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1951-11-02 第12回国会 参議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二日(金曜日)    午前十一時二分開会   —————————————   委員の異動 十月二十九日委員早川愼一君辞任につ き、その補欠として高田寛君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中村 正雄君    理事            一松 政二君            原  虎一君    委員            大屋 晋三君            宮田 重文君            赤松 常子君            重盛 壽治君            椿  繁夫君            堀木 鎌三君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件連合委員会開会の件 ○派遣議員報告   —————————————
  2. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 只今から会議を開きます。  議題に入る前に御報告いたしますが、先般来審議いたしておりました国、鉄の賃金問題に関する争議は、双方から仲裁委員会に対しまして仲裁の取下をやりましたので、一応仲裁委員会関係労使双方団体交渉に移行されましたので、この点御報告いたしておきます。  なお本日の議題連合審査に関する件でございますが、去る十月二十六日の委員会におきまして、専売裁定に関する公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に基き国会の議決を求める件を本委員会に付託されるよう議長に申入れすることに決定いたしまして、その手続をいたしましたわけでありますが、この件につきましては、十月三十一日の議院運営委員会におきまして論議せられ、その結果大蔵委員会に付託されることに決定いたしました。従つて専売裁定に関する問題につきまして、本労働委員会大蔵委員会との連合委員会開会要求いたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村正雄

    委員長中村正雄君) この連合委員会につきまして、事務当局大蔵関係常任委員会と打合せいたしたわけでありますが、一応日取りを打合せいたしましたので、御承認を願いたいと思います。本日の午後一時から政府側より提案理由説明及び裁定前後の経過説明を求めるように大蔵委員会のほうと打合せいたしております。それから来る五日月曜日これに関係いたしまする参考人の出頭を求めまして、その意見を聞くと同時に質疑をするという、大体二日間の日程を打合せいたしましたので御了承願いたいと思います。  次に、先般成規国会に提案されておりました定員法改正に関する法律でありますが、これも当委員会関係がありますので、連合審査要求をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 連合審査日取りにつきましては、一応内閣委員会と打合せをする関係もありますので、委員長に御一任願つて異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村正雄

    委員長中村正雄君) さように決定いたします。   —————————————
  6. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それから去る七月労働行政実情に関する調査並びに労働関係法規改廃問題に関する調査のため、三班に分れ九州、四国、関西北陸方面に本委員会委員が派遣されましたが、視察調査状況を御報告願いたいと思います。先ず関西中国方面労働事情調査して来られた原委員の御報告を求めます。
  7. 原虎一

    原虎一君 去る六月二十四日から七月一日までの一週間、堀木委員及び堀委員と共に労働関係法規改廃問題に関する調査並びに労働行政実情に関する調査のため、大阪兵庫岡山の一府二県に参つたのでありますが、以下その概要を御報告いたします。  先ず労働関係法規改正問題が、現地においてどう響いておるかでありますが、全般的に見て法改正を強く要望しているのは経営者側でありまして、反対労組側挙つて改悪反耐の態度を強調していることは勿論であります。特に経営者側で熱心に改正を主張していたのは基準法に関してでありまして、それは大企業よりもむしろ中小企業において強く叫ばれておりました。改正要望の最も強かつた点は、時間外割増金二五%(同法第三十七条)の問題でありまして、例えば日本染織工業岸和田工場、これは従業員百十一名、内女子九十一名という規模から申しますと、中工場でありますが、そこでは一ヤール当り加工賃が終戦当時一円二十銭だつたのが、二十二年には五円、二十四年には十五円に上つたが、それから以後は低下を続け、現在は四円にまで下つておる。ところで本年一カ月の同工場の総経費が百四十万円で、そのうち人件費が七十五万円で、総経費の半分以上を人件費で占めている。こういう中小企業が大企業と競争するためには、勢い従業員の時間外労働延長による単位当りコスト引下げ以外には道はないわけですが、それにもかかわらず、加工賃只今申上げたように低落している有様だから、現行割増率二五%では、すでに経費負担限界線に来ていると、その工場長が訴えておりました。中工場でさえこうでありますから、いわんやそれ以下の小工場では更に割増率引下げ要望の強いことが想像されるわけであります。ところがこの問題は単に中小企業だけでなく、神戸製鋼や三井玉野造船所あたりの大企業でも二五%割増率引下げを強く要望しているのに驚いたわけであります。その理由として、玉野造船所経営者の言うところによりますと、労働八時間制は業種により適不適がある。例えば造船業においては徹夜することもあれば手待ち時間も多く、平均して従業員がフルに働いていることは少なく、実際には三時間乃至四時間程度働いていることになつている。従つて現在時間外労働平均が二時間もあることは不自然で、これは明らかに従業員が時間外割増金二五%を獲得したいために無理やりに残業を希望しているという恰好になつている。故に二五%の割増金の存続は、いたずらに従業員に不当な時間外労働を許すのみならず、従業員自身の健康をも害する結果となるから、少くとも二五%の金率はこの際引下げるべきだというのでありました。  その他、基準法改正要望された点としては、  (1)八時間労働制は、中小工場にとつては大工場との競争上苛酷だから、時間延長を考慮して欲しいということで、これは前述の日本染織岸和田工場が強く主張していた。  (2)女子労働者の休日労働禁止、時間外労働の制限や年少者の深夜作業禁止などは、それが軽易労働に関する限り緩和すべきで、それは女子就職機会を多くする好結果をもたらすという意見で、これは神戸製鋼所でも、又岡山下労資懇談会の席上でも、経営者側から主張されていた。  (3)又男女同一賃金制は再検討すべしという意見。  (4)解雇予告通知期間一ヶ月前の規定は長きに過ぎるし、又解雇予告手当算定基礎も、平均賃金によらず、健康保険法のごとき標準報酬による算定方式改正すべしという意見。  (5)法第十二条では平均賃金が、過去三ヵ月間の平均賃金、即ち三ヵ月間にその労働者に対し支払われた賃金総額をその期間の総日数で除した金額となつているが、この場合、時間外手当は除外する必要があるという意見。  (6)時間外手当労働協約期間三カ月は六ヶ月に延長すべきだという意見。  (7)年次有給休暇規定について、その買上げを主張する向があるが、有給休暇請求権と考えてよいかどうかは疑問であるという意見。  (8)日傭労務者解雇予告手当支給例外規定はすべて不要であるという意見。  などがありましたが、こうした経営者側改正要望は別段事新らしいことでもありませんので、このくらいにいたしまして、ただ同じ経営者側でも、それは東洋紡春木工場、それは従業員六百七十名、内女子五百五十名でありましたが、そこでは基準法労働者保護法である以上は、そこに多少手続上の煩鎖な問題があつても、現状においては改正すべきではないという意見を主張されていたことを申添えておきます。  次に労働組合法改正要望された点としては、先ず不当労働行為団体交渉その他について使用者のみに強く課せられているのは、労資対等立場からみて当然労組側に対しても課すべきだという意見がどこでも聞かせられたのであります。併しそれよりも問題は、不当労働行為の判決に二年も三年もかかるような現状では困るといつた声、これは要するに現在の労働委員会制度を更に拡充強化せよという議論にもなるわけですが、この点については労使双方から強い要望が出ておりました。  又労調法については、岡山で開いた労資懇談会の席上でありましたが、経営者側代表から、過去の電産ストが他産業に甚大な損害を及ぼした事実を指摘して、公益事業争議行為に関する規定をもつと明確にすべしという意見が出たのに対して、労組側代表から、公益事業の枠を拡げるような措置には反対だという意見と共に、労調法に限らず、労働法規全般について政令諮問委員会といつたような所で、何か国民の知らぬ間に重大な改正問題を考えてるような行き方には絶対承服できないといつた主張が、強く叫ばれておりました。  労働法規改正のことを申上げたついでに、現行職業安定法についても、改正要望されている点がありましたので、御報告いたしますと、同法施行規則第四項にありまする「請負業者資格規準に関する規定」は、これを全部削除して欲しいということでありました。この要望三井玉野造船所の重役の方が特に主張されていたのでありますが、それは職安法労働ボス廃除の精神から生れたものであることは充分諒承するが、現在の造船業のように、作業に波の多い業種においては請負業者仕事をさせる場合が多いのだが、現在のように請負業者資格規準の認定が各県の職安によつてまちまちで不統一であることは、仕事の進行を大いに阻害するから削除して欲しいということでありました。  次に朝鮮動乱による雇傭状況の変化についてでありますが、結論から申しますと、企業整備は僅かながら減退の傾向を辿り、賃金不払も大分少くなり、求人数が幾らか増加した半面、求職数が減少しているというのが現状であります。即ち兵庫県を例にとりますと、企業整備は、昨年の七月の九件、三百九十人を頂点として、それ以後においては動乱前に多かつた紡績製材木製品工業朝鮮特需によつて企業整備がなくなり、あとは化学、食料品工業等の非特需産業及び機器工業の一部に企業整備が行われているが、件数、人員ともに漸減して、本年四月現在では、四件、九十五人という数字を示しております。このことは、地方において賃金不払件数の減少ともつて現れておるのですが、併しながら、その速度は極めて緩漫でありまして、結局大阪兵庫岡山を中心とする阪神地区産業は、特需産業を除いて、全般的には朝鮮動乱による好影響ということもさほどではなく、従つて只今のところこれが失業問題の解決に寄与するなどということからは程遠いという感じをもつた次第であります。つまり、各企業とも、今後の経済の見通しに対する不安感から、成るだけ雇傭を差し控えておるようで、朝鮮特需に対しても、これを雇傭量増加によらず、専ら労働生産性向上で賄うという方向をとつておるようで、例えば神戸製鋼所では、動乱以来、労働生産性が1〇%増大したと申しておりました。ただこれに関連して臨時工の問題、でありますが、現に中山製鋼所あたりでは臨時工雇傭が若干行われておるが、それも漸次本工に切替えられて、現在日々雇入れ平均五十名程度で、それは全部雑役関係だということでした。  先国会労災保険法の一部改正が行われ、いわゆるメリット制が採用されることになつたのですが、その結果どのような影響が起つてるかということも、今後の調査対象の一つであつたわけですが、この件については岡山県で次のような報告を受けました。大体、岡山県下におなるメリット制対象事業場数は百十五件で、保険料増加するものが三十五件、変更のないもの九件、減少するもの七十一件、差引保険料において、二百六十七万円の増徴となる見込だということでした。そしてこれら対象事業場の中には、熱心に問合せなどして労災保険災害とが一体不可分の関係に立つていることを認識したと見受けられるものが相当数あるが、今後災害防止にどの程度努力を払うか、又その結果災害がどの程度減少するか等については、実施後間もないことでもあり、まだ十分判断がつかぬということでした。  次に就労状況はどうかと見ますと、各県とも、求職者に対する就職率は昨年七月から漸次好転しております。而してこの就職率上昇傾向は、常傭よりも日雇関係において一層顕著でありまして、これら就職者が吸収された先は、連合国軍要員機械器具自動車修理紡績工場に次いで鉄鋼、造船等となつております。なお日雇就労状況について岡山県下の場合を見ますと、それは本年三月のことですが、失業対策事業に三万七千五百四十七名、公共事業に二万一千九名、民間事業に二万三千四百八十九名、その他に三千二百五十六名となつて失業対策事業に就労した者の数が断然多い。これは公共事業が年度の関係によつて時期的ズレを生じ、今までこれらに就労していた労務者も止むを得ず失業対策事業に依存する結果によることと、一面には地方財政の窮迫によつてその実施足踏み状態にあることによるものと思われます。更にこのことは、現在やつている公共事業自体の中に幾つかの隘路のあることを示すもので、例えば一、事業現場安定所所在地から遠隔のものが多いが、これは失業対策面から見れば、できるだけ失業者が集合し易い地域の事業を優先的に取上げるような工夫が必要であるし、又、二、賃金支払が月二回又は三回払いのものが多いが、これを日傭労務者の希望する短縮払に改めるためには、職員の補充や金融方法の配慮が必要だし、三、手持労務者を抱えている請負業者請負工事が多いために、失業者吸収数が減つている事実、かうした事情について、政府当局ももつと考えて欲しいということでした。  ここでちよつと労資関係について申上げますと、昨年のレッドパージ以降、労働争議が激減しておりまして、この限りでは労資関係は比較的平静だということができます。私ども視察に行つて調べたところでは、組合夏期手当要求三ヵ月分に対し、大体平均一ヵ月乃至一ヵ月半分で解決しており、それも経営者の方が、組合要求に先んじて支給しているところもありました。  ついでに賃金の大体のところを申上げますと、勿論業種によつてアン・バランスがあるわけですが、金属、繊維関係等いわゆる朝鮮ブームによつて潤つているところでは、一般賃金水準より上廻つてることも事実でありまして、例えば五月現在の一般平均賃金が一万一千円足らずであるのに対し、神戸製綱所は一万三、四千円で、その家族年齢構成扶養家族三人、三十一歳であり、中山製綱所は税込で一万八千円、これは扶養家族二・五人・二八・七歳東洋紡春木工場の場合では男子一万四千四百五十二円となつております。  それから私たちが今回の視察変つた調査をやつたのですが、それは昨年のレッドパージ後における被パージ者の動向がどうなつているかという問題であります。一々数字を挙げて申上げるのもどうかと思いますので、その概要を申しますと、総体的には日傭労務者となる傾向が少く、大部分が何とか自活の道を見出そうとして奔走していることは被解雇者中の失業者の比率が大阪府では三一・八%人数にして三百九十名、岡山県では三九・二%四十九名とそれぞれ被パージ者の中で最も大きい率を示していることによつて明らかであります。失業者に次いでは自営商人なつたもの、個人的関係によつて再就職したものとなつていますが、大阪府の場合、専門的に党活動に従事しているものが一四・一%百二十八名と比較的多い点が注目されたことでした。  最後に、岡山兵庫労働金庫状況を御報告いたしますと、岡山勤労者信用組合、略称で岡山労働金庫と呼ぶわけですが、これは我が国最初労働金庫として昨年九月業務を開始し、又兵庫県の労働金庫は同年十二月に発足したものですが、両金庫とも経営状況はおおむね順調で、貸付金焦げつきも殆んどなく、預金も漸増しております。  いま例を岡山労働金庫にとつてみますと、五月末現在による組合員は四百三十一人、出資金は三百三十九万円で、第一次目標額の三百万をすでに上廻つており、労働組合として参加しているもの七十三組合、その構成組合員は約五万六千名に達しておる。又五月末における預金総額は三千百一万円、貸出金額は二千二百八十二万円であるが、預金については毎月平均三百五十万円程度増加を見、第一段階の目標額三千万円を突破し、更に本年末までには、五千万円ないし七千万円の預金吸収も可能と意気込んでおりました。兵庫の場合も規模こそ違えほぼ同様の好況ぶりで両金庫とも主として中小企業賃金欠払に対する労働者への貸付労働者生活保護目的を以て預金定期積立受入れ等を行い、各労組よりの支持も増大する有様でした。なお今後に課せられた問題としては、(1)出資金増額、(2)預金増額、(3)貸付の適正が挙げられるようで、金庫当事者要望事項としては(一)労働金庫法といつた従来の中小企業等協同組合法によらぬ単行法の制定、(二)おいおい各府県に労働金庫が設定される状況を見込んで中央労働金庫の設置、といつたことが要望されておりました。  以上甚だ簡単ですが、関西中国視察報告を終ります。
  8. 中村正雄

    委員長中村正雄君) それでは、次に、関西北陸方面に行かれました赤松委員の御報告を求めます。
  9. 赤松常子

    赤松常子君 七月十五日より一週間にわたつて滋賀県、福井県の労働事情調査して参りましたので、其の経過を簡単に御報告いたします。  議員派遣調査目的は他の二班と同様、労働関係法規改廃問題と労働行政実情に関するものでありますが、本班は、特に近江絹糸株式会社彦根工場に関する労働問題について調査いたして参りました。  調査方法といたしましては、工場事業場視察労使懇談会県庁地方労働基準局よりの事情説明等、それぞれの目的に適応した方法をもちまして調査して参つたのでありますが、所期の目的を十分に果し得ましたことは、ひとえに調査にあたつて便宜や御援助を与えて下さつた関係各位の御協力のおかげでございまして、顧みてここに改めて厚く御礼を申上げたいと思います。  さて、調査概況に入りますが、先づ滋賀県、次いで福井県の順に視察して参りましたので、それに従いまして御報告いたしたいと思いますが、懇談会状況につきましては他の二班と重複いたす点もありますので、問題点だけをとりまして、最後に一括していたすことにいたしたいと思います。  滋賀県におきましては、ニカ所労使懇談会を開き、三カ所の工場施設を視せて頂いたのでありますが、その内昭和工業株式会社近江絹糸とは基準法施行企業活動に与える影響について、或いは労働関係特殊性についてそれぞれ問題がありますので、これにつきましてお話申上げます。昭和工業は、大津市におきまして、二硫化炭素を製造する工場でございましたが、資本金六百万円、従業員約百名前後の中企業でございます。現行基準法日本産業の現情に相応するものであるかどうか、非常に疑問であるということは、従来から一部使用者側方々によつて主張されて参り、その欠点がいろいろな面から指摘され、遂には基準法生産復興一大障害物のように言われて来たのでございます。それでは、果して日本産業にとつて基準法生産を常に減退させ、企業の存立をおびやかすものでありましようか。昭和工業の場合は、これに対しまして、非常に面白い回答を与えておるのであります。即ち昭和工業基準法を厳正に遵守することによりまして、前に申上げました所説とは反対生産が上昇し、非常な利益を挙げることができたのであります。少し詳しく申述べますと、この工場は、以前は有害ガス処理施設が悪く、そのために作業場には有害ガスが漏出し、又附近の農作物には甚大な被害を与えておつたのでありますが、基準局の再三の指示、助言、指導により、不可能と考えられていました施設改善が行われたであります。その結果、漏出ガスの利用により、生産は従前より月間の総増量二六・三キロとなり、金額に換算して、約九十四万円利益増となつたのであります。施設改善費は約百五十三万円でございますから、年間を通じて考えますと、非常に会社の経営に寄与いたしているわけでありますが、この他、瓦斯中毒者の激減による労働生産性向上農作物に対する被害賠償額軽減等、幾多の利益を収めたのであります。  基準法改訂国際信用其の他の関係で非常な困難な面を持つておりますし、いわんや定員予算の削減によつて実質的に無力化するなどは絶対に許されないところであります。従来から企業合理化は常に労働者の犠牲において行われ、合理化といえば人員整理労働条件の切下げが叫ばれ、且つ、基準法が云々されて来たのでありますが、企業家におかれても、こういう施設改善による産業合理化という点に積極性を持たれ、又政府においてもそのため必要な中小企業に対する金融政策を確立し、国民経済の発展を御考慮願いたいと思います。基準法による最低基準引下げねば産業発達興隆がないというような一部の世論を過大に評価することなく、労働者利益保護、延いては日本民主化という基本問題に立入つて問題を慎重に考えて頂かねばならないのではないかということを痛感いたした次第であります。  次に、近江絹糸彦根工場の問題に移ります。近江絹糸彦根工場はすでに委員方々も御存じのことと思うのでありますが、去る六月三日工場附属施設の講堂いわゆる仏間でございますが、ここにおきまして、新入工員観迎会を開き、映画を上映中のところ、フイルムの加熱から火災を生じ、これが原因となりまして、二十三名の死者、百六十七名の重軽傷者を出すという不祥事件をひき起したのであります。私たち一行はこの事件が、単に偶発的なものでなく、不明朗な労使関係の累積の結果、又はこれに関連をもつものではないかというような、風説を耳にしましたので、調査の必要を感じ、出向いた次第でありますが、いうまでもなく調査は公正な立場から行はれなくてはならないので、予見にとらわれて誤つた判断をいたすようなことなく、この点は十分注意いたして調査いたしたのでございます。  彦根工場スフ糸、綿糸、絹紡糸、紬糸を製造し、従業員は三千八百十六名そのうち男子八百七十一名、女子二千九百四十五名で女子のうち十八歳以上と以下とはそれぞれ半々でございます。六月三日の不詳事件は非常に多数の死傷者を出し、被害者並び関係者の身の上を考えると、今後再びかような事件を発生せしむることのないよう各方面において取上げられなくてはならない重大問題であります。現行法上の問題といたしては、刑法の過失致死傷害罪基準法上は、第四十三条の違反が考えられ、これにつきましては、それぞれの行政機関において適当な措置が現在とられておるのでありますが、私ども一番痛感いたしましたことは、発生した災害の前後措置、或いは責任者の追及より、発生を未然に防止するためにもつと適切な方法があるのではないかと考えられることであります。施設、管理、集団行動指導等、いろいろな不備な面が実際に見て来て気がつくのでありますが、立法上、労働者保護立場から再検討を要するのではないかと思つたのであります。  次に労使関係の問題について県庁基準局等でお聞きいたしました二、三の事項について申上げますと、関係の係官は、近江絹糸労働関係が非常に近代化されていなかつたことを指摘しておりました。具体的な事例につきましては、いろいろと調査上の困難がありますので、寄宿舎生活が厳格で逃亡する者があるとか、業務上の懲戒として外出を禁止するとか、社内において労働運動を行なつた者を馘首するとか等いろいろな噂を聞くのでありますが、これらは今後よく検討してみることとして、一般的、総合的に見て、係官の指摘された点が十分了解できるのであります。彦根工場従業員組合は、視察の当時外部の民主的な組合との連絡は全くなく、同行の中村委員長組合長との懇談においてもこの点が取上げられ、何故法内組合として、労組法、労調法上の利益を受けないのかとの質問についても、法内組合となつて会社に対立する必要がないというような見当はずれの回答をし、全く労働法に対する理解を欠いているように考えられた次第でありますが、このようなことも、係官の述べました事情を裏書きしているのではないかと思います。  近江絹糸は、彦根工場のほか各地に工場を持つておりますが、これに関連いたしまして、県の労働政策と工場誘致の問題がありますので、これについて申述べます。即ち、一つの県が労働政策の面で非常に厳格であると、大きな企業で各地に工場を持つているような所では、新設、増設等の場合、他の府県に力を入れて、漸次施設の移動が行われるというような事態が惹起される傾向があります。勿論、労働施策という一条件のみが、かかる現象を惹き起すのではありませんが、立地条件が同じなら自然かような傾向をとるのは当然でありまして、労働保護の政策というものは、全国画一でなくてはならないのではないかと思います。この点は基準行政の地方移譲の問題とも関連を有しますので、立法上、十分考慮する必要があるということが近江絹糸に参りまして、痛切に感ぜられたのであります。  福井県においては、敦賀市、武生市、福井市の三カ所を視察し、敦賀市においては東洋紡、港湾荷役、武生においては西野製紙、信越化学、福井においては、酒井繊維、酒井製練等の工場施設労働事情調査しました。東洋紡の病院施設の完備しておることは、特に注意をひきました。以上のほか、両県において、中小繊維工場、機械工場視察して参りましたが、中小企業経済力が弱く、企業の近代化が十分行はれず、経営者基準法に対する理解の不十分な面も見られましたが、監督官の指示に従つて着々これ等企業にも法の浸透して行くのを目のあたり見て来まして、今後もこの方向に積極的に推進して参りたいと考えました。基準法に不馴れなため、非常に厄介に考えていたが、馴れてみれば、大したこともないというように申している経営者もありましたが、中小業者においては未だ法を充分認識していない向きもありますので、その周知徹底のために基準局関係の人員、予算を増加して、教育指導を盛んにすることが是非必要ではないかということを痛感しました。この点は昨今の一般傾向に反するかもわかりませんが、このような重要な国家的業務については、特別に取扱うような措置が講ぜられなくてはならないと思います。  次に労使懇談会における懇談の経過について極く簡単に申上げます。懇談会滋賀県で二回、福井県で一回持つたのでありますが、大津市で開会したときは使用者側代表の方が出席せず低調であつた他は、多数の人々が参加され、極めて盛大に且つ積極的な意見が開陳されました。懇談会議題労働法規改廃問題に関する意見でありますが、会議経過を翻つて考えてみますと、論議は基準法に集中され、これをめぐつて積極的に意見が交されました。問題となつた点は、中小企業に対する法の適用除外の問題、断続的業務に対する労働時間制限緩和の問題、残業歩増低率化の問題、年次有給休暇の買上げ、或は打切りの問題、女子年少者の就業制限、労働時間の制限緩和、生理休暇の問題、平均賃金の計算の簡易化の問題、官庁に対する届出許可手続の簡素化の問題等が、主たるものであります。これらの問題は、経営者側において問題とされて来た点でありまして、従来からとかく議論されて参りましたので、懇談会においても必然的に論議の対象となつたものと考えられます。一般的に言つて労働者は、労働法に手をつけることは絶対に反対であつて、今までの政府のやり方が改正の各にかくれまして実際には改悪をやつていることを指摘し、又改正手続の非民主的な点を特に懸念しておりました。  特に基準法に関しましては、基準法が外国に例をみない高度なものであり、日本産業水準からみると非常に贅沢過ぎるものだという経営者側の態度に対しまして、外国においては社会保障制度が相当進んでおり、労働基準に関する法規もその中で適当な地位を占めているのであつて、ただ単に基準法のみを取上げて、非難するのは、妥当でない。又日本経済が戦前に比べてかなり復興しているにもかかわらず、賃金はそれに伴わず、労働者は、低賃金を押し付けられておつて、而もこのような現状において、基準法を改悪しようという意図が一部にありますことは、全く遺憾であるということを強調し、産業の発展が労働者の負担によつて行われた過去の行き方と違つた方向において、産業経済の復興を行う態勢を整えることを主張しておりました。  これに対して経営者側におきましては、戦争で国民経済が破壊され、国民全部が貧乏になつたのだから、労働者もその点を目覚し、産業復興に協力しなくてはならないのであつて、その点からいえば基準法を現実に適応するよう改正される必要があるとのことでありました。個々の問題点に関する意見については、御質問に応じて後にお答えすることとして、懇談会を通じて感じましたことは、社会関係における婦人の地位が非常に低く、これは是非何とかしなくてはならないと考えたことであります。  世論の一部においては、婦人の啓蒙、保護に関する機関、或いは、法律等を無用視し、これを縮少し、且つ廃止しようとする傾向が見られます。例えばついこの間まで問題となつて騒がれてお、りました婦人少年局の廃止問題、或いは婦人少年に対する労働基準を緩和せよというがごとき主張がこれであります。  私は終戦後まだ幾ばくもたたないのに、このような時代逆行の声の起りつつあることは誠に遺憾なことでありまして、どうか今まで以上に強力に積極的に婦人解放の施策が推進されることを切に希望いたすものであります。  次に地方において承わつて来た要望事項について申上げたいと思いますが、時聞の関係もあり、又他の班とも大体同様でございますので、これを省略することとし、簡単ながら、視察報告を終ります。
  10. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では最後に四国班の宮田委員の御報告を求めます。
  11. 宮田重文

    ○宮田重文君 私ども一行は労働委員会第三班として、労働関係法規改廃問題に関する調査並びに労働行政実情に関する調査のため、去る七月二日からかれこれ一週間に亘つて、高知、香川及び愛媛と云う順に各県下の労働事情を実地に視察いたして参りました。時間の関係等もございますので、いずれ資料を御覧になつて頂くか、或いは後刻御質問に応じてお答えすることとし、ここでは簡単に労働法規の改正問題に対する現地での意見をお伝えいたし、なおそれに附け加えまして労働行政の衝に当つている係官からの要望事項を若干申述べてみたいと思います。  まず労働諸法規の改正につきまして、たまたま労使懇談会の席上で表明された労使双方の総括的な意見から御報告申上げますと、労働者側では三法の改正は、政府がリ声明に便乗して、労働組合の無力化を企図したものであつて労働者の犠牲において、日米経済協力を強行しようとするものである。として、改廃には全面的に反対しておりましたが、これに対して使用者側は基本的には民主化の線に逆行するものであつてはならないが、国民経済実情から見れば現行法には多分に不適当な条項もあるので、改善の必要がある。として賛成しておりました。  次に、労働三法を部門別にしてそれぞれに対する改正意見を要約して、申上げます。  第一に労働基準法に関して、使用者側の主だつた意見を取りまとめて御報告いたしますと、  適用事業の範囲については従業員十人以上又は三十人以上の事業場に限定し、なお又業種別による適用の除外例を設けるようにする。  賃金関係では平均賃金算定基礎を基準賃金のみとし取扱いを簡明にするような方法を講ずる。  解雇制限関係においては、法第十九条の但書中に゛労働者の責に帰すべき事由に基く場合゛を追加することとし、行政官庁の認定を不要のものとし当事者の自治に委ねるように改正する。  解雇予告関係では、解雇予告期間一ヵ月は失業保険制度の完備した現在においては長過ぎるから短縮する。又退職者には退職予告の義務を課する。  労働時間及び割増賃金関係としましては、現行労働時間の実質的延長を計ると共に、なお又業種別による特例を設ける。  時間外割増については、割増率は一定せず、単に割増賃金支払義務のみを課することにする。  時間外及び休日労働の協定については、現行期間三ヶ月は短かいから之を六カ月乃至は一年に延長するよう改正する。労働時間及び休憩の特例に関する適用範囲を業務内容に応じて拡張する。  女子労働時間及び休日に関しては、軽作業又は事務労働については特例を設けるようにする。  年次有給休暇関係としては、買上制度を採用し休暇請求権の次年度繰越は認めないようにする、又休暇日数は十日位におさえてよいと思う。  生理休暇関係については、諸外国にも例がなく悪用される事例が多いから削除する。  制裁規定関係では、現行規定は余りに厳重だから国家公務員の懲戒同様に改める。  労基法に対する使用者側の言い分はおよそ以上の通りでありますが、なお、このほかに監督官庁に対する諸手続が繁雑過ぎる傾向があるから、もう少し簡素化してもらいたいという意見もままございました。  次に労働者側からのこれに対する代表意見を申上げますと。 一、適用事業の範囲は事業の内容如何で改正すべきで規模によつてはならない。 一、中小企業ではともすれば経営に支障を来たすと称して団体協約及び就業規則で規定されている事項が守られないでいる事実も少くない。基準法は、飽くまでも厳守されるべきである。 一、賃金遅払については支払を確保するに有効強力の規定を設けよ。 一、八時間労働は世界の基準線であり、ノルマの算定は労使双方が科学的分析によつて決定すべきである。又労働時間の延長は却つて失業者が殖え、雇用量の減少を来たすから賛成できない。 一、時間延長及び婦人の超過労働はとりわけ中小企業においては殆んど等閑に附され、基準法の裏を欠いて悪用する傾向があるから十分留意すべきである。又時間外及び休日労働の協定が履行されず一年間も休暇が与えられない所もあり、現状に即した強力な措置が欲しい。 一、八時間労働は能率的にやれば十分であつて、超過勤務は原則的には反対である。 一、年次有給休暇の総日数を減らす等の考え方には反対であり、むしろ休暇は作業すること自体以上に本質的には大切である。民族の平均寿命を高める本旨で設定された有給休暇を金で買上げるとは以てのほかである。 一、産前産後の休暇については、人工流産についても認めるよう保護規定を設けるべきである。 一、零細企業等では従業員にも十分生理体假を認めて行くため特別の措置が必要である。 一、解雇予告期間は予告後別途就職に要する期間を考慮するならば、三十日は確保しておきたい。 一、監督官庁に対する諸手続の簡素化は原則的には賛成である。  以上が労基法に対する労働者側の代表意見でありました。  なお生理休暇及び年少労働者の年齢引下げ問題に関しましては、別に出先の係官から意見もございましたので、参考までに申し添えますと、  先ず生理休暇については、通常三日乃至五日の範囲で実施されているが、中には全然認められないままに過している事業場もあると聞いている。婦人の保護という意味からも既得権は保持したい。又立ち作業には必要を認めるが、事務系統は必要ないと主張する向が多いが、全般的には残した方が結果的にみてもよいと申しておりました。  次に年少労働者の年齢引下げ問題としましては、労基法で規定する満十八歳以上の年齢条件は必ずしも妥当性を有するとは一概には言えない。貧困家庭では年齢の引下げ要望する声が強いし、体力的に労働に堪え得る年少労働者の活用は或る種の保護規定を設けて開いてやつたほうが実情に即すると思う。  それでは次に労働組合法及び労働関係調整法についての労使双方意見を若干拾い上げて御報告申上げることにします。  先ず労組関係から申し上げますと。 一、交渉単位制の採用に関しては、労使双方とも制度そのものに対する認識の浅いことと、何分にも未経験のため、傍観的意向が窺われましたが、殊に労働者側では、日本労働組合はその発展過程がアメリカと異り、交渉單位制を取り入れることは、幾多の混乱と組合御用化を助長するだけで望ましくないとのことでありました。 一、不当労働行為の取扱いに関しては、労働者側より不当労働行為の救済は労働委員会及び裁判所のいずれにも提訴し得ることによつて辛うじて目的を達成せられる現状であるから、労委の先議権を認めることは俄かに承服しがたい。又不当労働行為に関する処分の決定については、公益委員だけでなく、三者構成で行うべきであるとの意見が述べられ、これに対して経営者から労委に先議権を認めて同一事件についての無用の混乱は避けるべきである。労働者不当労働行為についても何等か規定を設けられたい。なお不当労働行為の申立期日に期限を附するべきである等との意見が提起されました。  次に労調法関係について二、三触れてみることにいたします。 一、公益事業争議に対する措置といたしましては、先ず労働者側から現行三十日の冷却期間は必要でない。ただ抜き打ち争議についてのみ何らかの規定を設ければ十分である。なお強制調査制度を採用し調査期間中の争議行為の制限をする場合は労働者の生活保障が確保されなくてはならないとの意見が述べられました。又使用者側からは現在の冷却期間は役に立たないと思われるから、何かこれに代るべきものが欲しい。又争議行為によつて公共の福祉を著しく阻害する虞れある場合、或る一定機関から差止命令が出せるような規定を設けるべきである、との意見がございました。   その他労働委員会制度とか、労働三法以外の労働関係法規として、例えば公共企業体労働関係法とか、国家公務員法等につきましても、二、三意見が取り交されましたが、一応以上を以ちまして労働関係法規改廃問題に関しての視察報告を打ち切り、引き続きまして、この際私どもが各県県庁乃至は労働省の出先機関等を紡問いたし、労働行政の担当官から特に要望されて参りました事項に関し、少しばかり触れてみたいと思います。   第一に職安及び監督署関係の予算と人員問題について申上げます。  先ず職安関係についての要望をそのままお伝えいたしますと、現在職業安定関係法令の全面実施に伴いまして、公共職業安定所における業務量は急激に増加する傾向が窺われますが、これに対する予算措置は依然として変るところがないので、業務運営上多大な支障を来たしているとのことでありました。例えば高知県のように全国稀にみる交通不便の地域では業務の遂行に当つて、旅費とか通信費その他の経費の不足をみることは想像に難くなく、若干の県費を以て補うだけでは満足な運営を望むことはおよそ至難であり、まして、この点労働省からの職業安定機関に対する予算の割当は格別の考慮を払うべきであろうと考えます。又職業安定機関の職員は各県ともその業務量に比べると極めて少人数であり、労働強化による病欠者が増加しつつある傾向が見られまして、職員の増員については非常に強く要望しておりました。  予算と人員の増加とを要望する声は労働基準監督署についても同様でありまして、参考までに愛媛労働基準局管下の監督署を例にとりまして申上げますと、愛媛では現在四十四名の監督官がおりますが、五人以上の事業場だけでも年七千くらいの事業場を監督しなくてはならず、現在のところでは、法第八条第一号乃至第五号の製造工場事業場のみの監督に重点を置いてやつているそうでありますが、それでも年一回の監督ですら満足にできない状態であるとのことであります。又現在の監督官は昔日に比べることもできない最高度の質的監督を実施しているので、完全監督をするためには、少くとも現在の三割程度の増員が必要とされ、このことは内部事務にも影響し事務職員の負担も過大になつて来ているので、監督署関係の増員を速かに実施してもらいたいとの要望が強く、又予算の点についても職安関係におけると同様の事情にありますので、何とかいたしたいと思います。なお各県婦人少年室よりも同様の意見要望がありましたこれらの点につきましては、たまたま一般行政機構の改革と人員整理が要請されている今日の客観的情勢をも勘案しなければなりませんが、その特殊事情については、特別の配慮が必要であろうかと考えます。  次に労働基準局において管轄する汽罐士、熔接上等の各種試験に要する経費及び試験検査の手数料の問題を要約して申上げます。先ず経費の問題から申上げますと、各種の試験を行うに当つては、受験者の希望に応じ、それぞれ地理的条件のよい場所を試験地と定めて実施している状況でありますが、試験地まで行く係官の旅費の裏付が殆んどなく、又試験に対する材料費とか、出来上り口の検査にも相当の経費を要するのに、その経費の裏付が少いため、各種試験の施行に少からず支障を来たしているとのことでありまして、これに対する予算措置を早急に講ぜられたいと云う要望であります。  次に手数料の問題でありますが、これは汽罐、特殊汽罐、罐体検査、汽罐熔接検査、内圧容器検査を施行することによつて、毎年相当額の少数料を徴しているのに、係官の旅費の裏付が少いため、検査に幾多の困難を生じているとのことでありまして、検査手数料として国庫に納入した額の八割程度を検査経費として、出先機関に還元してもらいたいとの要望であります。これらの要望につきましては、いずれ関係当局からも実情を聴取し、改善し得る余地があれば、早急に適切な措置をとる必要があろうかと思います。  以上簡単ではありますが、労働委員会第三班の視察報告を終ります。
  12. 中村正雄

    委員長中村正雄君) 以上で視察報告を終ります。  次に本日炭労争議経過状況等につきまして政府から説明を求めたいと思つておりましたが、大臣は講和の特別委員会に出席いたしておりますし、労政局長は出席いたしておりませんので、次回に延期いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 中村正雄

    委員長中村正雄君) ではそのようにいたします。何か御発言ありませんか。——なければ先ほど御承認得ました本日午後一時から大蔵との連合委員会がありますので、それに御出席願いたいと思います。又来たる五日午後一時から同じく大蔵委員会との連合委員会があります。なお定員法関係いたします内閣委員会との連合委員会日取りは追つて連絡することにいたしまして、本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 中村正雄

    委員長中村正雄君) では散会いたします。    午前十一時四十七分散会