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公述人(塩谷信雄君) 只今御紹介を頂きました
日本労働組合総評議会の塩谷信雄であります。本日は働くものを代表いたしまして、本
補正予算算案に関する
公述をいたしたいと存じます。なお主として官公労を代表する
公述人が別途おりまするので、これらの諸君に
関係いたしまする
部分は成るべく省略いたしまして申上げたいと存じます。
本
補正予算案は、いわゆる来
年度予算案とその性格或いは内容
規模を大体一体として本来考えられるべき性格のものであります。事実上一応切離した
関係にございまするが、そういうものであるという
立場に立つ限り、これはまさしくいわゆる講和
予算と称せらるべき性格を持つものである。そういう考え方に立
つて我々が問題を見るときに、甚だ我々にと
つては特に重要な内容を含んでおる、かように考えるのであります。池田大蔵大臣はその説明において、いわゆる経済運営の基本策といたしまして、安定と能率及び発展という三つの基本的なる方針を示されております。このことは我々としてもあえて異議を差狹むものではございませんが、このような基本的な方針が今日まで吉田内閣によ
つてどのような方向で推進され、具体化されたかという問題も、今後においてこれが具体化されんとしておるかというところに問題があろうかと思うのであります。
昭和二十三年十月、第二次吉田内閣が登場いたしましてから、今日までの
政策を見まして、私どもは現内閣の経済
政策に対しては多大の不満を持たざるを得ないのであります。この
予算の編成は十月という時期に行われたように書かれてございますが、今日は御承知の通り雨が降らないために、石炭が出ないために、非常な産業界においても変化を起しており、いわゆる危機的な様相が出つつあると言われるのであります。最近安本が
推定いたしました数字によりましても、こうした事情から七—十一年の一〇〇という数字に対して、本
年度は一四三という想定から一二四くらいまで低下して行くのではないかということが一応想定をされておる。更に来
年度に又従
つて一四五前後にとどまる可能性が非常に強いということを指摘しておるのであります。今日はこうした
生産の減退、或いは
鉄道やガス、電気、米、郵便料金の引上、こういう非常に諸物価がどんどんと高騰しており、更に又国際的な物価も非常な上昇の傾向にあるときに、講和に伴
つて支出せられます
財政支出も非常な厖大な数字に上ろうといたしておるわけであります。治安
関係費を初めといたしまして、非常な多額の
賠償或いは我が国の債務とい
つたような問題を考えてみまする場合に、国内物価の上昇ということは今日は避け得られない傾向にあるのではないか、このような方向から強く
国民生活は
圧迫される状態にあると考えるのであります。従
つて各目的な
国民所得は物価の上昇にもかかわらず、鉱工業の
生産の減退からいたしまして、当初の予想に反してかなり大幅な縮小が避けられない状況にある、こういうふうに考えられて参るわけであります。一方経済活動のこうした停滯気味な問題に加えまして、いわゆる米麦の統制撤廃の問題が出ておりまするが、この方向から強く米麦の国内需要増大を惹起して参りまして、食糧輸入の増大を必要として参る傾向にあるのであります。従
つて我が国の鉱工業
生産のために欠くことのできない重要な原材料、こういう方面の輸入にかなりの支障を来たす方向が出るるのではないか、この方向からいわゆる
輸出の
規模の狹小とい
つたような方向が招来されて来るのではないかということが非常に強く懸念されるわけであります。こうしたいわばインフレ的な懸念が強い、又同時にこの
意味において
国民生活の低下が非常に心配せられる、こういう点について、この
予算案は特に親切なる指導というというものの実態を赤裸々に
国民に告げた上に立
つて政治を指導して行くという方向が欠けておるのではないかと考えられるのでありまして、いわば講和に伴うこの苛烈な種々の條件を成るべくあとに
繰越して行こう、持越して行こうという性格が出ておるのではないか、私は最近における
政府の諸種の
政策において、そうした傾向がかなりに強く出ておるということを指摘せざるを得ないのであります。我々がこういうふうに見て参りますると、現在の
政府の指導方針はいわゆる自由経済主義を基本として、この苛烈な條件の下において推進をされて参
つておるのでありまするが、このようないわば安定を能率、発展というような方向が、こういう自由放任の形においてよくこれを期待し得るかどうかということは我々の非常に疑念を持たざるを得ないところであります。特に池田氏は
金融の面についてはかなり詳細な構想を示しておるようであります。インフレ対策に特段の意を用いながら、産業の発展に必要なる
資金を確保して経済の健全なる発展と
国民生活水準の維持向上を期することが主眼である、従
つて貯蓄の増強、資本の蓄積、更に重点産業に
資金の供給を確保し、不急不要な方面への
融資は抑制するという表現をとられておるようであります。併しながらすでに過去において、この
融資を中心として構想せられました安定と能率発展の考え方は、我我は非常な苦難にすでに逢着いたしまして、つぶさにその実態を労働者といたしましては承知いたしておるのであります。
金融面においては、一口に
言つて中小工業はのびても仕方がないという方向を通じ、更に貧しき者は麦を食わざるを得ない、今日は麦も食えなひような状況に追い込んで行くのではないかと考えられるのでありますが、今日のような情勢の下で
金融統制、一種の
金融の操作によりましてのみ問題を処理し得るものであるかどうかという点については多くの疑問を持たざるを得ない。物価の面に対して、より親切な総合的な指導が欠けておるのではないか。我々は今日
金融面からして個個の、例えば労働する、生況する労働者にと
つては
金融の面からするこのインフレ対策ということに対して、どれだけ直感的な、もつと密接な感覚を以てこれを感じとることができるか。これは私は非常に問題があろうと思うのでありまして、
個々の而も労働者の
生活にと
つてはこのような方向からのみでは十分な対策は期待することができないのではないか、価格対策についてもう少し親切な指導があ
つて然るべきではないかと考えておるのでありまして、單に
所得税を若干軽減するという措置がとられておるようであります。後ほど申上げたいと思いますが、このような内容は実は我々といたしましては、朝鮮事変の勃発前に期待いたした
程度の数字でありまして、朝鮮事変以来今日は五〇%余すでに物価が上昇しておるという状態の下にあ
つては甚だ不十分な施策であると言わざるを得ないのでありまするが、労働者の差迫
つた苦しい
生活がこのような單なる
金融操作によ
つて切抜けて行くことができるかどうか、非常に我々といたしましては、施策が不親切であると言わざるを得ないのであります。
皆さんは去る十月二十八日の放送「時の動き」で、四国の八幡浜の街頭録音をお聞きになられたであろうと思う。そういうお聞取をなす
つたかたもこの中に或いはおいでのことと思うのでありますが、「明るい街を築くには」という題名の下で、小学校の教官が警察がボスと結託をしておる。そうしてこういう結託の下に行われる不当な取締りについて発言をしたところが、そこに丁度私服の警官がおりまして、この私服の警官から遂にその八幡浜市における警察が、この教官を告訴するという嚇かしを以て事件を惹き起してしま
つたということが伝えられてお
つたのであります。これは警察に対して取締りの公平を要望するという
国民の当然なる批判でありますが、警察は本来その要望或いは注意に対して十分に感謝を以て耳を傾くべきであるにもかかわらず、逆に告訴するという、こういう嚇かしを以て事件を惹き起しておるというところに、今日のすでに警察の行き方が出ておるのではないかということを心配いたすのであります。そのあとの録音に引続いて、滅多なことは言えないという声も我々の耳を打
つておるのでありますが、このような方向が最近強く出つつあるのではないか。これは自治体警察が起した事件であろうと思うのでありますが、我々は本年の春において、いわゆる警察法の廃止の問題に
関連いたしまして、自治体警察が若し自主的に廃止の制度が布かれた場合には、どういう方向を迫るであろうかということについて、恐らく日本の
民主化の実情又
財政負担の実情よりいたしますならば、殆んど大
部分の自治警察が廃止をされるであろうということを強く主張をいたしたのでありましたが、私は今日ここにありまするこの
予算の説明書の中において、すでに一千十四の警察署が廃止をされておるという
計算を見るのであります。これは一千七百四十五の自治体警察がある、私は同じ当時の資料の中から数字を拾
つたのでありますが、そのうちすでに一千十四が廃止の運命に会
つておる。この人員は一万三千百八十名と出されておるようでありますが、今日はこういう方向からいたしまして、すでに国警定員は四万五千前後にな
つておるのではないかというふうに考えられます。最近における警察機構の強化拡大、又国警を中心とする警察権の中央集権化、こういう方向と共に最近、一昨日の朝日かに出てお
つたようでありますが、曾
つて世界に類例のないうと言われた治安維持法にも匹敵するような団体等規正法の内容が案として発表されておるのを見ますると、誠に容易ならざるものがある。こういうものが近く上程されようとしておるのではないか。更に労働者にと
つては殆んどその生命とも言うべきストライキ権が一つの産業にあ
つても、その一つの産業の中の更に一部の労働組合がストライキをや
つた場合でも、例えば石炭或いは
電力の非常に困難な時期には、これをゼネラルストライキと解して禁止をするというような法律が近く制定をされようとしておる。更に労働三法
関係、労働法
関係の改悪が今日目論まれておるという一連の動きを見て参りますと、誠にこうした方向の強化拡大を通じて、再び警察国家的な軍国主義的なフアツヨ主義的な方向が強く推進されつつあるのはないかということに多大の危惧を持たざるを得ない。特に今日はいわゆる集中
生産の方向が強く再び出されて参
つておるようであります。曾
つて戦争に非常に協力をされたかたがたが再び職場に戻り得る体制になり、富の集中が可能になり、これに労働者を駆り立てて、その労働力を思う存分に使いこなし得るという体制を築き上げるための労働三法、その他の改悪が著々として企図されておる。正に資本と物と人との
関係が一体とな
つて拡大集中
生産の方向を通じて、一体行く着く先は何であるかということを非常に危惧せざるを得ない状況に入りつつある。我々はこの点に非常な心配を持つものであります。今日警察の問題が治安
関係の項目の中においても大きくクローズ・アツプをされておるという点において私どもは非常な心配を持つ。十月十一日付の夕刊朝日の報じておるところでは、増原警察予備隊本
部長官は、部隊の装備はこれまでカービン銃と重機関銃だけであ
つたのを、このほど新たに迫撃砲と小型ロケット砲を全国の各部隊に配付をし、すでにこれに対する訓練も始めておるということを発表せられておるようであります。更に極く最近我々が知り得たところによりますと、米国の陸軍省から相当大量の武器が日本に貸與せられると日本に対して申入れがあ
つたのを、日本
政府は、これを保管する場所がないというところから、これを断わ
つておるという事実を聞いておるのであります。勿論これは伝え聞きでありますが、かなりの信憑性があるように判断せられるのでありまして、一体この警察予備隊というものの性格に対して我々はこれを何と解釈すべきかに迷わざるを得ないのであります。曾
つて警察予備隊は軍隊ではないということを非常に強調して参りました。勿論そうした意向も代弁である新聞その他の報道機関においても、これを強く一般に印象付けるために努力は払
つて参りました。併しながら最近の新聞紙の報道するところによりますと、警察予備隊はまさに軍隊だという表現の下に、
国民に対して軍隊であるという印象を濃厚に押付け、
国民を知らず知らずのうちに軍隊化の方向に誘導しつつあるという事実を見落すわけに行かないのであります。我々はこの警察予備隊が果して軍隊であるのか、或いは警察であるのかという考えで明確にならない限り、この下に支出されるこの
予算というものの検討はできないのではないかということを言わざるを得ない。その性格が真に明瞭にな
つて、そのための装備は、そのための支出はどうであるべきかということが本当に審議されなければならんと考えるのでありまして、私どもは最近の情報からいたしまして、警察予備隊費百五十億の支出というものの内容に多大の疑感を感ぜざるを得ないのであります。勿論装備の充実費として百四億五千九百万円ばかりのものを
計上しているようであります。衣料、機具或いは
通信機械というふうにな
つておりまするが、この
通信機械の内容は果してどういうものであるか、我々は十分に承知し得ないのでありますが、これに対しても本来質問のしたいところであります。施設改修は建築であるというふうに書かれておりまするが、これは果していわゆる武器を收容するところの施設であるのであるかどうかという点についても明瞭にすべきであろうと思うのであります。警察予備隊の強化は
明年度において更に大
規模に進展すると言われておりまするが、毎日新聞紙の報道するところによりますと、六百五十億くらいに上るであろうと言われている。先般吉田首相が当
委員会において発言しました朝鮮に警察予備隊を出兵させるかどうかという質問に対して、それはしないという発言が、私どもの聞く範囲においては米国において非常な問題を起しているということを聞くのであります。一体それはどうしてそういう問題を惹き起すのであるか、少くとも吉田首相の指導し、又は言明した限りにおいては、何ら問題を惹き起したりする性格のものでないにかかわらず、何故そうした問題が起るのであるかというところに
国民の甚だしい納得の行かないものを感ぜざるを得ないのであります。国警の費用といたしまして三十六億四千万円の
補正をいたしておりまするが、
合計して本
年度は百五十八億という費用になります。今日国警の定員を仮に四万と抑えて参りますると、おおむねこれは一人当り四十万に当るように
計算せられるのであります。先の警察予備隊費も今日まではおおむね一人二十万円くらいでありましたが、本
年度の総
予算においては、これ又一人当り約四十一万円強くらいになるようであります。このいわゆる警察予備隊、国警更に自治警、こういうものを全部総合いたしますると、実に相当の数字にな
つて来る。私は実に二十万名に近い数字が出て来るのではないかということを心配いたすのでありますが、今日
歳出総額七千九百三十七億に対して、治安
関係費が約千四百七十二億、こういう数字が出て来るようでありまして、これは総
予算の一八%に当るようであります。外国のいわゆる軍事費からみますると、正にこれは立派な軍事費であると見ざるを得ないようであります。今日は見返
資金の中の経済再建費或いは
外国為替特別会計の繰入費、こういうものは当然軍事費として必要ある場合には動員し得るフアンドであるというふうに了解いたして参りますると、今日のいわゆる潜在的な、又顯在的な軍事費というものは莫大な数字に上るのではないか、これに対して一体この本
予算並びに
本年度予算全体を通じての社会保障
関係費、社会
政策関係費は非常に微々たるものである。今度の
補正予算においても、少し概数ではありまするが、おおむね六百二十億前後にしか当らんのではないかというふうに判断せられます。こういうふうに見て参りますと、吉田内閣のいわゆる治安対策というものは一方においては遺憾ながら相当の勤労階級に対する收奪が行われておる。そうして他面では苦しいためにかなり社会的な不安が増大して来る。この社会不安に対しては警察権を強化して抑え付けて行く。こういう方向が端的に出されて来るように考えられるのであります。我々はこういう行き方こそ今日共産党諸君の狙
つておる方向であると考えておるのであります。ここに今日の問題があるのではないか、八千四百万の
国民のうち、六千五百万の諸君が額に汗をして働かなければならない諸君の
生活に対して、真に面倒をみるという、そういう
政策が貫かれておらないところに今日の治安の問題が大きくクローズ・アップされて来るのではないか、単に治安
関係費の増大のみによ
つてこの問題は決して解決できないというところに本質的な問題があろうかと思うのであります。
国家公務員の給與は、先に人事院は八月の二十日に一万一千二百六十三円の、これは税込みベースでありますが、
勧告をいたしまして、八月一日から実施するように言われておりまするが、この
補正予算案におきましては殆んどこれが無視されておる。こういう実態にな
つておろうかと思います。これを完全に実施したしましたとしても大した費用はかからない、これは一つの
計算でありますが、百二、三十億くらいの
増加にしかならんのではないかというふうに判断をせられます。更に今回の
行政整理の問題でありますが、約十二万一千人くらいの諸君を首にしよう、整理によ
つて直接の
節約額は橋本行政管理庁長官の説明によると百数十億円である。これを
減税と給與の引上げに織込んで初めてこれができるのだというふうな説明をされているようでありますが、官庁の諸君の言い分は、恐らく官庁方面の代表者によ
つて詳細の説明をされると思いますが、これこそ又少数精鋭主義で、
節約した金は恐らく再軍備や警察に廻して行くのではないかというふうに心配せられるのでありまして、一体最近においても
昭和二十四年における人員整理、あの後に警察予備隊或いは警察の増強という問題で出ている。その点日本が今まで経験した経験の中からも、そうした不景気、人員の整理、
国民が非常に「いも」の子を洗うような苦しい
生活の中からは、恐らくそうした方向や、或いは師団の増設、或いは軍隊の大陸への進出、こういう方向が強く押し出されて来たように考えられるのでありまして、私は今回のこのような措置も、後に一体治安
関係方面の人員に相当盛込んで行く方向が出て来るのではないか、こういうことを考えざるを得ないのであります。少なくとも本
年度の
一般会計では退職金その他で二十一億余の支出が増大するという
計算にな
つております。この本
年度会計では今の
減税や、或いは給與の引上げということには直ちに役立
つておらない。勿論来
年度の
予算も想定してのお話でありましようけれども、来たるべき来
年度予算こそ、実は厖大な
予算にな
つて行く傾向が強い、そういう方向からこの問題を考えて参りますと、恐らく再軍備若しくは警察
関係の費用に引用されて来るのではないかというふうに判断せられるのであります。
更に食糧統制撤廃の問題は、実に最近由々しい社会問題に発展をしつつあるようであります。ド
ツジ氏がこちらに参られまして、開口一番、統制撤廃の問題についてはかなりの疑念を持
つているということを表明せられているのでありますが、こういう食糧統制撤廃によ
つて一体犠牲を強要せられるのは、言うまでもなくこれは勤労階級であります。労働階級でありまして、最近のラジオの録音が私は皆さんに率直にその人々の声を伝えておろうと思うのであります。遺憾ながら統制撤廃の声がむしろ多いのではないか。今日のごとく言論の統制が非常に強い中にも、そういう声が出ざるを得ないという実態を一体どういうふうに了解していいのか、私はここに非常に問題が底に伏在していると考えるのであります。今どうしても強いて米の統制撤廃をせねば、
国民が明日からでも食糧の問題でもう行詰
つてしまう、食うに困
つてしまうという、こういう事実は実はないわけでございまして、私どもの判断する限りにおいては、いわゆる自由党の公約であるという
立場に立
つてのみの無理押しであるというふうに考えられるのであります。こうした
政策は恐らく非常な勤労階級の忿懣の種になるであろうということが予見せられるわけでありまして、こうした
政策を強力に推進する。この中には農林
関係の
行政整理を織込んであるようであります。農林
関係の官吏諸君の
行政整理がこの中に強く織込められて、こうした首切をするという方向から、この統制撤廃の問題を強行しようという傾向が多分に看取されるのでありまして、これは由々しい問題であろうかと思うのであります。中間
経費の問題がかなり問題にな
つておりましたが、これは本
委員会においてすでに明瞭に解明をされておるところでありまして、私どもは中間
経費によ
つては、この統制問題はなかなか割切れない、むしろ今日の統制こそ安く付くという実態をどういうふうに判断すべきであるかと言いたいのであります。
昨年の十月に社会保障
関係においては第一次の
勧告案が出されまして、本年の十月二十二日に第二次
勧告案が出されておりますが、この社会保障
関係に対しては、
政府は何らの誠意も示されておらない。特に社会保險費の問題が社会保障費の中で問題にな
つて参りまするのは、医療費の国庫負担の問題であります。医療費の問題は、特に我々は今日焦眉の問題として、国庫負担は二割、結核対策費の五割を是非国庫によ
つて負担をして欲しい、こういう当面焦眉の問題については
補正予算にでも一つ是非面倒をみて欲しいということを強く要望をいたしたいのであります。
税金につきましては、先ほど若干申上げましたように、勤労控除の点、この点については今回は何ら触れておりませんが、基礎控除、扶養控除、こういう問題は、私どもが朝鮮事変の勃発前におおむね現在の線を強く要望してお
つたのでありまして、今日は朝鮮事変からおおむね五〇%前後の物価高の中にあ
つて、我々はこれを更に強く上廻る線で要求をせざるを得ない。勤労控除は現行一五%最高三万円を最高五万円二五%くらいに是非是正をして織込んで欲しい。更に今日はいわゆる一般生命保險は所得控除の対象にな
つておるようでありまするが、強制加入であ
つて、且つ営利的な
立場ではない社会保險の掛金が控除の対象にならないという点は非常に予盾をしておると考えておるのでありまして、社会保險の掛金が少くとも控除の対象に入れられるべきであるということを強く要望したいのであります。更に一次恩給或いは退職給與等は、おおむね少くとも五十万円前後までは非課税として欲しいというふうに考えておるわけであります。なお労働組合、
生活協同組合とい
つたようなこうした組織は低所得階級の自助的組織でございまして、福利増進のための施設であるという見地に立
つて、国税、
地方税共にこれは非課税を建前として考えてほしいということを強く要望いたしたいと考えるのであります。
これを総じて見ますると、民生安定の
関係や社会保障
関係の
経費というものは誠に申訳的ですらないように考えられまして、今日は三百万人もの人間が
生活保護を受けざるを得ないというこうした日本の国情に果して適切に措置せられた
財政であるとは考えられない。これはまさに約八百億に上る
財政投資が中心であるように考えられるのでありまして、如何にも不釣合な
予算であるというふうに考えざるを得ないのであります。我々はそうした
意味において、この性格を強く指摘すると同時に、今日の状態から言うならば、この
予算を編成した当時の状況と今の状況は非常に違
つているのではないか、このような現在の状況を前提として
予算は改めて考慮さるべきではないか、組替えを必要とするのではないか。今日のような危機的な要素を前提とした
予算の編成方針ではないように判断をせられるのでありまして、今日の情勢に即応する
予算に組替えを要請いたしたいと考えるのであります。
以上を以て私の
公述を終ります。