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1952-03-29 第13回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十九日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 岡村利右衞門君    理事 黒澤富次郎君 理事 滿尾 君亮君    理事 淺沼稻次郎君       大澤嘉平治君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    關谷 勝利君       玉置 信一君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    前田  郁君       熊本 虎三君    柄澤登志子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      荒木茂久二君         海上保安庁長官 柳澤 米吉君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君 三月二十九日  委員江崎一治君辞任につき、その補欠として柄  澤登志子君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十八日  飯山、新井間鉄道敷設請願田中彰治君紹  介)(第一七五四号)  観光局設置に関する請願押谷富三紹介)(  第一七七三号)  向山駅を貨物取扱駅に昇格の請願山崎岩男君  紹介)(第一七九四号)  小型貨物自動車運送営業免許簡易化に関する  請願宮幡靖紹介)(第一八二一号)  同(青柳一郎紹介)(第一八二二号)  同(根本龍太郎紹介)(第一八二三号)  天塩沿岸鉄道敷設促進請願玉置信一君紹  介)(第一八二四号)  石城、高山間鉄道敷設請願高橋英吉君紹  介)(第一八二五号)  新潟県に日本海海運局設置に関する請願(渡邊  良夫君紹介)(第一八二六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  新線建設に関する件  海上保安庁法の一部改正に関し説明聴取     —————————————
  2. 岡村利右衞門

    ○岡村委員長 これより会議を開きます。  新線建設に関する件につき、調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。前田君。
  3. 前田郁

    前田(郁)委員 本日は国鉄総裁の御出席を得ましたので、この際新線建設に関連いたしまして、二、三の御質問をいたしたいと存じます。  最近自立経済達成のため、国土総合開発による国土有効利用、食糧、原料等自給度向上等が、重要なる国策として取上げられておるのでありますが、国土開発を促進し、かつまた経済活動の基盤をなすものは鉄道であります。戰後鉄道新線建設はまつたく停止せられ、昨年に至りようやくにして津軽、赤穂、窪川三線が建設されたという状態であります。これは戰争によつて荒廃に帰した国鉄を復興するために全力をあげ、他を顧みるの余力がなかつた事情から見やむを得なかつたのでありまするが、平和條約発効後の新事態に対処しまして、わが国の経済自立、文化の向上等をはかるためには、あらゆる困難を克服して、積極的に新線建設を行い、鉄道網の完成を期することが必要であるとわれわれは考えるのであります。しかも一方鉄道新線建設に対する要望は、今や国民の声であると言つてもさしつかえがないのであります。これは国会に対する請願陳情等によつても明らかであり、国鉄にも同様な陳情が多いのではないかと思われるのであります。この間の事情は、総裁におかれて十分御承知のことと存じます。かようなわけで鉄道新線について、二、三お尋ねいたしまして、今後の施策に資したいと考える次第であります。  まず第一に、鉄道新線建設計画は、どういう順序、過程を経て企画せられるかということについてお尋ねをいたしたいのであります。鉄道新線建設計画は、国鉄においていろいろなデータを基礎に勘案し、これを企画した後、運輸省許可申請を行い、運輸大臣はこれについて鉄道建設審議会諮問した上、その答申に基いて可否をきめるのか。それとも鉄道建設審議会において、運輸大臣諮問により、あるいは審議会独自の立場から、国鉄に対し所要の資料の提出を求め、それを参考として建設計画を具体的に立てて運輸大臣にこれを提出し、大臣国鉄にこれが建設を命ずるのか。大体こういつた二つの場合が考えられるのでありますが、このいずれであるか、お答えを願いたいのであります。
  4. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答え申し上げます。法律的なやかましい問題からいいますと、ただいま御質問がありましたように、国鉄認可申請運輸省に出しまして、運輸大臣はその認可申請に基いて審議会諮問をした上で、認可をきめるということもできると思います。また御承知のように運輸大臣がこういう線を建設するのがいい、それが公共利益に適合するものであるというふうに考えました場合に、審議会諮問した上、その建設を命令をするということも考えられるであろうと思います。しかしながら実際の事情といたしましては、そういう法律的なやかましい問題はともかくといたしまして、内々の話では、運輸大臣と私どものところとお互い研究をし合い、お互い資料も提出して、大体こんな線ではなかろうかというものを二、三なり四、五なり選びまして、それを審議会諮問した上できまるというのが、実際の行き方ではないかと思います。実際上におきましては両者唇歯、輔車の関係でありますから、円満に事を運ぶようにというのが本筋ではないかと考えております。
  5. 前田郁

    前田(郁)委員 次に昭和二十七年度の国鉄予算には、鉄道新線建設費として二十億円が計上せられておるのでありますが、この金額はどういう基礎、根拠から生れ出たのでありますか。すなわちA線何億、B線何億、C線何億というふうに、それぞれの建設予定線について建設費見積つた上、その総額を計上したものなのか、または来年度は大体何十キロぐらいな新線建設するとすれば、何億円は必要であるというような総括的な計算のもとに予算を要求し、予算額決定した後、その金額に応じて建設すべき路線を具体的に審議決定する方法をとつているのか、そのいずれでありますか。二十七年度の建設線は、鉄道建設審議会答申を待つて決定されるかに聞いておるのでありますが、この決定はただいまお尋ねいたしました二つの場合のいずれによるものであるか、この点をはつきりお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  6. 長崎惣之助

    長崎説明員 御承知のようにかつて鉄道省時代におきましては、建設費継続費でございまして、何線々々というふうに大体の線がきまつて予算が盛られております。しかし今回の場合におきましては、それが決定に至らずして、大体どのくらいの線路というような予想で、金額をまず見積りましたこれは財政上の都合もいろいろあつたようでございますが、そういうようなわけで内容たる線路決定にはまだ至つておりません。
  7. 前田郁

    前田(郁)委員 次に鉄道敷設法の趣旨によりますれば、国に必要な鉄道日本国有鉄道が敷設することになつておるのでありますが、この使命を果すため、国鉄が国としての交通政策上みずから進んで建設すべきであると考え、また建設したいと考え路線があるかどうか。私にはどうも国鉄当局には独立採算制に拘泥するのあまり、公共性というものを忘却している傾向があるのではないかと考えられるのであります。国鉄は公社となつてから、事ごと独立採算制を云々するようでありますが、独算制ということは何も今に始まつたことではないと考えるのであります。かつてつていた特別会計の制度がりつぱな独算制であつたことは国鉄の経営について長い経験と卓越した識見をお持ちになつている長崎総裁の言に徴しても明らかであります。特別会計制において行い得たことが、独立採算制において困難である。換言すれば独算制をとるがゆえに、採算のとれる路線でなければ建設を回避するというような態度、方針には、われわれは承服いたしかねるのであります。国の交通政策遂行上ないしは地方開発建設すべきであるという路線が、国鉄としての立場から当然あつてしかるべきであると考えるのでありますが、この点について総被はいかようにお考えになつておりますか、所信をお伺いいたしたいのであります。
  8. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま御質問がございましたように、公共企業体になりました結果独算制ということが強く強調されまして、その結果とかく公共性を忘却するというような種々の御非難がございますことも承つております。しかしながら国有鉄道といたしましては、決してさような考えを持つておりません。なるほど一本の線路をとりますと、あるいは必ずしも採算のとれないものもあると存じます。しかしながら国有鉄道独算制というものは、そういう一本の線についてだけやつておるのではないのでありまして、私は全体としに収支の適合をはからなければならないものである、これは忘却することはできないと存じます。しかしながら個々の線路につきましては、必ずしもそれに拘泥することなく、国家公共利益、ことに再建日本自立建設というような面におきまして、必要欠くべからざるものは、ある場合においてはそろばんのけたをはずしてまでも、やらなければならぬ場合があると存じます。従いましてこの敷設法その他につきましても、現在の敷設法によりまする線路だけでもずいぶん多数に上つておりまして、今日まだ建設の域に達していないところがたくさんございますので、新しい線路敷設法別表に載せるかどうかということは、よほど慎重を期さなければならないと存じます。しかしながら敷設法というものは、戰争年にできたものでございますから、戦後の事情その他をとくと勘案して彼此権衡を失しないようになすべきものであると私は考えております。
  9. 前田郁

    前田(郁)委員 第二に、現在国鉄において鉄道新線建設を担当している部局はどこであるか。またその部局技師長との関係はどうなつておるかということについてお伺いいたしたいのでありますが、国鉄事務分掌規程を見ますと、「運輸線局においては鉄道事業及びそれに関する連絡船事業旅客及び貨物輸送並びに施設及び車両に関する事務をつかさどる」とありまして、総局内の施設局では、線路建設物電力施設及び固定機械施設建設改良、保存及び管理に関することをつかさどる」とになつておるようであります。また技師長の職責は、新線建設、大改良鉄道電化電源開発等の基本的な調査を行うことになつております。新線建設に開する経済調査は除かれているようであります。以上によりますと、運輸総局のおもな業務は、旅客及び貨物輸送であるようでありまして、総局内の施設局仕事は、輸送に必要な車両及び諸施設建設改良等と解釈せられるのであります。ここでお尋ねいたしたいのは、この建設の中に新線建設ということが含まれているかどうかということであります。一応新線建設ということも含まれているように思われるのでありますが、そうなりますと、技師長との関係はどういうことになりますか。技師長の方には新線建設はつきりうたつてあるのであますが、新線建設基本的調査だけ行つているのか、さらに進んでその調査に基いて具体的な計画、すなわち路線の選定とか、建設費の見積りとか、その他施工上必要なあらゆる事項とか、そういつた計画まで立てるのでありますか。また新線建設に必要な経済調査はどこでやるのか。営業局地方機関たる営業事務所等でやらせるのか。この点についても御説明願いたいのであります。
  10. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいままでの実情を申し上げますと、建設技術的調査技師長のところにおいてやらせております。それから営業方面調査は、地方にございます営業事務所を通じまして、営業局がこれをいたしております。それから実際の工事の施行は、地方にございます工事事務所がこれをいたしております。今後においても、当分の間はそういうやり方で、地方工事事務所というものは私に直属いたしておりますから、これはそれで行けるのじやないかと考えております。今後の推移によりましては、あるいは建設線というものを担当する部局を設けなければならぬような事態になるかもしれませんが、今日においてはまずまずそれでやつて行けるのじやないかと考えております。
  11. 前田郁

    前田(郁)委員 運輸総局施設局分掌事務中に、新線建設ということが含まれているといたしまして、施設局には線路建設物の保守とか、電化関係仕事とか、その他重要な任務があるようでありますが、新線建設というような大事業を専任するのではなくして、今後支障なくやつて行くだけの能力と自信とがあるかどうか。戰後新線建設がほとんど停止状態にあつたのでありますが、今後は積極的にこの事業をやつて行かなければならない情勢にあるのであります。従つて現在のような片手間片手間と言うてはあるいは語弊があるかもしれませんが、主なる業務でなくして、今後遺憾なきを期し得るかどうか、総裁所信をお伺いいたしたい。  なおそれに関連いたしましてお伺いいしたいのは、国鉄部内に新しく新建設関係仕事を専門的にやらせるために、建設局というような局を設ける意思がおありになるかどうか。また今後積極的に建設という事業を進めて行くためには、かかる局を設ける必要があるとお認めになるかどうか、さらにまた国鉄以外に、政府機関として鉄道建設局というような特設機関、あるいは特殊会社として鉄道建設会社というような会社を設けることについてはどういうふうにお考えになつておるか、あわせてお伺いをいたしたいと思う次第であります。
  12. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほども申しましたように、ただいま程度建設線でございますれば、現在の機構をもつてしても十分に責務を果して参れると存じております。しかしながら今後の推移によりましては、また同時に行政機構簡素化というような面、それらともよくにらみ合せまして、新線建設に遺憾なきを期したいと思つております。今日におきましては、繰返して申しますが、現在の機構で十分間に合うつもりでおります。
  13. 前田郁

    前田(郁)委員 最後お尋ねいたしたいと存じますが、建設予定線についてであります。鉄道敷設法別表に掲げてある建設予定線は、戰前の政治的、経済的事情に基いて決定されたものと考えるのでありますが、戦後の新しい諸情勢に基いて、これに再検討、再吟味を加え、必要と認められるものを新たに追加する御意思があるかどうか。政府当局並びに総裁所信をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。
  14. 長崎惣之助

    長崎説明員 私、国有鉄道総裁立場で申し上げます。お説のように現在敷設法にございます線路というものは、戰争前の状態に基いてこれを選定されたものでございます。従いましてこれにあるいは改善を加えるという必要があるやにも存じます。しかしながら敷設法路線につきましては、私ども常時調査研究を怠らないところでございまして、これを建設いたしますについての前後というようなものについては、しよつちゆう関心を持つておるのでございます。しかしながら現在ございまする線に優先して、さらに早く着手しなければならないというものがあります場合におきましては、これは敷設法に追加をいたしましてただちに着手する。しかしながら全般的に現在ございますような網のようなものをつくるということではございません。必要に応じて追加して、優先的に借手すればいいのじやないか、かように考えております。
  15. 村上義一

    村上国務大臣 予定線は御承知通り鉄道敷設法別表に掲記されております。ずいぶん古く決定されました。その後数回にわたつて補正をされておるのであります。しかしながら十六年か十七年を最後として、その後は補正もされておらない。その後客観情勢の変化に基きまして、相当是正を要するものもあると思うのであります。しかしながら今これを簡單補正するということは、諸般の事情を勘案してみますと、非常にむつかしいことだと考えます。運輸大臣といたしましては、まずもつて建設審議会諮問をいたしまして、昨年八月、御承知と存じますが、鉄道建設線の意義、これらの点についての文句は今記憶いたしませんが、諮問第一号を提出して、御審議を願つておるような次第であります。鉄道建設審議会の御意見を尊重して善処したい、こう考えておる次第であります。なおただいま国鉄総裁が申された通り、今日の客観情勢にかんがみまして、敷設法別表にあります予定線以外に、ぜひ急速敷設を要するものありとする審議会の御意見でありますれば、これまた運輸大臣としては十分尊重したいというふうに考えておる次第であります。
  16. 前田郁

    前田(郁)委員 ただいまの国鉄総裁運輸大臣お話で大体わかりました。ただいま国鉄総裁お話の中に、今後の新線建設はなるべく運輸当局国鉄当局が話合いをし、それを鉄道新線建設審議会の方へ出して御協議を願うということが、実際のことではなかろうかというお話がございまして、これはまことにけつこうなことであると思うのであります。そこで私がお願いをいたしたいことは、資料大分いろいろ審議会の方に出ておるようでありますが、未成線が大体四十八、九線、それから計画線として、重要なる線をあげられたものだと思いますが、十七、八線くらいをお出しになつているようでございます。それで二十億の金で全部を実施するということはまことに困難なことではございますなれども、ただ今まで技術上の関係未成線のみに力を入れておつて、実際今日のこの戰後の諸情勢にかんがみて、相当必要ないわゆる未成線以外の路線があるわけでありますので、その点を重視していただきまして、未成線だけでなく、未成線以外のそういう計画線も一緒に入れて十分に議を練つていただいて、建設審議会の方へおまわしを願いたい、これは私の私見でございますけれども、そういうことを御希望申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  17. 坪内八郎

    坪内委員 鉄道新線建設についてただいま前田委員よりいろいろお尋ねがございまして、総裁並びに大臣からそれぞれ御答弁がございましたが、この際私は根本的な問題につきまして、二、三運輸大臣並びに国鉄総裁お尋ね申し上げておきたいと思います。  この鉄道新線建設の問題は、実に深刻にわれわれが考えている問題でございまして、常に問題になつて来たのでございます。しかるにこの二十七年度からは二十億の予算をもつて新線建設に当るということで、これまた全国的に大きな反響を呼んでいることは、すでに御承知通りであります。そこでわれわれ自由党といたしましても、また当委員会といたしましても、かくのごとき二十億くらいの予算ではどうにもならない、当初この二十七年度から少くとも百億くらいは予算を計上して、積極的にこういつた面に力こぶを入れてやるというような考え方で進んだのでありますけれども予算編成におきまして、大蔵省あるいは安本その他のいろいろな関係から、遂にこういつたわれわれの目から見ますとまことに少額な予算になつてしまつて、現在では二十億ということになつた。そこでわれわれ当委員会並びに党全体の空気といたしましても、あるいはわが党の政調におきましても、あるいはわが党の総務会におきましても、近き将来においてこれは何とかしなくてはならないという声が横溢しておることは事実でございます。そこで当委員会滿尾委員なんかも中心となりまして、われわれはこの際さらに従来と違つた積極的な鉄道建設決議案を出そう、しかも積極的に予算を盛り込んだ内容にしようじやないかということで案文を練つて政調でも数回となくそういつた面検討いたしたのでありますけれども、たまたま現在二十七年度予算審議中であるので、そういつた予算の修正を行うような決議案内容では困るというような、いろいろ傾聽に値する意見も出まして、目下そういう点については十分検討中なのであります。そういつた党内事情でもありますし、この問題につきましてはぜひともひとつわれわれはこの際、もう少し積極的に考え方を改めて再認識して進まなくてはならぬというような党内事情でもあるので、将来この鉄道建設予算が増額され、さらにまた鉄道公債の問題でもさようでございますが、この問題が考えられた場合に、運輸大臣並びに国鉄難は、われわれが考えておるようなこういう問題と相当意見が違つて来るということを懸念もするし、あるいはわれわれが考えておるようなそういつた線にまつたく同感で進むのだということになりますのやら、その点を一応大臣並びに国鉄総裁から伺いまして、あと二、三お尋ねいたしたいのであります。従つて私がお尋ねするのは、われわれ深刻に考えている鉄道新線建設の問題につきましては、ぜひとも予算を増額させてやりたいということになりますので、近き将来においてそういつた段階に到達した場合に、運輸大臣国鉄総裁との意見が食い違うというようなことになりますと困りますので、そういつた基本的な問題について、簡單でよろしゆうございますからひとつ所見を伺つておきたいと思います。
  18. 村上義一

    村上国務大臣 鉄道建設費は二十七年度は二十億円ということに相なつておりますので、現在それを前提として準備を進めているような次第であります。しかしながら今お話のごとく、建設費予算がふえて、さらに積極的に進むということに決定せられれば、それに順応して最善を差したいと考えております。
  19. 坪内八郎

    坪内委員 国鉄総裁も同意見でございますか。
  20. 長崎惣之助

    長崎説明員 まつたく大臣と同じであります。
  21. 坪内八郎

    坪内委員 そこで次の問題は、同僚前田委員よりもお話があつたのですが、現在の二十億の新線建設予算は、この新線建設仕事の面においては現在の持駒で十分だというような総裁お話がありましたが、それはどの程度のものであるか、二十億なら大体現在の持駒でよろしい、しかしこれがかりに五十億、百億となつた場合はその持駒をオーバーして、いわゆる技師長室の強化とか、あるいは建設局の増設とかいうようなものも考えられるでありましようけれども、二十億程度で現在十分であるというお話であるが、かりにこれが五十億、百億になつた場合にはどういうことになるのか、その点ひとつ国鉄総裁にお伺いしたい。
  22. 長崎惣之助

    長崎説明員 人の能力の問題でございますが、これは数字だけで二十億だからこうだ、三十億ならどうなるか、三十五億ならどうなるかというようなこまかい比較はなかなかむずかしい問題でございますが、二十億のものが百億ということになりましたら、これはよほど考えなければならぬ問題であろうと考えます。
  23. 坪内八郎

    坪内委員 私がお尋ねするのは、二十七年度の予算が二十億だから、二十億ぐらいのものは現在の持駒でいいというのだけれども、かりにこれが五十億になつた場合でも現在の持駒でいいのかどうか、その点を伺いたいのです。
  24. 長崎惣之助

    長崎説明員 そこらになるとなかなか判断がむずかしいところであります。おそらく今の倍になりますので多少人員の建直しをしなくてはならぬかと存じますが、といつて新しい部局でも設けるということになりますと、これはよほど考えなければならぬと思います。
  25. 坪内八郎

    坪内委員 その点は、運輸大臣初め国鉄総裁はその道のエキスパートでございますので、慎重を期してやつていただくことと思うのでございますが、先ほど私が申し上げました通り、これは單なるわれわれのゼスチユアではなくて、将来どうしてもこの鉄道建設ということについては党をあげて全力を注ぎ、あらゆる困難を克服して実現に邁進したい、かように決意いたしておりますので、そういつた心構えを十分いたしていただきたいということを要望しておきます。  次に出先管理局並び営業所関係の関連についてお尋ねいたします。すでに新聞その他で御承知通り、近く総選挙が行われるということになりますと、この新線建設関係につきましても、選挙地盤関係その他から、いろいろと複雑な様相を呈して参りますので、特に注意を拂つてもらわなければならぬことは、従来の例からいたしましても、管理局あるいは出先営業所あたりが、国鉄首脳部あるいは中央の運輸省、あるいは党の関係、当委員会関係などの動きというものをあまり考慮に入れないで、地元の関係者とそういつた新線建設の問題あるいは国鉄所管の問題について、出過ぎたやり方をすることが往々あつた。一昨年も鹿児島でそういう問題が起きてこれが大きな問題になりましたが、こういつた情勢下にありますので、そういつた新線計画のこの線は取上げるのだ、あるいはこの線は大体こういうことになるだろうということについて、役所部内でいろいろと研究されることは自由でありましようが、そういう問題は政治的にも非常に微妙な関係があるので、将来慎んでいただきたい、かように考えておりますので、そういう点に国鉄総裁は十分ひとつ監視をしていただいて、行き過ぎのないように要望を申し上げる次第でございますが、この点について総裁意見を一言聞いておきたいと思います。
  26. 長崎惣之助

    長崎説明員 管理局におきまして新線建設決定権があるわけでもございません。また営業事務所におきましても、基礎的な調査はいたしますけれども新線建設のどこをやるかというようなことについての決定権はごうまつもないのであります。従いまして調査その他に関連いたしまして、往々にしてあるいは誤解を招くようなことがあるかも存じませんが、これは嚴に慎まなければならぬことでございます。新線建設運輸大臣認可にかかつておるのでありまして、しかもこれは新線建設審議会諮問の上に初めて決定される問題でございますから、もしそういう誤解を生ずるようなおそれがありますと、私どもといたしましてははなはだ困りますから、今後におきましても調査はいたしますが、そういう決定の問題に向つて何か示唆を與えるような行動ないしは言説がございますれば、これは嚴に戒めなければならぬと思います。しかも管理局あるいは営業事務所は、一地方事情がわかるだけでありまして、全国的にいずれを建設すべきやというような問題はわかつておらないはずでございますから、もし誤解がありますればそれは一掃することに努力いたしたいと思います。
  27. 坪内八郎

    坪内委員 総裁お話なつたことは私は百も承知であります。そういつた新線建設の取上げ方がどういつた段階で採択されるかということは十分に承知しておるのでありまして、その点を私が言つたのではない。私が申しましたのは、かつてもそういつた事実があつたから、局長会議とか営業所会議その他のときに、そういう点は嚴に愼んでもらいたいということを申し上げたのであります。その点はそれで了承いたします。  さらに最後に——あと二点ばかりでございます。先ほど前田委員からもお話でございましたが、どの線を取上げるかということにつきましては、それぞれ運輸審議会なり、あるいは国鉄なり、あるいは運輸大臣なり、そういつた関係の機関に諮つて、適正に妥当な線が出ると思うのでありますけれども、この新線を取上げることについては、これはあらゆる面に非常に大きな影響がございますので、国鉄といたしましてはほんとうに国鉄運営の面から、あるいは独立採算の面から、あるいは公共性の面から、あらゆる角度から愼重に検討されて話を進め、あるいは計画を立もて行かれることは申すまでもないことでございますが、われわれの政治的感覚から言いますと、おそらく血の両を降らさなければならぬというような事態も生じて来るのではないかと思うのでございます。従つて党内の意向とかそういつた点につきましても、国鉄側では嚴然として信ずるところに向つて、その取捨選択に慎重を期さなければならぬということを考えておりますので、この点は申すまでもないことでありますけれども、そういう点は断固たる決意をもつて、あらゆる全国の路線については愼重にひとつ臨んでもらいたいということを御要望申し上げるのでありまして、この点についての要望には御答弁はいりません。  次に運輸大臣と、これまた総裁にお伺いしたいのでありますが、すでに御承知通り来月の中旬ごろを期して、いよいよ日本が独立するということに相なりまして、新聞その他でもうすでに発表になつておりますように、米国の駐屯軍が、現在の占領下と違つた様相で軍港ができるとか、あるいは軍事基地というほどでもありませんが、そういつた米軍の根拠地がそれぞれ定まつたようであります。これに伴いまして、国鉄運営の上にこれと関連して何かの影響、支障があるのか、あるいはかつて考え方のように優先的に取扱われるような状態にあるのかという点についてお伺いいたし、さらにまた運輸大臣にはそれと関連して国内の運輸行政について、独立後に米軍の駐屯関係のそういつた場所、これは港湾とかいろいろな関係もありますが、そういう点において何か影響があるのかというようなことについて所見を伺つて、さらに質問を続けたいと思います。
  28. 滿尾君亮

    滿尾委員 建設線につきまして関連質問を若干申し上げたいと思います。第一に国鉄総裁に御答弁をお願いしたいのですが、国鉄建設線に関し、その建設費を捻出する方法が大体三つあると思うのです。鉄道の益金と鉄道の債券と財政資金、そのほかにもしございましたら教えていただきたい。本年度の二十億の議論はまずさておきまして、総裁は、将来にわたりまして国鉄建設費というものはいかなる方法によつてまかなうのが最も妥当であり、またどういう方向に持つて行きたいというふうにお考えになつておるか、そのお考えをお知らせいただきたい。
  29. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答え申し上げます。建設の資金を何によつて調達するかという御質問のように承りました。これは抽象的に考えますと、ただいま滿尾委員から申されましたように、自己資金によるか、借入金によるか、この二つの道しか方法はないと私は思います。しかしそれでは答えにならぬのでありまして、実際問題として、近き将来において自己資金によることがでさるのかというのが、御質問の御趣意ではないかと存じます。これはもう私が申し上げるまでもなく、滿尾委員においてよく御承知通り、今日の国鉄の財政状態は決して裕福ではないのでありまして、過日来運輸大臣からもるる申されております通り、取替あるいは減価償却というものさえもきわめて不十分である。いわんや戰時中並びに戰後における施設改善なり、保守なりの面においての欠陷がある。まずそのことをやらなければならぬ。これは借入れによらずして、できるならば自己資金でやりたいという状況でございますから、現在の状況より推しまして、近き将来において自己資金をもつて建設費をまかなうといいことは、なかなか困難な状態であろうと私は思つております。
  30. 滿尾君亮

    滿尾委員 益金による方法がむずかしいという事情は私も了承しておるのでありますが、問題は借入金のうちで鉄道債券というものと、一般会計からする財政資金というようなものとの考え方によるのであります。本年度につきましては、鉄道債券の発行が認められなかつた。実は先般大蔵大臣に当委員会に来ていただいて、その考えもただしたのでありますけれども、大蔵大臣考えの角度からする鉄道債券の見方と、国鉄総裁のお考えになつている鉄道債券の見方というものについて私はお考えを伺いたい。本年度の二十億には鉄道債券は間に合わなかつた。しかし来年なり再来年なり、近き将来において、鉄道債券というものを総裁はどういうふうに考えておられるか、お考えを承りたい。
  31. 長崎惣之助

    長崎説明員 鉄道債券を発行したいという希望は、私は今日もなお捨てておりません。しかしながら債券を発行できるかどうかということは、これはまつたく国有鉄道の運営という面だけから見るわけには行かないのでありまして、国の財政、金融の情勢というようなものもございましようし、これはやはり私としては大蔵大臣に御意見を伺わなければならない立場でありまして、いわゆる鉄道屋としては何とかやつて行けるとしても、財政、金融の面において、まつたく私は無知な者でございますから、やはりこれは大蔵大臣の御意見を伺わなければならぬ、今後においても私は同様に考えております。
  32. 滿尾君亮

    滿尾委員 建設線の収益性という問題とからんで来るのでありますが、実はかつて国有鉄道は年に三百キロくらいずつずつと建設しておつた歴史がある。五千万円くらいの公債を発行して、建設して行つた。それらの時期においても、建設線というものは決して収益的な線路ではなかつた。総裁のせんだつてお話のように、もちろん鉄道の収益性というものはきわめて短い時間をもつて論ずべきではない。ことに新線のごときは、最初に多額の資金を投下して、長い間かかつて漸次その線の収益性をつけて来るわけでございますから、これを短時間に見るのは間違いである。しかしながら同じ不採算程度にしても、今日の物価の値上り、また近き将来に予想せられる建設線経済的性格とにらみ合せて、かつて建設線と今日の建設線と比べて、特に今日考えられているものが不採算程度が高いとお考えになつているかどうか。私もその技術的な見当がよくつかないのでありますが、工事費の増加と収益性との関係ということは、どういうふうに考えておられるか、お伺いしておきたい。
  33. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御質問は、非常にむずかしい御質問でございますが、これは過去の物価とか運賃とかいうものの当時の一般物価に対する比較の問題もございましようし、ただ現在の運賃をもつて過去と比較することは、私は非常に困難ではないかと思います。従いまして、結局これは出て来る物量というものから考えなければなりませんでしようが、その物量にいたしましても、木材と鉱石とをどう比較するか、いろいろ私はむずかしい問題が出て来ると思います。ただ今日の運賃をもつていたしますれば、過去のものよりも私は採算がずつと悪くなつておるのではないかと考えております。
  34. 滿尾君亮

    滿尾委員 今日考えられる新線は、さらに不採算程度が高いものになつておるというお話でありますが、どうしてもこの鉄道債券の線へ持つて行かなければならない。同じ外部の資力によるとしても、財政資金をつぎ込んで行くということは、やはり一時の変態であつて鉄道立場から考えれば鉄道債券の線を確保しなければならぬ。ただいまの総裁の御答弁は、財政及び金融の問題については大蔵大臣にまかせるというお話でありましたけれども、それでは非常に残念なのでありまして、私はこの間大蔵大臣にも、いろいろ市立病院のベツドをふやすために起債を認めておる、ところがその町の人に言わせれば、水道や病院よりも先に鉄道に手をつけてもらいたいという要望の方が強いわけであります。それにもかかわらず鉄道の起債を一切認めぬということは、はなはだ不都合だというお話をしたのでありますが、総裁におかれまして鉄道債券に一段の熱意を示していただかなければ、この建設費の問題というものは好転しない。従つて私は鉄道債券に関する総裁の熱情を非常に期待してやまないのであります。  そこで建設のやり方の問題でありますが、工事計画性がなければならぬ。年々コンスタントの分量を建設して行くことが、国鉄にとつて望ましいのではないかと思うのであります。予算の立て方もこのごろは継続費というものがなくなつたかつこうになつておりますけれども、これはどうしても事柄の性格から見て、三年なり五年なりの継続費仕事をして行かなければならぬと思うのでありますが、こういう面については、今後どういうやり方をせられるお考えであるか、お伺いしておきたい。
  35. 長崎惣之助

    長崎説明員 鉄道債券に対する熱情を燃やせというお話しでありますが、これが私だけの力ではなかなか困難でありますので、滿尾委員を初め国会の皆さんの御賛同を得ますれば、ぜひひとつしり押しをしていただいて、すみやかなときに実現できるように、私ももとより大いに努力いたしますが、いろいろお知惠なり、お力を借りまして、目的の達成に邁進したいと存じます。  予算の立て方の問題でございますが、まつたく私は滿尾委員と同感でございまして、かつてございましたような三年なり五年なりの建設費という面に持つて行きたい、そうして仕事計画性を與えたいという点はまつたく同感でございます。これまたその実現方について一段と努力を拂つて参りたいと存じます。
  36. 滿尾君亮

    滿尾委員 次に新線建設仕事の運び方の問題でございますが、日本国有鉄道法によりますと、新線建設のイニシアチーブは現行法に関する限り国鉄総裁にもつばら存する、運輸大臣の側にはこれはない、私はかように解釈する。しかしてこの新線建設審議会にかけるという段階がある。これにつきましても国鉄総裁が候補線を選定して、大臣に許可を申請せられる。そうして運輸大臣はその申請を許可するにあたつて審議会諮問せられるということが敷設法に書いてある。そこで実際はどういうふうに動いているのか。少くとも今年度の二十億については立往生しているようなかつこうで、われわれはなはだ遺憾に思つているのであります。国鉄総裁は二十億の予算を片方に計上しておられますが、二十億に該当する新線研究せられて、案を具して運輸大臣に御申請になつているかどうか。私はかようなプロセスをとることが正しいと信じておりますけれども、どういう御見解であるか伺つておきたい。
  37. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど前田委員からも同様の趣旨の御質問がございました。それに対してお答え申し上げたいと思います。法律に書いてありますること、あるいは規則に書いてありますることはいかような解釈に相なりますか、私はその方の権威ではありませんけれども、御説のように私の方から運輸大臣認可申請をいたしまして、しかる上にこれを鉄道建設審議会にかけて認可するという手だてもございます。しかし一方において、運輸大臣公共利益から見まして、この線路をぜひ建設しなければならぬという御見解であられますときには、その命も私は受けますが、そういうやかましいことはともかくといたしまして、やはり運輸大臣認可がなければこの建設ができない、また私の方から認可の申請をしなければできない、審議会審議もいるという、三位一体のようなかつこうになつております。しかもその間においてさらに大事なことは、運輸大臣と私の方との連絡の問題であると思います。従いましてこれは運輸大臣とよく協議をした上で、案を具して審議会にかけて、しかして認可申請をして許可され、執行して行くというふうなことであります。今年度の予算は、実は線路はまだきまつておりません。およそどのくらいというようなことでありまして、内容はまだきまつておりません。
  38. 滿尾君亮

    滿尾委員 今年度の問題は、予算のきまり方等いろいろな事情がありましたから、私は本年度の問題をあまり具体的に追究するのはお気の毒だと思いますので、追究いたさないことにいたします。しかし日本国有鉄道法の定めるところ、これから年々歳々の新線建設事務の取運びというものに、一つの定型を與えなければいけないと思う。私の考えでは、国鉄総裁が案をつくる、その案に基いて予算を計上する、そうして大臣に許可を申請する、その申請のあつたところで、大臣建設審議会にこれを諮問して許否を決する。これが一つの型であり、原則であろうと思う。してみれば、大体来年度の予算編成は何月ごろに終り、何月までくらいに大体国鉄総裁は原案をきめ、大臣には何月ごろに申請するか、また従つて大臣はそれについて建設審議会をいつごろ開いて、いつまでには大体目鼻をつけるのだというふうな、  一つの定型ができなければならぬと思うのでありまするが、さような慣行をおつくりになる御意思が、大臣並びに総裁にあるかどうかお伺いしたい。
  39. 長崎惣之助

    長崎説明員 これは大臣の御意思にもよりますが、私の希望的な一つの見解を申し上げますと、ただいま滿尾委員からお話がございましたように、今年度はいろいろな特殊な事情もあつたのでありますが、来年度以降におきましては、やはりかりに現在の二十億なり、三十億なりというものが、おそらく本年の二十億は来年は倍くらいになるのではないかと思います。その上になおさらに若干の新線がやり得るというような場合におきましては、予算編成の際にあたりまして、およそこの線というようなことは腹づもりできまるのではないかと思います。けれどもこれはただこちらの予定でございまして、それがすぐ認可申請ではないと私は思います。やはり実際にその線路建設に着手する場合に、初めていろいろな設計を付して認可申請をすることになるのではないかと思いますので、それらとこの予算内容たるおよその予定というものは、非常に違つているのではないかと思います。従いまして予算を編成すること、即それが認可申請であるとは私は考えておりません。
  40. 玉置信一

    玉置(信)委員 関連して伺いますが、私のお伺いしようと思つた一部は、ただいま滿尾委員よりの質疑及び答弁によつて了承いたしましたが、実は予算審議の際に運輸大臣並びに国鉄総裁意見を申し述べ、その当時御答弁をいただいたことについて、さらに本日確認をいたしたいという意味において、次のことをお伺いいたしてみたいと思います。  それは二十七年度の新線計画は、予算二十億を基礎として一応予定候補線をきめられておるようでありますが、ただいま総裁の御答弁によりますと、まあこの程度にということで、大まかなものをそこへ取入れておるやに伺つたのでありますが、そこでこの前申し上げましたように、新線建設に際しまして、戰争中に線を取りはずした、あるいは路面ができておつたというようなものを、第一順位にして申請にとりかかるというふうに伺つたのであります。しかしこの前も申し上げましたように、戰前と違いまして敗戰後の現在におきましては、いわゆる公共利益の面、それから国としての産業開発の面を総合した部面から、新線はとりかからなければならぬものであるという信念を持つているものでありますが、この点に関しましては、大臣ももとよりそうした従来考えておつたような順位においてやるのではない。時代に即応し、現下の国内情勢あるいはその他を勘案してやるのだというような御答弁をいただいたのでありますが、仄聞するところによりますと、二十億円を基礎とした二十七年度新線計画は、依然として前段申し上げましたごとき順位をもつて、候補線をきめられておるということであります。そうなりますと、この前大臣並びに国鉄総裁の御答弁なさつたことが、徹底していないように思うのでありますが、今日なお大臣並びに国鉄総裁は、この前御答弁になりました基本的考えに変更はないものであるかどうか、この点をこの機会にあらためてお伺いしておきたいと思います。
  41. 村上義一

    村上国務大臣 建設費金額にもよりますけれども、とにかく帝国議会当時に予算を付して当時の衆議院、貴族院を通過しておりますいわゆる建設線、これを尊重しなければならないことはもちろん当然のことだと思つております。この線も先刻お話がありましたことく、相当多数に上つておるのであります。すでに着手した線だけでも相当数に相なつております。これらを再び着工するというためには、二十億ではその金額が僅少である感を深くするのであります。そういう次第でありますが、しかし建設線以外の予定線中にも、現在着手しております線以上に、あるいは同等に緊要性のある路線がありとしまするならば、これは考えなければならぬと思うのであります。また予定線にも入つていないという路線でも、今日の日本の客観情勢上、考慮する必要があるという線がありますれば、もとよりそういう線はきわめて僅少だと信じますが、やはりこれは例外として考慮をして行かなければならぬと思うのであります。以前に申し述べました考えと基本的考えは少しもかわつておりません。
  42. 玉置信一

    玉置(信)委員 ただいまの運輸大臣の御答弁は一貫しておりますので、非常に満足いたしております。そこで先ほど申し上げましたように、二十七年度予算二十億円をもつて着工せんとする今年度の候補地は、仄聞しますとなるべく金のかからないということに考慮を拂われているように伺つているわけであります。もとよりコーポレーシヨンという建前上、そうあるべきでありますけれども、私の申し上げることと大臣の御答弁とはまつたく一致しておりますので、現在候補地としてあげられている面において、浮来もちろん審議会において審議の結果によるという御答弁をいただくだろうとは思いますけれども、その点は原案作成の面において固執しないで、現下の国内の治安、あるいは産業開発、その他あらゆる事情を勘案して取捨選択されるべきものであつて、原案として出したものは変更しないのだというようなことのないように行くべきであると思うのでありますが、国鉄総裁はこれに対していかようにお考えになりますか、あらためてお伺いしておきたいと思います。
  43. 長崎惣之助

    長崎説明員 原案々々ということを申されますが、その原案というのは、さつきからの議論で、運輸省がお出しになるのか私が出すのか、よくわからないのですが、私の知つている範囲においては、まだ原案もできておらないはずでありますから、できておらない原案を固執するということはございません。玉置委員の仰せになりました御意見、その他の各委員の御意見も十分に尊重いたしまして、私ども審議に当りたい、かように考えております。
  44. 玉置信一

    玉置(信)委員 私の仄聞したことに反しまして、まだ原案ができていないということはきわめて幸いでありますので、どうかただいまの国鉄総裁の御答弁の方向に向つて善処されんことを要望いたしまして、私の質問を打切ります。
  45. 滿尾君亮

    滿尾委員 私の質問したことに対して、大臣は答弁しないで行かれてしまつた。従つて私は大臣の帰るまでその事項を保留します。私の言いたいことは、結局国鉄新線事務を処理する上において、運輸省の方においても、国鉄総裁の御答弁の節々にも、また委員側におきましても、どうも思想の混乱がある。これをすつきりさせませんと、みんなが非常に真劍な問題だけに、いたずらなる紛議が起る。従つてこれから年々歳々のことでありますから、これは一つの方式といいますか、大綱をどうしてもつくつておかなければならぬということで、大臣の見解を求めたいのでありますが、これはお見えになりました上でお尋ねすることにいたしまして、次の問題に移ります。  先ほど建設局をつくつたらどうかという同僚委員からの御意見に対しまして、総裁の御答弁は、量の問題であるという御答弁でありました。確かに量の問題でもあります。ただいまの二十億という額はわずかでございますから、結局設ける必要はないという御見解も成り立つ。私はこの問題を申します前提といたしまして、実は国務総裁鉄道の日常の運営をやられるためにいかなる機構をもつておやりになるかは、これはまつたく総裁の責任でございますから、私自身としては内部機構についてとやかく御注文申し上げるような意向は持つておらないのであります。これは総裁がすきなようにやられて、その結論をわれわれはいいとか悪いとか言えばいいのであります。     〔委員長退席、黒澤委員長代理着席〕 しかしこの建設を担当する部局は、日常のルーテイン・ビジネスではなくて、まつたく政治的性格を持つている部局でございますから、他の国鉄の内部機構とは多少性格を異にしている。従つて建設局に対する限り、われわれ国会側からいろいろ御注文なり御希望なり申し上げて一向さしつかえなかろうと考えて、この説をなすわけであります。私は建設局は量だけの問題ではない。量は二十億——今の金の二十億は微々たる金でございますが、まあそれはよろしい。しかしながら別な角度から申しますと、かような政治的性格を持つている、国鉄全体の中で最も政治的性格の濃厚な一つの焦点でございますが、この点に対しまして責任を明確にするという意味におきましても、金額はわずかであつても、やはり一部局をお設けになる必要があるのではなかろうか。特に国会その他あるいは地方陳情、政治的な接触がふえて来る。そうするとこれは内部機構だからというふうに簡單考えては、従来の経緯にかんがみましても、いろいろなむだな摩擦が発生して参る。従つてそういう政治的な接触面であることを御考慮に入れて、いろいろ御人選等もなさり、またすつきりした形態におつくりになることが絶対に必要かと考えるのでありますが、総裁は二十億ならいらぬ。五十億なら置くかもしれぬ。百億なら必要でしようというようにお考えになつているように伺つたのでありますが、少しお考え違いではなかろうかと実は考えるのでありますが、もう  一度御意見を伺いたいと思います。
  46. 長崎惣之助

    長崎説明員 なるほどそういう点もございましよう。しかしながら国有鉄道建設以外の部面については、ただいま滿尾委員からの仰せでございますと、私におまかせくだすつて、その点は非常にありがたいのでございますが、しかし私は、これは何も反駁する意味ではございませんが、国有鉄道の日常の経営というものは、私は決して政治に関連のないものとは存じておりません。その点につきましていろいろ御注意なりあるいはあるいは御意見なりございますれば、いつでも伺つて、これを参酌いたしまして私ども仕事の改善に当るということは当然でございます。さればこそ予算あるいは運賃というものが、国会の審議に上るのではなかろうかと私は思つております。建設線だけが決して政治に非常な関連があり、その他の部面が関連がないとは私は考えておりません。従いまして建設線なりといえども同様に考えまして、摩擦があつてはなりませんが、現在の段階においては、そういう部局を設けなくても、私なりあるいは副総裁なりの手で十分に御折衝ができるのではないか、かように考えておりますので、先ほど来のことを申し上げたのであります。しかしながらやはりこの量が非常に多くなりますと、どうしても私らの手では間に合わなくなるので、そこで一つの部局を設けて窓口をつくるということは考えなければならぬ、さように存じております。
  47. 滿尾君亮

    滿尾委員 部局の論は、総裁がそういう御心境であれば、私もしいてこれをとやかく申し上げる考えはないのであります。  今度は本年度の二十億の問題でありますが、同僚委員からすでにごひろうがありましたけれども、まだ少しおつしやりようが足りなかつたように存じますので、私からもう一言敷衍した御誤明を申し上げておきます。実はこの二十億を増額することにつきまして、自由党の中では再三議論をしまして、とどのつまりが結局予算の修正案はそれでは御遠慮申し上げる、予算の修正を要するような決議案も一応遠慮するということにいたしたのでまりまするが、その内容としまして、私どもの気持としては、今年度の具体線をお考えになるにあたつて、さしあたり二十億のつもりであるけれども、最近の機会において必ずこれを四十億に増額する努力をすることをお互いに了解しようじやないか、従つて新線をピック・アツプされるときには二十億のつもりでなく、四十億のつもりで、金はあと二十億増し水がすぐおつかけて来るというつもりで、新線を選定してもらいたいものだ、こういうことでわれわれいきり立つておつた面々も妥協したような次第でございますから、この気持を一ぺん腹に入れておいていただきたい。おそらく野党の皆さんも、先般全会一致で新線建設の御決議をいただいておるのでありますから、われわれのかような気持をお伝えすることについては、大して御異存はあるまいと存ずる次第でありまするが、私がなぜかようなことを申すかと申しますと、とかく鉄道技術的な、専門的な角度から申しますと、この建設費の使い方をごくまじめに考えると——まじめにという言葉は語弊がありますが、ごく専門的角度から考えますと、もつと集約して使いたい、つまり薄く広くまいては仕事にならぬという面が出て来る。その点をきつく考えると、二十億ではほとんど六線か七線しかできないことになつてしまつて、実は四十億の切つ先が二十億出たつもりでお考えをいただけば、そこにおのずからその新線のピック・アツプのお考えも大分違つて参りますから、その点の呼吸をひとつ総裁は腹の中に納めていただきたいということを、御報告かたがたお願い申し上げておく次第でございます。私は大臣がお見えになりました上でもう一問いたしますけれども、以上をもちまして一応終ります。
  48. 前田郁

    前田(郁)委員 私、もう一つお願い申し上げておきたいのであります。先ほどから総裁お話に、まだ原案はできていない、これから運輸当局会議してやりたいというお話のようでございました。実は国土総合開発法案が通過しておりまして、その裏づけとなる施行法案が今国会に提案されることになつております。それによりますと、日本の未開発地区を開発するわけであります。これは先ほどお話し申し上げました通り、やはりそろばんにならぬ点もあるような場所が相当あるのではないかと思うのですが、こういうようなところを開発してこそ、日本のこの四つの島にとじ込められている人口問題を解決するとか、そういうような方法にもなるわけでありまして、ただいま日本全国で十九の特別地区を指定をいたしまして、今度は施行法案を出して港湾、鉄道、道路の開発をして、そうして人口問題その他の経済開発をやろうというわけであります。この間私ども政府当局に、ことに安本当局に質問いたしますると、たとえば鉄道、港湾のごときも、この法案が通過すれば優先的にやるのだということになつているそうであります。それで今回この路線の選定の際にも、そういう点を御考慮に入れて、この十九の総合開発特別地区を十分に頭に入れてひとつ案を立てていただきたい、こう考えておりますので、この点をあわせてお願いいたしたいと思います。
  49. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 淺沼君。
  50. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 二十億に関連して……。今のお話を伺つておりますと、二十億の新設線の予算というものは、つかみ予算ということになる。要するに国有鉄道側においては、案自体は持たないで、内容は持たないで、まず予算全体から二十億というつかみ予算を出しておるわけですか。国有鉄道それ自体としては、二十億の内容は持つておるのですか。
  51. 長崎惣之助

    長崎説明員 私ども考えといたしましては、大体現在一キロ建設費はどのくらいかかつておるかということを調べまして、キロ数等で押えてあの予算を出したのであります。従つて内容的にどの線どの線ということは、まだきまつておらないわけでございます。
  52. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 キロ数で押えるのでしようが、国有鉄道としては、二十億のもので何キロつくるとすれば、どことどこにつくるべきだという一つの方針というものを持たずに、ただキロだけでとどめておるのか。内容は発表するしないは別として、腹構えをつくつてお出しになつておるものですか。もしそうでないとすれば、つかみ予算程度のものであつて、私ども予算にたよりなさを感ずるのである。出すからには場所くらい考えて出すべきだと思う。要するに運輸省でどう考えようと、審議会でどう考えようと、国有鉄道だけでは腹構えがあると思うのですが、それはなしで組んだものですか。
  53. 長崎惣之助

    長崎説明員 むろん私どもといたしましては、大きなわくを持つておりますから、その中から、議会を通過する予算ともにらみ合せまして、今後路線建設して行く考えでおります。
  54. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 大きなわくというのは結局二十億で、何キロ、場所はかくのごとくということに了解しておいてよろしゆうございますか。そこでもしそうだとすればお伺いしたいのでありますが、これは大臣がおつた方がよいと思うのでありますが、鉄道建設審議会で方針をきめたときには、今前田さんからお話があつたように、鉄道の新設を考える場合においては、日本の国土総合開発、その裏づけと鉄道の開設ということがどう関連性を持つておるかということが一つ、資金をいかに獲得するかということが一つ、どこにきめるかということが一つ、そういうような方針というものをきめて審議を進めて参つた。私も委員の一人です。そうすると、今のお話を聞いておると、この審議会の方針というものは全然無視されて、結局二十億という頭だけこしらえておいて、あとはどこをきめるかということについて運輸省もしくは国有鉄道がみんなから非難を受けると、私の方はこう考えておつたのに、あそこの審議会がこうきめたのだからやむを得ないじやないかということで、資金をよけい獲得することも相談せず、総合開発の裏づけも相談せずしてやるというのでは、責任だけをわれわれに負わせる結果になると思うのです。今滿尾さんからお話があつたようですけれども、実際は総裁までが委員である。そうすると総裁は原案を持つた委員ということになつて、私どもにはずいぶん納得の行かない審議会ということになろうと思うのです。原案を持つておるものが諮問を上申する、諮問されて来る案を検討する中に原案保持者がおるということで、私は審議会の性質について非常に疑義を持つて来たのですが、これはどういうことになるのですか。
  55. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 御存じのように諮問第一号、第二号が提出されております。今度二十億の予算がきまりましたが、大体諮問第二号において御諮問申し上げた事項の範囲に該当すると思います。その中で十分論議されて決定されることと思いますので、政府から原案を出せとか、国鉄から原案を出せとかいうような御論議があるかと思いますけれども、もちろんさようなものは審議会を拘束するわけでもございませんし、審議会は各方面の経験者がお集まりでございますから、自由に御討議した御答申をいただいて、政府はそれを尊重するということに相なつている次第であります。なお委員の構成につきましては、法律によつて明定されておりますので、今その構成について申し上げることはいかがと思います。
  56. 淺沼稻次郎

    ○淺沼委員 二十億というわくをきめて、しかもそれがつかみ予算ではなくキロ数で、しかもそのキロ数の背景とする一つの場所も、順位は別として広汎なものを持つているということになつて、法律でいかにきめようとも、審議会の構成員で諮問さるべき者の中に、原案そのものを持つた人が入つているということになつて来ようと思います。これは法律上の不備であつて、今ここでこれは議論をしてもしようがないと思いますが、こういうところに運輸省国有鉄道との関係は非常に不明確なものがあるということを、私は指摘しないわけには参らぬのです。今運輸省の監督局長のお答えがあつたが、それならば二十億のわくをきめないうちに諮問した資金の関係が入つているはずだと思います。それから国土開発という点を含めての二十億というわくをきめさせる際は、やはりかくかくの金額が必要であるという審議会答申を求めて、その圧力を大蔵省に加えれば、もつと妥当性があつたのではないかと思います。きようは審議会の席ではありませんから、ここでこれ以上論議しようという気はありませんけれども、たまたまこの審議会委員の一人であり、また衆議院の一議員であるという立場からいたしますと、金額をきめておいて、ただ場所だけきめさせるというその運用の面において、私どもは納得の行かないものがあるのであります。この予算が衆議院にかけられた際に、私は警告を発して、欠員は補充すべし、さらにこの審議会も開催すべきであるということもつけ加えて申し上げたわけであります、ところが審議会委員が任命されたのは昨年の六月八日だろうと思います。こまかいことを言うのは私としてもいかがだろうと思いますが、こまかいことも言う男だとひとつ考えになつてお聞きを願いたいと思いますが、この間私に内閣から辞令が参りました。昨年の六月八日に議決になつて、辞令の出たのは三月であります。これは吉武君が委員長をやつておつたが、内閣改造によつて委員長はなくなつたが、副委員長がそのかわりになつておりますから、予算ができ上る前にこの審議会が結末をつけて、予算の中にわれわれの意見も入れるということにするのが、私は当然だろうと思います。それが審議会に対する政府のやり方だろうと思います。どうもこまかいようだけれども、案外考えようによつては、自由党の側においての四十億というものの目安で行こうというのは、非常によいことだと思います。その資金をどうしようかということを審議会で、各界の代表も加えて大蔵省にどうだと言つて行けば、大蔵省の方からも委員が出ておりますから、それを拘束しておけば、皆さんから怒られなくて四十億もとれたかもしれないと思います。きよう大臣はおりませんが、大臣もその委員で、途中から大臣になられたのですが、そうだとすれば、そういう点はもつと活用の余地があろうと思います。これは一ぺんその審議会で聞きたいと思いますが、要するに皆の不平を防衛するための手段として審議会を使うならば、審議会はあなた方の出店になつてしまう。言い訳することだけに使うならごめんこうむりたいということになる。われわれの創意とかくふうとかいうものが審議会に反映して、なおそのことが大蔵大臣にも内閣にも反映して、金も出て来て新線もできるというところに、私は衆議院のこの委員会でこの案をつくつた意義があろうと思います。そういう意味でつくつた審議会だと思いますが、つくつてしまうと、今度は大衆の不平を押える機関に使われたのでは、はなはだ遺憾しごくに考えるのであります。大臣がおれば一番いいと思うのですが、おらなくても、これはこまかいことですし、監督局長の関係のある審議会でありますから、運用はよくやつていただきたいと思います。
  57. 關谷勝利

    ○關谷委員 今淺沼委員が言わておつたことと、先ほどの長崎総裁の答弁とに食い違いがあるようですが、長崎総裁が答弁せられました大わくという意味は、おそらく二十億で、その中でどの線ができておるというのではないのであります。そういうことになりますと、原案をつくつたその人が出て、拘束するということになるかもしれませんが、おそらく総裁は大わくといたしましては、まず五箇年なら五箇年計画で三百億を見て、これで五百キロなら五百キロをつくる。これが国土総合開発とどのようなにらみ合せになつておるのかという大わくができておるのであつて、そのうちの二十億が今度の予算に計上された。だからこの二十億でどのように鉄道建設審議会決定せられるか。三百億程度国鉄の案があつて、その中で自由にきめ得る、こういうことになるのだろうと思うのですが、この点総裁にお伺いをいたしたい。
  58. 長崎惣之助

    長崎説明員 それほどまではまだ行つていないのでありまして、もつともつと茫漠たるものであります。だから決して淺沼委員の御心配になるような、私が委員になつておることについての問題は、委員会の構成の問題でありまして、これは議会で御決定なつたように拝聽いたしておりますので、何とも申し上げられませんが、決して委員を拘束いたしません。私が委員の中に入つておるからといつて、自分の意見の固執に努力するというつもりはありません。私はむしろ黙して傾聴しようと考えておるのであります。私はたつた一人ですし、多数の方がおられますから、いくら私ががんばつても、いけないものはいけないときめられるのでありまして、それは御懸念がないと私は思います。
  59. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は監督局長の御答弁ないし長崎総裁の御答弁に対して、御質問を申し上げたい。第一、監督局長のお話は、私は法律の精神に違反しておるように感ずるのであります。と申しますのは、これは法律論を聞きたいので、政治論は別であります。今淺沼さんも言われたが、審議会は大蔵省に当つたらいいのじやないか。大いに当つたらよろしい。だからそういうことも第四條の三項に「新線建設二関シ建議スルコトヲ得」と書いてありますから、その面では大いに政治力を持つて、自由奔放に動いていただけばよろしい。しかし審議会がそのプロパーの機能を法律によつて発揮する面は、別個の問題であります。その機能を発揮する面に即して言えば、今の監督局長の説明では、御自由にその点についてお述べになつてよろしいというお話があつたのでありますが、私は決して自由でないと思う。審議会国鉄総裁が原案を出しまして、認可を申請した原案に即して可否を決するのみであつて、それに対して自由な案のさしかえはできない。そういうことをやるのは、建議することができるのであつて諮問にこたえるための審議をいたしますことは、嚴格に総裁の提出しました原案に限られ、この範囲を逸脱することはできないと思うのであります。これらの点について当局においても、議員側においても、非常に誤解がある。これはまことに国会の名誉のために私は惜しむものである。でありますから総裁が御答弁になりましたことも、実に奇怪であると実は考えておるのであります。総裁委員の一員として御出席になつている以上、自分の原案を極力支持されるのが当然である。それをしないのなら、何のために委員になつておるのかわからない。單に呼び出されて、質問を受けるというな立場でなく、原案をつくつた総裁意思が徹底するように、委員のメンバーの一人に特に加えて、その間に隔意のない討論ができるように、総裁委員に加えたものだと考えておるので、遠慮されるような御答弁をなさることは、私の了解しがたいところである。どういうわけでそういう御心境なのか、お伺いしたいかような議論が出ますからこそ、私は五十三條の規定に照し、  一体新線建設の方式をどういうふうにすべきかということについて、思想の混淆があつてはならぬ。この点について大臣の臨席を得て、もう一度お尋ねする決心であります。
  60. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 滿尾委員質問を承つておりますと、私ははなはだ不可怪なんであります。実は昨年の八月でございまするか、鉄道敷設法一部改正によりまして、鉄道建設審議会を置く場合に、私提案者の一人といたしまして、十二分に説明いたしました。しかも公共の福祉を増進するために、運輸大臣建設につきましても命令を発するという国鉄法五十四條の解釈に基きまして、運輸大臣建設につきましてもイニシアチーブを持ち得ることができる。こういう解釈のもとにおきまして、運輸大臣国土総合開発の大きな国策的な見地からいたしまして、どこそこに建設線を敷きたいと思つたときにも、国鉄総裁の上申あるなしにかかわらず、大局的な見地に立ちまして、鉄道建設審議会諮問して、その答申を経て運輸大臣国鉄総裁に、これこれの建設をするようにという命令を出し得る場合と、それから国鉄法に明記してありますように、国鉄総裁建設線をきめまして、運輸大臣に許認可を受けて、上申して来た場合にも、また鉄道建設審議会諮問する。はつきりこういう二つの場合を考えた。そのよるところの法的根拠、解釈というものは、その当時政府委員も同じ意見であり、提案者たる私はかような確たる信念をもつて法案を提案し、皆さん方の御了解を得て、しかも満場一致で決議いたしましたこの法案を、今に至つていろいろ云々するがごときは、はなはだ遺憾にたえないのであります。もう  一つは、淺沼先生が言つておられました資金の問題でありますが、もちろんあの当時の審議会の構成内容は、これを予期いたしまして、第二項に資金その他の関係につきまして関係大臣に建議するという文句を入れたのであります。たまたま御承知のように、八月にこの法案が通りまして、委員の任命、また任命した委員がある政党の党内事情のために交代するというようなことと、運輸省にどのような事情があつたかもしれませんが、いまだそのことが進まない。しかも予算編成事務が着々と進んでしまつたようなところで、先ほども滿尾委員が言われました四十億という案も、建設審議会決議案という形をとつて、大蔵大臣につつ込んで行くという段階まで行かなかつたというところに時間的のずれがあつて、私は審議会の運用につきまして多少疑問を持たれることもやむを得ないと思うのであります。以上私滿尾君の意見を聞いておりまして、同じ党に所属しておる私とはいいながら、はなはだ不満足に思いますので、立つたわけであります。かような質問は時間の関係もありますので、何とぞやめていただきたいと考えます。
  61. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 ただいま自由党の委員各位から御発言がありました中に、今度の新線建設二十億に関しましては、これは国土総合開発の未開発地域という十九の特別地域に適用していただきたい、そういう方針をもつて進むのが政府の方針である、こういう希望を添えられまして発言があつたと思います。総裁審議会の一員だということでございます。審議会という諮問機関の委員としても、大臣よりの任命を帯びて出ておられると思います。どういうような方向に意見が一致せられ、審議が進められているかということについて、一応当委員会に御発表があつてしかるべきだと思いますが、その点はいかがでございますか。
  62. 長崎惣之助

    長崎説明員 今、柄澤委員から審議会審議の模様はどうかというお話でございますが、私は去年の八月の末に総裁になりまして、当然審議会委員でありましたが、爾後審議会が開かれたことがございませんので、私は一向何も存じておりません。
  63. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 先ほど坪内委員の御発言の中に、選挙を前に控えて大分血の雨の降るような状態である、脅迫的な発言がありました。総裁がおびえておられるのではないかと思います。そういうものにおびえずに——これでは無責任だと思います。予算がすでに計上されて三月も半ば過ぎて四月が目前に迫つている。淺沼委員が言いましたように基幹予算でまだ内容がきまつていない。キロ数は幾らだということはわかつている。総合開発立場から何キロの新線建設するということだけしかきまつていない。こういうふうな御答弁だと思いますが、まことに怠慢ではないかと思う、その点はいかがなものでしよう。少し與党に脅迫されていらつしやるのではございませんか。
  64. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御杞憂はまことにありがたく拝聽いたしました。決して私は政党を軽んずるという意味ではございません。政党は大いに尊重しなければならぬと思います。国会はむろんのことであります。従いまして御意見は尊重いたしますけれども、脅迫というようなことはあり得べからざることであると思います。そういうお話は私は聞かないことにいたします。
  65. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは次の質問に入りますが、もちんこの予算をお組みになりまして許可を大蔵省から運輸省としておとりになつたと思いますが、その根拠はもちろん国鉄の当面者でありますところの皆さん方の調査その他を根拠にしたものだと思つているのでございます。新線建設ということは全国民の要望でございまして、北海道などは明治年間から新線をつけてくれということが、まだできていないというところがあるのであります。しかし私どもとしては一点大事な問題として承りたいのであります。これは大臣がおいでになりますと非常にけつこうだと思うのでございますが、公共利益ということが中心になつて進められるとするならば、今度の日本の新しい情勢のもとで、根本的にここでひとつ党内選挙前に血の雨を降らせるような争いとまた別に、もう少し真剣に血の雨を降らせて、日本全体で考えなければならぬような問題に当面しているのではないかと思います。行政協定の第七條に、合衆国軍隊は、公益事業とか公共の役務を利用する権利並びにその利用における優先権を享有する権利を有するということがございますが、あらゆる公益事業及び公共の役務を利用する優先権を持つ。今われわれが審議し、また多年ここで終戰後の念願として要求されて来ましたのは、日本の国民の公共利益、日本の地方公共利益であつたはずでございます。ところが新しい問題として行政協定の第七條に、それらの公益事業公共施設その他役務まで含めまして、優先的に合衆国軍隊がこれを享有する権利を持つ、あるいは軍事基地施設、それらの隣接近傍まで含めますところの厖大な地域に対しまして出入するところのあらゆる権利、権力、権能を持つというようなことがうたわれて参りまして、その一つに当然国有鉄道も該当するのであろうということが、国民の心配の種になつているわけでございます。その点をひとつ明らかにしていただきまして——それはあなたの方できめるのではないと言えばそれでいいのであります。行政協定には明らかにそううたわれておる。そうだとすれば先ほどお出しになつた血の雨を降らせて、だれがために一体新線建設を一生懸命にやるのかという問題と、非常に重要な関連を持つと思いますので、ひとつ総裁としての行政協定第七條に関しますところの御見解、それに国有鉄道が該当するかどうか。あるいはどういう心構えを持つておるかについて、御見解を発表していただきたい。
  66. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの柄澤委員の御質問は、先ほど坪内さんからの御質問と非常に関連があるようでありますから、一括して坪内さんにもお答えを申し上げます。行政協定に基くわれわれの方の関係、これは先ごろ何日でしたかの新聞にも私発表しておいたのでありますが、まだ今日では講和條約は発効いたしておりません。従いまして行政協定もまだ効力を発していないわけでございますが、すでにこういう状況になるということを予測いたしておりました。同時に現在ありますアメリカ軍とわれわれの方との契約関係、これは三月三十一日で切れてしまうのであります。そこで一日から体どうするかということで、双方話合いをいたしました結果、ほとんど——ほとんどでなくまつたくコマーシヤル・ベースに立ちまして、対等の形で向うで現在接収いたしております車両その他を返す、またRTOのようなものもやめてしまうということになりまして、日本人と同じような形で列車を利用するということに根本の精神は相なつております。しかしながら向うの人は減るわけじやないのでありまして、臨時列車なり何なりを動かさなければいけませんから、当分の間実際の形としましては、現在ございます専用の列車を臨時の急行列車といたしまして運転をいたします。しかしそれに余裕のあります限りにおいては、日本人もあの列車に乗つていただくという考え方で契約がほぼでき上り、署名をいたすばかりになつております。その契約の中には、まだ占領下でありますから、いささか対等でない面がございます。その根本契約は講和條約が発効いたしますれば、そういう部分だけを直しまして、すぐ継続して行けるというようなことになつております。今の段取りはそこまで参つております。
  67. 坪内八郎

    坪内委員 関連して……。ただいま総裁お話につきましては、運輸大臣を初め総裁から御答弁をいただきたいと思つておつたのでありますが、たまたま御答弁がございましたが、そういつたことになると、これは行政協定の関係もありますが、従来占領下に置かれた国鉄の行政面におきまして、いろいろと意のごとくならなかつた点もあろうかと思うし、さらにまた国民に対してある程度不便をかけたと思われる点もありますが、そういうことになると、今後は国鉄の運営が従来占領下に置かれたときよりも非常にスムースに行つて、国民に與える影響のいい、また国民も便利である、いくらか緩和されて来たというように解釈していいのかどうか。あるいは行政協定その他の関係、あるいは国内事情がそういつた立場でかわつて参りますので、さらにきゆうくつな状態になるのかどうか、そういう点を国民ひとしく心配いたしておりますので、この際その辺の模様をお聞かせ願いたいと思います。
  68. 長崎惣之助

    長崎説明員 きゆうくつだとか何とかいう面は、大体において私はないと思います。非常に明るくなるのではないかと思います。ただ向うとしましては、こちらと向うの慣習が非常に違います。たとえばレデイースに対する作法でありますとか、車中における秩序の問題でありますとかいうような問題で、多少かわつているところがございますので、そういう点を向ろ側でも非常に心配をいたしております。一般旅客と一緒に混乗することに相なりますから、こちらとしましても、そういうことで非常にいろいろなコンプレーンが起きても困ります。こちらからコンプレーンが起きても困りまするし、同時にまた向うの方から起きても困ることになります。ことにただいまは向うの使用人が特別の専用列車に乗り込んでおります。それで十分に英語もわかり、十分に意思の伝達もできるような仕組みになつておりますけれども国有鉄道の従事員の中ではそういう者も非常に少いので、それらの点についていささか心配をいたしております。ことに向うから要望いたしておりますことは、これは設備の点もございまするが、同時に日本人との慣習の相違でございますが、いろいろ衛生上の問題でありますとか、あるいは酒を飲む問題でありますとか、そんなことで  これは何も日本人だけが悪いというのではなくて、向う自体の兵隊が酒を飲んだというような場合において、どう  いう事態になるかというようなことをむしろ向うの方で心配しておる点もございます。そこでこれは非常に意識的でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在あります専用列車往復六本でございますが、それは当分の間できるだけ向うの人に乗つていただく、そうしてそれには相当に警備のできるような方法にしまして、日米相互のお客さんの間にコンプレーンのないようにしたいということを考えております。きゆうくつだと申しますと、これはまだやつてみなくてはわかりませんが、実は今度は今申しましたように、普通のお客さんと同じような切符を買つて乗りますので、今までは乗つてもらわなくても、あの列車を動かすと大体幾らというふうにな金を頂戴しておりましたが、今度は実際乗つた人の人数で頂戴しますので、どうもお客さんの面では今よりも少し損になるのではないかというふうに考えておりますが、これはやつてみなくてはわかりませんので、別段ぞうきゆうくつだとか何とかいうようなことはありませんが、ただ相互の習慣の相違その他で多少きゆうくつだといえばきゆうくつですが、あの列車に乗つたらできるだけ向うの習慣に従つていただきたい、こういうふうに考えておりますので、その点はきゆうくつだといえばきうくつでございます。
  69. 坪内八郎

    坪内委員 総裁の御答弁で了解いたしました。向うさんの軍隊に対する取扱いにつきましては、今総裁お話通り風俗、習慣、また生活様式が違いますので、そういう点においては国鉄も十分御考慮くださつておることと思いますが、われわれが外国に旅行いたしましても、やはり土地の事情に非常に暗い関係で、そういつた乗物については十分ひとつ土地の者以上に親切にして当るということは、国際的な関係からいつても申すまでもないことでございますので、そういう点には十分な考慮を拂い、またわれわれ国民も大いに御協力申し上げなければならぬ、かように考えております。次に財源の問題についてであります。占領下におきましては、今総裁お話もありましたようにいろいろなとりきめによつて、あるいは終戰処理費その他によつて国鉄の面にあまりプラスにならなかつた点もあろうかと思うのでありますが、今後はそういつた国鉄の財源について、アメリカ人も日本人同様の料金を拂うということによつて、相当プラスになると思うのでありますが、それはどういう程度のものであるか、この機会に参考までにお尋ねしておきたいと思います。
  70. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほどちよつと触れましたが、現在でも別段あれは無料で輸送いたしておるのではございません。やはり専用車は、普通の運賃ではござ  いませんが、専用の実費を頂戴いたしております。汽車が動いても動かなくても頂戴する、走つたらこれは幾らと  いうふうに、中にお客さんが乗ろうが乗るまいが、そういうこととは関係なしに頂戴いたしております。お客さんの面では先ほど申しましたようにそういうものであつたのが、今度は実際乗つた人からは料金をもらう。大体お客さんというのは片道輸送が多いのでありまして、片道はからで走つてしまうということになりますから、お客さんの方は現在よりも多少損になるのではないかと考えております。それから荷物の方は、これは現在でもやはり実費でございますが、その実費をもらつておつた額を計算しまして、今後も損の行かないように運賃を頂戴することになつております。と申しますことは、御承知のように貨物にはいろいろな等級がございます。その等級を見るためには、これまた向うはこつちといろいろ違つたものがたくさんあります。また内容的に一々それを開封して見るというふうにも行かないものがございます。しかし爆発物であるとか、あるいは石油であるとかいうような特殊なものについては、これは日本の従来の普通の運賃と同じように頂戴いたしております。それからその他のものについては、三級と四級の間ぐらいでもつて全部計算するということにしておりますから、これはちつとも損が行かないことになつております。ただ今申し上げたようにお客さんの問題は、現在よりも少し損になるのではないかと思つております。
  71. 坪内八郎

    坪内委員 詳細な国鉄総裁の御答弁で、よく了解するところでありますが、私が先ほど申したきゆうくつになるのではないかということにつきましては、現に四月一日から——私は長崎県でありますが、佐世保の関係は軍がこれをあらゆる角度から高度に利用しますので、いまだかつてなかつた急行が二本、四月一日から佐世保に通うことになるというようなことも聞いておりますので、そうなりますと、現在の国鉄輸送量からいたしまして、国全般の関係から見て、そういつた今までなかつたところに急行が二本通るということになりますと、国全般の国鉄の運営から、他にも影響を及ぼすのではないかということを憂慮して、きゆうくつになるのではないかとお尋ねしたのでありますが、そういうことは国鉄の操作によつて、他に影響なくバランスがとれて運営ができるかということを、ひとつお尋ねいたしたいのであります。
  72. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど申しましたように、現在も軍専用列車としてあるのです。それを返していただきましたから、専用列車でなしに、臨時急行ということで規律してあると思います。しかしながらそれをできるだけ向うの人に利用していただく、大体利用率が八〇%ないし九〇%ですから、一割ないし一割五分くらいのものは余裕があるのではないかと思います。それに日本のお客さんもできるだけ収容するということでございますから、むしろきゆうくつでなくて、ほとんど目に見えないくらいですけれども、御利用いただけばそれだけ楽になるということでございます。
  73. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 鉄道新線建設の問題から、大分ほかの方へそれているようでございますので、私は鉄道新線建設の問題につきまして、ごく簡單お尋ね申し上げたいと思います。それで新線建設関係の議題は、次にお移りいただいた方が議事進行上ぐあいがいいかと思いますので、先にお尋ねいたします。
  74. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 いや私の質問新線建設に関連しております。
  75. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 それではどうぞ。
  76. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 新線建設に関連してやはり発言しているのでございまして、新線は日本国民の公共利益ということで、軍の作戰目的などのために重点的にやられるようなことのないことを、国民は要望しているわけでございます。そういう観点から具体的な事実を申し上げますが、たとえばRTOがなくなるというお話でございましたが、しかし実際国政調査に昨年北海道へ参りましたときに、私、東室蘭の操車場で東室蘭の駅長にも参加していただき、室蘭の駅長にも参加していただきまして、操車の状況や輸送の状況についてお話を聞いたことがございました。そのときに輸送を実際に担当しております人たちの話したところでは、前だれかけの国有鉄道なつたという建前から、貨物を一生懸命集めて——国有鉄道が商売人になつたというので集めても、貨車がまわつて来ない。つまり駅長は二人ある。東室蘭駅長と、もう一つ別な駅長がある。そうして東室蘭の駅長の方は、一生懸命前だれかけで貨物をとる。ところが貨車をとる権利がない。それはだれが握つておるか。輸送長というものがちやんと北海道なら北海道の中央にいて、その命令でもつて全部の貨車の配置が握られている。だから国有鉄道は、前だれかけにはなつたけれども、さつぱりサービス機関ができません、こういうお話がありました。このことは北海道だけではなくて、全日本で平和産業のいわゆる貨車をまわしてもらいたいというような要望が、特に関西あたりから当委員会の各委員の手元に参つておつたことは、私も一委員としてかつてつておりますが、そういう状況が、ただいま長崎総裁の御答弁によりますと、たいへん対等になつて明るくなる見通しがあるということでございまするが、行政協定の、あらゆる公益事業及び公共の役務を利用する権利が優先的に向うにある。今後は占領軍ということではなしに、こちらが頼んでいてもらうのだそうでございますから、そういう形になりましたときに、はたして総裁の言うように明るい見通しが持てるかどうか。もつと日本人がほんとうに自由に貨車を使えるようになるのかどうか。そういうことが確実にならない限り、公共利益の目的でもつて新線を架設するということに二十億の予算が組まれましても、日本の国民の公共の、実際今まで行き詰まつておりました貨車不足というような問題や、天然資源の開発の問題とどう結合して行くか。これは根本の問題ではなかろうかと思うのであります。長崎総裁は明るい見通しとおつしやつたのございますが、輸送長がしつかり握つていまして、そうして貨車の輸送というものが——北海道の場合なら石炭が非常に大きいのでございます。これは道民の暖房用炭といつて掘りながら、北海道には落ちないで、全部室蘭に行つてしまうピストン輸送なんというのをやりまして、貨車は民間にまわつて来ない。これは長崎総裁よく御存じのはずでございます。そういう点はどういうふうに具体的に解決されるのか。
  77. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答え申し上げます。ただいまの柄澤委員の御質問、私ちよとわかりかねるのですが、何か進駐軍の軍と貨車の模様との関連があるような御質問にも承りますし、そうではなくて、われわれの方の設備自体が非常に貨車のまわりが悪い、そういう御質問でありますが、どちらであるかわかりませんけれども、進駐軍の輸送によつて著しく日本国有鉄道輸送状態が混乱に陷つた、しかも常時そういう状態であつたというようなことはございません。ただ遺憾ながら国鉄の貨車の数なりあるいは列車の数なりが、十分に間に合いかねまして、滞貨が非常にふえたという事実は率直に私は認めます。今日では当時と違いまして、ほとんど滞貨も一掃されまして、半分になつてしまいました。ことに柄澤委員の御郷里であります北海道は、石炭がたまつて困つたのでございますが、これも今日ではまつたく山元に貯炭がないというふうな状況でございまして、今では非常にうまく行つております。繰返して申しますが、連合軍の輸送のために——それは時間的には誤解のできる場合もありますけれども、全面的に日本の鉄道輸送が非常な苦しい立場にあつたということはございません。これは誤解のないように、また今後においてもそうだと思います。また新線建設について進駐軍の要望によつて云々というようなことは、私はまだ聞いておりません。今後の輸送は、先ほど申しましたように私どもと向うの合衆国政府を代表します者との間の契約関係ということに相なりますから、その点は御懸念のないようにお願いいたします。
  78. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 鉄道建設線の直接的な問題につきまして、私は簡單お尋ね申し上げたいのでございますが、先ほど来鉄道新線建設につきまして、一般論あるいは具体論につきまして、詳細に同僚議員から質問がありましたので、私の質問はただ一、二点にとどめます。まずお尋ねいたしたいことは、最近工事費が非常に高くなつてつておるのでありますが、大体一キロ建設するのにどのくらい予算がかかるのか。私は大体五千万円くらいと聞いておるのでありますが、さような含みをもつて二十億の予算考えてみる必要があるかどうか。簡單でけつこうでありますが、御答弁願いたいと思います。
  79. 長崎惣之助

    長崎説明員 新線一キロどのくらいでできるかという問題は、これは岡田委員承知のように場所により、所によりいろいろかわるのでございますが、ただいま岡田委員から申されましたような程度の金を見ておけば、まずまず大丈夫だと思います。
  80. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 そういたしますと、一キロ平均概算五千万円と見ますると、二十億といいますれば大体四十キロになるわけであります。四十キロといいますと、大体駅間平均六キロといたしますと、七箇駅程度新線しか建設できない、こういうことになるのであります。こういうことからして、先ほど来これが二十億は少い、四十億でなくちやいかぬ、あるいは八十億でなくちやいかぬ、百億であるという説が出るのは当然であると私は考えるのでありますが、つらつら考えてみますと、ただ七箇駅程度新線しか望めない。しかるに全国を見てみると、四十七、八線の未成線と称する、いわゆる路盤のできているところ、あるいはトンネルの一部できているところが、全国各地方に散布されておるのであります。これがまた先ほど坪内委員が言われように、政治的基盤といいまするか、バツクをもとにして非常に陳情が多いのであります。こういう事態から、坪内委員はちよつと表現が強かつたようでありますが、血の雨を流すがごとき事態が起りはしないかということが心配されるのであります。かような事態から考えますと、国鉄総裁が具体的な線を選定せらるるにあたつてどういう大局的な見地から——いかなる重大決意をもつて鉄道建設審議会に提供される資料にあけられる線路を選ばれるのであるか、また全然白紙のままで、鉄道建設審議会委員のもとにおいてこの難事業をさせられるのであるか。また柄澤先生じやありませんが、政治的脅迫といいまするか、強制と申しますか、それにおびえて、八方美人的に一キロずつ、ずつと延ばされるのでありますか。それとも重点的に二十億を、たとえば具体的な線をあげるとさしつかえがあるかもしれませんが、紀西西線と紀西東線とをつないで紀州を循環する一つの線路を完成して、時間的に早急に日本の経済力を発揮する方法でやられるのか。その辺のところをざつくばらんにもしお聞かせ願えるほどお腹ができておるというか、御決意があれば、この機会にお知らせを願いたい、かように存ずる次第であります。
  81. 長崎惣之助

    長崎説明員 新線建設の問題は非常に難問題あでり、ことに長い間やつておらなかつたものを始めるのでありますから、ここで一歩を踏み違えると、先で千歩の差になるということを十分考えております。もとより一般の輿論、政治上の見解、それらも参酌いたさなければなりません。同時にまた私は国有鉄道の運営をまかせられておりますから、その運営がうまく行くようにも考えなければならぬ。御注文が非常にたくさんございます。ございますが、それらももう就任後六箇月にもなり、大分わかりましたから、近くとりきめまして、よく運輸大臣お話も承つて、そうして実行して参りたい、その間において私は決して自分の所信をどこまでも通そうとは思いません。思いませんが、大きな筋は誤らないように、ただ單なる陳情やら何やらにおびえてとかいうことは決してございませんから、その点は御安心を願いたいと思います。
  82. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 それから一つお尋ね申し上げたいのでございます。これは実情を承る程度の問題でございますが、戰争中国力の総合発揮、これは戰争中の言葉でありますから、非常に極端な言葉を使つておりますが、国力をできるだけしぼり出して、工事を戰争の方向に持つて行かなければならぬ。ところが終戰後におきましては、国力をできるだけ経済的な、平和的な、文化的な方向に向けて行こう。ただ国力をしぼり出すという点については、戰争中といえども戰後といえども、私はかわりないと思うのであります。向けられる方向が間違つていた、こういうことだと私は考えるのであります。かようなことから行きまして戰争中、あるいは撤去、転用だと称してほかの方に持つて行き、新線建設をどんどんやつた。それでやるべきところはやり盡した。当時の日本の経済力等とにらみ合してみると、やるだけのことをやつた、残されておる線はその当時の日本の国力、また戰後の日本の経済力の事情からして、延ばすものは延ばし、日本の当時の緊急性、重要性からいつて、延ばすほどでもないというところでとまつておるのが現状ではないか、静かに考えるとこういうようにも私は考えられるのであります。すなわち経済的効果を最も量的に時間的に発揮する線は、相当戰争中に延ばし切つておるのではないか、こういうようにも考えられるのでありますが、現在の国鉄未成線四十八線が、時間的に資源的に日本の経済に効果的な線のほとんど全部であるかどうかという点を、概括的でありますが、お尋ね申し上げたいのであります。
  83. 長崎惣之助

    長崎説明員 今の御質問の問題につきましては、先ほど来御趣旨において同じような御質問があつたようでございますが、なるほど四十八線、これは着手して未完成のままで残つておるものもございます。それに比較いたしまして、それをも乗り越えて緊急性のあるものはないかということでありますが、これは必ずしも否定することもできないと私は思います。今度の予算でその緊急性のあるものをやるかやらぬかは別であります。別でありますが、四十八線よりも早くやらなければならぬような線も私はあるのではないかと思つております。
  84. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 鉄道関係工事だけではないのでございますが、あらゆる工事に関して、政治的なことが問題になつておるわけでございます。国有鉄道としては今度の新線関係建設につきまして、一時定員法などによりまして、部局の改廃、行政整理等によりまして人員を減らし、技術者等を減らしておるというような今までの状態のままで、この新線建設をおやりになるのか、あるいはその点も擴充なさつて新しい部局をつくり、あるいは定員もふやしておやりになるのか、この点につきましての御答弁が伺いたいのでございます。
  85. 長崎惣之助

    長崎説明員 その点先ほどお答え申し上げたのですが、現在のところ部局をふやすとか、人の数をふやすとかいうことは考えておりません。
  86. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 それでは国鉄当局は、この工事を手がけないのでございますか。
  87. 長崎惣之助

    長崎説明員 私のところでいたします。
  88. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 現在手持ちの人員と技術者でおやりになりましたときに、非常に労働強化その他が出て来ると思いますが……。
  89. 長崎惣之助

    長崎説明員 御懸念に及びません。私責任を持ちます。
  90. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 あなたが線路を直すのではないのですよ。あなたが工事をおやりになるのではないですよ。非常に不謹慎なことを言つて、さつきから黙つておりますと、進駐軍関係で日本は何も損害を受けていないと言つておる。どれだけ労働者が苦しんでおりますか。どれだけ労働強化で徹夜でこき使われておりますか。あなたは戰争中には人よりも物だということで、戰争の輸送に協力され、櫻木町事件後総裁としておいでになつた方だ。輸送の点では自信がおありになると思います。しかしあなたに自信があつても、やるのは労働者です。北海道のあれだけの震災につきましても、徹夜で労働者がやつておる。それを復旧するだけでも今後雪解けでたいへんです。橋梁は落ち、線路はずれ、それだけでも人員をむしろふやしてもらわなければならないと思つておるのに、二十億の新線建設を私の責任でやりますと言つておる。櫻木町事件で加賀山さんがいくら泣いてあやまつても、処罰されるのは労働者ではありませんか。だから私はその点で長崎総裁がほんとうに責任を持つて、首をかけておやりになるとおつしやつても、運輸委員の一人としてそういう無責任な答弁では納得できないのであります。     —————————————
  91. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 新線建設に関する件はこの程度にとどめまして終ります。
  92. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 次に海上保安庁法の一部改正につき政府より説明を求めます。柳澤政府委員
  93. 柳澤米吉

    ○柳澤(米)政府委員 海上保安庁といたしましては、このたび今までの一般機構の異動を多少いたしたいと思います。そのほかに第二点といたしまして、海上警備隊というものを設けたい、かように考えておるわけであります。  海上保安庁といたしましては、現在約一万三千人の人間と大体五万トンの船舶とを持つておりますし、沿岸の各地に航路標識を施設しております関係から、これらに対しまする経理、補給関係事務が、仕事の性質上非常に複雑化しておるわけであります。このために今まで総務部にありましたこの部分をわけまして、新たに経理補給部を設置したい、こういうふうに考えたわけであります。  またわが国は終戰以来、航空機の保有が禁ぜられておつたわけでございますが、沿岸の哨戒のために巡視船と協力してこれを併用いたしますと、お互いに短を補つて十分業務の遂行が期せられるわけでありますので、この保有を希望して参つたのでございますが、平和條約の効力が発するとともに、これらの実現を期したいというふうに考えておりますので、この点につきまして必要な規定を加えたいというふうに考えておる次第であります。  そのほか従来海上保安庁におきましては、次長と警備救難監相互間の権限がやや明確を欠いておつたところがございますので、その所掌事務を改正いたしまして、英語を用いて失礼でありますが、アドミニストレーシヨンとオペレーシヨンの二つのものにわけまして、この機能の調和をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。なおそのほかに御承知の海難審判理事官というものがございますが、この所掌事務をこの特殊な性格に適しますように全国的に統轄せしめる機関といたしまして、海難審判理事所というものを設置したいというように考えております。  その次に海上警備隊について御説明申し上げたいと思うのであります。申すまでもなくわが国は海に取囲まれておりますので、海によつて生活する国民の数はきわめて多く、海運業あるいは水産業等は、わが国の主要な産業の分野となつておりますが、その半面におきまして海はわが国が外国と接触いたします唯一の場所であるのみならず、前大戰の結果、外国領土がわが国に非常に接近して参りましために、密輸、不法入国等により海上の秩序を乱されることはまた非常に多い。従いまして海上における人命、財産の安全を保護しまして、平和産業の発達に資しまするとともに、海上の治安を確立いたしまして、犯罪その他海上の秩序を乱すような事態を予防いたしますことは、国家といたしまして果さなければならない任務だと考えるのでございます。海上保安庁はかような責務を達成いたしますために設置せられまして、約四年たつておりまするが、平和條約の発効とともに、みずからの手によつて沿岸の水域における安全を期したいと考えますので、これをいたしまするのには、海上において大きな災害等が起りましたときに、緊急に対処できますように訓練をいたしました機動力のある海上の予備勢力を持ちたいと考えておるものでございます。このために海上警備隊というものを設置いたしまして、でき得る限り態勢を整えて行きたいと考えております。この海上警備隊と申しますものは、海上における人命及び財産の保護並びに治安の確保のために、緊急の必要のあります場合において行動を行う機関でございまして、その任務は海上保安庁の所掌事務の範囲内に限られておるのでございます。  海上警備隊は、その内容を申し上げますと、総監部というものを中央に置きまして、二、三の地方監部を現地に置きまして組織いたしたい、これは現在の海上保安庁の付属機関として設置したいと考えておるものでございます。その職員の定員は六千三十八人ということに相なつておりまして、海上警備官その他必要な職員を置きたいと考えているわけでございます。海上警備隊の職員は、一般の行政機関に勤務する職員と異なりまして、職場は海上にあるわけでございますが、陸上の勤務者につきましても、原則として一定の宿舎に居住させたいというふうな勤務態勢をとりたいと思うのであります。また職員はその勤務の状態から、ある程度の年齢の制限もしたいと考えておりまして、これらの特殊の條件に服するものでございますので、これを国家公務員法上の特別職といたしたいと考えているのでございます。従いましてこの特別職のために、人事管理に関する規定を法令の中に盛つておるわけでございます。すなわち海上警備隊の職員の任命権者、欠格條項、階級、任用、敍級、分限、懲戒、服務等に関する規定を設けまして、職員の意に反する処分がありましたときは、またこれは公正審査会というものを設けまして審査請求の道を開く、こういうふうな規定を設けているのであります。  また海上警備官に対しましては、海上におきまする職務を執行する必要上、海上保安官に準じまして、立入り検査権、あるいは一部の武器の携帯及び使用を認めております。また同時に刑事訴訟法上のいわゆる緊急逮捕の権限もこれに與えているのでございます。職務遂行の万全を期したいために以上の措置をとつておるのでございますが、なお海上警備官のうち、部内の秩序維持の職務に従事いたします者に対しましては、必要の限度の司法警察権を與えまして、海上警備隊の内部規律を維持して行きたいと考えておるのであります  最後に海上警備隊の職員に対しましては、一般の国家公務員の例にならいまして、労働関係の法規の適用を除外いたしまするとともに、その船舶につきましては、船舶の構造及び運航上の特殊性から、船舶安全法及び船舶職員法の適用を除外いたしまして、また移動無線局につきましても以上と同じような理由から、電波法の一部の適用を除外したいと考えているものでございます。  以上が海上保安庁法の一部を改正する法律案の提案理由の概略の説明であります。
  94. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十七分散会