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1951-10-25 第12回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十五日(木曜日)    午後一時三十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十月十七日委員下條恭兵君及び岡崎真 一君辞任につき、その補欠として、山 下義信君及び深水六郎君を議長におい て指名した。 十月十八日委員野田卯一辞任につ き、その補欠として、溝淵春次君を議 長において指名した。 十月十九日委員山縣勝見辞任につ き、その補欠として、加納金助君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     和田 博雄君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            石原幹市郎君            小野 義夫君            郡  祐一君            溝淵 春次君            白波瀬米吉君            一松 政二君            深水 六郎君            山本 米治君            荒木正三郎君            伊藤  修君            内村 清次君            上條 愛一君            小酒井義男君            松浦 清一君            山下 義信君            小林 政夫君            前田  穰君            結城 安次君            鈴木 強平君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君    郵政省経理局長 中村 俊一君    郵政省経理局主    計課長     佐方 信博君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君   説明員    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○公聽会開会に関する件 ○昭和二十六年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算補  正(機第二号)(内閣送付) ○運賃及び郵便料金に関する件   ―――――――――――――
  2. 和田博雄

    委員長和田博雄君) これより予算委員会開会いたします。  先ず理事補欠互選の件についてお諮りいたします。先般理事でありました櫻内義雄君が委員辞任されました。従つて理事が一名欠員中でありますが、この補欠互選を行いたいと思いますが、互選の方法は先例によりまして、委員長の指名によることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないと認めまして、私より櫻内義雄君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  4. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 次に委員会運営についてお諮りいたします。昭和二十六年度補正予算審査は、先般委員長理事打合会で協議決定いたしました別紙日程によりまして審査を進めて行きたいと思いますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないものと認めます。なお開会原則として午後一時より開きますから、御承知お願いいたします。   ―――――――――――――
  6. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 次に公聽会開催の件についてお諮りいたします。先般の委員長理事打合会におきまして、昭和二十六年度補正予算は種々重要な問題を含んでおりますので、公聽会を開き各方面より意見を聞いたほうがよかろうと決定いたしたのでございますが、この打合会において決定しました通り公聽会を開くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  7. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないものと認めまして、そのように決定いたします。なお公聽会日程表通り十一月一日、二日の両日開くことに決定いたしますから、御了承お願いいたします。  次に公聽会開催に関する手続及び公述人の選定は委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  9. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは昭和二十六年度補正予算について池田大蔵大臣説明を求めます。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十六年度補正予算の大綱につきましては、本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、改めて御説明申上げます。  本年度補正予算は、平和條約締結後の情勢に対処し、飽くまで健全な経済を営みつつ、経済基盤充実と、国民生活の安定を図ることを目的として編成されたものでありまして、講和に伴う諸般の措置を講ずることといたしましたほか、当初予算において主眼といたしました財政収支均衡国民負担調整軽減産業育成合理化のための政府資金活用等の面について特に留意したのであります。  次にその内容の大体について御説明申上げます。先ず一般会計歳出終戰処理関係経費補正について申上げますと終戰処理事業費は去る七月一日以降所要経費のほぼ半ばを米国が負担することとなりました結果、当初予算より百七十五億円を減少いたしましたが、一方連合国軍に提供いたします物品役務等調達のため特別調達資金が設けられましたので、これに七十五億円を繰り入れることといたしました。又連合国軍による使用解除財産補償漁場損失補償等に必要な経費十三億円を終戰処理業務費に追加することといたしました。平和回復善後処理費として百億円を計上しておりますが、これは平和回復に伴いまして、その善後処理のため支出を必要とする事項が発生することも予想されますので、これに備えることといたしたものであります。  次に公共事業費につきましては、積雪寒冷單作地帶対策のため二十億円を追加し、経済的に遅れた積雪寒冷單作地帶における農業生産基礎條件を速かに整備する目的を以て灌漑、排水事業開拓事業及び土地改良事業を積極的に行うことといたしました。又木材需給緊急性森林法改正に基く伐採制限強化に伴い、未開発森林資源活用を図るため奥地幹線林道を新設するに要する経費として七億五千万円を追加することといたしました。又六・三制による校舎整備につきまして九億五千万円を追加して、その整備計画を確保することといたしました。  次に貿易規模の擴大等による円資金不足に対処するため、外国為替資金特別会計への繰入を三百億円増額することといたしました。食糧管理特別会計への繰入百億円は、食糧価格改訂等に伴う運転資金不足額を補填するためのものであります。  次に本年度当初予算において、農林漁業開発保全を図る目的を以て、長期低利資金融通のため農林漁業資金融通特別会計を設置し、一般会計より二十億円、見返資金より四十億円、計六十億円を出資したのでありますが、その後積雪寒冷單作地帶振興のための土地改良資金奥地林道開発資金森林法改正に伴う伐採調整資金並びに漁業制度改革を成果あらしめるための製氷冷凍施設資金、その他の共同施設資金等資金需要増加伴つて一般会計から三十億を出資するほか、資金運用部から三十億円を借入れ、当初予算と併せて百二十億円の資金により農林漁業資金融通擴充を行うことにいたしました。  次に一般会計より三十億円を出資して糸価安定特別会計を新たに設置いたし、これにより生糸価格の異常な変動を調整し、以て生糸輸出増大を期すると共に、蚕糸業経営の安定を図ることといたしました。又輸出貿易の振興を図るため、輸出信用保險法改正して、長期亘つて代金決済のなされるプラント輸出を対象とする新種信用保險を実施することとし、これに必要な資金として一般会計より輸出信用保險特別会計へ十億円を追加繰入れることといたしました。  次に国民金融公庫に対して一般会計から十億円を追加出費すると共に、別途資金運用部より二十億円を融資いたしまして、最近の庶民金融需要増大に対処するほか、新たに中小企業金融の一翼としての活用を図ることといたしました。又住宅金融公庫に対しては、一般会計から三十億円を追加出資するほか、資金運用部より三十億円を融資することといたしており、この結果同公庫の融資住宅は当初の計画に比して五千戸を増加し、計四万六千戸の住宅建設を確保することとしております。  次に日本輸出銀行に対し二十億円を、又日本開発銀行に対し七十億円を更に出資し、輸出産業資金及び経済開発資金積極的擴充を図ることといたしました。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資二百億円は、近く国際金融機構への加入を予定されておりますので、これに対処するためのものであります。  次に、地方財政平衡交付金増額について申上げます。昭和二十六年度地方財政は、当初の見込に対し、職員給与改善等により歳出増加が予想される一方、法人事業税その他の税收入等相当増加見込まれております。併しながら財政需要増加は各地方団体のいずれにおいてもおおむね平均的に予定されるのに対して、收入増加地方団体によつて相当な不均衡があり、この結果歳入不足を告げる団体も生ずるものと考えられます。各地方団体においては今後経費の徹底的な節減と地方税收の確保に努めることが急務であると共に、このような歳入不足は、地方財政平衡交付金の配分を適正にすれば、相当に補填し得られるものと考えますが、当面これによつて調整し得ない部分もありますので、今回地方財政平衡交付金を百億円増額することとしたのであります。なお、地方債につきましては、別途その起債の限度を百億円増加いたす考えであります。  次に、郵政事業特別会計につきましては、業務量増加給与改善及び物価騰貴等のため、相当経費増加を予想されますので、人員の整理物件費節約等により極力経費の圧縮に努めることといたしましたが、なお当の赤字が予想される状態であります。今回郵便料金改訂を行い、独立採算制を維持する方途を講ずることといたしましたので、本年度における赤字は当初の見込に比して若干減少することとなり、これに伴い一般会計より同特別会計への繰入額は、当初の三十五億円を二十九億円に改めたのであります。  郵便貯金事業特別会計損失補填十四億円の増加は、業務取扱職員給与改善及び取扱物件費増加等によるものであります。  在外公館等借入金処理につきましては、整理準備審査会において借入金確認事務を行なつて参りましたが、今回その確認に基いて返還を実施することといたし、これに要する経費国債整理基金特別会計に繰り入れることといたしました。  警察予備隊につきましては、平和回復後の国内治安を確保するため、その装備強化施設充実隊員給与改善等に充てるため、百五十億円を追加計上いたしました。  国家地方警察につきましては、警察法改正に伴い、自治体警察国家地方警察への編入及び編入した警察装備保全充実を行うために必要な経費並びに警察官及び警察職員給与改善等のために必要な経費を計上しております。  遺家族等援助調査費は、戰歿者遺家族及び戰傷病者援護対策を確立するため、その準備調査を行うに必要な経費であります。  学校等給食は従来米国援助によつて行なつて参つたものでありまして、対日援助の打切り後においては特に政府の補助を要しないものとも考えられましたが、本年度に限りその継続を容易ならしめるため、本年十一月から明年三月までの分として必要な経費一般会計から支出することといたしました。  以上のほか、農業保險費農業委員会費農林漁業組合再建整備費小型底曳網等減船整理費、その他当初予算成立後に生じました諸種の事案につきまして、必要な予算措置を講じているのであります。  次に公務員の給与は民間に比して相当低位にあり、特に米価改訂等による最近の生計費の上昇に対応してその引上の必要が認められますので、本年十月から平均約千五百円の増額を行いますと共に、年末手当を〇・五カ月分から〇・八カ月分に引上げることといたし、これについては別途法律案の御審議をお願いすることとしておりますが、これらのため本年度における所要額として一般会計八十七億円、特別会計七十一億円、国鉄其の他の政府関係機関百七億円合計二百六十六億円を追加計上しております。  又、政府は今回行政事務簡素合理化を図り、定員整理を断行することといたしました。その整理定員一般会計四万七千余人特別会計四万六千余人国鉄其の他政府関係機関二万七千余人合計十二万一千余人と相成つておりまして、これにより平年度におきまして二百億円以上を節約し得る見込であります。  政府は本年度予算の実行に関し、本年六月閣議において一般事務費予算節約を行うことを決定いたしましたが、その節約に基く不用額として一般会計十三億円、特別会計二十五億円、専売国鉄四億五千万円、合計四十三億五千万円を今回の補正予算において削減いたしております。  次に、先に申上げた郵政事業のほか、電気通信事業及び日本国有鉄道におきましては、独立採算制を維持するため、極力経費節約に努めたのでありますが、半面職員給与改善物価騰貴による物件費増加等によりまして、事業運営費増大は避けられない状態にありますので、今回最小限度運賃及び料金引上を行うことといたし、別途法律案の御審議をお願いすることとしている次第であります。  次に歳入予算補正について申上げます。租税及び印紙收入におきましては、主として朝鮮乱後の法人企業收益増大の結果千五百六十八億円に上る自然増收見込まれることとなつたのでありますが、これにより、先に申述べました歳出増加を賄うと共に国民租税負担調整軽減を行い得ることとなつたのであります。これに必要な法律案は別途国会に提出いたしましたが、所得税においては、基礎控除額及び扶養控除額引上げ税率調整並びに退職金課税軽減を行うことといたし、法人税については税率を若干引上げる一方、徴收猶予制度及び退職手当積立金損金算入を認めることとするほか、重要産業近代化を一層促進するため、特定の機械設備について特別償却制度を合理化することといたしております。以上の税制調整によりまして、本年度内における減税額は四百五億円と相成ります。  このほか、租税外歳入につきましては、煙草の売行増加による日本専売公社益金増加四十五億円及び雑收入において日本銀行納付金増加三十二億円、貿易特別会計整理收入増加八十五億円等の補正を計上いたしております。  以上補正予算の大要を御説明申上げました。なお詳細は政府委員より説明いたさせます。何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  11. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 政府委員の補足的な御説明を求めます。
  12. 河野一之

    政府委員河野一之君) 私より補足的な御説明を申上げます。  先ずこの予算全体を通じた問題について総括的に申上げたいのでございますが、国際收支の問題でありますが、国際收支につきましては、最近の状況に基きまして、当初予算見込んだところを大分改訂いたしております。当初予算におきましては、外貨受取を十四億六千万ドルと見ておつたのでございますが、改正いたしまして、二十一億四千四百万ドルといたしております。その内訳輸出におきまして十三億円四千四百万ドル、特需が三億ドル貿易外四億ドル貿易外四億ドルのうち一億ドル程度駐屯関係であります。それからガリオア返却分が一億ドルあるのであります。ガリオア返却分と申しますのは、多少技術的に相成りますが、前年度においてコンマーシヤル勘定で輸入いたしましたものをガリオアのほうに振替えまして、ガリオア勘定のほうからドルをもらう、こういう関係に相成る金額であります。外貨支拂のほうにおきましては、支拂を十九億七千万ドルと見ております。当初におきましてはこれが十三億八千二百万ドルということになつてつたのであります。この内訳一般輸入におきまして十八億一千六百万ドル貿易外におきまして一億五千四百万ドルとなつて、この結果一億七千四百万ドル受取超過でございます。但しこの中には円收支関係のない部分があるのでございます。つまり先ほど申上げましたガリオア返却分のうち、政府輸入相当する四千五百万ドル円收支を伴いませんので、円收支関係におきますドル受取超過は一億二千九百万ドルでございます。四百六十四億円でございまして、これが基礎となつて外為の繰入れということを計算いたしている次第であります。  次は物価関係でございまするが、物価関係におきましては、前回当初予算を編成いたしました当時から相当物価賃金等上つて参つていることは事実でありますが、原則として物価騰貴に関する経費を計上いたしておりません。一般会計におきましても、却つて物件費、旅費について相当節約をいたしているのであります。但し鉄道郵政電通等事業会計におきましてはそういうわけにも参りませんので、或る程度物価騰貴を見ております。たとえて申しますれば、国鉄におきましては、当初石炭は六千二百カロリーのものを三千円と予定いたしておつたのでありますが、上半期の実績は六千四百カロリーのもので三千五百円程度、同じく下半期におきましては同じカロリーのものが四千三百円程度実績になつておりますので、こういう入札の炭価を基礎として編成いたしております。その他一般国鉄のレール、その他枕木等の値上りもそれぞれ最近の実情において組んだのでございまして、大体国鉄関係が六割乃至六割五分程度の当初予算に対する騰貴を認めているのでございます。電通関係におきましても同様でございまして、保守関係において約五割、建設関係において六割五分程度価格騰貴関係経費を織込んでいるわけであります。その他につきましては、大体予算單価は変えなかつたのでありますが、ただ一般会計におきまして、六・三制等関係におきまして、特殊の事情にありますものについては多少見たものもございます。  それから米価の問題でありますが、米価は九月末におけるパリテイを二百五十と予定し、これに五%の加算をつけました七百三十円という予定価格で組んでございます。消費者価格は今年の八月から十八・五%引上げたのでありますが、その單価でそういう計算の下に百億円のインベントリーを計上いたしておる次第であります。  運賃につきましては、旅客が二割五分、貨物が三割五分という計算でございます。  それから郵便料金は葉書が二円が四円、封書が八円が十二円、小包、速達は二〇%程度引上げ平均いたしまして四〇%程度引上げにいたしております。  電通関係におきましては、電報の今まで十字まで三十円というのを四十円にいたし、五字増すごとに十円を十五円ということにいたしております。電話料金につきましては、度数料金制基本料金二〇%、均一制のところは三〇%、通話料は二円を五円、公衆電話は一円を五円ということで、大体平均いたしまして二七%の引上げに相成つております。一般会計におきます電力使用料その他はこういうような計算基礎としていたしておるわけであります。  それからその次は給与引上げの問題でございまするが、先ほど大蔵大臣から金額の御説明があつたのでありまするが、今年の十月一日現在におきまする政府職員平均給与水準は八千五百六十九円になるものと推定いたしております。新らしい俸給表を適用いたしまして、つまり千五百円アツプの俸給表を適用いたしました結果は一万六百二円になる予定でございます。正確には千四百九十三円上ることに相成ります。先般出ました人事院勧告によりますと、一万一千二百六十三円ということでございますが、私のほうの最近の級別定数によつて計算いたしますると、一万一千二百五十五円ということに相成るようでございます。給与関係経費は千五百円の引上げの分が一般会計特別会計政府機関を通じまして二百三十四億円、それから年末手当を今回〇・五カ月を〇・八カ月分に引上げましたものが一般、特別及び政府機関を通じて三十二億円、合計いたしまして二百六十六億円ということに相成る次第であります。人事院勧告によりますものを採用いたしまするというと、今年度において百二十六億円、平年度において二百九十億円程度の財源を更に必要といたすことに相成るかと考えます。  次は行政整理の問題でございますが、行政整理一般会計特別会計政府機関を通じまして十二万一千三百十四人と一応計算せられます。この職員の大体半数程度のものが三月末までに退職するであろうという前提の下に予算を組んでおります。実際はそれより多くやめるかも知れませんし、或いは少なくなるかも存じないのでありますが、一応の予定はそういうふうにして組んであるのでございます。退職手当は三月までに退職せられたかたにつきましては、従来の退職手当の八割増し、四月以降六月までの者につきましては四割増しということに相成つております。二十六年度におきましては退職手当の額の関係上、一般、特別、政府機関を通じまして四十三億六千万円ほどの持出しに相成るのでございます。併し平年度におきましては二百七億円の経費節約になる見込でございます。  次は財政投資の問題でございまするが、経済自立の促進という意味合いにおきまして、今回の補正予算につきましては相当大幅に財政投資をやつているのであります。積極的な擴充を図つているのであります。一般会計におきましては当初予算におきまして七百七十八億円の財政投資があつたのでございますが、補正予算において八百億円を殖やしております。そのうち五百億円は外為でございますが、八百億円ほど増加いたしております。それから資金運用部関係におきましては、当初千百二十億円の投資であつたのでありますが、百三十億円ほど増加いたしております。見返資金運用計画公企業、私企業を合計したものが五百六十八億でありましたが、百三十五億更に増加いたしております。資金運用部の百三十億の新らしい資金国鉄に五十億、電通に二十五億、地方債に百億、それから農林漁業金融に三十億、住宅に三十億、国民金融公庫に二十億といたしております。それから国有林野に対して当初三十億を貸付ける予定でありましたが、国有林野収支状況は最近非常に好転いたしまして、これは借入金を要せざる状況でありますので、当該金額をほかのほうに廻した次第であります。見返資金の百三十五億は電力百億、造船三十五億と一応予定いたしております。  次は減税の問題でございますが、これは詳しくは主計局長のほうにお願いいたすことにいたしまして、全般的な問題としてはその程度にいたしまして、次は個別的な問題について多少申上げてみたいのでございます。お手許に印刷をいたしました予算補正概要というものが行つておると思うのでありますが、これについて御説明申上げます。第一ページにありますが、昭和二十六年度一般会計歳入歳出予算及び補正予算額調というのがありますが、歳入におきまして、租税及び印級収入当初四千四百四十五億が追加、減少差引きまして千百六十三億円を増加いたしております。これは最近における税收の状況、殊に法人の企業收入増加状況からしてこの程度の増收を見る予定であります。官業及び官有財産收入におきまして、補正額のところで百三十五億を増加いたしております。このうち専売益金は四十五億円でございます。専売公社におきます「たばこ」の製造本数、販売本数は当初八百二十億と見ておつたのでありますが、改訂いたしまして八百三十四億ということに相成つております。その他品種の内容転換がございまして、殊にピースの売行きがよかつたというような関係で四十五億の増收を見たのでございます。それから貿易特別会計におきまして残余財産の処分の経費が当初予算にも計上いたしておつたのでありますが、価格の値上り等の関係で八十五億を増加いたしております。雑收入におきましては、日銀納付金で三十二億、公団の納付金において二十億円を増加いたしております。そのほか減少いたしたものといたしまして、終戰処理收入が七月から一部半分程度ドル拂いになりました関係上、その收入が十億減少いたしております。  次は歳出のほうであります。これは一枚めくつて頂きまして、第一の終戰処理関係経費でございますが、追加額が九十二億九千八百万円、減少が百七十五億四千八百万円、差引八十二億ほどの減少となつておるのでありますが、終戰処理費は御承知のように七月からアメリカ軍関係において半々の負担に相成ることになつております。つまり労務費を主として、備品費、役務費等までも入れて、大体二分の一程度をアメリカ政府において負担するということに相成つておるのであります。ただこれはアメリカ軍関係だけでございまして、そのほか英濠軍関係、それから戰争裁判の関係、アライド・ミツシヨンの関係経費、或いは海洋定点観測の経費等は講和発効まで全額日本政府が負担することになつておるのでございます。従いまして四月から六月までの間の米軍の経費、それから前年の只今申上げたような経費、これは五十三億円ほどになるのでありますが、これだけは日本政府の負担になる。七月以降のものについて二分の一負担をいたすということに相成りますと、大体この程度金額の減少に相成るわけであります。正確な計算をいたしますと、もう少しの金額が出るのでございますが、当初予算編成の当時に比較いたしまして物価が多少上つておる。賃金も多少上つておるという関係で、百七十五億の減少にとどまつた次第でございます。それから百七十五億減少いたしますと共に、追加額の九十二億の中に七十五億円という特別調達資金繰入れというのがあります。これは七月から労務を連合軍が調達いたしまするにつきまして、一定の資金を作りまして、米軍におきましてはドルで拂うのでありますが、一応日本政府におきまして円で拂つておきまして、四十五日乃至六十日の精算期間を置きました後におきまして拂つてくれる。労務者の一人あたりの單価ドルで契約いたしておるのでありますが、その立替拂いの資金の繰入れが七十五億円ございます。このドル受取外為を通じて行うのでありまして、又特別調達庁における一般的な総掛り費として、労務者一人あたり三千三百七十九円もらうということに相成つておるのであります。追加額その他の経費が約十三億円ほどあるのでございますが、これは住宅の接收解除に伴う原状回復でありますとか、或いは漁場の補償でありますとか、そういつたような経費を考えておるのでございます。次の二の平和回復善後処理費でありますが、百億円、平和回復資金つまり平和條約が発効する時期は予測できないのでございまするが、仮に年度内に発効いたしました場合、或いはその前後におきまして各種善後処理経費を必要とすると思われるのでございます。従来終戰処理費で支弁しておりました国内の賠償施設の維持管理、或いは連合国財産の問題、旧中立国の財産の問題、こういうような問題につきまして、従来は終戰処理費で出しておつたけれども、今後は違つた形態にならなければならない。賠償施設のごとき還すといたしましても、暫定的な維持管理の経費がいるということが考えられます。又連合軍関係の建物施設等の接收されたものが順次帰つて来ると思うのでありますが、その維持管理の経費も必要でありましようし、又模様変え等のことも問題になろうかと思います。そういつたような関係で当面百億円を計上いたしまして、年度平和回復があつた場合におきましても、万遺憾なきを期したいと存じておる次第でございます。公共事業費でございますが、公共事業費に追加と減少と両方ございますが、一般公共事業費におきまして二十億円を單作地帶の対策のために計上しております。七億五千万円を奥地林道の開発のために計上いたしております。既定の経費の中で多少のやり繰りをいたしまして、地盤沈下でありまするとか、緊急砂防工事、治山の経費を振り替えて計上いたしておりまする関係上、追加と減少と両方現われておる次第であります。六・三制の関係といたしまして九億五千万円を計上いたしております。  それからその次の出資及び投資でございますが、先ず外為の三百億でありますが、これは当初予算に五百億を計上いたしまして、今回補正予算におきまして三百億、合計八百億ということに相成る次第であります。先ほど申上げましたように円收支関係のあるドル受取超過が一億二千九百万ドル、四百六十四億円でありまするが、その他に外為の勘定といたしましては、甲種残高が二十五年度末に比較いたしまして、相当減る見込みでございます。つまり当初におきましては甲種残高の減少が百五十六億と見ておつたのでありますが、これが七百三十七億円と大幅に減少いたすのであります。この原因は今年の一月乃至三月は相当の輸入の積極的な促進が行われた。これが平準化いたしたということが一点であります。つまり甲種貸付でありまするから、外為が日銀にドルを売りまして円を調達するわけでございますので、その甲種貸付が減るということは円收入外為としては不足する、こういう関係になるのであります。その輸入促進の関係が平準化したという一点と、いま一点は三月十九日から外為のマージン・マネーつまり信用状開設の場合におきまして、一〇〇%のマージン・マネーを積んでおつたのが五〇%積むということに改められたわけであります。つまり五〇%だけ外貨を売つて円を調達するのが減つたわけであります。そういつた関係で、両方の原因で七百三十七億というものが円として不足する。従いまして先ほど申上げました四百六十四億円と七百三十七億円を足しまして、千二百一億円の円が更に不足するようになつたのでございます。外為年度末までの收支を見ますと千三百十七億円の資金を要するのでありますが、この調達の方法といたしまして、前年度繰越しによりまして三百十七億円、一般会計からの繰入れによりまして、八百億円、後ほど申上げます国際通貨基金に対しまして出資の場合におきまして、外為からドルを買つて出資する予定にいたしておりますので、その関係から二百億円、合計いたして千三百十七億ということに相成りますが、これから先ほどの千二百一億円という收支を引きまして、年度末に百十六億円という現金が残るのであります。これが予備費とでも称すべきものでありますが、外為の普通の取引は七十億乃至八十億円程度でございますが、この程度の予備費は必要であろうと考えておるのであります。  食管の百億は先ほど申上げました通りであります。農林漁業でありまするが、これは当初予算におきまして、見返資金から四十億、一般会計から二十億円でスタートいたしました。今回一般会計から三十億円借り、更に資金運用部のほうで三十億借りる予定でありますので、資金は倍額になるわけでございます。新らしい六十億の資金の運用の見込といたしましては、土地改良に二十九億、林業に九億、塩業に三億、水産或いは畜産関係の共同施設に十九億というふうに一応予定いたしております。  その次は糸価安定の三十億でありますが、最近における糸価の状況に鑑みまして、政府によつて生糸を買入れ操作し、価格の安定調節を図ろうとするものでございます。この価格を如何にきめるか、つまり最高の価格を定め、最低の価格を定めて最高価格を突破したときは売り、最低価格を割つたときは買うという操作をいたすわけでありますが、今年の我々の計算といたしましては、一応二十四万円というものを最高価格に置いて、十四万五千円を最低価格に見ております。勿論これは法律を本国会に提出して御審議をして頂きたいと思いますが、予算の積算といたしましてはそういう考え方を持つておるのであります。二十四万円という最高価格は今年の一月頃におきます生糸の価格一ポンド五ドル五十セント程度である。米と繭との比価率というようなものを考えて一応そういうふうに設定しております。最低価格のほうは、繭の生産費の七五%というようなことで、十四万五千円の二万俵ということで一応予算計算をいたしているわけであります。  次の輸出信用保險でありますが、輸出信用保險は従来被仕向国における戰争、或いは輸入の制限、為替の制限、日本における輸出制限、こういつたような非常危險だけを信用保險する制度であつたのでありますが、東南アジア開発その他の問題にからみましてプラント輸出を積極的に促進するという建前で、長期の債権を安全を保障する、つまり代金債権の商業上の危險を担保するという目的を以て新らしい新種の保險、従来のものを甲種保險、―新らしいものを乙種保險と称しているのでありますが、乙種保險を設けるための基金として計上いたしているのであります。  次に金融公庫でありますが、今回一般会計において十億を増資いたしますると共に、資金運用部のほうより二十億を借入れることにいたしております。国民金融公庫は六十億の資本金を持つており、二十九億の更生資金貸付金を持つているのでありますが、最近の資金状況に鑑みまして、貸付けの状況に鑑みまして積極的に増加しようとするものでございます。住宅金融公庫でありますが、住宅金融公庫の当初予算におきましては、一般会計から五十億の出資、資金運用部のほうから五十億の借入れであつたのでありますが、今回一般会計から三十億、資金運用部から更に三十億ということで、百六十億に合計資金がなるわけであります。当初におきましては、四万一千戸程度住宅の建築を予定いたしておつたのでありますが、物価関係で減りまして、今回追加によりまして四万六千戸程度建設ができる予定であります。年度末までになりますと、従来の分を合せまして十一万一千戸というものが建築される予定になつております。  次に輸出銀行でありますが、輸出銀行は二十五年度にできましたものでありまして、当初は一般会計及び見返資金からおのおの二十五億円ずつでスタートいたしました。二十六年度の当初予算におきまして、一般会計、見返りおのおの五十億ずつ、つまり百五十億の資金を持つております。今回更に二十億を追加して百七十億の資金となるわけであります。九月末におきまして四十九億ばかりの貸付を現在いたしております。  開発銀行は、今年度見返資金から百億の出資でスタートいたしたのであります。今回七十億出資するのでありますが、御承知のように復金の貸付が回收金の予算上の予算を超えた増額分というのは、今年度においては復金の新規出資に相成るという関係になつているのでありますが、これは法律の規定でございますが、その分が八十億ほどございますが、年度内二百五十億円の資金がある、こういうことに相成つております。  次は国際通貨基金及び国際復興開発銀行、出資金二百億円でありますが、国際通貨基金につきましては、去る八月頃加入の要請をいたしました。最近の機会、十一月頃には理事会が開かれて、日本の加入を審議する模様であります。うまく行けば年度内、遅くも来年度早々には加入できる見込みでありますので、今回この経費を計上いたした次第であります。この基金に加入いたしますにつきまして、出資の割当金が問題になるのでございますが、この割当金は各国いろいろ違いまして、国民所得でありますとか、貿易量でありますとか、そういつたいろいろなことできまるのでありますが、そのきまりました上におきましては、現加盟国、つまり今まで当初から加盟している国につきましては、割当出資金の二五%又は金ドルの中央保有量の一〇%のどちらか低いほうを金又はドルで納める、こういうふうに相成つているのであります。併しこれは現加盟国の問題でありまして、後から加入されました国におきましては、必ずしもこのパーセントは守られておらないのでありまして、一%から二五%の範囲内できめ、スエーデンにおきましては一七%であり、インドネシアは二五%、セイロンは三・五%、パキスタンは三・五%、従いまして割当出資額がきまりましても、幾らを納めるということは更に理事会において決定されることに相成ろうかと存じております。この点につきましては、金ドルのほかに現金による、日本の円による出資があるのでありますが、割当額の一部は、二%は自国の円で拂いますが、残りは一覧拂いの條件で拂つてもいい、こういうことに相成つているようであります。復興開発銀行でありますが、この出資額は国際通貨基金原則として同額でございますが、これは割当額の二〇%のうち二%は金又はドルで拂込み、残りの一八%のうち一%は円で拂込む。一八%のうちの一%をとつた残りは一覧拂いの條件でいい、こういうことに相成つているようでありまして、ここに計上いたしましたのは、金及びドルの分と、自国、日本の円の現金の分であります。大体通貨基金のほうで百八十億、開発銀行のほうで二十億程度というふうに一応考えて予算を組んだ次第でございます。  次は地方財政平衡交付金でありますが、当初の千百億を更に百億増加いたしたわけであります。地方財政状況は御承知の通りなかなか楽ではないと思うのでありますが、最近租税の自然増収等もありまして、多少改善せられた跡が認められるのでございます。当初二千八十七億円と地方税を計算いたしておりましたが、最近の状況では二千五百十二億、つまり四百二十五億円程度の地方税が殖える、法人及び事業税を中心として殖えるというふうに考えております。当初見込んでおりましたことに対しまして四百四十億円程度歳出増加は認められますが、今申上げました地方税の自然増收関係上、地方財政全体として七十億円程度は黒になる。ただこれは地方財政全体としての問題でありまして、個々の団体につきましては、平衡交付金のロスになる点がございます。自然増收があつても取上げられないという点がありまして、こういう個々の団体のことを考えますと、赤字が二百億円程度になるのじやないかというふうに思われますので、百億円を平衡交付金として増額し、百億円を地方債として増額した次第であります。  特別会計損失補填のうちの郵政事業でありますが、これは当初三十五億ほどの赤字繰入を計上しておりましたが、今回郵便料金の値上によりまして、金額は減少いたすのであります。六億円の減少にとどまりましたのは、ベース引上等の関係であります。明年度においてはこのような赤字繰入は要しない見込であります。郵便貯金につきましては、郵便貯金として郵便局で取扱つております関係上、郵政事業に繰入をいたします。つまり郵政会計における待遇改善経費関係でございます。それから郵貯の利子引上関係赤字を生ずるのでございます。  次は国債費のうち八億五千万、これは在外公館の借入金の返済でありまして、これは別途法律案を提出いたしているような次第であります。その他は主として大蔵省証券の発行不用に基く一種の不用額であります。  警察予備隊でありますが、警察予備隊は百五十億の追加であります。当初予算に百六十億とございますが、都合三百十億円というふうに相成りまして、百五十億円のうち大体装備充実関係が百億円程度施設充実関係が四五、六億円程度、残りは予備隊員の待遇改善経費に相成るわけであります。装備充実は通信器材或いは車両、医療用品等を主といたしております。  国警の問題でありますが、国警は御承知のように自治体警察一万三千人を吸收いたしております。それから学校等に入つておる定員外の警察官二千六百人を殖やしております。自治体警察の減少に伴いまして、市町村においては約十億円程度の財源負担の軽減見込れます。  遺家族の援護調査費、これは今後この援護について相当積極的に考えねばならんかと思われるのでありますが、差当りこの実情調査のために一億円を計上してあります。  学校の給食、これは厚生省関係におきまする保育所の給食の分も含まれておりますが、十一月初旬以降、年度内の学校給食の経費を計上いたしたわけであります。途中のつなぎといたしまして、見返資金約五億円を使うことに相成つております。  農業保險費は、麦の保險料率の改訂に基く掛金の増、バリテイの上昇に基く掛金の増、農業保險関係の事務職員のベースアツプ、前の五千四百掛から九千掛に殖えた関係に基く保險料の増加、畜家再保險費の赤字の補填、こういつたようなものであります。  年金、恩給は、行政整理関係及びベース・アップの関係で殖えるわけであります。  租税拂戻金、これはこのうち二十億円は青色申告をした法人の租税の拂戻金であります。これは過去において税金を拂つてつて、後に欠損を生じた場合においてその欠損を繰戻して計算することができるようになつておりまするが、租税の過拂い、租税の納め過ぎを返すのであります。  雑件は、これは非常に件数が数百件に上るのでありますが、この主なものは給与改善行政整理に基く退職金の増加であります。修正減少額の主なものは旅費、物件費節約でありますが、旅費、物件費につきましては、過般閣議決定をいたしまして、旅費は二割、物件費については五割節約をいたしたのであります。その金額一般会計で二十三億円程度に上るのでありますが、一部は新らしい経費に充当し、一部は今後における所要経費のことを考えまして、留保いたしましてここに計上いたしました。十三億円ほどを予算上減額いたしておるわけであります。  特別会計の問題、或いは政府関係機関の問題については、特に申上げることもないのでありますが、郵政会計におきます先ほど申上げました値上げによる本年度の増收額は三十五億円、平年度七十二億円ということに相成つております。電気通信会計におきましての今年度の増收額は四十七億円、明年度百二十八億円に相成ります。  建設関係におきましては、設備負担公債二十五億のほか、設備負担金三十五億を予定いたしております。七万五千個という公衆電話の増設計画は変更いたしておりません。  鉄道ではありますが、鉄道は二十六年度の値上げによる増收額百七十二億円、平年度四百十四億円ということになつております。輸送の数量は旅客が当初予算二十九億四千四百万人と見ておつたものを三十二億六千三百万人、貨物は一億三千四百万トンを一億五千七百万トンにいたしております。貨車は四千六百両を五千七百両に殖やしております。  電化の問題でありますが、高崎線及び東海道線における電化の経費不足も計上いたしておる次第であります。  その他の政府機関につきましては、復興金融金庫を廃止いたしまして、その債権債務を日本開発銀行に引継ぐというための処理をいたしておるわけであります。  大体以上で御説明申上げた次第であります。御質問によりまして、又申上げます。
  13. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 次に平田主税局長の説明を願います。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 租税及び印紙收入予算につきまして、概要を申上げます。  お手許に税制改正の要綱という書類と、それから收入補正予算説明という書類をお配りいたしておるのでありますが、歳入見積りの基礎につきましては、予算説明のほうに相当詳細にその根拠を示しておりますので、概要を申上げます次第でございます。  最初に先ずこの改正の要点でございますが、これは大体すでに御承知の通り法人税を現在の三五%から四二%に引上げまして、その半面この所得税につきまして、控除の引上と、税率の引下によりまして、減税を行おうという点でございます。その内容を一々御説明申上げる必要もなかろうかと思いまするが、この改正の結果、所得税の負担がどうなるかということにつきましては、この要綱の後につけておりまする表に基きまして、若干御説明申上げて置きたいと思います。六ページの所にありますが、六ページの所に改正前後の所得税の負担額を示しております。  給与所得の場合でありますが、独身者の場合は八千円前後の独身者が統計上多いように見受けられるのでありますが、八千円の所でございますと、現在は八百六十七円負担しておりますが、改正後は五百二十六円になつて、三割九分三厘の負担の減少になります。それから夫婦者になりますと、もう少し所得が上つて一万円前後になると思いますが、一万円どころの夫婦の場合におきましては、現在九百七十九円負担しておりますのが、五百三十三円に下りまして、四割五分五厘の減になります。それからもう少し家族の多い夫婦及び子供二人の場合でございますと、一万五千円から二万円前後が多いと思いますが、一万五千円の場合でございますると、現在千四百十七円負担しておるのが改正後は七百十六円になりまして、四割九分四厘の減になります。二万円くらいの所になりますと、同じく夫婦子供二人で三割六分三厘の減少、同じく二万円であつても、家族が多い夫婦及び子供四人の世帯の場合でありますと、四割一分七厘の減、こういうことに相成るのであります。で、控除の引上の結果、この免税点も大分変りまして、直ぐその下に課税最低限の表を示しておりますが、例えば夫婦と子供三人の世帯でございますと、扶養親族四人の例でございまするが、現在は十万五千八百八十三円の免税点が改正後は十四万七千円までかからなくなる、こういうことに相成るのでございます。それから事業所得の場合でございますが、事業所得の場合は農業所得者と営業所得者が大部分でありますが、七ページにその負担額表を示しております。まあ大体農業所得者は十五万から二十万前後の人が納税者としては多い。農業所得者は大部分最近は失格いたしておりますので、平均所得はもう少し下になりますが、納税者の平均所得は今年大体十六万九千円程度に見ております。従いましてこの十五万、二十万の前後が農業所得者に一番多いところと思つております。それから営業所得の場合は若干上りまして、今年は二十七万一千円程の平均度所得と見ておりますが、二十万から三十万前後の所得者が多い。その辺のところを御覧願えばいいわけでございますが、まあこれは普通家族が多うございますので、この夫婦及び子供二人の欄を拜見願いますと、十五万円の夫婦及び子供二人の場合は現在年額が一万六千二百五十円負担しておりますのが、改正後は八千円の負担になりまして、丁度半分ほどに減る、農家の場合におきましては、扶養親族が五人いる農家も相当ございますが、その場合所得が十五万円でありますれば、その下の欄に示しておりまするように、現在九千円の負担が二千円になりまして、七割七分減る、こういうことになります。二十万円の場合は同じく夫婦及び子供二人の場合は三八%減り、子供が四人の場合は四三%減る、営業者に多い三十万円前後のところでございますと、夫婦及び子供二人で二七%減る、こういうことに相成るのでございます。それから免税点のほうも同じく家族、扶養親族が四人でございますと、現在は九万円の免税点になつておりますが、改正案によりますと十二万五千円程度まで軽くなる、農家の場合はもう少し多いところもございまするが、五人でございますと十四万円まで課税から落ちる、まあこういうことに相成るのでございます。ただ所得税につきましては、この改正は今年の八月に遡つて施行することにいたしております。従いましてこの勤労所得につきましては、八月分の月給から今申上げました税額で計算しました負担になる。で、実際問題としましては、今すぐ遡つてやるわけに行きませんので、十一月分からこの税率によりまして課税いたしまして、八月分から十月分のこの三月分は年末調整の際に減税額減税すると、こういう立て方にいたしております。それから事業所得の場合におきましては、来年の二月に確定申告がございますので、その際にこの減税を実行する。で、今申しました八月に遡上ります結果、八月から十二月分までは基礎控除でございますと五万円、一月から七月までの分は今までの三万円、それを月割で計算しますと、約三万八千円程度になります。従いまして本年度の事業所得につきましては、控除額は五万円が三万八千円になるわけでございます。それで税率、扶養家族の控除も同様な方法で計算いたしまして、本年の負担をきめるということになつております。それによりまする実際の負担額はその裏の八ページに示しておりまして、本年は従いまして今説明いたしましたのよりも減税額は少くなつております。所得税につきましては大体そういうことに相成るかと思います。  それから退職所得につきまして、これは相当大幅な軽減を図ることにいたしたのでございまして、これは十五万円までは課税しないで、十五万円を超える場合におきましても、十五万円の基礎控除をいたしまして、残つた所得を二分いたしまして、ほかの所得と分けて一般税率を適用して課税するということにいたしたのでございます。従いましてこの最後の表に示しておりまするように、退職所得も今後は相当負担の減少を来たすのであります。五十万円退職所得を受取りましても、税額は四万二千五百円、八・五%負担すればいい、こういうことに相成る次第でございます。  それから法人税のようは極く簡単でございますので、御説明を要しないかと思いますが、産業組合等の特別法人、農業協同組合等の特別法人につきましてはこれは据え置き、一般の法人につきまして三十五を四十二に引上げるわけでございます。それで地方税が、そのほかに市町村民税が所得税の一割五分になつております。それが所得に対しましては五分二厘五毛に当ります。そのほかに御承知の通り事業税が一二%かかるわけでございますので、機械的にこれを合計しますと五九・二五%の負担になるのでございます。ただ事業税は御承知の通りこの所得の計算経費として差引きますので、事業税を加えました利益、つまり事業税を負担する前の利益に対しましては、大体五三%程度改正後負担する、こういうことになるのでございます。それで改正後六〇%の負担になるような雑誌等の記事もございますが、正確に申上げますれば、事業税の点につきまして経費の点を考慮して計算する必要があるわけでございまして、改正後は大体五三%程度になる、かように考えております。なお法人税につきましては退職積立金を損金に算入する。それから重要産業の特定の機械につきましては、最初の年度では半額くらいの特別償却を認める。それから徴收につきましても、現在三月と九月に非常に片寄りますので、各事業年度分の税額の半額につきましては、三月間の徴收猶予を認める、こういうような改正も併せて行うことにいたしておる次第でございます。  税制の改正の点につきましては、その程度にいたしまして、次は歳入見積のほうでございますが、これは補正予算説明というプリントに、積算の基礎相当詳細に説明いたしておきましたので、概略にとどめさせて頂きたいと思いますが、総体の自然増收千五百六十八億円のうち、法人税におきまして、八百五十四億余円の増收を計上いたしております。その次は勤労所得に対しては源泉所得税におきまして五百七十九億円、あとは酒税におきまして九十億、その他間接税におきまして、それぞれ若干の自然増收がございます。これに対しまして申告所得税と富裕税は当初予算に対しまして若干の減收を立てておりますが、差引いたしまして千五百六十八億円の増收ということになつたのでございます。これは先ほど大臣の御説明にもありましたように、主として動乱後の法人の事業成績が非常によくなつたということが大部分の原因でございます。すでに御承知かと思いますが、念のため動乱前に対して最近生産物価賃金等がどうなつているか、ちよつと申上げますと、昨年の一月を一〇〇といたしまして、今年の八月でございますが、八月は鉱工業生産は四割八分一厘の増、それから日本銀行調べの卸売物価が五割二分二厘の増、それから例の消費者物価指数が二割八分二厘の増、それから全産業の現金給与総額、これが労働省の調べにもございますけれども、同じく動乱前に比較しまして、三割三分二厘の増、こういう数字になつております。で、当初予算は大体十月頃の経済情勢を基にしまし、若干の将来の見通しを入れまして作成いたしたわけでございますが、その当時に比較いたしましても、相当増加に相成つているのでございます。これが一番増加になりました理由でございまして、先ず一番殖えました法人の関係でございますが、法人につきましては相当最近の事業成績を分析いたしまして、この見積を計算いたしましたのでございます。で、先ずこの主な会社約百四十社でありますが、これをそれぞれ鉱業、製造業、商業、金融業、運輸通信業、それぞれできる限り網羅的にとりまして調べてみたのでございますますが、その利益状況は昨年の下期、昨年の大体九月乃至十月決算、この下期の利益の増加が二百九十七億余円、それに対しまして今年の上期の一月乃至四月の決算の実績が七百一億余円になつておりまして、利益が二倍三割五分に増加いたしております。一三五%の増加という状況でございます。ただ今年の下期の九月決算の利益がこの六、七月頃の物価の値上りで相当悪くなるのではないかということをみていたのでございますが、その後各所に亘りまして検討しました結果、今年の下期におきましはそう著しく減らない。まあ大体この予算におきましては九〇%ぐらいの利益は上るだろう、こういう予想を立てまして、この見積りをいたしております。で、それを元にいたしまして、二百万円以上の大きな会社の利益を推算し、それから二百万円以下の小法人につきましては、一般の生産物価増加等からいたしまして、昨年に比べ七割程度の利益の増加を見積りまして、それによりまして算定いたしましたのがこの法人税收入でございます。なお今後若干のいろいろな事情があるようでございますが、最近まですでに法人税は当初予算の一一五%收入済でございます。で、こういう点から考えますと、今回見積りました法人税收入はほぼ確実であると考えておる次第でございます。  なお法人税税率を増しました一つの理由にもなりますので、最近の法人の全体の業績がどういうふうふうになつておるだろうかということにつきまして、私ども過去のは実績、最近のは推算でございますが、調べた次第でございますが、それを簡單に御参考までに申上げます。昭和二十五年度と申しましても、課税の上におきましては毎年二月から翌年の一月までこれが当年度收入になりますので、大体二月から一月までに終了した事業年度分でございます。それの昭和二十五年度の会社の償却前の利益を二十五年度は二千六百八十五億、それに対しまして昭和二十六年度におきましては、六千七十九億円程度の利益になるだろう。それから償却はいろいろな改正と再評価で大分殖えまして、昨年は五百五十九億の償却がありましたのが、二十六年度は千百十五億の償却になるだろう。償却を差引きました残りが課税所得になるわけでございますが、所得におきまして昨年は二千百二十五億が四千九百六十四億という程度に殖えて、二倍以上に利益が増加する、こういう大体の見込でございます。そうしまして、それから納付しまする法人税を差引きましても、差引き更に配当等も大分増加しておりますが、その増加しました配当や役員の賞与などを差引いたりしましても、本年度といたしましては積立金が約二千四百七十億円程度増加、昨年は約九百四十二億円程度でございますので、会社の利益処分の中から積立てる金額相当増加する、それに先に申上げました償却を加えますと、昨年度が千五百二億円程度の広い意味の社内留保、つまり償却と積立金、その他自己資金の蓄積ができましたのが、今年は三千五百九十二億円程度蓄積ができるだろう、こういう推算をいたしておるのでございます。で、利益の状況、それから配当なども昨年は百八十四億円程度のものが本年は五百七十五億円程度増加するだろうとみております。このように会社の業績は朝鮮動乱以来著しき改善をみておるようでございます。今後の状況は更にいろいろ考慮すべき事項もございまするが、最近までの状況からいたしますると、会社の業績はさようなふうな状態でございまして、歳入の見積りも私どもとしましては相当確実でございまするし、又従いまして、この際所得税を減らしても、若干法人税引上げようというのが正しいのではないかというふうに考えた次第でございます。  それから次は所得税でございますが、所得税の、勤労所得につきまして前回より自然増收を生じました点を申上げたいと思いますが、これは前回は大体二十五年十月頃の年間水準、これの見通しを基にしまして、勤労所得税を算いたしたのでございます。即ち所得が二十五年に対しまして二十六年度は八・二%殖えるという当初の予想であつたのでございますが、最近の状況からいたしますと、それを二六・七%というふうに見ることができる。それを基にしまして計算いたしました結果、五百何十億の自然増收を見たのでございます。これは最近までの收入実績からいたしましても確実であると考えておるのでございます。毎月六月、七月、八月と約百四十億円前後すでに入つておりまして、この程度見込をいたすのが確実であると考えておるのでございます。ただ申告所得税につきましては、今申上げましたような、経済状況がよくなつたにかかわらず若干減少いたしたのでございますが、御得といたしましては二十五年に比べますと、本年はやはり最初見ましたよりも若干増加するだろう。大体前回は申告所得税全体で一二・一%、これは詳細は補正予算説明の中に入つておりますが、一二・一%の増加見込んでいたのでございますが、それに対しまして最近の生産物価状況から見ますと、三割八分の増を見ることができる。ただ前回は算定の基礎といたしまして二十四年の実績を基にしてその二十五年の課税見込計算し、それを基にして今の増加率を適用いたしたのでございますが、今回は二十五年分の実績が出て参りましたので、それを基にしまして計算をいたしたのでございます。ところがこの二十五年分の実績は当初の予想に反しまして、大分減小いたしたのでございます。そうして予算に見ましたときには千九十六億余円が、二十五年分の決定になると見ておりましたのが、二十五年の実際の決定は七百七十七億円程度にとどまつた。それで従いまして全体といたしまして所得は若干当初見ましたよりも、今年が昨年より殖えると見ているのでございまするが、基礎なつた数字が低くなりましたので、全体としまして若干の減收を生じておる、こういうことでございます。それが申告所得税につきまして若干の補正減を立てた理由でございます。  その他の諸税につきましては詳細説明に書いてありまするので省略いたしますが、ただ酒税につきまして、やはり最近までの課税実績によりますると、当初全体で四百十万石程度年度間の庫出を想予いたしたのでございまするが、最近までの実績を見ますると、それが四百三十一万三千石程度に庫出が殖えるのではないかという見通しを得ましたので、それに基きまして税額を計算しまして、九十億円程度の増收を見込んだのでございます。なおその他の各税につきましては、いずれも最近の実績を基にしましてそれぞれ見積り替えをいたしたのでございまして、その内容は委細説明に記載してある通りでございますので、これを省略いたしたいと思います。  最後に一、二所得税改正の結果納税者が大体どうなるかという点、これを御説明申上げますと、昭和二十六年の現行法によつた場合に比べまして改正後どうなるかという比較でございますが、給与所得の納税者は九百七十八万六千人の見込のものが改正後は八百八十八万人ほどになります。申告納税者は四百八十九万三千人のものが、三百八十万三千人、合計いたしまして千四百六十七万九千人の予定が千二百六十八万三千人ほどになる。丁度二百万弱でございまして、約百九十九万六千人程度この改正によつて減少すると、こういう見込でございます。一番所得税の重かつた昭和二十四年度におきましては、所得税の総納税者が千九百十一万九千人ほどございましたので、その当時に比較しますると、六百四十三万六千人ほどの納税人員の減少と、こういうことに相成るかと思つております。  それから直接税と間接税の割合が改正後どうなるかという点も御関心深かろうと思いますが、その点につきましては、予算説明の一番終りに附加えて補正予算説明という横書のほうの終りに附加えてございますが、昭和二十五年度におきましては、直接税が五五%、当初予算におきましては五三・七%、それが法人税と勤労所得税の増収が顯著でありますために、現行法によりこの補正を見積りますと、六一%に直接税がなるのでございますが、主として所得税減税を行うことにいたしましたので、改正後は更に若干減りまして五八・七%が直接税、こういうことに相成るかと思います。御参考までに申上げる次第でございます。  なお増減収の点につきましては、内訳を今の書類の四ページに掲げてございまするが、所得税改正によりまして、全体で本年度四百七億七千二百万円減りますが、そのうち基礎控除の引上で二百四十二億八千八百万円、扶養控除の引上で百億八千万円、こういうことになります。これは大部分低額所得者の負担の減になると考えておるのでございます。源泉と申告とを分けますと、源泉のほうで三百五億余円、申告で百億円程度減税、まあその他の制度改正のほうは若干でございます。なお法人税のほうは、来年の一月一日以後終了する事業年度から改正税率を適用する関係上、今年度といたしましては若干の増収にとどまつておる次第でございます。来年の三月の決算の分が相当ございますが、これは翌年度の収入になりますので、今年度といたしましては僅かの収入にとどまつておる次第でございます。細目の点はなお後ほどにいたしまして、一応これで説明を終ります。
  15. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 皆さんにお諮りいたしますが、実は只今の事務当局の説明に対しまして、たくさんの質問を持つておられる思うのでございますが、本日のこの大蔵大臣の提案理由の説明及び事務当局の説明は、実は昨日やるべきはずであつたのでございますが、昨日は種々の事情で流会になりまして、今日から始めましたので、質問の点は一つ委員長のほうで最後の日に廻しまして、ゆつくりと質問して頂くように取計らいたいと思いますが、如何でございましようか。
  16. 和田博雄

    委員長和田博雄君) それでは一つそういうふうに取計らわせて頂きます。それで今日の委員会の冒頭に御承認を得ました日程の順序に従いますと、今日は運賃改正の問題につきまして関係当局の説明者が参つておりますので、この説明を聞きたいと思いますが、さように一つ取計らいたいと思います。それでは一つ国鉄の営業局長から運賃問題について説明をいたします。
  17. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 私、国鉄の営業局長津田でございます。本国会に国鉄運賃改正につきまして、御承知のように国鉄運賃の基本的な、基礎的なものは運賃法という法律の中に明文として現われておりますので、運賃法の改正という形におきまして御審議を願うことに相成つておりますので、この運賃改正につきまして、何が故に国鉄運賃改正、値上をお願いしなければならないか、その理由、或いは更にもつと大きな意味におきまして、その背景につきまして御説明を申上げたいと思うのであります。  お手許に横書きの鉄道運賃改正資料という表と、国鉄運賃改正についてというパンフレツトをお配りいたして置きました。先ずこの国鉄運賃改正についてというものの主なる点につきまして、御説明を加えたいと思うのでございますが、このパンフレツトの三ページを見て頂きますと、資金計画といたしまして、昭和二十六年度国鉄の収入と経営が各項目につきまして記載をされておるのでございますが、細かい数字を省きまして、このまん中から下の辺に差引不足額という欄がございますが、これで御覧頂きますと、昭和二十六年度におきまして、国鉄の収入と経費との差額、差額と申しましても、赤字のアンバランスが四百十五億ということに相成ります。今年度年度の途中でございますので、平年度に換算いたしますと、右のほうに繰つて頂きまして、五百三十三億の赤字を生ずるということに相成るわけでございます。先般来公聴会その他一般の輿論におきましても、国鉄運賃の値上は或る程度止むを得ないであろうが、それに先だつものは経営の合理化であるという点が強く要請をせられておるのでございます。経営の合理化につきましては、国鉄当局といたしましても、或いは五十万の従業員も一生懸命にこの線に沿いまして努力をいたしておるのでございますが、そのうちの一、二の例を申上げたいと思うのであります。その上の二ページの表を見て頂きたいと思うのであります。私は先ずこの職員関係と、それから国鉄経費の中で非常に大きな部分を占めております石炭の部分について例を申上げたいと思います。職員につきましては、従来とも国鉄職員は非常に多過ぎるではないかというような御議論が世上あつたのでございますが、ここで職員の全体の数が昭和十一年には二十二万八千人、それが昭和二十五年、それから本年二十六年になりまして、これよりもう少し下つておりますが、四十七万三千人、これを指数に現わしますと、昭和十一年を一〇〇といたしますと二〇八になつております。少し上のほうを繰つて頂きまして、昭和二十一年或いは二十二年の頃を見て頂きますと、その頃は国鉄全体の職員が五十七万三千、或いは六十一万というような数字でございまして、二十四年には例の行政整理に伴いまして十万の職員が職場から去つたというようなことに相成るわけであります。全体の頭数では右のような次第でございますが、今度はそれを仕事の量と人の頭数との関係から申上げますると、その次の欄に列車運転キロ一万キロ当りの従業員がどうなつているか、一万キロの旅客、貨物の列車を運ぶに際して人間がどれだけの頭数を要していたかという点が、昭和十一年が八・八人、それが二十二年、二十三年、この頃には非常に殖えまして二十九人、或いは二十六人というような数になつておりますが、これも行政整理の結果、二十五年におきましては十七人ということに相成つておりまして、指数にしまして、十一年の一〇〇に対して一九五というような数字になつております。更にもう一つの仕事のヴオリウムの面から見ますと、見方といたしましてこれは専門的な用語になりますが、その次に客貨輸送量百万人トンキロ当り、鉄道は仕事の量を現わします際に人キロ、トンキロ、人の頭数に人の輸送される距離をかけたのを人キロと言つております。それから運ばれる貨物の数量にその運ばれる足、と申しますか輸送距離をかけたのをトンキロと言つておりますが、それをお客さんについては人キロ、貨物についてはトンキロ、この二つを算術的に足しましたものを以て人トンキロと申しておりますが、その百万人トンキロ当りの人間の数がどうでもあるかという点を御覧頂きますと、十一年は五人四分というものが、これ又二十二年、二十三年の頃には若干殖えておりますが、二十五年に至りましては四・七、指数にいたしまして十一年を一〇〇とすると二十五年は八七というようなことでございまして、仕事のヴオリウムに対しましてむしろ人の数は十一年当時に比して減つている。特にこの際御留意を願いたいことは、昭和十一年頃にはなかつた要素が国鉄の輸送業務に非常に加わつている、と申しますことは、第一には労働基準法の関係のために人数が或る程度余計に要るということと、もう一つは進駐軍関係の輸送のため要員が相当の歩合を占めている。あれこれ考え合せますと、今日人の面では相当の合理化と申しますか、従来世上ございました人が多過ぎる、というような点につきましては、思い切つて人手を減らしまして、職員の一人々々が能率を挙げる、労働の生産性を高めるというようなことを進めているような次第でございます。  その次に石炭の例で申上げますると国鉄が使います石炭の量というものは、全国の生産量の中で相当大きな部分を占めております。戦後非常に石炭の生産の落ちておりましたときには、日本の生産の三分の一、四分の一というようなものを国鉄が使つてつたのでありますが、今日におきましては、仮に四千万トンといたしまして五百万トンほどでございますから、その当時ほどではございまんが、いずれにいたしましても国鉄が使う石炭の量、従いましてそれが全体の経費の中に占める割合というものは少からぬものでありますが、これもちよつと専門的になりまするが、その次に客貨車百キロ当りの消費量、これは旅客列車なり、貨物列車なりを百キロ走らせるために機関士或いは機関助手が焚くところの石炭の消費量でありますが、その実際のキログラムと指数が出ております。昭和十一年の頃には四十一キログラム使つておりましたものが、戰後の二十一年或いは戰争の最後の二十年、その頃には六十八、六十七キログラムというような非常に大きな数量の石炭を焚いていた。勿論その頃は石炭の質も非常に悪かつた点もありますが、今日におきましては、それが大体戰前の標準であるところの四十三キログラムまで下つて参つて来た。これは石炭の質がよくなつたという点もございまするが、同時にこの石炭を焚く焚火の技術を非常に錬磨した。或いは消費節約に非常に熱心であるというような点を現わすものではないかというふうに考えております。その他ここにございますように、貨車をできるだけ効率よく使う、少い貨車を有効に働かせる、或いはあるところの蒸気機関車なり、客車なり、電車というものは成るべく休む時間を少くいたしまして稼働する率をよくするというような点につきまして、表も出してございますが、これは省きまして、これらによつて示される国鉄の経営合理化の努力というものも、これはまだ十分とは申されませんが、及ばずながら職員一同が努力しているという一端をここに御紹介申上げたような次第でございます。  このような次第でございますが、最近の、なかんずく朝鮮事変後の物価騰貴の勢いというものは、先ほど来御説明がありましたように非常に著しいものがあるのでありまして、その例を同じパンフレツトの五ページについて見て頂きますると、ここに主要資材の値上り調というのがございます。一つの例を一番上のレールについて申上げますると、このレールの価格が予算編成当時、これは朝鮮事変の起ります前でありますが、そのときには一トン当り二万二千円でありましたものが、今日におきましては、二十六年の四月には四万九千円に上つている。これが、ここにございませんけれども、二十六年の八月、九月の頃には五万一千円に上つているというような状況でございます。率にいたしますと、二倍半程度に相成つているわけであります。その次にレールとレールを継ぎまする継自板、これもここで御覧になりますように、二万九千円のものが六万五千八百円に上つているというような次第でございまして、ここにありまするのは、鉄道で使用いたしまするいろいろな資材の中の一部分でありまするが、概して申しますれば、鉄道で使うところの資材、鉄にいたしましても非鉄金属にいたしましても、それらは、おおむね何と申しますか、時局に関係のある資材物資が多いのでありまして、従いましてその値上り率も非常に著しいものがある。大体まあ四割から二倍程度まで上つているというような状況でございます。このような点から申しまして、先ほど申上げましたように、平年度五百三十三億円の赤字が生ずる。で、この赤字を埋めまするのには先ほど申上げました経営合理化と同時に運賃の値上げに待たなければならない。勿論借金という手もなくはないでございましようが、大体この赤字というものは毎年恒常的に生ずる赤字である。又新らしい新線を引張るとか、或いは客車、貨車を増備するとかいうような資本の投下ではありませんで、大体毎年生ずるところの損益勘定の赤字でありまするので、やはりこれは妥当な運賃の値上げによりましてカバーするというようなことが適当ではないかというような結論に到着いたしましたような次第でございます。ところでこの運賃値上げと申しますることは、国民の社会生活にも、又一国の産業経済にも及ぼすところが非常に多いもので、国鉄といたしましては非常に慎重な考慮を拂い、あらゆる面から検討をいたしたのでございますが、その検討をいたしました二、三の点を申上げますると、私どもは先ず第一にこの運送の原価から見てどうなるかというコストの計算を先ず第一にやつてみたのでございます。第二番目にはこの運賃の値上げによりまして、お客さんなり或いは貨物がその影響をこうむるわけでありますが、一体そういつた旅客なり貨物なりが果してこの値上げに堪え得るかどうか、負担力があるかどうかという点から検討をいたしたのであります。第三番目にはいろいろなものが運ばれまする態様に、海上で運ばれる、鉄道で運ばれる、或いは自動車で運ばれるというような方法があるのでありまするが、その海陸の輸送の調整と申しまするか、輸送がそれぞれバランスを得るのには運賃の面から見て今回の値上げが妥当であるかどうかというような調整の面から見たのであります。  以下簡單に申しますると、先ず第一にこの原価の面から申しますると、八ページ、九ページをお開き願います。この八ページの終りのほうに旅客の原価と收入計算が出ております。これが二十五年には一人キロ、つまり一人の旅客を一キロ運ぶに要するところの原価が七十八銭八厘であつたのであります。それに見合うところの收入は一人キロ当りの收入が九十四銭でございまして、その係数が八四と申しますることは、若干收入のほうが原価を上廻つておる。つまり利益を生じているということが言えるのであります。それが二十六年に参りますると、先ほど申上げましような非常な物価の高騰の結果、原価が一人キロ当りが一円十二銭六厘になる。それに対しましての收入が九十二銭、これはちよつと二十五年と違つておりますが、それは距離の関係とか、一、二、三等の割合とか、そういつたものが操作いたしましてちよつと変つて参りますが、一人キロ当りの收入が九十二銭で、この場合には二割二分の欠損ということに相成るわけであります。同じような見方を貨物について申上げますると、一トンの貨物を一キロ運ぶに要するところの原価が一円九十八銭五厘、これは二十五年度にかかりましたのでありますが、その二十五年度におきまして、同じそれだけの貨物を運ぶと一トンキロ当りの收入が一円九十四銭七厘、まあちよつと原価のほうが上廻るのでありますが、まあ大体とんとんであるということが言えるのであります。それが二十六年におきましては、先ほど申上げましたような経費の増嵩によりまして、トンキロ当りの原価が二円六十六銭五厘に上るのであります。それに見合うところの收入が一円八十七銭六厘、これもちよつと距離の関係で二十五年とは違つております。そして欠損が二十六年度におきましては四割二分、この数字からいたしますると、旅官は二割二分の値上げ、貨物は四割二分の値上げをしたいということに相成るわけでありますが、従来とも国鉄におきましては、国家の低物価政策に即応する、貨物は大体とんとんで行く、その不足は旅客の收入で補うというような建前をとつておりまするので、今回も国鉄といたしましては、この五百三十三億円の赤字を旅客、貨物共に三割五分の値上げというようなことで運輸省にお願いをしたような次第でございます。  次に、この運賃の負担力の面からどうなるかという点を申上げたいと思うのでありますが、十一ページには賃金と定期外の旅客運賃、定期外というのはちよつとおわかりにくいと思いますが、定期券と一枚々々切符を買われるお客さんがあるわけでありますが、その一枚々々切符を買われるお客さんが一回拂われるところの運賃のことであります。ここに官公吏と工業勤労者を分けておりますが、この工業勤労者の例で申上げましよう。それの下から四行目ほどのところに昭和二十四年に工業勤労者がもらうところの賃金が六千九百二十一円であつた。その当時この勤労者が一回あたりの旅行に拂うところの運賃が三十七円十四銭、その比率が千分の五・三七ということに相成つております。その勤労者が今日におきましては、その賃金ベースが一万九百七十円に上つている。そうしてその者の拂うところの運賃が三十七円九十七銭、千分比にいたしまして三・四六ということに相成りまするので、その右の下のほうに算術がありまするように、この千分の五・三七と千分の三・四六を比べますると、一五五%、つまり五割五分程度運賃の値上げをいたしましても、昭和二十四年当時のこの比率を崩さないということが言えるのでありますが、況んや国鉄が申請しております三割五分程度ではその率が非常に有利になるということであります。その次のページ、十二ページには賃金と定期旅客運賃との比率が出ておりますが、これも同じような計算でございまするので、結論だけ申上げますると、この右の下のほうに賃金と労働者が拂いまするところの一カ月の定期運賃との比率が、昭和二十四年には、これは百分比でございますが、百分の六・六五であつたものが、今日におきましては百分の四・二八ということになるわけでありまして、これを割りますると、偶然にも一五五%ということになりまして、五割五分の定期運賃の値上げをいたしましても、昭和二十四年当時の率を崩すわけではない。況んや三割五分、更にはそれ以下であるならば労働者にとつて不利になるわけではないというような、これが一つの仮定にと申しまするか、算術と言えばそれまででございまするけれども、そういつたようなことに相成るわけであります。  次に同じことを貨物の負担力について申上げたいと思うのであります。十四ページ、十十五ページを見て頂きますると、ここに主要貨物の価格の中に占めるところの運賃の割合というのが載つております。先ず第一に、一つの例をお米について申上げまするならば、昭和十一年当時に米の価格が一トン当り二百七円であつたのであります。その輸送距離二百二十六キロ、一トン当りの運賃が二円二十八銭で価格と運賃との比率が一%一ということになつております。二十五年の四月のところは省きまして、二十六年の四月のところを見てみますと、同じお米が一トン当り四万三千七百四十六円になつておる。それの一トン当りの運賃が三百十七円、従いまして価格とその中に占めるところの運賃の割合が百分の〇・七ということでございます。この十一年の百分の一・一と二十六年四月の百分の〇・七と比べますと、まあ五割程度の値上げをしても米については十一年当時の比率を崩さんということが言えるのでございます。その他ここに国鉄で運びまするところの主なる貨物について同じような見方をしておるのでありますが、それは省きまして、十一年当時にはこれらの貨物の価格と運賃との割合がどうなつておるか、一番下のところで加重を平均いたしました率が出ておりますが、Aというところに百分の四・六一ということに相成つております。それが昭和二十六年の四月にはCのところで見ますと、価格の中に占めるところの運賃の割合というものが百分の二・六八ということに相成つております。ところでここに一つ御留意を願いたいことは、十一年当時と今日におきましては運送距離に非常な変化を生じておるものもございます。お米のごときは余り変りはありませんが、その他の物資については相当距離が延びておるものもありますので、若しそういつた延びておる貨物が昭和十一年当時の輸送キロに復元をしたならばというようなことを考えますると、このDのところに価格の中に占める運賃の割合は二・〇九ということでございます。で、今回の改正をお願いいたしました三割五分によりますと、Eのところで百分の三・六三、十一年当時の平均輸送キロに還元するとFの二・八四ということに相成るわけであります。この点から見まして、旅客、貨物共に負担力の面から見ても妥当を欠くのではないというふうに考えるのでございます。  その次に、最後に海陸輸送調整の面から考察を加えてみたいと思うのであります。この十六ページを御覧頂きますと、鉄道と船舶と自動車の運賃の変遷が書いてあります。先ず鉄道について申しますると、昭和十一年にトン当りの価格が三円十五銭であつたものが四百十二円になつておる。指数で言いますと、百三十倍に相成つておるのであります。今鉄道の場合にはこの車扱の五級と申しますると、鉄道は貨物を十一等級に分類しておりますが、その真中の平均の五級、それが二百キロ運ぶ分のトン当りの運賃をとつたのであります。これが今申しましたように、十一年に対して百三十倍になつておる。ところが汽船におきましては若松―横浜の石炭のトン当りを例にとりますと、この実額は省きまして指数のところで見ますと、一〇〇のものが四一三四六、四百十三倍になつておる。機帆船の場合の例を若松―阪神の石炭のトン当りにとりますると、二百三十二倍になつておる。トラツクについて例をとりますると、一車一日の専属制が十一年に比べまして二百六十倍になつておる。かように汽船、機帆船、トラツクに比べまして鉄道運賃の倍率は比較的低きに抑えられておるということが言えるのであります。これは勿論戦争中から鉄道の旅客につきましては浮動購買力の吸收というような名目におきまして、若干の運賃の値上げの機会もございましたが、貨物は常に低物貨政策への協力、或いは物価政策を鉄道運賃にしわ寄せするというような建前から、かように低いところに抑えられたものであろうと思うのであります。それからこの具体的の貨物について一つ、二つ例を申上げますると、この十八ページ、十九ページに石炭、その他の貨物が出ておりまするが、石炭の例で三番目のこの九州の筑豊炭の飯塚発大阪送りという例を申上げますると、鉄道の場合には運賃と諸掛りを加えまして、上から三行目でございます。一千三十八円、海上の場合が運賃諸掛りを加えて一千五百五十四円、船運賃のほうが五百十六円高い。鉄道を一〇〇といたしますれば、指数が一五〇ばかりになる。若しこれを鉄道が三割五分の値上げをいたしまして船運賃がそのままであるとするならば、ずつと右のほうに繰つて頂きまして、それでもなお海上のほうが高いということで、海陸調整がこの運賃の面からではできないという結果になるのであります。その次にもう一つ下のほうを繰つて頂きまして、筑豊炭の東京送りという例を見て頂きますると、現在におきましては、船のほうが一一〇でございますから一割方高いのが、今回の三割五分を若し値上げするとすれば船のほうが安くなりまして、指数が鉄道の一〇〇に対して八五になる。この場合には運賃の面から見ましては、海陸輸送の調整ができるというような次第でございまして、このような検討を鉄道の大量貨物、石炭とか、木材とか、硫化鉱とか、石灰石とかいうものにつきましていたしましたのがこの表でございます。  以上この三つの面から……と申しますると、先ずコスト計算の面、第二には旅客貨物の負担力の面、第三番目には輸送の調整の面、こういつた三つの面から検討を加えました結果、国鉄といたしましては、この赤字をカバーしまするために三割五分の申請をいたしたのでございますが、その運賃値上げの申請をいたしましたのが八月の末と記憶をいたすのでありますが、それに対しまして運輸省といたしましては、大臣の諮問機関でありまするところの運輸審議会にかけられまして、ここで四日間に亘つて公聴会を開催せられまして、各界の意見、産業の代表のかた、或いは交通業者、或いは一般鉄道利用者、例えば通勤者の代表のかた、そういつたようなかたがたの意見を徴せられました結果、運輸審議会からの答申は、旅客は鉄道の三割五分の申請に対しまして二割五分、貨物のほうは国鉄の三割五分の申請に対しまして三割というような答申をされまして、それに基きまして、運輸大臣はこの答申の結果に基きましてこれを閣議にかけられまして、政府の案を決定されまして、今回運賃法の改正の形におきまして国会に御審議を願つて行くというような段取りに相成つておるのであります。ここで申し上げたいことは国鉄予算、収入と赤字のアンバランスが平年度におきまして五百三十三億円というのに対しまして、運輸省と申しますか、或いは政府におきましては、この赤字を四百三十三億円、約百億円赤字がなしで済ませるというような査定をしておられるのであります。その査定の細かい数字につきまして申上げるのはまあ申しませんで、大体運輸省、或いは政府といたしましては、一つには私が先ほど申上げました物価値上の率につきまして、国鉄が考えているほどには物価は上らないであろうというような見方、この物価騰貴の率につきまして、国鉄案とは若干これを下廻らしておられますることと、更に輸送量の増加の増収の面におきまして、国鉄の案よりも更に数十億多く見積つておられますることと、それから更に国の方針として行われるところ行政整理に関連をいたしまして、国鉄も若干人員の整理をするというような点をあれこれ考慮をせられまして、約国鉄の五百三十億円の赤字に対しまして、四百三十三億円というような赤字の査定をされまして、それに見合うためには旅客は二割五分、貨物は三割の値上げでよろしい、かような決定をされて、現在運賃法の改正として国会に審議されている次第でございます。なお、今回の改正の内容につきまして、旅客二割五分、或いは貨物三割と申しまするのを、どういつたような振合いで制度の上に盛込んだかということにつきましては、この横書の鉄道運賃改正要領というものの五ページ以下にございまするが、それは予算委員会としては制度の面でございまするので、詳しく御説明をする必要はないと思いまするので、これを御覧おき頂けば結構だと存ずるのであります。なお私が申上げました、運輸省の四百三十四億円の赤字で済むという根拠につきましては、この横長の資料の一ページから二ページにかけまして出ておりますし、又三ページにはそれに基きまするところの資金計画が載つております。五ページ以下に改正の要領が載つておるというような次第でございます。  以上、国鉄が今回運賃改正をいたしまして、経営合理化と共に、併せて止むを得ない赤字運賃の値上げによつて補填をさして頂きたいというような理由と申しまするか、更に背景につきまして御説明を申上げてみましたような次第でございます。
  18. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 只今の説明に対しまして、質問がありますれば質問をいたしたいと思いますが、どうぞ…ございませんか。ただこのあと、郵政関係説明を聞くことになつておりますが、今もうすぐ見えますが、その間にでも質問があれば何か……。
  19. 内村清次

    ○内村清次君 私は一点だけちよつと津田局長に聞いておきたいことは、これは国鉄のこの予算関係、この予算の今回の補正について説明を聞いたんですが、この説明の内容につきまして、これは運輸委員会で、どうも運輸省との間においてまだ納得行かない点があるわけですが、先ほどの説明のこの改正要領の中に、国鉄運賃値上げに対する赤字関係が、国鉄補正予算面におきましては、旅客収入が六十四億円と、それから貨物の収入が百十七億円と、雑収が二十二億円の増収が見込まれておるけれどもが、とにかく物件費の値上りや給与改訂、輸送の増加に伴うところの石炭費、その他の経費増加によつて差引百七十二億円が不足するという説明がなされたわけであります。ところがこの改正要領に対しましての今回の運賃値上げを見込まれた主原因でありまする不足額が、差引四百三十三億円ということになつておるのですね、この点がどういう計算から来て食い違つておるか、そこを一つ明確にして頂きたいと思うのです。
  20. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 数字の問題でございますので、私からお答えいたしますが、今御覧の百七十二億というのは本年度補正予算の数字でございまするので、本年度の下半期の分に当りますが、それに対しまして四百三十三億という数字を申上げておりまするのは、これは平年度の話でございます。年度全体ということになりますると、そういう数字になります。
  21. 内村清次

    ○内村清次君 そうするとこれは何ですか、実際の予算勘定から考えて、二十七年度を平年度として、その一般的な二十七年度全体におけるところの収支予算が結論において四百三十三億の欠損になる見込であると、こういうような考え方ですか。
  22. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 正確に申しますると、二十七年度には全く若干違つたフアクターもあり得るわけでありますから、従つて二十七年度はそのままかといいますというと、多少実際は違うわけでありますが、現在考えられますところで一年間をとつて行くというふうにお考え願つたらいいかと思いますが、大体お尋ねの二十七年度の姿がそうなるだろう……大体近いわけであります。これから終りまする来年三月までの年度の分じやなくて、一カ年間をとつて見ればそうなるのだという意味であります。
  23. 内村清次

    ○内村清次君 今の答弁の内容からいたしましても、考え方から勘案しましても、やはりその運賃値上げというものについて今後我々が審議して行きまする態度につきましても、これは重要な問題ですよ。そこで十一月からの運賃値上げを予定せられたとしましても、本年度の残る月数というものはこれはもう御承知の通りでありまして、二十七年度以降、即ち一年間を例えば十一月から起算いたしましても、来年の十一月までの一年間の国鉄企業の予算というものが、一年間に変化するところのこういう物件費関係、即ち諸物価の値上り関係あたりも勘案して運賃値上げという問題に結論を付けなくちやならん。そういたしますると、今回のこの補正予算の問題にも関連いたしまするが、数字的に非常に大きな誤差が、食い違つた問題がここに提起せられておりますると、これはやはり総合的に考えなくてはならん我々議員といたしまして、非常に何と申しますか、運賃値上げに対する態度については慎重にあるべき問題ではなかろうかと思うのです。そこでこれはやはり並行的に委員長におきまして、勿論これは分科委員会と申しましても、今までの関連からいたしまして、第四分科で取扱つておりましたが、鉄道補正予算に対する委員会の分科関係においても極く大ざつぱなものになつておる、時間的に。そうすると一応やはり今回の国鉄補正予算の実相からやはり委員各位にもこれを披露してもらいまして、そうして今の食い違いが今後生ずる点を即ち運賃値上げに対する考え方の対象にして行くかということを当つてもらわないと、どうも私は実は委員会におきましてもこの点質問したのに、数字は違つておるけれども精神は同じことだというようなことで、まあ今日ここで最後の結論を得るように質問したわけでございせんけれども、これは重大な問題であろうと思いますから…。
  24. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 鉄道のキロが延びたり、その他焚く石炭の分量が殖ふますと、それに比例いたしまして、当然やはり要員の数が殖えるということは想像にかたくございませんけれども、やはりそこには合理化が行われるわけだろうと考えておりますので、どういう標準によつて職員の数を殖やしていらつしやるのでございますか、鉄道のキロが一キロ殖えまするときに一人要るとして、その三倍の距離になつたからいとつて別に三人を雇うわけでもないでしようし、石炭の分量もやはりそれと似たようなことになりますので、どういう標準によつてこの職員の数を殖やしていらつしやるのですか。というのは十一年には二十二万人でした人間が二十五年には四十七万人にも殖えておりますので、どうも随分殖え過ぎたような気もいたしますので、ちよつとその標準について……。
  25. 石井昭正

    政府委員(石井昭正君) 私運輸省の国鉄関係の仕事をいたしておるものでございますが、只今の人員の問題でございますが、昭和十一年に約二十二万人、現在はまあ四十七万というお話でございますが、これはいろいろ戦前と戦後との事情の相違もあることと思うのでございますが、第一に基本的には輸送量が異つておりまして、現在では旅客は三十一億乃至二億人の輸送をいたしておりますし、貨物は一億五千七百万トン程度の輸送をいたしております。昭和十一年度は旅客はたしか十一億人程度と思つております。貨物も又一億トンに相成りません、九千万トン程度の輸送でございます。この輸送量の相違に基きまして、当然列車のキロ或いは駅の数等において相違があることは事実でございます。  そこで然らばいつ頃の状態と匹敵しておるかと申しますると、大体昭和十六年頃の輸送量を取りますと、ほぼ現在の輸送量と、正確ではございませんが、ほぼ匹敵していると思うのでありますが、その当時の要員が三十五万人乃至三十六万人でございます。そういたしますと、現在では約十万人の相違がございますが、十万人の相違の中には約七万人というものが、これが労働基準法の関係によつて勤務緩和の関係で必要となつている実数でございます。そのほか、進駐軍関係のために約一万人、或いは終戰後志免鉱業所を海軍から引継ぎまして、自営の炭鉱をやつておりますが、この人数が五千人、或いは鉄道公安官、一般警察制度が非常に人数が抑えられましたために、鉄道の自衛をいたさなければならんというような関係で五千人というふうな人数がございまして、こういう特殊な事情の人間を勘案いたしますと、ほぼ現在の四十六、七万という数字では、昭和十六年度の実数よりはむしろ少いぐらいの数字に相成つておるわけでございまして、昭和十一年度の二十二万人を標準にお取りになつて現在の数字を御批判になるのは、甚だ国有鉄道といたしましてもちよつとそれでは辛いのではないかと思う次第でございます。他の産業を取りましても、恐らく昭和十六年度の生産額に比較いたしまして、同じ人間でやつておるということはこれはなみなみならん努力ではないかと思うのでございます。その点はいま少しく細かに御検討をお願いいたしたいと思うのでございます。  で、今度は業務量増加に対して如何なる方法で、標準で人間を増加しておるかというお尋ねがございましたが、これは甚だ御説明申上げるのもしにくい点でございまするが、全体としての人間というものと個々の業務機関の人間ということと別に考えなければならんかと思うのであります。個々の業務機関について申上げますると、例えば機関車に乗つております機関車乗務員、これは乗務時間が常に労働法によつてきめられておりますし、その関係で、汽車が殖えてそのために機関車が殖えれば当然それだけの人間は増さなければなりません。又車掌にいたしましてもその通りでございます。或いは駅についてみますると、新らしく駅をこしらえまするならば、そこに運転関係の従事員、或いは営業関係で出札或いは改札の従事員というものは、これは殖やさなければならないのであります。併しながら現在、終戰後からいろいろ復員者の受入れ等、相当の過剩人員を擁しておりましたので、昭和二十四年六月、七月の整理相当の人間を整理いたしましたが、その後も引続いて総体の人間といたしましては、殆んど欠員の不補充という原則でやつておりました。従いまして、特に都会地であるとか或いは大きな工場のある近くであるとか、炭鉱近くであるとかいうような所で、現実に人の充足に困難をいたしまして、そういう所に欠員を生じましたものを補充するために止むなく新規採用をする、極く少数の例外を除きましては殆んど全部欠員不補充で、いわゆる配置転換をいたしまして、この個々の現場の実際に業務量が殖えるのに対応いたして参つておるわけであります。従いまして、只今の業務量増加に対する人間はどうしておるかという点は、個々の業務機関に対する問題といたしましては、その必要に応じて増員をいたしておりまするが、これは必ずしも全体の人間を殖やしておる、こういうわけではないということを御了承願いたいと思うのでございます。
  26. 松浦清一

    ○松浦清一君 簡單にちよつと伺いたいのですが、今までの運輸制度で、水産食料品に対する長距離割引制度というものがあつたのですが、それが今度の改正ではないように見受けるのですが、どういうことになつておるか。例えば鮮魚を長距離輸送するというと、鮮度が非常に低くなつて消費地では値段が下つて来るとか、加工水産品であつても長距離運ぶと、ほかの貨物とは違つて損耗率が非常に高い、こういう関係で今まで長距離輸送する場合の距離に従つて逓減制度というのがあつたのです。それがないのはどういうことになつておるか。
  27. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 只今御質問のございました鮮魚、或いは冷凍魚につきまして、今回の運賃改正につきましてどういうような手段をとつたか、又従来はどうなつていたかというような点につきましてお答えを申上げたいと思います。  先般の運賃改正に伴いまする等級改正の際に、鮮魚は上等な鮮魚、それから中等な鮮魚、下等と申しまするか、下級な鮮魚、現在三段階になつているのであります。その下級な鮮魚につきましては、現在運送距離が七百五十一キロ以上のものに対しましては若干の割引をいたしておるのでございますが、先般来今回の運賃改正に関連いたしまして農林省の水産庁当局と十分に打合せをいたしました結果、若干この下級魚の割引の距離、つまり七百五十一キロ以上というのをもう少し縮めるというようなことにいたしたらどうであるかというふうに考えまして、現在研究中でございます。
  28. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、今のよりも割合がよくなるわけなんですか。
  29. 津田弘孝

    説明員(津田弘孝君) 下級魚につきましては、そういうことに相成るわけでございます。
  30. 和田博雄

    委員長和田博雄君) ほかに御質問がなければ、郵政関係のことにつきまして説明を願います。中村君。
  31. 中村俊一

    政府委員(中村俊一君) それでは私から郵政省の郵政事業特別会計補正予算に関しまして御説明を申上げます。  只今御手許に配りましたものにつきまして御説明を申上げたいと思いますが、これを総括的に申上げますと、今回の補正予算は人件費の不足、それから物件費の高騰に伴う増、それから十月から予定されておりますところのベース・アツプに要する人件費の増、そういう増加と、それに対応いたしまして、過般の閣議決定に基くところの予算節約の減少、それから行政整理に伴いますところの歳出の減少、こういうものが重要なる内容をなしているのでございます。これに対応いたしまして、歳入歳出はここにございますように、郵便事業の分といたしましては当初予算に組んでおりました予定收入が自然増によつて相当つて来るもの、更に料金改訂によりまして増收になつて参るもの、それが郵務関係の主なるものでございますが、その他郵政省におきましては、御承知のように郵便局の窓口におきまして、各種の現金の取扱をやつておるわけでございます。それによりまして、その現金の取扱をいたす各会計からその事務を取扱うに必要なる経費の繰入をして頂いておりますが、ここにございますCの、給与改訂等に伴い他会計よりの受入の増加という項目でここに一括して書いてございます。そのほか同じく郵政省の歳入の項になりますが、二枚目のところをめくつて頂きまして、合計という覧の下に業務外收入という欄がございます。歳入歳出ともございますが、このAは郵政事業そうものではございませんで、收入印紙の売捌きを郵便局の窓口でやつております。又失業保險印紙の売捌きを窓口でやつております。これらのものはそれぞれ売上げました收入をそのまま右のほうの業務外の支出といたしまして、それぞれの会計へ同額を繰入れる、いわゆる通り拔けのものでございます。併しこれは郵政事業特別会計の中で歳入歳出として取扱つておりますので、ここに挙げておりまするので、この両者を合せますと、一番最後の欄の歳出総計九十一億一千七百七十四万五千円、同額が歳出となつております。併しいわゆる郵政事業としてやつておりますところの郵便、貯金、保險、この三事業の今回の補正予算の総額はその上のほうの合計八十五億九千二百七十四万五千円、同額の歳出、こういうふうになつておるわけでございます。この各項目につきましては、ここに相当詳しく御説明を附けてございますので、一々読み上げることは時間の関係もあろうと思いますので、省略いたしますが、御質問がありますれば、お答えをいたしたいと思います。
  32. 和田博雄

    委員長和田博雄君) 御質問ありませんか……なければ本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会