運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-10-19 第12回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十月十九日(金曜日)    午後二時七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六号   昭和二十六年十月十九日    午後二時開議  第一 漁港審議会委員任命に関する件  第二 国務大臣演説に関する件     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 諸般の報告は 朗読を省略いたします。     —————————————
  3. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。高田寛君から海外旅行のため今期中請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。      ——————————
  5. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第一、漁港審議会委員任命に関する件を議題といたします。  去る十五日、内閣総理大臣から、漁港法第九條の規定により、岩田留吉君、伊藤佐十郎君を漁港審議会委員任命したことについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本件同意を與えることに決しました。      ——————————
  7. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第二、国務大臣演説に関する件。  池田大蔵大臣から発言を求められております。これより発言を許します。池田大蔵大臣。    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十六年度補正予算案の説明を中心といたしまして、当面の財政金融政策に関する所信の一端を申述べたいと存じます。  過般平和條約の調印を了し、いよいよ我が国が主権を回復して国際社会に復帰し得る運びとなりましたことは、誠に御同慶に堪えない次第であります。我が国が諸外国からこのような好意をかち得るに至りましたゆえんの一つは、過去六年間に亘り、我が国民が経済再建のために盡しました非常なる努力に対し、各国信頼の念を抱いたことによるものであると信じます。  我が国経済の前途には国際情勢の変動に伴う各種の困難な問題が予想されますほか、新たに幾多の負担が加わることを予期しなければなりません。然しながら他面、米国を初め友好諸国との経済協力乃至は東南アジア地域開発への参加等を通じまして、広く世界経済の安定と向上とに寄與しながら、我が国経済を更に発展せしめ得る機会が開けているのであります。この意味で私は国民諸君と共に今後一層国際的な視野において経済全体の問題を考え、祖国再建のために更に一段努力をいたすことを誓いたいと思います。  今後における経済運営基本方針として、私は安定と能率と発展という三つを挙げたいと思います。第一は経済の安定を維持するということであります。即ち秩序ある健全な経済を営むということでありまして、この意味インフレーシヨンは極力これを抑圧しなければならないのであります。  第二は経済を能率化するということであります。即ち経済の各分野におきまして、政府民間経済活動合理化を図り、国民経済全体として最大の効率を発揮するように努めなければなりません。政府が直接的な統制は極力これを排除し、主として財政金融等資金面から経済全体の運営調整を図るにとどめ、経済原則に基く自主的な活動を期待しておりますのも、この趣旨に出ずるにほかなりません。  第三は経済発展を図るということであります。即ち経済基盤を充実し、生産を増大し、貿易伸張して、経済規模拡大を図ることにより、国民生活向上と雇用の増加とを期さなければならないのであります。今後における財政金融施策も以上の基本方針によつて貫かれるのでありまして、健全財政方針維持資本蓄積金融適正化国際收支改善現行為替レート堅持等、これまで採つて参りました一連の政策は、更に着実に、更に堅実に進められて行かなければなりません。  今回提出いたしました補正予算案は、右のような基本方針に基いて編成されたものでありまして、当初予算において主眼といたしました財政收支均衡国民負担調整軽減、並びに産業育成合理化のための政府資金活用等の面において、更に特段の意を用いているのであります。講和後においては、賠償、外債の支拂、対日援助費処理安全保障條約に基く経費の分担、その他新たに財政上の負担となるべき金額は相当多額に上るものと予想せられ、これらの経費は具体的には明年度以降において問題となつて参るものと考えられまするが、今回の補正予算案は、明年度以降におけるこれらの事情をも考慮に入れて編成した次第であります。  今回の補正によりまして、昭和二十六年度一般会計予算は、当初予算に比して千三百六十二億円を増加し、総額七千九百三十七億円となり、相当増額されることとなつたのであります。併しながら我が国経済伸張に伴う国民所得増加によつて租税收入等の著しい増加見込まれます。その結果、税制において相当な調整軽減措置を講じましても、財政收支均衡は完全に保持されているのであります。予算総額国民所得に対する割合も米英仏等に比較いたしましてむしろ低位にとどまつているのであります。なお、明年度におきましては、平和條約等に基く新たな財政負担考慮いたしましても、財政規模は本年度と大差ない程度にとどめ得る見込であります。  次に今回の補正予算案の主なる内容について説明いたします。  歳出におきましては、先ず平和回復に関連する補正について申上げますと、終戰処理費は去る七月一日以降その所要経費のほぼ半ばを米国負担することになりましたために、百七十五億円の減少が見込まれますが、一方、連合軍に提供する物資、役務等調達のために設けられました特別調達資金に七十五億円を繰入れることといたしました。又平和の回復に伴いましてこれが善後処理のため年度内に支出を必要とする事項が発生することも予想されますので、平和回復善後処理費として百億円を計上しております。なお、国際経済参加のための積極的経費といたしまして、すでに正式に加入を申請しておりまする国際通貨基金及び国際復興開発銀行に対する出資二百億円を予定いたしております。  次に今後の治安の維持確保を図るため、警察予備隊装備充実等のための経費といたしまして百五十億円を、又国家地方警察の増員及び給與改善等のための経費といたしまし三十六億円を計上することといたしました。(「警察国家」と呼ぶ者あり)  次に政府出資及び投資関係におきましては、当初予算の七百七十八億円に対しまして、前述の国際通貨基金等への出資を含めて八百億円という大幅の増額を行うことといたしました。このうち外国為替資金特別会計への繰入三百億円は、最近におきまする同会計円不足に対処するためのものであります。又食糧管理特別会計への繰入百億円は、食糧価格改訂等によつて生ずる同会計資金不足を補填するためのものであります。このほか生糸の価格の安定を図るため新たに糸価安定特別会計を設け、三十億円を繰入れることといたしております。又産業資金供給のための出資といたしましては、農林漁業資金融通特別会計及び輸出信用保險特別会計への繰入、並びに日本開発銀行日本輸出銀行国民金融公庫及び住宅金融公庫への追加出資を計上いたしているのでありまするが、これらにつきましては後ほど申述べたいと存じます。  次に、地方財政は近年膨張の一途を辿つている状態でありまして、今後経費徹底的節減税收確保に更に一段努力をいたすことが何よりの急務と感ぜられるのでありますが、併しながら直ちにその成果を期待することも困難でありますので、当面の地方財政状況に鑑みまして、今回の補正において地方財政平衡交付金を百億円増額することといたしました。なお別途地方起債限度につきましても百億円の増額を予定しておるのであります。  公共事業費は、單作地帶対策の強化のため二十億円を、又奧地林道事業の促進のため七億五千万円を計上いたしますと共に、六三制校舎整備のための文教施設費として九億五千万円を追加いたしました。(「雀の涙」と呼ぶ者あり)  次に公務員給與改善について申上げます。公務員給與民間に比して相当低位に置かれており、最近の生計費増加に伴い特にその引上の必要が認められるのでありまして、政府は先般の人事院勧告趣旨を尊重しつつ、一方、財源の関係及び今回実施いたします所得税軽減をも考慮に入れまして、十月一日以降公務員給與月額平均千五百円引上げることといたし、このための経費として七十三億円を計上いたしました。これにより一般公務員給與月額平均一万六十二円となります。又年末手当につきましては、当初予算において〇・五カ月分を計上したのでありますが、これを〇・八カ月分に増額することといたしました。(「人事院勧告を無視しておるぞ」と呼ぶ者あり)  なお行政事務簡素化を図り、財政上の負担軽減に資するため、この際行政整理を断行し、政府関係機関を含めて約十二万余の定員を縮減することとしており、この結果、平年度におきましては、一般会計八十五億円、特別会計七十五億円、その他四十七億円、合計二百七億円に上る経費節減を図ることとしております。  次に、歳入の主なるものは租税自然増收であります。当初予算においては租税收入を四千四百四十五億円と見込んでおつたのでありますが、主として朝鮮動乱後の法人企業收益の飛躍的な増大に伴つて租税收入は当初の見積りに比して著しい増加見込まれることとなりました。即ち本年九月末までに法人税收入はすでに当初の見込額を超過し、又源泉徴收所得税におきましても相当の收入実績を挙げており、租税自然増收見込額は、法人税の八百五十五億円を初めとし、総額千五百六十八億円に達しております。このほか專売益金その他の増加を加えますと、歳入は千七百六十七億円の増加となります。これにより、先ほど来申述べました新たな歳出増加を賄うと共に、政府のかねての方針に基く租税調整軽減を実施し得ることとなつたのであります。  政府はすでに昨年来二度に亘つて租税軽減を実行して参つたのでありまするが、最近におきまする租税負担状況に鑑みまして、今回更にその合理的調整を図ることとし、これに必要な法律案を本国会に提出する予定であります。  先ず所得税におきましては、主食、電気料金鉄道料金郵便料等の値上による生計費上昇をも考慮し、本年八月に遡つて基礎控除額及び扶養控除額引上げますと共に、税率を緩和し、これにより所得税負担、特に低、額所得者負担軽減し、以て国民生活の安定を図ることといたしておるのであります。(拍手、「生活水準は下つているぞ」と呼ぶ者あり)このほか退職所得につきましても、その課税を大幅に軽減合理化し、勤労意欲の高揚に資することとしたのであります。次に、法人税につきましては、最近の法人企業收益状況等に鑑みまして、この際税率を若干引上げ、その増徴を図ることとしたのであります。  これらの措置によりまして、本年度における減税額は四百五億円となり、(「画に描いた餅だ」と呼ぶ者あり)これを明年度において平年計算いたしますと、所得税は約千億円の減税となります。法人税増徴等を差引いても八百億円程度減税が実現される見込であるのであります。(「負担は殖えているぞ」「ノーノー」と呼ぶ者あり)  次に金融に関する政府施策について申上げます。金融面施策につきましては、今後インフレーシヨン抑制特段配意を加えながら産業発展に必要な資金確保し、産業及び貿易拡大を図り、我が国経済の健全な発展国民生活水準維持向上を期することが主眼であります。従つて貯蓄増強その他資本蓄積を更に積極的に推進いたしますると共に、重要産業に対しまして重点的に資金供給確保し、不急不要な方面への融資はこの際極力これか抑制することが最も必要であります。(「計画経済だ」と呼ぶ者あり)このような趣旨によりまして、政府は次のような措置を講ずる所存であります。  先ず第一に政府資金活用であります。重要産業に対しまする長期資金及び農林漁業資金中小企業資金住宅建設資金等確保のため、政府はかねて政府資金活用について特に意を用いて参つたのでありまして、先に日本開発銀行及び日本輸出銀行を設立し、その運営もすでに軌道に乘つて参つたのでありまするが、今回の補正予算案におきましては、更に開発銀行に対し七十億円、輸出銀行に対して二十億円の追加出資をすることといたしました。又一般会計からの出資増加資金運用部資金追加運用とを合せて、農林漁業資金融通特別会計に六十億円、国民金融公庫に三十価円、住宅金融公庫に六十億円の資金増加を予定いたしております。このほか、見返資金につきましても、電力及び造船に対し更に百三十五億円の追加融資を行うことといたしております。  以上合計いたしますると三百七十五億円に上る大幅の増加となるのでありまして、産業資金の円滑な供給に寄與するところ少くないと信ずるのであります。  次に、貯蓄増強その他資本蓄積を更に強力に推進することが日本経済再建のため欠くべからざる要請であることは、すでにしばしば申上げたところであります。政府は、特に本年初頭以来、資本蓄積のための諸施策を積極的に実施し、その成果は相当見るべきものがあり、株式価格のごときも逐次上昇を示し、企業自己資本充実を容易ならしめ、株式発行高は本年上半期には前年同期に比較いたしまして倍額に近い増加を示し、投資信託も引続き好成績を收めております。又一般預金増加額上半期二千五百億円に達し、前年同期に比しまして八割の増加を示すに至つておるのであります。(「農村は減つておる」と呼ぶ者あり)併しながら現状を以ていたしましては決して十分とは認めがたいのでありまして、今後とも資本蓄積については更に特段努力をいたすことが肝要と考えられます。これがため先般金融機関預金利子引上げが行われたのでありまするが、更に政府は、郵便貯金利子及び預入限度引上げ国民貯蓄組合免税限度引上げ、並びに新たな貯蓄手段としての貯蓄債券発行等考慮いたしております。今後の資本蓄積成果国民各自の積極的な努力に待つところが大でありまして、極力生活健全合理化を図り、貯蓄増強に協力せられんことを期待してやまないのであります。  次に、金融機関に対しましては、資金の効率的な運用について更に格段の努力を要望いたしたいのであります。特に設備資金融資につきましては、我が国経済現状に照らし、限られた資金を最も有効に活用するため、電力、石炭、鉄鋼、船舶等、真に緊要なもののみに限定して、その他の設備資金融資抑制を図りたいと存ずるのであります。又、経済復興に伴い、金融正常化につきましては今後一段と意を用いて参る方針であります。先般来行われました日本銀行の公定歩合の引上げ開発銀行市中銀行長期融資の肩替り、金融機関における大口信用集中傾向是正等はいずれもこの趣旨に出ずるものであり、今後ともこの線に沿つて諸般施策を進める所存であり、(「口頭禪だぞ」と呼ぶ者あり)必要に応じ銀行法改正等措置を講ずることを考慮しております。金融機関におきましても、その公共的使命に徹しまして、適正堅実な運営に更に一段努力を拂われんことを期待する次第であります。(「今の銀行を見よ、横暴だぞ」と呼ぶ者あり)  最後に国際收支等の問題について一言いたしたいと思います。終戰以来我が国国際收支は逐年その規模拡大改善の跡を辿つて参りまして、今日約六億ドルに達する外貨を保有し得るに至りました。本年度におきましては一億七千四百万ドルの受取超過見込であります。ガリオア、対日援助がなかつたといたしましても、一億二百万ドルの黒字となる見込であります。(「輸入が進まんからだ」と呼ぶ者あり)  国際收支がかくのごとく改善して参りましたことにつきましては、米国の対日援助に負うところが少くないことは言うまでもありませんが、国際收支の大宗を成す輸出が著しく伸張いたしたことは見逃し得ない要因であります。(「最近は惡いぞ」と呼ぶ者あり)而うして引続き国際收支規模拡大すると共に、外貨保有高増加することは、我が国経済基盤充実拡大を図り、生産を堅実に復興せしめ、国民生活維持向上を期するためには不可欠なことであります。従つて今後とも企業健全合理化等によつて、ますます貿易伸張を図り、外貨の獲得に一層の努力をすることが肝要であります。のみならず我が国経済発展の速度を一層早めるため外資の導入に心がけ、そのための態勢を積極的に作り出して行かなければならないと存ずる次第であります。  国際收支につきましては、平和條約発効後における諸種の対外債務履行並びに賠償の問題を考慮しなければならないのであります。我が国が誠意を持つてその履行に当らなければならないことは申すまでもありません。これに関連して、或いは国民生活水準の低下を来たすのではないかと危惧する向きもあるようでありますが、今回の條約に示された基本精神は、関係各国の間に和解と信頼に基く友好関係を確立し、相互の提携協力によつて共存共栄の実を挙げるにあると考えるのであります。従つてこれらの問題の処理如何が、我が国経済自立復興を阻害し、国民生活の安定を脅かすようなことがあれば、條約の精神に副わないのみならず、却つて我が国対外債務支拂自体が困難になるものと言えましよう。政府は、この見地から各種対外債務及び賠償問題の処理に当る所存でありまして、関係各国も又我が国経済の存立を可能ならしめる前提に立つてこれに臨むものと信ずるものであります。(「本当か」と呼ぶ者あり)  なお、巷間、為替レート切下げの議論を聞くのでありますが、只今申上げましたように、我が国国際收支改善の歩を進めつつあるときに当つて為替レートを切下げるがごときことは考慮の余地のないことであります。すでに経済現行為替レートに基いて運営せられておるのでありまして、これをかるがるしく変更することは徒らに経済界に混乱を與えることが明白でありまして、私の採らざるところであります。(「石橋と違うじやないか」と呼ぶ者あり)  以上昭和二十六年度補正予算案中心といたしまして、当面の財政金融政策の大綱について申上げたのでありますが、いよいよ我が国が真に独立国と、して国際経済へ復帰し、更に国力を進展すべき時期に当り、国民各位がこの際自覚を新たにし、終戰以来今日まで経済再建復興のために盡された努力を更に一層力強く続けられんことを期待してやみません。而してこれによつてのみ今後我が国経済力充実発展国民生活水準向上が期し得られるものと確信いたす次第であります。(拍手
  9. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 只今の国務大臣演説に対し質疑の通告がございますが、この質疑次会に譲り、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。次会議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一 漁港審議会委員任命に関する件  一、日程第二、国務大臣演説に関する件