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1951-11-09 第12回国会 参議院 法務委員会民事訴訟法改正に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月九日(金曜日)    午前十一時四十二分開会   ————————————— 昭和二十六年十月十一日法務委員長に おいて小委員を左の通り指名した。            長谷山行毅君            伊藤  修君            齋  武雄君            中山 福藏君            鬼丸 義齊君            羽仁 五郎君 同日法務委員長は左の者を委員長に指 名した。    委員長     中山 福藏君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    委員            伊藤  修君            齋  武雄君            鬼丸 義齊君   政府委員    法制意見長官  佐藤 達夫君    法制意見参事官 位野木益雄君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した事件民事訴訟法改正に関する件   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは只今から開会いたしますが、私は小委員会委員長といたしまして各位の御協力を得まして自分の任務を全うしたいと考えますからどうぞよろしくお願いいたします。  民事訴訟法改正に関しましてどういうふうに運んで行つたらいいかという点を先ずお諮りしたいと思います。順序方法をどういたしましようか。
  3. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 委員長のほうですでにこの進行についてのいずれ構想もありましようから、この際御披露頂きまして、そうしてそれに対して卑見を申し述べてみたいと思います。
  4. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 委員長といたしましては、先ず審議順序方法というものを皆様にお諮りいたしてきめたいと思いますが、本日はその審議に入る準備的な参考を得るというような建前から、当局のこの民事訴訟法に関してこれまで収集せられたいろいろな参考資料に基いてこれをどういうふうにして行つたらいいかという大体の動向をきめておられると考えるのでありますが、そういう点について意見を聞いたらどうかと考えますが如何でしようか。
  5. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは一つお願いいたします。
  6. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 現在法務府におきましてこの民事訴訟法改正に関する研究を進めておるのでございますが、今丁度お話がございましたので私からその進行状況を極く簡單に御披露いたしまして、その後なお又いろいろ御要求に応じましてこちらから御説明いたすことにしたいと思います。  御承知の通りに終戦の後刑事訴訟法その他多くの法令に大改正が行われて参つたのでございますけれども民事訴訟法は未だ大なる改正を見ることなくして今日に及んでおるわけなのでございます。その意味一つの大きな研究課題としてまだ残つていると言うことができると思うのでありますが、たまたま第七回国会で制定されました最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律、この法律が明年六月一日からその効力を失うということになつております関係上、この辺のところもどう処理するかということが一つの手近な意味での宿題となつているというような事情もありまして、かようなことから我々といたしましては、この機会民事の上訴の制度ばかりでなく、民事訴訟法全般について再検討を加えることが適当であろうというふうに考えまして、その研究に着手した次第でございます。本年の五月でございますが、法制審議会に対しまして民事訴訟法強制執行権を除くということになつておりますが、民事訴訟法改正する必要があると思われるが、その法案の要綱を示されたいという趣旨の諮問を提出いたしまして、その後ずつと同審議会での審議を願つておるわけでございます。なお一方この審議会審議と併行いたしまして、やはり五月に広く関係各界のほうに私から御意見を承わりたいという依頼状を出しまして、即ち全国の各裁判所、それから弁護士会及び学会というような方面について御意見を求めたわけであります。これに対する回答も最近ほぼ出揃いましたので、そこで各方面の御意見法制審議会のほうにも参考のために提供いたしまして御審議を願うと共に、私ども手許においても併行して研究をいたしておるという次第でございます。この法制審議会民事訴訟法部会で一応の研究項目として取上げたものがございます。これはお手許に謄写版としてお配りしてあると思いますが、十六項目ありまして、順序を踏んで申しますと、最初に第一点として弁護士強制主義採用、第二点として訴訟扶助、第三点が攻撃防禦方法に関する随時提出主義の制限、第四、訴訟記録簡易化、第五、訴訟書類の送達に関する当事者主義採用、第六、欠席判決制度採用、第七、無担保仮執行宣言原則化、第八、裁判書簡易化、第九、当事者双方口頭弁論期日に出頭しない場合の処置の強化、第十、尋問を申し出た当事者による証人同行主義採用、第十一、いわゆる発見、証言調書及び宣誓口供書制度採用、第十二、為替訴訟制度採用、第十三、簡易裁判所における訴訟手続簡易化、第十四、控訟審の構造、第十五、上告の範囲、第十六、その他、以上の項目であります。なおそれに附加いたしましてその他のいろいろな問題点が各方面から提供されておりますので、それもその他の問題点という別の刷物にしてお配りしてあります。こういうことで研究項目をきめてやつておるのでございますが、現在のところではその進行状況を申上げますと、今私が御披露申上げました最初問題点の第九の当事者双方口頭弁論期日に出頭しない場合云々というこの九の項目までは、概括的にこの部会における意見の交換を終えております。実は本日も午後又部会がありまして更に審議を続行して行こうというわけで、これを急いでおるわけでございますが、我々といたしましては成るべく早く何らかの成案を得たいということで大いに目下勉強をしておる次第でございます。  甚だ簡單でございますけれども、実情を御報告申上げました。あと御希望に応じまして又他の政府委員等からいろいろお答え申上げたいと存じます。
  7. 伊藤修

    伊藤修君 この前の上告制度特例に関する法律説明する場合、いわゆる三年という最高裁判所要求があつたのですが、三年は長きに失するというので当院で二カ年を修正して、十年の間において民事訴訟法を整備しようということに固く申し伝えておつた次第でありましたが、今日これが整備に関していろいろ御研究になつていらつしやるようですが、少しく遅きに失するように思うのですが、果して六月までにこれは法律化し得るかどうか、又成案がいつできるのか、その見通しを伺つておきたい。
  8. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いろいろ我我事務当局としての下調べ等もございましたから、審議会そのもの進行状況としては多少遅いというようなお感じをお持ちになるのも無理はないと存じますけれども、我々の心組といたしましては、本年一ぱいには大体審議会における意向というものをまとめたいという心組で大いに努力をしておるわけであります。従いまして次の国会には何らかの形で法律案を御審議頂くようにというつもりでやつておる次第でございます。
  9. 伊藤修

    伊藤修君 次の国会とおつしやるのですが、国会は勿論五月までありますが、こういうような厖大な法律で、相当重大な基本人権に関する法律であるのですが、国会の初期に出すお見通しですか、或いは国会末期に突然お出しになるようなお考えですか。
  10. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) もとよりその本のことは私ども十分承知いたしておりますので、国会の成るべく早い機会において御提案申上げて十分の御審議を頂きたいという強い希望の下に努力をいたしておる次第であります。
  11. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 大分大きい大改正のことであるから、仮に次の通常国会にこの法案改正が出るとしましても、必ずしもこれは両院を通過をして完結するとは考えられない場合もあり得ると思いますが、若しそのような場合には今の上告制度に関する特例の規定というものは一旦失効しておつても運用上には別段差支えないのであるか。若しそういうような場合には更に延期をするというような、延期をするのでなければ非常に不都合が生ずるというようなことになると思いますが、その辺の見通しはどうですか。
  12. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先年この特例関係法律案を御提案申上げましたときにも申上げましたと存じますが、今日の規状においてどうしても困るということからああいう特例をお願いした次第でございまして、その必要性というものは今日解消しておるとは私申上げられないと考えております。従いまして今の期限附法律善後措置と併せて、先ほど申しましたように訴訟法全般の再検討を急いでやつておるわけでありまして、是非何らかの手当を次の国会でいたしたい、成立さして頂きたいというふうに考えております。
  13. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 この民事に関する上告の問題について今の臨時措置法よりほかに何か東京高等裁判所をして民事上告事件を扱わしめるというようなことについて今論議に上つておるようなことはありませんか。つまり何か上告事件に対する裁判について一つの進歩的な考えから、民事上告事件を特に東京高等裁判所において処理せしめて、いわゆる上告審最高裁判所裁判というものを別な形で以てもう一つ簡易に片付けるというようなことの何か案をお考えになつておるようなことはありませんか。
  14. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 鬼丸委員説明の点は、先年の例の特例に関する法律を我々が研究いたしました際の最も大きな問題の一つとして法制審議会等においても非常に議論のあつたところでございます。確かにそういう一つ考え方があり、且つ私の記憶では、法制審議会答申の中にはそういう趣旨のことが一項目つてつたように思います。但しその審議会委員全員一致意見というところではなく、今申したように反対説も相当強い、まあ併し多数の意見がそうであつたということで、答申には確か入つてつたと思います。ただその節恐らく御説明したのではないかと思いますが、いろいろな関係がありまして、御遠慮しようということになりまして、政府としての案には入つておりません。そういう経過もありますが、その後我々としては相当期間も経ておる関係もございますので、この際そういう点も含めていろいろ反省を加えながら一層研究をしようというのが今日の率直な態度でございます。
  15. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 私は実は寡聞にして内容を大まかなことだけ知つておるだけで、一体どういうふうなことに変更しようというのであるか、大要だけ一つお聞かせを願いたい。
  16. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 只今お尋ねの点でございますが、構想も必ずしも一致していない、いろいろな意見があつたのであります。概略の点を申上げますと、現在最高裁判所上告する事件通常法律違反原則としてすべて行くことになつており、最高裁判所事務の負担の調整という関係からそれは好しくないということから、最高裁判所に対する上告憲法違反とか或いは従前の判例を変更するような場合というふうな、特に重要な事由限つて最高裁判所上告を認める。その余の法令違反というようなことは東京高等裁判所あたり上告部という別の部を設けまして、そこで審理させることにしてはどうかと、まあこれは東京高等裁判所一つに設けるか或いは各高等裁判所にも設けるか、或いは場合によつて何か別に裁判所を設けるかというふうないろいろの案もあつたのでありまするが、大体の構想はそういうふうなことであります。
  17. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 それは最高裁判所よりそうしたふうの上告事件を全部高裁のほうの上告部というようなふうに、事物管理を奪うというようなことになるのですか。それで最高裁判所においてそういう只今あなたの例示された憲法違反並びに判例変更というようなふうな、いわゆる大法令というのか、いわゆる判例牴触の場合のみに限つてそれを最高裁判所に移す、その他のものは最高裁判所から事物管轄を除くというのか、その点はどういうふうになつているのですか。それには最高裁判所裁判官という者の数をも併せ考えて、もう少し減員する必要があるのじやないかというようなことまでも論議されておつたのですが、その点はどうなんですか。
  18. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) お説のように、結局上告部というものを高等裁判所に設けるということになりますと、通常法令違反事件は一応そこの上告部のほうに参りまして、それを経て一定の事由のある場合に限つて最高裁判所に来るということになりまするので、通常法令違反についての裁判権というものはいきなり来ないという結果になるわけでございます。そういたしますと、場合によつて最高裁判所裁判官の数がどの程度であればいいというふうなことも問題になる可能性もあるわけでありまして、そういうふうな意見もこの前の審議会の当時にも出ておつたようであります。
  19. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 ちよつと私細かいことを聞きたいために速記をとめて頂きたいと思います。
  20. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ちよつと速記をとめて。
  21. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を始めて。
  22. 伊藤修

    伊藤修君 本日はこの程度に終つて差支えありませんが、次回からの御進行につきまして希望を申上げておきたいのですが、只今佐藤氏から項目について御説明がありましたいわゆる問題点というのは、この問題点一つ一つ拾つて説明願つて、そうしてこれを研究しておくということは、他日御提案になつた場合において重要問題点についての我々の認識を深めておくということが、この小委員会を設けた一つの大きな理由であろうと思いますが、そういうように一つ取計い願つては如何か、かように存じますが……。
  23. 中山福藏

    委員長中山福藏君) さよう取計います。
  24. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 それじやちよつとついでに私は聞きたいのですが、この弁護士強制主義というのは、これはすべての事件弁護士代理をさせなければいかんということですか。
  25. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) いや、すべての事件とは限らないのでありまして……。
  26. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 訴訟代理は……。
  27. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 場合によつて或る裁判所については弁護士を附けなければならないというふうなことにするかどうか、まあこれは問題としては非常にまあ……。
  28. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 いや、強制主義というのはどういうことですか。
  29. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 必ず弁護士を附けなければ、訴訟はできないということです。
  30. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 結構です。
  31. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十一分散会