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1951-11-26 第12回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十六日(月曜日)    午前十時三十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十一号   昭和二十六年十一月二十六日    午前十時開議  第一 綱紀粛正に関する決議案木下源吾君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 文化財保護法の一部を改正する法律案堀越儀郎君外十九名発議)(委員長報告)  第三 博物館法案衆議院提出)(委員長報告)  第四 漁港法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第五 水産資源保護法案衆議院提出)(委員長報告)  第六 裁判所職員臨時措置法案内閣提出)(委員長報告)  第七 外務省設置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 関税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 輸出信用保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 中小企業信用保險法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 陶磁器製品物品税撤廃等に関する請願委員長報告)  第一四 洋紙の物品税撤廃に関する請願委員長報告)  第一五 たばこ小売利益率引上げに関する請願(六件)(委員長報告)  第一六 北海道旭川市に国民金融公庫事務所設置請願委員長報告)  第一七 水あめ、ぶどう糖の物品税撤廃に関する請願(三件)(委員長報告)  第一八 運動用品物品税免税点設定に関する請願委員長報告)  第一九漆器の物品税撤廃に関する請願(二件)(委員長報告)  第二〇 呉市平和産業港湾都市建設総合計画に関する請願委員長報告)  第二一 児童乗物物品税撤廃に関する請願委員長報告)  第二二 岩手県下の火災による農山漁村長期事業資金融資請願委員長報告)  第二三 金庫手提金庫物品税撤廃に関する請願委員長報告)  第二四 満二十年以上の旧陸軍共済組合甲組合員年金下附請願委員長報告)  第二五 織物消費税の廃止に伴う損失補償請願委員長報告)  第二六 漁業に対する課税改善請願委員長報告)  第二七 荒川横堤による被害除去請願委員長報告)  第二八 地すべり砂防工事予算の実現に関する請願委員長報告)  二九 北海道厚岸本町、真龍町間に架橋の請願委員長報告)  第三〇 県道長岡桂谷線改良工事費国庫補助に関する請願委員長報告)  第三一 魚野川多聞橋下流地区改修工事施行に関する請願委員長報告)  第三二 上郡、三石両駅間船坂栗原踏切改築に関する請願委員長報告)  第三三 土木災害復旧工事継続施行期間短縮に関する請願委員長報告)  第三四 熊本県天草上、下島東海岸道路開設に関する請願委員長報告)  第三五 ルース台風による災害復旧対策措置請願委員長報告)  第三六 幌別川切換工事施行に関する請願委員長報告)  第三七 指定府県道高知中村線名古屋トンネル開さくに関する請願委員長報告)  第三八 産業補助施設道路に関する請願委員長報告)  第三九 房総半島西部幹線道路中一部改修工事継続施行等に関する請願委員長報告)  第四〇 ルース台風による災害復旧対策に関する請願(二件)(委員長報告)  第四一 清水、直江津両市間道路中一部改修工事施行に関する請願委員長報告)  第四二 吉野川改修工事等促進に関する請願委員長報告)  第四三 指定府県道長野甲府線中臼田橋架替に関する請願委員長報告)  第四四 愛媛県川之江町の防潮堤防築設に関する請願委員長報告)  第四五 久慈川改修工事施行に関する請願委員長報告)  第四六 支笏湖を中心とする観光産業道路開さくに関する請願委員長報告)  第四七 札幌市、千歳町間および千歳町、支笏湖間道路補装工事施行に関する請願委員長報告)  第四八 千葉県外房海岸道路改修工事促進に関する請願委員長報告)  第四九 ルース台風による災害復旧に関する請願(二件)(委員長報告)   第五〇 愛媛鏡村海岸護岸工事費国庫補助に関する請願委員長報告)  第五一 不動産取引法制定に関する請願委員長報告)  第五二 北海道勇拂原野総合開発促進に関する請願委員長報告)  第五三 石油製品統制撤廃反対等に関する請願委員長報告)  第五四 たばこ小売利益率引上げ等に関する陳情委員長報告)  第五五 水あめ物品税撤廃に関する陳情委員長報告)  第五六 府県道木頭大栃線完成促進に関する陳情委員長報告)  第五七 ルース台風による災害復旧対策措置陳情委員長報告)  第五八 台風被害復旧事業費国庫助成等に関する陳情委員長報告)  第五九 住宅建設促進に関する陳情委員長報告)  第六〇 釧路原野干拓工事総合基礎調査実施に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。    〔門田定藏発言許可を求む〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 門田定藏君。
  5. 門田定藏

    門田定藏君 私はこの際二十六年度産米供出問題に関する緊急質問動議を提出いたします。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は只今門田君の動議に賛成いたします。
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 門田君の動議に 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。門田定藏君。    〔門田定藏登壇拍手
  9. 門田定藏

    門田定藏君 私はこの際日本社会党を代表いたしまして、供出問題に関して政府方針を承わりたいと存ずるものであります。  政府は、本年度産米供出を前にして、米麦統制撤廃を断行することを宣伝して参つたのでありまするが、これが国民の厳粛な批判と激しい反対を受け、加うるにドツジ氏からも計画の杜撰を指摘され、幾多の変転を経て、遂にその構想を断念せざるを得なくなつたことは御承知通りであります。(拍手)本年度供出問題は政府方針一貫性を欠き、幾たびとなく変転し、従つて価格についても、産米收量の把握についても、供出を前提とした周到な準備なくして行われておるが故に、従来より一層の困難に直面せざるを得ないことは、すでに先般の供出割当知事会議の経過を見ましても明白に知り得るところであります。然るに知事会議以後において政府のなしつつあることは、この予想される困難を乗り切るための積極的努力を欠き、誠に腰のきまらぬ態度であつて、このまま推移するならば、本年度供出問題、従つて国民食糧の問題を容易ならざるところに乗り上げる虞れがありますので、以下若干の質問をいたす次第であります。  質問の第一点は、実收に伴う減額補正の問題であります。本年度供出量は、事前において統制撤廃方針政府自身から発表されていたため、必然のこととして闇米取引が増加し、而も相当の大口の取引さえも行われたことは周知の事実であります。従つてこの点だけからいたしましても、供出量に相当な影響のあることは当然であり、而もその責任統制撤廃を唱えた政府にあることは論を要せぬことであります。(拍手)而もなお大きく供出量に響く問題は本年度の実牧であります。私どもの知り得た情報によりますと、天候條件の悪かつた本年の作況予想以上の減收であり、いわゆる鎌入れ不足になつているのであります。粒数だけはあるが結実が非常に悪いのであります。すでに今回の割当に対し、県議会や農業協同組合長会議等において返上論さえ出でつつあるのは、鎌入れ不足の問題が一番の原因をなしていると思うのであります。政府は本年度のこの作況を如何に把握しておるのかをお尋ねしたいのであります。知事会議において、実收が予想收穫高を下廻る場合には減額補正をすると政府は言明しておるのでありますが、知事会議後の調査によつて政府はどの程度減額予想しているのでありますか。米の收穫が減少し、従つて補正によつて供出量が減少すれば、必然需給計画にも影響するのであり、終局の補充は輸入によつて行わねばならず、それが二十七年度予算の内容に響いて来るのでありまして、政府としては事前に收穫高の予想を把握する必要があります。従つて私はこの際本年度の收穫とそれに伴う需給計画、同時に收穫の予想が狂つた場合の措置について政府方針を承わりたいのであります。なお、こうした措置を行うに当つて、足らぬところは外国食糧輸入によるとしても、これには外貨を必要とすることであり、でき得る限り国内の食糧を徴集し、外貨支出最小限度にとどめることは勿論のことであり、その意味からして代替供出を認めるべきであると思いますが、これについても政府見解を承わりたいのであります。  質問の第二点は米価の問題であります。一体政府は本年度米価格をいつきめるのであるか、何故今日まできめることができなかつたのか、その理由如何。又価格を決定するに当つて米価審議会をどうするのか、動きのとれぬようにきめてしまつてから、その後において形式だけの審議会を開くのか、或いは審議会意見を本当に尊重するようなやり方をとるのかという点について、政府の偶わりなき見解を承わりたいのであります。(拍手)伝えられるところによると、米価は七千三十円を下廻るということであるが、この七千三十円なる価格自体が、昨年度より特別加算を引下げられたものであつて農民の不満とするところであるが、更に一応予告された七千三十円を仮にも下廻る場合に、これに対する農民が如何なる気持を持ち、従つて供出促進に如何に影響するかを考えるとき、政府責任の重大なることを指摘しなければなりません。(拍手)なお又現在の消費者価格は七千三十円の生産米価を基にして決定されたはずであり、仮にもこの基礎なつた数字が変更される場合に、消費者価格のほうは一体どう措置するのであるか、政府不当利得として知らぬ顔をするのかどうか、お尋ねしたいのであります。先般の知事会議に当つて政府特別供出報奨金支出についてでき得る限り努力すると言い、又集荷委託費は大、幅に増額すると公約したと伝えられるが、この措置は具体的に如何ように決定したのであるか。私ども集荷委託費のような支出が中間での会合や飲食に使われて、本当に生産農民を潤おすことなく、否、反対生産農民に無理な供出を強いるためのいわゆる高等政策に使われる危險を憂慮するのであり、(「その通り」と呼ぶ者あり)この際これらの支出の金額と使い方について明確なるお答えを求めるものであります。(拍手)  質問の第三点は、米麦統制を一体どのようにしようとするかという点であります。先にドツジ氏の一声で断念した政府は、来年度予算編成をめぐつて、又してもこの問題について論議を重ねておるようでありますが、一方に無理な供出を強いておいて、他方では統制問題がなお未決定であるがごとき印象を與えることは、必ずや供出促進に悪い影響を及ぼすことであり、且つ農民だけでなく、消費者に対しても徒らに不安の念を持たしめることであります。この際政府は麦はどうする、米はどうするということを最後的な責任を持つて公表すべきであり、又池田大蔵大臣のごとく、今にも米の統制撤廃を行うかのような言動が続いておる限り、本年度供出は順調には進まず、従つて需給計画に大きなひびが入るであろうことを警告するものであります。(拍手)  最後に、供出問題は経営規模の小さい日本農民にとつてはまさに死活の問題であり、これまで生産農民供出末端責任者である村長を幾人となく本当に首をくくらせた重大問題であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)又一方消費者にとつても深刻な問題であります。今政府の扱いを見ると、大蔵大臣麦飯論や、安本長官のパンに味噌を付ける論とか、無責任な放言が行われるばかりか、自由販売の党の公約に縛られて(「その通り」と呼ぶ者あり)抜き差しならぬ泥沼に落ちつつあるように見受けられるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)私はこの際肚のきまつた、しつかりとした政府の御返事を要求いたしたいと存ずるものであります。(「元気がないぞ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣根本龍太郎登壇〕   〔「嘘言ちやいかんぞ、嘘言ちや」と呼ぶ者あり〕
  10. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答えいたします。  御質問は三つに分れておりまするが、第一審は、本年度供米割当に対して知事会議においては減額補正を約束しておるが、どの程度減額補正をするかということのお問いであつたと思います。これは御承知のように、現在の食管法並びにそれに伴うところの政令によりまして、実收高が確定した場合、予想收穫高によつて割当てた供出量が著しく実收高よりも多かつた場合には、実收高に応じてこれを減額補正する建前になつております。この点を我々は法令に基きまして減額補正することをお約束をいたした次第であります。然らばその時期はどうかということでございますが、これは例年十二月二十五日以降程度にこれがきまるのであります。本年は特に秋の天候が遅れたために、九州、四国、中国方面が更に遅れておるのでありまするが、知事側の強い要請がありまするので、でき得るだけ速かにこの実收高調査をいたし、それに基いてその成果が出た所から成るべく速かに実施いたしたいと考えておる次第であります。  その次に、若し本年度の実收高予想收穫高六千六十六万石より著しく減つた場合、六千六十六万石に対する二千五百五十万石の供出がその計画が崩れて来る、そうした場合においてはその需給調節をどうするかということでございますが、これにつきましては、門田さんから今御指摘のように、実は本年度補正予算におきまして、輸入食糧の分を相当多く見ておるのでございます。従来の三百二十万トンの輸入計画に対し、三百八十五万トン程度予算措置を講じているのでありまして、これは本年度が、米において例年でありまするならば三千七百万石以上を供出しているところを二千五百五十万石に減らしたことと、更には人口の増、それに加えて若干の余裕を見て計画しておりまするので、これによりまして若干補正したために、減收いたしましても需給は完全にバランスがとれる計画になつておる次第であります。  なおこれに関連しまして、輸入量を多くした場合においては外貨が多くなるはずだ、外貨見通しはどうかということでございますが、これにつきましては、大蔵安本との協議におきまして、十分つ優先的にこれに付け得るという見解をとつておる次第であります。なお又これに関連しまして、代替供出を認めるかどうかということでありまするが、原則として米については代替を認めていないのであります。併し実際知事側の強い要望もありまするので、特別に災害地帯その他において特別に考慮しなければならん場合においては考慮いたしたいと考えておる次第であります。  その次には米価の問題でございまするが、いつきめるかということでございますが、成るべく速かにということで、これは安本長官とも連絡をとりまして、でき得れば今月末か来月早々には是非決定したいと思つております。なおこれに関連しまして、米価審議会の取扱についてでございまするが、これは御承知のように政府米価を決定するに当りまして、諮問機関として従前からあつたものでございます。この米価審議会については従前通り運営いたし、その意見をも尊重して、そうして最後的に政府がきめるという立場になつておるのでございます。なおその際に、予算編成に当りまして、本年度米価を七千三十円に概定しておるが、これが若し現在のこのパリテイの関係からして減つた場合においてはどうするかということでありまするが、これはその事後においてバツク・ペイの方式をとるということを明確にいたしておるのであります。これはその次の質問と相関連いたしまして、生産者価格を七千三十円と予定しており、消費者価格については御承知のように一八・四を殖やしておる、そうした場合に、若し七千三十円以下になつた場合においては、政府はそれは不当の取得になるではないか、かようなことを申されましたが、これは只今申しましたように、バツク・ペイをいたしまするので、その点は全部事後において調整されるものと考えております。  その次に、特別報奨金をどういうふうにするかということでございます。これは先般の委員会その他においても申しましたごとくに、現行立場におきましては、特別報奨金を出すという建前になつておらないのでございます。併しながら本年の特殊な関係からいたしまして、知事側も強く要望しておりまするので、今後これについては十分に検討いたしたいと思つております。  それから集荷委託費については、これは現在明確に予算に計上しております。その増額の問題でありまするので、これについては大蔵省とも現在折衝いたしまして、でき得るだけ速かにこれを決定いたしたいと存じます。なおこの使途についてでありまするが、これは府県にこれを差上げまして、府県からこの供米の督励に当るところの格関係機関に渡しておるのでございまして、この使途が飲み食いに使わるべきでないことは御指摘通り、我々もさよう考えております。実際の供米成果を挙げ得るために使うべく万全の措置を講じたいと考えております。  最後に、米麦統制撤廃については政府は幾度かその態度を変更しておる、このために生産者はもとより消費者に対しても不安感を與えておる、明確にその点を政府所信を示すべきである、こう御指摘でございます。誠にその通りでございましてすでにこの点につきましては、本会議においても委員会においても申上げましたるごとくに、明年の十月末日までは現行通りに実施いたします。併し政府といたしましては、主食の統制撤廃という基本方針については未だ堅持しておる次第でありまするが、それは御指摘のように、生産者並び消費者に対して非常なる重大な関係がありまするので、万全の措置を講じ、一般国民の納得の行く姿において実施するために、目下その方法並びに時期について検討いたしておる段階でございます。(「麦はどうする」「大臣麦を忘れるなよ」と呼ぶ者あり)      ——————————    〔島清発言許可を求む〕
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 高清君。
  12. 島清

    島清君 私はこの際中小企業の年末の金融に関する緊急質問動議を提出いたします。
  13. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今の島君の動議に賛成いたします。
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 島君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。島清君。    〔鳥清登壇拍手
  16. 島清

    島清君 我が国中小企業の問題は、古くして常に新らしい問題でございます。私は去る第八国会におきまして、本壇上より、中小企業の問題に関しまして、内閣にその所信を質したのでございまするが、丁度本壇上大蔵大臣と相まみえますることは一年と四ヵ月ぶりでございます。併しながらその間、私が内閣施策を検討いたしましても、その施策に見るべきものがなくして、甚だ遺憾ながら、その問題に関する限り内閣が冷酷のそしりを免れないと思うのでございます。勿論大蔵大臣はドツジ・ラインを拳々服膺し、以て金科五條としておるのでございまするからして、その中小企業の問題ばかりではなくして、一般金融政策国民大衆の生活を圧迫し、その電圧は、今や中小企業者諸君を倒産、破産という最後の線に追い込みつつある感を深くするのでございます。中小企業者諸君は、特に今年の電力事情の悪化と悪條件の山積とからみまして、生産は低下をいたしまして、年末を控えて如何にすれば今年の年が越せるかと言うて、不安の中に見通しもなく、おののいておるのが現状であります。(拍手)私は第三控室日本社会党を代表いたしまして、本問題に対しまして関係大臣の所見を質したいと思うのでございまするが、先ず真つ先に、政府は今年の八月に百五十億の国庫余裕金指宗預金をなしたのでございまするが、年末を控えて、僅かに商工中金、相互銀行信用金庫等に二十億を残したのみで、百三十億を引揚げておるのであります。従いまして、その中には中小企業関係のものがかなり含まれておりまするが、年末金融対策一環といたしまして、大蔵大臣は、この引揚げました百三十億のうちから、情けを以てせめて五十億程度更に預託をする意思がないかどうかを先ず先にお伺いいたしたい。  更に第二点といたしましては、資金運用部には中小企業信用保險の基金が約十五億あるはずでございます。この資金運用部資金というものは、殆んど中小企業者の零細な金であるか、乃至は勤労階級大衆の零細な金でございまするが、特に私は中小企業の問題を取上げておるのでございますから、その問題に限局をいたしまするが、この十五億もあるはずでございまするし、更に一七億一千万円でございましたが、商工債雰の引受を決定されておるので去りまするが、この資金運用部資金を活用されまして、今度の年末金融対策として、これら対策一環として活用される御意思はないかどうか。勿論この資金運用部資金活用につきましては法規がございます。法規一点張りからいたしまするならば、大蔵大臣はいたし方がないとおつしやるかも知れません。併しながら自由党諸君宣伝放送を承わつておりますると、その金もら三十億中小企業に廻すことを了承し、引受けたと放送されておるのであります。自由党諸君が放送する限りにおきましては、多分に根拠があるものと存じまするので、この際、自由党宣伝放送の嘘であつたということを、恥をかかせるのも、大蔵大臣としては本意ならざるところでございましようからして、勇気を一段と振つて頂きまして、三十億程度資金運用部資金商工債券を引受ける意思があるかどうかをお伺いしたいのでございます。  第三点といたしましては、去る四月の二十日におきまして中小企業特別店舗融資が十一大銀行において始められたのでございまするが、この融資累計は、開設以来八月の末日までに、件数にいたしまして十二万八千二百十八件、融資累計にいたしまして三百三十七億八千五百二十九万円に達しておるのでございます。併しながら貸出の残を見てみますると、僅かに六十五億六千百五十六万円でございまして、預金残高百八十三億一千百六十二万円に比較いたしまするならば、僅かに貸出は三分の一に過ぎないのでございます。十一大銀行中小企業金融対策といたしまして独自にこの店舗を始めたのでございまするが、中小企業者諸君から吸い上げて、貸出はそういう状態に相成つておるのでございます。勿論大蔵大臣にこのことに対して善処を要望いたした場合に、大蔵大臣は、これは民間会社のやつたことであるからいたし方がないと御答弁に相成ろうかと思いますけれども、併しながらこの店舗開設については私が第八国会におきまして質問を展開いたしました場合に、大蔵大臣はこの問題を取上げまして、大いに宣伝して私に強調されたところでございますからして、今預金残高になつておりまするところの百八十三億一千百六十二万円全部を中小企業に活用するように御配慮願いたいということは申上げませんが、そのうちの若干でも商工債券等の発行と睨み合されまして中小企業のために使えるように、年末金融対策一環として善処される意思があるかどうかをお聞きしたいのであります。  更に第四点といたしまして、日銀特別枠中小企業者諸君には好評噴噴でございまして、フルにこれが活用されておるのであります。たしか去年も年末金融対策といたしまして数億の別枠が認められたと思いまするが、今度も大蔵大臣はこの中小企業者に受けがよいところの日銀特別枠を増大して金融対策一環に資するお気持はないかどうか、是非一つつて頂きたいと思います。  それから質問の第五点は、見返資金融資の枠でございますが、見返融資の枠は二十五年度は十二億、本年度は四十億の枠でございまするが……、二十五年度の枠と言いますのは、枠の中から十二億未消化になつておる、言い方の間違いであります。今年は四十億の枠でございまするが、只今までに四分の三が未消化になつて、僅かに十億が消化されておるに過ぎないのでございます。勿論この見返資金使途につきましては、いろいろのきつい制限がありまして、長期の合理化資金であるというような制限がございますが、併しながら制限ばかり言つてつたのでは中小企業者は浮ばれません。そこで、この見返融資をもう少し緩和いたしまして、中小企業者の年末金融対策に活用される御意思はないかどうかをおいしたいのでございます。  時間がございませんので、積極的な政策につきましてはこの程度にとどめますが、更に消極政策といたしましては、年末になりますると、きまつて徴税旋風が吹きまくつて来るのでございます。これに対しまして、私は大蔵大臣が、せめては消極政策といたしまして、税金の取立てを緩和する御意思はないかどうか、お聞きいたしたい。  更に通産大臣にお伺いいたしまするが、自由党並びに現内閣中小企業の問題に対しまして、私をして言わしめるならば、冷酷であります。頗る冷淡でございます。従いまして、ただ一つの中小企業庁を現内閣は余り好感を持つて迎えずして、これを縮小いたしまして、内局にしようという御意思があるやに伝えられておりまするが、私たち中小企業、例えば全工場数の九八%、生産量におきまして六〇彩、貿易輸出額におきまして六〇%を生産しておりまする中小企業者を扱いまするところの行政官庁の中小企業庁を内局にするようなことにつきましては絶対反対でございまするが、通産大臣は内局にするという御意思があるのかどうかをお伺いいたしたいのであります。  更に安本長官にお尋ねしたい点は、中小企業者が不安動揺の中にあるということは、物価の変動が激しいということでございます。手放しの自由主義的なことを言つておるのでございまするからして、物価は変動が著しい。物価の変動が著しいのでございまするからして、下請をやつておりまするところの中小企業者諸君は、どうも安心をして下請ができないような状態にあるのでございます。従いまして、安本長官は、物価の安定を図り、而ういたしまして中小企業が安んじて工事でも仕事でも請負えるような態勢に物価の安定を図ることが急務だと思いまするが、その意思があるかどうかをお聞きしたいのでございます。  更に労働大臣にお伺いいたしたい点は、賠償問題といたしまして、技術の賠償であるとか、加工の賠償ということが言われておりまするが、この加工賠償と関連をいたしまして、中小企業者の倒産、破産によりまして失業いたしまするところの労働者の諸君は、特殊の技能を持つておるのでございまするし、特に私はいわゆる技術賠償、加工賠償を要求いたしておりまするところの東南アジア方面には最も必要とするところの技術であろうかと、こう確信をしております。従いまして、この特殊の技能を持つておりまするところの、いわゆる中小企業の倒産、破産によりまして失業いたしておりまするところの労働者の諸君を、この加工賠償と技術賠償と睨み合せまして、これをこの賠償問題に関連を持たせまして活用するの意思と、そういう考慮を拂われたことがあるか。ないといたしまするならば、そういう構想の下に考慮をする意思はないかどうかをお尋ねしたいのでございます。  もつとお聞きしたいのでございますけれども、時間の関係上この程度にとどめまするけれども、どうぞ一つ関係大臣は、誠心誠意、良心的な御答弁を煩わしたい。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  17. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。いろいろ専門的な事項をお並べになりましての(「いいぞ」と呼ぶ者あり)御質問でございまするが、先ず第一、年末金融は毎年の問題でございます。我々は円滑に年を越せることを期待いたしまして、あらゆる方面から努力いたしておるのであります。殊に今年は輸出入の増加或いは物価高、生産増強によりまして、いつもの年よりもよほどの努力を要することはお話の通りであります。で、御質問になりました個々の点について申上げまするより、私は今五点お話になりましたが、こういうこともさることながら、全体として中小企業の問題を考えるときに、やはり大企業の問題も考えなければなりません。大企業あつて中小企業であります。特に中小企業につきましては、お話の政府の昨年の二月にありました指定預金も延び延びになつておりましたが、一般銀行は十一月までに引揚げますが、中小企業を相手としておりまする相互銀行或いは信用金庫、商工中金等の預託金は来年の三月まで引揚げないことにいたしております、原則といたしまして……。(「五十億円だけ」と呼ぶ者あり)而して銀行から引揚げました百二十億足らずのもののうち、五十億円を新たに預けるということをやつたらどうか——中小企業金融は五十億円くらいを新たに預けただけでは賄い付かないので、私はそういう細かいことよりも、全体として日本銀行その他の銀行が考えるよう辻指導いたしておるのであります。従いまして新たに五十億円預ける考えはございません。又商工中金の債券の引受でございまするが、商工中金の債券三十億円という話がありまするが、これはお話の通りに引受けてくれる人がなければなりません。資金運用部に金がありまするが、資金運用部で引受けるというわけに行かない。民間と半々ということになつておりまするが、商工中金のほうの債雰が消化し得るように、本国会におきましても商工中金法の改正を計画いたしておるのであります。御承知通り商工中金は過去二年間に融資額が八倍になりました。一昨年の今頃は二、三十億円の貸付が、今では百七、八十億の貸付になる。こういうような発展ぶりをいたしております。これも育成いたして行きたいと思いますが、これ又三十億くらいの融資よりも、全体として考えなければならんと思います。中小企業の専門店、いわゆる普通銀行の専門店といたしまして数字をお並べになつたようでありますが、私にはよく了解ができません。いずれ速記録を見まして、又別の機会にお答えいたします。  日銀特別枠、これは今まで五十億ぐらい出ていると思いますが、これ又特別枠にしなくたつて日銀は御承知通り、昨年の今頃に比べますと貸出が非常に殖えておるのであります。ユーザンスの千三百億円を加えまして三千七八百億円の貸出、去年は千二三百億円でありましたが、ユーザンスを加えますと三倍の貸出になる。そこでオーバー・ローンというのが問題になつておるのであります。別枠とか何とかでなしに、金融の円滑を付けるように考えなければならんと思うのであります。いずれにいたしましても、私は只今申上げますことは、全体として日銀或いは金融機関の年末金融について万全の策をとるようにいたしております。又政府資金にいたしましても、国民金融公庫から、予算通りますれば三十億円程度はすぐ出ることになつておるのであります。勿論商工中金につきましても、特別の何か融資その他で考えて行きたいと思います。又農林中金におきましても相当年末には金が余つておりますので、あらゆる方法を講じまして円滑に切抜けるようにいたします。ただ税金を待つたらどうかというのでありまするが、これは納期がきまつておりますので、これはやはり法律の命ずるところによつて税の徴収は続けて行かなければなりません。(「待つたとは言わない、考えたらどうか」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣高橋龍太郎君登壇
  18. 高橋龍太郎

    国務大臣(高橋龍太郎君) お答えをいたします。中小企業庁の将来についての御質問と伺いましたが、行政機構の改革については私はまだ結論を得ておりません。只今の御意見は有力な御意見として参考に供したいと存じます。    〔国務大臣周声英雄君登壇
  19. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お答えをします。中小企業の保護のためには物価の変動を少くすることが必要であるという御意見であります。御意見誠に尤もであります。私どもは、中小企業のみならず全体の企業を進めて参ります上においても、物価の変動のないことが一番よろしいのでありまするが、何と申しましても日本の経済の底の浅い関係上、御承知のように少しく輸入が入り過ぎると申しますか、よほど順調に行きますれば直ちに価格が下る、少し輸入が入り澁ると価格が上るというような恰好になつている現状において、非常にこの点はむずかしいことでありまするが、政府といたしましては、必要な原材料の確保については万全の処置を講じ、輸入計画的な数字が入るように努力いたしますと同時に、生産方面におきましても、資金の不要不急の方面に流れることを避けつつ、有効な方面に資金を流すというようなことと同時に、生産自体の内容において合理化を促進することによつて価格を安定の方向に向けるということが、今後における生産全体を保護し、且つ輸出ウ促進するゆえんと考えております。    〔国務大臣保利茂君登壇
  20. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 賠償問題にからんで失業労働力の活用についての御意見は、私どもも御尤もだと思います。まだ併しながら賠償が如何ような具体的な手段によつて行われるようになりますか、これと併せて只今の御意見は、私どもとしても十分研究して参りたいと考えます。      ——————————    〔カニエ邦彦君発言許可を求む〕
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) カニエ邦彦君。
  22. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 私はこの際、国費の濫費と官紀粛正に関する緊急質問動議を提出いたします。
  23. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今のカニエ君の動議に賛成いたします。
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) カニエ君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。カニエ邦彦君。    〔カニエ邦彦君登壇拍手
  26. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 私は国民の名におきまして、国費の濫費と官紀粛正について質問いたすのであります。(「徹底的にやれ」と呼ぶ者あり)  去る第十国会におきまして、綱紀粛正に関する緊急質問を行い、これに対する政府の善処を強く要望しておきましたが、その後の状況を見まするに、官紀の紊乱と国費の濫費は日を逐いまして激増し、この事実を伝えております報道が一日として新聞に載らない日はないのであります。(拍手)さながら亡国前夜の姿を現わしておると言つて過言でないと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)古くから官吏の腐敗堕落を以て知られております中国には、「仕官三年坐食三代」ということが言われておるのであります。官吏を三年やれば三代遊んで暮せるという言葉であります。誠に鰐政権崩壊の原因も官吏の腐敗によることが定説となつていますが、日本の現状もこれと揆を一にする末期的亡国症状と言わねばならないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)  すでに御承知のごとく、会計検査院が国会報告しておりますところのあの批難事項でありますが、昭和二十一年度が百七十五件であります。昭和二十二年度が三百八十六件、二十三年度が六百二十六件、只今我々が審議をいたしております二十四年度の分は実に七百五十件の大きに達して、逐年増加の状況にあり、この金額というものは八百十九億七千七百十万五千四百六円と相成つておるのであります。子のうち国に損害を與えたものは約五十億円余に上るのでありまして、而も八百十九億余万円の不当金額は、現在の会計検査院が手不足のために全部に亘つて検査をいたしたものではございません。二十四年度の検査は大体三分の一に過ぎないのであります。又この七百五十件といえども、これは会計検査院がふるいにふるい落した数であるのであります。このほかに大蔵省が会計法第四十六條の規定に基きまして検査の結果、水増し計算等をなし、不当に受領いたしました等の不正報告が、二十五年度におきまして二十九件、五千七百余万円あり、又経済調査庁が、僅かな人員を以て過去一年間に直接間接に国費の節減に寄與した金額は百七十億九千余万円に達しておるのであります。かように二、三の報告書を一瞥いたしましただけでも、国民の血と汗の固まりである国費が如何に不当不正に濫費されておるかが窺われるのであります。これらの点から考えてみますならば、一カ年間におけるところの実際上の批難金額は二千億円を超えるので片ないかと思われるのであります。若これらの事実を国民が詳細に知り得Aならば、恐らく国民の納税観念に大きな動揺を来たす震れのあることを私肝心痛するのであります。(拍手)  只今衆議院の行政監察特別委員会等で調査をいたしております公共事業費関係の天狗橋事件、佐賀県土木部事件、東北地方建設局事件等々は一応除外するといたしましても、最近起りました事件の中から目ぼしいものだけを拾つて見ても、次のようなものがあるのであります。第十国会指摘しておきましたところの海上保安庁の汚職事件は、山崎運輸大臣から善処方の御答弁がございましたが、その後如何に善処されたのか。中途半端でこれが打切られたような印象を受けるのでありますが、この事件に関しましては、その後どう扱われておるのでありますか。次に文部省関係でありますが、給食大豆加工をめぐる不正事件、元次官、局長までが関係しておるとのことでありますが、事いやしくも純真なる学童の教育行政を掌る役所から、かかる破廉恥な事件が暴露されたということは、教育上由々しい事件ではないと思うのであります。(拍手)天野文部大臣は、国民道徳実践要領なるいわゆる天野勅語を近く制定されると聞いておりますが、(笑声)正義と道徳の範を示すべきところのみずからの役所から醜悪極まる汚職の火の手が上るということは、一体何たる矛盾撞着でありましよう。これでは百の道徳実践要領をお出しになつても、恐らく一つの成果をも期待し得ないのではないでしようか。それはあたかも、かの石川五右衛門が人の道を説教するのと同じようなものであります。(拍手)一代の道徳者と言われる天野文部大臣の御所見を伺いたい。  次に電通省電気通信研究所の五千万円を超えるという横領收賄の事件でありますが、この事件では施設局長の吉田某までが検挙されましたが、国費で妾を囲つて料理屋まで開業させておるという醜状は一体何と見られるのでしようか。今晩の糧にまで苦しみながら血税に喘いでおるところの勤労者、農民、或いは中小企業者の悲惨な状態と比べ考えてみまするときに、正直な国民ならば、義憤の激発を抑え得る者は一人もないのであります。(拍手)この点電気通信大臣の御答弁を伺いたいのであります。  又、創設以来公団と共に伏魔殿と言われて参りましたところの特別調達庁をめぐるところの最近の不正事件は、再三の本院の追及にもかかわらず、今なお絶え間がないというわけはどういうわけであるか。験視せんとして、黙視し得ないところであります。これにつき所管長官が如何なる責任の所在を明らかにせんとしておられるのか、誠意ある答弁を伺いたいのであります。又更に、倒産続出の中小企業者にとつて唯一の頼みの綱である商工中金でも不正融資を行なつておる。これは元商工次官、某代議士も関係していると言われている。東京通産局の物資拂下に関しての汚職事件、農林省の部長にまで波及しておる印旛、手賀沼干拓事務所の幽霊人夫で数千万円を横領しておるという事件、建設省関東地方建設局五十里ダムの不正事件等は、一体これはどうなつておるのでしようか。それぞれの関係大臣から納得の行く御答弁を伺いたいのであります。  更に大蔵大臣には、専売の不正事件、合計法四十六條による不正事件につき、なお最近激増しつつある国費の濫費に対して、一体大蔵大臣は如何なる所見を持つておられるのか伺いたいのであります。  更に私が声を大にして追及いたしたいのは、警察予備隊の醜状であります。警察予備隊の贈收賄は、百万円や二百万円口はざらであると伝えられておりますが、ここでは曾つてのあの軍閥華やかなりし頃の悪質軍人でさえも顔負けをする食欲振り、無節操振りを無反省に行なつているのであります。特に予備隊の問題で注意を喚起いたしたいのは予算の執行振りであります。二十五年度末の十日間、而も主として三月三十日、三十一日の二日間に三十八億余万円という厖大な物資の買付を行なつているような、大口だけ二、三見ましても、七億九千万円、五億五千万円という二口の貨物自動車の契約、九千万円の作業衣、六千万円の夏服、一億八千万円の石炭、一億円のブルトーザ等で、これらの巨額な買付がたつた二日か、三日で行われているということ、たとえそれが帳簿上では合法的に処理されているとしても、かような乱暴非常識なる国費の使用振りは曾つてその前例を見ないのであります。(拍手)これでは不正が起るのも当然でありまして、予備隊は今や変じて收賄隊となつた観があるのであります。(拍手)古来上の行うところ、これを傍うと言いますが、万一予備隊の出動を促すがごとき治安状況を招来した場合、かくのごとく腐敗堕落した幹部の指揮統率の下で、果して治安確保の使命を途行ずることができるでありましようか。今や国民はこの点にまで疑惑を持つているのであります。大橋法務総裁の責任ある御答弁を要求いたします。  このように指摘して参りますと、問題は実に無数であり、無限であります。誠に今日の状態は全身梅毒の第三期的症状に等しく、どこをつついても膿が出るという有様でありまして、今や日本は内部から崩れつつありと私は叫ばずにいられないのであります。終戰以来国の内部がかくのごとく逐年加速度的に腐敗堕落して参りましたその根本原因は、一体奈辺にあるのでありましようか。この根源を突かずして、この問題の拔本塞源的解決は望み得ないのであります。  先ず第一に指摘いたしたいことは、こうした問題に対する処分が極めて怠慢であり、特に責任の地位に立つ者が、責任のあるところをはつきりさせていないということであります。よほど問題が表面化し、縄付きを出した事件以外は単なる注意ぐらいでお茶を濁していることであります。いやしくも官紀を乱し、国費を濫費する行為を行なつた場合は断乎たる処分を下すことは勿論であるが、これにも増して大切な眼目は、憲法政治が責任政治である以上、所管大臣なり、或いは総理大臣みずからが何らかの責任国民の前に明らかにすることであります。(拍手)吉田内閣が今日までかような事柄について責任の所在を明らかにしたことが一体いつあつたでありましようか。(拍手)恥を知り、名分を重んじ、責任感の人一倍強いと言われる吉田総理とも思われないところであります。数日前の夕刊を見ますと、丸善書籍の販売課長伊藤某なる人が、四十万円という部下の使い込みに際して、みずから十万円は穴埋めしたが、責任を痛感するの余り鉄道自殺をしたという記事がありましたが、民間会社の一課長でさえ、これだけの責任観念を持つているのに、今や憂慮すべき段階にまで達した官紀紊乱、国費濫費につき、政府国民に対して如何なる責任を感じておられるのでありましようか。如何なる責任をとらうとせられておるのでありましようか。(「その通り」と呼ぶ者あり)議会政治、民主政治の生命は責任政治という一点に私は帰すると思うのであります。(拍手)私はこの見地から最後に次の質問をいたすものであります。  前国会において本院に報告されました二重煙突事件に関しましては、すでに一年を経過したる今日においても未だその是非が国民の前に明確にされておりません。(「それを言いたかつた」と呼ぶ者あり)大橋法務総裁に対する疑いは、偽証、脱税、政治資金規正法違反等でありまして、東京地検馬場検事正の中間報告によると、会社側の社長田中平吉、事務高橋正吉の両名はすでに詐欺罪で起訴されました。然るに大橋法務総裁に対しては数項目の質問書を発したが、未だにその回答を得ていないと言つております。その報告の中で検事正は、政治資金規正法の分は本年一月を以て時効にかかつている故起訴條件にならない。その他はまだ大橋総裁から回答がないということであります。従つて本院が指摘をいたしました大橋氏に対する容疑事項は少しも潔白になつていない。むしろその容疑は一段と濃厚になつておるのであります。(拍手)たとえ法的に問題が時効になつたといたしましても、その事実があつたということだけは嚴然とした事実でありまして、道義的責任は今日といえども私はなお免れ得ないと思うのであります。(「まだはつきりしないよ」と呼ぶ者あり、拍手)この二重煙突事件は、国民の血税から支拂われた巨額の金が不正手段によつて領得されたのでありまして、そうしてこれが犯罪事件となつておるのであります。(「きまつてから言え」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)その不浄の金の一部が顧問料という名目で大橋法務総裁の下に渡つたことは事実に相違ないのであります。今日詐欺横領をやつたかどで会社の責任者が法の裁きを受けているのに、その会社の顧問として、顧問料をもらつておられた大橋氏が、法務総裁という重要な地位に恬然として何らの責任も感じていられないとは何たることでありましようか。又本件において大橋総裁が、そのもらつておられた顧問料の税金を脱税しておられた容疑は、今や確定に近いほど濃二陣になつておると確聞いたしておるのであります。およそ国民の先頭に立つ政治家、とりわけ大臣の地位にある人、その中でも特に司直の府の長たる人は、(「議場しんとして声なし」と呼ぶ者あり)人格の高潔な、公人としては勿論、私人としても一点の疑惑も持たれない清廉潔白で責任観念の強い人でなければならないことは議論の余地のないところでありますが、国会において幾多の容疑事項を明らかにせられ、而も一年の久しきに亘つて今なお深い疑惑に包まれておる人が何ら責任のあるところを明らかにしないで、法務総裁の地位を汚しておられることは、果してかようなことで一国の官紀が粛正せられ、汚職、汚職事件の根絶が期し得られるのでありましようか。(拍手)春秋の筆法を以てすれば、我が国今日のこのなげかわしい、且つ深憂禁じ得ない腐敗堕落は、大橋法務総裁が毫も責任を明らかにせられないことがその最も大きな原因の一つであると申しても(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)あえて過言ではないと思うのであります。(拍手)若しそれ法務総裁ほどの人が脱税行為をしておられたことが決定的にでもなれば、国民の思想上或いは納税意欲の上に與えるところの影響は如何でありましようか。私はこの場合法律上の立場から法務総裁を追及しようとするものではありません。私は民主主義に立つ政治家の生命である政治的道義感、政治的責任感の立場から法務総裁の責任を質しているのであります。(拍手)大橋法務総裁は以上私が申述べましたような立場に立つておられながら、今後もなお法務総裁の地位に恬然としていられることが、重大化した今日の官紀紊乱、国費濫費、汚職続出という世相に何らの悪影響も與えずとの信念を持つておられるのかどうか、この点はつきりとお答え願いたいのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)もとより私は大橋法務総裁に対しては公私とも何らの恩怨もありません。(笑声)個人としての大橋氏にはお気の毒でありりまが、併し私は国内の現状を坐視するに忍びず、この現状を悲しみ、その将来を憂うるの余り、あえてかく質問いたすのであります。以上の各項に対して大橋法務総裁の良心的な答弁を求める次第であります。  最後に吉田総理大臣にお尋ねいたしますが、総理大臣は私が今まで申述べて参りました官紀紊乱、国費濫費、汚職続出の問題をどういうふうに御覧になつていられるか。又どういうふうにお考えになつていられるのか、これをお伺いしたりいのであります。誠に今にして官紀粛正、汚職絶滅の根本政策を断行しなければ、我が国の道義は地に落ち、正義は影をひそめ、ひとり悪人と恥知らずだけが跳梁跋属するのみであります。そして国家は遂には内部崩壊の悲劇に見舞われるのであります。私は政治的理念や、政策、主義主張は別といたしましても、少くとも綱紀粛正の問題だけは、吉田首相は何人よりも真劍に考えておられる人であると信じておるのでありますが、官紀の問題、国費の問題、汚職の問題を徹底的に根絶するため、果して吉田総理大臣は如何なる御信念、如何なる御決意を持つておられるのか、この際、はつきりとお伺いをいたしたいのであります。(拍手、「国民の声だぞ、今の演説は」「格大臣の答弁」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣益谷秀次君登壇拍手
  27. 益谷秀次

    国務大臣(益谷秀次君) お答えいたします。政府は組閣当初から綱紀の粛正につきましては万全の努力を拂つてつたのであります。(「一向わからん」と呼ぶ者あり)今日まだ十分にその成果を挙げるに至らず、却つて最近(「もうやめなさい」と呼ぶ者あり)官公吏の汚職事件や国費の不正な費消がしばしば報道されておることは、政府としては誠に遺憾とするところであります。(「遺憾だけでは済まないよ」と呼ぶ者あり)政府は今後公務員の責任を明確にすることに努力いたしますると共に、不正行為につきましては、それぞれの事件の原因を調査し、再びかかることの生ぜざるよう適切なる措置を講じたいと存じます。  なお政府は冗費を節約し、單に予算の不当安排を取締るばかりでなく、更に東道の刷新に努力を傾注する所存でございます。(「大橋君どうするのだ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣天野貞祐君登壇拍手
  28. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) かような事件を引き起しましたことは誠に相済まないことと思つております。(「ますます道徳実践要領を徹底しなければならん」と呼ぶ者あり)ただこの事件はまだ司直の手にかかつておりますので、その全貌が明らかになり次第、私は万遺漏のないような処置をして、今後こういうことが起らないように努力する考えでございます。(拍手)    〔国務大臣根本龍太郎登壇拍手
  29. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 印旛沼の不正事件につきましては誠に遺憾に堪えないのでございます。(「遺憾だでは済まないよ」と呼ぶ者あり、笑声)この問題につきましてには、只今司直の手において調べておりまするので、(「遺憾内閣」と呼ぶ者あり)この事件の内容がはつきりわかつたときに嚴重な処置を講じてかくのごとき事件のないように対処したいと考えております。(「遅い」「内閣責任だ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  30. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御質問の(「又遺憾か」と呼ぶ者あり)第一点は専売公社関係の塩回遊会社の問題でございます。これは昨年国税庁並びに専売局のほうで調査いたしまして、事前に、契約に基きまする向うの特別の利益は引揚げることにいたしたのであります。これは衆議院の行政監察特別委員会の御審議を御覧になつてもわかりますように、我々は事前にこれを処置いたしたのであります。  第二点の会計監査でございまするが、会計法第四十六條によりまして、大蔵省は常に経費の使用につきまして憂慮いたし、先般も閣議に不正使用の点を報告いたしまして、各省大臣の善処をお願いしたような次第でありまするが、国費のうち公共事業費とか、終戰処理費、或いは官庁営繕、或いは補助金、こういう特定のものにつきましては、特に留意いたしまして検査をいたしておりますし、又不正事件が起りますのは小切手の不正使用でございますので、小切手振出等の特別の規則を設けまして不正を事前に防ぐ、又会計機構、予算の流用等につきましても、今後とも十分な注意を拂つて不正のないように努力したいと考えております。(拍手)    〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  31. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 先ず最初に予備隊の問題について申上げます。(「自分のことだ」と呼ぶ者あり)予備隊創設に伴う契約に当りましては、昨年度数十億の発注を必要といたしたのでありまするが、創設当初には機構、人員の整備を見るに至りませず、関係方面の協力によつて処理するほかない状態であつたのであります。昨年末に至り相当数の幹部を配置いたしましたのでありまするが、もとより大量の調達は一定の計画に基かなければならんのでありまするが、基本計画は三月に至りまして漸く改訂することができたのでございまして、三月中に三十数億の調達契約を実施いたしましたのは、丁度年度末に当りまして、このでき上りましたる基本計画に基いて急遽調達をいたさなければならん事情があつた次第であります。もとより方針といたしましては、国費の濫費は嚴にこれを避け、一定の計画に基きまして、必要且つ適切な物件を調達することに注意をいたしているのであります。又その際涜職はもとより、いやしくも世の疑惑を招くことのないよう戒め、仮にもとかくの風評のある者につきましては、調査の結果不適当なものは処分を行い、責任を追及いたしますると共に、再び不正不当のことを繰返さないように努めているのであります。(「自分のことはどうだ」と呼ぶ者あり)先般予備隊全幹部の評定を実施いたし、能力の乏しいため幹部たる資格の不十分であり、又平素とかくの風評もあり、疑惑をかけられております者を免職いたしまして、一般の規律の粛正を企図したわけであります。もとより警察予備隊に涜職の事件の発生いたしましたことは誠に遺憾千万に存ずるところでありまして、監督者といたしましては国民に対し誠に申訳ない次第であると考えております。(「自分のことを言え、自分のことを」と呼ぶ者あり)  次に二重煙突事件につきましては、決算委員会において目下御調査中でございますので、願わくば速かに真相を明らかにせられたいことを希望いたします。(拍手、「カニエ君再質問をやれ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣野田卯一君登壇拍手
  32. 野田卯一

    国務大臣(野田卯一君) 五十里ダムに関する問題につきましては、月下検察当局で調査中でございまして、調査の結果に基きまして適当な処置をとる考えであります。なおこの際一言申上げておきたいのは、この五十里ダムの問題に関連いたしまして、工事に不正があつた、即ちダムが非常に脆弱なものが作られて、将来それが破壊いたしまして、下流に大きな被害を與えるだろうというような新聞記事が出まして、関係地方では非常に心配をいたしておりますが、この点につきましては、係官を派遣しまして特に愼重念入りに調べましたところ、工事上については何らの不正もなければ、欠陷もないということをこの際申上げておきたいのでございます。(拍手
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 電気通信大臣及び特別調達庁長官の御答弁は留保されました。      ——————————
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、綱紀粛正に関する決議案木下源吾君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。  本決議案につきましては、木下源吾君ほか六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。木下源吾君。     —————————————    〔木下源吾登壇拍手
  36. 木下源吾

    木下源吾君 只今議題の綱紀粛正に関する決議案の趣旨の御説明を申上げるのでありますが、この決議案はいわゆる同憂の士によつて発議されたのであります。趣旨弁明に立つ場合に私が指名されたのでありまして、実は余りかかることは私は気持が進まない。なぜならばです。これは本院といたしましては、国民に一つの謝罪の形式を現わすものだと考えている。かかる意味で本決議案上程に対しては誠に心中痛恨の思いをなしているのであります。にもかかわらず、この決議案を上程し、諸君の御賛同を得なければならない事態は、誠に我が国としては今日興廃の危機に逢着しているという重大な参時機でありますので、政府に対しても心から、良心的にです、この決議案を受取つてもらわなければならない、かように考えるものであります。勿論内容については、只今決算委員をしておられるカニエ君から具体的な説明もありましたので、殊に毎日の新聞ではお互いが新聞を開いて見るのもいやになるほどの記事が載つているので、くどくどしくここで申上げるまでもないと思うのでありますが、併しながら政府はこれらの事態に対して何ら関心を持たざるがごとくである。できるなら、みずから進んでこの状態を国民の前に早く行動を以て態度を明らかにすべきであると私は考えているのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)何らその措置に出でないことは甚だ遺憾。むしろ政府は数々の汚職の事件をみずから製造をしているような傾きさえも、この議場の瞬間において大勢の人は見てとつているのであります。殊に又政府はこれらのことの起きるということはむしろ当然であるかのごとく、先般ここで可決されました両條約の批准が承認されるがごとく、当然にこれらの事件が行われるもののごとく考え、誠に私は一連の関係はないかも知れませんけれども、そういう考え方の上においてはです、紛れもなくこれは一つの表裏をなしているのではないか、万遺憾であります。今私どもはこういう問題の経過を辿つて見て重大なことに気付いていることは、先ず昭電の疑獄事件以来、そうして内閣の枢要な者にいろいろな疑惑がかけられた。現内閣にある大橋総裁の問題があり、或いは、五井産業事件が問題になり、枢要なところに問題が発端しておつたのがだんだん下のほうまでそれが発展して参つて明らかになつて来た。もはやこれ以上国民は安閑として見ておられなくなつた。今大蔵大臣が専売の問題について何かここで申訳か何か知らんが言つておりますが、あの事件のごときは新聞で我方が承知するところによれば、取締るべきところの警官が、而も徒党を組んで一団となつて問題を起しているのであります。これでも国民が不安なくしておられるかどうか。こういうような発展の状態を見ておれば、政府自体がもはや考えなければなりますまい。  なおもう一つの特徴は、いわゆる高級官吏の諸君の問題であります。官僚と言いますか、公務員にして権力に結び付いている側の連中、この人々の問題であります。官公庁の労働組合が結成せられまして、相手方にいろいろの問題を交渉する当局というものがございます。公務員の問題とすれば、一切合財引つくるめて国民にそういうように反映しているのであるが、これらの組合を作つている人たちを、これを取締るというか、これの対象となるというか、権力の番犬というか、こういうような当局というものの側に腐敗が果しなく醗酵していることであります。  今や政府は何らの対策を講ずることなく、そうして国民の前には冗費の節約というような、そういう声を出しつつ、看板を出して、無事の公務員を欄干から突き落すような、いやだいやだと言つて欄干に槌つているものを突き落すような無謀な首切りをやつているのである。これらの諸君は公務員であつても何ら今日現われているような問題には関與しておらない。むしろ公務員の民主化によつてかくのごとき汚職事件を根絶しようとする善良な意図にある。(「そうだ」と呼ぶ者あり)正義の意図にあるのである。(「その通り」「必ずしもそうじやない」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)政府は今内閣委員会において審議中であるこれらの公務員を何と見ているか、いわゆる当局と称する人が悪事を働くために邪魔になるとでも考えているのか。そうしてそういうものを逆に首切つて、ここに事件の責任を蔽い隠そうとしているのであるか。私は政府のこの態度には根本的に理由があると考える。先ほども言われたように道義が頽廃しているのである。責任の所在を明らかにしないのである。勿論そうである。文部大臣は実践要領を作つていると新聞に書いてあるのであります。この中心をなすものは、道義の中心を天皇に置こうとしておるのである。道徳は、言うまでもなく他人のためにみずからを捨てて奉公するという、この精神が基調でなければならないのである。かかる善良な国民の道徳心を逆に利用して、曾つて天皇中心の道徳を高揚したのが帝国主義日本の崩壊になつたのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)今や今日この場合において、客観情勢に籍口いたしまして、再び我が国をその方向に持つて行こうとする、かくのごとき考え方、そうして政府が持つておる道徳の観念、この道徳観念が官紀の紊乱、あらゆる汚職事件を製造しておる元になるということを考えなければならん。(「そんなばかなことあるものか」と呼ぶ者あり)帝国主義は略奪である。侵略である。そうしてそれは大衆の宝を不正の手段によつてかち取るということと一脈通じておるのである。国民国会の多数によつてかかる不正が擁護されておるとい皇とにだんだん目を開いて参つておるのであります。今にして政府諸公も與党も気が付かなかつたならば、みずからを埋めるところの墓穴が、みずからの手によつて掘られておることを覚悟しなければならん。  予算は、官僚の諸君によつて手ぎわよく作られておるのでありましよう。そうしてむずかしく、むずかしくして大衆をごまかすようにできておるかも知らん。当初予算において明らかに千五百億の自然増が見込まれるにもかかわらず、当時それはないと言う。そうして大衆の厚生、大衆の福利をそのことによつて握りつぶした、そのことによつて要求を蹴とばした。そうしてこの臨時国会補正予算に現われている財源はポケツトから忍び出したところの自然増である。そしてその金は何に使われておるか。又しても権力の下にあの蟻の餌のようなものを積み重ねて、権力の再生産のために使おうとしておるのではないか。かかるやり方では、幾ら内閣の諸公が陳弁しようとも断じて民主国家にはならないということをここで申上げなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)私どもがこのことを声を高らかに言い得るのは、私どもの手がきれいであるからである。私ども思い切つて言い得ることは、それのためである。どうか清らかな手を持つた諸君は、やはりこの決議案に多数御賛成を願いたいのであります。  同時に現内閣は、みずからの不正とみずからの罪を償うために、現実に何をしなければならないか極めて明瞭である。無事の善良な正義の公務員を保護することであるし、そうして給與ベースは少くも人事院勧告を速かに実施することである。かかる一連の政策を実行することにおいて、彼は今日までの罪悪を償う僅かな方便になるであろう。(笑声、「その通り」と呼ぶ者あり)笑う諸君諸君がやはりこの内閣の政策によつて、みずからの土台を堀り下げられておることを知らなければなりません。形式だけで問題を解決しようとする浅はかな内閣の諸公、もつと実質を見なければいけない。そうして現実のみを、ごまかそうとするのではなく、問題のよつて来た歴史的発展の過程を検討しなければならない。このような態度で政治を行わない限り、我が国の発展向上は断じてあり得ないと私は確信するものであります。何とぞ本決議案に対して、満場の諸君の御賛成を希う次第であります。(「最後決議案を読んで下さい」「忘れちや駄目だ」と呼ぶ者あり)  決議案を申上げます。    綱紀粛正に関する決議   政府は頻発する公務員の汚職事件につき適切にして断乎たる措置を講ずべきである。   右決議する。    理由   近時続発する公務員の汚職事件は、国民の社会共同生活への疑惑と不安を高め、その無影響ははかり知れぬものがある。   政府は直ちにこれが一掃につとめるとともに明朗なる綱紀の確立に邁進すべきである。   以上であります。(拍手
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。松永義雄君。    〔松永義雄君登壇拍手
  38. 松永義雄

    ○松永義雄君 私は只今議題となりました綱紀齋生の決議案に関して、もとより賛成でありますが、二つの希望を添えて政府公務員の自粛と緊張とを期待するものであります。  その第一は、政府及び政府機関の公務員の粛正と共に、民間経済人の粛正を敢行し、その自粛を願うものであります。  綱紀粛正と申せば、多く刑法賄賂罪の摘発とその自粛を要望するものでありますが、私は特にこれに加えて民間実業人の自粛と、昔、福沢諭吉先生の申された、せめて商魂とを要望いたしたいのであります。  終戰後日本の経済復興に焦慮するの余り、インフレが著しく刺激されまして、経済界の混乱を招いたのでありますが、その波に捲き込まれて犠牲者の多くを出したのは誠に遺憾でありました。公金を費消した早船事件或いは某某銀行支店の若い人たちが数百万円、数千万円に上る不当貸出等、一々例を挙げるまでもないのであります。人の金を人の金と思わず、紙屑のように紙幣をわしづかみにいたしまして、その投げ使う有様は、誠に悪い意味でありますが、壯観であつたと言つても過言ではないのであります。併しつぶさにその若い人たちの犯罪の原因を探つて見ますと、インフレによる生活難、不当の低給料のためであつたことを特筆しなければならないのであります。又前途に望みを失つた頽廃気分がこれに拍車をかけたことを見逃してはならないのであります。これと共に相当の給料を受くる者が慾に輪をかけて悪事に走つた例も決して少くないのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  わけても金融界におきましては金が集まりますから、つい濫用に陷りやすく、悪の淵にはまつた事件はかなりの多数であります。ただ問題はそれらの犯罪麦摘発するかどうかのことでなくして、金融の円滑を欠き、金詰りの経済界をますます麻痺することに至らないかという点であります。金融界は金融の正常化を庶幾しつつ金融の自主的規制を期待しておつても、その目的を達することができないと嘆息して、不要不急の方向に金の流れることを目の前に見ておりながら、これを阻止する方法のないことに困惑いたしているのであります。過日院内の某委員会におきまして、某委員が、必要な資金を求めるのに権門にへつらわなければならないとは情ないではないかと大蔵大臣に食つてかかつてつたのであります。社用族は殊に銀行業界においてはびこつているのである。淵泉行きの多数は銀行員とお得意先との取引旅行でありまして、その結果は東京温泉となり、或いは不急の耐久建物の建設とたつて国民は三百万戸の住宅難に喘くということになるのであります。一体経済関係罰則の整備に関するという法律がありますが、その法律は生きているのか死んでいるのかを聞いて見たいと思う。若し生きているとすれば、その法律を晝寢させているのではないかと思うくらいであります。官公吏の賄賂罪には極めて峻厳であるけれども金融の混乱を来たし、日本の復興を妨げる金融界の重役その他の責任者の賄賂罪を摘発するこの経済関係罰則の整備に関する法律によつて摘発せられることが極めて少いのであります。私は法務総裁の健在を疑うと共に、検察陣の奮起を促したいのであります。  その第二は、公務員の涜職として挙げられるのは、只今述べられました主として金銭の関係であります。併しながら公務員の涜職として我々が最も指摘しなければならない点は、最近著しく殖えて来た公務員の、即ち警察官の人権蹂躙の問題であります。終戰後日本に第二の維新が行われました。新口しき憲法が制定せられ、新刑事訴訟法が施行せられ、人民の自由の権利が確立せられた。民主主義の筋金が入つて日本の復興が再出発したはずであります。ところがこの自由が認められ、封建性より我々が解放せられたのでありますが、その喜びの余りに自由から奔放へ足を踏み外して脱線して行く哀れな者の存在することは、我々はこれを否定できないのであります。選挙界の堕落は極度に達しておるのも一つの例であります。或いは先だつて新聞で見たのでありますが、或る大官が数百万円の選挙資金をおみやげにして、そうして選挙に応援に行つて大いにぶつて来られたそうでありますが、ところが金の力も威武の力も一向利き目がなくて、一敗地にまみれて帰つて来た。その顔の悪さというものが一つのお笑草になつておるということは皆様御承知通りであります。併しこれにも増して我々が見逃しがたい、断乎として圧殺しなければならないことは、再び官僚政治が生まれて来るのではないかという点であります。官僚は曾つての旧憲法時代における封建的ビユウロクラシーを夢見て、その不当な全盛時代を再び西から東に返さんとして努力しておるのであります。その微候はすでに教育委員選挙の廃止説域いはすでに実行せられた自治警察を廃止して国家警察に復帰した点に現われております。我々は曾つて警官の拔劔と闘つて来た。今はピストルという飛び道具に直面いたしておる。ピストルがしばしば爆発の名の下に殺人が行われておる。怖いおじさんは再び税務署から警察官に移りつつあるのであります。犯罪捜査に当つてしばしば暴行凌虐が行われておる、自白が強要されておる話を私はしばしば耳にするのであります。又我々の所へ訴え出て来る者も少くないのであります。検察官が大きな声をあげたり、或いは警察官が暴行を加えなければ犯罪の実相をつかみ得ないというがごときは、彼らが全くみずから智慧の足りないということを暴露しておるのであります。およそ民主主義というのは、今更開き直るまでもなく、思想の啓蒙が重点であります。新刑事訴訟法における法廷の検察官と弁護人との有罪、無罪の争いというものは、決して暴行でもなければ、大声疾呼でもない、真実の科学的の究明であるのであります。然るに最近自治警察が国家警察に変りました所では、殊に民主警察の意義を忘れて、被疑者の取調に対して暴力を用い、曾つての秘密警察政治の再現にまで発展せんとしつつあるのであります。我々は絶対に気を許してはならないのであります。今や官僚独善の政治は虎視眈々として我々の隙を窺い、我我はこうした警察官の民衆に対する人権蹂躪の行為を仮借なく絶滅しなければならないと信ずるのでございます。今こそ我々は人権擁護の運動を活発に働かせなければならないときであると信じます。  以上の二つの希望を添えまして、社会党第三控室を代表しまして決議案に賛成するものであります。(拍手
  39. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇拍手
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して綱紀粛正に関する決議案に心から賛成し、この決議に従い政府が断固たる措置をとることを要求するものであります。  去る十一月二十二日衆議院の本会議綱紀粛正に関する決議案が提出され、自由党諸君をも含め満場一致を以て可決されました。参議院においては本日ここに同様の決議案が上程され、可決されようとしております。これでめでたく綱紀の粛正が実行され、官公吏が皆本来の人民の公僕となることが保証されるならば、私は進んでこの壇上に立つものではありません。問題は綱紀を粛正することであり、これこそ日本国民が挙げて望んでいるところであります。顧みるに戰後六年間、日本政府はすべてこの綱紀粛正を施政の重要な課題として取上げて来たことは我々の記憶に新らしいところであります。そうして私の記憶に間違いないとするならば、吉田総理は綱紀粛正に対して断固とした態度をとると一番力強く言明されていたと思うのであります。ところが事実はどうか。本日ここに決議案が出されたこと自体が明らかに示すように、吉田総理のいわゆるエデンの園があに図らん毒蛇で満ち満ちていたのだということが国民の前に明らかにされて来たのであります。  私は先ず最初に高級官吏の不正事件について簡単に触れておきたい。第一に、治安の任に当つている警察予備隊の汚職事件であります。贈賄容疑で逮捕された中西順子なる女性の語るところによると、業者は最低百万円くらい、最高二、三千万円くらいばら撒いている。そのお礼としてその会社は一億円ほど儲けている。大きな会社になると皆予備隊工作係が数名いて、饗応は毎晩のようですと語つているそうでありますが、これはほんの氷山の一角であります。予備隊汚職にかかわる贈賄の総額は三億五千万円以上に上ると言われておりますが、この大事件も闇に葬むり去られようとしているのが現状であります。第二に、文部省の学童給食事件であります。これは学童に無理やりに食事をさせたという事件ではありません。学童にやるべき給食を文部省の役人がかすめ取つて自分に給食したという恥ずべき事件であります。国民の道徳の向上を要求し、国民道徳実践要綱とやらをポケツトに覗かせておられる天野文部大臣の足下で起つている恥ずべき不正な事件であります。第三に、佐賀県土木部事件、石川県の天狗橋事件などをモデル・ケースとしている公共事業費のかすめ取りであります。公共事業関係の腐敗ぶりは全く話すのも恥かしいほどであつて、架室工事をでつち上げ、丈夫な橋をわざとこわしたりして、不正の金をひねり出しているものでありまして、全国の公共事業は殆んどこのような不正を抱えているのであります。その他海上保安庁、大蔵省、通産省、電通省等々に、現在までに続々と不正が現われておることは毎日の新聞を見ても明らかなところであつて、明るみに出たおのだけでも本年一月から九までに総数一万一千六百四十一件という驚くべき数字を示しているのであります。これでもまだまだ氷山の一角であるというのですから開いた口が塞がらないのであります。  このようにして食いつぶされている金は、申すまでもなく国民からとつたところの税金であります。それは生活に喘いでいる勤労者、農民の中小商工業者が乏しい生活費を割いて拂つている税金であります。国家の法律の名においてとられた、そしてこのために気狂いになつたり、一家心中をした例を挙げるならば幾らでもあります。だからこそ最近の不正事件を知つた国民は、憤りの声で、おれたちの拂つた金がこんなところに使われているなら、もう一銭だつて拂わないぞと言つているのであります。吉田内閣には、乏しい国民の懐ろから法の名において税金をとる資格は今や全くなしと言わなければならない。国民のために使用すべき税金をこのようにしている吉田内閣責任は極めて重大であります。又政府は、国民負担軽減のための行政整理と言つているが、それならば言いたい。安い給料で働いている官庁労働者の首切りを中止し、国民の憤りを買つている税金を食いつぶす汚職宮史を全部摘発整理することこそ、政府が先ずしなければならないことであります。  我が党は日本の植民地化を常に指摘して参りました。植民地の最も大きな要素は買弁腐敗官僚の跋扈であります。これは最近の歴史がはつきりと示しております。アメリカの援助によつて辛うじて生命を維持して来た傀儡蒋介石政権下の官吏は曾つて何と言われたでしようか。貧富汚吏、即ち貧ぼる官吏、汚れた官吏と言われたではありませんか。フィリピンの━━━━━又然りであります。昨年十月、アメリカの調査団によるベル報告書は、━━━━━━━部門には無能と腐敗が拡がりつつあると発表して問題となつたことがあります。戰後絶えなかつた不正事件が最近増加している事実は、日本が今や植民地国家、従属国家になりつつあることを示すリトマス試験紙であろうと言えるのであります。だからこそ私は不正腐敗の根源をなくす第一の課題は、日本政府日本国民みずからの手で行うようにすること、自主権を完余に回復することであると思うのであります。人間としての良心が失われると、そこには必ず蛆虫がわくのであります。先ほど同僚カニエ君の緊急質問によると、大橋法務総裁も二重煙突事件で疑惑を持たれているのであります。これは全く国民として意外とするところであります。法的責任はともかく、法の最高責任者として国民の前にその道義的責任のまことに重大なものがあると思うのであります。治安を司る警察予備隊や取締りをする海上保安庁が不正の本家であるようでは、吉田総理がこの壇上から百回断固たる措置をとると言われようとも、何ら解決はしないのであります。第二に労働者、なかんずく官公庁労働者の基本的権利、即ち団結権、組合活動の完全な自由、言論の自由等々を認めることであります。国民の正しい批判を危險思想と呼び、労働者を不逞の輩と呼び、労働者の基本的権利を奪い去つている限り人民の公僕は生れるはずはなく、政府みずから不正腐敗のはびこる土壌を作つているものと言わなければならない。その証拠に職場から赤のレツテルを張られ、正義の士が追放されて以来、汚職事件は日増しに増加しておるのであります。  以上二つの方策をとることを若しも拒むとするならば、政府に真に不正腐敗を解決する誠意なしとしなければならないのであります。日本共産党は、この決議案を一片の反古にしてしまわないように、国民の期待を裏切らないように、同僚各位並びに全国民と共に不正腐敗を駆逐する決意を持つて、この決議案に賛成する次第であります。
  41. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 長谷山行毅君。    〔長谷山行毅君登壇拍手
  42. 長谷山行毅

    ○長谷山行毅君 私は自由党を代表いたしまして、綱紀粛正に関する本決議案に賛成の意を表するものであります。  我々国民が民族の興隆と民主主義国家の再建に奮起しつつあるとき、官公吏の汚職事件、国費の濫費問題、不正支出の問題等が毎日の新聞紙上を賑わしておる実情は誠に憂慮に堪えないところであります。国家公務員は国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ職務の遂行に当つては全力を挙げてこれに専念しなければならないのでありまして、その官職の信用を傷付け、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならないことは、憲法並びに公務員法の明記しているところであります。殊に国家再建のためには、国権を行使して、日本の国力を育成、助長、発展せしむべき重大なる責任を有する公務員の中から、幾多のこれらの役得事犯、或いは不祥事件の頻発を見ることは誠に嘆かわしい限りであります。これら公務員の汚職と言い、国費濫費と言い、それが直接国民の血税と繋がる問題であります。納税者はその血と涙の税金が、官公吏の汚職事件の種となり、或いはつまみ食いの料となつて消えて行くことを厭つて見ているわけにはどうしても行きません。古い言葉に、武人命を惜めば国亡び、文人銭を愛すれば国亡ぶと言われております。  綱紀粛正は政治の基本に触れる問題であります。ここに思いをいたすとき、我々にきびしき義憤を以て粛然として本決議の趣旨に賛意を表し、この種汚職事犯の根絶を図らんとするものであります。(「先ず政府から示せ」と呼ぶ者あり)その意味からいたしまして、我々は先ず綱紀弛緩のよつて来たる原因を究明し、更にこれを防止、粛正する対策を立てねばならないと思うのであります。綱紀紊乱と申しましても、その範囲は誠に広いのでありましてその最も具体的な現われは、先ず贈収賄等の涜職事件、公文書偽造行使、詐欺或いは横領、窃盗等、官公吏の個人的犯罪と、公共事業等をめぐる国費の濫費や、不正支出等の問題であります。これらの汚職事件の増加の原因につきましては、いろいろ考えられるのでありまするが、その第一は、敗戰後における国民一般の道義の頽廃、思想の昏迷に伴う公務員自身の責任観念の稀薄であります。その第二は、統制経済の実施に伴う官公吏の権力の増長と堕落並びに進法精神の欠除であります。その三は、片山、芦田内閣以来の行政機構の改革によつて、その機構が甚しく厖大となり、これに伴なつて不馴れ、未熟練な多数の職員が採用され、而もこれに対する教養、訓練が全く欠除しておつたことであります。(「吉田内閣はどうだ」と呼ぶ者あり)その四は、自由主義の曲解と監督の不徹底であり、その五は、戰時軍国的教育の余弊と生活の困窮であります。(「それは高級官僚だよ」と呼ぶ者あり)その六は、公務員の指導精神の昏迷等であります。  これら種々の原因が重なり合つて綱紀弛緩の元となつているのであります。綱紀粛正のためには、これらの原因を除去し、こうした悪徳の根を断ち切らねばなりません。併しそれは言うにやすくして、実を挙げることはなかなか困難であります。それには先ず道義の振興が第一であります。併しそれには国の文化の高揚のための長期に亘る国民一般の一大努力が必要なのであります。同時にこれらの悪徳防止の予防方策を法制の面からも、又行政運営の面からも、技術的に樹立せねばならんことも勿論であります。(「弁解になつてはいけませんよ」と呼ぶ者あり)  この粛正の施策については、官公庁の徹底的自粛、行政監査機構の整備とその早期監査の実施、更に検察機関の嚴正適切なる摘発と処罰並びに社会制度、公務員の執務條件の改善等いろいろの魚度観点から立てられなければならないのであります。  只今決議案の趣旨弁明に立たれました木下君の御説明を承わつておりますと、この綱紀の頽廃はすべて現内閣のみの責任に帰するがごとく(「その通りじやないか」と呼ぶ者あり)論難せられた感があるのであります。(「その通りだ」「泣くんじやないよ」「頑張れ」と呼ぶ者あり、笑声)又カニ二君の緊急質問等におきましても、(「頑張れ」と呼ぶぶ者あり)二重煙突事件を以て大橋法務総裁があたかも何か不正の容疑者のごとくお述べになりましたが、(「その通りじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)その問題は、(「事実だ」と呼ぶ者あり)決算委員会の(「報告で明らかだ」と呼ぶ者あり)審議の経過を詳細に御検討下されば、これは綱紀粛正の問題として大橋氏と解して取上ぐべき問題でないことは明白と私は存ずるものであります。(拍手、「聞き違えちやいけないよ」「自由党責任の問題じやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)むしろ同氏の在野当時、一弁護士当時の問題をここに根掘り葉掘り取上げて、これを殊更に綱紀粛正と結付けて、現内閣を攻撃するがごときことは、全く政略的に(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これをなすかの感を抱かせるに過ぎないと私は信ずるものであります。(「称揚するのか」と呼ぶ者あり、拍手)我々は綱紀粛正の問題は、もつと率直に公明に検討しなければならないと信ずるものであります。(「公明正大かい」と呼ぶ者あり、拍手)  綱紀粛正とか、官紀の振粛とかいうことは、歴代内閣の施政方針の中に必ず謳われ、取上げられたところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しこの根絶は未だできておりません。(「政府がやらんからだ」と呼ぶ者あり)この綱紀の頽廃の病源を断ち、これを完治させるには真の名医の手によらなければなりません。吉田内閣は、前のお医者さんたちの治療し得なかつたこの難病を直すために、組閣以来あらゆる努力を傾注しているのであります。(拍手、「何を以てそういうことを言うか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)前の医者の治療が手遅れで重態になつた病人を、あとの医者が治すのに一生懸命に苦心努力しているのを見て(拍手)前の医者が手を叩いて喜んで見ておるがごときことは、余りにも自家撞着も甚しいものと言わなければならないと思うのであります。(拍手、吉田内閣はどうした」「文部省を呼べ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)我々は現政府にその名医の腕前を期待するものであります。(笑声、拍手)  吉田内閣は、第一次組閣以来綱紀の粛正を重要政綱として掲げ、その方針を貫いて来たのであります。(「それがそのことか」と呼ぶ者あり)されば、この決議案上程を一転機といたしまして、政府は更に英断を以て綱紀の粛正の実を挙げられることを確信し、最大の期待を以て本決議案に賛成の意を表するものであります。(「いい加減にしなさいよ」「肚の中がわかるよ」と呼ぶ者あり、拍手
  43. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  44. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて決議案は全会一致を以て可決せられました。  只今の決議に対し益谷国務大臣から発言を求められました。益谷国務大臣。    〔国務大臣益谷秀次君登壇拍手
  45. 益谷秀次

    国務大臣(益谷秀次君) 最近官公吏の汚職事件について世間を騒がしていることは非常に多いのであります。政府といたしましても誠に遺憾に存ずるところであります。政府はこれらの事件の原因を明確にいたしまして、その責任の所在を探究すると共に、又かかることの将来あらざるよう適切なる措置を講じ、以て官紀の粛正を図りたいと存じます。      ——————————
  46. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際日程第二、文化財保護法の一部を改正する法律案堀越儀郎君外十九名発議)、日程第三、博物館法案衆議院提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事加藤金助君。     —————————————    〔加納金助君登壇拍手
  48. 加納金助

    ○加納金助君 只今議題となりました文化財保護法の一部を改正する法律案につきまして、文部委員会においての審議の経過並びに結果について御報告いたします。  御承知通り文化財保護法は参議院文部委員会が、戰後甚だしい荒廃に陷りました我が国の貴重な文化財を守り、その保存と活用を図るために約一年間に亘り苦心立案いたし、去る第十国会において成立いたしました法律でございます。この法律によつて設置されました文化財保護委員会を中心といたしまして、我が国の文化財保護行政は最近漸く新らしい軌道に乗つて進捗して参りましたが、約一年余に亘る同法の運営の結果、法律の一部改正を行い、文化財保護行政を更に拡充強化すべき必要が生じましたので、ここに参議院文部委員全員の発議によりまして、本法案を提出いたしました次第であります。  本案によつて改正いたそうとする主要な事項について御説明申上げますると、第一に、京都国立博物館及び奈良文化財研究所の新設であります。前者は京都帝室博物館として長い歴史を持ちまする現在の京都市立恩賜博物館を国立に移管いたそうとするものであり、後者は質的にも量的にも我が国文化財の一中心とも申すべき奈良市に、これらの文化財の研究機関を開設いたそうとするものであります。これらの機関の設置によりまして、今後我が国の文化財の保存、研究及び活用は一段と充実向上を見るに至るものと信じます。改正の第二点は、国宝その他の重要文化財の所在の変更について、従前の事後届出制を事前届出制に変更いたそうとする点であります。改正の第三点といたしまして、文化財保護行政に関する都道府県の教育委員会の権限を拡充いたし、中央と地方と相協力して文化財の適切なる保存が行われるよう若干の法的措置を講じようといたしております。以上のほか、なお二、三の点に亘つて事務的必要に基く法規の整備を行なつております。  本案は文部委員全員の発議によりまする関係上、委員会におきましては、法の運営に関し事務当局に対して質疑がありました以外は、別に問題もなく、全会一致を以てこれを可決いたしました。  以上御報告申上げます。  次に、只今上程されました博物館法案に対する文部委員会の審議の経過並びにその結果を御報告いたします。  提案の理由とするところは、大要次のごときものであります。即ち国民の自主的な教育活動を促進する環境を作るためには、実物教育の機関としての博物館が保護助成せられ、視覚教育、聴覚教育等が整備充実される必要があるというのであります。而して博物館法の骨子とするところは大要次の諸点であります。  第一点は、博物館の性格を明らかにすると共に、教育委員会の所管に属することを明確にしたこと。第二点は、博物館の職員制度を確立し、専門的職員の資格及び養成の方法を明らかにしたこと。第三点は、博物館の民主的な運営を促進するため、博物館協議会を設けたこと。第四点は、公立博物館に対する国庫補助の途を開いたこと。第五点は、私立博物館に対する地方税等免税の規定を設けたこと等であります。  本案審議の過程において矢嶋、若木、高良の各委員から熱心な質疑があり、これに対して提案者及び政府委員より詳細な答弁がありました。その主なる点を申上げますと、次のごとき諸点であります。高度の設置基準を示すことは育成発達の過程にある博物館を助成するゆえんでないと思うがとの質問に対して、各博物館の具体的事情を十分掛配して行うことにし、育成助長に害を及ぼすことのないように留意するとの答弁であります。予算措置が十分でないと助長発達も困難と思う、相当考慮されているかとの質疑に対し、本年度は準備費若干を用意してあるが、二十七年度予算については極力必要額を計上するよう、関係の向と折衝中であるとのことであります。専門職員の養成施設についての構想如何との質疑に対し、国立大学をブロツク別に一校を選び、一般の講習をする講座を設けるほか、教養課目講座と並行して履習できるような方途を講ずることにしてあるとの答弁であります。拡充助長の具体的計画如何との質疑に対し、社会教育審議会に諮問し、民主的にその方針及び各府県即応の具体的計画を樹立するとのことであります。  かくて愼重審議の上、討論に入り、若木委員よりは、社会教育的活動を抑制しないように法の運営をすること、予算措置を必ず行うこと。矢嶋委員よりは、実際生活に即応したもの、即ち科学、産業と密接な結び付きのある博物館を助長育成すること、専門職員の質的量的確保を図る意味から教育公務員特例法の適用を受けるよう措置すること、予算措置を十分講ずること。高良委員よりは、生活と結び付いた動く博物館たらしめること、職員の身分の保障をすること、予算の裏付けをすること、協議会の重複を避けること等の希望を附しまして賛成、採決の結果、全員一致を以て本案は可決されました。  以上御報告を申上げます。(拍手
  49. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  51. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第四、漁港法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。水産委員会理事松浦清一君。    〔松浦清一君登壇拍手
  52. 松浦清一

    ○松浦清一君 只今議題となりました漁港法の一部を改正する法律案について、水産委員会におきまする審議の経過並びにその結果につき御報告を申上げます。  この法律案は衆議院水産委員長冨永格五郎君ほか十九名の議員によつて提出されまして、去る十一月二十日衆議院より送付されたものでありますが、先ず提案理由を申上げます。即ち、先に漁港法の施行によりまして、我が国漁業上の重要施策である漁港の修築、維持、管理等に関する制度が確立され、法律に規定されている漁港の指定、漁港の整備計画等も順次進捗を見、その運用も軌道に乗つて来たのでありますが、一方、漁港管理者の指定、並びに漁港管理委員のうちの漁業者代表たる委員の選任方法等について手続が繁雑であり、而も相当多額の経費を必要とするので、本表の性格を失わない範囲内において簡素な方法に改め、又北海道の漁業の発展を図るため、北海道における漁港施設を速かに整備する必要上、その修築に要する費用に関する国の負担又は補助の割合を引上げる必要がある。これが提案の理由でございます。  次に本改正案の内容を申上げます。第一に漁港の維持管理に関するものでありますが、従来の農林大臣が漁港管理者を指定しようとするときの公聴会開催の規定を削除いたしまして、指定を取消そうとするときにのみ公聴会を開催することにいたし、又、漁港管理委員会の委員のうち漁業者代表たる委員七人の選任については、従来互選となつておりますのを取りやめ、当該漁港の所在地の市町村長が関係水産業協同組合の意見を徴して推薦した者の中から漁港管理者が任命した者とすることに改めております。第二に、漁港修築に要する費用に関する国の負担金又は補助金に関するものでありますが、北海道におきましては、当分の間、漁港の種別にかかわらず、外かく施設、水域施設においては十割、けい留施設については七割五分、但し第四種漁港については従前通り八割に引上げることに改め、又北海道以外の地域における第四種漁港の基本施設に対する国の負担率が現在六割又は七割五分となつておりまするのを、外かく施設、水域施設は七割五分、けい留施設は六割とすることに改正するほか、国の負担金又は補助金の精算等に関する手続を規定いたしております。  委員会におきましては、提案者との間に質疑応答を重ね、愼重審議いたしましたが、詳細は速記録に譲ることにいたします。かくて質疑を打切り、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定をいたしました。  以上御報告を申上げます。(拍手
  53. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  54. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  55. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第五をあとに廻し、日程第六、裁判所職員臨時措置法案内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長小野義夫君。     —————————————    〔小野義夫君登壇拍手
  57. 小野義夫

    ○小野義夫君 只今上程の裁判所職員臨時措置法案につきまして委員会における審議の経過及び結果につき御報告申上げます。  先ず本法案の内容について簡單に御説明申上げます。裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員は、国家公務員法の附則によつて国会職員と同様に、本年十二月三十一日までを限つて一般職に属する職員とする旨規定せられておるのであります。そこで、去る第十回国会におきまして、国家公務員法第二條の特別職に関する規定を改正いたしまして、明年一月一日以降はこれらの裁判所職員を特別職に属する職員とする旨を明確にいたした次第であります。従つてこれらの職員に対する人事行政上の根本基準を定めるための法律を制定する必要があるのでありますが、現在国家公務員法等人事関係の法令については、これが再検討の議もございますので、裁判所職員に関する法律もそれと歩調を合せて、愼重に研究検討を重ねた上で立法することになつた次第でございます。そこで、止むを得ず暫定的な措置として、国家国務員法その他の法律の規定中、一部を除いてこれをそのままこれらの職員について準用しようと言うのであります。以上が本法案の要旨でございます。  委員会におきましては愼重に審議を重ね、各委員より熱心な質疑が行われたのでありますが、その詳細は速記録によつて御了承を願いますことにいたし、御説明は省略させて頂きます。討論におきましては、別に発言もないので、直ちにこれを終結いたし、採決いたしましたところ、多数を以て本法案を可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告を申上げます。(拍手
  58. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  59. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  60. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第七、外務省設置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔河井彌八君登壇拍手
  61. 河井彌八

    ○河井彌八君 外務省設置法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  内閣委員会は三回開会いたしました。そのうち一回は外務委員会と連合委員会を開会いたしまして愼重に審査を進めました。そうして全会一致を以て本案を可決すべきものと議決いたしたのであります。  順序といたしまして提出の理由を御説明申上げます。平和條約の調印に伴つて近い将来において日本は主権国家として国際社会に復帰することになるのでありますので、政府といたしましては外交関係の再開のために鋭意諸般の準備をいたしておるのであります。この條約によりまして、日本の義務とせられておる各種の問題、例えば賠償であるとか、漁業であるとか、連合国の財産の補償であるとかいうようないろいろな問題につきましては、すでに條約が効力を発生せざる現段階においても関係諸外国と下打合せ等が開始せられておる状況であります。従いまして、外務省の事務が量と質において急激に変化して参つておる関係上、従来の外務省の機構を以ていたしましては、これらの事務を処理するには非常に困難があるというので、この新事態に即応した機構を作つて、そして現在の事務の途行に遺憾なきを期すると共に、将来正式の外交が再開する場合にも備えようというので、この法律案を提出したのであります。而してこの法律案外務省設置法案といたしまして、全文の改正案となつておるのであります。そこで、この案の内容について要点を申上げたいと存じます。第一点は外務本省の組織の変更であります。従来外務省の内部組織は、大臣官房のほかに、政務局、国際経済局、條約局、調査局、管理局及び連絡局の六局と情報部でできておつたのでありまするが、この法律案によりますると、大臣官房のほかに、アジア局、欧米局、経済局、條約局、国際協力局及び情報文化局の六局を設けんとするものであります。この改正のうちで特に注目すべき点は、従来の政務局で行なつておりました政務の処理、調査局で行なつておりました調査事務、管理局において行なつておりました在外同胞の保護等の事務をば、戰前のように地域別に分けまして行うことといたしたのであります。即ち、そのためにアジア局と欧米局を設けるという点が主な点であります。第二点は、特別な職、即ち官房長、次長、顧問及び参與の設置であります。詳しく申しますると、政務局の廃止に伴つて、従来政務局で行なつておりました外務省所管の行政の総合調整事務は大臣官房が行うことになりまするので、官房に官房長を置いてその統轄を行わせようとするのであります。そうして今後ますます事務の多端になることを予想せられまするところの経済局には次長一人を置くということ。最後に本省に顧問及び参與を置きまして、戰後の空白時代を経過いたして新たに国際場裡に出て参りまする日本の外交に各方面からの意見を十分に収入れて、正しい外交を遂行しようというのであります。第三点は、地方支分局であるところの連絡調整事務局の整理の点であります。現在国内に十一カ所設置されてありますのを六カ所に整理して、そうして占領行政の縮減に呼応して、占領の完了するまでの間、連絡事務を能率的に行わんとするものであります。即ち関東、東海北陸、神戸、中国及び四国、この五つの事務局を廃止いたしまして、関東の事務局の事務をば横浜の事務局に、東海北陸、神戸、中国及び四国の各事務局の事務を大阪の事務局に統合せんとするものであります。第四点は、在外公館に関する規定を具体的に且つ詳細に規定せんとする点であります。平和條約の成立に伴いまして、在外公館の設置も間近に迫つて参りましたので、在外公館に関する従来の規定を根本的に改めまして、在外公館の設置の根拠、種類、所掌事務及び権限、名称、位置及び在外公館長等について法律的の根拠を明確に與えておるのであります。これらの外公館に関する規定の中で特に注目すべき事柄は、第一に在外公館はすべて外務省の機関であるということを明確にきめたのであります。そうして日本の国外に置かれるところの政府の公館ばすべて外務省の機関としてその任務を遂行することにいたしました点であります。次に、在外会舘の設置が法律によつて明らかにされることは望ましいことでありまするが、即ち原則として在外公館の名称及び位置は法律に定めるということになつておりまするが、特殊の場合の例といたしましては、在外公館の設置が全く相手国政府との合意を前提としておりまする関係上、いつどういうときに設置の必要が生ずるか予測できない場合が起つて来るであろうということが考えられまするので、国会が閉会中であつたり、且つ非常に急を要しまするときには、予算の範囲内において政令を以て在外公館を設置し得るという便法を設けた点であります。もう一つ、日本政府の今日ありまするところの在外事務所は平和條約発効までの過渡的の時期の機構でありまする関係から、これに関する規定を本法律案の附則に讓りまして、当分の間、外務省の機関である在外公館の一つとして在外事務所を設置し得る旨を明らかにしておる点であります。  それで、委員会只今申上げました通り三回開きまするし、又外務委員会との連合委員会も一回いたしたのであります。それで、その結果明らかになつた点を簡單に申上げますると、  第一に、この法案は、平和條約発効後、我が国が国際社会において自主独立の地位に立つた場合に処する外務省の機構を規定したものであるかどうかという点であります。政府がこの法律案を提出した理由として説明したところを見ますると、平和條約発効後の独立国としての外務省機構改革案のごとくにも見えるのでありますけれども、その政府の説明によりますれば、條約が来春効力を発生するまでの間に外務省として処理すべきたくさんの事務がありまするので、これらの事務を現機構のままでは処理することが相当困難であるというので、将来の外交の再開に備えて差し当り最も必要なものと認める機構に外務省を改正しようとするものであつて、いわば占領下の時期と條約発効後における自主独立の時期との中間の時期の事務の処理に任ぜんとする暫定的の機構改正であるという説明であつたのであります。併しながら、かくのごとく暫定的と申しましても、アジア局、欧米局の地域による局の設置の構想のごときは、将来においても変更すべきものではないというのであつて、結局この機構改正案は将来をも考慮した暫定的なものであるということが明らかになつたのであります。従つて、将来正式に外交再開の場合におきましては、更に或る程度の機構改革も予想せられるという説明でありました。  第二点は、今後独立までの過渡的の時期においても、又将来独立した後においても、現在の機構で特に不十分と思われる点は如何なる点であるかということの検討でありました。問題は、本案の機構改革の中心点をなすところの現在の政務局、調査局、管理局の機構の適否とその改組の点であります。これに対しまして、改正案はこれらの局をば再調整いたして機動的に活動するに最も適する地域的の機構に改めんとするものであるとあるのであります。現在の政務局は事務分量が甚だ厖大なものがありまして、局としての負担が過重であるに反して、終戰後の残務処理の事務を主として所掌する、管理局は今日その事務負担が軽減せられておるのであります。政務局と管理局と更に調査局と、この三つの局を二つの地域局に分れまして、そうしてその事務を改組せんとするという点であります。第三点は、相互に密接な関係を有するところの外交事務をば地域的に分割いたしまして、即ちアジア局と欧米局というように分割いたしまして機構を改めることは、外交事務の性質上果して当を得たものであるかという点でありました。一つ外交問題がアジア、ヨーロツパ、アメリカのすべての地域に関係する場合が極めてたくさんありままするので、これを形式的にアジア、欧米の二局に分掌させることは外交事務の統合性を害するであろうという懸念が当然起るのであります。そこで、この二局間の事務の調整は、官房に新たに設置せられるところの官房長をしてこれを行わせることとして、この不統一を避けようという趣旨であります。  第四の点は、左外公館に関する外交一元化の問題であります。終戰前におきましては、外務省の在外公館として、大使館、公使館、領事館等が設置されておりました。そのほかに海外諸国に陸海軍の出先機関として陸海軍武官事務所があり、或いは又内務省、大蔵省、商工省等の各省がそれぞれ出先機関を設置いたしまして、これがために日本外交の一元化が大いに阻害せられて、国政の上に非常な不利を果たしたということの苦い経験を経たのであります。そういうことに鑑みまして、この改正を機といたしまして、将来は日本外交の一元化の政策を貫徹して、ほかの省が海外諸国に従来のような出先機関を設置することを認めないという政府方針を明らかにするために、この法律案の第二十二條の規定が特に設けられたという説明でありました。併しこの点に関しましては、この法律案の効力の及ばざる事項でありまするから、在外事務所が他の省において必要となる場合においては、その省の設置法の改正によつてこれが実現をするほかはないであろうという点に帰着したのであります。  第五点は、本機構改正案と定員との関係であります。この改正によつての外務省の機構改革が実現いたしましても、現在の定員の増減には影響がないということでございます。即ち外務本省の定員は今度提出せられました定員法改正を見ますると、四十九人を減少いたしまして、千五百四十二人となるのでございますが、これで以て事務の運用には差支えないということを申したのであります。ただ明年、平和條約が発効いたしまして、正式外交が開かれました場合には、海外諸国に設置されるところの大使館、公使館、領事館等の在外公館の所要の職員は勿論増員の必要がありまするから、その際には改めて定員法の改正案を国会に出すということであります。  第六点は在外公館に関する点でありますが、従来は諸国との間に正式の外交関係の途が開かれておらないので、在外公館としては日本政府在外事務所の設置だけが認められておつたのでありまして、その数は現在二十五ヵ所あります。日本が独立国となり、諸外国と正式外交を再開することとなつた暁におきましては、戰前と同様に、大使館、公使館、総領事館等、そういうものを設置いたしまするので、これらの設置が行わるるまで現在のこの在外事務所をそのままに置くということになるのであります。  更に最後に、在外公館の職員はその職務の性質が一般公務員に比して特殊な点がありまするので、現行の国家公務員法を以て律することは無理である。在外公館職員に関する特別の公務員法を制定するか、或いは又現行の国家公務員を改正する必要が考えられるのでありますが故に、この点については政府において十分に研究中であるという説明があつたのであります。只今申上げました各種の重要な事項のほかに、なお外務省の機構に関する問題、或いは外交に関する職員の養成の方法、在外職員に対する適当なる給與を與うべきであるという点等につきまして、周到な且つ剴切な質疑応答が行われましたのであります。  そうして討論の段階に入りましたところが、三好委員から、本法律案については十分には納得し得ない点もあるけれども、この機構改革は主として明年の外交再開までの間の暫定的なものであるとの政府の説明を了承して本案に賛成するが、将来平和條約発効後においては、独立国たるにふさわしい機構に改めることを希望するという意見が出たのであります。竹下委員からは、本機権改革において、現在の政務局の事務を、アジア局、欧米局に分掌せしめる点等、各局の機嫌についてはなお十分了解することができない部分もあるけれども、外交再開の時期が迫つておる今日に、外務省の機構の改革の必要な点はよく了解せられるが故に、本案に賛成する。三好委員も賛成であり、竹下委員も賛成したのであります。そうして、但し竹下委員は、政府が機構を運営して不都合を感ずることがあるならば、更に機構を改めることを希望するということが附け加えられたのであります。  かような審議の経過を経まして採決に付しましたところが、全員一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。(拍手
  62. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  63. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  64. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第八、関税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  65. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程せられました関税法等の一部を改正する法律案大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本案の改正点を申上げますと、その第一点は、平和條約の効力発生に伴いまして、同條約第二條によつて明瞭に外国となる地域につきましては、関税法、関税定率法、とん税法の適用上、当然外国となし、又同條約第三條に規定する北緯二十九度以南の南西諸島及び小笠原群島等につきましては、本邦の領域であることを明確にすると共に、これらの地域との出入船舶及び貨物に対しては、引続いて外国とみなして関税法規を適用しようとするものであります。  その第二点は、従来北緯三十度以南の南西諸島の生産にかかる物品で原産地証明書を添付するものについては、輸入税を免除しておりますが、平和條約の効力発生後は、北緯二十九度以南の南西諸島及び小笠原群島等の地域で生産される物品は輸入税を免除することとし、これについて必要な事項を政令で定めようとするものであります。  その第三点は、現在新聞用紙は需要の増加に伴い緊急に輸入することが必要とされておりますが、輸入価格は国内産価格を上廻つておる現状でありまして、これに輸入税を課することはその用途の性質上適当でないと考えられますので、明年三月三十一日まで、現行一割の輸入税を免除しようとするものであります。本案審議の詳細は速記録に護ることを御了承願います。  かくして質疑を終了し討論に入り、野溝委員より、新聞用紙の輸入税を免除しようとする半面、洋紙に対して物品税が課せられていることは不当であり、且つ割高な新聞用紙を輸入するよりは、国内生産を増進せしむべきであるから善処せられたいとの希望を付して、賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  66. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  67. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せらました。      ——————————
  68. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第九、輸出信用保險法の一部を改正する法律案、日程第十、中小企業信用保險法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長竹中七郎君。    〔竹中七郎君登壇拍手
  70. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今議題となりました輸出信用保險法の一部を改正する法律案並びに中小企業信用保險法の一部を改正する法律案につきまして、通商産業委員会におきまする審議の経過の概略と結果を御報告いたします。  先ず輸出信用保險法の一部を改正する法律案につきまして申上げます。  御承知通り現行輸出信用保險法は、第七国会で制定されまして、輸出取引に伴う為替制限や輸出禁止又は動乱などの非常危險による損害を救済し、輸出振興策として相当の実効を收めて参りました。然るところ最近東南アジア及び南米諸国の経済開発や原料獲得の問題に伴いまして、これらの地域に機械設備などのいわゆるプラント輸出を促進する必要が生じて参りました。ところが、これらの地域の買手に資金が乏しく、又諸外国との競争が激しいので、勢いプラント類の代金支拂は長期に亘る分割拂いとなつております。よつて代金回収までの間におきまする買手の破産と支拂遅延による信用危險を、保險によつて救済する制度を設けることが必要となつて参りまして、本法律案の提出となつたのであります。  今、本改正案の骨子を申上げますと、第一点といたしまして、現行法の輸出業者と損害保險会社との保險契約を政府が再保險するという従来の保險を甲種保險と呼ぶことにいたしております。第二点として、右に対して乙種保險を新設していることであります。これは政府が直接輸出業者と保險契約を締結する制度でありまして、政府が買手の信用調査や保險引受の不審査を直接責任を以て当るのであります。第三点といたしまして、乙種保險における危險事項として、特にバイヤーの破産と、バイヤーの六ヵ月以上に亘る債務の履行遅滞を加えております。  さて、本委員会におきましては、愼重審議いたしましたが、質疑の主なるものを申上げますと、即ち、本制度の実績検討を初めとして、プラント輸出の意義、実態、以下、バイヤーによる契約の一方的な破棄、いわゆるマーケツト・クレーム、航路変更による危險などが保險の対象にならぬ理由、それからメーカーを保險契約の相手方とせぬ理由などでありました。右に対しまして政府側よりそれぞれ答弁があり、又できるだけ早い機会に大幅な改正を行いたい旨述べられましたが、その詳細は速記録に讓りたいと存じます。  次いで討論に入りましたところ、先ず栗山議員より、ポンド地域からの輸入促進に努力すること、及び貧弱な経済力下で資本財の輸出を促進するわけであるから、その影響をも考慮して運用に愼重を期すること等の要請を付しまして賛成意見の開陳がありました。又境野議員からも、不急不要の方面に利用されぬこと、英国の保証制度を更に研究して改正を徹底させること、及び為替変動の危險に対する措置を講ずることとの要請を付して賛成意見が述べられました。かくて採決の結果、本改正法案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定しました。  次に中小企業信用保險法の一部を改正する法律案につき御報告ついたします。  申すまでもなく中小企業信用保險法は昨年十二月十五日公布施行せられたものでありますが、その後の実績を見ますと、今日までの保險金額の総計は予想を遙かに下廻つて約二十七億円に過ぎず、結局金融機関による活用は極めて低調であります。かく利用率が思わしくないことの理由は、趣旨日の不徹底や資金源の不足などもありますが、法律そのものの不備も種々指摘せられますので、中小企業金融がますます逼迫を告げている折柄、木制度の改正は急を要する問題であります。よつて今回微温的な対策ではありますが、一件当り貸出額の限度引上げと担保力の強化を目標として、本改正法案提出を見た次第であります。今改正の要点を申上げますと、第一点として、保險関係が成立する一中小企業者に対する貸付金額を、現在の三百万円から五百万円に引上げること、同じく組合の場合は一千万円から二千万円に引上げることであります。その第二点は、各都道府県に設立されている信用保証協会の保証業務を新たに政府が再保証し得る制度を設けたことであります。即ち協会が借手の債務を保証した金額を保險価格として、これに対して政府がその五割を保險金額として再保險するわけであります。つまり現在の信用保証協会の出資は地方公共団体がその大部分を負担していますので資金面に制約があり活動が不十分ですから、それを助成せんとするものです。  当委員会におきましては特に各方面の当業者の意見をも聽取し、愼重審議しましたが、質疑の主なるものは以下の通りであります。即ち、一、政府の預金など資金源の獲得、二、本制度の活用に熱意ある金融機関に保險の枠を多く與えること、三、貸付期間を六ヵ月以上の長期に限つていたのを三ヵ月以上とすること、四、保險金の支拂を事故発生後六ヵ月後とせず三ヵ月後として回転を早くすること、五、保險金額を現在の保險価格七五%から九〇%に引上げること、六、保險料をできるだけ借受人に転嫁させること、その他、従業員数二百名を越える中小炭鉱とか生活協同組合を保險の対象に加えることなどの問題がありました。又年末金融対策ども併せて熱心に論究されました。政府側では、前述の諸点につきまして更に研究を重ねた上、その相当部分を可及的に早い機会に取り入れて改正すべく努力する旨を申述べましたが、これ又詳細な速記録を御覧のほど願いたいと思います。  かくて討論に入りましたところ、境野、小松、栗山の各議員より、資金源獲得以下の諸点につき政府部内の統一を図つて早急にその実現を期すること、実施の末端機関に本改正を至急徹底せしむること等の希望を付して賛成意見が述べられました。次いで採決の結果、本改正法案は全会一致を以つて原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  71. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します、両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  72. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  73. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第十一、地方税法の一部を改正する法律案、日程第十二、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長西郷吉之助君。    〔西郷吉之助君登壇拍手
  75. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 只今議題となりました二つの法案のうち、先ず地方税法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  今回政府がこの法案を提出した理由は、現行地方税制は施行以来漸次所期の成果を挙げて来たが、何分にも、従前の制度を根本的に改革したものであることと、最近における社会経済事情の変化とによつて、これに相当の修正を加える必要があるものと認め、目下これらの問題について鋭意研究中であるが、今国会においては差当り必要な最小限度の改正を行うこととしたというのでありまして、その内容は次の三点であります。  第一は、法人の事業税及び市町村民税の法人税割についてでありまして、最近における金融及び取引の実情に鑑み、その徴收の円滑を期するために、納税者の申請に基いて、その税額の二分の一の額以内において、三ヵ月を限度としてその徴收を猶予することとするのであります。第二は附加価値税についてでありまして、現行地方税法制定の際、二年間その施行を延期された附加価値税は、いよいよ明年一月一日から施行されることになるのでありますが、今日の社会経済の情勢及び地方税制全般との関謹上、予定通りこれを実施することについてなお暫らく愼重の検討を要すると認めるので、附加価値税の施行に関する結論を得るまでの間、附加価値税の課税標準の算定について加算法を採用することの届出期限、青色申告書により申告することの承認申請期限等を、昭和二十七年三月三十一日まで延期することであります。第三は固定資産税についてでありまして、昭和二十七年度分の固定資産の評価の適正を期するため、価格決定の期限を六月末日まで四ヵ月延期し、それまでの間は前年度分に基いて仮徴收できるものとすることであります。  委員会においては、先ず岡野国務大臣から提案理由の説明を聞き、更に政府委員から改正案の内容について説明を聞いた後、質疑に入りましたが、先ず委員長から、政府は現在施行延期中の附加価値税を如何に取扱う方針であるかと尋ねたのに対し、岡野国務大臣から、附加価値税は諸外国にも類例のない新税であり、且つその主旨にも難解の点があるので、これが実施については更に愼重考慮を要すると認め、目下なお研究中であるとの答弁がありました。又中田、安井、岡本の各委員から、シヤウプ勧告と現行地方税制との関係政府の税制改正に関する構想、法人にのみ徴收猶予の特典を與える理由、固定資産再評価の状況、その他これに関連する諸問題について質疑が行われたのに対し、政府委員から、シヤウプ勧告は合理的であつたが、税制実施後の経済事情によつて一部改正の必要を生じたこと、政府としての税制改正案は未だ結論に達しないこと、又法人に徴收猶予を認めるのは、法人に対する国税と地方税の課税が一期に集中するのを緩和するためであること、又固定資産の再評価は均衡調整のためであつて、租税増徴や交付金の穴埋めのためではないから、にわかに増額となるものはこれを緩和する方針をとつておること等の答弁がありました。なお、質疑応答の詳細は速記録によつて御覧を願います。  以上を以て質疑は終了したので、討論に入りましたが、別段発言者もないので、直ちに採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決いたしました。  次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案について地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  今日、政府がこの法案を提出した理由は、地方財政平衡交付金の額の算定の基礎に用いた数について錯誤があることを発見した場合において、簡易に必要な調整的措置をとることができるように規定を整備しようとするのでありまして、改正の内容は次の二点であります。  第一は、交付金の算定の基礎に用いた数に錯誤があつた場合においては、当該地方団体の基準財政需要額又は基準財政收入額を増加し又は減少する額は、錯誤があつたことを発見した年度又はその翌年度において当該地方団体に交付すべき交付金の算定に用いらるべき基準財政需要額又は基準財政收入額に加算又は減額する方法によつて調整し、この調整したものを当該地方団体の基準財政需要額又は基準財政收入額とすることができるようにすることであります。  第二は、錯誤にかかる数を用いた年度後の年度において以上のような措置を行うとき、たまたま当該地方団体の基準財政收入額が基準財政需要額を超えている地方団体、又は以上の措置を行なつた結果そのようになる地方団体において、交付金の交付不足額があるときは、これを限度として当該年度の交付金のうちからこの部分を交付し、又交付超過額があるときはこれを限度として別途に返還させることとするのであります。  委員会におきましては、先ず岡野国務大臣から提案理由の説明を聞いた後、質疑に入りましたが、町本委員から、錯誤の件数、特別交付金の運用等について質疑があつたのに対し、政府委員から、調整を要する錯誤の金額は、道府県について基準財政需要を増額すべきもの三千七百十一万余円、減額すべきもの四千五十六万余円であり、基準財政收入を増額すべきもの五千三百九万余円、減額すべきもの千八百八十七万余円であること、特別平衡交付金は、台風その他大災害に対する救護復旧、災害補償等、他の法令で十分に補助、助成されないものに対しても交付する旨の答弁がありました。又中田委員から、基準財政需要額、單位費用、補正係数の算定等につき、法令の條文とその適用について具体的事例を挙げて質疑したのに対し、政府委員会から詳細の説明がございましたが、これらの質疑応答についての詳細は速記録に讓りたいと思います。  以上を以て質疑は終了したので討論に入りましたが、特に発言者もないので、直ちに採決に入りましたところ、これ又全会一致を以て原案通り可決いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  76. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  77. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  78. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  79. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  80. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程の順序を変更して、日程第十三より第二十六までの請願、日程第五十四及び第五十五條の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事伊藤保平君。    〔伊藤保平君登壇拍手
  82. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 只今上程せられました請願二十二件、陳情二件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本委員会におきましては、特に小委員会を設けまして審議に当り、政府の説明及び見解を聽取した上、質疑応答を軍ね、愼重に審議をいたしたのでありまするが、その結果は次の通りであります。  先ず請願第十八号、第六十三号、第百二十二号、第二百六十二号、第三百四十七号、第四百六十号、第四百七十五号は、それぞれ陶磁器製品、洋紙、運動用品、漆器類、兒童用乗物、金庫及び手提金庫の物品税をそれぞれ撤廃せられたいとの趣旨であり、請願第百八号、第四百三十一号、第四百七十四号、陳情第七十八号は、いずれも、水あめ、ぶどう糖に対する物品税は他の原始的農業生産物及び砂糖と対照して不公平な課税であり、大衆課税であるから、撤廃せられたいとの趣旨であり、以上の各件は、大衆品については事情の許す限り軽減又は免除することが適当と思われますので、採決すべきものと決定いたしました。  次に請願第六百七十七号は、漁業に対する課税改善のために、(一)、割当課税的方法を改めること、(二)、不漁の場合の課税保護の制度を設けること等の措置を講ぜられたいとの趣旨であります。なお、請願第六百号は、昭和二十五年織物消費税廃止に伴つて生産業者及び販売業者が手持在庫品に対してこうむつた損失を補償せられたいとの趣旨であります。以上の二件はいずれも願意を適当と認められますので、採択すべきものと決定いたしました。  次に請願第二百九十号は、呉市が平和産業港湾都市に転換するについてすでに適用を受けている旧軍港市転換法の効果を十分に発揮するため、旧軍港海面並びに旧軍用施設の開放又は返還について善処せられたいとの趣旨であります。請願第六十九はは北海道旭川市に国民金融公庫事務所を設置せられたいとの趣旨であり、請願第三百九十八号は、岩手県下の火災による農山漁村の損害は他県に例を見ないほどであり、且つ県の財政は困難を極めているので、長期事業資金融資せられたいとの趣旨であり、請願第四百八十号は、組合加入後満二十年以上を経過した旧陸軍共済組合の甲組合員に対して年金の受給資格を付與せられたいとの趣旨であり、なお、請願第六十四号、第六十五号、第百四十五号、第二百二十三号、第四百七十三号、第六百十四号、陳情第五十一号は、いずれも「たばこ」小売の利益率を引上げられたいなどの趣旨であり、以上の各件はいずれも願意を適当と認め、採択すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます(拍手
  83. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  84. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  85. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程の順序を変更して、日程第二十七より第五十一までの請願及び日程第五十六より第五十九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員会理事小川久義君。    〔小川久義君登壇拍手
  87. 小川久義

    ○小川久義君 只今議題となりました日程第二十七から第五十一までの請願二十七件、日程第五十六から第五十九までの陳情四件につきまして、建設委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  これらの請願陳情は、河川の改修、荒川横堤、地すべり、砂防予算に関するもの六件、災害復旧、特にルース台風による災害復旧対策及び防潮堤に関するもの十件、道路の改修並びに架橋に関するもののほか不動産取引法の制定、住宅建設の促進に関するもの等でありまして、いづれも願意おおむね妥当なものと認めてこれを採択し、日程第五十一を除くほか、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。
  88. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採決し、日程第五十一の請願のほかは内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  89. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第五十一の請願のほかは内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  90. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第五十二、第五十三の請願及び日程第六十の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。    〔佐々木良作君登壇拍手
  92. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 只今議題となりました請願第百八十二号、第千百五十号、陳情第十三号につきまして、経済安定委員会におきます審議の経過並びに結果を御報告いたします。  請願第百八十二号、陳情第十三号は、北海道開発に関するもので、基礎調査及び総合開発を促進されたいとの請願であります。次に請願第千百五十号は石油製品統制撤廃反対等に関する請願でありますが、対象は揮発油、軽油でありまして、これらの自給率は極めて低く、外貨事情の楽観を許されない現状においては、統制撤廃及び価格停止は見合せられたいとの請願であります。  以上請願二件、陳情一件はいずれも、その願意妥当なるものと認めまして、これを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
  93. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  94. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、二十六年度産米供出問題に関する緊急質問  一、中小企業の年末の金融に関する緊急質問  一、国費の濫費と官紀粛正に関する緊急質問  一、日程第一 綱紀粛正に関する決議案  一、日程第二 文化財保護法の一部を改正する法律案  一、日程第三 博物館法案  一、日程第四 漁港法の一部を改正する法律案  一、日程第六 裁判所職員臨時措置法案  一、日程第七 外務省設置法案  一、日程第八 関税法等の一部を改正する法律案  一、日程第九 輸出信用保險法の一部を改正する法律案  一、日程第十 中小企業信用保險法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 地方税法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  一、日程第十三乃至第二十六の請願  一、日程第五十四及び第五十五の陳情  一、日程第二十七乃至第五十一の請願  一、日程第五十六乃至第五十九の陳情  一、日程第五十二及び第五十三の請願  一、日程第六十の陳情