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1952-04-15 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十五日(火曜日)     午後二時十八分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君    理事 山崎 岩男君 理事 原   彪君       大澤嘉平治君    尾崎 末吉君       關谷 勝利君    玉置 信一君       坪内 八郎君    熊本 虎三君       山口シヅエ君    江崎 一治君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         航空庁長官   大庭 哲夫君  委員外出席者         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件  日航機事故に関し説明聽取に関する件     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    岡村委員長 これより会議を開きます。  去る九日の日航機もく星号事故に関し、政府より現在までのいきさつにつき説明を求めます。村上運輸大臣
  3. 村上義一

    村上国務大臣 去る九日の朝突発いたしました日本航空会社所属飛行機事故につきましては、ただいまも本会議場で御報告申し上げました通り、きわめて残念であり、遺憾しごくなできごとであつたのであります。これは終戰直後のスキャツプイン三〇一号によりまして、日本人航空機の所有なり、また製作なり、整備運航、また研究というようなものを一切禁止せられているのであることは、御承知通りであります。その後このスキャップイン三〇一号を前提といたしましてさらに一昨年の正月、司令官覚書によりまして、日本航空会社国内航空を経営することができるように相成つた次第であります。しかしながらその営業面につきましては、日本政府監督のもとに日本航空会社が衝に当つておるということは、きわめて明瞭であるのであります。しかしながらただいま申し上げました覚書によりまして航空機の所有、運航は依然として許されておらないのでありまして、現在御承知のようにノースウエスト航空会社国内航空運航整備責任に任じておる次第であります。従いまして、その飛行機耐空証明の問題、または操縦士その他技術員試験及び免状の交付の問題は、米国政府内の民間航空局が当つておる。また内地航空路指定でありますとか、または航空交通管制につきましては、進駐軍当局が当つておる次第であります。航空保安に関する責任は、以上述べましたように一応明確に相なつておるのであります。しかしながらいろいろの機関によつて監督が行われておる関係上、その機械がいかにも複雑であるということは申し上げ得ると思うのであります。今、航空事故調査会におきまして、これを前提として各方面権威者を委嘱して、せつかく事故原因を究明して、今後この犠牲を再び繰返さないように、去る九日の犠牲をして今後に十分な意義を持たしむるようにぜひしたいという考えで、この委員会航空庁長官委員長と相なりまして、中央気象台長また電波監理長官、さらに運輸技術研究所自動車整備部長、この疋田氏はもともと海軍におられまして、航空事故をもつばら取扱つておられたその方面権威者であるのであります。なお次に明治大学の教授である小川工学博士、この方は帝大飛行機研究所に長らくおられた方であり、飛行機のボディーについては権威者であられるのであります。なお日本大学教授小川博士、この方はニンジン、機器方面権威者であられるのであります。なお元操縦士で長年日本人に膾灸せられた中尾氏、この七人に委嘱いたしました。なお幹事としましては運輸省官房長航空庁の次長、これらの人々によつてとりあえず事故調査会を構成いたしまして、一昨日、このうちの一部の方でありますが、現地におもむかれてそれぞれ視察、検討をせられまして、昨日第一回の会合を開きまして、それぞれその得意とせられる部門にわたつて特別研究をお願いすることにいたした次第であります。もちろんこれらの委員特別研究を補佐するため、航空庁技術官その他各方面専門家にアシストしてもらうということにいたしておるのであります。なお進駐軍においても、今回の事故調査日本政府に一任するが、でき得る限りの援助をする、あらゆる資料を提供するということも申しておられる次第であります。何分事故の性質上、相当の時間を要することとは存じますけれども、なるべくすみやかにその原因を究明いたしたいと考えておるような次第であります。
  4. 岡村利右衞門

    岡村委員長 ただいまの説明に対し質疑の通告がありますので、これを許します。満尾君。
  5. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま運輸大臣から、去るもく星号遭難について報告をいただきまして、大体において私ども経過がわかつたのでありますが、この際大臣にお願いいたしたいことは、このもく星号遭難いたしました直接的原因につきましては、大臣お話によりまして、相当な期間をかけて徹底的に究明する。私どもはその徹底的に究明された結論をお待ちして、対策を考えて行きたいと考える次第であります。ただこの点に触れて一言希望を申し上げますならば、幸いにしてGHQ当局も、この原因の探求にあたつて日本側に一任するというお話でありましたが、私はその際に、アメリカ側に多少とも気がねせられるようなことなく、たといアメリカ側のいろいろなものの考え方、判断の結果に対しましても、十分徹底的にメスを加えていただいて、そうして将来にかような事故が起らないように、遭難した方々の霊に報いたいと希望してやまない次第でございます。さらに直接的原因を除いて、遠い原因につきまして若干のお尋ねをしてみたいと思うのであります。まず第一は、日航がどうしてノースウエスト社と御契約になつたのか、その当時の御選択になりました事情は、どういうことであつたかということが一つ、またこの飛行機運営技術上の考慮につきましては、ただいまの御説明によりまして、あるいは米国航空局なり、GHQのいろいろな許可をとつておられて、保安上の責任は大体その方にあるということでございましたが、あるいは機種の選択につき、パイロットの選任につき、あるいは運航のダイヤの面、あるいはコースの面、いろいろな問題があると思いますけれども、私は特に日本地形なり、日本気象なりから来る特殊性というものについては、日本側において相当考えて、十分な考慮GHQ側に対して求めなければならぬような立場にあつたのではないかと思うのでありまするが、ここらの面について運輸省当局は今日までどのような措置をとつて来られたのでありましようか、お伺いしたいのであります。  その次に今回の気の毒な遭難者人たち慰藉方法でございますが、新聞にいろいろ伝えられておりますけれども当局から大体のお話をまず伺いたい。あるいは新聞の伝えるところによりますと、相当保険金等がかけてあるというお話でございますが、どういう程度のものが遭難者に報いられるよう目下考慮せられておるか、あるいはそのことが経済的に日航の経営に対してどの程度の影響を持つものであろうかということも、ちよつと伺つておきたいと思います。  第三番目にお尋ねいたしたいことは、今回の遭難事故を教訓といたしまして、近く講和発効後におきまして、運輸大臣日航改組につきましてどういうような御構想を持つておられますか、お考えをお教えいただきたいと思うのであります。
  6. 村上義一

    村上国務大臣 まず最初日本上空気象特殊性につきましてのお話がありました。日本側が特にこれについていかなる方法をとつておるかという御質問であつたと存じまするが、中央気象台は各飛行場にそれぞれ駐在員を派遣しております。羽田空港においても気象台の出張所が設けられております。そうしてたとえば日航の第三百一便が発航するという時刻の直前に、たとえば東京、福岡間の空路であるとしますれば、その間の気圧の関係、また雲の関係——雲といいましてもたとえばシー・レベルから何フイートの高さから何フイートの高さまでどういう雲の厚みであり、どういう形態の雲であるというようなことを全部図表に書き入れる。そうしてこの三百一便の機長、いわゆる操縦士に手渡しをすることになつておるのであります。口頭でなしにこういう図表によつて十分な注意を喚起することに相なつております。機長はこの渡された航空路気象図を見まして、どの区間はどの高度を保つて行くか、どの場所においては定められたるルートから若干の異なつルートをとる必要があるとかいうようなことを、またその気象図表に自分の飛ばんとする路線を書き込むことになつております。そうして機長ノースウエスト会社のディスパツチヤーにこれを手交いたします。デイスパツチヤーはこれを受取つて、その気象図機長が選定した空路との関係が正しいか、よろしいかということを検討することになつております。意見が一致した上で、これを羽田空港管制官認可を得べく提出することに相なつております。羽田空港航空交通管制官がこれを受取つて認可を與える。そこで初めて飛ぶべき空路が確定する、こういうことに相なつておるのであります。当日は御承知通りかなり強風でありました。朝、強風特報も出ておつた次第であります。そういう関係で、三千フイート程度まで館山上空までに上昇するというような空路をとつておるのであります。そういう関係上、日本気象特殊性は十分に織り込まれておるはずだと思うのであります。もく星号乗組員も、機長である操縦士は、御承知だと思いますが、先月半ばに任務についた人でありまするが、コーオペレーターは業務の開始  当時から参つておる人であります。日本気象特殊性にも十分なれておるはずだと思います。なおこれらの点につきましては、今後なお注意を要する点があるのではないかということも考えまするし、これらの事柄につきまし  ても、事故調査会においてその結論を出してもらいたいと考えておるような次第であります。その結論によつてさらに適切な措置を今後とつて行きたいと考えておる次第であります。   次に慰藉方法であります。これもすでに新聞紙上において発表せられております通り慰藉としましては百万円、しかも今まで各種の交通事故におきましては、いろいろその遭難者の特殊の立場にかんがみて金額が異なつておる場合が多いということは、滿尾先生も御承知だと思うのであります。何でもいろいろ役員会で議が出ましたそうでありますが、とにかく航空機を利用して旅行せられるという方は、大体において同じような状況におられる方方であるということも考えて、すべて一律に百万円の慰藉料を納めてもらうようにしたい、こういう決議になつた模様であります。また霊前に供える香奠と申しますか、あるいは花代と申しますか、これも画一的に十万円ということに決定し、葬儀料としましてその一部分に充ててもらうという趣旨で、これも一律に二十万円ずつを贈呈したいということに決定しまして、今日までにそれぞれ社長、専務、会社が手わけして各霊前にぬかづいて、贈呈をいたしたはずであります。なおただそういうことだけで足れりということはもちろんできないのでありまして、先刻も本会議の議場で御報告しましたことく、大島におきましては、その遺骸の取扱いにつきましても、納棺の方法につきましても、種々意を配つて哀悼の意を表すると同時に、尊敬の意を失わないように処置いたしたという報告を受けておりますし、また目撃いたしておる次第であります。日航会社遭難者並びにその御近親の方々に対してこれらを贈呈したということは、もちろん輸送契約によつてそれが果されるのみならず、非常な惨事を惹起せしめたということでありますので、第一段の責任はもとより日航にある次第であります。まずもつて日航が御遺族に対して謝罪並びに敬弔のまことをいたした次第であるのであります。第二段におきまして、日航に対してノースウエスト会社は、当初の契約に準拠してこれらのすべてを賠償するということは、この事故の起りました当日東京駐在ノースウエストの副社長ミスター・キングが運輸大臣室参つて、あいさつを兼ねてそういう旨を申し入れておりました。もちろんすべての求償は受けるけれども、一方におきましてノースウエスト会社は、飛行機あるいは荷物とともに日本航空から求償されたものを、保険会社にさらに再求償をするということになつておるのであります。  なお平和條発効後どうするか、特に日航改組というようなことについて考えていないかというような御趣旨の御質問と拝承いたしましたが、平和條発効後におきましては、御承知通りスキャップインも消滅いたしまして、完全なる航空活動日本としてもでき得ることに相なる次第であります。これは国際民間航空條約に定められた方法に準拠すべきことはもちろんでありまして、従いまして今政府といたしましては、航空機航行の安全をはかり、航空交通の健全なる発展をもたらすために、航空法の立案をいたした次第であるのであります。この航空法案の中には、ただいま申し述べました国際民間航空條約に定められた事柄をもちろんすべて盛り込んでおる次第であります。平和條約が発効したあかつきにおきましては、完全に日本政府航空保安に関する責任を持つて行くということに相なる次第であります。ただここで一言お断り申し上げておきたいことは、平和條約が発効すると同時に、日米安全保障條がまた効力を生じて参ります。この安全保障條約に基いて日本に駐留する米国空軍があることは御承知通りであります。この米国空軍の使用する飛行場航空保安施設につきまして、専用の場合は問題はないと思いますが、共用というような場合には、特にいろいろ問題があると思います。これは現に行政協定に基く予備作業班分科会におきまして、日米相互の協調なり調整ということについて交渉が進行しつつある次第であります。そういうことではありますが、要するに講和発効後は、日本民間航空についてはもちろんのこと、外国民間会社航空につきましてもすべてわが国航空法に準拠して、国内関係航空に従事せんければならぬということに相なる次第でありまして、自然これらの場合に日本政府は全責任を持つて監督するということに相なる次第であります。
  7. 滿尾君亮

    滿尾委員 大体わかりましたが、若干落ちたところがございましたので、補充的にお尋ねいたします。  第一にお尋ねしましたのは、日航最初スタートいたしましたときに、数多くある米国航空会社のうちで、ノースウエスト会社を御選択なつたことについてお伺いいたしたいということが一つつたのであります。その次に、日本の気候の特性ということについてお尋ねいたしたのでありますが、当日の具体的な遭難原因というものは、先ほども申し上げました通り、これは御調査の結果をまたないで今日論議しますことは早過ぎると思いますから、私は当日の事情でなくて、日本気象とかいろいろな面について、日本側技術的な経験とか知識というものが、アメリカ保安上の施設に対して何ら参画していなかつたものかどうか。たとえば今言われた羽田の航行許可する立場の人はアメリカ人であつたのか、日本人はちつとも関與していなかつたのか。日航飛行機を飛ばすことについての技術的な部面につきましては、全面的にアメリカ知識経験技術のみに依存して運航されておつて日本側の過去における技術なり経験知識なりというものは、関與していなかつたものであるかどうかということをお伺いしたのであつて、決して当日だけの問題ではなく、ルーテイーン・ビジネスにおいて、どの程度日本人技術なり経験なりが参画しておつたのであろうかということをお伺いしているのであります。それから今回の惨事に対しまして、いろいろのお心盡しのお手当をやつておられるようでありますが、これをもつて将来のわが国民間航空に対して、あまり悪影響がない程度に行けるとお考えになつておりますかどうか、その点をお伺いしたいと思います。第四点といたしまして、日航改組についてお伺いしたのでありますが、講和條約が発効になりましたら、監督権日本側に大体移るというお話はよくわかります。しかしながら日航運航上の技術面というものは、ノースウエストとの契約期限がまだあるだろうと思いますから、私は現在の状態は急激に変更は見ないのではなかろうかと推測をするのでありますが、あくまでも日航技術を担当するものは、将来とも米国技術にたよつて行くという状態を続けて行かねばならないものであるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  8. 村上義一

    村上国務大臣 お答えすることが拔けましてはなはだ恐縮でありますが、ノースウエスト会社日本航空会社との契約を締結するに至つたということにつきましては、最初からノースウエスト航空会社日本航空会社が選定したのではないのであります。これは進駐軍窓通もあり、二十五年の一月に発せられた覚書にも明記されておりますが、二十五年の一月一日に日本の空港に入ることが許されていた国際航空路、この会社が当時は七つつたのであります。今は十になつておりますが、この七つ会社一つコーポレーシヨンをつくつて、そのコーポレーシヨンと、日本に新たに設置せらるべき航空会社契約をして、日本人に禁止されておる部面を担当せしめたらよかろう、こういうことに相なつてつたのであります。それで当時日本航空会社を目がけて四つの発起があつたのであります。政府はこの四つ企業団に対して打つて一丸として一社になることを慫慂されたのであります。そしてスムースにその議がまとまりまして、今の日本航空会社を設立するに至つたのであります。それで一つ会社の設立を許すという覚書日本側の体制は整つたのであります。外国側の方は一応そういうものができたのでありますが、いろいろ内部意見が一致しなかつたというような関係もありまして、荏苒日を経過いたした。それで当時GHQの幹部の一人から、これはもちろん個人的でありますが、日本政府がサボつておるのだというような批判も実は受けたのであります。しかしこれはサボつておるのでも何でもなかつたのであります。むしろ七つ会社でつくられたその内部が一致を見なかつたというためであつたのであります。そのことが進駐軍の部内にも明瞭になりまして、そういうことならば、七つ会社のうちの一つまたは数箇の会社と、日本航空会社契約を締結してよろしいという覚書がさらに発せられたのであります。この覚書を受けまして、一、二の会社日本航空会社交渉をした。ところが最初会社は話がうまくまとまらなかつた。第二回目にノースウエスト航空会社との間に協議がまとまつたという次第でありまして、先刻申し上げましたようにそれぞれ受持ちを定めて契約が成立した、こういう次第であるのであります。この点に関しまして、もし説明が足らぬ点がございましたら、さらにお答えをいたすことにしたいと思います。  次に日本気象特殊性があるのだから、日本人が参画してないかという意味の御指摘がありました。今それにお答えをいたすべく気象台関係を申し述べたのでありますが、日本人が特に操縦者側立場において参画しているようなことはないと私は思つております。とにかく日本においては七年間の空白時代を持つております。あるいは航空機操縦気象との関係についての私の承知しない著述があるのかもしれません。もしあるとしまするならばもちろん参考にしていたことと思うのであります。  次に平和條発効後、日航はどういうことになるかというお話でありました。私の言葉が足りませんでしたが、延び延びになりまして昨年十月に契約  が締結せられて、十月十五日から運航を開始いたした次第であります。一箇年間の契約に相なつております。従いましてかりに今月末に講和発効いたしましても、今年の十月十五日までは今の契約で進行するということに相なるのであります。ただその場合どういうことになるかといえば、飛行機そのもの国際民間航空條約に基きまして、米国政府責任を持つて耐空証明をしております。またその乗務員米国政府民間航空局責任を持つて試験をし、免状を與えておるのであります。航空機耐空証明米国政府の証明を尊重すべきことは、日本もまた国際民間航空條約の加入の一員として守つて行かなければならぬのですから、これは当然だと思います。ただ乗務員につきましては、やや趣を異にすると思うのであります。これにつきましては、間違つたことを答えてもいけませんから、航空庁長官から答えてもらうことにしたいと思います。それから航空路指定でありますが、航空交通管制日本責任を持つてやります。従いまして羽田空港においても、日本政府管制官が出張しているということに相なります。これが航空路指定であります。またその他必要な指揮をして行くことに相なることは当然であるのであります。十月が過ぎますと、そこで初めて日本航空会社は、みずから飛行機を持つことに相なります。日本で製作も許される次第でありますが、事実上これはできない。結局米国あるいは英国等から購入するということに相なると思います。購入するときは米国製であるならば米国政府英国製であるならば英国政府耐空証明をした飛行機を購入する、こういうことに相なります。そして日本人をあるいはこちらの養成所で養成したり、あるいは米国に留学せしめて養成所に入らしたりというような方法をすでにとつておるのであります。これらのものについては日本政府責任を持つて試験をして、免状を與えるということに相なつて行くはずであります。
  9. 大庭哲夫

    大庭政府委員 ただいまの大臣からの御説明で不十分なところを私補足して御説明申し上げます。  先ほどの地形並びに日本特殊気象によりまして、何らかそこに日本的な選定の方法がとられたかどうかという御質問でございますが、現在アメリカ極東空軍が設置していますトラフイック・コントロール、いわゆる地上の管制あるいはそれらの施設またそれに必要な資料、たとえば航空路の問題につきましても、現在アメリカ空軍が決定している航空路があるのでありまして、実は昨年日本国内航空を開く際において、私の方とアメリカ空軍との間に一つの話合いをしたわけでありまして、その際航空路について私の方も相当研究いたしましたが、私たち技術的な解決の結論として、現在の空軍選択している航空路が、すべての状況から申して最適な航空路であるという判定をいたしたのでありまして、従つて空軍航空路と私たちが選定いたした航空路と同じものに相なつたわけであります。気象については現在空軍の必要によつて気象台から空軍の方へ気象を提供しているわけでありますが、それについてはまた私たちの方で部分的な地域的な気象を必要としたために、私の方と気象台と打合せまして、気象台の方からのいわゆる一時間置きの実況報は、特別に私の方へ収集をしているわけであります。従つて日本特殊性地形あるいはその他から勘案しまして、航空路は両者とも意見が同じ、気象につきましては部分的に必要なものは私の方へ収集している。従つて出発に際しては機長空軍のそれらの資料参考にすると同時に、私の方の資料をも参考にして、いわゆる航空計画というものをつくり上げ、それに従つて空軍許可をとつて飛んでいるというのが実情であります。  次に操縦士の資格につきまして、講和発効後どうなるかという御質問でありましたが、これについては今度の航空法案に盛つてありますことは、国籍にかかわらず一応日本国内を飛ぶ飛行機あるいは操縦士については、日本政府がこれを免許するということになつているわけでありまして、従つて運輸省自身航空機耐空証明耐空検査あるいは操縦士技倆検査をし、技倆免状を出すことになつているのであります。従つて国際機については先ほど大臣から御説明がありました通りに、国際民間航空機構の標準にのつとりまして、日本に離着陸する飛行機操縦士技倆というものは、国際慣例従つて別に検査しないで、そのままそれを認める。しかしながら日本国内を飛ぶ飛行機あるいは操縦士については、日本政府がそれを検査し、免状を與える、しいうことになつている次第であります。
  10. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ただいま滿尾委員から御質問なつた点以外のことについて、若干御質疑を申し上げたいと思います。大臣並びに御当局方々もく星号遭難の善後措置につきまして、深甚なる御用意をもつて善処しておられることに対しましては、一応ここに敬意を表しておく次第であります。また大臣が御説明または御答弁になつておられますように、この大きな犠牲によつて民間航空の将来に暗影を投ぜしめることなく、これを将来への貴重な力として、民間航空の発達に資したいということでありますので、この点もまことにそうあるべきだと敬意を表しておく次第であります。つきましてはその将来の対策に関係がありますので、二、三基本的なことからごく短かい時間でお伺い申し上げまして、あと結論的な御質問を申し上げてみたいと思います。  最初質問に対しましては、大臣でなくても航空庁長官その他政府委員からの御答弁でもけつこうであります。まずビーコンのことについて簡單に伺つてみたいのであります。ビーコンすなわち指向性無線標識と申しますか、このビーコンにマーカー・ビーコン、レンジ・ビーコンというような違つた種類のものがあるのかどうか。新聞記事を見ますと、こういう違つた名称で書かれているようでありますから、そういう違つた施設があるのかどうか、この点から伺つてみたいのであります。
  11. 大庭哲夫

    大庭政府委員 御説明申し上げます。ビーコンにつきましてはいろいろ種類がありまして、それを大別いたしますと指向性を持つているレンジ・ビーコン、指向性を持たないホーミング・ビーコンの二つがありまして、それにつけ加えで付属物としてフアン・マーカー、ゼット・マーカーというのがあります。御承知のように無指向性のビー  コンというのは、ラジオ放送と同じように全方城に対して電波が均等に出ている。しかし指向性の方はこちらが要求する四方向に対しまして、その指向性を指示するような機構になつているわけであります。それの上を飛行機が通るときに、行きと帰りとの方向を指示するために、ラジヲ・コンパスでは一度百八十度に方向が転換するのでありますが、それが瞬間に転換するので容易に判明しないというところから、レンジ・ビーコンの場合にその指向性の中心から二マイルないし四マイルのところに、フアン・マーカーといつて地上から扇型に出た一つの標識、すなわち電波を出しておいて、その上を通過すると、間もなく標識所の真上に来るぞという予備知識を與えるのがフアン・マーカーであります。これが足が四本出ておれば、四本の出ている足に対しまして中心から二マイルないし四マイルの地点にとりつけて、中心をあらかじめ知らすというのがフアン・マーカーであります。ゼット・マーカーと申しますのは、その標識所の真上を通過したときに、音で聞いているわけでありますから、普通はここの真上へ来ますと一度音がしない。ノー・サウンドのところがあるわけです。それではあまりに明瞭にわからないものですから、特別にゼット・マーカーという、いわゆるコン型の標識の電波を真上へ発射いたしまして、その上を通過したというのを明瞭に機長に知らすのがゼット・マーカであります。これらを合せまして一つのビーコンと申しておるわけでありますが、日本地形から申しまして、これらは全部中波を使つているために、日本地形が山岳地帯があり、あるいは海岸地帯があるために、指向性の電波は、あるいは多重コースになり、あるいはコースが曲つたり、あるいは反射の特別の余分のコースが出たりして、日本地形から申しましてレンジ・ビーコンはあまり利用の価値はない。航空機がその間違つた指向性を飛んだ場合にゆゆしい問題が起る。そういう結論からいたしまして、現在指向性の電波は出ておりますが、利用する航空機は、これを指向性と認めないで、全部ホーミング・ビーコンと同じように、無指向性のビーコンとしてこれを利用して飛んでいるわけであります。それが今日の現状であります。
  12. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今のレンジ・ビーコンもしくはホーミング・ビーコン等の施設は、大体日本民間航空路ではどことどこに設置せられておるのでありますか。
  13. 大庭哲夫

    大庭政府委員 東京から大阪を通つて福岡までの間を申し上げますと、まず館山、大島、焼津、浜松、河和、それから大阪の伊丹、高松、岩国、これは飛行場であります。それから福岡、北の方を申し上げますと、碓氷、仙台、宮古、三沢、千歳というふうになつております。
  14. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 近い将来に設置せられようとしている場所の御計画がありますか。
  15. 大庭哲夫

    大庭政府委員 現在レンジ・ビーコンとホーミング・ビーコンを合して、日本で全部で二十一箇所になつています。しかし日本政府としては、現在空軍との間に行政協定を結んでいるわけでありまして、その協定によりまして今後施設計画はお互いにこれを示し合つてつくつて行くということになつているのでありまして、現在その計画についてはまだ打合せを完了してございません。
  16. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ビーコンの点につきましては、大体わかりました。  次に伺いますのは、電波高度計の性能でありますが、性能について一応御説明願い、その御説明のあとに、現在の電波高度計は気圧等によつて相当狂うものか、これに相当狂いを生じたという先例等がほかにあるか、この三つについて伺います。
  17. 大庭哲夫

    大庭政府委員 高度計の中には気圧高度計と電波高度計と現在大体二種類あるわけてありますが、気圧高度計の方は、御承知のように気圧の差によつて高度を指示する、いわゆる上空に上れば上るほど気圧は低くなるものですから、その比によつて高度を指示する指示器がついていて、それで高度を判別するということになつているのでありますが、電波高度計の方は、一つ飛行機からインパルスを出して、いわゆるレーダーと同じような作用によつて、その電波の発射から返るまでの間の時間を判定いたしまして、飛行機と地上との高度を出すというのが電波高度計であります。電波高度計につきましては、大陸横断または大洋横断のような大型機あるいは爆撃機に対し採用されておりますが、国内飛行については、アメリカにおいてもいまだに電波高度計までとりつけていないのであります。現在のマーチンあるいはDC4には電波高度計はとりつけてありません。現在とりつけてありますものは気圧高度計であります。従いましてその高度差というものは相当のエラーを持つて来る。少くとも三十メートルから五十メートルの計器差額というものは生じて来る。あとは気圧によつて変化するのであります。
  18. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 もく星号にとりつけられておつたという二つの高度計は、両方とも同じ気圧高度計であつたと了承してよろしいのでございますか。同時に、その高度計は同じところで製造したものであるかどうか。
  19. 大庭哲夫

    大庭政府委員 もく星号にとりつけてありました高度計は、二箇とも気圧高度計でありまして、一箇は機長の方に、一箇は副操縦士の方の計器盤にとりつけてありました。その二箇であります。製作会社はベンデイックスの製作会社であります。
  20. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 次に移りますが、ロカライザー、盲目着陸用装置と申しますか、これの性能について御説明願いたい。
  21. 大庭哲夫

    大庭政府委員 ロカライザーと申しますのは、盲目着陸する場合に、一つの電波標識を出しまして、その標識の一定の強度をたよつて飛行機が地上に着陸をする。その標識を出すものがロカライザーと申しておる次第でありまして、これは一面ILSと申しますインスツルメント・ランデイング・システムという一つのシステムの中に含まれた一つの設備であります。従いましてロカライザーだけでは完備しないのでありまして、ロカライザーは單に方向と高さを指示いたしますが、距離というものを指示しないために、それにフアン・マーカーというものをとりつけまして、その地点々々の距離を判別する。いわゆる方向と高さと距離、この三点を知ることによつて航空機は盲目着陸ができる。それが一つのILSと申すシステムになつておるのであります。その中の一つがロカライザーであります。これは先ほど申しましたレンジ・ビーコンと申します指向性を出すビーコンと大体同じシステムで、それにつけ加えるに、おりる角度がこういうふうな角度で、ここに滑走路がありますと、一つのこういうような電波になつて来るわけでありますが、これではおりづらい。要するに双曲線のカーブではおりづらいから、横からこれを切断するビームをもう一つ出して、飛行機はこれに直線的におりて来さしておるわけであります。戰前にドイツが持つて来たローレンツというものは、ただ單にこの一つのビームでおろしていたわけですが、それが戰後新しいシステムができて、横からカットして、直線的におろすようになつておるのが今のILSでございます。
  22. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 その点はわかりました。次に移りますが、過日の新聞に報道された通産省のある課長の談話の中にこういうことが出ておつたので、このことをあらためて御質問申し上げたいのであります。今回の遭難の問題等については、直接関係のある航空庁運輸省の方で御意見を出されれば別でありますが、通産省の方から少しふしぎに思われたような意見というものが出されて新聞に発表されておりましたので、このことを念のために伺つておくのであります。レーダーというものの性能がどういうものであるかということと、私どもの常識で承知いたしておるところによりますと、レーダーは従来主として軍用機に使われておつたものであると思うのでありますが、民  間航空機にレーダーを使つておるところがあるかどうか。この性能と、それから民間航空機にレーダーを使つておるところがあるかどうか、この点について伺つておきたいのであります。
  23. 大庭哲夫

    大庭政府委員 航空機にレーダーをとりつけてあるのは爆撃機だけで、民間機にはいまだレーダーをとりつけてありません。性能は、大体その高度によりましてその範囲がわかつて来るわけでありまして、たとえば日本を爆撃したB29というような飛行機になりまして、一万フイートというようなところを飛びますと相当の広範囲になりますが、私どもとしまして、その範囲が今どの範囲に入つて来るかは十分承知していません。
  24. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 こういうことになりますか。要するにレーダーというものは、一万フィート程度のところを飛んでおつても、地上にある山なり川なり地勢なりが写つて来るのだ、そういう装置になつておるわけですか。
  25. 大庭哲夫

    大庭政府委員 仰せの通りにそういうような装置になりまして、地上が地図の通りに大体判別できて来るというふうになつているわけであります。たとえば船のレーダーが、海岸線あるいは船その他いわゆる固形物に当つて電波が返つて来る。それによつてそれらの地形その他船等を判別できると同じように、飛行機の方から下に直接出しますと、その範囲内の地形が全部わかつて来る。これはいわゆる高度差によりまして、いろいろそこに出て来るのが、千フイートではどの範囲内、二千フイートではどの範囲内というように、爆撃機には判明するようになつておるわけであります。
  26. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうしますと、レー  ダーをとりつけてある航空機は爆撃機だけであつて、その用は、主として爆  撃をするための標識を判別する。こういうふうに了解してよろしうございますか。
  27. 大庭哲夫

    大庭政府委員 今後それらの技術の発達によりまして、現在あるレーダーは先ほど申しましたように爆撃用でありますが、これを民間航空用にいかに使うかによりまして、またその安全性も増加して来るのでないかと思われる点もあるわけでありますが、これらの点につきましては、今後十分研究して行く余地のある点でないか。何分にも先ほど申しました高度計が一つのインパルスであり、レーダーそのものが一つのインパルスである。すなわち今後の航空にとりましては、このインパルスの利用というものが航空の安全に大きな利益になつて来る。しかしながら御承知のように占領されておる期間、今日に至るまでも航空に関し、いわゆる地上の水平面から上のレーダーの利用というものは全然禁止されていたのでありまして、私たちはこれらに対しての研究ができていなかつた。今後これらの禁止が解除されたあかつきにおきましては、私たち技術者はこれら航空の安全に利用できるような一つ施設、機械を十分研究、発達せしめて行きたいと考えているわけでございます。
  28. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 御説明で大体わかりましたが、ただこういう関係について、特にお伺いいたしてみたいと思うのであります。すなわち国際民間航空條約の規定は、相当に嚴重な規定と相なつているようであります。しばしば私もこれを研究いたしてみたのであります。ところがその国際民間航空條約の規定の中に、民間航空機にレーダーを装置せよという規定がどこにも出ていないようであります。ほかの点については相当嚴重かつ綿密に規定してある国際民間航空條約の中に、レーダーを装置せよという規定がない理由は、どういうところにあると承知してよろしゆうございましようか。
  29. 大庭哲夫

    大庭政府委員 お答えが相当広範囲になるわけですが、まずその航空路を飛ぶ操縦士、たとえば国際機でなく国内を飛ぶ操縦士というものは、その国内のあらゆる地形、あるいはあらゆる施設物に通暁していなければ免状は出せぬわけであります。従いまして操縦の免状を持つている者は、その国の地形施設物に通暁しているというのが一般の常識であります。従いまして国内航空につきまして、電波高度計というものが一つ余分につくことによりまして、その他の施設物は現段階においてはない、また現段階におきましてはそれらで十分でないかと考えられている結果、そういう條約文の中からレーダーは特に省かれているのではないかと思われるわけであります。たとえば航空路というものは十マイルの幅を持つて、その十マイルの幅の中を飛行することが規定されているわけでありまして、現在の操縫士はいかに天候が悪い場合にも、その十マイルの航空路の幅内を飛び得る操縦士であるという判定のものに免状を手交しているわけでありまして、その十マイルの幅の航空路の中には、どういうような山があり、川があり、飛行場があり、施設物があるということは、現在の操縦士は十分承知しているわけであります。従いましてもしも操縦士が、余分の——余分と申しますといけませんが、頭がへんてこでなかつた以上は、あるいは他に何かから規制をされたことがある以外は、それらの地形を十分承知しているわけでありますから、事故は起きない、またそれらの計器だけで十分であるというのが今日の判定であります。ただこれ以上のものができて、それが安全であるということになれば、それらをとりつけるのにやぶさかではないわけであります。
  30. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 くどいようでありますが、これにつけ加えてもう一つつておきます。レーダーというものは、値段にしまして非常に高い価格のものになるわけですか。大体の常識程度でよろしゆうございますから、お知らせ願いたいと思います。
  31. 大庭哲夫

    大庭政府委員 高くなるかというお話でありますが、普通の無線機にスコープをとつつけた程度ですから、普通の無線機の一倍半くらいの値段ではないかと思われます。ただここで一言申し上げておきたいことは、飛行機の方のレーダーという問題ですが、地上には一つのレーダー網というものが敷かれていまして、地上からレーダーによりまして全部飛行機の行動を探知しているわけでありまして、このレーダーというものは、日本に現在幾つとりつけられているか、あるいは今後の計画というものは、ここで私は詳細に申し上げる権限を持つていませんけれども、今度の事故につきましても、ある地点のレーダー網にはかかつていないのでございます。従いまして、それ以前に事故が起きたということが大体判明しておる。地上のレーダーの性能は、大体三十マイルないし五十マイルの性能を持つている。従いまして、その範囲内においてレーダー網を組織しているわけであります。一言つけ加えておきます。
  32. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 大体基本的のことがわかりましたので、あと総合した問題について聞きたいと思いますが、大体現在までの民間航空におきましては、その航空路の要所々々にビーコンの設備が完成されておつて、発着陸の飛行場が整つてつて、そして航空機には電波高度計とロカライザー等が装置されており、なおできれば救命ボート等の用意もあればそれで十分であつたのだ、こというふうに了承をしておきます。そこで次に移りまして、さつきちよつと質問いたしましたもく星号に備えつけてあつた二つの高度計のうち、一つは八千フイートをさし、一つは五千七百フイートをさしていた、こういう御説明でありますが、これはもとより、もう少し事故調査をおやりになつてからでなければ結論は出ないのでありましようが、ただあとの結論にちよつと関係がありますので伺つておきたいのでありますが、八千フイートと五千七百フイートという違つたものをさしておつた、どういうわけでこういうことになつてつたのか、大体常識の程度でよろしゆうございますが、おさしつかえなければ御答弁願いたいと思います。
  33. 大庭哲夫

    大庭政府委員 今お尋ねになりました通りに、一つの高度計は八千フイート——八千何フイートかということにつきましては、その高度計は長針が中心からはずれていて、中でふらふらして落ちているわけでありまして、短針しか示度を示していない。短針が千フイートの示度を示すので、何十フイート、何百フイートというのは長針の方だ示すことになつているわけであります。従いまして八千フイート、そのあとの数字が出て来ないのは、短針が八千フイートを示して、長針がない。従いまして八千フイートを示していたと申しているのであります。一方の高度計は、長針短針ともに正確についていまして、これが五千六百七十フイートを示していたという現状でございます。従いましてそれから推測しますと、両方の計器が違つている——一方の高度計は八千であり、一方の高度計は五千フイート何ぼであつた、しかも落ちている地点というものが千八百ないし二千フイートの高度である、ここに三つの差が出て来ております。しかしながら私たちとしましては、その高度計が事故の際の衝撃によりまして、いかようにこわれた結果、そういうような指示をしているか判別に苦しむのでありまして、現在それを持ち帰りまして検査中でございます。従いまして衝撃によるエラーというものであるか、はたしてそのどちらを示していたのであるかは、すぐその結果が報告申し上げられのではないかと存じております。ただ一言、例を申しますと、その五千六百七十フイートを示していた高度計を元村まで持ち帰りましたところが、七千幾らの指示になつていたというようなことでありまして、ちよつとこれを移動することによつて指針がわかつているということは、相当大きな問題で、おそらく両方の計器ともこわれてしまつて、そのときの正確な示度は示していないのでないかと推測をされているわけであります。
  34. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それからもく星号遭難現場の速度が、八百五十キロをさしておつたままとなつておる、こういうことでありますが、大体もく星号の速度というものは、平常時においてはどのくらいの速度を保つておるべきものでありますか。
  35. 大庭哲夫

    大庭政府委員 もく星号の大体の速度は、平均二百マイルないし二百十マイルの速度で飛んでいるわけであります。
  36. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこで先ほど滿尾委員からも、御質問があつたようでありまして、ダブるかもしれませんが、ごく簡單に伺つてみたいと思いますのは、もく星号のほかに、すい星号というようなものも、日航がチャーターをいたしておるようでありますが、このもく星号、すい星号等のいわゆるマーチン機というものは、他の同じ型の飛行機二十五機のうち、過去二年間に五機まで遭難しておつて米国操縦士組合では、この飛行機に乗務することを拒絶しておつたというようなことも新聞に書かれておるようでございます。またこの飛行機を購入したノースウエスト会社の幹部は総辞職したような事情もある、こういうようなことが書かれておるようであります。従つてこういう因縁つきの航空機をどういう事情日航がチヤーターしたか。新聞の論調を見ますと、全部ではありませんが、こういう点についての議論が非常に強いようであります。これが一つ、それからもう一つは、新聞の論調を見ましても、いわゆる日航航空機運航について、二元行政をやつてつたのがよろしくないというような議論が非常に強いようであります。私ども大体同様な考え方を持つておりますので、あらためてこのことを伺つておくのでありますが、今言つたような、いわゆる二十五機のうちに五機も遭難をしたというようなことが事実であつたのか、あるいはまたこのためにノースウエスト会社の幹部が総辞職をしたというようなことがあつたのか、あるいはまた先ほど大臣からの御説明によつて日航をつくりますときの事情はよく了承いたしたのでありますが、このマーチン機をチャーターいたしたという事情、そういうもについておさしつかえなければ一応の御説明を伺つておきたいのであります。
  37. 大庭哲夫

    大庭政府委員 それでは一応御説明申し上げますが、この件につきましては、航空会社設立の当時、一応の御説明は申し上げたわけでありますが、あらためて御説明申し上げますと、マーチンという飛行機ノースウエストが買つて最初の五機が事故を起したのは事実であります。従いましてその責任者は解雇になつたかどうか、その点につきましては私は存じておりませんが、最初に買つた五機が事故を起したということは事実であります。従いましてノースウエストの202というこの飛行機アメリカ人が乗るのをきらつている、また操縦士がそれを運航するのをきらつたということも事実であります。しかしながら昨年日本航空会社運航を開始するにあたりまして、飛行機の選定ということにぶつかつたわけでありますが、そのときのアメリカ飛行機の余裕、いわゆる手に入る飛行機というものは何であるかということにつきまして相当調査し、研究したのでありますが、私たちとしましては、もちろん皆さんよく御承知のDC3あるいはDC4というものを一応要求したのでありますが、それらはとうてい開始を希望しておる日にちまでには間に合わない。またノースウエスト契約した結果におきまして、ノースウエストが持つておる飛行機はマーチン、従いましてマーチンの提供を申し出られたわけでありまして、その際航空庁としましては、技術的にマーチンがいかがであるかということにつきましては、ノースウエスト、あるいはアメリカ民間航空局、あるいは極東空軍、それら関係担当者に十分調査を依頼しまして、それらの資料を総合判断した結果、現在の202のマーチンというものは、先ほど申し上げたように五機の事故によりまして、一時飛行を禁止せられたが、アメリカ民間航空局の指示によりまして、それらの不十分な弱い部分は全面的に改造をされて、アメリカ民間航空局としましては、これが現在運航するのにさしつかえないというような耐空証明書を発行していたわけであります。従いまして私たちとしましては、これらの結論に基きまして、一応他の飛行機が手に入らないとすれば202でもよかろう、しかしながらこの202というものは船で運んで来るわけではなしに、太平洋横断を自分でやつて来るわけでありまして、御承知のようにハワイまで二千マイル、ハワイから羽田まで二千マイル、四千マイルに及ぶ無着陸飛行を双発の飛機行でやつて来得たならば、それがはたして悪いかいいかという判定はつくのではないか、日本に飛び得た飛行機許可してやろうということで、判定の資料として飛んで来るのを待つていましたが、どうやらアメリカ耐空証明間違いはなくて、無事に羽田に到着したわけであります。従いましてこの飛行機につきましては、耐空性のあるものとして承認をいたした次第であります。
  38. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 新聞で見ますと、事故調査会なるものに対しまして、アメリカのCAA、すなわち民間航空局並びに極東空軍等においては、オブザーヴアーとしての資格で参加せられるかのようにも見られるのでありますが、いわゆるオブザーヴアーとしてこれに参加せられる程度のものであるのか、もう少し積極的に御協力になるのか、おさしつかえなければそれらを御説明つておきたいと思うのであります。
  39. 大庭哲夫

    大庭政府委員 その件につきましては、今度の民間航空事業というものにつきましては、日本政府GHQの両者に責任があるわけであります。従いまして私はGHQの方へ参りまして、いろいろそこで打合せをした結果、今度の事故調査については日本政府でやつてもよろしい、またやつてもらいたいというわけで、それでは私の方で引受けましよう。私の方の要求する協力は何でもやつてくれるか、それは日本政府の要求に応じて十分の協力を申し上げるということで、打合せをしているわけであります。現在アメリカ民間航空局から出て来ています駐在員が、あいにくそのときはアメリカへ帰つていたわけでありまして、GHQの方からマニラにいる駐在員を一応呼び寄せました。その呼び寄せた方がGHQへ行つて打合せした結果、日本政府に協力しろという命令をいただいて、私の方へ来て今協力中であります。現場調査を一応済ませて帰つて来ている次第であります。
  40. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 他の委員からも御質問があると思いますので、あと二、三で終ることといたします。これは今まで伺つたことを総合して考えまして、先ほど大臣から御答弁になつたように、航空法を最近国会に提出をする用意をいたしておるということは私ども承知いたしておるのでありますが、そこでこれと関係がありますので、二、三伺つておきたいと思うのであります。先般事故のあつたときから、新聞、ラジオ等による報告並びに国会を通じて私たちが伺つたところによりましても、航空事業というものは特に責任の帰一点がはつきりいたしておらなければはなはだ困る、こういう結論に相なるようでありまするし、さき申しました新聞等の論調におきましても、同様の強い論調が見られるようでありますから、念のためにここに二つの例を引いて伺つておきたいと思うのであります。  現地に調査に行かれた現地調査団が帰られて、こういうことが発見されたということが十三日の新聞に出ておつたようであります。大体読んで見ますと、「調査団一行の大半は証拠となる計器類を携えて十二日朝帰京したが、その後国警大島地区署に、島民からもく星号の破片らしきものが遭難現場から約二キロ手前の二つ根自然動物園付近に落ちているとの届出があつた。地区署と大島航空標識所員及び残留の日航係員が現場におもむき調査の結果、最大二尺四方のジユラルミン破片が数個発見された」こういうことが出ておるようであります。これらはもとよりこの事故調査会がもう少し調査を進められたあとでないと、結論の出ないことはよく承知をいたしておりますが、少くとも現場から二キロも離れたところにこういうものが幾つも落ちておつた、こういうことも何らかの参考にせられるであろう、これは常識でありますが、これらの問題についてもむろん御調査の中に織り込んでやるという御計画になつておりますかどうか。
  41. 大庭哲夫

    大庭政府委員 現地調査に出した人間は六名でありまして、十二日に現場から至急一応の報告をまとめて帰つた者は二名でありました。四名は現地に残りまして、そのまま調査を続行していたわけであります。その後十四日に二名帰りました。日曜の日には私の方から二名の追加を出して、現在では四名が現地の調査に当つているわけであります。従つて現地ではいまだに調査範囲を広げておる。と申しますことは、ただ單に物が落ちているというような現場の調査ばかりでなしに、大島全島にわたりましていろいろな聞込み、あるいはそのときの状況を知つておる人間から事情を聽取する、あるいはそのときの気象報告を求める、あるいはそのときの標識所の状況を調べる等々、現場調査というものはいろいろ多方面にわたつてあるわけでありまして、現在なお調査を続行している次第であります。
  42. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そこでその問題といま一つ、これも調査の結果でなければ結論はむろん出ないことは承知いたしておるのでありますが、十一日の読売の夕刊に「機体故障が有力」という見出しによりまして、「九日朝の悪天候は飛行困難でなく、気象による事故とは考えられず、操縦士のスチュワード氏もこのコースを七十時間も飛んでいるので地理に詳しく、当然飛行機は高度をとつていたはずだが、激突したこと、は機体の一部の故障のためとする説が強く、このためにエンジン、機体、計器などを克明に集めている。」これは大島の元村から、新聞記者の方々が現地調査団の中に加わつて行かれた通信として、新聞紙上に載つてつたのであります。なぜこれを引例するかと申しますと、こういう結論だと申すのではなく、大臣の御説明にありますように、今度の事故というものの上から考えてみて、日航というものの営業が一元的なものでなくて、二元、三元といわれるほど複雑なものになつておるということが、責任の所在が判明しない大きなものの一つのようでありますので、こういうこともわれわれは一応頭の中に入れておいて、さてその次に大臣に伺つておきたいと思いますことは、ごく最近に提出せられるという航空法についてであります。この航空法につきましては本運輸委員会におきましても、前もつて航空法制定についての事前の協議なり、事前の審議なりというものを相当にやりましたのみならず、特に航空委員会を設けまして、この航空法についてのいろいろの問題について検討をいたしたのでありますが、その検討の結果は、先般本委員会において御報告を申し上げましたような一応の結論が出ておるのでありますから、近く航空法案を国会に提出せられようとする際、今までいわれておつたような生産と運航とを二元にする、二元行政による法案というようなもの  を御提出になつた際、ゆゆしい大事を引起すであろう。そのことは今回のこの事故がまことに、他に弁舌を弄する必要がないまでにはつきりその結論を與えておるのであります。すなわちこの航空機をつくつたのはマーチンその他、しかもこの航空機日航に対してチヤーターいたしておるものはノースウエストである。しかもこの航空機運航いたしておるところのものは、やはり他の外国の会社から見えている操  縦者であつた日航というものは單にそろばんの上の、事務上の仕事をやつているにすぎなかつた。こういう問題が起りました際の責任の帰一点がはつきりしないということ、問題が起つてから責任の帰一点がはつきりしないというような、そういうあとまわしの問題よりも、日常こういう事故が起らないように監督をし、指導をして行くという、そのやり方がはつきりして行かない、こういうことのためにこんな事故が起るということがはつきりわかつてつたのでありますから、そこで今度の航空法につきましてはあやふやなものでなく、いわゆる生産から運航に至るまでの検査、特に航空機の修理なり部品の修繕なり、こういうものについての行政権というものは、むろん一元的のものでなければいけない、こういうふうに私ども考えられるのでありますが、その用意をもつて航空法の提案をせられるのであるか、この点に  ついて承つておきたいのであります。
  43. 村上義一

    村上国務大臣 すべて交通機関は、その安全性を確保するということがきわめて大切なことであることは、申し上げるまでもないのであります。特に航空交通に関しましては、危険度が多いというだけに、またその用いる機械その他がきわめて精密であり、デリケートであるというだけに、一層安全の確保ということが大事であると思うのであります。従いましてこの航空保安についての責任を一元的にして明確にするということが、基本的に重要な事柄であると信じておる次第であります。従いまして今準備をしつつあります航空法の内容にも、一面において国際民間航空條約の差示す処置を織り込みますと同時に、ただいま申しました保安責任について、ぜひ明確に一元的にしたいという考えを持つておるのであります。言いかえますれば、政策についてももちろん一元的になることが必要でありますが、特に型式証明を初めとしまして、工程中における検査、また部品の納入検査、またさらに組立て後の耐空証明、また一般の修理につきまして、運航面の責任と一元的にするということが基本的の要件であると考えて、その趣旨で立案をいたしておる次第であります。
  44. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 ただいまの大臣の御答弁に対しまして、深甚の注意を払いながら航空法が提出をせられることをお待ちいたしております。仰せになつたように、航空事業と申しますものは、安全性が第一であることは申すまでもないのでありますが、いわゆる航空行政についての違つた議論をする人等によりますと、自動車や汽船、こういうものもむろん安全性第一であらねばならぬことは当然でありますが、自動車や汽船等よりももつと重要に航空機というものを考えて、二重行政でもいいのではないか、こういつたような議論をしておる者が相当におるようでありますので、それらの方面の人々も今回の事故によつて十分に反省されたこととは思うのでありますが、何を申しましても航空機におきましても安全性が第一であります。運輸省の方で耐空証明をお出しになるといたしましても、でき上つた飛行機そのものについて耐空証明を出すというがごときことは不完全なのでありますから、いわゆる生産工程の途中においても十分な検査をする、こういうことももとよりでありますので、生産から運航に至るまでの一元的のやり方が明確になる、そういう航空法を急いでお出しになるように特に切望をいたしまして、私の質問を終ることといたします。
  45. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 二、三点重要な箇所をお尋ね申し上げたいと思います。占領治下における現段階におきましては、ただいまの航空事業関係が二元性を持つて来る、すなわち運航面と営業面と二元的なるやり方より以外にしかたがない、こういう大臣からの御説明でございますが、私どももそれを認めるものであります。しかしながら講和発効ということも間近に控えておりますので、講和発効後におきましては、必ずしも一箇年間のチャーターの契約期間というものにこだわることなくして、日本人自身によるところの航空面、営業面というものを支配するということがとれそうな気がするのでありますが、その点につきまして大臣の御所見を承りたいと思います。
  46. 村上義一

    村上国務大臣 この点に関連しまして前刻もお答え申し上げた通り航空機耐空証明につきましても、また乗務員その他技術員試験免状の交付ということにつきましても、講和発効  後は日本政府責任をもつて処理することに相なる次第であります。その点は責任が一元化せられるものと考えておるのであります。
  47. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 そういたしますと、この事件が発生いたしましてから以後において、アメリカ側がただいまの航空事業関係につきまして、何らか重要なる示唆を與えまして、日本のこれからの航空事業というものはこうあるべきだという点につきましての御教導があつたかどうか、この点について承りたいと思います。
  48. 村上義一

    村上国務大臣 ただいままでのところ特別な指示は何ら受けてはおりません。ただ先刻も申し述べました通り事故調査原因の究明、またこれを究明することによつて明確な結論を得ることによつて、今後航空交通を一元的に責任を持つて日本政府が遂行して行く場合に、非常な効果をあらしめるという趣旨だと思いまするが、とにかくこの原因の究明ということにつきましては、でき得る限りの援助も惜しまないし、また進駐軍の提供できる資料は何によらず提供をするという約束もしておつてくれるのでございます。こ  ういう点は、今お尋ねの示唆その他の点に合致しないかもしれませんけれども、ただいまのところそういう現状であります。
  49. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 私のお尋ね申し上げ  たいと思いますことは、ただいまの事件解決についてのいろいろなアメリカ側の態度でなくして、今後の日本航空事業関係について、どういうふうにして行つたらいいかということに対するアメリカの反省というものをいただきたい、かように考えておつた。と申しますのは、大臣も御説のうちに述べておられるのでありますが、何といたしましても、ただいまの日本航空事業関係というものは二元、三元になつておりまして、指揮系統が乱れておつた。そのために遂に飛行載に載せておかなければならぬはずの救命具さえもなかつたというがごときことは、遺族の人々に対しましても、何としてもこれはおわび申し上げようのないことだと思うのであります。飛行機にとりつけておかなければならないはずのパラシュートも、あるいはまた救命具も、全然欠いておつたというがごとき報道を新聞紙上において見るのでありますが、かくのごときことでありましては、これはアメリカにも責任があり、日本政府にも責任がある。そこで責任の所在を明らかにするためには、今後の日本航空事業はかくあるべきだという示唆を、アメリカ側から提示されてしかるべきだと私は思う。それがないとすればまことに遺憾に考えるのであります。先ほど大臣のお言葉のうちにも、日本側からアメリカの方に飛行士の訓練のために留学をさせて、勉強させておるというお話もあつたのでありますが、日本の七箇年間の空白の状態から見れば、たとい私どもが完全に独立国家となりまして、航空事業を日本政府の手によつて営むことができたとしても、事実上不可能である、こういうふうな状況に私どもは判断してよいのか。そうでなくして、今すぐ講和回復と同時に、私どもの手によつて、この航空事業を一元的に指揮系統をちやんとさせて、りつばに運営することができるものと判断してよいのか。その点についての大臣の御所見を承りたいと存じます。
  50. 村上義一

    村上国務大臣 現在の国際民間航空條約によりますと、日航の運営しておりまする航空に対しまして、パラシユートを施設せんければならぬとか、また救命具を備えつけんければならぬというような申合せはないのであります。それは規定を侵しておるということは言えないのであります。救命具を持つという場合には、特殊の場合に限つて條約に定めておるのでありまして、北海道に参りますような場合には、必要であることになつております。これは現に実行いたしておるのでありますが、こういうような点につきましても、今回の事故にかんがみて日本政府みずから大いに考慮せんければならぬので、その結論をこの事故調査会に期待いたしておる次第であります。事故調査会結論に基いて、今後の方針を確立したいと考えておる次第であります。なお講和発効と同時に完全に日本の力で航空事業を行えると思うかどうかというような御趣旨の御質問つたと拝承いたしまするが、航空機が製作できない日本であるということは申し上げるまでもありません。どうしても航空機につきましては、先刻も申述べましたことく、米国あるいは英国等の製作した飛行機で、国際民間航空條約に基いて耐空証明をつけたものを購入して来る、あるいはチャーターするというよりしかたがないものと考えております。乗務員日本のうちで得るということにつきましては、今日本人でも数千時間滞空をしたという経歴を持つた人が多数おられるのであります。また日本人は元来こういつた精密な機械を取扱うのに適した人種であることは私信じておるのであります。しかしながらいかんせん発達した飛行機を手がけるということについて、数年間の空白があつたのでありまして、どうしてもこれらの飛行機を直接取扱う、実習するということがなくてはならぬと思うのであります。もちろんこの実習訓練には、長き歳月は必要ないと思うのであります。現に三箇月あるいは四箇月間の訓練を、あるいは日本内地の進駐軍について、あるいはまた米国に  渡つてその養成所に入所して、訓練しておるという現状であるのであります。これは講和発効と同時にということは困難と思いますが、きわめて近き将来に日本人によつて、運営がオペレートできるということは信じておる次第であります。監督の面におきましては、先刻来申しました通り講和発効後は、航空路指定にしましても、また航空交通の完成にしましても、日本政府が直接一元的に責任をもつて経営したいと考えておる次第であります。またできる次第であります。
  51. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 昨年十月に民間航空の開始せられる前に、私ども運輸委員会の有志の者が、大庭長官のごあつせんをいただきまして、ダクラスの四発の飛行機に乗つて大島まで試乗飛行をやつて来た。その当時における飛行機というものは、四発のダクラスであつて、ただいまのマーチンではなかつた。ところがこの事故発生と同時に私は非常に遺憾に考えた。マーチン機に乗りたかつた。それは私どもが乗つたらどうこうということではないのでありますが、航空事業の当面の責任を持つておる衆議院の運輸委員会委員が試乗させていただいたのでありますから、その事故を起しました飛行機と同種のものに乗りたかつたと私は考えたのでありますが、ノースウエスト会社においては、ただいまのマーチン機以外にダクラスの四発といつたような飛行機を持つていなかつたのかどうか、その点もお尋ねしたいと思います。
  52. 大庭哲夫

    大庭政府委員 現在のノースウエストから提供されている飛行機は、マーチンが五機でありましたが、一機故障を起しました結果四機であります。それからタグラスDC4が一機、これは御承知のように四発で、これが大体東京、札幌線に就航している。あと東京、大阪、福岡線にはマーチン機が就航している。従いまして先ほどの救命施設というような問題につきましては、御承知のように航空路が館山、大島、伊豆半島の先、それから燒津という地点で、海上横断ということにならないわけであります。従いまして規定上は救命具は必要ないということになつております。しかしながら札幌線の三沢、千歳間におきましては、相当の長距離になり、海上になるので、これには特別に救命ボートをつけてあるわけであります。
  53. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 ただいまの東京、札幌間以外の航空路におきまして、ただいまのダグラスの四発を使うことはできませんか。
  54. 大庭哲夫

    大庭政府委員 これは現在におきましてマーチンが事故を起したつなぎとしましても、ノースウエストに十分な要求をしているわけでありますが、現在のアメリカ航空機状況というもの、DC4が余分にあるかどうかという問題にかかつて来るわけであります。DC4の入手が可能であれば当然入つて来るのではないかと思いますが、今せつかく折衝中であります。
  55. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どうか優秀な飛行機運航せしめるようにおとりはからいをお願い申し上げたいのであります。  それから九日の強風特報中において飛行しましたものは、ただいまのもく星号以外にございましたろうか。
  56. 大庭哲夫

    大庭政府委員 大阪を七時半に出ました飛行機東京へ九時に到着しています、従いましてもく星号事故を起したその時間は八時七、八分というところでないかと思いまするが、その一時間後には大島の上を上り便が通過している。その他二便、三便は往復しているわけであります。従いまして決してそのときの天候が航空に不可能であつたという天候ではないのであります。大体におきまして現在航空に不可能な天候と申しますのは、日本で申しますと台風時期、この夏から秋にかけての台風の中心を飛行する場合がほとんど不可能であります。それ以外におきましては、現在の航空機の性能、あるいは地上の施設から申しまして大丈夫であります。従いましてノースウエスト日本航空との間の契約にも、一年間の運航率を一〇〇%と見ますと、その九五%は飛び得る。あとの五%だけが不可抗力で飛び得ない。それを免除しているわけであります。そのように御承知願えばけつこうであります。
  57. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 大臣のお説にも、航空事故調査委員会なるものを設けまして、ただいまの事故を究明するということでございまするが、これは恒久性を持つことになるのでございましようか。たとえば海難に関しましては海難審判所のごときものがありまして、いろいろな事故の究明に当りまして、これまた恒久的な機関となつて設けられているわけでありますが、ただいまの航空事故調査委員会なるものは、官制に基きまする委員会として、これを恒久性あらしめるかどうか、そういう点についても大臣のお説を承りたいと思います。
  58. 村上義一

    村上国務大臣 航空機の発達、また安全性をいやが上にも確立せしめるということについて、不断の検討を要求することは申し上げるまでもない次第であります。自然そういう事柄については、航空庁自身が全力をあげて今後当るべきはずであります。ただ今回設けました今回の事故についての調査会は特殊のものであります。現場の状態をつかまえてその原因を究明するという性質のものであります。これは一時的な施設考えておる次第であります。
  59. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 今度提案せられますところの航空法の中に、このような審判所のようなものを設けておいて、いろいろな事故を未然に防ぎ、また今後そういう事故を発生せしめないように、嚴重にいたして行くという利用方法もいいと思うのでありますが、今度の航空法の中にこういうような恒久的な機関を設ける御意図を持つておられるかどうか。
  60. 大庭哲夫

    大庭政府委員 今のお尋ねはまことにごもつともなお話でございまして、私先日来そのことにつきまして、当庁におきまして十分研究を重ねているわけであります。御承知のように航空法案にはそこまで盛つてありませんでしたけれども、もし必要であるという結論が出ましたら、いち早く航空法案の中に追加いたしたいと考えております。
  61. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 ただいまの事故発生とは関係はございませんけれども、民間飛行場は今向う様の軍用飛行場を利用しているわけでございますが、これは何かの場合、事変でもあつたような場合には、民間航空上重大な支障を生ずるものと考えるのでありまして、この民間航空機のために特に飛行場を民間側で設ける御意図があるかどうか、この際承つておきたいと存じます。
  62. 村上義一

    村上国務大臣 特別に飛行場を設置するということは、経済関係において実は許されないことかと思うのであります。かつて申し述べたこともあると記憶いたしますが、今行政協定に基きます準備工作班の航空部会におきまして、できる限り民間の航空のために日本政府に返還を要望いたしておるのであります。交渉はまだ途中にあるのでありますが、大体において今までの経過から見ますと、羽田空港日本の玄関の国際飛行場といたしまして、日本政府に全面的に返還を受け得るじやないか。さらにその他につきましても相当強く要望をいたしておるのであります。あるいは共用ということに相なるかもしれないと思うのでありますが、共用の場合におきましてはまた共用に適するように、十分な調整をはかる必要がある次第でありまして、これらの点については今後十分な満足の行く打合せを遂げたいと考えておる次第であります。
  63. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 本遭難事故発生以来、飛行機の利用者の数はどうなつておりますか。
  64. 村上義一

    村上国務大臣 その当日におきましても、前刻もお話いたしましたことく、朝は強風特報であつたのです。たしかお晝前に暴風警報が伝えられたのであります。にもかかわらず、第二便、第三便、いずれもスケジュール通り飛んだのでありまして、お客さんは二名だけ取消された。それも二名乗り遅れたという話であります。飛行機がすでに離陸いたした直後に、飛行場にお越しになつたということを聞いております。またその十日においては、約束通り乗られたということを聞いておるのであります。十一、十二日においても同様のように承知いたしております。
  65. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 日本人のまことに冷静なただいまの態度というものは、称讃に値するものでありまして、安心をした次第であります。大臣先ほどお話の中にありましたところの日本航空株式会社遭難者に対する処置、これに対する慰藉関係につきましては、先ほど承つた次第でありまするが、航空会社に対しまして、政府としては何らかの処置をとられるか。たとえばこれに対しまして罰金規定でも置かれるか、あるいはそういう御構想でもただいま持つておられませんか。持つておられましたとするならば、お伺いいたしたいと思います。
  66. 村上義一

    村上国務大臣 種々考えてはおるのでありますが、今日本航空会社としては、その責任を追究して、責任をとるという立場にないように思われるのであります。なお考慮してはおりまするけれども、今のところでは責任をとるということは必要ないように考えております。
  67. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 ただいまのいろいろな御説を承りましたが、遭難者の霊を慰めるという意味は、今後こういう事故を起さない、未然に防ぐという一点にかかると私は考えるのであります。全知全能を傾けられまして、このような事故の発生しないように善処せられることをお願い申し上げまして、私の質疑を終ります。
  68. 坪内八郎

    ○坪内委員 今回のもく星号事故につきましては、ある意味におきましては過般の桜木町事件以上に、国民に大きな衝動を與えたと思うのであります。私どもはこの事故によりまして遭難された関係者並びに霊魂に対しまして、心より哀悼の意を表するものであります。私は長崎県選出でありますが、私の地元におきましても二名の事故者を出しておるというような関係から、私はことさらに涙新たなものがあるわけであります。そこで私はこの際二、三点、大臣並びに長官にお尋ねいたします。  今回の事故にかんがみまして、まず責任態勢を確立するということが、私は本委員会にとつて重大なる目的の一つじやないかと思うのであります。この点につきましては、先ほど来尾崎委員並びに山崎委員よりお尋ねがありましたが、この事故に関しまして、運輸大臣初め関係方々が、非常に憂慮されておることはよくわかるのでありますけれども、どうもその点がぼけておるような感がいたしますので、私はこの際特にこの点をひとつお話を伺つてみたいと思うのであります。従つてこの責任態勢の確立におきましては、原因を究明したあかつきにそういつた結論が出ると思うのでありますけれども、何しろ今般の事故が、営業面運航面が別であつた、すなわち会社面はそろばん上の問題だけであつて、そうして飛行機整備とかそういつたいろいろな面につきましては、すなわち運航につきましてはノースウエスト関係で、まつたく手が出なかつた、手が及ばなかつた、ここに私は大きな原因があるのだということを新聞でも読  みまして、まつたく同感な点もあるわけであります。私どもはエンジニアではないので、いろいろな関係につきましてはわかりませんが、話は横にそれますけれども、先般の航空法案の提出に際しまして、通産省と運輸省が相対立をして、この生産部門と、運航の安全、運航第一主義から、一元的な行き方をとりたいといつた面についても、いろいろ論議がかわされました通り、私はこの点が解決しなければどうにもならないと思うのでありまして、将来の日本航空事業というものに大きな暗影を来すものであります。先ほど山崎委員お話の中に、また大臣の御答弁の中に、事故発生以来乗客はどんな状態であつたかというお話がありまして、大臣の答弁にも、何ら平常のパーセンテージを下らなかつた、こういうお話でありますけれども、今日の九時のニュースにおきましては、二十五名で、団体申込みは皆無だということを放送しておる。こういう関係からいたしましても、私は先ほどの大臣並びに山崎委員は、この点において認識が足りないのではないか、かように考えております。これはその責任態勢の確立がないからお客が乗らない。この点がはつきりしなければ、私は将来の航空事業というものは壊滅に瀕するのではないかということを憂慮いたすものであります。そこで問題は、先ほど大臣の御答弁にありました通り、現在の契約は今年の十月までであつて、その契約の期限が切れるまで、現在の契約で行くのだという説明があつた。しかるに講和独立は今月の末であつて安全保障條約の第三條に基く行政協定によつて、いろいろそういつたものの関連が生じて来るようなお話もございましたが、私はこの際、そういつた運航面と営業面が十分日本側に把握される。もつともこの点につきましては、整備工場も持たない日本でございますので、そういつた整備関係にも日本関係方々が参画して、そうして一元的な安全なる運航の把握ができなければ、こういつた民間航空はしばらく中止させることも必要ではないか、これについて大臣がどのような権限があるのか。あるいは民間会社に対し、あるいはノースウエスト会社に対して、どのような権限があるのかどうかわからないけれども、そういつた点について、この運航面と営業面が切り離されておる間は、再びまた事故を起すというような心配も生ずるおそれがあるので、この際大臣はそういつた面について、中止なりあるいはそういつた処置をとられる権限があるのか、権限があれば、その権限によつてこれを中止させる意思はないのかどうかということを第一点にお尋ねいたします。それから先ほど申し上げました通り、現在の契約は十月までということで、GHQの指示があるのを待つような話であるけれども事故の生じた原因がもしも解明したあかつきには、そういつた指示を待つまでもなく、むしろ積極的に日本側からGHQ側に折衝を重ねられて、そうして講和独立後、行政協定からの関連に基きまして、こういつた條約の変更ができないものであるのかどうかという、この二点をまずもつてお尋ねいたしたいと思うのであります。
  69. 村上義一

    村上国務大臣 営業面運航面と二元的になつておるというお話でありますが、これはもちろんお示しの通りであります。運航面についても一元的とは言えないのでありまして、御承知通り飛行機整備し、提供し、これを運行するのは、もちろんノースウエスト会社責任において、契約上の義務としてやつておるのであります。そうして飛行機の機体あるいは乗務員の資格については、米国政府民間航空局監督をしておる関係にあります。航空路指定でありますとか、その他航空交通管制については、進駐軍当局監督の責を持つておる、こういつたような状態でありまして、運航面でもまことに複雑に相なつておるのであります。こういうことは講和発効と同時に、日本政府が一元的に責を負うことに相なる次第であります。ただ今日契約に基いて、日本航空会社ノースウエスト航空会社との間に、飛行機の提供、運航ということが行われておる次第でありまして、その契約が昨年十月初めに一年間の有効期間をもつて締結せられたということは、前刻申し上げました通りであります。この契約を中止できないかというお話でありますが、この一年間の契約を途中において解除するということは、ノースウエスト会社に非常な損害を與えることに相なる次第でありまして、損害賠償の問題が起つて来ることは明瞭であります。なおこの契約締結につきましては、ただ單に両会社契約というにとどまらないのでありまして、この契約日本政府GHQもその当時それぞれ承認を與えておるのであります。従いましてこれを契約解除することは、そこに困難な事由が実質的にもまた形式的にもあると思うのであります。今運輸大臣としましては、この契約講和発効と同時に中止するというような考えは持つておりません。前刻なお乗客の多い少いという問題にお触れに相なりましたが、乗客の多いとか少いとかいうことは別問題として、責任態勢を確立する、一元化するということは、絶対に必要なことだと考えておるのであります。よしんば乗客がかりに多いにしましても、今後の健全なる発達をもたらすためには、ぜひとも責任態勢の一元化をすみやかにもたらしたいと念願しておる次第であります。
  70. 坪内八郎

    ○坪内委員 このノースウエスト社日航社との間における契約が非常に複雑だということは、運輸大臣が国会の両本会議において御説明なさつたことでもありますし、よくわかるのでありますが、それでは講和発効日本が独立したあかつきにも、やはりこの契約に基いて、そういつた諸般の事情を勘案して、当分このままで国内航空事業が行われるということに了承してよいのでございますか。
  71. 村上義一

    村上国務大臣 監督についてはかわつて来るのは明らかであります。日本政府監督の責めを持つことに相なるのであります。ただノースウエスト飛行機を提供し、乗務員を提供して運航するという事柄は、この十月まで継続するというふうに考えておるのであります。また実際におきましても、日本航空会社がみずから航空機を購入する、あるいは裸チャーターをし、一方において乗務員を完全に訓練しまして、そうして日本人乗務員運航をはかるということには、なお相当の時日を必要といたします。かれこれ考えまして、現在の契約期間はノースウエ  ストによつて運航せられると考えておる次第であります。
  72. 坪内八郎

    ○坪内委員 今回の事故発生は、まだその原因がはつきりわからないのでありますけれども、いろいろな方面意見を総合いたしますると、営業面と運  航面が一元的になつていなかつたことも原因一つだといわれておりますが、こういつた二本建で今後とも運営いたしますと、国民の一人として私どもは何か将来も事故が起るような気がして、何らかこういう点に適切な処置を講じなくちやならないという気持がするのでありますが、このノースウエスト並びに日航社の間の契約について、大臣運航を中止させるとか、そういつた監督面の権限については、どの程度の権限を持つておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  73. 村上義一

    村上国務大臣 非常に日本の公共の福祉に反する、あるいは公共の安全を著しく阻害するというようなことに対しては、中止という監督権もないとは言えぬと私は信じております。あると信じておりまするが、今日の状態におきまして、この両会社契約については、契約進行中にも日本政府及びGHQはよく了承しておつたのであります。なおこれが締結後においても認可をいたしておるのでありまして、認可手続もその当時完了いたしておるのであります。従つて今日の段階において中止を命令する権限は、今のところ私はないと解釈することが至当かと思つております。
  74. 坪内八郎

    ○坪内委員 大臣の御答弁ちよつと了解に苦しむのでありますが、中止することができると信じておるというようなお話が先ほどあり、さらにまた中止しないと解釈することが至当だというようなことでございます。この点について長官にお尋ねいたしますが、その点の法的な根拠は何かございますか。
  75. 大庭哲夫

    大庭政府委員 政令の第十條に「運輸大臣は、事業者又は運航実施者がこの政令の規定又はこれに基く処分に違反したときは、期間を定めて事業の停止を命じ、又は免許若しくは許可を取り消すことができる。」というようになつていますが、先ほど大臣から御説明申しました通りに、許認可の主たる目的が、いわゆる公衆の利便、航空保安上適当であるかどうか、事業の形態がそれを遂行するのに能力があるかどうかが中心になつていたのでございまして、この項目に触れることがあるかどうかによつて、許認可を取消す、取消さぬということが出て来るわけであります。従いまして事故調査会におきまして、今度の事故原因がそれに牴触するかどうかということと、もう一つは先ほどからいろいろ御質問になつております通りに、命令系統の複雑というものに、今後事故を起す可能性があるかどうかという判定によりまして、いろいろそこに問題が出て来る。これにつきましては十分の検討を重ねて行きたいと思つておりますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  76. 坪内八郎

    ○坪内委員 あとにも質問される委員の方があるそうですから、簡單に急いで御質問申し上げたいと思います。責任態勢の確立の点につきましては、だんだん焦点がはつきりして来ましたが、現段階におきましてはただいま運輸大臣初め御説明がありました通りでございます。契約問題につきまして、中止とか解約とかあるいは内容の修正とかいうことにつきましては、両者の契約関係にいろいろ複雑な事項があり、かつまた損害賠償とかその他いろいろ複雑な事情もあるかのようなお話でございましたけれども、こういつた飛行機事故といたしましては、まつたく大きな事故を生じた今日におきましては、何とぞ日本の独立後の行政協定その他ともにらみ合せまして、運輸大臣もそういつた考えのもとに、積極的に安全な航空運輸の監督ができますよう要望いたすものであります。なおかつただいま政令に基きまして、運輸大臣はそれらの政令に規定した関係において、規定に該当すれば、そういつた事業を中止させることも可能であるというような法的根拠もございますので、この原因が究明されたあかつきには、貴重な人命の保護という立場から、そういつた会社側の契約に基いて複雑な事情もあるけれども、この際そういつた態勢が十分確立されるまで、私はこの運航をむしろ保留して、そうして次に備えて完全な運航をはかるということも一つ考え方ではないかと思いますので、その点もあわせて十分な御配慮をいただきたい、かように思うのであります。  次にお尋ねいたしますことは、事故原因がまだわからないのであるけれども、一説によりますと、これは空中解体したのであるといわれておるのであります。さらにまた低空飛行による激突の墜落だというようなこともいわれておりますが、そこで空中解体の場合と、低空飛行によつての激突墜落ということになりますと、責任分野が何か異なつて来るのかどうか、この点を長官にお尋ねいたしたいと思います。
  77. 大庭哲夫

    大庭政府委員 大体におきまして空中解体は一定の場所で起きないで、空中で起きるわけでありますが、空中解体された場合には、その部品というものは、ある高度をとつているために広範囲にわたつて飛散を生じて来るわけでありまして、今日現場にあるような幅五十メートル、長さ百五十メートルというような範囲内に納められるようなことはないのではないかと想定されるわけであります。従いまして今度のような場合には、空中分解ではないと大体の判定はついております。これは調査の推移によりまして、いろいろ問題はあると思いますが、私が今日考えておる状況ではそういうふうに思います。
  78. 坪内八郎

    ○坪内委員 かりに空中解体といたしますならば、おそらくこれは整備関係にあるノースウエスト会社責任が大きくなると思うのでありますが、さらにまた低空飛行によつて激突墜落したということになりますと、私ども考えではパイロットに責任があるかのように思うのでありますが、その場合にパイロットはどちらに所属しておるのでありますか、この点を長官にお尋ねいたしたいと思います。
  79. 大庭哲夫

    大庭政府委員 空中分解の場合には、整備あるいは機体の不備ということになりまして、これは現在ではノースウエストとしての責任の分野になると思います。衝突の場合には、またこれはどういうことによつて衝突を起したか、いわゆる水平の高度を低くして衝突したのか、あるいは上から落ちて衝突したのか、この場合はまだ判定がついていないわけであります。たとえばいわゆるエア・ポケットに入つたために、一千メートルなり五百メートルなり落ちて地上にぶつつけたか、あるいは途中に操縦桿が乱れたためにぶつつけたか、あるいはどこか機体に損傷を来したためにそこへぶつつけたのか、その判定がまだ十分についていないのでありまして、それは事故調査会におきまして十分調査の上判定を下したいと思います。いずれにしろ激突であることは大体想定されます。
  80. 坪内八郎

    ○坪内委員 その点は原因の究明と同時に明らかになりますので、その点も責任態勢を確立する上において重要な問題であろうと思いますので、十分愼重な調査をお願いするわけであります。  次に御承知のごとくアメリカ日本とは、地理的條件並びに気象状況がいろいろと異なつていることは申すまでもないのでありますが、現在の関係におきましてはアメリカ航空法そのまま採用するということについては、相当考慮する点があろうかと思うのでありますが、先ほど大臣並びに長官の御説明によりまして、近く提案される航空法に基いて日本の空を飛ぶ以上、これは責任をもつてこの日本航空法に基いて監督、取締りするのだということでございますが、それについてまた航空法の修正なり、あるいは改正というような意図もあるというようなお話でございましたが、日本航空法が判定されますと、アメリカ航空法というものは適用されなくなるのでありますか。その点をお尋ねいたしておきたいと思います。
  81. 大庭哲夫

    大庭政府委員 決してそういうことはないと思います。ただ操縦者の資格におきまして、アメリカ航空事情——航空事情と申しますと、地形気象その他施設物に通暁していても、日本国内におけるそれらに通暁していないわけでありまして、これらの点においてもう一度日本において試験をし直し、それによつて資格を與えるということになると思うのであります。従いまして航空法の訂正ということは、これによつては起きない。先ほどの調査の問題につきましては、いろいろ航空法に不十分なところがまだあると思われますので、この点については十分航空法を勘案して研究して行きたいと考えております。
  82. 坪内八郎

    ○坪内委員 最後に、先ほど大臣の御説明にもあつたようでありますが、この日航の創立当初、コーポレーシヨン的な行き方で行こうとした考えはあつたけれどもアメリカにおいて足並がそろわなかつたということでありますが、将来の日本航空のあり方をどうするかということにつきましては、いろいろとこれは構想があろうと思いますが、私個人といたしましては、コーポレーシヨンの行き方はまだ賛成できかねるところもあるわけでございますけれども、こういつた点について運輸大臣は何か構想を持つておるのかどうか。さらにまた今回の事故によりまして、飛行機の損害、あるいは遭難者に対する慰藉料などを含めれば、おそらく三億円以上の額になるのではないかということも憂慮されておりますが、将来こういつた事故があつた場合に、一民間会社にそういつた補償額を補償させるということは、とうていこれはまかない切れない額だろうと思うのでありますが、そういつた点につきまして運輸省として、また政府として、そういう面に助成して行くというようなお考えがあるのかどうか、この点も一度聞いておきたいと思います。
  83. 村上義一

    村上国務大臣 先刻コーポレーシヨンと申したので、あるいはその点誤解があつたかとも思うのですが、これは一昨年の正月元日現在で、日本に外国の航空会社で、国際飛行を許されておるもの七社かあつたのでありますが、この七社が一社にコーポレートしまして、そうしてそれと日本航空契約することを認めるという覚書が当初参つたのであります。ところがこの外国航空会社七社の間で、議が結局まとまらなかつた。これは米国のみならず、英国、オランダあるいはフイリピンその他の国に国籍を持つておる航空会社であるのであります。これらが議がまとまらなかつたために、そのうちの一社もしくは数社と日本航空会社契約することを認める、こういう覚書がさらに参つたのであります。これに基いてノースウエスト日本航空会社契約が締結せられた、こういう次第であるのであります。その点もし誤解がおありでなければけつこうですが、念のために重ねて申し上げる次第であります。  なおこういう事故が一旦起きたら、会社がつぶれてしまうじやないか、破産するじやないかというお話でありま  した。もちろんその事故程度によりまするが、飛行機としましても、中型機としましても、今日四、五十万ドルいたすのであります。大型になると百万ドル前後の価格をとなえられておるのであります。しかも人命を失つたことに対する慰藉その他に対して非常な金額になることは、お示しの通りであります。しかしこういう航空会社は、もちろん保険に付するということで、危険の分担を保険会社に求めるということは、ぜひ必要なのであります。しからば政府として強制保險制度を設けることが適当じやないかという考え方は、もとより浮んで来るのであります。強制保険という制度をとるとしますれば、その最高額をいかにするか。アメリカでは一人当り今日五万ドルというのが、最高の額になつております。もちろんわが国米国の間でば、国情おのずから異なるものがあります。日本としては日本の適度な金額がここにあるべきだと考えておるのであります。ごういつたようなことにつきましても、急いで法制を確立する必要がある。実は航空法の制定は、講和発効を目睫に控えまして、非常に急いでおる次第であります。今そういうことをもさらに織り込めるように研究が全うできれば、しごくけつこうなのでありますが、もしなお研究の余地があるというようなことでありますれば、第二段に改正法律案を提出することも、またやむを得なかろうというふうに考えておるような次第であります。
  84. 坪内八郎

    ○坪内委員 いろいろお話を承りましたが、最後にもう一点お尋ねいたしまして質問を打切りたいと思います。今回の事故にかんがみまして、もつともその原因の究明を見なくては、いろいろな対策が生れて来ないと思うのでありますが、今回の国民感情といたしましては、今回の事故で、飛行機に乗ることに対して非常に萎縮したような気持になつておると思うのであります。これに対しまして、国民がさらに明るい気持で飛行機に乗るということにつきましては、相当の努力をしなくてはならぬということが考えられますが、今回の事故で、どういつた対策に基いて、そういう萎縮した気持を啓蒙して行こうとお考えになつておるのか、その基本的なお考え方につきまして、大臣あるいは長官いずれでもけつこうでありますが、要点のみちよつとお答え願いたいと思います。
  85. 村上義一

    村上国務大臣 きわめて適切な問題を御提示せられた次第でありますが、私はこの問題につきましても、やはり事故原因を明らかにして、これに対する対策を確立して、国民各位に御理解を得るということが、何より近道であると考えておる次第であります。ぜひそういう面で、急いで事故原因を究明し、その対策を確立し行きたい、この考えておる次第であります。
  86. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 大体各委員によりまして、御質問申し上げたい点は質問されたようでありますし、また希望も述べられているようでございますが、一点政府委員質問申し上げたい点がございます。先ほどの御説明の中に、高度計というお話がちよつと出ていたようでございますが、このもく星号についていました高度計は、気圧高度計であつたというようなお話でありますが、この気圧高度計は、日本のような気圧の変化のまことに多いところでは、不正確なものであるというようなお話を、先ほどちよつとなさつていたようでございます。そういたしますと低気圧に接近したり、あるいは低気圧の中に、入つてしまつたようなときには、まつたく役立たなくなるのではないかと、私どもはしろうとの考えで、お話を伺つていてそう思つたのでございますが、この点専門家の皆様方の方で、どうお考えでございましようか。
  87. 大庭哲夫

    大庭政府委員 確かにお説は一応ごもつともなわけですが、実はそれにつきましては、そういうような気圧の中へ入つた場合には、飛行機の方からもよりの飛行場に、現在の飛行場の気圧、地上の気圧をいつも聞き合せまして、気圧の修正をやつているわけであります。従いまして常時この高度計というものは、平常の状況に保つているのが普通なわけです。従いましてもしもそういうようなおそれがある場合には、操縦士が各もよりの飛行場の気圧をすぐ聞きまして、それで修正をいたすわけであります。また着陸するときには、必ず現在の飛行場の気圧を聞いてでないと、着陸できないことになつておるわけであります。そういうように常時聞き合せて修正しているというわけで、決して御心配になるようなことはないと思います。
  88. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 そういう御説明でございますが、私の聞き及びますところによりますと、技術的にはそういうようにはできないというお話でございますが、いかがなものでございましようか。
  89. 大庭哲夫

    大庭政府委員 私、責任を持つてお答えをいたしております。
  90. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 先ほどの御説明によりまして、ともかく高度計はついていた。しかし私の考えでは、非常に不安定なものであつたと解釈したのでございます。また飛び立ちますときに、航空気象を無視して飛び立つているということが一点と、また商業用には非常に危險視されておりましたマーチン202型を使つていたということと、それに現在最も大事な設備とされておりますレーダーが使われておらなかつたということなどから、当局の方のお話を聞いておりますうちに、これではラジオ・ビーコンでも故障してしまつたなら、まつたくの盲飛行になつてしまうのではないかという感じを持つて、私はただいまの説明を聞いていた次第であります。そこで説明をお伺いする前に持つておりました私の気持は、まつたく懇切丁寧な御説明によりまして、より以上に危險なものであるという感じを強くしたのでございます。ただそう申し上げましても、この責任については、まつた整備並びに運航に口出しができないような事情にあるということで、一応は日本側の言い分も納得できるのでございますが、現在のこのままの状態で営業することは、この上なく危險ではないかというのが私の考えでございます。またこのような事件の起きました機会に、その責任の所在を追究いたしまして、今後はとうとい犠牲をむだにすることなく、整備の面、あるいは運航の面に対しましても、日本側の態度をはつきり強調していただきたい。これが私の希望でございます。これをもちまして私の希望といたしまして、質問はこれで終ります。
  91. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 先ほどから村上運輸大臣は、今回のもく星号遭難に関しまして、今後は安全第一主義をとつて進むということを言明されたのでありまして、講和発効後はスキャップインが自然消滅する。従いまして航空法を国会に提出して、日本政府日本民間航空に関する運営について、全面的な監督権とその責任を持つようにしたいという御意見を承つたのでありますが、実際問題といたしましては、政府が調印いたしました行政協定の第六條に、この航空機の問題について規定があります。従いまして大臣のような御意見通りにはなかなか行かぬのじやないかと思われるのですが、その行政協定大臣のお説の間の相互間の問題について、大臣の御所見を伺いたいと考えるのであります。
  92. 村上義一

    村上国務大臣 実際問題としまして、もちろん日本飛行機を製作するということも、現段階においてはなお少し時期があると思います。従つてそれぞれ今優秀な飛行機を製作している国から購入する、日本国内飛行に適応するような機を——英国にもあると聞いております。いずれの方面からか購入する、あるいはチャーターするということは必要であると思うのであります。そういう意味合におきまして、もちろん購入して来たものを日本責任をもつて耐空証明をするということは、これはできる次第でありますが、さらに進んでこれをばらして、各部品について確信を得ると申しまするか、一層深度まで入つて検査をするということは、事実これはできないことだと思います。その点においてまことに徹底を欠くじやないかとお話になれば、それはその通り、ごもつともだと申し上げざるを得ないのでございます。しかしその他の点におきましては、日本航空士の養成、また日本の地理、気象その他についても十分試験をして、免状を交付するということに相なると思いまするし、また航空管制ということについても、もちろん日本政府責任を持つた官吏が航空管制をして行く、そしてそれぞれそのときの飛行に対して、航空路指定であるとか、その他の処置を命令して指導して行く次第であります。まつたく徹底した責任態勢をとれるかということになると、今の飛行機製作という問題がもう一つありますが、大体において申し上げることができると思うのであります。
  93. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 大臣の、この行政協定の第六條の内容について、もう少し詳しく御説明を願いたいと思うのです。この六條を見ますと、「すべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発達を図るものとし、且つ、集団安全保障の利益を達成するため必要な程度に整合するものとする。」こういうことが書いてありますが、必要な程度に整合するといい、緊密に協調するということの内容です。これが民間航空に今後どういうような具体的な形で現われて来るかということが、重大な問題だと思うのです。その点について大臣の御所見を承りたいと思うわけです。
  94. 村上義一

    村上国務大臣 その点につきましては、先刻も申し述べたと記憶いたしまするが、今現に準備工作班の航空部会で話合いが進みつつある次第であります。今はつきりとこうなるということを予報的に申し上げることはできませんけれども、とにかく少くとも一部は民間航空専用の航空場もできるはずであります。これは完全に日本政府航空管制をすることに相なると思います。そうして軍の専用のものがもしできるとしますれば、これは駐留軍の方で管制をするのではないかと思うのでありますが、これもまだはつきりしておりません。両方共用するという航空場におきましては、これはまた協定を要する次第であります。それが第六條に緊密なる協調という文字が使つてあるゆえんだと思うのであります。もうしばらく時間をお待ち願えれば、明確に申し上げることができると思います。
  95. 坪内八郎

    ○坪内委員 ちよつと関連して……。先ほど私申し上げようと思つてつたのでありますが、あとに他の委員質問がございますので遠慮しておつたのでありますが、ただいま江崎君より行政協定についてのいろいろの質問がございましたが、それに関連して、実際問題として現在の航空場が、行政協定がいよいよ効力を発生いたしますと、共用になるというようなことでございますが、現在におきましては軍の関係で、民間航空は二時間も三時間も着陸することができないで、上空を飛んでいる、そうして遂にガソリンが切れてどこかに不時着したというようなことを聞いておりますが、そういうことが事実であるのかどうか。それから行政協定が効力を発生すると、さらにそういつたことが、航空場の共用ということになりますと、将来も起きて来るのではないかというように考えますが、その二点について、ひとつ大庭長官からでもお答え願いたいと思います。
  96. 大庭哲夫

    大庭政府委員 お答えをいたします。大体日本の専用にする、あるいは駐留軍の専用にする、あるいは共用にするというのができるであろうと想定されるわけでありますが、そのことにつきましては先ほど大臣から御説明申しました通りに、現在打合せ中でありまして、具体的な事項にまだ進んでおりませんので、どこがどういうふうになるかということは、ここでまだ申し上げる時期でないと思います。従いまして先ほど御質問の共用の場合に、私の方でホールディングと言つておりますが、着陸の順位が来るまでの間、飛行場の付近で旋回をして待機するということが起きるということは、これはその飛行場を使う以上はやむを得ない。従いましておもな飛行場にはオルターネーテイング飛行場と申しまして、代替飛行場というものを與えられているわけであります。従いまして出発のときには、伊丹ならば名古屋へ帰つて着陸するとか、板付ならば芦屋、雁ノ巣の方へ着陸するとか、初めから操縦士が飛行計画の中にそれらを明示してあるわけであります。もし長時間そこでホールディングされるような場合は、その代替飛行場の方へ着陸して、一時待機してもよろしいわけであります。それらによりましてひとつ十分にその解決がつくのではないかと思いますが、ただここで軍と民間というものの優先権につきましては、現在は一部戰争下に——日本と違いますが、占領軍にしましては戰争の状態にあるために、それが優先権をとるということが現状でありますが、もしも朝鮮事変というものが解決されたあかつきにおきましては、軍も民間も同等に扱うという話合いになつているわけでありまして、その点につきましては、現在は朝鮮事変の前後によりまして違いがあると思います。
  97. 坪内八郎

    ○坪内委員 江崎君のお許しを得まして、簡單にもう一点伺いたいと思いますが、その点は十分利用者にとつては、国鉄あるいはその他の交通関係に関連して飛行機に乗つておるのでありまして、長く飛行場上空に旋回しておるということは、これは利用度において大きな支障を来すのではないかと思いますので、十分御考慮願いたいと思います。  なおこれはちよつと関連的なものではないのでありますけれども、先ほど私は質問申し上げようと思つてつたのでありますが、先般のもく星号事故について、相当全国的に、事故遭難者は全員生きておるのだというニュースが、まことしやかに報道されまして、それによつて喜怒哀楽こもごもというような状況をかもしたように思うのでありますが、その間違つたニュースというのが、どういう経路で報道されたのか。この点につきましては国民としても、そういつて不謹愼なニュースはまつたく心外にたえない次第でございまして、この際そういう点もはつきりしていただいて、そうして国民を納得させることが必要であろうと思いますので、その点について一応御答弁を願いたいと思います。
  98. 岡村利右衞門

    岡村委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  99. 岡村利右衞門

    岡村委員長 それでは速記を始めて。
  100. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 先ほどから運輸大臣は、民間航空については徹頭徹尾安全第一主義で行きたいというお考えのように拝聽するのであります。ところが日航の現在保有しておる航空機の中には、まだもく星機と同じ機種のマーチン202型があるのであります。この機種はアメリカ民間航空局から二回にわたつて改造を命ぜられておるということも聞いておりますし、先ほど大庭長官が明らかに言明されましたように、アメリカ国内においてもこれはほとんど使用にたえないような種類の機種に属しておるようであります。これを現在のまま契約が破棄できないということで、使用するということになりますと、これはきわめて危險な状態が当分続くわけであります。こういうことについて大臣はどういうようにお考えでしようか。
  101. 村上義一

    村上国務大臣 まずもつてマーチン202というものが、非常によくない飛行機だというように前提を置いての先生のお話だと思いますが、もちろん最初米国内においても三回も続けて事故を起した飛行機であります。従つて民間航空局はこれに耐空証明を出しておりますので、非常な責任を感じて、しさいに研究をいたしたのであります。従つてその改造すべき点をつぶさに列挙して、改造を命じたというのは、今お示しの通りであります、その後はこれはマーチン機というものは、信用を回復いたしておるのでありまして、現に404とともに202もアメリカ国内において多数使用されておる次第であります。マーチン機が非常に劣等なものだということの断定はどうもしかねると思うのでありまして、ただ気持がよくないということは、常識的には私も痛感いたしておるのであります。科学的にいつてつたものだとは言えないと考えておるのであります。なお契約破棄云々というお話でありましたが、契約にはマーチン202ということの指示は何もないのでございまして、従つてDC3、DC4というものを入れたいということは、日航の当事者もかつて希望は持つてつたのでありまして、これは話合いでできない相談ではないと考えております。
  102. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 マーチン202型が使用にたえないものだとは思わないというお説でありますけれどもアメリカ国内においては心理的な方面からの影響もあるかもしれませんけれども、五機も事故を起し、日本で六機目の事故である。こういうことになりますと、このマーチン202型が相当改造されたかにしれぬけれども、すつきりした設計のものとは、やはりこれは安全度から考えますと劣るのじやないかという見方が、大体一般的に考えられておるようでありますが、そういうような機種を今後もやはり当分の間使われるのかどうか。さつそく機種を変更するということのお考えはないのかどうか、その点はどういうように考えておられますか。
  103. 大庭哲夫

    大庭政府委員 マーチンの機体が現在の航空に耐え得るかどうかという問題につきましては、今度の調査会でも徹底的に一応マーチンの性能その他を比較対照して検討することにいたしてありますから、それによつてはたしてマーチンがお説の通りにたえ得ないものとすれば、十分私の方からそれの撤去を命じてもいいと思います。しかしそれは先ほどから申し上げます通り調査会結論にお待ち願いたい。調査会でもちろん結論を出したいと考えております。
  104. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 先ほど大臣にお伺いしたのですが、行政協定の第六條の集団安全保障の利益を達成するために必要な整合という言葉がありますが、これは言葉の上ではこれだけのものでありますけれども、実際問題となると非常に複雑な問題が起つて来るでありましよう。先ほどの大臣のお説の飛行場の共同使用の問題もあるでしようし、その他たとえば朝鮮動乱で非常な危機が来たそのときに、多少航空には不適当な気象状況であるけれども、この集  団安全保障の利益を達成するための整合という観点から、ぜひ飛べということになるかもしれません。こういうような状態において、もしも事故が起るということが考えられるとすれば、これについての補償の問題があとに残つて来ると思いますが、これについて政府はどういうような見解を持つておられるか。
  105. 村上義一

    村上国務大臣 行政協定の面で集団安全保障という見地から、民間航空についてはそういう問題は起つて来ないと私は考えておるのであります。ただ民間航空会社の定期航空路におきまして、そういう特殊なケースはどうも考えられないと思うのであります。
  106. 江崎一治

    ○江崎(一)委員 これは航空の場合とケースが違いますけれども、この間当運輸委員会を即日通過して、即日また本会議を通過した法案でありますが、あの引揚げを目的とする船舶の徴用の法案がありました。これは明らかに御用船団をつくるための法案だと考えております。これと同じ観点から日米行政協定の精神に従つて、やはりこの民間航空はこれと同じような軍事的な性格を帯びて来ることは明らかだと思うのです。そういう観点から考えますと、この集団安全保障の利益達成のための整合という問題は、非常に大きな政治的な意義をあとに残すと思う。これが今大臣はどう思つておられるか知れませんけれども、将来の日本民間航空に大きながんになりはせぬかと思うのですが、そういう点についてどういうような方法で補償しようと思われますか、その点もやはりこの際明らかにしておいてもらいたいと思います。
  107. 村上義一

    村上国務大臣 船舶の引揚げのための徴用について、それを事例にとつてお話でありますが、船舶の徴用についてもお示しのようなことは全然私は考えていないのでありまして、今現に引揚者のために、以前台湾航路に就航しておりました高砂丸がただ一ぱいだけ準備をしておるという状態でありまして、多数の日本人が引揚げるという場合に当面しますると、これは時を移さず迎えの船を出港せしめなければならぬ次第であります。その際には徴用をするということをあの法律で書いておる次第でありまして、目的が明瞭であります通り、引揚者のためにということに相なつておるのであります。それで今船団云々というお話がありましたが、そういうことは全然私ども考えておらないのであります。それと同様に航空事業につきましても、今のお示しのようなおそれはまつたくないものと私は考えておる次第であります。
  108. 原彪

    ○原(彪)委員 大分大勢質問されたあとでございますので、御質問申し上げる範囲が非常に狭くなつて参りましたが、一、二点ひとつ伺いたいと思うのであります。このたびの航空事故につきましては、まことに遺憾千万であり、しかも航空の安全性——今日の機械文明を信頼して安心して乗られた乗客が、あのような始末になつてしまわれたことについては、御遺族に対しても私は非常に御同情申し上げているわけでありますが、大辻司郎君あたりは、銀座を歩くよりは安全だと言つて喜んで乗つたそうでありますが、こういう言葉を聞きましても、私はいかに当局航空の安全性を信頼して乗客が乗つたかということを思いますと、この御遺族に対してはまことに御同情を禁じ得ないのでございます。このような事故を生じた根本原因が、先ほどからの御質問を聞いておりますると、責任態勢の二重、三重、二元、三元というようなお話でありまするが、理論的にこれを申しますならば、私は責任アメリカ側にあるような気がするのであります。なぜかと申しますと、航空気象の判断その他、機長アメリカ空軍許可を得て飛び立つのでありますから、しかも機体はアメリカ側のものであり、しかも操縦士は米人であり、機械も全部米国製であるというような関係からすると、どうも航空会社日本航空であるけれども事故の起きた直接のいろいろなまわりについているものは、ほとんどアメリカのものであるというような私は気がするのであります。責任の分野においては、アメリカ側の方が多いように私は判断するのでありますが、大臣はいかがにお考えでございますか。
  109. 村上義一

    村上国務大臣 交通事故というものは、その原因は單純でない場合がほとんど全部といつてもいいくらいなのであります。一つだけの原因であればこれは起らなかつただろう。ところが他の原因がそれに競合して、遂に大事に至つたというようなことが、私の過去の経験上なめた多くの例から申し上げることができるので、今回の事故原因にいたしましても、おそらくそういうことじやないかと思うのであります。人為的のもの、天候その他の関係だとか、または人為的にしても、乗務員の人為的の問題もあるでありましようし、あるいはまた今お示しのように地上の指揮者の場合もあるでありましよう。いろいろな点が競合しておるとも考え得るのでありますが、しかしながらその競合であろうとあるいは單純であろうと、いずれにしてもその事故原因をなるべくすみやかに究明いたしたい、しかる上に善処したいと考えておる次第であります。今のところ何とも申し上げかねるのであります。
  110. 原彪

    ○原(彪)委員 私は何もアメリカを誹謗するために言うのでなくて、この責任態勢のことをはつきりしたいために、アメリカなどという言葉を言つたのでありますが、米人の操縦士機長などの俸給はどこで払つておるのでありますか。長官でけつこうであります。
  111. 大庭哲夫

    大庭政府委員 操縦士の俸給は全部ノースウエストで支払つておるわけで、ノースウエスト日航との間のチヤーターレージの中に含まれていて、日航がそれを支払つておるというような形式になつておる。しかし契約によつて飛行機を飛ばしてもらつているわけで、その料金をきめて、その料金を日航の方で支払つておる。その支払つておる金額は、旅客の収入からそれを支払つておるという関係になつております。
  112. 原彪

    ○原(彪)委員 そうすると別な言葉で言えば、ノースウエストの社員の操縦する飛行機によつて日本人を運んでおるという形でございますね。そうすると責任ノースウエストにあるように考えるのですがいかがですか。
  113. 大庭哲夫

    大庭政府委員 だからその実は原因がはつきり那辺にあつたかということで責任があるわけなのですが、機長にあるか、また先ほど御質問のように整備士の方にあつたか、あるいは運航面のコントローラーの方にあつたか、これが実は今のところわかつていないために、たとえば御質問飛行機の操縦の誤りとすれば、これは当然機長にある、ノースウエストにある。また整備の誤りであれば、これも当然ノースウエストにあるということが申し得られるのでありますが、まだ未知の収集のしない資料があるのでありまして、これを現在收集中であります。それらによりまして総合判断をしたいと考えておるわけであります。しばらくお待ちを願いたい。
  114. 原彪

    ○原(彪)委員 日本航空の方では盛んに損害賠償といいますか、弔慰金と申しますか、百万円出すとか、いろいろなお話があるようでありますが、ノースウエストではどういうお申出がございましたか。
  115. 村上義一

    村上国務大臣 事故の起きました当日、ノースウエスト東京駐在のキング副社長が、私の部屋に参りまして遺憾の意を表しまして、これについて弔慰金その他日本の慣習に従つて日本航空会社が支出してもらいたい。そうしてそれについてはすべてノースウエスト求償に応じてお支払いしますということを、繰返して申しておつたのであります。先刻も申します通り、乗客に対しましては日本航空会社がとにかく責任を持つておるのであります。日本航空会社としてその御遺族に対して慶弔のまことを表現する、そうしてノースウエストに対して日本航空会社がこれらを求償する、ノースウエストに対して日本航空会社求償する、ノースウエスト会社は先刻も申した通り保險に付しておりますから、結局保險会社が引受けるということに相なる次第であります。
  116. 原彪

    ○原(彪)委員 そうすると、日本航空はその費用をほとんどノースウエストに転嫁して、日本航空は払わないという結果でございますね。
  117. 大庭哲夫

    大庭政府委員 実は契約のときにいろいろ込み入つた、いわゆるどの部面ノースウエストが持ち、どの部面日本航空が持つというやりとりをやつたわけで、便利な方にそれをとつつけて、それをチヤターレージできめたわけであります。従いまして今の保險の場合には、お客の保險については日本航空が持つて日本の保險会社なりアメリカの保險会社に入れておけばいいわけですが、これを機体と一緒にしてノースウエストに入れてもらう。従つてチヤーターレージの中にはその保險料を含めておこうというように、一つ契約ができ上つておるわけです。従いまして入り組んでおりますから、そこの点契約書をごらんくださらないと、ちよつと常識で判断できないことがおありではないかと思います。
  118. 原彪

    ○原(彪)委員 私これ以上申し上げませんが、たいへん入り組んでおるようでありますので、もう少し簡明に筋の通つた契約にされ、また責任態勢というものも二元的、三元的でなく、きようも旅客機は飛んでおるし、あすも飛ぶのでありますから、講和條約が発効するまでは私は待てぬと思う。また第二のこういう事件が起きることを非常に心配しておるものでありますから、できれば早急に暫定措置でも何かお立てになる方が、旅客は安心して乗れるのではないかと私は痛感しておりますので、希望を申し上げておきます。  それからもう一点承りたいのは、これは刑法上の問題でありますが、法務府の人がお見えにならないので、運輸省の方に御質問申し上げるのもなんでありますが、これだけの大きい事故を起して、これが不可抗力によるものであるか、あるいは過失によるものであるか。過失なれば重大過失であるか、軽過失であるか。そういう問題はだれが一体究明するのであるかという問題であります。新聞によれば、法務府の事務官のだれかが大島に行かれたようでありますが、軽過失、重大過失なんという判定は非常にむずかしい問題で、ある専門家にも聞いてみたのですが、やはり非常にむずかしい問題だと言つておられました。それで法務府の方で、あるいは検察庁の方で、何かお話があつたかどうか、ちよつと承りたいと思います。
  119. 大庭哲夫

    大庭政府委員 まだ正式に何の話もありませんです。従いまして法務府などの方では、調査会の判決を待つておられるのではないかと考えられます。あちらから要求がありましたら、私の方としましてはできる限りの資料は提供して、御援助いたしたいと考えます。
  120. 原彪

    ○原(彪)委員 この際もう一点承りたいのですが、いつか私が航空長官に、航空機の中の裁判権の問題について、それはどちら側にあるかということを質問したのでありますが、長官は追つて申し上げるという私に対する御答弁でありまして、そのことはまだはつきり私は承つていないのであります。裁判権がアメリカ側にあるか、日本側にあるかという問題でありますが、法律は最悪の事態を考慮しなければならぬものでありますから、機長あるいは操縦士、その他航空機の中で起きた刑法上の問題は、どういうふうに裁判権があるかということ、これもやはり今度の事故なんかに関連する問題でありまして、もしまた事故でも起きて、操縦士なりあるいはその他生き残るような問題が起きた場合の参考にもなりますので、一応承りたいと思います。
  121. 大庭哲夫

    大庭政府委員 まことに申訳ないのですが、御質問に対して実は研究が抜けていたのであります。今度の事故の当面の問題がそこへ来るわけでありまして、今鋭意それについて調査会の方で研究させているわけであります。いずれその結論が出て来ると思いますが、しばらくお待ち願いたいと思います。まことに申訳ない次第だと思います。
  122. 原彪

    ○原(彪)委員 もう一点だけ伺います。先ほど坪内委員の御質問に対して、大臣の御答弁で、大体第一回の間違つた報告については了承いたしました。しかしそれに対して、私はあのときのラジオを聞いておつたのでありますが、夜になつてしまつて捜査が不能であつて、あくる朝の八時半からか捜査を開始するというラジオを聞いたのでありますが、一晩中御家族の方たちの御心配を考えると、いても立つてもいられなかつた気がしたのであります。そのときに日本航空なりに対して、運輸省はどういう措置をされたか、その点を承りたいと思います。
  123. 村上義一

    村上国務大臣 先刻申し述べましたように、いよいよ舞阪沖に浮いておる機翼は、見誤りであつたということが、八時ごろと記憶しますが判明いたしました。それからいろいろと日本航空会社の幹部を中心とし、また運輸省においては航空庁と共同で、いかにすべきかということを考えたのです。結局はもう一ぺん捜査をやりかえるということ、今までの先入感を払拭して、そうして振出しにもどつて始めることが近道だ、そう考えて来ますと、館山上空を通過の報道は的確に入つておるのであります。その後次の報道箇所、大島の分も入つておらないのです。焼津の分はもちろん入つておらないという点から考えますと、どうも東京の近くに事故が起つておるのではないかということを考えまして、この近くから捜査するということに決定いたしたのであります。そのためには、もうすでに十日の日は天気がいいという予報も受けておりましたし、未明に予備機になつております日航飛行機を飛ばそうということに相なりまして、今八時ごろとかおつしやいましたが、実際は五時三十九分に羽田を離陸いたしております。そして各所を捜査しまして、その結果八時過ぎに大島で飛行機の残骸を発見したというような次第であります。経過はそういうことであります。
  124. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 私は大分時間もおそいようでありますから、簡單にお尋ねしたいと思いますが、先ほどノースウエスト会社日航との間に、このたびの事故責任がどこにあるかということを、大分皆さんが質問されたようでありますが、現在では私の一応考えますところでは、特に講和條約も発効していないししますから、航空機日本が所有するとか、あるいは日本のパイロットがこれを操縦するということは許されていないので、当然この点は法律上の問題にしましても、日本の法律によつてこれをさばくとか、あるいはどうするとかいうことは、なかなか複雑な問題であると思います。しかし近いうちに講和條約も発効しますが、その後は飛行機日本で所有でき、あるいは製作もでき、あるいはパイロットも日本の国民がこれをやることができることになると思いますので、今後を考えますときに、日本操縦士が万一こういうような事故を再び起したというような場合があつたならば、過失ではあつても、当然過失傷害罪という罪名によつて、この前の桜木町事件と同じように、さばきを受けることと思いますが、航空庁としてはその点の解釈は、国有鉄道のように、事故の扱いとして日本の法律のさばきを受けるか、あるいは飛行機の場合は国有鉄道とは、法律上の過失致死とか、過失傷害というような問題が、違うさばきになるか、この点をお伺いしたいと思います。
  125. 大庭哲夫

    大庭政府委員 講話発効後は、日本の刑法によつて決定すると思います。
  126. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 講和発効後は当然日本の法律によつて、損害の賠償にしましても、あるいは刑事上の問題にしましても、日本の法律で国鉄の事故と同じよ  うに扱うとするならば、このたびの場合は、日本の法律によつて何らのさばきができないということになりますと、講和発効はしていないといたしましても、このたび犠牲なつ人たちは、死んでも死に切れないというようなことを、遺族の方々考えると思います。決して事故を起した人や責任者をどうこうというのではありませんが、わずかの間に講和発効するけれども、それが発効していないために、これに対して何ら法律上の問題が明白にならない。先ほど大臣お話もありましたが、ただ單に道徳上の問題とか、あるいはノースウエスト会社の方としても、損害の点は、私の方で保險会社との契約があるから、責任を負うというようなお話であつたそうでありますが、いずれにいたしましてもはつきりした法律上の制裁なり、あるいは法律上のはつきりした道が開かれておらないというのでありますから、いずれにいたしましても政府といたしますれば、何か一応のはつきりした対策をここで立てておくか、あるいは講和発効前だから何としてもやむを得ないというのであるか、この点をちよつとお伺いしたいと思います。
  127. 村上義一

    村上国務大臣 民事上の問題につきましては、きわめて明瞭だと思うのであります。民法によつてこれは処理されるものだと思います。先刻原さんにお答えしました求償の問題は、両会社間の契約に基いての求償に相なると思うのであります。乗客と日本航空会社との間の関係は、明瞭に日本の民法によつて民事の処理はせられると思います。それから刑事上の問題につきましては、ただいまも過失あるいは軽過失、重過失というようなお話がありました。大体において操縦者の問題であるとすれば、操縦者はすでに死亡しておるのでありますが、とにかく刑事上の問題については、今検察当局でいかに発動するか、検討中であると思うのであります。
  128. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 そうしますと現在講和発効前であつて、一応占領下の立場であるが、刑法上の問題にいたしましても、あるいは民事上の問題にいたしましても、民事上の問題は一応日本の民法でやるということは明らかであるが、刑事上の問題等に対しても、占領下であつても、なくなつたからやむを得ないとしても、万一生きていた場合には、日本の法律によつて解決することができるというように了承してさしつかえないでありましようか。
  129. 村上義一

    村上国務大臣 今日本の刑法によつて処置し得るやいなやということを、研究しておるはずであります。まだその点明瞭になつてないと思います。
  130. 大澤嘉平治

    ○大澤委員 そうしますとこのたびの日航事故によつて、今後の日本民間航空の将来というものに対しましては、このたびの事故が大きな一つ犠牲になつて事故によつてなくなられた方々犠牲になつて、新しい日本の将来の民間航空が完全のものになるということを、私は多く期待いたしたいと思うのでありますが、日本のこれが行政面を担当している政府といたしますれば、これに対して、これを動機に種々の欠陷を是正すると同時に、講和発効後は日本の法律によつて、すべて  が完全に行われるだけに、責任を持つた民間航空が完成するように、なお先ほど坪内委員質問の際にも、運輸大臣は、今後は日本政府によつてこれを完全に運営するというようなことをちよつと申されましたが、政府として一つの公共企業体にでもしてやろうというようなお考えでもあるのか、それとも現在の日航のような姿を、政府で嚴重に監督あるいは助長行政を行つて、完全なものに仕上げるというお考えであるか。一言お伺いしておきたいと思います。
  131. 村上義一

    村上国務大臣 前段のお尋ねの御意見の点でありまするが、まつたく同感でありまして、そのために事故調査会を設けて、ぜひともこの事故原因を究明して、今後の健全なる航空交通の発展に寄與したいということを考えておる次第であります。また後段の点は、私の言葉が明瞭を欠いたためだと思いまするが、日本政府において運営をするという考えは持つておらないのであります。現在の日本航空会社をして、国民の信頼と期待に応ずるように、運営せしめたいと考えておるのであります。完全なる云々と申し上げたのは、これは監督権の問題だと思うのであります。     —————————————
  132. 岡村利右衞門

    岡村委員長 この際お諮りいたします。ただいま建設委員会において審議中の道路法案及び同法施行法案は、当委員会の所管に関連がありますので、連合審査会を申し入れたいと存じます。御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 岡村利右衞門

    岡村委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。なお時日は建設委員長と協議の上、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五十八分散会