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三木説明員 来年度の
予算は、
総裁その他から申し上げました
通り、非常にきゆう
くつな
予算でございます。ことに
損益勘定におきましては、人員の面、あるいはそういう面を見ましても、
相当きゆう
くつな
予算であります。さらに物価が、今のところは大体おちついておるのでございますが、一部銅及び
銅製品、
電気部分品というようなものに、
相当値上りが見られておるのであります。それはそう大した量を占めるものではございませんが、一番
危惧をいたしておりますのは、
石炭の
値段でございます。御
承知の
通り、この
予算には
トン当り五千五百八十一円という單価で見込んであるのでございますが、少々の
値上りでありますればいいのでございますけれ
ども、これが
相当の
値上りを見せるということになりますと、
相当な
危惧を生ずるおそれがある、こういうふうに
考えておるのでございます。それから
工事勘定におきましては、再々申し上げました
通り、私
どもとしては新
線建設を除いて六百億くらいの
資金を見込まなければ、
最小限度といいますか、現在の
輸送に対処しつつ、老朽のものをとりかえて行くことができない、こう
考えておるのであります。
現状は御
承知のように
輸送力の
増強——輸送力が不足しておるという面が強調されると同時に、現在の
施設、
車両というものが
相当疲労しまして、戦争中、戦後もそのとりかえに努力はしましたけれ
ども、いろいろな面の制約を受けて十分でない。よほどの注意をも
つて運行して行かなければ、正常な
運行にも事欠くというような
情勢にある。その
二つの面を消化するためには、最小限六百億くらいの金がほしいと
思つたのでございますが、
運賃は、御
承知の
通り運賃値上げの際にも論議されましたように、
改良であるとかそういう
方面の金を
運賃で回収すべきではない。そういうものは借入れによ
つてやれというような輿論が非常に強く、とりかえに要する費用も三百億
程度見込む、それ以上見込むのは妥当でない、こういうような説が多く、
運賃はそういうふうにきま
つております。さらに
借入金の方は、
国家財政の方にしましても
資金運用部の
資金にしましても十分でありませんので、そういう結果で、
自己資金が三百億と
借入金が百十億、合計しまして約四百十六億余という
勘定にな
つております。そこで六百億以上いると思われたものが、実際の
予算が四百十六億に
なつた場合にどうするかということでございますが、いろいろ
考えた結果、熾烈な
要望のある
新線に二十億、それから
電化も適当な
要望があるのでそれに五十一億、
残りを
電源開発並びに
一般の
改良に充てる、こういうのでありますが、
電源開発は御
承知の
通り信濃川の千手の
発電所が昨年の八月一日から送電を開始いたしまして、その
予備機をつくらないことには
効果的でありませんので、ぜひこれを
一つつくりたい。そういうことをいたしますと
残りはごくわずかになりますが、その大
部分はあげてこれをとりかえに使いませんと、
車両にいたしましても、よくおしかりを受けます
地方におきましては、四等車とか五等車とかいわれるような、非常な危險の一歩手前にあり、しかもそれを
相当の金をかけて修繕しても、なかなかその
効果が得られないような
客車が多い。貨車にしましても現在
輸送力が足りない。あぶない車を
運転してはいけない。どうしてもそれは廃車をして、
輸送力を減殺しないように置きかえのための新車をつくらなければならない。橋梁にいたしましても、線路にいたしましても、あるいは電線にいたしましても、
運転の
安全確保と正常なる現在の
サービスを保持するためには、どうしても三百億余りの金を使わないと危険に瀕するわけであります。それもできるだけ
設備をだましだまし
使つて行く、あるいは少々不
経済でも
修繕費を
使つて使えるものは
使つて行く、こういうふうに
考えて参りまして、現在の
予算の
内訳というものをつくり上げたわけでございますが、それにいたしましても、
客車のごときも廃車しなければならぬ数と新し
くつくり得る数とは、新し
くつくり得る数の方が
少いというような
現状にもなり、非常にきゆう
くつにな
つておるわけであります。
ディーゼル・
カーと申しますものは、現在單車あるいは二両で
運転しておるのでございますが、さらにこれを
集中制禦と申しますか、
相当両数連結すれば、煤煙のない、あるいは
運転の
サービスのできる非常にいい
カーなのでございますけれ
ども、
客車に比べますとエンジンを含むだけ、
値段も高うございますし、
客車一両と
ディーゼル・
カー一両と同じ
値段というわけにも参りません。それを
相当車両つくりますことは、さらに
客車のとりかえに要する
客車の新造を減らすことになりまして
客車の
運転に支障を来す、こういうようなことも
考えなければならぬので、現在この
予算の
内訳として出してありますのは、
デイーゼル・カーを三十五両、
客車を二百五十両というような案で出しておりますが、さらに
輸送局、
車両局等において、最も効率的な
運用をするために、安全を確保しながら、少しでも
国民の
皆様方の御便益になるにはどうしたらいいかということを、
目下研究中でありまして、
予算にはこう書いてありますが、実行いたします場合に多少の異動はあると思われます。ただいまのところではそう大幅に
ディーゼルカーを
——たくさんつくるという気はもちろんございますけれ
ども、その
財源を、どこを創るかということに苦慮しておるような
状態でございます。