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1951-11-12 第12回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十二日(月曜日)    午前十時三十分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十五号   昭和二十六年十一月十二日    午前十時開議  第一 地方財政平衡交付金等増額に関する決議案西郷吉之助君外八名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案内閣提出)(委員報告)  第三 日本輸出銀行法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、地方財政平衡交付金等増額に関する決議案西郷吉之助君外八名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本決議案につきましては、西郷吉之助君外八名より委員会審査省略要求書提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。西郷吉之助君。    〔西郷吉之助登壇拍手
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今上程されました決議案に対しまして、発議者を代表いたしまして、その趣旨説明いたします。  先ず、決議案の案文を朗読いたします。  地方財政平衡交付金に関する決議案   地方財政窮乏は今日より甚しきはなく、民主政治基盤たる地方自治を脅かしている。地方財政委員会においては、この窮乏を緩和するため、先に政府に対し、平衡交付金及び地方起債増額要望し、政府も又補正予算において若干の考慮を拂つたが、右の追加増額を以てしては、地方公務員給與改訂に伴う財源等を確保するに不十分であつて、到底現下危機を突破することができない。   よつて政府地方財政委員会意見書に鑑み、更に平衡交付金及び起債の額を増加する措置を速やかに執るべきである。   右決議する。  以上でございまするが、以下説明を加えます。  地方財政府県市町村を通じまして、今や窮乏のどん底にあると申しましても過言ではないのであります。その原因は種々あるわけであります。即ち先般のシヤウプ勧告に基く地方税制の改革が必ずしも我が国実情に副わぬ点のあること、又地方行政調査委員会議勧告による行政事務配分が未だその緒についておらぬことなど考えられるのであります。更に又先般来の物価騰貴財政を圧迫することは申すまでもないことでございますが、国庫の補助或いは又負担がその基準と金額におきまして、地方実情を無視したる低額に定められるために、地方公共団体相当多額の自己資金を(「大蔵大臣はどうした」と呼ぶ者あり)用意する必要に迫られ、而もその財源がないので、これを起債に求めんといたしますれば、政府が極度にこれを抑制する実情にあることに注目せねばならんと思うのであります。更に重要なことは、毎年数多くの法律を制定いたしまして、地方団体に幾多の事務負担させるにかかわらず、政府地方財政法の規定を無視いたしまして、これに必要な財源措置を講ずることが極めて冷淡でありまして、常に少額にとどまることであります。而して最後に挙げる最も重要な事項は、地方財政平衡交付金総額が著しく少額計上されることであります。御承知のごとく地方財政平衡交付金法第三條によりますれば、「国は、毎年度地方団体提出する資料に基き、すべての地方団体について、この法律に定めるところにより、財政需要額財政收入額とを測定し、財政需要額財政收入額をこえる場合における当該超過額を補てんするために必要且つ充分な額を、地方財政平衡交付金として、国の予算計上しなければならない。」と書いてあるのであります。かかる法律の明文があるにかかわらず、従来大蔵当局は一、二の極端な事例を指摘しまして、地方財政にはなお余裕ありと、さように説き、府県財政窮乏を訴えるものがありますれば、逆に市町村財政は裕福だと、さように宣伝いたしまして、暗に平衡交付金配分方法のみが適正を欠いておるかのごとき言辞を弄しておりまして、以て地方財政委員会の測定いたしました必要額計上を頑強に拒絶して参つておるのであります。  かかることでありますので、従来地方におきましては、戰災復興及び災害復旧はもとより、その他の公共事業を停滯させまして、又教育、労働、厚生、消防、警察等の諸施設に澁滯を来たして参つたことは、特に説明を要しないところでありまして、財政に余裕ありと言われる都市におきましてさえ、なお且つ雨漏りのする校舎があるとの新聞報道のごときは、よくその一端を物語るものと存ずるのであります。かかる状態でありますので、本年六月以来、この窮乏を緩和するために平衡交付金増額し、併せまして地方起債の枠を拡大することを要望する声は日を経るに従いまして熾烈となり、全国知事会都道府県議会議長会を初め、全国市長会市議会議長会全国町村長会町村議会議長会等代表者が多数且つ頻繁に上京いたしまして、各方面要望、陳情したことは、各位のよく御承知通りでございます。  よつて地方行政委員会におきましては、かかる状態を看過いたしますことはできないのみならず、一方におきまして、国家公務員に対する給與改訂を行わんとする国の施策に準じまして、地方公務員給與改訂を支障なく遂行させるためには、急速にこれが財源措置を講ずる必要ありと認めましたので、国会閉会委員地方に派遣いたしまして、更に地方実情調査すると共に、地方財政緊急対策に関する小委員会を設けまして、この七、八両月、暑中にかかわらず連日会議を開きまして、国務大臣を初め地方財政委員会並びに大蔵省の関係官を招致いたしまして、その提出にかかる資料検討した結果、地方財政委員会が推定いたしました本年度地方財源不足額六百五十数億円を一応了承したのであります。併しながら一面国庫財政現状にも思いをいたしまして、委員会といたしましては、かれこれ勘案した結果、差当り現下危機を突破する措置といたしまして、平衡交付金総額を二百億円を下らざる限度において増額いたし、起債の枠を更に百五十億円以上拡大することを要する旨決定いたしまして、これが実現につきまして、政府に強く要望して参つたのであります。然るに政府が今国会に提案しました補正予算を見ますると、平衡交付金及び起債の額をおのおの百億円増額したるにとどまりまして、我々の要望に副わざること甚だしきものがあるのであります。一方地方財政委員会におきましては、先に推定した地方財源不足額を再検討の上、これを四百三十八億円に圧縮いたしまして、我々の要望に同調し、更に平衡交付金百億円、起債五十億円の増額を必要とする旨の意見書を去る十月二十二日国会提出したことは各位のつとに御承知のところでありまして、いわばこの額は地方財源所要額最低生命線であります。不幸にいたしまして、この要望が実現されないならば、地方自治の衝に当る者をして全くその帰趨に迷わしめ、延いては如何なる事態が発生するやも測り知れざるものがあることを深く憂慮するものであります。  最後に一言申し添えます。政府部内においても今回の補正予算計上額では不十分であると考える向がありまして、現に地方自治庁長官たる岡野国務大臣のごときは、別途五十億乃至百億円の短期融資を考慮すると、本院地方行政委員会並びに予算委員会におきまして言明しておるのであります。その言明に対しましては、いささか意のあるところを認めますのにやぶさかではないのであります、今なおこれが確定に至つておらんことを甚だ遺憾とするものであります。  各位におかれましては、以上の経過を御了承下さいまして、満場一致を以ちまして、本決議案に対し御賛成あらんことを切望する次第でございます。(拍手
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。高橋進太郎君。    〔高橋進太郎登壇拍手〕    〔「大蔵大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  7. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は自由党を代表いたしまして、本決議案賛意を表し、以下その理由を述べんとするものであります。  地方自治団体我が国民主政治基盤であることは申すまでもないところでありまして、これが育成助長には我が党の最も力をいたして参つたところでございます(「その通り」と呼ぶ者あり)近時社会情勢の進展につれ、事務量の増大並びに職員給與ベース改善等に伴いまして、地方財政需要が著しく膨脹の止むなきに至りましたのに対し、地方団体歳入、特に税收入増加が必ずしも歳出増加に対応するに十分なるものがないのであります。而も最近の経済情勢は、いわゆる特需を中心として、その産業状態別に必ずしも上昇率を一にしない結果、我が国のごとく地域的にその経済基盤を著しく異にする場合は、各地方自治団体ごとに、その税收入相当の相違を生じていることは否めないところでございます。これらの実情に鑑み、地方財政委員会は、地方自治団体財政窮乏を訴え、政府も又今次の補正予算において相当の額の追加計上をいたしましたことは、これを多とするものでありまするが、前段申上げました通り、二万に近い地方自治団体中には若干景気の変動に対応し得て処理し得るものもないではございませんが、国の予算と異なり、これら二万に近い地方自治団体財政は相互に彼此融通が不可能なるものがありまして、個々地方団体財政実態は、地方財政の全体を一括して大量観察した結果とは必ずしも一致せざるものがあるのであります。いわゆる勘定足りて銭足らずの観があるのであります。加うるに近時国政膨脹、諸法規の制定、特に災害頻発等に伴う事務量増加並びにこれが事務量の処理に対する予算処置不十分等は、これがしわ寄せといたしまして、地方団体負担増加と相成つておることは見逃しがたいものがあるのであります。従つて諸般情勢を勘案し、真に温い愛情を以て地方自治団体財政検討し、これが育成に当るの必要がありますることは、今日ほど最も痛切に感ぜられるときはないのであります。  我が党が率先本決議案賛意を表さんとするゆえんも又ここにあるのであります。この情勢に当り、地方自治団体は極力その経費の節約、事務合理化努むると共に、政府は更に個々地方自治団体財政実態を把握し、真に止むを得ざる地方自治団体財政に対しては親心を以て、或いは平衡交付金配分適正化により、或いは平衡交付金増額計上措置により、或いは又起債の枠の増加その他の手段を盡し、現下地方自治団体個々実態に副う最も適切有効なる措置をとられ、本決議案の実効を挙げられんことを期するものであります。(拍手
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中田吉雄君。    〔中田吉雄登壇拍手〕    〔「傍観的なことを言つている」「大蔵大臣もつと早く来い」と呼ぶ者あり〕
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は日本社会党を代表し、(「どちらだ」「左派か」と呼ぶ者あり)日本社会党正統派を代表いたしまして(笑声拍手)只今上程されたる議題に対しまして、賛成討論をいたさんとするものであります。  先ずこの際私は、戰後の破壞と混乱のうちに地方公共団体首長議員諸君が非常なる困難と鬪いながら、或いは供出の完了に、或いは新制中学の建設に、はた又災害復旧のために捧げられましたる異常なる努力を思わずにはいられないのであります。それがどんなに苦難に満ちたものであつたかは、昭和二十二年当選いたしました町村長のうち、四カ年間の任期満了前にやめた人が如何に多かつたかを見れば、直ちに這般の消息はわかるのであります。我々の調査によりますと、或る郡のごときは、実にその八五%が新制中学寄附金が調達できないことによつて任期満了前にその責任を負つて辞職しているのでございます。これを全国的に見ましても、任期満了前にやめなくてはならなかつた者のうち、地方財政窮乏のためやめなくてはならなかつた人々が最高のパーセントを占めているわけであります。米の統制撤廃にからみまして、ドツジ氏の助言によりまして、漸やく救われまして、その政治的な無能を暴露しながら、恬として政治責任を感じないところのその辺の大臣諸公とは全く範疇を異にするものであります。(拍手笑声、「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり)それはともあれ、国会からは十分の予算裏付けもなく、たくさんの法律が洪水のごとく地方に流れまして、これらの人々の辞職という墓標の上に地方自治団体は運営されているわけであります。我我は一万余の首長と、十九万の議員諸君の默々たる努力に対しまして、満腔の同情と感謝を捧げるものであります。さて併し他方、自治体はその重要性にもかかわりませず、地方財政は最も弱い一環といたしまして最大の犠牲をこうむつています。それは地方財政平衡交付金法重要性が正しく評価され、適当に運用されていないからであります。同法の第三條によりますと、先ず地方公共団体にはどれだけの財政需要が必要であるか。その基準を測り、次にどれだけの財政收入があるかを測定いたしまして、その差額の不足分平衡交付金といたしまして、自治体に交付する仕組になつているわけであります。従つてその基準となるところの財政需要財政收入の測定をどういたしますかは、この問題の解決のキー・ポイントであります。ところが大蔵大臣の独善と無理解のために、更に地方財政委員会力関係からいたしまして、主管の地方財政委員会意見が十分尊重されませず、大蔵大臣の全くの一方的な決定に終つているわけであります。(「内容が貧弱だ」と呼ぶ者あり)国家財政地方財政との全き調和の上にのみ国政の妙諦があるにもかかわらず、大蔵大臣は先ず国家財政を優先的に確保し、その残りの千二百億を平衡交付金として地方にくれるに過ぎないわけであります。而も一千二百億の交付金で十分であるというその合理性を主張いたしますために、財政需要を極度に絞り、半面財政收入は不当に多く見積つておられるわけであります。  今回国家公務員に準じまして、地方公務員も当然千五百円の給與引上げがなされるべきであるにもかかわらず、中央地方の均衡という美名の下に隠れまして、年齢、特殊事情及び長き伝統等を全く無視いたしまして、道府県一般職員にありましては、千五百円よりも五百九十三円低く、教職員にあつては百九十八円、市町村職員にありましては実に七百七十四円低く、それぞれ事実上の減俸の上に立つているわけであります。又物価騰貴郵便鉄道料金引上げ、新たなる法律による歳出増は全く無視されています。即ち百三十八万九千の地方公務員犠牲によつて基準財政需要が圧縮されているわけであります。その半面歳入につきましては、道府県市町村税とも大幅な水増し課税が予定されています。即ち昨年の地方税総額は推計一千九百八億であつたものが、本年度は実に二千五百十億となつているのであります。政府は今回国税で四百億の減税を謳いながら、こつそりとその一倍半もの六百億の地方税増徴をいたしまして、これを地方税しわ寄せをしているわけであります。即ち一千二百億の平衡交付金でいいというのは、百三十八万の地方公務員減俸と、昨年よりかも六百億も多いところの、できもしないところの地方税水増し課税の基礎の上に立つているわけであります。  次に公共事業費起債に関してであります。災害査定額昭和二十三年度は五百二十三億、昭和二十四年度は四百十四億、二十五年度は四百八十三億と、過年度災害は実に一千四百二十億の多きに達しております。併しその進捗率は本年度末を以ちまして、昭和二十三年度分は六六%、二十四年度分は五〇%、二十五年度分は漸く三〇%に過ぎず、合計一千四百二十億の過年度災害のうち六百九十九億、即ち五一%は明年度以降に繰越されるわけであります。而も災害の最近におきますところの特徴は、戰前のように或る特定の災害県というものがなくなつて、それが全国的な普遍的現象となり、而も連年いささかも減少の跡を見ないという点であります。これは政府が総合的な国土計画の下に一貫した治山治水の体系を持たないからであります。そして公共事業費を極度に圧縮し、起債を甚だしく抑制しているからであります。そのために年々数百億の貴重な財源を何ら生産的でないところの風水害の跡始末という全く不生産的な浪費をあえてしているわけであります。一文惜しみの百知らずとも言うべく、予算の最も非効率的な使用方法と言わなくてはなりません。以上が地方財政現下実情であります。  地方財政窮乏は、昨年は道府県財政窮乏が頂点に達しましたが、本年度はそれが市町村財政にも波及いたしまして、今や地方財政窮乏は全般的な現象となつて戰後最大危機に直面しております。池田財政の玉手箱は、地方税増徴公共事業費平衡交付金の削減の上に立つております。本年度補正予算に明らかにその片鱗が現われておりますが、明年度予算には恐らく更にこれが推し進められるでありましよう。これは又ドツジ財政でもありましようが、このようなことでは地方住民はどつちみち救われないわけであります。(笑声)かかる現状に鑑みまして、我が地方行政委員会は、西郷委員長の下に月余に亘りますところの検討を加えまして、平衡交付金を二百億以上増額し、起債の枠を更に百五十億以上拡大いたすことを妥当であるという、超党派的な結論に達したわけであります。根本的にはシヤウプ税制が露呈いたしましたところの数多くの欠点を大胆に是正することも必要でありましよう。更に平衡交付金の長所を生かしながら、同時に地方配付税のごとく所得税法人税総額の三三%余を地方に交付するというような或る一定の客観的基準によりまして、大蔵大臣のほしいままなる意思によつて地方財政が不当に圧迫されないような措置をとることも必要でありましよう。併しそれは次の国会に讓るといたしまして、自治体が死なないところのぎりぎりの最低線は、只今西郷委員長の申されたことを実現するか否かにかかつていると存ずる次第であります。若しこの決議が一片の空文に終りまして、本国会予算の実質的な裏付けをいたしませんならば、漸く緒につきかけました日本再建基盤たる義務教育は崩壊の端緒を開くでありましよう。産業経済公共事業、民生安定の方面は全面的に後退いたしまして、徒らに警察予備隊のみが完備し、治安はますます乱れまして、荒れ果てた山河だけが残ることにならないと誰が保証しましよう。  かくては、デモクラシーの最上の訓練場であるところの自治体危機からいたしまして、ヒトラーへの道を開くことは明らかであります。叡智と公正の府たる我が参議院の皆さんの嚴正なる批判と温い御援助によりまして、地方財政危機を一日も早く打開して頂きますことを特に切望いたしまして、我が党の代表討論に代える次第であります。(拍手
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 鈴木直人君。    〔鈴木直人登壇拍手
  11. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は只今上程されておりまする決議案賛成をするものであります。以下いささかその賛成趣旨を申述べます。  決議案問題点は、要するに府県市町村を含めましたところの地方財政は、来年の三月末までの間において四百三十八億の赤字が出るという結論になつておるわけでありまして、この四百三十八億の赤字を如何にして切拔けるかということにあるわけであります。その方法といたしましては、四百三十八億のうちの二百億を一般平衡交付金に期待する。更に百三十億を起債によつて賄う。残りの八十八億というものは、これは国の助成金によるべきであるけれども、これは税を多く取つたり、或いは緊縮したりして、これはまあ止むを得ないだろう。要するに二百億というものを一般平衡交付金に期待し、百五十億を起債によりたいというのが要点であります。今回補正予算として提出されておりまする中におきましては、その二百億の百億につきましては追加計上されておりますし、又起債の百五十億の中の百億につきましても、これも又解決が済んでおるのでありまして、この点につきましては、政府並びにこれに盡力した自由党方面の力によることと私たちは考えておるのでありまするけれども、併しながら更に不足するところの百億の平衡交付金、又五十億の一般起債を、今後何らかの形において追加計上してもらいたいというのが我々のこの決議案に対する態度であります。  これにつきましていささか一点だけについて申上げたいと思うのでありまするが、私自身は長く地方官をいたしておりまして、或いは課長とか、部長とか、知事というようなものをやつておりまする関係から、或いは我田引水的な傾向があるかも知れませんが、大体におきまして、政府は国のことにつきましては非常に真劍でございます。併しながら地方団体のことにつきましては、やや継つ子扱いの傾向があるように思われるのであります。勿論国の予算はこれは国のものでありますし、又政府は国の政府でありますし、又公務員は国の公務員であります。従いまして府県市町村予算府県市町村議会府県市町村公務員とは、それはおのずから別になるのでありまするけれども、併しながらその日常やつているところの行政事務内容を見まするというと、この点につきましては、国の行政事務府県市町村行政事務とは殆んど区別しがたいのであります。一例をとつて米供出について申上げましても、本日も或いは知事会議があるようでありますけれども、この米の供出につきましては、農林大臣責任であると政府は考えておるのでありましようが、併しながら府県におりまする人たちは、これは府県知事責任であると考えており、又市町村長市町村長責任であると自覚しておるのであります。従いましてその責任の所在は單に政府農林大臣のみの仕事として片付けられるべき問題ではないのでありまして、この点につきましても、この米の供出、配給というような点につきましては、全く政府市町村府県一心同体共同責任のものであります。勿論知事公選であり、市町村長公選でありまして、政府の任命する役人ではありませんけれども、その行政事務に対するところの責任につきましては、これは食糧管理法においても明記されている通り、決して農林大臣責任と異にするものではないのであります。従いまして米の供出なんというものは、全く何千人という県庁員と一体になりまして、知事を先頭に立てて非常に真劍になつてこの供出仕事を進めるのであります。又市町村におきましても、市町村長中心になりまして、市町村役場吏員、或いは農協のかたがた、或いは部落会、或いは青年団婦人会、あらゆるものを動員いたしまして、この米の供出の完遂を遂行して行つているのであります。ところが政府におきましては、これは米の問題は政府のものであるというようなことからいたしまして、或いは給與ベース引上げ等におきましても、その直接人事権予算権を握つているところの食糧事務所の人とか、或いは作物報告事務所の人とか、そういうものの方面には非常に力を注ぎましても、同じく責任を感じておるところの府県庁役人、或いは職員、或いは町村役場吏員等につきましては、これは人事予算が違うから当然違うのであるけれども、余りそこに重きを置かないというような現状にあるのであります。勿論この費用につきましては国の事業でありますから、当然政府がこの費用負担すべきものであります。これにつきましては、平衡交付金の中にそれを織り込んで、そうして国家公務員と同じような取扱をするという建前にはなつておりまするけれども、この平衡交付金は先ほど西郷君その他から申されましたように十分ではないのであります。言うことは、平衡交付金の中に入つていると言うけれども、その平衡交付金は、予算としては十分でないのである。国の公務員におきましては、ちやんと予算の中にそれは盛込まれております。又六三制の問題、義務教育の問題、これは文部大臣の責任であると思うのでありましようけれども、これを第一線の市町村長の身になつてみれば、朝から晩まで六三制の問題に沒頭いたしておるのである。雨が降つても、風が吹いても、屋根が壊れても、先ず第一に市町村長がその学校の建築なり修理に頭を悩ますのであります。又小学校、中学校、高等学校の先生の給與等におきましても、これは国の管理ではありませんけれども、県の知事或いは教育委員会において同じく頭を悩ましておるのであります。一方において国におきましては、補正予算で或いは年末賞與或いは給與ベース引上げというものが計上されておりまするけれども、一方百数十億かかるであろうところの平衡交付金が盛られてないのであります。従いまして文部大臣の直轄でありますところの国の教員は、それによつて給與ベースは当然上るでありましようけれども、府県市町村に勤めておるところの先生たちは、果してその通り給與が上るかどうかということは、目鼻が付かないというのがこの平衡交付金の右樣なんであります。而もその責任たるや、文部大臣だけの責任でなくて、これは県教育委員会責任でなり、市町村長責任として、共同責任を以て義務教育をやつているのであつて、その仕事から見ますというと、これは国であるとか、これは県であるとか、市町村であるというような区分けが付かないというような実際の実情なのであります。ただ單に国家公務員については人事権予算権を国が持つ、一方地方公務員については府県市町村が持つという点において、この財政措置において異なるというような状態にあるのであります。而も平衡交付金ができましてからは、もうすでにいわゆるそれぞれの事業別の補助がなくなりまして、平衡交付金一本にされてしまつたのでありまして、この地方財政はこの平衡交付金に頼る以外には途がないのであります。こういうような状態において第一線においてはやつているのでありまして、国或いは政府におきましては、政府機関、各省の役人だけで各省の行政事務が行われておるつもりでありましようけれども、そうではありませんで、すべてがそれが府県市町村に移されまして、その第一線において国の行政事務が行われておるのであります。試みに農林省に行つて御覧なさい、建設省に行つて御覧なさい、府県市町村役人が打合せのために毎日本省にやつて来ておるのであつて、本省の出先機関は單に直轄出先機関だけでなく、府県市町村も又本省のいわゆる出先機関であるのであります。そういうような状態でございまして、單に人事予算が違うからというような観点からのみ府県市町村のかたがたを継子扱いにするというような考え方のないように私は期待したいのであります。こういうふうにいたしまして、第一線におきましては、本当に朝は霜を踏んで家を出て、又夕は星を頂いて家に帰るという、そういうような状態によつて米供出におきましても、すべてをやつているのであります。私は考えるのでありまするが、本当に国の業績を挙げようとするならば、この第一線の人々の上に常に考えを置く必要があると思うのであります。第一線こそ宝であつて、国の礎であると存ずるのであります。私はいつも思つているのでありまするが、先ず国を治めんとする者は家を治め、又部落を治め、又村を治め、郡を治め、県を治めて国が治まるのであります。そういう意味におきまして、どうか政府におきまして、この治国平天下の道をとられまして、そうして第一線のために優先的に心を置かれまして、この平衡交付金に対するところの予算措置等におきましても、強くこの方面の実現を期待するのであります。これは私が地方府県市町村地方団体におけるところの実情を訴えまして、そうして往々にして政府中心、国の予算中心的に考え勝ちであるところの予算編成方針に対しまして、この第一線においても国の行政事務は行われておるのであつて、それこそ最も大切なものであるからして、この第一線の人々のために、十分その人たちの要求するところを全うしてやつてもらいたい、こういうふうな考え方であります。その他の数字的な、或いは平衡交付金の理論その他の点につきましては、他の諸君から言われましたからして申上げません。どうかそういう意味におきまして、池田大蔵大臣におきましては、特に一つ思い切つてこの決議案の実行をやつて頂きたいと思うのであります。私の承知するところによれば、全く池田大蔵大臣の胸一つにあるのであつて、この温情ある措置をやるならば、米の割当なんというものは立どころに解決してしまうと思うのであります。そういう意味において、十分この決議案を尊重されんことを希望する次第であります。  以上申上げまして終りたいと思います。(拍手
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手〕    〔「反対か賛成か」と呼ぶ者あり〕
  13. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表いたしまして、この決議案賛成するものであります。  この私の賛成を以ちまして、恐らくこの決議案は全会一致で通るんじやないかと思います。(笑声)これは余り類例のないことであります。(笑声)この例のないことがなぜ行われなければならないかというところに、これは現在の地方財政の置かれておる姿がまざまざと出ていると思うのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)私はいろいろ詳しいことにつきましては、時間の関係もありますので、恐らく今までも十分言われましたし、あとの諸君によつてもこれは盡されると思いますから、こういう点については省きます。  そこで恐らくこの決議案が満場一致で通る、そのあとどうするかという問題、この問題が非常に大きい問題じやないかと思うのであります。一昨日は衆議院におきましても、この決議案が満場一致で通つております。そうして参議院が又満場一致でこれを通す、ところがこの満場一致で通したところの決議案がそのまま実行されるかどうか、こういうことを考えますときに、私は日本の現在置かれておるところのこの政治に対しまして非常に問題があると思うのであります。今までも満場一致で通つておりながら、それが実施面において実施されないという例があるのでありますけれども、少くとも両院が満場一致を以て通しましたこの決議案は、当然これははつきりと実行面におきまして実施されることが最も日本の現状におきまして、又この地方財政を通じまして、まさに民族的な破綻に直面しておりますところのこの問題を解決するところの重大なる鍵であると思うのであります。若しこのような決議案が満場一致で通りながら、これが実際において何ら実行されないとするならば、これはまさに日本のこの国会政治というものの鼎の軽重が問われているのだ。満場一致で通つた決議案がそのまま顧みられないというようなことであるならば、明らかにこれは我々の国会が奴隷の国会であるということの、その証左であると言わなければならないのであります。そこで我々はこの原因に対しまして、このようなことを繰返さないようにはつきりここで覚悟を固めまして、この決議案を通過させることに努力しなければならないのであります。(「終り」と呼ぶ者あり)予算を通して置きながら、而もこの決議案賛成するという態度をとつておられるところの與党の諸君があります。先ほども甚だ傍観的な、まるで他人事のような話をして賛成をしておられるのでありますけれども、與党こそ先に立つてこの問題を徹底的にやるべきであると私は思います。無論我々もやります。ところが実際はこれを通しておいて何とか顏を合わす、或いは今府県知事会議がやられておるので、そつちのほうに対してこれは何らか手を打つておかないと工合が惡いというような、政治的ゼスチユアにこれを終らせようとするというようなことであつたならば、私は非常にこれは日本の政治のために悲しまなければならないと、こういうふうに思うのであります。又この決議案が通つても、恐らくどこかの関係方面、はつきり言えばGHQのほうに行けば、恐らくこれは切られるだろうというようなことを前提として賛成するなどというようなことは、これは全く国民大衆を愚弄したところのばかげたやり方である。このような政治的ゼスチユアを今後とるかとらないか、こういうことによつて日本の政治が自主的であるか、或いは本当にこれは單なる一つのゼスチユアとしての国会であるかという、そういう性格を私ははつきり問われる段階に来ておると思うのであります。こういう意味におきまして、もつと我々はこの決議案の取扱いそのものに愼重な、而も真劍な、もつと命がけの態度を以て我々はこれに参加しなければならない。これが少くとも決議案を満場一致で通すところの議員の覚悟である、こういうふうに思うのであります。我々はこのようにしまして、この決議案そのものは非常に十分だと言うことはできません。恐らくこの決議案趣旨が全部通つたにしましても、地方財政を根本的に救済するという段階にはならないと思うのであります。もつともつと根本的な問題があるのでありますが、これについては無論触れないにしましても、とにかく地方財政に対して一つの楔を打ち込むという意味におきまして、私はこの満場一致ということが、而もこれが恐らく民族的な一つの大きな意思を持つであろうし、我々も又そういう方向に大いに協力すべきだという立場におきまして、これに賛成するものであります。  最後に一言ここで特に強調しておきたいことは、今度の給與改訂でありますが、この改訂の中におきまして、国家公務員地方公務員給與に非常に開きがある。この前の改訂によつて国家公務員より地方公務員のほうが非常に高かつた。そこで今度のベース改訂でこれを調整するのだ、こういうような一つの資料作成がなされまして、大蔵省によりまして、財源措置として地方の教員に対しましては三百七十五円、都道府県職員に対しましては四百六十二円、市町村吏員に対しては五百七十六円を切下げて、そうしてベース・アツプをやろう、こういうことをやつておる。すでにその旨が自治庁によつて通達されておる。果して然らばこれが実情であるかどうか、この原因は全く大蔵省の調査したそういう資料に基いてなされておるのでありますが、果してそのような調査実態が合致しておるかどうか。聞くところによりますと、大蔵省はこの調査をなすに当りまして、都合のいいところの人員をピツク・アツプして、これによつてそのような数字を出しておるという、これを我々は予算委員会におきましても、この資料が果して妥当であるかどうかについて資料提出を求めておるのでありますが、まだこれが出されていない。こういう形で以て財源措置がなされているので、地方公務員措置が非常に今度のベース改訂によつては低くならざるを得ない。而もこれは明らかに政府が今度の平衡交付金の要求を非常に減額して、百億で間に合わせようとする措置と一致しておるのであります。これに対しては地財委も反対しておる。野村委員長のごときは、そういうことを了解することはできないと言い、そうしてそれが今度の増額勧告の一つの大きな原因になつておるのであります。こういうようなやり方が不明瞭な形で、そうして国家財政の大きな収奪をそのまま残して地方財政にしわを寄せるという形で以て、全く焼石に水程度の平衡交付金増額という形になつて現われるとするならば、非常に恐るべきものがあるし、又その結果は地方公務員国家公務員というものを切離して、そうしてそこに分裂的な形に導くというような結果を狙つておると、こうも言わざるを得ないのでありまして、このようなやり方に対しまして、我々は嚴重にこの実態を明らかにして、こういう地方公務員国家公務員に比べて非常に不利に陷るようなことについては徹底的に避けなければならない。従つて当然この決議案がここで通過を見て、これが実施されると、こういう段階になりますならば、当然優先的にこのような地方公務員に対するところの低減措置については、これを完全に補充するということが当然この決議案の中に含まれておるもの、当然そうなければならない。無論百億の増額を以てしましてもこれは十分でない、恐らく財源措置はこれだけでも十分でないと思うのでありますけれども、この点について私はこの際当面しております問題として、はつきりこれは決議案賛成するに当りまして、この点を確認しておきたいと思うのであります。  我々はこういう意味におきまして、非常に現在の地方財政から見まして、これだけの増額ではなお文教、厚生或いは民生安定の問題、地方公共事業或いは経済産業費用におきまして非常に不足で、そうしてこれだけでは要求を満足することはできないと思うのでありますけれども、先ほど申しましたように、一つの地方財政に対するところの今後のあり方としまして、楔を入れまして、今後の前進の一つの礎石を確立する、こういう立場においてこの決議案に対しまして賛成し、皆さんと共に飽くまでこの実現のために邁進したいと思うのであります。  以上を以て私の賛成討論を終ります。(拍手
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩木哲夫君。    〔岩木哲夫君登壇拍手
  15. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は国民民主党を代表いたしまして、(「どちらですか」と呼ぶ者あり)只今議案となつております決議案に対し賛成(「修正」と呼ぶ者あり)の意を表するものであります。  ただ私が賛成をするのは、單に民主党が賛成をするという意味ではない、この決議案については、自由党も衆議院、参議院を通じて率先して賛成の意を表することは、即ち当面する地方財政の窮迫に処して、必ずや現在提案されておる補正予算を修正して、(拍手)そうしてこの決議案趣旨、目的を達成することを予約されたる拍手であり、賛成であるということをよく呑み込んで賛成の意を表するのであります(「その通り」と呼ぶ者あり拍手)  一体、今日地方財政がかくのごとき窮迫を来たしましたるその原因と責任の所在はいずこにあるかということを私はこの際明らかにしておきたい。一体今日の地方財政は、中央、地方を通ずる行政或いは自治を一体化する政府の予約、自由党の公約、これが実現されておらないことでありまして、特に先にシヤウプ氏に関しまする税制改革に伴う諸般政府資料に重大なる誤まり、或いは国税と地方税との配分、税種、税率等のきめ方につきましての政府の重大な誤まりがここに原因をいたして、かくのごときでこぼこの中央と地方財政状態の亀裂が現われて来たのであります。中央の財政においては水増しと否とにかかわらず減税ということを言つておる、地方税においては、地方税法が出るときに、地方の住民のあらゆる地方公共団体自治体の寄附、現在行われておる四百億というものは当然これはなくして、それに代つて地方税法をかくのごとくすると言つた説明によつて地方税法が無理やりに通つたのでありましたが、今日顧みまして、地方自治体の住民が過去における四百億以上の寄附金を依然として強要されて、なお且つ今日の赤字が出たというのは、政府地方に委讓するいろいろの行政事務分量に比して、地方財政を賄い得るような税種、税率の妥当性を見なかつたところによることであります。従つて今日の地方財政におきましては、或いは大蔵大臣の言うごとく無駄な費用が一部あるかもわかりません。或いは行政整理も中央と同樣のものを行わなくてはならないものがあるかもわかりません。私たちは今日国の行政整理はして、地方の行政整理はしていけないということを言うておるのではない。又地方財政の無駄を省くということに反対しておるのではない。今日地方のこうした無駄、あらゆるものを矯正しても、なお且つ地方財政委員会の表明する財政不足というものが容れられない場合には、地方自治体は重大なる問題を展開し、延いては地方自治安定の上に非常なる事態を惹起する虞れがありまするから、我々は、今日この地方財政窮乏を、政府責任を持つて、今日までの諸般の事態をその責任におきまして当然処理すべきであるということを特に附加えておきたいのであります。ただ地方財政が困難だから政府が尻を拭ぐえという、差引勘定の穴埋めを我々は要求しておるのではないのであります。地方財政窮乏したいろいろの原因は、当然政府の行政に誤まりがあつたから、ここにこの結果が現われたということを私は指摘いたしたいのであります。そこで今日政府が、地方分権の確立、地方自治の確立という大きな使命に向つて、これら総合的な政策が行われないことによつて今日のこの事態を惹起したのであります。然るに政府のこれらに対処する態度は、先ほど鈴木議員からも説明されましたる通り極めて冷淡であつて、よそごと、他人ごとのような態度をとつておることであります。これは総理府外局として地方財政委員会が、地方自治或いはこれに伴う財政上のいろいろの議案を提案いたしても、或いは要求しても、これが閣議に列席し得ない立場、閣議において発言し得ない立場であるために、常に陳情勝ちの姿であつて、国と地方を通ずる財政を総合化するという企画に参画せず、又これらの財税制に関する重要な立場を確保できないという組織に置いておいたことも、大きな政府責任と言わなくてはいけない。或いは外局においてこうしたような仕組にしても、これらの委員会意見をよく重視して噛みこなして、これらを総合的に解決すればよいのでありますが、こうした点をもとらないで、常に財政委員会大蔵大臣政府に頼み込み一方以外には、何らの発言、何らの権力もないというような立場に置いておいたところに、総合的な政策の欠如が生れて来たということは、誠に政府の過去の行政措置に対し、或いはこうした制度を無理やりに押し通したことによりまする大きな原因と見なければならないのであります。そこで私は特に窮乏いたしておる地方自治体、取りわけ市町村側におきまする窮乏は、今日その極に達しておると言わなくてはなりませんが、取りわけ先のジエーン台風、最近のルース台風等のあの深刻過大なる状態に対して、政府が熱意ある措置をやつておらない。又やろうともしない。今日講和の調印がされて、批准発効を目の前に見たこれらに処する補正予算の中に、こうしたルース台風の予算を十分織込み得る余地がありながら、或いは今回の予算は莫大なるリザーヴ予算として十分途中においても削除し、修正し、適切なる措置を講じ得る時日がありながら、憤然として頬被り主義で行こうというような態度が現われていることは今回の予算審議の上におきましても我々の最も奇異とするところであります。  今日地方の警察行政或いは教育行政、土木公共事業或いは諸般の社会事業等におきまする諸費は、陸続たる政府の物価値上政策に捲込まれて、現在の状態では到底地方行政事務が円滑に遂行できないのみならず、政府の公約である地方自治確立に重大なる亀裂が生じつつある段階でありまするから、政府は、今回その與党たる自由党が衆参両院議員併せて賛成の熱意を示しているこの事例に鑑みまして、或いはこれと一体化している以上は、当然今回の補正予算を修正すべきであると私は思うのでありますが、一体自由党は空拍手をしてその場凌ぎをいたさんとするのか。又政府はこうした事態に対して、ただ政府與党以外の諸政党が賛成し或いは決議せんとすることに対して、工合が惡いから一緒に付いてあとから拍手せんとして、補正予算措置に対して頬被りで行こうという考えであるのかどうか。この決議案の結果、目的達成の上におきましては極めて重大なる問題があると私は思うのであります。従つて與党におきましても、この決議案賛成する以上は身を以てこの決議案の実を挙げるようにしなくてはならないと共に、政府は又当然この補正予算に対し直ちに組替え、修正を決意して、その目的を達成するに努力をすべきであろうと思うのであります。重ねてこの点を、決議案賛成に附加えて政府の答弁を求める次第であります。  以上を以ちまして我が民主党の態度といたします。(拍手
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本決議案の採決をいたします。本決議案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)  只今の決議に対し、池田大蔵大臣より発言を求められました。    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  18. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 只今の御決議趣旨を尊重いたしまして、今後中央地方財政事情を検討勘案し、善処いたしたいと存じております。(拍手、「今後では年末給與ができない、本国会でないと」と呼ぶ者あり)      —————・—————    〔堂森芳夫君発言の許可を求む〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 堂森芳夫君。
  20. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 私はこの際社会保險に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  21. 原虎一

    ○原虎一君 私は只今の堂森芳夫君の動議に賛成をいたすものであります。
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 堂森君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇拍手
  24. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 私は日本社会党を代表いたしまして、現在財政的に重大な危機に当面しておりまする社会保險、特に健康保險制度に対しまして政府は如何なる施策を以てこの危機に対処せんとしておられるかをお尋ねしたいのでございます。  健康保險制度は昭和二年、当時賃金百円以下の労働者を対象として漸次拡大して参り、現在では政府管掌のものおよそ三百六十四万人、組合管掌のものおよそ三百万、船員十三万、共済組合ではおよそ二百三十七万でございまして、その扶養家族を加えまするならば二千万人を超えておるのであります。又国民健康保險制度は、昭和二十三年の改正法律を以ちまして、全国で五千七百の市町村においてその設立を見まして、の対象は二千数百万に達しております。合せて全人口のほぼ七割近くがこの保險制度の恩典に浴することとなつたのであります。而もこれらの被保險者は殆んど労働者であり、農民であります。従いまして健康保險制度は、これらの労働者や農民のその日の生活の糧であるところの労働力を疾病から守り、労働力の保全を策するところの最も緊要なる制度として、我々はその帰趨につきましては重大な関心を持つているのであります。ところがこの保險制度が現在財政上の赤字によりまして危機に階つておるのであります。政府は先に輿論の反対を押切つて、二回に亘り労働者の実質賃金低下という労働者の一方的犠牲におきまして、世界的にも最高水準の料率であります千分の六十という高率の引上げをいたしまして、保險財政上の赤字三十億の補填を行わんとして参つたのであります。併し大蔵省からの国庫余剰金の借入状況を見ますると、本年四月二日三十三億、同月二十日八億円、合計三十億でございまして、これによつて漸く前年度未拂の診療報酬二月分、三月分の支拂を完了すると共に、本年四月分以降の支拂に充当して参つたのでありまするが、保險経済は常に本質的危機を内蔵したままで、政府の無為無策のうちに放置せられて参つたのであります。  次に国民健康保險でありまするが、医療報酬の支拂のうちおよそ四一%は借入金或いは繰入金によつて賄われておるのであります。ところが保險会計は現在のところ一般市町村の会計に比べて見まして、二分の一乃至三分の一の巨額に達しえずるので、到底この繰入金や借入金で保險会計を賄つて行くことは不可能であるのであります。全国的に見まして国民健康保險組合は赤字財政に悩み、組合の事業停止、開店休業の組合が続出しておるのでありまして、事業継続のものも医療報酬の未拂は殆んど常識となつておるのが現状であります。然らば何が故にそうした赤字が出て参つたのか。この赤字の原因は、政府の言うところによれば受診率の増加である。利用者が殖えたからだと申しておるのであります。成るほど受診率は昭和三十一年度は〇・六五であつたものが、二十二年度は一・一五、二十三年度は一・四、二十四年度は二・六、二十五年度も同樣に増加し、本年度も四月以降受診率は依然上昇を辿つておるのであります。更に被扶養者の受診率の著しい上昇は注目すべきものがあります。併しながらかかる利用率の上昇は、即ち十年間の無謀な戰争のために蝕まれましたところの国民体力の低下、国民抵抗力の減退或いは戰後のインフレ政策による大衆生活の破綻よりいたしまして、保險証を持つて続々大衆が病院、医院を訪れるからであります。即ち受診率の上昇ということは大衆の低生活、即ちソシアル・ダンピングの結果であると言うことができるのであります。かかる事情からいたしまして、現に健康保險制度は非常な危機に陥つておるのであります。  そこでかかる観点から先ず総理にお尋ねいたしたいのであります。御存じのごとく利用率の増加は、無謀な戰争と戰後の大衆の低生活、即ちソシアル・ダンピングに基くものでありまするから、当然それによつて来たされる保險経済赤字は、政府の全責任において補償すべきものであると考えるのであります。去る第六回国会において、衆議院で私の同僚の岡良一代議士が質問を行いまして、保險経済赤字に対し如何なる態度で臨むかと質しましたところが、吉田総理を初め当時の林厚生大臣、増田官房長官も、保險制度が円滑に運営されるように社会保障制度審議会が設けられておるのであるから、その結論を得て、速かに具体的措置を講じたいので御了承を願いたいと答弁しておるのであります。この社会保障制度審議会勧告が発せられましてから、すでに一年以上経過しておるのであります。然るに今日に至るもなお危機に瀕しておる健康保險制度につきまして、何ら手を著けていないのは一体どういう理由であるかとお尋ねしたいのであります。社会保障制度審議会は昨年十月の勧告に次いで、更に本年十月二十日、社会保障制度推進に関する御告をいたしまして、社会保障制度に関する推進策として医療保障、特に国民健康保險に重点を重いて昭和二十七年は予算を編成すべきだと言つておるのであります。吉田総理大臣は、社会保障制度審議会勧告を無視されるのか、その権威を尊重されるのか、この点を先ずお伺いしたいのであります。  次にこれに関連いたしまして、健康保險並びに国民健康保險においては、医療報酬を国庫負担において円滑なる保險制度の運営を行う用意があるかどうか、この点明らかに御答弁願いたいのであります  次に大蔵大臣にお尋ねいたします。去る十月二十九日日本教育会館において、日本労働組合総評議会、日本労働組合総同盟等多数の民主団体と、医療担当者であります日本医師会、日本歯科医師会等が打つて一丸となりまして、社会保險医療強化国民大会なるものを開催いたしまして、現下財政危機に直面せる社会保險医療制度の根本的改革強化を図り、以て医療の向上と国民の福祉増進を期すると言つておるのであります。社会保障制度審議会の第二次勧告は、危機に直面する健康保險制度を財政的に裏付けるために、單に事務費の全額のみではなく、給付費についても医療費の二割を是非とも国庫負担すべきであると言つておるのであります。池田大蔵大臣は、政府は常に資本の蓄積を唱えられ、戰後の経済復興を言つておられるのでありますが、資本の蓄積は一体誰がやるのでありましようか。これは言うまでもなく、低賃金で働くところの労働者であり、低米価を強いられておりますところの農民の活動力であります。労働力の保全を策するところの健康保險制度を確立することこそが資本の蓄積、経済復興のための根本的大前提であると言うことができるのであります。池田大蔵大臣は、何らの準備もなく、国民生活に大きい不安を捲き起しておりまする主食統制撤廃を断行しようとした蛮勇をお持ち合せのようでありまするが、労働力保全という極めて重要な社会保險制度に、少くとも社会保障制度審議会勧告をしておる程度の国費を投入される勇気をお持ち合せであるかどうかをお尋ねしたいのであります。  次に厚生大臣にお尋ねいたします。昨年の第七国会において政府は極めて高率の保險料率の引上げを行い、労働者に実質賃金の低下を強いて三十億の赤字を補わんとして参つたのであります、この料率は世事外的にも極めて同率のものであります。政府は低賃金の結果、病気にかかる労働者が逐次増加して行くことによる保險経済赤字を労働者の犠牲において行うのではなく、今や、抜本的建直しを断行せねばならん時期に直面しておる健康保險制度に対して、一体どのような態度をおとりになるのか、先ずお尋ねしたいのであります。厚生省は本年一月からの保險料率の引上げで、漸く大蔵省からの借金が返せる見込が付いたかのごとく言つておりまするが、本年五月十四日の社会保險担当医師大会に全国から集まりました社会保險医は、若し健康保險制度の財政的裏付と適当な社会保險診療費の是正が行われないならば、社会保險医を総辞職することも辞せないという重大決意を示し、国民の保健上からも一大危機が迫つておるのであります。厚生省に設けられておりまする中央社会保險医療養協議会では、小委員によつていわゆる一点單価に関し討議がされておるようでありまするが、医療報酬の問題を厚生大臣は如何に考えられておるのか。この問題は極めて重大な性質のものでありますだけに、はつきりした大臣の所見を聞いておきたいのであります。一点單価一円の値上げでも月に七億円の赤字が加わつて参るのでありまするから、特に重大なのであります。更にこれに関連しまして、厚生大臣は来るべき通常国会において医療報酬の国庫負担を明文化するところの法の改正を実施せられる御意思がありや否やをお伺いしたいのであります。我々が、医療報酬の一部国庫負担の実現を強く要求いたしまするのは、單に赤字財政の克服だけではなく、憲法に保障せられまするところの国民の健康を、政府がその責任において保障するという大原則を実現するという立場からも要求するものであります。  次に健康保險制度の財政危機を招いた原因の一つは、薬品の価格が国民の負担力に比べて割高なことでございます。現状の医療制度と薬事行政又は製薬事業実態との間の大きな開きを指摘いたしたいのでありまして、厚生大臣の所見を承わりたいのであります。我が国の医療制度は社会保險、国立施設、保健所の発達等、かなり見るべきものがあるのでありまして、社会化への道を前進しておるにもかかわらず、製薬事業のみひとり全く野放しで、而も巨大資本を擁する製薬資本家は、利潤追求の野放し経済のままに放置してあるのであります。我々の概算によれば年間製薬事業家が投ずる宣伝費、広告費は数十億を超えておると思われるのでありまして、これは生産費を遙か数倍、数十倍を超えた値段で大衆に売りつけておるのであります。そもそも医療問題について、あたかも車の両輪のごとき関係にあるべき医療制度と製薬事業が、一方は社会化への道を辿り、一方は全く相反した方向へ廻転しておるのでありまするが、今日の薬事行政の下では、国民大衆こそが製薬資本家の搾取の対象となり、薬代を支拂うのでなくして広告代を支拂つておると言つても過言ではないのであります。製薬事業の公共性に鑑みまして、国民生活に重大な関係を持つておりまするところの製薬事業、薬事行政に対して如何なる考え方を持つておられまするかを併せて御答弁願いたいのであります。  次に、社会保障制度審議会勧告にも言つておりまするごとく、複雑多岐に亘る現行社会保障制度の根本的改革が行われなければ、到底現在のような状態では社会保險制度の円満なる運行は不可能なのであります。このために共済保險、国民健康保險、健康保險等、極めて複雑多岐な多数の組織に分れておりまするところの、これらの健康保險制度を單一化いたしまして、国民保險省のごとき名称の一省を作り、その下に医療、予防と公衆衛生の結合を図り、或いは公的医療機関の充実と適正を図り、医療担当者に対する再教育の徹底であるとか、又は医療担当者の生活の保障を前提とする医療制度の採用、かくのごとく一元的な国民医療体系の確立を私は希望するものでありまするが、厚生大臣は如何にお考えになりますか、この点をもお答え願いたいのであります。  以上で私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  25. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。社会保障制度拡充につきましては、政府はとくより意を用いているのでございます。従いまして社会保障制度審議会の答申も十分尊重いたしております。今年度予算は社会保障制度に四百四十二億円出しております。昨年は三百四十一億円で、社会保障費が今年度は先年に比べて百一億円殖えているのであります。今国民健康保険とか或いは健康保険等についてお話がございましたが、吉田内閣ができる前は事務費も国民健康保険は三割しか負担していない。それを今年度は全部負担する。健康保険も八割は負担しているのであります。急速にこの社会保障制度のほうの拡充強化を図つているのであります。国民健康保険にかかる人の三分の一は結核だと言つておりますが、結核のほうも今年度国と地方で半額を負担することにいたしているのであります。その他保健所の直営診療所を設けたり、あの手、この手でできるだけの努力をいたしておるのであります。只今私に対しまする御質問の主たる点は、給付を二割負担するという先般の社会保障制度審議会の答申を呑むか呑まんかというお話でございまするが、給付費を二割負担することにいたしますと、百四、五十億円を要するのであります。私は今の財政状態から直ちに給付費まで国が或る程度負担するということはお答えしかねます。(拍手)    〔政府委員岡崎勝男君登壇拍手
  26. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) お答えいたします。只今大蔵大臣が申した通り、社会保障制度につきましては、これは現在我が国の国情から言いまして、必要欠くべからざるものと政府は考えておるのでありまして、鋭意その充実に努めておるわけであります。それで御承知のように斯界の権威を集めまして、社会保障制度審会も創設したわけであります。で、社会保障制度審議会勧告につきましても、いろいろありまするが、今大蔵大臣から御答弁いたした通り財政的の制約もありまするものでありますから、本年はできる限り結核の対策について努力をいたしまして、その方面予算を特に多く組んだような次第であります。で、本年の十月の二十日でございましたか、更に第二回の勧告がありましたので、政府におきましては、前から社会保障制度に関する閣僚懇談会というものを設けておりまして、厚生大臣、労働大臣、大蔵大臣その他関係閣僚が集まりまして、社会保障制度についての審議会勧告等を審議することにいたしております。極く最近に前田多門氏の出席を求めてその説明も聞き、懇談もいたして今後の勧告に対する政府の行き方も定めたい、こう考えて今準備中でございますので、さよう御承知を願いたいと思います。(拍手)    〔政府委員平澤長吉君登壇拍手
  27. 平澤長吉

    政府委員(平澤長吉君) 厚生大臣に関する質問にお答えいたします。  御質問のありました健康保険につきましては、只今御指摘になりましたごとく、経済は必ずしも楽なわけではございませんけれども、現在もどうやら国庫余裕金の一時借入によりまして、円滑な運営をいたしておると信じておるのであります。又お尋ねの医師の医療報酬の単価の引上げがお尋ねでありましたのでございまするが、お話ありましたように目下中央社会保険医療協議会で折角検討中でありまして、近いうちにその結果ができることと存じますので、その結果を見まして政府は善処いたしたいと存じておる次第であります。又法律改正をいたしまして單価をきめたらどうかというような御質問がございましたが、この点は只今法を改正いたしまして、それをきめようという段階になつていないと信じております。  又薬事行政の問題についていろいろお話がございましたのでございまするが、現在の制度を改正して、徹底的にいわゆる堂森議員の御意見のある方向に持つて参らねばならないというお尋ねのように解釈いたしたのでございまするが、私どもはこの社会保険制度或いは現在の社会情勢というものを十分に考えまして、この薬事行政の面におきましても、いわゆるだんだん開きが多くなつて食い違いがあるかのごとく考えられるという面については十分に反省をしつつ、その食い違いがないような方向に持つて参りたい、かように存じ上げておるような次第であります。(「そんな素人答弁では駄目だ」と呼ぶ者あり)      —————・—————
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二、「会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案内閣提出日程第三、日本輸出銀行の一部を改正する法律案日程第四、国民金融公庫法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長平沼彌太郎君。    〔平沼彌太郎君登壇拍手
  30. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 只今上程されました日本輸出銀行法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、機械輸出等いわゆるプラント設備の輸出促進を図る見地から、昨年十二月設立を見ました日本輸出銀行の事業資金を充実するため、本年度補正予算において一般会計から二十億円の追加出資をいたし、同銀行の資本金を百七十億にしようとするものであります。即ち同銀行の融資状況を見ますると、本年九月末現在における融資実行額は四十六億三百万円となつておりまするが、最近東南アジア地域等よりの引合は活溌となり、すでに百八十億円の巨額に上り、又契約期間も漸次長期化する傾向等の諸事情を考慮いたしまして、本年十月より年度末までに百三十六億余円の貸付を行い、その貸付残額は約百六十七億余円に達するものと予想されますので、この際同銀行の資力の充実を図り、我が国輸出振興に遺憾なきを期そうとするものであります。  さて本案審議に当りまして、各委員政府側との間に熱心なる質疑応答が行われましたが、その詳細は速記録により御承知願いたいと思います。かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案について御報告申上げます。  本法は終戰後経済状態が不安定であり、企業自体の経理内容も弱体でありましたときに、企業経理の健全化を図るために利益配当を規制する目的で制定されたものでありますが、その後経済も漸く安定を回復するに伴いまして、企業の経理内容も充実いたして参りましたし、且つ配当規制に関してのこの法律趣旨は、改正商法にもおおむね取入れられておりまして、今後も配当の適正化を期するための法的措置に欠くるところはないものと考えられますので、この際会社利益配当等臨時措置法を廃止しようとするものであります。  委員会の審議に当りましては、種々熱心なる質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて承知願います。かくて質疑を終了いたしまして、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案を御報告申上げます。  国民金融公庫は、昭和二十四年六月発足以来、四回に亘つて増資しました結果、現在六十億円の資本金を以て、一般金融機関から融資を受けることを困難とする国民大衆に対して必要な事業資金を貸付けているのでありまするが、普通小口貸付は本年八月末までに八十三億八千万円に達し、本年度増資分二十億円もすでに十月末までに貸付を終り、ますます増大する資金需要に対応して、十一月以降は回収金に依存している状況でありますので、この際資本金を十億円増額して七十億円にしようとするものであります。なおこの追加出資額は本年度補正予算計上されております。  委員会の審議に当りましては、これ又種々熱心な質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて承知願いたいと思います。かくて質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告いたします。(拍手
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五、千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。外務委員会理事徳川頼貞君。    〔徳川頼貞君登壇拍手
  34. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 只今議題となりました千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず本件の内容を申上げます。政府側の説明によりますと、我が国はすでに一九二三年三月四日に批准書を寄託して、この原條約の締結国となつたのであります。ところが一九三七年五月三十一日、国際冷凍協会財政確保のため締結国の分担金額を増加することを主たる目的として、原條約を修正する條約が署名されたのであります。我が国も同日この條約に署名いたしましたが、その批准は当時の惡化しつつあつた国際情勢及びこれに引続く第二次世界大戰のために、遂に批准せずに今日に至つているのであります。この條約は冷凍に関する科学上、技術上及び経済上の国際協力を促進することを目的として、同協会を通じて締約国相互に意見、情報の交換を行い、且つ必要な措置をとることになつております。この意味からしても、現下我が国において冷凍業が産業の各分野で重要な役割を果しており、斯界の進歩発達のため、同協会との円滑な協力が学界からも、業界からも切望されているのであります。併しながら戰前戰後を通ずる著るしい貨幣価値変動の結果、原條約に基いて我が国が分担金を負担することはますます非合理となり、協会との協力にも困難を生じますので、修正條約を批准することが必要となつて参つた次第であります。  本委員会は十一月十日委員会を開き、愼重審議を行いました結果、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に発言もなければ、これより本件の採決をいたします。委員長報告通り本件に承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決定しました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 地方財政平衡交付金等増額に関する決議案  一、社会保險に関する緊急質問  一、日程第二 会社利益配当等臨時措置法を廃止する法律案  一、日程第三 日本輸出銀行法の一部を改正する法律案  一、日程第四 国民金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第五 千九百二十年六月二十一日にパリで署名された国際冷凍協会パリに創設することを目的とする国際條約を修正する條約の締結について承認を求めるの件