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1951-11-14 第12回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十四日(水曜日)    午後一時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            小林 政夫君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            小野 義夫君            九鬼紋十郎君            内村 清次君            山田 節男君            小酒井義男君            波多野 鼎君            山下 義信君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            鈴木 強平君            西田 隆男君            深川タマヱ君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣提出、衆議院  送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 予算委員会を開会いたします。  本日は昨日の委員長理事の打合会決定に従いまして、大蔵大臣その他関係大臣に総括的な質問をいたします。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 議事進行についてちよつとお願いしたいのですが、それは今度の補正予算大蔵大臣財政演説にもあります通り、二十七年度の予算と密接な関係がありまして、いわゆる十八カ月予算と言われている。大体二十七年度予算予算編成方針とか、或いは大体の骨格というものが一応わからなければ、この補正予算だけ審議しても私は無意味だと思うのです。殊に例えばインベントリー・フアイナンス、その他二十七年度予算と非常に密接な関係があるので、二十七年度予算の大体の予算編成方針及びその大綱がわからないと、これだけ切離して、この十八カ月予算の中のこれだけ切離して審議するということは私は無意味だと思う。従つて最初審議に入る前に大蔵大臣から、二十七年度のこれは当然今度の補正予算組むときにはきまつていなければなりません。十八カ月予算としてそれを考慮されたのですから……。その予算編成方針と二十七年度予算の大体の骨格です、これを最初説明願いたいと思うのです。それから審議に入るのが私は当然じやないかと思うのですが、そういう動議を私は提出いたします。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  4. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 如何でございますか。只今木村委員からこの審議に入る前に二十七年度の予算骨格大蔵大臣から概略説明してもらいたいということでありますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田博雄

  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二十七年度予算編成方針その他につきましては、目下検討中でございます。従いまして大体の私の腹ずもりは今まで申上げましたように、八千億円台にとどめたい、こういうことで一応やつておりますが、個々のアイテムにつきましては、外交関係もございますし、その他平和後の状況考えなければなりませんので、ここで申上げる段階にはなつておりません。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは僕はおかしいと思うのです。この補正予算を組むについては、大体減税の問題も大蔵大臣は来年度幾らやるということを言われておるのですから、歳入の点についても密接に関連があるわけです。それで非常に密接に来年度の予算と関連している。この補正予算出しながら、ただ大きな枠においては八千億台であるというだけで、我々にこの予算審議させるというのは、まるで我々を軽視しているのではないか。若しこの補正予算を仮に承認するということになれば、大体二十七年度予算を又基本においては承認することになるのでして、この態度をきめるについては、二十七年度予算の大体の予算編成方針及びその歳出歳入の大体の方向について、例えばインベントリー・フアイナンスというのは来年やるのかやらないのか、そういう点は非常に重要な点なんです。それと切離してこれを審議しても無意味だと思う。二十七年度予算において非常な大きな変化が出て来ると思う。その変化が予想されておると思うのです。大蔵大臣はつきり言われている、それを伏せて置いて審議させるというのは非常に無意味じやないかと思う。この前にもありましたが、この前の予算のときにも大体大蔵大臣説明されたのです。今度は講和会議と関連しまして、更に重要なんですから、予算委員会において最初大蔵大臣は、二十七年度予算の大きな変化が来るのですから、それに対しての輪廓でも御説明して、そうして審議に入らなければ私は意味がないのじやないかと思う。只今の大体八千億台でやるのだというだけでは、二十七年度予算編成方針及びその骨格説明したことにはならないと思う。少くとも私はそれじや審議に入れないじやないかと思う。もう一度大蔵大臣に大体の、細かい個々数字については勿論折衝中でありますから、御説明願えないと思うのですけれども、その点は誠意を持つて、我々のほうも二十七年度予算が重大であるということを考えるから、この際この補正予算審議するに際して大蔵大臣がそれに触れてお話しないということは、これは私は誠実ではないと思う。もう一度大蔵大臣説明願いたい。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この予算案審議なさるからと言つて、来年度即ち二十七年度予算の賛否を拘束するものでは勿論ございません。従いまして私としてはできるだけ早い機会に来年度の予算案を作成いたしまして、そうして資料にいたしたいという気持はあるのであります。併しまだ編成方針も確定的に閣議にも出しておりませんし、いろいろな点が動くと思います。従つて今確信のないものをここで申上げるということは却つてよくございませんので、できるまでお待ちを願いたいと思います。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはおかしいと思う。それではなぜ十八カ月予算として、この補正予算を組まれたか。予算編成方針がないというのはおかしいと思う。十八カ月予算の一環としてこれを組まれているのですから、その編成方針を御説明されるべきだと思うのです。それがないというのはおかしいと思うのですが、如何ですか。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体の枠だけは私は腹ずもりをしておりますので、言つたのでありますが、予算編成方針というのは、大体の枠と、それから大きいのはその枠内でどういうところに重点を置くかという問題でありますが、枠は私一応申上げた通りでありますが、その枠内でどういうところに重点を置くかということは今検討を加えておりますので、申上げかねるというのであります。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 委員長今一言だけ……。ほかのかたの質問時間その他で恐縮ですが、簡単に質問いたしますから……。それでは重点の置き方が、これから検討されるということなんですか。それではなぜ今度の補正予算を十八カ月予算として組まれたのか、重点を聞かなければ、例えばインベントリー・フアイナンスで、外為会計或いは食管会計法を出されるというのは、それが来年度においてどうなるかということは非常に大きな問題なんです。それは大蔵大臣よくわかつているはずです。ですから重点は、例えば来年度は外為をやめて、そしてその代りにその費用をどこに廻すか、これが大きな大筋なんです。これが我々審議する上に非常に重大なんで、私はもう一度大蔵大臣に、くどいようですが、その重点の置き方が予算編成方針なんですから、それが十八カ月予算できまつてないはずはない。それなのにこれから検討されるというのでは、この補正予算をお出しになるときに、二十七年度予算と関連して出しているというその御説明は私は矛盾していると思う。その意味で大きな線でもいいのですから、できておるはずなんですから……。それでなければおかしいと思う。もう一度念のために大蔵大臣に御説明願いたい。
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは私が今まで申上げた程度にしか相成つてできておらないのであります。私は問題は来年度の大体の予算の枠はどのくらいになるか、そうして今御審議願つております臨時立法減税案が来年度続けて行けるという、この二つのところしか発表し得る段階に至つていないのであります。それは今年のインベントリー・フアイナンスが来年はどのくらいになるだろうかという大体の見通しは付けております。併しこれは輸入によつても影響するのでありますから、今インベントリー・フアイナンスを来年度やるかやらんかという、そういう御質問ならば来年度はやると答えます。併し来年度インベントリー・フアイナンスはどのくらいになるだろうかということを言えと言われても、これはできません。
  13. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 委員長としてこれは大蔵大臣にお伺いするのですが、来年度の予算の大体の骨格、それから問題点、そういうようなものが大蔵大臣として話せる段階になるにはどのくらいかかるか、私はできれば、やはり、これは是非今度の補正予算関係が不可分なものでありますので、話せる範囲においてもよろしうございますから、資料としてやはりお出しを実は願いたいと思つているのでございます。その点どうなんですか。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今のところ私のところでできていないので、いろいろな各省要求を査定中であります。各省要求も私まだ目を通しておりません。各省要求各省がどういうところに重点を置いているかということを見て、そして私は今回は予算編成方針作つて見たい。今までは予算編成方針を作りまして、それから各省要求があつたのでありまするが、なかなかそれがうまく行きません。従つて各省考えているところをずつと総合して、大蔵大臣としてどういう方針で行こうということをきめて、それから各省に見直しをしてもらう、こういう腹ずもりでいるのであります。従いまして私は御審議願う場合において、こういうようにやつて行つたならば明年度の大体スケールはどのくらいになるか、それから先ほど申上げましたように、今回の減税が来年度も続けて行かれるかどうか、これが一番大きな問題でありまして、特に財政演説で申上げておるのであります。その他の問題、例えば公共事業費がどうなるか、或いは社会保障費はどうなるか、或いは警察予備隊、或いはインベントリーの問題、こういう問題につきましては、いろいろなところから総合的に最後の断を下さなければいかんと思います。私は成るべく来年に近いところで最後決定をしたいと思いますので、今これがこうなるとか、あれがああなるとかいうことを言うて、又初めの計画はこうだつたが、こう変つたじやないかというので、ここで議論が蒸返されるばかりです。委員会で私はあなたがたに御覧に入れていいときまで待つて頂かなければ小出しすることはよくない、こういう考えで内容を検討いたしておるわけであります。若しできましたら、できるだけ早く御覧に入れてもいいと思いますが、とにかく一応まとまつたものでお出ししたい、こう考えております。
  15. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これは大蔵大臣にお願いをしておきたいのですが、大分大きな構想については、これは大蔵大臣としておありだろうと思いますし、目下構想については大蔵大臣責任で、ここで御説明されても揚足をとつたりすることになつて、ただ予算委員会として、審議する上においてやはり必要な資料ということに私はなろうかと思うのでありまして、その点で今折衝中で、或いは話せないということはあるとは思いますが、これはできるだけ一つ委員会に早い機会にお見通しの点を提出して頂きたい、是非お願いいたします。如何でしよう。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まだ予算ができておりませんので、折衝もしていない状況であります。折衝ができるような段階になりましたら、できるだけのあれをお話いたしましてもいいと思いまするが、そこまでまだ至つておりません。
  17. 波多野鼎

    波多野鼎君 議事進行について。今大蔵大臣はまだ折衝もしていないと言われるけれども、大体十二月の初旬には提出される予定なんでしよう。だとすればもう大体きまつておると私は思うのだが、どうなんです。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 十二月初旬にはとても提出できますまい。
  19. 波多野鼎

    波多野鼎君 今度はできない……。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨年も一月の二十一日だつたと思います。昨年は割に早くできた、大体のところは早くできたのでございますが、今年は昨年よりもやはり平和関係のあれがありますので私は遅れると思います。
  21. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは一つこれは本委員会審議の間にこの問題は帰つて来るかと思いますので、政府のほうにおいてもその腹ずもりで一つ委員会資料出してもらうということにしまして次の議事に進みます。
  22. 波多野鼎

    波多野鼎君 最初大蔵大臣にお尋ねしますが、今度の補正予算を見ておりますと、国際通貨基金加入のため、及び開発銀行加入のため経費を計上しておられます。で通貨基金加入するに当りまして、我が国一定為替相場についての考え基金側に申入れまして、そうして基金加盟国側の承認を得るという手続をとつて加入することになると思うのです。或いは加入したあとそういう手続をとるかも知知れません。いずれにしましても我が国独立国として再出発するに当つて為替相場の問題は非常に大きな問題であろうと思うのです。でこの間本会議におきまして、この問題について質疑をいたしましたところ、大蔵大臣は今日我が国為替について管理政策為替管理をやつておるので、例えば日米物価の比較から来る為替自主性とかいつたようなことは問題にならないということを答弁されておりますが、こういう答弁は甚だ私には不満足なんです。と申しますのは、管理をしておるということは事実その通りだと思いますが、管理をするに当つて一定為替相場についての方針があり、又為替相場基準というものについての一定目安があつて、その目安に応じて管理をやつておると私は思う。経済自主性と離れた基準なり目安なりを作つて、それで管理して行くということが若しあるとすれば、これは経済の運営の上に非常に大きな悪作用を及ぼすことになる。で私はそういう見地から国際経済に乗り出す場合、特に外国貿易というものが日本経済自立にとつて決定的な役割を演じておるという事実に照して、今後一ドル三百六十円という為替相場について何らかお考えがあるかどうかということをお聞きしたい。と申しますのは、特に二十四年の四月に一ドル三百六十円の為替相場決定しました以後日本物価動きとそれからアメリカその他の外国物価動きとが大分歩調が狂つております。そうして日本物価だけが特に著しく上昇をしておる。つまり円がそれだけ安くなつておるということは、おおうべからざる事実であると思うのです。こういう事実を背景にして、為替相場については一応新らしい考え方をしなければならんと私は思うのです。そういう点についての大蔵大臣の先ず御構想を承わりたいと思います。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 本会議で御答弁申上げたことは、今あなたがおつしやいましたように、米国の物価上りようよりも日本物価上りようが非常に多いが、購買力平価説から言えば為替相場を今引下げねばならんということが出て来やしないか、こういう御質問でありましたから、私の答えは、為替管理をやつておる場合におきまして常に購買力平価説がすぐ出て来るものではありません。勿論、物価上り下りによつて為替相場決定する、購買力平価説というのは一つ要素であることは認めます。併しこれが違うからといつてすぐ為替相場を変動しなければならんことはない。而も日本のドルが年々殖えておる、こういうことから考えて今為替相場を動かさなければならんほどのことはございません。こうお答えいたしたのであります。私はこの考えに今でも間違いないと考えております。  而して国際通貨基金加入いたしますことは、やはりこの日本国際通貨基金割当等がどれだけになるかということは、これは向うのほうできめると思います。いろいろな一応の基準はありますが基準は必ずしも適用されない、そのときどきの状況によつて国々によつて基準が変つて来るようでありますが、基準がきまりましたならば、なんぼの為替レート加入するかということは日本大蔵大臣考えできまるのであります。向うからとやかく言うものではありませんが、私はそれなら幾ら加入を申入れるかと申しますと、先ほど来申上げておりますように三百六十円で加入を申込んだのであります。
  24. 波多野鼎

    波多野鼎君 この前二十四年の四月に一ドル三百六十円という相場がきめられたとき、これは日本がまあきめたわけではないでしようがきめられたときに、大蔵大臣が本会議での報告の中にこういうことを言つておる、我が国は大体三百三十円の想定をしておつたところが三百六十円ということにきめられた、即ち我々の想定よりも円安にきめられたということが今後の日本輸出貿易に非常な好影響を与えるであろうから慶賀すべきことであるということをまあ言つておられる。これは御記憶であろうと思う。でその三百三十円というレート想定された場合、何を根拠として想定されたかということを一つ承わりたい。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、自分が三百三十円を想定しておつたとこう言つたか、或いはその当時三百三十円というのが有力な説であつたか、どういうふうに答えたか知りませんが、大体三百六十円程度にきまるのじやないかというふうなことが一般考えられておつたのであります。で三百三十円というのはどういうところから来るかと申しますると、御承知通りあの当時は複数為替レートと申しますか、品目によつて一ドル対何円というのがきまつております。多分あの頃は化学薬品等は五百五、六十円だつたと思います。又陶器類は五百円程度であつたでしよう。それから又生糸は四百二、三十円だつた記憶しております。それから輸出の大宗であるところの綿製品は二百七十円程度相場であつたと思います。これは三百円説もありますし或いは四百円説もありますしいろいろな説がありましたが、我々は大体三百三十円ぐらいが適当ではないかぐらいに考つてつたのであります。然るところ三百六十円ではどうかとこういうことになりましたので、三百六十円は結構だ、こういういきさつであるのであります。
  26. 波多野鼎

    波多野鼎君 まあお忘れになつておると思うからちよつと読上げますと、やはり三百三十円というのは、日本政府が、大蔵大臣責任を以て想定をしておられた相場であるということははつきりしておる。と申しますのは、この報告の場合に、二十五年度予算は一応一ドル三百三十円に仮定いたして編成したのであるが、三百六十円になつたところでこの予算は編成し直す必要はない、どつかに余裕がとつてあるからというような意味のことを言つておられた。更に予算関係におきましては、三百三十円の想定レートが三百六十円に相成りましても直ちに補正はいたしませんということを他のかたも言つておる。即ち世間一般が三百円だ、三百五十円だと言つてつたということをこの報告の中に述べておられるわけじやなくて、政府予算編成という大きな仕事をやる場合にレートが三百三十円くらいであろうということを想定して予算を編成した、これは大きな方式の問題なのです。ということははつきりしておるのでそこでもう一度重ねてお尋ねしますが、三百三十円というレート想定されたその根拠を承わりたい。これはなぜ私がそういうことを言うかと申しますと、本会議においても、只今この席においても、例えば購買力平価というようなことは為替レート決定する場合に一つ要素になるに過ぎない、ほかにもつと要素がたくさんあるのだという理論をおとりになつておるようでありますので、三百三十円レートというものを想定された場合にもその理論で以てやつておられたかどうかということを聞きたいからなんです。若しお忘れになつておりますれば事務当局の者にでも説明をさして頂きたいと思います。
  27. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど申上げましたように、自分がそう言つたか或いはほかの説があつたか、はつきり記憶はございませんが、とにかく三百三十円ということは一応考えておつた、こう申上げておるのであります。三百三十円ときめます理由は先ほど言つたように、品目別アメリカその他の土地に対しましての輸出入の状況考えて平均的に出し数字だと思います。
  28. 波多野鼎

    波多野鼎君 品目別と言われると例えば五百円のもあり、六百円のもあり二百何十円のものもあつた、そういうものを単に平均されただけの話ですか。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体船が、今申上げておるのは、船は多分五百円余りだつたと思います。併しこれは土地によつて違いますから大体勘で、これは船が幾ら、薬品が幾ら陶器幾ら、綿糸が幾らと、こういうのを計算して幾ら幾らが出たからそれによるのだ、こういうわけのものじやございません。大体将来の経済見通しその他を考えてきめなければならん問題であります。
  30. 波多野鼎

    波多野鼎君 だんだんはつきりして参りましたが、即ち日本及びアメリカ、特にアメリカに対する日本輸出品相場というものを一つ一方の基礎に置く、それから将来の日本貿易関係というものを、一方の軸に置いて、そして三百三十円というレート大蔵大臣想定しておつた、こういうふうに理解していいのですか。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その通りでございます。
  32. 波多野鼎

    波多野鼎君 それではお伺いしますが、最近における日米物価、特に日本輸出品価格、これを比較いたしまして非常に大きな問題がたくさん出ておることを発見するのであります。で、この点について予算委員長を通じて大蔵省資料を提供するようにということをしばしば請求したのですけれども、一度は提供します、提出しますと申しながら、その後又断わつて来る、なぜ断わるのだかその理由がわかりません。とにかく資料を出すことを非常に躊躇いたしております。大蔵省事務当局は、これは大蔵大臣は御承知ないかも知れないけれども、御承知ないとすれば、今私がそういう資料を出せということを要求しておることを大蔵大臣はつきりお聞きになつたのだから、事務当局を鞭撻してこの特に日本輸出品国際市場における価格の問題、特に購買力平価という見地から見てどういうことになるのかという点についての資料を至急出すように、大蔵大臣から御督促願いたい。私が持つております資料から申上げますと、こういう関係になつておるのであります。三百六十円レートを設定したときの日本の国内の卸売物価指数、それと当時の同じ時のアメリカ物価指数、これを両方とも百としてずつと見て行きますと、日本卸売物価指数は今年の九月で一七一・一になつております。この七割一分強の騰貴を示しております。ところがアメリカのは一一二・九、一割二分九厘、まあ一割三分の騰貴しかしておりません。これはただ輸出品だけをとつたわけじやないのですから、この辺は材料としては十分じやございません。ですからそういう材料を、大蔵省は厖大な調査機関を持つているから出してもらいたいと思うのですが、とにかく卸売物価は七割一分日本騰貴している。アメリカのほうは一割三分しか騰貴しておらない。この事実は為替相場の問題を考える場合において、無視していい事実であるかどうかということを一つ大蔵大臣にお伺いしたい。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは波多野さんにお聞きいたしまするが、卸売の実効価格の指数でございましようか、或いは公定価格の指数でございましようか。
  34. 波多野鼎

    波多野鼎君 これは公定価格です。
  35. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それで問題なんであります。為替相場をきめますためにはお話のように購売力平価説も一つ材料でございますが、経済の実態を見て、そうして又輸出入の見通しをつけてきめなければならない問題でございます。実効価格がそんなに上つているのならそれは大変なことでございます。御承知通り昭和二十四年のときにはいろいろなものが統制してあつて価格があつたのであります。それが統制を外して補給金をやめたために、日本特殊の事情によつて公定価格の上りが多いのであります。そういうことから来ているのでございますから、私は実効価格向うの実効価格をきめてもらいたい、それによつて議論をしなければいけないと思う。日本輸出が南米その他に伸びておりますのは、アメリカに出て行きますのは、これはグレイ・マーケツトあてに相当出ているのであります。而も最近の様子ではイギリスやベルギーのほうは国内の実効価格は八十ドル前後でございます。或いは九十ドルくらいに今なつたかもわかりません。然るに輸出価格は百三十六ドルくらいでイギリス、ベルギーはやつているのであります。これは一、二カ月前の数字です。然るにこの頃は御承知通りイギリスから百四十ドルの日本の鉄鋼を買いに来ているじやございませんか。こういう事情でありますので、為替相場をきめる場合においては、お話の通りに購売力平価説ということは一つ要素ではございまするが、その国々の事情によつてよほど変えて考えなければならんと思います。
  36. 波多野鼎

    波多野鼎君 いや、その購買力平価の問題でなく、今実効価格なんですよ。それを問題にしておりますのでして、私どものほうは我々社会党の調査費が非常に少い。ですからそういう点まで調査するわけに行かん。大蔵省及び安本には国の経費を莫大に注ぎ込んで、そうしてこういう問題についての正確な資料を出させるために調査機関を設けてあるのです。税金で以てそういう役人を養つておるのです。そういう役人が我々に対して要求するような資料を出さないということは非常におかしい。ですからこれを出してもらつてそのあとで又この点は議論したいと思います。至急大蔵大臣なり安本長官おられますから、部下を督励して今の実効価格についての数字を、当時からの動きを至急出して頂きたい。その上で質問を継続することを留保しておきます。  それから次に問題にいたしますのは輸出の問題でありますが、今大蔵大臣がお触れになりましたが、輸出が非常に伸びておる、これは非常に結構なことだと思う。ところで最近の一つの傾向としまして、例えば綿製品などについてそういう傾向が見られると思うのでありますが、国内で高く売つて外国では安く売るという傾向が非常に多いのであります。つまり外国で投げ売りしておるその損失のカバーを国内でやつておる。つまり国内消費者に高く売り付けることで外国へ安く投げ売りしてそうして販路を開拓しておるというような傾向が非常に多い。こういうことで以て輸出が伸びておる面があるのであります。こういう点については安本長官はどういうふうに実態を把握しておられるか、お伺いしたいのであります。
  37. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話の点でありますが、私或いは間違つておるかも知れませんが、私は今のお話のように今綿製品を思つておりません。綿製品については御承知通り日本の国内における価格が非常に下りつつありまして、そこでいろいろ引合が取消しされておることは御承知通りであります。これが最近における六、七、八月における綿製品輸出ちよつと中だるみになつた関係であります。最近におきましてはようやく綿製品、綿布に関する価格が底値をついたような恰好で、従つてここに新らしく取引が徐々に又出て来た恰好で、特に内地において高く売つて外に安く売つておるという関係はないと私は思います。
  38. 波多野鼎

    波多野鼎君 最近これは問題になつておるのだが、まぐろの罐詰がダンピングの理由によつて相当アメリカで問題になつて、その結果、結局アメリカ側が関税を引上げてしまつたという問題がある。これなどはまぐろの罐詰というような蛋白食糧は国内では不足しておりますのに、外国へ持つてつては安く売るということからダンピングの非難を蒙り、その報復手段として関税の引上げに会つてつておる、こういうようなことが漁業の小さな企業家がやつておるものについては非常に多く出ておる。そういう問題について安本長官のほうではどういうふうに考えておられるか、これを一つ承わりたい。
  39. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話の点でございますが、これもちよつと観測が僕はあなたと違うのであります。まぐろの罐詰の輸出については、戦前からアメリカのほうではいろいろ問題がありまして、むしろ関税等の問題と考えておるのですが、こういうものは向うにおける罐詰業者が日本から罐詰として出ることについていろいろと心配されるのであります。曾つて日本では奨励しましたが、今までまぐろは実はそのまま冷凍で送つてもらつて罐詰にしたいという希望さえあつた時代もあります。その点につきまして、特にまぐろの罐詰を内地で高く売つて外国で安く売るということではなく、罐詰にして余り出されては困るというような恰好があるようであります。それで直ちに今のようなお話にはならないと思つております。
  40. 波多野鼎

    波多野鼎君 つまり外国日本政府がどういう方針をとつておるかにかかわらず、外国側が日本商品の競争ということを非常に怖れておるということだけは今の安本長官の説明はつきりしたわけなんです。そこでまあ外国貿易を進展する上におきまして、今後いろいろな問題が起きて来ると思いますが、先ほど大蔵大臣はドルの非常に手持が多くて結構だということを言つておられます。併し他方において三、四年後にはドル不足が起るということをこの間の本会議言つておられます。こういう問題はあとにお伺いいたしますが、当面の外国貿易をどう打開するかにつきましては、我々が非常に関心を持つておる一つの問題がある。それは例の国際関税協定、いわゆるガツト、これへの加入の問題がある。今度その総会に日本側からはオブザーヴアーといいますか、何かの資格で一人出ておるようでありますが、これが出るについてもオブザーヴアーが日本から来ることは許すが、併し今こうしたガツトへ加入させるという暗黙の了解の下にオブザーヴアーが出ることを許しておるわけではないということを一本釘を刺されておる。そうして出て行つておるのであります。このガツトヘの加入を阻止する力が非常に強い、それはなぜかと言えば、日本の対外競争力を怖れておることから来ておる。そういう点を考えますと、特にポンド地域への輸出という問題については将来問題がたくさん起て来るのであるが、このガツト加入についても恐らくポンド圏の特にイギリスあたりが中心になつて日本加入を喜んでおらないという事情があると思うが、その点はどうなんですか、事情を説明して頂きたい。
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のように十月十七日からの国際関税協定にオブザーヴアーとして出席することが認められましたので、取りあえずロンドンの在外事務所におりまする大蔵省に昔おつた人を行かしておるのであります。オブザーヴアーとして加入、出席できますまでの経過はお話のようであつたと聞いております。併し日本独立国家として世界の貿易に貢献する場合におきましては、私は早晩或る国の反対はあるかも知れませんが、入つて行けるのではないかという、こういう気持を持つております。
  42. 波多野鼎

    波多野鼎君 大蔵大臣はいつも楽観論を唱えられるからいいが、まあ楽観論として聞いておきますけれども、世界貿易の発展に寄与するという言葉はいいが、仮に日本外国貿易に発展すればほかの国が損失を蒙るのが出て来る。それから来る抵抗、圧迫、反対ということが同時に強くなつて来るのはこれは当然だと思う。そこでこのガツトに入ることが一つの大きな地歩を日本が獲得することになると私は思いますが、これに加入するためにどのような対策を今とつておいでになるか、考えておられるかという点を一つお伺いしたい。
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私が楽観しておるとおつしやいますが、これは楽観でも何でもないので、日本独立国家として立つて行く以上、而も世界の平和に貢献する以上は、各国とも共存共栄して行かなければならんということは世界各国の理想なんであります。我々はそれでできるだけ早い機会に入るように努力する、入る希望を持つておるということはこれは楽観でも何でもないのでございまして、見通しを言つのおるだけの問題でございます。而して今の状態といたしましては、まだ独立国家でございませんし、折衝するという段階には至つておりません。併し幸い只今日本でやつておりまする関税定率が大体国際関税協定の線に沿つてつておりますので、特に支障があるとも考えていないのであります。或いは特定の国におきましては、最恵国約款がどうこうという問題がありますが、今輸出を阻害する、特にポンド地域への輸出を阻害するというふうな事情は私は一向に存じておりません。なお附加えて置きますが、先ほどお申越しのあの資料につきましては、できるだけ調査を進めまして提出いたしたいと思いまするが、御要求資料の中には、これは日本なんかは闇の価格なんかは割にわかりやすいのでございますが、アメリカの闇の価格を調べろと言われてもそうすぐにできるものではありませんから、資料によつてでき次第お出しいたします。
  44. 波多野鼎

    波多野鼎君 資料は闇価格、グレイ・マーケツトを調べろというまでには行かんと思います。行かんと思いますが、予算審議に間に合うように早く出して頂きたい。完全なものができませんから出しませんというのでは困る、できるだけ予算審議に間に合うように出して頂きたい。  それから次にやはり外国貿易の問題に関連いたしますが、現在の連合国軍によりまして、横浜、神戸、門司、その他大きな日本の重要な港、港湾の施設の殆んど大部分、或る所では九割以上が接収されてしまつておる、このことが日本外国貿易に与える支障というものは非常に大きなものがある、特に運賃関係の上に及ぼす影響、それから又引渡期日の遅延とか、そういつた上に与える影響は非常に大きなものがあるのでありますが、この横浜、神戸等のその他の大きな港、商港の接収はどういうふうに解除になるように交渉しておられるか。聞くところによると、昨年頃は一時横浜あたりも埠頭などの接収を解除していいような話もある、ところが日本側の政府部内においていろいろ意見の食い違いがあつて、誰がこの接収解除になつた埠頭を管理するかという点について権限の争いのようなことをやつておりましたために、延び延びになつちやつたという事実も噂に聞いておる、が、それはそれとして、独立国になるのであるからして、こういう重大な外国貿易のための玄関口というものはきれいにしておかなければならんと思うのですが、こういうものについての見通しなり折衝の経過なり、こういうものについて一つお伺いをしたいのであります。
  45. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のように神戸、横浜の大部分は接収をされております。建物ばかりでなしに、桟橋等も接収されております関係上、我が国輸出入貨物は多く艀でやるようになりますので、運賃その他時間的に不利な点があるのであります。我々といたしましては、もう一昨年来極力接収解除を懇請しておつたのでありまするが、どういう都合かまだその段階に至つておりません。講和條約成立後におきましては、私はそれは行政協定その他によつてきまることだと思いますが、理論としてはこつちへ返つて来ましよう。これは横浜、神戸の港湾施設ばかりじやございません。ほかの分につきましても……。而して別に米軍駐屯の施設が設けられる。こういうようになるのが理論じやないかと思う。併し実際問題としてどこに米軍が駐屯するかによりてきまつて来ることでございますから、理論ばかりではいかんと思います。
  46. 波多野鼎

    波多野鼎君 それは行政協定の問題として私もわかるのですが、こういう港湾の施設というものを早く解除してもらつて日本外国貿易の玄関口として使うという態勢を整えることは、経済自立見地から言つて是非とも必要なことであると私は確信する。そこで行政協定を結ぶ場合にやはり私と同じような確信の下に政府が交渉される肚であるかどうか、どこへ基地が置かれるかどうかわからんから、向うの出方を待つてということだけのことであるのか、こういうものは是非返してもらわなければ困るという態度で折衝されるのか、その点を一つお尋ねいたします。
  47. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは占領治下でも極力接収解除を要求しておつたという御答弁で御推察を願いたいと思います。
  48. 波多野鼎

    波多野鼎君 現在ですね。こういう港の施設なり又倉庫などの使用ですが、向うがどういうふうに使つているかということについては、日本政府においては関知しておいでになるのですか、どうなんですか。
  49. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 例えば横浜におきまして、税関の建物、庁舎は大体全部向うが使つております。それから上屋などにいたしましても、八、九割は向うが使つていると思います。上屋その他には米軍関係の貨物を入れているようであります。
  50. 波多野鼎

    波多野鼎君 私はそれを言つたのではなくて、そういう上屋とか倉庫などを向うが接収しておりますけれども、それをどういうふうに使つているかということになんです。これは御存じですか、御存じでないですかというのです。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 上屋の使用方法でございますか。
  52. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうです。
  53. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは普通の使用をしていると私は想像しております。行つて見たわけではございませんが、若し何だつたら行つて見た人を呼んで話させてもよろしうございますが、普通の使用法でございます。
  54. 波多野鼎

    波多野鼎君 私がそういうことを言うのは、向うが、まあいわゆる駐屯、日本の進駐に必要な目的で使つておればそう文句はないと思う。その目的以外に使われておることはないかということ、それはこういう噂があるから……
  55. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) わかりました、わかりました。
  56. 波多野鼎

    波多野鼎君 コカコラ工場に使つておるという噂を聞いているので聞くのです。
  57. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話の通りに、神戸の或る上屋とか、或いはその近くにコカコラ関係のものがあつたとかということを聞いておりましたが、私は見たわけではございません。
  58. 波多野鼎

    波多野鼎君 そういうのは、そういうふうに使われている部分はできるだけ早く、即座にでも返してもらうことができるのじやないですか。
  59. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういうことは主張して交渉したことはあるのでございます。
  60. 波多野鼎

    波多野鼎君 それからやはり外国貿易関係いたしますが、町を歩いておりますと、大蔵大臣も見ておられると思うが、アメリカ製のお菓子が氾濫してしておる、化粧品が氾濫しておる、靴が氾濫しております。何でもかんでも入つておる。銀座あたりにたくさん並んでおります。で、これは日本の中小企業にとつて非常な大きな脅威であるということはこれはいうまでもない。ところでこういう品物がどうしてあんなに日本全国に亘つて氾濫しておるかということは、国民が皆不思議に思つておるのですよ。そこで、この間この予算委員会で大蔵当局のかたに聞いて見たところがこういう答弁をしておる。それは外国人にたくさん日本に来てもらいたい、まあドルを落してくれるからというのでしよう。そうした来てもらつた外国人に日本の生産物を使つてくれというのは少々気の毒だ、やはり生れ故郷の品物を使つてもらうのがまあ一つのサービスとしてやるべきことだと思つておるので、そういう人たちが日常使う品物は相当許している。而もこれは全部無税なんです。そういう政策をとつておるということを申しておりますが、大蔵大臣も同じ見解なんですか。
  61. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 事務当局がそういうことを言つたかもわかりませんが、これは為替政策とか外貨の増収というところから来たのではないのでございます。日本人の食物或いは衣料関係、薬品、その他日常生活品では向うの人は我慢できず、例のスペシヤリテイ・シヨツプというものを設けて置くということになりまして、今までそういう実情を考えて許しておつたのでありまするが、このスペシヤリテイ・シヨツプの問題も実は今年限りでやめることになつております。私はああいうものが国内に無制限とは申しませんが、勿論輸入のときにつきましては、一々為替の割当をいたしまして許可制にしておりまするが、相当入つて来るということはよくないのであります。今年限りやめてもらうように話を付けた次第であります。
  62. 波多野鼎

    波多野鼎君 ところが同じ事務当局が、今度の補正予算にもそういうために六百何十万ドルの予算を組んでおると申しておりますが、それはどうなんですか。
  63. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体そのくらいあつたかとも思います。併し実は一応予算を認めましてもその通りつて来ないので、これは内訳を申上げまするが、今年からやめると、こういうことにいたしたものですから、早急に無為替許可の申請があつたようでございます。而も多額になつておりますので、私はその理由を調べまして減額するように、若し減額ができなきや入つて来るのを抑えるように、こういうふうに言つておりまするが、予算の六百何十万ドルというような正確な数字は存じません。考え方としてはもうやめると、こういう方針で行つております。
  64. 波多野鼎

    波多野鼎君 そのSPS関係で入つた品物だけなんですか、町に氾濫しているのは……、そういう点の御調査はどうなんですか。
  65. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) SPSのみならず、PXその他のものが出ておると思いますが、私は実際どのくらい出ているか実は存じません。
  66. 波多野鼎

    波多野鼎君 この問題をそう根掘り葉掘り聞くのは、今後軍事基地が設けられることになるらしい、そういたしますとその軍事基地を通じまして又現在のようないわゆる半公然の密輸入のようなことが大視模に起る危険がある、これが日本の産業自立にとつて非常な大きな障害になる。今日本に入つておる、入つておるというのか氾濫している品物は年間六百万ドルや八百万ドルの品物じやないと私どもは見るのですが、そういうものが基地を通じて今後入つて来るようなことになると大変なことになると私は思う。そこで現在においてもそういう半公然の密輸入というものを完全に抑えてしまう対策なり、態勢を作らなきやならんと思う。そうしないとあとじや困ると私は思うのですよ。そこでそういう点について、どういうような構想を持つておいでになるか承わりたいと思います。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のような点がありますので、向うと話をいたしまして、今年限りでああいうものはやめてもらうようにいたしておるのであります。で米軍が駐屯する場合におきましてそういうような心配はないかと、又それを防止する対策は立てているかというお話でございまするが、そういうことを防止すべく万全を盡したいと思います。
  68. 波多野鼎

    波多野鼎君 今のSPSじやない、実は私の言うのは密輸入の問題なんですがね、これが又軍の蔭に隠れて密輸入というものがある。日本政府が何ともできないということになつちや大変だから、今のうちにそういう態勢は作つておかなければならん。これを防止するための態勢は作つておかなければならない。例えば関税の制度をはつきり確立して行く、或いは税関吏をもう少し殖やしてそうして彼らにもつと強い権限を与えて、これらがこういう密輸入を完全に防止し得るような準備を今からしておく必要があると私は思うが、こういう点どうなんですか。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) とにかく万全を期すというお答えで御了承を願いたいと思います。
  70. 波多野鼎

    波多野鼎君 先ほど、最初にも私が申上げた為替相場の問題、これは重要な問題をたくさん持つておりますので、先ほど私が要求した資料のほかに、なお一、二資料要求いたします。その資料に基いて大蔵大臣一つ議論をしたい思つておりますから、私の質問時間は後日に留保して頂き、なお今日は農林大臣が知事会議で出席ができないというお話でありますから、農林大臣に対する質問も後日に留保しておきたいと思います。委員長においてよろしくお願いいたします。
  71. 和田博雄

    委員長和田博雄君) かしこまりました。
  72. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと関連質問大蔵大臣にしたいと思いますが……。
  73. 和田博雄

    委員長和田博雄君) どうぞ。
  74. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは今波多野委員から占領軍が使用している埠頭その他の建物等についての質疑がありましたが、これは主管が大蔵大臣ではないので、特調関係に属していることだと存ずるのでありますが、私がお尋ねすることは、結局大蔵大臣にも関連することになりますので、お聞きいたしたい点は、現在占領当時強制接収と申しますか、時間を限つて個人の住宅に乗込んで何時間以内に立退けという、いわゆる個人住宅を接収して未だ返らざるものが二千百何十件あると思います。今度の講和條約が批準、発効したときには、占領軍として使つてつた場合は当然解消されると思うのですが、問題は行政協定で、駐屯軍に対する日本の協力範囲程度によつては微妙な又意見が出て来るように想定される、我々としては当然こうした多数の迷惑をこうむつている個人住宅については、当然占領目的達成、講和條約発効と同時に原状復帰によつて還元さるべき、復元されるべきことだと思つている。ところがこの問題については、外務省においても言を保留してどうなるかわからぬという態度をとつておる。ところが結局において、仮に行政協定でいろいろのそういつたような協定が行われましようとも、原則としては当然復元されねばならんことについて、駐屯軍の将校等の居住する住宅問題については前々の国会に軍人公舎というものを設定して、これらの占領軍将校等の将士の住いする一応建物をかなり建てたのであります。将来においても成るべく個人住宅を返還して、そうして軍人公舎を設けて占領軍の兵士、将兵をこのほうへ入つてもらうということは、当時政府説明においても特に言明されたのであります。ところがその後軍人公舎の建築は頓挫したのか、或る一定の数量を建てた切りで依然として進まない。そして個人住宅は接収したまま、こういうままで講和條約或いは批准、発効というような状態に向つての将来は、当然この軍人公舎を更に増築して、駐屯軍の将兵の向うの生活様式に合致した家とか、間取りとか設備とかいうようなものに組替えてもらうというのが正しいと我々は思つておる、ところが今回の予算においても、そういつたものは計上されず、明年度予算はどうなるか知りませんが、大蔵省としては当然明年度予算にこうした軍人公舎等を増築して、個人住宅の、一生をそこに住いしようとして建てた家をいつまでも、又行政協定で駐留軍が何年いるかわからない、先行き返還の見込の付かないような姿で、個人住宅を接収したままの姿で行くということは、折角の平和條約ができて民主国家となつて、自由国家となつておる建前から見て非常に奇異の感を呈するのであります。よつて政府は当然個人住宅の復元と共に、併せて駐留軍の将兵の住宅に、行政協定の如何によつては公舎を増築して、このほうに住み替えてもらうということは国民として、或いは現在それらの被害を受けておる方面から熱烈な希望があるようでありますが、こうしたお考えがあるかどうかという点をお伺いしておきたい。
  75. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど波多野委員の御質問に対して申上げました通りに、法律的にはもう個人住宅のみならず、デパートにしましても、ホテルにいたしましても切替えてございます。今後それが切替つて誰が住む、元の所有者がお住まいになるか、或いは話合いによつて従来通り貸付けることになるか、こういうことは行政協定の内容の一部をなすものだと思います。
  76. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そこで原則としてそうであるべきものだということは私もそう思うのですが、行政協定によつてそれはきまるものだと、こう言われる点に問題があるわけです。行政協定によつて、従来の接收住宅をそのまま土地収用令その他の別個の法律を制定してから継続をするような若し行政協定となるというような気配の場合には、そういう措置によらずして、当然軍人公舎的なあの設備、あの機関によつて行政協定の内容をそのように切替えて行かなくてはいけないと思うのであります。行政協定の取極次第によつて、成行どうなるかわからんという形に置いておくということはなかなか問題でありますから、当然行政協定において何らか土地収用令その他のような方法でなお接収を続行しようというような意図が向うさんにあるならば、日本政府としては当然私が申上げた軍人公舎等の方法において住み替えてもらう設備が必要ではないか、そういう考えは行政協定に臨んで大蔵大臣としておありになるかどうかを私はお尋ねしておる。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 行政協定の内容につきましての意見を申上げることは差控えたいと思いますが、あなたの御意見は御意見として承わつておきます。
  78. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は昨日の質問でまだ明らかになつていないところの点をお尋ねしたいと思うのであります。麦の作付けが今始まろうとしておるのでありますが、麦の統制撤廃の時期が、昨日の答弁では明らかにならないので、この問題を承わりたいと思います。
  79. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 昨日もお答えいたしましたように、麦については過去において関係方面とも話合いが付いておりますので、一月以降において解際いたしたいと今考えております。その際に播付け時期における生産農家の麦の生産に対する保護政策と申しますか、対策はずつと考えて行きたいと考えております。
  80. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 若し統制を一月以降できるだけ早い時期に解消されるといたしましたらば、その統制の解除の方法といたしましては、法律の改正によるか、或いは政令でやられるのであるか、この点お尋ねしたいと思うのであります。
  81. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 麦については、法律でやるということは勿論好ましいことであろうと思います。併し法律でなければならんということにはなつておらないようでありますから。いずれの方法によるかということは、今後の準備のでき次第具体的に決定される問題だと考えております。
  82. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は漁業債券の償還と災害対策についてお尋ねしたいと思うのであります。漁業改革のために発行せられました漁業債券は、現在幾らであつて、そのうち漁業協同組合関係の所有しておるものが幾らで、本年度内にそのうち償還を計画しておられるのがどのくらいであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  83. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 漁業証券の総額は百七十億ばかりであつたと思います。而して本年度償還の計画をいたしておりますのは五十五億円でございます。五十五億円の分の個人漁業者或いは漁業協同組合の内訳は存じておりません、調べればわかりますが……。五十五億円の計画をいたしております。然るところ昨日大蔵委員会並びに農林委員会委員長のお話がございまして、漁業法の改正による問題から、いま少しく漁業証券の本年度償還を殖やしてもらいたい、こういう要求が昨日ございました。早速昨夜検討いたしまして、十億円だけ本年度殖やすことに昨夜きめました。六十五億円の償還に相成ると思います。
  84. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今回のルース台風で漁業関係の被害は非常に甚大であるのであります。船が流されたり、或いは網が流されたり、或いは網干場が破壊された、或いは防波堤が破壊されたというふうに、その被害は非常に大なのであります。殊に長崎地方のような海岸線が長い所では、この被害が最も大であるのであります。こういうふうなものは直ちに復旧しなかつたらば、現在最も忙しいところの漁期であるのにもかかわらず、その復旧ができないのでありますから、幸いにして一方において漁業債券の償還があるといたしましたならば、その漁業債券はできるだけ今度のルース台風の被害が甚大であつた方面に償還すべきであると、こう考えておるのでありますが、この点如何お考えであるか、お伺いしたいと思うのであります。
  85. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回のルース台風は今までの台風とは違いまして、お話のように漁業関係のほうが相当被害をこうむつておることは事実でございます。従いまして検討の上、漁業関係のほうには特殊の方策を講じたいと考えておるのでありまして、そういう意味から申しまして、只今申上げました特に今年度殖やした十億円の償還につきましても、お話の点を考慮いたしたいと思います。併し私がこの分だけに償還するというわけには行きませんので、農林省並びに関係のかたがたとそういう方向でお話を進めて行きたいと思います。
  86. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつと関連して。甚だ藤野さんに失礼でありますが、只今藤野さんの、周東安本長官に麦の統制撤廃はやるつもりかどうかというお尋ねに対して、周東安本長官は、国会にその法案を提出することがいいと思うが、政令によつてもあえてできぬことはないというような意味合いを述べられたのであります。これは極めて重大な御意見でありまして、ちよつと聞いておいてそのまま放つておくわけには行きませんので、私失礼ですがお尋ねするのですが、一体麦の統制撤廃については、先の議会で当参議院で否決されて今日に至つておることは御承知通りであります。ところが先般政府は米の統制撤廃と関連して、来年の一月一日から麦もやりたい、それは場合によつては政令でもやりかねまじき気配がありましたで、おのおの国会側としては重大な問題としてこれは政府に申入れ、特に本参議院は院議を以て、こうしたようなものの法案を国会に提出せずして、政令でやるというような院議無視の態度をとつてはならんという決議をしたのであります。で、この点は政府の与党の自由党も了承されておる点であつて政府のこうした院議を無視するがごときところの態度は、私甚だ奇怪至極だと思う。それが第一点であることと、もう一つは政令でもやれんことはないということは、どういう解釈でそういう議論が生れるのかお聞きいたしたい。現在主食というものは食糧管理法にも明文で示されてあるごとく、米麦を以て主食といたします。前の主食は豆とか「いも」とかを総合しておりまして、これは主要食糧として占める部分において、その内容実質において欠くるところがあるから、或いは政令を以て特別の措置が講ぜられたということは止むを得ざることであるし、又それは国会においても了承したことであつたかも知れない。ところが今日、主食というものは米麦を以て主食といたしておるので、米ばかりが主食でなく、麦ばかりが主食でない。米麦は、合せて古来日本人の主食中の主食として、食糧管理法の精神或いはその内容全体から切り離すことはできない。今日総合配給の場合においても、或いは農家供出の場合においても、麦作農家或いは米作農家地帯の実情等から見ましても、これは切り離すことのできない一体不可分のものである。その一体不可分の問題である麦の問題を政令によつてでもやれんことはないという解釈は誠に奇怪至極であります。この二点についてもう一度承わつておきたい。
  87. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) そうあなたのように怒らなくても私はよかろうと思う。私がお話申上げたのは食糧管理法でありますか、あれにありますように、米麦、「いも」、雑穀、すべてこれは政令の定めるところによつて割当し、配給をすると思います。すでに過去においてその列挙事項の中の「いも」と豆を政令によつて外しております。そこで私が先ほど御答弁いたしましたのは、法律でやることも好ましいのでありますが、法律論といたしましては政令でやり得るということを申上げ、且つこれを実行いたします場合にいずれのほうを取るかということは、今後の状況をよく考えて慎重に考慮いたしますと、こう申上げておる次第であります。
  88. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 政府は先に米の統制撤廃は四月一日、麦の統制撤廃は一月一日ということを言われておる。ところが今日の段階では、主食統制撤廃は本米穀年度は行わない、即ち来年の十一月一日に状況によつてはやろうということを、裏付けして発表しておるのであります。そこで麦というものは……それは政府は主食統制撤廃という、最近そういう言葉を使つておられますが、来年の十一月一日以降の考えとしてこういうことを言われておるのか、今安本長官の御意見の裏側を付度いたしますと、或いはそれ以前においてでも、例えば四月一日以前においてでも行おうというような意図があるかのように解釈されます。この辺を一つ明らかにしてもらいたい。
  89. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) あなたは政府の声明をよく読んでおらないように思います。政府声明には主食をと書いてございません。特に米について第二項に書いてあり、三項において大麦、小麦について書いてあります。米については米の供出の数量が完了し、又統制撤廃の機運の熟するまでは配給を続行しと書いてあります。而うしてこの内容につきましては政府はつきり申しておるように、十月一ぱいは、本米穀年度内は配給を続けるということを言つております。大麦、小麦は米とは違つた立場において関係方面とも話を付けておるのであります。従つて主食というものに含めずに、大麦、小麦と別の形で説明いたしておるのでありまして、その点につきましては従来の方針のように大体一月以降に外す、この目標を以て今準備を進めておると、こういうことであります。
  90. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうしますと、大麦小麦は来年の一月一日から自由販売にしようと……、裸麦はどういう解釈を持つておるのですか。
  91. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) これは大体麦についてはということで考えております。
  92. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 麦と申しましても、安本長官は百も御承知通り裸麦が大半を占めておるのであります。その裸麦という字句を除いて大麦と小麦だけを外す、裸麦は裸麦ですつぽかすような、何だかその辺がはつきりいたしませんが、大麦、裸麦、小麦、厳密に申せば燕麦等、とにかく一切麦を含んで、それは法律によるか政令によるかは、そのときの情勢によると、こういう解釈でありますか。
  93. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 先ほども申しましたように、期日は一月以降にと言つておる、一月一日とは申しておりませんから、はつきりしておきます。そこでこれはあなたもおわかりだと思う。あれは例示してあるのだと私は思う。あそこから外れておるから燕麦はやめるかということは多少上げ足取りになろうかと思います。私は大麦小麦ということはこれは例示してある、麦については一月以降に成るべくやるやうにしておると言つております。
  94. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう一点、一月一日以降にやる方針を持つておるということは今初めて言明されて承わつたのでありますが、一体米の供出問題で、知事会議その他で非常にいろいろ割当の決定上においてごたごたした事態が起つておるようであります。この麦の統制を解除するという方針を、特に一月一日以降というようなことを言われるということは、即ち米の来年の十一月一日より少くとも早くという意味を暗示しておると思うのであります。要するに麦類と私は称えますが、麦類だろうと思います。麦類の統制撤廃を一月一日以降において日はわからんがやるということによつて、米の割当及び供出、及び主食全般の需給計画の上に相当の問題が発生すると思います。これらに対する、大体いつ頃やつて、麦の自由販売をやるということによつて需給計画、或いは輸入食糧、こうした問題等に対してはどういう考えを持つておられるのか、これもついでに承わつておきます。
  95. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) これも声明にも書いてありますように、麦類については配給総量を勘案して慎重に考えると書いてある、大体麦と米と一緒でなく、区別して従来も進んで来ておりますので、先ず米が遅れましても、麦のほうは先にするということは従来から変らない方針であります。従つて関係方面との折衝につきましても、これは区別してそういう方針で一月以降に、麦のほうは少し早くやりたいと思つておりますが、それに関しましては別途の配給総量、需給計画等睨み合せて需給は決定いたしたいと思つております。
  96. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 最後に一点だけ……。政府の御方針はわかりましたが、私はこの際政府にこの席上で申入れておきたいことがあります。それは今私が申上げまする通り米と麦というものは一体不可分の主食の元祖をなして、食糧管理法の精神はこの一体化したものが食糧管理の精神となつております。雑穀や「いも」のウエートと内容は著しく実体を異にしておる、従つて食糧管理法のこの一体不可分の麦を政令等の措置によつてやろうということは、管理法自体の精神から見ましても違法であるという解釈が成り立つというのが一点と、それから先般当院の院議で国会を無視するようなそういう態度はいけないということの決議は、当然院議は尊重さるべきだ、かように思うのでありますから、この点についてよく政府は御考慮を願いたい。それから若し政府がやられるというならば、今私が申上げます通り麦類の統制撤廃後における需給その他流通諸般の状態を事前に明らかにして、政府方針とするところを示してもらわなければならん、その方針のよい悪いは別問題であります。我々は甚だ芳ばしくない措置であると思うし、手段もよろしくないと思いますが、そういつたものをよく明示して政府方針として示して頂きたい、ただやるというだけで闇打的なことは大変な事態を惹起する虞れがありますから、特にこの点は政府に申入れておきたいと思います。
  97. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の漁業債券の続きでありますが、六十五億の金を出して頂いたと、償還して頂いたと、こういたしましても或いは今回の漁業の被害は甚大であるからそれでは間に合わないかも知れないのでありますが、幸いにして漁業債券があるのでありますから、この漁業債権を担保にして低利な資金を融通される計画があるかどうか、この点お尋ねしたいと思うのであります。
  98. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 実情によりましてそういう方法を講じてもいいと思いまするが、それよりも実際問題といたしましては、私は今度被害を受けられたかたは余り漁業債券をお持ちにならん漁業者ではないかと思います。従つて先ほど申上げましたように今回のルース台風は今までにない漁業のほうにひどくかかつておりますので特別の方法をとるのが策だと、こういう考えで今考慮中であるのであります実は漁船保険というような制度ができておりまするが、実際漁業家は漁船保険に入つていない人が相当大部分でございます。こういう点から考えまして特別の措置を今回はとらなければならんのではないかという考えの下に策を練つておるところでございます。
  99. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は、お尋ねしたいと思つた漁船の保険のことを大蔵大臣からお話があつたのでありますが、更にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、今回被害を受けたところの漁船のうちには漁船の保険にかかつていないところのものが相当多数あると信ずるのであります。然らば、そういうふうな保険制度があるにもかかわらず保険に加入していないということはその料率が高いからであります。零細の漁民としては漁船保険にかかりたいけれども加入することができない、それは高率のためである。こういうふうなことであつたらば、今回の漁船の災害を契機といたしまして社会保障制度的の災害保障度を立てて行く、そのためには或る程度の国庫の支出をせなくちやできない。そうせなくては漁船の保護ができない、こう考えるのでありますが、こういうふうな特殊の保険制度を立てられるような計画があるかどうか、この点お尋ねしたいと思うのであります。
  100. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは御承知通り従来漁船保険関係におきましては保険料率が安かつたので非常に赤字を出しておつたのであります。従つてそれではこの保険が続かないからというので料率を引上げました。で、保険会計のほうは黒字になつたのでありますが、片一方で加入者が少くなつた、こういうことになつたのであります。従いまして私はもつと漁船の所有者がたくさん入つて、そうして保険料率を下げ、本当に漁船保険というものを実際的のものにして行きたい、こういう考えはございます。併し高くて入らんからすぐ国のほうで補助金を出せ、こういうことになりますると、問題は漁業ばかりでございません。農業災害保険やいろいろなことがありますので、すぐに漁船保険のほうに政府が補助金を出せ、こういう御質問に対しましてはもう少し実際を検討し、とにかく政府の補助がなくてもやつて行けるような制度にしてもらいたい、それがどうしてもやつて行けないときには又別途に考える、こういう段取りと考えております。
  101. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は農林大臣に関係があるのでありますが、予算関係がありますから大蔵大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、八月の二十四日の閣議決定によりまするというと、木材の需給対策について次のように決定しておられるのであります、それは木材、木炭及び薪炭の需要は合計して立木換算二億三千万余石に達するが、外国からの輸入に期待し得るものは僅かに一%に過ぎず、専ら国内資源でこれを賄わなければならない、その年生産量の二・八倍に達する過伐を行わなければならないこととなるから、これが対策といたしまして薪炭を燐料とする自動車を石油類使用車へ転換、広葉樹薪炭林を用材として利用転換、耐水性合板の生産と普及、建築様式の改善、製材加工技術の向上、農山村生活改善による燐料の消費節約、本質パルプに対し広葉樹材の混入、竹林の利用強化等の指導奨励及び行政措置を講ずる、こういうふうに決定しておられるようであるのであります。このような対策を講ずることが我が国の木材需給対策として最も時宜に適しておるのでありますから、これに対していろいろと指導奨励をやり、行政措置をやらなくちやならないのでありますが、目前の問題といたしましては、現在農林省の林業試験場の本場及び四分場に分散されてあるところの林業研究部門を集結して、林業技術の飛躍的発達を期し、以て我が国森林事情の危機を打開することが緊要であるのでありますから、こういうふうなことで政府では現在の研究所を大船に移転する予定で、二十六年度予算には農林省予算及び建設省予算として計上されおるのでありますが、いろいろな事情でこれが中途でその実行に移すことができないような状態になつておるのであります。併しながら閣議決定もありますように非常に重要な仕事であるのでありますから、この際政府はこの予算を以てどこに、いつから移転をしようという御計画であるか、その計画の大要を承わりたいと思うのであります。
  102. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題は前から聞いておりますし、実は今日昼もこの問題で話合つたのでありまするが、私の考えでは、今平和條約を迎えまして、相当進駐軍その他の接収しておるのが解除になることを期待しておりますので、その際に最も適当な措置をお選び下さつたほうがいいのではないか、こういう考えを持つて、農林大臣と話を進めております。
  103. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 藤野さんに申上げますが、大蔵大臣は大蔵委員会のほうから三十分ぐらい前から出てくれるようにという要求がありますから、ここに安本長官がおられますから、まあ何でしたら安本長官のほうの質問をお続け願いたいと思います。
  104. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 さつきの閣議快走にもありましたように、本質パルプがいろいろの人絹その他の繊維に使用せられておるのであります。その量が非常に多くなつた結果、木材の資源に支障を来たすというのが或が国の現状であるといたしましたならば、私などはできるだけ最近進んでおるところの合成繊維によつてこれを補うたほうがよくはないか、こう考えるのであります。そこでお尋ねしたいのが、現在本質パルプを人絹その他に使用しておるところの量がどのぐらいあつて、これを合成繊維に振替えるような計画があるかないか。若しないとしたならば、この本質パルプをより多く生産しなくちやできない、こういうふうになつて来るというと、ますます森林資源が枯渇して来るようになるのでありますが、この辺の関係をお尋ねしたいと思うのであります。
  105. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 只今手許に人絹等に使われるパルプの用材の数量を持ち合わせておりませんから、あとで調査の上報告しますが、私どもは今の森林資源の生長量に比して過大な伐採量があつて、このまま行けば十数年のうちに山は坊主になるということを防ぐ意味は、単にパルプだけの問題ではないのでありまして、パルプ、そのパルプには、紙原料及び人絹、スフ等の繊維資源としてのパルプ、それから燃料というものを含めて全部を考えておるわけであります。パーセンテージにいたしますと、繊維に使われるパルプの量は、むしろ全体の数量の中から見れば少いのです。私ども大きく考えて、やつぱり建築用材或いは然料というものに使われる木材を、どういうふうに新らしく転換して行くかということを大きく考えないといけないのじやなかろうか。先ほどお示しのように木炭の代りに戦争中にやつておりました亜炭、コーライトのごときは、今日相当に研究が進んで、少し手遅れでありましたけれども、亜炭、コーライトというものの性質から見て、立派に木炭の代用になるのみならば、もつと有効な素質を持つておるもののようであります。それはすでに工業化されております。こういうふうな面なり、或いは煉炭、或いは豆炭というようなものも、これは考えて行きつつ、而も山林経営の上からいえば、パルプのほうに使わせるということは一つの行き方だと思います。建築等につきましては、金がまだありませんので、徹底して行われないことは遺憾といたしますが、政府の任宅金融公庫を通じて出す金の使い方においては、できるだけ集団的な建築、家屋については、耐火的な建築を進めて行くように今建設省でやつております。これは予算上の措置として現実の問題です。将来やはり大都市の建築等につきましては、セメント・ブロツク或いは圧縮ブロツクですか、セメントの用途につきましても、まるまる今の鉄筋を造るところのその中へすつかり埋め盡してしまわないので、中を空洞にしたセメント・ブロツクを造つておる。これが最近の建築学上の実際であります。研究のもたらした結果であります。こういうことをすることによつてセメントを使う場合における経費を節約し、而も強い而も健康的な建築ができるそうであります。そういう方面へ持つて行きつつ、建築用材を節約するという方向へ持つて行く。それからパルプにいたしましても、最近のごとく竹材のごときを使つてこれを工業化して行きましたので、そういう方面に向けてパルプの節約をするというような、あらゆる総合的な立場に立つて木材問題を解決しなければ、パルプの問題は、人絹スフに対するパルプの問題だけで解決は付かないように思つております。余談でございましたがちよつと報告いたします。
  106. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私も人絹用のパルプだけで木材の解決はできないということは承知しておりますが、最近のいろいろの科学の進歩によつて、合成繊維が非常に成績がいい、有利だというようなことを聞いておるのでありますから、若しそういうふうなことでありといたしましたならば、少くとも人絹その他に使用しておるところの本質パルプをなくなしてしまつて、それだけでも本質の繊維を他の方面に向けたほうが有利じやないか、こういうふうな点からお尋ねしたのでありますから、将来において合成繊維によるのが有利であるか、本質パルプによるのが有利であるか、どちらが有利であるか、政府はどちらを奨励しようとしておられるのであるか。こういうふうな点をお尋ねしたいと思うのであります。
  107. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 合成繊維の問題につきましては、ビニロン等、いろいろな形において研究されておりますが、私ども政府としては、将来これを奨励すべきものだと考えておりまするし、それができ上ることによつて、本質パルプによる繊維の資源を節約するということは、最も望ましいことだと思います。ただこの点につきましては、ビニロン等の合成繊維を奨励するためには、電気が非常に要るわけであります。電気の送量の増加ということが並行しなければ、非常に大きなことでございますけれども、急速な増加は望めないのじやないか、こういうことを併せ考えつつ、ビニロン等の合成繊維を奨励いたして行きたいと考えております。
  108. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は、総合開発についてお尋ねしたいと思うのでありますが、特定地域の総合開発計画については、いろいろと基本方針があつて、電力、食糧、災害の防止というようなことに主力を置いてやられるということであるのでありますが、尤ものことであろうと信ずるのであります。併しただそれだけではできないじやないか。それは今回特定地域に挙げられておるところの対島のようなものは、我が国の国境にあつて、いろいろの方面から重大な使命を有するのであるから、又一方から言えば、対島は日本における大漁業の場所であるのでありますから、漁場であるのでありますから、食料ということを単に米麦のようなことに限らずして、水産物を余計に取る、こういうことも食料政策であるのでありますから、そういうふうな点から考えてみまするというと、食料ということについて、今回の特定地域の総合開発というものは、単に陸で取れるところの米麦というようなものを食料として考えておられるのであるかどうか。水産というようなものも総合開発の中に入れておられるのであるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  109. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 総合開発計画というものは、単に米麦の増産のための総合開発ではございません。広く産業全般に亘つての資源の開発、従つてそれに関連いたしまして、交通関係だとかいうふうなものも出て参ります。工場設置の問題もあります。ただ単に食料……殊に御指摘のような、米麦だけを増産する食料のみの総合開発ということではないのでございます。これは広い立場に立つて総合開発計画が進められておるのであります。もとより地域的に見れば、そういうことがあるかも知れませんが、全体的な総合開発計画なるものを作る上においては、単に食料の増産だけを目途としておらんということを申上げたいと思います。
  110. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 更にいろいろお尋ねしたいと思いますが、農林大臣が見えておりませんから、あとで質問することにして、私の質問を保留いたします。
  111. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 本日は質問者の要求される大臣が来ておりませんので、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会