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1951-11-21 第12回国会 参議院 法務委員会戦争犯罪人に対する法的処置に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月二十一日(水曜 日)    午後二時二十一分開会   ————————————— 昭和二十六年十一月十六日法務委員長 において小委員を左の通り指名した。            長谷山行毅君            岡部  常君            中山 福藏君            宮城タマヨ君            伊藤  修君            棚橋 小虎君            鬼丸 義齊君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君 十一月二十日小委員長互選の結果左の 通り決定した。    委員長     鬼丸 義齊君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鬼丸 義齊君    委員            長谷山行毅君            岡部  常君            中山 福藏君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務検務局長 岡原 昌男君    法務検務局総    務課課長補佐  羽山 忠弘君    法務矯正保護    局長      古橋浦四郎君    中央更生保護委    員会事務局長  齋藤 三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件戦争犯罪人に対する法的処置に関す  る件   —————————————
  2. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 只今から戦争犯罪人に対する法的処置に関する小委員会を開きます。
  3. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 議事進行について……本小委員会議事の過程におきまして、一つ委員各位にお願いしたいことがあるのでありますが、それはこの戦争犯罪人に対する措置を妥当ならしめるということと直接には関係ないのでありますが、御承知のように、この占領期間中の占領政策に関して、それに違反という理由で裁判を受け、又刑に服しておられる人々があります。これはやはり平和條成立という機会に、この方面につきましても、本小委員会が御討議下さり、御研究下さり、そして又政府を督励して、それらの資料をおとり下さつて、そうしてこれらの人人に対する処置も妥当な処置がとられるように御研究を頂きたいと思うのであります。これは特にそのまま放置せられますと、平和條成立後、或いはアメリカに対する感情の悪化というようなことになることをも憂えられますので、その点委員長から小委員会委員各位にお諮り下さいまして、皆様の御賛同を得ますれば、そのようにお取計らいを願いたいと思うのであります。
  4. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 只今羽生委員から御提案がありました、本小委員会において、ひとり戦争犯罪人に対する法的処置に関する事項ばかりでなく、占領治下におきまする占領政策違反等に関するポ勅違反とでも言いますか、すでにそれぞれ処刑された者もありまするので、それに対しまする点についても併せ本委員会で以て資料を取寄せ、その他調査等をいたしたいという御意見でありまするが、皆様御異存ございませんでしようか。
  5. 須藤五郎

    須藤五郎君 只今羽仁さんの御発言は、誠に当を得た発言だと思います。私は是非そういうふうに取計らつて頂きたいと存じます。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 各位の御賛成がありまするが、実は本委員会のほうでは、戦争犯罪に対しまする問題だけがこの小委員会に付議されておりまするので、皆様の御希望がそうであるといたしまするならば、次の委員会においてそれを一応諮りまして、その了承下に本委員会で併せ調査することにいたしたいと思いますが、そういうことでよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡部常

    岡部常君 私はあえて異議を申立てるわけではありませんけれども、そういう問題はほかの調査会でやれるのではございませんか。本来の行刑裁判特別調査のあのほうの活動が鈍つておりますから、如何にもないようですが、あれが活動すれば、そのほうで無論やれる問題であります。これはやはり戦争犯罪だけに限つたほうがよくはないかと私は思います。まあそういうことを申上げておいて、改めて又委員会でお諮り願いたいと思います。すでに調査会はありますのですから、それを動かして、これと並行してやれる問題でありますから、私はそういう意見を持つております。
  8. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  9. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記を始めて……。参議院の法務委員会で、今回戦争犯罪人に対する法的処置に関する小委員会を設けまして、講和條約の第十一條の適用を如何にするかということに対しまする調査を目的といたしまして、この調査会を設けることになつたのでありまするが、戦犯は現在占領軍管理下にありまするので、当方としましては一向事情に明るくない。それがために今日法務府の古橋矯正保護局長、それから岡原検務局長、それから齋藤中央更生保護委員会事務局長、このお三方のほかに、検務局羽山事務官の御出席を頂きまして、これら四氏からこの戦争犯罪人に関しまする事情を一応教えて頂きたいという趣旨で御出席を願つているのであります。  それで私より概略の点をちよつと伺つて見まして、それから一つ委員のかたよりおのおの不明の点をお聞取りを願いたいと思います。法務府のほうで戦犯に対します事項について最も事情に明るいかたはどなたでしようか。
  10. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) まあここに来ておりまする私と、齋藤局長、それから検務局羽山さん、三人共これに関係して一番よく知つております。そして私が現在中にいる人たち、それから外地にいる人たち数字等につきましてよく知つております。それから仮釈放関係につきましては、齋藤さんのほうが詳しく知つておられます。そういうふうな事情なつております。
  11. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それでは一つ古橋さんに最初伺いたいと思いまするが、今回この條約のほうの十一條を承認することになりましたについて、法務府のほうで以てこれに対する処置としてはどういうような御準備ができておるかということを伺いたいと思います。
  12. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 法務府では條約が発効いたしまするときに、先ず刑の執行を引受けなければならんと予想される人たちにつきまして、いろいろな資料を受けておりまして大体の数等を調べております。そうしてその後に刑の執行をいたしまするためと、なおその人たちの赦免とか、刑の軽減、仮釈放などの勧告や、その他そういう事項の決定に関する仕事をいたしまして、條約を誠実に実行するため法律案の立案をいたしております。なお予算的措置としましては、巣鴨を引受けまするにつきまして、大蔵省当局と折衝して、その予算の捻出を頼んでおる次第でございます。
  13. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 現在政府のほうでわかつておりまする戦犯者総数はどういうふうなことになつておりますか。
  14. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 総数は大体千七百五十七名が正確な数字だろうという工合に考えております。多少の食違いが或いはできるかも知れませんが……。
  15. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) この千七百五十七名というのは巣鴨在所者ですか。
  16. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) これは外地におる者も含めてでございます。
  17. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それの内訳一つ
  18. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 巣鴨におりまするのが千四百十名、これは一昨日、十九日の現在でございます。内訳を申上げますと、終身刑が三百三十七名、その他が有期刑でございまして、大体刑期は五年以上七十年という刑期がありますが、単一刑ではありませんが、二つの刑を合せて七十年になるのでございます。
  19. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) この終身刑というのは重労働になつているのですか、何という刑罰でしようか。
  20. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) これはまだその内容は……記録が全然ございませんので、本人について調べた結果でございますから、その判決書は見ておりません。それから外地が三百四十七名になつております。
  21. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) その内訳は……。
  22. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 内訳は、フイリピン関係が、フイリピン本島のモンテインルパ市のニユービリビツトという刑務所に百十三名おります。この内訳をついでに申上げますと、死刑執行の者が六十名、終身刑が三十一名、有期懲役が二十二名でございます。
  23. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それから前の巣鴨の千四百十名の中では、無期最高ですか、死刑はありませんか。
  24. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ありません。最近まで二人あつたのですが、それは無期に切換えられました。
  25. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 死刑が切換えられると無期になるのですか。
  26. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 無期に変更されたわけです。
  27. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) あなたのさつき言われた七十年というのは、無期から更に減刑されると七十年になるのですか。
  28. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) そうではありません。三十年と四十年と二つであります。
  29. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) これは同じ裁判所ではなくて、裁判所は違うのでしようね。
  30. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) そこまではまだ調べておりません。
  31. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 七十年というのは一人ですか。
  32. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 七十年というのは一人です。三十一年とか、三十二年とかいう工合に、なかなか重い刑でも刻んであります。それから濠洲関係が、普通マヌス島と言つておりますが、あのマヌス島のそばロスネグリス島という小さい島があります。普通はマヌス島におるとされておりますが、その附属島であるロスネグリス島という小さい島がございますが、ここに二百三十四名おります。
  33. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) マヌスのほうはどのくらいおるのですか。
  34. 一松定吉

    一松定吉君 その刑の種類を言つて下さい。
  35. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) このマヌス島という大きな島のそばロスネグリス島という小さい島がございまして、そこに二百三十四名おるのでございます。それが一般にはマヌス島として言われております。その内訳は、終身二十九名、有期が二百五名でございます。
  36. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) これは死刑はないのですね。
  37. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 実はこの中に一人有期刑の人がおるのですが、オランダ裁判死刑の言渡しを受けて、そうして濠洲裁判に廻されて、それが有期懲役の刑を受けたために、何か確認手続がまだされていないのじやないかという……。
  38. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 死刑のほうの……。
  39. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ええ。その関係はどうなつておるのか実際はまだわかりませんのです。これはまだはつきりしない事案でございます。調査が十分できておらないのであります。
  40. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうすると、オランダ死刑のほかに、濠洲に別に戦犯があつたのですね。
  41. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ええ。
  42. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 濠洲のほうは裁判が済んでいるのでしよう。
  43. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 濠洲のほうは有期懲役執行です。これは外地のことですから、余り正確にはまだ調査せられておりませんのですが、まあそういう工合に聞いているのです。
  44. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) このマヌス島というのですか、ロスネグリス島というのですか、これは絶海の孤島だというのではないですか。
  45. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 非常にひどいところだということを、最近九人ですか、釈放されて帰つて来た人から聞いております。
  46. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) あなたは会つておりませんか。
  47. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) おりません。
  48. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 青物は「ねぎ」だけしがなくて、あとは何もないので、非常なひどい目に会つておると聞いているのですが。
  49. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) これは裁判は済みまして、全部では大体四千百四十三名くらいの関係者があつたそうでございますが、現在……。
  50. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) これは全部有罪判決を受けたものですね。
  51. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ええ。
  52. 中山福藏

    中山福藏君 濠洲だけですか。
  53. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) いや、これは全部極東国際軍事法廷と、それから各連合国の各軍事裁判……。
  54. 一松定吉

    一松定吉君 千七百五十七名ですか。
  55. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) いや、そうじやありません。残つておるのが千七百五十七名で、裁判にかかつた人が……。
  56. 一松定吉

    一松定吉君 それは幾らですか。
  57. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 裁判にかかつた人が四千百四十三名。
  58. 一松定吉

    一松定吉君 それだけのうち残つておるのが千七百五十七名……。
  59. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 死刑執行或いは死亡、釈放、仮釈放等を除きまして、現在千七百五十七名ということになつております。で、このうち極東国際法廷関係のが十二名のA級戦犯巣鴨におりますが、その他は各連合国軍事法廷裁判されておるわけです。
  60. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 連合国というのはアメリカ、イギリス、中共、オランダ、フランス、濠洲、フイリツピンと、それだけですか。
  61. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) さようでございます。
  62. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) この外務省連絡局調査課で二十六年の十月二十九日の現在調べでやつておる内外地戦犯関係収容者一覧表の中を見ますと、濠洲二十六名とありますね。そのほかに今度は又その濠洲のが二百四十三名というのがありますね。このマヌス島におります……。
  63. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ちよつとその日附のやつは持つておりませんが、それが減つて現在二百三十四名になつておるのです。
  64. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうすると、この前の濠洲二十六名というのは、それはどういう……。
  65. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) それは二十何名でございます。
  66. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 巣鴨に送つて来たやつです。濠洲のほうから巣鴨に転送して来た人があるのですか。
  67. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 来たのがあるかどうか知りませんが、私のほうのはこれは十月の二十九日ですが、私は一昨日これは連絡して二百三十四名という数字復員局から受けたのでございます。で、二百四十三名が減つてこうなつて来たという工合に聞いております。
  68. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) いや、それはいいのです。それはいいのですが、最初の、前にありますね、濠洲二十六名というのが……。
  69. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ああこの巣鴨……。これは送つて来たやつでございますね。
  70. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうすると、濠洲のほうは必ずしも向うですべて執行を今までしておるというのじやなくて、中には送つて来たものもあるのですね。
  71. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) そういうことになると思います。
  72. 中山福藏

    中山福藏君 この註というのが、そのうしろに入つておりますね。註、朝鮮人台湾人沖繩人を含むというのは、これはこの区別はそのうちでどうなつておるのですか。
  73. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) これはちよつと外地関係資料を私持つておりません。巣鴨におるのは少し知つておりますが。
  74. 中山福藏

    中山福藏君 今あなたが御説明なつたところに書いてあるのですよ。二百四十三名の二行目の註というところに書いてあるでしよう。その数字を聞いておるのです。この割合を……。
  75. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) これはちつと私は初めてこの表を見るのでございますので、外務省お作りになりましたから、調査課お作りになりましたからちよつて勘定しないとわかりませんが。
  76. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それからそのアメリカのこの仮出所されて自宅服役中の者が二百五十名とありますね、二行目のやつ、三百九十五名の中に……。これはあなたが先ほど言われておつた千七百五十七名中には含まれていないのでしようか。
  77. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ええ、含まれておりません。千四百四十八名の巣鴨の中には、病院に入れられておる者で、仮釈放でない者だけ入つております。刑期が計算されておる者だけ入つております。
  78. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) まあ法務府でわかつておるのは、先ほどあなたが御説明のように千七百五十七名というのが現在のすべての戦犯総数なんですね。この中には仮出獄になつておる者は含んでいないのですね。
  79. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ええ。この外務省数字ちよつと見ますと、巣鴨の数が千四百四十八となつておりますが、恐らく私のほうの数字のほうが正しいと思います。これは実は向の様のこと非常に数字やいろいろのことはむずかしいのでございます。そうしてこの表を作りますときに外務省調査課とも打合せましたのですが、向うはこれは、この点についても非常につかみにくいので、先月巣鴨から報告をもらつたというようなのを土台にしておりました。ほかのはこれは確実だろうと思います。
  80. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それからこの……。
  81. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) ですから仮釈放中のことにつきましては、私は数字は存じません。齋藤局長のほうがよく知つております。
  82. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それでは齋藤さん一つ……。
  83. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 仮釈放につきましては、昨年の四月でありましたか、初めて総司令部の中で、宣誓出所委員会と、こういうふうに訳しております。この宣誓出所委員会というのが四月にできまして、昨年の五月九日から仮出所ということが行われております。本年の十月の末までに五十八回に亘りまして仮出所が行われました。十月末までに三百七十四名仮出所なつております。その後本年の十一月、今月に入りまして、逐次その数が増加いたしておりまして、本日も十五名仮出所になりましたが、明日も十名仮出所になりまして、もう一回あるのではないかと存じておりますが、今日まで定まりまして、仮出所になり、或いはすぐなるという、明日なるという人を含めまして、今月、十一月分で六十二名仮出所になり、又なつておるようなことになつております。
  84. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 十一月だけですか。
  85. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) はあ。
  86. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 十一月だけで六十二名……。
  87. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) はあ、十月までに平均二十名程度でありましたが、今月は六十二名仮出所なつておる。それからもう一回あるのではないかと予想しておりますが、さような状況で、それを本日まで確定しておるのを含めますと四百三十六名、十月末までに三百七十四名、それに六十二名足しまして、本日までに確定或いは仮出所になりました数を含めますと四百三十六名、これが仮出所なつております。そのうち百二十七名は観察が終つております。仮出所になりますると、先方ではいろいろ調査をいたしまして、いろいろな條件を付けて仮出所にいたしまして、それを履行するために私どものほうで観察をいたしております。その観察終つた人が百七十二名でございます。非常に幸いなことに、その観察終つた原因が取消しということではございませんので、全部期間が無事に済んだか、或いは病気その他で亡くなつた人が四人ございます。その他は全部刑期終つた、たつた一人、沖繩の人で沖繩に帰した人がありまするが、さような状況観察の成績は極めて良好であります。
  88. 一松定吉

    一松定吉君 百二十七名が観察終つたというのですか。
  89. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) そうです。そのうち四名が死亡した。その他は無事に期間終つた、たつた一人沖繩帰つた人、それはわかりませんが、そういう状況であります。
  90. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 観察というのはどういうことをやつておりますか。
  91. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) それは私のほうから、場合によりましては、有給職員でありまする政府の役人でありまする観察官を付けることもありまするし、そうでなければ、民間のほうで、こちらでいろいろ選考いたしまして、そういう仕事に熱心でもあり、又それに適しておる人に、民間の保護司という人が全国に四万人ほどございまして、一般の日本の刑務所から仮出所なつたような人、そういう人の面倒なり指導をしておる。その人のうち適当な人を選びまして、司令部の承認を得まして、その人に事件を担当してもらいまして、そうして相談相手にもなり、ときどき行つて見たり、様子を見て、そして違反するような慮れがあれば注意する、そうしてその結果毎月報告してもらつて、それを総司令部に報告いたしております。
  92. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 観察期間というのは……。
  93. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) それは残刑期期間だけでございます。残りの刑期期間だけでございます。
  94. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうすると、仮出所というのは一体標準はどういうことになつてやつておるのですか。
  95. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 先方の仮出所制度を開始いたしますときに、総司令部一つ規則を作りまして、それによつてつておるわけでございまするが、それによりまするというと、大体刑期三分の一を経過して、調査の上適当な人を仮出所にすると、大体そういうことになつておりまして、刑期三分の一を経過した人が仮出所になると、こういうことになつております。
  96. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうすると、例えば十一月のうちに六十二名というものが出た、これは今度仮出所規則刑期三分の一を経過したもののみでしようか。
  97. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) さようでございます。
  98. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それ以上に拡大した事実はないのですな。
  99. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) そうでございます。まだ三分の一を経過して仮出所にならない人が相当あるように聞いております。
  100. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうですか。
  101. 岡部常

    岡部常君 ちよつと齋藤さんにお伺いしたい。これは外務省お作りなつたのですから、ちよつとおわかりにならんかも知れませんが、この表はお持ちでございますか。
  102. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 今拝見しました。
  103. 岡部常

    岡部常君 そのうち摘要欄ですね。「内松沢病院入院中」というのは、これは国際裁判所の十三人中の一人の意味でしようね。
  104. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 私はよく存じませんが……。
  105. 岡部常

    岡部常君 想像されるのですが、そのあとが疑問なんです。「仮出所され自宅服役中の者」というこの仮出所総数というのと、あなたのおつしやつたのと数が合つておりますね。そうすると、前の二百五十というものは、これは三百七十四に含まれておるように見えますが……。
  106. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 三百七十四のうち、これは少し古いが、十月二十九日の現在でございますから、ちよつと私が申上げたのは数字が少し変つておりまするが、三百七十四のうち十月二十九日までに期間が終らなかつたとか、或いは死亡しなかつたとか、或いは沖縄に送還できなかつた人というので内地で観察下にある人、これが二百五十、三百七十四の内数でございます。
  107. 岡部常

    岡部常君 上の欄の三百九十五とは関係ないのですか。
  108. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) これとは関係なくて、むしろあとの総計三百七十四名のうち、前の……。
  109. 岡部常

    岡部常君 ああそうですが、前にという意味ですね。
  110. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 先ほどあなたの仮出所に対する規則ですね、これはこの今お手許にもらつておる連合国最高司令官司令部一九五〇年三月七日回章第五号、これでしようか。戦争犯罪人に対する恩典附与……。
  111. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) そうだろうと思います。私ちよつとそれを持つて来ておりませんが、私の聞いておるところでは、これを皆中へ入つておる人の居室に一部ずつ掲げてあるという話を先方委員会のかたに聞いたのであります。
  112. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) そうすると、斎藤さんに伺いますが、最近十一月或いは更に仮出所される人が殖えるであろうと予想されておるのには、講和條約の発効日が迫るにつれて、それがために特に殖えたというわけじやないのですね。
  113. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 私想像でございますけれども、恐らくそういうことでやはり考え方が変つて来て、従来から有資格者は相当あつたのでございます。これはちよつと言つていいかどうかわかりませんので、速記ちよつと……。
  114. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  115. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記を始めて下さい。それから向うのほうでは減刑は今まで何回ありましたか。
  116. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 減刑ということは聞いておりませんです。
  117. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 一回もやらないのですか。
  118. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 恐らく……。併し先ほど古橋局長が言われた死刑が直つたというのは減刑だろうと思いますが、それについてはその当時聞いておりませんでした。
  119. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 一般的の減刑は聞いておりませんか。
  120. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 聞いておりません。
  121. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 減刑に対する規定はないのでしようか、恩典の中にありますか。
  122. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 善行特典というのは、刑務所服役中に中の規則を守つて善行を守つた場合には、一定の日数の刑を納めたものとして刑期から削られて行く制度でございます。グツド・タイム・システムというような言葉を使つております。それを善行特典と……。
  123. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それは誰がやるんですか、この委員会ですか。
  124. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 刑期をそれだけ務めただけは削つて行くという方法で、刑務所の中で所務方法の一つとして……。ですから普通の減刑とか、仮釈放とかいうことは全く違つているんであります。ただ実質的には刑期が短くなるわけでございます。
  125. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それなら減刑なんかをやるのはやはり最高司令官がなす権限を持つているんでしようか、減刑の特典を最高司令官は与えてやることの権限が今占領地下においてはあるんでしようか。
  126. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) この回章には含まれておりませんですが。
  127. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 別に何かありますか。
  128. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 刑期は変えないで、二十日務めて三十日と勘定すると、刑期十年以上の人には二十日務めれば三十日に勘定する、こういう刑期を務める、こういう考えです、実質上の減刑なんですが、観念の仕方は二十日を三十日と勘定してやはり十年なら十年務める、こういう考えのようでございます。
  129. 一松定吉

    一松定吉君 今委員長から聞いた減刑ということは、いわゆる平和條約の第十一條に……。
  130. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) それは発効後です。発効前のことですよ、現在の占領治下においての減刑に対して何かあるかどうかということを私は聞いているのです。
  131. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 向うの内部関係ですからわかりませんが、国際軍事法廷については、これは最高司令官が権限を持つていると思われます。それから各軍事法廷のやつは一応そのときに委任されて来ているのではないかと思います。
  132. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記をとめて……。    〔速記中止
  133. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記を始めて下さい。
  134. 一松定吉

    一松定吉君 平和條約の十一條、これは條約の委員会であんまり細かいつまらんことだから法務総裁に聞かなかつたのですが、あなたのほうで研究しておるか、研究しつつあるかを聞きたいのですが、この十一條の「法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。」というのですね。そこで私の伺いたいのは、一又は二以上の政府の決定をすることをほつたらかしておいて決定しなければそのままだね。そういう決定を促す何か方法についてどうすればいいのか。今一つは、日本国はそれらの関係国に勧告をする方法、どういうようなふうにして勧告するのか、どういうような内容でやるのかというようなことについて、今政府はどう考えておるのか。この効力が発生したならば、政府の決定を促す方法としては、こういうふうにして決定を促し勧告をするのには、どういうようにして勧告しようとするかというようなことを、もうぽつぽつ研究をしておく必要はないかと思うのだが、そういうことについてまだ深く考えておりませんか。おれば一つ話して頂きたい。
  135. 齋藤三郎

    説明員齋藤三郎君) 大体勧告は、勿論これは関係国一又は二以上の政府の決定を拘束するものではありませんが、仮出所なり恩赦ということにつきましては、どこの国でもやはり本人が刑の執行中の情状がどういうふうになつているか、或いは家庭環境がどうなつているか、家族の関係はどうなつているかというようなことが非常に決定の要素になると思う。現に総司令部の中にありまする仮出所委員会でも、私のほうに調査を命ぜられて参りまして、いろいろ家族の状況とかというようなことが非常に詳細に要求されておりまするから、そういうことが結局関係国の政府の決定を実際上において拘束する、尊重される、こういうふうに思つております。こういう調査を十分にいたしまして、そうして又本人の巣鴨プリズンの成績、情状そういうものをよく調査して、それを附けて向うに勧告するということによつて、こちらの意向も十分尊重されるのではないか、こう考えるのであります。
  136. 一松定吉

    一松定吉君 そういう勧告に基いて、成るほど日本政府の勧告をこれは適当妥当であるというふうに関係国が判断すれば、それに適応すべく赦免若しくは減刑若しくは仮出獄とかいうような手続を向うがやるのだ、そこでそういう勧告をする手段方法について、私の希望としてはでき得る限り早く、向うから材料の提出を要求される以前に、こちらで積極的にそういうものを調査研究して、ちやんと資料を揃えておいて、そうして成るたけ早い機会に勧告をし、それに基いてこれらの関係国が適当に決定をする機会が与えられるように御考慮願いたい。こういうことをお願いしておきます。
  137. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 他に聞きたいことはありませんか。
  138. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとお尋ねいたしますが、こうして我々が審議しておる間にも死刑執行される慮れのあるものがありますか。あるとすれば、その数は幾らくらいですか。御存じないですか。
  139. 古橋浦四郎

    説明員(古橋浦四郎君) 私は全く外務省又は復員局関係からの情報しか持つておりませんが、それによりますと……。
  140. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  141. 鬼丸義齊

    委員長鬼丸義齊君) 速記を始めて……。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会