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1951-11-15 第12回国会 参議院 法務委員会会社更生法案等に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十一月十五日(木曜日)    午後二時十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            岡部  常君            鬼丸 義齊君            一松 定吉君            須藤 五郎君   政府委員    法制意見参事官 位野木益雄君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川 宏君    常任委員会專門    員       西村 高兄君   参考人    全国銀行協会連    合会常務理事  難波 勝二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○会社更生法案内閣提出、衆議院送  付)(第十一回国会継続)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより会社更生法案等に関する小委員会を開きます。  本日は会社更生法日本経済界並びに企業界に及ぼすところのいろいろな影響について相当重大性があると考えられるので、特に銀行側から本法に対する御意見を拜聽いたしたいと存じまして、全国銀行協会連合会常務理事をなすつていらつしやる難波勝二君の御意見をお伺いすることにいたします。
  3. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 私は銀行協会難波でございます。大変遅くなりまして申訳ございません。  会社更生法案に関しまして若干意見を申上げたいと存じます。この法律案裁判所の高邁な見識の下に、人格、手腕、力量ともに優れた管財人指導によりまして、それから会社債権者会社の株主、これらの互譲の精神によりまして行われるものでありますが、現在の我が国の経済事情から申しますというと、この法律案趣旨には首肯し得られるのでありますけれども、これを今直ちに実施するということには時期尚早であると言わざるを得ないのであります。例えばこの手続更生債権者、特に担保権者の譲歩によりまして会社更生を図るものでございまして、これを金融機関立場から見ますというと、資金貸出に当りましてはどうしても愼重にならざるを得ないのであります。特に経済情勢の移り変りの激しい現状におきましては一層愼重を期することとなるものと考えられまするし、そのことはたださえ資金のとかく不円滑である現状におきまして一層円滑を害する慮れがあると言わなければならないと思うのでございます。  それから更生手続裁判所の監督の下に行われるものでありますが、その判断には法律的な知識ばかりでなく、企業の将来性など広い経済的な知識を要するものでありまして、その上に只今も申上げましたような経済変動の激しい時でございますから、その経済変動に即応ずる迅速な処理が望まれるのでございまして、それには裁判所機能の強化ということがなくては円滑なる運営を期しがたいと思うのでございます。  それから更生手続実施は事実上管財人の手腕なり、力量によるものでありまして、管財人適任者を得ることはむずかしいと思われるのであります。この適任者が得られなければ円滑なる運営が望まれないのでありまして、現状におきましてはかような適任者を得るということは相当困難があると言わなければならないと思うのでございます。以上申上げましたような理由から、冒頭に申上げました通り、本法案実施は、これらのいろいろな事情が改善されました後にされることが望ましいのでございます。  以上がまあ大体総括的な本法案実施するのはまだ時期が早いと思われるということを申上げたのでございますが、それではこの会社更生法案を改正するとしたならば、我々の考えるところではどういうところであるか、どういうところを改正したらいいかということにつきまして、意見を申上げたいと思います。この点はなお我々の研究は十分でございませんので、取りあえず気の付いた点を申上げる程度でございますので、あらかじめ御了承を願いたいと思います。  一つ裁判所機能を強化しまして、そうして事務迅速化を図るということでございます。更生手続開始されました後、九ヵ月以内に更生計画認可決定されないというときには、租税債権者滞納処分を執行いたしまして、更生計画の立案が困難になるという虞がありますから、九か月以内に更生計画認可決定されるように措置することが望ましいのであります。それから更生計画案を作成する組の分類の点でございますが、組の分類に当りまして更生担保権者につきましては、これを法文上分類を明確化すると同時に、先順位担保権者の地位を保護するということであります。第三は更生手続開始後に発生した債権が保護されることを明確化するということであります。それから第四には租税には優先する担保権者につきましては、国税徴収法第三條の趣旨を明記するということであります。それから第五には租税債権者更生計画認可決定前に質権又は抵当権の設定せられたる財産を差押えますときは、収税官吏滞納処分費それから税金額その他必要と認める事項を管財人に通知するものとすることであります。第六には更生計画の遂行中に手続廃止決定がありましたときは、一旦消滅した担保権等を第三者の権利を害しない範囲におきまして復活せしめること。  以上のような点が我々金融機関といたしましては本法案の改正すべき点だというふうに考えている諸点でございます。私の申述べることは以上の通りでございます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の第三のところをもう一遍お聞せ願います。
  5. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 更正手続開始後に発生しました債権が保護されることを明確化するというのでございまして、それは例えば二百十六條に「左に掲げる請求権は、共益債権とする。」とこうなつて各号列記されておりますが、それには例えば第二号にも「更生手続開始後の会社の事業の経営並びに財産管理及び処分に関する費用」こうなつておるのでございますが、これをもう少しはつきりした文面にして頂きたいとこういう意味でございます。まあいずれにしましても当初に申上げました通り金融機関としましては一番大事なこの融資の円滑ということを害することになりはしないかということが一番懸念する点でございます。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、融資の円滑を害するという根拠は、あれですか、この担保権制約されるという点にあるのですか。
  7. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうでございます。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうふうな意味において恐れるのですか。
  9. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 銀行融資をする上におきましてはいろいろな担保権を設定しておるわけでございますね。現在破産法や、和議法や商法や会社整理、いろいろな諸規定がある上に、会社更生法ができるわけでございまして、その場合にこの更生手続を、担保を設定しておるにもかかわらず、こういう更生手続がとられることによつて担保権者権利が侵されるということを懸念するからでございます。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政府説明によりますると、結局担保権者はそのグループの集会によつてその意思が十分達せられるじやないかと、又保護されるじやないかと、こういうような趣旨ですがね。
  11. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 我々は只今申上げたように考えておるからでございます。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 銀行はこの法律ができた場合において、融資を相当澁ることになるのですか。
  13. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そういう懸念があるわけですね。法律があるから澁るというふうには申上げられませんけれども、やはり法律がない場合と比べてみましたら、それだけ多くのやはり注意力を払い、愼重に扱わなければならんということには間違いないと思います。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法律のない場合は勿論想像しませんけれども法律のある場合は、若し間違つたら更生手続をなさるから、その場合をも予想して融資することになると、従つて融資はより以上困難になると、厳格になると、こういう意味ですね。
  15. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そういうことでございます。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在銀行管理というのがよく行われておりますね、事実上は。会社若しくは工場に対しまして先に融資をしたと、それに対して経営が困難だと、それで理事者がよろしきを得ないというような意味からして、銀行が追加融資するという場合に銀行管理ということが行われておりますね。
  17. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そういう意味でまあ銀行管理、それは通称ですね。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 通称の言葉ですが、まだ法的のものじやございませんが。
  19. 難波勝二

    参考人難波勝二君) はあ、ですけれども、それは飽くまでも整理を主としているのではなくて、融資関係から見てできるだけその会社経営をよくするためにでございますね。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一面においては俗にいう銀行管理をやる場合は、他の債権者が相当あつて工場或いは会社経営がよろしきを得ないという面もあり得るのですね。
  21. 難波勝二

    参考人難波勝二君) よろしきを得ない面もあり得るのでありますけれども、今申しましたように、会社経営をできるだけよくする、経営がそううまく行つていないのに対して、銀行からその中に人を入れて経営を一層よくするというのが趣旨でございますね。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 裕福であれば別に銀行管理もする必要がないのだから、結局経営が困難だということが前提になるんじやないですか。
  23. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 必ずしも困難だということばかりでもございませんですね。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又銀行管理をされておるような会社は、更生手続に入るという虞れは相当あると思いますがね。
  25. 難波勝二

    参考人難波勝二君) こういう法律ができればですね。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええできれば。
  27. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうなりましようね。
  28. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その場合は、銀行としてはどういう考えになるんですか、先の融資と後の融資とありますね。
  29. 難波勝二

    参考人難波勝二君) まあもう少し経済事情も落ち付いて、正常な状態に帰つて行きましたら、そういうことももつとうまく行くと思いますけれども、今のような経済の段階では無理なんじやないかと思いますね。如何なる企業といえども、殆んど産業資金大半金融機関からの供給によつて企業経営しているという実情でございますからね、だからできるだけ資金供給を円滑にしてもらうということが、企業側から見ても一番大事なことでございますからね、ですからできるだけ金融機関のほうも産業資金供給を計つておる、こういうのがまあ実情でございます。ですから我々としましては何とかしてこの資金供給というものを、できるだけ円滑にしようということを考えておるわけなんでございますから、その点が多少とも不円滑になるということは、経済界全体として見た場合に、果してどうかというところに問題があると思いますね。
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ現在でも企業銀行と離れては成り立たないですが、その際において、非常に金融梗塞ということに悩んでおつて、年末、越年が非常に問題になるとされておるのですが、まあこういう事情がいつまで続くかわかりませんが、より以上銀行が嚴密になるということになると、相当企業のありかたとしても倒産というようなことの傾きに入つて行くんじやないかと思われますがね。
  31. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうです。ですからこういう法律ができて、会社更生せしめるように、見込のあるものを生き返らせようと、そういう考えかたですね、御趣旨は。それは冒頭から申上げておるように悪いことじやないんですけれども、やはり金融機関というのは、資金がなければ、その更生の実は結局は上らないんじやないでしようかね。
  32. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると更生させようと思う法律ができるために、むしろ会社更生の逆の道に入つて行くようなことになつてしまうんですね。
  33. 難波勝二

    参考人難波勝二君) ええ、そういうことを強く申し上げると、法律そのものに反対しておるようになりますが反対しておる趣旨じやございませんので、金融機関を代表しての意見でございますから。私どもはそういうふうに感ずるということを申し上げておるのです。
  34. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 我々といたしましては法律趣旨は、それは結構ですが、それを漫然出すことによつて日本企業界却つて萎縮したり、企業のありかたというものが却つてそれより退歩するということになつては由々しい問題であると、かように考えて、実際面に携わる銀行かたがたの御意見をお伺いしたい、かように思つて出頭願つたわけですが。
  35. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 今申上げましたように、たださえ資金が不足しておるのでございます上に、会社更生させようとしても、更生させるためにやはり資金が要るんでございますから、特にそこに重点を置いてお考え下さる必要があると考えます。
  36. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは本法のようなものが仮にできたといたしまして、その更生計画の中に資金を必要とすることはこれは当然ですがね。その場合に銀行としては資金を賄うでしようかね、こういう形式において。
  37. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それはそのときの資金力によりましようね。更生どころじやなくて、今中小金融を円滑にどうしてやるかということが大きな問題になつて、非常にまあ努力してやつておるわけでございましよう。併し努力してやつてつても、決して中小金融が円滑になつて満足すべき状態だというふうには世間一般からも決して言われておるわけじやないのですね。如何に努力しても全体の資金ヴオリウムが十分でないために、現在生きておる中小企業を十分に活動させるだけの資金が十分でないと言われておるわけなんですね。又十分でないと私ども思つております。
  38. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金融界現状はそういう現状ですが、そういう現状においてなお更生計画に入つて資金を必要とすることは当然ですが、資金がなければ更生しないのだから、大部分は問題はそこに集中されると思うのですが、その場合に銀行界が喜んでこの更生計画に助力するといいますか、融資するという立場に入れるかどうか、本法によつて
  39. 難波勝二

    参考人難波勝二君) むずかしいと思いますね。しないと申上げるのじやないのですが、資金ヴオリウムに限りがございますから、十分には行きかねると思います。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 頭から先に債権制約されたら、いわんや次の新らしい新規融資というものは考えられないと思うのです。
  41. 難波勝二

    参考人難波勝二君) さようでございます。
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの銀行協会はこれを取上げられて何か公式というか、協会としての御意見はまとまつたのですか。
  43. 難波勝二

    参考人難波勝二君) まだ十分な研究はついておりませんが、只今申上げた程度研究はできたわけでございます。
  44. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体全国銀行家の御意見はそういうところにあるのですか。
  45. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そこまでは参りません、東京における。
  46. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東京の……
  47. 難波勝二

    参考人難波勝二君) はあ、大体東京のほうがそういうことですが。
  48. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全国銀行東京がリードするわけでしよう。東京銀行家かたがたの御意見というものは全国金融界に結局指導力を持つわけですね。
  49. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 大体そうなります。
  50. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると只今の御意見をお伺いいたしますと、本法は現在の日本経済界、殊に金融界から考えて、そこに時期尚早であると、こういうわけでございますね。若し施行するとすれば、先ほどの御意見の点を修正するにあらざれば、銀行家としては喜んで受入れるわけに行かないんですか。
  51. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 修正されるとすれば、これらの点を……
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 修正がないとすれば……
  53. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 改正されるとすれば、只今申上げたような点を改正されることが妥当であろうということでございます。
  54. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちよつと伺いたい。この銀行融資ですが、実際の資本金よりもずつとたくさんの融資がされていると思うのですが。
  55. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それはもう、資本金なんかとは比べものにはならないんですよ。
  56. 須藤五郎

    須藤五郎君 どのくらい融資していらつしやるのですか、実際は資本金の何倍という融資じやないのでしようか。
  57. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それは銀行によつて違いますけれども、御承知のように大体預金の額と同じ程度にしております。資本金じやなくして、預金ですね。融資をする資金源普通商業銀行でございますから、預金でございますね。預金が今一兆二千億といつたようなことでございますから、ほぼそのくらいの貸出額も持つているわけでございます。
  58. 須藤五郎

    須藤五郎君 私がお伺いしたいのは、或る会社、Aという会社融資をなさる場合、そのA会社資本金よりも、もつとたくさんの融資をしてらつしやるのじやないでしようか。相手会社資本金以上の融資をしてらつしやると思うのですが、どの程度くらいまで融資をしてらつしやるのですか。
  59. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それは全くいろいろございましようからね、申上げられません。いろいろございますから大体どのくらいとおつしやいましても、それは。
  60. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは伺えないものでしようね。
  61. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体今の点は資料の二枚目の上段のところにあります。
  62. 須藤五郎

    須藤五郎君 こういう状態において実際にこの更生法を適用してうまく行けるものなんですか、どうですか。
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 銀行家としては非常に御迷惑になると思いますが。
  64. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 只今あなたのお話の中にありましたこの更生法施行に基いて、それがために担保権制約を受けるということについて、あなたがた業界でこれを取上げて、特にこれは困まるというということで、同業者間で意見を取りまとめるとか、何とかこれに対しては銀行のほうの団体から意思表示をしたほうがいいのじやないかというところにまで進んでおりますか。
  65. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それまでは行つておりません。
  66. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 そこまで行つておりませんか。あなたの先ほど言われたのは、東京における銀行の御同僚のかたがお集まりのところでよりよりそういうような意見があるという程度のことですか。
  67. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうです。
  68. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 今度の更生法の件は先ほどの御局業かたはおよそ知つておられるのですか。
  69. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 知つておられると思いますけれども、まあ銀行のほうでは研究がまだ十分ではございません。
  70. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 それからすでにこの更生手続開始いたされました後に、金融をする場合等について、何か他の従来の債権よりも特に優遇というか、或いは強い、特殊な権限を附與してもらいたいというふうなことはありませんか。そういう希望はありませんか。それがなければ結局融資しないだけだということですね。
  71. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 融資しないという、はつきりはちよつとそういうことは申上げられませんけれども、まあ一層愼重にやるということになることと思います。
  72. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 若しこの法律実施となりましたならば、業界に対しては大きい一つのシヨックを與えることになりますか。お見込としては第一主義的にあなたの言う担保制約に関しまして、業界に対して大きいやはり一つのセンセーシヨンを起すというようなことを予想されますか。
  73. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それほどに考えられませんけれども業界とおつしやるのは金融界のことでしよう。それよりもその後の融資状況が違つて来ると思います。そういう面で経済界全体にやはり大きな影響があると思います。先ほど申上げましたように、今は金融機関から産業資金供給している、殆んどその一本槍だと見てもいいのですね。資金供給源は何が主なものかというと、大半金融機関から産業資金というものは出ている現状でございましよう。その法律を制定される目的は大変結構であつても、只今のような経済事情の下において、例えば資金は極めて円滑に流れつつあるような経済状況ででもあるかのごとくお考えになつて法律をお作りになりましてもそうでないのでございますから、法律そのものが、折角いい法律になつてつても、そのように資金が出て来ないというようなことには流れない。出し得ないという状態であるならば、法律で規定されているような方向に工合よく更生手続が取られ得るかということに疑問があるわけですね。
  74. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 大体あなたがたの同業者担保対象物ですね、今それを大観しておよそ何が一番対象になつておりますか。これを第一、第二、第三と挙げれば大体どんなふうになつておりますか。工場財団などはやはり第一……
  75. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 第一ではございませんね。
  76. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 第一は何でしようか。物的担保として、担保順序から行きますと何でしようか。
  77. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 今は担保といつてもどういう順序ですか、預金もあれば有価証券もございますね。
  78. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 工場財団とかというのが第一じやないですか。
  79. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 第一ということじやないと思います。
  80. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 やはり第一は預金ですか。
  81. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それはやはり一般商業銀行財団とか不動産とか、そういうものは取つておりません。取つてほしいという要望はあるのでございますけれども、実際のところは取つておりません。
  82. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 不動産担保で行くと、全国銀行を大観して、不動産担保によつて融資をしておる向きは極く少いのですか、皆無ですか。
  83. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 皆無とも言われませんが、極く少い。
  84. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 殆んど皆無にひとしい状態ですか。
  85. 難波勝二

    参考人難波勝二君) はあ。又今の不動産というものが御承知のように不適当でございますね。
  86. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 そうかと言つて従来のように証券が多いとも限らない。
  87. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうですね。
  88. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 よろしうございます。
  89. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 興業銀行あたり担保工場財団とか、そういうものを取つているのじやないですか。
  90. 難波勝二

    参考人難波勝二君) はあ。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あすこは大部分そういうものが主じやございませんか。
  92. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 多いという程じやございません。
  93. 伊藤修

    委員長伊藤修君) やはり多いほうではございませんか。
  94. 難波勝二

    参考人難波勝二君) はあ。
  95. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 もう一つ担保対象になるのは、銀行担保制約を受けるという、担保になる対象は大体何なんでしようが。銀行預金なんかは別ですが、これはまあ殆んど相殺されるようなものですから、担保言つても、担保には違いないのですが、その他のものは何ですか。
  96. 難波勝二

    参考人難波勝二君) まあ初めは相手信用して貸しておる場合にも、債務者信用に変化を来たしたというような場合に、できるだけ担保力のあるものから取りましても、場合によつて十分担保に入れるようなものがないということも出て参りましようから、そうなつて来ますと、取り得るあらゆるものを取る、こういうことになつて参るのでございましようね、銀行としては。
  97. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 それは一般取引の場合、信用取引の場合はそういうことが通常起るでしようが、大体ここに問題になつております担保ですね。担保制約を受けるという銀行担保対象になるものは何かということですね、先ほど来からあなたも御説明になりましたように、この担保制約を受けるということに対する担保とは何ぞやということを銀行かたが御心配になる。対象は何かということです。
  98. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 担保の種類ですか。
  99. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 そうです。
  100. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 質権でも抵当権でも何でも総括的に考えておるわけですね。
  101. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 質権抵当権を設定して貸すわけですか。
  102. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうですね。
  103. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 物的担保となるのは動産が多いのですか、不動産が多いのですか。
  104. 難波勝二

    参考人難波勝二君) 不動産は少いわけですね。
  105. 鬼丸義齊

    鬼丸義齊君 不動産は少い。そこで動産とやはり債券ですか。
  106. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうですね。
  107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは今鬼丸さんのお尋ねになつたときにあなたがちよつとお答えになりましたが、初めは信用貸だ、順次信用が毀損されて来ると、担保を次々と取るようにする、そうして危険を保全しようということは銀行の在り方としてはそうでしようが、殊に銀行管理というような場合には殆んど担保を取つてしまうのじやないですか。まあ一概にはそうは言えないかも知れませんが。
  108. 難波勝二

    参考人難波勝二君) ですから、それはこの銀行融資を受けた企業との間の個々の場合にその関係人の如何によつて相違一して来ることでございましようね。
  109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうぜんと安心して銀行管理ができないわけですね。
  110. 難波勝二

    参考人難波勝二君) そうですね、あなたのおつしやつておる銀行管理というのは、銀行がその企業に対する管理でございましよう。
  111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。企業の実体を把握してしまわないと、次の新しい融資をするための銀行管理が俗に言う銀行管理
  112. 難波勝二

    参考人難波勝二君) それは今俗に言つておる銀行管理というのは、先ほども申しましたように必ずしも企業経営状況が甚だしく悪くなつて来た後においてのみ起ることでもない。
  113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはよくわかりますが、大体において従来融資したものが危險に瀕して来るというので、銀行がお目付役に誰か取締役を入れて管理をしておる、監督をしておるのですね。それを俗に銀行管理と言いますが、私の言う銀行管理は、更正法でいうような銀行管理ではなくて、それが現在の企業界で現存多く行われておるというわけですね。
  114. 難波勝二

    参考人難波勝二君) はあ。
  115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではどうもお忙しいところをありがとうございました。  速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を始めて下さい。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時十五分散会