○
政府委員(
松田太郎君) それでは
只今から最近における
電力事情並びにこれに対しまして
政府といたしまして、どういうような
対策を講じつつあるかというような問題を
中心にして御
説明を申上げたいと思います。
御
承知のように最近非常な
電力の
危機に直面いたしまして、各
産業界は申すに及ばず、
国民の
かたがた全般に対しまして、非常な御迷惑をかけておりますことは誠に遺憾に存ずるのであります。然らば何故にこういうような
電力危機に直面いたしましたかと申しますというと、大体大きく分けまして、
三つの
原因があると思うのであります。その第一は、最近における
電力の
需用が非常に殖えて参
つておるという点であり、第二の点は、いわゆる最近の稀に見る
異常渇水の問題であり、第三の点が
石炭の
不足と申しますか、更に申上げるならば
石炭の
入手に関する手当に欠けるところがあるという点だと思うのであります。この第一の
電力の
需用の
増加について見ますならば、御
承知のように一方におきましては、
終戦後特に
一般家庭におきましての
電力の
需用が殖えております。それは申すまでもなく、いわゆる光として電気を使う以外に、熱源といたしまして
相当の量が使われております。いわゆる
電熱器に使いますとか、或いは
小型の
機器等について使いますとかいうような点があるのでありますが、これが
電力の総
使用量に占めます率を申しますというと、
昭和十年当時におきましては、一六・七%、或いは
昭和十一年におきましては一五・六%というような
情勢でございましたのが、
昭和二十四年には二〇・一%、
昭和二十五年には二〇・七%というように、いわゆる
電燈用として、或いは
電熱用として
家庭で使います
消費率というものが、戦前に比べまして
相当に殖えて参
つたという点が一方にあると思いますが、勿論
産業界におきましても、
終戦後年を逐うに従いまして、いわゆる
産業の復興が
相当著るしい成果を挙げて参りました。又昨年の八月の
朝鮮動乱以降というものは、目立
つて特需の
関係におきまして、
電力の
需用が殖えました。いわゆる
産業関係におきましても、前年に比べて大体一三%から一五%
程度の
需用増が見えておるのであります。こういうように非常に
電力の
需用が殖えて参
つたのに対しまして、
供給力のほうは勿論
終戦後
相当の復活はいたしております。特に
終戦後におきまして、最も力を入れましたのは
火力発電所等においての老朽化いたしております
設備とか、或いは戦災によりまして傷められた
設備等の修理に
相当力を尽したのでありますが、御
承知のように見返
資金が初めて出ましたのは
昭和二十四年でありまして、二十四年、二十五年、二十六年と毎年約百億円の見返
資金が出たのでありますが、何分にも
昭和二十年から二十三年の間は見返
資金も出ませんで、或る
程度自己資金で
補つてお
つたというような
関係からいたしまして、
電源の
開発というほうも意に満ちた
程度の
開発はできません。
従つて今申しましたような
電力の
需用の非常に殖えたのに対して、
供給は絶えずこれに伴
つていないという
実情が
一つの大きな
原因として、今日根本的の問題として横たわ
つておるのであります。
その
状態に加えまして、御
承知のように八月の末から九月、十月と、最近稀に見る
異常渇水に直面いたしておるのでありますが、御
承知のように
例年で申しますというと、大体四月が
豊水期であり、
従つて四月以降できるだけ
貯水池の水とか、
調整池等の水を溜めておきまして、そうして八月頃には大体それをほぼ使
つてしまう。そうして九月はいわゆる
台風に従来見舞われる月でございますので、換言すれば又
相当の
豊水を期待し得る月なのでございますので、そういう
意味で四月以降溜りました水を八月までには大体使い尽して、そうして九月の
豊水を期待して、それで又翌年の三月までの
渇水期に対して大体水の
関係では対処して行く。こういう
例年の
計画にな
つておるのでありますが、それが先ほど申しましたように、九月、十月、殆んど雨という雨もなく
つて、今月の半ばの
ルース台風によりまして、幾分
九州、
中国方面は潤お
つたというような
状況にな
つておるのであります。
それから第三の問題が
石炭の
不足、
言換えれば
入手に対する問題でございますが、この点につきましては、各
電力会社といたしましても、従来
石炭の買付けについてはいろいろ苦慮はいたしてお
つたのでありまするが、今申しましたような水の
関係が非常に異例な形態で進みましたために、或いは又それに加えまして、この四月以降
相当の
電力の
需用に対しまして、できるだけ
公益事業として、この
需用に
供給を追い付かして行くというような観点から、当初
公益事業委員会といたしましても、
計画を立てました
電力の
供給以上に
石炭を焚きまして、
供給力を殖やしたというような
関係で、大体第一
四半期におきましても、約四十万トン
程度の
石炭を当初の
計画以上に焚いたという事実もございますが、特に
関西電力等において問題を起しました点は、従来
石炭を買います場合に、いわゆる
大手筋或いは
中小炭鉱という区別がございますが、大体
中小炭鉱のほうに
石炭の
必要量のうち約八割というものを依存しておりまして、残りの僅か二割を
大手筋、
言換えれば大
炭鉱のほうに依存してお
つた。こういうような
状況であります。特に又
中小炭鉱につきましては、
相当いわゆるブローカーと申しますか、
商社筋を中に入れて
石炭を
入手してお
つたというような、いろいろ
石炭の買い方につきましても、今日から考えますというと非常にまずい点もあ
つたわけでありまして、そういうような
関係から九月における
石炭の
貯炭が非常に減
つて参りまして、結局九月末
あたりにおきましては、
関西におきましても、一万数千トンしかない。大体一日七千トンから八千トンぐらい焚きたいところを、一万九千トン足らずの炭しかないというような非常に窮迫した
状態におかれまして、
関西の
電力危機に一層
拍車をかけたような
状況なのでありますが、そういうような
石炭の
入手の不円滑というような点が今の
異常渇水と共に
拍車をかけまして、こういうような
電力の
危機を招いたということに、率直に申上げましてなるのであります。
然らばこの
三つの問題について、今日
政府としてはどういう手を打
つておるか、今申しましたうちの
異常渇水の問題或いは
石炭の
不足の問題、これはどちらかと申しますれば、御
承知のようにいわば一時的な現象と申すことができると思うのでありますが、第一の
電力の
需要の激増の問題は、これは
相当恒久性を持
つた問題なのであります。
従つてこれが
対策としましても、結局
恒久対策と
緊急対策とに分れるのでありまして、今申しました
電力の
需要に伴う
供給力を如何にこれにマツチさして行くかという点につきましては、後ほど別にその問題をお話申上げたいと思いますが、取りあえず
緊急対策といたしまして、特に
石炭の
不足の問題をどういう
工合に解決するかということが、当面の最も大きな問題の
一つなのであります。この
石炭の問題につきましては、
政府殊に通産省、
資源庁、更に
経済安定本部におかれましても、非常にこの
事態を重視してもらいまして、我々のほうからいろいろの要求をその筋のほうに提出いたしまして、いろいろ
検討を願いました結果、いわゆる
石炭の
供給の問題については、次に申しますような、いろいろの手を打
つてもらうことに
政府といたしましても確定いたしたのであります。大体当初は私どもといたしまして、下期に四百七万トン
程度の
石炭を是非入れてもらいたいということを主張してお
つたのでありますが、それを更に今日の
状況からいたしまして、できる限り
火力発電力をフルに
運転さすというためには、どうしても下期に四百七十万トン
程度の
石炭を入れてもらわんと困る。年間を通じまして約七百五十万トンの
石炭量になるわけでありますが、今申しましたような四百七十万トンの
石炭を下期に是非入れてもらわんと困る。その四百七十万トンの
石炭を
確保いたしまして、そうして若しも水の量が過去九カ年の
平均出水量とほぼ一致する場合には、
電力の
不足率がそれでもやはり三%前後の
需用に対して
不足をするのでありますが、若しもこれが九割の
出水率、
言換れば過去九カ年に対しまして、一割水の出方が少いというような場合には、
需給関係の
バランスの点から申しまして約九%の
不足を告げる。それから若しも二割
出水率が過去の
平均に比べて低いときには、一六%乃至一七%
程度の
需用に対して
供給が減る。こういうような大体
見通しを付けまして、是非とも四百七十万トンの
石炭を
確保したい。こういう
計画の下に
只今進んでおるのであります。このうち勿論各
炭鉱から直接
電力会社のほうで
入手いたします以外に、特に
中小炭鉱に対しての増産を図る。それがためには戦時中よくやりました
小型坑道というような、最も
手近かな所を或る
程度の
設備を施しまして掘ることによ
つて、短期間に
出炭ができるというような部面もございますので、そういうほうに
資金をつぎ込みまして、大体本
年度内にそのほうからも二十万トンぐらいの
出炭を期待する。それから又
重油等の
使用につきまして、或いは現在の
石炭を焚いております
火力発電所に対して
重油を併用し得るような
設備をいたしますとか、或いは又そこまで参りませんでも、現在なかなか十分な
カロリーの
石炭を得ることが困難な
事情にございますので、それに
重油をまぜまして
カロリーを上げる。つまり
重油によ
つて石炭の燃焼を助けて行く。こういうような
意味で約九万二千
キロリツトル程度の
重油を
一つ外国から入れることにしよう。これは大体
カロリーにいたしまして、
石炭に換算いたしますと約倍の
石炭量になるのでありまして、こういうようなことで十八万数千トンの
石炭をこれを以て
節約するというようなこともいたすことにいたしました。それから又直接
外国炭の輸入につきましては、或いは
インド炭或いは
米国或いはカナダの炭を大体
本年度中に約四十一万トン
程度を入れて行こうというような
数字を
検討いたしまして、それからそれに加えまして、どうしても
不足な分につきましては、例えば
関西なら
関西の例をとりますと、
関西における
通商産業局の
指導によりまして、他の
産業に廻ります
石炭について、その
産業が
電力と非常な緊密な
関係にありますような場合には、結局そのほうに廻す炭を一時
電力のほうに振替えまして、そうして
電力の
供給力とその
産業の
生産の上に
均衡でとれたような
措置を講ずるような
意味におきましても、必要な場合にはそのほうに向ける
石炭を
電力のほうに向けるというような振替の
措置を講ずるというようなことも考えまして、あれやこれやの今申しましたような手を打ちまして、大体四百七十万トンの炭を
年度内に
確保しよう、そうして第三
四半期と第四
四半期とは約その半量ずつを、
言換えれば、二百三十五万トンくらいのところを第三
四半期と第四
四半期とに分けて入れよう。こういうことに
計画を立てまして、今着々その実行に当
つておる次第であります。幸いにして
関西電力の例を申しましても、今日
大手筋のほうとの
契約は、十月分にいたしましても、或いは十一月分につきましても、大体支障のないように
契約はできまして、十月分につきましても、約九〇%の炭が現に入りつつあるのであります。そういうようなことで、先ほど申しましたように、
関西の例をとりますならば、九月末におきまして、一万数千トンありましたものが、最近におきましては六万トンを超えまして、たしか六万一千トン
程度と思いましたが、
貯炭ができるようにな
つております。それから又これを全国的に申しますというと、九月末、
言換えれば上期末におきまして、十九万トン
程度の
貯炭が、二十八日現在におきましては、二十七万一千トン
程度にまあ殖えて参
つております。そういうことで
国内炭の
確保の点は非常に順調な線を
只今踏んでおります。それから又
外国炭につきましても、
差当りインド炭といたしまして、この今年末までに約十万トン
程度の
インド炭を入れる、それから
目下別に十万トン
程度の
米国炭を入れてもらうことで、
為替許可等の申請を進めておるというような
事情にな
つております。そういうようなことにいたしまして、今の
石炭の
入手の問題につきましては、ほぼ
見通しを付けまして、今後この
計画に副
つた入手ができますように、特に
電力会社のほうにおきましても、力を入れますことは勿論でありますが、
資源庁の非常な支援によりまして、先般も
資源庁の次長はわざわざ
九州に参りまして、そういうような個々的な
契約の面にまで入りまして、いろいろ
幹旋をしてもら
つておるような
状況であります。ほぼ
見通しは付きつつあるのであります。そこで問題は先ほど申しましたように、仮に四百七十万トンというものが完全に入るといたしましても、最近の
需要の例を見ますというと、約三%
程度の
不足が来る、それが仮に若しも二割の
出水が率が、平年に比べまして落ちるというような場合には、どうしても一五%乃至一六%
程度の
供給力の
不足を告げる、こういう
実情がありまするので、
委員会といたしましても、その場合の
非常措置といたしまして、いわゆる
電力の
融通に関する
緊急措置を考えておるのであります。これに対しましては、しばしば特に比較的最近における問題として
融通命令を速かに出すべきではないかという声が非常に強いのであります。
委員会といたしましても、この再編成をいたしました趣旨から申しまして、
最後の手段としては
融通命令も考えておるのでありますが、できるだけそういう強制的な
措置を
政府のほうから命じませんでも、各
電力会社においてできるだけ自主的に
協力し
合つて、
融通措置を講じてもらうように強く要請いたしておるのであります。それでその
一つの
方法といたしまして、従来
日発当時にございました、いわゆる
中央給電指令所というものに大体代る機能を営み得る機構といたしまして、
中央配電連絡会議というのが従来からございます。いわゆる新
会社ができましてからございますが、それの組織並びに
運用を更に強化するように
委員会から
指示をいたしまして、と申しますのは、
一つには
相当の
責任者を絶えず、又必要に応じてその
給電連絡会議に参加せしむるようにいたしまして、それから又その
運用につきましても、大体この
自然流量につきましては明瞭に
数字が出るのでありますが、例えば
貯水池の水をこの際どういう
工合に使うかとか、或いは
火力発電所について
石炭をどの
程度使つて他に
融通をするかというような問題につきましては、どうしても自然のままに放置しておきますというと、それぞれの
電力会社におきまして、その
地域内における
需用度の
関係からして、十分の援助をし得ないような
実情もあると考えますので、今申しました
貯水池の水については、どの
程度こういう場合にはそれを使わなければならんか、又それを余りに使い過ぎるというと、結局三月までの本格的な
渇水期を控えまして、長い目で見ての
電力の
供給に
不足を生ずる虞れもございますので、そういう
意味で
貯水池の水を使い過ぎてもいけなければ、又遠慮し過ぎてもいかん、その
程度をどの
程度調整して行くかというような点と、それから同じ
意味で
火力発電等の
運転につきましても、又
石炭の
消費等の問題につきましても、
非常事態に応ずる
措置を行い得るように、
委員会からそういう点につきましても
指示をあらかじめしておきまして、その
貯水池の水の利用、
火力発電の
運転の
状況というものと、先ほど申しました
自然流量というものを
一緒にいたしまして、
融通措置をお互いに考え得るように、自動的にその結論が出るような
措置を
只今給電連絡会議のほうには
指示をしてございます。
従つて今日のごとく幾分一時のような
状態を免れておりますときには、すぐその
発動もないかと思いますが、若しもこれが更に
渇水の度が著しくなるというようなことで、各
地域間の
バランスが非常に破れるというような場合には、いつでも今申しましたような線に
沿つて強力な
融通措置ができるようにいたしております。若しもこの自主的な
方法というものが万が一守られないというような
事態が発生いたしました場合には、
委員会としましても、
融通命令を出すことに何らやぶさかではないのであります。そういう
意味で先ほど申しました
石炭の
確保の問題と併せ、
非常事態における
電力の
融通措置の強化の点につきまして、
只今指導をいたしておるのであります。
それからもう
一つの
方法といたしましては、いわゆる
自家発の動員の問題がございますが、これはいわゆる今日のような
状態におきましては、できるだけ各
産業界のほうで持
つておられるところの
自家発を動員して頂く必要がございますので、そのかかりました
コストはすべてその
コストによ
つて電力会社が買いまして、それをいわゆる
一般にプールいたしまして、
標準電力料金として
電力に
供給をする、いわゆる
委託発電の形式をすべての
自家発動員のために、
只今電力会社としてもできるだけの
措置を講じております。例えば北海道でありますとか、或いは
四国あたりの今日何ら
制限をいたしておりません地帯におきましては、まま例外がございますが、いわゆる本州から
九州にかけましては、現在完全に操業し得るような
事態にな
つております
自家発電については、すべて今申しましたような
措置の下に
自家発を動員してもらうように
措置をいたしておるのであります。こういうような
措置を
相当積極的な問題としていたします以外に、いわゆる
電力の
使用を極力
事態に副うようにして頂かなくちやならんものでありますから、御
承知のように今日法的な
措置として
電力使用制限の
措置を講じておるのでありますが、更にこの
電力使用制限措置につきましても、今後新らしい考え方の下にこれを改めて
告示をする必要も今認めておりまして、その案を
只今検討中なんでありまするが、要するに今後長い間、
言換えれば来年の三月頃まで
相当の努力をいたしましても、今日の
状況から言いまして、或る
程度の
制限は継続せざるを得んのじやないかという
状態の下におきましては、やはりあらかじめこういう水の
状況であるとか、或いはこういう
石炭の
入手状況であるとか、又
融通措置を講ずる上におきましても、こういうような
段階において今後数週間というものは、各
地域ごとに
段階規制をしなければならんというような、つまりその
段階の
程度をあらかじめ
国民の
各位に知
つておいて頂いて、そうして今申しましたような現実の
状況に応じて、
地区ごとに二
段階制限でありますとか、或いは三
段階制限でありますとかという
制限をかければ、それによ
つて自動的にどういう
方面に対してはどの
程度の
制限をして頂く、又どういう
需用に対してはこの
程度の
制限をするとかいうことが、あらかじめ
計画的にわかるようにして置く必要があるのじやないか。そういうことによ
つて、大体各
企業家のほうとせられましても、
生産計画というものに対して一応の
目度を付け得るような方向に向けて行く必要があるのじやないか。こういう考えからいたしまして、
只今五
段階或いは三
段階というような
段階規制の案を、今
委員会といたしましても考えておるのであります。
この際、現在いたしております
電力の
制限措置を多少改めなければならんという点は、いわゆる従来は
従量電燈と申しますか、
家庭関係の
電燈でありますとか、又特に最近問題にな
つております、東京に参りますというと
銀座通りを歩けばあかあかと夜は明りがついておる、
関西のほうに行けば非常に暗いというような
意味で、絶えずその辺の
均衡を図るという
意味での強い御要望が、
関西地区或いは東北、
北陸地区のほうから強い声があるのでありますが、そういう点につきましても、
我我としても非常に御尤もなことであり、又
国民全体としてこの問題について
協力をして頂く以上は、そういう点についても考えなければならない。又そういうことにして、初めて
産業界のほうにおかれましても、
電力の
制限に対して心からの
協力をして頂く必要があるというような
意味で、
只今従量電燈等に対する
制限の
方法等についても、いろいろ具体的に実行し得る
方法を
検討いたしておりまして、先ほど申しました新らしく
告示を出します場合には、その
方法も加えて
制限の
措置を決定したい、かように考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、そのとき、そのときの
情勢に応じた
段階の
規制ができるような
措置をあらかじめきめておきたい、かように考えております。なおこの問題に関連しまして、現在各
地区におきましては、
相当自主的な
節約運動をほうぼうでして頂いておるのであります。特に
県議会等におかれまして、率先してこの
自粛運動に力を注いで頂いておる県も少くないのでありますが、
政府といたしましても、そうい
つた点について極力
消費節約の
運動を展開したいというので、
只今日本電気協会が
中心となりまして、
電力は国の宝という
意味での
運動を展開することになりまして、先日でありましたか、いわゆる
中央委員会を開きまして、各財界或いは
金融界、官庁その他の各
方面の識者に
委員にな
つて頂いて、その
運動をいろいろ起し得る態勢を整えておるのであります。そういうような
方法をとりまして、
電力の
使用制限というものを、いわゆる法律だけでは何ら十分な効果を収め得ない点もございますので、同時に
国民各位の
電力の
重要性の御認識の下に、自発的に相
俟つてこの
電力の
使用の
節約をして頂きたい、
合理化をして頂きたいという
意味で、そういう
運動を
制限措置と併せて行うようにいたしておるのであります。
以上申し上げましたことが、大体
電力の
不足に対して、緊急の
対策として
只今考えております線の概要であります。然らば、この
恒久対策として、いわゆる
電源の
開発を今後どういう
工合に進めて行くかということが、
最後に最も大きな問題として取上げられなければならん問題でありまして、御
承知のごとく、
公益事業委員会におきましても、五カ年
計画というものを立てまして、大体
昭和三十年度を目標といたしまして、水力にいたしまして約六百万
キロワツト、
火力にいたしまして百三十万
キロワツト程度の出力の
増加を図る
計画を立てております。又この問題と
一緒に、
経済安定本部におかれましても、同じような線に
沿つて、
只今いろいろな
計画を立てておられるのでありますが、いずれにいたしましても、
政府といたしまして、一本の
計画をできるだけ速かに決定いたして、その
計画に副いまして、今後の
電源開発計画を確定し、進めて参りたい、かように考えております。取りあえず然らば
本年度におきまして完成いたしました
電力並びに来年の三月までのうちに完成することにな
つておる出力はどの
程度であるかということを御参考までに申上げますというと、大体水力について先ず申上げますというと、今年の十月現在で完成いたしましたものが、最大出力といたしまして、四万五千九百十
キロワツト、それから明年の三月までに
運転開始ができますものが十九万三千五百八十
キロワツト、それで最初申しました十月に現在完成いたしておりますものを加えますというと、二十三万九千四百九十
キロワツト、それから
火力につきましては、やはり今年の十月現在で完成いたしておりますものが十二万五千
キロワツト、それから来年の三月までに
運転開始できますものが五万五千
キロワツト、加えまして、十八万
キロワツト、
言換えれば、
本年度においてすでにでき上
つておりますものと、それから
本年度末までに完成いたしますものを加えますというと、水力におきまして二十三万九千四百九十、
火力におきまして十八万、それを合計いたしますと、四十一万九千四百九十
キロワツト、約四十二万
キロワツトの出力が
本年度に完成する、こういう予定にな
つておるのであります。それを
キロワツト・アワーに直しますと、十九億九千九百五十
キロワツト・アワーになるのでありますが、これを今年度における大体の出力
増加の
数字と見ることができます。
更に
本年度から新らしく着工いたします
計画を御参考のために申上げますというと、水力といたしましては、
本年度に新たに着工いたしますものが、それができ上りました際には、百三万二千八百七十
キロワツト、それから
火力にいたしましては五十九万六千
キロワツト、それを合計いたしまして、百六十二万八千八百七十
キロワツトというものに対しまして、
本年度から着手をいたすことにいたしております。それから又従来から継続いたしておりますもので、なお本年も継続して、そして先ほど申しました
本年度中にでき上るもの、又は二十七年度、二十八年度にでき上るものもあるわけでありますが、そういう現在すでに手を付けておりますもので、
本年度も継続中にありますものが、水力にいたしまして三十四万三千三百九十
キロワツト、
火力にいたしまして十六万、合計五十万三千三百九十、両者を加えますというと、二百十三万二千二百六十
キロワツト、つまりこれだけのものが従来並びに
本年度着手することに決定いたしましたものといたしまして、将来に亘
つて今申しました二百十三万
キロワツト程度のものができる、こういうことにな
つておるのであります。これ以外に勿論明年度或いは明後年度に続きまして、新らしく着工する分を如何にするかということが、先ほど申しました五カ年
計画の問題になるのでありますが、先ほど結論的に申しましたように、水力にいたしまして六百万、
火力につきまして百三十万、で、これを従来ございます発電
電力量と合せますというと、大体
昭和三十年度末におきまして、四百四十三億
キロワツト・アワー
程度の受電端における
電力量を出したいということで、
只今委員会といたしましては、いろいろ
検討いたしておるのでありますが、更に先ほど申しましたように、
政府全体として、この線について十分の再
検討をしてもらいまして、できるだけ速かに
最後的の決定版をきめてもらわなければならん、こういう
状況にな
つております。
で、この際に最も問題になりますのは、結局この
資金の問題でございまして、大体我々の
計画から申しますというと、これを完成いたしますためには、約七千八百億円
程度の
資金を必要とするかと考えております。年によ
つて勿論違いますが、約一年間千億乃至千二、三百億というものが必要にな
つて来るのではないかと考えております。で、これをどういう
工合にして賄うかということで非常にむずかしい問題でございますが、今日のような経済
状態、特に民間における金融能力というような点から考えるというと、どうしてもその半額近くは国の財政
資金によ
つてこれを賄
つてもらう必要があるのではないかというので、この線に沿いまして、
政府全体としてこれを速かに決定してもらうように、
只今委員会としましても強く要望をいたしておるのであります。要するにこの
計画を完遂いたします上に、最も先立ちますものは結局この
資金問題をどういう
工合にして
確保するかという点にあるのでありまして、そのほかこの問題を持
つて参ります場合には、どういう企業形体がいいかということがいろいろ議論のあるところでございますが、時間もありませんので、そういう点には
只今触れることは控えますが、要するに今申しましたように、これだけの
資金を使いまして、いわゆる従来の
計画並びに今後の新らしい
計画を完遂する、それに並行しまして、いわゆる只見川の
電源開発でありますとか、或いは熊野川、天龍川、或いは四国の吉野川というような
電源開発地帯につきましての
計画もこの中に織込めるだけ織込んで、先ほど申しましたような目標に向
つて進んで参りたい、かように考えているのであります。
今申しましたように、要はこの
石炭対策にいたしましても、勿論今後も絶えずその点につきましては注意を怠らず、これが
確保について
措置を講じ、それから又先ほど申しました
自家発の動員でありますとか、或いは
電力の
融通措置でありますとか、或いは
電力の
消費節約に関する
国民の
各位の御認識なり、そういう点についてはいろいろ手を打つことが緊急の最も大事な問題でありますが、更に大きく広くものを見ました場合には、先ほど申しましたように、この現在の非常に殖えて参りまする
電力の
需用に対して如何にこの
電力の
供給力を結び付けるか、
言換えれば、如何にしてこの
電力の
需給関係の
バランスをできるだけ早い機会に保たしめて行くかという点に問題の根本の
対策を考えなければならん点であるわけでありまして、そういう
意味でこの
電力の
開発問題につきましては、今後当
委員会のほうにも絶えず御助力を願わなければならん点が非常に多いと考えておりますので、又必要に応じましては、十分できるだけの
説明はいたしたいと思いますが、大体今日の
電力事情並びに
只今と
つておりまする
緊急措置等を
中心といたしまして、簡単ではございますが、御
説明を申上げ、質問がございましたら、できるだけの御返事をしたい、かように考えております。