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1951-11-30 第12回国会 参議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月三十日(金曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            小林 政夫君            藤野 繁雄君            佐多 忠隆君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            岩沢 忠恭君            上原 正吉君            小野 義夫君            加納 金助君            古池 信三君            白波瀬米吉君            島津 忠彦君            一松 政二君            深水 六郎君            飯島連次郎君            楠見 義男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            島村 軍次君            藤森 眞治君            前田  穰君            荒木正三郎君            内村 清次君            小林 孝平君            小酒井義男君            伊藤  修君            波多野 鼎君            松浦 清一君            山下 義信君            山田 節男君            岩木 哲夫君            鈴木 強平君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 根本龍太郎君    通商産業大臣  高橋龍太郎君    郵 政 大 臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君    労 働 大 臣 保利  茂君    建 設 大 臣 野田 卯一君    国 務 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    地方自治政務次    官       小野  哲君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告委員長報告昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出衆議院提  出) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出衆議院提  出) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣提出衆議院  提出)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会開会いたします。昨日に続きまして地方財政平衡交付金の小委員長の御報告を求めます。
  3. 内村清次

    内村清次君 地方平衡交付金委員会報告地方平衡交付金につき、更に愼重なる審議を遂げるために設けられました小委員会審議経過並びに結果を報告いたします。  本小委員会は二十六、二十七、二十八、二十九、三十日の五日間に亘つて予算委員会から付託せられました今次補正予算計上地方平衡交付金につき審議を行なつたのであります。なおこの間において一部の委員が本小委員会を代表して、関係筋地方財政の現状並びにこれに対してとるべき措置につき意見の開陳、陳情せられたことを特に附言しておきます。さて本小委員会審議に当つて大蔵大臣自治庁長官地方財政委員会委員長等関係当局を招致し、平衡交付金に関連する事項につきあらゆる角度から幾多の重要なる質疑応答を重ねたのでありまするが、時間の関係上そのうち最も重要と思われます二つの点につき御報告申上げ、他は省略さして頂きたいと思います。その二つの点とは、現行地方公務員給與国家公務員のそれより遥かに高額であるという大蔵省調査資料に関する問題と、交付金増額に関する衆参両院超党派的決議趣意により、本補正予算増額修正する考えなきや、若しありとせばその場合における地方財政運用を如何に措置するかという問題でありました。第一の点につきましては、地方財政委員会政府に対する勧告においては、地方公務員給與国家公務員給與に比し必ずしも高いとは見ておらず、又全国知事会右大蔵省調査では見本抽出形式によるもので、その不正確である点を指摘非難した陳情書を本小委員会提出してありましたので、この陳情書をめぐつて質疑応答が行われました。野村地方財政委員会委員長はこの間の質疑に対し、地方公務員給與は必ずしも国家公務員のそれに比し全体的に高いとは見ておらず、従つて大蔵省の一方的の調査によつてのみ交付金額を決定することは賛意を表しがたいとの答弁があり、又岡野地方自治庁長官は、他に適当な調査資料がない以上は不十分ながらもこの調査資料によることが穏当であるから、この資料従つて交付金金額を算定することに同意したのである。なお自治庁においては目下地方公務員給與調査を続けておるので、より正確な完全な調査資料ができ上れば、更にこれに基いた給與額改正考えられるのであるとの答弁がありました。  第二の問題につきましては、池田大蔵大臣は本予算補正において交付金増額修正することは考えておらず、併し両院決議を初め、各方面からの要望もあるから、本補正予算に計上した交付金起債承認額増額とを以て一応地方財政運用し、特に財政困難なる地方団体に対してはその要求に基いて繋ぎ資金として短期融資の途を開き、財政運用支障なからしむる措置を講じたい。而してその間大蔵省においても自治庁においても又地財委員会においても十分の調査を行い、その調査に基き更に善処したいとの答弁がありました。  以上の質疑応答から見て同じく国家機関である大蔵省地方自治庁及び地方財政委員会の間に意見の完全な一致を欠いておること、又財政困難なる個々地方団体が、短期融資繋ぎ資金により財政運用を図るのは甚だしくその健全性を欠くものなることが明らかとなりましたので、本小委員会といたしましてはこの点について最も憂慮するものであります。よつて本小委員会としては一方において国家機関意見の完全なる一致要望すると共に、政府の態度を不満とし、他方十一月十二日本院地方財政平衡交付金等増額に関する決議趣意を再確認し、政府は速かに地方財政運用支障なからしむるようの措置を講ずべきであるということを全員一致を以て結論に到達いたしました。  右御報告申上げます。以上であります。
  4. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 只今の小委員長の御報告異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないと認めます。  ここでちよつとお諮りいたしたいのですが、只今小委員長報告にありましたように、地方財政平衡交付金の問題に関しましては、自由党を除きまして緑風会を含む全野党の統一的な主張もありまして、この委員会として、又委員長としまして、今まで各委員のかたがGHQとも交渉された経過もあるわけでありますが、委員長としましても、いま一度GHQに参りまして、この地方財政平衡交付金の問題につきまして話会いをして行きたい、交渉して行きたいと思いまするので、その件を実はお許しを願いたいと思うのですが、如何でありましようか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それで実は十一時に向うが是非来てくれと言つて、もう時間が十一時になつておるので、できるだけ早く参りたいと思うので、若しもお許し願えれば、あと議事は、理事のかたに代つて頂いて進行さして頂きたいと思いますが……。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは……。   〔委員長退席理事平岡市三委員長席に着く〕
  8. 一松政二

    一松政二君 物価、給與引上げ社会保障及び減税等に関する私のほうの小委員会報告に、昨日その字句において異議の出たことは皆さん承知通りであります。そこで全員別室に集まつて頂きまして、そうして協議の結果、字句修正加除することにいたしましたから、今その点を御報告申上げます。  昨日御報告申上げました結論の二点の、第一の末尾について異議が出たわけであります。今その結論の第一の全文を申上げます。「政府提出資料に基いても国民生活水準朝鮮動乱以降低下している実態に鑑み、公務員給與引上げ予算が許せばできるだけ」という字句を昨日申上げましたのでありますが、これを削除いたしまして、「公務員給與引上げ人事院勧告の線を妥当と認める。」こういうふうに訂正をいたしまして、皆さんの御了承を得たわけであります。右御報告申上げます。
  9. 平岡市三

    理事平岡市三君) 只今一松小委員長の御報告に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 平岡市三

    理事平岡市三君) 御異議ないと認めます。
  11. 波多野鼎

    波多野鼎君 昨日予算総則ですか、修正案が出まして、ちよつと途中で退席しましたが、あれはどうなつたのですか、御報告願いたいと思います。
  12. 平岡市三

    理事平岡市三君) その件につきましては委員長が研究する、こういう答弁でそのままになつております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  13. 波多野鼎

    波多野鼎君 どこで研究するのですか。委員会で研究するのですか。
  14. 平岡市三

    理事平岡市三君) あとで何か委員長がその件について皆さんに諮られるのじやないかと思いますが、私詳しいことはわかりません。
  15. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつとその点の質問を留保しておきますから……。
  16. 平岡市三

    理事平岡市三君) それでは暫時休憩いたします。    午前十一時五分休憩    ——————————    午後二時十八分開会
  17. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会を再開いたします。皆さんたちの、委員諸公の御同意を得ましてGHQに行つて来ました御報告を私から先ず簡單にいたしたいと思います。  マーカツト代将とお会いしてお話をしたわけでありますが、先般地方財政平衡交付金の小委員会委員かたがたマーカツト氏にお会いして、そうしていろいろと話合いをされておりましたので、私といたしましてはその報告も聞いておりましたので、本日参つたのは今朝行われた小委員会結論、それと予算委員会委員会としての意思に基いて、予算委員長として実は参つたのであるが、地方財政平衡交付金の問題は、両院決議もあるし、又各方面からの要望もあるし、この問題については非常に予算委員かたがたも、或いは両院議員人たちも真剣に考えておる問題であるから、この前に地方財政委員のかたが来られたときのように、ただ財源がないから、新らしい財源さえあればというような話でなしに、今ここに新らしい財源を捻出しようとしても、それはもう各方面に実は財源というものは当つて来ておるわけであつて、新たに財源を出すという問題ではなくて、問題の本質は、むしろその財源をどの方面に使うかという問題のように思うので、そういう点について経済的に見て、財政的に見て、もう一度GHQのほうとして考慮する余地はないかということで以て話を進めて来ました。そうして例えば二百六十億の剰余金、それから平和関係処理費、インベントリー・フアイナンス、こういつたような、或いは開発銀行への出資等につきまして話を進めたわけでありまするが、その間いろいろ、と議論はいたしましたが、その議論は省略させて頂きまして、結論的に申上げますれば、結局もうすでに今述べた財源というものは一応使途もちやんときまつておるし、それを削減してどつちに振向けるということもそれぞれできがたい事情があることであるし、来年度は講和関係費用も非常に嵩んでそのほうに金も要るだろうし、そこに持つて来で今度政府減税をやつて、なお且つその上に今言つたような方法で或る項目をカツトして地方財政のほうに廻すということは自分としてはできがたい、こういうことでありました。それで私といたしましては、それは各項目項目についていえばあなたがたの意見と、又政府意見と、我々としては個々については違つた考えを持つておるし、各委員人たちもそれについてはいろいろ違つた考えを持つておる。例えば減税について見ても、今度の減税というものが真に減税であるかどうかというようなことについてまでも委員会の今までの審議の過程においては疑問があつたのだ、又各項目について例えば食管への百億のインベントリーについてもいろいろと議論あり、その点についても必ずしもこれらの数字が絶対的の数字であるという印象を我々は受けていない。又自分もそういう印象を持つていない、併しどうしてもそういうことが財源関係でできないというのであれば、問題は来年度はどういうふうに……、講和関係費用が要るということをあなたも言われたが、非常に重大な問題になつて来ると思う。併し五カ月予算といつて来年度の予算については政府は具体的に何ら話はしていない。実はお伺いしたいのだが、一体来年度はどの程度のそういう平和條関係費用が要ると思われておるのであるか、補正予算について議論を、この財源の再分配をするときには来年度の予算というものについての議論を以て、ここで来年度は金が要るからこれはどうしてもできないということで、而も片一方がはつきりしないということでは議論としても自分としては納得が行かない点がある、一体どの程度財政規模考えておられるかということについて聞きましたが、それに対しては自分としてはわからないと答弁を避けました。こういう関係でいろいろデイスカツスしましたが、結論的にはこちらの言つたことに対して、経済的、財政的に見て財源関係で不可能であるということでございました。それからG・Sにつきまして、G・Sではこの問題は経済問題としてではなしに、政治問題として実はなつておるのであつて、その政治問題としての取扱ということになつて来ると、あなたのほうでも十分考慮してもらわなければならない点があると思う。いろいろのこういう予算関係についてGHQへ持つて行くと常に全部と言つていいほど拒否される、強いもうフイツクスされたもの、固定したものを我々は審議しておるので、自分としては、これは一つは国会の審議権の問題に関することであるし、殊に地方財政平衡交付金の問題については両院決議もあることであるので、自分としては、そういう点については何か政治的にこの問題を解決すべき途はないかと思うが、どうかという点で話を進めましたが、G・Sとしては結局委員会としての修正案を持つて来られても、ESSとの話合いになるのであるから、それ以上のことは我々としては考慮はないということであつたので、私はこれについて、各委員会における感じと言いますか、そういつたものを具体的に話しまして、別れて参つた次第であります。地方平衡交付金の小委員会結論もあり、又当委員会としての皆さんたちの御意見もありましたが、委員長としては、その程度で帰つて来まして、結論的には……、まあ結果的には実効はなかつたということで、甚だ非力を歎く次第でございますが、御了承を願いたいと思います。   —————————————
  18. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 次に大蔵大臣委員長としてお伺いしたい点があるのですが、それは地方財政平衡交付金についてでございます。平衡交付金に関しまする小委員会におきまして、大蔵大臣言明された財政困難な地方自的体に対して繋ぎ資金としての短期融資の点でございまするが、それはどの程度、又どの範囲まで行うのでありますか、その総額の見込について本委員会において更に言明して頂きたいと思うのでありますが、その点はどういうようにお考えでありますか。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般両院決議がございまして、その際に私は決議を尊重し、中央、地方財政事情を再検討勘案いたしまして、善処すると申上げたのであります。小委員会におきまして、いろいろ具体的の問題が出ましたが、今短期融資をどれだけやるということは、地方財政事情を十分検討した上でないとはつきり申上げられないのであります。個々の市町村或いは府県の実情に副いまして善処いたしたいと思います。  御承知通り地方債の枠は一応今年度五百億ときまつておりまするが、相当額短期融資を今でもいたしておるのであります。私は一応各地方債としての枠はきまつておりまするが、実情に副うように従来もやつておりますし、今後も従来に増して善処したいとこういうので、枠をどれだけということは只今申上げる段階に至つておりませんが、できるだけ善処するということで御了承願いたいと思います。
  20. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それではもう一度念のためにお尋ねして置きますが、現段階においては具体的にこの短期融資範囲は述べられないが、誠意を以て、又責任を以て両院の院議を尊重し、具体的な措置をとられるということに了解してよろしうございますか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りであります。
  22. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 予算補正総則修正に関する提案を昨日したのでありますが、大蔵大臣にお伺いしたいことは、大蔵省事務当局がこれまで言明されておるように、補正予算の切替え、又は総則修正なしに行政措置のみで事務運用支障を来たす虞れがないかどうか、本席において改めてはつきりと大蔵大臣言明を得たいと思うのであります。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般も藤野委員の御質問がございまして、私並びに主税局長よりお答え申して置いたのであります。然るところ今回内閣委員会におきまして定員法修正があつたようであります。私は只今修正案につきまして、予算的に検討をいたしましたが、殆んど大部分今の予算通りでできるのであります。ただ一カ所作報関係のほうの分で人件費のみを以ていたしましては、定員復活が賄い得ない場合があるのでございます。これは物件費の流用によつて大蔵大臣限りで財政法規定に基いてできるのであります。流用によつてできると申しましても程度がございまして、物件費の半額とか三分の一を廻すというふうでは、これは財政法規定によつてできることはできますが、実際上困る問題があります。併し今回の定員法、殊に作報の問題につきましては所要経費が二千五百万円ほど要るのであります。而してすでに使用を差控えさせておりまする旅費の金額も相当あります。又物件費も四億五千万円ほどございましてそれの三、四%程度を廻すことならば、実際上も可能であるのであります。私ども検討いたしましたところでは定員法修正予算を変える必要はないという結論に達しておるのであります。又念のために申上げまするが、予備費も実は五、六億円ありますので、どういう点から考えましても定員法改正予算を変えなければやつて行けんということは万々ないと信じております。
  24. 前田穰

    前田穰君 関連質問。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  25. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 関連質問理事委員長の打合会での……御遠慮願うということにして議事を進めたいと思います。
  26. 前田穰

    前田穰君 只今大蔵大臣言明に関連して伺いたいと思いますが……。(「議事進行」と呼ぶ者あり)いけませんか、極めて簡單なことなんです。
  27. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これは私はできるだけ理事の打合会を……、発言を封ずるようなことは委員長として非常に心苦しいのですが、もう少し……。
  28. 前田穰

    前田穰君 念のために大蔵大臣言明意味を確かめて置きたいと思うんです。
  29. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 藤野君がまだ……、藤野君、只今大蔵大臣の御答弁でよろしうございますか。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今大蔵大臣言明によりまして行政機関職員定員法修正に基く定員の異動によつて二十六年度において職員基本給に不足を生ずる部局においては政府責任を以て行政措置により職員給與の支給その他の業務の運営に支障がないようにすることができるとの確答を大蔵大臣から得ましたので昨日の私の提案を撤回いたします。
  31. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 只今藤野委員から昨日提案になりました予算総則修正については御撤回になつたわけでありますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないと認めます。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今前田さんの質問は、これに関連した簡單な一分間くらいで……、それは地方自治法施行規定によつて運輸省所管に関する臨時物資需給調整法施行に関する業務並びに道路運送法及び道路運送車両法施行に関する事務が同様のことになりはしないかと心配されるのでありますが、その点についても併せてお尋ねしたいと思うのであります。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど申上げた通りでごございまして、私のところで調査いたしましたところは作報関係と今お話運輸省関係国立病院関係でございます。共にできるのであります。その安易の程度作報が一番強いので作報で申し上げましたので、運輸省関係只今お答えした通り可能でございます。
  35. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 法務総裁が来ますまで暫時お待ちを願います。……それでは続けて法務総裁にこの際お尋ねして置きたい点があるのでありますが、先般本委員会におきまして岩間委員法務総裁に対する質問中、横田事件につきましてなお判明しない部分もあるので、よく調査をしてお答えする旨の答弁がありましたが、本席においてその判明しなかつた部分について御答弁を願います。
  36. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 横田におきまするB二九の墜落事件につきましては、当時死者—名重傷者—名軽傷者———名物的被害といたしましては燒失—戸大破——戸、中破—戸小破———戸合計戸数といたしまして——戸と相成つているわけでございます。これに対しましては、政府といたしましては厚生省並び特別調達庁におきまして、その見舞の方法につきまして処置をいたすことに相成つております。なお只今申上げました数字は正確な数字でございまするが、一応秘密の扱いにいたしておりまするからその旨お含み願います。
  37. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 法務総裁にもう一点お尋ねしたいのは、この前の問題になりました点はもう一点あつたように思うのでありますが、それはその被害を受けられた人たちに対する補償の問題でありまして、その補償の基礎の点について、池田君の御答弁では何か声明か何かでやるということがあつて、その点が非常にあいまいであつたので、それらの点はつきりとお答えになられたほうがいいと思います。
  38. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 補償の問題は、法律的にはこれは被害者から一応米軍に対して補償を請求することができる建前になつていると存じますが、平和條約によりまして、この請求権が放棄せられておりまするので、現在におきましては被害者より米国に対して補償を請求するということの途はございません。   —————————————
  39. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これより昭和二十六年度一般……、(岩間正男発言の許可を求む。岩間正男君「議事進行について、今のは不十分です」と述ぶ)委員長においてはこの前の理事会の打合せによりまして、委員長質問をして、そうして質問は取りやめるということでございますので……、(岩間正男君「許しておつたのでしよう、延長なさるのは」と述ぶ)二の不明瞭な点につきましては私はまだ別途ほかの機会に十分に……(岩間正男君「資料を出してもらうことと……」と述ぶ)お尋ねする機会もあると思いまするし、資料の点についても要求する機会もあるわけでありますから……これは質問を打切るという意味ではございません。ただ予算委員会としまして、委員長理事打合会の協議に従いまして進行したいと思いますので、御了承願いたい。(岩間正男君「その点は了承していなかつた」と述ぶ)  これより昭和二十六年度一般会計予算補正(第一号)、昭和二十六年度特別会計予算補正(特第一号)及び昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第二号)の三案に対する討論を行います。討論は昨日の委員長及び理事合会で協議いたしました通り、各会派の持時間は二十分程度にお願いいたします。御意見のあるかたは順次賛否を明らかにしてお述べを願います。
  40. 内村清次

    内村清次君 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和二十六年度三補正予算案に対し、全面的にこれが組替を要求し、一括反対するものであります。先ず第一に……。
  41. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 失礼いたしました。これにて質疑を終局いたします。以上を以ちまして質疑を終了いたします。  これより昭和二十六年度一般会計予算補正(第一号)、昭和二十六年度特別会計予算補正(特第一号)、及び昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第二号)の三案に対する討論を行います。討論は昨日の委員長及び理事合会で協議いたしました通り、各会派の持時間は二十分間程度にお願いいたします。御意見のあるかたは順次賛否を明らかにしてお述べを願います。
  42. 内村清次

    内村清次君 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和二十六年度三補正予算案に対し、全面的にこれが組替を要求し、一括反対するものであります。  先ず第一に指摘いたしたいことは、本予算案編成の第一の大きな前提條件でありまする吉田内閣の公約である主食の統制撤廃は、その無計画、無準備、不統一が暴露をいたしまして、世論の強烈な反撃に会い、総辞職に値いする政治責任を残して御破算となつたことであります。この事実に鑑みまして、政府は当然予算案の組替を行い、然る後国会に承認を求むべきであるにもかかわらず、衆議院は自由党の絶対多数の横暴を以て修正せず、政府又依然として現予算案を提案し、これが通過を図らんとするがごときは、国会の神聖なる予算審議権を冒涜し、延いては国家予算の真実性、国家予算に対する国民の信頼を失墜せしめるものでありまして、我が国の議会政治運用上拭うことのできない一大汚点を残したものであると断ぜざるを得ないのであります。これ本予算案に反対する第一の理由であります。次に吉田内閣は民主政治の基盤でありまする地方自治行政の繁栄、地方自治財政の確立に対しまして、極めて冷淡且つ軽視されておる点でありまして、全国知事会議の決議でありまする地方財政平衡交付金の不足財源五百七十七億円の補填、地方財政委員会の実態調査の結果政府勧告いたしました平衡交付金三百七十五億円、起債二百五十五億円の増額は無視せられまして、政府の中央集権的な政策の犠牲となりまして、池田大蔵大臣の無理解と、誠意なき態度によりまして、地方財政は極度の疲弊困憊を来たしまして、地方財政の危機はその極に達し、その窮状の打開のために全国に亘る府県市町村代表者の深刻切実な要求となつて現われまして、毎年政治問題化しておりますることは今更私の申すまでもないことであります。地方財政平衡交付金の百億円、起債五十億円増額は参衆両議院の院議となつて決議されまして、自由党も又これに参加しながら本予算案を無修正のまま通過させようとすることは、自由党の国民を欺瞞し、国民を愚弄し、国の最高決議機関でありまする国会の決議権、予算審議権を党利党略のために弄ぶものであると言わざるを得ないのであります。政府も又国会の命ずる行政の責任を軽視、怠慢するところの最大のものであると断ぜざるを得ないのであります。政府は一体地方公務員、教職員かたがた給與ベースの財源、生活権の確保をどう解決するのであるか、誠に遺憾千万であります。これ本予算案に反対いたしまする第二の理由であります。第三の反対理由といたしまして、この補正予算案が率直に表現いたしておりますところの政府の自由経済政策の欠陥と失政であります。即ちこのたびの補正予算が必要となりました直接の理由は、二十六年度予算編成当初から物価が総合して約二六%以上も騰貴しましたために、物件費が事業量に実質的な不足を来たしていることであります。このことは我が党が予算編成当初からかねて警告して来たところでありまして、政府施策の無計画性を如実に物語るものであります。而もこのたびの補正におきまして、この物件費二六%の補充がなされたかと申しますると、何らなされておらないのであります。即ち公共事業費に例をとつて見ますると、その増額三十七億円は、單作地帯、奧地林道事業、文教施設費等への新規の若干支出がありましたが、公共事業費の実質的削減に対しましては何らの補充措置も行われておらないのであります。そのため今までの公共事業につきまして各府県では削減や、中止の止むなきに至つているものも多いという実情にあるのであります。かかるその場その場の無計画な施策は、政府の自由経済政策のあらゆる面に現われております。先に申述べましたごとく、米の統制撤廃中止もその代表的な例でございます。更に定員法改正問題全体におきましても、同様な点で予算の前提條件はどしどしと崩れつつあるのであります。無理な首切りをし、行政機構の改革を検討せずに強行しようとする無謀なやり方は、当然、参議院の大幅修正なつたことは当然であります。特にこのような無謀な首切りで、却つて財政負担は本年におきまして約四十三億円も増加しているのでありまして、これも自由党政府がその場当りの人気取り政策を何ら見通しもなく強行しようという根本的欠陥から派生した国民欺瞞の政策の現われであると申さねばなりません。この補正予算に現われましたこれらの根本的欠陥は、大きく財政金融政策の全体にも如実に現われております。即ちこのたびの一般会計補正予算の総額は千三百六十三億円に上りまして、当初予算六千五百七十四億円を合計いたしますると、実に八千億に近いところの戰後最大の財政規模を示しているものでありまして、池田大蔵大臣の言われる緊縮、健全財政は根柢から国民の前にその欺瞞を露呈いたしているのであります。このような矛盾の激しい、論理の一貫しない政府予算と、政府の自由放任政策には我が党は反対せざるを得ないのであります。  第四の反対理由は、この財政に伴う経済政策全体が全く本末顛倒し、自立経済の明るい見通しが望まれないことであります。即ち今までの予算関係におきましても、見返資金中の経済再建費七百五十四億円、外為特別会計への繰入は昨年の補正から通算いたしますると実に九百億円に達しておるのであります。更にこのたびの補正予算におきましても食管特別会計への繰入百億円がありまして、これは当然日銀からの借入でも十分であります。外為のインベントリーといたしましても三百億円、これらのインベントリーに加えまして国際通貨基金等への出資は二百億円、平和回復前後処理費が百億円等が計上されておりまするが、これらは特に本年度に使うという目安もなく、給與改善、物件費増額地方財政平衡交付金増額等、極めて緊急な且つ貴重な経済再建と国民生活安定費を差置いて、反対にこれらの費用が特に計上せられております点は矛盾撞着も甚だしいと言わねばならないのであります。このようないわゆるポケツト財源と称するものは実に総計三十億円と言われております。政府はこれらインベントリー等に対しましては、これはインフレ抑制のために計上していると説明せられておりまするが、勿論局部的にはインフレの一時的抑制には役立つでありましようが、併し政府の施策全体から考えて見まして、果してこれだけで将来インフレ傾向は抑制できるものであるかどうか、二十七年度予算案の編成と考え併せて見ましても決してそれを抑制できないという点が明瞭であります。即ち現状におきまするインフレ傾向を分析して見ますると、明らかに財政面から生れたものではございません。今日まで財政面ではむしろデイス・インフレ、若しくはデフレ的側面が強いのであります。現状におけるインフレの傾向はむしろ去年の六月頃以来のアメリカ国防の拡充による国際的な物価高や、中共貿易の杜絶から輸入原材料の騰貴を招き、そのためかなり基礎資材の値上つた点、及び日米経済協力による特需生産や思惑騰貴、又は市中銀行の止むないオーバー・ローン等がむしろインフレの要因であるのであります。これらの基本的要因に加えまして政府が国民の反対を押切つて強行いたしました電気料金、運賃、米価等の公債引上等がその要因の最大たるものであるということは自明の通りであります。これらの日本経済が直面する緊急の基本問題に何ら触れることなくして、むしろ徒らに財政面においてインベントリー・フアイナンスを強行いたしまして、地方財政平衡交付金増額を押え、公務員給與の正当な引上げを抑制いたしまする等、国民経済と民生を抑圧するがごとき政策は全く本末顛倒の政策でありまして、そのために生産は電力や資金不足のために甚だしく停滯し、来年度には僅か一三%の上昇率しか見込まれないという羽目に陥つていることは見逃すことのできない政策の失敗であります。更に生産増強の緊急課題であります電源の開発にいたしましても、何ら資金の目鼻もつかず、このような状況で、どうして講和後多難な日本経済の再建が果されるでありましようか。二十七年度の予算編成に当りまして、十八カ月予算の建前から、私は政府施策の全面的転換を強く要望するものであります。反対の第五点は、歳出面において勤労大衆の生活を犠牲の上に組立てられていること、更に又その費用が今日の日本民族の将来にとつて重大な暗影を投げつけているという点であります。即ち先に申上げましたポケツト財源の数千億の一部が只今問題の中心となつておる再軍備に流用されるのではないかという危惧が国民の中に拡まりつつあるのであります。政府はこれに対しまして、態度をあいまいにいたしておるのであります。過ぐる二年前予備隊が創設されましたときに、政府資金が国会に何ら諮られることなくして流用されました前例を見ております国民がこのような危惧をすることはむしろ当然でありましよう。現にこの補正予算におきましても、警察予備隊の経費が百五十億円増加されておるのであります。この予備隊がすでに六十ミリ迫撃砲と小型ロケツト砲等の装備を持つていることは、政府が幾ら否定いたしましても、これが軍隊の第一歩であることを実証しているものでありまして、又内外一般もこのように認めておるのであります。この意味におきましてこの補正予算案は警察国家復活の予算であり、延いては再軍備予算の第一歩であると指摘せざるを得ないのであります。このような重大問題が国民に何ら諮られることなく、着々と既成事実を作られつつありますことに対しまして、我が党は金額の多少を問わず、断乎として反対するものであります。而も金額の点におきましても冒頭に述べましたごとくに、多くのインベントリー、その他のポケツト財源が潜在しておりまして、かかる強制的な政府資金の蓄積が準備せられ、而もこれがインフレ抑制の抜本的施策とはならない点に加えまして、又このような彈力性のあるところの財源が多くあるにもかかわらず、この補正予算では国民生活のための必要経費が、極めて極度に削減せられているということは誠に不満を抱くものであります。即ち公務員の給與引上げにつきましては、申すまでもなく今回も又人事院の勧告を蹂躪しておるのであります。人事院の勧告にいたしましても公債の値上り分を殆んど含んでおらないところの低目のものでありまするが、政府はそれすらも拒否してみずからの法律を破り、財源として百五十億円の半分にも満たないところの七十三億円、年末手当といたしましては一カ月分の半額と若干の物価補正ということでごまかしておるのであります。更に失業対策費や生活保護法援助費等社会厚生費目には見るべき支出もなくして公債値上りで実質的な生活低下を受けておるところのこれら困窮者への救済は全く無視されておるのであります。更に又文教予算に対しましてもその額は僅少で六・三制の建築費では当初要求の四十三億円に対しまして僅かに九億五千万円、給食費といたしましても僅か二十四億円を我が党及び国民の熱烈なる要求によりましてやつと支出いたしたのみであります。更に又ルース台風の被害に対しましても別途計上すると称しておりながらこれを計上しておりません。このように国民生活はあらゆる面において犠牲にされて社会福祉的費目は極度に削減せられておるのであります。これで文化国家建設は吉田内閣にはよほど縁遠いものであると言わねばなりません。第六の反対理由は、予算の歳入面が甚だしい欺瞞的なものであるという点であります。即ち政府はこの補正におきまして四百五億円の減税をやつたと宣伝しておりまするが、事実は全くその逆であります。反対に自然増収は実に一千五百六十七億円、当初税収入の二五%に及んでおるのであります。これは法人税八百五十四億円と勤労者の源泉所得税七百八十億円が自然増で徴収せられるのであります。その内容を検討いたしますると、自然増の八〇%近くはインフレによる名目的な所得の増加であります。この名目的な所得に加える増税というものは勤労者にとりまして大打撃であります。即ち今まで朝鮮動乱以後の物価、生計費の高騰に加えまして、米麦等の主食、電力、運賃、ガス料金等の公債引上げは諸生活必需価格の高騰を招き、そのたの以前一月に一万円の最低生活を要する者は一月一万三千円かかることになるのであります。僅か二万円の基礎控除の引上げでは役に立たず、税率適用区分の緩和も何ら生活の軽減にはなつておらないのであります。安本調査によりますると、国民生活の水準は朝鮮動乱以来八%の低下を来たしておるのでありまするから、このような自然増では実際に自然増税であると言わざるを得ないのであります。かかる欺瞞的な自然増収が減税の名の下に行われるということは、国民を欺き犠牲にしておるものでありまして、実に再軍備を行わないと言いながら予備隊を増強し、ポケツト財源政府資金の蓄積を行い、而して減税の名の下に増税を企図するという驚くべき欺瞞的な傍聽的な行為でありまして、我が党はかかる補正予算には断乎として反対し、徹底的な組替を要求するものであります。  最後に一言いたしたいことは、池田大蔵大臣はこの補正予算を出すに当りましては、安定と能率と発展と、これを基調とする予算であると申されましたが、果してそうでありましようか。我が国の国民経済は今又新らしい不安定のうちに入つて来ておるのであります。即ち講和後の防衛分担費、治安関係費、賠償金を除く諸経費では明るい国民生活水準の向上は望み得られないのであります。労働生産性の低下は能率を阻害し、自立経済は片貿易のために発展せず、和解と信頼の講和が吉田総理の言われる日本経済に、苦難と茨の道を暗い気持で歩んで行く日本民族の姿であると、率直に池田大蔵大臣も認めて、安全と能率と発展の三原則の大見得を潔く返上せられることを望む次第であります。更に政府はサンフランシスコの講和は独立の契機であると宣伝して、両條約の批准を強行したのであります。然るに調印も済み、我が国の批准も終り、更に来春までには英米の各国の批准も終らんといたしておりまするときに、実に再来年の三月までの二十七年度予算案が全く自主性なく編成せられようとしておりますことは、政府の言う独立の幻想が全く国民を欺いたものであることを如実に示したものでありまして、今後我が国の将来について極めて憂慮すべきものであると思うのであります。西ドイツにおきましては單独講和を行う前に、三国外相との会談で完全に近い主権の回復を行うことが決定したと言われておりますとき、同じ日本におきまして講和後自主権が実質的に何ら得られないということは、吉田内閣のへつらい外交、国内的にはワンマン、独善、威圧政治の重大な責任であると断ぜざるを得ないのであります。この財政自主権の強い主張こそがこの補正予算から、延いては来年度の予算を通じまして、経済の再建、自主、民生の安定に致命的な本質的な関係を持つものであるということを確信いたしまして、我が党は強く政府に自主権回復を要求いたしまして反対討論といたします。
  43. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 私は我が自由党を代表いたしまして、ここに議題となりました昭和二十六年度一般会計、特別会計及び政府関係機関の各補正予算に対し賛意を表します。その理由の詳細は本会議の席上同僚議員よりの陳述に譲ることといたしまして、ここには至極簡單に大要を述べたいと思います。  一般会計にとつて見ますれば、追加額は一千五百九十二億であつて、そのうちの修正減額を差引きましても既定予算と合せて七千九百三十七億七百一十二万二千円に上る大なる予算であるのであります。これがどのように編成されてあるかということは、私は第十二回国会に承認せられたる平和條約並びに日米安全保障條約、この発効後の関係と睨み合せて見ることが必要と考えるのでありまして、この予算に如何に考慮に入れられてあるかを検討して先ず適当の編成であることを感じたのであります。御承知のごとく平和條約には公平にして寛大なるものであるけれども、これを呑むことによつて苦悩と憂慮のあることは吉田首席全権の仰せられた通りであります。公平寛大でありましても、敗戰の報いは生やさしいものではないのであります。冷厳なる氷嚢、高熱なるお灸をすえられて、今後如何にして我が国が立上り、経済再建ができるか、それにはほかの方法はない、我々国民はよくこれを認識して、苦難突破の間に忍苦生活を持続し、経済再建を図るほかには方法はないのであります。日本というボデーを強固にすること以外にはないのであります。即ち国際貿易を隆盛にして栄養を取り、国内生産を旺盛振起して足腰を強くするのであります。そこで補正予算はどうできておるかということをつぶさに検討して見まするに、この点ははつきり取入れてあると思うのであります。ただ予算審議に際しまして、財政法に基くところの各省の既定経費、各費目明細書、その他者委員からの要求したる資料が積んで山をなすくらいに廻されて参りました。又委員政府との間の質疑応答が、熱心に論議が交されたのでありますけれども、この日米安全保障條約に対する分担金へ並びに平和條約に基く賠償支拂の程度に関しましては、一切不明であつたのであります。けだしこれは未だ交渉中でもあり、又交渉でないものもあることでありますから、その計数が漠然たることは止むを得ないと思うのであります。併しながら概測して相当の奧深く、且つ高額のものであることが察知できると思います。この上まだ現われざる計数に対し、財政上楽観してはならないと思うのであります。又長く日米安全保障に頼り過ぎて、独立国家として民族の精神的堅持のためにもよろしくないと思いますから、いつかは再軍備の時が来たると思うのであります。これに対しても我々はその用意を持つことが必要であると存じます。(「再軍備をやるのか自由党は」と呼ぶ者あり)かく考えて見まするときに、我が国の前途は極めて多難である。即ち我が国の財政は戰時より終戰、終戰より平和條約実行と、その時代を明確に区切り得る誠に困難な場合に遭遇すると思うのでありまして、従つて二十七年度予算と一体をなすべきこの補正予算は徹頭徹尾健全財政の維持であらねばなりません。而して又一面戰争によつて破壊せられたる産業の興隆にも大いに寄與せねばならんのであります。この予算はこれらの点に、更に周到なる編成を施されてあります。先ず以てその主なるものをとつて見ますると、第一に国民生活の安定たるべき、又久しく要望されておりましたる公務員の給與政善であります。人事院の一カ月平均二千七百円程度の引上げに対しまして、政府は十月より一カ月千五百円、ほかに当初予算の年末賞與〇・五カ月の賞與を更に増額して〇・八カ月として計上されております。人事院の要請は相当根拠ある額であることに相違はないと思いまするが、我が国の財政上、何分一挙にこれを取入れる余地が乏しいと思うのであります。それでもなお総額二百六十六億六千九百九十二万八千円の巨額に達することを、これを見れば我慢してもらうのほかはないと考えます。(笑声)我々国民はお互いに隠忍耐乏をすることを私どもは切望せざるを得ないのであります。第二点といたしまして地方財政平衡交付金であります。この問題は全国自治団体に普遍的関係を有し、その解決如何は地方財政に至大の影響があるが故に、この機会に多少の論議を加えたいと思うのでありまするけれども、先刻委員長大蔵大臣との質疑応答により、又これに先立つて委員会においての大蔵大臣言明等を信頼いたしまして、ここにこれを省略することにいたします。次に申上げたいことは、即ち第三は、学校給食の問題であります。国民の食生活の改善と生育盛りの一千百万に上る学齢児童の身体に関し、且つ教育の機会均等の徹底等より見て、何人もこの施策に反対するものはないはずであります。併しもともと敗戰国として援助物資と見返資金によつて賄われて来たこの仕事を今後全部国費に移すということは至難であります。然れどもともかくも本年度末までの間に二十四億九千六百万円を、これを計上することに相成つておるのでありまするから、その間にこれを相当調査研究し、成るべくこれを継続することを切望せざるを得ないのであります。第四には、この予算においては、平和回復後の我が国経済再建に備えまして、国際貿易振興と国際経済への参加並びに中小企業融資等に出資及び投資三百七十五億円を計上しております。なお又、輸出の重要品目たるところの生糸の価格安定のために、特別会計を特に設けて、これに三十億を支出する等の手配を講じておるのであります。  更に第五に、国内治安の維持上、警察予備隊の充実費用として百五十億、国家地方警察強化に三十六億円を計上しておりますので、先ず国民は枕を高うすることができると存ずるのであります。(「ノーノー」「とんでもない」と呼ぶ者あり)一方これと共に農業保險費の増額約十四、五億円、農林漁業資金六十億円の増額、積雪寒冷地帯対策事業費二十億円、奧地林道開発費七億五千万円、そのほか治山、治水、地盤沈下等の施設及び住宅金融公庫に対する出資及び融資として六十億円のほか、遺家族の救護のための調査費一億円を計上いたしております等は、誠に国民の歓呼して喝采して喜ぶところであろうと存ずるのであります。(「ノーノー」「異議なし」と呼ぶ者あり)かくのごとき周到なる注意が拂われておることを見逃がすことは、我々はこの予算において決して軽々しいものではないと思うのでありまして、この実現を早く希望する次第であります。その他行政事務を簡素化いたしまして、財政上負担の軽減を期しておりますのも、最も注目すべきことであろうと信ずるのであります。  以上の歳出に当てるために、歳入については租税及び租税外収入及び雑収入等において一千三百六十二億円を計上しております。所得税において、これによつて更に四百七億を軽減することに相成つておりまするが、ただ負担合理化のために法人税の増加を差引いて四百五億という計算に相成ります。これは併しただ税の計算から来ることでありまして、所得税において四百五億の軽減になることであることは明瞭であります。これを一年間に即ち平年に直しますると約一千億の減税となり、法人税の増徴を差引きましても八百億の国民負担の軽減となるのであります。  最後に私はこの予算が成るべく速かに実行に移されることを要望するものでありまして、若しこの予算を遅滯させる結果は、実行上何らの効力がないことになりまして、あたら追加予算を定めて頂いても、それが画に描いたぼた餅同様になるのであります。特に全国公務員諸君に対する給與は一刻も早く支拂うべきところの重大なる社会問題であります。これを要するに、本予算案は平和條約並びに日米安全保障條約の発効後に睨み合せまして、諸経費の極めて重大なることを考慮に入れ、努めて将来に経続しがたい一時的な要求はこれを避けて均衡予算を本旨とし、健全財政を守り、而も国家永久の諸施策に対しては惜しむところなく周到なる配慮を拂つて編成されておることを認めまして、我々は原案に賛成し、その実行に移すことを促進せんことを希う次第であります。
  44. 波多野鼎

    波多野鼎君 私は社会党を代表しまして、本補正予算案に対する反対の意見を陳述せんとするものであります。予算委員会質疑応答を通じて明確にならない点がたくさんございましたが、なかんずく次の諸点においては我々は如何に政府の説明を聞いても反対せざるを得ないのであります。即ち第一に、この補正予算は無計画な予算であるという性格を持つております。その一つの現われが米麦の統制撤廃の問題にも現われておりますが、更に明白に国際通貨基金に対する二百億円の出資の問題にも現われておると思います。国際通貨基金について加盟ができるかというような見通しはまだ立つておらないようでありますが、いずれにしましても、通貨基金に加盟する場合には、我が国が将来の外国貿易の見通しを立てまして、この外国貿易にふさわしい、又日本の国力にふさわしい為替相場を一応政府のほうにおいて考えてこの通貨基金に申入れなければならない。現に予算の上で二百億の出資金を計上しております今日において、この将来の為替レートの問題について政府のほうに準備があるべきはずだと私は思つておる。ところが如何に質問をいたしましても、この点の準備はないということがはつきりいたしました。基金に加盟する場合のレートについての準備を全然しないで、而も基金への出資金二百億を計上するというような予算の組み方は、これはまさに無計画な予算であると言わなければならんと思います。第二に、この補正予算政府の政策の失敗の予算である、失政の予算であると考えるのであります。その最も著しい例は、外国為替基金に対しまして三百億円の出資をするのでありますが、この三百億円の出資がなぜ必要になつたのかということを調べて見ますればすぐわかるので、これは昨年の日英通商協定におきまして、この日英通商協定は日本が独立国として扱われまして、司令部の介入なしに直接日本政府とイギリス政府と交渉した最初の外交交渉であつた。この外交交渉が成功することを国民はひとしく希がつてつたのであります。ところが日英通商協定におきまして、委員諸君が御承知のように、従来からあつたドル條項の廃止ということを承認せざるを得なかつたのであります。これは何を意味するか、即ちイギリスの為替政策の必要に日本が応じただけのことであつて、つまりイギリスの為替政策の犠牲になつた、そうしてこのドル條項を廃止した結果が、今日見るがごとくドルは不足しておる。併しポンドの手持が多い。この結果が三百億円外国為替資金に出資しなければならないという事態を生んだのである。この三百億円は我々国民が血税を拂つて出した金である。この三百億円が国民の生活安定なり経済復興なりに使われるならば、まだしも我慢ができますけれども、そういう日英通商協定の失敗の結果としてこれへ入れなければならんということは、国民としては泣いても泣けない問題であります。  第三に、この予算は日本の民主化をむしろ阻害する予算であるという性格を持つておると思う。日本が敗戰後いろいろの民主的な諸機関を設けまして、その民主的な諸機関を活用することによつていわゆる社会平和を保つて行く。社会平和を保つ機関としてそういうものをたくさん設けた。今日では或るものは有名無実になつておるものもありますが、その設けられた機関の一つとして人事院がある。人事院は言うまでもなく公務員から罷業権などを奪つたその代りに、いわゆる公務員の利益の代表者として社会平和のために働くという使命を持つて現われて来たものでありまして、従つて人事院の決定については政府は十分尊重しなければならない。人事院はいわゆる科学的な操作によつて、あらゆる資料を集めあらゆる操作をやつて適当な例えば給與ベースをはじき出し、これを国会と政府勧告する、そうして社会平和を保つて行く、こういう役割をしておる。この人事院の勧告が今回の補正予算においては僅かに入れられただけで、決して公務員が満足して又安心して働けるような給與を保障いたしてはおりません。このようなことを続けて参りますと、折角民主主義の機構を整えましても、この民主主義の機構なるものが結局有名無実だという印象を與えてしまい、結局は又実力行動に出なければならんというような気風を釀成することになると思う。そういう意味においてこの補正予算が民生化を阻害する予算であるという点を私は甚だしく遺憾に存ずるのであります。次の点は、この補正予算は我が国民の生活不安を増大する予算であるという性格を持つておると思う。この点は例えば一方においては警察費の増大となつて現われておる、他方においては社会保障経費が殆んど増額になつておらん。ゼロのものもあります。例えば生活保護費のごときはゼロであります。増額されておるも極く僅かしか増額されておらない。この両者を比較して対比して考えて行きますと、恐るべきことを我々は発見する。警察費の増大ということは、それ自体そのこと自体が社会不安の反映なんです。而も他方において社会保障費、例えば生活保護費は一つも殖やさん、社会保險費は僅か三億だとか五億だとか殖やしておる。その程度のことをやつておる結果、社会不安というものは更に増大する可能性を含んでおります。社会不安を反映する経費が多く、社会不安を除去するような経費は少い、これが因果の関係を成して社会不安の更に増大を約束するような性格をこの予算は持つておると考えるのであります。これが反対の第四点であります。次にこの予算は自由主義政策の終末を意味する予算である、自由主義政策の破綻を意味する予算であるという性格を持つておると思う。先ほども触れましたが、この予算を組む場合に米麦統制の撤廃ということを基礎にしてこの予算を組んだ。その米麦統制の撤廃ということが国民の澎湃たる反対の声に押されて、遂に政府も断念せざるを得なかつた。而もそういう自由主義政策の失敗を基礎にしたこの予算、統制廃止の方針を延期いたしましても何らこの予算については修正を加えておらない誠に奇妙な予算であります。満身創痍という言葉がありますが、この米麦統制問題、それから今問題になつておるこの人員整理の問題などを併せて考えて見ますと、提出された予算案というものはまさに満身創痍の予算であると言わなければならないのでありまして、何ら統一的な性格を持つておらん、こういう点において私どもは反対せざるを得ないのであります。更に又この予算案は地方自治体を破壊する予算である。そういう性格を持つておると思うのです。これはしばしばこの委員会においても特に小委員会を設けて決定いたしました平衡交付金の問題にかかわつておりますが、国は地方に対しまして次から次へと国家事務を委譲して行つております。そうして而もその国家事務の委譲に伴う経費は與えておらないということから地方自治体は毎年々々財政的な窮乏を国会に訴えて来ておる。毎年々々同じ問題をこの予算委員会は取上げて来たのであります。而もその結果どうなつて来たかというと、今年度の補正予算に現われておりますように自治体警察を続々返上されつつある、そうしてこれが国家警察に統合されて行く、こういう事態がすでに現われて参つたのであります。何をこれは意味するか。つまり国が事務地方自治体に任して見てもそれに必要な経費の面倒を見てやらないために自治体は背に腹を代えることができないでだんだんその事務を返上して来てしまう。地方自治体警察の返上が先ずその真先の現われであると思う。かくして日本が再び中央集権的な警察態勢に移る方向がはつきりこの予算に現われておる。そればかりじやない、民主主義の発展のために地方自治体の健全な発達を図るということは根本的な精神でなければならないのに、この自治体の健全な発達を育成するようなことは少しも考えないで、今申上げたようにいじめることばかり考えておる、そうしてみずから地方自治体が自治体になることを放棄するように導いておる。そういう性格がはつきり現われておる点において我々は反対せざるを得ないのであります。  最後に経済再建の問題でありますが、先ほど石坂委員はこの予算の中に再建が非常によく盛られておるということを自画自讃しておられましたけれども、我々から見ますると経済再建のための経費の使い方は実にまずいと思う。というよりもむしろ使つていないのです。財源を温存しておるという傾向は先ほど内村委員も指摘されましたが、財源を温存してこれを来年度の何らかの経費に充てようと計画しておることはわかります。が、再建費として支出し得べきものすらも支出しておらないという点に我々の不満があるのです。例えば見返資金の使い方、これなどは最も我々の不満とするところであります。今日日本において経済自立のために海運事業を盛んにしなければならんという声が朝野を挙げて澎湃として起つておる。而もこの海運計画、造船計画について吉田総理はこの席上でもそれは自分もやりたい、やりたいんだが金がないからいたし方がありませんと答弁しておりましたが、見返資金予算を見ればあるんであります。ただ昔の古い国債の償還に充てておる。昔の後始末をやつておる。将来の日本経済再建発展のために使うことをしない。そこに問題がある。このような経済再建のために適当な配慮をしておらない予算であるという点において我々は反対せざるを得ない。  以上述べました理由によつて我々は絶対この予算に反対して組替を要求するものであります。(拍手)
  45. 小林政夫

    小林政夫君 私は本補正予算案が国家公務員のベース・アツプ等その実施の遷延を許さない事案を含んでおる点に鑑みまして不満足でありますが、次に述べる希望を附して賛成をいたします。  先ず第一に政府はしばしば来年度予算において講和関係費の発生にもかかわらず、その増額を八十億円台にとどめて民生安定に支障なからしめると共に、でき得べくんば国民の生活水準の向上をも図りつつその不生産的な講和関係費を賄うという決意を表明されております。併し賠償、外債支拂、防衛分担金、連合国財産の補償費等講和関係費は巨額に上ることが予想されるので政府の決意は諒といたしますけれども、その意図の達成は決して生やさしいものではないと思います。難局は難局として国民に率直に訴え、国民と共に不退転の決意を以て所信に邁進されんことを強く要望するものであります。第二に大蔵大臣は本委員会において金融政策遂行の面において大蔵大臣がオールマイテイーになることの危険を認められたのでありますが、銀行法の改正を通じて金融界に対する大蔵大臣の法的権威を確立し、貯蓄債券の発行等による財政資金の増大で大蔵大臣が量的実力をも把握せんとしておられる現況に徴し、大蔵大臣の本委員会言明通り金融調節は飽くまで金融機関の自主的規制を第一とし、国家的金融政策の樹立は、大蔵大臣の專行を排して、政変を超越したスタビリテイーのある産業経済界の総意を実現し得る機構の確立を望むものであります。  第三に、従来予算審議の都度問題となる地方財政平衡交付金でありますが、我々は衆参両院一致要望を体して、地方財政委員会勧告を至当と認め、百億円を増額せんとしましたが、関係当局了承を得るに至らなかつたのでありまして誠に遺憾至極に存ずるのであります。そもそもこのような事柄が発生するということは政府地方財政の現況を的確に把握しておらないために起ることでございます。我々も地方財政の現況は必らずしも満足してはおらないのでありますけれども、将来の改正は別といたしまして、差当つて当面の地方財政が破綻しないような措置を講じなければならないと思うのであります。大蔵大臣は先ほどその点については個々地方団体財政収支の状況により必らず適当に善処する旨を確約されたのであります。従来地方団体財政上、経理上の現金不足については国の財政資金としては短期融資の制度がありますが、これは見合いとなる確定収入の存在を前提とするものであり、現在問題となつておる純然たる赤字に対する緊急融資とは性質を異にするものであり、我々としてはこの差異があることによつて、その実現性について非常に心配するのでありますが、当の責任者である大蔵大臣より右の言明を得て、ここに本問題も一応の解決を得たものと考えます。併し政府地方自治の基本たる地方財政の確立のために、今後ますます改革等、その措置に遺憾なきを期されたいのであります。第四に、政府は主食の統制撤廃方針は依然として堅持するということでありますが、このたびの失態を率直に反省し、先の国会審議権尊重に関する決議の趣旨を体して善処願いたい。第五に、政府の出資及び投資の中には、かなりの含みがありますが、なかんずく先ほども波多野委員が触れられたブレトンウツズ機構への金出資引当二百億円は規定による最高限度の見積りでありますから、万々一年度内に出費を要する事態に立至るといたしましても、中華民国、パキスタン、イラン等の事例に徴して可能性のあることでありますから、政府は日本の窮状を率直に訴えて、当面の金出資の減額、従つて財政負担の軽減を図るように格段の努力をされたい。  第六に、政府は自由党の公約実行を宣伝強調せんとして、このたびの所得税の税法上の減税を單に減税として喧伝しておられるのであるが、このたびの税法上の減税措置によつては、主食、電気、ガス、水道料金、交通、通信費、食塩の値上り、又貨物運賃の物価へのはね返りすら十分に吸収されないのであります。実質的にはいささかも減税ではないのであります。單に物価上昇に対する税制の不十分なる追随に過ぎない。言い換えれば物価上昇に対する税制の調整であります。賠償要求国等に対する国際的反響を考慮し、政府は党略を離れて、減税という言葉は嚴に慎しんでもらいたい。吉田内閣は成立以来、今回で三回の税法上の減税をやられることとなるのでありますが、常に今回と同様に物価騰貴に対し税法を追随せしめ、調整を図られたに過ぎない。あたかも物価と税法のいたちごつこの観を呈しておるのであります。政府は抜本塞源的措置として、物価安定に深甚の配慮をなされると共に、税負担が依然として国民負担の限界に達している実情に鑑みて、努めて財政規模の縮小を図り、実質的減税に努力をして頂きたい。なお従来より免税点以下にあつた低額所得階層は、このたびの税調整によつては物価騰貴の生活に対する重圧を緩和し得ないのであります、この事実を深く顧みられて、社会保障施策を強力に推進されたいのであります。とりわけ遺家族の援護については最も意を盡くしてもらいたい。  最後に今回のルース台風による被害額は六百億円に達しております。それに対する手当として、政府は当初予算八十億円の残り二十五億円全額をこれに当て、不足分に対しては五十億円の融資を決定されたのであるが、政府は十一月十四日の本院の決議を体して、速かに適切な予算措置を講じ、罹災地の迅速な復旧を図られると共に、更に進んで恒久的な災害の防除、復旧対策を樹立されたいのであります。  以上我々の多くの希望の中で、主な七件を指摘いたしまして、本補正予算案に賛成をいたします。
  46. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は国民民主党を代表しまして、只今提案されておりまする予算三案に対して反対の意を表するものであります。その主なる理由は、政府は今回の補正予算は、調印後の新情勢に対処する予算として、十八カ月予算意味した重大なる内容と、その方針を含んだものと解釈されるのであります。ところがこれをつぶさに検討いたしますれば、政府が自主日本が生れるという調印批准後の日本の姿、国民の希望に対処しての、その吹聽した看板とその予算の内容には偽りがある。批准後の日本の自立の前途は、国民に対して不安を與えるものである、この点が強く感ぜられるのであります。その第一点は、内政費とそれ以外の経費の不均衡が非常に甚だしい。これがために、今申上げました物心両面におきましての国民の不安が釀成されるという点にあるのであります。例えば一例を挙げますれば、内政費に仮に食管インベントリー百億が本年度内に仮に要するものといたしましても、これは事実上来年度でなければ要らないものであるし、且つ金融措置においても賄えるものでありますが、仮にこれが要るものといたしましてのこの百億であるとか、或いは公共事業費が四十一億、農林漁業、糸価安定に関しまする予算が七十四億であるとか、住宅金融公庫三十億、平衡交付金百億、学校給食費二十五億、租税拂戻三十一億、国民金融公庫十億などの大体のこの合計は四百三、四十億であるのに反しまして、それ以外の経費としての見積りが余りにも過大であり、且つこれがこの本年度予算内に絶対必要な要素を持つておらない、めくら勘定に棚上げして予備的に蓄えておこうという意図はわかりましても、併しながらこれは今後の行政協定如何によつてはどうなるかわからないのであるのにかかわらず、又今日国の財政、国民生活の安定が極めて揺らいでいるときに、かような厖大なものを仮に某方面が要求するといえども、これに柔く載つているという組み方は、国民の期待と非常な信頼を裏切るものであります。即ち平和回復処理費として百億であるとか、外為の予備費が百十六億ある上に、新たに三百億をインベントリー・フアイナンスで計上し、輸出銀行、開発銀行、或いは国際通貨基金の二百億、予備隊の百五十億、これらの合計は一千億に及ぶのであります。そのほかに見返資金運用資金等、或いは二十五年度剰余金の半額が使用されるものといたしましても、これらの合計は千五百億でありまして、合計二千四、五百億というものが、今申上げました内政費以外の問題として多く取つておかれるということは、内政費と比べまして一対五に……六になりますか、即ち五倍に相当するような状態にあるという不均齊な今回の予算の内容は未だ曾つてないのでありまして、而も日本が、国民多数が待望いたしまする自立日本の経済復興、生活の安定という角度から見まして極めて不可解な、且つ納得の行かない予算でありまして、徒らに日本の貞節を蹂躪されたかの感が潔いのであります。第二はこの予算は全く弱肉強食の予算として上げなければならない。一体今回の補正予算を編成することを目途としたゆえんのものは、当面する物価騰貴、或いは料金改訂に処する地方財政の窮乏、或いはベース・アツプ等によりまする、乃至は先の地方税法と国税との配分の均齊を失したがために地方財政の窮乏の地区が甚だしく凹凸が生じた、こうしたことを是非救わねばならない、収拾せねばならないという重大な要素が補正予算の大きな目的とされ、或いは社会福祉に関する、とりわけ社会保險費等のこの増額の問題、或いは当面する産業復興の施策に対しまする問題、或いは農林、漁業、中小企業乃至は年末金融対策等に対しましてのこれらの方途によつて主たる予算編成の目的があつたわけであります。ところが政府はこうした国民大衆の僅かなこうした喘いでおる事態に対し殆んど雀の涙ほどしかこれを給與せず、今当面要しない予備的な予算を別に取つて、そうして将来に処すると称しておるが、その内容、その使い途、その目的においては未確定、不明のものばかりであるわけであります。これは私が前段申上げましたる通り、この食管特別、或いは平和処理、国際通貨、二十五年度剰余金の問題、その他資金部、見返資金の活用の内容等につきましても全く弱肉強食の、自由主義経済を標榜する自由党の政策としては或いは当然の政策かもわからないが、全く弱肉強食の顕著な予算といたしまして、国民大衆は非常な不安と不満を持つであろうことが深く痛感されるのであります。又第三の理由といたしましては、国民の血涙と申しますか、汗と油を過大に吸上げて、経済復興を、むしろ資本蓄積の邪魔をして本当の自当本の経済態勢に持つて行く意思があるのかどうか、極めて不健全な今回の課税見積り、歳入見積りであります。国民所得をかく過大に見積つてなお減税言つておられる内容につきましては、もうすでに委員会で論議が盡されておりまするが、要するにこの国民所得なるものは日本の新聞紙上にありまするように、ドツジ氏においても指摘いたしておる朝鮮動乱とか、特需のこぼれ景気の一部の、或いは一時の収入を基礎といたしまして、そしてこれを全般の国民所得に律しておるということであります。一方政府は料金や物価の引上改訂に伴う国民生活の実質生計費というものは逆に支出が膨脹いたしまして、その経済の実態は到底所得が前年度より政府が指摘いたしておるような一兆億に及ぶ増収だとは絶対見られないにかかわらず、あえてこれを計数的に計上して、そうしてこれを歳入基礎といたしておることは誠に復興日本、生活不安、なお戰前の生活水準に遠く及ばないどん底生活をいたしておる国民の僅かなものになお且つ追い打をかけて吸上げるということは、余りにも健全財政とは言いながら残酷なやり方であると断ぜざるを得ないのであります。  第四は今回のこの予算政府の自立政策の方針なり前途がどこにあるのか、政策の昏迷のみがこの予算面にばらばら現われておるということであります。従つて今回の予算を通じて政府の諸般の政策の目標、置き所、日本経済復興のきめ所というものはどこに置いておるのか全く合点が行かない。甚だしきは米の統制撤廃をやると言つて大上段に振りかざしたが引込めなければならん、或いはこの結果、この実情によつて供出割当の不手際或いは供出成績の将来の不安、未だに米価が決定されておらない、この問題を中心として閣内いろいろ意見が統一を欠いて国民をして非常に迷わしめ、政策の基本がどこにあるのか、政策の目標がいずこにあるかを極めて不明確にし、無定見を暴露したものであるのみならず、只今審議されておる定員法の問題につきましても当然こうした無定見な政策が現われておるのみならず、この結果によつて予算の組替措置が当然必要であるにかかわらず、特にこれを頬かぶりで行こうという狡い考えを持つてこの当面の失策を糊塗せんといたしておることは、いやしくも内閣を担当し、国民の師表として政策を具現して行かなければならない大政党の立場としましては遺憾極まるものあるのみならず、かような状態で日本経済の復興と日本自立の前途を背負うて行くという資格につきましては甚だ危惧を抱かざるを得ないのであります。  最後に私はこの予算は日米の友好関係を破壊する虞れのある予算ではあるまいか、特に日本人の思想を悪化せしめる予算ではあるまいかと案ずるのであります。あえてこの責任政府が負わなくてはならないと思うわけであります。條約調印、批准後におきましての、前後私が申上げましたる通り今後日本の自立は明るく、経済復興といい、或る一定の犠牲を拂わなくてはならないにいたしましてもおのずから自主性を確保して、乏しき中にも光明を得て国連に加入し、日米協力をして日本の態勢を固めて行こうというこの政府の指導なり、今日の段階において今回組まれたその予算の内容は一々私は今ここで指摘することは省きまするが、すでに申上げましたる通り、必ずしも日本の自主性を持つてやつたものでない。而も国民生活の復活と日本経済の復興に重点が置かれたような政策ではないのであります。或る意味におきまして一方的な特殊の性格と方針が独善的に盛上げられて組まれた予算であつて、断じて国民予算ではありません。断じて日本の予算ではないという不幸な現実を、條約調印批准後においてなお且つ展開せられなければならんということは、日本の将来に、国民感情といたしまして極めて遺憾なるものがあると思うのであります。この内政費の内容につきましても弱つておる農村を、乏しい衰えた中小企業、サラリーマン、あらゆる乏しき日本の国民生活の実態に対して殆んどそれらしき潤いと温情をかけずして、独善的な一方的な政策に終始せんとして莫大な剰余金を獲得し、莫大なるリザーヴ資金を獲得して何に使わんとするのか、将来起らんとする行政協定、賠償、債務の支拂、これらに対する不安というものが刻々迫る感が深いのでありまして、誠に国全体、国民全体に不安と恐怖を與える予算であつて、断じて国民の予算ではないと憂うるのであります。私はかくのごとき諸点を特に案ずるが故に、かような予算は当然政府は組替え、とりわけ両院決議によつて地方財政の窮乏を救うべく與党もくみして先だつてこれを決議した地方財政窮乏措置に対する政府の不熱意というものは、挙げて私たちの大なる不満とするところであります。私は以上の諸点を挙げまして、我が党の反対所論といたします。
  47. 東隆

    ○東隆君 私は只今上程されております補正関係の諸案に対しまして、第一クラブの総員を代表いたしまして反対をいたします。  最初に私は、大蔵大臣が説明をされました、「今後における経済運営の基本方針として、私は安定と能率と発展という三つを挙げたいと思います」こういうことを言われておりますが、これに対しては異議はございませんが、これの説明を聞いておりますと、腑に落ちない点があるのであります。自由主義経済というのは、計画や統制は嫌いなのであります。蔵相の言う「秩序ある健全な経営を営むという」「安定を維持する方法」とは正に反対のことを言つているので、「犬が右向けば尾は左」にきまつているのであります。次に経済を能率化することは、自由主義経済に立つものは営利本能を刺激し、自由競争をさせれば生産は増加するという考えであつて、蔵相の言われる、「国民経済全体として最大の効率を発揮するように努めねばならない」ということは反対のことを申されているので、自由主義経済から推せば、どこからもこんな言葉は出て来ぬはずであります。国民経済全体として最大の効率を発揮する経済原則は、蔵相の言われる経済原則からは決して出て来ないのであります。その次は「経済の発展を図る」ということで、このこと自体に文句はないのでありますけれども、蔵相の「経済の基盤を充実し、生産を増大し、貿易を伸張して、経済規模の拡大を図り、これにより国民生活の向上と雇用の増加とを期さなければならん」という願望は、單なる希望に過ぎないのであつて、その前提である「経済の基盤を充実し、生産を増大し、貿易を伸張して、経済規模の拡大を図る」方法は、何も示されておらないのであります。強いて言うならば、蔵相の嫌いな統制を金融財政の面にやろうとする以外には、私は見付けることができなかつたのであります。併しこの三つのことは、自由主義経済からは異なつた花が咲くのであつて、おつしやつておるような花は咲かないと思いますが、自由主義経済のねびた、私は花が咲くのではないか、こう思うのであります。この意味からは蔵相は立派な自由主義経済界の指導者であり、先達の資格は十分にあると思うのであります。即ち補正予算編成の基本的観念について私は最初に反対を表明しなければならないのであります。  財政の収支の均衡、財政規模等については、二十六年度当初予算に際しまして、歳入の自然増を考えると共に、地方財政平衡交付金増額と起債の枠の拡張について我々は主張をしたのでありましたが、当時その筋のOKを得ることができなかつたことは、今も痛恨事といたしておるのであります。今回の補正においては、それがおのおの百億ずつの追加になつておりますが、ベース・アツプも、米価の値上りも、電力料金やその他エトセトラの値上りは含まれていないのでありますから、今回の増額は二十六年度当初予算遂行上起きた赤を補填するだけであつて、当時から要望したものには、政府は何ら応えていないと言い切ることが私はできると思うのであります。従つて政府は、與党の自由党すらが、衆参両院において平衡交付金増額補正予算案が提案をされた後において全員を以て決議しておるのでありますから、こんなところで面子を考える必要は毫もないと思うのであります。両院が全部賛意を表しておることをあえて反対される政府は、日本の議会そのものの意思を占領下の変則な議会であると考え、言葉は言い過ぎることになるかも知れませんが、GHQの袖に隠れて民意を蹂躪しておるものと断ぜざるを得ないのであります。政府の面子を重んずることによつて国民の待望を蹂躪することなかれと私はあえて申すのであります。次に成るほど自由党は減税するという公約をしております。その公約に忠実ならんとする自由党党員であるところの池田大蔵大臣はわかりますが、今回の減税では救われない階層があること、而も政府が治安工作を半面において多額の経費を用いてやろうとするのであります。政府の当面の治安の対象は何でありましようか。過激な思想、議会政治を震撼するような動きはインテリ階層でありましようか。減税で救われない階層でありましようか。私はこの疑問を提出せざるを得ないのであります。大衆のモツブ化ということはこの国の歴史の中にもあるのでありまして、政府は口やかましく言う階層のことについては、その鎮静にこれ努め、警察予備隊の構想も目的外にはみ出して進められておるように思われます。警察予備隊は、私は、民衆と親しみを持ち、国民の福祉にかなうような形で編成をさるべきものであると確信をしておるものでありますが、そのためには技術部隊のようなものの二編成をし、ダムを造り、道路を造り、橋をかけ、学校を建て、通信網を整備する、こういうような方面に若しも警察の予備隊が用いられるようなことがあるといたしまするならば、私は十分に民衆の中に溶け込んだところの治安ができるのではないかと、こう考えます。「小敵の堅きは大敵の檎也」、これは孫子の中の言葉でありますが、如何に立派な軍隊式の訓練をしても、大敵の檎になつては駄目でありますので、減税と相待つて社会保障を奨め、治安を乱すようなものは小敵として檎にするようにいたそうではございませんか。  政府は、かねての公約である減税と統制撤廃を履行するために、非常に無理をせられております。税金が高いのは役人が多いからという常識的な言葉は、これは俚耳に入りやすいはずですが、その俚耳の持主から実は食糧検査員の首を切るな、統計調査員の首をはねるなと表明されていることは、政府も十分御承知通りであります。この前の整理が至極文句なしに行つたから、今回もうまく行くだろう、こういうふうにお考えになつたのでは、これは大きな間違いであろうと思うのであります。この前は徴用逃れの者や、或いは婦人職員が非常に多かつたのでありまして、これらの人々が交替をしたのでありますから、これはスムースに行つたのであります。今回の行政整理は、本年八月二十八日の閣議決定の「行政の改革に関する件」という、あの第五項にある行政機構の簡素化及び官庁職員の縮減についてのやり方を順序よくおやりになれば、私は今日のような問題にはならなかつたと思うのであります。それを本末顛倒してしまいまして、行政機構の簡素化をやらないで首切りを事務整理の名目の下に先にやろうとしたところに問題があつた、こう考えるのであります。この政府の違算、各省間のバランス・オブ・パワーか何か知りませんが、セクトに立籠つた列国を如何ともなし得なかつたということが本当でないかと思いますが、この政府の不手際の飛沫を完全に我々この予算委員会の者はこうむつておるのであります。否委員会ばかりでなく、国民全体がその飛沫を浴せかけられておるのであります。  次は主食の統制撤廃問題でありますが、農林、安本、大蔵のトリオは、もろくもドツジ氏の巨腕に封じられてしまいました。統制撤廃二千三百五十二万石、二千五百五十万石、これは二枚舌でなくて三枚舌であります。「敗将兵を談ぜず」と言いますが、負惜しみは言つておりますが、肝心の敗因の検討をしようとする我々に対しては談じないのであります。ドツジ氏の一年前のメモについては、見ない「知らない、聞かないの一点張りであります。私はこの機会に「政府は正直にものを言うべきである」と、国民の名において教訓をいたしたいのであります。輸入量が三百二十万トンから三百八十五万トンに殖えるということは、国内の主食自給度を高めるという政府の累次に亘る説明を完全に裏切つています。それのみならずこの主食の輸入の増大、とりわけ麦の輸入の増大は援助資金のなくなつた今日、ドル区域に輸出するものを多く持たぬ日本としては、原綿を輸入するドルにも困るときが目の前にあることを政府は十分に知つておるはずであります。この知つて、而してなさざるほど悪どいものはないのでありまして、政府のやり方はこの惡どいやり方をやつてまで、主食の統制撤廃をやろうとしたのでありますから、あきれてものが言えない、こう言わざるを得ないのであります。十一月・二十五日周東安本長官はドツジ氏と会見をされました。そうして電源開発について次のように言渡されております。  「電源開発促進の必要性は十分認めるが、一方でインフレを抑制しつつ政府案をそのまま実施するためには電力部門に超重点投資が行われなければならない。そうなると他の産業部門への資金供給はかなりの圧迫を受けざるを得ないので、この両者間の調整点を見出すために電力部門だけでなく、全産業を含めた総合資金計画と、それに伴う資材計画を提出されたい。」これは東京新聞に載つていましたが、昨日お国帰りのドツジさんのお話の中にも、この資材計画の必要が力説されているのであります。大蔵大臣は統制も計画もお嫌いでありますが、安本は大蔵大臣の嫌いなことを主としてやる所であります。講和後の日本の経済をほしいままになる自由主義経済の建前でやつてつてよろしいでしようか。私は行き当りばつたりイズムでは駄目だと思います。従つて国家予算は計画的に進められるべきであり、重要資材その他についての生産、消費についても、確かな見通しをなすべきときであると言わざるを得ません。  以上のごとく私は本予算の編成の方針とは根本的な対立の上に立つていると見まして、ことごとく蔵相その他とは逆さまに見えるのでありますので、私は断呼として反対をいたすものであります。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、二十六年度予算補正に関する三案に反対いたすものであります。反対の論拠を三点に要約することができます。  第一に歳出面においてこの二十六年度補正予算案は一体何を補正しようとしているのか、言い換えれば、何を補正し、何を補正していないのかということが、根本の問題であると思うのであります。先ほど各委員からも御指摘がありましたが、実はこの二十六年度予算補正において、一番問題になるべき点は物価補正であります。又物価補正であるべきはずであつた。ところが政府は原則として物価補正は行わないという建前をとつたのであります。そのために物価は大体三割から四割ぐらい当初予算を組んだ当時よりも騰貴しておりますが、物価補正を行わないということは物価騰貴率だけ実質的に予算を削減したことになることは言うまでもないのであります。この予算委員会を通じまして、特に公共事業費について詳細に検討したのでありますが、公共事業費については、物価騰貴を補正しないために、例えば電源工事においては二カ年かかるところが三カ年になり、千メートルの道路補修が七百メートルに削減される、こういう事態が生じておるのであります。これはひとり公共事業費関係ばかりではありません。予算全体において実質的な削減が行われておるということが問題であると思うのであります。それでは一体何を補正したのだ。千三百六十三億の予算補正のうち一体何を補正したのか、いわく警察予備隊、或いは又出資及び投資、こういうものが補正予算全体の八割を占めておる。これは補正ではなく、新たなる財政支出の追加であります。新らしい支出であります。而もこの新支出の中には、明年度の講和後における新たなる財政負担に備えて、これをリザーヴするところの資金が相当この中に含まれておる。このように原則として物価補正を行わないということは、民生費を犠牲にして、警察予備隊とか、その他軍事的支出の増加のほうにこれを新たに振向けるということを示すものであります。これが具体的にどういうふうに現われておるか、私はこの補正予算を平均二割の物価騰貴率でこれを割りまして購買力として、当初予算と同じ購買力の基礎の下に立つて計算をし直して見たのです。そうしましたならば教育文化費が十億減つておるのであります。実質的には減つておる。社会及び労働費が九十八億実質的に減つております。保健衛生費が二十一億減つております。年金恩給費が九億減つております。公共事業費が八十四億の縮減であります。地方財政費が百四十五億の実質的な減少であります。それに終戰処理費二百七十二億の減少、但しこの終戰処理費は対日援助が打切られましたからこれは財政負担の軽減とは言われないと思う。そこで何を殖やしたか。実質的に警察予備隊は八十八億殖えておる。産業経済費は二百四十億殖えておる。出資及び投資が二百三十二億、いわゆる平和回復費が八十億、予算全体としましては二百二十五億の実質的な減少であります。インフレによる貨幣錯覚に陥つておるものであるならば、今度の補正予算は膨脹したというふうに見えますが、実質的にはこれはデフレ予算である。而も何を削つて何を殖やしたかということが重大な問題でありまして、今指摘いたしましたように教育文化費、社会労働費、保健衛生費、年金恩給、公共事業、地方財政、こういうものを削減して、警察予備隊或いは軍需品を作るところの日米経済協力の方面に対する投資出資、こういう方面に振向けている。かくのごときが二十六年度補正予算の性格であります。これは二十六年度予算の質的な変化であります。單なる量的な変化ではないと思います。平和国家、文化国家としての財政から警察国家、軍事国家へ質的に変化をさせるところの補正予算であると私は断ぜざるを得ないのであります。これが私は反対せざるを得ない第一の理由であります。  第二の反対理由は、これは歳入面であります。これまで指摘しましたような平和国家、文化国家としての財政から警察国家、軍事的国家への質的変化をもたらそうとするこの補正予算財源は何に求められているか。第一にいわゆる自然増収、第二に公務員の六万人以上に上るところの整理、犠牲、第三に人件費の物価補正をやらないということによつて予算を浮かす、即ち人事院の一万一千二百六十三円を九千五百三十円にしか引上げない、実質的にこれによつて財源を賄なおうとしている。で自然増収につきましては、これが名目的所得増加に基くいわゆる自然増税であることは、所得税改正法の反対討論の際に述べましたから、私はここでは省略いたします。このような増税と人員整理、首切り、又人件費に対する物価補正の不足という犠牲において、警察国家及び軍事的国家財政財源が求められている。これが私が第二に反対せざるを得ない理由であります。  それから第三の反対の論拠は、これまで各委員が指摘されましたように、この補正予算を貫ぬく基本的経済政策を自由経済方式に置いているという点であります。これは具体的には一般的に先ず物価政策が全然示されていないということ、これは驚くべきことであります。財政にしても、金融にしても、その他経済政策一般が物価如何によつてこれが大きな影響をこうむることは言うまでもありません。物価政策が確立しないで、どうして財政金融経済政策を円滑に運用できるか。この長い間の予算委員会において政府は物価政策については何ら示すところがなかつた。一体この物価をこの現在の水準で安定させるのか、或いは上げるのか、更に下げるのか、全然無策なんです。これを自由主義政策と言つておるのであります。これでは講和後においても、日本の経済の自立は困難であります。具体的には米麦の統制撤廃を前提としてこの予算が組まれている、その結果どうなるか、民生が著しく圧迫されることは明らかであります。主食の著しい騰貴が予想されているのです。そういう前提においてこの予算が組まれておる。更に又現在の政府の自由主義政策の破綻を最も端的に示しているのがいわゆる電力不足、電力飢饉であります。周東安本長官はこの予算委員会におきまして、これまで自由主義政策をとつて来たことを成功であつたと言いました。一時的に物資が過剰に輸入されて、そうして輸入引取資金に困難を感じ、その苦い経験から為替管理を行わざるを得ないような状態に追込みながら、自由経済政策が成功したと……。又今日まで自由経済政策をとつて来たために、そのしわが電力不足という形において現われて来た、電力飢饉という形に現われて来た。若しこれが最初から総合的計画的な政策をとつたならば、こんな電力不足というものは現われないことは明白なんです。こういうような間違つた自由主義的な政策によつて、非常に多くの混乱、無用の混乱が生じているのです。更にその政策を続けて物価は放任、無政策、どうやつたらいいのだかわからないまま、又国民生活にとつて最も重要な主食の統制を撤廃し、又この電力についても、計画的総合的にこれを開発するという政策がとられていない。電力の配給計画においてもそうであります。特需が出て来れば無制限に特需のほうに供給して行きます。そうして電灯供給を削減している。こういうような非常な無計画、無能の自由主義経済方式に基いてこの予算が編成されておる。これが私が反対せざるを得ない第三の点であります。  要するに講和條約を前提として二十七年度の巨額の講和関係費負担を考慮に入れて編成したという池田蔵相の言うところのこの補正予算の意義は、以上述べたごとく極めて明白なんです。文化国家、平和国家としての財政を警察国家、軍事的国家財政へこれを編成替えするというがごときものなのであります。つまり民生費の犠牲において警察費や軍事的支出を賄うことの予算であることが極めてはつきりしておるのであります。平和條約、日米安全保障條約批准前におきましては、政府は盛んに楽観論を放送して宣伝しておりました。ところが批准が済みましてから、吉田首相はこの予算委員会において、イギリスと同じようにこれから耐乏生活をしなければならんということを要請しておる。そうして今後の経済の容易ならざることを強調しておる。日米安全保障條約に基く行政協定によりまして、日本にどの程度範囲の独立を與えるかということが批准後において問題になつているということがラスク次官補の訪日によつて明らかになつた。国民は何か割切れない気持がするわけであります。騙されたのではないかという気持がしていると思うのであります。平和條約の本質は極めて軍事的なもの、戰略的なものであります。この條約を承認する以上軍事的な経済が強く要請されることは火を見るよりも明らかであります。ドツジ氏が去るに臨んで、警察予備隊、防衛分担金とに約二千五百億円を要請して行つたと伝えられております。日本経済は軍事経済に、これでは移行して参ります。これは文化的経済、平和的経済からの質的な変化でありまして、そうして平和経済、文化経済が犠牲になる、こういう平和條約の本質を、政府はこれまで国民に隠蔽して来たのであります。若し政府が、こういう事実を知つてつて国民に楽観論を放送したとするならば、それはいわゆる患者の楽園であります。知らずしてこういうことを国民に言つたというならば、国民を欺くことこれより大きな罪は私はないと思うのであります。文化国家、平和国家としての財政を、警察国家、軍事国家としての財政に我が財政を質的に転換せしめようとする、この補正予算に対しては、少くとも日本民族としての健全なる常識を持つものとしては、賛成しようとしてもその良心が許さないのであります。不健全な常識を持つものにして初めてよくこれに賛成し得ると思うのであります。  以上の理由によりまして、私はこの補正予算に反対いたします。そうして文化国家、平和国家としての財政に値いするような予算に組替えて提出するように要求するものであります。
  49. 和田博雄

    委員長和田博雄君) お諮りいたしますが、本会議のほうで定員法の採決が間もなくありますので、暫時本委員会は休憩いたしまして、定員法の採決の直後続行いたしたいと思いますが、如何でございましよう。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは暫時休憩いたします。    午後四時三十五分休憩    ——————————    午後四時五十五分開会
  51. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 休憩前に引続き会議を再開いたします。岩間正男君。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 私は日本共産党を代表して本補正予算三案に反対するものであります。  反対の第一の理由は本補正予算が国連協力の名の下に、実際は全く自主性を喪失した奴隷予算だからであります。(笑声)池田蔵相は初め四百五十億の枠をきめて渡米したのでありますが、サンフランシスコから帰るや否やこれが忽ち三倍以上にはね上つたのであります。その原因は何であるか。そのことは本会議での代表質問以来しばしば我が党の追及して来たところであります。然るに政府はこれに対しまして何ら筋の通つた答弁をすることもなく今日に及んでいるのであります。これは一体何を意味するか、言うまでもなく予算編成権が未だアメリカに握られているということの何よりの証拠であります。本年四月あのリツジウエイ声明以来、我が国の自主性は大幅に政府に讓渡せられることになつたはずであります。然るにそれは表面上のお体裁のどうでもいいことだけに限られまして、一国の死命を制する予算編成権のごときは完全にこれを握つて離そうとしないのであります。このことは單にこの補正予算に限らず、来年度予算においても何ら変りがないのであります。果せるかなドツジ氏の来朝によつて講和関係費、特に国防分担金の枠がまだきまらず、ために二十七年度予算の大綱さえ国会に示し得ない現状ではなかつたでしようか。講和條約の発効は来年二月頃と伝えられており、従つて三月以後の財政経済を律する二十七年度予算につきましては、大幅に日本政府の主張が通らなければならんはずであるにもかかわらず、全くその主導権がアメリカに握られているのであります。一体ドツジ氏の資格は何か。吉田首相は委員会で、ドツジは命令しない、政府は専門家の意見を聞いているだけであるということを答えているのでありますが、これは全く実情をごまかした答弁であります。事実ドツジ氏は我が国のさる銀行家に対しまして、私の勧告は、現在日本が占領下にあるので拘束力を持つていると語つたと伝えられ、又講和発効後も、或る期間は日本の財政経済について発言権を持つていると述べたと言われているのであります。而も事実はどうか。これは米の統制撤廃の経過が何よりも雄弁にそれを物語つているのであります。即ち政府があれほど力んで見せましたところの米穀統制撤廃の一大公約がドツジ氏との折衝によつて、あたかも春先きの霜のように崩れ去つた。このことを見ますれば明らかであります。このように全く自主性を失いました政府の態度に対しましては勤労大衆はもとより財界の各層からも種々不満の意が表明されているのであります。現に経済同友会の某幹部のごときは、ドツジ氏が予算編成の紐を握つて離さぬのは━━━━━我々は何のために調印したのかわからないという憤りの声を揚げているのであります。ところでアメリカがこのように我が国の財政経済の紐を握つて離さない原因は何であるかと言いますと、それは言うまでもなく両條約によつてアジアにおける反共━━の第一線基地として再編成した日本のすべてを挙げてアメリカ戰略のために奉仕させんがためにほかならぬのであります。これは本補正予算の三倍膨脹の殆んどが国内治安に名を籍りた軍事的支出、並びに政府の出資投資に名を藉りた軍事的予備費であることを見れば、明らかだと言わなければなりません。又来年二十七年度の予算が、防衛分担金並びに警察予備隊の枠の飛躍的増大によりまして、再軍備必至の情勢に追込まれていることを見れば明瞭であります。これが和解と信頼の両條約締結後における日本の財政経済の誠に有難い実情であると言わなければなりません。政府は一体かかる奴隷的態度をどこで切替え、いつ改めんとするのであるか。かかる態度をこれ以上持続することは、和解と信頼を盲信して、折角両條約に賛成した国民層といえども、絶対に我慢することのできない條件であろうと思うのであります。反対理由の第二の点は、本補正予算が再軍備への橋渡し的予算であることであります。日本の再軍備につきましては、安保條約の條項、又精神から見て、早晩これが現実化するであろうことは想像に難くないのであります。あたかもこれと符節を合せましたように、最近は、バークレー副大統領、ラスク次官補等アメリカ要人が相次いで渡日しておる。それに加えて来月初旬はダレス氏が四度目の訪日を伝えております。ダレス来朝の目的が何であるかについては、今日もはやこれを知らない者はあるまいと思うのであります。又伝えられるところでは、政府はすでに再軍備の構想をワシントン筋から求められ、目下検討中とのことであります。あたかもこれに応えるかのように、二十五日附の朝日新聞を見ますというと、防衛力漸増計画なるものが発表されておる。これによりまするというと吉田首相は去る二十二日、外相官邸に軍事専門家を交えて重要会談を行なつた、その席上で防衛力漸増計画と、その予算措置に関する打合せがなされたと言われておるのであります。その構想としましては、先ず第一に、警察予備隊を質的に強化し、第二次大戰以来飛躍的に発展したところの戰略戰術に対応する技術的能力を持たせるために、本格的訓練を開始する。第二には、海上保安庁を海上警察の役割から、沿岸における軍事的防衛をも担当させるように再編成する。第三は、これらの措置は成るべく早く実現したい考えで、できれば来年早々にも発足する。これらのことを骨組としまして、すでに総司令部及び米国政府にも通達されていると信じられると同紙は報じておるのであります。本補正予算における警察予備隊費百五十億の支出のごときも、かかる態勢強化への過渡的支出にほかならないのであります。而も予備隊はすでに迫撃砲、ロケツト砲を持ち、最近の訓練におきまして渡河作戰、バリケード、トーチカ構築、敵陣の探索、爆破まで行なつていることは、何を意味するか。表看板に再軍備を謳うかどうかは別としまして、警察予備隊の強化が、実質的に国民負担を著しく増加せしめることは、既定の事実であり、すでに池田蔵相もこれを認めているのであります。即ち警察予備隊の費用は、本年度の三百十億から、来年度は数倍にはね上ろうとしているのであります。第十国会以来吉田総理は、再軍備はしないし、又できないとしばしば言明しておるのであります。而してその理由とするところは、国家の経済がこれを許さないからだということであつたのであります。ところでこのように経済的理由を楯としまして、再軍備を否認し続けて来たところの政府が、一方実質的には、警察予備隊の名によつて著しく国民負担を増大せしめて憚らんものがあるのであります。その結果、これらの軍事費に対するアメリカ側の要求は、防衛分担金と合せて約二千億であり、それは政府の千二、三百億の線を遥かに突破しておると言わなければならないのであります。これに賠償、外債支拂、その他のいわゆる講和関係費等を加えますときには、来年度の講和関係費は約三千億近くになる。その結果は、池田蔵相の八千億内外の枠を拡大して、増税を断行するか、或いは国内費にしわ寄せして、超均衡予算を組むほかに方法がないところに追込まれておるのであります。こうして二十七年度予算の編成に当り、国内経費を優先するという建前を声明した池田財政は、再軍備第一主義にその方針を変更せねばならん土壇場に追込まれておるのであります。このことはアメリカの対外軍事政策、例えば西欧諸国に対する軍事援助の條件が、当該国の国民負担の一〇%を軍事費として計上することを要求しておることと併せ考えますときには、一層深刻であると言わなければなりません。即ちこれを日本の場合に当てはめて考えるとき、昭和二十六年度の国民所得が四兆六千億でありますから、従いまして一〇%、四千六百億程度までが軍事費として要求される可能性を持つておるということになるのであります。一方アジアにおきましては、朝鮮戰争もまさに休職に入ろうとしております。こうした現段階におきまして、なぜこのような軍事費が必要なのであるか、日本の防衛といい、安全保障というのも、すべてがウオール街の戰争屋どもによりまして昨年夏仕組まれた朝鮮干渉戰争を理由として、国内の不安を煽り立て、輿論を形成してのことではなかつたか。然るに今、休戰が実現せんとするのに、軍備はいよいよ強化され、国民負担はますます重くなろうとしておるのであります。この矛盾の真の原因は一体何であるか。言うまでもなく帝国主義者どもが、休職によつてもその元来の━━━━━をいささかも放棄するものではない、彼らはむしろこれを機会に、中東アジア司令部設置の裏付として、━━━━━━━━に廻す必要を生じ、その後釜として━━━━━━━当て込んでおることは、過日の吉田、アチソン交換文書を待つまでもなく明らかであろうと思うのであります。あたかもこれと符節を合したように、二十五日のINS電は、韓国外務長官ピヨンヨンテの記者会見談を報じておるのであります。即ちこれによりますと、日本は共産軍との戰争を援助するため、朝鮮に日本人部隊を派遣しようと提案したと述べておるのであります。政府はこれを否認していますが、傀儡国とは言え、いやしくも一国の外交責任者が、公開の席上で虚言を吐くということは信じられないのであります。吉田総理は事ごとに再軍備をしないし、又できないと言い、又朝鮮休戰は望ましいと言いながら、事実は全く逆のコースを歩んでおるのであります。これはもとより政府の土台骨が腐り抜いて、解散必至の情勢を見越し、余りぼろの出ないうちに、今日までの国連協力の政策と再軍備の事実を国民の前に隠蔽せんとする見えすいた手段と言わなければなりません。若しそうでないとするなら、飽くまで苛酷極まる軍事費の要求を蹴り、アジアの平和を推し進める努力を集中し、国民の生活を断乎守り抜かねばならんはずだと思うのであります。果して政府の所見はどうか。(笑声)  第三に、本補正予算は、日本経済協力の名の下において、国際収奪の強化を図らんとするものであります。本補正予算の枠の膨脹の原因が軍事的支出と政府の出資、投資にあることは、すでに指摘した通りであります。即ち外為特別会計、食管特別会計への繰入四百億、国際通貨基金、国際開発銀行への出資分担金二百億を計上しておるのでありますが、これこそは国際独占資本に日本経済の全部を挙げて奉仕せんとすることにほかならないのであります。言うまでもなく国際独占資本は過去六年間、日本の占領状態を利用して、見返資金には紐を付け、金融機関を初め、電力、石炭、鉄鋼、造船、肥料等の重要産業のみならず、鉄道、通信の隅々に至るまで、その支配的実権を握つて来たのであります。又外貨割当の操作を通じまして、日本の対外貿易を全く左右し、日本が売りたい国に売れず、買いたい国から買えず、安いときに買えないで、高いときに押付けられるという、からくりが行われているのであります。こうして貧慾極まりない狼どもは国際物価の大きな変動を利用しまして、日本の貿易業者並びにメーカーの犠牲におきまして大規模の収奪を繰返して来たのであります。而もこうした背後の操作の間に、日本全体がいつの間にか戰争謀略の網にがんじがらめに縛りつけられて来た実情であります。国際開発銀行、国際通貨基金の制度こそは、弱小資本主義諸国からなけなしの金を捲き上げて、戰争商売人の祭壇に供せんとする機構であります。吉田内閣は日米経済協力の名の下に、この血に飢えた狼どもの前に脆いてその分け前にあずかろうとしているのであります。にもかかわらず本年度内に国際通貨基金への加盟が許されるかどうかということは、先ほどからの論議によつても未定であります。恐らく問題にはなるまいと予想されるのであります。更に外為特別会計への繰入金も、輸出入のバランスの予想からしますならば、恐らく年度内に使うことはないものと考えられるのであります。そうだとしますと、この数百億に上る厖大な経費が、いわゆるリザーヴ・フアンドとして備蓄されることになるのであります。これだけの大金を遊ばせておきながら、給與ベースの改訂は人事院の勧告を遥かに下廻つており、六・三制の校舎建築は御破算の状態であります。又失業対策も、戰争犠牲者遺家族の援護費も殆んど問題外であります。特に平衡交付金増額につきましては満場一致決議案が両院を通過しており、我々はその実現を目指して連日委員会で折衝を続けたにもかかわらず、政府は遂に財布の口を締めて開けようとはしなかつたのであります。池田大蔵大臣はこの小委員会の席上におきまして、平衡交付金増額は国民の血税だから十分に検討を要するということを漏らしているのでありますが、それなら一体数百億に上る政府の出資、投資、この政府の出資、投資は一体国民の血税ではないのかということを私は聞きたいのです。又最近の汚職事件で不正に浪費されました数十億は、一体日本国民の血税ではないかということを伺いたいのであります。アメリカ側の要求さえあれば、日本の台所には到底合わないところの厖大な支出をやろうとして承諾する政府も、一方国民の血の出るような要求に基く僅か百億余りの支出を出し澁つておるのであります。これでは全国の知事会議、市町村会議を初め、関係者全部が憤激するのも無理のないことであります。これをなだめるために、政府は一方におきまして繋ぎ資金のような糊塗的手段をとろうとしているのであります。これはすでに政治ということはできないのであります。自由党の選挙対策以外の何ものでもないのであります。若し池田蔵相の言う通り、それが真に国民の血税であると考えるなら、絶対多数の要望に応えましてこれを国民に返すべきであると思うがどうでしよう。とにかく両院満場一致決議がこのように政府並びにその背後の力によつて拒否されることは、国会の機能の喪失であり、まさに奴隷国会への転落への分岐点と考えられます。これでは今後が思いやられる。我々は両條約発効後の国会運営のためにも、ここで民族的決意を結集して、かかる暴圧と最後まで戰わんとするものであります。  第四に本補正予算は国際収奪の一切のしわ寄せを国民の血税に求めんとするものであります。本補正予算に計上した経費は、いわゆる国内費たると講和関係費たるとを問わず、本質においては国際収奪者への奉仕を第一とし、これに従属する国内の特定買弁資本に若干の従属的超過利潤を保証するものであります。この厖大な経費のしわ寄せは言うまでもなく国民の血税であります。そのからくりは簡單である。政府は国民所得を昨年度よりも一兆一千億円も水増しし、これによつてさしずめ千五百六十億の水増し増税を当て込んでいるのであります。この手品を国民の目から隠すために、政府は四百五億の減税なるおとりを用いているのであります。併しそれが真の減税でないことは、減税がドツジ氏の来朝によりまして非難されますというと、同じ穴の自由党の吉武政調会長は、減税でなくて税の調整であるということを言い出したわけであります。これは政府並びに與党自由党が、国内的には減税による公約実施なりと宣伝これ努めながらも、国際的にはその正体を暴露せざるを得なかつた何よりの証拠であります。国内的には減税、国際的には増税という自由党の発明したことの二枚舌こそは、このたびの税制改革の正体を誠に遺憾なく物語つているのであります。これを数字について見ますと、差引千百六十億の増税であり、更に地方税の増徴分四百二十三億を加えますと、実に千六百億近い大収奪になるのであります。池田蔵相がみずからも、先ほど述べましたように、国民の血税ということを認めておる。又その後ドツジ氏が政府減税政策を、来年度の減税政策をば了承したのは、かかる事実を認めたからにほかならないと思うのであります。第五に今度の予算審議を通じて最も遺憾に堪えないことは、米穀統制撤廃中止のあの責任が何ら明らかにされなかつたことであります。吉田内閣の最も重要な政策であり、現にこの参議院の壇上を通じまして総理によつて明らかにされた米の統制撤廃は、その後労農階級を中心とする国民大多数の猛烈な反撃に会い、最初から動揺せざるを得なかつたことは周知の事実であります。而も最後の頼りの綱であるところのドツジ氏の了解が別の意味から得られず、政府は来年四月からの実施を見合わせねばならぬところに追込まれたのであります。而もこの責任を痛感し、国民の前にその不明を謝まるべきであるにかかわらず、政府は一片の声明書を発表して事態を全く糊塗せんとしているのであります。池田蔵相のごときはその責任を感ずるどころか、却つて威丈高になつて基本方針には何ら変更がないと力み返つているのであります。併し我々の聞かんとするところは、実現の見込のない抽象的な、今後の仮定的な方針などという架空のものではないのでありまして、現実に一体四月一日から政策が実現されない、そのことについての責任でありまして、更にこれによつて現に惹き起されているところの国内の混乱であります。一体政府はこれからの供出をどうさばくのであるか。一度緩められた農民の供出意欲というものは、不作を前にしまして、二千五百五十万石の供出に一体自信があるのか。又その奨励金を一体どうするのか。更に地方では四月からの統制撤廃を見越して、業者なども暗躍し、思惑買の態勢が準備された事実もあり、而もこれは決して自由党とは無関係ではないと思うのであります。これらの後始末を一体どうするのであるか。これらいろいろの條件が重なつて、今後吉田内閣の土台骨を足下から揺り動かす大きな要因になることは必至であろうと思うのであります。併し飽くまでも政府は頬被りでこの事態を切り抜ける気であるかどうか。公党の政策がこういう形で何らその責任を明らかにせず、運営されるところに、日本政治の植民地的現象がはつきり現われているのであります。これは国会の威信をも傷つけ、内外の信用を損うことは明らかであります。よろしく政府はこれらの責任を負つて内閣を投げ出して、罪を天下に謝すべきであると私は思うのであります。更に見逃すことのできない問題がありますが、それは横田基地の爆発被害事件であります。十一月十八日の午後六時二十分頃、両條約が衆参両院を通過して、政府並びに自由党の諸君が乾杯を挙げていた真最中のことであります。横田航空基地ではB二九爆破によるあの惨事が起つた。十二名の全搭乘員は無事であつたのに引きかえまして、これが救助に駈けつけた日本人が爆彈の炸裂によつて、或いは、惨死し、或いは重傷を負い、又附近の多数の家屋が非常な損害を受けたのであります。私はこの事件補償につきまして、被害補償につきまして、予算委員会関係大臣の意見を質したのでありますが、池田大蔵大臣はこういう被害に対しては声明か何か出ており、占領軍はその責任を負わないようになつているということを答えられたのであります。私はこれに対しまして、それならその声明か何かこれについての資料提出を求めたのでありますが、先ほど委員会委員長からこれをお諮り願いたのでありますけれども、未だにこの資料提出されないで今日に及んでいる。なぜ一体こういうことが行われるのであるか。今仮にそういう声明書が事実あるかないかということは明らかでありませんが、仮にあつたとしましても、それは占領政策に属する上のことであります。言うまでもなく……。
  53. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 岩間君に御注意申上げますが、大分時間が……。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 もうこれで終ります。  占領軍の目的は、ポツダム宣言により日本の徹底的民主化と非武装化以外にはないはずであります。然るにこれは戰争目的の爆彈による被害であります。この補償責任米軍の当然負担しなければならないものであるのであります。然るに政府は、これを米軍当局に交渉することもなく、特別調達庁、或いは厚生省の費用を以て見舞金を賄つておるのであります。曾つて日米が交戰状態にあつた昭和二十年四月のことでありますが、交換船阿波丸は米軍潜水鑑の不法攻撃によつて撃沈されたのであります。この事件に対しまして、米国政府は、いさぎよくその責任を認めて日本政府の損害賠償請求権を承認した事実があります。戰争下においてさえ不法行為はどこまでも不法行為であつたのであります。ましてやポツダム宣言に基く占領下にあつて外国軍隊の作戰行動によつて惹き起された損害の賠償請求権があることは当然のことだと思うのであります。然るに政府は当然のこの権利を主張しないのみか、国民の税金によつて形ばかりの見舞金を支拂い、そのまま泣寝入りしようとしているのであります。而もなお質疑によりまして池田蔵相は、外国の飛行機が何を積んで歩くかは日本政府の知つたことではないということを言つておられます。こうしたどこの国の政府かわからないような政府を戴いている限り、日本人は一刻も自分の国に安心して住めないということになる、これが吉田内閣の国連協力政策の実体であります。安保條約調印後の日本の現実であります。これらの條件が早晩行われる行政協定によつてどうなるかについては不安の念を禁じ得ないのが今日の日本国民の立場であります。(「時間厳守」と呼ぶ者あり)以上申しましたような点に対しまして、我々はこの予算に対しまして熱心に審議を続けたのでありますけれども、両條約に反対し、そうして飽くまでも平和とそれから民族の独立、自由、こういうものを求めるところの我々日本共産党はこのような戰争準備のための橋渡し予算であるところの本補正予算に対しましては絶対に反対せざるを得ないのであります。
  55. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 討論通告者の発言は以上を以て終了いたしました。他に御発言もなければこれを以て討論を終結いたし、直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないと認めます。これより昭和二十六年度一般会計予算補正(第一号)、昭和二十六年度特別会計予算補正(特第一号)、昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第二号)を一括して採決いたします。以上三案に御賛成のかたの起立を求めます。   〔賛成者起立〕   〔「少数」と呼ぶ者あり〕
  57. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 起立者二十四名、多数でございます。よつて以上三案は可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條により多数意見者の承認を経なければならんことになつております。これは委員長において三案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして御承認願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないと認めます。  次に本院規則第七十二條により委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、三案を可とせられたかたは、順次御署名を願います。   多数意見者署名     西郷吉之助  新谷寅三郎     前田  穰  藤森 眞治     藤野 繁雄  小林 政夫     平岡 市三  石坂 豊一    池田宇右衞門  泉山 三六     石原幹市郎  島村 軍次     楠見 義男  高良 とみ     飯島連次郎  島津 忠彦     上原 正吉  深水 六郎     一松 政二  白波瀬米吉     岩沢 忠恭  古池 信三     加納 金助  小野 義夫
  59. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御署名漏れはありませんか……。ないと認めます。これを以て散会いたします。    午後五時二十五分散会