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村上国務大臣 航空の件につきまして、まずお答え申し上げたいと思います。現在は御
承知の
通り国内航空運送事業会によりまして、きわめて狭い範囲の活動が許されておるだけで、製造、修理、組立て、また運航等は、全面的に禁止されております。しかし平和條約が発効しましたあかつきは、何らの制限がないはずであります。ただ国際民間航空機構の様式、
方法等は、たしか五十三箇国であ
つたろうと記憶いたしますが、ほとんど全世界にわた
つて守り拔かなければならないものでございます。これを守るということにつきましては、平和條約の十二條C項に明記されてある次第であります。これらに従いまして近く航空法の制定を願いたいと
考えて、
せつかく法案の準備中であるのであります。この航空法案におきましては、現在の国内航空運送事業会はただ
一つの会社ということにな
つておりますが、
一つの会社と限定せず、数個の会社が経営し得る建前はと
つておるのであります。しかしながら現在の
日本航空会社ですらも、かなり大きい赤字を毎月出しておるのであります。もちろんこれにつきましては、オペレーシヨンの
関係者、また整備
関係者をみな米国人、要するにノース・ウェスト・エア・ラインの職員がや
つておりまして、人件費も
日本人に比較しては相当高いということは、もう顯著な事実であります。今日の
日本航空会社とノース・ウエストとの間の運航契約は、足かけ五箇月にわたりまして、原価計算によ
つて料金をきめたのであります。しかしながら飛行機だけはさしあたり購入せんければなりませんでしようが、
日本人がすべて管制もやるし、また操縦も修理もやる、また整備もやるということにな
つて行きますれば、よほど原価は安くなるだろうと
考えております。要するに現在のところ、毎月数百万の赤字を出しておる
現状であります。
政府でもある
程度は援助もしておりますけれ
ども、諸外国に比してかなり貧弱なのである。もつとも着陸する飛行場をただで使
つているということは、非常な大きい援助と言わなければなりませんが、二十七
年度の
予算において特に三千万円を使
つて、学校を
建設して養成するかわりに、これは
各国とも
政府が養成学校はつく
つておるのですが、それをするかわりに、さしあた
つて整備の技術員だとか操縦者だとか、こういう少数の人を大体二十名見当でありますが、四箇月ばかりの期間で、過去の経験を持
つておる人をアメリカに留学せしめる、こういう
計画を立てまして、これに要する経費の半分だけを
政府が補助する、結局二十名の中の七分の三か、あるいはどの
程度になるか、これは
日本航空会社の者が行くことになると思いますが、結局
日本航空会社がさらに赤字をふやすということに相なります。要するにこういうことで、今後
政府はなすべき援助は大いにして行かなくちやならぬとは思いまするが、需要供給の
関係もあります。今日の航空運賃は非常に高過ぎるという声もよく耳にいたすのでありますし、その他のサービスにおいて非常に改善すべき点が多々あることは私も確認しております。要するに検査
設備、修繕工場なしに仕事をや
つておるということが、最も欠陥の大なる原因だと思うのであります。これについても
講和條約発効の時期を待
つておれぬ問題だと思いますので、数目前に、特別の措置を講ずることを認めてくれという書面を、実は連合国軍に発送したような次第でありまして、多分今までの内談によりまして、許されることと期待いたしておるのであります。
なおお尋ねの今後の問題につきましても、もちろん、航空路の拡張ということは必要だと思うのであります。一般の民間の希望に沿
つて、適当なコースをふやして行かなければならぬと思うのであります。しかし第二会社、第三会社を認めるということは、
法律は認めておりましても、この企業の実態からいたしまして、とてもそろばんに乗らないと思うのであります。しかしながらそれは時期の問題じやないかと
考えます。ある時期まで至りまして、需要が多くなれば、同一の航空路に二つのラインが動いても、ちつともさしつかえないのじやないかと
考えるのであります。飛行場の運営についても、幾多の準備が必要だと思います。また航空路の拡張につきましても、航空燈台の設置、標識の設置の問題、飛行場の運営でも、ラジオ・ビーコンの施設でありますとか、あるいは有線、無線の通信施設等、いろいろ必要といたすのでありまして、将来航空を自主的に発達せしめるにつきましては、幾多の措置を急いでなさなければならぬようであります。
次に観光についてでありますが、戰前にニューヨークまたはヨーロッパの方に宣伝事務所を持
つてお
つたのであります。その後長きにわた
つて閉鎖いたして、今日に至
つておるのであります。少くともツーリストのマーケットでありますニユーヨークヘ宣伝事務所を持ちたい、同種にいろいろ
日本にや
つて来る人のあつせん、また日程の相談に乗り、旅費の相談に乗るということもぜひなして、安心して
日本に渡来せられるようにしなければならぬと思います。またアメリカでも、御
承知のように在外事務所が各地に設けられておりまして、これらの外務省の所属員も、いろいろ宣言については
協力を願うことができるのであります。ただいろいろ込み入
つたインフオーメーシヨンを求められると、一々
日本に電報することはできないので、せめて一箇所でも米国の市内に宣伝事務所がほしいという話も、前から聞いておりまして、この点につきましても辛うじてニユーヨークに一箇所設ける。もちろん三千万円ぐらいの金では、あるいは屋根裏に近いようなオフィスじやないかと
考えますが、まずも
つて一石をそこに置いたという
考えで、来
年度からスタートを切りたいと
考えております。
なお受入れ態勢についての御
意見がございましたが、今のとこは観光事務については
運輸省が所管しておりますが、観光地点と申しますと、東京とか横浜あるいは京都、大阪とかいう都市内の観光を除きますと、大体において国立公園と密接な関連があります。その国立公園が今のところは厚生省の所管に相な
つております。また国立公園内のドライヴ・ウエイその他の道路という問題にな
つて参りますと、
建設省の所管にな
つておるというような次第で、来
年度の
予算に賃取り道路費として十五億を計上されておりまするが、これは主として箱根、日光の中における観光道路の
建設費に充当することにな
つております。特に伊勢、志摩国立公園のごときは、ほとんど自動車をかる道路がないと言
つていいくらいで、どうも
現状ではあすこをツーリストによく理解してもらう、楽んでもらうことができない
事情にな
つております。すこぶる遺憾でありまするが、とにかく今後は、所管はどこであろうとも、そういう点に力を十分いたして、受入れ態勢を整えて行きたい。
また
日本ではガイドというものに、ツーリストは相当悩まされる。ガイドにつきましては、もとより試験をし、登録せしめ、また常時種々のインフオーメーシヨンを與え、時勢に遅れないように、教養もガイド組合を通してや
つておることは事実でありまするが、とにもかくにも一日千円という給料、それから宿泊料をツーリストが負担せなければならぬということで、
日本の旅行は非常にアトラクテイヴではあるけれ
ども、旅費が高くつくという非難をしよつちゆう聞いておる。これを安からしめることが第一であるが、ホテルが足りない。需要供給の
関係で、ホテルの宿泊料が高いということが原因だと思います。要するにいろいろの施設も必要でありますが、半面において旅費を安からしめるという措置を講ずることも、きわめて大事な点だと
思つておるのであります。そういう線に沿
つて、今後微力ながら力をいたしたいと
思つておるような次第でございます。
それから新線の順位について
お話があ
つたと思います。撤去線あるいは中止線のみをとるのではないかというふうに御理解にな
つているやに、私間違いかもしれませんが、お聞きいたしたのであります。これは撤去線を第一にするとか、次には
工事中止の線を拾うとか、こういうことはおそらくないと思います。あるいは未着手の
建設線をとらえる場合もありましようし、またさらに進んで、今まで予定線でもないところが情勢の変化によ
つて非常に必要だということになれば、もちろん
審議会で採用になることと私は信じておるのであります。要するに現段階において最も必要なところという点を選定せられると思いますし、またぜひそういうことにお願いをしたいと私は
考えておるのであります。