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国務大臣(橋本
龍伍君) 只今の御
質問にお答えを申上げます。私も今日一点單価引上げ問題にからみまして、社会保險の保險医が保險診療を辞退するというような話が出ておりまするのは誠に遺憾に存じます。ただこの問題に関しましては、医師といたしましても、今までのところ、
昭和二十二年十一月にきまりました診療報酬では、なかなか骨が折れるということを我慢をしてもらつたという経緯もございまして、医師のほうの診療辞退というようなことはこれは穏やかでないと思いますけれども、併し医師のほうでの要望にも理由のあることであります。そこでこの問題に関しては、医師会の側の要望、又社会保險の運営者のほうの要望等をからみ合せまして、私は少し感情的になり過ぎておる面もあると思いますので、今まで社会保險医療協議会という民主的な機関で審議をして、それから答申を得て、厚生省もこういう仕組に折角な
つておりますのを、途中で割込んで、その答申自体を左右するというふうなことをしたくないと思
つて、私どもはまとまることを要望しつつ参りましたけれども、今日の事態ではこれは誠に遺憾だと思いますので、とにかくこれをまとめますように骨を折
つておる次第であります。今日も医療協議会の小
委員会を開いております。ただ折角ここでまとめようと思
つております段階でありますので、私は社会保險診療の辞退というようなことがあ
つてはならんことと存じておりますので、今日の私の立場といたしましては、できるだけこれを円満に、そうして要は
国民に対するサービスという面も両方協調してまとめるように努力をいたしております。これ以上この態度についてどう思うというふうなことは私として立入
つて申上げたくないことであります。今日私のひたすら
考えておりますことは、何としてでもやはり利害を超越して歩みをまとめて、社会保險というものがより一層円滑に運営されるようにしなければならんということです。問題は單なる政治問題というふうなことよりも、極めて冷静な
計算を必要とする問題でありますので、余り感情的にならないように、そうして十分相互の利害を
考えながら常に片手に算盤を外さないということで、被保險者の利益、それから保險
経済の立て方、国庫の負担、診療内容の充実といつたような面をからみ合せながら成るべく早い
機会に解決いたしたいと思
つております。
それから木村
委員の御
質問にお答えを申上げます。先ず生活扶助費の問題でございまするが、これは
昭和二十六年度の
予算ができましてから、生活扶助費の基準額を六大都市五人世帯五千八百二十六円、全国平均五人世帯五千二百十七円として実施をいたして参
つております。この
予算の問題につきましては、御承知だと思いますが、この生活保護法に規定されました扶助というものは、これは国として当然やらなければならんものでありますので、いつでもその見積りは前年の実績によ
つて見積りをいたしておるわけであります。從いましてその基準の金額は、年度当初におきまする生活扶助の基準額をきめまして、約一年間の自然
増加の趨勢も織り込んでおります。二十五年におきまする
増加は比較的著しいのでございまして、毎月平均二・四%ということにな
つておりまするので、これはいささか今年に比べて多くはないかと思いましたが、
從來機械的実績で推算することにいたしております。これで二百二十億という
予算を組んだわけであります。ところがその後年度に入
つてからの自然
増加率は一・五%であります。人員の点につきましては、年度の初め頃は前に比べまして、今日人員が殖えておりますけれども、最近の
状態は横ばい
状態に相成
つております。積極的に人員が減るというところまでは参
つておらないはずだと思います。大体百九十六万ぐらいだと思います。そこで
見込んだ自然
増加率が二十五年に比べて低うございますので、大体この米価改訂がないとするならば、この二百二十億ばかりの
予算の中で、九億五、六千万円ゆとりがありはしないかということが大体明らかにな
つて参りました。そこで八月の米価改訂に伴いまして、基準額を六大都市五人世帯六千三百二十一円、全国平均五人世帯五千六百二十一円と約八%
程度上げましたけれども、これに要しまする所要金額が五億五、六千万円であるのでありますので、なお四億円ばかり残る勘定にな
つております。その後自然
増加の趨勢も格別前年のように殖えるというような傾向は見えませんので、大体このぐらい残ると思います。今後も電燈料、通信費の値上り等で若干上ると思いますので、今
計算して基準額の改訂を
考えておりますが、恐らくこれによりまする所要金額は三億足らずぐらいになると思いますので、今日
補正予算で特別組む必要はないと実は
考えておるわけであります。厚生省の
予算について私も
国民の福祉を預ります
関係から行きまして、
予算内容に支障のないようには十二分に検討をいたしまして、先ほどの未復員者給与法の問題も、これも大体前年度の基準等を見合いながらや
つております。厚生省につきましても、必要な部分については私も責任上十分検討いたした結果、こういう措置をいたしておるものであります。
なお機構改革の問題に関しましては、これは今日なお検討中でございまして、できるだけ早い
機会に結論を得まして、通常
国会の再開明け劈頭ぐらいには出したいと
考えております。厚生行政というものが、独立後
日本が自前で行く上において、
国民生活が安定、民主化の安定ということが一番大事でありますので、いずれにいたしましても、厚生行政というものをより以上
能率を発揮し、ウエイトを発揮し得るように
考えたいと思
つております。
それから国立病院の地方委讓の問題でありますが、これは戰後陸海軍の病院をずつと全面的に引受けました頃から、一応これを全部引受けはするけれども、どうしたものだろうかということを検討いたしまして、河合厚生
大臣の頃からきめた
一つの
方針がございますが、私も大体そういうラインで
考えてみたいと思
つて、なお検討いたします。その筋はあれはまあ陸海軍の病院をそのまま引受けましたが、国立病院として経営して行く上から言いますと必ずしも適当と
考えられない部面があるので、
一般病院といたしましては、この結核療養所等に転換してやる必要のあるものについてはすでに転換をいたしましたが、残りの
一般病院の分については、国として経営する特定のモデル病院と申しますか、こういうものを或る
程度残しまして、後はむしろその土地で、その住民のために経営したほうが或いは却
つて身が入るのじやないかということで、地方委讓というのも必ずしも反対の問題ではないと
考えておるわけであります。ところがこれについては地方の側でそのほうが結構だ、引受けるということであり、且つ又そのためには国の今日まで行な
つておりまするところの国立病院に対する
一般会計の補助というものを更にどれだけ続けるとか続けないとかいういろいろな條件があります。私は少くとも地方委讓というものを根から反対して研究しないというふうなことじやいけないと思いますので、是非必要なモデル病院のほかについては地方委讓をやつたらどうだろうかということで、或いはやるとするならどういう條件でやるかということについて事務当局にも検討を命じておりますし、相談も若干地方側にもいたして見ました。今日の場合といたしましては、総体的に見て地方
財政の現状等から見て、地方の側は委讓を希望しないものが大体圧倒的に多いようである。從いまして今日では仮に国立病院の地方委讓というようなものを形式的に決定いたして見ましても、これは受取り手もなかなかないという
状態でありますので、なおこの点を検討いたしてみたいと思
つております。
それから厚生省
関係の行政整理の問題についてでありますが、これは内閣
委員会におきのしても只今いろいろ御審議を願
つておる問題であります。
一般的に今
お話がございましたが、厚生省といたしましても、或いは人事、会計、庶務といつたふうな面の問題はそれぞれ人事、会計等の仕事の簡素化等にからみまして、これはなお簡素化する余地はないではありませんし、国全体の行き方に倣
つて簡素化、
能率化を実行いたしたいと
考えております。ただ病院、療養所等に関しましては十分支障のないように配慮いたします。極く簡單に要点だけ申上げますれば、病院の看護婦については全然手を付けてございません。これも今日看護婦も定員を埋めるのが非常に困難でありまして、この定員は是非埋めたいと思
つて努力をいたしております。それから医者等につきましても、もともとが国立病院は陸海軍の病院を引受けましたので、かなり辺鄙な所等にも、或いはそう人数の多くない所にも病院がございまして、これに対して陸海軍の時代には陸軍海軍の軍医さんたちが任命されて行
つておりました。
一般病院とな
つて見ますと、なかなか行き手がないわけであります。それで何年かに亘
つて欠員があり、今でも国立病院の医者
関係の欠員が千何百何名かあります。何年かに亘
つて埋まりませんので、大蔵省のほうからは
予算の編成のたびに、厚生省がこれだけ努力しても埋まらないような欠員なら落したらどうかと言われているのであります。これは埋めるつもりだということで頑張
つて來ているわけであります。今日医師の中で余り長いこと連続的に欠員がありますので、その一部分は極く僅か定員を落しますが、その残つた部分については何とかしてこれをむしろ埋めたいと思
つて努力をいたしているような現状でございます。