○柳澤(米)政府
委員 海上保安庁といたしましては、このたび今までの一般
機構の異動を多少いたしたいと思います。そのほかに第二点といたしまして、海上警備隊というものを設けたい、かように
考えておるわけであります。
海上保安庁といたしましては、現在約一万三千人の人間と大体五万トンの船舶とを持
つておりますし、沿岸の各地に航路標識を
施設しております
関係から、これらに対しまする経理、補給
関係の
事務が、
仕事の性質上非常に複雑化しておるわけであります。このために今まで総務部にありましたこの部分をわけまして、新たに経理補給部を設置したい、こういうふうに
考えたわけであります。
またわが国は終戰以来、航空機の保有が禁ぜられておつたわけでございますが、沿岸の哨戒のために巡視船と協力してこれを併用いたしますと、
お互いに短を補
つて十分
業務の遂行が期せられるわけでありますので、この保有を希望して参つたのでございますが、
平和條約の効力が発するとともに、これらの実現を期したいというふうに
考えておりますので、この点につきまして必要な規定を加えたいというふうに
考えておる次第であります。
そのほか従来海上保安庁におきましては、次長と警備救難監相互間の権限がやや明確を欠いておつたところがございますので、その所掌
事務を改正いたしまして、英語を用いて失礼でありますが、アドミニストレーシヨンとオペレーシヨンの
二つのものにわけまして、この機能の調和をはかりたいというふうに
考えておるわけでございます。なおそのほかに御
承知の海難審判
理事官というものがございますが、この所掌
事務をこの特殊な性格に適しますように全国的に統轄せしめる機関といたしまして、海難審判
理事所というものを設置したいというように
考えております。
その次に海上警備隊について御説明申し上げたいと思うのであります。申すまでもなくわが国は海に取囲まれておりますので、海によ
つて生活する国民の数はきわめて多く、海運業あるいは水産業等は、わが国の主要な産業の分野とな
つておりますが、その半面におきまして海はわが国が外国と接触いたします唯一の場所であるのみならず、前大戰の結果、外国領土がわが国に非常に接近して参りましために、密輸、不法入国等により海上の秩序を乱されることはまた非常に多い。従いまして海上における人命、財産の安全を保護しまして、平和産業の発達に資しまするとともに、海上の治安を確立いたしまして、犯罪その他海上の秩序を乱すような
事態を予防いたしますことは、国家といたしまして果さなければならない任務だと
考えるのでございます。海上保安庁はかような責務を達成いたしますために設置せられまして、約四年た
つておりまするが、
平和條約の発効とともに、みずからの手によ
つて沿岸の水域における安全を期したいと
考えますので、これをいたしまするのには、海上において大きな災害等が起りましたときに、緊急に対処できますように訓練をいたしました機動力のある海上の予備勢力を持ちたいと
考えておるものでございます。このために海上警備隊というものを設置いたしまして、でき得る限り態勢を整えて行きたいと
考えております。この海上警備隊と申しますものは、海上における人命及び財産の保護並びに治安の確保のために、緊急の必要のあります場合において行動を行う機関でございまして、その任務は海上保安庁の所掌
事務の範囲内に限られておるのでございます。
海上警備隊は、その
内容を申し上げますと、総監部というものを中央に置きまして、二、三の
地方監部を現地に置きまして組織いたしたい、これは現在の海上保安庁の付属機関として設置したいと
考えておるものでございます。その職員の定員は六千三十八人ということに相な
つておりまして、海上警備官その他必要な職員を置きたいと
考えているわけでございます。海上警備隊の職員は、一般の行政機関に勤務する職員と異なりまして、職場は海上にあるわけでございますが、陸上の勤務者につきましても、原則として一定の宿舎に居住させたいというふうな勤務態勢をとりたいと思うのであります。また職員はその勤務の
状態から、ある
程度の年齢の制限もしたいと
考えておりまして、これらの特殊の條件に服するものでございますので、これを国家公務員法上の特別職といたしたいと
考えているのでございます。従いましてこの特別職のために、人事
管理に関する規定を法令の中に盛
つておるわけでございます。すなわち海上警備隊の職員の任命権者、欠格條項、階級、任用、敍級、分限、懲戒、服務等に関する規定を設けまして、職員の意に反する処分がありましたときは、またこれは公正審査会というものを設けまして審査請求の道を開く、こういうふうな規定を設けているのであります。
また海上警備官に対しましては、海上におきまする職務を執行する必要上、海上保安官に準じまして、立入り検査権、あるいは一部の武器の携帯及び使用を認めております。また同時に刑事訴訟法上のいわゆる緊急逮捕の権限もこれに與えているのでございます。職務遂行の万全を期したいために以上の措置をと
つておるのでございますが、なお海上警備官のうち、部内の秩序維持の職務に従事いたします者に対しましては、必要の限度の司法警察権を與えまして、海上警備隊の内部規律を維持して行きたいと
考えておるのであります
最後に海上警備隊の職員に対しましては、一般の国家公務員の例にならいまして、労働
関係の法規の適用を除外いたしまするとともに、その船舶につきましては、船舶の構造及び運航上の特殊性から、船舶安全法及び船舶職員法の適用を除外いたしまして、また移動無線局につきましても以上と同じような理由から、電波法の一部の適用を除外したいと
考えているものでございます。
以上が
海上保安庁法の一部を改正する法律案の提案理由の概略の説明であります。