行うため、他人の土地、水面等の立入若しくは植物等の伐除ができること。」こういうことがありますが、これに対しては強制的な意味を持つておると思いますが、これに対する補償の問題について何かお考えがありますか。
  33. 北村純一

    北村政府委員 法案の四十條をごらん願いたいと思うのでありますが、これによりまして、こういつた場合に立入りまたは伐除によりまして損失を生じた場合におきましては、国がその損失を受けた者に対して通常生ずべき損失を補償する、こういうふうに規定しておりますが、生じました損害につきましては、正当なる補償をするつもりでおります。     —————————————
  34. 岡村利右衞門

    岡村委員長 本案に関する爾後の質疑次会に讓り、次に道路運送車両法の一部を改正す法律案議題とし、質疑を続けます。質疑の通告がありますのでこれを許します。大澤君。
  35. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 道路運送車両法の改正法律案に対しまして、政府のお考えを承りたいと思いますが、今度の改正法案で見ますと、自動車の検査をするのに、この検査費用を徴収するということになつておりますが、どういう理由で、今まで検査費用もとることなく、しかも自動車行政を助長している運輸省自動車局といたしまして、こういう考え方になつたか、この点をひとつ承つておきたいと思います。
  36. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車の検査の仕事は、車両の保安を確保するという点から見ますれば、国家的な事務でございますけれども、他方自動車の使用者にとりましては、検査によつて車両の保安度を審査してもらつて、安全であるということを保証してもらうということになりますので、事故の危險をあらかじめ防止する意味から見ますれば、利益を受ける側になると思います。従いましてさような受益者がある程度の費用を負担してもらうということは、お願いできることじやないかと思うのであります。  第二点といたしましては、車両を検査するのには、施設とか機械器具あるいは人件費など、相当の費用を要しますので、現在国家財政のきゆうくつな折柄、その一部分を負担してもらうということは、やむを得ないことだと思うわけでございます。それで従来から自動車の助長をはかつておりましたわれわれとして、かようなことをお願いするのは、はなはだ遺憾なのでございますけれども、ただいま申し上げましたような理由によつて、今回このような改正をいたしたいと思います。もつとも他にも同じような趣旨から、検査料、手数料をとられておるものはあるのでございまして、たとえば天びんの検査には一個について千円、エレベーターの検査には千五百円とか、起重機やボイラーも同じく千五百円いただく、あるいは高圧ボンベについては一個について千円いただくというふうに、このごろこのような保安検査にはみんな手数料をいただいておる例でございまして、はなはだ申訳ございませんが、よろしくお願いしたいと思います。
  37. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの説明によりますと、自動車の検査を受ける場合は、自動車を所有しておる者にとつて利益になる、すなわち受益者負担という理念のもとに、検査手数料を国が徴収するというようなお話であり、しかもこの自動車検査登録関係の経費という資料を見ますると、人件費は一億八千四百四十七万五千円、こういうふうになつておりますが、自動車を検査するための人員の経費が、全国を通じても一億八千万である、しかるにこの上一両に対して百円ないし二百円の手数料を徴収するというがごときは、租税の公平なる負担という面から見て、まことに当を得ないところであると思います。なぜならば、ただいまの説明にありましたように、計量器の天びん、あるいはエレベーター、あるいは起重機、あるいは汽罐というようなものも、検査手数料を国が徴収しておるというような説明でありましたが、この起重機あるいは汽罐というものに対して、汽罐税とかあるいは起重機税とか——汽罐においてはもちろん石炭を使うのでありますから、石炭税とかいうようなものを国家が徴収しておるならば、自動車も同じような考え方で一応うなずけるわけでありますが、自動車のごときは、すでにガソリン税におきまして、百七億円という国家の財収入を得ておるし、なお自動車税のごときにおきましても、地方税としてすでに一箇年一万円あるいは一万二千円とかいうような負担をかけておる。しかも道路損傷負担金というようなものも徴収しておつて、なおこのたびの建設委員会等におきましては、道路法を制定いたしまして、道路に対して自動車が通行する場合は、これに対しての通行税のごとき道路補修費を自動車から徴収するというように、自動車行政、すなわち自動車の発達をまつたくはばむがごとき税の負担をかけておつて、また今度自動車の検査をするのに、他の何ら汽罐税とか起重機税とかあるいは天びん税とかいうものをとつておらないのに対して、検査手数料をとるから、自動車も検査手数料をとるのだというような考え方のごときは、まことに国民の負担の公平という見地から見ましても、当を得ない考え方であると思うのであります。こういう点をもう一歩踏み込んで考えなければ、とうていわが国の自動車交通の発達とか、あるいは国の産業の発達にどうしてもなくてはならない自動車運送事業等の発達は得られないことは当然であります。こういう点を考えましたときには、まことにかかる考え方をまず第一に改めて、この法案提案をしていただかなければ、わが国の交通行政を担当する当局といたしましては、少し勉強が足らないのではないか、かように考えるわけであります。もう一歩踏み込んだ説明を伺いたいと思います。
  38. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車にいろいろな税金その他の負担が非常に多くて、非常に困つているのにかかわらず、さらにこのような手数料をとるのは屋上屋を架するもので、自動車の健全な発達に資するゆえんではない、もう少し勉強しろというお話は、まことにごもつともに存じまして、われわれもこの点ついていろいろ研究したのでございますけれども、どうも現在の国家財政で、非常にふえる車の検査に人件費、物件費その他を要しますので、はなはだ遺憾ながら今回このような案を提出したのでございます。その辺はまことに残念でございますが、御了承願いたいと思います。なお自動車税のお話もございましたが、自動車税は、これはいわば固定資産税にかわるべきものでございますので、名前はどのようになりましても、この種の税金は現在税の体制上はやむを得ないのじやないかと思うわけでございます。またガソリン税そのものにつきましては、これは日本のみならず世界各国とも例があるのでございまして、これまた税の建前としてはやむを得ないのじやないか、ただ問題はその額が妥当かどうかということと、その得られた収入が道路の改良、維持、補修に使われ、確保されるかどうかというような点が問題であろうと思いますので、私たちも自動車の負担するもろもろの税金その他の負担をまとめて、何とか道路の維持、補修、改善に持つて行くようにということをいろいろ研究しておるわけでございまして、御指摘のような非常に負担の重いことについては、何とか合理化して適当なものに直そうと努力いたしたいと考えます。
  39. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 一応御説明を承りますれば、まことに苦しい立場であることはよくわかるのでありますが、私たちといたしますれば、これがわが国の交通、産業あるいは国民の経済、国家の文化の発達等を考えますのに、何と申しましてもわが国のごとく国土の狭い国といたしますれば、航空機の発達はもちろん必要ではありますが、なかなかさように国家的の財政あるいは国民経済の面から見ても、とうてい簡単に期し得られない。何と申しましても安くしかも軽便に交通機関の発達を考えるならば、当然自動車の交通というものが、わが国の経済あるいは産業には最も当を得た交通機関であると私は考えます。かような点からいたしまして、国の産業の発達、あるいは国民経済の発達ということを考えますときに、幾分でもこの自動車の発達の阻害になるがごとき措置は、現段階のわが国の交通産業の面から見て、まことに当を得ない点であると考えますので、特にこの法案を見ますれば、自動車の車両の検査におきましても、現在の法律で見ますれば、これが自動車事業者の所有する自動車の検査が一箇年や一箇年以内ということになつておりまするのを、今度の法律でわざわざ九箇月ということに改める。これを見ましても、何とか検査手数料をたくさん徴収したいということは、本法案から見ても明らかである。こういう考え方で自動車行政を考えますときには、とうていわが国の自動車の発達は期し得られないことは明らかであります。かかる点からいたしまして、この九箇月に改めたという点もこれを直すとか、あるいはこの検査手数料を撤回するとか、あるいはガソリン税を軽減するとか、あるいは何らかの方法を考えていただかなければならないと思う。政府当局に対して私は最もこれを強く主張しなければならないと考えます。もし自動車局長として、わが国の経済財政の面から見て、どうしてもやむを得ないという考え方ならば、私は一応大蔵大臣を当委員会に招致して、十分これを検討する必要があると考えます。一応自動車局長意見をもう一度伺いたいと思います。
  40. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車関係の負担がますますふえるのみならず、営業用旅客自動車検査期間を短縮して、ますます手数料をよけいとるという目的ではないかというお話を伺いましたが、手数料をいただくことと検査期間を変更したこととは、まつたく別問題でございます。検査の有効期間を変更しましたのは、車の種類、性能、使用目的というようなことに応じまして、重点的に短縮あるいは延長をはかつたのでございまして、この法案にありますように、自家用乗用車は所有者の責任において十分に保守をしてもらうし、また走行キロも営業用に比べては短かいから二年に延ばそうということで、そういう方面については非常に負担が軽くなつたわけでございます。それからトラックについては、営業用、自家用を問わず、従来通りがまあまあ妥当なところだということで一年とすえ置いたのでありますが、営業用の旅客自動車、つまりバス、タクシー、ハイヤーというものは、貴重な他人の生命を預かつて運転しておるものでございますから、いやが上にも保安度を強くする必要がある。もちろん事業者自身の整備にまつところが大部分でございますけれども、国家的にこれを検査してチェックする回数はできるだけ多くしたい。ことに最近非常に事故が頻発しまして、桜木町事件ほどに耳目を聳動しませんけれども、その土地においては相当大きなシヨックを與えた事故が盛んに起つたのでありまして、一旦あやまればたいへんなことになるものでありますから、これについては非常に負担は重くなるような感じは與えますけれども、ほかならぬ生命を預かるという意味から、検査を嚴重にいたしたいと思つたのでございます。関係各国の例を見ますと六箇月というのが大部分でございますが、一年のところを六箇月というのはあまりに短縮し過ぎて強いような感じがしますので、まあまあまん中をとつて九箇月というところにきめたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、決して手数料をよけいいただきたいという趣旨ではございませんから、どうか御了承願いたいと思います。
  41. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいまの御説明によりますと、一箇年であつたものを九箇月にしたのは、すなわち人命を尊重するとかいうような意味から一応九箇月に改めた、あるいは外国の例を見ても六箇月が大部分であるというような点から、九箇月に改められたというような御説明でありますが、何といたしましても自動車の性能は、御承知通り新車であるならば一箇年あるいは一箇年半であつても、私は何ら人命に支障、あるいは機械の故障によつて交通事故が発生するがごときことは断じてないと思います。また九箇月に改めたという法律を見ますると、これをそういう見地から考えるならば、最も当を得ない考え方であると思います。なぜならば古い自動車であれば当然三箇月でも検査をしなければならぬ、あるいは一箇月でも検査をすべき必要があると思います。しかるにこれを法文で九箇月と改めるがごとき処置は、人命の点を考え、あるいは交通事故の点を考えての考え方とは断じて了承できない点であります。どう考えましても新車であるならば少くとも一箇年は当然であります。あるいは一箇年半でも断じてさしつかえはないのでありまするが、一応一箇年といたしましても、先ほど申しましたような車両の古い老朽のものは、あるいは一箇月あるいは三箇月というものも必要であると思います。しかるにこれを九箇月ということにはつきり明文をもつて改めるがごときは、まことに当を得ない考え方であると思います。この点をもう一度つつ込んで御説明を伺いたいと思います。
  42. 中村豊

    中村(豊)政府委員 九箇月と定めましたのは、検査の有効期間の最大限度でございまして、ただいまのようなお話で保守、整備の非常に悪い車につきましては、有効期間は短縮することができることになつております。これは新しい法律の六十一條第二項の改正にさようになつておりますので、御指摘のような車については三箇月、四箇月、五箇月ということが考えられるわけでございます。その辺のところは現実の車両の検査にあたつて十分に注意して参りたいと思います。
  43. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 かりにそういう特別のものに対しましては、六十一條の二項によつて、三箇月あるいは六箇月ということもありますが、その点から見ますれば、先ほどの検査料の負担ということは、何としてもよけいにとるとしか考えていないということになるわけであります。従いまして、少くとも先ほど申し上げましたように、新品の自動車ならば一箇年は断じて車両の検査の必要はないのであります。そういう面から見て、アメリカがこれを六箇月であるから、日本もこれにならわなくてはならぬという解釈は、まことに考え方が違うと思います。新車にありては一箇年で断じてさしつかえないのであります。それを最長期間を九箇月ということに改めることは、先ほど申しましたように、検査料の徴収を考えての処置よりないと私は思うのでありまするが、この点を何とか——これをどこまでも先ほど説明のように政府が強く主張せんとするならば、他の自動車の負担の面を軽減することを考えるとか、何らかの処置を講じなければ、わが国の自動車交通、すなわち交通産業というものは決して伸びるものではないのであります。従いましてわが国の経済、国民経済の面から見ても、自動車交通すなわち自動車交通産業というものが、自動車で当然日本は進むよりほかはないと思います。従いまして先ほども申し上げましたように、建設委員会においては道路法をつくつて道路を整備し、しかもその道路を通行する車両のごときは、一応折り返し運行する車両に対しては通行税をとるというようなことで、道路を改めるのが国の目的であると思いますので、道路の改善をしたならば、当然自動車の発達はこれに伴うわけであります。そういう見地からいたしまして、わが国の自動車に対して負担を少しでも増すというがごときは、まことに当を得ない考え方であると思います。政府において検査手数料をどうしてもとらなければならぬというならば、他の負担の面で幾分でもこれにかわる軽減を考えなければならぬと思いますので、その方法がどうしても運輸省当局で考えられないということになれば、私は一応大蔵省の考え方をただした上でなければ、この法案は断じて承服できないのであります。運輸省の考え方も何とかこれは軽減したいのだという考えであるならば、私が先ほど申しましたように、大蔵省の役人を呼んで一応たださなければならぬと思いますが、私の考え方に運輸省の自動車局長が共鳴されるか、あるいは共鳴されないか、もう一度お伺いしたいと思います。
  44. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この検査手数料をとることがどうしてもやむを得ないことであるということは、先ほどからの私の御説明で御了承願いたいと思いますが、この額の問題につきましては、大体二億六千万円ばかりいるのに対して、検査手数料として上つて参りますのは一億四千万円くらいでございまして、約半分にしかなりませんので、この額を軽減するということは困難ではないかと存じます。ただこれがどうしても必要ならば、他の負担にしてはどうかという御質問でありますが、他の負担につきましては、私たちは機会あるごとにその軽減を要望しておるのでございまして、この点につきましは大蔵省あるいは地方自治庁に対して、絶えず嚴重な申入れをいたしております。ガソリン税の軽減といい、あるいは自動車税の軽減といい、絶えず要望しておりますので、この点につきましてはこの機会においても私たちの考え方を明らかにしておきたいと思います。そのようにして他の税負担その他の負担金を軽減することと、これを合理的に使つて自動車の発達あるいは道路の改善に適応するように使用してもらいたいということが、われわれの強い考え方でございます。
  45. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先ほどお尋ねしました九箇月を、新車の場合は特例として一箇年にするとかいうような御意思があるかどうか、この点をもう一度お尋ねしたいと思います。
  46. 中村豊

    中村(豊)政府委員  物事を合理的に考えると、そのような御意見もごもつともと思うのでございますが、何しろ新車と申しましても、まつたくの新車もあれば、一月たつたものもあり、半年たつたのもあり、一年たつたものもあるというわけで、ございまして、新車だけを一年としてあとはだんだんと小きざみに、段階的に期間を短かくして行くということも、技術的に非常に困難でございますし、年月の経過よりも自動車は走行キロの増加ということに合すべきがほんとうでございますので、そのようなことを技術的に考えますと、非常に複雑になりますので、新車もひつくるめて九箇月としたようなわけでございます。この点につきましては、概括的な規定でございますけれども御了承願いたいと思います。
  47. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 自家用自動車におきましても二箇年というのは、これもその趣旨から考えればあまりに大ざつぱの考え方で、自家用だから二箇年でいいというがごときは、われわれ国民として考えたときには納得がいかぬのであります。自家用もピンからキリまであつて、新車もあればあるいは古い車もある。自家用と申しますれば、特に御承知でもありましようが、たくさん使う人は営業用以上に自家用を使う、あるいは使わない人になれば、一月に一ぺんしか乗らない、あるいは三度しか乗らないという場合もありますし、自家用こそ法律をもつて限定すべきものではないかと思います。おのおのその車によつて判断をして、検査期間のごときはきめるべきであつて、二箇年にするというがごときは、最も当を得ない点だと思います。従いまして自家用の車は道路を通つておるのを見ましても、まことに姿がすでに十年あるいは二十年あるいは三十年も前のような自動車で、全然見たこともない型のかわつた自動車が、自家用として白ナンバーで走つておるというものを見ましても、自家用こそほんとうに古い自動車が多い。中には新しくて、流線型の金持の租税の負担に十分たえられる者が乗つておるものもあるし、先ほど申しましたように型の古い自家用車に乗つておる者もあるし、自家用を二年とするというがごとききめ方は、まことに当を得ない考え方であると思います。なた先ほど申し上げましたように、新車と申してもいろいろあるという説明もありましたが、新車というのは、私の言うのは製造会社からおろして、まだ鑑札も受けない車のことであります。そういうものを九箇月として押えるというがごときは、まことに当を得ない思います。新車もあれば、一箇月使つたものもあるし、三箇月使つたものもあつて複雑だと言いますが、そういうことを私が言うのではなくして、新車というのは、全然製造会社からおろして一度も鑑札を受けない車のことでありすすので、そういうものは当然製造会社から来たものを、ディーラーが鑑札を受けてお客様のところへ持つて来るのであるから、何もすでに車両の検査はしなくてもさしつかえはないのでございます。現在の法律でも新車を検査したくても、すでに工場において検査して通つている。検査場へ持つて行かなくてもさしつかえないのが現実であります。そういう検査をしないでも、ナンバーをとる手続だけで十分であるのが現実であるにもかかわらず、それを新車もあるし、一箇月使つたのもあるし、三箇月使つたのもあつて複雑だなどというような考え方は、現実とは違うと思いますので、そういう点をもう一歩つつ込んだ説明を伺いたいと思います。
  48. 中村豊

    中村(豊)政府委員 お話のごとく新車のうちで、優秀なメーカーで運輸省の指定を受けた型式につきましては、最初の検査をするときに現車を検査場に呈示しなくて、書類だけを持つて来れば検査証を出すということになつております。その点は非常に便法をはかつておるわけでございますけれども、やはりそれに対して検査証を交付しまして、国家がそれに対して責任を持つのでありますから、これに対してはやはり検査手数料をいただくというわけでございます。その点については、お説のようなお気持もございますけれども、新車をフリーにしてしまいますと、先ほど説明申し上げましたように、一年たつたもの、二年たつたものというふうに、段階をつけて期間をいろいろとつくらなければいけないという問題も起りますので、概括的ではございますけれども、九箇月ということにした次第でございます。
  49. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 先ほど申しましたように、検査をしないものも検査手数料をとつているということも現実の問題でありますので、新車のすでに規格のとつてあるメーカーのものを検査をしなくてもいいという特例もあつてつておるのだから、一年に延ばすのが至当である。一箇月でも使つたものは、それは九箇月でもやむを得ないという点もあるかもしれませんが、全然使つていないものも使つたものも同じ九箇月だということは、まことに当を得ない。先ほど申しましたように、手数料を徴収するがごとき目的で全部改めたということにしかとれませんので、なお自家用におきまして先ほど説明がありましたが、二箇年にしたというのは先ほど申しましたように、どうしてもこれは二箇年も必要でありましようが、あるいは自家用であつても三箇月しか有効期間がないというのも考えられますので、自家用こぞピンからキリまであつて、この点は自家用であろうが営業用であろうが、区わけをするということは、業者が弱いから弱い者いじめにしかすぎない。自家用を持つているものは特権階級だ。その特権階級である自家用に対して利権を與えたというようにしか考えられないのであります。そういうようなややこしいことでなく、もつと強くしかも正しく、国民に対して公平に扱うように考えていただきたい。
  50. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自家用を二年にしましたのは、これまた最大限度でございまして、六十一條二項によつて短縮することが考えられるわけでございます。御指摘のような古い自動車については、もちろん一年もさらにもつと短かく期間が改訂されるということによつて、実際の事情に合すようにいたしたいと思います。なお自家用でも、動かす人によつては営業よりもよけい動くのだというお話でございますが、もちろん特殊な例外にはさようなことがございましようが、大体において現在のタクシーのごときは、三百キロ以上も一日に走る。またバスにしましても百五十キロ以上走るというような状態に対しては、自家用はいかにお使いくださる人でも、一日平均百キロ以上走るということはないと思いますので、さような点からも走行キロは短かいのであります。また自家用は、それこそ所有者の責任において整備していただけば、かりに事故があつても、危害を受ける方は御本人及びその関係者だけに限りますから、まあがまんしていただけるのでありますが、営業用の自動車に関しては御本人のみならず、他人の生命にまで影響を與えるということになりますので、われわれとしては重点的に営業用を取上げざるを得ないというわけでございます。
  51. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 東京だけを考えた場合は、一応局長のお話もごもつともでありますが、いなかの小さな町の自動車営業者のごときは、百姓をしておつて、そのあいまに自動車を運転してお客を乗せるというので、一年に何回も使わないような営業車が幾らもあるのが現実であります。私たちもよく地方の農村などから、あるいはいなかの町からなども陳情を受けるのであります。そういうような一年に何回も走らないような営業車は、むしろここに自動車を置く必要がないのではないかと言いますが、地方の農村あるいはいなかの町とすれば、もし病人ができても医者を頼むことができない。あるいは何か不時の災難があつてけが人ができても、医者をつれて来ることも病人を乗せて行くこともできないので、どうしても一年に何回も乗らない自動車であつても、営業用自動車をここに置いてくれ、また許可してくれというようなことをずいぶん陳情を受けるのであります。そういうようなところにはむしろ気の毒な国民が多いのであります。そういうところには、先ほど申しましたように自家用などとは違つて、営業用でもまつたく一年に何回も使わない自動車がたくさんあるわけであります。そういうものに対しても九箇月ごとに検査を受ける、あるいはそれ以下で受けるとか、あるいは手数料も何らかわりがないようでありますが、そういう点から見てこの法律はまことに当を得てない、真相をつかんでいないというふうに考えられるわけであります。東京だけを見たときには、先ほど申しましたようにまことにごもつともでありますが、いなかの不便な鉄道も電車もないというようなところには、どうしてもタクシーの一台や二台置いてくれというので、陳情を受けることがしばしばあるのでありますので、そういうところに現実に置いてある事実もあります。そういうことを考えましたときに、営業用でありますれば何回も走らないので、自家用の車の走る十分の1も走つていないのであります。そういう現実を見たときに、自動車の検査を行う行政官の技術によつてこれを判別して、こういう自動車に対しては一年も必要ない、あるいは八箇月が適当だというのが、最も当を得た行政官庁の考え方だと思います。これを法律をもつて九箇月に改める、あるいは自家用だから二箇年でいいというのでなく、自動車はみな同じく従来のように一年という程度で、あとは今申しましたように半年で有効期間が切れるとか、あるいは八箇月で有効期間が切れるとかいうのでは、これを検査する検査官、すなわち行政技術官の考え方で裁断をまつべきではないか、これをここで單に局長さんだけの考え方でやると、私は全国的に見渡したときにはまことに当を得ていないのではないかというようにも考えられますので、ぜひともこういう点を一応見てもらいたいというのが私の局長に対してのお願いでありますが、こういう点を考えますときに、今度の法案はまことに当を得ていないのではないかということをお尋ねしておるわけであります。こうした地方の事情に対してどういうふうに考えるか。特例を設けるか、あるいは技術官にその点をまかせるかというような方法もあるのでありますが、あるいは何か別に省令を出すというような考え方でもあるのか、この点を伺つておきたいと思います。
  52. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 地方の特殊な実情についてるる御説示がございまして、まことにさようなところもあるのかという感じがするのでございますけれども、お言葉を返すようでございますが、さようなところの用途に使われる車は、おそらく年式が古くて、検査する必要がある車であろうと思います。もちろん走行キロで私そのことを強調しましたので、走行キロが短かいというお話はまことにごもつともでございますが、そのような車は年式の方は古いだろうと思いますので、走行キロと年式と両方から考えてみますと、やはり九箇月くらいでがまんしていただかなければいけないのではないかと思うのでございます。現在の一年という規定でもつて実施しておる車両検査の実情を見ますと、やはり乗用車は九箇月ないし十箇月しか実際は出しておりません。非常に新しい車の一年を除きましては、そんなような事情でございますので、九箇月というのは、現在実施しておる状況とそう違わないのだというふうにおとりくださつてさしつかえないのでありまして、私たちはこれで特に責任を加重した、それほど強くは考えておらないのでございます。なおいろいろと御心配の点については、われわれも今後十分考えて行きたいと思いますけれども、ただいま提案しておる案では、特殊な例外についても九箇月をさらに延長するということにはいたしておりません。従いまして省令においてその例外を考えるとか、あるいは実際の運用においてその例外を考えるということはできないのでございますが、この改正案を議決していただきまして、実施の面においてだんだんやつて行くうちに、非常に実情に合わないような問題が起りましたら、また研究しなければいけないことだと思つております。
  53. 江崎一治

    江崎(一)委員 六十一條の第二項の有効期間を短縮するということですが、この基準についていろいろ問題があると思うのです。この基準についてどういう考えを持つておられるか。そういうような一定の基準を決定する何か基礎的な條件がきまつておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  54. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 ただいまの有効期間を短縮する場合に、技術的な基準がはつきりきまつておるのかという点についてお答えいたしますが、ものさしの寸法のように、このものさしではかればこれは九箇月だし、これは六箇月だという意味のはつきりした基準は当然ございません。またそういうものは定められないと思います。これは一に検査官自身の技術的訓練にまつよりほかしかたがない。また私ども指導しております立場としましては、できることならば九箇月ときめたならば、九箇月になるような整備をぜひしていただきたい。たとえば現在も出ておるのですが、二月とか三月とかいうような検査証を差上げるのは実はおかしいのでありまして、そういうようなものは落第にして、少し整備していただけば合格するのでございますから、出直していただいて、九箇月の検査証を上げるというふうにしたいという気持を持つておるのでございますが、現在の車の整備の実情ではなかなかそういうことも参りませんので、かえつて迷惑をかける場合もありますので、やむを得ず三月とか六箇月とかいう検査証を出しておるのであります。こういうものは、九箇月なら九箇月だけは最高限度にまで検査証を上げたいし、またそこまで整備していただきたいという気持は十分持つております。
  55. 江崎一治

    江崎(一)委員 ただいま御説明にありましたように、これは一定のものさしのような基準ではかるというわけにはいかぬ。どうしても検査員の技術的な訓練によつてこれをやつて行かなければならぬというお答えのようでありますが、そこに非常な問題がかつてつたと思うわけです。弱い業者をいじめるためにいつも文句をつけるのです。これはキャブレーターがどうだとか、これはエア・クリーナーがどうだとか、いろいろなこと言うのです。そうして結局いじめられて一箇月か二箇月しか有効期間をくれない。そでの下を持つて行くとすぽんとくれるというようなことがあるのです。こういう問題についてそういう不正が起らないという確たる保障がないと思うのです。こういう法律を改正するなら、そういう点についてやはりはつきりした基準をつくつておく必要があると思うのです。その点はどうですか。
  56. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 ただいまのおしかりのようなことは、かつて絶対になかつたとは申し上げられませんが、検査官の研修は十分いたしますし、また現にいたしております。またかりにそういう非違がありましたならば、今すぐにでも首にいたします。そういう教育訓練は十分いたしますし、また基準も全然ないわけではございません。しかしこれはだれが持つてつても、たとえば私が見たならば九箇月であるし、ほかの人が見ても九箇月であるというようなはつきりしたものさしというものは、これはどんなえらい学者がつくつてもできないのは確かでございまして、やはりある程度はどうしても検査官の腕前にまつ、そのためには検査官を教育しなければならぬ、これはよく承知しておりますし、また実行しておるつもりでございますが、完全に行つておるかという点に対しては、今後十分努力すると申し上げるよりしかたがないと思います。
  57. 江崎一治

    江崎(一)委員 今努力するよりしかたがないとおつしやつたのですが、またそういう実例があつたらどしどし処分をし、首にするというようにここでは言つておられますけれども、これはそうなかなか簡單に出て来ない。お互いにばれますとたいへんなものですから、業者も検査官も、これはやみからやみにやる仕事ですから、いくらあなたがそこで目を光らしても、こういうことは行われているのです。そこで科学的にきつちり検査基準をつくつて、はつきりした基準によつてやるということをいたしませんと、業者の弱い若いじめになるのは必定です。この点をやはり明確にしてもらわなければならぬ。そういう点について施行細則というようなものをつくつてもつと完全なものにしてもらいたいと思う。
  58. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 ただいま御指摘の傾向を今後起さないように、われわれとしては検査官の研修につきましてはできるだけの努力をいたしたい。また検査の基準につきましては、技術的に困難ではございますけれども、あらゆる研究を重ねましてできるだけいいものをつくりたい、かように努力いたしたいと思います。
  59. 江崎一治

    江崎(一)委員 努力したいとおつしやるのですが、具体的にはどういうことでありますか。
  60. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 具体的には私のところにそういつたような元締めをやる担当の者も何人かおりまして、これは常務としてそういう基準を毎日つくつております。それから地方の陸運局ごとに検査官を集めまして教育を実施しております。また陸運局の者を東京に集めまして、教育も実施しております。
  61. 坪内八郎

    坪内委員 簡單に数点お尋ねいたします。大体この法律が昨年六月に国会を通過するときには、非常に問題のあつた法律でございまして、とにかく一潟千里で通過した法律案なのであります。従つてそういつた内容を持つた法律でございますので、これの改正が出て来たということは当然であろうと思うのであります。従つてどもは私どもの党の立場からいたしましても、行政事務の簡素化ということは賛成でありますが、この法律案によつてこれはもう最後の改正案であるようにお考えであるのかどうか、また将来これを改正する御意思があるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  62. 中村豊

    中村(豊)政府委員 昨年通していただいたばかりであるのに、またすぐ改正案を出しましたことはまことに申訳ないと思つております。当時としてもいろいろ研究したのでございますけれども、何分にもあのような厖大な制度を一挙に法律化したために、そこに実情に合わないような問題が起りましので、その点はわれわれとしても研究が足りなかつたことを残念に思う次第でございます。なお研究の足りなかつただけではなしに、その後の一般的な情熱として、行政簡素化をできるだけはからなければいけないという方針も確立しましたので、われわれとしてはできるだけの簡素化をはかるために、登録制や検査制を非常に簡易化したのでございます。ある種類の車両につきましては、全然それを廃止するというところまで踏み切つたのでございますので、この改正は一般的な法律による規制の緩和の方向に向いたいためにしたのでございます。その点について御了承を願いたいと思います。  なお今後このような改正をたびたびするかという点でございますが、われわれとしてはそう朝令暮改で、たびたび法律をかえることは避けなければいけないと思いますけれども、その当時予想できなかつた新しい事態が出て来るとか、あるいは実情にまつたく沿わない事情を発見するというようなことになりましたならば、また改正をお願いしなければいけないと思うので、その点は今からもう絶対にいたしませんとお約束できないことを遺憾に思います。ただ申し上げたいことは、この法律は何と申しますか、根本的な制度、秩序というようなものについて理念をうたうというような法律とは違いまして、まつたく技術的な問題でございますから、その点については実情に合わないことになれば、技術的な改正を、まつたく純技術的にあるいは純事務的にと申しますか、するということは起り得ないとは限らないと思います。その点だけを御了承願つておきまして、われわれとしては現在の状況においてはこの改正案が妥当なものと信じております。
  63. 坪内八郎

    坪内委員 この法律の改正案によりまして、このたびは検査に関して手数料をとることに相なつておるのでありますが、昨年の六月この法律を審議するときにも、この法律に基いて車両検査というものの基準が非常に明確になり、嚴格になるので、実際問題としてはこれを検査するには相当人手もいるし、また金もかかるというようなことが憂慮されまして、その点につきましても私は当時の牛島局長にも御質問を申し上げておつたのでありますが、この手数料をとることにおいて、現在でさえ車両検査に手不足のところ、この手数料をとるということで、かえつて地方の陸運局なりあるいは陸運事務所の事務が煩瑣になつて、手に負えないというようなことがあるのではないかと思うのでありますが、実際問題としてはその点はどんな関係でありましようか。
  64. 中村豊

    中村(豊)政府委員 車両検査の実情が、なかなか自動車の使用者の方に御満足を得てなしということは、われわれもいろいろ機会に伺うので、はなはだ残念に思いまして、先ほどからのお話のように、その研修や検査には非常に努力しておりますし、また態度、取扱い方についても懇切丁寧にやるようにということをいろいろと申しておるわけでありますので、今後もその点については重々注意いたすつもりでございます。この手数料をとるために手続が煩瑣になるのではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては印紙でもつてその場ですぐ納入さきるようにいたしまして、きわめて簡單に取扱いいたしたいと思つております。
  65. 坪内八郎

    坪内委員 私の県は長崎県でありますが、この車両検査に伴いまして、出先機関の職員の方々が手不足であり、さらにまた私の県は特殊な島が全国一に多いというような関係もあつて、車両検査ということについては非常に支障を来しておる。それがために出張旅費やあるいは車両検査費等に事欠いたために、それを業者に負担させたというような関係その他があつて、大疑獄事件を惹起したことは御承知通りであります。従つてただいまの局長のお話によりますと、これが簡単に証紙を張つてすぐ徴收ができるようにお話でございますけれども、車両検査ですら手一ぱいで、いわゆる出張旅費がなくて、あるいは業者を集めることも非常に困難な情勢下にあるのに、この手数料を徴するということになると、倍も人手がいるのではないか、そうなると行政機構簡素化、さらにまたそういう人員の増員ということはわれわれは考えていないのであつて、実際問題としてはかなりの支障があるのではないかという点を憂慮しておるのでございますが、その点を私はお尋ねしておるのでございまして、もう一度御答弁を願いたいと思います。
  66. 中村豊

    中村(豊)政府委員 先ほどの私の答弁で多少言葉が足らなかつたのでありますが、收入印紙は検査官がお売りするのではなくして、一般の印紙切手類を販売する場所で売るわけであります。それを申請者が検査の申請書に張つて出すのでございます。従つて検査する方の側の運輸省の担当官には、何ら手数はかかつて来ないわけであります。車を持つておられる方の方には手数がかかるわけでありますが、これは非常に多数の車の集まるような大きな検査場には、おそらくそのような販売所が特別に設けられるだろうと思いますし、またわれわれとしてもそういう交渉をいたしたいと思います。
  67. 坪内八郎

    坪内委員 それで私どもは国民あるいは業者の立場から、こういつた手数料関係、届出の関係、いろいろの関係において、こういう行政事務がさらにスムースに、しかも国民全部のこういう関係者にあまり手数がかからないように、十分考慮を拂つて、ひとつ行政事務に当つていただきたいということを要望いたしまして、さらにまた先ほど私が申し上げました通り、その車両検査に手不足があるということでありまして、実際問題といたしましては車両を検査に出した、しかし実際は検査官は検査場に行かないで、検査もしないで、事務の上だけで処理して、検査証を渡したというような事例のあることも私どもつております。そういう点も十分ひとつ愼重に考慮されて、今後円満にそういう面が運営されるように、この点を要望いたします。  それから第二点は、手数料が年間一億四千万円ばかりだという先ほどお話でございましたが、これは年々歳々さらに倍額になるようになろうかと私は思うのであります。それは車両がふえるというような関係からいたしましても、当然明らかな問題であろうと思いますが、手数料関係は、局長のお話では、将来この手数料で道路の改修、修理という面に使われることを強く要望しておるというお考えでありますが、私も同感でありますけれども、さらに業者側の面から考えますと、この手数料によつて、たとえばアメリカのごとく、完全に道路の修繕費に使う、あるいは補修費に使うというようなことを他の関係省と連絡をとられて、そういつた立法措置あるいは特例を設けられて、完全にこの手数料が道路改修などに使われるようなことにはならないのかどうか。
  68. 中村豊

    中村(豊)政府委員 今回新たに徴収しようと思いますところのこの車両の検査手数料とか、今まで実施しておる登録手数料とか、あるいは自動車税、あるいは揮発油税というものを、全部まとめて目的税にして、自動車の最も基盤になる道路の改良、補修、維持の費用に充当すべきであるという目的税論は、私たちとしても趣旨としてはまつたく賛成しておるところでございまして、何とか一日も早くこの趣旨の実現をいたしたいと努力しておるのでございます。目的税という税制は、これは大蔵省の方の見解でございますが、非常に例外的なものでありますので、税制当局としてこれを取上げることを非常にいやがつておるのでございまして、その反対を押し切つてこれを達成するためには、相当の努力がいるわけでございます。のみならず目的税というものの最も欠陷は、関係の税、その他の負担金を全部出して、その金額を一定の目的に使うのですが、その負担額の限度で打切られるおそれがあるのでございまして、自動車について言いますれば、ガソリン税、自動車税、その他このような手数料、登録料、全部を合せました額が、道路の建設、改良、維持、補修の費用と見合うか、あるいはそれ以上の場合には、勇敢にこの目的税論に突進していいと思うのでありますが、現在のところ遺憾ながら、そのような負担金、税金を全部合せてみましても、二百億に達しないのでございます。ところが道路関係の諸費用は、国費、地方費を合すと二百数十億になつておるのでございますが、しかも現在のようなはなはだ不満足な道路整備しかできないのでありまして、本格的な道路の整備をするためには三百億以上を要するのでございますから、今目的税論を持ち出すと、二百億以内で打切られる心配があるので、それでは元も子もなくなつてしまうという悩みがあるのでございます。そのようなこちらの負担と、道路に出される金額との見合いをしまして、大丈夫これならば十分保証できるという数字的な自信ができましたときに持出すべきなので、その意味から技術的な問題としてただいまはまだ時期尚早じやないか、かように思つております。われわれとしてはこの問題につきまして絶えず研究を重ねて、一日も早くそのような制度を実行に移したいと考えておる次第でございます。
  69. 坪内八郎

    坪内委員 私の尋ねた点につきまして、相当愼重に考慮されておられるようでございますので、これは積極的なお考えのもとに進んでいただきたいと思います。     〔委員長退席、黒澤委員長代理着席〕 そこで、今まで同僚委員の質問に対する局長のお話を伺つておりますと、そのような考え方でないと思いますが、整備なりあるいは車両の検査が十分であれば、運送の安全は期せられるのだというふうにも受取れる点があつたのであります。しかし完全なる運送の安全ということには、道路の整備ということも伴つて来ると思うのであります。道路の整備と相まつて、初めて安全な交通ができるのであろうと思うのでありますが、こういつた関係におきまして、道路は建設省の中において所管されておるというような建前にありますので、自動車局としては道路行政の担当でないので、非常にやりにくい点もあろうと思いますが、そういつた悩みについて建設省なり、その他の関係当局と、会議なり、あるいは懇談なり、あるいは研究、批判をするような機会はあるのでありましようか。
  70. 中村豊

    中村(豊)政府委員 道路と自動車とに密接不可分、唇歯輔車の関係にあるのでございまして、お説のごとく同じ箇所で一元的に行政をするのが、最も理想的で望ましいことだとわれわれも考える次第でございます。しかしながら現在の情勢においてさようなことは実現されないので、その欠陷を補う方法として、運輸省自動車局に道路調査課という担当課を置きまして、そこで絶えず自動車の運行状態、あるいは車両の進歩の状態、そういうことを研究しており、それに合うように道路を整備してもらうように要望しておるのでございます。具体的には毎年各現地から、車両の運行及び規格の状態ににらみ合して、いかなる箇所が道路として不完全であるか、幅員は、カーブは、あるいは半径は、あるいは橋梁はどうかというようなことを詳しく調べまして、自動車の面から見た道路の整備、改良の計画を持ちまして、これを建設省に強く要望しておるのでございますが、建設省においてもそれを相当程度取上げて、少い予算の中でこちらの要望に沿うように協力をしてもらつておるのでありまして、事務的には日々の業務面は円滑に連繋ができておるわけであります。ただ遺憾ながら、根本問題になりますとまつたく見解の相違、意見の相反する事態ができて来るのでありますが、日常の業務を通じて両者の円満なる協力関係をつくり上げようと骨を折つている次第であります。
  71. 坪内八郎

    坪内委員 お話で了承いたしましたが、根本的な問題といたしましては、ただいま局長のお話通り、道路行政の面も自動車行政の中に含んで、一元的に事務をするのが私は理想だと思いますので、願わくば将来行政機構をそういつた方向に運ぶように期待いたすものであります。  その点はそのくらいにいたしまして、次に自家用自動車の関係であります。この点は大澤委員からも専門的な立場からいろいろとお話がございましたが、自家用のみ今回二年延長ということについて、私は非常に疑問を持つております。局長もアメリカに行かれ、アメリカの自動車の行政関係、あるいは国際的な事情を十分御承知のことだと思いますが、現在の世界の事情あるいはアメリカ事情におきましては、むしろ営業用の自動車も相当高度に利用されております。現在たとえば有名会社あるいはデパート、あるいはその他の関係においては、自家用車が厖大な数字に上つて、その置場と取締りに困つておるというような実情なのであります。従つて自家用と営業用との考え方は根本的に考え直していただくなり、あるいは愼重なる考え方が必要ではないかと痛感いたすのであります。従つて、世界の情勢からいたしましても、あるいはこういつた自動車関係の趨勢からいたしましても、日本が将来アメリカあるいは他の諸外国に近いような自動車の環境になるではないかということを考えますと、この法律はそういつた自動車の基本的な法律になりますので、その基本法を定める場合に、基本的な考え方を間違えてこれがいろいろ審議をされるということになると、たいへんな問題になろうと思うのであります。従つて先ほど局長のお話を承つておりますと、自家用車は営業車に比して比較的利用面が少い現状であるから、こういつたものにしたのだということでございますが、将来の趨勢としては、むしろ自家用車がどんどんふえるというような実情にありますので、その基本的な法律であります。この法案は、根本としてはやはり自家用とかあるいは営業用とかいうものを区別することなく、そこに相当幅を持たせて立案に当ることが妥当じやないかと考えるのでありますが、そういつた根本問題について、局長の考え方は少し誤つているのじやないかということを憂慮いたしますが、その点について御意見を伺いたいと思います。
  72. 中村豊

    中村(豊)政府委員 お話のごとく自動車の発達を飛躍的にさせるものは、自家用の増加にまつことは当然でございまして、自動車の本来の姿は、他の事情が許されるならば自家用化することがほんとうであろうと私も存じます。従いまして自家用について、営業用と特別な扱い方をするのはおかしいというお話でございますが、自動車を発達せるためにいろいろの拘束、制限をなるべく排除して、使用者の方の自由な努力におまかせすることがいいのじやないかという見地から、自家用については従来よりも大幅な延長をしておるわけでございまして、これは自家用の所有者の方には御異論がなく、けつこうだと御賛成願えるのではないかと思うのでございます。むしろ考え方としては、検査の有効期間はこのように延長すべきであるということになるのではないかと思うのでございますが、それにもかかわらず、営業用についてはその反対を行つたことについて、方針が一定してないという御指摘だと思うのであります。営業用につきましても、自家用と同様にその差別なく、有効期間の延長をするのがほんとうの姿でありましようが、何分にも去年から非常に事故が頻発しまして、まつたく恐るべき結果を惹起したのでございます。そういうことを考えると、先ほどもたびたび申しましたように、万一のことがあつた場合にも、自家用の場合には影響するところがごく関係者だけに限定されて、お気の毒ではあるけれども社会的な問題ではない。営業用については、何しろ貴重な生命財産を運ぶのを業としている車で、それがそのような惨害を起すということでは、これはたいへんなことになるから、営業をやることの一つの義務として、このような嚴重な検査に服していただく、こういうことになろうと思うのであります。自動車運送事業は、バスといわず、タクシー、ハイヤーといわず、免許事業で、ございまして、自由営業ではございません。従つてその意味で、運輸大臣あるいは陸運局長の免許を浮けて、一種の特権を付與されておるのでございます。他の営業と比べてまつたく擁護された——独占ではありませんが、他のだれでも自由に営業をやつて自分の権益を侵害されるというのではなくて、特権を付與された事業でございますので、そのような国家的な恩典の半面には、いろいろの嚴重な義務に服していただくということは、これはまたやむを得ないところであろうかと思うのであります。その意味で運賃を励行しなければいけないとか、あるいは営業規則や約款を店頭に提示しなければいかぬとか、いろいろな報告を出さなければいかぬとか、運送の引受け義務を持つておりますとか、必要な場合には運送を命令されるとか、いろいろ事こまかに義務を負担しておるわけでございますが、そのうちの一つとして、車両保安の見地から検査が嚴重になるということも、これまた特権を付與された反射的な義務としてやむを得ないところだと思うので、このような差別をつけたわけであります。
  73. 坪内八郎

    坪内委員 基本的なそういつた考え方については、局長も私も同じのようでありますけれども、その理想とする考え方が、実際の運営の面に現われるように考慮を拂わなくてはならないのに、日本の現在の情勢下においてはこういつた結果になつて現われたということにつきましては、私は将来大いに検討すべき問題ではなかろうかと思います。私たちも全アメリカをまわりまして、運輸行政をつぶさに視察をして参りましたが、いずれの町、いずれの都会に参りましても、営業用の車はサービスという点に重点が置かれております関係上、諸規則がよく守られて、比較的運営がスムーズに行つておる。ところが監督官庁が困つておるのは、主として自家用がわがままである。いろいろな事故を起す、事故の数なんかも多かつたという点で、そういう点なんかも考え合せまして、自家用が過去の歴史におきましてもあるいは将来の帰趨におきましても、相当発展して行くということをいろいろ考え合せまするときに、自家用と営業用とううものは、もう少し根本的に考え方を検討して、そういつた考え方を具体的に法律案にも表わせるよう、愼重な努力がさらに必要ではないかということを私は考えておるものでございます。そこで先ほど同僚議員の大澤君からもいろいろ質問がございましたが、この手数料を徴放するということは私も反対であります。この点につきましては十分ひとつ検討いたしまして、この法律案の審議をして行きたいと思います。さらにまた自家用の問題につきまして、あるいは営業用の問題につきましては、先ほど申し上げました通りの考え方でありますので、その点もひとつ十分に参考にして行政事務を遂行していただきたい、かように考えておる次第であります。  次に今度のこの法律の改正によりまして、検査、登録関係が廃止になつたり、あるいは検査が單に届出となるというような、いろいろな改正があるようでございますが、たとえば軽自動車というのはスクーターということを聞いております。まは軽車両というのは輪タクということを聞いております。なかなか名前がむずかしくてよくわかりませんが、輪タクを廃止するくらいならば、スクーターのそういつた届出制を廃止してもいいのではないかというくらいに思つておりますが、事こまかにこういうようにしたということは、原案の法律をさらにこういつた面で簡素化したという趣旨には賛成でありますけれども、もう一歩進んで、こういつた複雑な点は廃止してしまうという御意思はないものであるかどうか。また先ほどお尋ね申し上げました通り、スクーターを届出制とするくらいなら、輪タクも届出制が必要であろう。また輪タクが廃止されるならば、スクーターのごときは届出をする必要はないじやないかというようなことを考えますが、この点の事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  74. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 スクーターと軽車両とはやはり違うのでありまして、スクーターのような軽自動車はやはりエンジンがついておりまして、これを運転するのでございますから、技術的な基準には従つていただくことが必要であるし、それから燃料の問題もございます。燃料はどうせ自由に買えばいいと申せばそれまでのことでありますが、あるいは盗難の場合、ニンジンに番号をつけておきまして、車にも、登録番号ではございませんが、車両番号をつけておきまして、識別を明らかにするということにした方が、使用者の方に御便利かと考えておりますので、こういうふうにいたした次第でございます。
  75. 坪内八郎

    坪内委員 スクーターはエンジンだ。軽車両、輪タクは人が足で踏むのだということでございますが、これが道路上で自由に交通をするということについては、これは交通関係は同じだと思います。従つてむしろスクーターの、ごときは別に届出をする必要はない。油は今後自由販売になるということであり、また国民のいろいろな認識から行きましても、スクーターのごときは非常に普及されて、家庭の日常生活の必需みたいになるような時代も来るじやないかと思いますから、こういつたこまかいことまで一々届け出なくてはならぬということにしておくことは、非常に煩わしく思うのでありますが、こういつたものは廃止する御意思はないのでありますか、もう一度お尋ねいたします。
  76. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 スクーターのようなものがたいへん普及して参りましてけつこうなことなのでありますが、近ごろのスクーターはかなり力の強いもので、道路がよければ三十キロあるいは四十キロで走ることができるのでございますから、これはお使いになる方も、あるいはほかの交通者も、危険という点についてはやはり輪タクや普通の自転車とは比べものにもならないと思いますので、ある程度の法的な規制は残しておく方がよろしいと考えております。
  77. 坪内八郎

    坪内委員 スクーターがスピードーが出るからどうのこうのというのではなくて、これは国民の交通教育によつて自然に国民自身が自覚するのであつて、そういう危險を感ずる場合にはスクターには乗らない。自分も被害をこうむらないし、相手にも被害を加えないという完全な自信があつて、初めてスクーターにも乗るし、自転車にも乗るのであつて、自転車に乗る気がない者が、腰をふらふらさせながら、交通頻繁な道路のまん中に出て行くことは、これは本人自身がやらないことでありますので、私はそういう関係は生じて来ない、かように思つておりますので、この点はもう少し簡素化するように要望しておきます。  それから手数料の金額でありますが、百円あるいは二百円ということにきまつたのは、どこに基準を置かれてきめたのであるか、あるいは将来貨幣価値が変動いたしましてまた違つて参りますと、これはまたそこに減額するなりあるいは増額するなり、そういうことになるのであるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  78. 中村俊夫

    中村(俊)政府委員 手数料は、実は先ほど局長が申し上げましたように、なべくいただきたくはないのでございますが、今かかつております経費のある程度の部分がまかなえるようにきめたのでございまして、実際にはこの法律をおきめ願いましたらば、政令によりましてさらに——どうせこれよりも下まわることになりますが、こまかいところをきめて行きたい、こういうように考えております。
  79. 坪内八郎

    坪内委員 ちよつと私のお尋ねに対して御答弁が十分でなかつたと思いますが、大体私はこういつた手数料は業者はまつたく反対だと思うのであります。また世界の情勢からいたしましても、わが国の自動車業界を発展させる意味におきましても、こういつたものはとらない方がいいと思う。先ほど検査手数料が年額二億六千万円もかかるのだから、それに対して財源が必要だというようなお話がございましたが、むしろこういつた面は国家が補助をいたしまして、そうして業者に対しては他の別途の方法で、車両の面も考慮して、そういつた手数料はとらないのが私は妥当じやないかと思います。将来そういうことになすことが理想だと思いますが、その点について局長はどのようにお考えでございますか。
  80. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この手数料の額をきめるにつきましては、こまかい計算のもとに行われたのではございませんで、先ほど説明申し上げましたように、二億六千万円に対して、まあその一部を、半額程度を負担していただくというようなところから、総額を見まして、それによつて検査の件数その他で割つて来たようなわけでございます。そうしてラウンドにするために百円、二百円という額にしたわけでございますが、これについてもちろん将来の理想といたしましては、できるだけこのような負担は、自動車の健全な発展をはかるために、なくする方向に持つて行きたいと考えております。ただ何分にも現在の自動車の関係の負担は多いとはいうものの、道路が現在のような状態であり、また事務としても、日々車両がふえるばかりでございますので、それを処理して行くためにもいろいろな費用がいりますし、車両検査の設備もまだまだ今後整備拡充しなければいけませんので、いろいろと費用のかかる折から、財政の面は非常にきゆうくつなものでありますから、あらゆる名目をつけて収入を確保するようにというような考えを財政当局はいろいろ持つておりますので、それとの交渉によりましてこのような結果になつておるわけでございますが、今後われわれとしては、この負担をできるだけ軽減するように努力いたしたいと思つております。
  81. 坪内八郎

    坪内委員 それからこれは別の問題でありますが、この道路車両法が昨年六月に国会を通過いたしますときに、この法案は厖大な、画期的なる法律案であるから、これを出先のそれぞれの機関の職員なり、あるいは自動車行政を担当する職員、並びにこれの対象となる業者に啓蒙徹底させるためには、相当に努力が必要であつて、ある程度これは困難だというようなお話が、当時の牛島局長からありましたが、今日まだ一年足らずでこの法律の改正を見たわけでありますが、そういつた法律の趣旨徹底あるいは啓蒙というものは、全国的に行き渡りましたでしようか、この点をお尋ねいたします。
  82. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この法律の趣旨徹底につきましては、あらゆる努力をいたしまして啓蒙宣伝に努めたのでございまして、まずこれを実行すべき責任の衝に当る公務員の教養はもちろんでございますが、それを受けるところの自動車使用者あるいは業者の方にもその趣旨を申し上げて、十分なる理解を得ておると存じております。登録につきましても、最近急速度に切りかえが進んでおるわけでございます。基本的な趣旨については、ただいまのところ何ら問題なく、摩擦なく実行されておるというふうに考えております。
  83. 坪内八郎

    坪内委員 けつこうなお話でありますが、当時の牛島局長のお話では、これは本省からも出張いたしまして、そうして業者の方に出向いて啓蒙するのだというようなお話でございましたが、出張旅費その他の予算関係におきましても限度がありましようし、係官がそれぞれ出先に出張してこれを啓蒙徹底するということは、私は実際問題として不可能ではないかと思つた次第でありますが、この点におきまして、業者をどこか一箇所に集めまして、講習なり説明会を開いて趣旨徹底をやつたのか、あるいは業者をそういうふうに集めることなくして、直接陸運事務所あるいは陸運局の係官が出向いて啓蒙に当られたのか、その点を参考のために聞いておきたいと思います。
  84. 中村豊

    中村(豊)政府委員 お約束のごとく、本省からも各地方に出向きまして、各陸運局ごとに、数箇所において業者の代表の方及び有志の方に集まつていただいて、直接御説明いたしました。またそのほかに陸運局、陸運事務所の担当官を集めて趣旨をよく説明し、その担当官がまた現地に出向いて説明をするというふうな、二重、三重の方法を講じております。旅費について御心配願いましてはなはだ恐縮でありますが、もちろん限られた旅費でございましたけれども、この趣旨徹底については重点的に旅費の配分をいたしましたので、十分に説明会が開かれました。
  85. 坪内八郎

    坪内委員 こういつた法律の改正に伴つて関係の業者などに趣旨徹底あるいは啓蒙することにつきまして、係官が出張する、あるいは業者をどこかに集める、あるいは集まつたところに係官が出向くというどころに、いろいろとトラブルが起きまして、昨年などにおいても各所にそういつたあまり好ましからざるいろいろな事態奮起したことは御承知通りでございますが、その点はひとつ十分御配慮を願いたいと思います。この点につきましては、私どもの県などで十分真相を調査いたしてみますると、陸運事務所の方にいささか責任のあつた点もかなりありますけれども、一面業者がそういつた方向に持つてつたというような点もありますので、そういう点を十分ひとつ業者の側にも徹底するように監督を行うし、また係官もそういつた点に乗じられないように、愼重な態度でやつていただくというようにしなければ、私はそういつたドラブルは絶えずどこかで起きるのではないかということを憂慮いたしておりますので、十分愼重にやつていただきたいということを要望いたす次第であります。
  86. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私は政府が今道路連送車両法を改正しようという際でありますので、この法案を昨年審議するときも、簡單に個人の小企業に免許すべきではないかということを伺つてつたのでありますが、しかし当時そのまま原案通り通過いたしたのでありますが、爾来今日までの間において相当小企業にも免許してもらいたいという意見が出て、あるいは運輸省当局にも、そうした陳情、要請等があつたろうかと思うのでありますが、一部法律改正しようとする今日において、これらに対してどういうようなお考えでありますか、一応まずお伺いしたいと思います。
  87. 中村豊

    中村(豊)政府委員 ただいまの御質問は自動車運送事業つまりタクシーとか、トラックの事業免許と思いますが、その関係道路運送車両法ではなくて、道路運送法の方で規定しておるのでございます。関連する御質問として承りますが、小企業についても免許しないという考えは持つておりません。運輸省の自動車運送事業に対する考え方は、道路運送法の免許基準に書き上げられておる基準を公正に適用するという態度でございますが、その免許基準のうたつておる眼目は、その地区における需要と供給の関係をよくにらみ合して、需要に対して、つまりお客さんや荷物の数量に対して供給、つまりバスとか、タクシー、トラックの輸送力が、著しく超過する場合には免許しなくてもよろしい。著しく超過しない範囲では免許すべきだというのが第一の眼目であります。第二の眼目は申請人の資力、信用、内容責任態勢ということをよく調べて、適格者であるかどうかを見るというわけでございますが、この二つの基準従つてわれわれは判断しておるのでございまして、ただ規模が小さいから認めないという基準は少しもございません。ただ資力、信用や責任態勢が十分であるかどうかを判断する場合には、規模の大きい方が、規模の小さいものよりは比較的内容が充実しておると判断されるものでありますから、規模の大きいものを望ましいものだとは思つておりますけれども、規模の小さいものでも、資力、作用が十分にあり、責任を遂行する態勢が確立されておるならば、その地区の情勢によつては免許するという考え方を持つております。この問題についてはわれわれのところにもたびたび陳情がありますので、いかにしたら実情に適合するかを、目下いろいろ研究しておるわけでございます。
  88. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私の御質問申し上げる前提が足りなかつたので、こうした法案をさらに改正しようというお考えでありますから、前の道路運送法の面においてもそういう方針がないということを前提におけばなお徹底したろうと思いますが、そういうように御了解なさつての御答弁でありますから、さらに一、二点お伺いしてみたいと思います。  ただいまの御答弁によりますと、資力その他、その地域的の実情を勘案してというお話でございましたが、この資力の点が問題だろうと思うのです。タクシーの点で申し上げますとよくわかると思いますが、タクシーは御承知のように今日非常にたくさんふえて参りまして、会社の名義で実は個人がその業に携わつている数も相当あるのであります。これもおそらく運輸省においてはお調べになつてわかつているだろうと思うのですが、自分が車を買つて、会社の名義を借りて、ところによりますと月に五万円くらい拂つているそうです。五万円の名義料を拂い、しかも自動車は自分の力で買つている、自分の資力でこれを求めて営業いたしているというような実体がわかれば、私はこうした者にもさつそく免許してさしつかえないのではないか、かように考えるのでありますが、詳細のことは省略いたしまして、基本的の問題だけを一つお伺いしておきたいと思います。
  89. 中村豊

    中村(豊)政府委員 自動車の免許の名義貸しは、われわれとして最も排除しなければいけないと思つている点でございまして、その点については嚴重に事業内容を監査いたしまして、名義貸しを一掃しようということで現在臨んでおります。それで名義を借りる者も悪いのですけれども、貸す者も悪い。いながらにして権利の上に眠つて、頭金として何万円もとつておるというような実情にあるやに伺つておりますので、そのような場合には、せつかく免許を受けて営業をやろうとするのだから、できるだけ他人に名義を貸すということをせずに、車を買い取つて運転手を雇つて営業すればいいじやないかというやり方が一つと、もう一つは名義を借りるようなことはやめさして、借りた者だけで集まつて一定の規模になるだけの車を集めて、会社なり団体をつくつて免許を受けたらいいじやないかという二つの方法があるわけでございます。現在問題になつておる東京においては、この二つの方法を並行してやつております。とにかく免許を與えたのでありますから、正道について正しい営業をやろうという意思があるのならば、その方向を進めて、名義を貸した車を買収さしてやらそうという方向に進んでおりますけれども、そのわく内にどうしても入らない車については、そういう方々を集めて一定の規模の内容のしつかりした会社をつくらして、それには免許を新しくやろうという考え方でやつております。東京においては、この二つの方法が割合に円滑に進んでおると承知しております。各地においても同じようま考え方を持つて行きたいと思います。
  90. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ただいま局長の御答弁のように、確かに貸す方も借りる方も悪いことは私ども同感でありますが、しかしできたものをどうするかということになりますと、これまた今の御答弁のように二つの方法があることは一応うなづかれますが、しかし一旦自分で自動車を買つて、名義料を拂つて経営をいたしておる立場からいえば、それをあらためて会社に売りつけてやるくらいなら、最初から自分で買つて名義料まで出そうという考えは起らなかつたろうと思う。やはり自分で名義を借りてやるところに、何かうまみがあつて、そう考えたのではないかと一応考えるわけです。そこで名義を借りておる者だけが集まつて、いわゆる企業合同、戰時中にやつた小企業者の企業合同的なものも、これまた私は全面的に賛成しかねるものがあるであろうと思います。私どもは実は戰前十四社ばかりに関係しておりましたし、また個人の事業の面において政府から強制的に企業合同させられて、非常なばかを見たこともありますが、そういうことはさておきまして、現実の問題として私指摘申し上げることは、東京にある業者からの直接の話を聞いておるのであります。そこで先ほど申し上げましたように、実際の資力があつてやり得るものであるならば、むしろその者にやらした方が、業者の弊害を除去して、個々の経営が育成されて行つて、非常に経済的にもいいのではないか、こういう観点から申し上げているのでありまして、企業合同式に、名義を借りた者だけが集まつてやるのはやるとして、個人で相当の資力を持つて経営し得る者に対しては、これはやはり免許を與えた方がいいのではないかと思うのです。先ほどの基本的なお考えを承りますと、そういうふうにも受取れますが、重ねて局長の御意見を伺いたいと思います。
  91. 中村豊

    中村(豊)政府委員 過去の実績に照しますと、お説のごとく資本によつて買牧統合したものの方が、企業合同したものよりも成績がよろしゆうございます。それで今回の再編成にあたりましても、できるならば資本によつて統合して買牧させるというのは望ましいのでありますけれども、どうしても買収に応ぜられない事情がある場合に、そういうような人々に全然この事業経営のチャンスを與えないということも気の毒に思いますので、そういう人々が集まつてりつぱなものをつくつてくれるならば、これを認めていいのではないかと考えているのでございます。問題は企業合同の形にとらわれずに、企業合同ではあるけれども、りつぱな一本筋の通つた責任のはつきり持つてもらえるところの組織になればいいというふうに考えるので、企業合同については相当その内容について調べさしてもらわなければいけないと思つております。もう一度申し上げますれば、資本合同が望ましいので、これを原則にいたしますけれども、企業合同のいいものならばこれを認めて行こう、こういう考え方になつております。
  92. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 今の局長のお話は、企業合同の面はそれでいいのですが、名義を借りている者だけが集まつてやろうということになりますと、これは実体は組合のようなものであるわけですが、さらに換言すれば、これは形式的な問題であつて内容的にはやはり個々の者が仕事をするのでありますので、そうした形式にとらわれず、実体を把握して、形式的には会社のごとくあるが、実体は個々の者が経営するのだというようなことがわかるものであれば、また経営実体が力があつて、個々にやつてもやり得るというのであれば、私はこれに対して免許すべきであると思うわけです。私は今時間がありませんので、いろいろの例もりますが、本日は結論を出しませんで、保留して次会にも続行してお伺いしたいと思いますが、本日一点だけさらにお伺いしておきたいと思います。
  93. 中村豊

    中村(豊)政府委員 資本合同で行けば、資本的に筋が通つておりますから、業態を全部把握して責任を十分に果とて行くことができるので、資本合同が望ましいということは、先ほど申し上げた通りでございます。しかしながら企業合同でも、全部が全部みなが寄り集まつて、表向き会社の名前にしても、中身はどんぶり勘定であるいうのは困るのでありまして、そういう形のために、従来たびたびせつかく統合した会社が、分離解体という問題を起して困つて来るのでありますので、それについては十分に注意をしてその内容を審査する、どんぶり勘定にならぬように、一本の会社なればほんとうに一本の会社としてまとまつているかどうかを調べたいと思います。従つて数人あるいは十数人の方が集まつてやる場合に、だれが社長になり、だれが重役になり、だれが労務者になつて働くかということになりましても、それはまつたく適任不適任によつてそのところを得るのでありまして、あとは出資した額に応じて株を持ち、利益金を配分する、あとはこの新しくつくる会社をもり立てて行くのだという意気込みがあり、それだけの見込みがあるということを十分に調査いたしたいと思います。企業合同については、従来もたびたび審査について十分でなかつた点がありますので、これらの経験を運輸省としても持つておりますので、この点は十分審査したいと思います。
  94. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 私の申し上げるのは、そうした会社を組織するということによつて——私も大小合せて十四社の会社を経営いたした経験を持つておるわけでありますが、そこで会社を経営するにあたりましては、局長が言われるのはその通りですが、私の言うのは、名義を借りて営業免許を受ける者は、これは非常に零細的なものであるが、しかし車を買つて個人で営業するだけの資力のある者に対しては、これは個人にやらせてもいいのじやないか、なぜに会社でなければ許可をしないのかという、この根本方針をもう一度お伺いしておきたいと思います。
  95. 中村豊

    中村(豊)政府委員 個人の形態はなぜ望ましくないかという御質問でございますが、やはり事業をやる以上は、現在の制度においては株式会社が一番望ましいのではないかと思うのであります。ということは、公益事業として免許によつて擁護されておるのでありまして、また他面先ほど申しましたように、いろいろな義務を持つおるのでありますから、その権利義務を遂行して行く上においては、いろいろと経理、会計の整備とか、帳簿の整頓とかいうような点においては、現在のところ個人営業よりは、株式会社組織の方がはるかにまさつておると思うのであります。個人営業の欠点は、事業の収入と個人的な収入とがとかく相混淆しまして、自分の収入はみんな自分のどんぶりに入つてしまつて、いつの間にか自分の家庭の生活費の方に消えてなくなるというおそれがあつて、営業の費用の方に、あるいは車両購入の積立金にそれを確保するということがどうしてもされない。そこへ行くと株式会社の方は、事業の収入と支出が明らかになり、また償却金の制度もはつきりしておりますから、設備の更新もできるということで、経理、会計の制度の上では個人企業は非常にあいまい模糊としたところがあるように思うのであります。その意味で会社組織が望ましい、かように思うのでございますが、これは原則でございまして、個人で資力、信用十二分であつて、それがたくさんの車を一手に所有して営業ができるという者があれば、何もこれを絶対に認めないという意味ではございません。その点はその個人の資力、信用、責任態勢ということを調べて、それに適合すればよろしいと思うのでございます。
  96. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 せつかく御親切な御答弁であるが、局長はまだどうも民間企業の面に御経験がないだろうと思うが、今の会社の経理面におけることは、これはいわゆる形式の問題でありまして、私は実はそういうことはやつておりませんが、一般社会にありがちのことは、今日こぞつて個人企業を会社企業に登録がえをやつている。それはどういうわけかといいますと、むしろ会社にした方が税金などが安くなる。今度は税法が少しかわりましたけれども、そういうような点から、続々として個人企業が民間に移行したことは御承知通りであります。従つて経理面で、なるほど個人であるから、むろん生活を基準として、台所の方へ金が流れるということは、これは当然の話でありますが、しかし実質的にいつて個人の力のある者は、むしろ会社の場合よりも——私は社会的に弊害が会社の方が多い場合も往々にしてあると思う。ただ私は局長の言葉で傾聽すべきことは、公共性の問題だと思う。公共性という問題によつてこれを考えるために、個人がいかぬと言うならば、それでいい。ただ経理上の問題について云々、あるいは資力の面についてどうこうということは、これはまつたく当らない意見であると私は思う。この点についてはなお日をあらためてお伺いいたしますが、その根本的な考えはやはりおかわりはないのですかどうか、これをあらためてお伺いしておきいたいと思います。
  97. 中村豊

    中村(豊)政府委員 会社の経営をやつてみた経験がございませんわれわれが、会社の経営の組織についてとやかく申すのはおこがましいことでございますので、十分実態を研究いたしたいと思いますが、今のお話のような公共性の点からも、会社組織が望ましいとは思つております。ただ個人形態を絶対にいけないということではございませんので、これは実際の具体的な場合について判断させていただきたいと思います。
  98. 坪内八郎

    坪内委員 今日のこの委員会はすぐ閉会になろうと思いますので、先ほど遠慮を申し上げましてお尋ねするのを控えておつた点について、この際一言お尋ねいたしたいと思います。それは車両検査証の有効期間のことについてでありますが、もともとこの法律先ほどお話申し上げました通り、昨年の六月に出まして、七月に施行されて、そしてわずか一年足らずしてこういう改正案を見ることになつたのであります。この点について将来改正する御意思があるのかどうかというお尋ねに対しまして、局長は、社会情勢として新たなる情勢の惹起に伴うて、十分考えてみたいというようなお話であつたことく承つてつたのでありますが、その点が非常にはつきりしないのであります。そこでこの車両検査証の有効期間について、提案理由説明にあります、通り、現在一律に一年であるのを、自家用のみ二年、バス、タクシーは九箇月、トラックについてはすえ置きで一年ということになつた点について、先ほど経営面で非常に経験の深い大澤委員より質問がありましたが、この点は私は十分に検討の余地があろうかと思います。そこで先ほど問題にされましたこういうような有効期間を置くことは、自動車の使用キロ数を基準にしてやつた方がいいのじやないかという大澤委員のお話は、私も同感でありまして、この点につきましては局長は、営業用がうんと使うのであつて、自家用のごときはまれにそういつた営業用をはるかにオーバーするような使用キロもあるけれども、それはまれだ、こういう観点から、これは今ここに改正されようという基準に基いてやる方が妥当だと思うというようなお話でございましたが、私どもはこれを検討いたしまして、やはりこれは使用キロ数において、平等に自家用であろうがあるいは営業用であろうが、国際的な、あるいは世界的な自動車の趨勢からいつて、こういつた基本的な律法の改正をしておいた方が、将来のためにいいのじやないかと痛感いたします。この点についていろいろそういつた空気に本委員会の考え方があらためてかわつて参りますれば、局長はそういう法律の改正、ここに提案されておる内容を変更される用意があられるかどうかということをお尋ねいたします。  第二点は手数料の問題であります。これは小型が百円、あるいはその他の自動車の関係が二百円以内ということになつておりますが、これは以内ということになつておりますので、あるいは五十円や三十円になるかもしれないのでありますが、これは小型とかその他の自動車ということにきめないで、一律に五百円以内ということに訂正をすることも妥当じやないか。手数料をとらないのが私は理想だと思うけれども、現在の情勢でどうしても手数料をとらなければならないということに当委員会でまとまりますれば、私はそれに従うものでありますけれども、この点も調整をする必要があろうと思う。そこでこの点につきましても、局長はあくまで原案のままで行こうとなされるお気持であるか。これを最後にお尋ねいたしまして、私の質問を終りたいと思います。一応お考えを承りたいと思います。
  99. 中村豊

    中村(豊)政府委員 検査の有効期間のこの改正案について、考慮する余地がないかどうかという御質問でございますが、この法案提出する以上は、われわれとしてもいろいろ研究したのでございまして、この案におちつくまでには相当紆余曲折を経まして、内部でも研究を重ねたわけでございますので、いろいろと御指摘の点については、まことにごもつともな点もあり、われわれも教えていただくことが多かつたのでございますが、今まで御説明、御答弁申し上げましたような意味から、ぜひこの改正案で御承認願いたいと思う次第でございます。次に手数料の問題でございますが、これは先ほど整備部長からも御答弁申しましたように、政令で、百円あるいは二百円以内とあるのでございますので、これにつきましては車の種類に応じて、それよりも切下げることも考えてみたいと思つております。それについていろいろと案はございますが、ものによつては五十円ぐらいのものも考えてみたい。そういう金額を減らすことによつて、多少とも緩和を考えてみたいと思うわけでございます。
  100. 坪内八郎

    坪内委員 それでは最後に一言、この法案の改正案につきましては、ただいまお話通り十分あらゆる立場、あゆらる角度から検討を加えられて、愼重にこういつた案ができ上つたということにつきましては、了承いたしておるのでありますが、私ども会議員の立場からいたしましても、今日のわが国の経済状態、あるいは自動車業界のこういつた採算面、あるはいは営業運営面といつたことを考え合せますと、今日の経済事情というものは、非常に微妙な段階にありまして、業者は税金攻勢、その他非常に採算がとれないというような事態になつておるのでありまして、これは非常に深刻な問題であります。従つてこの手数料の百円、二百円ということは、簡單なように一面考えられますけれども、これが業者に與える影響というものは非常に大きいかと思いますので、この点につきましては十分われわれは検討を加えまして、そうして完全な意見の合致したところで、納得の行くところで、これを可決して行きたいというような希望を持つておりますので、今日はこの程度に審議をいたしまして、なおこの点はさらに検討を加えて行きたいと思いますから、あわせて政府当局もその点は研究と御考慮を拂つてくださるよう要望いたしまして、質問を終りたいと思います。
  101. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいま坪内委員からも道路運送車両法の改正についていろいろ御意見がありましたが、私も最後に一言局長に申し上げておきたいと思うのであります。いずれの社会におきましても、もちろん政治と行政ということは、われわれの国民生活にも直結をいたしておりますので、先ほど坪内委員からもお話がありましたように、金額は少額であつても、やはり政治の面に現われる国民の気持、国民の感情というものを、一応行政をつかさどる行政官をいたしましても、われわれ政治を担当しておる者といたしましても、十分この点は認識をし、深く考えて行わなければならない問題であると思うのであります。従いましてわが国が戦後初めて独立国家として、このたび講和條約がすでに時間の問題で発効するというような段階になつておりますので、国民とすれば政治の見方、あるいは政府行政官の考え方等に対しては、真劍にこれを考え、また検討しておることと思うのであります。従いましてこのたびのような法案の改正の要点が、専門的の自動車局長の御意見を伺いますれば、営業用の自動車は非常に走行キロ等も走るから危險が伴うとか、あるいは過去の事故等の経験から見ても、今度の改正が当然であるというように言われますが、何といたしましても現在のわが国の段階から見ますれば、すでに自家用自動車は、トラックにいたしましてもあるいは乗用車にいたしましても、一応富裕階級、すなわち一般国民の数から見れば何パーセントでもない、ほんとうの少数にしかすぎないというような現状から見て、行政官としてもあるいはわれわれ政治を担当する者としても、少数の者の味方になるということは、一応でき得るはずのものではないと思うのであります。従いまして営業用の自動車あるいは業者というものの見方で見ることはどうかと思うのでありまして、従いまして自動車の営業者というものは一般国民生活に直結しておるものであります。従いまして自動車業者、すなわちトラックにいたしましても乗用車にいたしましても、自動車業者のすべての経営の面というものは、八千万国民に直結をいたしておるわけであります。従いまして道路運送法を見ましても、自動車事業者が利益が出た場合は、自動車運賃を引下げて、低廉な運賃でこれを経営するというような法律がすでにあることは御承知通りであります。そういう面からいたしまして、これが自動車業者に対してたとい少しでも負担をかけるということは、とりもなおさずすでに一般国民に負担をかけるということになることは、局長初め担当官といたしましては当然御了解のつくことと思うのであります。従いましてわれわれ政治の担当する者といたしますれば、少数の者の便宜をはかるとか、あるいは少しでもそれに対しての味方になるということは、私は当を得ない政治であり、行政であると考えますので、本法案に対しましては、すなわち自家用自動車もあるいは営業用の自動車も同じ見方で、戰後の独立国家としての行政を考えてもらうことが、われわれの国民に対する当然の義務であり、考え方でなくてはならぬと思うのであります。そういう見地からいたしまして、すなわち極端に申すならば、自家用自動車はトラックにしろ乗用車にしろ、特権階級の持つべきものであつて、国民の大衆への影響はことに少いのであります。八千万国民のためには、営業用の味方になつて営業者を助け、しかも道路運送法によるところの営業者が幾分でも利潤がふえて運賃を値下げすることを、国民は期待することが当然であるのでありますので、本法案の改正に対しては、一応これをまた修正をすることもここに提案しておきたいと思うのであります。
  102. 熊本虎三

    熊本委員 私自動車のことについてしろうとでございますから、よく皆さんの御意見を拝聽して参考にしようと思つておたのでありますが、先ほど来のいろいろ議論を聞いていまして自家用車に対する期間の延長、これに対する意見が二通りあるようでございます。この問題を解決するためには、走行キロ数の制限をして、それでどの程度になつたならば一度検査をする、こういうようなことができれば、それだけのことでしたら先ほど来の議論は解決すると思う。しかしそれをやるのには届出制によらなければキロ数は監督できない、こういうことになるわけでありますが、はたしてそういう制度をもつて、実際の走行キロ数を限度として行つて公平なる検査ができるかどうか、これをひとつきお聞きたいと思います。  それから料金の問題でございますが、その額がはたして妥当であるかどうか私はわかりません。しかし先ほどの議論を聞いておりますと、いろいろ議論がございまして、やはり国民生活に影響するという御議論のようでございますが、国民生活に影響するものは、ただ自動車の検査料金をとることばかりではないと私は思う。少くとも国民負担に基く検査官に要する費用というものは、また国民が負担しているのである。従つて正確な意味から行けば、やはりそのことのために消費する国家支出は、これは受益者の当然なる公平なる負担に基くことが政治の原則であろうと思う。でありますからこういう面から行きまして、必ずしも私は百円とかあるいは二百円とかいう数字が妥当であるかどうかは知りませんけれども、こういうような問題に関する基本的な物の考え方について、当局はどういう考え方でこれを出されたか、私いろいろ議論を聞いておりまして、解せないものがありますから、念のためもう少しお聞きしておきたいと思います。
  103. 中村豊

    中村(豊)政府委員 車両の走行キロでもつて性能の良否を判断して、それを基準にして検査の期間を定めたらいいではないかというお説は、まことに合理的な制度だと思います。ただ遺憾ながら現状においては、走行キロを表示するメーター類がきわめて不完全でありまして、最近の車以外には、ほとんど最初車をおろしてから何方キロ走つたかということのレコードがされていないような事情のものでありますから、遺憾ながらこの方法をとることができなかつたのであります。またこの方法をとる機械的な設備がありましても、今度はそれをどういうふうに区分するかも、なかなか技術的に困難でございますので、今回こういうやり方をしなかつたのでございます。  手数料をとることの考え方でございますが、これはたびたび申し上げましたように、一方においては国家の行政事務でありますけれども、他方においては受益者に対する負担という見地が考えられますので、さようなものについては国費多端の折から、多少その負担をお願いするということで御納得願いたいという考えでございます。
  104. 熊本虎三

    熊本委員 もしメーターが整備されておつて、そして走行キロ数が表示し得るといたしましても、結局これは本人の届出主義でなければ、その一定のキロ数にオーバーしたかしないかはわからないというところに、検査の適正を失う点があるのじやないか。それはまた罰則等で制約はできるでありましようが、そういう点に実施上不備があるではないかというふうに考えておつたのであります。いわんやそういうものをはかるものがないといたしますれば、やはりやむを得ないかもしれません。しかしながら何といいましても、原則的には使用度数、言いかえれば走行キロ数によつて大体の目安をつけることが妥当だと思いますので、先ほど来申しますように、自家用車の二年というような、そういう期間的なもので期間を区切つておりますために、先ほどの議論が出て来ると思います。もし先ほど言われるがごとき議論であるとするならば、当然私どもも自家用車の二年というものに反対しなければならぬ。そこでもう少し具体的に、当局の方からそういうふうにした理論的な参考資料を出すというようなことも必要ではないかと思います。それで料金の問題につきましても、いろいろの角度から物が判断できるわけでございますが、なお支拂うものが直接負担が多くなるという、いわゆる精神的な面から来るものがいろいろ多かろうかと思うので、これにつきましても、この際はできるだけ当局者で緩和できるものならば、一段階として緩和するということには私は反対ではありません。特にきよう決定になるものでもございませんので、私もまたそれぞれの経験者にも尋ねまして、次の私の意見をまとめたいと思つておりますか、私の原則的な意見としては、当然国民負担の軽重は、單なる一片を見て物を論ずべきではない。政治、経済、財政の原則は、当然それによつて受ける受益者との関係を密にして均衡なる負担をせよ。こういうことが私の政治理念でありまして、この点についてももう少し何か資料があつて、せつかくの体験者の御意見でございますから、もう少し親切な資料等による御説明ができますれば、せつかく皆様方のお出しになつた案も、もう少し御了解が行くような方法があるのじやないか。この点を希望申し上げておきます。
  105. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 ただいま同僚の委員からも、一応手数料の点は受益者の負担も当然だというようなお話もありましたが、私はこの手数料の点は、別にこれが受益者だから高いとかなんとかいうのでなくて、自動車はすでに御承知通りガソリン税でも国家の財政に対して相当の負担をしておる。同時に地方の財政の面は自動車税によつて負担しておる。また道路を使用する点に対して道路損傷負担金を負担しておる。なお自動車を取得する場合には自動車の取得税を拂つておる。あるいは外国車を輸入する場合には海関税ですでに四十何パーセント、合計いたしますと、総額約七〇%になる税の負担をしておるというように、自動車の税の面はあらゆる角度から少しも漏れなく、国家の財政に対しての負担を十分しておるわけであります。なおその上このたびの検査をするために手数料をよこせということは、金額は少々であるが、検査をするということは、国がかつてに検査をするので、自動車を所有しておる者、ことに自家用車のごときは民法による享受権の行使であつて、自動車を持とうが持つまりがかつてであります。何ら自動車を持つことに対しては拘束を受けないのでありますが、そういうものであつても、国あるいは行政官庁として強制的にこれを法律によつて検査をするのだ。検査をするのだから手数料を出せという法律がこのたびの法律であるのでありまして、自動車を持つ者で、営業車であろうが、自家用車であろうが、十分自分の身の危險を感じて、しかも不十分の整備をする気違いはないのであります。当然自分の危險を補うべく十分注意をし、しかも完全に修理して走ることが、人間として当然のことであります。また運転者としても十分検討して車両の整備をし、修理して、身の危險を感じないようにやることが当然であるのでありますが、それを法律によつて政府の一方的の考えによつて検査をするのだ、しかもその検査に対して手数料を抑え、なお今まで営業車もあるいは自家用車も一箇年であつたものが、今度はかつてに自家用車は二年でいい、あるいは営業車は最高九箇月にするという。自家用であろうがあるいは営業車であろうが、新しい自動車を製造メーカーから買う場合は、当然みな同じであります。価格も同じでありますが、同じ新車を買うのに、新車に対して営業車であるから九箇月にし、自家用車であるから二箇年の有効期間の検査証を出すのだという一方的な、かつてほうだいの法律は世の中にないと思います。そういう点からいたしまして、私は強くこの点を主張いたしておるわけであります。営業車であろうが自家用車であろうが、同じ新しい自動車を所有する者に対して差をつけるということでありますが、それは二度目の検査のときは、自家用車は少ししか使わなかつたらまだ一年の有効期間がある、あるいは営業車は九箇月あるというのならやむを得ないのだが、同じ新車で同じ価格のものを所有する者に対して、最初から九箇月であり、二年であるという大きな差をつけることは、しかもそれがただならともかく、たとい二百円でも手数料をとるということは、絶対にこれは矛盾をしておることは明らかである。そういう点からいたしまして、私の金額はたとい二百円であつてもこういうことは許すべきものではないということの意味をよく御了承を願いたいと思います。
  106. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 次会は明日開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十九分散会