○堀木鎌三君
総理大臣のいらつしやるときに
議論しますが、ともかくもそういうことはあり得ないだろうということは、單に條約だけではないのであります。
法律についてだ
つてあり得ないわけです、実際のところ。それは天皇以下すべて憲法を擁護する義務を負
つているから、それによ
つてやらなければならない。それは憲法で示しているわけです。それはひとり條約の問題ではありません。條約だけについて得異なことではない。又そういうことがあり得ないだろうという
議論は十分できる。併し、とにかく、あなたはそう言われるけれども、憲法自身が憲法に違反した
法律が行われることを予定してこういう規定がある、無効の規定がある以上は、これはそういう仮定については答えられないというふうなお
考え方は
法律上は許されない
議論であります。でありまするから、この点は現に学者の間においても私の
意見を支持する論文はたくさん出ている。ですから、実はそう申しては惡いのですが、大橋法務総裁の、ここで思い付きの御
議論では、この問題はちよつとむずかしい問題で、是非これは御研究願いたいと思
つております。
安保條約のその問題が一つ。
安保條約について実例を言いますと、
行政協定はこれは條約だということに相成る。そうすると、
行政協定で
日本国民の
権利義務が制約された場合に如何になるかという問題にも重大にかか
つて来る問題であります。決して單純な、実益のない法理論を私は固執しているわけではない。
一松先生のように、もう、そういうことはどうお
考えにな
つておりますか知りませんが、私は條約
審議に当
つては、この問題は、はつきりさせる必要がある。それが、我々自身が、この憲法の命ずるところの
責任と義務を果す上において是非必要だと、こう
考えますので、是非お
考えおき願いたいと思うのであります。その問題がはつきりいたしませんと、初めから
安保條約に賛成だとか不賛成だとかというところまで私は入れないはずである。こう
考えるのであります。
考えないとおつしやるなら別ですが、ともかく私としてはお
考え願いたいと思います。
時間が制限されておりますから、これから
総理大臣に御
質問申上げたいと思うのであります。私はどうも
総理大臣は、経済の問題ですとすぐ專門家にお讓りになる癖がありますから、專門家を要しない程度におきまして御
質問いたしますから、どうぞ御親切に
お答えを願いたいと思います。そうして決してたくさん長く時間は取りません。又今の問題で時間を取られましたので端折
つて参ります。
この
平和條約の批准に当
つて、
領土問題を含めまして
二つの大きな問題がある。一つは、
日本の国の安全をどうして保つか、この問題につきましては、いずれ
安全保障條約の際に又御
質問いたしたいと思いますし、なお、この前からの補足的な御説明でほぼ明らかにな
つておりますから、この問題は後にいたしますが、もう一つの問題は経済通商に関する問題であります。第四章、第五章に亘りまして個々の條文については申しませんが、全体を通観いたしまして、この問題がどうきま
つて参るかということによ
つて、
日本の自立経済と申しますか、或いは
日本国民の生活水準をどうして参るかという問題と非常に結びついている。これがやはり一つの大きな目標でなかろうか。こういうふうに
考えられるのであります。
賠償問題につきましてはいろいろの視野から論ぜられておりますので、私から改めてくだくだしく申上げませんが、ともかくも幾らにきまるのだろうか、どれくらいの期限に亘
つてなるのだろうかというふうな問題が相当心配の種にな
つていることは事実であります。将来
日本の経済が復興して参るに連れて、どう処理されるだろう、これは私
たちは皆やはり心配している。まあ問題が役務
賠償或いは加工
賠償であり、いろいろな條件が附いているから、その点について相当制約があり、心配することがないと言われておるのでありますが、それだけでは打消し得ないだろう、こういうふうに
考えるのであります。或る
委員は、これから
日本の
国民の生活水準が釘付けにされて、そうして條約の前文に言うやはり福祉的な仕事が阻まれるのでなかろうかというような心配をしているのもあるのであります。そのほかに見返資金につきましても、先の見込のことについてはいろいろと
考えられる問題がありますが、一応二十億ぐらいのものが予定されておる。又戰争の結果として連合国の財産が損傷された分に対してはすでに百億というものが予定されて今
国会に出てお
つて、それが二百数十億に及んでおる。又外債の問題につきましても千数百億の外債が残
つてお
つて、もう期限の到来したものが相当来ている。
総理大臣としては、この間、栗栖氏の
質問に答えられまして、国際信用の上からも完全に義務を果したいというお話であります。併し支拂方法はどうなるかということはイタリアの場合のように
考えられていない。又、
行政協定によ
つて相当の国防分担金と申しますか、やはり数百億のものが予定されておる。こういうふうな問題だけ
考えましても、これは全部今後
国民が負担して参らなければならない負担にな
つて参るわけであります。そのほかに在外資産、
日本人の在外資産の問題についても、今朝ほど木内
委員からもお話があつたようなわけでありますが、こうな
つて参りますと、これらの分を頭に入れましただけでも、
国民負担の面、それから
国民の生活水準を落さないで何とかして行こうという問題だけでも私は相当の問題が起
つて参る。更に国内方面を見ましても、非常に最近においては、やはり電力、石炭等の制約から生産が伸び悩みにな
つておる。先ほど
加藤シヅエ委員に対しまして、人口問題に関しまして、
総理が貿易の伸張ということをお説きになりまして、私どもも、
日本の現在の情勢から見れば、貿易が伸張するということが一番大切だということは十分
考えられます。併し、と同時に、中共貿易は杜絶しておるし、そうして東南
アジア開発計画も、未だ緒についたばかりでありまして、なかなかできない。日米経済協力の問題も
考えられておるがなかなか緒につかない。條約上から見ましても、まあコンゴー盆地條約自身が効力を失うというふうな情勢でありまして、そうして最近の輸出輸入から見ましても、なかなかイギリス自身が相当、イギリスのみでございませんが、各国とも非常な貿易については競争が激しい。こういうふうな情勢において、
日本の国の経済を今後
国民生活の維持向上を図りつつ合せて参るということは、これは並大抵のことであるまいと思うのでありますが、それらについて
総理大臣の、專門的でなくて、安本長官がそこにおりますが、安本長官はどうせ
予算委員会でやりますから、
総理大臣から大きな
構想をお聞かせを願いたい。こう思います。