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1951-11-16 第12回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十六日(金曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            小林 政夫君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            石原幹市郎君            小野 義夫君            九鬼紋十郎君            古池 信三君            白波瀬米吉君            一松 政二君            深水 六郎君            山田 節男君            小酒井義男君            波多野 鼎君            松浦 清一君            山下 義信君            結城 安次君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 根本龍太郎君    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    外務省条約局長 西村 熊雄君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    通商産業大臣官    房長      永山 時雄君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。昨日に続きまして補正予算に関する質疑を続行いたします。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 予算関係質問をする前に私が本会議大蔵大臣質問をした点について当時再質問をしようと思つたのでありますが、時間がなかつたのでそのままになつておりましたが、それは朝鮮にある日本財産について連合国、特にアメリカ軍政庁のほうで日本人財産処分いたしております。この処分平和條約の第四條(b)項によて我々は承認しなければならない。そこでこれは処分を承認するときその処分に伴う我々の請求権というものは一応残るようなふうに第四條(b)項に関する限りにおいてはなるのでありますが、更に読み進んで行くと、第十九條においてそういつた請求権は一切放棄するということが書いてあるのであります。そこで私は朝鮮にある日本人財産というものは一応全部放棄せざるを得ないのではないかという質問をしたのでありますが、大蔵大臣は、いや請求権はあるという御答弁でありました。そうすると大蔵大臣は第十九條の(a)項でありますが、これをどういうふうに解釈しておられるか。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 十九條は、今持つておりませんが、私は本会議答弁いたしましたように処分は認めまするが、その行動から生じましたこちらの請求権は一応残ると考えております。第十九條は「日本国は、戰争から生じ、又は戰争状態存在したためにとられた行動から生じた連合国及びその国民に対する日本国及びその国民のすべての請求権放棄し、」こう書いてあります。朝鮮という国は連合国ではありません。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 いや、そうではないのですよ。第十九條は、「且つ、この條約の効力発生の前に日本国領域におけるいずれかの連合国軍隊又は当局存在職務遂行又は行動から生じたすべての請求権放棄する。」この連合国軍隊又は連合国当局存在職務遂行によつて生じたすべての請求権放棄するのでありますから、朝鮮における、これは米軍占領事当局日本人財産を一応処分いたしておりまして、朝鮮韓国政府に引渡しているわけであります。こういつた軍政当局のやつた行動職務遂行と言いますか、それによつて生じた請求権は一切放棄するという解釈になるだろうと思うのでありますが、いろいろほかの専門家解釈もそういうふうになつているようでありますが……。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いずれ条約局長と相談いたしまして答弁いたします。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 それではそれがそういう放棄するということになればこういう問題が残るわけであります。そういつた旧領土であつたところにある財産放棄する。又今の例で申しますと、韓国人日本国内に持つている財産と共に、韓国政府日本政府とが協議をして取扱をきめるという條文があるわけでありますが、若しそういう日本財産がそういつたことで、第四條(b)項及び第十九條(a)項によつて全部放棄するということになるとすれば、日本政府としては韓国人が持つている、日本国内に持つている財産をどういうふうに扱うことになるのか、ということについても併せて御研究を願いたいと思います。  それから次は見返資金についてでありますが、米国の対日援助額債務であるということは了承いたしますが、その金額が見返資金特別会計に計上されておる金額債務考えるのか、或いは最近軍払下物資の代金二十五億を見返資金に繰入れておりますが、そういつた見返資金特別会計に積立てられた金が即債務になるのか、或いは米国予算によつてきめられたこの対日援助費というもの、具体的に言うと二十一億……、まあ政府当局提出の資料によると二十一億三千八百万ドルというものが、米国予算に計上されておる対日援助額でありますが、実際の援助輸入額は二十億六千八百万ドル、こういうことになつておりますが、それはいずれの額によつて計算するものであるか。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 対日援助費として向う予算に組まれ、日本援助として与えられた物資、その他の換価した額全部でございます。従いまして十八億八千万ドルか十九億二千万ドルかまだはつきりしておりませんが、大体十九億ドル程度であります。従いまして見返資金特別会計ができましてからの分は八億六、七千万ドルだつたと思います。でそれ前に来た分はやはり同じ性質のものでございまするから、債務と考うべき金額は十九億ドルと思います。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると現実に品物の、物の形において入つたものだけに限定されるわけでありますね。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私の記憶では金では来ていないと思います。物だと思つております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 この平和條約の効力発生後においては、この見返資金特別会計というものは、日本自主的管理運用に任されるものでありますか。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は法律的にはこちらで十分できると思います。併しこれは債務支払方その他に或る程度の制約を受けるのじやないかというような気がいたしますが、これも講和條約成立までに適当な方法で交渉いたしたいと思います。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 これは相当七千億以上の金になりますので、これを従来通り依然として米国の指示によらなければならんということになりますと、日本経済自主性、特に財政金融自主性というものを相当……まあすぐ自主性の確立ということになりますので、是非講和條約発効後においては我々の自主的管理運用に任されるように御交渉願いたいと思います。それから若しそういうようなことで、我々の希望通り自主的な管理運用に任されるとするならば、どういう方法大蔵大臣としてはこれをやられようとするか。例えば開発銀行等をしてやらせるつもりであるか。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今残つておる金は債務償還を予定しておりますのを入れて八百億足らずと思います。而して今年度使い、来年度で使い切ると思います。で問題は今貸付その他に使つておりますのを、元本利子の入つておるのをどうするか。こういう問題で、日本自主的経済の上に非常な支障のあるというほどの金額ではないと思います。全体の分が八億六千万ドルでございますから、邦貨に換算いたしまして、三千億円足らず、而もこれは鉄道とか逓信とかという国のほうにも相当出ておりますし、開発銀行等資本になつておる。もう再来年からはすぐは金が運用し得ないことになると思います。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 その資金回収が年々回収される分は僅かであつて回収仕方等においては相当問題だと思うのでありますが、まあ最後の質問のそういう事務をどこでやらせますか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今までのように、大蔵省中心で運用するか、或いはお話のように開発銀行にそれを入れかという問題は、対日援助費の払い方その他と関係しますので、まだどちらにするかということをはつきり申上げる段階に至つておりません。復金のほうの分から申しますと、復金の繰入れも実は見返資金援助資金の繰入と同じようなことになるので、御承知通りに、復金債というのを対日援助見返資金で肩替りしまして、実質的には、見返資金開発銀行に入る、こういうことになつております。いろいろな点を考えまして、開発銀行がこれを使用するという考え方もありますが、又別に、今の大蔵省で見返資金特別会計収入支出という方法考えられるのであります。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 次に金融政策についてお尋ねしますが、政府は大体直接的な物の統制をやめて、財政金融等資金面から経済全体の運営調整を図るというのでありますが、その具体的な策としてどういうことを考えておりますか。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 具体的な策と申しましても、個々の問題について大蔵省がどうこうしておるというわけではございません。ただ考え方として運転資金不足等から考えて、極く重点的でない長期設備資金はできるだけ遠慮してもらいたい。こういう一般的な方針だけでございます。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 融資規制あり方の問題でありますが、そういつた資金規制をやるという場合に、質並びに量、両方の面から法的な規制をやる、法的な統制をやるというお考えであるのか。政府としての要望を金融界に伝える程度自主的規制に任せるというお考えであるか。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 全体の考え方といたしましては、自主的規制に任せるつもりであります。併しその自主的規制に任した場合において好ましくないようなことがありますと、今では一般監督権でやり得る建前にはなつておりますが、金利その他の点につきましては、必ずしも十分でない。その点をどういうふうな表現の仕方にしようか、今研究をいたしておるのであります。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 それでは具体的に現在ありますところの融資自主規制委員会というのができておりますが、このあり方についてはどういうお考えでございますか、満足しておりますかどうか。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今お話のようなことを社債については聞いておりますが、普通の融資規制委員会というようなのは、或いは日本銀行で持つておるかもわかりませんが、私のほうでは、直接タツチしていないと思います。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 これは銀行協会中心となつて、日銀も参与し、都市銀行、地方銀行も入つて頭取級がやつておるわけでありますから、十分大蔵大臣はその存在を御承知だと思う。どうも余りその伝えられるところによると、今の、先ほどお話のような趣旨から、銀行局長通牒等において政府意図相当強く押し出そうというふうにお考えのようでありますが、先ほどもちよつと設備資金等について考えるということがありましが、その具体的な内容についてお伺いいたします。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般の通牒の文句でございますか。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 その内容です。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは大体先ほど申上げましたように、重点的の産業設備資金は、これは今この重点的というのは大体電力、鉄鋼、石炭、造船、こういたしております。併し又片一方で、開発銀行或いは輸出銀行とタイ・アップして出すのもこれもいい、それから農林漁業特別会計から出すようなところはいい、こういうことをやつておるわけであります。ただ長期設備資金は今五割以上でき上つておるものを途中でやめるというのもこれは非生産的でございますから、こういうものは例外にしております。原則として今申上げたような方法で行く、こう考える次第でございます。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 そういう通牒が出るということは、やはり金融機関の主自規制によつてはなかなか政府意図する通りに行かないというようなことで、法町規制に移行しようという前提考えていいでしようか。
  28. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は法的にそういうことをきめようという気持は今のところございません。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると次期国会提出を予定されておるこの銀行法改正、そういつて気持というか方針という、そういうものに繋がらないのですか。
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは両極端になつてはいけませんが、そういう気持をどういうふうな方向で、自主的運営前提としながら書き込むかということがなかなか厄介な問題でございますので、字句その他範囲を検討しておるのであります。前は総動員的な一條を置きまして、いろいろなことのできるようになつてつたのでありますが、そういうやり方はこれはよくないので、我々として最小限度この程度のことはやつてもらいたいということが言い得る程度にしよう、そういう程度もときによつて違いますので、そこのところをどう表現するかというのが今検討している問題でございます。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、銀行法改正構想をこの際もう少し具体的にお示しを願えないだろうか。その改正日本金融制度全体の機構を或る程度変えようというふうな御意図があるのかどうかにも触れて、いま少し銀行法改正具体的構想を、完全な成案はないにしても一応の構想として、大蔵大臣としてはお持ちだと思いますが、この点どうでしようか。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御承知通り、今日本金融制度というものは、余り芳ばしくない、制度らしい制度はないのであります。だから長期金融制度と、もう一つ為替金融制度とも欠けております、これを一つ何とか考えなければならんということは焦眉の急でございます。これがいわゆる銀行制度、それからもう一つ銀行法考えておりますのは、まあこれは資本金の問題もございまするが、貸出あり方が今如何にも自己資金に対しまして一件の貸出が非常に多い場合がある、例えば自己資金を超えるような貸出がある。こういうふうなものは銀行信用確保の上から言つても、又金融適正化から言いましても、或る程度考え直さなければならん、例えば自己資本の四分の一以上は一つ会社に貸してはいかん、こういうふうな規定考えております。これが四分の一以上になりまするか、三分の一以上になりまするか検討を要することでありますが、又三分の一以上は貸してはいかんと言いましても、今自己資本よりもうんと超えた貸付をやつているのでありまして、これを一時に止めるというわけには行きません。何年間かで徐々に是正して行くか、又一つ会社に対する貸付と、一般貸付と、それから社債引受と或いは手形割引と、こういうふうないろいろなアイテムを一緒にして考えるかどうかという問題等もありまするが、一つ銀行信用を高め、そうして又他の方面には、資金を全般に、危険分散と言いますか、そういう能率的の貸方というふうな点から考えて見たいと思います。それで第二点は資金貸付限度。第三点は、この金利その他につきまして誰が金利政策中心になるか、又金利あり方につきましても、いろいろな点で実際きめた金利がその通り実質的に行われんというような、そういうふうな場合にどの程度監督をするかというふうな問題を中心にいたしまして、先ほど質疑応答をいたしました大蔵大臣としてどの程度発言権を持つか、即ち自主的の運営前提としながら、その発言程度、或いは方法等につきまして検討を加えているわけであります。問題は第二の一定の貸付限度を如何にするか、そうしてそれを直す期間を何ぼにするか、それから大臣大臣監督方法限度であります。
  33. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 小林君、西村条約局長が来ておりますから、先の質疑に対してお答えいたします。
  34. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 先刻大蔵大臣に御質問の点でございまするが、朝鮮にある日本財産合衆国軍政部処分いたしまして、それを大韓民国政府に引渡している関係にございます関係において、日本政府請求権がどうなるかという御質問であつたと了解いたします。第十九條でございましたか、日本請求権放棄連合国政府に対する請求権放棄でございます。この條約によりまして大韓民国と申しますか、朝鮮は決して連合国ではございませんので、日鮮間におきまして第十九條の適用ということはございません。従つて日本国請求権放棄になるという結果はこれはこの條約では生まれません。日本政府といたしましては、合衆国朝鮮においてアメリカ軍政部日本財産に対してとつた措置、それを韓国政府に協定によつて引渡した。その結果大韓民国政府としては日本財産を取得することによつていわゆるプラスのものを得ているということは、日本政府としては第四條の規定によりまして大韓民国政府と両国の財産関係の処理につきまして話合いをする場合には十分注意し得ることである、こう考えます。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 私も是非条約局長とか大臣大臣の言われるように請求権を持つておきたいのであります。おきたいのでありますが、一応アメリカ軍政庁が一九四五年の十二月六日の命令第三十三号によりまして、これを出して一応処分し、それを韓国政府ができてから向うに渡した、渡したということを日本政府がその措置を承認をし、そうしてそういつたアメリカ軍政のとつた処置による請求権放棄するということになると、法理上は放棄せざるを得ないのではないかというふうになるわけでございます。是非請求権は残しておきたいと思うのだけれども、法理解釈から行きますとそうなりませんか。
  36. 西村熊雄

    政府委員西村熊雄君) 條約の規定によつて日本政府軍政府がとつた措置効力は承認することになつておりますので、請求権は保持しつつも、軍政府がとつた措置効力を否認するがごとき事態に返えすことを主張することは許されないわけであります。
  37. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 十九條に、「且つ、この條約の効力発生の前に日本国領域における」と、日本国領域というのを、小林さんは朝鮮日本国領域とお考えなつたら疑問が出ますが、この「日本国領域におけるいずれかの連合国」というのは、四大島その附属諸島に我々は解釈しております。そういう解釈ならば朝鮮は含まん、こういうことになつて請求権が残る、こういう解釈になると思います。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 それならよろしうございます。それなら了承いたします。是非有利に解釈したいと思いますので、了承いたします。
  39. 和田博雄

    委員長和田博雄君) この点はもう少し研究されて、正確なお答えを下されたほうがいいと思います。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これで正確です。
  41. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど現行法改正についての構想を承わりましたが、相当重大な改正でありまして、現在までいろいろ新聞等で非公式に多少伝わつておるようであり、又銀行業界とは別に多少の話合いはされておるかも知れませんが、現在の、特に最近の情勢から言つて金融というものは非常に日本経済に圧倒的な比重を持つております。この制度改正について、各方面に大分影響する点が多いのであります。広く国民の輿論を聞くという意味において、昔ありましたような金融制度調査会というものを設けて、もう少し広汎な意見をとつて、盛られるというお考えをお持ちでありましようか。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御意見尤もでありまして、大体の腹案ができます前に、金融界、財界の人を集めて一応の意見は聞きました。そして大蔵省の案ができましたら、そういうものを設けて正式に答申を求めるという方法を講じたいと思います。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連して、先ほど小林さんがいわゆる金融統制について、これは銀行法とも関係があるのですが、御質問したときに、大蔵大臣は法律による金融統制、そういうものは成るべく避けたい。自主的なまあ調整を念願したいと、こういうお話ですが、これは大蔵大臣がどうしてそういうお考えに逆転されたかお伺いしたいのですが、それは一時金融統制については自主的にやつて調整できなければ法的な措置も自分は考えなければならんということを言われたことがあるわけです。そこで一応自主的な調整を見ておつたわけですけれども、日本銀行金利引上げても、この程度引上げても通貨はどんどん殖えておりますし、それで調整できないのです。従つてそういう意味からも、大臣大臣は一時この法的統制新聞に出たようなことを考えられたと思うのですよ。それが今度は逆に又自主的調整のほうに逆転されているのです、今の御答弁では。そこはどういうふうに変化して来たか。実際自主的調整調整できなくなつて来たから、法的調整というものも大臣大臣考えられておつたわけなのに、今度は逆に、又そういう自主的調整のほうに重点を置かられるようになつたということ、その変化です。どういうわけでそういうふうに変られたか、これをお聞きしたいわけです。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 何も変化しておりません。前から自主的統制前提として、そしてそこでなかなか行かないような場合を考えまして、或る程度自主的統制前提として大蔵大臣としてどういう態度をとる、それは銀行信用金融の適正と、こういう二つ方面から考慮しているので、何も私の考え方一つも変つておりません。
  45. 小林政夫

    小林政夫君 僕の金融政策のことについての質問をやつておるうちに多少わかつて来ますから、そこで一段落しますから、あとにして頂きます。  先ほど銀行法改正についての構想のうちで、或る程度大蔵大臣の狙いというようなものもわかつたわけでありますが、現在の金融体系について大蔵大臣は必ずしも満足しておらない。特に長期資金の面及び為替レート関係について非常にあれであるというお考えのようでありますが、又いろいろ金融機関としては長期資金を賄う銀行として興銀勧銀等がある。又短期融通資金としての一般市中銀行、或いはいろいろ金融機関としての機関というものは、かなり形の上においては保つています。それが貸出、或いは預金吸収という両面においてかなり競合が行なわれておつて、必ずしもすつきりとした体系にはなつておらない。特に先ほど大蔵大臣も触れられた長期資金の面において問題があるわけでありますが、金融解決策として開発銀行、これと、長期設備資金長期運転資金として輸出銀行というような二つをお作りになつておりますが、この貸出というか、運用方法について、これが従来の長期資金を賄う銀行、或いは一般市中銀行競合をさせないように、設立の、開発銀行並びに輸出銀行を設立されるときにおいては現にそういうことが言われておつたわけでありますけれども、実際の面においてはかなり混淆を来たすような点も心配されるのであります。私は質的な面において、量的解決すべき問題は一般の従来の市中銀行興銀以下の一般銀行に任しておいても十分できる。特に質的な面の考慮を、質的な点からこの開発銀行輸出銀行を利用する点があると思う。その点については今後ともそういうお考えで、どうしても一般銀行で出せない性質の金に限定して行くというお考えでありましようか。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 開発銀行一般銀行で出せない方面に出すと、こういう考え方が強いのでありまするが、一般銀行で出せないものと、こう限定するのはなかなかむずかしい。出せない場合は、金がなくて出せない場合と、見通しがつかなくて出せない場合と、こうあります。私は見通しがつかないのだが国家的に考えたならばこの際必要だというふうなのは開発銀行が出すべきだ。而して又一般銀行でも今は長期金融をやつておりまするから、一般銀行も、この程度のものは自分のところは出してもいいという、見通しが危いので、はつきりしないけれども、出してもいい、こういうときにはタイ・アツプしてやつてつてもいいと思います。併し原則は先のほうが原則でございまして、従つて私はそういうふうなことをやると同時に、又一般市中銀行長期資金を極力少くして、商業金融のほうへ向わすべく肩替りその他の勧奨をいたしているのであります。最近でも造船問題で開発銀行に今までの造船資金を肩替りするという問題が起きておりますが、それは私はよくない。造船の長期資金開発銀行に肩替りするならば開発銀行が造船資金を出すのと同じでございますから、そういう考え方はよくないというので、不賛成の意を表しているような状況でございます。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 只今の御答弁で満足でありますが、私の質的と言つた意味は、大蔵大臣も言われたように、見通しがつかない、要するに資金量さえあれば出したいのだけれども、できない、資金量がないので出せないのだというふうな金融開発銀行でやるべきものではない。どうしても国家的に是非やらなければならんものを、果して採算に乘るか乘らないか見通しがつかないというふうなものに開発銀行融資というものは限定さるべきであるという意味でお尋ねしたのです。そのようなお気持のようでありますから、私はこれは満足です。  それから、財政演説にもありましたが、貯蓄債券を発行するということを言われておりまするが、これはどういう構想でやられるおつもりであるか。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今検討中でございます。電力開発その他に長期資金を要しますので、政府関係におきまして長期資金を集めたらどうか、これがやはり貯蓄奨励、資本蓄積になる、こういう考えで今検討中でございます。その内容につきましてはやはり一般定期預金の金利その他の金利もございまするが、或る程度定期預金よりも少し高いところで行つてはどうかという考え方が強いようでありますが、まだきまつておりません。年限にいたしましても少くとも三年乃至五年くらいに出したい。金額のほうはやはり零細な資金を集めたい関係上、五千円、一万円、或いは五万円、十万円も考えられますが、五千円一万円のところを中心にやりたい。売出しの方法につきましても郵便局或いは相互銀行に取扱わせる。或いは銀行にもやらせる。銀行はちよつと否定的なようでありますが、そういう郵便局とか、相互銀行に取扱わせたらどうか。それから定期率にするか、割引にするかという問題もあります。又、割増金附の制度が……私は割増金附をおいたほうがいいのではないか、こういうふうな考えで進んでおりまするが、まだ最後の手続まで行つておりません。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 そうやつて集まつた金は資金運用部の資金に充て、運用されるおつもりであるか。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資金運用部のほうに繰入れるという考え方もありまするが、集まつた金を資金運用部に入れずに、直接に出すという考え方もあります。まだその点はきまつておりません。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 その出される方法は、産業投資に向けられるお考えでしようか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはどのくらい集まるかわかりませんが、私はもう原則として水力のほうへ向ける。そうすれば預金部資金運用部、或いはその他から出ている水力関係のほうが助かります。原則として水力のほうへ向けたいという考えであります。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 以上の質疑応答で大蔵大臣金融政策考え方というものが大体明らかになつたのでありますが、木村さんが先ほど関連質問で少し後退したのじやないかというふうなお気持のようでしたが、私は余り変つていない、むしろ大蔵大臣自主的規制ということを言われているけれども、その蔭に大分鎧がちらついているというような点で、法的にも大蔵大臣金融界に対する権威を確立している。金融政策を一元的に掌握し、更に今の貯蓄債券等による政府資金の増強を図つて、量的にも、この大蔵大臣の手で握れる、運用し得る金、資金量というものを殖やす、いわゆる財政資金を量的に殖やすことによつて実質的にも金融支配ができるような体制に持つて行こうと意図しておられるように思う。私はこの大蔵大臣……池田さんという個人を問題にして言うわけでありません。大蔵大臣が單独で以てそういつた法的な権威を持ち、又量的にも実力を持つて金融規制に臨むということは或る意味においては非常に危い状態だと思う。相当現在のように金融経済界において支配的な場合においてはなお更のこと、金融政策というものは総合的な日本経済の全体を睨み合して立てられるべきものであつて大蔵省だけの見解では視野が狭くなるのではないか、そこで大蔵大臣の單独な支配権の確立ということではなしに、そういつた面を、例えば日銀にある政策委員会のような各界を網羅した総合的な判断によつて日本金融政策というものが立てられ、運用されて行くということが望ましいと私は考えます。その点どうですか。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話通りで、大蔵大臣がオールマイテイになつてはこれは危險でございます。その点は自主的規制前提にして、大蔵省が或る程度関与しても非常な識見を以て……危いようなことになつてはいけない。そこが先ほど来御答弁申上げる気持なんでございます。飽くまでも自主的規制を主眼にして行かなければなりません。これは日本が国債を発行して金融市場を或る程度リードし得るような立場にあればいいのでありまするが、政府は国債を発行いたしませんので、金利その他につきまして何ら政府のほうで、何らというのは語弊がございまするが、大した指導権がない。それから日本銀行金融規制その他を制度的にやればいいのでありまするが、日本銀行貸付金利というものは、一般貸付金利よりも安いのでございます。金利日本銀行金融市場を調整することになつておりません。で、先だつて金利を上げまして、一銭四厘を一銭六厘にいたしましたが、貸付金利は二銭六厘というのが普通であります。これでは日本銀行は中央銀行としての資格はない。そこで結局は今の何とか委員会というものを設けて、或いは日本銀行総裁の一存によつてこの銀行には金を貸してやろう、この銀行は少し締めてやろう、こういう制度になつているのであります。そういう制度は実は感心した制度ではありませんが、一度にそれでは日本銀行のほうでは一般金利よりも上にして、二銭八厘とか三銭という、これは絶対いけません。そこで徐々に上げて行かなければなりません。だから日本銀行大蔵省も、銀行もコンマーシヤル・ベースによつてずつと金融が賄つて行けるという制度にしなければならんと思うのでありますが、なかなかそれができない、そこで銀行は一銭六厘で借りた金を二銭六厘とか二銭八厘で売つて儲かる。だから日本銀行へお百度を踏む、こういうふうなことになるわけで、感心した制度ではないので、徐々に改めて行こう、こういう気持で進んでおります。
  55. 小林政夫

    小林政夫君 了解されたと思うのですが、私が言つた政策委員会というのは、現在ある政策委員会に任しなさいと言つたのではない。ああいつたような今の構成員のような構成を持つた……いわゆる政変によつてその政策が変らないように、いわゆるスタビリテイを持つた産業界の総合された意見が反映するような機関で以て金融政策考えられるべきものであるという意味で、現在の政策委員会に任せろという意味で言つたのではありません。  次に地方起債で現在いろいろ問題になつておりますが、枠を殖やす、殖やさないというようなことが問題になつておりますが、この地方起債の枠はどういうような考慮によつて決定になるのか。
  56. 池田勇人

    ○大務大臣(池田勇人君) 大体国の予算と睨み合せて、そうして地方の事業を勘案してやる面と、そうして又資金運用部の金繰りその他を見まして、出し得る金の面と使い得る金の面とできめて行きます。
  57. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、政府の出された資料によつて見ますと、本年度の政府資金の対民間収支においては、二百六十二億の引揚超過になつておる。又一方資金運用部資金運用計画によると、二十六年度においては、繰越額は五百三十二億乃至四十億というようになつておるわけで、資金運用部にも金はある。一方政府資金の対民間収支においても、二百六十二億の揚超であるとすれば、現在地方自治団体の要望しておる起債の枠を殖やすということは、やつてやれるんじやないかと思うのですが……。
  58. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 資金運用部の資金につきましては、前年度から今年度に繰越したのと、今年度から来年度に繰越す金額を同じにしております。五百億程度ございましよう。五百億程度ございますが、金があるから使う、こういうことになりますと、これはなかなかそうは行かないのであります。あつても金が使えないと私は考える。あるから使うというのでなくつて、あつても使えない。それはやはりインフレーシヨンを恐れておるからであります。で、預金部で……とんとんになつております。政府のほうも引揚超過になつておりますが、年度を通じますと大体とんとんであります。見返りとか預金部に或る程度金をリザーブしておこうとかということは、日本銀行貸出その他の状況と睨み合せてやつております。資金運用部に金があるからすぐ使おうというわけじやありません。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 それ以上は議論になりますからこれはやめます。  それから予算によると遺家族の援譲調査費というものが計上されております。これは大蔵大臣で御答弁できる範囲でよろしうございますが、どういう範囲でやられるつもりであるか。これは一応調査をして、来年度、二十七年度の予算においてはその調査に基いて積極的に援護費を予算に計上するおつもりであるか。若しそういうおつもりであるならば、如何ほどくらいを考えておいでになるか。私は講和條約の批准も恐らく今の見通しですと、大体行くでしようが、或いは講和條約の発効と同時に何がしかの、今まで不満の気持に徴えられなく思つておる遺家族に対して、或る程度の援護の手が差し延べられる、恒久的な制度としての援護の仕方というものを愼重調査して行かれると思いますが、差当り講和條約発効というか、批准完了のときには何がしかの正月餅というようなものでもいいのですが、そういつたようなことを考えるのが政治的にいいのじやないか。そうするとこの補正予算で調査費として一億計上されたということでも、或る程度の遺家族の気持は和らぐかも知れませんが、それに今ちよつと色をつけるということは考えられないのですか。
  60. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは将来の財政計画に及ぼす影響も甚大でございますので、十分調査してしつかりした基礎の下に案を立てなければならんものかと思うのです。従いまして先ず軍人遺家族の数とか今の生活状況と、こういうものを至急に調べたいと思います。従つて調査ができ次第に立案いたしまして、来年度からはできるだけ金を出したいと思います。然らばどのくらい出すとかという問題になりますと、今のところどれだけども申上げかねるのであります。調査いたしましてできるだけ御期待に副うように、できるだけ多くの金を出そう。併しこれもほかの支出と見合つて考えなければなりませんので、今数字を申上げる段階に至つておりません。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 次にブレトン・ウツズ機構えの加入のための出資金が二百億円計上されておりますが、まあ新聞の伝えるところによると、大体年度内に加入ができるというふうに伝えられておりますが、実際年度内に加入ができる見込でございますか。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 百中九十九くらいの見込でございます。先だつても入れないのではないか、年度内に入れんじやないかという話でありましたが、年度内ではなくて、或いは年内に入り得るようになるのじやないかと思います。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 出資金の二百億円というのは少し見積りが多過ぎるのではないかと思うのでありますが……。
  64. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 少し多過ぎるかと思いますが、少しの程度でございまして、私は大体二百億円ばかり要るのじやないかと思います。何と申しましても先だつても触れましたように、日本の割当額を幾らにするかという問題があります。これも一定の基準がございますけれども、その一定の基準による量は少いので、そのときどきの状況によつて基準が無視されます。それから又片方の基準であるところの日本の保有外貨というものを、いつのときによるかと、こういうことになつて参りますと、今のドルの保有状況から申しまして、開発銀行等を合せまして私は五千五、六万ドルくらいのあれになるのではないかということを言つておるのでございます。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 政府委員の予備審査のときの説明によつてお話するわけでありますが、この見積りは規定による最高額ぎりぎりのところを見積つておられる。而も細かいことを言いますと、ラウンド・ナンバーにされた関係で、大体ラウンド・ナンバーと実際の数字との問には六億余の開きがある。六億という金も少い金ではない。今の日本の窮乏した財政から言うならば、そうして又割当額は三億乃至三億五千万ドルということになるという見通しのようでありますが、三億乃至三億五千万ドルという見通しに対して三億五千万ドルで計算されている。でそれを三億にした場合と三億五千万ドルにした場合とでは日本の場合は米ドルの保有高一〇%というほうが割当額の二五%の金出資額よりはいずれにしても金出資額が少くて済むわけです。従つてこの三億か三億五千万ドルかによつて通貨基金への金出資額においては変るのではないか。世界銀行、国際復興開発銀行への金出資額については約四億近い違いができるわけであります。そうしてこれは非常にぎりぎりのところで計算しても、なお且つ今の数字を合せますと、十億の開きが出ます。併し諸外国の例を考えて見ると、中華民国のごときは割当額は五億五千万ドルであるけれども、実際に払込んでいるのは六万ダラーぐらいしか払込んでいない。これは中国が特殊事情にあるというならば、パキスタンの場合は割当額の三・五%ぐらいしか払込んでおりません。そうしてイラクの場合は全然払込んでおらないという点から考えると、或いはブレトン・ウツズ協定の規定の中にも二五%以下の払込をした場合の規定もあるわけであります。今後その二五%以下の払込をした国の国際収支の好転した場合、受取超過の超過分のあつた額の半額を年々払つて行くという現状から考えてこの規定ぎりぎりの払い、出資をすべきであるかどうか。勿論これは是非払込めと言われれば、これはやらなければなりません。併しながら通貨基金或いは開発銀行当局においても、日本の現状において規定ぎりぎりにこの金出資をするようにという要請をされるとも思えないし、むしろそういうような場合に大蔵大臣としてはそうでないような、うんとその差当つての負担が少くて済むように交渉されるべきではないか。そうされるならばこの二百億というものはかなり減額して見積つていいのではないか。
  66. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 事務当局がどう説明したか知りませんが、私は只今の答えでおわかりになるように、日本の外貨の保有の一割ということが基準になると思います。この外貨の問題について私はここで答弁を避けますが、いろいろな問題がございますので、私は多いとは思いません。併しこれはいつの基準によるか、何月末によるかということで変つて参りますけれども、一応二百億と私は踏んでいるのであります。次に中国は少ししか払込んでいないで、イラクは一つも払込んでいない。こういう問題でございますが、これは日本の国際信用を高める上から言つても、この際割当額は早急に払込んだほうがいいというように考えているのであります。例えば外貨外債の支払につきましても、今まで日本は借金を踏み倒したことのないということが非常に日本信用を高めておるのであります。そこで私は外貨債の支払についてもその場では得をしたようでも将来に向つて損をするようなことはしたくないという考えをしております。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 私も大蔵大臣気持はそういう気持であろうと想像いたしておりました。そのベアーな気持は了承いたしますが、併し日本の現状を考えれば、この通貨基金並びに世界銀行当局日本の現状において賠償もなかなか払いにくい現状において、又経済の復興の状態から言つても決してこちらがずるけようという考えでなしに、経済の実態、財政の実態から言つてこれだけのぎりぎりの線が要求されるとは思わないのであります。その点は大蔵大臣の説明の仕方によつて政府当局の説明折衝の如何によつて向う気持よく日本の立場を了承して……現在一応、差当つての割当額を当然規定によつて払わなければならないものは払わなければならぬでありますが、併し一遍に払わなくてもいいという規定があるのでありますから、その規定を適用してもらうような折衝もできるのではないかと思うのであります。国内に対しては相当財布の紐をきつく締めておられる大蔵大臣でもありますし、外国に対してはよく事情を説明なさつて成るべくその減額されるように御折衝を願いたいと思います。これは御答弁は要りません。  それから次に平和回復善後処理費でありますが、百億計上されておりますが、これは純然たる予備費であるのか。或る程度ここに費用がかかりそうだというお見込であるのか。
  68. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 平和回復処理費は、いつ批准が済んで独立国になるかという問題によつて経費がかなりつて参りますが、私はこの際として今まで終戦処理費で賄つてつたものをこちらのほうで賄うとか、或いは又平和の回復によりまして、新たな費用が予想されるのであります。それは今要求もしておりまするが、占領中におきまして非常に安いものを使つているとかいうようないろいろな点がございますので、百億全部今年に使うかどうかわかりませんが、平和條約の成立の時期によりまして、相当全額がこれから出て行くのではないかと思います。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 次に食管特別会計についてお伺いいたしますが、これは政府統制撤廃の方針の変更によつて予算の組替をやる必要があるのではないかと思いますが、その点は如何ですか。
  70. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算の組替の必要はございません。内地米の買入は二千五百六十万石といつているかと思いますが、大体二千五百五、六十万石を買入れる予算であります。そうして外国からの輸入は三百八十万トンを計画いたしております。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 差当つて事務費の中の職員の基本給等が、八千名近い退職者を予想しての給与の修正減七千七百万円強もありますし、又退官、退職手当の追加というようなものも要らなくなるというような、これは細かい点についてそういう変更が起るのであります。それから百億のインベントリーについて、今大蔵大臣は当初内地米の買上数量は二千五百六十万石であつたと、最近は二千五百五十万石であるので余り差はないというお話のようでありますが、この三千五百五十万石が必ず出るか、出ないかという点にも問題があると思います。それから外国食糧の三百八十五万トン入れる、当初の三百五十万トンよりも三十五万トン殖やされたということは、統制撤廃のための準備として殖やされたようにも新聞には伝わつたのであります。その三十五万トン殖やしたということについては、どういうわけでお殖やしになつたのか、農林大臣の御見解を伺いたいと思います。農林大臣がお見えになりましたら……。
  72. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 農林大臣は今ちよつと衆議院のほうへ行つておりますからやがて帰つて来ます。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今年の作が昨年のように六千三、四百万石あつたならば供出も多くて輸入米も、輸入食糧も少くていいのでありまするが、二千五百五十万石となりました関係上、持越しその他を一緒にするためにこの程度の輸入を確保しておいたほうが日本の食糧事情を円滑にして行くのにいいという、こういう考え方でございます。で国内の供出量が多ければそれだけ輸入食糧も減らしてもよい。持越しを多くし、できるだけたくさん政府の手で持つてつたほうが今後統制撤廃があつたという場合におきましても都合がよいと、こういう考え方でございます。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 このお見積りの三百八十五万トンの外国食糧が年度末までに入るか入らないかということは、相当問題がある。で、政府事務当局提出された資料によると、四月—十月の輸入実績によれば二百二万トンの食糧が、外国食糧が入つておる。併しこの予算委員会提出された資料で十月末までの数字が上つておるということはちよつとおかしいと思うのですが、まあ大体見込が入つておるのでしよう。少し二百万トンというのは現実に入つておる数字よりは多くなつておるのではないかという疑問があるのですが、一応それはそれとしてその数字の通り認めるとすれば七カ月間に二百二万トンでありますから、これを一年に換算をいたしますと三百四十六万トン強になるのであります。そうすると三百八十五万トンという数字は四十万トン多いわけであります。今までの実績から考え日本の船腹の関係から考えても、年度末までに三百八十五万トンという輸入は相当困難なのではないかと思われまするが、これは大蔵大臣、農林大臣がいないから、どちらでも結構です……。一緒の御意思であればどちらでも結構です。
  75. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今年度の食糧輸入の実績は昨年に比べましてよほど順調に行つておるのであります。而して不作であつた関係上我々当初予定しておりました三百二十万トンはほつといても相当入る、お話のように三百四十万トンぐらい入る見込でおつたのであります。それが不作でありますので、外貨予算その他をやり繰りいたしまして、緊急に相当数量輸入しよう、こういう計画であります。
  76. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 農林大臣を呼びに行きましたが、やがて帰つて来ると思いますが……。
  77. 小林政夫

    小林政夫君 それでは今の大蔵大臣の御説明では百億は要らないとはおつしやらなかつたのですが、これを数字的に検討する意味において、私は私の言う通りの資料をお願いしたいと思いますが、これは食糧庁長官にお願いすべきでありますが、出席されてから申上げたいと思います。この資料によつて……、この質疑は保留をいたしたいと思います。
  78. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今食管特別会計の予算は定員法が変つてでも予算を組替える必要はないと、こういうふうなことでありましたが、若し農林省の統計調査のほうの定員が変更せられるというようなことになつたならば、その際においては予算の組替の必要がありますかどうか、この点お尋ねしたい。
  79. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これはそういう場合において予算の組替を要するかという問題、金が足りなくて組替を要するかという問題と、金が余るから組替しなきやならぬと、こういう問題があると思います。金が足りなくて組替えしなきやならないという問題は起りません。金が余るから組替えしなきやらぬという問題はそのときにお答えを申上げまするが、金が余つたからして、余つたからと言つて直ちに組替しない場合も相当あるであろうと思います。
  80. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私の質問したいところは一方のほうにおいては不足をしており、一方のほうには余るようになつたといたしましてでも、いろいろの予算の総則なんかに制限されるために何かそこに法的措置を講ぜられる必要があるというのであるかどうか。予算総則その他を変更しなくちやできないということになるのか、或いは大蔵大臣だけでやり繰りができるのかどうか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思います。
  81. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは退職金と賞与というものは目のところになつておりまするから大蔵大臣だけでできると思います。
  82. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農林省の統計調査のほうは違つているのではありませんですか。
  83. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 違つていないと考えておりますが、食管事務の点につきましても、作報事務所につきましても、予算関係におきましては同じだと、こういうふうに思つております。
  84. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の大蔵大臣の御答弁は違わないというお考えのようでありますが、私の知つている範囲においては違つているのじやないかと思つております。そういうふうな場合に若し違つていると仮定したならば、その場合にはどう処理すればいいものであるか、その点を伺いたい。
  85. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) どういうふうにと言われますと……。大蔵大臣の権限でできると確信いたしております。細かい点なら主計局のほうから御答弁いたします。
  86. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 退職手当は大体官房の経費に入つているのでございます。ほかのほうの局は一応どの程度やめるかちよつと見当もつきませんのでまとめて官房で組んである。各局或いは各省局に若しおつしやつたような事態、或いは予算で組んでおります程度現実にやめなかつた場合に給与が不足するという場合には部局間の場合でありますと流用するということができます。
  87. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それではいろいろの点まだ了解せないのでありますけれども、流用ができるということで了承いたします。
  88. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の流用ができるというのは、今のお話では、退職金は官房にあつてその他の部局で人員整理が仮に修正された場合、それだけ人員が減るとその人件費は官房のものを流用できるというふうなお答えでしたか。
  89. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 組み方はいろいろあるわけでございますけれども、本省なら官房にまとめて組みまして、地方部局ならばその地方部局、外局でありますれば外局、本省関係のものは官房ということになつております。
  90. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だから官房にあるやつを流用できるという、而もそれは所管大臣が大蔵大臣と話合つて大蔵大臣と了解の上でできるという意味でございますか。
  91. 河野一之

    政府委員(河野一之君) さようでございます。
  92. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 農林大臣に対する質問は、農林大臣が衆議院に行つておりますので、来るまで暫時休憩します。    午後二時四十九分休憩    —————・—————    午後三時二分開会
  93. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 再開いたします。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 輸出をする場合に、特に不振な業界において、非常に廉売、安売競争をやつておる例が多々あるのであります。この廉売競争、安売競争で赤字輸出をやる、騎虎の勢いでやるというような情勢がかなり見受けられるのですが、これに対して通産大臣としてはどういうお考えでございましようか。
  95. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 戰後の我が国の輸出品の価格は、まだ国際価格に比べまして、必ずしも廉価であるとは言えないのであります。そのために、市場に対する合理化施策を促進して、コストの切下げを図つて、貿易の振興に努めておる現状であります。尤も最近世界景気の中だるみに伴いまして、一部の輸出商品について売込み競争が激化して、輸出価格が不当に引下げられる傾向も一方で見受けられておるのであります。これを事前に防止するためには、かかる商品については輸出貿易管理令の運用によりまして、輸出価格を事前に審査して、いやしくも我が国の貿易が不公正競争を行なつておるとの非難を受けることのないように、細心の注意と努力を払つておる次第であります。現在右のチエツク・プライス制を採用しておりまする輸出品は、人絹糸布、スフ綿、及びスフ糸布、絹織物、毛織物、毛手袋、靴下、テーブルクロース、スカーフ、ナプキン等の纎維製品、琺瑯鉄器、陶磁器等の雑貨、並びにまぐろ類の罐詰、蜜柑等の農、水産物がありまして、これらは最近の輸出契約等によつて見ますると、いずれもこういう方法をとつておりますことが輸出価格の上に的確な効果を挙げておるように存ずるのであります。又状況によりましては、この制度の適用を考慮しておる輸出品といたしましては、現在のところではミシン、ガラス、ガラス球、グラスではありません、ガラス球、冷凍のまぐろなども考えておる次第であります。  なお特需につきましては、需給が在日米軍機関日本業者との間の商業基礎に立脚しておりまする取引に任せられておる現状であります。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 非常に今大いに輸出をしなければならんということで、コストの切下げ、むしろ日本の輸出品の値段が国際物価に比較して高過ぎる、切下げなければならんというような声が大いに出ておる。併しこういつた面についての輿論を聞くことが少いのであえて質問したわけであります。今のチエツク・プライスでやつて行くということでありますが、その実際の運用について通産省当局係官、当局が値段をチエツクする場合に、又そこで業者間にいろいろのトラブルが起るのであります。本当にこの値段なら採算がとれる、そこで採算の低下の競争を通産省当局係官の前で業者が演じ行く、実際にはチエツク・プライスで、チエツクの制度があつても、それが有名無実に終つておる事例も見受けられるように思います。そこで価格をチエツクする場合において、通産省としての御方針ほどいうような方針で、この値段は適正であるかどうかということをおきめになつておるのであるか。
  97. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 政府委員に説明をいたさせます。
  98. 永山時雄

    政府委員(永山時雄君) 只今の御質問にお答えいたしますが、チエツク・プライスをチエツクする場合の標準は、別に画一的にきめていないのでありまして、曾つて講じておりましたようなフロア・プライス、一定の価格をきめまして、それを最低価格にして、それ以下のものは認めないというような画一的な標準でない、そのときどきの内外の市況或いはその申請者の生産費、そういうようなものを勘案をいたしまして、このチエツク・プライス制度の目的が、外国からダンピングだということを指摘されることを防止することにいたしてありますので、その趣旨に則して具体的な事情を勘案しながら運営しておるという状態であります。
  99. 小林政夫

    小林政夫君 私は、ダンピングを勿論阻止されるということも必要であるけれども、国際価格と比べてダンピングまでとは言われなくても、適正な調整を図れば、かなり外貨獲得に日本の商品の売れる範囲においてもつと高く売れるという事例があるのであります。そういうような消極的な、ダンピングという不評を買わないためにチエツクするということでなしに、もう一歩進めて、国際物価価格との睨み合せで、内地業社の不当な競争によつて、当然通るべき値段が著しく下げられ、国際価格とのダンピングだという不評を買う限界と国際価格との間において不当に我々は外貨獲得において損をしておるという面があるのであります。こういう点についての配慮が願わしいと思うのですが、その点について……。
  100. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 御指摘の通りのものがあると私は認めております。例えばまぐろの罐詰なども、国内業者が不当に競争したのでないかと、私も感じております。これらの点を適当に調整して行くことは、我が国産業、貿易のために非常に必要なことであり、十分注意をいたします。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 それからはこれは運用の面ですが、特に大臣よりは係官のほうで注意して頂かなければならんわけでありますが、今係官のおつしやつたような標準でチエツクする場合においても、昔のようにフロア・プライスをきめておつてもなかなかこのフロア・プライスの線でチエツクできなかつたという事例も相当多くある。これは実際問題として、フロア・プライス以下で出していかんとあらかじめ通産当局が示しておきながら、それが守られなかつた事例も多くあります。いわんや今のような個々のケースにおいて、ケース・バイ・ケースで考えるという場合には、この原料は……、実際においては、例えば綿糸等を見てみますと、十五万円で買つてつて、実際には十万円で買つたのだというふうな言い拔けもできるわけでありまして、その点については一つ十分な注意をお願いしたいと思います。それから特需の点についても触れられましたが、特需に至つては特に甚だしい弊害があるのでありまして、これはもう買手が完全に一人であつて、それに対して業者が殺到をして、特に入札の制度でやられておるわけで、実に血の出るような競争が行われておる。いわゆる収奪をされておると言つてもいいような状態が起つておる部面がある。こういうことについては何らかの、そこにチエツクする方法を講じて頂かなければならん、こう思うのですが、これについて……。
  102. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 元来不正競争、ダンピングという問題が非常にデリケートでありまして、価格が現在のところでどこが限界であるか、又この海外の見解も、我々がこれで不正な価格でない相当の理由があるのだと説明しても、なかなか通らない面があるのでありますが、チエツク・プライスをきめて審査をするという制度をとつておりますけれど、これはその審査の運用の如何によつては業者に非常に迷惑をかけることになりますので、この点も当局としては非常に心配をして、成るべく迷惑をかけないように迅速に決定するように努めておるのでありますが、個々の場合になお不十分な点があるかと思いますが、そういうことは一つ十分御注意を下されば、我々は是正して行くのにやぶさかではありません。特需につきましても同様に感じております。何か方法を講ずることができればその方法を講じたいと考えております。
  103. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど大蔵大臣質疑をいたしたのでありますが、食管特別会計の件につきまして、実は一緒に同席して聞いてもらつておればよかつたのですが、問題は統制撤廃方針の変更によつて、この食管特別会計の予算を変更する、組替える必要があるかないか。組替える必要があるのではないか。特に百億のインベントリーは果して必要なんであるかどうかという問題なのであります。大蔵大臣からは農林大臣の考えとも一緒であるということで、一通りの御答弁があつたのでありますが、これについて私としても具体的に計算をして見たいということもありますので、次の資料を要求をいたしたいのであります。十月三十一日現在の国内食糧次び外国食糧の現在高、それから同日現在の手持資金の現在高、そしてそれ以後十一月、十二月……三月までの各月の国内及び外国食糧の買人数量並びにそれに要する資金並びにその資金のルート、それから十一月以降の、今のと同じ各月の国内、外国食糧の売渡数量及びその収入、それによる収入金額、この資料を御提示願いたい。従つてこれは当然、計算すれば出るわけでありますが、年度末における国内及び外国食糧の現在高と、手持資金、現在高で出るわけです。特にこの百億というのは資金的なズレの点にも関係いたしますので、是非その資料を御提示願いたい。それによつて私の質疑を続行いたします。それまでは保留にいたします。  なお希望を申上げますならば、一応予算の数字は二千五百五十万石買上げるのと、外国食糧は三百八十五万トン買上げるのだということであれば、率直に実情に……、若しそういう数字が見込であつて、実際はこういうふうな計算で行かなければなんということであれば、実情に即して提出願えればなお結構です。
  104. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 さつき大蔵大臣と主計局長から答弁を得たのでありますが、農林省の統計調査部のほうで、若しも定員法が変更になつて……、というようなことであれば、現在の予算は、組替える必要、或いはその他の法的措置を講ずる必要があるかないかというようなことをお尋ねしたところが、そういうふうなことはない、こういうふうなことであつたのでありますが、農林大臣はその点についてどうお考えであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  105. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) その通り必要ないと思つております。
  106. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私の考えでは、昭和二十六年度一般会計予算補正総則第五條の次にこういうふうな一條を加える必要があるのじやなかろうかと考えるのでありますが、そういうふうな必要があるかないかをお尋ねしたいと思うのであります。第六條行政機関職員定員法の改正に基く定員の異動により、昭和二十六年度において職員基本給に不足を生じたときは、各省各庁の長は昭和二十六年度一般会計予算総則第十條但書の規定にかかわらず各部局等の経費の金額又は部局等内の各頂の経費の金額大蔵大臣の承認を受けて名称の異なる部款の間において彼此移用することができる。こういうふうな規定を入れなくてはできないのじやなかろうかと考えるのでありますが、その必要がないとお考えであるか、重ねてお尋ねしたいと思うのであります。
  107. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは大蔵大臣の御答弁通りできるものと考えております。
  108. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 小林君の朝鮮における財産処分の件に関して大蔵大臣がいま一度答弁するということで発言を求められておりますので……、大蔵大臣
  109. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般朝鮮にありまする日本人財産米軍によりまして処分した場合に、処分を認めたが請求権はあるかという御質問でございましたが、一応のお答えはしたのでございます。  十九條にありまする「この條約の効力発生の前に日本国領域におけるいずれかの連合国軍隊又は当局存在職務遂行又は行動から生じたすべての請求権放棄する。」こうあつて朝鮮における案件の場合の請求権放棄するのじやないかという御質問でありますが、この「日本国領域」というのは、四大島、その附属地に限つておりますので、十九條の適用はございません。なお二十一條には、「朝鮮は、この條約の第二條、第四條、第九條及び第十二條の利益を受ける権利を有する。」こういうふうに條文できまつておりまして、十九條は入つておりません。従つて十九條の「日本国」というのは四大島に限る、こう解釈すべきであると思います。従つて請求権は残ります。
  110. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 波多野君、農林大臣が来ておられますが、あなたは農林大臣に対する質疑を要求しておりますから御質疑願います。
  111. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 米及び麦の統制撤廃の問題が国民的な関心を集めておりまして、それに従いまして同時に生産者の側のほうも、消費者の側のほうも、相当の不安は持つて来ておつたことは政府当局もよく御承知通りと思う。ところが十一月の六日に政府が米の統制撤廃は明年四月から、麦は明年一月から行う、まあその他いろいろの点もありましたが、そういう方針を確定して翌日ドツジ氏との話合いに入つて、根本的にその方針を覆えしてしまつた。白紙に還元して、又新たな方針を立てて、そうして知事会議に臨んで、割当の問題などいろいろ討議して、知事会議相当紛糾して、そうして最後に今日に至つておりますが、この間の経緯について国民政府から何ら正式の説明を聞いておらない。我々も聞いておらない。そこで先ず農林大臣に要求します点は、十一月六日の閣議決定ですか何ですか、知りませんが、こういう方針の決定以後、今日に至るまでの経緯を詳しく御説明願いたい。それに続いて質問をいたします。
  112. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 統制撤廃に関する措置要綱を検討する間における、閣議におけるいろいろの議論をここで申上げることはできません。併しながらこの措置要綱につきましては、今御指摘のように、政府方針といたしましては主食の統制撤廃の基本方針を堅持しまして、これが具体的措置としまして御指摘のように麦については一月一日から、米については四月一日からこれを実施する方針と決定しておつたことは事実でございます。併しながらこの方針を具体化するためには、幾多の諸條件が具備されなければなりませんので、その諸條件の整備のために関係閣僚並びに事務当局がいろいろ検討し、一案を持つてつたのでございまするが、この点に関しまして大蔵大臣が先にドツジ氏といろいろ交渉した結果、更に又最後には経済閣僚の周東大臣、私、三人とも参りまして、いろいろと我々の主張を中心として交渉した結果、原則についてはドツジ氏も了承しているのであるけれども、具体的な措置についてはこれは非常に及ぼす範囲が広汎であり、且つ重大であるために、総司令部としては今直ちにこれに最後的意見を申上げる段階ではない、従つてこの点はもう少し時間をかけて研究すべきであるという、両者の意見が決定いたしましたので、先般政府声明として出したように、米の統制撤廃に関しては、政府方針は堅持する、併しながら時期、方法につきましては、供出の状況その他、その及ぼす影響等を考えて、これを考慮する。本年の供出量につきましては、二千五百五十万石を確保する、これが完遂するまで、又時期が熟するまでは配給は継続する。これが第二項でございまして、麦につきましては米と趣きを異にしておりますので、これについては配給総量等の諸点をも勘案して、別途研究しておる。こういう声明で、政府の態度を公式に国民に申上げた次第でございます。  なお、今回の知事会議に当りましては、更にこの政府声明が若干不明確な点があるという点が指摘されまして、これに対して政府の統一した意見を求められたということで、これにつきましては私から政府を代表いたしまして明確に、本年からはもとより来年の十月末日までは配給は続け、供出におきましても現行の食管法においてこれは供出をお願いするわけでありまするので、従いましてこれにつきましては統制を継続する前提において供出をいたさせたいということを明確にいたした次第でございます。
  113. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 十一月六日に統制撤廃の方針を決定せられたのが、翌日のドツジ氏との話合い政府側も、まだ統制を撤廃するだけの諸條件が整つていないことを認めた。そこで白紙に還元する話合いがついた。こういう御説明でありますが、十一月六日に突如としてああいう方針をきめられたので、その場合に恐らくこの方針を貫く場合の諸條件というものについても、一応お考えなつたと思うのだが、そのお考えなつた点はどういう点であるか。それから又その諸條件をドツジ氏と話合われた場合に、こちら側が考えておつた條件が駄目だ、それじや十分でないじやないかと言われた点はどういう点にあるか。つまり統制撤廃をする場合に必要であると考えられておる諸條件というのは、一体何であるか。これを一つお話願いたいと思います。
  114. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この統制撤廃に関する基本的な條件につきましては、すでに本会議並びに委員会においてしばしば御説明いたしました通り、これは統制撤廃によりまして相当量の需要も増して来る、これにつきましてはやはり外国食糧を或る程度多く入れなければならない。これが一つ前提であり、又もう一つは、我々がこの主食が国民生活に及ぼす影響を考えますれば、統制を撤廃してそのままに置くということではなくして、やはり生産者につきましては価格の安定をいたさせまして経営の安定を期する、この場合におきましては、価格支持政策をとるということであり、又消費者につきましては、価格の暴騰による生活の困窮或いは生活に対する著しい圧迫をなくする、こういう意味におきまして需給調整法を考えているのでございます。而もこの需給調整をやる場合に、大きなウエイトを持つのは現在国内産の主食だけでは足りませんので、約三百二十万トン以上の外国食糧を入れなければなりませんので、この外国食糧が完全に業者の自由に任しておきますというと、これによつて国内主食が完全に支配される、こういう観点からいたしまして外国食糧につきましては全部国家が管理する、こういうことが一つの基本的な構想でございます。で、このために必要なる條件といたしまして、いわゆる農業協同組合の整備強化の問題なり、或いは又これに対する集荷資金の手当、更には都市における配給業者に対する資金の確保、こういうような問題が主たる要件でございます。
  115. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 需給調整をやつて価格の安定を図り、そのために相当の外国食糧を輸入しなければならぬ、その数字が大体三百二十万トン以上、こういうふうに言われておりまして、これが統制撤廃をやる場合に最も重要な條件になつてつたであろうということは推測できるのでありますが、ドツジ氏との折衝において問題となつた主要な点はこの三百二十万トン以上、以上というのはどれだけの数字かわかりませんが、これの輸入の問題に関連しているのではないかと想像しますけれども、そういう点は如何なのでしようか。
  116. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ドツジ氏との主たる折衝は大蔵大臣がいたしておりますので、大蔵大臣から御説明あるかと存じますが、もう一つはやはりドツジ氏の基本的な観念といたしまして、私が列席したときには、統制撤廃をする前に政府相当量の保有米を持つべきだ。その意味におきましてはどうしても本年度の供出量は例年の基準からするならば、どうしても二千七百万石以上確保すべきだ、日本国民が生産したものは先ず最大限に政府が持ち、外国食糧もこれに合せて確保し、そうして需給調整をするところのものを十分に持つて行くべきではないか。こういうことが言われたことは私同席したときにはその点が言われておりました。  大蔵大臣との折衝の状況については、大蔵大臣から或いはお話があると思います。
  117. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 大蔵大臣答弁を求めます。
  118. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ドツジ氏との話の内容は、ここで申上げる理由を持ちません。
  119. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それでは別の見地から聞きますが、十一月六日に統制撤廃の方針がきめられた場合においても、恐らく需給調整をやるために政府の手持米が相当豊富でなければならぬ。特に端境期における価格の激変を防ぐためには、端境期における手持量を相当多量に持つてなければならぬ。その手持量を国内の産米の供出によつてできるものか、或いは又外米、外国食糧品の輸入によつてできるものか、どちらかしかないのであります。その場合十一月六日に方針をきめられた場合には、どんな方針をきめられたのですか。その点について需給調整用の食糧の備蓄と言いますか、それについてどういう方針をとられるか。
  120. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 国内産のものについては、おおむね二千五百万程度を供出の対象と考えておつたのであります。その残余の部分については、輸入食糧に依存するという考えを持つてつたのであります。
  121. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そうしますと、大体わかつて来るのですが、二千五百万石程度の供出では足りない、それでは統制撤廃をやる場合の條件としては、足りないということが、ドツジ氏によつて指摘されて、二千七百万石以上の供出でなければ駄目じやないか、こう言われたということが大体想像がつく。もう一つは、三百七十万トンの外来輸入ということが非常に困難じやないかということが指摘されたという想像もつくのであります。そこでお聞きしたいのは、政府のほうにおいて三百七十万トンの輸入計画を立てられた場合に、資金関係等についてはどんなような方針が立つておりますか。
  122. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 資金関係については、大蔵、安本両大臣のほうから、これは十分見通しがあるという前提の下にこの計画を立てたのでございます。
  123. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 大蔵大臣に伺いますが、これに必要なドル或いはポンドでしようが、どんなふうに計画されておるかお伺いしたい。
  124. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 当初三百五十万トンを決定いたしました。今までの状況から申しますと、これは三百三四十万トン入るのじやないかという見込を持つてつたのでございましたが、供出が二千五百五十万石になりましたので、三百七八十万トンの輸入計画を立てております。そのときのお金はどうするかという問題でございますが、これはドルでございます。三十万トン、四十万トンの分を、どこの小麦を買うか、或いは小麦協定の麦がどれだけ来るか、或いは米をどこで買うかによりまして値段が違いまするが、大体計画をこしらえまして予算は組んでおるわけであります。今タイ米を幾ら、ビルマ米を幾ら、或いはカ州米を幾らということをここで申上げることは遠慮いたしておきます。
  125. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それを聞こうとはしておらないので、三百七十万トンの食糧輸入計画が外貨予算の上におきましてどんなような影響を及ぼすかということを知りたいから聞いておるのですから、どこからどれだけ買うといつたようなことはお答えならんでもよろしい。
  126. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは只今のところ普通の小麦が百ドル程度、それから大麦が九十五六ドル、それから米につきましては相場によつて違いまするが、百六十五ドルから百八十五ドル、こういうふうな今の相場でございます。これで計算すればこれはトンでございますからおのずから出て参ると思います。
  127. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 少し答弁が外れているようですが、つまり私の言つたのは、そんなトン当りの値段とか、そういうことを聞いておるのではなくて、すでに立てられておつた外貨予算の三百七十万トンの外国食糧を輸入するということがどういう影響を及ぼすかということを聞いておるんです。
  128. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 予算で三百七十万トン組みまして、只今十—十二月の外貨予算、或いは一—三月の外貨予算はそれに基いて計画を変更いたします。
  129. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 この二千五百万石前後の供出と、三百七十万トン輸入の計画が政府のほうではつきり立ち、而も外貨予算の上においても差支えないということであるのに、なぜ白紙に還す、なぜ白紙に還さなければならないのか、その理由をお伺いいたしたい。
  130. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 白紙には還しておりません。政府の発表で申上げましたように、もう一度ここで読みますが……「政府は各般の條件が整い次第米の統制撤廃を実施する方針である。その方法及び時期については統制撤廃の影響、供出の進行及び米の輸入状況などを十分に勘案して今後検討して決定したい。  米の供出量は例年通りの規格により二千五百五十万石とし、配給は供出が完了し統制撤廃の機が熟するまで継続する。大麦、小麦の統制撤廃は主食の配給総量をも勘案して別途成案を準備中である。」こうやつておるのでありまして、統制撤廃を白紙に還したとおつしやるのはこれは独断ではありますまいか。ただ問題は四月一日をこれをいつにするかという問題が決定しないのであります。この前のときにでも四月一日後においても相当の米を確保して、やり方はまだ決定しておりませんが還元すると申しまするか、配給その他に関する計画は立つてつたのであります。白紙に還つたとは私考えておりません。
  131. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 今の政府の声明ですが、この七日の、これについては又あとで質問しますが、私の言いたいのはすでに米の主食の需給調整について内地米供出、外来の輸入、この二点について十分なる成案があつたはずなんです。成案があつたが、その成案が認められなかつたということだと私は思うのですが、その成案があつて、而もドツジ氏にはその成案が認められなかつたということから、四月一日というのをずらしてしまつた、ぼやかしてしまつたということになろうと思うのだが、この政府声明にあるように統制撤廃の影響、供出の進行、米の輸入状況、こういうものを更に改めてこれから検討しなければならんのですが、大体統制を四月一日から外すという方針をきめて場合に、こんなことは検討済じやないですか。検討されないできめたんですか。これから改めて検討しなければならないというのは少しおかしいと思う。
  132. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 検討は十分いたしましたが、我々の出した資料とドツジ氏との解釈において違いが出て来たようであります。そのためにここに総司令部が最終的な意見決定をする段階に至らないということでありまして、この意味におきまして、先ほど大蔵大臣から御説明した声明を政府としては基本方針は総司令部の了承を得たのであるけれども、時期、方法、その他の問題について未だ十分な了承を得ないから、この間はこれは実施しない。なお配給につきましてはこの声明のほかに知事会議で私が政府を代表して言つた通り来年の十月末まで継続するということであります。
  133. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 どうものれんに腕押しのようになつてしまつて非常に残念ですが、つまりドツジ氏に提出する前に政府側としての方針がきまつてつて、その方針を実行するための諸條件についてはあらゆる努力をして資料を整えて成案もあつたのだ、その成案が認められなかつたということは非常に残念だと私も思う。そこで聞きたいのは、こういう問題について国会においても一つ明らかにしてもらいたいのは、統制撤廃に伴ういろいろの條件の整備、例えば米の統制撤廃後の影響とか、或いは供出の進行、或いは米の輸入状況、そういうものについて政府側が考えた諸條件、諸事情というものは、これは私の質問時間がだんだん切れて来ますから、書類で以て一つ出して頂きたいと思うのですが、これについてあとで質問したいのですがね。非常に茫漢としておつて今の御説明では質問のしようがない。
  134. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答えいたします。我々が出し得るだけの資料は出します。
  135. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 波多野君にちよつと相談ですが、資料の要求があつたのでそれを出してもらうことにいたして、今連合委員会のほうから実は農林大臣の出席を要求しておられるのですが、今連合委員会の農林、内閣委員が持つておるわけでありまして、あなたのお時間はまだありまするし、本日できればこの程度で散会して、あと資料が出た上で重要な問題でありますのでこの質問を継続して行く、こういうふうにやつたら如何でしよう。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その前にちよつと農林大臣に簡単なんですが、あちらに行く前に、……只今の御発言で、政府は成案があつたけれどもドツジ氏の意見と違つてそれで認められなかつた。ドツジ氏の意見政府の政策を拘束するものとお考えですが、農林大臣。
  137. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私は先ほど申上げましたように総司令部との間において完全な了解の点が出なかつた、そこで我々もこの点については自発的に再検討するということにいたしました。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ドツジ氏のことを聞いておるんです。さつきドツジ氏のお話が出ましたから……。
  139. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは先ほど答弁した通りでございまして、ドツジ氏がとめたからというのではなく、ドツジ氏との交渉は大蔵大臣がいたしましたが、ドツジ氏を中心として我々がいろいろと意見の交換をいたしました。そのときにおいてこの問題について意見の最終的な一致を見るに至らなかつた。そこで今回のことになつたということでございます。
  140. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 政府側に要求いたしますが、委員のかたの御要求になつた資料は至急一つお出しを願いたいと思います。審議の都合上非常に必要な資料でございますので、委員長からもお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会