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1951-10-31 第12回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月三十一日(水曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            小野 義夫君            古池 信三君            郡  祐一君            溝淵 春次君            深水 六郎君            山本 米治君            上條 愛一君            小林 政夫君            前田  穰君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   政府委員    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣送付)   —————————————
  2. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 只今から予備審査を開きます。  本日は予定の通り電力事情に関する政府からの御説明を願う日であります。先ず公益事業委員会事務総長松田太郎君の御説明を願います。
  3. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) それでは只今から最近における電力事情並びにこれに対しまして政府といたしまして、どういうような対策を講じつつあるかというような問題を中心にして御説明を申上げたいと思います。  御承知のように最近非常な電力危機に直面いたしまして、各産業界は申すに及ばず、国民かたがた全般に対しまして、非常な御迷惑をかけておりますことは誠に遺憾に存ずるのであります。然らば何故にこういうような電力危機に直面いたしましたかと申しますというと、大体大きく分けまして、三つ原因があると思うのであります。その第一は、最近における電力需用が非常に殖えて参つておるという点であり、第二の点は、いわゆる最近の稀に見る異常渇水の問題であり、第三の点が石炭不足と申しますか、更に申上げるならば石炭入手に関する手当に欠けるところがあるという点だと思うのであります。この第一の電力需用増加について見ますならば、御承知のように一方におきましては、終戦後特に一般家庭におきましての電力需用が殖えております。それは申すまでもなく、いわゆる光として電気を使う以外に、熱源といたしまして相当の量が使われております。いわゆる電熱器に使いますとか、或いは小型機器等について使いますとかいうような点があるのでありますが、これが電力の総使用量に占めます率を申しますというと、昭和十年当時におきましては、一六・七%、或いは昭和十一年におきましては一五・六%というような情勢でございましたのが、昭和二十四年には二〇・一%、昭和二十五年には二〇・七%というように、いわゆる電燈用として、或いは電熱用として家庭で使います消費率というものが、戦前に比べまして相当に殖えて参つたという点が一方にあると思いますが、勿論産業界におきましても、終戦後年を逐うに従いまして、いわゆる産業の復興が相当著るしい成果を挙げて参りました。又昨年の八月の朝鮮動乱以降というものは、目立つて特需の関係におきまして、電力需用が殖えました。いわゆる産業関係におきましても、前年に比べて大体一三%から一五%程度需用増が見えておるのであります。こういうように非常に電力需用が殖えて参つたのに対しまして、供給力のほうは勿論終戦相当の復活はいたしております。特に終戦後におきまして、最も力を入れましたのは火力発電所等においての老朽化いたしております設備とか、或いは戦災によりまして傷められた設備等の修理に相当力を尽したのでありますが、御承知のように見返資金が初めて出ましたのは昭和二十四年でありまして、二十四年、二十五年、二十六年と毎年約百億円の見返資金が出たのでありますが、何分にも昭和二十年から二十三年の間は見返資金も出ませんで、或る程度自己資金補つてつたというような関係からいたしまして、電源開発というほうも意に満ちた程度開発はできません。従つて今申しましたような電力需用の非常に殖えたのに対して、供給は絶えずこれに伴つていないという実情一つの大きな原因として、今日根本的の問題として横たわつておるのであります。  その状態に加えまして、御承知のように八月の末から九月、十月と、最近稀に見る異常渇水に直面いたしておるのでありますが、御承知のように例年で申しますというと、大体四月が豊水期であり、従つて四月以降できるだけ貯水池の水とか、調整池等の水を溜めておきまして、そうして八月頃には大体それをほぼ使つてしまう。そうして九月はいわゆる台風に従来見舞われる月でございますので、換言すれば又相当豊水を期待し得る月なのでございますので、そういう意味で四月以降溜りました水を八月までには大体使い尽して、そうして九月の豊水を期待して、それで又翌年の三月までの渇水期に対して大体水の関係では対処して行く。こういう例年計画になつておるのでありますが、それが先ほど申しましたように、九月、十月、殆んど雨という雨もなくつて、今月の半ばのルース台風によりまして、幾分九州中国方面は潤おつたというような状況になつておるのであります。  それから第三の問題が石炭不足言換えれば入手に対する問題でございますが、この点につきましては、各電力会社といたしましても、従来石炭の買付けについてはいろいろ苦慮はいたしておつたのでありまするが、今申しましたような水の関係が非常に異例な形態で進みましたために、或いは又それに加えまして、この四月以降相当電力需用に対しまして、できるだけ公益事業として、この需用供給を追い付かして行くというような観点から、当初公益事業委員会といたしましても、計画を立てました電力供給以上に石炭を焚きまして、供給力を殖やしたというような関係で、大体第一四半期におきましても、約四十万トン程度石炭を当初の計画以上に焚いたという事実もございますが、特に関西電力等において問題を起しました点は、従来石炭を買います場合に、いわゆる大手筋或いは中小炭鉱という区別がございますが、大体中小炭鉱のほうに石炭必要量のうち約八割というものを依存しておりまして、残りの僅か二割を大手筋言換えれば大炭鉱のほうに依存しておつた。こういうような状況であります。特に又中小炭鉱につきましては、相当いわゆるブローカーと申しますか、商社筋を中に入れて石炭入手しておつたというような、いろいろ石炭の買い方につきましても、今日から考えますというと非常にまずい点もあつたわけでありまして、そういうような関係から九月における石炭貯炭が非常に減つて参りまして、結局九月末あたりにおきましては、関西におきましても、一万数千トンしかない。大体一日七千トンから八千トンぐらい焚きたいところを、一万九千トン足らずの炭しかないというような非常に窮迫した状態におかれまして、関西電力危機に一層拍車をかけたような状況なのでありますが、そういうような石炭入手の不円滑というような点が今の異常渇水と共に拍車をかけまして、こういうような電力危機を招いたということに、率直に申上げましてなるのであります。  然らばこの三つの問題について、今日政府としてはどういう手を打つておるか、今申しましたうちの異常渇水の問題或いは石炭不足の問題、これはどちらかと申しますれば、御承知のようにいわば一時的な現象と申すことができると思うのでありますが、第一の電力需要の激増の問題は、これは相当恒久性を持つた問題なのであります。従つてこれが対策としましても、結局恒久対策緊急対策とに分れるのでありまして、今申しました電力需要に伴う供給力を如何にこれにマツチさして行くかという点につきましては、後ほど別にその問題をお話申上げたいと思いますが、取りあえず緊急対策といたしまして、特に石炭不足の問題をどういう工合に解決するかということが、当面の最も大きな問題の一つなのであります。この石炭の問題につきましては、政府殊に通産省、資源庁、更に経済安定本部におかれましても、非常にこの事態を重視してもらいまして、我々のほうからいろいろの要求をその筋のほうに提出いたしまして、いろいろ検討を願いました結果、いわゆる石炭供給の問題については、次に申しますような、いろいろの手を打つてもらうことに政府といたしましても確定いたしたのであります。大体当初は私どもといたしまして、下期に四百七万トン程度石炭を是非入れてもらいたいということを主張しておつたのでありますが、それを更に今日の状況からいたしまして、できる限り火力発電力をフルに運転さすというためには、どうしても下期に四百七十万トン程度石炭を入れてもらわんと困る。年間を通じまして約七百五十万トンの石炭量になるわけでありますが、今申しましたような四百七十万トンの石炭を下期に是非入れてもらわんと困る。その四百七十万トンの石炭確保いたしまして、そうして若しも水の量が過去九カ年の平均出水量とほぼ一致する場合には、電力不足率がそれでもやはり三%前後の需用に対して不足をするのでありますが、若しもこれが九割の出水率言換れば過去九カ年に対しまして、一割水の出方が少いというような場合には、需給関係バランスの点から申しまして約九%の不足を告げる。それから若しも二割出水率が過去の平均に比べて低いときには、一六%乃至一七%程度需用に対して供給が減る。こういうような大体見通しを付けまして、是非とも四百七十万トンの石炭確保したい。こういう計画の下に只今進んでおるのであります。このうち勿論各炭鉱から直接電力会社のほうで入手いたします以外に、特に中小炭鉱に対しての増産を図る。それがためには戦時中よくやりました小型坑道というような、最も手近かな所を或る程度設備を施しまして掘ることによつて、短期間に出炭ができるというような部面もございますので、そういうほうに資金をつぎ込みまして、大体本年度内にそのほうからも二十万トンぐらいの出炭を期待する。それから又重油等使用につきまして、或いは現在の石炭を焚いております火力発電所に対して重油を併用し得るような設備をいたしますとか、或いは又そこまで参りませんでも、現在なかなか十分なカロリー石炭を得ることが困難な事情にございますので、それに重油をまぜましてカロリーを上げる。つまり重油によつて石炭の燃焼を助けて行く。こういうような意味で約九万二千キロリツトル程度重油一つ外国から入れることにしよう。これは大体カロリーにいたしまして、石炭に換算いたしますと約倍の石炭量になるのでありまして、こういうようなことで十八万数千トンの石炭をこれを以て節約するというようなこともいたすことにいたしました。それから又直接外国炭の輸入につきましては、或いはインド炭或いは米国或いはカナダの炭を大体本年度中に約四十一万トン程度を入れて行こうというような数字検討いたしまして、それからそれに加えまして、どうしても不足な分につきましては、例えば関西なら関西の例をとりますと、関西における通商産業局指導によりまして、他の産業に廻ります石炭について、その産業電力と非常な緊密な関係にありますような場合には、結局そのほうに廻す炭を一時電力のほうに振替えまして、そうして電力供給力とその産業生産の上に均衡でとれたような措置を講ずるような意味におきましても、必要な場合にはそのほうに向ける石炭電力のほうに向けるというような振替の措置を講ずるというようなことも考えまして、あれやこれやの今申しましたような手を打ちまして、大体四百七十万トンの炭を年度内確保しよう、そうして第三四半期と第四四半期とは約その半量ずつを、言換えれば、二百三十五万トンくらいのところを第三四半期と第四四半期とに分けて入れよう。こういうことに計画を立てまして、今着々その実行に当つておる次第であります。幸いにして関西電力の例を申しましても、今日大手筋のほうとの契約は、十月分にいたしましても、或いは十一月分につきましても、大体支障のないように契約はできまして、十月分につきましても、約九〇%の炭が現に入りつつあるのであります。そういうようなことで、先ほど申しましたように、関西の例をとりますならば、九月末におきまして、一万数千トンありましたものが、最近におきましては六万トンを超えまして、たしか六万一千トン程度と思いましたが、貯炭ができるようになつております。それから又これを全国的に申しますというと、九月末、言換えれば上期末におきまして、十九万トン程度貯炭が、二十八日現在におきましては、二十七万一千トン程度にまあ殖えて参つております。そういうことで国内炭確保の点は非常に順調な線を只今踏んでおります。それから又外国炭につきましても、差当りインド炭といたしまして、この今年末までに約十万トン程度インド炭を入れる、それから目下別に十万トン程度米国炭を入れてもらうことで、為替許可等の申請を進めておるというような事情になつております。そういうようなことにいたしまして、今の石炭入手の問題につきましては、ほぼ見通しを付けまして、今後この計画に副つた入手ができますように、特に電力会社のほうにおきましても、力を入れますことは勿論でありますが、資源庁の非常な支援によりまして、先般も資源庁の次長はわざわざ九州に参りまして、そういうような個々的な契約の面にまで入りまして、いろいろ幹旋をしてもらつておるような状況であります。ほぼ見通しは付きつつあるのであります。そこで問題は先ほど申しましたように、仮に四百七十万トンというものが完全に入るといたしましても、最近の需要の例を見ますというと、約三%程度不足が来る、それが仮に若しも二割の出水が率が、平年に比べまして落ちるというような場合には、どうしても一五%乃至一六%程度供給力不足を告げる、こういう実情がありまするので、委員会といたしましても、その場合の非常措置といたしまして、いわゆる電力融通に関する緊急措置を考えておるのであります。これに対しましては、しばしば特に比較的最近における問題として融通命令を速かに出すべきではないかという声が非常に強いのであります。委員会といたしましても、この再編成をいたしました趣旨から申しまして、最後の手段としては融通命令も考えておるのでありますが、できるだけそういう強制的な措置政府のほうから命じませんでも、各電力会社においてできるだけ自主的に協力合つて融通措置を講じてもらうように強く要請いたしておるのであります。それでその一つ方法といたしまして、従来日発当時にございました、いわゆる中央給電指令所というものに大体代る機能を営み得る機構といたしまして、中央配電連絡会議というのが従来からございます。いわゆる新会社ができましてからございますが、それの組織並びに運用を更に強化するように委員会から指示をいたしまして、と申しますのは、一つには相当責任者を絶えず、又必要に応じてその給電連絡会議に参加せしむるようにいたしまして、それから又その運用につきましても、大体この自然流量につきましては明瞭に数字が出るのでありますが、例えば貯水池の水をこの際どういう工合に使うかとか、或いは火力発電所について石炭をどの程度使つて他融通をするかというような問題につきましては、どうしても自然のままに放置しておきますというと、それぞれの電力会社におきまして、その地域内における需用度関係からして、十分の援助をし得ないような実情もあると考えますので、今申しました貯水池の水については、どの程度こういう場合にはそれを使わなければならんか、又それを余りに使い過ぎるというと、結局三月までの本格的な渇水期を控えまして、長い目で見ての電力供給不足を生ずる虞れもございますので、そういう意味貯水池の水を使い過ぎてもいけなければ、又遠慮し過ぎてもいかん、その程度をどの程度調整して行くかというような点と、それから同じ意味火力発電等運転につきましても、又石炭消費等の問題につきましても、非常事態に応ずる措置を行い得るように、委員会からそういう点につきましても指示をあらかじめしておきまして、その貯水池の水の利用、火力発電運転状況というものと、先ほど申しました自然流量というものを一緒にいたしまして、融通措置をお互いに考え得るように、自動的にその結論が出るような措置只今給電連絡会議のほうには指示をしてございます。従つて今日のごとく幾分一時のような状態を免れておりますときには、すぐその発動もないかと思いますが、若しもこれが更に渇水の度が著しくなるというようなことで、各地域間のバランスが非常に破れるというような場合には、いつでも今申しましたような線に沿つて強力な融通措置ができるようにいたしております。若しもこの自主的な方法というものが万が一守られないというような事態が発生いたしました場合には、委員会としましても、融通命令を出すことに何らやぶさかではないのであります。そういう意味で先ほど申しました石炭確保の問題と併せ、非常事態における電力融通措置の強化の点につきまして、只今指導をいたしておるのであります。  それからもう一つ方法といたしましては、いわゆる自家発の動員の問題がございますが、これはいわゆる今日のような状態におきましては、できるだけ各産業界のほうで持つておられるところの自家発を動員して頂く必要がございますので、そのかかりましたコストはすべてそのコストによつて電力会社が買いまして、それをいわゆる一般にプールいたしまして、標準電力料金として電力供給をする、いわゆる委託発電の形式をすべての自家発動員のために、只今電力会社としてもできるだけの措置を講じております。例えば北海道でありますとか、或いは四国あたりの今日何ら制限をいたしておりません地帯におきましては、まま例外がございますが、いわゆる本州から九州にかけましては、現在完全に操業し得るような事態になつております自家発電については、すべて今申しましたような措置の下に自家発を動員してもらうように措置をいたしておるのであります。こういうような措置相当積極的な問題としていたします以外に、いわゆる電力使用を極力事態に副うようにして頂かなくちやならんものでありますから、御承知のように今日法的な措置として電力使用制限措置を講じておるのでありますが、更にこの電力使用制限措置につきましても、今後新らしい考え方の下にこれを改めて告示をする必要も今認めておりまして、その案を只今検討中なんでありまするが、要するに今後長い間、言換えれば来年の三月頃まで相当の努力をいたしましても、今日の状況から言いまして、或る程度制限は継続せざるを得んのじやないかという状態の下におきましては、やはりあらかじめこういう水の状況であるとか、或いはこういう石炭入手状況であるとか、又融通措置を講ずる上におきましても、こういうような段階において今後数週間というものは、各地域ごと段階規制をしなければならんというような、つまりその段階程度をあらかじめ国民各位に知つておいて頂いて、そうして今申しましたような現実の状況に応じて、地区ごとに二段階制限でありますとか、或いは三段階制限でありますとかという制限をかければ、それによつて自動的にどういう方面に対してはどの程度制限をして頂く、又どういう需用に対してはこの程度制限をするとかいうことが、あらかじめ計画的にわかるようにして置く必要があるのじやないか。そういうことによつて、大体各企業家のほうとせられましても、生産計画というものに対して一応の目度を付け得るような方向に向けて行く必要があるのじやないか。こういう考えからいたしまして、只今段階或いは三段階というような段階規制の案を、今委員会といたしましても考えておるのであります。  この際、現在いたしております電力制限措置を多少改めなければならんという点は、いわゆる従来は従量電燈と申しますか、家庭関係電燈でありますとか、又特に最近問題になつております、東京に参りますというと銀座通りを歩けばあかあかと夜は明りがついておる、関西のほうに行けば非常に暗いというような意味で、絶えずその辺の均衡を図るという意味での強い御要望が、関西地区或いは東北、北陸地区のほうから強い声があるのでありますが、そういう点につきましても、我我としても非常に御尤もなことであり、又国民全体としてこの問題について協力をして頂く以上は、そういう点についても考えなければならない。又そういうことにして、初めて産業界のほうにおかれましても、電力制限に対して心からの協力をして頂く必要があるというような意味で、只今従量電燈等に対する制限方法等についても、いろいろ具体的に実行し得る方法検討いたしておりまして、先ほど申しました新らしく告示を出します場合には、その方法も加えて制限措置を決定したい、かように考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、そのとき、そのときの情勢に応じた段階規制ができるような措置をあらかじめきめておきたい、かように考えております。なおこの問題に関連しまして、現在各地区におきましては、相当自主的な節約運動をほうぼうでして頂いておるのであります。特に県議会等におかれまして、率先してこの自粛運動に力を注いで頂いておる県も少くないのでありますが、政府といたしましても、そういつた点について極力消費節約運動を展開したいというので、只今日本電気協会中心となりまして、電力は国の宝という意味での運動を展開することになりまして、先日でありましたか、いわゆる中央委員会を開きまして、各財界或いは金融界、官庁その他の各方面の識者に委員になつて頂いて、その運動をいろいろ起し得る態勢を整えておるのであります。そういうような方法をとりまして、電力使用制限というものを、いわゆる法律だけでは何ら十分な効果を収め得ない点もございますので、同時に国民各位電力重要性の御認識の下に、自発的に相俟つてこの電力使用節約をして頂きたい、合理化をして頂きたいという意味で、そういう運動制限措置と併せて行うようにいたしておるのであります。  以上申し上げましたことが、大体電力不足に対して、緊急の対策として只今考えております線の概要であります。然らば、この恒久対策として、いわゆる電源開発を今後どういう工合に進めて行くかということが、最後に最も大きな問題として取上げられなければならん問題でありまして、御承知のごとく、公益事業委員会におきましても、五カ年計画というものを立てまして、大体昭和三十年度を目標といたしまして、水力にいたしまして約六百万キロワツト火力にいたしまして百三十万キロワツト程度の出力の増加を図る計画を立てております。又この問題と一緒に、経済安定本部におかれましても、同じような線に沿つて只今いろいろな計画を立てておられるのでありますが、いずれにいたしましても、政府といたしまして、一本の計画をできるだけ速かに決定いたして、その計画に副いまして、今後の電源開発計画を確定し、進めて参りたい、かように考えております。取りあえず然らば本年度におきまして完成いたしました電力並びに来年の三月までのうちに完成することになつておる出力はどの程度であるかということを御参考までに申上げますというと、大体水力について先ず申上げますというと、今年の十月現在で完成いたしましたものが、最大出力といたしまして、四万五千九百十キロワツト、それから明年の三月までに運転開始ができますものが十九万三千五百八十キロワツト、それで最初申しました十月に現在完成いたしておりますものを加えますというと、二十三万九千四百九十キロワツト、それから火力につきましては、やはり今年の十月現在で完成いたしておりますものが十二万五千キロワツト、それから来年の三月までに運転開始できますものが五万五千キロワツト、加えまして、十八万キロワツト言換えれば、本年度においてすでにでき上つておりますものと、それから本年度末までに完成いたしますものを加えますというと、水力におきまして二十三万九千四百九十、火力におきまして十八万、それを合計いたしますと、四十一万九千四百九十キロワツト、約四十二万キロワツトの出力が本年度に完成する、こういう予定になつておるのであります。それをキロワツト・アワーに直しますと、十九億九千九百五十キロワツト・アワーになるのでありますが、これを今年度における大体の出力増加数字と見ることができます。  更に本年度から新らしく着工いたします計画を御参考のために申上げますというと、水力といたしましては、本年度に新たに着工いたしますものが、それができ上りました際には、百三万二千八百七十キロワツト、それから火力にいたしましては五十九万六千キロワツト、それを合計いたしまして、百六十二万八千八百七十キロワツトというものに対しまして、本年度から着手をいたすことにいたしております。それから又従来から継続いたしておりますもので、なお本年も継続して、そして先ほど申しました本年度中にでき上るもの、又は二十七年度、二十八年度にでき上るものもあるわけでありますが、そういう現在すでに手を付けておりますもので、本年度も継続中にありますものが、水力にいたしまして三十四万三千三百九十キロワツト火力にいたしまして十六万、合計五十万三千三百九十、両者を加えますというと、二百十三万二千二百六十キロワツト、つまりこれだけのものが従来並びに本年度着手することに決定いたしましたものといたしまして、将来に亘つて今申しました二百十三万キロワツト程度のものができる、こういうことになつておるのであります。これ以外に勿論明年度或いは明後年度に続きまして、新らしく着工する分を如何にするかということが、先ほど申しました五カ年計画の問題になるのでありますが、先ほど結論的に申しましたように、水力にいたしまして六百万、火力につきまして百三十万、で、これを従来ございます発電電力量と合せますというと、大体昭和三十年度末におきまして、四百四十三億キロワツト・アワー程度の受電端における電力量を出したいということで、只今委員会といたしましては、いろいろ検討いたしておるのでありますが、更に先ほど申しましたように、政府全体として、この線について十分の再検討をしてもらいまして、できるだけ速かに最後的の決定版をきめてもらわなければならん、こういう状況になつております。  で、この際に最も問題になりますのは、結局この資金の問題でございまして、大体我々の計画から申しますというと、これを完成いたしますためには、約七千八百億円程度資金を必要とするかと考えております。年によつて勿論違いますが、約一年間千億乃至千二、三百億というものが必要になつて来るのではないかと考えております。で、これをどういう工合にして賄うかということで非常にむずかしい問題でございますが、今日のような経済状態、特に民間における金融能力というような点から考えるというと、どうしてもその半額近くは国の財政資金によつてこれを賄つてもらう必要があるのではないかというので、この線に沿いまして、政府全体としてこれを速かに決定してもらうように、只今委員会としましても強く要望をいたしておるのであります。要するにこの計画を完遂いたします上に、最も先立ちますものは結局この資金問題をどういう工合にして確保するかという点にあるのでありまして、そのほかこの問題を持つて参ります場合には、どういう企業形体がいいかということがいろいろ議論のあるところでございますが、時間もありませんので、そういう点には只今触れることは控えますが、要するに今申しましたように、これだけの資金を使いまして、いわゆる従来の計画並びに今後の新らしい計画を完遂する、それに並行しまして、いわゆる只見川の電源開発でありますとか、或いは熊野川、天龍川、或いは四国の吉野川というような電源開発地帯につきましての計画もこの中に織込めるだけ織込んで、先ほど申しましたような目標に向つて進んで参りたい、かように考えているのであります。  今申しましたように、要はこの石炭対策にいたしましても、勿論今後も絶えずその点につきましては注意を怠らず、これが確保について措置を講じ、それから又先ほど申しました自家発の動員でありますとか、或いは電力融通措置でありますとか、或いは電力消費節約に関する国民各位の御認識なり、そういう点についてはいろいろ手を打つことが緊急の最も大事な問題でありますが、更に大きく広くものを見ました場合には、先ほど申しましたように、この現在の非常に殖えて参りまする電力需用に対して如何にこの電力供給力を結び付けるか、言換えれば、如何にしてこの電力需給関係バランスをできるだけ早い機会に保たしめて行くかという点に問題の根本の対策を考えなければならん点であるわけでありまして、そういう意味でこの電力開発問題につきましては、今後当委員会のほうにも絶えず御助力を願わなければならん点が非常に多いと考えておりますので、又必要に応じましては、十分できるだけの説明はいたしたいと思いますが、大体今日の電力事情並びに只今つておりまする緊急措置等を中心といたしまして、簡単ではございますが、御説明を申上げ、質問がございましたら、できるだけの御返事をしたい、かように考えております。
  4. 小林政夫

    ○小林政夫君 緊急対策に伴うところの資金計画と申しますか、それを説明頂きたい。
  5. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 只今この緊急対策といたしまして最も問題となりますのは、この石炭確保の問題が主であると思うのでありますが、この点につきましては、先般料金改訂の際に見込みました際に比べまして、先ほど申しましたように、石炭の量について約六十数万トンの増加を来たしております。それから又炭価につきましても、前に約四千八百円程度で炭価をはじいておつたと思いますが、それが現在におきましては、五千五百円から五千六百円程度に上つております。それから又先ほど申しました外国炭の輸入等の問題を考えます場合は、やはり最近のトン当りの外国炭といたしましては、約二十七ドル程度の、言換えれば九千七百円程度の非常に高いものに付くような状況もございまして、そういうような点を炭価の値上りと、それから数量の増加等考えますというと、現在料金のうちに見積つておりますものに比べて八十九億ぐらいの殖え方だと考えております。そういうような点につきましては、只今それを政府のほうにおいてどういう工合措置するかというような点は別途の問題といたしまして、できるだけ今日のこの状態において、そういう資金面において非常に苦しいために、折角の石炭も買わずに、電力供給に遺憾のないように、できるだけそういう点につきましては、各社が非常な金融機関のほうとの協議によりまして、石炭資金入手に努める。この問題につきましては、日銀におきましても、特に石炭の手当に関する資金については相当積極的にこれを支援するということに方針がきまつておりまして、只今そういう意味相当の赤字覚悟で、各電力会社としましては、その資金融通の問題について大わらわになつているわけでありまして、まあその赤字を将来どうするかということは、又別の問題として考えることにいたしまして、只今はそういう意味で各電力会社といたしましても、或る意味では採算を度外視して、その資金の獲得に努め、石炭入手に努めている、こういう状態にございます。
  6. 小林政夫

    ○小林政夫君 只今の御説明で大体資金的には心配がないという御説明はあつたわけでありますが、輸入炭の問題もあり、又計画よりも多分に石炭を消費することになり、二百七十万トンぐらい余分に要るようになるわけでありますが、これを数字的に資金繰を、まあ外貨についてはどれだけ要るというような、およその計画があろうと思いますので、数字的に御説明願いたいと思います。
  7. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 大体私のほうで安定本部のほうとも打合せをいたしまして計画を立てております。数字的に申しますというと、現在の料金に織込んでおりますところの下期における石炭の量並びに単価を申上げますというと、先ほど申しましたように石炭のトン数につきましては四百七万五千六百トン、炭価がこれは平均の炭価でございますが、四千四百八十一円、それからそういう意味石炭費といたしましては、これを掛け合わせますというと、百八十五億程度になるのであります。それから今度、先ほど申しましたように、火力発電所をフルに運転して参るという計画の下に四百七十一万五千トンという石炭を焚くということにいたしますというと、その量の殖えます分と、それから更に最近における石炭の炭価は、国内炭といたしましては五千五百九十四円、先ほど四千四百八十一円と申しましたが、それが五千五百九十四円に上つております。そういう意味国内炭といたしまして約四百七万五千トン程度で、それは国内炭確保して、そうして残り六十三万九千トンを輸入炭に仰ごう、こういうような計画を立てているのでありますが、そういう意味国内炭を、新らしい最近のごとき炭価の値上りしておりますもので見ます場合には、それが約二百二十七億、それから輸入炭につきまして、今申しました六十三万九千トン程度のものを、大体これを計算いたしますときには二十ドルと計算しておりますが、最近の状況では二十七ドル程度に上つているようでありますが、一応これを二十ドルで計算した数字を出してございますが、それで申しますというと、炭価が四十六億ばかりであります。そういう意味で、結局国内炭と輸入炭とを合計いたしますというと、石炭費として二百七十四億程度資金が要りまして、従つて料金に織込んでおりました百八十五億に対しては、八十八億五千万円というような数字が出て来るのであります。勿論これを実際行います場合に、この経営内部における合理化等によつて、これの資金面のいろいろやり繰りは付くと思うのでありますけれども、差当りの石炭の問題につきまして、この程度資金というものが必要な数字になつております。
  8. 小林政夫

    ○小林政夫君 これだけ増加する資金について、電力会社の自力で賄える範囲、日銀或いはその他の今以上の追加信用を待たなければならないもの、これに分けて若しわかりましたら一つ……。
  9. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 只今申しました日銀の関係の問題につきましては、御承知のように特に石炭資金等について、相当各金融機関といたしましても、電力会社と従来の取引もございまするので、こういう点については絶えず相当の考えは持つてくれているのでありまするが、これだけの大きな数字につきまして、できるだけ融資を受けるとなりますと、相当各金融機関としても、そこに心配をすると申しますか、不安に感ずるところがあるわけであります。従つてそういう場合に、やはり一番の親銀行でありますところの日銀における方針というものがはつきりいたしませんというと、なかなか金融機関としても、おいそれと乗つて来得ないような実情が、御承知のようにあるわけでありますが、そういう意味で日銀としましても各金融機関に対して、今申しました石炭の手当に対する資金というものについては、できるだけ協力するようにという意味の、何と申しますか、意向がきまつておるのであります。従つてそういう意味で、例えばこれを日銀のほうから直接どうというのではないのでありまして、いずれにいたしましても一般金融機関から金を借りる、勿論それには各企業の経理内容におきまして、いろいろのやり繰りは勿論付けなくちやならんと思います。従つてこの問題だけから、八十八億なら八十八億というものを全部すぐ借りなければならんということはないと思いますけれども、今申しましたように、この問題だけを限定して考えて見ました場合に、これだけの資金が必要であるということを申上げたのでありまして、あとそれを各電力会社において、内部の資金繰りでどういう工合にこれをやつて参るかという点につきましては、これは各電力会社実情或いはそのやり繰りその他の点で解決をしてもらわなければならん問題だと、かように考えておりまして、従つて今それをどの方面で幾ら、どの方面で幾らという数字は出ておりません。
  10. 小林政夫

    ○小林政夫君 少し立入つて聞き過ぎた嫌いがあるかも知れませんが、最近、全般的な傾向とは申上げられないかも知れないが、地区によつては、こういつた余分に石炭を使わなければならんというようなことで、中小企業等に対して、炭代と称して、今までの資金繰りを変えて、電力料金の支払いを早く求める、そういつた電力会社の炭代の増加資金のしわを中小企業等に持つてつている、さなきだに電力の統制によつて業績は悪化しているにもかかわらず、そのしわまでを企業のほうに持つて来ているという傾向があるように見受けられるのであります。この点について絶対に心配がないとおつしやるのであるか、どうか。
  11. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 今の電力の料金の徴収方法につきましては、やはり一定の供給規定における契約によつてつているのでありまして、特にこれがために料金の支払いを、供給規定で約束をしております以上に早めてもらわんと困るというようなことは私はないと考えております。そういうことは少くとも只今私耳にしておりませんが、そういうような若しもお話がございますようであれば、早速取調べはいたしますけれども、そういうことはないと考えております。
  12. 小林政夫

    ○小林政夫君 それはあなたのほうの取調べが不十分であつて、現実にそういう問題が起つております。お取調べを願いたい。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど電力渇水の点について御説明があつたのですが、御説明では大体需用が増大した、渇水石炭不足、それで御説明の内容は大体まあ不可避的であつたというような要素が大部分のようですが、そこでその原因についてもう少し立入つてお伺いしたいのです。先ず第一に、需用の増大についてですが、これは家庭電力需用の増大と産業界需用の増大、二つに分けて御説明になつて家庭電力需用増加は、昭和二十五年度は昭和二十四年度に比してパーセンテージが低くなつておりますね、それから二十六年度の供給計画では、家庭電力供給割合はどういうようになるのですか、二十六年度……。
  14. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 今申しましたのは実績を申上げたのでありまして、従つてまだ二十六年度の分は実績は出ておりませんが、二十四年が先ほど申しましたように、総消費量に対して電灯用の電力量が占める割合が、二十五年度は二〇・一、二十四年度は二〇・七というようになつておりますので、大体その程度数字ではないか。それから先ほどは時間がございませんでしたので比率を申上げましたが、大体昭和十年或いは昭和十一年程度におきましては、電灯用の電力量といたしまして、年間二十八億キロワツト・アワーでありましたのが、二十四年におきましては四十八億六千五百万、それから二十五年度におきましては五十四億八千三百万、こういうことになつておるのであります。それでまあ私どものほうといたしましては、今日電力は主として動力源として極力これを使つて参るのを建前にしなければならん、丁度日本の電力供給力が殖えましても、その割にこの産業の線が従来伸びてなかつたような点につきましては、相当産業用のほうに電力が向けられておるというような点もございますので、従つて我々といたしましては、できるだけ熱源のほうは、将来ガス等の供給を極力円滑にするようにいたしまして、熱源としては他にこれを求める。どこまでも電力というものは主として動力方面言換えれば産業方面にこれを持つて行くようにして参るべきじやないか、かように考えておるわけであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その御説明はわかるのですが、二十四、五ですね、こういうものは薪炭、そういうものが不足のために電力を余計使つたと、そういうために需用が殖えたことはわかるのですが、二十六年度の供給計画ではどうなんでしようか。家庭電力は二十五年度は五十四億八千三百万キロワツト・アワーと言いましたが、二十六年度の供給計画ではどうなんですか、家庭電力は……。
  16. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) ここにちよつと二十六年度の下期分についての計画がございますが、それを御参考に申上げたいと思いますが、二十六年度の下期におきましては、大体電力需用電力量、言換えれば電力の大体消費量とお考え頂いていいと思いますが、これが下期におきましては、百五十七億三千万キロワツト・アワーに大体なつております。その中で定額電灯、従量電灯、大口電灯、臨時電灯というような、いわゆる電灯の計といたしまして三十四億七千六百万、これが大体その下期における総需用に対する電灯の方面需用でございます。こういう数字になつております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その一カ年を、年間を通ずると、二十五年度に比して家庭電力供給計画では減るのですか、殖えるのですか。
  18. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) それは数字の上から申しますと、殖えておりますのですが、ここにちよつと上期の実績の資料を持つて参るとよかつたのでありますが、それをちよつと持ち合せがございませんので、大体今申上げましたように、下期だけにつきまして家庭用と申しますか、電灯用の需用が今申しましたように三十四億でございます。仮にこれを直ちに倍にするということは違つておると思いますけれども、大体下期におけるこの需用というものをお考えになつて頂きますならば、先ほど申しました二十五年度に比べて殖えておるということは言えると思います。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最初安本と公益事業委員会で相談して、これをいろいろお作りになつたと言われる二十六年度の電力供給計画、これは電力問題がやかましくなつたとき衆議院において問題になつたのですが、そのときに出ている数字を見ますと、五十四億を四十四億に、十億キロワツト時減らすことになつております。その供給計画においては、家庭用電灯について……、それがこんなに殖えたというのはどういうわけか、それで大口電力、これは殖える、大口は殖える、進駐軍用は殖える、小口動力は減る、小口動力は四十億が二十億に減る、家庭電力は五十四億が四十四億に減る、あの計画は又その後変つたのかどうか、今のお話で聞くと、大体需用方面から来たところの電力の需給のアンバランスは、家庭電力が殖えたことにもある、産業用の需用が殖えたことにもあると言いますけれども、さつきのお話では、何となく家庭電力というものが殖えたことにも相当原因があるというお話ですが、その供給計画をはつきり聞かなければわかりませんが、もう大部分はむしろ家庭用が減つておるのじやないか、計画としては、減るのじやないですか。そうして大部分が特需による需用増加から来るというふうに見えるのが正しいのじやないでしようか。
  20. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 大勢から見てその通りだと思います。私が申上げましたのは、いわゆる終戦後における電力需用がずつと殖えて来ておりますところの傾向を大体申上げましたのであります。特に最近におきます関係におきましては、産業用の電力需用が非常に殖えて来ておるし、又当然そうあるべきが筋だと思います。何も家庭用の電力が如何にも非常に殖えたために、こういうことになつておるということだけを申上げたのではないのであります。そこは一つ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは家庭電力は、先ほどの二十六年度を通じての供給計画をお聞きできませんでしたが、これはあとで正確に二十五年度と比較しまして、大口動力、それから小口動力、家庭用電灯、進駐軍用とこれを分けまして、二十六年度の供給計画と二十五年度の実績と比較したものを、数字をお願いしたいと思うのです。それから次に原因の問題ですが、電力会社を九分断するときに、国民に豊富低廉なる電力供給するために九分断をやるのだと、それでこの五月から発足したわけです。先ほどの電力饑饉になつ原因として、電力会社の分断の問題は何らお触れにならなかつたのですが、これはやはりその分断によつて、直接の原因とは言いませんが、例えば電源開発が遅れたとか、或いは又この融通についていろいろな支障があるとかというので、これも相当大きな原因ではないでしようか。この点はどうなんですか。
  22. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) この電力不足に至りました原因として、再編成の問題が一つの大きな原因をしておるのじやないかということは、よく御質問を受けるのでありますが、私は率直に申しまして、それは多少再編成のために、日発から各新電力会社に移行します間に事務的な連絡が十分行つていないと、従つて例えば日発なら、日発に限らず、どこでも解体しますというような場合には、石炭なら石炭入手等について十分な努力をしなかつたと、そのままで引継いだというようなことも、それは私は絶対にないとは申しません。申しませんが、大きく見まして、私はこの問題が再編成が原因で特にこういう問題に拍車をかけたということは私は考えておりません。と申しますのは、大体この電源開発につきましても、いわゆるまあ日本発送電ができまして以来の電源開発問題というものは、これはいろいろ戦時中の資材の統制でありますとか、そういうようないろいろな制約を受けておる点も私は相当あると思いますが、いわゆる日発のできます前に、例えば年間三十万乃至四十万キロワツト程度開発ができておりましたのが、やはり日発時代にそういつたいろいろな制約を受けておつたと思いますが、もう一つ開発が十分できておらなかつたという点もあります。それから又御承知のように、まあ終戦後いろいろな事情からいたしまして、この電源開発等の問題は速かに取上げることができないような情勢もございまして、先ほど申しましたように、二十四年度に至つて初めて百億の見返資金が付いた。それから又二十六年度におきましては、いわゆる電気事業再編成等の問題といろいろ絡みまして、二十六年度に百億出たと申しましても、実際にこの資金が放出許可になりましたのは、昨年の暮に固めて出たのでありまして、まあそういうような意味から申しましても、昨年一年というものは、この電源開発が殆んど手が付けられなかつたというような問題も確かに私はあると思うのであります。そういう意味で、何と申しましても一番の原因は、この戦時或いは戦後の暫らくの間というものに対して、電源開発というものが十分行われておらなかつたということが、私は一つの偽わりのない事実だと思うのであります。それに対して先ほども申しましたように、この九月、十月の異常渇水、それからそれにまあ石炭入手の問題、まあこれにつきましては、今御指摘のように、事実の一部には日発から新会社に移行します場合に、石炭の十分な手当をして移行されていなかつたというような点もあるようであります。まあそういう意味から御指摘になるなら格別といたしまして、併しこれは先ほど申しましたように、相当上期においては石炭の消費量も多かつた点もあります。それから又今申しましたように、異常渇水のために本来石炭をもう少し長い目で手に入れたいというような点もあつたかと思います点が、非常な思わざる事態で面喰つたという点もあると思います。それからまあ私は素直に言つて一番の原因は、従来からこの電力会社として石炭入手の仕方において相当この中小炭鉱、而も中小の炭鉱なんかと直接結び付いているならいいのでありますけれども、中には商社というものを入れて、そういう方法電力用の石炭入手する大体の慣習が付いておつたというところに私は一つの大きな原因があると思うのです。これは更に申しますならば、御承知のように、従来はこの電力豊水期には殆んど石炭は要らない。それから渇水期になつて石炭を必要とするというので、石炭業者のほうから見ますというと、絶えずコンスタントに石炭を必要としてもらうお得意先とは、相当その性質が違いまして、要るときもあれば、要らないときもあるというような状況で、まあ石炭業者のほうから見れば、電力会社のほうは決していい得意先ではなかつたと思うのであります。まあそういうようないろいろな原因が重なり合つて石炭入手方法も今申しましたようなことになつてつたのではないかと私は想像いたすのでありますが、併しその点は幸か不幸か、今日のような電力需用が非常に殖えて参りますときにおきましては、各電力会社としても仮に豊水期でありましても、或る程度石炭は焚かなければ需用に追い付かないということになりますので、従つてまあ今後は石炭需用家といたしましても、電力事業というものは相当石炭業者から見てもだんだんといわゆるコンスタントに石炭を買つてもらえるという意味ではいい得意になつて来るのではないかという工合に私は考えておりまして、そういう意味で今後の石炭入手につきましては、石炭会社電力会社の間に話合いをして、これを契機として又右のような実情の下に非常に円滑に参るのではないかと考えるのでありますが、今申しましたように、再編成のために特に今度のあれが強化したということは考えられません。それから融通の問題につきましては、成るほど日発なら日発一本で行うならば、何も連絡会議とか、何とかいうものを開かなくても、それは融通という観念でなしに電力の均等配分ということは、それはでき得たと思うのでありますが、まあこの問題につきましては、要するに再編成をして新会社を九つ作つて、そうしてその新会社においてそれぞれ創意工夫をこらして、電源開発なり供給の面に力を注いで行くという一つの大きな理想の下に立ち上つたのであります。それが新会社ができて間もなくまあこういう事態にぶつかつたので、従つてそういう場合に電力融通等の問題については、おのずからそこに一本である場合に比べて見れば、不円滑に行く面もそれはあり得ると思うのであります。併しそれでこういう事態になればなるほど、できるだけの各地域間の調整をとるという意味で、これは又公益事業委員会といたしましても、その点につきましては十分調整をとる義務があるわけであります。そういう意味で先ほど申しましたような機構を作り、その運用につきまして強い指示をこちらから与えまして、できるだけのその間の調整をとるべきだ、若しそれが仮にうまく行かんような場合には、最後には融通命令という措置も講じなければならんのではないかと思つておりますが、幸いにして今日現在におきましては、そこまでしないでも、今の制限段階というものは大体各地において守られておるような状況にあるのでございます。
  23. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、松田事務総長はもう一つほかのほうにも約束がありまして、大体三時までにはそちらに行かなければならないというような予定になつておるというお申出があるのでありますが、従つてまだ問題はたくさん残つておると思いますが、一つどうでしよう、今日はあと一、二の継続の御質問を願つて、更に恒久対策の問題あたりではまだ論議が尽されておりませんし、なお経済安定本部からも、それらの問題についての報告を聴取する予定になつておりますが、今日は見えておりませんので、更に別な機会を設けて継続する、こういうようなことで、本日はあと二、三問で打切るというようなふうに進めたら如何かと思いますが。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は別に差支えありませんが……。それではこの問題についてはまだほかの委員のかたにもたくさん御質問があると思います。私はまだあるのですけれども、一応保留しまして、次の機会にいたしたいと思います。どなたか……。
  25. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 緊急に御質問の必要のかたがありましたら……。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちよつと簡単なことですが、重油について話があつたのですが、重油の輸入量と、それから予定量と、それから価格ですね、この点ちよつとお聞きして置きます。
  27. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 重油の予定量を大体申上げますというと、第三四半期におきまして二万キロリツトル、それから第四四半期におきまして七万二千キロリツトル、両方加えまして、先ほど申しました九万二千程度になるのでありまして、今重油の単価につきましては、ちよつとここに調べがございませんので、この次のときに調べてお答えしたいと思います。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料として一つ。これはあなたのほうでおわかりになるかどうかわかりませんが、できたら石炭の成るべく極く最近の月まで欲しいのですが、月の産業別消費の内訳、そういうものを、例えば国鉄がどのくらい使うとか、ガスがどのくらい使うとか、或いは進駐軍へどれくらいとか、輸出がどれくらいとか、化学工業はどれくらい、こういうような御調査がありましたら……。
  29. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) その資料は委員長のほうでも資源庁のほうに要求して取寄せることにいたしております。  それでは本日は松田君の説明はこれで終えることにいたします。それから安定本部は今呼んでおりますが、ちよつと安定本部のほう連絡が付きませんので、更に次の機会にいたしまして、今日はこれで終りたいと思います。それでは散会いたします。    午後三時十五分散会