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1951-10-26 第12回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十六日(金曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            平岡 市三君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            加納 金助君            古池 信三君            郡  祐一君            溝淵 春次君            白波瀬米吉君            一松 政二君            深水 六郎君            山本 米治君            荒木正三郎君            伊藤  修君            上條 愛一君            小酒井義男君            山下 義信君            飯島連次郎君            岩木 哲夫君            鈴木 強平君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   政府委員    資源庁長官   始関 伊平君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   説明員    通商産業省通商    繊維局長    記内 角一君    通商産業省通商    化学局化学肥料    部長      柿手 操六君    通商産業省通商    鉄鋼局長    葦澤 大義君    経済安定本部産    業局長     近藤 止文君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度政府機関予算補正  (機第二号)(内閣送付)   —————————————
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これより委員会を開きます。日程表に従いまして先ず安本産業局長から生産計画について説明を聞きたいと思います。
  3. 近藤止文

    説明員近藤止文君) お手許に二十六年度主要物資生産見通しと題しました刷り物を御配付申上げてございますが、この二十六年度生産見通しがどうなるかという問題は、上期は大体電気関係も非常に豊水に恵まれて順調でございました。又石炭その他の物資需給関係も比較的安定をいたしておりましたので予想以上に生産増加いたしたのでございますが、本年の八月頃から電気事情が急激に悪化いたして参りまして、それに伴いまして石炭需給も非常に窮屈になつて参りました。この下期の電気及び石炭状況がどうなるかということによりまして、二十六年の年間生産数字というものが大巾に変動いたすわけでございます。このお手許に差上げました二十六年度見通しといたしまして数字を入れましたのは、いろいろ前提がございまして、上期は実績通りを採用いたしたものでございますが、下期におきましては、いろいろな見方がございますので、ここに出ております見通しにおきましては、水力の関係平水ベースを保ち得るという前提の下にそれぞれの物資生産数量見通しをつけて見た次第でございます。従いましてここに載つております数字が果してこの通り生産できるかどうかという問題は、今後における主として電力事情によりまして左右されるのでございまして、電気事情が十月初め頃のような状態を繰返すということになりますと、この見通し達成いたすということは到底困難であろうと思われるのでございます。なお最近のように数次降雨がございまして渇水地帶が或る程度潤うということになりますと、この平水ベースによりますと生産見通し達成ができるということになると思うのでございます。そういつた前提の下にこしらえました表でございますので、その点あらかじめお含み置きを願いたいと思います。この平水ベースによりまして生産見通しをつけますと、ここに載つておりますように、石炭或いは鉄鋼その他の重要物資につきまして、年度当初に予想いたしました生産計画というものはほぼ達成されまして、なお多少の上昇を見るような余地があるのでございます。二枚目に鉱工業生産指数見通しというのを掲げてございます。これで二十五年度実績鉱工業生産指数は一〇四・六でありますが、二十六年度は一三六という数字なつておるのでございまして、本年上半期の生産指数の伸びが非常に顯著でございましたので、下期平水ベースと申しますと昨年に比べますとかなり電気の量が減少するのでございますが、なお一三六程度生産指数になるという見通しになるのでございます。  そこでこれは平水によりましての生産見通しを一応作りましたのでございますが、若し最悪の場合と申しますか、水が現在よりも非常に状況が悪いというようになりましたような場合には一体どのくらいの生産になるかということでございまして、これにつきましてこれはいろいろ前提がございますので、見通しをいたしますことも非常に困難でございますが、若し非常に悪い状況になるということでございますと、今年の年間生産計画指数は一二四ぐらいまでは下る可能性があるというように思うのでございますが、これにはいろいろ今後の正確でございません要素が入つて参りますので、お手許には一応過去の長い間における実績を加味いたしまして、平水ベースによります生産見通し数字を差上げた次第でございます。  でまあ本年の下期におきまして最も心配になりますのは水の不足によります電力不足ということでございます。これにつきましてはあらゆる方面からここにしわを寄せまして、極力電力増強するという手をいろいろ打つておるのでありまして、いろいろな方面から次第にその効果が現われて来つつあるよう存ずるのでございます。一例を申上げますと、今年の九月頃におきましては各電力会社におきましての石炭貯蔵量は非常に僅かでございました。思い切つて火力を焚くということもできなかつたのでございますが、これもあらゆる方面努力を集中いたしまして、最近におきましては徐々に貯炭の量が殖えつつあるのでございます。大体下期におきまして平水の場合におきましても四百七万トン火力用石炭を必要といたしておるのでございます。現在のところでは電力会社に対しまして、四百七十万トン程度石炭を集中いたしまして極力火力増強する、又自家発電でなお余裕のあるものにつきましても、これに極力石炭を注ぎ込みまして、大体三十五万トン程度石炭でございますがこれも極力利用をいたしまして、幾らかでも電力増強をいたしたい。かような努力をいたしておりますので、今後要するに降雨の問題に大部分かかるのでございますが、水の見通し平水とあまり変らない状態でございますならば、あまり悲観した生産にはならないように存ずるのでございますが、いずれにいたしましても、今年の七月ぐらいまではうなぎ上り生産指数が上りまして七月は一四二という数字まで出ておるのでございますが、その数字にまでは到底達しません、よく参りまして一三六というぐらいの生産指数に落着くのじやないかというように考えておるわけでありまして、水の関係が悪ければ先ほど申しましたように、一二四・五ぐらいのところまで下る可能性があるということでございます。  なおこの生産見通しのうちで主なものにつきましてごく概略の御説明を申上げますと、何と申しましても生産のいろいろな要素の中で一番大きく現在影響いたしておりますのは電力でございます。その次に石炭相当大きな減産要素なつております。その他の物資につきましては、比較的昨年の暮から本年の上期にかけまして原料といたしまして海外から相当量輸入がございました。又国内のいろいろな資材といたしましても急速に需給関係が悪化するというような状態のものがございませんので、生産を一番大きく規制いたしておりますのは電力、その次が石炭ということになるのでございますが、電力につきましてはいずれ後ほど公共事業委員会のかたも御出席になるようでございますから、そちらのほうのかたから説明を頂くことにいたしまして、石炭以下の物資につきまして概略のことを申上げますと、石炭につきましては当初四千四百万トンという生産計画を持つておつたのでございますが、それを中途におきまして四千五百万トンに増産をいたすことにいたしました。これに対するいろいろな増産態勢を整備する施策を現在資源庁におきましてとりつつあるのでございまして、年間見通しといたしましては四千五百万トンの生産達成いたしますことは比較的容易にできるのじやないかというように思われるのでございます。ただ需要の面におきまして電力の極度な不足から電力用に廻します石炭が非常に殖えております。そのほかにいろいろ産業用に廻りません、どうしても削減できない石炭相当量に上りますので、全体の需給関係から参りますと四千五百万トンの生産では、或る程度不足をいたすということが計算をいたしますと出て参るのでございます。これにつきましては或いは重油をこの石炭の代用に転換いたしまして重油によりまして石炭不足を補う、或いは亜炭その他の燃料を代替いたしまして石炭不足を克服するようにいたしておるのでございまして、多少の不足がございますけれども、結局石炭につきましては電気と違いまして代替し得るものがなおございますので、それらで何とか本年度中ぐらいの需給は切抜けて行けるものではないかというように考えておる次第でございます。  なお鉄鋼の問題でございますが、これはこの見通しにございますように四百十二万トンの普通鋼々材を作るということに予定されておるのでございまして、最初の予想は四百二十万トンという数字予想しておつたのでございます。ただ鋼材の面におきましては実は電力不足いたしましたことが直接生産に響いて参りまして、今日の見通しでは当初の四百二十万トンの鋼材を作ることは相当困難があるというように思われるのでございまして、銑鉄、鋼塊の面におきましては大体予定通り参るのでございますが、圧延の部面におきまして、電力不足影響いたしておりまして、現に九月、十月における生産がかなり落ちておるような状況がございますので、かつかつ当初の生産計画達成できるかどうかと、こういう程度でございまして、むしろ多少減少を見る恰好にあるのでございます。  それから次にアルミニウムでございますが、これは三万六千トンという当初の予定計画が大体達成し得るものと考えておりますが、これは主として自家発電を持つておりますために電力による影響をこれ以上にはこうむらず、大体予定通り生産になるというように思われるのでございます。元来から申しますとアルミにつきましてはなお一層の増産をいたしましてこれを輸出するというようなところまで持つて参りたいわけでありますが、現在の電力事情では、よそからアルミ電気をつけるということが非常に困難でございまして、結局当初に計画されました程度のものが生産されるという見通しなつておるわけでございます。  それから繊維関係につきましては綿糸毛糸、或いはスフ人絹等ございますが、これは電力影響もございますけれどもあまり大きくこれは響きませんので、ここにございますように綿糸につきましてはやはり七億ポンド程度生産が大体考えられる。で八月、九月等の生産を見ましてもそう極端に減少いたしておりませんので、この程度生産は可能ではないかというように考えられるわけでございます。  それから、次に肥料でございますが、肥料は特に電力を多量に使いまして電力が足りなくなりますと肥料が早速減産をするという状態になるはずでございますが、実は八月九月までのところでは当初の予定よりは或る程度生産増加しておつたのであります。十月におきましては多少の減産なつておるようでございまして、今後の電気事情如何によりまして全体の生産がどうなるかということはわかりませんけれども、極力安定本部といたしましては、ガス等によりまして電気を余り多量に食わずに増産のできるといつた面に極力生産を集中いたしまして、そうして当初の計画をできるだけ下廻らないように、できればその計画以上に伸ばしたいという方法におきまして、現在電力の面におきましても特別の措置をいたしまして努力をいたしておる次第でございます。ただ何分にも電気の問題が相当今後の水の問題に関連いたしますので、この下期の生産がどうなるかということを現在見通すことは甚だ困難でございます。併し我々といたしましては、できるだけ当初計画達成いたしたい、かように考えて努力いたしておる次第でございます。  大体以上のような主なる品目につきまして概略申上げますと、今のような状況でございまして、今年の上期におきましては非常に水が豊かだつたということに加えまして、原材料その他の関係はどちらかと申しますと、工業生産電力乃至は石炭というような動力源増加に比較いたしまして、甚だアンバランスな伸びかたといたしたのでございまして、それが八月以降だんだんにそれらの動力源が減少するということと加えまして、もともとの指数の開きが次第に狹められて来る。そういうことで生産が七月に比べますとだんだん落ち気味になるという恰好になつておるのでございますが、その結果といたしまして本年全体を平均して考えてみますと、先ほども申上げましたような一三六くらいの指数のところに落着くというように考えられるわけでございます。問題はこの下期の水の問題、石炭需給の問題ということに非常にウエイトが大きくかかつておるわけでございまして、これに対しまして現在外国の石炭輸入する、或いは特に重油を繰上げて入れるというようなことに努力をいたしておる次第でございます。  大体二十六年度はこういつたような状況で推移いたすであろうという見通しを持つておるのでございますが、二十七年度になりますと、それではどういうことになるかということでございますが、これは実は非常に作業が困難な点が多いのでございます。と申しますのは、やはり来年度におきましても電力が急速に増強されるということに相成りません。電力増強はやはり三年ぐらいから先になりませんと余り多くなつて参りませんので、何と申しましても工業生産を一番大きく規制をいたしますのは来年度電気の問題であると存ずるのであります。同時に石炭の問題につきましても、これは地下資源関係もございまして、ほかの工業生産のように一挙に何割も増産するというようなことは物理的に不可能な関係がございまして、電気の次に工業生産を大きく規制いたしますのは石炭生産の問題であると思うのであります。これらの二つ要素をどう想定するかということによりまして、それぞれの物資生産見込が変つて参るのでありますが、いろいろな作業を現在やつておりましてまだ結論が出ないのでありますが、極く大ざつぱに申上げますと、本年度生産に比べまして来年度も大体横這いと申しますか、本年度実績から見れば多少はいいというぐらいのところへ落着くのではないかというぐらいに思われるのでございます。余り急速に、昨年と本年度の違いのように急激な生産増加を来すということには甚だ困難があるのじやないかというように思われるわけでございます。この作業につきましては現在実施中でございまして、まだいろいろな要素の検討も済んでおりませんし、結論も出ておりませんので、これらの作業が終りましてから委員会のほうに具体的に詳細な御説明を申上げたいと存ずるわけでございます。極く概要でございますが、生産見通しにつきまして御説明申上げました次第でございます。
  4. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 通産省のほうから資源庁長官鉄鋼局長繊維局長化学肥料部長が見えておりますので、重要なこういう資源についての話を一通り聞きまして質問に移りたいと思います。
  5. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 石炭生産需給関係につきまして御説明申し上げたいと存じます。通産省のほうからお配りいたしました資料がございますが、二十六年度上期における出炭実績表という一番上になつた表がございます。これで御質問を頂きますように、本年上期における石炭生産はこの表の一番右の欄の最後にございますように、実績が二千百五十六万トンでございます。生産目標二千百五十五万トンに対しまして一〇〇・一%という遂行率を示しておりまして、順調な経過を辿つている次第でございます。  なお私どもといたしましては、目下の需給関係からいたしまして、石炭生産確保することが極めて緊要であるという観点からいたしまして、先ほど近藤君から申上げましたように、八月の中旬に生産目標を四千四百万トンから四千五百万トンに上げ、更に来年度におきましては、ほぼ四千八百万トン程度生産確保したいという目的の下に、石炭生産確保対策というものを閣議了解をしてもらいまして、その線に沿いましていろいろ努力いたしておる次第でございます。下期にどうなるかという問題でございますが、これは一枚めくりましたところに二十六年度下期の石炭生産計画表というものがでございます。下期の出炭目標は二千三百四十五万トンでございまして、この計画達成できるかどうかという点につきましては、今後渇水期になりますのでその場合におきまして、炭鉱で必要といたしまする電力制限が余り強化されますと困るのでございますが、その炭鉱用電力につきましては、渇水の場合におきましても必要量確保するというような方針に相成つておりますので、下期におきましても大体予定通り出炭ができる。結局合計いたしまして年間四千五百万トンの達成ができるだろうというふうに考えておる次第でございます。  需給関係につきましては先ほど安本のほうから説明があつた通りであります。需要が依然として旺盛でございまして、特に電力用炭につきましては、電力需要量が非常に殖えたということと、それから本年度渇水、この二つ事情のために消費量は当初の守定本部計画を遥かに上廻つておるような状況でございまして、需給の調整のために相当の困難を感じて参つたのでございます。併しながらこの下期における需要見通しは、今後の電力制限によりまする各産業生産活動が或る程度制約されるだろう、結果として石炭需要の減退が若干あるだろうというような見通しがございまして、その見通しに基きましても総計で約二千七百四十五万トン程度需要があるだろうというふうに考えております。そのうち電力用炭につきましては約四百七十万トン、これは現在の火力発電所の設備の殆んどぎりぎり一杯まで焚くという計画でございますが、四百七十万トンというものを確保しなければならんというふうな状況なつております。この需要と先ほど申上げました下期の目標二千三百四十五万トンと比べてみますと、この下期の生産目標が完全に達成された場合におきましても、前期の繰越分なり或いは今後期待されますインド、アメリカ、仏印等からの輸入炭、これは大体百十五万トン程度予定いたしておるのでありますが、そういうものを加えましてもその供給量は約二千五百六十一万トンでありまして、差引百八十四万トンばかりの供給不足となるわけであります。これは先ほど経済安定本部から御説明がありましたように、重油代替亜炭による代替、或いはオイル・コーク等による代替使用を更に積極化することにいたしまして、一応需給均衡を維持することができるだろうというふうに考えておる次第でありまして、その結果年度末には大体本年の年初と同じように百十万トン程度貯炭を以て越年することになるのではないかというふうに考えております。  需給の大体の状況は只今申上げた通りでございますが、そのうち需給の不均衡の一番幅の寄つておりますのが御承知のように電力用炭でありまして、特に関西地方におきましては九月末に貯炭が一万トンというような最悪の事態に追込まれたのでありましたが、関係方面石炭業界はもとよりでありますが石炭を使います産業界協力も得まして、漸く危機を脱しまして昨今におきましては貯炭で約五万トン、一日の入着量が七万トン乃至八万トンというところまで漸増を示しておるのであります。今後電力用炭確保中心といたします石炭需給対策といたしまして、先般これは十月の二日でございましたか、経済閣僚懇談会に諮つて了承を得ました石炭需給対策というものがきまつておるのでございますが、この決定に基きまする諸措置を実施いたしまして、石炭業界初め全産業界協力を得て行政指導を極力強化するという方法によりまして、いろいろ社会的或いは経済的に問題の多い法的措置の発動はできるだけ避けまして、この冬を乗り切つて参りたいというふうに考えておる次第でございます。  この石炭需給対策閣僚懇談会決定いたしました内容につきましては、電力用炭確保の問題が中心でございまして、特に契約量の増大、又納入の確保、それから契約量の中の大手筋業者中小炭礦業者とありますが、大手筋業者契約の比率を大きくするというような点が中心であり、なお又石炭輸入増加重油その他代替輸入促進ということが主な内容なつておりますが、需給対策決定の趣旨に基きましていろいろ努力いたしました結果、一両日前までに第三四半期分といたしまして石炭電力会社に対する供給量は二百十四万トンまで達成いたしました。これは従来に比べますれば非常な躍進でありまして契約量がほぼ確保されましたので、これに基きまする石炭確保するという方針に基いて今後努力して参りたい。なお又この二百十四万トンの契約量をもつと殖やしまして二百三十万トン、或いは三十五万トンというところまで持つて参りたいと存じておる次第であります。  最後にもう一言申上げたいと存じますが、石炭は四千五百万トンで昨年の生産実績三千九百三十万トンに比べますとほぼ一五%の増加でざざいまして、全般的にはこれ以上の増産は期待しにくいような状況にございますが、ただ中小炭礦、特に小炭礦におきましては生産に彈力性がございまして、若干の金を注ぎ込みますとそれによつて新らしい切羽ができる、或いは小型の坑道ができるというようなことで増産の期待のできる部分がございます。それにつきましてはその増産のできましたものを電力会社のほうに紐付きで配給するという條件をつけまして開発銀行なり、或いは日本銀行の斡旋による市中銀行融資というものをやつて参りたい。その場合に電力会社連帶保証をやつて参るというようなことを考えております。只今この計画が進行中でございます。大体十億足らずの増産資金によりまして、年度内に約二十万トンの増産が見込まれるであろう。これは平年に比べますと約六、七十万トンの増産になるのではなかろうかというふうに考えている次第であります。こういうことも併せまして電力用炭確保に処して参りたいというふうに考えている次第でございます。以上生産需給に関連する諸問題につきまして一応御説明申上げました。
  6. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 繊維関係生産見通しについて繊維局長から御説明を願います。
  7. 記内角一

    説明員記内角一君) 繊維関係需給見通しにつきまして御説明申上げたいと思います。通産省から配付しました資料の一番末尾の半ぺらな紙にその内容が出ております。綿糸綿織物人絹糸スフ綿人絹織物毛糸、毛織物、大体いずれも第一四半期、第二四半期とも増産いたしております。ただ人絹糸並びにスフ綿のところにおきましてこの春以来の不況、値下りというようなところから品質の向上を図つて増産は一応取りやめるという態勢をとりましたので、特にスフ中心としまして相当減産を見ているわけでございますが、これはほかの條件というよりもむしろ出来過ぎたという傾向に対する反動であつたかと思うのであります。人絹織物はやはり同じく価格の変動の方面影響しまして若干の減産を来たしているわけでございます。併しその後いずれもこの九月に入りましてから市況も回復して参りまして、現在では価格の面からは減産というようなところの制約は余り見受けられないという状況でございますが、問題は御多聞に洩れませんで電力事情の点でございます。九月になりましての実績につきましては綿糸等につきましては必ずしも減産いたしておりません。従いまして今までのところといたしましては相当いずれも増産をしているという実情でございますが、十月に入つての実情を全体的に調査いたしてみますと、大体七月の実績に対しまして二、三割の減少を来たしておる。まあ計画に対しましては大体二割見当の減産になるのではなかろうかというふうに考えられるのでございます。尤もこれは大工場組織の綿紡とか、或いは人絹工場という所が中心でございまして、織布関係等で中小の企業につきましては電力の来ている間に大いに増産をするというふうなことで、電力の制限ほど生産は減退いたしておらないというふうに見受けられるのであります。なお人絹、スフにつきましては、相当自家発電を持つておりますので、この面で相当生産の維持もできるのではないかと思うのでございます。要するに人絹、ス・フにつきましては、今までの減産の分が崇つておりますので今後は専ら電力によつてその勝負が決するという実情でございます。  ただ需給見通しといたしましては、残念でございますが、この六、七月以後繊維の輸出というものが非常に不振に陥つております。その分が内地に転用されておるというふうな関係からいたしまして、国内の需給を圧迫するという点にまでは至つておらないということが、もつけの幸いかと存じておる次第でございます。  以上簡單でございますが、繊維の概要について御説明申上げました。
  8. 和田博雄

  9. 葦澤大義

    説明員葦澤大義君) 鉄鋼関係見通しにつきまして、通産省からお手許に参つております資料の五枚目に実績がありますが、鉄鋼生産計画の上期の実績表が出ておりますが、その中の三段目の普通鋼熱間圧延鋼材、これが大体鉄鋼生産目標四百五十万トンと申しておりますときに、常に参照せられる数字になるのでございますが、第一四半期は一一〇%、第二四半期が八四・八%というように、第一四半期は特殊電力相当鉄鋼が使うことができましたので増産をいたしておりますが、第二四半期電力関係等、夏季の減産関係で若干下廻つております。が併し全体的に見まして、上半期は大体計画の前後、とんとんのところに行つておるという状況でありますが、下期に入りまして電力状況から、特に電炉関係等の減産が最近相当目立つております。これは全体の鉄鋼四百五十万トン、普通鋼材の関係から申しますと、数量の上では現在のところでは影響は大したことはないと思いますが、こういう状態が続いて参るということになりますと、下期の目標としては相当減産になるのじやないかというふうに思います。大体月間四十万トンの鋼材生産をして参つたのでありますので、この電力事情が逼迫しません状態で行くならば、目標を突破して四百八十万トンくらい行くのじやないかというようなふうにも考えておつたのでありますが、現在のような状況でありますとあながち楽観を許さないというような状況であります。需要関係は、最近国内需要は金詰りと申しますか、最近国内需要は金詰りと申しますか、若干引取りが鈍つておるというような状況はありますが、海外からの鉄鋼に対する引合いは相当旺盛でありまして、八月、九月と十一万、十三万というように相当契約数量ができておる。こういうような状況で参りますと、輸出面において恐らく百万トン前後に行くのじやないかというようなふうに考えられまして、鉄鋼の全体の需給という面から見ますと、まだそこは相当しつかりしておるのじやないかというふうに大体考えられておるような状況であります。ただ下期の生産が、先ほど申しましたように全く電力事情というものにかかつておるのでありまして、特に鉄鋼の中で先ほど申しましたように、電炉関係、特殊鋼、フエロアロイというような特に電力を多量に使用する面においては、普通鋼材の生産状況に比較して数段と悪い状況になるのじやないかという予想がされるわけであります。これにつきましていろいろな対策を考えておりますが、まだ具体的な解決策というものもないような状況であります。簡單でありますが概略説明いたしました。
  10. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 化学肥料…。
  11. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 化学肥料につきましては先ほど安定本部から概要について御説明がありましたので、私は配付いたしました資料に基きまして、数字的に二三御説明を補足的にいたしたいと思います。二十六肥料年度化学肥料生産計画という一枚の紙がございますが、これにつきまして御説明申上げたいと思います。  肥料は施肥期がありまして、一般の物資のように物動年度計画を立てることはむつかしいのでありまして、施肥期に即応した肥料年度計画を立てておるわけであります。二十六肥料年度というのは今年の八月から来年の七月までの計画でございます。この表にあります窒素肥料、燐酸肥料、もう一つ加里肥料肥料要素と言われておるこの三つあるのでありますが、加里肥料は国内に資源がないために生産がございません。従つてこれは全部主としてヨーロツパから年間約三十万トン程度のものを輸入しております。従つて国内肥料関係では窒素肥料と燐酸肥料二つであります。  先ず窒素肥料を御説明いたしますと、この窒素肥料も硫安と石灰窒素の二つがありまして、硫安の当初の計画では百七十万七千トン、括弧をいたしておるのは、これは九月の増産計画を立てたのであります。その数字が括弧で示してあります。これは百七十万七千トンのほかに十三万四千トンを今年の八月から来年の七月までに増産するという数字であります。石灰窒素は当初の計画四十三万七千トンに一万六千トンの増産計画をする、そうして年間では当初二百十三万四千トンの、硫安、石灰を合計して生産計画を立てたのであります。それに増産が十五万トンで、合計ではここに出ておりませんが二百二十九万四千トンにする計画であります。過燐酸石灰は当初の計画が百四十四万トンに十万トンを増産する。燐酸肥料でその他というのは、戦後研究いたしました硫酸を使わない燐酸肥料でありまして、これは燐鉱に熱を加えて熔かした肥料を粉末にしたものでありますが、これが十六万トン。合計当初計画は百六十万トン、増産計画が十万トンでありますから百七十万トンという計画、こういうような月別の計画をいたしております。  そこで実績は、ちよつと訂正をいたしてあると思うのでありますが、例えば八月で言えば、硫安は、十二万六千トンに対して十二万六千トンできた、石灰窒素は二万八千トンに対して三万三千九百トン、結局十五万四千トンの計画に対して十六万七百三十七トンできたというふうに、表を御覧頂けばいいと思うのであります。これで御覧の通りに大体過ぎました八月、九月というものは、増産計画のない計画につきましては、窒素肥料において約一万一千トンばかり増産をいたしております。過燐酸は大体計画通りというのが実情であります。  下の欄の十月以降の問題でありますが、先ほどもお話がありました通り肥料は大口産業の中で大体三分の一程度電力の消費をいたしますのでありまして、電力の供給力、渇水程度によりましては相当影響を来たすのでありまして、現に十月で申しますと、十月の硫安の計画が十四万八千トン、当初計画が一万一千八百トンの増産計画をいたしておりまして、十五万九千八百トン作る計画であります。然るに十月二十日までの生産の報告を集計してみますというと、それを三十一日まで延ばしてみますというと、大体十三万トン程度ではないかというふうに思われるのでありまして、十月は硫安において三万トン程度減産をするのじやないか。石灰窒素について見ましても、三万三千トンに六百五十トンを加えた計画に対しまして、先ず二万三千トン程度しかできないのじやないか、これでも約一万トン、十月の二十日までの様子で見ますというと、硫安と石灰を合せた合計の十八万一千トンに一万二千トンを加えた十九万三千トンのプランに対しまして、四万トン程度減産があるのじやないかというふうに考えております。そこでその後の見通しにつきましては先ほども話がありました通り、雨量の程度がどの程度になるかということと、もう一つは肥料生産確保について如何なる重点的な措置を講ずるかという問題になるのでありますが、これは先ほど括弧で増産計画を九月に立てたということを申上げましたが、九月の十五万トン増産計画を立てるについての経緯を御参考に申上げますというと、この既定の計画量は大体国内の需要相当する程度生産計画でありまして、これ以外は輸出の仮に要請がありましても、国内を犠牲にしなければ出せないという数字になるのであります。肥料の農業生産上における重要性、或いは農家経済に及ぼす重要性というようなことから、国内に必要なものは是非とも確保しなければならん。然るに一方朝鮮、台湾、フイリピン、沖繩等、東南アジア地区の諸国から切実な肥料の要求があります。世界のどこからもなかなか肥料輸入することは困難である、日本から供給を仰ぐ以外にないという切実な要求があるのであります。それらに対しても日本としても何とかこれに応じて行かなければならんというような、両方の問題があるのでありまして、電力の非常に窮屈な折柄にもかかわらず、特に肥料に対して重点的に電力を割当てまして、そうして十五万トンの増産計画をするということを九月にきめたようなわけであります。然るにそこに非常な渇水が見舞つて来て、我々としても両方の要請に対して応えて行くために、如何にして生産確保するかということにつきまして非常に悩んでおるのでありますが、通産省といたしましては、計画に対して十月の三、四万トンの減産はこれはもう避けられないと思うのでありますが、今度の十一月以降七月までの九ケ月間に予定生産計画を遂行するために、あらゆる措置を講じて参りたいというふうに関係の官庁とも打合せをしながら、いろいろ施策を講じて参つておるという現状であります。
  12. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 今までの当局の説明に対しまして御質問がございましたら……。
  13. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつとお尋ねいたしますが、先ほどの石炭増産予定数量四百五十万トンの中には、今まで朝鮮に相当石炭が出ておつた、又最近も契約されておる、今後も出るだろう、即ち現在は占領軍に供給されるもの、将来は日米安全保障條約に基き予定されるもの、或いは北海道で占領軍が特別に使用される分、こういつたものはこれよりほかであるかどうか、ほかなら、或いは内でもその数量の内訳を承わりたい。又これがために石炭需給或いは発電力等にどのような程度影響を及ぼしておるかどうか。それから第三点は、こうした方面に供給される石炭価格は一般市場価格に対比してどんな値段、どんな割合であるか、この三点をお尋ねいたしたい。
  14. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 進駐軍の需要いたしますもの、乃至は朝鮮等におけるいわゆる特需炭等は、先ほど申上げました需給数字の中に本年度分といたしましては入つております。
  15. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 入つておるのですか。
  16. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 入つておりますのです。それで例えば朝鮮向けは月十万トン程度ございます。これが粉炭などの場合におきましては、電力用炭と競合いたしまして、内地における需要を或る程度圧迫するということはございますけれども、大体今日まで参つております程度の発駐量は、日本の目下の石炭事情からいたしましても、そう絶対に耐えがたい数量であるということではないと思つております。第三点の価格の問題でございますが、これは入札でやつております。内容の詳細は承知いたしておりませんが、市価よりもちよつと低目くらいのところで参つておるのではなかろうかというふうに存じております。
  17. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう一点、次に一般の日本の需要影響ないと言つておるが、先だつての電力危機の場合においては、極めてこれは重大な朝鮮向きその他進駐軍の石炭需要量において影響を来たしたことは論を待たない、私がもう一点お聞きしておつたのが洩れておることは、こうしたことから発電量の上にどれだけ影響を受けておるかということを聞きたかつたのですが、それに御回答がない。それからもう一点お尋ねいたしたいのは、私はこうした結果、将来重油発電装備が政府の補償において、或いは援助において擴大さるべきだと思つておる。それに対して電力会社は施設費、或いは将来重油輸入見通し等に関連して、憂慮して積極的にこれをやらない。こうしたことから平水量の場合においても電力需用が増大しておる、いわんや渇水時期の需給の将来を考えまして、重油の発電装備、或いは輸入計画というものは今後における大なる問題であろうと思いますが、これらに対して政府は補償をいたす予定かどうか、設備、或いは将来どのくらいのものを輸入計画して石炭不足をカバーし得るような計画を持つか、この点もついでにお答えを願いたいと思います。
  18. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 重油の問題でございますが、御承知のように日本では、従前におきましては国内産の石炭に対しまして、大体一割五分程度輸入炭がございまして、これが石炭需給の調整上に大きな役割をいたしておつたと見ております。ところが目下の状況では粘結炭等の特殊のものを除きましては、なかなか石炭のままでは輸入しにくいような事情もございますので、重油でこれに代えて行くことが必要である。特に石炭需給のしわの寄つて参ります発電所方面におきましても、重油を焚く設備を持つことが必要であろう、こういうふうに考えまして、もう四、五カ月も前から公益事業委員会乃至は電力会社方面に働きかけておつたのでありますが、只今のお話のように、重油輸入見通し等に関連しまして、なかなかその方面に頭の切替えが行われませんでしたが、最近におきましては、東京、関西その他の各地区とも重油を使つて参らなければならないというふうに考え方が変つて参つたと存じております。この重油を只今の価格で使いますと、重油を貯えますためのタンク或いはバーナー等の設備をいたしましても、半年なり或いは八カ月なり継続いたしまして重油を使用することができるといたしますと、元がとれるというふうな計算になるようでございます。従いまして、重油確保できるかどうかということが一つの問題点でございまして、その見通しさえつけば、別に政府で建設費を補償するというようなことは必要なかろうと思います。そこで重油を果して電力部門に確保できるかどうかという問題でございますが、只今御承知のように二百万トン以上の重油の国内の供給量がございますので、目下考えております程度重油転換につきましては、必ずこれは確保できるというふうに、私どものほうでも経済安定本部のほうでも考えておる次第でございます。年度内におきまして、重油代替いたします計画のものは重油の量にいたしまして約七、八万トン程度石炭に換算いたしましてその倍程度というふうに存じております。  それから前の御質問のうちの朝鮮向け石炭が発電用炭を圧迫したのではないかという問題でございますが、これは或る程度圧迫したに違いないと思いますが、その数量は私どものほうでもしばしば折衝いたしまして、数量なり或いは炭質なり、或いは納入の時期なり、できる限りこちらの事情と先方の必要とを調和さすような方向にやつて参りましたので、先ほど申し上げましたように圧迫したには違いないと思いますが、それほどひどいという程度のものではないというふうに存じております。
  19. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 真理は案外平凡なところにあるということはこの際も当てはまるようなものですけれども、こんなに電力不足で困つておりますので、政府のほうでも四百億円か計上いたして、電力発電事業の計画もされているらしうございますけれども、幾ら施設がありましても、肝腎かなめの水がなければ駄目で、雨の分量に規制されるというようなことを最近新聞で読んだことがございますけれども、若し本当にそうだといたしますと、只今ソ連がシベリアにおきましてオビ、エニセイ、レナ川などを繋ぎ合せまして、シベリアの灌漑と水力発電事業を起しているように、日本の国内におきましても、水力発電事業に向きます川のほうに、向かない川を導入するような国内工事も必要になつて来るのではないか。或いは場合によつて海水なども何とか活用できる方法はないか。こんなことを素人考えに考えますけれども、水と電力関係がどの程度でございますでしようか。
  20. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 只今の御質問電力と水の関係の問題でございますが、公益事業委員会のほうから担当官のかたが見えておりませんので、経済安定本部のほうから代りましてお答えを申上げます。  大体日本におきましての電力は、大部分が水力に依存しておりますことはすでに御存じと存ずるのでございます。特にその水力と申しましても、従来からございましたように、いわゆる流水式、流れ込式発電所と申しますもので、川に一定のダムを作りましてそこに水を貯えまして、そこから計画的に発電をするという形にはなつておりませんのが非常に多いのであります。大体八割以上約九割のものにつきましては、雨が降りまして川の水の量が殖えますと、それに比例いたしまして発電量が殖える。又非常に渇水いたしまして雨が何日も降りませんと、発電の電力量はそれに比例いたしまして減少するという形の発電所が非常に多いのでございまして、これが最近のように渇水期が続きました場合に非常に電力不足するという状態を直接現わして参ります大きな原因でございます。ただこうした発電所がどうしてこうたくさんできたかと申しますと、御承知のように日本は地形がこういう非常に狹い急峻な地形でございまして、簡單に河水の落差を利用いたしますと、その流れ込み式の発電所を造りますことは、経費の関係におきましても、又時間の関係から申しましても極めて簡單にできますので、主としてそういつた点からこういつた発電所が興つているのでございまして、これを猪苗代湖その他にございまするような貯水池式の発電所に置換えます場合におきましては、いろいろこれは農耕地の問題、水没地の問題、これは従来もうたびたび問題が起つているのでございますが、一定の個所が水の下に入りますので、それに対する権利義務の関係、補償の問題等いろいろ困難な問題がございます上に、相当工費が高くかかりますし、又建設の期間も長くかかるという状態で、貯水池式の発電所が少いのであります。只今政府のほうで考えております。発電所の緊急開発の方針の持つて行き方といたしましては、できるだけ貯水池式の発電所を、而も相当大規模なものを急速に開発いたしたいと、こういうことで具体的な案を練つておる次第でございまするが、こういうものができますれば、或る程度渇水が続きましても、急に電力が減るということがなくなると思うのでございます。御参考までに水力にどのくらい依存しており、火力にどのくらい依存しておるかということの比率か申上げますと、現在日本の電力のうちで水力が四分の三、火力が四分の一という大体割合を占めておるのでございまして、これは特に冬場に水の少いときに石炭相当焚きまして行いました場合にそういつた恰好になるのでありまして、ただ豊水期におきましては、こういつた火力を焚きませんでも、水力を以ちまして大体需給を賄つて行き得るという形になつておるわけでありまして、併し電力の需用は年々歳々急速に殖えておるのでございまして、戦前に比べますと電力供給量も倍近くの数字なつておりながら、なお且つ、こういつた非常に枯渇した状態にございますので、今後におきましては目先きここ一、二年間におきましては、能率の悪い発電所でございましても、早急にできるものがありますれば、これは開発いたのます。又火力につきましても、これは比較的短期間に完成いたしますから、これも早急にものになる。と同時に、先ほど申上げましたように大規模な水力の発電所をできるだけ短期間に仕上げるようにやつて参りたいと、かように存じておる次第でございます。  なお地熱の利用によります発電、或いは海水、風力による発電、いろいろ構想はございますけれども、現在のところではいろいろな條件からこれはまあ科学的な問題が非常に多いのでございますので、同時に経済的な問題もございまして、具体化するところまで行つておりません。僅かに実験程度のことをやつておる次第でございます。
  21. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 二つ、三つ重ねてお尋ねしておしまいにいたしますけれども、そんなふうに水力発電事業を施設なさいましても、本当に使いものになるのはあと三年くらいかかる。先ほど御説明があつたように思いますが、講和に伴います意外な施設が多くなるのに対しまして、政府の御予定ではやはり国内の生産を増大いたしまして、自然増収を新らしい財源として見合つて行くようでございますが、それでは間に合いそうにもございませんが、やはり石炭輸入量はかかつておるのだと思いますが、そうたくさんの石炭をインドやアメリカから持つて参りますのは遠過ぎますので、やはり中共から持つて来なければならないが、現状のままで中共からどのくらい石炭が廻してもらえるか、或いは又絶望なのか、これが一つと。先ほど御説明の中に、日本の国内には加里肥料の材料がありませんので、外国から輸入しておるそうでございますけれども、これは外国では何を材料にしているのか。加里肥料ですね、日本の国内ではどうしても可能性がないのですか。  もう一つは鋼材を輸出しているそうでございますけれども、こういうことは将来の日本のために有利であるのかどうか、これだけ一つ……。
  22. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 今年度、二十六年度上期におきましては、百十万トン程度石炭輸入がございますが、これは米国、インド、カナダ、仏印等が主でございまして、中共地区からは今年度になりましてからは輸入がございません。
  23. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 加里肥料につきましては、国内に資源がないのであります。極く少量は海藻であるとか、それから又貧鉱が少しございますけれども、これはとても経済的にそういう高いものは使い切れない。せいぜい薬品に使つておる程度でございまして、加里の資源が殆んどないのでございまして、止むを得ず輸入しておるわけで、例えば燐酸肥料工業はありますが、燐酸肥料につきましても燐鉱石、燐の資源がないのであります。全部輸入しておるという情けないほど日本は資源に乏しいのであります。止むを得ないのでございます。
  24. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 鋼材につきまして一つ……。
  25. 葦澤大義

    説明員葦澤大義君) 鋼材は、鉄鋼の中で申しすまと最終製品になつております。ただ鋼材から機械なり造船というようなもので、更に加工して輸出するということも実際上行われておるわけでございますが、そういう国内の需要を著しく圧迫しない限りにおきまして、鋼材を輸出するということは、やはり全体に見まして有利であるというふうに考えております。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 さつきの岩木議員の質問に関連して二、三点伺いたいのですが、朝鮮の石炭輸入量ですね、これは十万トンというお話でありましたが、これは月額ですか。
  27. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 大体大ざつぱに申しまして月十万トン程度でございます。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 これについての今までの実績があると思うのでありますが、先ず第一に炭質ですね、どの程度のカロリーの石炭であるのか。それから価格ですね、入札の価格がどれくらいになつておるか。それから今までの実績、こういうものについて何か資料が欲しいと思うのでありますが、委員長、これはどうですか。資料を早速欲しいのですが。
  29. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 委員長において適当にやつて行きます。
  30. 岩間正男

    ○岩間正男君 向うの……、もらえますか、委員長
  31. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 僕に対する質問ですか、向うに対する……。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 はあ。これはまとめてもらえますか。
  33. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 資料にいたしまして差上げますが、ざつと申上げますと、本年の二月から五月までの分として契約いたしましたものが四十一万九千トン程度でございます。その後参りました新契約が四十六万三千五百トンという口が一口ございます。更に最近粉炭につきまして七万二千トンというようなものがございます。価格につきましては先ほど申上げました通り入札でございまして、詳細の点はわかりかねます。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお伺いしますが、最近北海道の石炭の現地調達が非常に行われて、貯炭の量に非常に影響があるということを聞いておるのでありますが、この実相について伺いたい。
  35. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 先ほど需給の一応の計画と申しますか、予想について申上げましたのでございますが、そのうちで進駐軍用と申しますのは、大体二十六年度下期につきましては九十八万トンというふうに予想いたしております。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 北海道の実情ですよ、どうですか。その現地調達の実情についてどういうふうにこれはつかんでおるか。それが現在のこの石炭不足電力不足なつておるが、そういうものに対する影響というもの、そういうものに対してつかんでおるか。
  37. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 只今申上げました九十八万トン程度の範囲内で行われていると思いますが、詳細な事情は只今判明いたしておりません。
  38. 平岡市三

    ○平岡市三君 聞くところによりますれば、火力発電の設備が相当に遊んでおるように聞いておるのでございますが、どの程度火力の発電が遊休設備としておありになるか、その点をお伺いしたいのであります。なお私の知つておる会社などでも自家発電の、これは火力発電の設備を持つておりながら、それが十分に活動いたしておらないのであります。その原因は今日の石炭の価格では到底火力発電設備を動かしてもコスト高になりまして採算がとれんと、こういうふうなお話を聞いておるのでありますが、これに対しまして何か政府が手を打つならば、こういう遊休な火力発電設備が動いて来るんじやないかと思うのであります。その点につきましても一つ御説明をお願いいたしたいと存じます。
  39. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 只今御指摘の自家発の有効利用の問題につきましては、政府におきましてもこれを大分前から極力利用しようということでかかつておるのでございまするが、只今御指摘のように、料金の問題、石炭代の問題からいたしまして、これが十分に活用できなかつたのでございます。併しこの下期におきましての電力危機に対しまして、これを遊ばしておきますことは甚だ無駄であると考えられますので、この際これを極力動員することにいたします。ただ問題は石炭の価格が高いために、火力を焚きました場合に、電力会社から電気を標準料金でもらつております、その電力料金と比べますと非常に高いものにつきますので、これを補償するという形には甚だ持つて行きにくい点がございますので、自家用の発電所でその発電の余力のあるものにつきましては、これを電気事業者が委託発電の形で処理いたしまして、実際にかかりました実費を当該会社に出すと、こういう形でこれを極力活用いたしたい。かように存じておる次第でございまして、この点は一両日中にはつきり決定をいたしまして、この動員態勢を整えたい、かように存ずるわけでございます。それで大体その場合にどのくらいの電力増強ができるかと申しますと、私どものほうの予想としては大体三億三千万キロワツトアワーぐらいをこの下期におきまして増強できるというように考えるのでございまして、これは当初の計画におきましては、大体一億キロワツトアワー程度の委託発電を考えておつたのでございますが、二億三千万キロワツトアワーくらいに余計にこれを増強しよう。その場合に石炭の量にいたしますと、純増といたしまして二十五万トン程度の炭が余計要ることになるのでございますが、これも電力会社火力発電を動員いたします場合と同じように、強力に石炭を集める措置をとりたいと、かように考えておるのでございまして、この措置は一両日中にははつきりきまりまして、先ほど申上げましたように全面的な動員ができ得ることになろうかと考えております。
  40. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 電力のほうはまだ公益事業委員会のかたもおいでにならないのですから、石炭で今御説明なつてお聞きしたいと思いますことは、大体来年度に持越す石炭が百十万トンぐらいの貯炭で持越されると、こういうお話のようであります。大体百万トンの山元と港頭と消費地の貯炭ですから、大体私どもの常識からいうと貯炭がないのと同じなんです。どういうふうにお考えになつておるかよく存じませんが、実は私はこの間北海道に行つて室蘭に四万トンの貯炭があるということを当局者から聞いたので、それは貯炭のないことだろう、こういう話をしたんであります。で行つてみますと私の言つた通り、それはみんな泥の中に埋つておる石炭なんだ。大体我々の常識では港頭に一万トンやそこらの貯炭はみんな泥の中に入つておる貯炭なつておつて、それは受渡から生ずる計算上の貯炭に過ぎないということが明らかなんであります。そういたしますとこれからお考えにならなければならんことは冬期に臨んでおります。冬期に臨むと御承知の通り天候によつて輸送はいつでも断絶する。そうするとそういうふうな貯炭状況では、少しの需要が殖えて参りますると到底応じ切れない。大体お考えになつてもおわかりになると思いますが、又今頂戴いたしました表から見ましても大体月三百万トンくらいは要るのでありますから、十日分が山元と港頭と消費地に分れておつて、本当に日本の経済の正常な運行ができるとお思いになるかどうか、この点私ども非常に不安に感じなければならん第一点であります。  それから第二点を申上げます。第二点は今年の二月に石炭の争議があつた大体あの時分に、私の記憶に誤りがないといたしますれば四百万トン近くの貯炭があつたと思うのですが、それがずつと食いつぶしになつて来て現在百万トンくらいの貯炭しかない。炭鉱の争議というものもまだ本当に円満に解決されておると思わない。そうするとです、労働争議が一旦起りましたときには百十万トンそこらの貯炭を目安に経済の正常な運行を一体できるのかどうか。こういう二つの点について御心配がないのかどうかということを私は承わりたいと思うのであります。  それから先ほどの御質問に関して委員長に特にお願いいたしておきたいと思いますことは、現在の火力発電所の設備能力、石炭を一ぱいに食わせましたらどれくらいの発電量が、電力が殖えるものかどうか。現在どの程度がそれを使用されておるかというふうな表は、後日是非政府のほうからお取上げになつて頂きたい、これだけお願いいたしておきます。
  41. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 貯炭の百十万トンは只今お話のございました通り、本当のぎりぎり一ぱいと申しますか、貯炭と名をつけるほどの貯炭でないという点は私どもそのように考えております。従いましてこの貯炭を以ちましてこの冬やつて参るという上におきましては、いろいろ心配な点があるというふうに考えております。その一番大きい問題の一つは只今御指摘のございました賃金改訂に伴いまする問題でござまして、本年二月の場合におきましては、ストライキによりまする減産が八十五万トン程度であつたというふうに存じております。只今賃金交渉の段階は、労働者側の要求に対しまして、その対策が経営者側から一応出されておる、これから本格的な交渉に入るという段階というふうに存じております。石炭業界、経営者側におきましても、目下の深刻な石炭事情の逼迫の様相はよく承知いたしておりますので、極力ストライキを回避いたしまするように誠意を以て交渉に当ると存じますし、又そういうふうに期待しておる次第であります。万一ストライキに入りました場合におきましては、最小限度に必要な緊急方面に対しまして貯炭なり乃至はストライキに入りません炭鉱なりからの優先的な石炭確保につきまして、何らかの手を打つて参らなければならないだろうというふうに存じておる次第であります。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほど、中小炭鉱相当の融資をして増炭を図つて危機突破の対策を立てておられると、誠に私は結構だと思うのでありまするが、中小炭鉱はこの前もいろいろあとの整理問題等で相当悩んだこともあるのでありまするが、どういう資金の出し方をしているか、というのは選炭設備の増強であるとか、或いは企業の経営を合理化しつつ、増炭するような方向に向けて金を出しておられるのかどうかということを伺つておきたい。  それからもう一つは十億前後の資金で二十万トンの増炭が、只今平年度ならば七十万トンというような話がございましたが、非常にきき目のあるものならば、而も合理的な資金の出し方であれば十億を二十億、或いは三十億にしてこの電力危機対策をやつてもう少し増炭が可能なものであるかどうか、この二点をお尋ねいたしたいと思います。
  43. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 中小炭鉱に出しまする資金の内容でございますが、これは坑道の関係、或いは坑内の器材の関係、選炭機の関係、運搬積込設備の関係、その他の設備関係といつたようなものが内容でございます。先ほど申上げましたように開発銀行からと、それから日銀の斡旋によりまする市中融資、双方から出して参りたい。その場合に増産分を電力会社方面に交渉いたしまして、電力会社に補償してもらいたいというふうに考えております。なおこの方法によりまする増産の期待量は先ほど申上げた通りでございますが、実はそういう方法によりまして、増産を期待できるだろうという山を選び出しまして、それに対しまして嚴格な査定を加えまして、この山の客観的な條件、或いは主観的な條件、その他詳細に検討いたしました結論が、先ほど申上げたような程度でございますので、それ以上に殖やすことは差当りいろいろな点で無理が出て来るのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  44. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 堀木委員、何か続いてありますか。
  45. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 いや、ようございます。
  46. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私肥料問題でお尋ねしたいと思うのですが、本年の二、三月頃には過燐酸肥料が非常に不足したために、各方面でいろいろな陳情その他が行われて困つておつたことを聞いております。今年の計画においては、これだけあつたならば過燐酸肥料需給の調節ができるとお考えになるかどうか、この点を先ず最初にお尋ねする次第であります。
  47. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 先ほど資料で御説明申上げました通り、本年は百六十万トンの計算を出しまして、更に十万トンの増産計画を立て、百七十万トンにする予定をもつておるのであります。  過燐酸は比較的電力の供給も少くていいのであります。燐鉱石は相当順調に輸入をされておりますので、この程度生産計画を以ていたしますれば、大体需要量は賄えると、昨年の生産実績は過燐酸が百三十五万四千トン、その他燐酸肥料というのが十七万九千トン、合計百五十三万三千トンの計算をいたしました。  なお前年度は公団に先渡の過燐酸もありましたが、昨年国内に供給いたしました肥料は、過燐酸肥料は百六十七万トン程度なつておりますので、その程度の数量であれば大体よかろうということで、主管官庁たる農林省、安本等とも相談をいたしましてこの程度なつたものでございます。
  48. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今の御説明で日本全国としては、需給のバランスがとれるかわからないのでありますけれども、不幸にして九州方面に過燐酸肥料工場が少いのであります。でありまするから過燐酸問題は常に九州から起つて来るのであります。然るに九州の肥料工場では更に全能力を発揮すれば、より以上に過燐酸肥料を製造する能力があるのでありますが、そういうふうな需給関係から九州の遊んでおる、或いは余裕のあるところの工場に全馬力を出させて増産させ、九州における過燐酸の不足を補うというような対策をとられる考えであるかどうかお尋ねしたいと思います。
  49. 柿手操六

    説明員柿手操六君) お答えいたします。昨年の八月一日から肥料の価格配給統制というものを撤廃をいたしましたのでありますが、法的にどの工場に幾ら造つてくれということはできませんが、農林省とも十分連絡をとりまして、できるだけ必要な所に生産ができるように指導いたしておるわけでございます。
  50. 小酒井義男

    小酒井義男君 石炭のほうのことについてお尋ねしたいのでありますが、この四月から九月までの表を頂いておる。この間の輸入炭のトン当りの單価の異動がどういうような、値上り状態がどういうふうになつておるかということと、それから最近の輸入炭のトン当りの單価というものはどのくらいのカロリーのもので、幾らくらいしておるかということ、その二点を御説明願いたいと思います。
  51. 葦澤大義

    説明員葦澤大義君) 外国からの輸入炭のうちで、鉄鋼が使います強粘結炭が輸入の中の一番多いわけであります。アメリカから今年は百七十万トン買付する予定なつております。現在C—F三十ドルでございます。FOBは余り変つておりませんが、運賃が御承知のように相当上りまして二、三倍になつたんぢやないかと思いますが、最近運賃も横ばいをいたしておりまして、大体三十ドルで現在は落着いておるようであります。
  52. 小酒井義男

    小酒井義男君 この六カ月間くらいに物の異動は、トン当りの單価の値上り状態というようなものは、どういう傾向をたどつておりますか。
  53. 葦澤大義

    説明員葦澤大義君) この半年余りは別に異動はございません。
  54. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 実はこの電力のほうは公益委員会の何が来ておりませんので安本関係だけでございますが、問題が問題だけにやはり一方の責任者が来て、十分説明があつた上にしたほうがいいと思いますが如何いたしましようか。
  55. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会