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1951-10-26 第12回国会 参議院 郵政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月二十六日(金曜日)    午後二時三十二分開会   —————————————   委員の異動 十月二十五日委員中川幸平君辞任につ き、その補欠として瀧井治三郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩崎正三郎君    委員            大島 定吉君            城  義臣君            三木 治朗君            深川タマヱ君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    郵政省郵務局長 松井 一郎君    郵政省経理局長 中村 俊一君   事務局側    常任委員会専門    員       生田 武夫君    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政省貯金局長 小野 吉郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○郵便法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○郵便為替法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) 本日は郵便法の一部を改正する法律案郵便為替法の一部を改正する法律案予備審査をすることになつていまして、これは衆院のほうでも一両日中に上つて来るわけでありますので、政府でも成るべく早く通してもらいたいという意向もありますので、本審査は又日を期してやるわけでありますが、取りあえず本日は予備審査に入ろうと思います。  先ず大臣説明をお願いいたします。
  3. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今議題となりました郵便法の一部を改正する法律案及び郵便為替法の一部を改正する法律案この二法案について提案の理由を御説明申上げます。  先ず、郵便法の一部改正でありますが、この法律案は、郵便法に規定されていますところの郵便に関する料金全般に亘つて改正しますと共に、通常郵便物種類体系等につきまして一般利用実情に副うようこれが改正をしようとするものであります。  先ず、郵便に関する料金改正案について申上げます。  昭和二十六年の予算編成当りましては、支出額二百七億円に対し、料金等収入見込額が百七十三億円でありましたため、収入不足額三十四億円は一般会計からの繰入金によつて賄うことにして予算の成立を見たのでありましたが、朝鮮動乱勃発以来の物価高騰によつてこの予算は、早くも年度開始当初すでに実情に副わなくなつていたような状況であります。而して更に近く実施されます。職員の給与ベース引上げ、諸物価高騰による郵便事業用品値上り陸上運賃値上りによる郵便物運送費増加等を見込みますると、極度の経費の節減を図りましても、どうしても年度内五十一億円の支出増加となるのであります。一方、収入面におきましては、本年度当初の予定額を超える自然増収額等がおよそ十七億円程度見込まれるのでありますが、それにしましても、差引、本年度内三十四億円、平年度約五十四億円の赤字を来たすこととなります。  而も、この平年度五十四億円の不足額は、本年度予算に計上されております一般会計からの繰入金三十四億円の繰入れを受けた上での不足額でありますから郵便収入不足額両者の合計、即ち約八十八億円の巨額に上るのでありまして、これは、現行料金による収入見込額の約五割に相当するのであります。  ところが、先日の当委員会におきまして申上げました通り年度以降は、諸設の事情から、一般会計からの繰入を期待することが極めて困難な事情にありますので、ここに収支均衡を図るため、郵便に関する各種料金引上げをなさざるを得なくなつたのであります。  従つて郵便料金改正について、全体として料金収入の五割程度増収を見込んだのでありますが、個々の改正料金額決定については、料金相互均衡郵便の持つ公共性点等をも十分に考慮に入れてそれぞれ引上げ割合を定めた次第であります。  今改正料金案の主なものを申上げますと、通常郵便物料金におきましては、第一種書状現行の八円から十二円に、第二種通常葉書現行の二円から四円に、第三種のうち発行人の差出す新聞現行の八十銭から一円に、雑誌を現行の三円から四円に、第五種の印刷物業務用書類等現行の六円から十円に引上げることにしました。そのうち、葉書料金が十割の引上率となつていますのは、葉書料金が前回の改正の際据置きとされたためこのままでは第一種書状料金との権衡が余りに大きく開きますのと葉書取扱に要する経費の点をも考慮いたしたためであります。  なお、右のほか通常郵便物料金につきまして特に申上げる点は市内特別郵便制度であります。これは同一市町村内のみにおいて発着する第五種郵便物を同時に百通以上差出す場合には、その料金現行の六円から逆に四円に引下げましたことであります。  次は年賀郵便に関する特別料金でありまして、年賀状とした通常葉書についてはその特殊性に鑑みまして一般料金よりも低料の三円としました。但し、本年度はたまたま料金値上げ直後のことでありその影響の大きいことを考慮いたしまして、特にその料金を二円に据置くことといたしました。  小包郵便物料金につきましては、小包と同種の鉄道小荷物運賃が三割引上げ予定でありますので、それとの関係考慮しましておおむね三割程度引上げをしました。なお、容積の大きいものは、目方が少くてもその取扱に要する経費目方が重いものと同様にかかりますので、この点を考慮にいれて適当な換算料金額を設けることにいたしました。  特殊取扱料金につきましては、現行料金が相当高額となつており、引上げ余地が極めて少いので、おおむね五円程度別上げることとしました。  次は、通常郵便物種類体系改正であります。現行種類は、第四種の印刷物業務用書類商品見本等のように認定の非常に困難なものがあつて利用上及び取扱上支障が少くないので、利用者にとつても又取扱う上においてもこれらの認定の容易なように種別を整理することにしました。  その他郵便取扱方法につきまして、郵便利用の実際にに合うようにいたしますため、現金等郵便で送る場合に、これを書留として差出すかどうかは、差出人任意として、差出人が特に亡失、毀損等の場合に損害の補償を必要としないと考えるときは必ずしも書留として差出さなくてもよいように改めましたほか、特殊取扱郵便物の転送又は還付の際の取扱方や、料金不足速達郵便物取扱方損害賠償免責範囲等について実情に副うように改正することとしました。  次に郵便為替法の一部を改正する法律案についてであります。  この法律案は、通常為替及び小為替制度の統合、郵便為替証書金額制限額引上げ並びに料金の不均衡是正等によりまして、事務簡素化を図ろうとするものでありまして、その内容は、次の通りであります。  第一は、通常為替及び小為替制度を統合して普通為替制度を設けることであります。現在郵便為替種類は、小為替通常為替及び電信為替の三種類でありますが、このうち、通常為替は、案内式であり、小為替に比し、複雑な手数を要し、その利用も少いので、事業経営簡素化を図るため、通常為替小為替制度を統合して、小為替制度に類似する普通為替制度を設けることにいたしたのであります。  なお、小為替は、差出人為替証書受取人宿所氏名を記載して、為替金受取人を指定することになつているのでありますが、利用者は、受取人を指定しないで為替証書の譲渡を認めるよう希望している現状でありますので、郵便局における払渡事務簡素化をも考慮して、普通為替は、受取人の指定を要件とせず差出人任意事項とすることにいたしたのであります。  第二は、郵便為替証書金額引上げであります。現在郵便為替証書一枚の金額制限は、通常為替証書及び電信為替証書は一万円であり、小為替証書は二千円でありますが、この制限額が低いため、一口の請求に対して数枚の郵便為替証書を発行することが多く、利用者にも郵便局事務上にも不便がありますので、現下の経済事情に適応するよう制限額引上げ普通為替証書及び電信為替証書とも五万円に改めることにいたしたのであります。  第三は、郵便為替料金段階変更と新料金の設定であります。郵便為替料金は、郵便為替証書金額制限引上げに伴い料金段階変更を加え、その段階ごとに新料金を設定する必要があるのでありますが、これにつきましては、他の送金機関における送金料をも考慮し、且つ、高額送金に不当の料金を課していた不合理をも是正し、而も、現行収入を確保することを目途として設定することにいたしたのであります。  又、郵便為替証書の再交付の料金及び払戻しの料金引上げることにいたしたのであります。  以上が、只今議題となりました郵便法及び郵便為替法のそれぞれ一部を改正する法律案内容でありますが、何とぞ十分御審議の上速やかに可決せられますようお願いする次第であります。
  4. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) お聞きの通り説明でございますが、両法案について御質問がありましたら御質問を願います。
  5. 城義臣

    城義臣君 二、三簡単にちよつとお伺いいたしたいと思います。只今の御説明にございました、新料金決定当りまして政府でおとりになりました基準原則と申しまするか、そういうものについて更に御説明頂きたいと思うのであります。
  6. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 御承知のごとく郵便料金の定め方というものについては、只今大臣説明にもございましたごとく、大体現在の収支の合うようにという形を全般として考えているわけであります。その範囲内において一体どの種別にどの程度料金を転嫁して行くかという問題につきましては、いろいろ従来の伝統的な料金体系もありますし、又その種別に応じての負担能力の問題もありまして、いろいろな情勢を考慮いたしまして、おおむねこの辺でよかろうというような形できめているものでございまして、必ずしも原価計算といつたような意味合いにおいてきめられたわけではございませんです。
  7. 城義臣

    城義臣君 例えば国鉄運賃法の第一条によりますと、左の原則ということで、御承知のように四カ条ばかり挙げておりますが、そういつたものをやはり一つの科学的な基準というようなものを、却つて示しなつたほうがいいのではないかという気もいたしますのですがございますれば重ねてお尋ねしたいと思いますが……。
  8. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どものほうで取扱つておりまするものというのは、非常に種類も多うございますし、その上に大体郵便料金というものは均一料金制度をとつておりますので、一通当り原価といつたものを出すのは、実は技術的に見ても非常に困難なものがあります。併し私どものほうでも現在一応はこの程度平均コストにあるという数字は持つております。併し従来長い間の伝統として、郵便料金というものが全般としての総合計算というような形でなされておりましたので、すぐにそれを国鉄式に採用するというわけには参りませんので、この際はそういうことをも考慮しながら、やはり政策的な点を主眼にした料金体系とつたわけであります。
  9. 城義臣

    城義臣君 只今の御説明趣旨は了承いたしました。重ねて今お話のお言葉の中にもありましたので伺いたいのですが、例えばこの原価計算というようなことが非常に困難であるということも想像つきますが、一応事務的に御算出になつていらつしやるのがありますれば、これも一つ参考に承わらして頂きたいとこう思うのです。
  10. 中村俊一

    政府委員中村俊一君) それではお答えいたします。先ず原価計算でございますが、私どものほうでやつておりますいわゆる原価計算と申しますのは、我が国国鉄あたりでもそうでございますが、工業原価計算的なやり方でやつておるのではございません。言い換えますというと、独特の原価計算方法でございまして、総経費を各郵便種類ごとにどういうふうに重みがかかつておるかということを調査いたしたのでありまして、正確に申上げますならば、いわゆる原価調査であります。こういう意味でお聞き取りを願いたいと存じます。実はこの原価調査は昨年の十月から採用いたしたのでございまして、現在計数の整つておりますのは、二十五年度下半期の分でございます。従つて二十五年度下半期の、つまり第三、第四両四半期の総支出を各郵便種類ごとに振り分けたと、こういうことでございますので、これを現在の平年度換算をいたさなければ全体としての原価調査はできないのであります。そういうわけでありますので、実際調査いたしました実数に今回のベース・アップの所要額とか或いは又物価騰貴の額とかこういつたようなものを推計して類推いたしたものがございますので、その意味の結果を申上げます。一番郵便のうちでポピュラーでありますところの第一種、第二種、第三種について申上げますと、第一種はかようにして出ましたのが六円四十七銭であります。それから第二種、葉書でございますが、これは五円二十七銭、第三種、これは新聞等でございますが、六円三十四銭というふうになつております。なお四種、五種は、今回の郵便法の一部改正法律案にもございますように、その内容現行のものと少し変つておりますので、現在のもので調べた結果をここに出しましても、内容が違つて参りますので御参考にならないかと思いますので省略いたします。
  11. 城義臣

    城義臣君 只今示し原価調査というようなものによる原価ですね、第一種、第二種、第三種について言えば、この新料金との割合が、例えば手紙等で挙げた黒で葉書或いはこの第三種の赤を、これを補填するというような形になつておるようですが、結果として手紙は当然減るであろうということは予想がつくのでありますが、どの程度の減を見込んでいらつしやいますか。
  12. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 手紙葉書との料金バランスが当を得ませんと、この両者の間には非常な変化が来るという御趣旨でございますが、御承知のごとく、長い間の両者バランスは、大体葉書一に対しまして封書が二というのがおおむねの基準として我が国において慣行的になつてつたのでありますが、この前の値上げの際に、葉書据置になされた関係上、御承知のごとく、現行の一対四という非常に大きな開きになつております。その結果、封書から葉書への移行というものが、この料金体系変化に伴いまして、相当多数行われたということは、数字の上で我々も看取できるのであります。ところが、最近におきましては、大体この一種の状況というものも大体安定したのではないか。本来移行すべきものは移行し尽したのではないかと、まあこういうような形に見受けられるのであります。そこで、今度の値上げの場合におきましては、この両者バランスという意味におきましては、御承知のごとく、原案におきましては、今度は一対三と、むしろ倍数におきましては従来よりも鞘寄せになつております。従つて、その両者開きという意味から見た移行というものは、さほど我々は新らしい問題としては見る必要はないのではないか、ただ封書というものの現行の八円というものが、先ほど経理局長からのお話にありましたごとく、すでにコストよりも上つておる。而もそれを更に今回の案では十二円に値上げをするということになりますれば、これは相当の減少ということはやはり覚悟しなければならないと見ております。まあいろいろな見方があるだろうと思いますが、年間を通じまして五%平均でございます。御承知のごとく、大体従来の経緯を見ましても、値上げの直後は非常に物数が減りまして、それが四月乃至五月たつうちに大体回復して来る。おのずから通信力一般自然増加もありますし、そういうことから見まして、年間平均して五%程度の減というものは、これは相当大きな減を見ていいものであります。大体そのような減が起り得るだろうと我々は一応考えております。
  13. 城義臣

    城義臣君 これはもう一般常識論ですが、この新料金体系をお作りになられるについて、原価のことは離れましても、一応この書状が少し高過ぎるのではないか。葉書のほうは、例えば四円を五円にしても、ちよつと取扱に便利であるが、この十二円というのは少し高過ぎやしないかという一般の議論をよく聞くのであります。例えば、どのくらい上つているかというようなことを、戦前の昭和九年乃至十一年当時の日銀卸売物価指数等に比較して見ましても、日銀卸売物価指数は本年八月において三百四十八倍であるが、今回の郵便料金引上げにより、葉書は二百六十六倍、書状は四百倍となつておるというような点も一応指摘されているようであります。この辺については、いわゆる高過ぎるというような一般常識論ではありますけれども政府当局として、事務当局として、これに対してはどういうふうな御説明をなさるのでありますか。一応承わつておきたいと思います。
  14. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どもも昨年実は行いました郵便に関する輿論の調査の中にも詳細に出ておりますが、葉書については、相当の値上げ余地があるが、封書についてはもうすれすれで、値上げ余地が少くなつておるじやないかということは、先ほど城委員からお示しになられましたいろいろな統計数字のほかに、街の声としてもそういうことを伺つております。そういう意味におきまして、できるだけ封書値上りの幅を実は少くしたい、かように考えておつたのでありますが、郵便通常料金の大宗でありまする葉書封書というものの料金を設定するに当りまして、葉書というものは、現在二円であります関係上、これを一挙に五円にするというのは少し行き過ぎではないかというような考慮が強く払われまして、どうしても葉書は一応四円に据置きたいということを実は基準にいたしまして、そういたしますと、結局その残つて来るいろいろな負担というものを全部一種へ転嫁せざるを得ないというような形から、止むなく十二円というような数字を出さざるを得なかつたわけであります。
  15. 三木治朗

    三木治朗君 大臣もすでにおられないので、これは事務当局からの御返事はちよつと困難かとも思うのでありますが、大体今度の改正は、一般会計からの繰入金というものが全然ないものとして、この郵便料金改正をやろうとしておるように見えるのですが、大体この郵便事業というものは、公共的な事業であつて、必ずしも原価計算のみによつてやるべき性質のものでないように考えられるのですが、当局としては、全然今後一般会計からの繰入金は取らない、もらわないという御方針なのかどうか、この点をお聞きしたいのです。
  16. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 郵便事業経営の基本に触れる非常に大きな問題でございまして、大臣から答えて頂くのが適当かと思いますが、一応事務当局として考えておる点を御説明申上げたいと思います。郵便事業が相当強く公共性を持たされておるということを前提として考えまするならば、郵便事業は本質的に独立採算としてやらなければならんということは出て来ないと思います。その場合に、結局一般会計からということになりますと、これは税金で徴収したお金という形になります。料金でやりますと、これは現実利用するというかたから頂戴するわけであります。そこの調整をどうするかということが現実における問題だろうと思います。つまり、料金としての負担がそう無理ではないという限度においては、やはり原則として一般運営費というものは、料金で賄つて行くのが公平だろうと思います。併し、非常にそこに公益的な犠牲を強いられるその負担一般に転嫁して行くためには、もはや限界を越えるといつた場合においては、これはやはり一般会計からの補給によつてなされなければならんという性質のものだろうと私どもは考えております。つまり、その公共性に関する限りは必ず独立採算でやらなければならんという原則は立たない。然らば何でもかでも一般会計から仰ぐか、これも又不合理な面がありまして、やはり利用する人から頂くという建前は、一応料金体系としては基本的に考えていいのじやないか、かように考えております。
  17. 三木治朗

    三木治朗君 料金改正、いわゆる原価計算に基いて改正するという建前になると非常に公共性の強い、いわゆる日刊新聞のようなものは、特にこれを原価計算にするならば、葉書封書より以上に重量もあるし、非常に高くつくだろうと思うのであるが、これは非常に公共性の強いものであるからこう安くしているのでありましようが、これなぞはこれの負担を結局一種、二種の葉書封書利用する人がそれの負担を受持つということの不合理があるように思うので、従つて、当然こういう、何というか、赤字の出る郵便物に対しては、当然繰入金があつて然るべきだ、さもなければ、これを同額に原価計算をして、それだけのものを利用者から取立てて行くというのが、これが正しいことになるわけです。こういう点に対してどういう御見解をお持ちになつているのか。
  18. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どもが仮に一応原価計算いたしまして、その原価計算通り頂けるものは、これは問題ございませんが、どうしても公共的な意味において原価計算をやらなければならんということを要求された場合に、それは一般会計から補給していいじやないかということも確かに一つの筋の通つたども考え方だと思います。そうしますと、大体原価以上に他へ転嫁するということは原則としてしない、少くとも郵便料金というものは一応の原価以下のものでなければならんということが前提となるわけでありますが、今はそういうふうに個別的な原価計算主義ということを中心には考えておりません。ですから、結局一応の原価の分担はありますが、それを相互に転嫁し合つて、どうしても転嫁できないものについては、無理だというものについては、これは最後の赤として一般会計から補給を仰ぐという建前にしております。と申しまするのは、やはり一般会計からの負担と言いますと、これは直接租税政策に関連して来ます。租税負担を多くする人が必ずしも郵便をたくさん使う、つまり郵便コスト以下において利用している人であるということには必ずしも言いかねる部面が出て来ると思います。そこで負担し得る限度においては、やはり利用者負担で行く、併しそれが、或る程度以上になつて無理な場合においては一般会計から仰がねばならん、こうするより差当り現状としてはいたし方ないのじやないか、かように考えております。
  19. 三木治朗

    三木治朗君 そうすると、結局一般会計からの繰入金も必ずしも、何と言いますか、見込んでいないというわけではないと解釈していいわけですね。
  20. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 現在のこの料金案が大体お認め願えるというようなことになりますれば、来年度予算については、一般会計からの繰入金を無くしてやれるという程度の見通しは持つております。特別な事情か、大きな変化があれば別問題でございます。
  21. 三木治朗

    三木治朗君 どうも今の態度は甚だ意に満たないので、これはどうしても或る程度繰入金を取るのだという建前を僕は残すべきだと考えるのですが、国の財政の苦しいこともわかつておるのですが、今日の郵便事業というものが世界各国に比して非常に、何と言いますか、貧弱と言いますか、世界各国では郵政事業というものは文化の尖端を行く建前をとつて、建物でも、或いはつて行くのに、今日のあらゆる施設、その他において、非常に貧弱で、世界に対して恥かしい状態にあるのは、これを少しも早く世界並みに立派なものにしなければならないという大きなここに経済的な力を持たなければならない。郵便料金値上げだけでどうにかやつて行くからという程度では、なかなか国家の事業として独立採算の殻の中に立籠つてつて行つたのではいつになつたら日本の郵便事業というものが世界各国に伍して行かれるか、非常にこれは前途甚だ心細い次第なのですが、そういう点などを考えますと、今おつしやつたように、繰入金を必要としないという建前では将来の郵便はやつて行けないと思いますが、如何ですか。
  22. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私どもといたしまして、先ほど私がお答えいたしました来年度は何とかと申しますのは、これは運営上の最低のぎりぎりでございまして、決してこれで郵便事業が非常によくなるというほどのものを期待しておるわけではございません。一般会計のほうで余裕があるならば、まだまだ郵便事業には繰入れて頂きたいようなものもあります。その点になりますと、これは一般会計の財源と特別会計の関係になりまして、私からお答えするのは或いは適切でないかと思いますから、適当なときに大臣からでもお答えを願いたいと思います。
  23. 三木治朗

    三木治朗君 この料金値上げの可否の問題は別としまして、今の説明によると、一種が四円の二種が十二円という案のようですが、これを実際に事務取扱う面から言いますと、四円という料金は大体六円なり一円なりの釣銭を出さなければならん。十二円という料金に対しては、又これは八円の釣銭を支払わなければならん。これは事務上から言つても手数のかかることで、買うほうでも相当僅かな釣銭をもらうということは非常に煩雑なので、これは五円、十円というような釣銭を要しない、計算のわかりやすい料金にすることが非常に事務取扱の上から言つても、利用者の側から言つても、いいのではないかと思うのですが、先ほどの御説明があつて、一遍に葉書をどつさり上げることは、というお話でありましたが、私はそのほうがすべての面において便宜じやないか。値上げの可否は別として、そういうようなことに対しての御考慮はあつたのですか、どうですか。
  24. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 私ども今回の値上げ体系を考えまする上においては、先ず最初にやはり只今三木先生のおつしやいました五円、十円案ということを考えたのであります。これは先生が今おつしやつたと全く私ども同じ見解を持つているものでありまして、事務取扱の便宜さというか、そういう点を考えて見ますと、又公衆にとつてもわかりいいということを考えて見ると、この案がそういう意味においては最上なんだろうと思います。ところが他面郵便料金というものは、その料金自身が持つている何と申しますか、値上げの経済的負担ということは、仮に極めて一般国民生活にとつて僅少なものであるといたしましても、何しろ国営事業の最も一般の国民が利用しなければならん関係上、これを政府が一〇〇%以上に亘つて値上げするというのは、その心理的な響きというものがどうも思わしくないというような有力な意見もございます。この点にも成るほど私ども聞かなければならん点もあると思います。それは昨年度郵便のいろいろ現状調査の際にも、仮に郵便料金が上つても極めて生活に及ぼす影響は僅かである。併し郵便料金も又大幅に上るのだという、むしろ心理的な影響を一般の国民としては警戒しているというような点も見受けられますので、そうした点を考慮いたしました結果、止むを得ず現在のような四円、十二円案ということに落ちついたわけであります。
  25. 三木治朗

    三木治朗君 なおもう一つ郵便為替法改正の点でちよつとお尋ねしますが、今度は少額送金の場合のことを考えると非常に無理があるように思うのですが、仮に百円の金を送るという場合に、合計すると七十七円の費用がかかる。為替料が三十円に郵便料が十二円、書留が三十五円ということになると七十七円かかる。これはもう非常にどうも何と言いますか、べらぼうな費用を出して金を送るという結果になるようでありますが、これで果して運営が行くものですか、どうですか、その点一つお伺いします。
  26. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) 只今御指摘の点につきましては、私どももよく承知いたします。そのように考えるものでありますが、一面今度の郵便為替法改正は、主たる点は通常為替小為替の統合ではありますが、料金体系におきましても、かねがね他の送金手段との権衡が非常に問題であつたのであります。仮に昭和十五年当時口数にいたしまして六千万を超える取扱があつたのでありますが、爾来年々減少いたしまして、最近では年間三千万口の利用しかないような状況であります。これは今の低額のところは非常に利用が多いのであります。これは料金が非常な格安になつております。その負担は挙げて高額の為替送金にかかつているわけでありまして、そういう方面の利用が逐年減少する、こういうような苦しい実情にあるのであります。今回の料金段階並びにその料金の額を決定するに当りまして参照いたしました二つの権衡の問題は、銀行送金が一方にあります、又一面には今回の郵便法の一部改正法案の中にもございますが、現金書留の新らしい料金体系、これとの考え方において為替事業も再検討せざるを得ないような立場に相成つておるわけでございます。  銀行送金の点を見ますと、現在五千円以下のものはすべて五十円の料金を取つているわけであります。五千円を超えるものにつきましては、すべて金額制限なく五万円でも十万円でも百円、こういうような状況になつております。他の為替料金を見ますと、小為替料金におきましては成るほど低額のところは安うございます。百円以下という刻みもありますし、そういうところでは現在十円で取扱つているわけであります。更に百円を超えまして五百円以下のものにつきましては十五円、五百円以上千円までが二十五円、かように相成つておるのでありますが、そういう百円或いは五百円刻みのところを、かような低料金にしなければならないとしますと、勢い二千円、三千円、五千円となりますと、銀行送金にとても追付けない高い料金を徴せざるを得ないような状況もあるわけであります。そういう面も併せ考慮いたしまして、今回現金書留料金につきましても千円以下のものは、すべて一番最低の段階といたしまして三十五円、こういうような料金になるのでありますが、私どものほうではこれと睨み合せ、一方には銀行送金五十円との睨み合せも考えまして、できるだけそういつた少額の金の送金に、料金が安いことが好ましいことには違いございませんので、三十円とかように落ちついたようなわけであります。従いまして高い段階になりますと、従来はとかくその方面に非常に不合理負担をかけておつたのでありますが、三万円の送金につきましては、今日通常為替にいたしまして一万円のところで百二十円の料金を徴しておりますが、三万円で百円というような刻みにいたしております。
  27. 城義臣

    城義臣君 もう一度お伺いしたいのですが、さつき三木先生からお話がありましたが、四円を五円にしたほうが能率も上るのではないかということについて、心理的影響をお考えになつたと、よくわかるのですが、併し仮に五円にして、一円余計上つたとして、どのくらい増収になるのですか。その点ちよつとお見通しがあれば……。
  28. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 大体現在物数はいろいろ変つて来ておりますが、封書というものと葉書というものを考えて見ますると、物数においては葉書が二に対して封書が一という割合であります。物数の上におきまして……。そこで今度の料金改正でございますが、そういうことをそのまま数字的に見ますると、葉書において一円の値上げをすることは、封書において二円値上げをするに匹敵するわけでございます。物数が半分でございますから、そういう意味合いになるわけであります。今度の値上げにおきましても、大体二種におきましてもおよそ年間二十五億ぐらいの増収予定しております。一種においても大体その程度のものを予定しております。
  29. 城義臣

    城義臣君 私が申上げたいことは、公衆の目から見ますと、三木さんからもお話がありましたが、例えば郵便局舎等については、非常に狭隘で、誠にどうもお粗末な目に余るものが多過ぎる。そこで仮に一円というものが余計上げられたために、負担するほうから言えば実際大したことではない。併しそうした増収があるならば、むしろ私は増収策を図つて、日常公衆が利用される郵便局はもう少し立派な明朗な能率の上るものにすべきではないかというような気がするのです。心理的影響というようなことだけでもありますまいけれども、他の例を申上げても、例えば私鉄なんかの場合、監督官庁のほうでは料金が上ることが一般大衆の足に非常な支障を来たすと言つて抑えるけれども、そのために朝晩その私鉄を利用する者は、実にその設備の惡い不便極まりない車に荷物のように押込まれるということがあるのであります。この辺を勘案しますと、一律にただ心理的影響だということのみの意味において、当然増収の図り得るものには、むしろ増収を図つてそれだけよくするということのほうが文化を向上するゆえんではないかと、こういうような気もいたしますので、私は反対をいたしているのではないが、そういう国民の声もあるということを将来やはり御勘案頂きたいと思うので、この際要望申上げておきたいと思います。
  30. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 先ほどの私のお答えが若干ピントが外れておつたかと思うのでありますが、一円値上げをすることによつてどの程度増収が期待できるかと、大体このようなお話でございました。大体葉書が現在十五億ぐらいでございますから、そのままで行けば年間十五億円ということになります。若干それは物数の減というものと自然増収というものがそこに起きて来るはずでございますが、大体一円の差で十四、五億ということになります。
  31. 三木治朗

    三木治朗君 今度の郵便料金値上げの問題は、いろいろの事情から言つてむやみに赤字であるが故に事務員が絶えず重荷を背負わされて、そうして自分たちの要求も遠慮しなければならんというような非常に苦しい立場に置かれるに至つているので、或る程度値上げも止むを得ないのではないかとは考えておりますが、値上げをするからには、ただ赤字だから値上げをするというばかりでなく、値上げをするからにはいろいろとやはりサービスの改善をいたしたいというくらいなことでなければ、一方的でどうも面白くないと思うのですが、そのサービスの改善は、むしろさつきも言つた通り、城さんもおつしやつたような工合に、郵便局へ行つても感じがいい、余り小汚くないというような明るい感じの持てるようなのもこれは一つのサービスであると思うが、この値上げに関してサービスの面で何らかお考えになつておることがあつたら一つお伺いしたいと思います。
  32. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 只今お尋ねになられましたように、値上げをするのだからどこかサービスをよくすべきであるということば極めて御尤もなお考えであると思います。ところが先ほど郵政大臣のこの本案に対する説明の中にもございましたように、この値上げのよつて来ましたゆえんのものは、全く現在の事業維持のためにどうしても最小限度必要な赤字というものを埋めて行きたいということが基本になつております。而もその中には今度の行政整理によつて縮小せらるる人件費をも含んでおります。従つてどもとしては、この値上げによつて得られる費用というものは、現在の事業規模というものを辛うじて運営して行けるだろうという程度の大体増収しか期待できないと、かような次第でありますので、サービスと一口に申上げましても、それが例えば人を要するとか非常な費用を要するといつたようなものにつきましては、この計画によつて多くを期待するわけには参らないと思います。併し私どもは、折角国民の皆様がたから相当高い料金負担をして頂くという以上は、我々のサービスの基本である郵便物を安全に確実に送ると、そうして与えられた範囲内においてできるだけ早く送るという点については、誠心誠意を籠めてやつて行きたい、かように考えております。
  33. 三木治朗

    三木治朗君 まあこのサービスの問題その他に関しましても、最前から申しておりまするように、一般会計からの繰入金はどうしても取るべきだという工合に私どもは考えておるわけであります。これはいずれ大臣がおいでになつたときになお強く要望したいと思います。
  34. 城義臣

    城義臣君 今三木先生から一般会計から繰入金を取るべきだというような強い御主張をなさつておりますが、それはそれとして、やはり郵便事業独立採算制を実現するという一つの目標を掲げられておる以上は、いろいろ事業合理化であるとか、或いは特定局制度の改善等を実施しまして、経営の経済化を図るという必要があるのではないかと思うのでありますが、何かそれについて御計画等がおありであれば、その点を伺いたいと思います。
  35. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 制度の改善の問題につきましては、いずれそのうちに私どもとしてもいろいろな角度からこの問題を取上げて行かなければならんと思つております。現在の今御指摘になられました特定局制度と申しますか、これの現状というものが必ずしも我々としても満足すべき状態であろうとは考えておりません。併し現状に至るにはいろいろなそれ相当な理由があつてつて来たことでありまするし、簡単にこれを元に還すとか還さないとかいうような形ではこれはなかなか結論を打出し得ないだろうと思います。そこで現状に即するように合理的に行き過ぎた点は直すように、そういう点についてこれからいろいろと具体的な施策を施して行きたいと、そういうふうには考えておりますが、今ここでこれをどうするというふうな具体性を持つて申上げる段階にはまだ立ち至つておりませんのです。
  36. 城義臣

    城義臣君 それからこの郵便貯金のことですが、昭和二十七年度の増加目標額はどのくらい立てていらつしやるのでしようか、又それに対する御方針、御方策があれば伺いたいと思います。
  37. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) 来年度の目標は、私どもといたしましては一応五百億を頭に置いております。但し大蔵省の資金運用計画の期待の数はそれよりも上廻つておりまして、六百億くらいは是非やつて欲しい。特に今日まだ上程の運びに至つておりませんが、郵便貯金の利子でも上げるようになりますと普通貯金で相当殖えるであろうと、そういうところで資金運用計画の面では六百億を期待いたしております。我我実際の今の実情から判断いたしますと、まあ五百億がせいぜいではあるまいかとかように考えております。
  38. 城義臣

    城義臣君 その方策は何かございますか、特定の……。
  39. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) 方策につきましては、これは前々そういつた方法をとつておりますが、通常貯金というものはこれは成るほど殖えるには殖えますが、なかなか宣伝なり周知の仕方がむずかしいのでございまして、たとえ利子を上げましても、それだけで直ちに自然に流れて来るものではないようであります。なかなか貯金というものはやりにくいものでありまして、相当にやはりお勧めしないとなかなか集まつて来ないような状況でございますので、やはり積立貯金、或いは定額貯金、こういつたもので相当勧奨せざるを得ないと思つております。
  40. 城義臣

    城義臣君 これは予算を伴わなければ急には実現できませんが、公衆の側から言うと、窓口が少いというような感じを持つのですが、この点はどんなものでございましようか。やはり事務当局としてもそういう声を十分お聞き取りと思いますが、こういう点を十分将来に亘つて勘案して頂きたい。国民の貯蓄に利便を供するという形でこういう方向へ是非持つてつて頂きたいものと、こういうふうに存じます。
  41. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) お説の通りでございまして、私どももそういつた取扱の機関が殖えればやはり集まるものは多くなる、かように考えております。ただ窓口機関を殖やしますことは、主として都会方面には相当今日普及しておるわけでございますが、自然、局のない村に郵便局を置くというようなことになろうかと思います。経営上の問題といたしまして、そういうところは得てとかく採算が合わないところでございまして、財政状況関係からも睨み合せなければならないわけでございますが、将来大いにそういつた線へできるだけ窓口機関が多いことが望しいこと、こういう気持は持つております。
  42. 城義臣

    城義臣君 そういうお気持があれば、方法とすれば、例えば民間等の金融機関で扱つておるような簡易な方法、例えば一定の職員を置かずに、代理店と申しまするか、一つの請負のような形で簡易に預金を吸収すると、これは相当信用のあるものであれば、その辺を工夫すれば、改めて立派な郵便局を設ける必要もないし、又そこへ公務員としての一定の職員を置いてやるということでなしに、その辺の工夫の途はあると思う。従来のいわゆる官営だとか、国営だとかいうような観念からすれば非常に飛躍したような議論のようでありますが、そのことが国民をして貯蓄の習慣をつけると、或いは又預金者から非常に便利であるというようなこともあるので、その辺まで押し進めて考えて見るといいのではないかと、こういうふうな議論をよく聞きますので、私もそれに同感しておりますから、将来のことですけれども工夫して頂いたらいいのではないかと思います。
  43. 小野吉郎

    説明員(小野吉郎君) その点につきましては、現在の状況ではできるだけ足で掻き集めるという方法はとつております。現在郵便局の区域に入らないところはないわけでございますので、外勤の定員もございますし、足によつてそういつた方法はとつております。一面には請負と申しましてよいのでございますかどうですか、少くとも個々のそれでなしに、一つの団体といたしまして、毎日日掛のようなことで集めて頂いて、それを月に一回郵便局員が集金に廻ると、こういうような方法を今日とつておるわけであります。
  44. 城義臣

    城義臣君 了承いたしました。
  45. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) それではちよつと私も質問したいのでございますが、今貯金局長のお話によると、三木君の質問に対して、まあ値上げをして大いに安全確実な郵便事業をやつて、サービスをやりたいというような御答弁であるようでありますが、どうも根本的にはこれは政府予算の組み方ということになるでしようけれども、それはさておきまして、とにかく今の独立採算制というものは誠にお話を聞いておるというと今日不安定なものであるし、原価計算のほうから見ても何かきつちりしないようなところもありますし、そうして料金を上げてサービスも万全を期したいというが、今首切りが片方に行われておつて、そうして先ほど三木君の質問にあつたように、十二円とか四円とかいうような半端なことではますます現業のほうでは骨が折れると、骨が折れて仕事が忙しくなれば、これは如何に安全確実な仕事をしようと思つてもできなくなるので、私はそういう点からすると、原価計算の点も考えられるし、おしなべて常識的に見まして、やはり十円、或いは葉書は大衆的なものであるからこれは四円にしておいていいのかも知らんけれども、そういう感じを持つのでありますが、その辺をもう少し納得の行くように御説明を願いたいのですが……。
  46. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 只今の御指摘は私どもにとつても苦しいところをお衝きになつたものと思いますが、先ほど申上げましたごとく、現在の収入を確保してそうしてかたがた事務簡素化を図つて行くという面から申上げれば、確かに五円十円にするに越したことはございません。ところが先ほど私が申上げましたような配慮が中心となつて四円というものが打立てられたと、そうしますと現在の我々として必要な最低限度増収というものも四円十円ではどうしても期待できないというわけでございます。これは御承知のごとく、官庁会計は一年ごとに立てられるので、長い目で見られた場合のことは必ずしもそれに一致しないかも知れませんが、差当り年度予算という程度の見通しにおいては、なかなか必要な俸給を支払つて行き、必要な現状の施設をやつて行くだけで四円、十円ではどうしても辻褄が合わない、そこで止むを得ず十二円案というものになつたということが四円十二円案の立つた実体でございます。その辺は一つ御了承願いたいと思います。
  47. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 独立採算制のことでございますけれども、それは私原則といたしましては、国民の貧富の差なく貧しい者もお金持ちも同じように金を出さなければならないものだ。例えば米とか、或いは汽車賃とか、こういう葉書手紙とか、こういうようなものはやはり全部独立採算制にしませんで、まあたかだか半分くらいは各人が同じような負担をしてもよろしいのでしようけれども、あとのせめて半分くらいはやはり経済力に応じて税金を取立てたその税金で支払うというようにいたしますことが、社会政策というのですか、そのほうがどうも合理的だと思うのですけれども現行法におきましてもやはりその欠陥は是正するべく努めておるらしうございます。例えば国会議員なんかたくさん手紙葉書を出しますけれども、やはり通信料というものを別にもらつておりますし、雑誌社なんかでもたくさん使つておりますが、雑誌の値段の中に織込んでおりますし、やはり米の値段なんかもそういうものは労務者の人たちには給料のほうで勘案しておるらしうございますから、これは独立採算制で現状のままでいいのではないか知らんと、この頃こういうふうに考え直して来ておるのでございますが、それはそれとして、さつきからの話で葉書四円手紙十二円と、これは党の意向をまだ聞いておりませんから私勝手にここでおしやべりするのはどうかと思うのですが、私一人の考えでは、これはやはりスマートに……、取扱う人の能率のことも考えませんと、葉書一枚買つても四円で一円釣りがある。現行の通貨とのバランスも考えませんと、五円持つてつても一円釣りがある。葉書二枚買いましても二円釣りがある。三枚買つても十二円ですから又釣りがある。四枚買つても十六円で釣りがある。五枚買つてやつと十円札二枚。切手を一枚買つても一二円、二枚買いましても二十四円、三枚買いましても三十六円、四枚買つても四十八円で、やつと五枚買つて六十円です。一枚十二円で切手を買つたときに、あと八円都電の切符が買えますけれども、都電の切符も何だか値上りしそうなんで、ここらはやはり窓口におる人の能率も考えてやりませんと、それこそ能率賃金をもらわなければいけないことにもなりますので、さつき丁度よい都合の御説明をなさつておられましたが、葉書二枚に対して封書が一枚というような売行きらしうございますから、葉書のほうを一円値上げをいたしまして、これが二枚売れるとしますと二円、それで封書一枚で二円値段を引下げますと、これで同じです。何というのですか、郵政省のほうの会計としては同じですから、同じならもつと皆さんの便利なように五円、十円としたほうがよいと考えますけれども……。
  48. 松井一郎

    政府委員松井一郎君) 深川委員から御指摘のごとく、大体葉書一円の値上げ封書二円の値下げというものは、予算的には見合う問題でございます。従つて予算の上では別にどうこうという問題はありませんです。ただその他の問題でございますが、先ほど私が申上げたことを又繰返すようになるのでありますが、おつしやる通り事務の手続、能率といつた点については、これは四円、十二円のほうがよいという何らの理由はございませんし、御指摘のごとく五円、十円の案が優れておるということはこれはもう問題のないところだと思います。ただ他方における、私が先ほど申上げましたような意味において、郵便事業値上げということが、五円になると一五〇%ですから、一〇〇%以上の心理的影響があるといつたような点をどの程度重く見るかという問題で分れて来るだろうと思います。その問題はそう懸念する必要がないじやないかというお立場からすれば、おのずから問題は五円、十円に落ちついて行くだろうと思いますし、いやそうでない、やはり政府の施策として葉書値上げの持つておる物価に及ぼす心理的影響といつたものを考慮するから、どうしてもこれは一〇〇%以下にとどめるべきだというような立場を重要視いたしますれば、おのずからこれは四円、十二円案ということが打出されて参ります。その辺になりますとこれはもう見方と申しますか、見解の相違になつて参ります。私どもとしては、やはり一応原案者としては後者をとつてここに四円、十二円を出した、そういう点を御説明申上げておきたいと思います。
  49. 岩崎正三郎

    委員長岩崎正三郎君) ほかに御質問ございませんか。では又本審査のときに更に質問もできることでございますから、本日の予備審査はこの程度で止めたいと思います。これで閉会いたします。    午後三時四十二分散会  律案